説明

着色樹脂粒子の製造方法

【課題】電子写真用の静電潜像現像用トナーとして好適に使用できる着色樹脂粒子を少ない製造環境負荷で製造することができる製造方法を提供する。
【解決手段】有機溶媒中に少なくとも結晶性樹脂、非結晶性樹脂、着色剤及び離型剤を溶解あるいは分散させた油相を作製する工程、水系媒体中に少なくとも界面活性剤を有する水相を作製する工程、前記水相中に前記油相を分散させ、着色粒子分散液を作製し芯粒子を作製する工程、芯粒子が形成されている着色粒子分散液中に、少なくとも樹脂微粒子を添加し、芯粒子表面に前記樹脂微粒子を付着させる工程、前記有機溶媒を除去して着色樹脂粒子を得る工程、着色樹脂粒子を洗浄する工程、着色樹脂粒子を乾燥する工程を少なくとも含む着色樹脂粒子の製造方法において、着色粒子分散液中に無機塩基物が溶解され前記非結晶性樹脂の酸価が3mgKOH/g以上15mgKOH/g未満である着色樹脂粒子の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真などにおける静電荷像現像用トナーとして使用し得る着色樹脂粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による画像形成装置において、可視像を形成するのに着色剤を含有する着色樹脂粒子がトナーとして用いられる。また、電子ペーパー用の像形成にも着色樹脂粒子が用いられる。
種々のトナーの中で、小粒径で粒度分布が狭い重合トナーがある。
さらに、結着樹脂として定着性に優れたポリエステルを主成分として用いることのできるトナー製造方法として、少なくともポリエステルなどの結着樹脂と着色剤とを有機溶媒中に溶解もしくは分散させた油相を作製し、この油相を少なくとも界面活性剤を有する水相に投入して分散させることにより油相を水相中に分散させた後、有機溶媒を系中から除去し、得られた樹脂粒子を洗浄、乾燥することによってトナーを得る方法(以下、溶解懸濁法とする)がある。
【0003】
しかし、上記の溶解懸濁法等のようにポリエステルを結着樹脂の主成分とするトナーはスチレンアクリル樹脂を主成分とするトナーに比べ、帯電をしにくい傾向がある。特に一成分現像システムにおいては、トナーは供給ローラなどの供給部材と現像ローラなどの現像剤担持体による攪拌、摺擦や、現像剤担持体と規制ブレードなどの規制部材との摺擦によってトナーを帯電させるのであるが、鉄粉などのキャリアと攪拌混合してトナーを帯電させる二成分現像システムと呼ばれる方法に比べてトナーが帯電する機会が少ないため、帯電性の低さはより大きな課題となる。
また、電子ペーパーの像形成に用いられる場合にも、着色樹脂粒子の粒度分布の均一性のほかに、粒子の流動性が必要であるが、溶解懸濁法などのように水系で得られる着色樹脂粒子は流動性に乏しく、電子ペーパーの像形成には不向きであった。
そのため、種々の検討が行われ、例えば特許文献1には、定着性と帯電性能を両立することが可能な非磁性一成分トナー、及びそのような非磁性一成分トナーの新規かつ優れた製造方法、さらに、このトナーを好適に用いることができる画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジを提供するため、少なくとも未変性ポリエステル樹脂、ウレア又はウレタン結合し得る変性ポリエステル樹脂、着色剤、離型剤を含むトナー材料と無機塩基物とを有機溶媒中で溶解乃至分散させ油相を調製する工程、該油相を水系媒体中へ分散/乳化させ、水系媒体中で着色粒子を造粒し着色粒子分散液を調製する工程、前記着色粒子から溶媒を除去する溶媒除去工程、着色粒子を洗浄・ろ過する工程、を含むトナーの製造方法であって、前記変性されていないポリエステル樹脂の酸価が15mg/KOH以上であるトナーの製造方法が開示されている。
樹脂に酸価を持たせないと粒子を凝集させる働きが起こらないため、樹脂の酸価には、最低限ある程度の数値が必要とされていた。但し、必要以上に酸価を持たせると、凝集力が強くなりすぎて制御が不能となるため、必要最低限度の酸価が必要と考えられていた。
しかしながら、顔料種やワックス種を変更すると、粒子を造粒する時の凝集力が大幅に変わることが判明し、特に、顔料を変更した場合、従来想定時よりも凝集力が強い場合が多く、樹脂にある程度の酸価をもたせた状態では、造粒の制御が難しく、特にBk色(黒色)からY色(黄色)に変更した場合、樹脂酸価を下げて凝集力を制御しないと造粒が困難となるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、粒子表面に樹脂微粒子を効率よく付着させることができ、電子写真用の静電潜像現像用トナー及び電子ペーパー用の着色粒子として、好適に使用できる着色樹脂粒子を少ない製造環境負荷で製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
1.本発明の着色樹脂粒子の製造方法は、有機溶媒中に少なくとも結晶性樹脂、非結晶性樹脂、着色剤及び離型剤を溶解あるいは分散させた油相を作製する工程、水系媒体中に少なくとも界面活性剤を有する水相を作製する工程、前記水相中に前記油相を分散させ、着色粒子分散液を作製し芯粒子を作製する工程、前記芯粒子が形成されている着色粒子分散液中に、少なくとも樹脂微粒子を添加し、前記芯粒子表面に前記樹脂微粒子を付着させる工程、前記有機溶媒を除去して着色樹脂粒子を得る工程、前記着色樹脂粒子を洗浄する工程、前記着色樹脂粒子を乾燥する工程を少なくとも含む着色樹脂粒子の製造方法において、前記着色粒子分散液中に無機塩基物が溶解され、前記非結晶性樹脂の酸価が3mgKOH/g以上15mgKOH/g未満であることを特徴とする。
2.本発明の着色樹脂粒子の製造方法は、さらに、前記着色樹脂粒子がカラー用の着色樹脂粒子であることを特徴とする。
3.本発明の着色樹脂粒子の製造方法は、さらに、前記離型剤が直鎖型のモノエステルワックスであることを特徴とする。
4.本発明の着色樹脂粒子の製造方法は、さらに、前記洗浄工程が、酸による洗浄処理であることを特徴とする。
5.本発明の着色樹脂粒子の製造方法は、さらに、前記非結晶性樹脂の酸価が5mgKOH/g以上10mgKOH/g未満であることを特徴とする。
6.本発明の着色樹脂粒子の製造方法は、さらに、前記非結晶性樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする。
7.本発明の着色樹脂粒子の製造方法は、さらに、前記油相中に、末端にイソシアネート基を有する変性樹脂が溶解されていることを特徴とする。
8.本発明の着色樹脂粒子の製造方法は、さらに、前記変性樹脂がポリエステル骨格を有することを特徴とする。
9.本発明の着色樹脂粒子の製造方法は、さらに、前記樹脂微粒子がビニル系樹脂からなることを特徴とする。
10.本発明の着色樹脂粒子の製造方法は、さらに、前記ビニル系樹脂に含まれるスチレン系モノマーが80質量%以上であることを特徴とする。
11.本発明の着色樹脂粒子の製造方法は、さらに、前記ビニル系樹脂に含まれるアクリル系モノマーが10質量%以上であることを特徴とする。
12.本発明の着色樹脂粒子の製造方法は、さらに、前記着色樹脂粒子は、活性水素基を有するアミン化合物を含有しないことを特徴とする。
13.本発明の着色樹脂粒子は、前記着色樹脂粒子の製造方法により製造されることを特徴とする。
14.本発明の静電潜像現像用トナーは、上述した着色微粒子からなることを特徴とする。
15.本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記トナーが、上述した静電潜像現像用トナーであることを特徴とする。
16.本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、前記トナーが、上述した静電潜像現像用トナーであることを特徴とする。
17.本発明の画像形成装置は、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する露光装置と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像装置と、前記可視像を記録媒体に転写する転写装置と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着装置とを少なくとも含む画像形成装置であって、前記トナーが、上述した静電潜像現像用トナーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電子写真用の静電潜像現像用トナー及び電子ペーパー用の着色粒子として、好適に使用できる着色樹脂粒子を少ない製造環境負荷で製造することができる
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態の構成を示す概略図である。
【図2】実施例1で得られたトナー母体のSEM写真である。
【図3】現像装置の構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における実施の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
<芯粒子表面に付着させる樹脂微粒子>
本発明に用いられる樹脂微粒子とは、代表的なものとしてポリエステル樹脂、少なくともスチレン系モノマーからなるモノマー混合物を重合させて得られるビニル系樹脂、ポリエステル樹脂骨格にビニル樹脂成分を有するハイブリッド樹脂が挙げられるが、トナー表層近傍に分散するワックスとの相溶性を考慮したビニル系樹脂が好ましい。
さらに詳細には本発明で得られる着色樹脂粒子を静電潜像現像用トナーなどの帯電することにより機能する粒子として用いるためには、着色樹脂粒子表面は帯電しやすい構造を有しているのがよく、そのためには芳香環構造のように電子が安定に存在できるような電子軌道を持つスチレン系モノマーがモノマー混合物のうち50〜100質量%、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは95〜100質量%用いられるのが好ましい。スチレン系モノマーが50質量%未満であると、得られた着色樹脂粒子の帯電性が乏しくなり、着色樹脂粒子のアプリケーションが限定される。
【0009】
ここで、スチレン系モノマーとは、ビニル重合性官能基を有する芳香族化合物のことを指す。重合可能な官能基としては、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、アクリロイル基及びメタクリロイル基などが挙げられる。
スチレン系モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、4−カルボキシスチレンもしくはその金属塩、4−スチレンスルホン酸もしくはその金属塩、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、アリルベンゼン、フェノキシアルキレングリコールアクリレート、フェノキシアルキレングリコールメタクリレート、フェノキシポリアルキレングリコールアクリレート及びフェノキシポリアルキレングリコールメタクリレートなどが挙げられる。
この中では、入手が容易で反応性に優れ帯電性の高いスチレンを主に用いるのが好ましい。
【0010】
また、本発明に好適に用いられるビニル系樹脂には、酸モノマーをモノマー混合物のうち0〜7質量%、好ましくは0〜4質量%使用するのがよく、より好ましくは酸モノマーを使用しないのがよい。酸モノマーが7質量%を超えて使用されると、得られるビニル系樹脂微粒子はそれ自身の分散安定性が高いため、油滴が水相中に分散された分散液中にこのようなビニル系樹脂微粒子を添加しても、常温では付着しにくいか、付着をしても脱離しやすい状態にあり、溶媒除去、洗浄、乾燥、外添処理を行う過程で容易に剥がれてしまう。さらに、酸モノマーの使用量を4質量%以下にすることで、得られる着色樹脂粒子が使用される環境によって帯電性の変化が少なくすることができる。
【0011】
ここで、酸モノマーとは、ビニル重合性官能基と酸基を有する化合物のことをいい、酸基としては、カルボキシル酸、スルホニル酸、ホスフォニル酸などが挙げられる。
酸モノマーとしては、例えばカルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩((メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、フマル酸、フマル酸モノアルキル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル及び桂皮酸等)、スルホン酸基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル及びこれらの塩、リン酸基含有ビニル系モノマー及びその塩などが挙げられる。この中では、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、フマル酸及びフマル酸モノアルキルが好ましい。
【0012】
ビニル系樹脂微粒子を得る方法としては特に限定されないが、以下の(a)〜(f)が挙げられる。
(a)モノマー混合物を懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法又は分散重合法等の重合反応により反応させ、ビニル系樹脂微粒子の分散液を製造する。
(b)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂微粒子を製造する。
(c)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を溶媒に溶解した樹脂溶液を、霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を製造する。
(d)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を溶媒に溶解した樹脂溶液に溶媒を添加するか、又はあらかじめ溶媒に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、次いで、溶媒を除去して樹脂微粒子を製造する。
(e)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を溶媒に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、これを加熱又は減圧等によって溶媒を除去する。
(f)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を溶媒に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する。
【0013】
この中で、製造が容易であり、樹脂微粒子を分散液として得られることから次工程への適用がスムーズに行うことができる(a)の方法が好ましい。
(a)の方法において、重合反応を行う際には、水系媒体中に分散安定剤を添加する、もしくは重合反応を行うモノマー中に、重合してできた樹脂微粒子の分散安定性を付与できるようなモノマー(いわゆる反応性乳化剤)を添加する、又はこれら2つの手段を併用し、できあがったビニル系樹脂微粒子の分散安定性を付与するのがよい。分散安定剤や反応性乳化剤を使用しないと、粒子の分散状態を維持できないためにビニル系樹脂を微粒子として得ることができなかったり、得られた樹脂微粒子の分散安定性が低いために保存安定性に乏しく保管中に凝集してしまったり、あるいは後述の樹脂微粒子付着工程での粒子の分散安定性が低下するために、芯粒子同士が凝集・合一しやすくなり最終的に得られる着色樹脂粒子の粒径や形状・表面などの均一性が悪くなるため、好ましくない。
【0014】
分散安定剤としては、界面活性剤、無機分散剤などが挙げられ、界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。無機分散剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ及びハイドロキシアパタイトなどが用いられる。
【0015】
<有機溶媒中に添加する樹脂>
有機溶媒中に添加する樹脂としては、有機溶媒に少なくとも一部が溶解する結晶性樹脂、非結晶性樹脂を用いる。その酸価は3mgKOH/g以上15mgKOH/g未満であることを要し、好ましくは5mgKOH/g以上10mgKOH/g未満である。酸価を15mgKOH/g未満とすることにより、粒子の凝集力を緩和し、造粒性をコントロールすることができる。一方、酸価が3mgKOH/g未満になると、樹脂の極性が低くなるため、ある程度極性を有する着色剤を油滴内で均一に分散することが難しくなる。
【0016】
樹脂の種類としては特に限定はないが、電子写真における静電潜像現像用トナーとして用いる場合には、ポリエステル骨格を有する樹脂を用いることにより良好な定着性が得られるので好ましい。ポリエステル骨格を有する樹脂としては、ポリエステル樹脂や、ポリエステルと他の骨格を有する樹脂とのブロックポリマーがあるが、ポリエステル樹脂を用いると得られる着色樹脂粒子の均一性が高く好ましい。
ポリエステル樹脂としては、ラクトン類の開環重合物、ヒドロキシカルボン酸の縮重合物、ポリオールとポリカルボン酸との重縮合物などが挙げられ、設計の自由度の観点からポリオールとポリカルボン酸との重縮合物が好ましい。
ポリエステル樹脂のピーク分子量は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、30000を超えると静電潜像現像用トナーとしては低温定着性が悪化する。
【0017】
以下、ポリエステル樹脂を製造するためのポリオール及びカルボン酸について説明する。
(ポリオール)
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)と3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、又は(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。
ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);
アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);
ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;3,3′−ジフルオロ−4,4′−ジヒドロキシビフェニル、等の4,4′−ジヒドロキシビフェニル類;ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:テトラフルオロビスフェノールA)、2,2−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類;ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル類;
上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。
【0018】
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
【0019】
3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);
3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0020】
(ポリカルボン酸)
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)と3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、又は(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。
ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)、3−フルオロイソフタル酸、2−フルオロイソフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、2,4,5,6−テトラフルオロイソフタル酸、2,3,5,6−テトラフルオロテレフタル酸、5−トリフルオロメチルイソフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ビフェニルジカルボン酸、3,3'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ビフェニルジカルボン酸、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′−ビフェニルジカルボン酸、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
【0021】
3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
【0022】
(変性樹脂)
また、得られる着色樹脂粒子の力学的強度を高めたり、静電潜像現像用トナーとして用いる場合においては先の力学的強度に加え定着時における高温オフセットを防止したりする目的で、油相中に末端にイソシアネート基を有する変性樹脂を溶解して着色樹脂粒子を得てもよい。変性樹脂を得る方法としては、イソシアネートを含有するモノマーとともに重合反応をしてイソシアネート基を有する樹脂を得る方法、末端に活性水素を有する樹脂を重合して得た後、ポリイソシアネートと反応させることでポリマー末端にイソシアネート基を導入する方法などが挙げられるが、末端にイソシアネート基を導入するという制御性から後者の方法が好ましく採用されうる。活性水素としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基及びメルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。変性樹脂の骨格としては、粒子の均一性を考慮すると有機溶媒に溶解する樹脂と同じものを用いるのが好ましく、ポリエステル骨格を有するものが良い。アルコール性水酸基をポリエステルの末端に有する樹脂を得る方法としては、ポリオールとポリカルボン酸との重縮合において、ポリオールの官能基数をポリカルボン酸の官能基数よりも多めにして重縮合反応を行えばよい。
【0023】
<無機塩基物>
水系媒体の水素濃度イオン指数を調整する目的で用いる無機塩基物としては、公知の無機塩基物を用いることができる。具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム等の炭酸水素塩;及びこれらの任意の混合物が挙げられる。上記無機塩基物は油相又は水相のいずれに用いてもよい。無機塩基を油相に添加することでも、トナー成分である樹脂相にあらかじめ浸透させることにより、粒子の均一性を向上させ、乳化時の造粒性はもとより、収斂工程での芯粒子の作製並びに樹脂微粒子のよりつきをより良くすることができる。無機塩基を水相に用いることで水相内のpHをアルカリ性に制御することが可能になり、乳化時の粒径制御の微調整が可能になる。なお、油相作製時に無機塩基を添加する場合においても、水相と油相を混ぜる際に上記とほぼ同等の効果が得られる。
水溶性のアミン化合物によってもpHの調整は可能であるが、これを用いて製造されたトナーは帯電性能が著しく低くなり電子写真プロセスに使用することが非常に困難になるため好ましくない。
なお、ここでいう有機アミン化合物とはN−C結合を有するアミン化合物のことであり、有機アミン化合物としては、トリエチルアミン、イソホロンジアミン及びエタノールアミンなどが挙げられる。
【0024】
<有機溶媒>
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、後の溶媒除去が容易になる点から好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上を組合せて用いることができる。有機溶媒中に溶解あるいは分散させる樹脂がポリエステル骨格を有する樹脂である場合、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系の溶媒もしくはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系の溶媒を用いた方が、溶解性が高いので好ましく、このなかでは溶媒除去性の高い酢酸メチル、酢酸エチル及びメチルエチルケトンが特に好ましい。
【0025】
<水系媒体>
水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶媒を併用することもできる。混和可能な溶媒としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)及び低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
【0026】
<界面活性剤>
水系媒体中に油相を分散させて液滴を作製するために界面活性剤が用いられる。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を上げることができる。
【0027】
好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸、及び、その金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩及びイミダゾリニウム塩などが挙げられる。
【0028】
<無機分散剤>
上記水系媒体中に、トナー組成物の溶解物又は分散物を、無機分散剤又は樹脂微粒子の存在する中分散させてもよい。無機分散剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ハイドロキシアパタイトなどが用いられる。分散剤を用いた方が、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
【0029】
<保護コロイド>
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させてもよい。
高分子系保護コロイドとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、又はビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、又はその複素環を有するものなどのホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などを使用することができる。
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他、酵素による分解などの操作によっても除去できる。分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長及び/又は架橋反応後、洗浄除去する方がトナーの帯電面から好ましい。
【0030】
<着色剤>
本発明において、着色剤としては公知の染料及び顔料を使用することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物を使用することができる。
【0031】
<着色剤のマスターバッチ化>
本発明で用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。
マスターバッチの製造又はマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、先に挙げた変性ポリエステル樹脂、未変性ポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは単独あるいは混合して使用することができる。
【0032】
<マスターバッチ作製方法>
本マスターバッチはマスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得ることができる。この際着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶媒を用いることができる。またいわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶媒とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶媒成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
【0033】
本発明においては、離型剤及び帯電制御剤を用いることができる。
<離型剤>
また、着色樹脂粒子を静電潜像現像用トナーとして用いる際に、定着離型性を高める目的で離型剤を有機溶媒中に分散させておいてもよい。
離型剤としては、ワックスやシリコーンオイルなどの、定着プロセスで加熱されたときに十分に粘度が低く、かつ着色樹脂粒子のほかの物質と定着部材表面に相溶あるいは膨潤しにくい物質が使用され、着色樹脂粒子そのものの保存安定性を考えると、通常保管時に着色樹脂粒子中で固体として存在するワックスを用いるのか好ましい。
【0034】
ワックスとしては、長鎖炭化水素、カルボニル基含有ワックスなどがあり、長鎖炭化水素としては、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);石油系ワックス(パラフィンワックス、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックスなど);のほか、フィッシャートロプシュワックスも挙げられる。
カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);及びジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。
この中で、特に離型性が良い長鎖炭化水素が好ましい。さらに、長鎖炭化水素を離型剤として用いる場合、カルボニル基含有ワックスを併用してもよい。
【0035】
<帯電制御剤>
さらに、必要に応じて帯電制御剤を有機溶媒中に溶解あるいは分散させておいてもよい。
帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0036】
<製造方法>
次に、製造工程について説明する。
(油相作製工程)
有機溶媒中に樹脂、着色剤などを溶解あるいは分散させた油相を作製する方法としては、有機溶媒中に攪拌をしながら樹脂、着色剤などを徐々に添加していき、溶解あるいは分散させればよい。ただし、着色剤として顔料を用いる場合や、離型剤や帯電制御剤などのなかで有機溶媒に溶解しにくいようなものを添加する場合、有機溶媒への添加に先立って粒子を小さくしておくことが好ましい。
前述のように着色剤のマスターバッチ化も手段の一つであり、同様の方法を離型剤や帯電制御剤に展開することもできる。
【0037】
また別の手段として、有機溶媒中で、必要に応じて分散助剤を添加し、着色剤、離型剤、帯電制御剤を湿式で分散を行い、ウエットマスターバッチを得ることも可能である。
さらに別の手段として、有機溶媒の沸点未満で溶融するようなものを分散するのであれば、有機溶媒中で、必要に応じて分散助剤を添加し、分散質とともに攪拌しながら加熱を行い一旦溶解させた後、攪拌もしくはせん断しながら冷却を行うことによって晶析を行い、分散質の微結晶を生成させる方法を用いてもよい。
以上の手段を用いて分散された着色剤、離型剤、帯電制御剤は、有機溶媒中に樹脂とともに溶解あるいは分散された後、さらに分散を行ってもよい。分散に際しては公知のビーズミルやディスクミルなどの分散機を用いることができる。
【0038】
(芯粒子作製工程)
少なくとも界面活性剤を有する水系媒体中に前述の工程で得られた油相を分散させ、油相からなる芯粒子が分散した分散液を作製する方法としては、特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。5分を超えて分散を行うと、望ましくない小径の粒子が残存してしまったり、分散が過分散状態になって系が不安定になり凝集体や粗大粒子が発生したりすることがあるので好ましくない。分散時の温度としては、通常、0〜40℃、好ましくは10〜30℃である。40℃を超えると分子運動が活発になることから分散安定性が低下し凝集体や粗大粒子が発生しやすくなるため好ましくない。また、0℃未満になると分散体の粘度が高くなり、分散に必要なせん断エネルギーが増大するため製造効率が低下する。
【0039】
(樹脂微粒子付着工程)
得られた芯粒子分散液は、攪拌を行っている間は安定に芯粒子の液滴を存在させておくことができる。その状態に前述の樹脂微粒子分散液を投入して芯粒子上に付着させる。樹脂微粒子分散液の投入は、30秒以上かけて行うのがよい。30秒未満で投入を行うと、分散系が急激に変化するために凝集粒子が発生したり、樹脂微粒子の付着が不均一になったりするため好ましくない。一方闇雲に長い時間、例えば60分を超えて添加するのは生産効率の面から好ましくはない。
【0040】
樹脂微粒子分散液は、芯粒子分散液に投入する前に、適宜濃度調整のために希釈あるいは濃縮してもよい。樹脂微粒子分散液の濃度は、5〜30質量%が好ましく、8〜20質量%がより好ましい。5質量%未満では、分散液の投入に伴う有機溶媒濃度の変化が大きく、樹脂微粒子の付着が不十分になるため好ましくない。また30質量%を超えるような場合、樹脂微粒子が芯粒子分散液中に偏在しやすくなり、その結果樹脂微粒子の付着が不均一になるため避けたほうがよい。
【0041】
本発明の方法によって芯粒子に対して樹脂微粒子が十分な強度で付着するのは、樹脂微粒子が芯粒子の液滴に付着したときに、芯粒子が自由に変形できるために樹脂微粒子界面と接触面を十分に形成すること、及び有機溶媒によって樹脂微粒子が膨潤もしくは溶解し、樹脂微粒子と芯粒子内の樹脂とが接着しやすい状況になることによると思われる。したがって、この状態において有機溶媒は系内に十分に存在することが必要である。具体的には、芯粒子分散液の状態において、固形分(樹脂、着色剤、及び必要に応じて離型剤、帯電制御剤など)に対して50質量%〜150質量%、好ましくは70質量%〜125質量%の範囲にあるのがよい。150質量%を超えると、一度の製造工程で得られる着色樹脂粒子が少なくなり生産効率が低いこと、また有機溶媒が多いと分散安定性が低下して安定した製造が難しくなることなどから好ましくない。
芯粒子に樹脂微粒子を付着するときの温度としては、10〜60℃、好ましくは20〜45℃である。60℃を超えると、製造に必要なエネルギーが増大するために製造環境負荷が大きくなることに加え、低酸価の樹脂微粒子が液滴表面に存在することもあり分散が不安定になり粗大粒子が発生する可能性もあるため好ましくない。一方10℃未満では分散体の粘度が高くなり、樹脂微粒子の付着が不十分になるため好ましくない。
【0042】
(脱溶工程)
得られた着色樹脂分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を攪拌しながら徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
あるいはまた、得られた着色樹脂分散体を攪拌しながら乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の有機溶媒を完全に除去することも可能である。もしくは、着色樹脂分散体を攪拌しながら減圧し、有機溶媒を蒸発除去してもよい。後の2つの手段は、最初の手段と併用することも可能である。
乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で、十分に目的とする品質が得られる。
【0043】
(熟成工程)
末端にイソシアネート基を有する変性樹脂を添加している場合は、イソシアネートの伸長・架橋反応を進めるために熟成工程を行ってもよい。熟成時間は通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜65℃、好ましくは35〜50℃である。
【0044】
(洗浄、乾燥工程)
水系媒体に分散されたトナー粒子を洗浄、乾燥する工程は、公知の技術が用いられる。
すなわち、遠心分離機、フィルタープレスなどで固液分離した後、得られたトナーケーキを常温〜約40℃程度のイオン交換水に再分散させる。更には再度固液分離するという工程を数回繰り返すことにより不純物や界面活性剤などを除去した後、本発明では、油相時に無機塩基物を分散させるため、そのアルカリ成分を中和する意味においても酸でpH調整することが重要である。これらの処理後、気流乾燥機や循環乾燥機、減圧乾燥機、振動流動乾燥機などにより乾燥することによってトナー粉末を得る。この際、遠心分離などでトナーの微粒子成分を取り除いてもよいし、また、乾燥後に必要に応じて公知の分級機を用いて所望の粒径分布にすることができる。
【0045】
(外添処理)
得られた乾燥後のトナー粉体と前記帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、メテオレインボー(日本ニューマチック社製)及びハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)などが挙げられる。
【0046】
本発明の着色樹脂粒子は静電潜像現像用トナーとして用いることができる。
以下に、本発明の着色樹脂粒子を静電潜像現像用トナーとして用いた画像形成装置について説明する。本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置を用いて、実施することができる。
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態の構成を示す概略図である。図1には中間転写ベルトを有した代表的なタンデム型画像形成装置を一例に挙げており、本発明は以下の構成のみに捉われるものではない。
本実施形態の画像形成装置1は、画像記録媒体である記録部材9上に形成された未定着のトナー画像を加熱することで、固定されたトナー画像を記録部材9上に形成する装置である。画像記録媒体としては、用紙やフィルム等のシート状部材を用いることができる。
本発明の画像形成装置1は、上の方から、置かれた原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)5、原稿を読み取るスキャナ部(読取装置)4、トナー画像を形成する画像形成部3、及び記録部材9が収納された給紙部2が配置されている。
画像形成装置1は、その中央部に画像形成部3が配置されている。画像形成部3では、その内部の略中央に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーに対応した4つのプロセスカートリッジとしての作像ユニット10が水平な横方向に並列に並べたタンデム型に配列されている。
4つの作像ユニット10Y、10M、10C、10Kの上方には、帯電した各感光体11の表面に各色の画像データに基づいて露光をし潜像を形成する露光装置12が備えられている。また、4つの作像ユニット10Y、10M、10C、10Kの下方には、ポリイミドやポリアミド等の耐熱性材料からなり且つ中抵抗に調整された基体からなる無端状の中間転写ベルト61を備える転写装置60が配置されている。中間転写ベルト61はローラ651、652、653に掛け回され、回転駆動される。
いずれの作像ユニット10でも同様の構成であるので、この図においては、色の区別に関係ない場合はY、C、M、Kの表示を省略する。各作像ユニット10Y、10M、10C、10Kは、感光体11Y、11M、11C、11Kを有し、各感光体11の周りには、感光体11表面に電荷を与える帯電装置20、感光体11表面に形成された潜像を各色トナーで現像してトナー像とする現像装置30、感光体11表面に、図示しない潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置、トナー像転写後の感光体11表面のクリーニングをするクリーニングブレードを備えるクリーニング装置40がそれぞれ配置されている。これで、1つの作像ユニット10を形成している。
【0047】
感光体11は、アモルファスシリコーン、セレン等の金属、又は、有機感光体であり、ここでは、有機感光体で説明する。有機感光体としては、導電性支持体上に、フィラー分散した樹脂層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層、その表面にフィラーを分散させた保護層を有する。
感光層は電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層構成の感光層でも構わないが、電荷発生層と電荷輸送層で構成される積層型が感度、耐久性において優れている。
電荷発生層は、電荷発生能を有する顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。結着樹脂としてはポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。
また、電荷輸送層は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散させ、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリルニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、保護層が感光層の上に設けられることもある。保護層を設け、耐久性を向上させることによって、高感度で異常欠陥のない感光体を有用に用いることができる。
保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、保護層の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5質量%以上、好ましくは10質量%以上、50質量%以下、好ましくは30質量%以下程度が良好である。
【0048】
帯電装置20は、帯電部材として導電性芯金の外側に中抵抗の弾性層を被覆して構成される帯電ローラ21を備える。帯電ローラ21は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。このイオンを放電する帯電ローラ21では、材質としては弾性樹脂ローラが用いられている。また、帯電ローラ21は電気抵抗の調整のために、カーボンブラック等の無機導電材、イオン導電材を含有することがある。
また、帯電ローラ21は、感光体11に対して微小な間隙をもって配設される。この微小な間隙は、例えば、帯電ローラ21の両端部の非画像形成領域に一定の厚みを有するスペーサ部材を巻き付けるなどして、スペーサ部材の表面を感光体11表面に当接させることで、設定することができる。また、帯電ローラ21は、感光体に近接させずに、接触させてもよい。ローラ形状であり、感光体11に近接している部分で、放電して、感光体11を帯電させることができる。また、近接させて非接触にすることで、帯電ローラ21の転写残トナーによる汚れの発生を抑えることができる。また、帯電ローラ21には、帯電ローラ21表面に接触してクリーニングする図示しない帯電クリーナローラが設けられている。
現像装置30は、感光体11と対向する位置に、図示しないが内部に磁界発生手段を備える現像スリーブが配置されている。現像スリーブの下方には、図示しないトナーボトルから投入されるトナーを現像剤と混合し、攪拌しながら現像スリーブへ汲み上げる機構を併せて有する攪拌・搬送スクリューが備えられている。現像スリーブによって搬送されるトナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤は、規制部材によって所定の現像剤層の厚みに規制され、現像スリーブに担持される。現像スリーブは、感光体11との対向位置において同方向に移動しながら、現像剤を担持搬送し、トナーを感光体11に供給する。また、未使用のトナーが収納された各色のトナーカートリッジが、着脱可能に感光体11上部の空間に収納される。図示しないモーノポンプ(ヘイシンモーノポンプ:登録商標)やエアポンプなどのトナー搬送手段により、各現像装置30に必要に応じトナーを供給するようになっている。
【0049】
クリーニング装置40は、クリーニングブレード及びそのブレードを保持するホルダー等で構成され、感光体11に対してそのブレード部材を圧接させることにより、感光体11から残留トナーを除去する。また、クリーニングブレードが感光体11と当接・離間する機構を備え、画像形成装置1の制御部にて、任意に当接・離間させることができる。クリーニングブレードをカウンタ方式で、感光体11に当接させ、これによって、感光体11上に残留するトナー、汚れとして付着している記録部材のタルク、カオリン、炭酸カルシウム等の添剤を感光体11から除去してクリーニングする。除去したトナー等は、図示しない廃トナー回収コイルで、図示しない廃トナー容器に搬送し、貯留する。
クリーニング装置40によりクリーニングされて感光体11から取り除かれたトナーは、トナー搬送部材によって、サービスマンなどにより回収されるか、あるいはリサイクルトナーとして現像装置などに運ばれ現像に使用される。
【0050】
転写装置60は、トナー像が積層される中間転写ベルト61、感光体11上のトナー像を中間転写ベルト61に転写・積層させる一次転写ローラ62、積層されたトナー像を記録部材9に転写する二次転写ローラ63等を備えている。さらに、転写装置60では、二次転写ローラ63に対向する部分で、中間転写ベルト61の内側に対向部材となる支持ローラ653が設けられている。
中間転写ベルト61を挟んで、各感光体11と対向する位置には、感光体11上に形成されたトナー像を中間転写ベルト61上に一次転写する一次転写ローラ62がそれぞれ配置されている。一次転写ローラ62は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。印加する電圧の極性としては、トナーの電荷の極性とは逆の極性とし、感光体11から中間転写ベルト61側に引き寄せ移行させることで、一次転写する。また、この一次転写ローラ62には、電気抵抗の調整のためにカーボンブラック等の無機導電材やイオン導電材を含有させ、半導電性にすることが好ましい。一次転写ローラ62の抵抗値が異なっていても転写効率はほとんど変わらないが、画像面積比が異なると転写効率は大きく異なってくるため、安定して転写効率を維持できない。これは、転写ニップ部においてトナーが介在しない部分に電流が優先的に流れてしまう結果、画像面積比が小さい場合には転写電圧値が低くなって転写に必要な電界が十分得られなくなるためである。特に、一次転写ローラ62の抵抗値が低い場合には転写部に介在するトナーの抵抗値の影響が大きくなるため、一次転写ローラ62の抵抗値が低い場合ほど顕著になる。このように定電流制御を採用する場合には一次転写ローラ62として抵抗値の高いものを使用することが望まれるが、その抵抗値が5×10Ωを越えると電流のリークによってトナー像を乱すおそれが強まる。従って、一次転写ローラ62の抵抗値は、1×10Ω以上5×10Ω以下の範囲内のものを用いるのが好ましい。トナーが介在しない部分に電流が優先的に流れてしまう現象は、上述のトナー抵抗によるだけでなく、一次転写ローラ62の中心に設けられている芯金に印加される一次転写電圧と感光体11との電位差が、トナーが現像されていない個所の方がトナーが現像された個所よりも大きいために、より大きな電位差の方に転写電流が流れ易いことにもよる。これは、トナー像が感光体11の帯電極性と同じで、感光体11の像露光を受けて感光体電位が除電された個所にトナーが現像されることで感光体11上にトナー像を形成する画像形成装置の場合に発生する。トナー像の形成されていない個所の感光体電位が高く、トナー像の形成された個所の感光体電位は低いが、転写電位は感光体電位とは逆極性なので、一次転写電圧と感光体電位との差が、トナーが現像されていない個所の方がトナーが現像された個所よりも大きくなる。この場合一次転写ローラ62の抵抗値は、望ましくは、5×10Ω以上5×10Ω以下の範囲内のものが好ましい。
【0051】
また、中間転写ベルト61に積層されたトナー像は、二次転写ローラ63で記録部材に二次転写される。二次転写ローラ63には、一次転写ローラ62と同様に、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。印加する電圧の極性としては、トナーの電荷の極性とは逆の極性で、中間転写ベルト61から、搬送されてきた記録部材側に引き寄せ移行させることで、二次転写する。
二次転写ローラ63は、金属よりなる円筒状の芯金と、この芯金の外周面に形成された弾性層と、この弾性層の外周面に形成された樹脂材料からなる表面層とから構成されている。
芯金を構成する金属としては、特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム合金などの金属材料が用いられる。芯金の上に形成される弾性層には一般的にゴム材料が使用されゴム層となっている。これは、二次転写ローラ63を変形させて二次転写ニップ部を確保のために二次転写ローラ63には弾性機能が要求されることに起因するものであり、JIS−A硬度で70[°]以下が望ましい。
また、二次転写ローラ63のクリーニング手段としてクリーニングブレードを使用しているため、弾性層が柔らかすぎると、クリーニングブレードの当接状態が不安定となり適正なクリーニング角度が得られなくなる。よって、弾性層の硬度としてはJIS−A40[°]以上が望ましい。
また、二次転写ローラ63が絶縁体ではトナー画像を記録体に転写するという機能が果たしえないため、導電機能を付与された発泡樹脂剤で、厚さは2mm〜10mmであることが好ましい。導電機能を付与する材料としては、カーボンブラックが分散されたEPDMやSiゴム、またイオン導電機能を有するNBR、ウレタンゴム等を使用してもよい。
弾性層に用いられる発泡樹脂剤の多くがトナーに対し化学的親和性が高く、摩擦係数が大きいため、クリーニングブレードが接触している表面層に必要な機能としては、低摩擦係数、トナー離型性が必要となることから、二次転写ローラ63の表面層は、フッ素樹脂系樹脂に抵抗制御材を加えて抵抗調整し用いられる。
さらに、二次転写ローラ63は、中間転写ベルト61と接触して回転していることから、中間転写ベルト61と二次転写ローラ63との間に微小な線速差が発生すると中間転写ベルト61の駆動に影響を与えてしまう。よって、中間転写ベルト61とのすべり性が二次転写ローラ63の表面層には要求されるため、表面層の最表面の摩擦係数が0.4以下になるように設定することが望ましい。
また、中間転写ベルト61の周囲には、二次転写後の中間転写ベルト61の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置64が設けられている。
また、支持ローラ653が中間転写ベルト61と当接・離間する機構を備え、画像形成装置本体の制御部にて、任意に当接・離間させることができる。
【0052】
さらに、この画像形成装置1には、中間転写ベルト61に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置67が設けられている。潤滑剤塗布装置67は、固定されたケースに収容された固形潤滑剤と、固形潤滑剤に接触して潤滑剤を削り取り、中間転写ベルト61に塗布するブラシローラとブラシローラで塗布された潤滑剤を均す潤滑剤塗布ブレードを備える。固形潤滑剤は、直方体状に形成されており、加圧バネによってブラシローラ側に付勢されている。固形潤滑剤はブラシローラによって削り取られ消耗し、経時的にその厚みが減少するが、加圧バネで加圧されているために常時ブラシローラに当接している。ブラシローラは、回転しながら削り取った潤滑剤を中間転写ベルト61表面に塗布する。
なお、同様の機能を有する潤滑剤塗布装置を感光体11に対して配設してもよい。
本実施形態においては、上記ブラシローラによる潤滑剤塗布位置に対して移動方向の下流側の中間転写ベルト61表面に潤滑剤均し手段としての不図示の潤滑剤塗布ブレードを当接させている。潤滑剤塗布ブレードは弾性体であるゴムから構成されているものであり、クリーニング手段としての機能も持たせ、中間転写ベルト61の移動方向に対してカウンタ方向に当接してある。上記固形潤滑剤としては、乾燥した固体疎水性潤滑剤を用いることが可能であり、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸、オレイン酸、パルチミン酸等の脂肪酸基を有する金属化合物なども使用できる。さらに、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、オオバ油、みつろう、ラノリンなどのワックス等も使用できる。
【0053】
中間転写ベルト61はPVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)等を単層又は複数層に構成し、カーボンブラック等の導電性材料を分散させ、その体積抵抗率を10〜1012Ωcm、かつ表面抵抗率を10〜1013Ωcmの範囲となるよう調整されている。なお、必要に応じ該中間転写ベルト61の表面に離型層をコートしてもよい。コートに用いる材料としては、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パーフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)等のフッ素樹脂が使用できるが、これに限定されるものではない。
中間転写ベルト61の製造方法は注型法、遠心成形法等があり、必要に応じてその表面を研磨してもよい。
中間転写ベルト61の体積抵抗率が上述した範囲を超えると、転写に必要なバイアスが高くなるため、電源コストの増大を招くため好ましくない。また、転写工程、転写紙剥離工程などで中間転写ベルト61の帯電電位が高くなり、かつ自己放電が困難になるため除電手段を設ける必要が生じる。また、体積抵抗率及び表面抵抗率が前記範囲を下回ると、帯電電位の減衰が早くなるため自己放電による除電には有利となるが、転写時の電流が面方向に流れるためトナー散りが発生してしまう。従って、本発明における中間転写ベルト61の体積抵抗率及び表面抵抗率は前記範囲内でなければならない。
なお、体積抵抗率及び表面抵抗率の測定は高抵抗抵抗率計(三菱化学社製:ハイレスタIP)にHRSプローブ(内側電極直径5.9mm,リング電極内径11mm)を接続し、中間転写ベルト61の表裏に100V(表面抵抗率は500V)の電圧を印加して10秒後の測定値を用いた。
【0054】
図1では、転写装置60の左方には、記録部材9上のトナー像を記録部材9に半永久的に定着させる定着装置70が備えられている。定着装置70は、詳細には図示しないが、主に、内部にハロゲンヒータを有する定着ローラと、これに対向し、圧接して配置される加圧ローラとから構成されている。定着装置70は、フルカラーとモノクロ画像、あるいは片面か両面かにより定着条件を制御したり、記録部材9の種類に応じて最適な定着条件となるよう、不図示の制御手段により制御される。
画像形成部3に、給紙カセット80a、そして排紙ユニット86が接続される。いずれかの給紙カセット80aからピックアップローラ82により給紙された記録部材9は分離ローラ81によって1枚に分離された後、停止状態にあるレジストローラ84に突き当てられて待機する。その後、感光体11のトナー像に一致するタイミングで送り出される。
【0055】
本発明で用いる原料などの物性の測定方法について説明する。
<粒径測定>
着色樹脂粒子の体積平均粒径はコールターカウンター法により行われる。測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII、コールターマルチサイザーIII(いずれもコールター社製)が挙げられる。以下に測定方法について説明する。
まず、電解水溶液100〜150mL中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5mL加える。ここで、電解液とは一級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径、個数平均粒径を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0056】
<芯剤表面に付着させる樹脂微粒子の粒径測定>
樹脂微粒子の粒径の測定は、UPA−150EX(日機装社製)を用いて行った。
【0057】
<分子量測定(GPC)>
樹脂の分子量測定は、GPC(gel permeation chromatography)によって、以下の条件で測定した。
・装置:GPC−150C(ウォーターズ社製)
・カラム:KF801〜807(ショウデックス社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
・試料:濃度0.05〜0.6%の試料を0.1mL注入した。
以上の条件で測定した樹脂の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量を算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、トルエンを用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
【0058】
<ガラス転移温度(Tg)測定(DSC)>
Tgを測定する装置として、理学電機社製TG−DSCシステムTAS−100を使用した。
試料約10mgをアルミニウム製試料容器に入れ、それをホルダユニットに載せ、電気炉中にセットした。まず、室温から昇温速度10℃/分で150℃まで加熱した後、150℃で10分間放置、室温まで試料を冷却して10分間放置、窒素雰囲気下で再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱してDSC測定を行った。Tgは、TAS−100システム中の解析システムを用いて、Tg近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出した。
【0059】
<酸価測定>
樹脂の酸価はJIS K1557−1970に準じて測定される。具体的な測定方法を以下に示す。
試料の粉砕品約2gを精秤する(W(g))。
200mLの三角フラスコに試料を入れ、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間溶解した後、指示薬としてフェノールフタレイン溶液を加える。
0.1規定の水酸化カリウムアルコール溶液を用いて上記溶液をビュレットにて滴定する。この時のKOH溶液の量をS(mL)とする。ブランクテストをし、この時のKOH溶液の量をB(mL)とする。
次式により酸価を計算する。
酸価=〔(S−B)×f×5.61〕/W
(f:KOH溶液のファクター)
【0060】
<水酸基価測定>
試料を100mLのナスフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mlを正しく加える。
その後100℃±5℃の浴中に浸して加熱する。
1〜2時間後フラスコを浴から取り出し放冷後、イオン交換水を加えて振り動かして無水酢酸を分解する。
さらに分解を完全にするため再びフラスコを浴中で10分間以上加熱し放冷後、有機溶媒でフラスコの壁を良く洗う。
この液について、ガラス電極を用いてN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液で電位差滴定を行ない、水酸基価を求める(JIS K0070−1966に準ずる)。
【0061】
<固形分濃度測定>
油相の固形分濃度の測定は以下のようにして行った。
あらかじめ質量が正確に秤量されたアルミニウム製皿(1〜3g程度)の上に、油相2g程度を30秒以内に載せ、載せた油相の質量を正確に秤量する。これを150℃のオーブンに1時間入れ溶媒を蒸発させた後、オーブンから取り出し放置冷却し、アルミウム製皿と油相固形分を合わせた質量を電子天秤で測定する。アルミ皿と油相固形分を合わせた質量からアルミニウム製皿の質量を引いて油相固形分の質量を算出し、それを載せた油相の質量で除して油相の固形分濃度を算出する。また、油相中の固形分に対する溶媒の量の割合は、油相の質量から油相固形分の質量を引いた値(溶媒の質量)を油相固形分の質量で除した値である。
【実施例】
【0062】
以下、本発明を実施例及び比較例を示すことによりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
以下では、「部」及び「%」は特にことわらない限り「質量部」及び「質量%」を示す。まず、実施例及び比較例において得たトナーについての分析及び評価の方法について述べる。
以下では本発明のトナーを一成分現像剤として用いた場合についての評価を行ったが、本発明のトナーは、好適な外添処理と好適なキャリアを使用することにより、二成分現像剤としても使用することができる。
【0063】
<非結晶性ポリエステル樹脂の合成>
(ポリエステルA)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物1000g、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物2500g、テレフタル酸1000g、イソドデセニル無水コハク酸350g及びジブチル錫オキサイド10gを入れ、常圧230℃で8時間反応させ、さらに1.3〜2.0kPa(10〜15mmHg)の減圧で8時聞反応させた。その後、反応容器に無水トリメリット酸300gを入れ、180℃、常圧で2時間反応させ、[ポリエステルA]を得た。[ポリエステルA]は、Tg(ガラス転移温度)63℃、Tm(融点)120℃、酸価10であった。
【0064】
(ポリエステルB)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物1500g、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物2000g、フマル酸100g、イソドデセニル無水コハク酸70g及びジブチル錫オキサイド10gを入れ、常圧230℃で8時間反応し、[ポリエステルB]を得た。[ポリエステルB]は、Tg60℃、Tm115℃、酸価7であった。
【0065】
(ポリエステルC)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物1100g、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物2600g、テレフタル酸1000g、イソドデセニル無水コハク酸500g及びジブチル錫オキサイド10gを入れ、常圧230℃で8時間反応させ、さらに1.3〜2.0kPa(10〜15mmHg)の減圧で8時聞反応させた。その後、反応容器に無水トリメリット酸300gを入れ、180℃、常圧で2時間反応させ、[ポリエステルC]を得た。[ポリエステルC]は、Tg65℃、Tm125℃、酸価13であった。
【0066】
(ポリエステルD)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物1200g、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物2800g、テレフタル酸900g、アジピン酸1100g及びジブチル錫オキサイド10gを入れ、常圧230℃で8時間反応させ、さらに1.3〜2.0kPa(10〜15mmHg)の減圧で5時聞反応させた。その後、反応容器に無水トリメリット酸300gを入れ、180℃、常圧で2時間反応させ、[ポリエステルD]を得た。[ポリエステルD]は、Tg50℃、Tm100℃、酸価22であった。
【0067】
<結晶性ポリエステル樹脂の合成>
(結晶性ポリエステルX)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対の付いた5Lの四つ口フラスコに1,10−デカンジオール2300g、1、8−オクタンジオール2530g及びハイドロキノン4.9gを入れ、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、さらに8.3kPaにて2時間反応させて[結晶性ポリエステルX]を得た。[結晶性ポリエステルX]は、数平均分子量3000、重量平均分子量10000、DSC測定(示差走査熱量測定)にて約70℃で吸熱ピークを示した。
【0068】
<プレポリマーの合成>
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、1,2−プロピレングリコール366部、テレフタル酸566部、無水トリメリット酸44部及びチタンテトラブトキシド6部を入れ、常圧230℃で8時間反応させ、さらに1.3〜2.0kPa(10〜15mmHg)の減圧で5時間反応させ、[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量3200、重量平均分子量12000、Tg55℃であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]420部、イソホロンジイソシアネート80部、酢酸エチル500部を入れ、100℃で5時間反応させ、[プレポリマー]を得た。[プレポリマー]における遊離イソシアネートは、1.34%であった。
【0069】
<プレポリマーの替わりに溶解懸濁法で用いる非線状ポリエステル樹脂の合成>
(非線状ポリエステルH)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAチレンオキサイド2モル付加物350部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物326部、テレフタル酸278部、無水フタル酸40部及び重縮合触媒としてシュウ酸チタニルカリウム1.5部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで0.7〜2.6kPa(5〜20mmHg)の減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸62部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、室温まで冷却後、粉砕して[非線状ポリエステルH]を得た。
[非線状ポリエステルH]はTHF不溶分を含有しておらず、その酸価は35、Tmは130℃、Tgは69℃、数平均分子量は3800、重量平均子量は56000であった。
【0070】
<樹脂微粒子分散液の作製>
(ビニル系共重合樹脂微粒子分散液D1)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム1.6部及びイオン交換水492部を入れ、80℃に加熱した後、過硫酸カリウム2.5部をイオン交換水100部に溶解したものを加え、その15分後に、スチレンモノマー170部、アクリル酸ブチル30部及びn−オクチルメルカプタン1.4部の混合液を90分かけて滴下し、その後さらに60分間、80℃に保った。その後冷却して、[ビニル系共重合樹脂微粒子分散液D1]を得た。この樹脂微粒子分散液の固形分濃度を測定したところ25%であった。また、樹脂微粒子の体積平均粒径は90nmであった。少量の樹脂微粒子分散液をシャーレに取り、分散媒を蒸発させて得た固形物を測定したところ、重量平均分子量39000、Tg64℃であった。
【0071】
(ビニル系共重合樹脂微粒子分散液D2)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム1.6部及びイオン交換水492部を入れ、80℃に加熱した後、過硫酸カリウム2.5部をイオン交換水100部に溶解したものを加え、その15分後に、スチレンモノマー180部、アクリル酸ブチル20部及びn−オクチルメルカプタン1.4部の混合液を90分かけて滴下し、その後さらに60分間、80℃に保った。その後冷却して、[ビニル系共重合樹脂微粒子分散液D2]を得た。この樹脂微粒子分散液の固形分濃度を測定したところ25%であった。また、樹脂微粒子の体積平均粒径は85nmであった。少量の樹脂微粒子分散液をシャーレに取り、分散媒を蒸発させて得た固形物を測定したところ、重量平均分子量40000、Tg70℃であった。
【0072】
(ビニル系共重合樹脂微粒子分散液D3)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム1.6部及びイオン交換水492部を入れ、80℃に加熱した後、過硫酸カリウム2.5部をイオン交換水100部に溶解したものを加え、その15分後に、スチレンモノマー160部、アクリル酸ブチル40部及びn−オクチルメルカプタン1.4部の混合液を90分かけて滴下し、その後さらに60分間、80℃に保った。その後冷却して、[ビニル系共重合樹脂微粒子分散液D3]を得た。この樹脂微粒子分散液の固形分濃度を測定したところ25%であった。また、樹脂微粒子の体積平均粒径は95nmであった。少量の樹脂微粒子分散液をシャーレに取り、分散媒を蒸発させて得た固形物を測定したところ、重量平均分子量38000、Tg58℃であった。
【0073】
<マスターバッチの作製>
(マスターバッチY)
イエロー顔料(PY−185)50部、結着樹脂としてポリエステル樹脂(三洋化成社製、RS−801:酸価10、Mw20000、Tg64℃)50部及び水30部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。この混合物を、ロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、パルベライザーで1mmφの大きさに粉砕し、[マスターバッチY]を得た。
【0074】
(マスターバッチM)
マゼンタ顔料(PR−269)40部、結着樹脂としてポリエステル樹脂(三洋化成社製、RS−801:酸価10、Mw20000、Tg64℃)60部及び水30部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。この混合物を、ロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、パルベライザーで1mmφの大きさに粉砕し、[マスターバッチM]を得た。
【0075】
(マスターバッチC)
シアン顔料(PB15−3)40部、結着樹脂としてポリエステル樹脂(三洋化成社製、RS−801:酸価10、Mw20000、Tg64℃)60部及び水30部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。この混合物を、ロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、パルベライザーで1mmφの大きさに粉砕し、[マスターバッチC]を得た。
【0076】
(マスターバッチK)
カーボンブラック(キャボット社製、リーガル400R)40部、結着樹脂としてポリエステル樹脂(三洋化成社製、RS−801:酸価10、Mw20000、Tg64℃)60部及び水30部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。この混合物を、ロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、パルベライザーで1mmφの大きさに粉砕し、[マスターバッチK]を得た。
【0077】
<結晶性ポリエステル分散液の作製>
(結晶性ポリエステル分散液X1)
容量2Lの金属製容器に[結晶性ポリエステルX]100g及び酢酸エチル400gを入れ、75℃で加熱溶解させた後、氷水浴中で27m/分の速度で急冷した。これにガラスビーズ(3mmφ)500mLを加え、バッチ式サンドミル装置(カンペハピオ社製)で10時間粉砕を行い、[結晶性ポリエステル分散液X1]を得た。
【0078】
[実施例1]
<油相の作製>
撹拌棒及び温度計の付いた反応容器に、[ポリエステルA]30部、融点68℃のモノエステルワックス(ワックスA)10部及び酢酸エチル65部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間かけて30℃に冷却した。次いで、[マスターバッチY]30部を加えて1時間混合した後、別の容器に移し替えて、ビーズミル(アイメックス社製、ウルトラビスコミル、を用いて、送液速度1kg/時、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で分散を行い、[原料溶解液1]を得た。
次いで、[原料溶解液1]に[ポリエステルA]さらには[結晶性ポリエステル分散液X1]を、最終的に表1に示すような実質量比に調整分配して添加し、さらには酢酸エチル溶液を加えて固形分濃度(130℃、30分で測定)が50%となるようにスリーワンモーターで8時間攪拌し、[油相1]を得た。
[油相1]976部をTKホモミキサー(特殊機化社製)で5000rpmにて1分間混合した後、[プレポリマー]88部を加え、TKホモミキサー(特殊機化社製)で5000rpmにて1分間混合して[プレポリマー含有油相1]を得た。得られた[プレポリマー含有油相1]の固形分を測定したところ52.0%であり、固形分に対する酢酸エチルの量は92%であった。
【0079】
<水相の調製>
イオン交換水472部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースの1%水溶液65部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの50%水溶液80部及び酢酸エチル55部を混合撹拌したところpH6.0となった。これを攪拌しながら4%水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpH12.0に調整し、[水相1]を得た。
【0080】
<芯粒子の作製>
[水相1]に、あらかじめ攪拌しておいた[プレポリマー含有油相1]を加え、ミキサーのせん断熱による温度上昇を抑えるために水浴で冷却をすることにより液中温度を20〜23℃の範囲になるように調整しながら、TKホモミキサーを用い回転数4000〜12000rpmで調整して3分間混合した。その後、アンカー翼を取り付けたスリーワンモーターで回転数200〜600rpmの間に調整しながら10分間攪拌し、芯粒子となる油相の液滴が水相に分散された[芯粒子スラリー1]を得た。
【0081】
<シェル工程(コア粒子への樹脂微粒子付着工程)>
[芯粒子スラリー1]を、アンカー翼を取り付けたスリーワンモーターで回転数200〜600rpmの間に調整して攪拌しながら、液温が22℃の状態で、[ビニル系共重合樹脂微粒子分散液D1]を芯粒子100部に対して6部となるようにイオン交換水と混合したもの(固形分濃度10%)を15g/分の速度で滴下した。滴下後、モーターの回転数を200〜600rpmの間を維持して30分間攪拌を続け、[複合粒子スラリー1]を得た。この[複合粒子スラリー1]を1mL取って10mLに希釈し、遠心分離を行ったところ、上澄み液は『透明』であった。
【0082】
<脱溶媒>
撹拌機及び温度計の付いた反応容器に、[複合粒子スラリー1]を投入し、攪拌を行いながら30℃で8時間脱溶媒を行い、[分散スラリー1]を得た。[分散スラリー1]を少量スライドグラス上に置き、カバーガラスを挟んで光学顕微鏡にて200倍の倍率で様子を観察したところ、均一な着色粒子が観察された。また[分散スラリー1]を1mL取って10mLに希釈し、遠心分離を行ったところ、上澄み液は『透明』であった。
【0083】
<洗浄・乾燥工程>
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキにイオン交換水900部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返した。
(3):(2)のリスラリー液のpHが4となる様に10%塩酸を加え、そのままスリーワンモーターで攪拌30分後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで10分間)した後濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返し[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、[着色樹脂粒子1](体積平均粒径(Dv)は6.0μm、Dv/Dnは1.14)を得た。
この母体トナー50部に、1次粒径約30nmの疎水性シリカ2部及び1次粒径約10nmの疎水性シリカ1部をヘンシェルミキサーにて混合して、トナーを得た。
図2に、得られたトナー母体1のSEM写真を示す。図2に示すように、トナー表面は海島構造を持ち、島部分は海部分より突起しており凸部として存在する。この島部分は樹脂微粒子である。
【0084】
[実施例2]
実施例1おいて、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に、[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0085】
[実施例3]
実施例1において、洗浄工程で酸処理を行わないこと以外は実施例1と同様に行い、[トナーを得た。
【0086】
[実施例4]
実施例1において、水相作製工程で、4%水酸化ナトリウム水溶液の替わりに4%水酸化カリウム水溶液を用いた以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0087】
[実施例5]
実施例4において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は実施例4と同様に行い、トナーを得た。
【0088】
[実施例6]
実施例1において、[ビニル系共重合樹脂微粒子分散液D1]の替わりに[ビニル系共重合樹脂微粒子分散液D2]を用いた以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0089】
[実施例7]
実施例6において、プレポリマーを用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]添加して油相を作製した以外は実施例6と同様に行い、トナーを得た。
【0090】
[実施例8]
実施例1において、[ビニル系共重合樹脂微粒子分散液D1]の替わりに[ビニル系共重合樹脂微粒子分散液D3]を用いた以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0091】
[実施例9]
実施例8において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]添加して油相を作製した以外は実施例8と同様に行い、トナーを得た。
【0092】
[実施例10]
実施例1において、[ポリエステルA]の替わりに[ポリエステルB]を用いた以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0093】
[実施例11]
実施例10において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルB]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は実施例10と同様に行い、トナーを得た。
【0094】
[実施例12]
実施例1において、[ポリエステルA]の替わりに[ポリエステルC]を用いた以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0095】
[実施例13]
実施例12において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルB]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は実施例12と同様に行い、トナーを得た。
【0096】
[実施例14]
実施例1において、融点68℃のモノエステルワックス(ワックスA)の替わりに融点73℃のモノエステルワックス(ワックスB)を用いた以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0097】
[実施例15]
実施例14において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は実施例14と同様に行い、トナーを得た。
【0098】
[実施例16]
実施例1において、融点68℃のモノエステルワックス(ワックスA)の替わりに融点67℃のモノエステルワックス(ワックスC)を用いた以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0099】
[実施例17]
実施例16において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は実施例16と同様に行い、トナーを得た。
【0100】
[実施例18]
実施例1において、[ポリエステルA]の比率を表1のように変更して油相を作製した以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0101】
[実施例19]
実施例18において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は実施例18と同様に行い、トナーを得た。
【0102】
[実施例20]
実施例1において、[ポリエステルA]の比率を表1のように変更して油相を作製した以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0103】
[実施例21]
実施例20において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は実施例20と同様に行い、トナーを得た。
【0104】
[実施例22]
実施例1において、[結晶性ポリエステル分散液X1]の比率を表1のように変更した以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0105】
[実施例23]
実施例22において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は実施例22と同様に行い、トナーを得た。
【0106】
[実施例24]
実施例1において、[結晶性ポリエステル分散液X1]の比率を表1のように変更した以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0107】
[実施例25]
実施例24において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は実施例24と同様に行い、トナーを得た。
【0108】
[実施例26]
実施例1において、[ビニル系共重合樹脂微粒子分散液D1]の比率を6部から7部に変更した以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0109】
[実施例27]
実施例26において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は実施例26と同様に行い、トナーを得た。
【0110】
[実施例28]
実施例1において、[ビニル系共重合樹脂微粒子分散液D1]の比率を6部から5部に変更した以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0111】
[実施例29]
実施例28において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は実施例28と同様に行い、トナーを得た。
【0112】
[実施例30]
実施例1において、[マスターバッチY]の替わりに[マスターバッチM]を用いた以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0113】
[実施例31]
実施例30において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は実施例30と同様に行い、トナーを得た。
【0114】
[実施例32]
実施例1において、[マスターバッチY]の替わりに[マスターバッチC]を用いた以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0115】
[実施例33]
実施例32において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は実施例32と同様に行い、トナーを得た。
【0116】
[実施例34]
実施例1において、[マスターバッチY]の替わりに[マスターバッチK]を用いた以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0117】
[実施例35]
実施例34において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は実施例34と同様に行い、トナーを得た。
【0118】
[実施例36]
実施例1で[水相1]へ添加した4%水酸化ナトリウム水溶液を、[油相1]へ[プレポリマー]を添加する直前に添加した以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0119】
[実施例37]
実施例36において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は実施例36と同様に行い、トナーを得た。
【0120】
[比較例1]
実施例1で[水相1]へ添加した4%水酸化ナトリウム水溶液を添加しない替わりに、[油相1]へイソホロンジアミン2.5部(4%水酸化ナトリウム水溶液添加と等モルのアミノ基を有する量)を、プレポリマーを添加する前に添加した以外は実施例1と同様に行い、トナーを得た。
【0121】
[比較例2]
比較例1において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は比較例1と同様に行い、トナーを得た。
【0122】
[比較例3]
比較例1において、[ビニル系共重合樹脂微粒子分散液D1]の替わりに[ビニル系共重合樹脂微粒子分散液D2]を用いた以外は比較例1と同様に行い、トナーを得た。
【0123】
[比較例4]
比較例3において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は比較例3と同様に行い、トナーを得た。
【0124】
[比較例5]
比較例1において、[ビニル系共重合樹脂微粒子分散液D1]の替わりに[ビニル系共重合樹脂微粒子分散液D3]を用いた以外は比較例1と同様に行い、トナーを得た。
【0125】
[比較例6]
比較例5において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は比較例5と同様に行い、トナーを得た。
【0126】
[比較例7]
比較例1において、[油相1]へ滴下するイソホロンジアミンの量を2.5部から2.0部に変更した以外は比較例1と同様に行い、トナーを得た。
【0127】
[比較例8]
比較例7において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は比較例7と同様に行い、トナーを得た。
【0128】
[比較例9]
比較例1において、[油相1]へ滴下するイソホロンジアミンの量を2.5部から3.0部に変更した以外は比較例1と同様に行い、トナーを得た。
【0129】
[比較例10]
比較例9において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は比較例9と同様に行い、トナーを得た。
【0130】
[比較例11]
比較例1において、[ポリエステルA]の替わりに[ポリエステルD]を用いた以外は比較例1と同様に行い、トナーを得た。
【0131】
[比較例12]
比較例11において、[プレポリマー]を用いない替わりに、油相作製時において[原料溶解液1]に[ポリエステルA]及び[結晶性ポリエステル分散液X1]以外に質量比で[プレポリマー]含有量と同等の[非線状ポリエステルH]を添加して油相を作製した以外は比較例11と同様に行い、トナーを得た。
【0132】
上述の実施例及び比較例のトナーの評価は下記のように行った。
<評価方法>
[上澄み液評価ランク]
芯剤に樹脂微粒子が付着しているかの判断については、評価手法として遠心分離機による樹脂微粒子の上澄み液の透明度で判断した。以下に記す。
芯粒子スラリーに樹脂微粒子を滴下した複合粒子スラリーを1mL取って10mLに希釈し、遠心分離を行い、以下の5段階の目視液を作製し、目視ランク付けを行った。
◎:上澄み液は『透明』であった。
○:上澄み液は『ほぼ透明』であった。
△:上澄み液は『やや白濁』であった。
×:上澄み液は『かなりの白濁』であった。
××:上澄み液は『完全な白濁液』であった。
【0133】
[感光体地汚れ]
リコー社製のipsio SP C220を用いて、印字率6%の所定のプリントパターンを、H/H環境下(27℃、80%)の初期(耐久前)と1000枚連続複写後(耐久後)に、地汚れトナーのL*をテープ転写法で求めた。テープ転写法とは、メンディングテープ(住友3M社製)を感光体上に存在するトナー上に貼り付けてカブリトナーをテープ上に転写し、このメンディングテープ及び貼り付け前のメンディングテープをそれぞれ白紙上に貼り、これらの反射濃度をエックスライト社製のX−Rite939で測定し、その差L*を地汚れの反射濃度として求める方法である。
○:初期と耐久後のL*の変化率が2%未満
△:初期と耐久後のL*の変化率が2%〜5%未満
×:初期と耐久後のL*の変化率が5%以上
「○」及び「△」を合格とした。
【0134】
[規制ブレード固着]
リコー社製のipsio SP C220を用いて、印字率6%の所定のプリントパターンを、H/H環境下(27℃、80%)の1000枚連続複写後(耐久後)に現像器の現像ローラの状態及び複写画像を目視により観察し、評価した。判定基準は以下の通りである。
○:現像ローラ上にスジ、ムラの発生はなかった。
△:現像ローラ上にスジあるいはムラが若干発生しているものの、複写画像上に縦スジがなく、実用上問題がなかった。
×:現像ローラ上にスジあるいはムラが多数発生しており、複写画像上に縦スジ状の抜けが発生し、実用上問題があった。
「○」及び「△」を合格とした。
【0135】
[定着分離]
外添処理を行ったトナー(現像剤)をリコー製のipsio SP C220を用いて、A4縦通紙で先端3mmに幅36mmのべた帯画像(付着量11g/m)を印字した未定着画像を作製した。この未定着画像を下記の定着装置を用いて、115℃〜175℃の範囲で10℃刻みの定着温度で定着させ、分離可能/非オフセット温度域を求めた。当該温度域は、加熱ローラからの紙の分離が良好に行われ、オフセット現象が発生しない定着温度範囲をいう。使用ペーパー及び通紙方向は、分離性に不利な45g/m紙のY目の縦通紙で行った。定着装置周速は200mm/secに設定した。
定着装置は、図3に示すようなフッ素系表層剤構成のソフトローラタイプのものである。詳しくは、加熱ローラ71は、外径40mmで、アルミニウム芯金711上にシリコーンゴムからなる厚さ1.5mmの弾性体層712及びPFA(四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)表層713を有しており、アルミニウム芯金内部にヒーター714を備えている。加圧ローラ72は、外径40mmで、アルミニウム芯金721上にシリコーンゴムからなる厚さ1.5mmの弾性体層722及びPFA表層723を有している。なお、未定着画像73が印字されたペーパーPは図のように通紙される。
○:分離可能/非オフセット温度域が40℃以上であった。
△:分離可能/非オフセット温度域が30℃以上40℃未満であった。
×:分離可能/非オフセット温度域が30℃未満であった。
【0136】
[定着強度]
上記分離性の評価方法において得た定着画像にメンディングテープ(3M社製)を貼り、一定の圧力を掛けた後、ゆっくり引き剥がした。テープを貼る前と引き剥がし後の画像濃度をマクベス濃度計で測定し、(引き剥がし後の画像濃度)/(引き剥がす直前の画像濃度)の比率により定着率を算出した。
定着ローラの温度を段階的に下げて、定着率が80%以下となるときの温度を定着温度とした。評価結果を次の3段階でランク付けした。
○:定着温度140℃未満、
△:140℃以上145℃未満、
×:145℃以上
【0137】
実施例及び比較例のトナーの評価は結果を表1に示す。表1において、「L体」は、非結晶性ポリエステル樹脂、「L比」は、[原料溶解液1]100部に対する「L体」の添加量(部)、「プレポ」はプレポリマー、「H体」は[非線状ポリエステルH]、「「Cpes」は、[原料溶解液1]100部に対する[結晶性ポリエステル分散液X1]の添加量(部)、「ポリアミン化合物」の数値は、[油相1]100部に対する「ポリアミン化合物」の添加量(部)である。また、例えば実施例1の「着色剤」における「Y/5.0phr」は、樹脂100部に対してイエロー顔料が5.0部配合されたことを示す。
工法における「エステル伸張重合」は、溶解懸濁法の一つであるプレポリマーの伸張/架橋反応(エステル伸張重合)を伴う方法を用いたことを示す。より具体的には、実施例1におけるように、末端をイソシアネートで変性したポリエステルを未変性のポリエステルとともに有機溶媒中に溶解し、水性分散液中で分散させる際に、イソシアネート伸張反応を行いながらトナー粒子を造粒する工法をいう。
【0138】
【表1−1】

【表1−2】

【符号の説明】
【0139】
1 画像形成装置
2 給紙部
3 画像形成部
4 スキャナ部
5 原稿自動搬送装置(ADF)
9 記録部材
10 作像ユニット(プロセスカートリッジ)
11 感光体
12 露光装置
20 帯電装置
21 帯電ローラ
30 現像装置
40 クリーニング装置
60 転写装置
61 中間転写ベルト
62 一次転写ローラ
63 二次転写ローラ
64 中間転写ベルトクリーニング装置
651 従動ローラ
652 駆動ローラ
653 支持/テンションローラ
66 搬送ベルト
67 潤滑剤塗布装置
70 定着装置
71 加熱ローラ
711 アルミニウム芯金
712 弾性体層
713 PFA表層
714 ヒーター
72 加圧ローラ
721 アルミニウム芯金
722 弾性体層
723 PFA表層
73 未定着画像
80 給紙装置
80a 給紙カセット
81 分離ローラ
82 ピックアップローラ
83 搬送ローラ
84 レジストローラ
85 排紙ローラ
86 排紙ユニット
87 搬送経路
88 記録部材収納装置
89 記録部材反転搬送装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0140】
【特許文献1】特開2010−204576号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒中に少なくとも結晶性樹脂、非結晶性樹脂、着色剤及び離型剤を溶解あるいは分散させた油相を作製する工程、
水系媒体中に少なくとも界面活性剤を有する水相を作製する工程、
前記水相中に前記油相を分散させ、着色粒子分散液を作製し芯粒子を作製する工程、
前記芯粒子が形成されている着色粒子分散液中に、少なくとも樹脂微粒子を添加し、前記芯粒子表面に前記樹脂微粒子を付着させる工程、
前記有機溶媒を除去して着色樹脂粒子を得る工程、
前記着色樹脂粒子を洗浄する工程、
前記着色樹脂粒子を乾燥する工程
を少なくとも含む着色樹脂粒子の製造方法において、
前記着色粒子分散液中に無機塩基物が溶解され、
前記非結晶性樹脂の酸価が3mgKOH/g以上15mgKOH/g未満である
ことを特徴とする着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
前記着色樹脂粒子がカラー用の着色樹脂粒子である
ことを特徴とする請求項1に記載の着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項3】
前記離型剤が直鎖型のモノエステルワックスである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項4】
前記洗浄工程が、酸による洗浄処理である
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項5】
前記非結晶性樹脂の酸価が5mgKOH/g以上10mgKOH/g未満である
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項6】
前記非結晶性樹脂がポリエステル樹脂である
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項7】
前記油相中に、末端にイソシアネート基を有する変性樹脂が溶解されている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項8】
前記変性樹脂がポリエステル骨格を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂微粒子がビニル系樹脂からなる
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項10】
前記ビニル系樹脂に含まれるスチレン系モノマーが80質量%以上である
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項11】
前記ビニル系樹脂に含まれるアクリル系モノマーが10質量%以上である
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項12】
前記着色樹脂粒子は、活性水素基を有するアミン化合物を含有しない
ことを特徴とする1ないし11のいずれかに記載の着色樹脂粒子の製造方法。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の着色樹脂粒子の製造方法により製造される
ことを特徴とする着色樹脂微粒子。
【請求項14】
請求項13に記載の着色微粒子からなる
ことを特徴とする静電潜像現像用トナー。
【請求項15】
静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
前記トナーが、請求項14に記載の静電潜像現像用トナーである
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項16】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、
前記トナーが、請求項14に記載の静電潜像現像用トナーである
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項17】
静電潜像を担持する静電潜像担持体と、
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する露光装置と、
前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像装置と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写装置と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着装置とを少なくとも含む画像形成装置であって、
前記トナーが、請求項14に記載の静電潜像現像用トナーである
ことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−3505(P2013−3505A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137230(P2011−137230)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】