説明

短期及び長期の薬剤薬量決定のための方法

【課題】アルファインターフェロンに対して耐性を有する慢性C型肝炎ウイルスに感染した患者以外のC型肝炎患者におけるC型肝炎の治療のための医薬組成物を提供する。
【解決手段】治療的有効量のオメガインターフェロンを含む、アルファインターフェロンに対して耐性を有する慢性C型肝炎ウイルスに感染した患者以外のC型肝炎患者におけるC型肝炎の治療のための医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、35U.S.C§119(e)に基づく2000年11月3日に出願された米国仮出願第06/245,883号の利益を請求する。上記仮出願はそっくりそのままここに援用する。
【0002】
発明の分野
本発明は障害、特に温血動物におけるインターフェロン応答性の障害を治療するための方法及びキット、並びにそのような障害の治療における、例えばインターフェロンである薬剤の用量の個別化のための方法に関する。本発明はさらに、そのような障害を治療するための長期の用量を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
導入
時間の経過に伴って、定常的な薬剤のデリバリーを供給するデバイスを用いた長期の薬物のデリバリーは、通常の注射又は経口による薬剤のデリバリーに対してさえ、顕著に有利である。1の利益は上記患者が“ピークに関連した”副作用を回避できることである。他の利益は、上記患者が“トラフ(trough)に関連した”無効性の治療を回避できることである。他の利益は、経口で投与されることのできない薬剤のための、頻繁なそして時に痛い注射を回避することである。しかしながら、長期の、定常速度の薬剤のデリバリーの1の不利益は、疾患を有する患者の一定の母集団中の個々の患者のために用量を調整する容易な方法がなかったことである。例えば、C型肝炎を有する母集団の中で、個々の患者は、ウイルス負荷、患者の年令及びサイズ等に依存して異なる用量レベルの治療のための薬物を必要とするだろう。インターフェロンの上記使用は例示的なものである。
【0004】
インターフェロン
上記インターフェロンは、数多くの感染性の、増殖性の又は免疫的な障害への応答として産生される内因性のタンパクの群である。内因性のインターフェロンは抗ウイルス性の、免疫調節性の、又は抗増殖性の活性を有する。アルファ及びベータインターフェロンは、これらの分子がいわゆるα−βレセプターである、共通のレセプターに結合すると思われるため、タイプIインターフェロンとして知られている。(多様なサブタイプの)組み換えアルファインターフェロン又は組み換えコンセンサスインターフェロンのような外因性のインターフェロンは、例えばC型ウイルス性肝炎及び一定の癌の治療に有用であることが証明されている。数ヵ月の期間、アルファ又はコンセンサスインターフェロンにより治療された患者の小部分は、もはやC型肝炎ウイルスリボ核酸(HCV−RNA)の血液テストの陽性を示さない。そのような治療は上記インターフェロンによる単独療法のみを含むか、又は上記インターフェロンは他の補助的な治療的薬剤と併用されることができる。一定の癌もまた、インターフェロン単独療法又は併用療法により、大きさが安定化又は縮小することができる。(多様なサブタイプの)外因性のベータインターフェロンは、多発性硬化症の治療において単独療法として有用であることが示されている。外因性のガンマインターフェロンは、慢性肉芽腫の治療において単独療法として有用であることが示されており、さらに最近では、一定の肺の障害の治療において有用であることが示唆されている。一定のインターフェロンは、ポリエチレングリコール又はポリエチレンオキサイドポリマーの付加により化学的に修飾されており(ペギレイテッドインターフェロン(pegylated interferon))、結果としてin vivoにおいて抗ウイルス活性を亢進することができた。他の形態のインターフェロン様ペプチドは遺伝子修飾の技術を用いて作成された。
【0005】
補助的な治療薬剤
リバビリンは、イノシンモノホスフェートデヒドロゲナーゼを阻害する他の活性が知られている中で、抗ウイルス及び免疫調節活性を有する小さな有機的分子である。例えばアルファインターフェロンにリバビリンを加えることはC型肝炎患者において長期の応答率を増加させることができる。イノシンモノホスフェートデヒドロゲナーゼの他の阻害剤もまた、インターロイキン−2、インターロイキン−2アナログ若しくは誘導体;ヒスタミンアナログ若しくは誘導体;モノクローナル抗体;ポリクローナル抗体;又はいずれかのこれらの組み合わせのような補助的な治療の他のクラスと同様に一定の治療的な設定においてアルファインターフェロンに対する補助剤として有用であることができる。
【0006】
インターフェロン治療の限界
しかしながら、近年の抗ウイルス治療は限界のないものではない。例えば、C型肝炎の治療における長期の成功率は:アルファインターフェロン単独(≒10〜15%);コンセンサスインターフェロン単独(≒10〜15%);ペギレイテッドアルファインターフェロン単独(≒20〜25%);リバビリンと併用されたアルファインターフェロン(≒30〜40%);及びアルファインターフェロンに加えてヒスタミンに関連した化合物(≒30〜40%)である。アルファインターフェロンとリバビリン又はヒスタミンアナログとの組み合わせによる治療が、アルファインターフェロン単独に対して完全に感応しているとは思えない患者において応答を誘導することができるという証拠がある。高用量のコンセンサスインターフェロンが、低用量のアルファインターフェロンにおいては持続的な結果を達成できなかった患者において応答を誘導することが報告された。
【0007】
耐性及び副作用
しかしながら、大部分の患者においては、他の薬剤と併用されるか否かにかかわらず、アルファ又はコンセンサスインターフェロンによる顕著な抗ウイルス活性はなかった。上記患者は一次的なウイルス耐性を示すと言われている。加えて、かなりの部分の患者であって、その疾患が最初は応答したものが薬物治療終了後、応答を持続しなかった。上記患者は、2次的なウイルス耐性を示すと言われている。アルファインターフェロンに対して反応しなかった患者の中で、大部分はコンセンサスインターフェロンによる引き続きの治療に反応しなかった。1次的及び2次的耐性の理由は完全に理解されてはいないが、上記インターフェロンの血中レベルにおける顕著な多様性、上記インターフェロンに対する抗体の開発、ウイルス及び/又はヒトの遺伝的特徴、ウイルス及び/又はヒトにおける変化を含むことができる。
【0008】
さらには、有害な副作用により、インターフェロン単独又は補助的な治療的薬剤との併用であるかに関わらず、すべての患者がインターフェロンを用いた治療に耐えられるわけではない。いくつかの副作用は、ヒバビリン、インターロイキン−2、又は現在開発中の他の補助的治療の付加によって悪化する可能性がある。さらには、最初にアルファインターフェロンに対して“耐性を有する”、と特徴づけられた一定の患者が、2番目の又は引き続きの治療過程が与えられた場合にアルファインターフェロンに応答を示すことは、上記患者が先の治療過程の間に不適切な処置を受けたか、そうでなければ本当に耐性を有するものでなかったかも知れないということを示唆する。アルファインターフェロンで失敗し、続いてコンセンサスインターフェロンに対して“応答性がある”とされた患者は同様のカテゴリー、すなわち最初の治療過程において不適切に処置された、に属することができる。最初の処置が短期すぎる、又は特定の患者のための用量が低すぎる場合、不適切な処置は容易に起こり、これはウイルス耐性に関して誤解させる又は誤った結論に導くものである。
【0009】
短期投与の問題点
その上、単独療法として又は併用療法の一部として使用されるに関わらず、最近入手可能な注射可能なインターフェロンは長期間にわたって患者に投与するのに不便である。主な理由は、1日あたり1回以上〜1週あたり1回という、必要とされる注射の頻度である。短期使用及び頻繁な投与を意図した製剤中の薬剤の用量は迅速に変更することができる。それでもなお、血液中又は組織中の薬剤濃度のピークの(投与サイクルの直後又はその中の早期に起こる)及びトラフの(次の用量が投与される直前に起こる)重大なリスクが存在する。
【0010】
この現象は、頻繁な投与が必要とされる短期の使用のために製剤されたインターフェロンにおいて特に問題となりうるものである。ピークレベルでは、厄介な副作用のリスクが増加し、延長されたトラフレベルでは、血液中又は組織中でごくわずかの又は全くインターフェロン活性が存在しない期間がある可能性がある。
【0011】
要約すると、短期使用を意図したインターフェロン製剤も通常は薬剤の用量に関しては高度に調節可能であるが、また、長期投与には高度に不便なものである。
【0012】
長期投与の問題点
何ヵ月も又は1年もさらに長期間でさえ、生物学的活性のある薬剤を安定した速度でデリバリーすることができるインターフェロンのデポ形態の持続的に放出する製剤は、多くの潜在的な利益を有する。持続的に放出する製剤の多くの潜在的な形態があり、以下の:組織から分離して薬剤を保持することができ、そしてコントロールされた速度で上記薬剤を全身的に体内へ又は局所的に単一の器官又は部位へ放出することができる移植可能な、非侵食性のデバイス;全身的又は局所的なデリバリーの可能な移植可能な侵食性のデバイス或いはその中又は上に薬剤を有するマトリックス;速度コントロールされた全身的又は局所的なデリバリー可能な薬剤を含むゲル又は他の懸濁液;IVデリバリーのための外部ポンプ;パッチ又は他の速度コントロールされた経皮的デリバリーシステムを含むが、これらには限定されない。上記薬剤は、無修飾の分子として又はそこから本来の分子が本来の形態又はいまだ修飾された形態で放出される、共有結合又は非共有結合で担体、ポリマー、非ポリマー又は他の分子に結合されてデリバリーされることができる。当業者は、採用されうる他の多くの長期の速度コントロールされたデリバリーシステムの形態があることを認識するであろう。
【0013】
いかなる持続的放出システムも有する潜在的な利益の1つは、頻繁で痛みを伴う注射を回避できることであり、これによって潜在的に無効な治療へと導く、用量の損失という可能性を最小化する。他の利益は、安定的な又は固定すらされた速度の薬剤の全身的又は局所的なデリバリーさえも維持する可能性であり、これにより“ピークに関連した”副作用及び/又は“トラフに関連した”無効な治療の機会を最小化する。
【0014】
いずれの長期のデポにもまた、潜在的に重大な不利益がある。そのようないかなる製剤も短期の日用の又は週毎の用量に比較して、比較的多量のそして潜在的に非常に高価な量の薬剤の投与を必然的に含む。仮に患者において直ちに用量の減少を必要とする重症の副作用が発生した場合、そのような減少は移植され又は注射された長期の持続的に放出する製剤においては実際的に不可能又は非常に困難である。機械的デバイス、侵食性のマトリックス又はゲル或いは他の懸濁液については、上記投与された薬剤の全部又は一部を除去することを試みる侵入的な手順を実行することが必要となるかも知れない。実際には、物理的に体から分離した貯蔵器中に上記薬剤をそのまま保持する、機械的デバイス又は経皮的パッチの使用以外のすべてについて、すべての薬剤を除去することは不可能であろう。したがって、インターフェロンの長期投与は、患者に多くの利益を提供する一方、長期の用量レベル又は長期の薬剤デリバリー速度の選択のいかなる過誤も非常に有害かつ高価な結果を有するだろう。
【0015】
さらには、C型ウイルス性肝炎のような一定の疾患を有する患者については、可能な限り、上記用量を個別化することが望ましい。歴史的に、患者は週単位で固定量のインターフェロンで治療されており、そのような量は用量の減少を命じる付随する副作用のない状態で何週間も何ヵ月も固定されたレベルに維持される。インターフェロンの短期のデリバリーは、固定された速度での薬剤の長期投与が例えば全く調整しないことを許容する貯蔵器からデリバリーされる一方、直ちに用量の調整ができる潜在的な利益を提供する。
【0016】
要約すると、長期デリバリーシステム又はデバイスとともに用いられるインターフェロンのような薬剤の製剤は、薬剤の安定したデリバリーを保証するのには高度に便利であるが、薬剤の調整に関しては相対的又は絶対的に柔軟でなく、体全体の薬剤の量を減少させ又は排除するのに潜在的に高価又は侵入的な手順を必要とする。
【発明の開示】
【0017】
本発明の利益
私はここに例えばインターフェロン応答性の疾患又は症状を治療するための長期投与を必要とする温血動物の疾患の治療のための従来技術における例えばインターフェロンである、薬剤の長期使用の問題点に取り組むアプローチを発明した。
【0018】
私の発明は、例えばインターフェロン応答性の疾患又は症状を有する温血動物にインターフェロンのような薬剤の効果的用量をデリバリーする可能性を最大化し、そしてさらに上記薬剤の用量が最小限に毒性があり、したがって受容者によって耐容されるように、薬剤の安全な用量をデリバリーする機会を最大化する。
【0019】
さらに私の発明は、長期デリバリーシステムによって温血動物にデリバリーされる、例えばインターフェロンである薬物の安全で耐容性のある、かつ有効な用量の選択を容易にし、長期のデリバリーシステムを用いて長期投与を設定するにあたって、個々の患者のための薬剤の用量個別化を容易にする。
【0020】
私の発明はまた長期デリバリーシステムによっていったん長期の投与が開始された後の、速度の変更又は投与速度の変化の必要性を最小化し又は除去する。
【0021】
さらには、用量の又は速度の調整が必要とされる場合には、私の発明は、長期デリバリーシステムによる投薬の開始後におけるそのような用量又は速度の調整の、治療に対する負の影響及び費用を最小化することを助ける。
【0022】
私の発明はまた、例えばインターフェロン及び1又はそれを越える非インターフェロンの補助的な治療薬剤又は第2の構造的に異なるインターフェロンさえも用いた併用療法を提供する。
【0023】
発明の要約
本発明の1の側面は、温血動物における例えばインターフェロン応答性の障害である、障害の治療のための方法である。上記方法は短期使用のために製剤された例えばインターフェロンである少なくとも1の薬剤を投与すること、治療的活性を増加させ、そして好ましくは最大化し、一方で同時に有害な副作用を減少させ、そして好ましくは最小化すること、そして引き続き長期デリバリーシステムにより投与される用量及び長期デリバリーシステムにおいて使用するのに好適な長期の製剤を選択することを含む。その後長期の製剤が長期デリバリーシステムによりデリバリーされ、必要な場合には、さらに治療的応答を最大化し、一方で同時に有害な副作用を最小化するために、用量が長期の製剤及び長期デリバリーシステムについて引き続き調整される。
【0024】
本発明の別の側面は、温血動物における、例えばインターフェロン応答性の障害である、障害の治療においてインターフェロンのような薬剤の用量を個別化することである。上記方法は、医師が治療の期間の間、彼の又は彼女の個々のニーズに合わせて特定の患者を治療するための用量を確立することを許容する。上記方法は短期使用のために製剤された、例えばインターフェロンである少なくとも1の薬剤を投与すること、複数の患者において同時に有害な副作用を減少させ、好ましくは最小化しながら治療的応答を増加させ、好ましくは最大化するために、短期の製剤の用量を調整すること、及びそのような患者の十分に大きな母集団における最も共通して確認された最適用量を、単位用量として定義するために決定することを含む。引き続いて、全体として短期の製剤による投与中に確認された最適用量が、長期の製剤及び長期デリバリーシステムを用いて単位用量/部分化された単位用量の併用により近似されうるように、長期の製剤及び長期デリバリーシステムを用いて少なくとも1の単位用量が場合により1又はそれを越える部分化された単位用量とともに投与される。その後、用量が選択され、長期デリバリーシステムにおける長期の製剤により投与される。長期の用量は長期デリバリーシステムを経て投与され、長期デリバリーシステムを介する長期の製剤の用量は場合により、さらに同時に有害な副作用を最小化しながら治療的応答を最大化するために、調整される。
【0025】
本発明の他の側面は、時間の経過に伴い薬剤をデリバリーするための長期のデリバリーシステムの製造方法である。上記方法は、時間の経過に伴い特定化された一定速度、上記薬剤によって時間の経過に伴い治療可能な患者における疾患の状態を治療する標準的な投与速度であるように決定された速度、で薬剤をデリバリーするためにデザインされた長期のデリバリーデバイスを調製すること、及び長期の間、特定化された一定の速度、それは部分化された第1のデバイスの標準的な投与速度である、で同一の薬剤をデリバリーするためにデザインされた第2の長期デリバリーデバイスを調製することを含む。各デバイスは、患者に適切であるように決定された上記投与速度又は部分化された投与速度に依存して、それを単独又は組み合わせで必要とする患者に提示するのに好適である。上記患者は、その後、例えば年令、性別、体重、健康状態等の上記患者の特性に依存して、標準的な投与速度又は標準的な投与速度より小さいか大きい、ある部分化された速度をデリバリーするデバイスを得る。
【0026】
本発明のなお別の面は、時間の経過に伴って、一定量の薬剤をデリバリーするのに有用なキットであり、ここで母集団中の個々の患者にデリバリーされる薬剤の量が上記患者の治療への個々のニーズに適合させられることができる。上記キットは以下の:(a)時間の経過に伴って、一定速度、時間の経過に伴って母集団中の患者の疾患の状態を治療する標準的な投与速度である単位速度として決定された速度、で薬剤をデリバリーするためにデザインされた少なくとも1の長期デリバリーデバイス、及び(b)時間の経過に伴い同一の薬剤を比較的一定速度でデリバリーするためにデザインされた少なくとも1の長期デリバリーデバイスであって、上記速度が部分化された標準的な投与速度であり、ここで上記キット中の各デバイスが上記患者に適切であるように決定された投与速度に依存して、それを単独又は同一のデバイス又は異なるデリバリー速度を有するデバイスとの組み合わせで必要とする患者に提示するのに好適である、上記デバイス、を含む。あるいは、上記キットは時間の経過に伴い、同一の薬剤を同一の又は異なる一定速度でデリバリーするためにデザインされた少なくとも2の長期デリバリーデバイスを含み、そのための各速度は部分化された標準的な投与速度であり、ここで上記キット中の各デバイスが、上記患者に適切であるように決定された投与速度に依存して、それを単独又は同一のデバイス又は他のデバイスとの組み合わせで必要とする患者に提示するのに好適である、上記デバイス、を含む。
【0027】
本発明は、オメガインターフェロンの投与に特別に有益であるが、例えばインターフェロン応答性の疾患又は症状を有する温血動物におけるインターフェロン受容体に結合し、活性化するインターフェロン(又はその混合物)である、他の薬剤の使用をも含むものである。本発明はまた、インターフェロン、又はそれらの混合物及び1又はそれを越える非インターフェロン又は第2の構造的に異なるインターフェロンのような薬剤の併用療法をも含む。本発明はC型肝炎を治療するオメガインターフェロンの投与のために特別に有益である。
【0028】
本発明はまた、例えばサイトカイン、ホルモン、又は同属種、或いはそれらのアナログである、いかなる高度に強力な分子の投与にも有用であり、ここで、短期又は長期の用量の適切な選択によって重大な副作用が軽減されることができ及び/又は利益が増大させられることができる。
本発明は以下の:成長欠陥及び組織への傷害を治療する成長ホルモン;内分泌異常又は癌を治療する黄体形成ホルモンのような性ホルモン又は、黄体形成ホルモン放出ホルモンのような関連する放出因子、の投与に特別に有益である。
【0029】
本発明は異なる製剤の数によって制限されるものではない。例えば仮に比較的少量のインターフェロン(その体内における持続時間は数時間から数日である)が、同一の製剤中で(しかし、より多量に供給されることにより、その体内における持続時間は数週間又は数ヵ月である)デリバリーされた、より多量の同一又は異なるインターフェロンの安全性、耐容性、及び有効性を評価するために用いることができる製剤によりデリバリーされる場合、本発明は短期及び長期の治療の両方に影響する単一の製剤のこの差別的な使用をも含むものである。上記のより大きな量は上記のより小さな量と、好ましくは少なくとも4倍、より好ましくは少なくとも12倍、そして最も好ましくは24倍またはそれ以上異なる。
【0030】
本発明による治療的方法は、急性の、慢性の、寛解する、又は再発生の疾患又は症状の治療に、断続的な又は反復した使用に受け入れられることができる。
短期の治療から長期の治療への移行にわずかな遅れがあるか、又は遅れがない場合(数分から数日)又は短期の治療から長期の治療への移行に遅れがある場合(数週間から数ヵ月)、本発明の治療的方法が用いられることができる。例えば、オメガインターフェロンのようなインターフェロンの短期投与は単一の用量レベルで1〜14日の間の治療を行うことができ、これらの最初の14日間の間の徴候、症状そして実験値を考慮して得られた情報に基いて適切な長期の治療が15日目から始まることができる。代わりに、そして再び例えば、短期投与を1〜14日の間で行うことができ、続いて第2の、しかし異なる短期投与が15〜28日の間、そして長期の治療が29日目から始まることができる。他の例では、アルファ又はガンマインターフェロンの短期の製剤に対する応答性及び耐容性に関する情報が1〜12ヵ月間の先の治療の間に得られることができる。この1〜12ヵ月の期間の間、アルファ又はガンマの用量は同一のままであるか又は患者の応答及び有害な副作用に従って変更されることができる。それによって、治療を伴わない不確定の長期の期間が生じうる。治療は不完全な治療的応答又は受け入れ難い有害な出来事を含むいくつかの理由のうちのいずれかによって休止させられることができる。そして、例えば、治療をしない期間は1〜12ヵ月持続することもできる。その後、しかしなお1〜12ヵ月間の先の有効な治療の間に得られた情報に基いて同一又は異なるインターフェロンの長期投与の製剤による治療が始まることができる。
【0031】
本発明のその他の側面は当業者にとっては以下の明細書をさらに読むことによって明らかであろう。
【0032】
発明の詳細な説明
治療方法
本発明の1の側面は、温血動物における例えばインターフェロン応答性の障害である、障害の治療のための方法である。上記方法は以下のステップ:
・短期の使用のために製剤された例えばインターフェロンである、少なくとも1の製剤を投与すること、上記薬剤に対して応答性の疾患又は症状を有する患者における治療指数を改善するために短期の製剤の用量を調整すること、それによって副作用なしに、ごくわずか、又は臨床的に許容できる副作用を伴う望ましい治療的応答を達成すること;
・短期の製剤の投与中に得られた臨床的な情報に基いて、最初は長期の製剤として投与される用量を選択すること、そして短期の製剤から長期の製剤へ移行する時期を選択すること、そしてそれによって治療指数を保持又はさらに改善すること
・短期の製剤の投与中に得られた臨床的な情報に基いて、短期の製剤から長期の製剤へ移行する時期を選択すること、そしてそれによって治療指数を保持又はさらに改善すること
・その後、長期の製剤の用量を必要な場合には、それに従って必然的にではないが好ましくは上向きに調整すること、
を含む。
【0033】
本発明による方法はいくつかの利益を有する。例えば、重大な毒性の可能性を有するか、時間の経過に伴って異なる毒性又は進行性の毒性を有する可能性を有するか、治療窓が狭い又はむしろない(すなわち、効果的な用量範囲が毒性を有する用量範囲と近似しているか又は重複していること)薬剤による長期デリバリーシステムを用いた臨床的設定又はこれらの因子の組み合わせは非常に高価であるということを考慮してみよ。近年、インターフェロンは、高価であり、治療窓が狭いか又は無く、そして時間の経過に伴って異なる毒性をひきおこしうる。したがって、インターフェロンはそのような1の薬剤に該当する。そのような薬剤については、用量の選択及びその変更は大いに慎重に行われるべきである。
【0034】
インターフェロンによる肝炎の治療はインターフェロン応答性の障害が数ヵ月から1年又はさらに長く典型的に治療されなければならない臨床的設定の1例である。仮に医療提供者が、例えば単一の投与によって数週間又は数ヵ月の治療が可能である長期デリバリーシステムによる治療を始める場合、長期の用量の選択が非常に重要である。
【0035】
システム開始効果又はシステム停止効果があって、これらが無視される場合には、長期デリバリーのためのインターフェロンの投与が一般的に治療経過の間中、より高い又はより低い速度での薬剤のデリバリーを含むことは価値のないことである。ゲル又はポリマーのような長期デリバリーシステムがいったん注射又は移植されると、典型的には外科的な処置なしには変更できない速度で浸食し、溶解する。外部からはデリバリー速度を変更するためにプログラムされ、又は調整されることのできない移植可能なポンプは用量変化をもたらすのに交換又は除去を必要とする。
【0036】
長期の用量が選択され、有効であるが、治療開始後間もなく、例えば総用量の少数のパーセンテージがデリバリーされた後、重い又は深刻な副作用を引き起こしたという例を考えてみよ。すると、患者を保護するためには、用量又は投与速度を減少させるために上記薬剤デリバリーシステムの一部又は全部を除去する必要があるだろう。代わりに、長期の用量が選択され、有効であり、最初は良好な耐容性を示したが、深刻な又は重い有害な作用が後に現れ、しかし、システム中に臨床的及び経済的に意味のあるパーセンテージの薬剤が残っている場合の例を考えてみよ。すると、患者を保護するためには、用量又は投与速度を減少させるために上記薬剤デリバリーシステムの一部又は全部をそれでもやはり除去する必要があるだろう。
そのような除去は以下の:
・患者における手順的なリスク、出費、及び時間を含み
・投与された(高価な)薬剤のうちのいくらか又は全部を無駄にし
・有効な治療のためのチャンスを減らし
・潜在的に便利で、安全そして有効な治療を遺棄するように患者又は医療提供者を誘導する、
ことを生じさせることができ、又は生じさせるだろう。
【0037】
したがって、長期デリバリーシステムの早期の又はそうでなければ危険を伴う、浪費的な除去を避けることは非常に望ましい。本発明による方法はこのゴールの達成を可能とするものである。
【0038】
本発明の方法の利益をさらに例解する。疾患又は医学的症状の治療においては、治療的応答を間違いなく可能な限り迅速に生じさせることが一般的に望ましい。これは薬剤の作用の開始が適切に迅速であることを意味する。しかしながら、十分に重い有害な副作用が生じた場合、典型的な対処法は元凶の薬剤の投与を中止し、薬剤の作用の停止を待つことである。重い副作用が生じた場合、迅速な停止は明らかに望ましい。停止は好ましくは数分から数時間内である。可能性のある重い副作用の開始が比較的速いが、停止が比較的速い薬剤の例は、好適な短期の製剤中の出血を引き起こすヘパリン又はアレルギー性の応答を引き起こすペニシリンを含む注射又は輸注によって投与される以下の薬剤を含む。
【0039】
停止がより遅いが(何時間も何日も又は何週間も)深刻な副作用と結びついた薬剤であって注射又は輸注によって投与されるものの4の例は、シクロホスファミドと骨髄細胞欠乏、シクロスポリンと急性の感染、インターフェロンと顆粒球減少症、又はインターフェロンとうつ病又は自殺的観念形成である。いかなるこれらの副作用も患者の生命を危険に陥れ、患者の死という結果に終わるのに十分なほど重篤である。そのような有害な副作用の存在下、これらの4の臨床的設定においてはそれぞれ、元凶の薬剤を中止し、そして細胞計測数を増加するための顆粒球コロニー刺激因子の投与をすること、感染と戦う抗生物質を投与すること、低用量で治療を再開する前に顆粒球計測数が正常に戻るまで待つこと、或いは患者を入院させ、抗うつ薬、電気ショック治療を与えること又は定常的な身体的拘束を保つことさえもが必要である。
【0040】
薬剤を数週間又は数ヵ月デリバリーすることのできるインターフェロン用量の場合、顆粒球減少症は迅速に、実際のところ数日から数週間で発生しうる。治療の停止又は用量を直ちに減らすことは深刻な感染のリスクを減らすのに必要である。注射剤の形態のインターフェロンは、典型的には体の中に数時間残存し、ペギレイテッドインターフェロンの場合には1週間又はそれを越えて残存する。どちらの場合においても、短期の注射剤の使用は顆粒球減少症が認められてから直ちに変更され又は停止されることができる。回復は典型的には速く、数日以内であり、治療は低用量において再開又は持続することができる。しかしながら、例えば注射されたゲル若しくはポリマー又は移植されたポンプの形態の代わりに多数月の形態のインターフェロンが存在した場合、上記薬剤が継続して存在する間−上記ゲル、ポリマー又はポンプが外科的に切除又は摘出されるまでそして、されない限り、顆粒球減少症は持続し又は悪化する。上述の理由により、突然のそして予定外の長期デリバリーシステムの除去は非常に望ましくないものである。
【0041】
本発明による方法によって、短期の製剤が、目的とする治療的効果が達成されるまで投与され、調整され、そして治療開始後数日又は数週間で有害な副作用が急性的に生じた場合、上記用量はこれらの作用を減少させるために低下させられる。そして、その時に限り、長期の用量が選択され、上記長期デリバリーシステムが注射され又は移植され、これによって先の短期用量の選択の利益が保持される。
【0042】
薬剤を数週間又は数ヵ月デリバリーすることのできるインターフェロンの用量の場合、例えばインターフェロン治療の後数週間又は数ヵ月における自殺的観念形成の発生は医学的緊急事態となる。本発明による方法はこのリスクを減少させることができる。ここに記載された方法を適用することにより、選ばれた患者において短期投薬の形態の治療を何週間も何ヵ月も続けることができ、うつ病又は自殺的観念形成のリスクが過ぎ去ったか又は低いと判定された後には適切に選択された長期の用量が投与されることができる。
当業者はここに含まれる実施例中に記載されていない本発明の他の利益を認めるであろう。
【0043】
一般的に本発明の多様な側面が薬剤の長期デリバリーに関するものである一方、本発明の詳細はインターフェロン、特別にはオメガインターフェロン、を選択された薬剤として用いて説明される。“インターフェロン”(又は“複数のインターフェロン”)という用語はその最も広い意味、すなわち強力なサイトカインである糖タンパク、すなわち免疫応答の強さ及び持続を制御する、細胞間の連絡に含まれるホルモン様の低分子量タンパクであると解釈されることを意図する。インターフェロンは複雑な抗感染性の(例えば抗ウイルス性の)、免疫調節性の、そして抗増殖性の活性を有する。したがって、ウイルス由来の障害、免疫システムの障害、そして一般的には癌と称される障害、すなわち悪性新生物の治療に使用される。これらの障害は“インターフェロン応答性の障害”と称される。インターフェロンの型(“IFN”)は天然に生じた及び組み換えのIFNの両方、例えばアルファ−IFN、ベータ−IFN、ガンマ−IFN、タウ−IFN、コンセンサスIFN、白血球−IFN、オメガ−IFN、及び同様のものを含む。上記用語はまた、共有結合又は非共有結合で結合した1又はそれを越えるポリエチレングリコール(“PEG”)分子又はPEG−脂肪酸分子を含むように修飾されたもののような、被修飾IFNをも含む。オメガ−IFNが好ましい。
【0044】
典型的な好適なアルファインターフェロンは Schering Corporation, Kenilworth, N.J. から入手可能なIntron−Aインターフェロンのような組み換えインターフェロンアルファ−2b、Hoffmann-La Roche, Nutley, N.J. から入手可能なRoferonインターフェロンのような組み換えインターフェロンアルファ−2a、Boehringer Ingelheim Pharmaceutical, Inc., Ridgefield, Conn., から入手可能なBeroforアルファ2インターフェロンのような組み換えインターフェロンアルファ−2c、Sumitomo, Japan から入手可能なSumiferon若しくはGlaxo-Wellcome Ltd., London, Great Britainから入手可能なWellferonのような天然のアルファインターフェロンの精製された混合物、又は米国特許第4,897,471号及び同第4,695,623号に記載され、Amgen, Inc., Newbury Park, Calif. から入手可能な特定の製品である、コンセンサスアルファインターフェロン、又はInterferon Sciences により製造されそしてAlferon Tradenameの下にPurdue Frederick Co., Norwalk, Connから入手可能な天然のアルファインターフェロンの混合物、或いは米国特許第6,204,022号及び同第5,939,286号中に記載されたようなアルファインターフェロンアナログを含む。
【0045】
“インターフェロンベータ”又は“ベータ−インターフェロン”又は“β−IFN”という用語は、米国特許第4,820,638号及び同第5,795,779号中に記載されたタンパクを意味する。
【0046】
“インターフェロンガンマ”又は“ガンマインターフェロン”又は“γ−IFN”という用語は、米国特許第4,727,138号;同第4,762,791号;同第4,845,196号;同第4,929,554号、同第5,005,689号;同第5,574,137号;同第5,602,010号;及び同第5,690,925号中に記載されたタンパクを意味する。
【0047】
“インターフェロンタウ”又は“タウインターフェロン”又は“τ−IFN”という用語は、米国特許第5,939,286号;及び同第6,204,022号に記載されたタンパクを意味する。
【0048】
ここで使われる“インターフェロンオメガ”又は“オメガインターフェロン”又は“ω−IFN”という用語は米国特許第5,120,832号及び同第5,231,176号中に記載された種特異的なタンパクを意味する。それはアルファインターフェロンが有効でないか又はその有効性が限定された状況又は患者においてさえ、ウイルス複製、細胞増殖を阻害し、及び免疫応答を調節することができる。オメガ−IFNは、アルファインターフェロンに対して限定された相同性(65%)を有し、ベータインターフェロンに対してはさらに相同性の少ない(35%)、すなわちオメガインターフェロンは構造的に特殊である、天然に生じるインターフェロンである。オメガインターフェロンは、in vitroの試験で判定されたように“α−βインターフェロン受容体”と名付けられてきたものに結合することがわかっている。遺伝子工学の技術を用いて、ヒトを含む動物において使用するのに好適な形態で組み換えオメガインターフェロンが製造される。動物において作成した抗体でアルファインターフェロンに露出されたものはオメガインターフェロンと交差反応をしないことが示されており、すなわち、オメガインターフェロンは免疫学的に特殊である。さらには、in vitroで免疫不全ウイルスに感染した細胞中ではアルファ及びオメガインターフェロンにより誘導された遺伝子シグナルのパターンは異なる、すなわちオメガインターフェロンはまた機能的にも特殊である、ことが示された。
【0049】
上記方法はインターフェロン応答性の障害を有するいかなる温血動物においても使用することができる。上記動物は、家畜、家庭のペット、又は好ましくはヒトであることができる。したがって、上記方法は獣医学のそしてヒトへの医学的使用を有する。この方法により治療された家畜はウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギそして同様のものを含む。家庭のペットはネコ、イヌ、ウサギ及び同様のものを含む。しかしながら、好ましくは、本発明の方法は男性及び女性、若年及び老年の両方のヒトの治療においての適用が主である。
【0050】
本発明による方法によって治療可能な疾患は、その母集団の一部はインターフェロンの投与によって治療可能である感染性の(例えばウイルス性の)、免疫性の、又は増殖性の由来を持つ疾患を含む。ウイルス由来の疾患は、Stedman's Medical Dictionary, 26th Editionに述べられているようなウイルス、特別にはB型、C型又はD型肝炎ウイルス、特にはC型肝炎ウイルスである。免疫性の疾患は、患者の免疫システムがアンバランスであるものである。これらの疾患は例えば慢性肉芽腫、後天性免疫不全症候群、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、及び強皮症を含む。増殖性の疾患は一般には多様なタイプの悪性新生物を含むものであり、そのほとんどが周囲の組織に侵潤し、いくつかの部位に転移することができる。これらはしばしば癌と呼ばれ、例えば尖圭コンジローム、ヘアリーセル白血病、悪性黒色腫、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、非−ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、慢性骨髄性白血病、基底細胞癌、カルチノイド症候群、表在性膀胱癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、喉頭乳頭腫症、光線性角化症、又はAID′Sに関連したカポシ肉腫を含む。他の増殖性の疾患は組織又は肺若しくは肝臓のような器官の線維症を含む。結核もまた、本発明による方法によって治療されることができる。
【0051】
本発明による方法を実施するにあたって、それを必要とする患者に対して短期の使用のために製剤された薬剤が投与され、そして治療指数を改善するために調整される。この調整は、薬剤が治療的に作用している、そして既知の又は疑わしい副作用があるか否かを示すための当業者に周知の測定を用いて1又は複数の患者において行われることができる。“短期の使用”という用語は、上記薬剤が目的とする効果を得るために患者に複数回デリバリーされるようにデザインされた製剤として使用されることを意味する。例えば、上記薬剤は注射によって、輸注によって、移植によって、経皮的に、経口的に、非経口的に、又は吸入によってデリバリーされることができる。例えば、インターフェロンは静脈的に、筋肉内に、皮下に6時間ごとに、12時間ごとに、又は24時間ごとにデリバリーされることができる。そのような投薬は一般的には図3に示されたのと同様の濃度プロフィールを示すであろう。投与頻度を変えることによって血中の量が図4に示されるように変わることができる。短期の期間の間に使用される用量はその後治療効果を最大化し、有害な副作用を最小化するために調整される。上記用量は2の要素を有する:用量レベルと投与速度である。投与速度が、単位時間あたりに患者にデリバリーされた量である一方、用量レベルは患者にデリバリーされた薬剤の総量である。
【0052】
例えば、オメガインターフェロンが標準的なルート(例えばIV、IM、経皮的)によって投与された場合、有害な副作用を最小化する一方治療的効果を最大化し、安全で、耐容性があり、そして有効なオメガインターフェロンの慢性C型肝炎(“HCV”)患者への長期投与のための用量を選択するために、以下の重要なパラメーター:標的細胞数、標的細胞の死の速度定数、標的細胞の産生速度、de novoにおける標的細胞の感染速度の部分的な減少、de novoにおける標的細胞の感染の速度定数、ウイルス負荷(すなわち、HCV RNAレベル)、増殖性に感染した細胞数、感染細胞の死の速度定数、感染細胞によるビリオン産生の部分的減少、感染細胞によるビリオンの産生速度、C型肝炎ビリオンの消失の速度定数が有用である。これらについては以下においてさらに詳述する。
【0053】
図1に関しては、リバビリンと併用して又はしない、アルファ−IFNによる3〜12ヵ月の治療に対して耐性のある慢性HCVに感染した個々の被験者における、時間に対するHCVレベルの変化を示すグラフである。各患者は多様な期間の短期で15μg/用量のオメガ−IFNで治療され、週ごとに1週間の7日間のうち1、3、5日目に3の用量で治療された(縦軸及び横軸ともに1次スケールである)。8人のうち3人の患者で、オメガインターフェロンによる治療の後HCV RNAが検出されなかった。耐性のある患者においては、ウイルス負荷における最大の減少が治療の最初の数日のうちに、強力に治療開始後2日という早さで現れる。耐容性そして安全性のプロフィールは治療開始後4週間以内に適切に十分に確立される。
【0054】
図2においては、先にインターフェロンによる治療を受けていない、慢性HCV感染したヒト患者における完全なウイルス消失として測定された応答率の増加を示すグラフが提示される。各患者は多様な期間の短期で15μg/用量のオメガ−IFN治療され、2週間は週ごとに7の用量、そしてその後週ごとに1週間の7日間のうち、1、3、5日目に3の用量で治療された。耐容性そして安全性のプロフィールは治療開始後4週間以内に適切に十分に確立される。
【0055】
図3はヒトにおけるオメガ−IFNの短期用量の後のオメガ−IFNの薬物動態を示すグラフを提示する。排出による半減期の中央値が11.4時間である一方、吸収による半減期の中央値は3.1時間である。
【0056】
図4については、15μgの同一の日用量で、1日あたり1回(q 24時間)及び1日あたり4回(q 6時間)の投薬サイクルの計算されたオメガ−IFNの薬物動態プロフィールを示すグラフである。1日あたり4回の投薬ではトラフ(約28.1pg/mL)からピーク(約29.9pg/mL)までのプラズマ中のオメガレベルの変動はピーク値の約6%である。約29pg/mLという範囲の中間値から、ピーク又はトラフまでの変動は約3%である。そのような小さな変動は事実上は定常状態であり、オメガインターフェロンの投薬開始後72時間以内に達成される。可変性は用量を減らしそして投与の頻度を増加することによってさらに減少させることができる。この定常状態のパターンは、すでに示されたような、プラズマレベルを達成するように速度が調整される固定速度でインターフェロンを放出する長期デリバリーシステムにおいて認められたものを事実上、複製するものである。
【0057】
図1〜4に示された情報及び他の情報によって、治療的効果を増加させ、好ましくは最大化し、有害な副作用を減少させ、好ましくは最小化するために短期の製剤の用量を調整し、そして長期の期間、すなわち1ヵ月から1年又はそれを越えて、時間の経過に伴ってコントロールされた速度でデリバリーする長期デリバリー製剤を用いて上記薬剤をデリバリーするための用量を選択することができる。短期の治療の休止の直後に長期の治療を開始することが望ましい一方、そのような即座の移行は常に必要ではなく、長期の治療を開始するのに数日から数ヵ月かかることがある。短期のために与えられるインターフェロンと異なるインターフェロンが長期の期間に投与されるにもかかわらず、この方法においては、短期でデリバリーされるインターフェロンは一般的には、長期の期間に患者にデリバリーされるインターフェロンと同一である。いったん短期の投与が確立されると、長期のコントロールされた放出のためにパックされているとはいえ、同一の、又は本質的に同一の製剤が長期投与のために使用されることができる。いくつかの場合には、主治医が適切と考えれば、各インターフェロンが同様に又は各インターフェロンが異なるように製剤された、1を越えるインターフェロン又はなお異なるインターフェロン(例えばアルファインターフェロン及びペギレイテッドインターフェロン)が短期又は長期の投与に使用されることができる。有用である場合、上記用量は、最初の長期の製剤によって放出された投与速度の部分化された速度を提供する長期の製剤を投与することによってより高く調整されることができる。目的の用量を時間の経過に伴ってデリバリーするために有用な長期の製剤は、目的の速度でコントロールされたやり方で患者に薬剤をデリバリーするのを助けるいずれの製剤又はデバイスをも含む。これらの製剤は患者に対して内部からの(すなわち、薬剤を内部からデリバリーするために患者に移植可能である)又は外部からの(すなわち、ポンプ又は長期にわたる静脈内輸注システム若しくは経皮的システム)ものである。経口の又は吸入のデバイスが使用されることができる一方、それらは簡単な長期使用に適していない。内部からの場合(移植可能であるか又は注射可能である)、上記製剤は生体侵食性、例えばゲル又はペレット、又は非生体侵食性、例えばポンプのような装置、である。
【0058】
好適な非生体侵食性の製剤又はデバイスの1例は、DUROS(登録商標)システム(ALZA Corporation)を採用するものであり、これは最近は主にチタニウムから作られる微小の薬剤供給ポンプであり、木のマッチ棒と同様に小さくできる。
【0059】
DUROS(登録商標)ポンプは薬剤貯蔵器の内部に製剤を入れた微小のシリンジと同様に作動する。浸透圧を通して、エンジンコンパートメント中に存する塩又は他の好適な浸透作用を有する物質によって、体からの水がゆっくりと半浸透膜を通ってポンプ中へ引き込まれる。この水はその後膨潤し、ゆっくりとそして継続的にピストンを押して、薬剤貯蔵器から体の中へ正確な量の薬剤を供給する、浸透圧性の物質によって吸収される。上記浸透圧性のエンジンは作動のためにバッテリー、スイッチ、又は他の電気機械的な部品を必要としない。上記システムによってデリバリーされる薬剤の量は多くの因子によって調節されており、例えば、製造に使用される材料、ポンプに入る水の量の上記膜による制御、浸透圧性の試剤の強度、上記ピストンの動作に対する摩擦抵抗、貯蔵器の大きさ及び形、上記薬剤の製剤及びタイプ並びに上記製剤が液体、懸濁液又はゲルのいずれであるか、そして薬剤を排出するためのデバイス中に生じた圧力又はそのような排出に抵抗する組織中に生じる逆圧を含む。
【0060】
他の有用な長期デリバリー製剤はALZA Corporationにより開発されたALZET(登録商標)テクノロジーを用いて調製することができる。これらの製剤は外部からデリバリーすることができる。ALZETテクノロジーの詳細は www.alzet.com. において見い出すことができる。
【0061】
本発明による方法及びキットにおいて有用であることができる長期デリバリーデバイスを調製するのに有用なガイダンスを提供する特許は、Alkermesに譲渡されたものを含む。他の特許はALZA Corporation(現在はJohnson and Johnson, Inc. の子会社である)に譲渡されたもの、特別には、その“DUROS(登録商標)”テクノロジーに関するものを含む。本発明の多様な側面のために有用な代表的な特許は以下の米国特許:第5,529,914号;第5,858,746号;第6,113,938号;第6,129,761号;第5,985,305号;第5,728,396号;第5,660,847号;第5,112,614号;第5,543,156号;第5,443,459号;第5,413,572号;第5,368,863号;第5,324,280号;第5,318,558号;第5,221,278号;第4,976,966号;第4,917,895号;及び第4,915,954号を含む。すべてここに参考文献として援用されている。
【0062】
治療方法、例えばHCVの、は図5に関連してさらに視覚化されることができる。上記の図は短期製剤の投薬期間と長期製剤の投薬期間に分割される。短期製剤の投薬期間中のオメガインターフェロンの用量レベルは、最初の抗ウイルス応答(時間の経過に伴い、HCV RNA及び肝臓の酵素のグラフ中に仮説的に示される)を安全性及び耐容性とともに双方を評価するために調整される。上記IFN用量は、許容できる安全性及び耐容性を伴う最大の抗ウイルス活性を達成するように調整される。このプロセスは一連の段階的なボックスであって最大用量のわずかな減少を示すものによってあらわされる。患者を同定する用量で、移行期の間の用量が維持され、その後長期の製剤の投薬が行なわれる。短期の製剤が最初にデリバリーされ、引き続いて短期及び長期の製剤の投薬の重複を伴って又は伴わずに、長期の製剤がデリバリーされる。重複がない場合、長期の製剤のデリバリーはごく短い期間(数秒から数日)、又はより長い期間(1週間から数ヵ月)延期されることができる。上記長期デリバリーは長期の製剤及び1又はそれを越える部分モジュール(又は数部分モジュール)で行う。患者は、肝硬変及び肝臓癌を含むHCV感染の長期の有害な後遺症の防止と同様にウイルス複製の抑制(時間の経過に伴うHCV RNA及び肝臓の酵素の仮説的なグラフによって示されるように)をモニターされる。長期の治療は他の効力の等しい製剤又は部分化された単位用量の形態に合わせて高く調整されるか又は、1又はそれを越える部分化された単位用量の形態を上記デバイスが投与を終了した後に供給することによって低く調整されることができる。好ましくは、単位時間あたりの放出のコントロールされた用量は短期の製剤についての単位時間の間の放出用量とおよそ等しい。例えば、短期投与が24時間で30mgである場合、そうすると長期の製剤は約1.25(30÷24=1 1/4)μg/hrの放出であるようにデザインされる。また一方では、単位時間あたりの長期の用量は上記短期投与と多少異なるかも知れない。
【0063】
用量の個別化
本発明の他の側面は、そのような治療を必要とする患者に対して延長された期間の間にデリバリーされる薬剤の用量を個別化するための方法である。これは移植可能なデバイスを受ける患者のためには特に価値がある。上記方法は、特別にインターフェロン、特にオメガインターフェロンに有用である。例えば、上記方法は単位用量を定義するために、受容者の十分に大きな母集団中で最も共通して認められた最適用量(すなわち、用量レベル又は投与速度)を決定すること;そして引き続き、単位用量/部分化された単位用量の組み合わせによって短期の製剤の投薬中の最適用量が近似されるように、コントロールされた放出のために長期の製剤を用いて、場合により1又はそれを越える部分化された単位用量の分画とともに少なくとも1の単位用量を投与することを含む。目的の用量は、長期デリバリーのために選択され、その後長期デリバリー製剤で投与され、必要な場合には、さらに同時に有害な副作用を最小化するしつつ治療的応答を最大化するために場合によって引き続き調整されることができる。これについては、さらに“薬量決定プロトコール”において議論する。治療方法のセクションにおいて表された原理は用量の個別化の方法に適合する。
便利な部分化された単位用量デバイスを0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9から選ぶことができる。1.0未満のより小さいか又はより大きい値もまた選ぶことができる。1の単位用量製剤及び1の部分化された単位用量モジュール、例えば0.4により、これらの項目の1又は2を用いて0.4、0.8、1.0、1.4及び2.0単位用量を達成することができる。1の単位用量製剤及び2の部分化された単位用量モジュール、例えば、0.3及び0.5により、これらのシステムの1、2又は3を用いて、例えば0.3、0.5、0.6、0.8、0.9、1.0、1.1、1.3、1.5、1.6、1.8、2.0、2.3、2.5及び3.0単位用量の用量を達成することができる。異なる部分化された値を有する入手可能な部分化された単位用量モジュールの数の増加及び/又は利用可能なシステムの数の増加によって、いかなる目標の単位用量数をも達成することができる。この方法で、短期の治療期間からの結果に基いて、長期の治療中の用量を個別化することができる。
【0064】
しかしながら、長期の製剤及び長期デリバリーシステムから予想されるものと比較して短期の製剤及び投薬療法の整合性が最適でないとしても、最近でも過去のものであっても、最初の短期の製剤の使用は、それでもなお、有用な抗ウイルス活性(C型肝炎の場合において)の認識及びインターフェロンによる治療の経過の早期に現われる有害な効果の認識を促進するだろう。そしてそれはまた有効であるには低すぎるか又は安全で耐容性を示すには高すぎる長期デリバリーシステムの用量又は投与速度の未熟な選択を防止することを助けるであろう。
上記短期の製剤が、そのデリバリーの特徴が長期の製剤及び付随した長期のデリバリーシステムのデリバリーの特徴と非常によく整合性があるようなやり方でデリバリーされる場合、短期の製剤を用いて有効、安全かつ耐容性があることがわかった、1日あたりの、1週あたりの又は1月あたりの(又はいずれかの他の便利な単位時間の)総用量が長期の製剤について調整されることができる。当業者は、この用量近似の過程が、化学的に修飾された又はされない、そして糖修飾された又はされない(又はその両方の)インターフェロン又はインターフェロン活性を有する他のインターフェロン様タンパクに適合することを認識するであろう。
【0065】
製造方法
本発明の他の側面は、オメガ−IFNのような薬剤をコントロールされたやり方で時間の経過に伴ってデリバリーするためのデリバリーシステムを製造する方法である。上記方法は、時間の経過に伴って、比較的一定の速度で薬剤をデリバリーするためにデザインされた長期のデリバリーデバイスを調製すること、ここで上記速度は時間の経過に伴って上記薬剤によって治療可能な患者の疾患の状態を単位時間の間に治療する標準的な用量を受け取る患者のためにデザインされた標準的な投与速度であるように決定される、及び時間の経過に伴って、比較的一定の速度で薬剤をデリバリーするためにデザインされた複数の長期デリバリーシステムを調製すること、ここで各モジュールのための速度は部分化された上記標準的な投与速度である、を含む。1を越える単位用量又は1を越える部分化された用量が選択されることができる。各システムは上記患者に適切であるように決定された投与速度又は部分化された投与速度に依存して、それのみ又は同一のシステム若しくは標準的な投与速度をデリバリーする長期の製剤との併用を必要とする患者に提示するのに好適である。
特別な例によれば、オメガインターフェロンの短期の製剤は、慢性HCV患者に1又は2週間にわたって投与される。週用量は22.5〜360μgにわたることができる。上記患者は有害な症状の存在、徴候又は実験パラメーターによって評価される。HCV RNAレベルもまた測定される。実験パラメーターは通常、顆粒球数が決定できるように、白血球の分別に従って白血球数の測定を含む。好ましくは検出不可能なレベルまでHCV RNAレベルが低下し、しかし顆粒球カウントが1000細胞/mm3 未満に低下した場合、オメガインターフェロンの用量を例えば1/3 又は1/2 減らすことができる。HCV RNAレベル及び顆粒球カンウトは再度モニターされ、例えば顆粒球カウントが少なくとも2000細胞/mm3 に回復し、そしてHCV RNAレベルがなお満足に減少している場合、長期投薬システムがすぐに注射され、又は移植される。長期デリバリーシステムにおける用量は、有効で許容できるように安全であることが先に示された短期の用量に好適に近似するように選択される。
他の特別な例によれば、オメガインターフェロンの短期の製剤が慢性HCV患者に対して4ヵ月間、投与される。重大な急性の副作用はなく、HCV RNAレベルは99.99%を越えて減少する。4ヵ月の治療の後、患者はうつ病になる。うつ病は慣用の経口抗うつ剤に対して応答せず、そして上記患者は自殺的になる。オメガインターフェロンを一時的に中止する。上記短期の製剤の使用はさらに迅速な作用の停止を促進する。上記患者は入院させられそして電気ショック治療を受ける。自殺的観念形成は止んで、うつ病は寛解する。オメガインターフェロン治療は、短期の製剤を用いてより低い用量で再開される。うつ病が再びあらわれることはなく、HCV RNAレベルはなお低下しており(99%以上)、4〜6ヵ月後長期デリバリーシステムがここで有効かつ十分に耐性を示すことが示された、新たな減少した用量に好適に近似するように選択される。
第3の特別な例によれば、慢性HCV患者が短期の投薬形態のアルファインターフェロン(ペギレイテッド又は否か、経口のリバビリンと共に又は否かで)で6〜12ヵ月治療される。アルファインターフェロン療法による1年の治療の後、HCV RNAレベルは約80%減少するが、なお検出可能である。アルファインターフェロンによる治療が中止される。1〜12ヵ月後、オメガインターフェロンが、短期の投薬形態を用いて2週間投与され、許容できない急性の副作用を伴わない、治療へのウイルス応答性を示すために好適な実験室の及び臨床のテストが行われる。
【0066】
そして上記システムは、医師又は他の医療提供者であって年令、性別、サイズ、健康状態等のような患者の特徴に依存して時間の経過に伴って患者のための投与速度を個別化する者によって使用されることのできるキットとみなすこともできる。最も共通して処方される用量又は投与速度が中央値又は“標準”又は“単位”用量とみなされることができる。しかしながら、すべての患者の体重の中央値よりも物理的に低い体重を有する人にとっては、中央値よりも実質的に高い体重を有する人が、上記単位投与速度の140%例えば単位用量システムに加えて単位投与速度の40%で放出する第2のシステム、を必要とする一方、そのそれぞれが“単位”投与速度の約40%すなわち合計で80%を与える、2のデリバリーシステムの使用が適切であろう。
【0067】
キット
本発明のなお他の側面は、時間の経過に伴って、比較的一定量の薬剤をデリバリーするのに有用なキットであって、ここで、母集団中の個々の患者にデリバリーされる薬剤の量が患者の治療に対する個々のニーズに調整されることができる。上記キットは、時間の経過に伴って比較的一定の速度で薬剤をデリバリーするようにデザインされた少なくとも1の長期のデリバリー製剤であって、上記速度が時間の経過に伴って、母集団中の患者の疾患の状態を治療する標準的な用量としての単位速度であるように決定される、及び時間の経過に伴って比較的一定の速度で同一の薬剤をデリバリーするためにデザインされた少なくとも1の長期デリバリーシステム又はデバイスであって上記速度が部分化された標準的な投与速度である、を含む。上記キット中の各製剤は、標準的な用量製剤としてそれを単独で、又はその部分化された量を必要とする患者に提示するのに好適である。
【0068】
上記キットはまた、上記患者に適切であるように決定された投与速度に依存して2又は3の同一システムの組み合わせを含むことができる。
【0069】
上記キットはまた、時間の経過に伴って、同一の薬剤を同一又は異なる(なお比較的一定の)速度でデリバリーするようにデザインされた少なくとも2又はそれを越える長期デリバリーデバイスを含むことができ、ここで各速度は部分化された標準的な投与速度であり、上記キット中の各デバイスは、上記患者に適切であるように決定された投与速度に依存して、それ単独又は同一のモジュール若しくは他の標準的なデバイスとの組み合わせを必要とする患者に提示するのに好適である。
上記キットはまた、短期の製剤とそのためのデリバリーデバイス又はシステムの組み合わせ及び長期の製剤を含む1又はそれを越える同一の又は異なる長期のデリバリーシステムを含むことができる。
例として、以下の表に異なるキットを示す:
【0070】
【表1】

表中の例は非制限的であり、当業者は、他の組み合わせが可能であることを認識するであろう。
【0071】
本発明の上記製造方法及び上記キットの側面は好ましくは、さらなる改良を含む。これは書面の投薬指示である。上記投薬指示は、時間の経過に伴う患者のニーズに依存した個々の患者のための上記薬剤の目的の放出速度を達成するための1又は組み合わせのデバイスを採用することによって、薬剤の投与速度を調整するためのものである。
【0072】
例として、短期のシステムとともに又はそうでなく、上記キットに含まれる上記長期投薬システムに加えて、上記キットはまた、適切な短期及び長期の投薬を決定するための免疫診断の又は免疫療法のプロトコール中のオメガインターフェロン又は他のインターフェロンの使用を記載した書面の投薬指示を含むことができる。プロトコール中で考慮される他の因子は、治療される医学的な障害、そしてC型肝炎の場合には、インターフェロンに対する応答性に影響を与えることのできる、患者の又はウイルスの因子、例えば年令、性別、体重、身長、人種又は民族性、一塩基多型又はハプロタイプを含む遺伝的プロフィール、医学的障害の持続時間及び重症度、肝臓の損傷の存在又は重症度、付随する疾病、付随する投薬等と同様にウイルスサブタイプ及びウイルス負荷、を含む。
【0073】
例として、書面の指示を直接容器に付けることもできる(担体又は賦型剤と共に又はそうでないインターフェロンを含むバイアルに直接ラベルを付するようなことによって)。代わりに、インターフェロンを保持する閉鎖容器システムを箱のような第2の容器に入れ、パッケージの挿入物の形態で書面の指示をインターフェロンを保持する第1の閉鎖容器システムとともに第2の容器中におくことができる。
【0074】
書面の部分は、例えばオメガインターフェロンのようなインターフェロンを単独療法として又は1又はそれを越える他のインターフェロン、1又はそれを越える非インターフェロンとの併用療法の一部として、又は他の薬剤との併用若しくは混合として、薬剤の処方の指示を記載することができる。そのような指示は、インターフェロン応答性の障害(例えば、C型肝炎)を含む。書面の指示は、単独療法又は併用療法の一部としてインターフェロン又は他のインターフェロンが、例えばウイルス性C型肝炎の治療に有用であることをさらに記載すべきである。
【0075】
本発明の好ましい実施態様において、書面の指示は、オメガインターフェロンを治療の中で用いられるインターフェロンとして記載するであろう。最も好ましい実施態様においては、書面の指示は、オメガインターフェロンがウイルス性肝炎、特別にはウイルス性C型肝炎及びウイルス性B型肝炎の治療中で使用されると記載するであろう。
【0076】
他の実施態様において、上記書面の指示は、上記インターフェロンが細菌細胞内で生産された(そして従って通常は糖修飾されていない)又は哺乳動物細胞内で生産された(そして従って通常は糖修飾された)組み換え体の形態であると記載することができる。上記書面の指示はまた、上記インターフェロンは化学的に修飾されていない、又は例えば多様な長さのポリエチレングリコール部分をインターフェロンの多様な結合部位において付加することにより化学的に修飾された、と記載するであろう。上記書面の指示はまた長期の製剤又はモジュールをいかに投与するかについても記載するであろう。
【0077】
なおさらに、上記の書面の指示中では、短期の製剤の最初の安全性、耐容性、そして有効性のプロフィールを確立するための適切な用量が、平均で週あたり1〜210μgのオメガ−IFN、そしてより好ましい実施態様においては週あたり9〜60μgを投与することにより、提供される。上記書面の指示は、上記プロトコールに続いてインターフェロンの安全性、耐容性、及び有効性に関連して観察された現象に応じて、最初の用量を調整することを記載するであろう。書面の指示はまた、インターフェロンを含む1又はそれを越える長期デリバリーシステム及び関連する長期の製剤を含むか又はそれとともに用いられる、前記長期デリバリーシステムによってデリバリーされる用量又は投与速度を選択するためのプロトコールを参考として引用するであろう。
【0078】
上記書面の指示は、好ましくは、米国食品衛生局のようなそのようなインターフェロンを販売するための許可について権限のある取り締まり機関によって要求される形態で、処方薬のパッケージの挿入物の形態で供給される。上記書面の指示は、インターフェロン応答性の障害を有する患者において使用するためにインターフェロンが処方されることを表示する。好ましい実施態様においては、上記書面の指示は、上記インターフェロンがオメガインターフェロンであり、上記インターフェロン応答性の障害がウイルス性肝炎、特別にはウイルス性C型肝炎であることを表示する。上記書面の指示は、上記インターフェロンが1次的又は2次的治療として又は他の治療との併用において有用であることを表示する。それは上記インターフェロンがC型肝炎患者の感染した肝臓に効果を及ぼす一方、上記インターフェロンはまた、治療的効果を及ぼさない他の組織にも到達することをさらに記載する。
【0079】
主な毒性もまた記載されそして、例えば、頭痛、インフルエンザ様の症状、痛み、発熱、無力症、悪寒、感染、腹痛、胸痛、注射部位反応(妥当な)、倦怠感、過敏性反応、失神、血管拡張、低血圧、悪心、便秘、下痢、消化不良、食欲不振、貧血、血小板減少症、白血球減少症、その他の血液疾患、筋肉痛、関節痛、不眠症、めまい、自殺的観念形成、うつ病、集中力の減退、健忘症、錯乱、被刺激性、不安、神経質、性欲減退、じんま疹、脱毛症、その他が含まれる。
【0080】
上記書面の指示にはさらに、発熱、悪寒、又はインフルエンザ様の症状が観察された場合、これらはティレノール(Tylenol(登録商標))、ベナドリル(Benadryl(登録商標))のような抗ヒスタミン剤により治療されることができ、そして低血圧は液体又は昇圧剤の投与に反応することができ、症状又は徴候が十分に重い場合には用量が減少されるか、治療が終了されるべきであることを記載すべきである。
【0081】
上記書面の指示はまた、短期投与を意図したインターフェロンの製剤のデリバリーは、注射、輸注、吸入、経口又は経皮的投与によることを記載することができる。好ましい実施態様は、注射又は輸注によるものであり、最も好ましいのは注射による。警告、注意、及び禁忌は記載されるべきである。
【0082】
薬量決定プロトコールの実施例
C型肝炎のような疾患の治療においては、インターフェロンの投与による抗ウイルス効果は数時間又は2、3日中に明らかとなる。したがって、インターフェロンの短期の製剤の安全性、耐容性及び有効性の評価を開始するためには、抗ウイルス効果を評価するための短期の薬量決定プロトコールを利用することが有益である。このプロトコールは本発明をさらに解明することとなる。
【0083】
ベースラインにおいて(好ましくは、短期の製剤による投薬開始の前1時間以内)及び好ましくは投薬開始後8及び14日で化学、血液学、そして肝機能の試験を実施する。C型肝炎ウイルスリボ核酸レベル(HCV RNA)試験のためのサンプルを、その後ベースラインにおいてそして再び好ましくは第1日(Day 1)の投薬(インターフェロンの最初の用量)の後、2、4、7、10、14、19及び24時間で;第2日(Day 2)の投薬の後、5及び10時間で;及び第3、4、5、6、8、10、12及び14日の(Days 3、4、5、6、8、10、12 and 14)日用量のオメガインターフェロンの投薬の直前に得る。必要な場合には、一方で短期の製剤を投与しそして一方でウイルス性の応答並びに安全性及び耐容性を評価し、同様のテストを2〜4週間の間隔で実施する。最も好ましくは、この評価はオメガインターフェロンを用いて実施する。
【0084】
治療に対する応答性は以下の多様なパラメーター:
・検出可能なHCV RNAの欠如(ウイルス負荷は、使用されるアッセイの検出性の下限よりも低い)又は
・ウイルス負荷のベースラインの所定のパーセンテージ、例えば治療前のレベルの50%、未満までのHCV RNAレベルの減少、
・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)のような肝臓の酵素の正常又はベースラインの所定のパーセンテージ、例えば治療前のレベルの50%、未満までの減少又は
・肝臓の生検により評価された組織病理学的変化、
により評価することができる。
【0085】
異なるレベルにおける、そして多様な期間における投薬は、短期の製剤のための適切な安全性、耐容性、及び有効性のプロフィールを確立するため(すなわち治療的応答を最大化し、有害な副作用を最小化すること)及び短期の製剤の使用の間に得られた情報の予知的な能力を亢進するために必要である。そのような評価の持続時間は1日と短いことも可能であるが、好ましくは、そのような評価は少なくとも1週間、さらに好ましくは、2又は4週間、そして最も好ましくは4から8週間にわたって行なわれる。
【0086】
抗ウイルス応答の評価又は肝機能試験における変化の測定は、長期のデリバリーシステムの長期投与を目的とした用量(すなわち、用量レベル又は投与速度レベル)を選択するために必要である。C型肝炎患者における抗ウイルス効果の非常に迅速な評価は、以下に記載するように達成される。本発明は、特別なウイルス性の薬力学的なモデル、用量、時間若しくは時間間隔又は特別なモデルの適用において考慮される因子に限定されるものではない。抗ウイルス応答の評価が長期の治療が開始の数日又は2〜3週間以内であることが好ましいにもかかわらず、本発明は、最初の抗ウイルス評価を長期の治療の開始の何週間も何ヵ月も又は可能なら1年又はそれを越えて以前に行うことの可能性もその範囲に含む。
【0087】
ウイルス動力学のモデリングの説明
オメガインターフェロンによる治療の間のC型肝炎ウイルス動態の動力学をモデル化するために、我々は微分方程式により説明されるウイルス感染の標準モデルを用いた。
dT/dt=s−dT−(1−η)βVT
dI/dt=(1−η)βVT−δI
dV/dt=(1−ε)pI−cV
以下の表に示されるように用語を定義する:
【0088】
【表2】

【0089】
最初、η=0であり、増殖性に感染した細胞の数が治療の最初の2日間、比較的一定である場合には、時間tにおけるウイルス負荷(V)、V(t)は
V(t)=V0〔1−ε+εexp(−C(t-t0))〕
である。
【0090】
その中でもパラメーターε及びCは、オメガインターフェロンの投薬開始後48時間の間に測定されたHCV RNAレベルを上記の式に当てはめるための非直線回帰分析を用いて各患者について推定可能である。各患者について計算されたこれらのパラメーター値を用いて、2週間の治療の間比較的一定に残存する標的細胞数を仮定し、非直線回帰分析はまた以下の式を用いて各患者のパラメーターδを推定するのにも用いることができる。
V(t)=V0{Aexp〔λ1(t-t0)〕+(1−A)exp〔−λ2(t-t0)〕}
ここで
λ1,2=1/2{(C+δ)±〔(C−δ)2+4(1−ε)Cδ〕1/2
A=(εC−λ2)/(λ1−λ2
【0091】
アルファインターフェロンに耐性のあるC型肝炎患者におけるオメガインターフェロンの異なる2の用量を用いた臨床試験において得られたデータをこれらの式に当てはめることにより、我々は抗ウイルス効果のキーパラメーター、ε及びCについて以下の値を推定した。
【0092】
【表3】

【0093】
これらの知見は、平均して75〜78%の感染細胞によるビリオン産生の減少があり、用量の増加とともにビリオン消失の速度定数も増加した、すなわち一定の消失レベルに必要とされる時間が減少している、ことを示す。
【0094】
ウイルス性C型肝炎患者における、記述されたタイプの臨床試験のデータの分析により、いくつかの用量のインターフェロンの活性並びに抗ウイルス活性の時間変化及びメカニズムを推定することができる。最初の抗ウイルス活性を測定するモデルパラメーターはε、感染細胞によるビリオン産生の部分的減少、である。1の用量レベルで治療されたいずれの患者の群についても、εの群の分布幅、中央値及び平均(正規近似による95%の信頼区間で)を決定することが可能である。患者の同一の群は異なる用量レベルで治療することができ、抗ウイルス効果を患者内及び患者間で比較する。このタイプの試験のデータは、長期の治療の間に投与される用量の選択を導くのに使用することができる。
【0095】
患者の多数の投薬群について計算されたεの多数の対比較を実施することが可能である。各群の対について、εの平均(正規近似による95%の信頼区間で)及びεの中央値(95%の信頼区間で)の相違を報告することができる。
【0096】
可能な抗ウイルス活性の追加の評価として、群の中央値及び平均値(正規近似による95%の信頼区間で)と同様、各患者についてベースラインから治療の終了までの血清HCV RNA、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパルテートアミノトランスフェラーゼ(AST)のパーセント変化を検査することが可能である。
【0097】
ベースラインのALTレベル及び最初のウイルス負荷のεに対する関係及びベースラインのALT及び最初のウイルス負荷のδに対する関係を適切な統計学を用いて評価することができる。理学的検査におけるすべての変化、すべての有害な現象及び実験パラメーターにおける有意な変化を、必要な場合には、評価し、異なる投薬群又は同一の患者に対する異なる用量レベル又は投与速度間で比較する。
【0098】
短期の製剤の投与の後のそのような効果は、長期の用量又は投与速度を選択し、そして単一の製剤かモジュールの組み合わせかにかかわらず、上記(第1の)短期の製剤の投与から上記(第2の)長期の製剤の投与に変更する前に、数時間から数日にわたる短い期間からより長い期間である、数日から数週間、必要な場合には数週間から数ヵ月の期間の間に決定することができる。
【0099】
1の実施態様において、インターフェロンの投薬は、標的の定常状態の血液又は組織レベルを確立するために、2〜24時間の範囲の間隔で実施される。この頻度の投薬を、さらに1〜3又はそれを越える日数の間維持し、その後投薬頻度を医療提供者の任意で減少させる。
【0100】
短期の製剤の投与の目的は、一般的に有効でかつ、一般的に安全で耐容性のある用量を決定すること、すなわち治療指数を改善することである。この目的は、短期の製剤とともにデリバリーされるインターフェロンの用量を段階的に調整することによって達成することができる。投薬は低い又はむしろ無効でさえあると考えられる用量において開始し、規則的な、又は不規則な間隔で段階的に増加する。投薬の増大は、ほとんど耐容性のない用量になるまで又は最大限に有効な用量になるまで(抗ウイルス効果及び肝機能試験における望ましい変化に基づいて)継続することができる。その後、投薬を安定化し、又は緩やかに減少させ、そして選ばれた用量レベル又は投与速度の有効性及び耐容性をテストするために安定化する。この一連の出来事の視覚的な描写のために図5を見ること。
【0101】
長期の製剤とともにデリバリーされる用量を、短期の製剤による治療期間中の短期の製剤の使用によって決定された、最も一般的に有効で一般的に安全かつ耐容性のある用量に一致させるために調整することができる。短期の製剤の使用から得られたデータを最大限に利用するために、短期の製剤の上記用量、用量の間隔及び投与頻度を好ましくは、長期の製剤によってデリバリーされる薬剤デリバリープロフィールに可能な限り近く一致する薬剤デリバリープロフィールを作り出すために調整する。
【実施例】
【0102】
本発明の以下の実施例は本発明をさらに詳細に説明するために提供される。実施例は、説明的なものとしてのみ、解釈されるべきで、本発明の範囲を制限するものではない。
【0103】
実施例1
移植可能であって非侵食性の薬剤デリバリー製剤において使用するのに好適な短期の製剤中のオメガインターフェロン及びそれに続く長期の製剤中のオメガインターフェロン
【0104】
短期の製剤中のオメガインターフェロンの調製及び投与
オメガインターフェロンは、E.coli細菌又は哺乳類のチャイニーズハムスター卵巣細胞中で標準的な遺伝子工学の技術により生産する。そのような技術はインターフェロンについて一般的には米国特許第4727138号及びよりオメガインターフェロンについて特異的には米国特許第5120832号及び米国特許第5231176号にさらに記載されている。上記インターフェロンはその後精製し、そして直ちに使用するか、又は凍結し、そして続いて使用のために解凍する。上記インターフェロンを続いて注射用の水又は他の好適な溶剤とともに再構成するために適切な安定剤とともに凍結乾燥することができ又は最初に液体製剤として使用するために調製することができる。
【0105】
オメガインターフェロンの凍結乾燥製剤のために、33μgのオメガインターフェロン(タンパク存在量で測定した)を、例として、ヒト血清アルブミン25%(5mg)、塩化カリウム(0.2mg)、リン酸2水素カリウム(0.2mg)、塩化ナトリウム(8.0mg)とともに調製する。この凍結乾燥した製剤を2〜8℃に保持し、その後1mLの滅菌した注射用の水で再構成する。当業者には周知であるように、他の製剤も可能である。
【0106】
インターフェロンの液体製剤のためには、上記インターフェロンを、当業者に知られた他の賦型剤のうちで塩化ナトリウム(7.5mg)、2塩基性リン酸ナトリウム(1.8mg)、1塩基性リン酸ナトリウム(1.3mg)、エデト酸2ナトリウム、ポリソルベート80(0.1mg)、そして保存剤としてm−クレゾール(1.5mg)をも含むことのできる、1mLの滅菌した注射用の水に溶解する。
【0107】
この短期の製剤をその後皮下の若しくは筋肉内の注射によって又は大量瞬時投与の静脈内注射あるいは輸液、好ましくは皮下注射によって投与する。
【0108】
長期使用のための製剤は、長期デリバリー製剤に依存する。非侵食性の移植のためには、上記システムにより又はその中に含まれる用量の持続のために好ましい製剤は温血動物の体温において安定なものである。インターフェロンは化学的に安定で、ペルフルオロデカリンのようなペルフルオロカーボン溶剤中で活性のあることが示されている。長期の製剤のデリバリーにおいて使用するのに好適な非侵食性の移植可能なシステムは、米国特許第4976966号、同第5112614号、同第5660847号、同第5728396号、同第5985305号、同第6113938号に記載されており、参考文献としてここに援用されている。
【0109】
最初の、短期の製剤を用いて、安全で耐容性があり、かつ有効な用量が決定された後、ここで好ましくは、上記短期の製剤及び適切に選択された用量及び投薬間隔を用いて、長期のシステムのデリバリーの薬物動態を複製することにより選択を行い、長期の用量及び投与速度を選択する。当業者は、そして所定の総用量とともに長期のデリバリーシステムを負荷することのみが必要であることを認めるであろう。
【0110】
代わりに、インターフェロン応答性の疾患を有する動物の母集団について、短期の製剤を用いて、一般的に安全で有効な単位時間あたりの総用量を確立する。最も好ましいインターフェロンはオメガインターフェロンである。最も好ましいインターフェロン応答性の疾患はC型ウイルス性肝炎である。単位時間は簡便に日、週、月又は4分の1年から選ぶことができる。
【0111】
好ましい単位時間は、選択された長期デリバリーシステムの最長のデリバリー期間、選択された長期デリバリー製剤のための最も信頼できるデリバリー期間、特別のインターフェロン、長期の製剤中のインターフェロンの安定性を含む因子を考慮して選ぶ。
【0112】
本発明によって治療されるヒトの便宜のために、長期の製剤中で長期にわたってデリバリーされる上記薬剤のための好ましい単位時間は、月又は4分の1年のいずれかであり、最も好ましくは4分の1年である。これは、医師に患者における進行を再評価し、必要な場合には、長期の治療を継続する機会を与える。
【0113】
単位用量及び部分化された単位モジュール
上記選択された単位時間あたりの総用量は、その後長期デリバリーシステムのための“単位用量”として選択する。移植可能で、非侵食性のデリバリーシステムの場合には、上記システムは部分化された単位用量を用いて負荷することもできる。生体侵食性のシステムの場合には、より少ない量の生体侵食性のシステムを利用するか又は部分化された単位用量を上記システムに負荷する。
【0114】
C型ウイルス性肝炎の場合、好ましい4分の1年あたりの単位用量は、300〜8100μgのオメガ−IFNである。より好ましい4分の1年あたりの単位用量は300〜5040μg、最も好ましい4分の1年あたりの単位用量は630〜2520μgである。
【0115】
単位用量、望ましければ、1またはそれを越える部分化された単位用量モジュールを用いて、インターフェロン応答性の障害を有する動物のために長期の用量を個別化することができ、そして短期の製剤の先の使用から決定された用量と長期の用量を実際的に合わせること達成できるということを当業者は理解するであろう。
【0116】
しかしながら、インターフェロン応答性の障害の治療における実際的な目的のためには、単位用量の範囲は安全で耐容性があり、有効であって、したがって、過剰に多数の部分化された単位用量モジュールの必要性を最小化するものであることを認めるであろう。さらには、単位用量がうまく選ばれ、十分に多数のインターフェロン応答性の障害を有するヒトからのデータに基づく場合には、これは、さらなる多数の長期の単位用量製剤又は部分化された単位用量モジュールの必要性を最小化することができる。前述のことにもかかわらず、短期の製剤の使用結果からの知見により、1又はそれを越える部分化された単位用量モジュールとともに又はそうでなく使用される単位用量システム(すなわち、長期の製剤)は、用量の選択、長期投薬の個別化及び長期投薬の最適化に大いに柔軟性を与える。
【0117】
実施例2
移植可能であるか又は注射可能である侵食性の又は分散可能な薬剤デリバリーシステムにおいて使用するのに好適な短期の製剤中のオメガインターフェロン及びそれに続く長期の製剤中のオメガインターフェロン
【0118】
オメガインターフェロンを実施例1に記載したように短期の使用のために調製する。
【0119】
オメガインターフェロンを含むインターフェロンの長期デリバリーにおいて使用するのに好適な侵食性の又は分散可能な移植可能又は注射可能な薬剤デリバリーシステムは、米国特許第5,543,156号に記載されたようなシステムを含み、それはここに参考文献として援用する米国特許第5,529,914号、同第5,858,746号、及び同第6,129,761号と同様に、ここに参考文献として援用する。
【0120】
本発明を、単独療法として又は併用療法の部分としてのいずれかで採用するかに関わらず、短期の製剤に好適な又は適切に選ばれた長期デリバリーシステムの長期の製剤に好適なインターフェロン又はインターフェロン様の分子による、いずれかのインターフェロン応答性の症状を有する温血動物の長期の治療を最適化し又は改善するために利用することができることを当業者は認めるであろう。
ここに引用したすべての論文、特許及び他の情報はすべての目的のために、参考文献として援用されている。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】図1は、リバビリンとともに、又はこれを伴わない3〜12ヵ月のアルファインターフェロンによる治療に耐性を有する慢性的なC型肝炎感染を有する個々のヒト被験者における時間に対するHCV RNAレベルの変化を示すグラフである。
【図2】図2は、先にインターフェロンにより治療されていない慢性的なC型肝炎感染患者において、オメガインターフェロンの用量を増加することが連続的に増大するウイルス消失率(応答率)を生じさせることを示すグラフである。
【図3】図3は、ヒトにオメガインターフェロンを単一用量で投与した後のオメガインターフェロンの薬物動態(時間に対するプラズマ濃度)を示すグラフである。吸収による半減期の中央値は3.1時間であり;排出による半減期の中央値は11.4時間である。
【図4】図4は、総日用量は15μgで同一である、1日1回(q 24時間)及び1日4回(q 6時間)の投薬サイクルによるオメガインターフェロンの計算された薬物動態プロフィールを示すグラフである。
【図5】図5は、短期の製剤1を用いて用量を調整し、長期の製剤2で用いる用量レベルそしてそれに伴う長期デリバリーシステムを選択した場合の出来事の連鎖を図解している。移行期間はいかなる持続も可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的有効量のオメガインターフェロンを含む、アルファインターフェロンによる治療に対して耐性を有する慢性C型肝炎ウイルスに感染した患者以外のC型肝炎患者においてC型肝炎を治療するための医薬組成物。
【請求項2】
注射により投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
1日1回以上の注射によって投与される、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
選択された投与間隔の1回以上の注射によって投与される、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記投与間隔が、1週間あたり3回の注射を含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記注射の方法が、皮下注射、筋肉内注射及びボーラス静脈内注射から成る群から選ばれる、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
皮下注射によって投与される、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
輸注によって投与される、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記輸注の方法が、慢性的な静脈内輸注である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
制御された速度で経時的に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
装置を使用して投与される、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記装置がポンプを含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記装置が、前記対象に移植されているか又はその外部にある、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記装置が移植されている、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記装置が浸透圧ポンプを含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
2つ以上の移植可能な装置を使用して投与される、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項17】
オメガインターフェロンの前記治療的有効量が、1〜210μg/週である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項18】
オメガインターフェロンの前記治療的有効量が、22.5〜360μg/週である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項19】
オメガインターフェロンの前記治療的有効量が、23〜623μg/週である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記オメガインターフェロンが組換えオメガインターフェロンである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項21】
以下の:
浸透圧ポンプ;及び
一定量のオメガインターフェロンを含む貯蔵器
を含む、請求項13に記載の医薬組成物の投与に使用される移植可能な装置。
【請求項22】
請求項13に記載の医薬組成物の投与に使用される2つ以上の移植可能な装置を含むキットであって、ここで、該キットは第1の装置及び第2の装置を少なくとも含み、ここで、該第1の装置中のオメガインターフェロンの量が該第2の装置中のオメガインターフェロンの量よりも少ない、前記キット。
【請求項23】
前記第1の装置が部分化された単位用量のオメガインターフェロンを含み、そして前記第2の装置が単位用量のオメガインターフェロンを含む、請求項22に記載のキット。
【請求項24】
1つ以上の前記第1の装置及び1つ以上の前記第2の装置を含む、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
請求項22に記載のキットの製造方法であって、以下のステップ:
部分化された単位用量のオメガインターフェロンを含む第1の装置を調製し、そして
単位用量のオメガインターフェロンを含む第2の装置を調製する、
を含む、前記方法。
【請求項26】
さらに、1つ以上の第1の装置を1つ以上の第2の装置と組み合わせることを含む、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−1590(P2009−1590A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207984(P2008−207984)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【分割の表示】特願2002−538884(P2002−538884)の分割
【原出願日】平成13年10月30日(2001.10.30)
【出願人】(503130459)インターシア セラピューティクス,インコーポレイティド (4)
【Fターム(参考)】