説明

石抜き精米機

【課題】精米初期時及び精米終期時の循環精米時には石抜き機の駆動を停止して消費電力の削減を図ることができる石抜き精米機を提供する。
【解決手段】精米機6と石抜き機7との連結部分には、搗精処理済みの米粒を石抜き機7側へ案内する石抜き機投入樋14と前記玄米ホッパー3側へ案内する玄米戻し樋15とに分岐した精品排出樋12を配設するとともに、その分岐部には二方向に切り替え可能な二方向切換弁13を内装し、石抜き機投入樋14側に切り替えたときには、揚穀機4及び精米機6の駆動を継続させながら、石抜き機7の駆動を開始させるリミットスイッチを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は玄米から乾式無洗米を製造することができる石抜き精米機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイン精米施設に用いられる自動精米装置として、例えば、特許文献1に開示されものがある。このものは、精米室を複数回循環して玄米を精米し及び研米する精米装置を備えたもので、循環経路の途中にチャージタンクを設け、精米装置の排出経路側にチャージタンク側又は製品ホッパー側に切換える切替手段を設け、精米及び研米の初期は未精米及び未研米をチャージタンク側に切り替え、初期循環の精米及び研米を一時貯留するよう構成し、精米及び研米終了行程で精米及び研米を精米室に戻す構成としたものである。
【0003】
この構成により、精米処理を行う際は、玄米を精米タンクで受けて精米装置へ供給して精米を行うが、精米初期は精白米の少量をチャージタンクに貯留させてから精米タンクへ還元させて循環精米が行われ、その余の精白米は製品ホッパーへ取り出して精米運転が継続される。また、精米終期の精白米は、チャージタンクに切替えて貯留させてから精米タンクへ戻して循環精米した後、製品ホッパーへ取り出すことができる。
【0004】
また、精米完了後に研米処理を行う場合は、いったんチャージタンクで精白米を受けておき、精米機の抵抗板を全開(無抵抗)状態にして精白ロールを回転させた後、精白米を精米タンクに供給して研米処理を行う。これにより、循環精米、及び研米処理を行うためのチャージタンクを共用化し、構成を簡単にできるという作用・効果がある。
【0005】
しかしながら、上記従来技術のように精米装置の循環経路中にチャージタンクを設けることは、コイン精米施設や精米小屋に設置するタイプの自動精米装置であれば問題はないが、スーパーや百貨店などの店頭精米と称される米の販売店舗においては、設置スペースが可能な限り小さい機械が望まれる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−262102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点にかんがみ、玄米を精米工程に一回通すことで簡便に乾式無洗米を製造することができ、しかも、設置スペースを縮小し、さらには、精米初期時及び精米終期時の循環精米時には石抜き機の駆動を停止して消費電力の削減を図ることができる石抜き精米機を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明は、玄米投入ホッパー(3)と、投入された玄米を揚穀する揚穀機(4)と、該揚穀機(4)によって供給された玄米を搗精する精米機(6)と、搗精処理された米粒中に混入する石屑などの異物を選別・除去する石抜き機(7)と、前記精米機(6)で発生した糠を回収する糠回収装置(8)とを一体的に連結配置した石抜き精米機であって、前記精米機(6)と石抜き機(7)との連結部分には、搗精処理済みの米粒を前記石抜き機(7)側へ案内する石抜き機投入樋(14)と前記玄米ホッパー(3)側へ案内する玄米戻し樋(15)とに分岐した精品排出樋(12)を配設するとともに、その分岐部には二方向に切り替え可能な二方向切換弁(13)を内装し、さらに、前記二方向切換弁(13)には、該二方向切換弁(13)を前記玄米戻し樋(15)側に切り替えたときには、前記揚穀機(4)及び精米機(6)の駆動を開始するとともに、前記石抜き機投入樋(14)側に切り替えたときには、前記揚穀機(4)及び精米機(6)の駆動を継続させながら、前記石抜き機(7)の駆動を開始させるリミットスイッチ(42)を設ける、という技術的手段を講じた。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、玄米投入ホッパー(3)に玄米を投入すると、揚穀機(4)によって揚穀されるとともに、精米機(6)に供給される。そして、精米機(6)の精白ロールの形状、精白ロールの回転数及び精白室の吸引静圧を制御することによって、精米機(6)の排出口から取り出される米粒は、該米粒を水とともに攪拌して得られる洗米水の濁度が40ppm以下という無洗米の基準を達成している。この無洗米は、精米工程を一回通すことで仕上げることができ、簡便に製造することができる。そして、精米初期は二方向切換弁(13)を玄米戻し樋(15)側に切り替えておくと、揚穀機(4)及び精米機(6)の駆動が開始されて、精米機(6)から排出された米粒が玄米投入ホッパー(3)へ還元させて循環搗精が行われる。このとき、石抜き機(7)の駆動は停止された状態にある。搗精開始から約20秒を経過し、二方向切換弁(13)を石抜き機投入樋(15)側に切り替えると、二方向切換弁(13)のリミットスイッチ(42)がONとなり、揚穀機(4)及び精米機(6)の駆動が継続されながら、石抜き機(7)の駆動が開始され、石抜き機投入樋(14)側へ米粒が取り出されて石抜き選別機(7)に供給される。そして、石抜き選別機(7)においては、米粒中に混入する石屑、ガラス片などの異物が選別・除去された後、精品として取り出されることになる。以上のように、米粒を玄米投入ホッパー(3)へ還元させる循環搗精時には、石抜き機(7)の駆動が停止され、米粒を機外へ排出させる通常搗精時には、石抜き機(7)を駆動させることが可能であり、消費電力の削減を図ることができる。
【0010】
なお、玄米投入ホッパー(3)と、揚穀機(4)と、精米機(6)と、石抜き機(7)と、除糠装置(8)とが連結配置されてコンパクトに一体化され、かつ、精品排出樋(12)に二方向切換弁(13)を内装するとともに、石抜き機投入樋(14)と玄米戻し樋(15)とが分岐して接続してあるから、循環経路中にチャージタンクを設ける必要がなく、スーパーや百貨店などの米の販売店舗であっても小さいスペースで設置することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明の実施形態に係る石抜き精米機を示す斜視図であり、図2は同石抜き精米機を別の方向から見たときの斜視図であり、図3は同石抜き精米機からカバーを取り去ったときの玄米投入ホッパー、精米機及び石抜き機等の配管を示す概略図であり、図4は同石抜き精米機の内部構造を示す縦断面図である。
【0012】
図1乃至図4において、石抜き精米機本体1は、台部2bをヒンジ部2aによって回動させて折り畳み可能に形成した玄米袋の載置台2と、玄米を受け入れるための角錐状の玄米投入ホッパー3と、玄米投入ホッパー3底部に設けられた投入口(図示せず)を開口させるシャッター3aと、該シャッター3aの開放により玄米投入ホッパー3内の玄米を揚穀する揚穀機4と、揚穀された玄米を一時待機させる貯留タンク5と、貯留タンク5から供給される玄米を、精白米又は無洗米に精白する精米機6と、精白された精白米中又は無洗米中に混在する石、ガラス等の異物を選別・除去する石抜き機7と、前記精米機6で発生する糠粉をサイクロンコレクターに吸引させ、該サイクロンコレクターの下部に設けたロータリーバルブから糠を排出する構成の糠回収装置8とを備えている。また、本実施形態の石抜き精米機1は、コインタイマー等(図示せず)を電気的に接続してコインの投入により揚穀機4、精米機6、石抜き機7、及び糠回収装置8の各モータが所定時間駆動されるように構成し、利用者が玄米を持ち込んで各自で精米を行う無人精米施設に適用することもできる。
【0013】
図3に示すように、精米機6には、その上方に揚穀機4により揚穀された玄米を一時待機させる貯留タンク5が載置される一方、精米機6の前面壁6aには(図3及び図5参照)、精白室内の調圧ダイヤル9、穀粒供給シャッター10用のレバー10a、操作パネル11及び精品排出樋12が設けられている。この精品排出樋12には、把手13aの回動により、搗精処理済みの米粒を二方向に切り替え可能な二方向切換弁13を内装するとともに、石抜き機7側へ案内する石抜き機投入樋14と玄米ホッパー3側へ案内する玄米戻し樋15とを分岐して配設しており、精米初期及び精米終期には二方向切換弁13を玄米戻し樋15側に切り替えておき、米粒を玄米投入ホッパー3へ還元させて循環搗精を行うと、精米初期及び精米終期に生じるムラ搗きを防止することができる。
【0014】
さらに、図6に示すように、二方向切換弁13は、精品排出樋12内に回動可能に挿通させた回動軸13bに軸着される一方、把手13aと対向する側の回転軸13bには回動片13cを軸着している。そして、精品排出樋12の裏面側には、リミットスイッチ42が設けられており、前記回動片13cの回動によってリミットスイッチ42がオンし、二方向切換弁13を石抜き機投入樋14側に切り替えたことを検知することができる構成となっている。符号13dは二方向切換弁13を確実に切り替えできるよう、回動片13cの端面13eと精品排出樋12の開口縁13fとを連結した引っ張りバネであり、符号13gは精品排出樋12を精米機6に取り付ける取り付け金具である。
【0015】
図3及び図5に示すように、石抜き機7は、内部に送風ファンが内装された箱形の機枠7aと、該機枠7aに対して揺動可能に支持された多孔選別板7bからなる選別ケース7cとから主要部が構成され、前記機枠7aの揺り上げ側には石屑を排出する石抜き樋7dが、揺り下げ側には精品を排出する精品排出樋7eがそれぞれ設けられている。符号7fは石抜き樋7dからの石屑や選別ケース7c上に溜まった残留米を回収するための石・残留米回収箱であり、符号7gは選別ケース7cの多孔選別板を通過した砕米を回収するための砕米回収箱である。なお、符号Sは精品を袋詰めするための紙袋であり、符号Nは除糠サイクロン8aからの糠を袋詰めするための紙袋であり、図6の符号43は石抜き機7の全体を覆うカバーである。
【0016】
図4は石抜き精米機の内部構造を示すため、図3のA−A’を破断した縦断面図である。精米機6は、図4に示すように、貯留タンク5と連通するホッパー16と、前記穀粒供給シャッター10下方に設けられた供給路17と、送穀室18と、送穀ロール19と、精白室20と、精白ロール21とを備えており、ホッパー16に供給された玄米が送穀室18へ供給され、この送穀室18内の玄米を送穀室18内の送穀ロール19によって精白室20へと移送し、この精白室20の排出口33をバネ34の付勢力によって押圧する抵抗蓋35、及び精白室20内で回転する精白ロール21によって玄米を攪拌しながら搗精圧力をかけて糠層を除去する構成である。精白ロール21の表面には、精白筒20内の長手方向において、前記送穀ロール19による穀粒の移送とは逆方向に移送する精米突条22が形成される(図4に示す精白ロール21の例では、送穀ロール19のリード角とは逆方向であり、リード角を約22.5°〜30°に形成した突条としている。)。
【0017】
前記供給路17内には、該供給路17内の流路幅を調整する流量調整シャッター23が設けられており、ホッパー16に供給された玄米を一定流量で安定的に送穀室18へ供給することができる。前記送穀室18は、横軸24と同軸上の円筒25によって構成されている。
【0018】
前記精白室20は、多孔板又は網体によって形成される多孔壁除糠筒26によって構成され、該多孔壁除糠筒26の一端を円筒25のフランジ25aにより固定し、他端を排出口を形成するフランジ33aにより固定する。そして、前記精白ロール21及び送穀ロール19は、主軸24に軸装されており、その軸端部に軸着した回転プーリ27と、回転用モータ28に軸着したモータプーリ29との間に巻回されたベルト30によって、主軸24が毎分1800回以上の回転数で回転するように構成されている。符号31はテンションプーリである。なお、前記主軸24を中空状するとともに、精白ロール21の突条22に沿って穿孔した噴風溝32を設け、主軸24から噴風溝32を介して精白室20内に除糠用の噴風を送給する構成としてもよい。
【0019】
前記精白室20の排出口33は、バネ34の付勢力によって押圧する抵抗蓋35を設ける。該抵抗蓋35には、機壁の外方に延びる連結棒36が連結され、該連結棒36の中間部には前記バネ34が嵌装され、前記調圧ダイヤル9の回転に伴って連結棒36が左右に摺動してバネ34の付勢力の強弱が調整できる構成となっている。符号45は精品排出用の傾斜シュートである。また、貯留タンク5には揚穀機4から供給される穀粒の供給用開口部40が穿設されるとともに、貯留タンク5からのオーバーフロー用開口部44が穿設され、該開口部44には、オーバーフロー樋44を接続して満量になった米粒を玄米投入ホッパー3に還元することができる構成となっている。
【0020】
符号37は除糠室38を形成する集糠樋であり、集糠管39を介して図3に示す除糠サイクロン8aの糠吸入口8bに連絡している。また、図3に示す除糠サイクロン8aは、該サイクロン8a下流の排気管8c側に吸引排風機8dを設け、サイクロン8a下部にロータリーバルブ8eを設けた構成である。吸引排風機8dとしては、精白室20での吸引静圧が約500Pa(5×10−3気圧)以上となる大型の吸引ファンを採用するのが好ましい。これにより、精白室20においては、米粒表面の糠切れの向上及び米粒の温度上昇抑制の効果があり、糠回収装置8においては、排風機8d内への糠の付着防止や、ロータリーバルブ8eによる間欠的な糠排出による糠の飛散防止の効果がある。符号8fはバルブモータであり、符号8gは糠排出樋である。また、除糠サイクロン8aは、図2及び図3に示すように、カバーから突出した回動レバー8hが設けられおり、該レバー8hを摺動することにより、除糠サイクロン8aが支点8iを中心に回動され、ロータリーバルブ8e下方の糠排出樋8gを第一糠受袋N1直上又は第二糠受袋N2直上に移動可能な構成となっている。
【0021】
図7は電気回路の結線図であり、これを参照して各モータの電気的な接続を説明する。精米機7用のモータ28及び石抜き機用のモータ46は三相交流モータであり、それぞれ電磁接触器47及びサーマルリレー48を介して三相電源RSTに結線されている。また、糠回収装置8に設けられるバルブモータ8f、及び揚穀機4用のモータ49はどちらも単相交流モータであり、バルブモータ8fは精米機7用のモータ28のRT相に結線される一方、揚穀機用モータ49は三相電源のT相及びリレー回路50に結線されている。さらに、排風機8dは電磁接触器47cを介して三相電源RSTに結線されている。
【0022】
操作パネル11内には、電源スイッチ51、過負荷ランプ52、停止押しボタン53、運転押しボタン54及び電流計55が配設され、電源スイッチ51からのオン信号が、精米機用モータ28のサーマルリレー48aの接点及び石抜き機用モータ46のサーマルリレー48bの接点にそれぞれ連絡するように結線されている。また、電源スイッチ51からはトランス56を介してリレー回路50に結線されるとともに、リレー回路50からは揚穀機用モータ49、及び電磁接触器47a,47b,47cのそれぞれの接点に結線されている。さらに、二方向切換弁13を石抜き機投入樋14側に切り替えたことを検知するリミットスイッチ42が、リレー回路50、及びサーマルリレー48a,48bのそれぞれの接点に結線されており、この構成により、二方向切換弁13を玄米戻し樋15側に切り替えておくと、揚穀機4及び精米機6の駆動が開始され、二方向切換弁13を石抜き機投入樋15側に切り替えると、リミットスイッチ42がONとなり、揚穀機4及び精米機6の駆動が継続されながら、石抜き機7の駆動を開始することができる。
【0023】
以下、上記構成における作用を説明する。石抜き精米機の利用者が原料となる玄米を玄米投入ホッパー3内に投入するとともに、あらかじめ玄米戻し樋15側に二方向切換弁13を切換え、調圧ダイヤル9を「0」にセットしておく。次いで、精米に必要な所定金額を図示しないコインタイマーに投入すると、操作パネル11が操作可能となり、この状態で運転スイッチをオンすると石抜き精米機1の各駆動部が所定時間駆動することになる。これにより、玄米投入ホッパー3内の玄米は揚穀機4により揚穀され、貯留タンク5を介して下方の精米機6に供給される。精米機6では、穀粒供給シャッター10のノブ10aを引いてシャッター10を開き、前記調圧ダイヤル9を所望の位置にセットし直す。玄米は、供給路17であらかじめ調整した流量調整シャッター22よって一定流量で安定的に送穀室18へ供給されることになる。
【0024】
送穀室18へ供給された玄米は、送穀ロール19の回転作用によって精白室20に送り込まれ、この精白室20の排出口28を押圧する抵抗蓋37、及び精白室20内で回転する精白ロール21によって玄米を攪拌しながら搗精圧力をかけて糠層を除去し、精米が行われる。精白室20内で回転する精白ロール21は、毎分1800回以上の回転数で回転され、かつ、精白ロールの表面は、穀粒の移送方向とは逆方向に移送する精米突条22が形成され、しかも、精白室20での吸引静圧が500Pa以上に維持されているから、精白ロール21の高速回転により精米の高効率化を実現するとともに、逆方向にねじった精米突条22により米粒を精米室20の中間部に押し戻そうとする作用が生じ、これにより、高速回転による米粒どうしが高速で擦れ合って滑るという発熱ロスを防止し得て、さらには、精白室20での吸引静圧が高いことにより、米粒表面の糠切れ促進及び米粒の温度上昇の抑制が可能となる。
【0025】
以上の作用により、玄米は多孔壁除糠筒26にこすりつけられたり、精米突条22により米粒を押し戻して搗精されたりすることで糠層が除去されるとともに、米粒表面の溝部に詰まった微細な糠粉等も同時に吸引除去される。そして、排出口33及び精品排出樋12から取り出された米粒は、該米粒を水とともに攪拌して得られる洗米水の濁度が40ppm以下という基準の無洗米に仕上がっている。一方、精米室20で除去された糠は、除糠室38から集糠管37を介して除糠サイクロン8aに集糠された後、除糠サイクロン8a下部のロータリーバルブ8eを介して紙袋Nに回収されることになる。
【0026】
洗米水の濁度とは、水と共に試料米を攪拌して得られる洗米水の濁度の測定値であり、一例をあげると、精米試料20gを三角フラスコに入れ、200mlの水を注ぎ、ゴム栓をして振とう器(ヤマト科学(株)製 形式SA−31A等)により10分間振とう(144〜150サイクル/分)する。得た洗米水50mlを10倍に希釈して濁度計(野田通信社製 型式M−204等)で3回測定する。その平均値が濁度である。
【0027】
精米機6における搗精初期は精白室20内の圧力が低いためムラ搗きになりやすく、二方向切換弁13、玄米戻し樋15、玄米投入ホッパー3、揚穀機4、貯留タンク5を介して精米機6に返還され、再搗精されることになる。そして、例えば搗精開始から約20秒を経過して、利用者が目視により所望の白度(又は濁度)に達したと判断すれば、二方向切換弁13を石抜き機投入樋14側に切換えて石抜き作業が開始される。
【0028】
このとき、二方向切換弁13のリミットスイッチ42がON状態となり、リレー回路50から各モータに指令し、揚穀機4及び精米機6の駆動を継続しながら、石抜き機7の駆動が開始されるよう制御される。
【0029】
石抜き選別機7においては、精米機6から排出された白米又は無洗米とこれらに混入する石屑との混合粒は、石抜き機7の選別ケース7b上に供給され、白米は精品排出樋7dから排出されて紙袋Sに袋詰めされるとともに、石屑は揺り上げ側に寄せられて石抜き樋7cから排出されることになる。また、選別ケース7b上に溜まった残留米は石・残留米回収箱7eに、選別ケース7bの多孔選別板を通過した砕米は砕米回収箱7fにそれぞれ回収されることになる。
【0030】
以上のように精米処理および無洗米加工処理が行われるのであるが、本発明の石抜き精米機1では、精米工程を一回通すことで砕粒が発生するおそれはほとんどなく、簡便に無洗米を製造することができる。しかも、載置台2と、玄米投入ホッパー3と、揚穀機4と、貯留タンク5と、精米機6と、石抜き機7と、除糠装置8とがコンパクトに一体化しており、スーパーや百貨店などの米の販売店舗であっても小さいスペースで設置することができる。
【0031】
また、米粒の循環搗精時には、石抜き機7の駆動が停止され、米粒の通常搗精時には、石抜き機7を駆動させることが可能であり、消費電力の削減を図ることができる。
【0032】
符号41は貯留タンク5に設けたオーバーフロー樋であり、タンク5が玄米で満杯になった場合に玄米投入ホッパー3へ還元することができる。また、精米の終了時は、二方向切換弁13を再度玄米戻し樋15側に切換えると、リミットスイッチ42がOFFとなり、石抜き機7の駆動が停止され、揚穀機4及び精米機6のみ駆動が継続され、消費電力の削減を図りながら精米終期に生じるムラ搗き米を再搗精する作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る石抜き精米機を示す斜視図である
【図2】同石抜き精米機を別の方向から見たときの斜視図である。
【図3】同石抜き精米機からカバーを取り去ったときの玄米投入ホッパー、精米機及び石抜き機等の配管を示す概略図である。
【図4】同石抜き精米機の内部構造を示す縦断面図である。
【図5】石抜き機からカバーを取り去ったときの斜視図である。
【図6】精品排出樋、石抜き機投入樋及び玄米戻し樋の概略拡大図である。
【図7】電気回路の結線図である。
【符号の説明】
【0034】
1 石抜き精米機本体
2 載置台
3 玄米投入ホッパー
4 揚穀機
5 貯留タンク
6 精米機
7 石抜き機
8 除糠装置
9 調圧ダイヤル
10 穀粒供給シャッター
11 操作パネル
12 精品排出樋
13 二方向切換弁
14 石抜き機投入樋
15 玄米戻し樋
16 ホッパー
17 供給路
18 送穀室
19 送穀ロール
20 精白室
21 精白ロール
22 精米突条
23 流量調整シャッター
24 主軸
25 円筒
26 多孔壁除糠筒
27 回転プーリ
28 回転用モータ
29 モータプーリ
30 ベルト
31 テンションプーリ
32 噴風溝
33 排出口
34 バネ
35 抵抗蓋
36 連結棒
37 集糠樋
38 除糠室
39 集糠管
40 供給用開口部
41 オーバーフロー樋
42 リミットスイッチ
43 カバー
44 オーバーフロー用開口部
45 傾斜シュート
46 石抜き機用モータ
47 電磁接触器
48 サーマルリレー
49 揚穀機用モータ
50 リレー回路
51 電源スイッチ
52 過負荷ランプ
53 停止押しボタン
54 運転押しボタン
55 電流計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄米投入ホッパー(3)と、投入された玄米を揚穀する揚穀機(4)と、該揚穀機(4)によって供給された玄米を搗精する精米機(6)と、搗精処理された米粒中に混入する石屑などの異物を選別・除去する石抜き機(7)と、前記精米機(6)で発生した糠を回収する糠回収装置(8)とを一体的に連結配置した石抜き精米機であって、
前記精米機(6)と石抜き機(7)との連結部分には、搗精処理済みの米粒を前記石抜き機(7)側へ案内する石抜き機投入樋(14)と前記玄米ホッパー(3)側へ案内する玄米戻し樋(15)とに分岐した精品排出樋(12)を配設するとともに、その分岐部には二方向に切り替え可能な二方向切換弁(13)を内装し、
さらに、前記二方向切換弁(13)には、該二方向切換弁(13)を前記玄米戻し樋(15)側に切り替えたときには、前記揚穀機(4)及び精米機(6)の駆動を開始するとともに、前記石抜き機投入樋(14)側に切り替えたときには、前記揚穀機(4)及び精米機(6)の駆動を継続させながら、前記石抜き機(7)の駆動を開始させるリミットスイッチ(42)を設けたことを特徴とする石抜き精米機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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