説明

着色剤化合物を含む相変化インク組成物

【課題】例えば、高い画質を維持し、また高光密度を有する特に相変化インクに使用可能なマゼンタ着色剤を含有する相変化インクを提供する。
【解決手段】相変化インク組成物は、相変化インクキャリアと、マゼンタ着色剤にエチレン性不飽和基を導入し無水マレイン酸と共することにより重合高分子量化し、該高分子化合物にポリエチレンをグラフトした構造を有する分子量が少なくとも1000以上の高分子量の相変化性着色剤化合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、相変化インク組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、カラー印刷用の相変化インクは、相変化インクキャリア組成物を含み、この組成物を、相変化インクに適合する着色剤と調合する。インクキャリア組成物を、適合する減法型原色着色剤と調合することによって、一連の着色済み相変化インクを形成させてよい。減法型原色着色相変化インクは、4つの成分染料、すなわちシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックを含んでよいが、インクは、これらの4色に限定されない。これらの減法型原色インクは、単一の染料を用いて形成させてよく、あるいは、染料の混合物を用いて形成させてよい。例えば、ソルベントレッド系染料の混合物を用いてマゼンタを得てよく、あるいは、いくつかの染料を混合することによって、コンポジットブラックを得てよい。着色剤は、顔料も含んでよい。
【0003】
相変化インクは、輸送、長期貯蔵等の間、室温で固体として保持されるので、インクジェットプリンタにとって望ましい。さらに、液体インクジェットインクの場合にインク蒸発の結果起るノズル閉塞による問題がほとんどなく、その結果、インクジェット印刷法の信頼性を高める。さらに、インク液滴を最終記録基材上に直接塗布する相変化インクジェットプリンタの場合、液滴は、基材と接触すると直ちに固化するので、印刷媒体上のインクの移動がなく、ドット品質が向上する。
【0004】
相変化インクキャリア組成物として用いるのに適する組成物が知られている。適当なキャリア材料は、パラフィン、微結晶ワックス、ポリエチレンワックス、エステルワックス、脂肪酸およびその他のワックス系材料、脂肪酸アミド含有材料、スルホンアミド材料、さまざまな天然資源から作られる樹脂材料(例えばトール油ロジンおよびロジンエステル)ならびに多くの合成樹脂、オリゴマー、重合体および共重合体を含んでよい。
【0005】
【特許文献1】米国特許第1,981,516号
【特許文献2】米国特許第1,991,482号
【特許文献3】米国特許第3,653,932号
【特許文献4】米国特許第4,390,369号
【特許文献5】米国特許第4,484,948号
【特許文献6】米国特許第4,647,675号
【特許文献7】米国特許第4,684,956号
【特許文献8】米国特許第4,830,671号
【特許文献9】米国特許第4,851,045号
【特許文献10】米国特許第4,889,560号
【特許文献11】米国特許第4,889,761号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、特に相変化インクに適するマゼンタ着色剤が切望されていた。さらに、高い画質を維持し、また高光密度を有する特に相変化インクに使用可能なマゼンタ着色剤が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の相変化インク組成物は、相変化インクキャリアと、式
【化1】


で表される着色剤化合物と、を含み、
、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリール基、(iv)アリールアルキル基または(v)アルキルアリール基であり、RとRとは一緒になって環を形成してよく、RとRとは一緒になって環を形成してよく、R、R、RおよびRは、それぞれ中心構造体のフェニル環に結合してよく、
aおよびbは、それぞれ互いに独立に、0、1、2または3の整数であり、
およびRは、それぞれ互いに独立に、(i)アルキル基、(ii)アリール基、(iii)アリールアルキル基、(iv)アルキルアリール基、(v)ハロゲン原子、(vi)エステル基、(vii)アミド基、(viii)スルホン基、(ix)アミン基またはアンモニウム基、(x)ニトリル基、(xi)ニトロ基、(xii)ヒドロキシ基、(xiii)シアノ基、(xiv)ピリジン基またはピリジニウム基、(xv)エーテル基、(xvi)アルデヒド基、(xvii)ケトン基、(xviii)カルボニル基、(xix)チオカルボニル基、(xx)サルフェート基、(xxi)スルフィド基、(xxii)スルホキシド基、(xxiii)ホスフィン基またはホスホニウム基、(xxiv)ホスフェート基、(xxv)メルカプト基、(xxvi)ニトロソ基、(xxvii)アシル基、(xxviii)酸無水物基、(xxix)アジド基、(xxx)アゾ基、(xxxi)シアナート基、(xxxii)イソシアナート基、(xxxiii)チオシアナート基、(xxxiv)イソチオシアナート基、(xxxv)ウレタン基または(xxxvi)尿素基、あるいは(xxxvii)水素であり、RおよびRは、それぞれ中心構造部分のフェニル環に結合してよく、
【化2】


であり、
、RおよびR10は、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリール基、(iv)アリールアルキル基または(v)アルキルアリール基であり、
Aは、アニオンであり、
CAは、水素原子またはカチオンのどちらかであり、
Rは、(i)アルキル基、(ii)アリール基、(iii)アリールアルキル基、(iv)アルキルアリール基、(v)アルコキシ基、(vi)アセテート基、または(vii)無水マレイン酸の共重合体であり、
nは、約1から約1000の整数であり、
mは、約1から約1000の整数である、相変化インク組成物である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本開示は、式
【化3】


で表される着色剤化合物を含む相変化インクを目的とする。
【0009】
、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)一実施態様では少なくとも1つの炭素原子を有し、別の実施態様では少なくとも約2個の炭素原子を有し、さらに別の実施態様では少なくとも約6個の炭素原子を有し、別の実施態様では少なくとも約8個の炭素原子を有し、さらに別の実施態様では少なくとも約18個の炭素原子を有し、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有し、別の実施態様では約30個を超えない炭素原子を有し、さらに別の実施態様では約20個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアルキル基(直鎖アルキル基、分枝アルキル基、飽和アルキル基、不飽和アルキル基、環状アルキル基、置換アルキル基および非置換アルキル基を含み、アルキル基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ホウ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iii)一実施態様では少なくとも約6個の炭素原子を有し、別の実施態様では少なくとも約10個の炭素原子を有し、さらに別の実施態様では少なくとも約14個の炭素原子を有し、一実施態様では約26個を超えない炭素原子を有し、別の実施態様では約22個を超えない炭素原子を有し、さらに別の実施態様では約18個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアリール基(非置換アリール基および置換アリール基を含み、アリール基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iv)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子を有し、別の実施態様では少なくとも約12個の炭素原子を有し、さらに別の実施態様では少なくとも約18個の炭素原子を有し、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有し、別の実施態様では約30個を超えない炭素原子を有し、さらに別の実施態様では約20個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、ベンジルまたは類似基のように、これらの範囲外にあってもよいアリールアルキル基(非置換アリールアルキル基および置換アリールアルキル基を含み、アリールアルキル基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アルキルアリール基のアルキル部分とアリール部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)または(v)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子を有し、別の実施態様では少なくとも約12個の炭素原子を有し、さらに別の実施態様では少なくとも約18個の炭素原子を有し、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有し、別の実施態様では約30個を超えない炭素原子を有し、さらに別の実施態様では約20個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、トリルまたは類似基のように、これらの範囲外にあってもよいアルキルアリール基(非置換アルキルアリール基および置換アルキルアリール基を含み、アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アルキルアリール基のアルキル部分とアリール部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)である。RとRとは一緒になって環を形成してよく、RとRとは一緒になって環を形成してよい。R、R、RおよびRは、それぞれ中心構造体のフェニル環に結合してよい。実施態様によっては、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、アルキル基である。実施態様によっては、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、アリール基である。
【0010】
aおよびbは、それぞれ互いに独立に、0、1、2または3の整数である。実施態様によっては、aおよびbは、それぞれ、ゼロである。
【0011】
およびRは、それぞれ互いに独立に、(i)一実施態様では少なくとも1つの炭素原子を有し、一実施態様では約50個を超えない炭素原子を有し、別の実施態様では約30個を超えない炭素原子を有し、さらに別の実施態様では約18個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアルキル基(直鎖アルキル基、分枝アルキル基、飽和アルキル基、不飽和アルキル基、環状アルキル基、置換アルキル基および非置換アルキル基を含み、アルキル基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(ii)一実施態様では少なくとも約6個の炭素原子を有し、別の実施態様では約55個を超えない炭素原子を有し、別の実施態様では約30個を超えない炭素原子を有し、さらに別の実施態様では約18個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアリール基(非置換アリール基および置換アリール基を含み、アリール基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iii)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子を有し、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有し、別の実施態様では約30個を超えない炭素原子を有し、さらに別の実施態様では約18個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、ベンジルまたは類似基のように、これらの範囲外にあってもよいアリールアルキル基(非置換アリールアルキル基および置換アリールアルキル基を含み、アリールアルキル基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アリールアルキル基のアルキル部分とアリール部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iv)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子を有し、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有し、別の実施態様では約30個を超えない炭素原子を有し、さらに別の実施態様では約18個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、トリルまたは類似基のように、これらの範囲外にあってもよいアルキルアリール基(非置換アルキルアリール基および置換アルキルアリール基を含み、アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アルキルアリール基のアルキル部分とアリール部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(v)フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子または類似基、(vi)エステル基、(vii)アミド基、(viii)スルホン基、(ix)アミン基またはアンモニウム基、(x)ニトリル基、(xi)ニトロ基、(xii)ヒドロキシ基、(xiii)シアノ基、(xiv)ピリジン基またはピリジニウム基、(xv)エーテル基、(xvi)アルデヒド基、(xvii)ケトン基、(xviii)カルボニル基、(xix)チオカルボニル基、(xx)サルフェート基、(xxi)スルフィド基、(xxii)スルホキシド基、(xxiii)ホスフィン基またはホスホニウム基、(xxiv)ホスフェート基、(xxv)メルカプト基、(xxvi)ニトロソ基、(xxvii)アシル基、(xxviii)酸無水物基、(xxix)アジド基、(xxx)アゾ基、(xxxi)シアナート基、(xxxii)イソシアナート基、(xxxiii)チオシアナート基、(xxxiv)イソチオシアナート基、(xxxv)ウレタン基または(xxxvi)尿素基、あるいは(xxxvii)水素である。RおよびRは、それぞれ中心構造部分のフェニル環に結合してよい。
【化4】


である。
【0012】
、RおよびR10は、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)一実施態様では少なくとも1つの炭素原子を有し、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアルキル基(直鎖アルキル基、分枝アルキル基、飽和アルキル基、不飽和アルキル基、環状アルキル基、置換アルキル基および非置換アルキル基を含み、アルキル基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iii)一実施態様では少なくとも約6個の炭素原子を有し、一実施態様では約26個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアリール基(非置換アリール基および置換アリール基を含み、アリール基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iv)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、ベンジルまたは類似物のように、これらの範囲外にあってもよいアリールアルキル基(非置換アリールアルキル基および置換アリールアルキル基を含み、アリールアルキル基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アリールアルキル基のアルキル部分とアリール部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)または(v)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、トリルまたは類似基のように、これらの範囲外にあってもよいアルキルアリール基(非置換アルキルアリール基および置換アルキルアリール基を含み、アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アルキルアリール基のアルキル部分とアリール部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)である。実施態様によっては、R+R+R+R+R+R+R+R+R10の炭素原子の数は、一実施態様では少なくとも約4、別の実施態様では少なくとも約16、別の実施態様では少なくとも約18、さらに別の実施態様では少なくとも約20、さらに別の実施態様では少なくとも約22、別の実施態様では少なくとも約24、さらに別の実施態様では少なくとも約26、さらに別の実施態様では少なくとも約28、別の実施態様では少なくとも約30、さらに別の実施態様では少なくとも約32、さらに別の実施態様では少なくとも約34、別の実施態様では少なくとも約36、さらに別の実施態様では少なくとも約38、さらに別の実施態様では少なくとも約40、別の実施態様では少なくとも約42、さらに別の実施態様では少なくとも約44、さらに別の実施態様では少なくとも約46、別の実施態様では少なくとも約48、さらに別の実施態様では少なくとも約50、さらに別の実施態様では少なくとも約52、別の実施態様では少なくとも約54、さらに別の実施態様では少なくとも約56、さらに別の実施態様では少なくとも約58、別の実施態様では少なくとも約60、さらに別の実施態様では少なくとも約62、さらに別の実施態様では少なくとも約64、別の実施態様では少なくとも約66、さらに別の実施態様では少なくとも約68、さらに別の実施態様では少なくとも約70、別の実施態様では少なくとも約72である。
【0013】
Rは、(i)アルキル基、(ii)アリール基、(iii)アリールアルキル基または(iv)アルキルアリール基である。Rは、アルキル基の場合、一実施態様では約1個から約100個の炭素原子、別の実施態様では約18個から約33個の炭素原子、さらに別の実施態様では約30の炭素原子、別の実施態様では約50の炭素原子を有する。Rは、アリール基の場合、一実施態様では約5個から約20個の炭素原子、別の実施態様では約6個の炭素原子、別の実施態様では、約10個の炭素原子を有する。Rは、アルキルアリール基の場合、一実施態様では約7個の炭素原子、別の実施態様では約30個の炭素原子、さらに別の実施態様では約50個の炭素原子、別の実施態様では約100個の炭素原子を有する。Rは、アリールアルキル基の場合、一実施態様では約7個の炭素原子、別の実施態様では約30個の炭素原子、別の実施態様では約50個の炭素原子、別の実施態様では約100個の炭素原子を有する。実施態様によっては、Rは、ワックス鎖である。本明細書で用いられるワックスとは、少なくとも約10個の炭素原子、または少なくとも約18個の炭素原子、または約18個から約100個の炭素原子、または約18個から約33個の炭素原子を含むことを意味する。実施態様によっては、Rは、C(フェニル)である。実施態様によっては、Rは、CHCH(エチレン)である。実施態様によっては、Rは、OHである。実施態様によっては、Rは、O−R(アルコキシ)であり、例えば、実施態様によっては、Rは、O−CH(メトキシ)である。実施態様によっては、RはOAcであり、OAcは、任意のアセテート部分を指す。実施態様によっては、Rは、無水マレイン酸の共重合体である。
【0014】
nは、約1から約1000、または約1から約20、または少なくとも約4、または少なくとも約12、または少なくとも約50の整数である。mは、約1から約1000、または約1から約20、または少なくとも約4、または少なくとも約12、または少なくとも約50の整数である。
【0015】
Aは、アニオンである。適当なアニオンの例は、Cl、Br、I、HSO、HSO、SO2−、SO2−、CHSO、CHSO、NO、HCOO、CHCOO、HPO、HPO2−、SCN、BF、ClO、SSO、PF、SbClまたは類似物、ならびにそれらの混合物を含む(しかし限定はされない)。
【0016】
CAは、水素原子またはカチオンのどちらかである。適当なカチオンの例は、Li、Na、K、RbおよびCsなどのアルカリ金属カチオン、非重合体または単量体アンモニウムおよび一般式
【化5】


で表されるものを含む第四アンモニウムカチオンを含む(しかし、限定はされない)。
【0017】
21、R22、R23およびR24は、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)一実施態様では少なくとも1つの炭素原子を有し、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアルキル基(直鎖アルキル基、分枝アルキル基、飽和アルキル基、不飽和アルキル基、環状アルキル基、置換アルキル基および非置換アルキル基を含み、アルキル基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iii)一実施態様では少なくとも約6個の炭素原子を有し、一実施態様では約26個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアリール基(非置換アリール基および置換アリール基を含み、アリール基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iv)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、ベンジルまたは類似物のように、これらの範囲外にあってもよいアリールアルキル基(非置換アリールアルキル基および置換アリールアルキル基を含み、アリールアルキル基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アリールアルキル基のアルキル部分とアリール部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)または(v)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、トリルまたは類似基のように、これらの範囲外にあってもよいアルキルアリール基(非置換アルキルアリール基および置換アルキルアリール基を含み、アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アルキルアリール基のアルキル部分とアリール部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)である。R21、R22、R23およびR24の1つ以上は一緒になって環を形成してよい。置換アルキル基、置換アリール基、置換アリールアルキル基および置換アルキルアリール基上の置換基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アミン基、イミン基、アンモニウム基、シアノ基、ピリジン基、ピリジニウム基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、サルフェート基、スルホネート基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物および類似物であってよい(しかし、限定はされない)。2つ以上の置換基は一緒になって、カチオン性重合体またはカチオン性オリゴマーなどの環状カチオン、オリゴマーカチオンおよび重合体カチオンおよび類似物、ならびにそれらの混合物を形成してよい。
【0018】
一実施態様では、R+R+R+Rの炭素原子の数は、少なくとも約4、別の実施態様では少なくとも約18、別の実施態様では少なくとも約30、さらに別の実施態様では少なくとも約40、さらに別の実施態様では少なくとも約50、別の実施態様では少なくとも約60、別の実施態様では少なくとも約72である。
【0019】
【化6】


であるいくつかの特定の実施態様において、一実施態様では、R+R+R+Rの炭素原子の数は、少なくとも約44、さらに別の実施態様では少なくとも約50、別の実施態様では少なくとも約60、別の実施態様では少なくとも約72である。
【0020】
【化7】


であるいくつかの特定の実施態様において、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、式
【化8】


で表される基である。
【0021】
41およびR42は、それぞれ互いに独立に、(i)一実施態様では少なくとも1つの炭素原子を有し、別の実施態様では少なくとも約2個の炭素原子を有し、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアルキル基(直鎖アルキル基、分枝アルキル基、飽和アルキル基、不飽和アルキル基、環状アルキル基、置換アルキル基および非置換アルキル基を含み、アルキル基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(ii)一実施態様では少なくとも約6個の炭素原子を有し、一実施態様では約26個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアリール基(非置換アリール基および置換アリール基を含み、アリール基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iii)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、ベンジルまたは類似物のように、これらの範囲外にあってもよいアリールアルキル基(非置換アリールアルキル基および置換アリールアルキル基を含み、アリールアルキル基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アリールアルキル基のアルキル部分とアリール部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)または(iv)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、トリルまたは類似基のように、これらの範囲外にあってもよいアルキルアリール基(非置換アルキルアリール基および置換アルキルアリール基を含み、アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アルキルアリール基のアルキル部分とアリール部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)である。R41およびR42の1つ以上は一緒になって環を形成してよい。置換アルキル基、置換アリール基、置換アリールアルキル基および置換アルキルアリール基上の置換基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アミン基、イミン基、アンモニウム基、シアノ基、ピリジン基、ピリジニウム基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、サルフェート基、スルホネート基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物および類似物であってよい(しかし限定はされない)。2つ以上の置換基は一緒になって、カチオン性重合体またはカチオン性オリゴマーなどの環カチオン、オリゴマーカチオンおよび重合体カチオンおよび類似物、ならびにそれらの混合物を形成してよい。
【0022】
【化9】


であるいくつかの特定の実施態様において、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、分枝アルキル基であり、分枝アルキル基は、少なくとも1つの実施態様では約19個の炭素原子、別の実施態様では少なくとも約20個の炭素原子を有する。
【0023】
アルキル基、アリール基、アリールアルキル基およびアルキルアリール基の中にヘテロ原子が含まれていてよく、これらの基は置換されていてよいので、そのような基の酸素原子が中心構造部分
【化10】


の窒素、酸素または硫黄原子に直接結合しなければ、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、アルコキシ基、ポリアルキレンオキシ基、アリールオキシ基、ポリアリーレンオキシ基、アリールアルキルオキシ基、ポリアリールアルキレンオキシ基、アルキルアリールオキシ基またはポリアルキルアリーレンオキシ基などの基でもあってよいと理解するべきである。
【0024】
〜R基の1つがシクロアルキルである状況の例は、
【化11】


のときである。
【0025】
〜R基が一緒になって環を形成する状況の例は、
【化12】


のときである。
【0026】
〜R基の1つが中心構造部分の中のフェニル環に結合している状況の例は、
【化13】


のときである。
【0027】
本開示によるインクに適する着色剤化合物は、
【化14】


であり、一般式
【化15】


で表されるローダミン類、
【化16】


であり、一般式
【化17】


【化18】


で表されるアクリジン類、
【化19】


であり、一般式
【化20】


【化21】


で表されるスルホローダミン類、
【化22】


であり、一般式
【化23】


【化24】


で表されるアントラセン類および類似物を含む。
【0028】
特定の実施態様では、アニオンAは、式A1−R11−A2で表される有機ジアニオンであってよい。A1およびA2は、それぞれ互いに独立に、カルボキシレート、スルホネートまたは類似物などのアニオン基である。R11は、(i)一実施態様では少なくとも1つの炭素原子を有し、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアルキレン基(直鎖アルキレン基、分枝アルキレン基、飽和アルキレン基、不飽和アルキレン基、環状アルキレン基、置換アルキレン基および非置換アルキレン基を含み、アルキレン基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(ii)一実施態様では少なくとも約6個の炭素原子を有し、一実施態様では約26個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよいアリーレン基(非置換アリーレン基および置換アリーレン基を含み、アリーレン基の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、(iii)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、ベンジルまたは類似物のように、これらの範囲外にあってもよいアリールアルキレン基(非置換アリールアルキレン基および置換アリールアルキレン基を含み、アリールアルキレン基のアルキレン部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アリールアルキレン基のアルキレン部分とアリール部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)、または(iv)一実施態様では少なくとも約7個の炭素原子、一実施態様では約55個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数は、トリルまたは類似基のように、これらの範囲外にあってもよいアルキルアリーレン基(非置換アルキルアリーレン基および置換アルキルアリーレン基を含み、アルキルアリーレン基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和および/または環状であってよく、アルキルアリーレン基のアルキル部分とアリーレン部分との一方または両方の中に、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンおよび類似元素などのヘテロ原子が存在してよく、あるいは存在しなくてよい)である。置換アルキレン基、置換アリーレン基、置換アリールアルキレン基および置換アルキルアリーレン基上の置換基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アミン基、イミン基、アンモニウム基、シアノ基、ピリジン基、ピリジニウム基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、サルフェート基、スルホネート基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物および類似物であってよい(しかし、これに限定はさるものではない)。2つまたはそれ以上の置換基が一緒になって環を形成してよい。適当な有機ジアニオンの例は、非置換ナフタレンジスルホネートおよび置換ナフタレンジスルホネート、非置換ベンゼンジスルホネートおよび置換ベンゼンジスルホネート、および類似物、ならびにそれらの混合物を含む。
【0029】
別の特定の実施態様では、アニオンAは、有機トリアニオン、テトラアニオンおよびペンタアニオン以上のポリアニオン、オリゴマーアニオン、およびポリスルホネートまたはポリカルボネートなどの重合体アニオンまたは類似物であってよい。
【0030】
1つの特定の実施態様では、着色剤化合物は、式
【化25】


で表される。
【0031】
別の特定の実施態様では、着色剤化合物は、式
【化26】


で表される。
【0032】
本着色剤化合物において、正電荷は、非局在化し、
【化27】


【化28】


および類似物を含む(しかし限定はされない)その他の互変異性構造体を描くことができる。上記式には、これらの着色剤について考えられるすべての互変異性体が含まれると理解するべきである。
【0033】
本開示のインク用着色剤化合物は、任意の望ましい手順または有効な手順によって調製してよい。例えば、望ましいR基(このR基は、本着色剤の重合体主鎖を形成し、本明細書において定める本着色剤のR基から選択される)を有するα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体を、望ましいR、R、RおよびR基等を有する1つ以上のアミノフェノールと混合し、ニートで、あるいは任意選択として溶媒の存在下で加熱した後、酸、例えば濃HSOを加え、さらに加熱してよい。R、R、RおよびR基等は、本明細書において着色剤用に定義したように選択する。
【0034】
α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体とアミノフェノールとは、任意の望ましい相対量または有効な相対量、一実施態様では2モルのアミノフェノールあたり少なくとも約0.5モルのα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体、一実施態様では2モルのアミノフェノールあたり約1.5モルを超えないα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体を存在させるが、相対量はこれらの範囲外にあってもよい。
【0035】
望むなら、反応はニートで、すなわち溶媒非存在下で実行してよい。さらに、望むなら、反応は、任意選択の溶媒の存在下で実行してよい。適当な溶媒の例は、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、オクタノールならびそれらの混合物を含む。存在する場合、任意選択の溶媒は、任意の望ましい量または有効な量、一実施態様ではα−オレフィン−無水コハク酸共重合体0.1モルあたり少なくとも約1リットル、一実施態様ではα−オレフィン−無水コハク酸共重合体2モルあたり約1リットルを超えない量存在させてよいが、相対量はこれらの範囲外にあってもよい。
【0036】
次に、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体、アミノフェノールおよび任意選択の溶媒の混合物を任意の有効な温度、一実施態様では少なくとも約62℃、一実施態様では約280℃を超えない温度に加熱するが、温度はこれらの範囲外にあってもよい。
【0037】
α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体、アミノフェノールおよび任意選択の溶媒の混合物を、任意の有効な時間、一実施態様では少なくとも約5分、一実施態様では約4日を超えない時間加熱するが、時間はこれらの範囲外にあってもよい。
【0038】
実施態様によっては、例えば2モルのアミノフェノールあたり約1モルの酸の量で酸を加えてよい。次に、酸を加え、混合物を任意の有効な温度、一実施態様では少なくとも約62℃、一実施態様では約280℃を超えない温度に加熱するが、温度はこれらの範囲外にあってもよい。
【0039】
α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体、アミノフェノール、任意選択の溶媒および酸の混合物を、任意の有効な時間、一実施態様では少なくとも約5分、一実施態様では約14時間加熱するが、時間はこれらの範囲外にあってもよい。
【0040】
結果として得られる生成物は、望むなら、メチルイソブチルケトン、トルエン、ヘキサン、ヘプタンまたは類似物など、生成物に対しては可溶性または相溶性であり、望ましくない塩副産物に対しては可溶性でない有機非水溶性および非水相溶性溶媒の中に反応混合物を注入した後、生成物を含む溶媒を分液ロートの中で水と混合し、水相と有機相とを分離することによって精製してよい。
【0041】
望むなら、次に、粗生成物をEDTA水溶液で洗浄して金属塩を除去した後、水で洗浄することによってさらに精製してよい。望むなら、滴定法、あるいはAA(原子吸光法)またはICP(誘導結合プラズマ法)などの機器技法を実行して金属塩が完全に除去されたか判定してよい。精製した生成物は、溶媒をすべて留去することによって単離してよい。
【0042】
任意の望ましい方法または有効な方法によって、着色剤の環にさまざまな置換基を配置してよい。
【0043】
実施態様によっては、変換を実行して代替生成物を作り出してよい。例えば、実施態様によっては、以下の反応
【化29】


を行ってよい。
【0044】
実施態様によっては、R30およびR31は、それぞれ互いに独立に、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。実施態様によっては、R30およびR31は、それぞれ互いに独立に、約1個から約100個の炭素原子、または約18個から約33個の炭素原子を有するアルキル基、約5個から約20個の炭素原子を有するアリール基、または約7個からの炭素原子、または約30個の炭素原子、または約50個の炭素原子、または約100個の炭素原子を有するアルキルアリール基、または約7個からの炭素原子、または約30個の炭素原子、または約50個の炭素原子、または約100個の炭素原子を有するアリールアルキル基から選択される。実施態様によっては、Rはワックス鎖である。本明細書で用いられるワックスとは、少なくとも約10個の炭素原子、または約18個から約100個の炭素原子、または約18個から約33個の炭素原子を含むことを意味する。実施態様によっては、Rは、C(フェニル)である。nは、約1から約1000の整数であり、mは、約1から約1000の整数である。
【0045】
別の実施態様では、
【化30】


を行ってよい。
【0046】
実施態様によっては、R30およびR31は、それぞれ互いに独立に、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。実施態様によっては、R30およびR31は、それぞれ互いに独立に、約1から約100の炭素原子を有するアルキル基、約5から約20の炭素原子を有するアリール基、または約7からの炭素原子、または約30の炭素原子、または約50の炭素原子、または約100の炭素原子を有するアリールアルキル基から選択される。実施態様によっては、Rは、ワックス鎖である。本明細書で用いられるワックスとは、少なくとも約10の炭素原子、または約18から約100の炭素原子を含むことを意味する。実施態様によっては、Rは、C(フェニル)である。nは、約1から約1000の整数であり、mは、約1から約1000の整数であり、pは、約1から約1000の整数であり、sは、約1から約1000の整数である。
【0047】
さらに別の実施態様では、
【化31】


を行ってよい。
【0048】
実施態様によっては、R30およびR31は、それぞれ互いに独立に、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。実施態様によっては、R30およびR31は、それぞれ互いに独立に、約1から約100の炭素原子、または約18から約33の炭素原子を有するアルキル基、約5から約20の炭素原子を有するアリール基、または約7からの炭素原子、または約30の炭素原子、または約50の炭素原子、または約100の炭素原子を有するアルキルアリール基、または約30の炭素原子、または約50の炭素原子、または約100の炭素原子を有するアリールアルキル基から選択される。実施態様によっては、Rは、ワックス鎖である。本明細書で用いられるワックスとは、少なくとも約10の炭素原子、または約18から約100の炭素原子を含むことを意味する。実施態様によっては、Rは、C(フェニル)である。nは、約1から約1000の整数であり、mは、約1から約1000の整数であり、pは、約1から約1000の整数であり、sは、約1から約1000の整数である。
【0049】
本開示の相変化インクは、相変化キャリアシステムまたは組成物を含む。一般に、相変化キャリア組成物は、直接印刷モードあるいは間接またはオフセット印刷転写システムのどちらかに用いるように設計される。
【0050】
直接印刷モードにおいて、一実施態様では、相変化キャリア組成物は、相変化インクが、(1)記録基材へ直接印刷した後常温に冷却したとき、最終記録基材上に一様な厚さの薄膜として塗布され、(2)十分な可撓性を保持しながらも延性を有し、これによって、基材上に塗布された画像は屈曲しても破損せず、(3)高度な明度、色度、透明性および熱安定性を有することを可能にする1つ以上の材料を含む。
【0051】
オフセット印刷転写または間接印刷モードにおいて、一実施態様では、相変化キャリア組成物は、直接印刷モードインクにとって望ましい特性だけでなく、そのようなシステムにおいて用いるのに望ましい特定の流体特性および機械特性も示す。
【0052】
任意の所望のキャリア組成物または有効なキャリア組成物を用いてよい。適当なインクキャリア材料の例は、モノアミド、テトラアミド、それらの混合物、および類似物などの脂肪酸アミドを含む。適当な脂肪酸アミドインクキャリア材料の特定の例は、ステアリルステアラミド、二量体酸、エチレンジアミンおよびステアリン酸の反応生成物である二量体酸系テトラアミド、二量体酸、エチレンジアミンおよび少なくとも約36個の炭素原子を有するカルボン酸の反応生成物である二量体酸系テトラアミドおよび類似物ならびにそれらの混合物を含む。脂肪酸アミドインクキャリアが、二量体酸、エチレンジアミンおよび少なくとも約36個の炭素原子を有するカルボン酸の反応生成物である二量体酸系テトラアミドであるとき、カルボン酸は、一般式
【化32】


で表される。
【0053】
Rは、直鎖アルキル基、分枝アルキル基、飽和アルキル基、不飽和アルキル基および環状アルキル基を含むアルキル基である。アルキル基は、一実施態様では少なくとも約36個の炭素原子を有し、一実施態様では約200個を超えない炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外にあってもよい。
【0054】
ウレタンイソシアネート誘導材料、尿素イソシアネート誘導材料、ウレタン/尿素イソシアネート誘導材料、それらの混合物および類似物などのイソシアネート誘導樹脂およびワックスも相変化インクキャリア材料として適当である。
【0055】
脂肪酸アミド材料およびイソシアネート誘導材料の混合物も、本開示のインク用のインクキャリア組成物として使用してよい。
【0056】
本開示のための別の適当な相変化インクキャリア材料は、パラフィン、微結晶ワックス、ポリエチレンワックス、エステルワックス、アミドワックス、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸アミドおよびその他のワックス材料、スルホンアミド材料、さまざまな天然資源から作られた樹脂材料(例えばトール油ロジンおよびロジンエステル)、ならびに多くの合成樹脂、オリゴマー、重合体、およびエチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、アクリル酸とポリアミドとの共重合体および類似物などの共重合体、アイオノマーおよび類似物、ならびにそれらの混合物を含む。これらの材料の1つ以上を、脂肪酸アミド材料および/またはイソシアネート誘導材料との混合物としても使用してよい。
【0057】
1つの特定の実施態様では、相変化インクキャリアは、(a)一実施態様では少なくともインクの約25重量パーセント、一実施態様ではインクの約60重量パーセントを超えない量インクの中に存在するが、これらの範囲外にあってもよい量のポリエチレンワックス、(b)一実施態様では少なくともインクの約8重量パーセント、一実施態様ではインクの約32重量パーセントを超えない量インクの中に存在するが、これらの範囲外にあってもよい量のステアリルステアラミドワックス、(c)一実施態様では少なくともインクの約10重量パーセント、一実施態様ではインクの約32重量パーセントを超えない量インクの中に存在するが、これらの範囲外にあってもよい量の、二量体酸、エチレンジアミン、および36個より多い炭素原子を有し、末端カルボン酸基を有する長鎖炭化水素の反応生成物である二量体酸系テトラアミド、(d)一実施態様では少なくともインクの約6重量パーセント、一実施態様ではインクの約16重量パーセントを超えない量インクの中に存在するが、これらの範囲外にあってもよい量の、2当量のヒドロアビエチルアルコールと1当量のイソホロンジイソシアネートとの反応によって誘導されたウレタン樹脂、(e)一実施態様では少なくともインクの約2重量パーセント、一実施態様ではインクの約13重量パーセントを超えない量インクの中に存在するが、これらの範囲外にあってもよい量の、3当量のステアリルイソシアネートとグリセロール系プロポキシレートアルコールとの付加体であるウレタン樹脂、および(f)一実施態様では少なくともインクの約0.01重量パーセント、一実施態様ではインクの約1重量パーセントを超えない量インクの中に存在するが、これらの範囲外にあってもよい量の抗酸化剤を含む。
【0058】
インクキャリアは、任意の望ましい量または有効な量、一実施態様ではインクの少なくとも約0.1重量パーセント、一実施態様ではインクの約99重量パーセントを超えない量存在するが、量はこれらの範囲外にあってもよい。
【0059】
この着色剤は、所望の色度または色相を得る任意の所望量または有効量、一実施態様ではインクの少なくとも約0.1重量パーセント、一実施態様ではインクの約20重量パーセントを超えない量存在するが、量はこれらの範囲外にあってもよい。着色剤は、インク中の唯一の着色剤であってよく、あるいは染料、顔料、それらの混合物および類似物などのその他の着色剤と調合して存在してよい。
【0060】
特定の実施態様では、本開示のインクは、着色剤のカルボン酸および/またはスルホン酸および/またはカルボキシレートおよび/またはスルホネート基のKaより大きなKa値を有する酸をさらに含む。適当な酸の具体的な例は、パラ−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸および類似物などのアルキルベンゼンスルホン酸を含む有機スルホン酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸、トリフルオロ酢酸、メチルスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、臭化水素酸および類似物ならびにそれらの混合物を含む。酸は、任意の望ましい量または有効な量、一実施態様では着色剤の量の少なくとも約2重量パーセント、一実施態様では着色剤の量の約100重量パーセントを超えない量存在するが、酸の量はこれらの範囲外にあってもよい。
【0061】
本開示のインクは、任意選択として酸化防止剤も含んでよい。インク組成物の任意選択の酸化防止剤は、画像を酸化から保護し、インク成分をインク調製プロセスの加熱段階の間の酸化からも保護する。適当な酸化防止剤の具体例な例としては、ナウガード(登録商標)(NAUGUARD)524、ナウガード(登録商標)76およびナウガード(登録商標)512、イルガノックス(登録商標)(IRGANOX)1010および類似品を含む。存在する場合、任意選択の抗酸化剤は、任意の望ましい量または有効な量、一実施態様ではインクの少なくとも約0.01重量パーセント、一実施態様ではインクの約20重量パーセントを超えない量存在するが、量はこれらの範囲外にあってもよい。
【0062】
本開示のインクは、任意選択として粘度調整剤も含んでよい。適当な粘度調整剤の例は、ステアロンなどの脂肪族ケトンおよび類似物を含む。存在する場合、任意選択の粘度調整剤は、任意の望ましい量または有効な量、一実施態様ではインクの少なくとも約0.1重量パーセント、一実施態様ではインクの約99重量パーセントを超えない量存在するが、量はこれらの範囲外にあってもよい。
【0063】
他の任意選択のインクへの添加物は、一実施態様ではインクの少なくとも約0.01重量パーセント、一実施態様ではインクの約98重量パーセントを超えないが、これらの範囲外にあってもよい量の清澄剤、一実施態様ではインクの少なくとも約0.1重量パーセント、一実施態様ではインクの約98重量パーセントを超えないが、これらの範囲外にあってもよい量の粘着剤、一実施態様ではインクの少なくとも約0.1重量パーセント、一実施態様ではインクの約98重量パーセントを超えないが、これらの範囲外にあってもよい量の合成ポリテルペン樹脂および類似物、一実施態様ではインクの少なくとも約0.1重量パーセント、一実施態様ではインクの約98重量パーセントを超えないが、これらの範囲外にあってもよい量の接着剤、一実施態様ではインクの少なくとも約0.1重量パーセント、一実施態様ではインクの約50重量パーセントを超えないが、これらの範囲外にあってもよい量の、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸アルキルベンジル、リン酸トリフェニル、リン酸トリブトキシエチル、フタル酸ジシクロヘキシル、トリメリット酸トリオクチルおよび類似化合物などの可塑剤、フタル酸エステル可塑剤を含む。
【0064】
本開示のインク組成物は、一実施態様では約50℃より低くない融点を有し、一実施態様では約160℃より高くない融点を有するが、融点はこれらの範囲外にあってもよい。
【0065】
一般に、本開示のインク組成物は、ジェット温度(一実施態様では約75℃より低くなく、一実施態様では約180℃より高くないが、これらの範囲外にあってもよい)において、一実施態様では約30センチポアズより大きくない、一実施態様では約2センチポアズより小さくない溶融粘度を有するが、溶融粘度はこれらの範囲外にあってもよい。
【0066】
インク組成物は、任意の望ましい方法または適当な方法によって調製してよい。例えば、インク成分を一緒に混合した後、一実施態様では少なくとも約100℃、一実施態様では約140℃を超えないが、これらの範囲外にあってもよい温度に加熱し、均一なインク組成物が得られるまで撹拌した後、インクを常温(一般に約20℃から約25℃)に冷却してよい。インクは、常温で固体である。特定の実施態様では、形成プロセスの間に、溶融状態にあるインクを型に注入した後、放冷し、固化させてインクスティックを形成させる。
【0067】
本開示のインクは、直接印刷インクジェットプロセスのための装置において、および間接(オフセット)印刷インクジェット用途において使用することができる。別の実施態様は、インクジェット印刷装置の中にインクを組み込むこと、インクを溶融させること、および溶融したインクの液滴を記録基材上に画像のパターンで射出させることを含むプロセスを目的とする。別の実施態様は、インクジェット印刷装置の中にインクを組み込むこと、インクを溶融させること、溶融したインクの液滴を中間転写部材に画像のパターンで射出させること、および画像のパターンのインクを中間転写部材から最終記録基材へ転写させることを含むプロセスを目的とする。特定の実施態様では、中間転写部材は、最終記録シートの温度より高く、印刷装置の中の溶融したインクの温度より低い温度に加熱される。1つの特定の実施態様では、印刷装置は、圧電性振動素子を振動させることによってインクの液滴を画像のパターンで放出させる圧電印刷プロセスを使用する。本開示のインクは、ホットメルト音響インクジェット印刷法、ホットメルトサーマルインクジェット印刷法、ホットメルト連続流または偏向インクジェット印刷法および類似印刷法など、他のホットメルト印刷プロセスにおいても使用してよい。本開示のホットメルトインクジェット印刷プロセス以外の印刷プロセスにおいても相変化インクを用いてよい。
【0068】
無地用紙、罫線つきノート用紙、ボンド紙、シリカ塗工紙、透明部材(例えばOHPシート)、生地、織物製品、プラスチック、高分子フィルム、金属などの無機基材および木材を含む任意の適当な基板または記録シートを使用してよい。
【実施例】
【0069】
実施例1.

【化33】


で表されるα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(50グラム、ベーカーペトロライト社(Baker Petrolite Corporation)から入手可能なMW7000の共重合体X5400(登録商標))を、磁気撹拌子を有する350ミリリットルのビーカーの中に入れ、ビーカーを150℃の油浴の中に置き、溶融させ、溶融した時点で撹拌を開始した。次に、式
【化34】


で表されるN,N−ジエチルアミノフェノール(MW75のアミノフェノール、アルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co.)から入手した)約28.3グラムを加え、ビーカーの上に時計皿を置き、内容物を150℃で3時間撹拌した。次に、約2.5グラムの濃HSOを加え、さらに1時間撹拌した。次に、溶融した内容物を、500ミリリットルのメタノールを含む1リットルのビーカーの中に注入した。次に、固体を乳鉢に移し、乳棒で細かなマゼンタ色の粉体に粉砕した。粉体を300ミリリットルのメタノールを有する500ミリリットルのビーカーの中に入れ、加熱撹拌して沸騰させた。ビーカーの加熱を止め、ブフナー漏斗を通してろ過し、マゼンタ色の重合体固体を集めた。この着色剤の双性イオン形は、式
【化35】


で表されると考えられる。
【0070】
他の合成プロセスも用いてよい。
【0071】
実施例2.

【化36】


で表されるα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(50グラム、ベーカーペトロライト社から入手可能なMW7000の共重合体X5400(登録商標))を、磁気撹拌子を有する350ミリリットルのビーカーの中に入れ、ビーカーを150℃の油浴の中に置き、溶融させ、溶融した時点で撹拌を開始した。次に、式
【化37】


で表されるN,N−ジエチルフェノール(TCIアメリカ社(TCI America)から入手可能なMW221のアミノフェノール)約25.4グラムを加え、ビーカーの上に時計皿を置き、内容物を150℃で3時間撹拌した。次に、約5.6グラムの濃HSOを加え、さらに1時間撹拌した。次に、溶融した内容物を、500ミリリットルのメタノールを含む1リットルのビーカーの中に注入した。次に、固体を乳鉢に移し、乳棒で細かなマゼンタ色の粉体に粉砕した。粉体を300ミリリットルのメタノールを有する500ミリリットルのビーカーの中に入れ、加熱撹拌して沸騰させた。ビーカーの加熱を止め、ブフナー漏斗を通してろ過し、マゼンタ色の重合体固体を集めた。この着色剤の双性イオン形は、式
【化38】


で表されると考えられる。
【0072】
実施例3.
以下の成分を溶融させ、混合し、ろ過することによってインク基材を調製した。
【0073】
式CH(CH50CHのポリエチレンワックス(PE655(登録商標)、ベーカーペトロライトから入手した)43.59重量部。
【0074】
ステアリルステアラミドワックス(ケマミド(登録商標)(KEMAMID)S−180、クロンプトン社(Crompton Corporation)社から入手した)19.08重量部。
【0075】
1当量のC−36二量体酸(デラウェア州ニューキャッスル(New Castle, DE)のユニケマ(Uniqema)から入手した)と、2当量のエチレンジアミン、および末端カルボン酸基を有する長鎖炭化水素であるユニシド(登録商標)(UNICID)700(ベーカーペトロライトから入手した)との反応によって得たテトラアミド樹脂18.94重量部。
【0076】
2当量のアビトール(登録商標)(ABITOL)Eヒドロアビエチルアルコール(ハーキュリーズ社(Hercules)から入手)と米国特許第5,782,966号の実施例1に記載されているとおりに調製した1当量のイソホロンジイソシアネートとの反応によって得たウレタン樹脂11.71重量部。
【0077】
3当量のステアリルイソシアネートと、米国特許第6,309,453号の実施例4に記載されているとおりに調製したグリセロール系アルコールとの付加体であるウレタン樹脂6.48重量部。
【0078】
ナウガード(登録商標)(NAUGUARD)445酸化防止剤(ユニロイヤルケミカル社(Uniroyal Chemical Co.)から入手した)0.20重量部。
【0079】
それから、上記に列挙した百分率の、600グラムの上記に列挙したインクキャリア成分を1リットルのビーカーに加え、オーブンの中で溶融するまで135℃で加熱した。続いて、このビーカーをマントルヒーターに入れて135℃に設定し、ビーカーの内容物を45分間撹拌した。結果として得られたインクを、次に、ワットマンの3号と0.2ミクロンNAEフィルタとの組み合わせを通してろ過し、モット(Mott)フィルターアセンブリの中に入れた。1重量パーセントのフルーカヘミカ社(Fluka Chemika)から入手したフィルタエイド(FILTER-AID)を加えてろ過を促進し、6時間後に完了するまで135℃の温度で続行した。約31グラムの無色のインク基材を含むインク基材を型に注入し、放冷した。
【0080】
実施例4.
約30.0グラムの実施例3のインク基材を、磁気撹拌子を有する100ミリリットルのビーカーに入れ、続いて溶融するまで135℃の油浴の中に置いた。次に、約2.0グラムの実施例1の生成物を加え、約3時間撹拌した。次に、マゼンタ色の着色剤をアルミニウムの金型の中に注入した。
【0081】
実施例5.
約30.0グラムの実施例3のインク基材を、磁気撹拌子を有する100ミリリットルのビーカーに入れ、続いて溶融するまで135℃の油浴の中に置いた。次に、約2.0グラムの実施例2の生成物を加え、約3時間撹拌した。次に、マゼンタ色の着色剤をアルミニウムの金型の中に注入した。
【0082】
実施例6.
K印刷試験機(K Printing Proofer)(イギリス、SG8 0OZ、ヘリス(Heris)、ロイストン(Royston)、リトリントン(Litlington)、PKプリントコートインスツルメント社(RK Print Coat Instrument Ltd.)製)を用いて、実施例4および実施例5で調製したインクの印刷標本をハンマーミル(HAMMERMILL)レーザ印刷紙上に作製した。この方法では、150℃の温度に設定した印刷版上で被検インクを溶融させた。次に、溶融したインクを表面に含む版の上で、上記の紙を巻いたローラーバーを回転させた。紙の上のインクを冷却し、3つの分離された矩形ブロックの画像を得た。最も強く着色したブロックは、紙の上に塗布されたインクを最も多く含んでいたので、明度測定値を得るために用いた。目視によって印刷標本を評価した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相変化インクキャリアと、式
【化1】


で表される着色剤化合物と、を含み、
、R、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリール基、(iv)アリールアルキル基または(v)アルキルアリール基であり、RとRとは一緒になって環を形成してよく、RとRとは一緒になって環を形成してよく、R、R、RおよびRは、それぞれ中心構造体のフェニル環に結合してよく、
aおよびbは、それぞれ互いに独立に、0、1、2または3の整数であり、
およびRは、それぞれ互いに独立に、(i)アルキル基、(ii)アリール基、(iii)アリールアルキル基、(iv)アルキルアリール基、(v)ハロゲン原子、(vi)エステル基、(vii)アミド基、(viii)スルホン基、(ix)アミン基またはアンモニウム基、(x)ニトリル基、(xi)ニトロ基、(xii)ヒドロキシ基、(xiii)シアノ基、(xiv)ピリジン基またはピリジニウム基、(xv)エーテル基、(xvi)アルデヒド基、(xvii)ケトン基、(xviii)カルボニル基、(xix)チオカルボニル基、(xx)サルフェート基、(xxi)スルフィド基、(xxii)スルホキシド基、(xxiii)ホスフィン基またはホスホニウム基、(xxiv)ホスフェート基、(xxv)メルカプト基、(xxvi)ニトロソ基、(xxvii)アシル基、(xxviii)酸無水物基、(xxix)アジド基、(xxx)アゾ基、(xxxi)シアナート基、(xxxii)イソシアナート基、(xxxiii)チオシアナート基、(xxxiv)イソチオシアナート基、(xxxv)ウレタン基または(xxxvi)尿素基、あるいは(xxxvii)水素であり、RおよびRは、それぞれ中心構造部分のフェニル環に結合してよく、
【化2】


であり、
、RおよびR10は、それぞれ互いに独立に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリール基、(iv)アリールアルキル基または(v)アルキルアリール基であり、
Aは、アニオンであり、
CAは、水素原子またはカチオンのどちらかであり、
Rは、(i)アルキル基、(ii)アリール基、(iii)アリールアルキル基、(iv)アルキルアリール基、(v)アルコキシ基、(vi)アセテート基、または(vii)無水マレイン酸の共重合体であり、
nは、約1から約1000の整数であり、
mは、約1から約1000の整数である、
相変化インク組成物。
【請求項2】
Rは、約18個から約33個の炭素原子を有する、請求項1に記載の相変化インク組成物。
【請求項3】
前記着色剤は、式
【化3】


で表され、
nは、約1から約1,000であり、mは、約1から約1,000である、
請求項1に記載の相変化インク組成物。
【請求項4】
前記着色剤は、式
【化4】


で表され、
nは、約1から約1,000であり、mは、約1から約1,000である、
請求項1に記載の相変化インク組成物。

【公開番号】特開2008−195937(P2008−195937A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24742(P2008−24742)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】