説明

着色樹脂粒子分散液の製造方法、着色樹脂粒子分散液及び電子写真用液体現像剤

【課題】経時安定性の高い着色樹脂粒子分散液の製造方法を提供すること、並びに、液体現像剤、インク組成物等に好適な着色樹脂粒子分散液、及びこれを含む液体現像剤、インク組成物、又は塗料を提供すること。
【解決手段】非水溶媒中でポリエステル生成単量体を重縮合して不飽和ポリエステルを得る工程、非水溶媒中でエチレン性不飽和単量体を該不飽和ポリエステルにグラフト重合し変性ポリエステルを作製する工程、及び、着色剤と該変性ポリエステル樹脂を分散して着色樹脂粒子分散液を作製する工程を有し、該重縮合及び該グラフト重合の温度が150℃以下であることを特徴とする着色樹脂粒子分散液の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法又は静電記録法等により形成される静電潜像を液体現像剤により現像する際に用いる静電荷像現像液体トナーを好適とする非水系着色樹脂粒子分散液、インク及びその製造方法、並びにその原材料として用いることができる着色樹脂粒子分散液の製造方法に関する。また、本発明は、前記静電荷像現像トナーを用いた静電荷像液体現像剤、及び、画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスにおいて、静電潜像を現像する方式としては、大別して乾式現像法と湿式現像法とがある。乾式現像法は、静電潜像の上に、着色剤の粉末を散布し付着させるものであり、取扱い性及びトナーの保存性に優れるという長所を有している。しかしながら、近年、ビデオプリンタ等の用途においては、解像度の高い高品位画像が要望されており、このような高い解像度を得るためには現像剤の粒子径をより細かくする必要がある。しかしながら、乾式現像法では、粒子径を細かくするにつれて、トナー間の凝集、帯電量分布の広がり、クリーニング性不良などの問題が発生するなどの問題があり高解像度への対応には限界があった。
【0003】
湿式現像法は、着色剤としての染料または顔料を絶縁性の媒体中に分散させた液体現像剤を使用しており、乾式現像法よりも小さな粒子径の着色粒子にすることができるので、高い解像度と階調度を得ることが可能である。従って、近年このような液体現像剤の研究開発が盛んに進められている。
【0004】
一方、ポリエステル樹脂を液体現像剤用の樹脂に用いる従来技術としては、特許文献1〜5が挙げられる。
特許文献1を代表例としてその概要を記すと、電気絶縁性非水キャリア液体に少なくともトナー粒子を懸濁分散した電子写真用液体現像剤において、前記トナー粒子を形成する樹脂が、少なくとも1種のジカルボン酸成分と、2種以上のジオール成分とを重合単位として含有し、かつ前記ジオール成分のうち少なくとも1種が極性基を有し、別の少なくとも1種がキャリア液体溶媒親和性基を有する鎖状ポリエステルである液体現像剤を開示する。
この鎖状ポリエステルは、全てバルク重合したポリエステルを非水溶剤(キャリア液体)中に分散し、微粒子化しており、製法エネルギーの観点から改良を要する。また、上記の液体現像剤は経時安定性の観点からも改良が必要である。
【特許文献1】特開平3−274066号公報
【特許文献2】特開平3−274065号公報
【特許文献3】特開平3−271752号公報
【特許文献4】特開平3−263053号公報
【特許文献5】特開平3−263054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、製造エネルギーが少なく、又、経時安定性の高い着色樹脂粒子分散液の製造方法を提供することである。他の1つの課題は、経時安定性の高い液体現像剤、インク組成物等に好適に使用できる着色樹脂粒子分散液を提供し、又これを含む液体現像剤、インク組成物、又は塗料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は、以下の解決手段により達成された。いくつかの好ましい実施態様と共に示す。
1)非水溶媒中でポリエステル生成単量体を重縮合して不飽和ポリエステルを得る工程、非水溶媒中でエチレン性不飽和単量体を該不飽和ポリエステルにグラフト重合し変性ポリエステルを作製する工程、及び、着色剤と該変性ポリエステル樹脂を分散して着色樹脂粒子分散液を作製する工程を有し、該重縮合及び該グラフト重合の温度が150℃以下であることを特徴とする着色樹脂粒子分散液の製造方法、
2)エチレン性不飽和単量体及び着色剤の共存下に変性ポリエステルを作製する工程、及び、得られた着色変性ポリエステルを分散して着色樹脂粒子分散液を作製する工程である1)記載の着色樹脂粒子分散液の製造方法、
3)数平均粒度が0.05μm以上1.0μm以下である1)又は2)に記載の着色樹脂粒子分散液の製造方法、
4)該不飽和ポリエステル樹脂の(A)繰り返し単位あたり芳香環及び/又は脂環数が2個以上となるポリエステル生成単量体及び(B)重縮合触媒を(C)該非水系溶剤中で重縮合する工程である1)〜3)いずれか1つに記載の着色樹脂粒子分散液の製造方法、
5)エチレン性不飽和単量体の一部が、芳香環を有する単量体、酸性基を有する単量体、及び塩基性基を有する単量体よりなる群から選択された少なくとも1種の単量体を含有する1)〜4)いずれか1つに記載の着色樹脂粒子分散液の製造方法、
6)着色剤が顔料、染料、及び油溶性染料よりなる群から選択された少なくとも1種を含有する1)〜5)いずれか1つに記載の着色樹脂粒子分散液の製造方法、
7)触媒がブレンステッド酸、及び/又は界面活性剤型ブレンステッド酸を含む1)〜6)いずれか1つに記載の着色樹脂粒子分散液の製造方法、
8)1)〜7)いずれか1つの製造方法により製造された着色樹脂粒子分散液、
9)8)記載の着色樹脂粒子分散液を含有する電子写真用液体現像剤、
10)8)記載の着色樹脂粒子分散液を含有するインク組成物、
11)着色剤が顔料である8)記載の塗料用着色樹脂粒子分散液、
12)生成ポリエステルに対して0.1〜5重量%が不飽和ポリカルボン酸である1)記載の着色樹脂粒子分散液の製造方法、
13)エチレン性不飽和ポリカルボン酸である12)記載の着色樹脂粒子分散液の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ポリエステル樹脂を比較的低温で重合することができるので、着色樹脂粒子分散液を少ないエネルギーで製造することができる。また、長期間にわたり安定に着色樹脂微粒子を分散することのできる経時安定性の高い着色樹脂粒子分散液を製造することができる。また、着色樹脂微粒子を分散するために多様な着色剤が使用できるので着色剤選択の自由度が広がる効果がある。液体現像剤、インクジェット用インク組成物等の経時安定性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の1つの側面は、非水溶媒中でポリエステル生成単量体を重縮合して不飽和ポリエステルを得る工程、非水溶媒中で付加重合性エチレン性不飽和単量体を該不飽和ポリエステルにグラフト重合し変性ポリエステルを作製する工程、及び、着色剤と該変性ポリエステル樹脂を分散して着色樹脂粒子分散液を作製する工程を有し、該重縮合及び該グラフト重合の温度が150℃以下であることを特徴とする着色樹脂粒子分散液の製造方法、に係る。
【0009】
本発明に使用する上記グラフト重合体は、2段階の工程により製作される。すなわち、一例を挙げれば、まず、少なくとも不飽和脂肪族二塩基酸を含む多価塩基酸及び多価アルコールを非水溶媒中で重縮合して不飽和ポリエステルを製造する工程、引き続いて、非水溶媒中で該不飽和ポリエステルの存在下に芳香族ビニルモノマーと酸及び/又は塩基を含有するビニルモノマーを特定量グラフト重合させることによりビニル変性ポリエステルを得る工程が挙げられる。
【0010】
ここで、不飽和ポリエステルの重縮合及び/又はこのポリエステルの変性の反応に使用する「非水溶媒」とは、水以外の有機溶媒であり、非反応性の有機溶媒が好ましい。非水溶媒として、ヘキサン、ミネラルスピリット等の如き脂肪族炭化水素;シクロヘンキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の如き芳香族炭化水素;2塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素;ジアルキルポリシロキサンや環状ポリジアルキルシロキサン等の如きシリーコーンオイル;オリーブ油、ベニバナ油、ひまわり油、大豆油やあまに油等の如き植物油;酢酸ブチル等の如きエステル系溶剤が例示できる。この中で、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン類等が好ましく、揮発性や安全性、毒性、臭気等の点からはイソパラフィン系石油溶剤が適している。このようなイソパラフィン系石油溶剤としては、アイソパーM、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーK(いずれもエッソ社製)、シェルゾール71(シェル石油社製)等を挙げることができる。イソパラフィン系石油溶剤を重縮合及びエステル変性の反応溶媒として使用し、且つ、着色樹脂粒子の分散溶媒として使用することも好ましい
【0011】
即ち、カルボキシル基や水酸基の如き親水基が多く存在する不飽和ポリエステル樹脂に対して、芳香族ビニルモノマーと酸及び/又は塩基含有ビニルモノマーを特定量グラフト重合させたビニル変性ポリエステル樹脂は、グラフト重合前の不飽和ポリエステル樹脂に比べ親水基の含有率が低く、顔料への相互作用が大きくなる。その結果、上記ビニル変性ポリエステル樹脂の特徴である良好なフルカラー再現性、OHP透光性、適当な定着強度を維持しつつ、しかも多様な顔料種に対する分散の安定性が大きなものになる。
極性基含有ビニルモノマーは着色剤の安定した分散を得るために好ましく使用される。即ち、ビニル変性ポリエステル樹脂全体に対して、極性基含有ビニルモノマー等の付加重合性エチレン性不飽和単量体の含有率が不飽和ポリエステル樹脂に対して0.1乃至20.0重量%の範囲である場合、ポリエステルの定着像強度にビニル樹脂の有する着色剤の分散性が付加され、トナー全体として良好な定着性と分散性が得ることができるという利点を生ずるものである。
【0012】
更に、本発明で好ましく使用し得る結着樹脂の一例は、(1)脂肪族不飽和二塩基酸をポリエステル樹脂中、0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜2.0重量%となるように含む多価カルボン酸混合物を使用し、繰り返し単位あたり芳香環及び又は脂環数が2.0個以上となるような重縮合性単量体混合物を重縮合して得られ、重量平均分子量が1,500〜12,000である不飽和ポリエステル樹脂30〜90重量部に、(2)50重量%以上の芳香族ビニルモノマーと1〜30重量%の酸性基または塩基性基含有ビニルモノマーを含むビニルモノマー混合物70〜10重量部をグラフト重合して得られる、重量平均分子量が1,500〜40,000であって、100℃における溶融粘度が103〜106ポイズであるような変性ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0013】
ビニル変性ポリエステルであるグラフト重合体の重量平均分子量が1,500以上であると、バインダー樹脂の凝集力が良好であり、ホットオフセット性に優れ、40,000以下であると、ホットオフセット性に優れ、かつ、最低定着温度が優れた値を示すので好ましい。また、重縮合単量体を構成する多価カルボン酸成分の価数やアルコール成分の価数の選択などによって一部枝分かれや架橋などを有していても良い。
【0014】
また、重縮合性単量体を重縮合して得られる不飽和ポリエステルの重量平均分子量は、1,500〜12,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜12,000の範囲が適当である。前述の分子量範囲であるとグラフト重合時にゲル化を防止でき、好適なグラフトポリマーが得られる。尚、ポリエステル樹脂を構成する成分中、脂肪族不飽和二塩基酸はグラフト活性点となるとともにグラフトポリマーに部分架橋構造を導入する意味において重要な成分である。かかる脂肪族不飽和二塩基酸がポリエステルに対して0.2〜2.0重量%であると、ゲル化を防止してグラフト重合することができる。
【0015】
不飽和ポリエステルを重縮合するために使用する脂肪族不飽和二塩基酸としては、炭素数が4又は5のエチレン性不飽和基を含有することが好ましく、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が例示できる。脂肪族不飽和二塩基酸としては、マレイン酸又は無水マレイン酸が最適である。
他の多価カルボン酸としては無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、炭素数4〜18のアルキル又はアルケニルコハク酸等の二塩基酸が挙げられる。
【0016】
繰り返し単位あたり芳香環及び又は脂環数を2.0個以上有する重縮合性単量体としては、例えば、多価カルボン酸、ポリオール、ヒドロキシカルボン酸、又は、それらの混合物が挙げられる。特に、重縮合性単量体としては、多価カルボン酸とポリオールと更にはこれらのエステル化合物(オリゴマー及び/又はプレポリマー)であることが好ましく、直接エステル反応、またはエステル交換反応を経て、ポリエステルを得るものがよい。この場合、重合されるポリエステル樹脂としてはアモルファス(無定形)ポリエステル(非結晶性ポリエステル)、又は結晶性ポリエステルなどのいずれかの形態、またはそれらの混合形態をとることが出来る。
【0017】
飽和の多価カルボン酸としては、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジカルボン酸は1分子中にカルボキシル基を2個含有する化合物であり、例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−カルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロルフタル酸クロルフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレン二酢酸、o−フェニレン二酢酸、ジフェニル二酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸等を挙げることができる。
また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等、さらにまたこれらの低級エステルなどが挙げられる。さらにまた酸塩化物もこの限りでは無い。これらは一種単独で使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。なお、低級エステルとは、エステルのアルコキシ部分の炭素数が1〜8であることを示す。具体的には、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル及びイソブチルエステル等が挙げられる。
【0018】
ポリオールは、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジオールは1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール等を挙げることができる。また、ジオール以外のポリオールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等を挙げることができ、これらは一種単独で使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。
また、これらの重縮合性単量体の組み合わせにより非結晶性樹脂や結晶性樹脂を容易に得ることができる。
例えば、結晶性ポリエステルを得るために使用される飽和の多価カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタコ酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、これらの酸無水物あるいはこれらの低級エステルなどが挙げられる。さらにまた酸塩化物も使用でき、これに限定されるものではない。
【0019】
さらにまた、例えば、結晶性ポリエステルを得るために使用されるポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノールA等も挙げることができる。
【0020】
さらにまた、例えば非結晶性のポリエステルを得る為の多価カルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の2塩基酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、これらの低級エステルも又使用できるが、これらに限定されるものではない。また三価以上のカルボン酸としては例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、及びこれらの無水物、2−スルホテレフタル酸ナトリウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、スルホコハク酸ナトリウム塩やこれらの低級エステルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
このような結晶性のポリエステル中の飽和の重合単位としては、1,9−ノナンジオールと1,10−デカンジカルボン酸、又はシクロヘキサンジオールとアジピン酸とを反応して得られるポリエステル、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル、エチレングリコールとコハク酸とを反応して得られるポリエステル、エチレングリコールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル、1,4−ブタンジオールとコハク酸とを反応して得られるポリエステルを挙げることができる。これらの中でも特に1,9−ノナンジオールと1,10−デカンジカルボン酸及び1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸とを反応させて得られるポリエステルなどがさらに好ましくいが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本発明の製造方法において、中間生成物である不飽和ポリエステルとしては、樹脂中の繰り返し単位の98重量%以上が下記Unit−Aの重合単位であることが好ましい。
【0023】
【化1】

【0024】
Unit−A中、A1は、炭素数1〜20のアルカン、炭素数6〜20の芳香族炭化水素若しくは炭素数3〜20の炭化水素環から水素原子を2以上除いた基、又は、炭素数1〜20のアルカン、炭素数6〜20の芳香族炭化水素若しくは炭素数3〜20の炭化水素環から水素原子を2以上除いた基が2つ以上結合した基を表し、B1はビスフェノール化合物から2つのヒドロキシ基を除いた基を表し、また、E1及びE2としては、それぞれ独立に、単結合、アルキレンオキサイド基、又は、2以上のアルキレンオキサイド基が結合した基を表す。
【0025】
本発明の製造方法において、中間生成物である上記不飽和ポリエステルとしては、樹脂中の繰り返し単位の0.2〜2重量%が下記Unit−Bの重合単位であることが好ましい。
【0026】
【化2】

【0027】
Unit−B中、A2はエチレン性不飽和基を含有する炭素数2〜16の基であり、好ましくは同じく炭素数2又は3の基であり、B1、E1及びE2は、それぞれUnit−Aに関する規定と同義の基を表す。
【0028】
また、中間生成物である上記不飽和ポリエステルが結晶性樹脂の場合の結晶融点Tmは、50〜120℃であることが好ましく、より好ましくは55〜90℃の範囲である。Tmが50℃以上であると、高温度域での結着樹脂自体の凝集力が良好であるため、定着の際に剥離性やホットオフセット性に優れ、また、120℃以下であると、十分な溶融が得られず、最低定着温度が上昇しにくく好ましい
ここで、結晶性樹脂の融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明においては、最大のピークをもって融点とみなす。
【0029】
また、中間生成物である上記不飽和ポリエステルが非結晶性樹脂のガラス転移点は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値をいう。
一方、ポリエステルが非結晶性の場合、ガラス転移点Tgは50〜80℃であることが好ましく、より好ましくは50〜65℃の範囲である。Tgが50℃以上であると、高温度域での結着樹脂自体の凝集力が良好であるため、定着の際にホットオフセット性に優れ、80℃以下であると、十分な溶融が得られ、最低定着温度が上昇しにくく好ましい。
【0030】
非結晶性のポリエステルを得る為の多価アルコールとしては、例えば好ましくは、脂肪族、脂環式、芳香式のアルコールがあげられ、例えば、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノールA等も挙げることができ、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物(好ましくは付加モル数が2〜4モル)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、ヒドロキシカルボン酸としては、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシウンデカン酸などを挙げることができる。
【0031】
上記成分の他に、無水トリメリット酸、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの三官能化合物もポリエステル樹脂がゲル化を起こさない範囲で併用することができる。又、ポリエステル樹脂の分子量調節剤として安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサノール等の一官能化合物も適宜使用することができる。
ポリエステル樹脂は、好ましくはジカルボン酸成分とジオール成分を不活性ガス雰囲気中にて50〜150℃以下の温度で縮重合することにより製造することができる。この際、反応を促進せしめるため通常使用されているエステル化触媒、例えば酸触媒、酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレート等を使用することができるが、ブレンステッド酸、界面活性作用を有するブレンステッド酸が最も望ましい。
また、重縮合性単量体を150℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは70〜100℃の低温で重縮合するためには、通常、重縮合触媒が用いられ、低温で触媒活性を有する重縮合性触媒としては、酸系触媒、希土類含有触媒、又は加水分解酵素なども使用することが好ましい。
【0032】
酸系触媒としては、ブレンステッド酸が望ましく、具体的にはトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、しょうのう(カンファー)スルホン酸)等のスルホン酸、またはこれらのNa等の金属塩が挙げられる。
さらにまた、界面活性効果を有する酸を用いても良い。界面活性効果を有する酸とは、疎水基と親水基とからなる化学構造を有し、少なくとも親水基の一部がプロトンからなる酸の構造を有するものである。
界面活性効果を有する酸としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、しょうのうスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルジスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸、アルキルナフタリンスルホン酸、アルキルテトラリンスルホン酸、アルキルアリルスルホン酸、石油スルホン酸、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸、高級アルコールエーテルスルホン酸、アルキルジフェニルスルホン酸、モノブチルフェニルフェノール硫酸、ジブチルフェニルフェノール硫酸、ドデシル硫酸などの高級脂肪酸硫酸エステル、高級アルコール硫酸エステル、高級アルコールエーテル硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキロール硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキル化硫酸エステル、ナフテニルアルコール硫酸、硫酸化脂肪、スルホ琥珀酸エステル、各種脂肪酸、スルホン化高級脂肪酸、高級アルキルリン酸エステル、樹脂酸、樹脂酸アルコール硫酸、ナフテン酸、パラトルエンスルホン酸、及び、これらすべての金属塩化合物(アルカリ金属塩を含む。)などが挙げられ、必要に応じて複数を組み合わせてもよい。
【0033】
希土類含有触媒としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド元素としてランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などを含むものが有効であり、特にアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、又はトリフラート構造を有するものなどが有効である。
希土類含有触媒としては、スカンジウムトリフラート、イットリウムトリフラート、及び、ランタノイドトリフラートなどのトリフラート構造を有するものが好ましい。ランタノイドトリフラートについては、有機合成化学協会誌、第53巻第5号、p44−54)に詳述されている。前記トリフラートとしては、構造式では、X(OSO2CF33が例示できる。ここでXは、希土類元素であり、これらの中でも、Xは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)などであることがさらに好ましい。
【0034】
併用する加水分解酵素としては、エステル合成反応を触媒するものであれば特に制限はない。加水分解酵素としては、例えば、カルボキシエステラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、アセチルエステラーゼ、ペクチンエステラーゼ、コレステロールエステラーゼ、タンナーゼ、モノアシルグリセロールリパーゼ、ラクトナーゼ、リポプロテインリパーゼ等のEC(酵素番号)3.1群(丸尾・田宮監修「酵素ハンドブック」朝倉書店(1982)等参照)に分類されるエステラーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、キシロシダーゼ等のグリコシル化合物に作用するEC3.2群に分類される加水分解酵素、エポキシドヒドラーゼ等のEC3.3群に分類される加水分解酵素、アミノペプチダーゼ、キモトリプシン、トリプシン、プラスミン、ズブチリシン等のペプチド結合に作用するEC3.4群に分類される加水分解酵素、フロレチンヒドラーゼ等のEC3.7群に分類される加水分解酵素等を挙げることができる。
【0035】
これらエステラーゼのうち、グリセロールエステルを加水分解し脂肪酸を遊離する酵素を特にリパーゼと呼ぶが、リパーゼは有機溶媒中での安定性が高く、収率良くエステル合成反応を触媒し、さらに安価に入手できることなどの利点がある。したがって、本発明のポリエステルの製造方法においても、収率やコストの面からリパーゼを用いることが望ましい。
【0036】
リパーゼには種々の起源のものを使用できるが、好ましいものとして、シュードモナス(Pseudomonas)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、カンジダ(Candida)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、リゾプス(Rhizopus)属、ムコール(Mucor)属等の微生物から得られるリパーゼ、植物種子から得られるリパーゼ、動物組織から得られるリパーゼ、さらに、パンクレアチン、ステアプシン等を挙げることができる。このうち、シュードモナス属、カンジダ属、アスペルギルス属の微生物由来のリパーゼを用いることが望ましい。
【0037】
これら重縮合触媒は、単独使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。さらにこれらの触媒は必要により回収再生することも可能である。
【0038】
本発明の着色樹脂粒子分散液を得るには、着色剤の添加時期が異なるいくつかの方法がある。
その1つの方法は、まず、分散樹脂である変性ポリエステル樹脂を製造した後に着色剤と混合して粒子として分散する方法である。この場合、重縮合性単量体又はこの代替物として、そのオリゴマーあるいはそのポリマーを非水溶剤中に溶解、あるいは分散させた後、150℃以下で重縮合触媒とともに加熱、撹拌し、常圧または減圧下で保持して重縮合反応を進行させ、さらに必要により、より高分子量のポリエステルを得る為に、生成した水又は過剰の重縮合性単量体を反応系外に留出させて不飽和ポリエステル重合体を得たのち、エチレン性不飽和単量体をラジカル重合した後、加熱状態で、ホモジナイザーなどにより顔料等の着色剤と混合分散し着色樹脂粒子分散液を作製する。この際、必要に応じて、他の重縮合触媒、界面活性剤なども併用することができる。
他の1つの方法は、不飽和ポリエステルの重縮合段階又はそれをビニル変性してグラフト重合体を製造する段階において着色剤を重縮合単量体又はエチレン性不飽和単量体と共存させる方法である。
【0039】
非水溶剤中でポリエステルの重縮合反応をすると重合時には、生成した重縮合樹脂の粘度を効果的に低下させ、望ましい状態で重縮合を進めることが可能となり、より高分子量のポリエステルが得られる。すなわち、150℃以下の低温重縮合を進めるに際し効果的な溶媒として作用する。
【0040】
ポリエステルの合成は、直接重縮合が代表的であり、エステル化またはエステル交換反応を経て重縮合を行うのが一般的である。また、本発明に用いることのできるポリエステルの製造方法は、反応系外から水分が入らないように、不活性ガス(例えば、乾燥窒素、アルゴン等)雰囲気下で行ってもよく、不活性ガスで置換しながら、又は、不活性ガスを吹き込みながら行っても良い。
直接重縮合は脱水反応であるため、基本的には高温の反応が重合を進めるには有利である。低温で反応を進めるには、重縮合性単量体が存在する反応場において、なるべく疎水性の環境を作ること、反応場から効果的に水を排除してゆく仕組みが必要となる。
さらにまた、重合中ポリエステルの分子量が増大するに従って、末端基濃度は著しく減少し、エステル交換時の加熱による分解反応も加わって、分子量の増大に関し、限界を生ずるようになる。低温においても、分子量増加に伴う粘度の増加を抑制し、末端基同士が効果的に反応させるためには重縮合性単量体、そのオリゴマー及び/又はポリマーに混和させた際に効果的に粘度の増加を抑制させる媒体の存在が好ましい。又、複製する水又はアルコール除去の目的のために減圧下にて製造することもできる。
【0041】
この様にして得られた不飽和ポリエステル樹脂30〜90重量部、好ましくは50〜90重量部に対してエチレン性不飽和単量体(ビニルモノマー)70〜10重量部、好ましくは50〜10重量部をグラフト重合することに依ってグラフトポリマーが得られる。前記の重量比を採用すると、着色剤の分散が制御しやすい。
【0042】
以下、エチレン性不飽和単量体(ビニルモノマー)について説明する。
エチレン性不飽和単量体の一部が、芳香環を有する単量体、酸性基を有する単量体、及び塩基性基を有する単量体よりなる群から選択された少なくとも1種の単量体を含有することが好ましい。
酸性基を有する単量体の酸性基としては、特に限定されないが、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等が挙げられ、特に分散液組成物の凝集を起こしにくいことから酸強度が弱いカルボキシル基が好ましい。
【0043】
酸性基を有する変性ポリエステルの酸価としては、10〜200KOHmg/gの範囲が好ましく、10〜150KOHmg/gの範囲がより好ましい。酸価が上記の範囲内にあると、十分なゼータ電位が得られ分散液の安定性が良好であり、トナーに用いた場合美しい画像を得ることができる。
【0044】
また、塩基性基を有する単量体の塩基性基としては、特に限定されないが、1級、2級、3級、4級アミノ基等等が挙げられ、特にイオン化しやすさから3級アミノ基が好ましい。
【0045】
塩基性基を有する変性ポリエステルのアミン価としては、10〜200KOHmg/gの範囲が好ましく、10〜150KOHmg/gの範囲がより好ましい。アミン価が前記の範囲内にあると、適切なゼータ電位が得られ、分散液の安定性が良好であり、液体現像剤に用いた場合美しい画像を得ることができる。
【0046】
ビニルモノマーの好ましい成分である酸性基を含有するビニルモノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等の如きカルボキシル基を有するモノマー、アクリル酸2−スルホン酸エチル、メタクリル酸2−スルホン酸エチル、ブチルアクリルアミドスルホン酸等の如きスルホン酸基を有するモノマー、メタクリル酸2−ホスホン酸エチル、アクリル酸2−ホスホン酸エチル等の如きホスホン酸基を有するモノマー等が挙げられ、なかでもアクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0047】
また、塩基性基を有するビニルモノマーとしては、アクリル酸アミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピルの如き第1級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸メチルアミノエチル、アクリル酸メチルアミノプロピル、アクリル酸エチルアミノエチル、アクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸メチルアミノエチル、メタクリル酸メチルアミノプロピル、メタクリル酸エチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル等の如き第2級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸ジエチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノプロピル、等の如き第3級アミノ基を有するモノマー、アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、アクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩等の如き第4級アミノ基を有するモノマー等が挙げられる。
【0048】
かかる酸基又は塩基性基含有ビニルモノマーの総量はビニルモノマー中1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%である。酸性基又は塩基性基含有ビニルモノマーの量がビニルモノマー中で上記の範囲内にあると、顔料分散が良好となり、親水性帯電性が適正となり、トナーの帯電性を良好になる。
【0049】
又、ビニルモノマーの好ましい成分である芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−エチルスチレン等が挙げられる。その他のビニルモノマーとしてはメタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ステアリル、等のメタクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル等のアクリル酸アルキルエステル類;アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
【0050】
グラフト重合反応は150℃以下で行い、又溶液重合により行うことが好ましい。溶液重合法の場合には不飽和ポリエステルを炭化水素系溶剤に溶解したものに、ビニルモノマー、重合開始剤を添加し、不活性ガス雰囲気中60〜150℃の温度で重合することが好ましく、70〜100℃で重合することがより好ましい。重合開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等アゾ系の開始剤が適当である。
【0051】
グラフトポリマーの重量平均分子量は1,500〜40,000が適当であり、必要に応じてドデシルメルカプタン、チオフェノール等の連鎖移動剤を使用することもできる。かかるポリマーの重量平均分子量が、前記の範囲内であるとバインダー樹脂として適度の粘弾性を有し、トナーに使用した場合に耐久性、定着性及びレベリングが良好となる。
【0052】
グラフトポリマーのフローテスター法による溶融粘度は、100℃において104〜106ポイズが好ましく、5×103〜5×106ポイズがより好ましい。かかる溶融粘度の範囲にある場合、耐オフセット性、OHPに使用した場合の定着したトナー層のレベリングが良好となり、透過光が散乱されずに、彩度の高い光線透過像を与える。
【0053】
本発明の着色樹脂粒子分散液には、各種の帯電制御剤を用いることができ、その代表的なものとして第4級アンモニウム塩錯体、サリチル酸金属錯体などがある。
【0054】
着色樹脂粒子の粒径本発明における着色樹脂粒子の数平均粒子径は、好ましくは、0.05〜1μmである。本発明において着色樹脂粒子の数平均粒子径は、安定して分散し得るものであればできるだけ細かいものが好ましいが、一般的に得られる数平均粒子径は0.05μm以上のものとなる。数平均粒子径が大きすぎると、着色樹脂粒子が沈降し易く、画像が不鮮明となったり、画像濃度が低下する。また、粒子径が大きくなると、高い解像度を得ることができなくなる。なお、着色樹脂粒子の平均粒径は光散乱やレーザー回折による粒径測定機を用いることにより測定することができる。
【0055】
本発明における着色剤としてグラフト重合時に使用する非水溶媒に不溶性の顔料及び/または染料が用いられる。これらについては、特に制限はなく、従来公知の各種染料または顔料を使用することができ、具体例としては、例えば、カーボンブラック:C.I.ピグメント・イエロー1、同3、同74、同97、同98等のアセト酢酸アリールアミド系モノアゾ黄色顔料や、同181等のイミダゾロン系モノアゾ黄色:C.I.ピグメント・イエロー12、同13、同14、同17等のアセト酢酸アリールアミド系ジスアゾ黄色顔料:C.I.ソルベント・イエロー19、同77、同79、C.I.ディスパース・イエロー164等の黄色染料:C.I.ピグメント・レッド48、同49:1、同53:1、同57、同57:1、同81、同122、同5、同146等の赤色もしくは紅色顔料:C.I.ソルベント・レッド49、同52、同58、同8等の赤色系染料:C.I.ピグメント・ブルー15:3、15:4等の銅フタロシアニン及びその誘導体の青色系染顔料:C.I.ピグメント・グリーン7、同36(フタロシアニン・グリーン)等の緑色顔料等が使用可能である。これらの染料・顔料は単独で用いても2種以上混合して用いても良い。
【0056】
本発明の液体現像剤のトナーは、必要に応じて、電荷制御剤を配合することができ、静電荷現像用液体現像剤に通常用いられているものをいずれも使用することができる。例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、オレイン酸銅、オレイン酸コバルト、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸コバルト、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム、大豆レシチン、アルミニウムオクトエート等が挙げられる。
【0057】
また、ワックス等の助剤を配合してもよく、通常、静電荷現像用液体現像剤に用いられるものをいずれも使用することができる。例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスポリプロピレンワックス、エチレン共重合体、プロピレン共重合体等が挙げられる。
【0058】
上述の電荷制御剤やワックス等のような助剤は、色素を付着する前のバインダ樹脂中に配合して用いることができる。
【0059】
本発明の着色樹脂粒子分散液に用いることができる分散媒としては、水も採用しうるが、有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、例えばヘキサン、ミネラルスピリット等の如き脂肪族炭化水素系溶剤;ジアルキルポリシロキサンや環状ポリジアルキルシロキサン等の如きシリーコーンオイル;オリーブ油、ベニバナ油、ひまわり油、大豆油やあまに油等の如き植物油;ベンゼン、トルエン、キシレン等の如き芳香族炭化水素系溶剤;酢酸ブチル等の如きエステル系溶剤;メタノール、ブタノール等の如きアルコール系溶剤;メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトンの如きケトン系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ピリジン等の如き非プロトン性極性溶剤等が挙げられ、またこれらの溶剤を併用してもよい。有機溶媒としては、水と混和しない非反応性の有機溶媒が好ましい。
非反応性の有機溶媒としては、例えばヘキサン、ミネラルスピリット等の如き脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の如き芳香族炭化水素系溶剤;酢酸ブチル等の如きエステル系溶剤;メタノール、ブタノール等の如きアルコール系溶剤;メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトンの如きケトン系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ピリジン等の如き非プロトン性極性溶剤等が挙げられ、またこれらの溶剤を併用してもよい。これらの溶剤の中で、エステル化反応の脱水を考えると、脂肪族炭化水素系溶剤や芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
【0060】
〔非水分散媒〕
本発明の液体現像剤における非水分散媒は、一般に液体現像剤の分散媒として用いられるものであれば特に限定されるものではないが、通常体積固有抵抗値が1010Ω・cm以上のものが用いられる。また、誘電率は通常3.5以上のものが用いられる。このような非水分散媒としては、例えば脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン類等が挙げられ、揮発性や安全性、毒性、臭気等の点からはイソパラフィン系石油溶剤が適している。このようなイソパラフィン系石油溶剤としては、アイソパーM、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーK(いずれもエッソ社製)、シェルゾール71(シェル石油社製)等を挙げることができる。
【0061】
<液体現像剤の製造方法>
本発明の製造方法により製造した着色樹脂粒子分散液を、静電写真用液体現像剤(本発明において単に「液体現像剤」ともいう。)の製造に直接使用することができる。「液体現像剤」とは、現像処理時に液体状態を示す静電潜像現像剤をいう。常温で固体状態であるが加熱した現像処理時に液体状態のものを含む。
変性ポリエステル及び着色剤をガラスビーズ、スチールビーズやジルコニアビーズ等の分散媒体を用いて、ダイノーミルやDSP−ミルの如きビーズミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、ニーダーやナノマイザーの如き高圧噴射ミル等の分散機により分散して着色樹脂粒子分散液を得ることもできる。さらに必要に応じて、例えば界面活性剤や顔料分散剤、顔料誘導体、電荷発生剤等の各種添加剤を添加してもかまわない。
【0062】
分散機で分散する分散条件は、粒状物質の種類や分散機の種類によるが、経済性等を考慮すると、温度0℃〜150℃の範囲で、分散時間は短ければ短いほうが好ましいが、0.1〜10時間/kgの範囲であれば生産性の点で好ましい。
必要に応じて溶媒を濃縮しても良い。濃縮する方法としては、一般的な常圧あるいは減圧蒸留法が挙げられる。さらに、必要に応じてすべて蒸留して、あるいは水に置換して、乾燥して粉体塗料やトナー、プラスチック等へも利用できる。
【0063】
この着色樹脂粒子分散液の用途としては、特に限定されないが、自動車や建築、PCMといった塗料、グラビアインキ等の印刷インキ、インクジェットプリンター用インク、湿式電子写真印刷機や静電気力を用いたインクジェットプリンター(例えば特開平8−291267号報、特許第2735030号報、JHC98FALL Meeting中の高濃度インクジェット記録等に示されている)用の湿式トナー等が挙げられる。とりわけ、湿式トナー分野においては、長期間の使用安定性に優れている。本発明の分散液組成物をこれらの用途に用いるには、用途毎に応じてバインダー、有機溶媒、各種添加剤を添加して、所定の粒状物質濃度やバインダー濃度に調整される。さらにまたレベリング剤、金属石鹸やレシチン等の電荷調整剤等、公知の一般的なものを使用できるが、特にこれらに限定されない。上記バインダー、有機溶媒や各種添加剤を本発明の分散液組成物に添加して最終的な塗料や印刷インキ、湿式トナーに調整する
【実施例】
【0064】
以下、本発明の実施例について詳細に説明するがこれらの実施例に本発明が限定されるものではない。実施例中「部」とあるのは、特にことわりがない限り重量部を表す。
【0065】
<融点及びガラス転移点の測定>
示差走査熱量測定法(DSC)に従い、「DSC−20」(セイコー電子工業社製)を使用し、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱し、ベースラインと吸熱ピークから融点を求めた。
【0066】
<重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの測定>
重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの値は、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)によって、以下に記す条件で重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを測定した。温度40℃において、溶媒(テトラヒドロフラン)を毎分1.2mlの流速で流し、濃度0.2g/20mlのテトラヒドロフラン試料溶液を試料重量として3mg注入し、測定を行った。また、試料の分子量測定にあたっては、当該試料の有する分子量が数種の単分散ポリスチレン標準試料により、作製された検量線の分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定条件を選択するものとする。
なお、測定結果の信頼性は、上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料が、
重量平均分子量Mw=28.8×104
数平均分子量Mn=13.7×104
となることにより確認することができる。
また、用いたGPCのカラムとしては、TSK−GEL、GMH(東ソー(株)製)を用いた。
なお、溶媒及び測定温度は、測定試料にあわせ、適当な条件に変更して行った。
【0067】
ポリエステルとして脂肪族ポリエステルを用い、付加重合型性樹脂として芳香族基を含むビニルモノマーを用いた樹脂粒子分散液を作製した場合、両者の分子量をGPCで解析する際、検出器としてUVとRIを分離する装置を後付けし、それぞれの分子量を解析することもできる。
【0068】
<樹脂合成例1>
ビスフェノールA2モルEO付加物 64重量部
無水マレイン酸 1.2重量部
イソフタル酸 16重量部
1,4-シクロヘキサンジカルボン酸 16重量部
ドデシルベンゼンスルホン酸 2.5重量部
アイソパーH(エクソン化学社製) 250重量部
ここで、EOはエチレンオキシドの省略であり、後出のPOはプロピレンオキシドの省略である。
窒素を流しながら90℃/1atmで5時間、次いで、130℃/500mmHgにして2時間、系外に水を流出しながら加熱撹拌して、ポリエステル生成単量体をオリゴマー化した。これに、アイソパーH300重量部を加え冷却管を付け、留出したアイソパーHが反応器に戻るようにした。その後、128℃/450mmHgで10時間反応を行い、粘調な液(重縮合樹脂1含有液)を得た。得られたポリエステルの一部を分析のため、風乾した後、60℃熱風乾燥し十分にアイソパーHを除去し分析に供した。重量平均分子量は12,000であった。該ポリエステルを示差熱分析したところ、Tg(オンセット)は58.9℃の値を示した。本重縮合樹脂1含有液を濃縮し、樹脂固形分で30重量%になるように調整した。
【0069】
本重縮合樹脂1含有液 167重量部(樹脂分50重量部)
スチレン 13重量部
メタクリル酸 1.0重量部
シアン顔料(CIピグメントブル−4933M) 8.9重量部
キシレン 50重量部
撹拌機が付いたリアクターに入れ、キシレンが還流する温度まで上げ、アゾビスイソブチロニトリル0.4部を窒素雰囲気下約30分で滴下した。滴下後3時間保温し、キシレンを減圧蒸留した後樹脂を取り出した。このビニル変性ポリエステル樹脂を以下「樹脂A」と表す。樹脂Aは重量平均分子量が14,000、100℃における溶融粘度が5×104ポイズ、ガラス転移温度が62℃であった。但し、溶融粘度は島津製作所製フローテスターCFT−500を用いノズル径1mm、ノズル長さ1mm、荷重30kg、昇温速度3℃/分の条件で測定した値である。
【0070】
<樹脂合成例2>
ビスフェノールA2モルEO付加物 30重量部
ビスフェノールA2モルPO付加物 35重量部
フマル酸 1.5重量部
イソフタル酸 16重量部
フェニレンジ酢酸 16重量部
パラトルエンスルホン酸 1.2重量部
キシレン 250重量部
窒素を流しながら90℃/1atmで5時間、次いで、120℃/500mmHgにして2時間、系外に水を流出しながら加熱撹拌して、ポリエステル生成単量体をオリゴマー化した。これに、キシレン300重量部を加え冷却管を付け、留出したキシレンが反応器に戻るようにした。その後、128℃/450mmHgで10時間反応を行い、粘調な液(重縮合樹脂2含有液)を得た。得られたポリエステルの一部を分析のため、風乾した後、熱風乾燥し十分にキシレンを除去し分析に供した。重量平均分子量は14,000であった。該ポリエステルを示差熱分析したところ、Tg(オンセット)は55.0℃の値を示した。本重縮合樹脂2含有液を濃縮し、樹脂固形分で30重量%になるように調整した。
【0071】
本重縮合樹脂2含有液 167重量部(樹脂分50重量部)
スチレン 13重量部
メタクリル酸ジエチルアミノエチル 1.0重量部
マゼンタ顔料(CIピグメントレッド57:1) 8.9重量部
キシレン 50重量部
撹拌機が付いたリアクターに入れ、キシレンが還流する温度まで上げ、アゾビスイソブチロニトリル0.4部を窒素雰囲気下約30分で滴下した。滴下後3時間保温し、キシロールを減圧蒸留した後樹脂を取り出した。このビニル変性ポリエステル樹脂を以下「樹脂B」と表す。樹脂Bは重量平均分子量が16,000、100℃における溶融粘度が8×104ポイズ、ガラス転移温度が60℃であった。
【0072】
<樹脂合成例3>
1,9-ノナンジオール 21重量部
シクロヘキサンジメタノール 31重量部
無水マレイン酸 1.2重量部
イソフタル酸 16重量部
1,4-シクロヘキサンジカルボン酸 16重量部
ベンゼンスルホン酸 2.5重量部
アイソパーH(エクソン化学社製) 250重量部
窒素を流しながら90℃/1atmで6時間、次いで、135℃/500mmHgにして2時間、系外に水を流出しながら加熱撹拌しオリゴマー化した。これに、アイソパーH300重量部を加え冷却管を付け、留出したアイソパーHが反応器に戻るようにした。その後、128℃/450mmHgで10時間反応を行い、粘調な液(重縮合樹脂3含有液)を得た。得られたポリエステルの一部を分析のため、風乾した後、60℃熱風乾燥し十分にアイソパーHを除去し分析に供した。重量平均分子量は15,000であった。該ポリエステルを示差熱分析したところ、Tg(オンセット)は52.0℃の値を示した。本重縮合樹脂3含有液を濃縮し、樹脂固形分で30重量%になるように調整した。
【0073】
重縮合樹脂3含有液 167重量部(樹脂分50重量部)
スチレン 13重量部
メタクリル酸 1.0重量部
塩基性カーボンブラック(リーガル330 キャボット社製) 10.5重量部
キシレン 50重量部
撹拌機が付いたリアクターに入れ、キシレンが還流する温度まで上げ、アゾビスイソブチロニトリル0.4部を窒素雰囲気下約30分で滴下した。滴下後3時間保温し、キシロールを減圧蒸留した後樹脂を取り出した。このビニル変性ポリエステル樹脂を以下「樹脂C」と表す。樹脂Aは重量平均分子量が17,000、Tgは52.0,100℃における溶融粘度が9×103ポイズ、ガラス転移温度が51℃であった。
【0074】
<樹脂合成例4>比較例用
ビスフェノールA2モルEO付加物 64重量部
テレフタル酸 16重量部
セバシン酸 16重量部
ジブチルスズオキサイド 2.5重量部
トルエン 250重量部
窒素を流しながら90℃/1atmで5時間、次いで、130℃/500mmHgにして2時間、系外に水を流出しながら加熱撹拌しオリゴマー化した。これに、トルエン300重量部を加え冷却管を付け、留出したトルエンが反応器に戻るようにした。その後、128℃/450mmHgで10時間反応を行い、粘調な液(重縮合樹脂4含有液)を得た。得られたポリエステルの一部を分析のため、風乾した後、60℃熱風乾燥し十分にトルエンを除去し分析に供した。重量平均分子量は3,800であった。該ポリエステルを示差熱分析したところ、Tg(オンセット)は35.1℃の値を示した。本重縮合樹脂4含有液を濃縮し、樹脂固形分で30重量%になるように調整した。
【0075】
重縮合樹脂4含有液 167重量部(樹脂分50重量部)
スチレン 13重量部
メタクリル酸 1.0重量部
シアン顔料(CIピグメントブル−4933M) 8.9重量部
キシレン 50重量部
撹拌機が付いたリアクターに入れ、キシレンが還流する温度まで上げ、アゾビスイソブチロニトリル0.4部を窒素雰囲気下約30分で滴下した。滴下後3時間保温し、キシレンを減圧蒸留した後樹脂を取り出した。このビニルポリエステル混合樹脂を以下「樹脂D」と表す。樹脂Dは重量平均分子量が4,100、100℃における溶融粘度が7×102ポイズ、ガラス転移温度が36℃であった。
【0076】
<実施例1>
非水系顔料分散液として樹脂Aを顔料固形分で30重量%となるように濃縮した。100ccのプラスチックビンに以下を秤量した。
樹脂A 120重量部(樹脂分3.6重量部)
銅フタロシアニン顔料誘導体としてソルスパース5000(ゼネカ) 0.2重量部
ナフテン酸コバルト 0.2重量部
アイソパーG 8.2重量部
【0077】
3mmφジルコニアビーズ 100部を計り取り、ペイントシェーカー(エイシン社製)で2時間分散し、
メチルエチルケトン 6.0部
アイソパーG 24.0部
を追加して混合し、分散スラリーを得た。上記分散液組成物64.9部、及びアイソパーG35.1部を混合して、顔料分4.1%の液体現像剤を調整した。
【0078】
分散粒子径が171nm(コールター社製のレーザードップラー方式の粒度分布計N4 PLUSで測定)、ゼータ電位は22.4mV(ペンケム社製のLAZER ZEE METERModel 501で測定)であった。この分散液を60℃の恒温槽で14日間保存試験をしたところ、分散粒子径が168nmで凝集も起こらず、また、ζ電位も21.6mVとほとんど変化せず、非常に優れた保存安定性を示した。
【0079】
<実施例2>
非水系顔料分散液として樹脂Bを顔料固形分で30重量%となるように濃縮した。100ccのプラスチックビンに以下を秤量した。
樹脂B 120重量部(樹脂分3.6重量部)
ソルスパース13940(ゼネカ) 0.2重量部
アルミニウムステアレート 0.2重量部
アイソパーG 8.2重量部
【0080】
3mmφジルコニアビーズ 100部を計り取り、ペイントシェーカー(エイシン社製)で2時間分散し、
メチルエチルケトン 6.0部
アイソパーG 24.0部
を追加して混合し、分散スラリーを得た。上記分散液組成物61.8部、及びアイソパーG29.4部を混合して、顔料分4.5%の液体現像剤を調整した。
【0081】
分散粒子径が250nm(コールター社製のレーザードップラー方式の粒度分布計N4 PLUSで測定)、ゼータ電位は−18.4mV(ペンケム社製のLAZER ZEE METERModel 501で測定)であった。この分散液を60℃の恒温槽で14日間保存試験をしたところ、分散粒子径が258nmで凝集も起こらず、また、ζ電位も−19.6mVとほとんど変化せず、非常に優れた保存安定性を示した。
【0082】
<実施例3>
非水系顔料分散液として樹脂Cを顔料固形分で30重量%となるように濃縮した。100ccのプラスチックビンに以下を秤量した。
樹脂C 120重量部(樹脂分3.6重量部)
ソルスパース13940(ゼネカ) 0.2重量部
レシチン(大豆) 0.2重量部
アイソパーG 8.2重量部
【0083】
3mmφジルコニアビーズ 100部を計り取り、ペイントシェーカー(エイシン社製)で2時間分散し、
メチルエチルケトン 6.0部
アイソパーG 24.0部
を追加して混合し、分散スラリーを得た。上記分散液組成物59.8部、及びアイソパーG25.9部を混合して、顔料分5.5%の液体現像剤を調整した。
【0084】
分散粒子径が199nm(コールター社製のレーザードップラー方式の粒度分布計N4 PLUSで測定)、ゼータ電位は−25.9mV(ペンケム社製のLAZER ZEE METERModel 501で測定)であった。この分散液を60℃の恒温槽で14日間保存試験をしたところ、分散粒子径が202nmで凝集も起こらず、また、ζ電位も−26.0mVとほとんど変化せず、非常に優れた保存安定性を示した。
【0085】
<実施例4>
非水系顔料分散液として樹脂Cを顔料固形分で30重量%となるように濃縮した。100ccのプラスチックビンに以下を秤量した。
樹脂C 120重量部(樹脂分3.6重量部)
ソルスパース13940(ゼネカ) 0.2重量部
アイソパーG 8.2重量部
【0086】
3mmφジルコニアビーズ 100部を計り取り、ペイントシェーカー(エイシン社製)で2時間分散し、
メチルエチルケトン 6.0部
アイソパーG 24.0部
を追加して混合し、分散スラリーを得た。上記分散液組成物59.8部、及びアイソパーG25.9部を混合して、顔料分3.5%のインクジェット用インクを調整した。
【0087】
分散粒子径が145nm(コールター社製のレーザードップラー方式の粒度分布計N4 PLUSで測定)、ゼータ電位は15.9mV(ペンケム社製のLAZER ZEE METERModel 501で測定)であった。を60℃の恒温槽で14日間保存試験をしたところ、分散粒子径が151nmで凝集も起こらず、また、ζ電位も16.9mVとほとんど変化せず、非常に優れた保存安定性を示した。
【0088】
<実施例5>
非水系顔料分散液として樹脂Aを顔料固形分で30重量%となるように濃縮した。100ccのプラスチックビンに以下を秤量した。
樹脂A 120重量部(樹脂分3.6重量部)
ソルスパース13940(ゼネカ) 0.2重量部
アイソパーG 8.2重量部
【0089】
3mmφジルコニアビーズ 100部を計り取り、ペイントシェーカー(エイシン社製)で2時間分散し、
メチルエチルケトン 6.0部
アイソパーG 24.0部
を追加して混合し、分散スラリーを得た。上記分散液組成物59.8部、及びアイソパーG25.9部を混合して、顔料分3.0%のインクジェット用インクを調整した。
【0090】
分散粒子径が198nm(コールター社製のレーザードップラー方式の粒度分布計N4 PLUSで測定)、ゼータ電位は−12.9mV(ペンケム社製のLAZER ZEE METERModel 501で測定)であった。この分散液を60℃の恒温槽で14日間保存試験をしたところ、分散粒子径が201nmで凝集も起こらず、また、ζ電位も−13.9mVとほとんど変化せず、非常に優れた保存安定性を示した。
【0091】
<比較例1>
非水系顔料分散液として樹脂Dを顔料固形分で30重量%となるように濃縮した。100ccのプラスチックビンに以下を秤量した。
樹脂D 120重量部(樹脂分3.6重量部)
ソルスパース13940(ゼネカ) 0.2重量部
アルミニニウムステアレート 0.2重量部
アイソパーG 8.2重量部
【0092】
3mmφジルコニアビーズ 100部を計り取り、ペイントシェーカー(エイシン社製)で2時間分散し、
メチルエチルケトン 6.0部
アイソパーG 24.0部
を追加して混合し、分散スラリーを得た。上記分散液組成物59.8部、及びアイソパーG25.9部を混合して、顔料分6.5%の液体現像剤を調整した。
【0093】
分散粒子径が3,580nm(コールター社製のレーザードップラー方式の粒度分布計N4 PLUSで測定)、ゼータ電位はほとんど無かった。(ペンケム社製のLAZER ZEE METERModel 501で測定)であった。この分散液を60℃の恒温槽で14日間保存試験をしたところ、分散粒子径が4,500nmで沈降してしまった。ゼータ電位もほとんど無かった。
【0094】
<比較例2>
非水系顔料分散液として樹脂Dを顔料固形分で30重量%となるように濃縮した。100ccのプラスチックビンに以下を秤量した。
樹脂D 120重量部(樹脂分3.6重量部)
ソルスパース13940(ゼネカ) 0.2重量部
アイソパーG 8.2重量部
【0095】
3mmφジルコニアビーズ 100部を計り取り、ペイントシェーカー(エイシン社製)で2時間分散し、
メチルエチルケトン 6.0部
アイソパーG 24.0部
を追加して混合し、分散スラリーを得た。上記分散液組成物35.9部、及びアイソパーG48.9部を混合して、顔料分2.8%のインクジェット用インクを調整した。
【0096】
分散粒子径が2,800nm(コールター社製のレーザードップラー方式の粒度分布計N4 PLUSで測定)、ゼータ電位はほとんど無かった。(ペンケム社製のLAZER ZEE METERModel 501で測定)であった。この分散液を60℃の恒温槽で14日間保存試験をしたところ、分散粒子径が3,500nmで沈降してしまった。ゼータ電位もほとんど無かった。
【0097】
<実施例6>
実施例1で作製した分散液組成物をイソプロピルアルコールで希釈し、極性溶媒に対する応用を確認した。その結果、分散粒子径が172nmと凝集せず、例えばイソプロピルアルコールを用いる印刷インキや塗料等への応用ができる分散液組成物であった。
【0098】
<比較例3>
比較例2で作製した分散液組成物をイソプロピルアルコールで希釈し、極性溶媒に対する応用を確認した。その結果、分散粒子径が15,670nmと凝集してしまい、例えばイソプロピルアルコールを用いる印刷インキや塗料への応用はできなかった。
【0099】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水溶媒中でポリエステル生成単量体を重縮合して不飽和ポリエステルを得る工程、
非水溶媒中でエチレン性不飽和単量体を該不飽和ポリエステルにグラフト重合し変性ポリエステルを作製する工程、及び、
着色剤と該変性ポリエステル樹脂を分散して着色樹脂粒子分散液を作製する工程を有し、
該重縮合及び該グラフト重合の温度が150℃以下であることを特徴とする
着色樹脂粒子分散液の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の製造方法により製造された着色樹脂粒子分散液。
【請求項3】
請求項2記載の着色樹脂粒子分散液を含有する電子写真用液体現像剤。
【請求項4】
請求項2記載の着色樹脂粒子分散液を含有するインク組成物。
【請求項5】
着色剤が顔料である請求項2記載の塗料用着色樹脂粒子分散液。

【公開番号】特開2007−219229(P2007−219229A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40498(P2006−40498)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】