説明

着色樹脂粉末の製造方法

【課題】表面に色まだら(着色ムラ)がなく、成形工程などの際に、着色剤が脱落して、成形品を汚染するようなことのない着色樹脂粉末の製造方法を提供することにある。
【解決手段】着色剤(b1)0.5〜40質量%と非フタル酸系の可塑剤(b2)99.5〜60質量%とを混合して着色ペースト(B)を調製し、この着色ペースト(B)を、粉末状の熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)に添加して混合する着色工程を含む着色樹脂粉末の製造方法であって、粉末状の熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)100質量部に対して、添加する着色ペースト(B)に含まれる着色剤(b1)の量が0.1〜5質量部であり、可塑剤(b2)の量が1〜20質量部である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状のポリウレタンウレア樹脂を着色して着色樹脂粉末を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末状のポリウレタン樹脂を着色する方法として、これに顔料を添加して混合する方法が知られている。
また、粉末状のポリウレタン樹脂に、顔料と共に可塑剤を添加して混合する方法が紹介されている(特許文献1参照)。
さらに、粉末状のポリウレタン樹脂に、顔料を添加して混合した後、可塑剤を添加して更に混合する方法が紹介されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004− 67954号公報
【特許文献2】特開2005−154451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来公知の方法によって着色されたポリウレタン樹脂(着色樹脂粉末)には、その表面に色まだら(着色ムラ)が生じるという問題がある。
また、従来公知の方法により得られた着色樹脂粉末を使用して、例えばスラッシュ成形を行う場合において、着色樹脂粉末を収容する容器を回転する際に当該着色樹脂粉末から顔料が離脱し、これにより得られる成形品には、着色樹脂粉末から離脱した顔料の凝集物に起因して点状の汚れが発生することがある。
【0004】
さらに、可塑剤を併用する特許文献1〜2に記載の方法において、フタル酸系の可塑剤を使用する場合には、得られる着色樹脂粉末を使用する成形工程における作業環境が劣悪であり、例えば、スラッシュ成形において電気炉を開けた時点で、可塑剤の蒸気に曝露される。
【0005】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものであり、その目的は、表面に色まだら(着色ムラ)がなく、しかも、成形工程などの際に、着色剤が脱落して成形品を汚染するようなことのない着色樹脂粉末の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の製造方法は、着色剤(b1)0.5〜40質量%と非フタル酸系の可塑剤(b2)99.5〜60質量%とを混合して着色ペースト(B)を調製し、この着色ペースト(B)を、粉末状の熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)に添加して混合する着色工程を含む着色樹脂粉末の製造方法であって、粉末状の熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)100質量部に対して、添加する着色ペースト(B)に含まれる着色剤(b1)の量が0.1〜5質量部であり、可塑剤(b2)の量が1〜20質量部であることを特徴とする。
【0007】
本発明の製造方法においては、下記の形態が好ましい。
(1)可塑剤(b2)が、ポリオキシエチレングリコールのモノカルボン酸モノエステルまたはモノカルボン酸ジエステルであること。
(2)可塑剤(b2)が脂肪族ジカルボン酸ジエステルであること。特に、脂肪族ジカルボン酸と、アルコキシ基含有モノオールとのエステルであること。
(3)可塑剤(b2)が、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとモノカルボン酸とのモノエステルであること。
(4)可塑剤(b2)がトリメリット酸トリエステルであること。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によれば、必要かつ十分な量の着色剤が、樹脂粉末(熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂)の表面全域に均一に付着し、色まだら(着色ムラ)のない表面状態の着色樹脂粉末を得ることができる。
また、得られる着色樹脂粉末をを使用して成形を繰り返し実施しても、着色剤の脱落がなく、成形品を汚染することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の製造方法は、粉末状の熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)を着色して着色樹脂粉末を製造する方法である。
【0010】
<粉末状の熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)>
粉末状の熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)は、着色に供される無色(ナチュラル)の樹脂粉末である。
熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)の平均粒径は、通常1000μm未満とされ、好ましくは10〜500μm、更に好ましくは100〜200μmとされる。
熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)の形状は、ほぼ真球状であることが好ましく、具体的には、真球度(長径/短径比)が1.3未満とされ、更に好ましくは真球度1.15未満とされる。
熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)は、イソシアネート基末端プレポリマーと水とを、分散媒中で鎖延長反応させて得られた樹脂を分離・乾燥することにより調製することができる。
本発明の製造方法において、特に好適な粉末状の熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)としては、特願2005−311076号明細書に記載の方法により得られるものを挙げることができる。
【0011】
<着色ペースト(B)>
本発明の製造方法においては、先ず、着色剤(b1)と、非フタル酸系の可塑剤(b2)とを混合して着色ペースト(B)を調製する。
【0012】
本発明で使用する着色剤(b1)は、粉末顔料(b1−1)と、顔料分散剤(b1−2)とを含むものである。
【0013】
粉末顔料(b1−1)としては、特に限定されず、公知の有機顔料および/または無機顔料を使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、銅フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料などを例示することができる。また、無機顔料としては、クロム酸塩、フェロシアン化合物、金属酸化物(酸化チタン、酸化亜鉛など)、金属塩類(硫酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、リン酸塩など)、金属粉末、カーボンブラックなどを例示することができる。
【0014】
顔料分散剤(b1−2)としては、低分子ポリエチレンや石油樹脂などの樹脂類、シリカや炭酸カルシウムなどの無機系分散剤、シランカップリング剤などの表面処理剤など、顔料分散効果を有する物質を挙げることができる。
【0015】
粉末顔料(b1−1)は、単独では分散が不十分であり、飛散性が高く、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂との混合時の作業性に劣るなどの問題がある。そのため、樹脂類からなる顔料分散剤(b1−2)と混合分散してから粉砕して微粒子化したり、無機系分散剤からなる顔料分散剤(b1−2)と混合分散したり、粉末顔料(b1−1)を表面処理剤からなる顔料分散剤(b1−2)で処理したりする。
【0016】
着色剤(b1)中において、粉末顔料(b1−1)と顔料分散剤(b1−2)との比率としては、通常、粉末顔料(b1−1)が20〜80質量%、顔料分散剤(b1−2)が80〜20質量%とされる。
【0017】
本発明の製造方法では、着色ペースト(B)を構成する可塑剤として、環境ホルモンとして有害視されているフタル酸系エステルではなく、非フタル酸系の可塑剤(b2)を使用する。
【0018】
ここに、非フタル酸系の可塑剤(b2)としては、ポリオキシエチレングリコール(PEG)のモノカルボン酸モノエステル、PEGのモノカルボン酸ジエステル、脂肪族ジカルボン酸ジエステル、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとモノカルボン酸とのモノエステル、トリメリット酸トリエステル、脂肪族リン酸エステル、芳香族リン酸エステル、ハロゲン含有脂肪族リン酸エステルなどを挙げることができる。
【0019】
「PEGのモノカルボン酸モノエステル」または「PEGのモノカルボン酸ジエステル」を形成するPEGの数平均分子量としては、通常150〜1000とされ、好ましくは200〜800とされる。
また、モノカルボン酸エステルを形成するモノカルボン酸としては、安息香酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、アラキドン酸など、炭素数6〜20のモノカルボン酸が挙げられる。
モノカルボン酸エステルの好適な具体例としては、PEG−ジベンゾエート、PEG−ジ−2−エチルヘキサノエート、PEG−ジオレエートなどが挙げられる。
【0020】
「脂肪族ジカルボン酸ジエステル」を形成する脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、コハク酸、アゼライン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
また、脂肪族ジカルボン酸ジエステルを形成するモノオールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、n−デカノール、エチルセロソルブ、エチルカービトール、イソノニルアルコール、イソデシルアルコール、メトキシエチルアルコール、エトキシエチルアルコール、エトキシエトキシエチルアルコール、ブトキシエトキシエチルアルコール、ブトキシエチルアルコール、ブチルジグリコールなどが挙げられる。
【0021】
脂肪族ジカルボン酸ジエステルの好適な具体例としては、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ビス(ブチルジグリコール)、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジアルキル(アルキル基の炭素数=13)、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジエチル、マレイン酸ジデシルなどが挙げられる。
これらのうち、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチルなど、脂肪族ジカルボン酸と、アルコキシ基含有モノオールとのエステルが好ましい。
【0022】
「ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとモノカルボン酸とのモノエステル」を形成するポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルの数平均分子量としては、通常100〜1500とされ、好ましくは150〜1000とされる。
また、当該モノエステルを形成するモノカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、安息香酸、2−エチルヘキサン酸など、炭素数1〜10のモノカルボン酸が挙げられる。
モノエステルの好適な具体例としては、メトキシPEG400の酢酸エステル、メトキシPEG1000の安息香酸エステル、ブトキシPEPG(EO/POランダム付加ポリエーテルの末端ブトキシ)の2−エチルヘキサン酸エステルなどが挙げられる。
【0023】
「トリメリット酸トリエステル」を形成するモノオールとしては、前記脂肪族ジカルボン酸ジエステルを形成するものとして例示したものを挙げることができる。
トリメリット酸トリエステルの好適な具体例としては、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリデシル、トリメリット酸トリス(ブチルジグリコール)などが挙げられる。
【0024】
「脂肪族リン酸エステル」の好適な具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリブトキシブチルホスフェートなどが挙げられる。
【0025】
「芳香族リン酸エステル」の好適な具体例としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェートなどが挙げられる。
【0026】
「ハロゲン含有脂肪族リン酸エステル」の好適な具体例としては、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどが挙げられる。
【0027】
可塑剤(b2)を構成するエステル化合物のうち、PEGのモノカルボン酸モノエステル、PEGのモノカルボン酸ジエステル、脂肪族ジカルボン酸ジエステル、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとモノカルボン酸とのモノエステル、トリメリット酸トリエステルが好ましい。
これらのエステル化合物(特に、脂肪族ジカルボン酸と、アルコキシ基含有モノオールとから得られる脂肪族ジカルボン酸ジエステル)は、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)との親和性が高く、当該樹脂へ浸透しやすいことから、耐ブロッキング性の良好な着色樹脂粉末を得ることができ、また、そのような着色樹脂粉末を使用して得られる成形品は、可塑剤のブリードアウトが少ない(耐ブルーミング性が良好である)点で有利である。特に、アルコキシ基を含有する脂肪族ジカルボン酸ジエステルによれば、これを比較的多量に使用して着色樹脂粉末を製造する場合であっても、当該着色樹脂粉末から得られる成形品は、耐ブルーミング性にきわめて優れたものとなる(後述する実施例13及び実施例15参照)。
【0028】
着色ペースト(B)は、着色剤(b1)と、可塑剤(b2)とを混合することによって調製される。
具体的には、可塑剤(b2)中に着色剤(b1)を投入し、ロールミル、メディアミキサー、プラネタリーミキサーなどを使用して両者を混合することができる。
また、循環方式で着色ペースト(B)を調製する場合には、着色剤(b1)と、可塑剤(b2)とを、1基または必要に応じて複数基のスタティックミキサーを通過させて混合する。なお、可塑剤(b2)の粘度が高い場合や、着色剤(b1)の割合を高く設定する場合には、当該可塑剤(b2)を加温してもよい。また、着色ペースト(B)中における着色剤(b1)の分散安定性を向上させるために、界面活性剤などを適量添加することもできる。
【0029】
着色剤(b1)と可塑剤(b2)との混合比率としては、「(b1)/(b2)」が、通常0.5/99.5〜40/60(質量)とされ、好ましくは0.5/99.5〜30/70、更に好ましくは0.5/99.5〜20/80とされる。
(b1)/(b2)が0.5/99.5未満(着色剤(b1)が過少)である場合には、着色剤(b1)を均一に分散させることが困難となる。また、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)に対する着色剤(b1)の割合を一定以上とするためには、可塑剤の使用量が過大となり、得られる着色樹脂粉末を使用して得られる成形品の機械的特性などが低下する傾向がある。
一方、(b1)/(b2)が40/60を超える(着色剤(b1)が過剰)場合には、得られる着色ペーストの粘度が過大となり、そのような着色ペーストによっては、粉末状の熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)を均一に着色することができず、得られる着色樹脂粉末に色まだらが発生したり、そのような着色樹脂粉末から離脱した着色剤(b1)の凝集物によって、得られる成形品に点状の汚れが発生したりする(後述する比較例2〜4参照)。
【0030】
上記のようにして調製される着色ペースト(B)中における着色剤(b1)の分散状態としては、グラインドゲージにより測定される分散度が、着色剤の一次粒子径(通常10μm未満)の5倍以内であることが好ましい。
また、着色ペースト(B)の粘度(25℃)は、800mPa・s未満であることが好ましく、更に好ましくは650mPa・s未満、特に好ましくは500mPa・s未満である。着色ペースト(B)の粘度(25℃)の下限値については特に制限されないが、低粘度の着色ペースト(B)を放置すると、着色剤(b1)と可塑剤(b2)とが分離するおそれがある。この場合には、当該着色ペースト(B)を攪拌(または収容容器を振盪)することにより、初期の分散状態に性能を戻すことができる。
【0031】
<着色工程>
本発明の製造方法における着色工程は、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)に着色ペースト(B)を添加して混合することにより着色樹脂粉末を製造する工程である。
具体的には、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどの高速攪拌混合装置内に、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)を投入し、200〜4000rpmで攪拌しながら、着色ペースト(B)を徐々に滴下し、滴下完了後に、攪拌混合を継続する。
【0032】
着色剤(b1)の凝集物の発生を防止する観点から、着色ペースト(B)は、高速攪拌混合装置内に一括して投入するのではなく、攪拌条件下に滴下される。
攪拌混合時間としては、仕込み量によって異なるが、30秒間〜10分間であることが好ましく、更に好ましくは30秒間〜5分間とされる。攪拌混合時間が長過ぎる場合には、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)の表面に付着した着色剤(b1)が脱落してしまい、均一な着色樹脂粉末を得ることが困難となり、また、着色剤(b1)の凝集物の発生原因になる。
攪拌混合は、常温下で実施することができるが、着色ペースト(B)を構成する可塑剤(b2)の種類に応じて加熱(例えば50〜100℃)することにより、当該可塑剤(b2)の熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)への浸透性を向上させてもよい。
攪拌混合修了後、得られた着色樹脂粉末を高速攪拌混合装置から取り出して密閉可能な容器に収容し、当該容器内において1〜30時間静置することが好ましい。これにより、着色樹脂粉末を構成する樹脂〔熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)〕に、可塑剤(b2)が内部に吸収される。
【0033】
着色工程において、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)と着色ペースト(B)との混合比率としては、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)の質量を「MA」、着色ペースト(B)中に含まれる着色剤(b1)の質量を「Mb1」、着色ペースト(B)中に含まれる可塑剤(b2)の質量を「Mb2」とするとき、「Mb1/MA」が0.1/100〜5/100となり、かつ「Mb2/MA」が1/100〜20/100となる比率とされる。
【0034】
「Mb1/MA」は、通常0.1/100〜5/100とされ、好ましくは0.2/100〜4/100、更に好ましくは0.3/100〜4/100とされる。
「Mb1/MA」が0.1/100未満(樹脂に対して着色剤が過少)である場合には、均一な着色樹脂粉末を得ることができない。更に、そのような着色樹脂粉末を用いて成形した成形品の色が薄くなり、色抜け(隠ぺい性不足)などの問題が発生する。
一方、「Mb1/MA」が5/100を超える(樹脂に対して着色剤が過剰)場合には、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)の表面に付着できない着色剤によって、均一な着色樹脂粉末を得ることができず、得られる着色樹脂粉末に色まだらが発生したり、そのような着色樹脂粉末から離脱した着色剤(b1)の凝集物によって、得られる成形品に点状の汚れが発生したり、成形品の耐色落ち性が大幅に低下したりする(後述する比較例2参照)。
【0035】
「Mb2/MA」は、通常1/100〜20/100とされ、好ましくは2/100〜16/100、特に好ましくは3/100〜12/100とされる。
【0036】
「Mb2/MA」が1/100未満(樹脂に対して可塑剤が過少)である場合には、成形工程などの際に、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)の表面から着色剤(b1)が脱落しやすくなり、得られる成形品に着色まだら(点状の汚れ)が生じたり、当該成形品の耐色落ち性が低下したりする。
一方、「Mb2/MA」が20/100を超える(樹脂に対して可塑剤が過剰)場合には、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)に吸収されない過剰量の可塑剤により、得られる着色樹脂粉末は耐ブロッキング性が劣るものとなる。また、そのような着色樹脂粉末を使用する成形工程において、発煙・異臭が発生することがある。さらに、過剰量の可塑剤に起因して、得られる成形品は、機械的特性、耐摩耗性、耐ブルーミング性などに著しく劣るものとなる(後述する比較例1参照)。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下において、「部」は「質量部」をいうものとする。
【0038】
〔樹脂製造例〕
特願2005−311076号の明細書に記載された実施例1の方法に準拠して、下記のようにして粉末状の熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)を製造した。
【0039】
攪拌機、温度計、留出塔及び窒素ガス導入管を備えた容量2Lの反応器に、アジピン酸762gと無水マレイン酸49gとエチレングリコール386gとを仕込み、窒素ガスを流しながら、150℃、常圧の条件で攪拌することによりエステル化反応させた。
縮合水が認められなくなった時点で、テトラブチルチタネート0.1gを添加し、反応系内の圧力を徐々に0.07kPaまで減圧するとともに、190℃まで徐々に昇温して反応を継続することによりポリエステルを得た。得られたポリエステルの数平均分子量は2,000、ヨウ素価は12.7gI/100gであった。
続いて、攪拌機、温度計、留出塔及び窒素ガス導入管を備えた容量500mLの反応器に、上記のポリエステル74gと酢酸ブチル150gとを仕込み、窒素ガスを流しながら110℃まで昇温して、攪拌した。その後、2−エチルヘキシルメタクリレート75gと過酸化ベンゾイル1gとの溶解混合物を滴下ロートから1時間かけて滴下した。滴下終了後、130℃に昇温して更に2時間反応させることにより、固形分50%の分散剤溶液を得た。
【0040】
攪拌機、温度計、冷却器および窒素ガス導入管を備えた容量3Lの反応器に、1,4−BDとアジピン酸とから得られる数平均分子量1,000のポリエステルジオール(PBA−1000)170.2gと、1,4−BDとエチレングリコールとアジピン酸とから得られる数平均分子量2,600のポリエステルジオール(PBEA−2600)255.3gと、1,6−HDとイソフタル酸とから得られる数平均分子量1,000のポリエステルジオール(PHiP−1000)255.3gと、1,6−HDとオルソフタル酸とから得られる数平均分子量1,500のポリエステルジオール(PHoP−1500)170.2gと、ジ−2−エチルヘキシルアミン(D−2EHA)9.23gと、前記分散剤溶液18.4gと、イソオクタン「キョーワゾール C−800」(協和発酵ケミカル(株)製)670.6gとを仕込み、90〜95℃で1時間攪拌することにより、高分子ポリオール(PBA−1000、PBEA−2600、PHiP−1000およびPHoP−1500)をイソオクタン中に分散させて、非水系の分散液を調製した。
【0041】
このようにして得られた高分子ポリオールの分散液に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)139.3gと、ビスマス系触媒「ネオスタン U−600」(日東化成(株)製)0.050gとを添加し、90〜95℃で3時間にわたり反応させた。
次いで、1,4−BDの2.41gおよび1,6−HDの1.36gを添加し、65〜70℃にて反応させることにより、イソシアネート基末端プレポリマーを形成して、その分散液を調製した。
【0042】
このようにして得られたイソシアネート基末端プレポリマーの分散液に、水24.1gを添加し、イソシアネート基末端プレポリマーと、水とを、65〜70℃にて、イソシアネート基が消費されるまで鎖延長反応させることにより、ポリウレタンウレア樹脂を形成して、その分散液を調製した。
【0043】
このようにして得られたポリウレタンウレア樹脂の分散液から固形分(ポリウレタンウレア樹脂)を濾別し、これに、酸化防止剤:「イルガノックス245」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.25gと、紫外線吸収剤:「チヌビン 213」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.15gと、光安定剤:「チヌビン 765」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.15gと、内部離型剤:「SH200−100,000cs」(東レ・ダウコーニング(株)製)0.20gとを添加し、これを乾燥した後、打粉剤「MP1451」(綜研化学(株)製)0.30gを添加することにより、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)を調製した。得られた樹脂の形状は真球状であり、安息角は26°、平均粒径135μmであった。
【0044】
<実施例1>
(着色剤の混合)
粉末顔料(b1−1)であるカーボンブラック40質量%と、顔料分散剤(b1−2)である炭酸カルシウム60質量%とを混合してなる黒色着色剤(b1)「PV−817」〔住化カラー(株)製〕100gと;粉末顔料(b1−1)である酸化チタン70質量%と、顔料分散剤(b1−2)である炭酸カルシウム30質量%とを混合してなる白色着色剤(b1)「PV−7A1301」〔住化カラー(株)製〕600gとを、ヘンシェルミキサー〔三井鉱山(株)製〕により、3000rpmで10分間かけて混合した。ここに、得られた混合物の一次粒子径の最大値は0.8μmであった。
【0045】
(着色ペーストの調製)
次いで、可塑剤(b2)であるPEG400ジベンゾエート1500gに、上記で得られた着色剤(b1)の混合物350gを秤量して投入し、1基のスタティックミキサーと循環ポンプとを備えた混合装置を用いて、40℃で15分間混合することにより着色ペースト(B)を調製した。このようにして得られた着色ペースト(B)中の着色剤(b1)の濃度は18.9%、グラインドゲージにより測定した着色剤(b1)の分散度は3μmであった。
【0046】
(着色樹脂粉末の製造)
樹脂製造例で得られた熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)1000g(100部)をヘンシェルミキサー〔三井鉱山(株)製〕に投入し、2000rpmで攪拌しながら、上記の着色ペースト(B)37.0g(3.70部)を徐々に滴下し、その後、2000rpmで3分間かけて両者を攪拌混合することにより、着色樹脂粉末を製造した。なお、混合時には、自己発熱により内部の温度は45℃まで上昇した。次いで、得られた着色樹脂粉末をヘンシェルミキサーから取り出して密閉可能な容器に収容し、常温下に6時間静置した。この実施例において、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)100部に対する着色剤(b1)の混合物の使用量は0.700部(「PV−817」=0.100部,「PV−7A1301」=0.600部)、可塑剤(b2)の使用量は3.0部である。
【0047】
<実施例2〜8>
下記表1に示す処方〔着色ペースト(B)中における着色剤(b1)の濃度,熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)100部に対する着色剤(b1)および可塑剤(b2)の使用割合〕に従って、着色剤(b1)および/または可塑剤(b2)の使用量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、着色剤を混合し、着色ペースト(B)を調製し、着色樹脂粉末を製造し、得られた着色樹脂粉末の各々をヘンシェルミキサーから取り出して密閉可能な容器に収容し、常温下に6時間静置した。
【0048】
<比較例1〜4>
下記表2に示す処方〔着色ペースト(B)中における着色剤(b1)の濃度,熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)100部に対する着色剤(b1)および可塑剤(b2)の使用割合〕に従って、着色剤(b1)および/または可塑剤(b2)の使用量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、着色剤を混合し、着色ペースト(B)を調製し、着色樹脂粉末を製造し、得られた着色樹脂粉末の各々をヘンシェルミキサーから取り出して密閉可能な容器に収容し、常温下に6時間静置した。
【0049】
<比較例5>
下記表2に示す処方に従って、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)1000g(100部)をヘンシェルミキサーに投入し、2000rpmで攪拌しながら、着色剤(b1)の混合物(PV−817:PV−7A1301=0.100:0.600)7.0g(0.700部)を徐々に添加し、その後、2000rpmで3分間かけて攪拌混合することにより、着色樹脂粉末を製造し、得られた着色樹脂粉末をヘンシェルミキサーから取り出して密閉可能な容器に収容した。
【0050】
<比較例6>
下記表2に示す処方に従って、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)1000g(100部)と、着色剤(b1)の混合物(PV−817:PV−7A1301=0.100:0.600)7.0g(0.700部)と、PEG400ジベンゾエート30.0g(3.0部)とをヘンシェルミキサーに投入し、2000rpmで3分間かけて攪拌混合することにより、着色樹脂粉末を製造し、得られた着色樹脂粉末をヘンシェルミキサーから取り出して密閉可能な容器に収容し、常温下に6時間静置した。
【0051】
<比較例7>
下記表2に示す処方に従って、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)1000g(100部)をヘンシェルミキサーに投入し、2000rpmで攪拌しながら、可塑剤(b2)30.0g(3.0部)を徐々に添加し、その後、2000rpmで3分間かけて攪拌混合した後、攪拌しながら、着色剤(b1)の混合物(PV−817:PV−7A1301=0.100:0.600)7.0g(0.700部)を徐々に添加し、その後、2000rpmで3分間かけて攪拌混合することにより、着色樹脂粉末を製造し、得られた着色樹脂粉末をヘンシェルミキサーから取り出して密閉可能な容器に収容し、常温下に6時間静置した。
【0052】
<比較例8>
下記表2に示す処方に従って、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)1000g(100部)と、着色剤(b1)の混合物(PV−817:PV−7A1301=0.100:0.600)7.0g(0.700部)とをヘンシェルミキサーに投入し、1500rpmで2分間かけて攪拌混合した。次いで、可塑剤(b2)30.0g(3.0部)を添加し、その後、2500rpmで3分間かけて攪拌混合することにより、着色樹脂粉末を製造し、得られた着色樹脂粉末をヘンシェルミキサーから取り出して密閉可能な容器に収容し、常温下に6時間静置した。
【0053】
<実施例9〜12,実施例14,実施例16〜22>
実施例1と同様にして、黒色着色剤(b1)「PV−817」100gと、白色着色剤(b1)「PV−7A1301」600gとを混合した。
次いで、表3および表4に示す可塑剤(b2)の各々1500gに、上記で得られた着色剤(b1)の混合物350gを秤量して投入したこと以外は実施例1と同様にして着色ペースト(B)を調製した。これらの着色ペースト(B)中における着色剤(b1)の濃度は18.9%、グラインドゲージにより測定した着色剤(b1)は3μmであった。
次いで、樹脂製造例で得られた熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)1000g(100部)をヘンシェルミキサーに投入し、2000rpmで攪拌しながら、着色ペースト(B)の各々37.0g(3.70部)を徐々に滴下したこと以外は実施例1と同様にして着色樹脂粉末を製造し、得られた着色樹脂粉末の各々をヘンシェルミキサーから取り出して密閉可能な容器に収容し、常温下に6時間静置した。
【0054】
<実施例13>
下記表3に示す処方に従って、可塑剤(b2)であるアジピン酸ジブトキシエトキシエチルの使用量を変更したこと以外は実施例12と同様にして、着色剤を混合し、着色ペースト(B)を調製し、着色樹脂粉末を製造し、得られた着色樹脂粉末をヘンシェルミキサーから取り出して密閉可能な容器に収容し、常温下に6時間静置した。
【0055】
<実施例15>
下記表3に示す処方に従って、可塑剤(b2)であるアジピン酸ジブトキシエチルの使用量を変更したこと以外は実施例14と同様にして、着色剤を混合し、着色ペースト(B)を調製し、着色樹脂粉末を製造し、得られた着色樹脂粉末をヘンシェルミキサーから取り出して密閉可能な容器に収容し、常温下に6時間静置した。
【0056】
<着色樹脂粉末の評価>
実施例1〜22および比較例1〜8により得られた着色樹脂粉末の各々について、下記の項目について測定および評価した。結果を併せて表1〜表4に示す。
【0057】
(1)着色樹脂粉末のかさ比重:
JIS−K 6720に準拠して、「かさ比重計」を用いて測定した。
【0058】
(2)着色樹脂粉末の耐ブロッキング性:
目開き1000μmのフルイに着色樹脂粉末100gを投入し、パスした粉末の質量を測定し、下記の基準に従って評価した。
【0059】
(評価基準)
「◎」:99g以上。
「○」:97g以上〜99g未満。
「△」:95g以上〜97g未満。
「×」:90g以上〜95g未満。
「××」:90g未満。
【0060】
(3)着色樹脂粉末の表面の状態(色まだらの発生状況):
着色樹脂粉末の表面を目視により観察し、下記の基準に従って評価した。
【0061】
(評価基準)
「◎」:認められない。
「○」:僅かに認められる。
「△」:認められる。
「×」:明らかに認められる。
「××」:顕著に認められる。
【0062】
(4)溶融時の発煙・異臭の発生状況:
回転式のスラッシュ成形装置を使用し、230℃に加熱した金型に着色樹脂粉末を10秒間熱溶融させ、未溶融の粉末を除去し、300℃の電気炉内で45秒間放置した後、水冷するスラッシュ成形により、厚さ1mmの成形シートを作製した。この際、当該電気炉内において、可塑剤に由来する発煙・異臭の発生状況を下記の基準に従って評価した。
【0063】
(評価基準)
「◎」:認められない。
「○」:僅かに認められる。
「△」:認められる。
「×」:明らかに認められる。
「××」:顕著に認められる。
【0064】
(5)脱型時のグリーン強度発現性:
上記(4)と同様のスラッシュ成形により得られたシートの脱型時における変形の有無および程度を目視により観察し、下記の基準に従って評価した。
【0065】
(評価基準)
「◎」:変形は認められない。
「○」:僅かな変形が認められる。
「△」:変形が認められる。
「×」:明らかに変形が認められる。
「××」:顕著な変形が認められる。
【0066】
(6)成形品の機械的特性:
上記(4)と同様のスラッシュ成形により得られたシートについて、JIS K 6251〜6252に準じて引張試験および引裂試験を行い、引張強度、破断のびおよび引裂強度を測定した。
【0067】
(7)成形品の耐摩耗性:
上記(4)と同様のスラッシュ成形により得られたシートについて、往復運動平面磨耗試験機を用いて、下記の条件で100往復の試験を行い、シート表面の状態を目視により観察し、下記の基準に従って評価した。
【0068】
(条件)
・往復速度=40回/分
・摩擦子:30mm×12mm
・荷重=29.4N
・磨耗材:白綿かなきん3号を5枚積重したもの
【0069】
(評価基準)
「◎」:損傷は認められない。
「○」:目立たない程度の損傷が多少認められる。
「×」:損傷が認められる。
「×」:明らかに損傷が認められる。
「××」:顕著な損傷が認められる。
【0070】
(8)成形品の耐色落ち性:
上記(7)の磨耗試験後の磨耗材(白綿かなきん布)の色汚染を、下記の基準に従って評価した。
【0071】
(評価基準)
「◎」:色汚染は認められない。
「○」:色汚染が僅かに認められる。
「△」:色汚染が認められるが許容できる。
「×」:色汚染が明らかに認められる(許容できない)。
「××」:色汚染が著しい。
【0072】
(9)50ショット目の成形品の表面状態:
上記(4)によるスラッシュ成形の50ショット目で得られた成形品の表面状態を目視により観察し、点状の汚れ(着色樹脂粉末から離脱した着色剤の凝集物に起因するもの)の有無および程度を目視により観察し、下記の基準に従って評価した。
【0073】
(評価基準)
「◎」:認められない。
「○」:僅かに認められる。
「△」:認められる。
「×」:明らかに認められる。
「××」:顕著に認められる。
【0074】
(10)ポリウレタンフォームに対する接着性:
上記(4)と同様のスラッシュ成形により得られたシートを、その一面がフォームと密着するように発泡用金型内に設置し、この金型内に、半硬質ポリウレタンフォーム形成性の組成物を注入し、注入してから2分後に脱型し、25℃の雰囲気下に24時間放置した後、形成されたフォームから当該シートを迅速に剥がし、剥離面を目視によって観察し、界面剥離した部分の面積割合を測定し、下記の基準に従って接着性を評価した。ここに、発泡条件としては、金型温度=35℃、OAD=200kg/m3 、パック率=120%である。
【0075】
「◎」:0%。
「○」:1%未満。
「△」:1%以上3%未満。
「×」:3%以上10%未満。
「××」:10%以上。
【0076】
(11)成形品の耐ブルーミング性:
上記(4)と同様のスラッシュ成形により得られたシートを50℃の水中に48時間浸漬した後、これを乾燥し、表面におけるブルーミングの有無および程度を目視により観察し、下記の基準に従って評価した。
【0077】
(評価基準)
「◎」:認められない。
「○」:僅かに認められる。
「△」:認められる。
「×」:明らかに認められる。
「××」:顕著に認められる。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の製造方法により得られる着色樹脂粉末は、スラッシュ成形用の粉末材料として好適である。当該着色樹脂粉末によるスラッシュ成形品は、自動車の内装材として特に好適であり、またソファー等の室内家具の材料としても有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤(b1)0.5〜40質量%と非フタル酸系の可塑剤(b2)99.5〜60質量%とを混合して着色ペースト(B)を調製し、
この着色ペースト(B)を、粉末状の熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)に添加して混合する着色工程を含む着色樹脂粉末の製造方法であって、
粉末状の熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂(A)100質量部に対して、添加する着色ペースト(B)に含まれる着色剤(b1)の量が0.1〜5質量部であり、可塑剤(b2)の量が1〜20質量部である着色樹脂粉末の製造方法。
【請求項2】
前記可塑剤(b2)が、ポリオキシエチレングリコールのモノカルボン酸モノエステルまたはモノカルボン酸ジエステルである請求項1に記載の着色樹脂粉末の製造方法。
【請求項3】
前記可塑剤(b2)が脂肪族ジカルボン酸ジエステルである請求項1に記載の着色樹脂粉末の製造方法。
【請求項4】
前記脂肪族ジカルボン酸ジエステルが、脂肪族ジカルボン酸と、アルコキシ基含有モノオールとのエステルである請求項3に記載の着色樹脂粉末の製造方法。
【請求項5】
前記可塑剤(b2)が、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとモノカルボン酸とのモノエステルである請求項1に記載の着色樹脂粉末の製造方法。
【請求項6】
前記可塑剤(b2)がトリメリット酸トリエステルである請求項1に記載の着色樹脂粉末の製造方法。

【公開番号】特開2007−197524(P2007−197524A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15986(P2006−15986)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000230135)日本ポリウレタン工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】