説明

石炭部分ガス化発電方法及び装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石炭(微粉炭)をガス化炉でガス化したガスを駆動源とするガスタービンと、ガス化炉で発生させたスチームを駆動源とする蒸気タービンとを組み合わせたコンバイドサイクルにおいて、部分ガス化炉で投入石炭の一部をガス化し、ガス化しなかった石炭の残部を加圧循環流動床燃焼炉(チャー燃焼炉)で、空気比5.5までの空気過剰燃焼により完全燃焼させ、冷却することなく脱塵可能温度である850℃以下の燃焼ガスを生成させることにより、従来のシステムより高効率なシステムとすることができる石炭部分ガス化発電方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図3は従来の石炭ガス化コンバインドサイクル(IGCC)を示している。10は加圧完全ガス化炉で、石炭(微粉炭)及び加圧空気が供給される。石炭は1600℃前後でガス化し、さらにこのガス中に投入された石炭と1300℃前後で反応した後、飽和水蒸気を過熱する。850℃前後に降温されたガスは脱塵装置12に導入され、チャー(残炭)が分離され、このチャーはガス化炉10へ循環される。チャーが分離されたガスは脱硫装置14、精密脱塵装置16で処理された後、トッピング燃焼器18へ導入されて完全燃焼し、1300℃前後の燃焼ガスはガスタービン20へ導入される。22は発電機である。空気圧縮機24で圧縮された空気は、トッピング燃焼器18及びガス化炉10へ供給される。26は空気昇圧機である。ガスタービン20からのガスは脱硝装置28、排熱ボイラ30を経て大気に放出される。排熱ボイラ30で発生した水蒸気は、ガス化炉10に導入されて過熱された後、蒸気タービン32に導入される。34は発電機である。蒸気タービン32からの排気は復水器36で冷却されて凝縮水となり、ポンプ38で排熱ボイラ30に供給される。
【0003】また、特開昭61−241394号公報には、石炭ガス化炉系統、脱塵脱硫系統、ガスタービン系統、空気系統、排ガスボイラ系統及び蒸気タービン系統から構成される石炭ガス化複合発電装置が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図3に示す従来の石炭ガス化コンバインドサイクルは、つぎのような問題点を有している。
(1) 石炭のガス化反応においては、ガス化した石炭の全エネルギーの内、約30%が熱に変換され、生成ガス温度を上昇させるが、脱塵装置12の許容温度までガスを冷却する必要がある。このため、約20%の熱が直接蒸気に変換され、ガスタービン20をパイパスして蒸気タービン32に送られる。その結果、この20%のエネルギーはコンバインドサイクルを形成しておらず、蒸気タービンサイクルのみの効率となるため、全体のシステム効率を低下させる。これを「熱バイパス」と呼び、LNGコンバインドサイクルに対して、石炭複合発電の高効率化の主要な低下要因である。
(2) 石炭を完全にガス化する必要があるため、反応性の悪い石炭には適用が困難で、無理に適用した場合、上記の熱バイパスが増加して、システム効率を低下させる。また、特開昭61−241394号公報記載の石炭ガス化複合発電装置は、石炭の全部を石炭ガス化系統でガス化するものであり、この公報には、「石炭の一部をガス化し、ガス化しなかった石炭の残部を加圧循環流動床燃焼炉で、空気比5.5までの空気過剰燃焼により完全燃焼させ、冷却することなく脱塵可能温度である850℃以下の燃焼ガスを生成させる」という技術的思想は、何も記載されていない。本発明は、上記の諸点に鑑みなされたもので、石炭の部分ガス化炉により、投入石炭の一部をガス化し、ガス化しなかったチャー(残炭)を加圧循環流動床燃焼炉(チャー燃焼炉)により空気過剰条件で完全燃焼し、冷却することなく脱塵可能温度(約850℃)以下の燃焼ガスを生成し、部分ガス化炉で生成したガスを脱塵した後、別途、脱塵したチャー燃焼炉燃焼ガス中で燃焼し、この燃焼ガスでガスタービンを駆動することにより、前述の熱バイパス量が減少し、ガスタービンへの投入エネルギーが増大して、高いシステム効率を得ることができ、さらには、部分ガス化であるため、ガス化条件がゆるやかになりガス化が容易となり、ガス化反応性の悪い低品質石炭にも適用可能で炭種適応性が良好な石炭部分ガス化発電方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】上記の目的を達成するために、本発明の石炭部分ガス化発電方法は、図1R>1に示すように、石炭をガス化炉でガス化したガスを駆動源とするガスタービン20と、ガス化炉で過熱したスチームを駆動源とする蒸気タービン32とを組み合わせたコンバインドサイクル発電方法において、つぎの(a)〜(d)の過程、すなわち、(a) 部分ガス化炉40で投入石炭の一部をガス化する過程、(b) 部分ガス化炉40でガス化しなかった石炭の残部を、加圧循環流動床燃焼炉48で、空気比5.5まで空気過剰燃焼により完全燃焼させ、冷却することなく脱塵可能温度である850℃以下の燃焼ガスを生成させる過程、(c) 加圧循環流動床燃焼炉48の燃焼ガスに希釈用空気を混合することにより、後流の脱塵装置50の許容温度まで燃焼ガス温度を下げる過程、(d) 部分ガス化炉40で生成したガスを脱塵した後、脱塵した加圧循環流動床燃焼炉48排ガス中で燃焼させ、この燃焼ガスをガスタービン20に導入する過程、を包含することを特徴としている。
【0006】上記の方法において、部分ガス化炉40でガス化しなかった石炭の残部のうちの一部を部分ガス化炉40にリサイクルして、システム効率が最大となるようにガス化割合を制御することが望ましい。また、上記の本発明の方法においては、部分ガス化炉40の出口ガス流路に酸化カルシウム又は炭酸カルシウムの微粉を供給して、ガス中の硫化水素、硫化カルボニル等を吸収除去し、硫黄吸収後の粒子及び未反応の粒子を脱塵装置44で捕集して、加圧循環流動床燃焼炉48に供給する。この場合、脱硫剤として、粒径5μm以下の酸化カルシウム又は炭酸カルシウムの微粉を用いることが望ましい。また、酸化カルシウム又は炭酸カルシウムの微粉の投入部と回収部との間の流路温度を1300〜850℃の範囲に調節することが望ましい。また、微粉投入部下流のガス流路断面を拡大して、ガス流速を微粉の終末沈降速度の100〜10000倍の範囲に調節することが望ましい。酸化カルシウム又は炭酸カルシウムの微粉の粒径が5μmを超える場合は、脱硫反応速度が小さく、ガスの脱硫率が低く、かつ、脱硫剤の反応率が低いという不都合がある。また、ガス流速が微粉の終末沈降速度の100倍未満の場合は、脱硫反応部のガス流路径が著しく大きくなるという不都合があり、一方、ガス流速が微粉の終末沈降速度の10000倍を超える場合は、有効な脱硫率を得るためのガスと脱硫剤との接触時間を確保しようとすると、脱硫反応部流路が著しく長くなるという不都合がある。また、酸化カルシウム又は炭酸カルシウムの微粉の投入部と回収部との間の流路温度が1300℃を超える場合は、投入微粉温度が高くなり過ぎ、反応平衡上不利となって充分な脱硫率が得られないという不都合があり、一方、上記の流路温度が850℃未満の場合は、脱硫反応速度が低く、充分な脱硫率が得られないという不都合がある。
【0007】本発明の石炭部分ガス化発電装置は、図1に示すように、石炭をガス化炉でガス化したガスを駆動源とするガスタービン20と、ガス化炉で過熱したスチームを駆動源とする蒸気タービン32とを組み合わせたコンバインドサイクル発電装置において、投入石炭の一部をガス化する部分ガス化炉40と、部分ガス化炉40でガス化しなかった石炭の残部を、空気比5.5までの空気過剰燃焼により完全燃焼させ、冷却することなく脱塵可能温度である850℃以下の燃焼ガスを生成させる加圧循環流動床燃焼炉48と、部分ガス化炉40の出口ガス流路に設けられた第1脱塵装置44と、加圧循環流動床燃焼炉48の出口ガス流路に設けられた第2脱塵装置50と、第1脱塵装置44及び第2脱塵装置50の下流側に設けられた燃焼器18と、を包含することを特徴としている。上記の装置において、部分ガス化炉40でガス化しなかった石炭の残部のうちの一部を部分ガス化炉40へ、残部を加圧循環流動床燃焼炉48へ分配するチャー分配器46を備えるのが望ましい。また、部分ガス化炉40と第1脱塵装置44との間のガス流路に、酸化カルシウム又は炭酸カルシウムの微粉を脱硫剤とする気流同伴型脱硫反応器42が設けられる。
【0008】部分ガス化炉40に投入された石炭(微粉炭)は、その40〜95%、望ましくは50〜70%がガス化されるような条件で部分ガス化される。部分ガス化炉40でガス化しなかった5〜60%、望ましくは30〜50%のチャー(残炭)は、加圧循環流動床燃焼炉48で空気比5.5までの空気過剰燃焼により完全燃焼し、冷却することなく脱塵可能温度である850℃以下の燃焼ガスを生成する。この際、加圧循環流動床燃焼炉48はボイラとはせず、無冷却で希釈用空気を混合(例えば空気比5.5前後として)することにより、脱塵装置許容温度、例えば850℃前後まで燃焼ガス温度を下げる。そして、部分ガス化炉40で生成した燃料ガスを脱塵した後、別途、脱塵した加圧循環流動床燃焼炉48の燃焼ガス中で燃焼させた後、ガスタービン20に導入する。なお、つぎの理由により、システム効率の極大値が存在する。
(1) ガス化割合の低下(チャー燃焼の増加)に伴い、熱バイパスが減少し効率が向上する(ガスタービン入口温度一定の場合)。
(2) チャー量増加により、チャー燃焼ガスが増加し、ガスタービン入口温度が低下して効率が低下する。
【0009】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を詳細に説明する。ただし、この実施例に記載されている構成機器の形状、その相対配置などは、とくに特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。図1R>1は本発明の石炭部分ガス化発電装置の一実施例を示している。40は加圧部分ガス化炉で、石炭(微粉炭)及び加圧空気(例えば30kg/cmG前後)が供給される。石炭は1600℃前後でその一部がガス化し、溶融物はスラグとして排出される。さらに、このガス中に投入された石炭と1300℃前後で反応した後、飽和水蒸気を過熱する。850℃前後に降温されたガス中にCaCO又はCaOが脱硫剤として添加される。このガスは、ガス中に脱硫剤の微粉が気流同伴されながら硫黄化合物と反応する、いわゆるエントレイン脱硫反応器42に導入される。ついで、脱硫処理されたガスは第1脱塵装置44(例えば電気集塵機、セラミックフィルターなど)に導入され、チャー(残炭)及びCaSが分離される。チャー及びCaSが分離されたガスはトッピング燃焼器18へ導入される。
【0010】エントレイン脱硫反応器42及び第1脱塵装置44の底部から抜き出されたチャー及びCaSは、チャー分配器46で2系統に分配される。一方の系統のチャー及びCaSは部分ガス化炉40へ循環され、他方の系統のチャー及びCaSは加圧循環流動床燃焼炉(チャー燃焼炉)48に投入され、空気圧縮機24からの加圧空気(例えば20kg/cmG前後、400℃前後)により燃焼させ、冷却することなく脱塵可能温度である850℃以下の燃焼ガスを生成させる。この場合、空気比を例えば5.5前後として空気過剰燃焼させ、チャーを完全燃焼させる。そして、空気比5.5までの空気過剰であるので、燃焼ガスは、後流の第2脱塵装置50(例えば電気集塵機、セラミックフィルターなど)の許容温度(例えば850℃前後)まで降温される。そして、このガスは第2脱塵装置50に導入されて灰及び石膏(CaSO)が分離された後、トッピング燃焼器18に導入され、部分ガス化炉40で生成した脱塵燃料ガスを、加圧循環流動床燃焼炉48で生成した脱塵燃焼ガス中で燃焼させる。燃焼ガス温度は例えば1300℃前後となり、ガスタービン20に導入される。他の構成は、図1の場合と同様である。
【0011】部分ガス化炉40の出口ガス流路にCaCO又はCaOの微粉を供給して、ガス中の硫化水素、硫化カルボニルなどを除去している。この場合、CaCO又はCaOによる脱硫は以下の反応による。ただし、HSの場合について記載する。
CaCO→CaO+COCaO+HS→CaS+HOCaSは有害であり、取扱が困難であるが、チャー燃焼炉48内で以下の酸化反応で無害化される。
CaS+2O→CaSOFe、Mn、Zn等の金属酸化物による脱硫では適正温度は400〜700℃程度であるが、酸化カルシウム又は炭酸カルシウムは800〜900℃で最も有効に作用するため、脱硫のためのガス冷却効率の低下が少ない。チャー燃焼炉48への投入を前提とすると、CaCO又はCaO粒子は微粉であることが望ましい。このため固定床または流動床型の脱硫反応器の適用は困難であり、気流同伴型(エントレイン型)が採用される。CaCO又はCaO粒子を粒径5μm以下の微粉とすると、接触時間2秒以下で有効な脱硫効果が得られる。
【0012】つぎに、実験例について説明する。以下の条件で部分ガス化ガスの脱硫を行った。その結果を表1に示す。
温度:860℃、 圧力:10atg、 入口HS濃度:1500ppm、吸収剤:CaO、 吸収剤平均粒径:0.005mm(5μm)、Ca/Sモル 比:10
【0013】
【表1】


【0014】図2は、図1に示すフローにおいて、ガスタービン20の入口温度1300℃、加圧部分ガス化炉40の空気比0.5、蒸気タービン32の蒸気圧力256kg/cmG、蒸気温度538℃の条件における部分ガス化割合と、プラント効率(送電端)との関係を示している。図2において、PGCCは本発明の石炭部分ガス化コンバインドサイクルを示し、PFBCは加圧流動床サイクルを示し、GTはガスタービンを示し、IGCCは図3に示す従来の石炭ガス化コンバインドサイクルを示している。図1に示す本発明のPGCCシステムでは、上記の条件において、部分ガス化割合約62%で最高のプラント効率を示した。このように、本発明のPGCCシステムでは、図2に示すように、PFBCトッピングサイクルと比べて、部分ガス化割合50%以上の領域において高いプラント効率を示している。
【0015】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されているので、つぎのような効果を奏する。
(1) 加圧部分ガス化炉でガス化しなかった石炭の残部(チャー)を加圧循環流動床燃焼炉(チャー燃焼炉)で、空気比5.5までの空気過剰燃焼により完全燃焼させ、冷却することなく脱塵可能温度である850℃以下の燃焼ガスを生成させるので、部分ガス化割合50%以上の領域において高いプラント効率を得ることができる。) 部分ガス化炉で投入石炭の一部のみをガス化するので、従来の全量ガス化方式に比べて熱バイパス量も減少し、システムの発電効率が上昇する。例えば、ガス化割合が約60%の場合、従来、20%あった熱バイパス量が12%(20%×0.6)に減少する。
) ガス化に必要とされる空気量も減少するため、その圧縮動力が減少する。その結果、システムの送電端効率はさらに上昇する。そのため、従来の完全ガス化IGCC(石炭ガス化コンバインドサイクル)と比べて、送電端効率が約2%(投入石炭の約60%をガス化する場合)向上する。
) ガス化割合が投入石炭の一部である上に、チャーの部分リサイクル系を有する場合は、反応性の良い石炭から反応性の悪い低品質石炭まで広範囲な石炭について、常に最高効率点で運転する事が可能である。
) 部分ガス化炉出口ガスを冷却することなく、すなわち冷却に伴う効率低下なくガスの脱硫が可能で、後流の排煙脱硫を不要とする。このため、脱硫のための特別な反応器等は不要で、装置が単純化される。
) 反応後及び未反応の脱硫剤粒子をチャー燃焼炉に投入することにより、CaSはCaSOに無害化されて後処理が不要となり、未反応CaOはチャー燃焼炉排ガスの脱硫に有効利用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の石炭部分ガス化発電装置の一実施例を示すフローシートである。
【図2】図1に示す本発明の装置における石炭部分ガス化発電方法(〇印のPGCCの線)、及び従来の加圧流動床トッピングサイクル(△印のPFBCトッピングサイクルの線)について、部分ガス化割合とプラント効率(送電端)との関係を示すグラフである。
【図3】従来の石炭ガス化発電装置の一例を示すフローシートである。
【符号の説明】
10 加圧完全ガス化炉
18 燃焼器
20 ガスタービン
30 排熱ボイラ
32 蒸気タービン
40 加圧部分ガス化炉
42 気流同伴型(エントレイン)脱硫反応器
44 第1脱塵装置
46 チャー分配器
48 加圧循環流動床燃焼炉(チャー燃焼炉)
50 第2脱塵装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 石炭をガス化炉でガス化したガスを駆動源とするガスタービン(20)と、ガス化炉で過熱したスチームを駆動源とする蒸気タービン(32)とを組み合わせたコンバインドサイクル発電方法において、つぎの(a)〜(d)の過程、すなわち、(a) 部分ガス化炉(40)で投入石炭の一部をガス化する過程、(b) 部分ガス化炉(40)でガス化しなかった石炭の残部を、加圧循環流動床燃焼炉(48)で、空気比5.5までの空気過剰燃焼により完全燃焼させ、冷却することなく脱塵可能温度である850℃以下の燃焼ガスを生成させる過程、(c) 加圧循環流動床燃焼炉(48)の燃焼ガスに希釈用空気を混合することにより、後流の脱塵装置(50)の許容温度まで燃焼ガス温度を下げる過程、(d) 部分ガス化炉(40)で生成したガスを脱塵した後、脱塵した加圧循環流動床燃焼炉(48)排ガス中で燃焼させ、この燃焼ガスをガスタービン(20)に導入する過程、を包含することを特徴とする石炭部分ガス化発電方法。
【請求項2】 部分ガス化炉(40)でガス化しなかった石炭の残部のうちの一部を部分ガス化炉(40)にリサイクルして、システム効率が最大となるようにガス化割合を制御することを特徴とする請求項1記載の石炭部分ガス化発電方法。
【請求項3】 部分ガス化炉(40)の出口ガス流路に酸化カルシウム又は炭酸カルシウムの微粉を供給して、ガス中の硫化水素、硫化カルボニル等を吸収除去し、硫黄吸収後の粒子及び未反応の粒予を脱塵装置(44)で捕集して、加圧循環流動床燃焼炉(48)に供給することを特徴とする請求項1又は2記載の石炭部分ガス化発電方法。
【請求項4】 脱硫剤として、粒径5μm以下の酸化カルシウム又は炭酸カルシウムの微粉を用いることを特徴とする請求項3記載の石炭部分ガス化発電方法。
【請求項5】 酸化カルシウム又は炭酸カルシウムの微粉の投入部と回収部との間の流路温度を1300〜850℃の範囲に調節することを特徴とする請求項3又は4記載の石炭部分ガス化発電方法。
【請求項6】 微粉投入部下流のガス流路断面を拡大して、ガス流速を微粉の終末沈降速度の100〜10000倍の範囲に調節することを特徴とする請求項3、4又は5記載の石炭部分ガス化発電方法。
【請求項7】 石炭をガス化炉でガス化したガスを駆動源とするガスタービン(20)と、ガス化炉で過熱したスチームを駆動源とする蒸気タービン(32)とを組み合わせたコンバインドサイクル発電装置において、投入石炭の一部をガス化する部分ガス化炉(40)と、部分ガス化炉(40)でガス化しなかった石炭の残部を、空気比5.5までの空気過剰燃焼により完全燃焼させ、冷却することなく脱塵可能温度である850℃以下の燃焼ガスを生成させる加圧循環流動床燃焼炉(48)と、部分ガス化炉(40)の出口ガス流路に設けられた第1脱塵装置(44)と、加圧循環流動床燃焼炉(48)の出口ガス流路に設けられた第2脱塵装置(50)と、第1脱塵装置(44)及び第2脱塵装置(50)の下流側に設けられた燃焼器(18)と、を包含することを特徴とする石炭部分ガス化発電装置。
【請求項8】 部分ガス化炉(40)でガス化しなかった石炭の残部のうちの一部を部分ガス化炉(40)へ、残部を加圧循環流動床燃焼炉(48)へ分配するチャー分配器(46)を備えたことを特徴とする請求項7記載の石炭部分ガス化発電装置。
【請求項9】 部分ガス化炉(40)と第1脱塵装置(44)との間のガス流路に、酸化カルシウム又は炭酸カルシウムの微粉を脱硫剤とする気流同伴型脱硫反応器(42)を備えたことを特徴とする請求項7又は8記載の石炭部分ガス化発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【特許番号】第2544267号
【登録日】平成8年(1996)7月25日
【発行日】平成8年(1996)10月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−359623
【出願日】平成3年(1991)12月30日
【公開番号】特開平5−180440
【公開日】平成5年(1993)7月23日
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【参考文献】
【文献】特開昭58−143129(JP,A)
【文献】特開昭62−251428(JP,A)
【文献】特開昭57−179290(JP,A)