石英ガラスから成る円筒形の光学素子を製造する方法ならびに該方法に従って形成される光学活性素子
石英ガラスから成る円筒形の光学素子が公知であり、光学素子は、内側域ガラスから成る、長手軸線方向に延在する内側域を備え、内側域は、外側域ガラスから成る外側域により包囲され、外側域の平均厚みは、光学素子の長手軸線方向にみて外側域の長さの少なくとも一部にわたって変化する。石英ガラスから成るこのような構成素子の簡単で安価な製造を実現する方法を提供するために、本発明によれば、(a)内側域ガラスから成る第1のプリフォームを準備し、第1のプリフォームは、外側円錐形の接触面を備え、(b)外側域ガラスから成る第2のプリフォームを準備し、(c)外側域ガラスに外側円錐形の接触面を埋め込み、接触面を外側域ガラスと溶接して、複合プリフォームを形成し、複合プリフォームは、接触部に、内側域ガラスから成る円錐形の内側域を備え、内側域は、内側円錐形の外側域により包囲され、(d)複合プリフォームを延伸して、光学素子または光学素子の中間製品を形成する、ステップを有する方法が提案される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石英ガラスから成る円筒形の光学素子を製造する方法であって、光学素子は、内側域ガラスから成る、長手軸線方向に延在する内側域を備え、内側域は、外側域ガラスから成る外側域により包囲され、外側域の平均厚みは、構成素子の長手軸線方向にみて外側域の長さの少なくとも一部にわたって変化するものに関する。
【0002】
また本発明は、光学活性素子を製造するための円筒形の素材であって、素材は、長手軸線を備え、長手軸線に沿って延在する、光学活性材料から成るコアを備え、コアに沿って延在するポンプ光層を備え、ポンプ光層の屈折率よりも低い屈折率を有する、ポンプ光層を包囲するクラッド層を備え、ポンプ光層は、出力結合(出射)区分に沿って漸減する厚みを有しているものに関する。
【0003】
背景技術
ロッド状またはファイバ状のサイドポンピング方式の光学活性素子は、たとえば高出力レーザとして、または、通信技術ではレーザ活性のコアとコアを包囲するポンプクラッドとを備えた光ファイバ増幅器として用いられる。「光学活性素子」とは、レーザの他に、光学増幅器やいわゆるスーパールミネッセンス光源に包括されるものである。
【0004】
ファイバ増幅器は、光データ伝送における光導波路内の損失を補償することができ、その際、いわゆる「光ポンピング」により、レーザビームがファイバコアに入力結合(入射)し、レーザビームは、コア域のレーザ活性物質を励起する。ファイバコアを通過する光パルスは、付加的に励起イオンのエネルギを吸収し、これにより増幅される。
【0005】
これに対して選択的に、レーザ活性物質は、ファイバまたはロッド状の高出力レーザの場合に当てはまるが、入力結合されたポンプ光によりレーザビームを放出するために励起することができる。
【0006】
レーザ活性材料は、たとえば結晶質のNd:YAGを含有しているか、または、ドーパントを含有する石英ガラスから成っており、ドーパントは、ホスト材料である石英ガラス内でレーザビームを放出するか、または増幅するように作用する。通常、ドーパントは、希土類カチオン(ランタノイド)またはいわゆる遷移金属のカチオンである。
【0007】
ある程度の侵入長さ(侵入深さ)のあとでも十分なポンプ光作用を確保するために、入力結合域においてポンプ光線の格別に高いエネルギ密度が要求される。これは熱作用および光黒化によるコア域の品質低下を伴う。さらに一方では入力結合域におけるポンプ光の高いエネルギ密度により、他方ではポンプ光出力の指数関数的な低下により、所望しない非線形効果が生じる。
【0008】
このような欠点は、冒頭で述べたようなレーザ系およびサイドポンピング方式の光学活性素子によって回避され、そこでは、ポンプ光が直にレーザ活性コアに入力結合するのではなく、クラッド面を介してコアに入力結合する。ファイバの長さに基づいて、クラッド面は、ファイバ端面の何倍もの大きさを有している。これにより光学活性素子のコア域を損なうことなく、高い励起エネルギの入力結合が実現される。
【0009】
サイドポンピング方式のレーザとしてのこのような光学活性素子は、米国特許第5048026号明細書において公知である。そこにはファイバ増幅器が記載されており、ファイバ増幅器は、Nd:YAGから成るシリンダ状のレーザ活性のコアとレーザビームのための出力結合端部とを備えており、出力結合端部は、石英ガラスから成るスリーブ状のポンプジャケット(ポンプクラッド)により包囲されている。ポンプジャケットは、前方の長さ部分で円錐形に形成されているので、その厚みは、出力結合端部に向かって減少し、ポンプジャケットは、コアの出力結合端部とまとまって終了する後方の円筒形部分に移行する。ポンプ光は、出力結合端部とは反対側の端面で、ポンプジャケットに入力結合し、ポンプジャケットの外側面の間を往復するように反射され、その際、レーザ活性のコアを横切る。このことを保証するために、ポンプジャケットは、周囲(たとえば空気)の屈折率より大きいがレーザ活性のコアの屈折率よりも小さな屈折率を有している。ポンプジャケットの円錐部分では、反射するごとに、外側面に対する角度は漸増するので、ポンプ光は、円筒形域においてレーザ活性コアに集束される。
【0010】
同様のレーザシステムが、米国特許第5086433号明細書において公知である。レーザ系は、石英ガラスエレメントを備えており、石英ガラスエレメントは、レーザロッドに光ポンピングするために用いられ、レーザロッドは、石英ガラスエレメントの中心孔に挿入されている。石英ガラスエレメントは、光拡散方向にみて円錐形に先細りに延在していて、外側で鏡面被覆されている。
【0011】
ポンプ光光源として、複数のレーザダイオードが用いられ、レーザダイオードは、端面側における半径方向の様々な位置で石英ガラスエレメントに照射する。レーザダイオードの半径方向の位置に応じて、ポンプ光線は、軸方向の異なる位置で鏡面被覆部に到達し、そこからレーザロッドに反射される。
【0012】
石英ガラスエレメントに入力結合するポンプ光は、大体においてリング状の強度分布を有していて、また、レーザダイオードの数および位置に応じて、ポンプ光の入力結合をレーザロッドの長さにわたって大小の範囲で均等に分布することもできる。しかし装置自体が複雑であり、構成素子の調整が極めて面倒である。
【0013】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第2844129号明細書において、レーザロッドに光ポンピングするための同等の装置が記載されている。この装置は、サイドポンピング方式のNd:YAGレーザとポンプ光光源とを備えている。レーザロッドは、クラッドにより包囲されており、クラッドは、内側で鏡面処理された被覆により包囲されている。クラッドは、レーザロッドの屈折率よりも低い屈折率を有する材料から成っており、クラッドは、光拡散方向にみて円錐形に先細りして延在している。出力結合端部に、ガラス小板が配置されており、ガラス小板は、ポンプ光を反射するだけでなく、レーザビームの出力結合を実現する。
【0014】
ポンプ光源から出発して、広幅の端面側の端部からクラッドに入力結合するポンプ光は、特定の角度を成して、鏡面処理された被覆で反射され、レーザロッドの外側面に当射される。
【0015】
ガラスから成る、円錐形に先細りに形成されたポンプ光クラッドを備えたレーザ素子の製造は、全く問題がないというわけではない。このような素子は、たとえばポンプ光クラッドを外側から機械式に加工するか、または円筒形の素子を部分的に軟化して、その際に延伸して製造される。延伸プロセスに際して、引張速度が連続的に増加するので、引き出される延伸部分(ストランド)の外径は漸減する。このような方法は面倒であり、複雑な制御を必要とし、特に急な円錐角度(たとえば10°を超える)の調節には不向きである。
【0016】
さらに円錐形のポンプ光クラッドにより、対策を講じない場合、先細りの外径を有するレーザ素子が形成される。先細りの外径は不都合である。一定の外径の場合よりも、本体にわたる冷却の実現が困難であり、レーザ素子、特にレーザファイバの大量生産は困難である。したがって円錐形のポンプクラッドにもかかわらず、光学素子の円筒形の外側クラッドが所望される。
【0017】
国際公開第2006/049296号明細書において、円錐形のコアを有するプリフォームを製造する方法が公知であり、そこでは、先ずそれぞれ一定の直径を有するコア部とクラッド部とを備えた円筒形のプリフォームが、円錐形に延伸され(上述のように)、その結果、先ず円錐形のコア部と円錐形のクラッド部とを備えた半製品が得られる。次いで、半製品の外径が、クラッド部を加工して、一定の寸法に研削される。そのようにして得られた円筒体は、円錐形のコア部と補完的な内側円錐形のクラッド部とを備えている。
【0018】
研削は、その作業に大きな手間が掛かり、材料損失を伴うものである。
【0019】
特開平11−21142号公報において、円錐形のコア部と補完的な内側円錐形の内側クラッド部とを備えた円筒形の光学素子を製造する別の方法が公知である。ここでは、先ず円筒形のコア部と円筒形の内側クラッド部とを備えた円筒形のコアロッドが製作される。次いで、内側クラッド部が円錐形に研削され、円錐形の外径延伸経過を有する半製品が形成される。円錐形の半製品は、延伸プロセスで、一定の外径を有する円筒形の半製品に成形される。そのあとで半製品は、円錐形のコア部と補完的な内側円錐状のクラッド部とを有する。次いで、円筒形の半製品に追加的な外側クラッド部が設けられ、引き伸ばされ、ファイバが製造される。
【0020】
公知のこの方法では、光学素子の円筒形の外径を形成するために作業上の大きな手間ならびに長い時間が要求される。
【0021】
技術的な課題設定
本発明の課題は、少なくとも長さの一部にわたって可変の厚みを有する半径方向の層が設けられた、石英ガラスから成る円筒形の光学素子を簡単かつ経済的に製造する方法を提供することである。
【0022】
さらに本発明の課題は、ポンプ光の入力結合箇所付近においてコア部が僅かしか損なわれず、ポンプ光の高い吸収による非線形効果の発生を実質的に回避し、ポンプ光の高い効率が得られる、光学活性素子の素材を提供することである。
【0023】
この課題は、本発明の方法によれば、冒頭で述べた方法から出発して、以下の方法ステップ:
(a)内側域ガラスから成る第1のプリフォームを準備し、第1のプリフォームは、端面に、外側円錐形の第1の接触面を備え、
(b)外側域ガラスから成る第2のプリフォームを準備し、
(c)外側域ガラスに外側円錐形の接触面(13)を埋め込み、接触面(13)を外側域ガラスと溶接して、複合プリフォーム(18)を形成し、複合プリフォームは、接触部(16)に、内側域ガラスから成る円錐形の内側域を備え、内側域は、内側円錐形の外側域により包囲され、
(d)複合プリフォームを延伸して、光学素子または光学素子の中間製品を形成する、
ステップを有する方法により解決される。
【0024】
本発明による方法が目的とするところは、少なくともその長さの一部にわたって、円筒体の軸線方向に変化する厚みを有する内側域を備え、同時に可能な限り円筒形状を有する、円筒形の光学素子(またはその中間製品)である。
【0025】
光学素子は、たとえば引き伸ばして光ファイバを製造するためのプリフォームまたは光伝達のための光ファイバまたは、ロッド、チューブまたはファイバとして構成されたレーザであり、これらの構成素子は、典型的には少なくとも1つのレーザ活性域を有している。
【0026】
公知の方法では、可変の厚みを有する内側域の形成は、半製品の円筒体周面の加工または円筒体周面からの内側域材料の軸方向の不均等な分離により行われる。円筒形状の再形成には、追加的な単数または複数の方法ステップが要求される。これに対して本発明による方法では、溶接プロセスが行われ、その際、予備製作された2つのプリフォームが、端面側で相互に入り込むように相互に溶接される。このために第1のプリフォームは、端面側で、外側円錐形の接触面を備えており、接触面は、第2のプリフォームの外側域ガラスに、たとえば外側域ガラスに侵入することによって、埋め込むことができる。1つの作業過程で、内側域ガラスから成る外側円錐体の、外側域ガラスへの侵入深さにわたって、外側域の変化する厚みと、内側域の、これとは逆に変化する厚みとが形成される。外側域ガラスおよび内側域ガラスが相互に侵入する部分は、以下に「接触部」と記載する。
【0027】
外側域ガラスに埋め込まれる外側円錐形の接触面は、外側域ガラスと溶接される。その際、溶融複合体が形成され、溶融複合体において、外側域ガラスは、内側域ガラスの外側円錐体に形状結合(形状結合とは、嵌め合いまたは噛み合いなどの部材相互の形状的関係に基づく結合を意味する)で接触して、これと一緒に融解する。
【0028】
外側円錐体の底面および側面の幾何学形状により、接触部における内側域および外側域の軸方向延伸長さが規定される。最も簡単な場合、内側域の厚みは、直線的に一方向に減少するので、軸方向断面でみて、構成素子の円筒体軸線に沿って内側域の円錐形の経過が得られる。外側円錐側面の形状に応じて、別の軸方向の厚み経過が得られ、たとえば円筒体軸線方向にみて内側域の厚みが指数関数的または段階的に減少する経過が得られる。特記しておくと、いわゆる「テーパ形状」を有するタマネギを細長く伸ばしたような先細りの形状が得られる。理解を容易にするために、本発明では、円錐形の厚み経過に基づく構成について言及するが、これは、別の厚み経過も含むものである。特に以下の記載において「錐体構造」とは、外側域ガラスおよび内側域ガラスの幾何学的な相互作用を表すものとして用いる。
【0029】
第1のプリフォームの外側円錐体の底面は、製造しようとする光学素子の機能に関連している。最も簡単な場合、底面は円形であるが、楕円、多角形の底面、特にいわゆるDフォーム(またはダブルDフォームともいわれる両側Dフォーム)を有する底面が、特別な使用例に適しており、これについては後述する。
【0030】
端面側の溶接や第1のプリフォームおよび第2のプリフォームの相互の侵入により得られる複合プリフォームは、通常、更なる加工ステップにさらされ、加工ステップとして、特に複合プリフォームの内側部分または外側部分における別のガラス域の取付が挙げられる。単数または複数の延伸プロセスのあとで、長手方向断面でみて元来のプリフォームの接触部から出発する錐体構造を備えた光学素子が得られ、錐体構造には、変化する厚みを有する内側域と、内側域に対して逆に変化する厚みを有する、内側域に接する外側域とが設けられている。
【0031】
本発明による方法は、特に単数または複数のレーザ活性域を有する、ファイバ、チューブまたはロッド状のサイドポンピング方式のレーザを形成するのに適しており、ポンプ光は、ポンプ光域に入力結合し、ポンプ光域は、レーザ活性域に、直に隣接するかまたは分離域を介して分離して位置しており、レーザまたはロッドの長手軸線方向にみて先細りにまたは拡開して延在している。
【0032】
好適には、第2のプリフォームは、第2の接触面を備えており、複合プリフォームの形成は、第1の接触面と第2の接触面との接合を含んでいる。
【0033】
接合が機械式に行われると、機械式に接合複合体が形成され、接合複合体から、接触面の後続の溶接により、複合プリフォームが製作されるか、または、接合は、熱的に行われ、同時に接触面が溶接される。
【0034】
通常、内側域ガラスと外側域ガラスとの間の境界面において気泡は所望されない。したがって特に有利な方法によれば、接合に際して、第1の接触面と第2の接触面との間の中間室が排気される。
【0035】
その際、接触面の接合に際して、負圧が加えられる。このために第1のプリフォームおよび/または第2のプリフォームに貫通孔が設けられ、貫通孔は、接触面に通じていて、したがって溶接に際して中間室と流体接続されている。貫通孔は、好適には、できるだけ溶接プロセスの最後になってはじめて閉じられるように配置されているので、負圧は、最後まで作用する。
【0036】
その際、第1のプリフォームの外側円錐体は、中間室をシールするために用いられる。シールは、好適な方法では、プリフォームの接合に際して第1のプリフォームの円錐側面が第2のプリフォームの環状の縁部に密に接触することにより行われる。
【0037】
このために、たとえば第2のプリフォームは、端面側で、円錐形の凹部を備えており、凹部は、環状の縁部として端面まで延びている。第1のプリフォームの外側円錐体は十分な幅を有しているので、外側円錐体は、プリフォームの接合に際して、円錐側面で、環状の縁部に接触する。その際、第2のプリフォームの凹部は、環状の縁部における外側クラッドの接触を介してシールが得られるまえに、外側円錐体の円錐尖端部が当接しないような深さに設計されている。
【0038】
プリフォームの相互の溶接は、たとえば旋盤のような装置で行われ、この装置によって、プリフォームは、共通の回転軸線を中心に回転可能で、かつ回転軸線の軸方向に移動可能である。溶接前に、第2のプリフォームの接触面は軟化させられ、その際、第1のプリフォームの外側円錐体が軟化した外側域ガラスに侵入可能であるか、または、軟化した外側域ガラスが内側域ガラスから成る外側円錐体上で潰れる。その際、第2のプリフォームの接触面は、侵入する外側円錐体の形状に適合させる必要はなく、接触面は、平面状または管状であってよい。場合によっては、外側円錐体の侵入に際して押し込まれる外側域ガラスは、接触域の周りに隆起した厚み部を形成する。厚み部は、成形工具によって直に溶接プロセスに際して均して、厚み形成を回避することができるか、または、厚み部は、あとで機械加工により除去することができる。好適な方法では、第2のプリフォームの接触面は、凹部を備えており、凹部は、好適には、内側円錐体として形成されている。
【0039】
第2のプリフォームの端面側の凹部によって、両方のプリフォームを接合する際に、外側円錐体のある程度のセンタリングが達成される。さらに押し退けられるべき外側域ガラスの質量が小さいと、比較的小さな隆起部が形成され、外側域ガラスを僅かに軟化すると十分である。特に不可欠ではないが、好適には、凹部の形状は、第1のプリフォームに適合されている。良好な適合が得られると、溶接過程に際して、外側域ガラスの押し退けが生じないか、または、場合によってはほとんど生じず、接触部において大きな変形は行われない。これに伴い、接触部において、接触面を溶接するために比較的僅かな軟化しか要求されない。このようにして精確で良好に再現可能な錐体構造が得られる。1つの方法によれば、上述のように、溶接に際して接触部に負圧が形成され維持され、この方法では、第2のプリフォームの凹部に貫通孔が通じており、貫通孔を介して真空を及ぼすことができる。
【0040】
凹部もしくは内側円錐形の接触面は、好適には機械加工により製作される。
【0041】
機械加工には、穿孔、研削、転削が含まれる。平滑化するため、かつ摩耗を回避するために、化学式のエッチングが好適である。最も簡単な場合、凹部は、たとえば袋孔として形成されており、通常、凹部は、外側円錐体の形状に少なくとも近似的に適合されている。
【0042】
プリフォームを端面側で接合するために、第1のプリフォームは、端面側で円錐形の突出部を有しており、突出部は、円筒体長手軸線と、少なくとも25°の平均円錐角度を成しており、第2のプリフォームの端面は、好適には外側円錐体形状に適合されており、その際、第2のプリフォームの端面は、少なくとも25°の平均円錐角度を有する内側円錐体を備えている。
【0043】
好適な第2の方法では、凹部は、熱間成形プロセスにより製作される。
【0044】
熱間成形プロセスでは、第2のプリフォームの少なくとも端面側付近が軟化され、成形工具、たとえばグラファイト型により、端面側の凹部が押込成形される。型から離間したあとで、凹部の表面付近が融解するので、このようにして僅かな手間で格別に平滑な表面が得られる。
【0045】
好適には、外側域ガラスとして、フッ素ドープ石英ガラスが使用される。
【0046】
フッ素は、9重量パーセントまでの高い濃度で、好適には1重量パーセント〜5重量パーセントまでの範囲で、比較的簡単に均質に石英ガラスに添加することができる。公知のように、フッ素による石英ガラスのドープにより、屈折率の低下や粘度の低下がもたらされる。屈折率の低下により、外側域ガラスは、光ガイドを促進する。粘度の低下により、外側域ガラスは、溶接過程に際して同じ温度でも内側域ガラスよりも軟らかくなり、したがって、軟らかい外側域ガラスへの外側円錐体の侵入や所定の錐体構造の再現可能な製作が容易になる。
【0047】
特に好適には、第1のプリフォームおよび第2のプリフォームは、それぞれ円筒体として形成されている。
【0048】
溶接するために、円筒形のプリフォームは、共通の円筒体長手軸線方向に接合される。接合は、たとえば旋盤上で行われ、その際、プリフォームは、それぞれチャックにより保持される。これにより、特に精確で再現可能なプリフォームの接合が実現される。このようにして同じ外径を有するプリフォームから、連続的に延びる同じ外径を有する複合プリフォームが得られる。
【0049】
好適には、第1のプリフォームの外側円錐形の接触面は、機械加工により製作される。
【0050】
機械加工(ここでは第1に研削加工が挙げられる)により、僅かな手間で外側円錐形の接触面の精確な幾何学形状が得られる。
【0051】
選択的に好適には、第1のプリフォームの外側円錐形の接触面は、熱間成形プロセスにより製作される。
【0052】
ここでは外側円錐形の接触面が製作され、その際、第1のプリフォームの端面が軟化され、工具、たとえばグラファイト型により、所望の外側形状に成形される。グラファイト型を取り出すと、成形された外側円錐体の表面が融解するので、特に平滑な表面が得られる。
【0053】
好適には、第1のプリフォームの外側円錐形の接触面に、丸み付けされた円錐尖端部が設けられる。
【0054】
丸み付けされた円錐尖端部は、シャープな尖端部よりも高い機械安定性を有していて、第2のプリフォームの端面に侵入する際に、僅かに変形されるだけであり、このことは、接触域における錐体構造の再現性および寸法維持に好適に働く。
【0055】
これに関連して、内側域ガラスとして非ドープ石英ガラスを使用すると好適である。非ドープ石英ガラスは、通常、ドープ石英ガラスよりも高い粘性を示す。
【0056】
外側域に、外側円錐体に対応する内側円錐体が設けられている場合、プリフォームは冷間状態で接合され、次いで向き合う接触面が溶接される。通常、好適には、既に押し合わせに際して少なくとも第2のプリフォームが第2の接触面の付近で軟化される。
【0057】
溶接過程に際して、好適には、両方のプリフォームは、接触部において均等に加熱され、その際、少なくとも第2のプリフォームが軟化され、第1のプリフォームの外側円錐体との溶接が実現される。
【0058】
さらに好適には、複合プリフォームに、コアロッドを収容するための少なくとも1つの内側孔が設けられ、延伸前に、コアロッドが装着される。
【0059】
単数または複数の内孔は、錐体構造が複合プリフォームに最終的に形成されたあとで、機械式に形成される。これによりコア部の一定でない軸方向の直径経過をもたらす延伸プロセスは回避される。一定でない軸方向の直径経過は、通常、所望されない。さらに機械式の穿孔を高い寸法精度で行うことができる。少なくとも1つの内孔に、コアロッドが挿入される。コアロッドは、光導波路のための光コアロッドまたはレーザ活性のガラスから成るロッドである。中央のコアガラス部は、内側のクラッド部により包囲される。
【0060】
さらに好適には、複合プリフォームは、延伸前に、フッ素ドープ石英ガラスから成る層により包囲される。
【0061】
フッ素ドープ石英ガラスから成る層は、いわゆるPOD(Plasma Outside Deposition)法を用いてたとえば適切な石英ガラスを堆積することによって、または、フッ素ドープされたチューブをオーバークラッドすることによって形成される。フッ素ドープ層は、特に外側域ガラスが高い屈折率を有する石英ガラスから成る場合に、外側域の付近で光ガイド特性に影響を及ぼす。
【0062】
好適な方法によれば、複合プリフォームに、非ドープ石英ガラスから成る外側層が設けられる。
【0063】
比較的高い粘度によって、非ドープ石英ガラスから成る外側層は、比較的低い粘度を有する、外側層の内側に位置する石英ガラス層を、後続の方法ステップにおいて安定化させ、外側層は、特に熱間変形ステップにおける変形に対抗する。非ドープ石英ガラスから成る外側層は、一般的な外側堆積法または石英ガラス管のオーバークラッドにより取り付けることができる。
【0064】
素材に関する上述の課題は、冒頭で述べた素材から出発して、ポンプ光層の厚みが、クラッド層の外径が3mm〜50mmの範囲の場合、25°〜80°の平均円錐角度で、出力結合区分に沿って漸減しており、クラッド層が、同じ円錐角度で、ポンプ光層とは逆に漸増していることにより、解決される。
【0065】
素材の後続加工は、少なくとも1つの引き伸ばしプロセスを含み、その際、コア、ポンプ光層およびクラッド層は、光学活性素子の「域」に延伸され、光学活性素子は、たとえばロッド、チューブまたはファイバの構成でレーザとして提供される。素材を延伸したあとで得られる光学素子は、長手軸線を有し、光学活性材料から成る、長手軸線に沿って延在する円筒形のコア域を有し、コア域に沿って延在するポンプ光域を有し(ポンプ光域から出力結合区域に沿ってポンプ光がコア域に到達可能であり)、ポンプ光域よりも小さな屈折率を有する、ポンプ光域を包囲するクラッド域を有し、コア域、ポンプ光域およびクラッド域は、モノリシックの石英ガラス体の構成要素である。
【0066】
1つの同じ基材(つまりドープ石英ガラスまたは非ドープ石英ガラス)から成る構成素子(もしくは素材の層)の域の形成により、製造が簡単になり、異なる熱膨張率に起因する問題が実質的に回避される。域は、光学活性素子に組み込まれた構成部分であるので、域を調整するためのその都度の手間が省略される。構成素子は、石英ガラスから成っており、ここでは「石英ガラス」とは、少なくとも80重量パーセントのSiO2成分を有する高ケイ酸ガラスと解される。
【0067】
素材が、その長さの少なくとも一部にわたって、入力結合したポンプ光の方向に漸減する厚みを有するポンプ光層と、これとは逆きに漸増する厚みを有するクラッド層と、円筒形のコアとを備えることが重要である。
【0068】
ポンプ光層の変化する厚み経過は、クラッド層の逆の厚み経過によって補償され、素材の、軸方向に一定の全体外径が得られる。これにより円筒形の構成素子の製造が簡単になる。
【0069】
構成素子のコア域に光線がガイドされ、形成され、もしくは増幅される。コア域は、直接的または間接的にポンプ光域に隣接する。ポンプ光域は、コア域に沿って延在している。ポンプ光域は、好適には、光ガイドに適切に設計されている。つまり、ポンプ光域の内側で複数の反射が実現される。このために特にコア域に向いた側の外側面に、低下する屈折率変化を設けることができ、つまり、外側面に、比較的小さな屈折率を有する石英ガラス層が隣接する。ポンプ光域内でガイドされるポンプ光は、光学活性物質を励起するために最終的にコア域に達し、これにより特定の目的が満たされる。これを実現するために、本発明によれば、ポンプ光域の長さの少なくとも一部にわたって、つまり出力結合域にわたって、ガイドされるポンプ光の反射条件が変化し、ポンプ光は、規定のように順次コア域に到達する。これにより該当する出力結合区域の長さにわたる光学活性物質の均等な活性化が及ぼされ、入力結合したポンプ光の高い作用効率が生じる。
【0070】
素材は、好適には、前述の方法に基づいて形成され、本発明による素材のポンプ光層は、本発明による方法の説明において一般的な概念として「内側域」と記載する。したがってその説明を参照されたい。
【0071】
ポンプ光層の厚みは、ポンプ光線の拡散方向にみて減少する。最も簡単な場合、厚みは、円錐角度で直線的に減少するので、素材長手軸線に沿った軸方向の断面図でみて、円錐形の経過が形成される。ポンプ光層の別の軸方向の厚み経過も考えられ、構成素子の円筒体軸線の方向に指数関数的または段階的に減少する経過も考えられ、または、いわゆる「テーパ形状」を有するタマネギを細長く伸ばしたような先細りの延在も考えられる。平均円錐角度とは、最大外径と最少外径との間の真っ直ぐな接続線とこれらの点の軸方向距離とから得られる。上述のように、本発明による方法により、極めて急な円錐角度を形成することができる。3mm〜50mmの素材の外径では、平均円錐角度は、本発明によれば25°〜80°である。つまり、素材は、比較的大きな引出特性を有する延伸を実現し、その際、ポンプ光域の円錐角度は、ポンプ光出力結合に関して非効果的にフラットになることはない。
【0072】
比較的大きな円錐角度は、比較的短い出力結合区間にわたるポンプ光の出力結合を実現し、その際、ポンプ光入力結合付近に高い強度のポンプ光が必要となることはない。ポンプ光出力は、出力結合区間の長さにわたって、できるだけ完全にコア域に出力結合する。長い出力結合区間により、出力結合するポンプ光出力の軸方向の均等化が容易になる。他方では、ポンプ光は、ポンプ光域で光減衰にさらされ、光減衰は、出力結合区間付近で急な円錐角度により低減される。
【0073】
1%/mより小さな平均強度低下では、ポンプ光の完全な出力結合のために、100mを超える長さを有する出力結合区間にわたるポンプ光域の光ガイドが生じ、このことは、光学活性素子の種類およびポンプ光域に応じて、ポンプ光の光減衰による著しい損失を伴う恐れがある。好適には、ポンプ光域内でガイドされる光は、出力結合区間にわたって、最大10%/cm(出力結合区間の開始前の強度値に関して)の平均強度低下を特徴とする出力結合率で出力結合される。10%/cmを超える平均強度低下では、10cmより短い長さを有する出力結合区間にわたってポンプ光域内の光ガイド生じ、このことは、コア域に出力結合するポンプ光の比較的高い平均強度を伴う。
【0074】
ポンプ光層の半径方向幾何学形状は、円形の横断面とは異なっていてよく、たとえば楕円、多角形の横断面を有していてよく、特にいわゆるDフォーム(またはダブルDフォームとも呼ばれる両側Dフォーム)を有する半径方向断面を有していてよい。
【0075】
ポンプ光域からのポンプ光の効果的な出力結合に関して、本発明による素材の構成が特に好適であり、ポンプ光層は、出力結合区間の少なくとも一部にわたって円形リング状とは異なる半径方向断面を有しており、特に少なくとも1つの外側面取部を有する円形リング状の半径方向断面を有している。
【0076】
円形リング形状から変化した形状により、光学素子において、ポンプ光域内で光ガイドが変化する。これにより特に容易にコア域に入力結合することができない光モード(いわゆるらせんモード)が回避され、変化される。ポンプ光域の幾何学形状変化により、ポンプ光の効果的な出力結合が促進される。純粋な円形リング形状に対する簡単で特に効果的な幾何学形状変化は、ポンプ光域の外側クラッドが片側または複数の(好適には対向する)側で平らに研削されることにより形成され、そうして円形リング形状の単数または複数の面取りが形成される。面取り部を有する構成は、文献において「Dフォーム」とも呼ばれ、対向する2つの面取りを有する構成は、「ダブルDフォーム」と呼ばれる。ポンプ光域のDフォームおよびダブルDフォームは、特にポンプ光域の先細りの横断面に関して特に好適であると認められる。
【0077】
可能な限り低い製造コストに関して、素材の長さにわたって複数の出力結合区域が設けられている。
【0078】
各「出力結合区域」は、光学活性素子を製造するために用いられる。
【0079】
さらに少なくとも1つのコアは、長手軸線の傍で偏心的に延在している。
【0080】
素材は、単数または複数の偏心的に配置されたコアを有している。このようなコアから製作された光学素子をレーザとして使用する際に、コア域の偏心的な配置は、ポンプ光の入力結合に際して好適である。これによりコア域は、構成素子の、端面側で入力結合するポンプ光が僅かしか当射しない域に変位される。これにより入力結合面付近でポンプ光の吸収が低減される。さらにコア域の偏心的な配置では、外側から容易に冷却を行うことができる。さらにたとえばダブルコアレーザファイバでは、ポンプ光は、端面側でファイバに入力結合し、コアおよびポンプクラッド内でガイドされる。したがってファイバは、極めて不均等に要求され、ポンプ光は、そこでは強度が最大であるので入力結合箇所付近で優先的にファイバに吸収される。吸収された出力は、長さが増加するにつれ、指数関数的に低下する。極めて長くて低くドープされた活性コアの使用により、活性コアがポンプ光を入力結合箇所付近で過度に強く吸収し、ファイバが生じる熱発生または過度に高い反転率(光黒化)により破損される、ということが回避される。このような長いファイバは、SRSおよびSBS(誘導ラマン効果および誘導ブリュアン散乱)のような非線形効果によって、その利用が制限される。
【0081】
本発明による構成素子の好適な別の構成は、従属請求項から理解される。従属請求項に記載の構成素子の構成は、本発明による方法に関する従属請求項に記載の構成に追従しており、素子の構成に関する補足説明については、対応する方法に関する従属請求項を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】レーザロッドとしての光学活性素子を製造する際の第1の方法ステップとしてプリフォームを準備する過程を示す図である。
【図2】プリフォームを端面側で接合して複合プリフォームを形成する過程を示す図である。
【図3】複合プリフォームに中央の内孔を形成する過程を示す図である。
【図4】複合プリフォームの内孔にコアロッドを導入する過程を示す図である。
【図5】複合プリフォームを延伸して、円錐部を備えた本発明によるロッド状の素材を形成する過程を示す図である。
【図6】複数の円錐部を備えた本発明による素材の別の実施の形態を示す図である。
【図7】円錐部の円形の横断面幾何学形状を示す図である。
【図8】円錐部のD字形の横断面幾何学形状を示す図である。
【図9】半径方向断面でみてリング状でありかつ軸方向断面でみて円錐形のポンプ光域を備えた円筒形のレーザファイバとしての、素材から形成された光学活性素子の第1の実施の形態を示す長手方向断面図である。
【図10】円筒形のレーザファイバとしての光学活性素子の第2の実施の形態を示す長手方向断面図である。
【図11】光学活性素子の製造に際してプリフォームを準備して接合する別の過程を示す図である。
【図12】光学活性素子の製造に際してプリフォームを準備して接合する別の過程を示す図である。
【図13】光学活性素子の製造に際してプリフォームを準備する別の過程を示す図である。
【図14】図13に示すプリフォームを、外側隆起部を形成しながら端面側で接合する過程を示す図である。
【図15】図14に示す複合プリフォームの外側隆起部を研削したあとで得られる石英ガラス素材を示す図である。
【0083】
発明を実施するための形態
以下に、図面ならびに図示の実施の形態に基づいて、本発明を詳説する。
【0084】
図1には、非ドープ石英ガラスから成る第1の円筒体11と、4%の重量パーセント濃度のフッ素をドープした石英ガラスから成る第2の円筒体12とを示している。第1の円筒体11は、端面を備えており、端面は、円錐尖端部13として研磨されている。第2の円筒体12は、端面を備えており、端面に、円錐形の凹部14が切削(フライス加工)されている。両方の円筒体11,12の外径は同一で、40mmである。同様に円錐尖端部13の高さと円錐形の凹部14の深さとは同一で、15.6mmである。円錐角度α(円錐の頂点を通る垂線と斜面とが成す角、両方の斜面が成すテーパ角度の半分)は、52°で、円錐形の凹部14の円錐角度βに相当する。
【0085】
円筒体11,12は、対向する端面13;14で、旋盤のチャックに緊締され、共通の中心回転軸線15に対して調整される。
【0086】
次いで円筒体11,12は、中心軸線15に沿って押し合わされ、接合複合体が形成されるので、図2に略示するように、端面側の端部13;14は、相互に接触し合う。接合複合体17は、破線で示す接触部16において回転しながら加熱されるので、端面13;14は、相互に溶け合う。フッ素ドープにより、第2の円筒体12の石英ガラスは、第1の円筒体11よりも軟らかい。
【0087】
このようにして円筒形の溶融複合体18が形成され、そこでは第1の円筒体11および第2の円筒体12の石英ガラスは、接触部16において、円錐部分で相互に入り込んでいる。溶融複合体18の外径は、円筒体11;12の外径に相当する。
【0088】
図3に略示するように、溶融複合体18に冷却後に内孔19が設けられる。内孔19の直径は、4mmであり、図4に略示するように、コアロッド20を収容するために用いられる。コアロッド20は、半径方向に均一の屈折率を有するコアガラスから成っているか、または、別の屈折率を有する単数または複数のクラッドガラス層により包囲されたコアガラスから成っている。
【0089】
コアロッド20を備えた溶融複合体18は、次いで、域ごとに順次加熱することによって延伸され、1mmの外径を有するロッド21が形成される。元来の接触部16は、図5に略示するように、25mの長さを有する錐体構造22に引き延ばされる。錐体構造22は、内側域23と外側域24とから構成されている。内側円筒部23の直径(厚み)は、円錐体構造22の一方の端部から他方の端部に向かって漸減しており、外側域24の直径(厚み)は、同じ区間にわたって反対に漸増している。錐体構造22から、所望の光学素子が形成され、その際、錐体構造22の両側で端部が部分的または全体的に除去される。その際、切り取られた端部は、廃棄物となる。
【0090】
図6に略示する溶融複合体25の実施の形態では、廃棄物の量は低減される。同一または同等の構成素子には、図5と同じ符号を設けた。溶融複合体25の長さにわたって、複数の錐体構造22が分配されている。複数の錐体構造22は、別の構成をした円筒体11’;12’を用いることにより形成され、円筒体11’;12’の両方の端面は、それぞれ外側円錐部(11’)もしくは内側円錐部(12’)として形成されている。
【0091】
さらに偏心的に配置された2本のコアロッド20’が設けられている。ここで製造された光学素子をレーザファイバとして用いる場合、コア域の偏心的な配置は、上述のように、ポンプ光が入力結合する際に好適である。
【0092】
図7には、図5に示す構成要素としての錐体構造22を、A−A線に沿った半径方向断面図で略示する。同一または同等の構成素子には、図5と同じ符号を設けた。内側域23および外側域24は、円形リング状に形成されている。
【0093】
これに対して図8には、リング形状とは異なる半径方向断面、つまりいわゆる「Dフォーム」の輪郭を略示しており、ここでは構成素子の外側の側面が平面26として形成されている。この輪郭は、第1のプリフォーム11に適切な平面を有する外側円錐部が設けられることにより、形成される。
【0094】
サイドポンプ方式のレーザとして構成素子を使用する際に、たとえばDフォームまたはダブルDフォーム、星形、花形などの多角形として形成することができる、円形リング面とは異なる輪郭は、らせん光線の発生を低減させる。らせん光線は、活性のコアに侵入せず、したがってコアのポンピングに提供されない。らせん光線の低減によりポンプ光の効率が改善される。
【0095】
図9には、本発明によるレーザファイバを長手方向断面図で示す。レーザ活性のコア1は、円筒形に形成されていて、長手軸線9に沿って延在している。コア1は、その全長にわたって、ポンプクラッド3と外側クラッド2とにより包囲されている。
【0096】
コア1は、0.25モルパーセント濃度のYb2O3および1.0モルパーセント濃度のAl2O3がドープされた、レーザ活性の石英ガラスから成っている。コア−石英ガラスの屈折率は、非ドープ石英ガラスの屈折率よりも僅かに高い。コア−石英ガラスは、0.1mmの直径を有している。レーザ活性のコア1では、放出しようとするレーザビーム5は、ポンプクラッド3を介して光学的なポンピングにより形成される。
【0097】
ポンプクラッド3は、非ドープ石英ガラスから成っている。ポンプクラッド3は、円錐形に形成されており、その厚みは、20mの長さにわたって、ポンプ光8のための入力結合端面6からレーザビームのための出力結合端面7まで、1mmから100μmに漸減する。円錐角度は、約0.02mradである。
【0098】
ポンプクラッド3を包囲する外側クラッド2は、4重量パーセント濃度のフッ素がドープされた石英ガラスから成っており、これは、非ドープ石英ガラスよりも14×10-3低い屈折率を有している。外側クラッド2の比較的低い屈折率により、ポンプクラッド3からのポンプ光8の放出が防止される。外側クラッド2は、ポンプクラッド3の円錐形状に対して補完的な内側円錐形に形成されている。その厚みは、20mの長さにわたって、ポンプ光8のための入力結合端面6からレーザビームのための出力結合端面7まで、10μmから1mmに漸増する。これによりレーザファイバ全体として円筒形状が得られる。
【0099】
ポンプ光8は、入力結合側6で(ポンプクラッド3において円形に形成された両方の端部面の大きい方を介して)入力結合する。入力結合するポンプ光8のNA(開口数)は、ポンプクラッド3のNAに適合されており、その際、ポンプ光8の均等な入力結合がコア1の全長にわたって達成される。ポンプ光8は、全体的または部分的に端部面6に照射することができる。好適には、ポンプ光8が活性のコア面に作用しないかまたはできるだけ僅かしか作用しないように、ポンプ光8は、ポンプクラッド3に入力結合する。
【0100】
ポンプ光8は、ポンプクラッド3において、全反射の条件がもはや満たされず、ポンプ光線8がコア1に侵入するまで、ガイドされる。ポンプクラッド3の円錐形状に基づいて、外側クラッド2に対する境界面で反射するごとに、漸増する反射角度が生じる。何度か反射したあとで反射角度が過度に大きくなると、ポンプ光8は、コア1に侵入して、活性のコア1において反転分布を生じさせ、これにより十分に高い励起出力でレーザ放出5が行われる。
【0101】
ポンプクラッド3内の光のガイドは、コア1が薄い内側のクラッド層により包囲されている場合に改善することができる。内側のクラッド層の屈折率は、ポンプクラッドの屈折率よりも小さい。その際、外側クラッド2の屈折率は、好適には、内側のクラッド層の屈折率よりも小さく選択されている。これにより、ポンプ光8が外側クラッド2に放出される、ということが防止される。
【0102】
選択的な実施の形態では、ポンプクラッド3は、出力結合端部7に向かって真っ直ぐに先細りに延在する円錐形の構成の代わりに、出力結合端部7に向かって非線形に先細りに延在する湾曲した経過を有している。このような経過は、たとえばガラス円筒体を延伸する際に、タマネギを細長く伸ばしたような形状、いわゆる「テーパ」として得られる。
【0103】
光学活性素子の長さは、数cm〜数mの範囲である。直径は、典型的には0.2mm〜10mmである。本実施の形態では、レーザファイバは、20mの長さを有していて、この長さは、出力結合区分の長さに相当する。
【0104】
図10に示す実施の形態では、本発明によるレーザは、ファイバとして提供され、このファイバは、コア1、円錐形のポンプクラッド3および円錐形のポンプクラッド3に対して補完的な内側円錐形の外側クラッド2に関して、図1に示す実施の形態に対応する。外側クラッド2は、追加的に、非ドープ石英ガラスから成る安定化層4により包囲されている。ファイバは、全体として均一な外径を有している。
【0105】
図11および図12には、図1に示す方法の変化形を略示する。同一または同等の構成素子または構成部分には、図1と同じ符号を設けた。
【0106】
図11に示す実施の形態では、円筒体11は、端面側に外側円錐部13を有しており、その円錐角度α’は、別の円筒体12の、端面側で内側円錐形の凹部14の円錐角度β’よりも小さい。円筒体11,12を接合する際に、円錐尖端部と凹部14の底部との間で所定に再現可能に第1の接触が生じる。凹部14の底部から出発して、接触箇所は、内側から外側へ移動する。これによりガスは、最終的に接触するまで、円筒体11;12の端面の間のギャップから逃がすことができる。
【0107】
図12に示す実施の形態では、円筒体11は、端面側に外側円錐部13を備えており、その円錐角度α’’は、別の円筒体12の、端面側で内側円錐形の凹部14の円錐角度β’’よりも大きい。外側域ガラスから成る円筒体12には、追加的に、排気孔28が設けられており、排気孔28は、長手軸線15上を延びていて、凹部14の底部に通じている。円筒体11,12を接合する際に、先ず凹部14の環状の外縁27に外側円錐部13の側面が所定に再現可能に接触する。この接触により、円筒体11;12の端面の間に残るギャップがシールされる。このギャップから、ガスは、排気孔28を介して吸い込まれ、次いで真空が維持される。外縁部27から出発して、接触箇所は、外側から内側へ移動する。これによりガスは、円筒体11;12の端面の間のギャップから排気孔28を介して最後まで逃がすことができる。排気孔28は、次いでコアロッドを収容するために準備され、用いられる。
【0108】
図13には、非ドープ石英ガラスから成る第1の円筒体11と、4重量パーセント濃度のフッ素がドープされた石英ガラスから成る環状の第2の円筒体30とを略示する。第1の円筒体11は、丸み付けされた円錐尖端部を有する円錐部13として切削された端面を備えている。円錐角度は、約35°である。第1の円筒体11の外径は、40mmであり、これは、内孔31の直径(41mm)に適合されている。
【0109】
円筒体11;12は、旋盤のチャックに緊締され、共通の中心回転軸線15に対して調整される。次いで第1の円筒体11は、円筒体外側面が内孔の内壁に接触するまで、内孔31に挿入される。
【0110】
そのようにして製造された接合複合体は、接触部分で回転しながら加熱されるので、環状の円筒体30は、先ず円筒体の外側クラッドに沿って潰れて、溶融して円筒体と結合する。フッ素ドープに基づいて、第2の円筒体30の石英ガラスは、第1の円筒体11の石英ガラスよりも軟らかい。
【0111】
次いで、ブロック矢印36で示唆するように、内孔31を介して負圧が及ぼされて維持される。環状の円筒体30は、外側円錐部13に沿って潰れる。図14に略示するように、円筒体30は、長細い内実な円筒体に引き延ばされる。その際、外側域ガラスから成る環状の外側隆起部32が残り、次いで、外側隆起部32は、線33に沿って研削される。
【0112】
このようにして図15に示す略円筒形の素材35が得られ、素材35は、接触部37において、円錐形に先細りに延在する内側域13と、この円錐形状に対して補完的な内側形状に拡開する外側域とを備えている。上述のようにして接触部は後加工され、光学素子が形成される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、石英ガラスから成る円筒形の光学素子を製造する方法であって、光学素子は、内側域ガラスから成る、長手軸線方向に延在する内側域を備え、内側域は、外側域ガラスから成る外側域により包囲され、外側域の平均厚みは、構成素子の長手軸線方向にみて外側域の長さの少なくとも一部にわたって変化するものに関する。
【0002】
また本発明は、光学活性素子を製造するための円筒形の素材であって、素材は、長手軸線を備え、長手軸線に沿って延在する、光学活性材料から成るコアを備え、コアに沿って延在するポンプ光層を備え、ポンプ光層の屈折率よりも低い屈折率を有する、ポンプ光層を包囲するクラッド層を備え、ポンプ光層は、出力結合(出射)区分に沿って漸減する厚みを有しているものに関する。
【0003】
背景技術
ロッド状またはファイバ状のサイドポンピング方式の光学活性素子は、たとえば高出力レーザとして、または、通信技術ではレーザ活性のコアとコアを包囲するポンプクラッドとを備えた光ファイバ増幅器として用いられる。「光学活性素子」とは、レーザの他に、光学増幅器やいわゆるスーパールミネッセンス光源に包括されるものである。
【0004】
ファイバ増幅器は、光データ伝送における光導波路内の損失を補償することができ、その際、いわゆる「光ポンピング」により、レーザビームがファイバコアに入力結合(入射)し、レーザビームは、コア域のレーザ活性物質を励起する。ファイバコアを通過する光パルスは、付加的に励起イオンのエネルギを吸収し、これにより増幅される。
【0005】
これに対して選択的に、レーザ活性物質は、ファイバまたはロッド状の高出力レーザの場合に当てはまるが、入力結合されたポンプ光によりレーザビームを放出するために励起することができる。
【0006】
レーザ活性材料は、たとえば結晶質のNd:YAGを含有しているか、または、ドーパントを含有する石英ガラスから成っており、ドーパントは、ホスト材料である石英ガラス内でレーザビームを放出するか、または増幅するように作用する。通常、ドーパントは、希土類カチオン(ランタノイド)またはいわゆる遷移金属のカチオンである。
【0007】
ある程度の侵入長さ(侵入深さ)のあとでも十分なポンプ光作用を確保するために、入力結合域においてポンプ光線の格別に高いエネルギ密度が要求される。これは熱作用および光黒化によるコア域の品質低下を伴う。さらに一方では入力結合域におけるポンプ光の高いエネルギ密度により、他方ではポンプ光出力の指数関数的な低下により、所望しない非線形効果が生じる。
【0008】
このような欠点は、冒頭で述べたようなレーザ系およびサイドポンピング方式の光学活性素子によって回避され、そこでは、ポンプ光が直にレーザ活性コアに入力結合するのではなく、クラッド面を介してコアに入力結合する。ファイバの長さに基づいて、クラッド面は、ファイバ端面の何倍もの大きさを有している。これにより光学活性素子のコア域を損なうことなく、高い励起エネルギの入力結合が実現される。
【0009】
サイドポンピング方式のレーザとしてのこのような光学活性素子は、米国特許第5048026号明細書において公知である。そこにはファイバ増幅器が記載されており、ファイバ増幅器は、Nd:YAGから成るシリンダ状のレーザ活性のコアとレーザビームのための出力結合端部とを備えており、出力結合端部は、石英ガラスから成るスリーブ状のポンプジャケット(ポンプクラッド)により包囲されている。ポンプジャケットは、前方の長さ部分で円錐形に形成されているので、その厚みは、出力結合端部に向かって減少し、ポンプジャケットは、コアの出力結合端部とまとまって終了する後方の円筒形部分に移行する。ポンプ光は、出力結合端部とは反対側の端面で、ポンプジャケットに入力結合し、ポンプジャケットの外側面の間を往復するように反射され、その際、レーザ活性のコアを横切る。このことを保証するために、ポンプジャケットは、周囲(たとえば空気)の屈折率より大きいがレーザ活性のコアの屈折率よりも小さな屈折率を有している。ポンプジャケットの円錐部分では、反射するごとに、外側面に対する角度は漸増するので、ポンプ光は、円筒形域においてレーザ活性コアに集束される。
【0010】
同様のレーザシステムが、米国特許第5086433号明細書において公知である。レーザ系は、石英ガラスエレメントを備えており、石英ガラスエレメントは、レーザロッドに光ポンピングするために用いられ、レーザロッドは、石英ガラスエレメントの中心孔に挿入されている。石英ガラスエレメントは、光拡散方向にみて円錐形に先細りに延在していて、外側で鏡面被覆されている。
【0011】
ポンプ光光源として、複数のレーザダイオードが用いられ、レーザダイオードは、端面側における半径方向の様々な位置で石英ガラスエレメントに照射する。レーザダイオードの半径方向の位置に応じて、ポンプ光線は、軸方向の異なる位置で鏡面被覆部に到達し、そこからレーザロッドに反射される。
【0012】
石英ガラスエレメントに入力結合するポンプ光は、大体においてリング状の強度分布を有していて、また、レーザダイオードの数および位置に応じて、ポンプ光の入力結合をレーザロッドの長さにわたって大小の範囲で均等に分布することもできる。しかし装置自体が複雑であり、構成素子の調整が極めて面倒である。
【0013】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第2844129号明細書において、レーザロッドに光ポンピングするための同等の装置が記載されている。この装置は、サイドポンピング方式のNd:YAGレーザとポンプ光光源とを備えている。レーザロッドは、クラッドにより包囲されており、クラッドは、内側で鏡面処理された被覆により包囲されている。クラッドは、レーザロッドの屈折率よりも低い屈折率を有する材料から成っており、クラッドは、光拡散方向にみて円錐形に先細りして延在している。出力結合端部に、ガラス小板が配置されており、ガラス小板は、ポンプ光を反射するだけでなく、レーザビームの出力結合を実現する。
【0014】
ポンプ光源から出発して、広幅の端面側の端部からクラッドに入力結合するポンプ光は、特定の角度を成して、鏡面処理された被覆で反射され、レーザロッドの外側面に当射される。
【0015】
ガラスから成る、円錐形に先細りに形成されたポンプ光クラッドを備えたレーザ素子の製造は、全く問題がないというわけではない。このような素子は、たとえばポンプ光クラッドを外側から機械式に加工するか、または円筒形の素子を部分的に軟化して、その際に延伸して製造される。延伸プロセスに際して、引張速度が連続的に増加するので、引き出される延伸部分(ストランド)の外径は漸減する。このような方法は面倒であり、複雑な制御を必要とし、特に急な円錐角度(たとえば10°を超える)の調節には不向きである。
【0016】
さらに円錐形のポンプ光クラッドにより、対策を講じない場合、先細りの外径を有するレーザ素子が形成される。先細りの外径は不都合である。一定の外径の場合よりも、本体にわたる冷却の実現が困難であり、レーザ素子、特にレーザファイバの大量生産は困難である。したがって円錐形のポンプクラッドにもかかわらず、光学素子の円筒形の外側クラッドが所望される。
【0017】
国際公開第2006/049296号明細書において、円錐形のコアを有するプリフォームを製造する方法が公知であり、そこでは、先ずそれぞれ一定の直径を有するコア部とクラッド部とを備えた円筒形のプリフォームが、円錐形に延伸され(上述のように)、その結果、先ず円錐形のコア部と円錐形のクラッド部とを備えた半製品が得られる。次いで、半製品の外径が、クラッド部を加工して、一定の寸法に研削される。そのようにして得られた円筒体は、円錐形のコア部と補完的な内側円錐形のクラッド部とを備えている。
【0018】
研削は、その作業に大きな手間が掛かり、材料損失を伴うものである。
【0019】
特開平11−21142号公報において、円錐形のコア部と補完的な内側円錐形の内側クラッド部とを備えた円筒形の光学素子を製造する別の方法が公知である。ここでは、先ず円筒形のコア部と円筒形の内側クラッド部とを備えた円筒形のコアロッドが製作される。次いで、内側クラッド部が円錐形に研削され、円錐形の外径延伸経過を有する半製品が形成される。円錐形の半製品は、延伸プロセスで、一定の外径を有する円筒形の半製品に成形される。そのあとで半製品は、円錐形のコア部と補完的な内側円錐状のクラッド部とを有する。次いで、円筒形の半製品に追加的な外側クラッド部が設けられ、引き伸ばされ、ファイバが製造される。
【0020】
公知のこの方法では、光学素子の円筒形の外径を形成するために作業上の大きな手間ならびに長い時間が要求される。
【0021】
技術的な課題設定
本発明の課題は、少なくとも長さの一部にわたって可変の厚みを有する半径方向の層が設けられた、石英ガラスから成る円筒形の光学素子を簡単かつ経済的に製造する方法を提供することである。
【0022】
さらに本発明の課題は、ポンプ光の入力結合箇所付近においてコア部が僅かしか損なわれず、ポンプ光の高い吸収による非線形効果の発生を実質的に回避し、ポンプ光の高い効率が得られる、光学活性素子の素材を提供することである。
【0023】
この課題は、本発明の方法によれば、冒頭で述べた方法から出発して、以下の方法ステップ:
(a)内側域ガラスから成る第1のプリフォームを準備し、第1のプリフォームは、端面に、外側円錐形の第1の接触面を備え、
(b)外側域ガラスから成る第2のプリフォームを準備し、
(c)外側域ガラスに外側円錐形の接触面(13)を埋め込み、接触面(13)を外側域ガラスと溶接して、複合プリフォーム(18)を形成し、複合プリフォームは、接触部(16)に、内側域ガラスから成る円錐形の内側域を備え、内側域は、内側円錐形の外側域により包囲され、
(d)複合プリフォームを延伸して、光学素子または光学素子の中間製品を形成する、
ステップを有する方法により解決される。
【0024】
本発明による方法が目的とするところは、少なくともその長さの一部にわたって、円筒体の軸線方向に変化する厚みを有する内側域を備え、同時に可能な限り円筒形状を有する、円筒形の光学素子(またはその中間製品)である。
【0025】
光学素子は、たとえば引き伸ばして光ファイバを製造するためのプリフォームまたは光伝達のための光ファイバまたは、ロッド、チューブまたはファイバとして構成されたレーザであり、これらの構成素子は、典型的には少なくとも1つのレーザ活性域を有している。
【0026】
公知の方法では、可変の厚みを有する内側域の形成は、半製品の円筒体周面の加工または円筒体周面からの内側域材料の軸方向の不均等な分離により行われる。円筒形状の再形成には、追加的な単数または複数の方法ステップが要求される。これに対して本発明による方法では、溶接プロセスが行われ、その際、予備製作された2つのプリフォームが、端面側で相互に入り込むように相互に溶接される。このために第1のプリフォームは、端面側で、外側円錐形の接触面を備えており、接触面は、第2のプリフォームの外側域ガラスに、たとえば外側域ガラスに侵入することによって、埋め込むことができる。1つの作業過程で、内側域ガラスから成る外側円錐体の、外側域ガラスへの侵入深さにわたって、外側域の変化する厚みと、内側域の、これとは逆に変化する厚みとが形成される。外側域ガラスおよび内側域ガラスが相互に侵入する部分は、以下に「接触部」と記載する。
【0027】
外側域ガラスに埋め込まれる外側円錐形の接触面は、外側域ガラスと溶接される。その際、溶融複合体が形成され、溶融複合体において、外側域ガラスは、内側域ガラスの外側円錐体に形状結合(形状結合とは、嵌め合いまたは噛み合いなどの部材相互の形状的関係に基づく結合を意味する)で接触して、これと一緒に融解する。
【0028】
外側円錐体の底面および側面の幾何学形状により、接触部における内側域および外側域の軸方向延伸長さが規定される。最も簡単な場合、内側域の厚みは、直線的に一方向に減少するので、軸方向断面でみて、構成素子の円筒体軸線に沿って内側域の円錐形の経過が得られる。外側円錐側面の形状に応じて、別の軸方向の厚み経過が得られ、たとえば円筒体軸線方向にみて内側域の厚みが指数関数的または段階的に減少する経過が得られる。特記しておくと、いわゆる「テーパ形状」を有するタマネギを細長く伸ばしたような先細りの形状が得られる。理解を容易にするために、本発明では、円錐形の厚み経過に基づく構成について言及するが、これは、別の厚み経過も含むものである。特に以下の記載において「錐体構造」とは、外側域ガラスおよび内側域ガラスの幾何学的な相互作用を表すものとして用いる。
【0029】
第1のプリフォームの外側円錐体の底面は、製造しようとする光学素子の機能に関連している。最も簡単な場合、底面は円形であるが、楕円、多角形の底面、特にいわゆるDフォーム(またはダブルDフォームともいわれる両側Dフォーム)を有する底面が、特別な使用例に適しており、これについては後述する。
【0030】
端面側の溶接や第1のプリフォームおよび第2のプリフォームの相互の侵入により得られる複合プリフォームは、通常、更なる加工ステップにさらされ、加工ステップとして、特に複合プリフォームの内側部分または外側部分における別のガラス域の取付が挙げられる。単数または複数の延伸プロセスのあとで、長手方向断面でみて元来のプリフォームの接触部から出発する錐体構造を備えた光学素子が得られ、錐体構造には、変化する厚みを有する内側域と、内側域に対して逆に変化する厚みを有する、内側域に接する外側域とが設けられている。
【0031】
本発明による方法は、特に単数または複数のレーザ活性域を有する、ファイバ、チューブまたはロッド状のサイドポンピング方式のレーザを形成するのに適しており、ポンプ光は、ポンプ光域に入力結合し、ポンプ光域は、レーザ活性域に、直に隣接するかまたは分離域を介して分離して位置しており、レーザまたはロッドの長手軸線方向にみて先細りにまたは拡開して延在している。
【0032】
好適には、第2のプリフォームは、第2の接触面を備えており、複合プリフォームの形成は、第1の接触面と第2の接触面との接合を含んでいる。
【0033】
接合が機械式に行われると、機械式に接合複合体が形成され、接合複合体から、接触面の後続の溶接により、複合プリフォームが製作されるか、または、接合は、熱的に行われ、同時に接触面が溶接される。
【0034】
通常、内側域ガラスと外側域ガラスとの間の境界面において気泡は所望されない。したがって特に有利な方法によれば、接合に際して、第1の接触面と第2の接触面との間の中間室が排気される。
【0035】
その際、接触面の接合に際して、負圧が加えられる。このために第1のプリフォームおよび/または第2のプリフォームに貫通孔が設けられ、貫通孔は、接触面に通じていて、したがって溶接に際して中間室と流体接続されている。貫通孔は、好適には、できるだけ溶接プロセスの最後になってはじめて閉じられるように配置されているので、負圧は、最後まで作用する。
【0036】
その際、第1のプリフォームの外側円錐体は、中間室をシールするために用いられる。シールは、好適な方法では、プリフォームの接合に際して第1のプリフォームの円錐側面が第2のプリフォームの環状の縁部に密に接触することにより行われる。
【0037】
このために、たとえば第2のプリフォームは、端面側で、円錐形の凹部を備えており、凹部は、環状の縁部として端面まで延びている。第1のプリフォームの外側円錐体は十分な幅を有しているので、外側円錐体は、プリフォームの接合に際して、円錐側面で、環状の縁部に接触する。その際、第2のプリフォームの凹部は、環状の縁部における外側クラッドの接触を介してシールが得られるまえに、外側円錐体の円錐尖端部が当接しないような深さに設計されている。
【0038】
プリフォームの相互の溶接は、たとえば旋盤のような装置で行われ、この装置によって、プリフォームは、共通の回転軸線を中心に回転可能で、かつ回転軸線の軸方向に移動可能である。溶接前に、第2のプリフォームの接触面は軟化させられ、その際、第1のプリフォームの外側円錐体が軟化した外側域ガラスに侵入可能であるか、または、軟化した外側域ガラスが内側域ガラスから成る外側円錐体上で潰れる。その際、第2のプリフォームの接触面は、侵入する外側円錐体の形状に適合させる必要はなく、接触面は、平面状または管状であってよい。場合によっては、外側円錐体の侵入に際して押し込まれる外側域ガラスは、接触域の周りに隆起した厚み部を形成する。厚み部は、成形工具によって直に溶接プロセスに際して均して、厚み形成を回避することができるか、または、厚み部は、あとで機械加工により除去することができる。好適な方法では、第2のプリフォームの接触面は、凹部を備えており、凹部は、好適には、内側円錐体として形成されている。
【0039】
第2のプリフォームの端面側の凹部によって、両方のプリフォームを接合する際に、外側円錐体のある程度のセンタリングが達成される。さらに押し退けられるべき外側域ガラスの質量が小さいと、比較的小さな隆起部が形成され、外側域ガラスを僅かに軟化すると十分である。特に不可欠ではないが、好適には、凹部の形状は、第1のプリフォームに適合されている。良好な適合が得られると、溶接過程に際して、外側域ガラスの押し退けが生じないか、または、場合によってはほとんど生じず、接触部において大きな変形は行われない。これに伴い、接触部において、接触面を溶接するために比較的僅かな軟化しか要求されない。このようにして精確で良好に再現可能な錐体構造が得られる。1つの方法によれば、上述のように、溶接に際して接触部に負圧が形成され維持され、この方法では、第2のプリフォームの凹部に貫通孔が通じており、貫通孔を介して真空を及ぼすことができる。
【0040】
凹部もしくは内側円錐形の接触面は、好適には機械加工により製作される。
【0041】
機械加工には、穿孔、研削、転削が含まれる。平滑化するため、かつ摩耗を回避するために、化学式のエッチングが好適である。最も簡単な場合、凹部は、たとえば袋孔として形成されており、通常、凹部は、外側円錐体の形状に少なくとも近似的に適合されている。
【0042】
プリフォームを端面側で接合するために、第1のプリフォームは、端面側で円錐形の突出部を有しており、突出部は、円筒体長手軸線と、少なくとも25°の平均円錐角度を成しており、第2のプリフォームの端面は、好適には外側円錐体形状に適合されており、その際、第2のプリフォームの端面は、少なくとも25°の平均円錐角度を有する内側円錐体を備えている。
【0043】
好適な第2の方法では、凹部は、熱間成形プロセスにより製作される。
【0044】
熱間成形プロセスでは、第2のプリフォームの少なくとも端面側付近が軟化され、成形工具、たとえばグラファイト型により、端面側の凹部が押込成形される。型から離間したあとで、凹部の表面付近が融解するので、このようにして僅かな手間で格別に平滑な表面が得られる。
【0045】
好適には、外側域ガラスとして、フッ素ドープ石英ガラスが使用される。
【0046】
フッ素は、9重量パーセントまでの高い濃度で、好適には1重量パーセント〜5重量パーセントまでの範囲で、比較的簡単に均質に石英ガラスに添加することができる。公知のように、フッ素による石英ガラスのドープにより、屈折率の低下や粘度の低下がもたらされる。屈折率の低下により、外側域ガラスは、光ガイドを促進する。粘度の低下により、外側域ガラスは、溶接過程に際して同じ温度でも内側域ガラスよりも軟らかくなり、したがって、軟らかい外側域ガラスへの外側円錐体の侵入や所定の錐体構造の再現可能な製作が容易になる。
【0047】
特に好適には、第1のプリフォームおよび第2のプリフォームは、それぞれ円筒体として形成されている。
【0048】
溶接するために、円筒形のプリフォームは、共通の円筒体長手軸線方向に接合される。接合は、たとえば旋盤上で行われ、その際、プリフォームは、それぞれチャックにより保持される。これにより、特に精確で再現可能なプリフォームの接合が実現される。このようにして同じ外径を有するプリフォームから、連続的に延びる同じ外径を有する複合プリフォームが得られる。
【0049】
好適には、第1のプリフォームの外側円錐形の接触面は、機械加工により製作される。
【0050】
機械加工(ここでは第1に研削加工が挙げられる)により、僅かな手間で外側円錐形の接触面の精確な幾何学形状が得られる。
【0051】
選択的に好適には、第1のプリフォームの外側円錐形の接触面は、熱間成形プロセスにより製作される。
【0052】
ここでは外側円錐形の接触面が製作され、その際、第1のプリフォームの端面が軟化され、工具、たとえばグラファイト型により、所望の外側形状に成形される。グラファイト型を取り出すと、成形された外側円錐体の表面が融解するので、特に平滑な表面が得られる。
【0053】
好適には、第1のプリフォームの外側円錐形の接触面に、丸み付けされた円錐尖端部が設けられる。
【0054】
丸み付けされた円錐尖端部は、シャープな尖端部よりも高い機械安定性を有していて、第2のプリフォームの端面に侵入する際に、僅かに変形されるだけであり、このことは、接触域における錐体構造の再現性および寸法維持に好適に働く。
【0055】
これに関連して、内側域ガラスとして非ドープ石英ガラスを使用すると好適である。非ドープ石英ガラスは、通常、ドープ石英ガラスよりも高い粘性を示す。
【0056】
外側域に、外側円錐体に対応する内側円錐体が設けられている場合、プリフォームは冷間状態で接合され、次いで向き合う接触面が溶接される。通常、好適には、既に押し合わせに際して少なくとも第2のプリフォームが第2の接触面の付近で軟化される。
【0057】
溶接過程に際して、好適には、両方のプリフォームは、接触部において均等に加熱され、その際、少なくとも第2のプリフォームが軟化され、第1のプリフォームの外側円錐体との溶接が実現される。
【0058】
さらに好適には、複合プリフォームに、コアロッドを収容するための少なくとも1つの内側孔が設けられ、延伸前に、コアロッドが装着される。
【0059】
単数または複数の内孔は、錐体構造が複合プリフォームに最終的に形成されたあとで、機械式に形成される。これによりコア部の一定でない軸方向の直径経過をもたらす延伸プロセスは回避される。一定でない軸方向の直径経過は、通常、所望されない。さらに機械式の穿孔を高い寸法精度で行うことができる。少なくとも1つの内孔に、コアロッドが挿入される。コアロッドは、光導波路のための光コアロッドまたはレーザ活性のガラスから成るロッドである。中央のコアガラス部は、内側のクラッド部により包囲される。
【0060】
さらに好適には、複合プリフォームは、延伸前に、フッ素ドープ石英ガラスから成る層により包囲される。
【0061】
フッ素ドープ石英ガラスから成る層は、いわゆるPOD(Plasma Outside Deposition)法を用いてたとえば適切な石英ガラスを堆積することによって、または、フッ素ドープされたチューブをオーバークラッドすることによって形成される。フッ素ドープ層は、特に外側域ガラスが高い屈折率を有する石英ガラスから成る場合に、外側域の付近で光ガイド特性に影響を及ぼす。
【0062】
好適な方法によれば、複合プリフォームに、非ドープ石英ガラスから成る外側層が設けられる。
【0063】
比較的高い粘度によって、非ドープ石英ガラスから成る外側層は、比較的低い粘度を有する、外側層の内側に位置する石英ガラス層を、後続の方法ステップにおいて安定化させ、外側層は、特に熱間変形ステップにおける変形に対抗する。非ドープ石英ガラスから成る外側層は、一般的な外側堆積法または石英ガラス管のオーバークラッドにより取り付けることができる。
【0064】
素材に関する上述の課題は、冒頭で述べた素材から出発して、ポンプ光層の厚みが、クラッド層の外径が3mm〜50mmの範囲の場合、25°〜80°の平均円錐角度で、出力結合区分に沿って漸減しており、クラッド層が、同じ円錐角度で、ポンプ光層とは逆に漸増していることにより、解決される。
【0065】
素材の後続加工は、少なくとも1つの引き伸ばしプロセスを含み、その際、コア、ポンプ光層およびクラッド層は、光学活性素子の「域」に延伸され、光学活性素子は、たとえばロッド、チューブまたはファイバの構成でレーザとして提供される。素材を延伸したあとで得られる光学素子は、長手軸線を有し、光学活性材料から成る、長手軸線に沿って延在する円筒形のコア域を有し、コア域に沿って延在するポンプ光域を有し(ポンプ光域から出力結合区域に沿ってポンプ光がコア域に到達可能であり)、ポンプ光域よりも小さな屈折率を有する、ポンプ光域を包囲するクラッド域を有し、コア域、ポンプ光域およびクラッド域は、モノリシックの石英ガラス体の構成要素である。
【0066】
1つの同じ基材(つまりドープ石英ガラスまたは非ドープ石英ガラス)から成る構成素子(もしくは素材の層)の域の形成により、製造が簡単になり、異なる熱膨張率に起因する問題が実質的に回避される。域は、光学活性素子に組み込まれた構成部分であるので、域を調整するためのその都度の手間が省略される。構成素子は、石英ガラスから成っており、ここでは「石英ガラス」とは、少なくとも80重量パーセントのSiO2成分を有する高ケイ酸ガラスと解される。
【0067】
素材が、その長さの少なくとも一部にわたって、入力結合したポンプ光の方向に漸減する厚みを有するポンプ光層と、これとは逆きに漸増する厚みを有するクラッド層と、円筒形のコアとを備えることが重要である。
【0068】
ポンプ光層の変化する厚み経過は、クラッド層の逆の厚み経過によって補償され、素材の、軸方向に一定の全体外径が得られる。これにより円筒形の構成素子の製造が簡単になる。
【0069】
構成素子のコア域に光線がガイドされ、形成され、もしくは増幅される。コア域は、直接的または間接的にポンプ光域に隣接する。ポンプ光域は、コア域に沿って延在している。ポンプ光域は、好適には、光ガイドに適切に設計されている。つまり、ポンプ光域の内側で複数の反射が実現される。このために特にコア域に向いた側の外側面に、低下する屈折率変化を設けることができ、つまり、外側面に、比較的小さな屈折率を有する石英ガラス層が隣接する。ポンプ光域内でガイドされるポンプ光は、光学活性物質を励起するために最終的にコア域に達し、これにより特定の目的が満たされる。これを実現するために、本発明によれば、ポンプ光域の長さの少なくとも一部にわたって、つまり出力結合域にわたって、ガイドされるポンプ光の反射条件が変化し、ポンプ光は、規定のように順次コア域に到達する。これにより該当する出力結合区域の長さにわたる光学活性物質の均等な活性化が及ぼされ、入力結合したポンプ光の高い作用効率が生じる。
【0070】
素材は、好適には、前述の方法に基づいて形成され、本発明による素材のポンプ光層は、本発明による方法の説明において一般的な概念として「内側域」と記載する。したがってその説明を参照されたい。
【0071】
ポンプ光層の厚みは、ポンプ光線の拡散方向にみて減少する。最も簡単な場合、厚みは、円錐角度で直線的に減少するので、素材長手軸線に沿った軸方向の断面図でみて、円錐形の経過が形成される。ポンプ光層の別の軸方向の厚み経過も考えられ、構成素子の円筒体軸線の方向に指数関数的または段階的に減少する経過も考えられ、または、いわゆる「テーパ形状」を有するタマネギを細長く伸ばしたような先細りの延在も考えられる。平均円錐角度とは、最大外径と最少外径との間の真っ直ぐな接続線とこれらの点の軸方向距離とから得られる。上述のように、本発明による方法により、極めて急な円錐角度を形成することができる。3mm〜50mmの素材の外径では、平均円錐角度は、本発明によれば25°〜80°である。つまり、素材は、比較的大きな引出特性を有する延伸を実現し、その際、ポンプ光域の円錐角度は、ポンプ光出力結合に関して非効果的にフラットになることはない。
【0072】
比較的大きな円錐角度は、比較的短い出力結合区間にわたるポンプ光の出力結合を実現し、その際、ポンプ光入力結合付近に高い強度のポンプ光が必要となることはない。ポンプ光出力は、出力結合区間の長さにわたって、できるだけ完全にコア域に出力結合する。長い出力結合区間により、出力結合するポンプ光出力の軸方向の均等化が容易になる。他方では、ポンプ光は、ポンプ光域で光減衰にさらされ、光減衰は、出力結合区間付近で急な円錐角度により低減される。
【0073】
1%/mより小さな平均強度低下では、ポンプ光の完全な出力結合のために、100mを超える長さを有する出力結合区間にわたるポンプ光域の光ガイドが生じ、このことは、光学活性素子の種類およびポンプ光域に応じて、ポンプ光の光減衰による著しい損失を伴う恐れがある。好適には、ポンプ光域内でガイドされる光は、出力結合区間にわたって、最大10%/cm(出力結合区間の開始前の強度値に関して)の平均強度低下を特徴とする出力結合率で出力結合される。10%/cmを超える平均強度低下では、10cmより短い長さを有する出力結合区間にわたってポンプ光域内の光ガイド生じ、このことは、コア域に出力結合するポンプ光の比較的高い平均強度を伴う。
【0074】
ポンプ光層の半径方向幾何学形状は、円形の横断面とは異なっていてよく、たとえば楕円、多角形の横断面を有していてよく、特にいわゆるDフォーム(またはダブルDフォームとも呼ばれる両側Dフォーム)を有する半径方向断面を有していてよい。
【0075】
ポンプ光域からのポンプ光の効果的な出力結合に関して、本発明による素材の構成が特に好適であり、ポンプ光層は、出力結合区間の少なくとも一部にわたって円形リング状とは異なる半径方向断面を有しており、特に少なくとも1つの外側面取部を有する円形リング状の半径方向断面を有している。
【0076】
円形リング形状から変化した形状により、光学素子において、ポンプ光域内で光ガイドが変化する。これにより特に容易にコア域に入力結合することができない光モード(いわゆるらせんモード)が回避され、変化される。ポンプ光域の幾何学形状変化により、ポンプ光の効果的な出力結合が促進される。純粋な円形リング形状に対する簡単で特に効果的な幾何学形状変化は、ポンプ光域の外側クラッドが片側または複数の(好適には対向する)側で平らに研削されることにより形成され、そうして円形リング形状の単数または複数の面取りが形成される。面取り部を有する構成は、文献において「Dフォーム」とも呼ばれ、対向する2つの面取りを有する構成は、「ダブルDフォーム」と呼ばれる。ポンプ光域のDフォームおよびダブルDフォームは、特にポンプ光域の先細りの横断面に関して特に好適であると認められる。
【0077】
可能な限り低い製造コストに関して、素材の長さにわたって複数の出力結合区域が設けられている。
【0078】
各「出力結合区域」は、光学活性素子を製造するために用いられる。
【0079】
さらに少なくとも1つのコアは、長手軸線の傍で偏心的に延在している。
【0080】
素材は、単数または複数の偏心的に配置されたコアを有している。このようなコアから製作された光学素子をレーザとして使用する際に、コア域の偏心的な配置は、ポンプ光の入力結合に際して好適である。これによりコア域は、構成素子の、端面側で入力結合するポンプ光が僅かしか当射しない域に変位される。これにより入力結合面付近でポンプ光の吸収が低減される。さらにコア域の偏心的な配置では、外側から容易に冷却を行うことができる。さらにたとえばダブルコアレーザファイバでは、ポンプ光は、端面側でファイバに入力結合し、コアおよびポンプクラッド内でガイドされる。したがってファイバは、極めて不均等に要求され、ポンプ光は、そこでは強度が最大であるので入力結合箇所付近で優先的にファイバに吸収される。吸収された出力は、長さが増加するにつれ、指数関数的に低下する。極めて長くて低くドープされた活性コアの使用により、活性コアがポンプ光を入力結合箇所付近で過度に強く吸収し、ファイバが生じる熱発生または過度に高い反転率(光黒化)により破損される、ということが回避される。このような長いファイバは、SRSおよびSBS(誘導ラマン効果および誘導ブリュアン散乱)のような非線形効果によって、その利用が制限される。
【0081】
本発明による構成素子の好適な別の構成は、従属請求項から理解される。従属請求項に記載の構成素子の構成は、本発明による方法に関する従属請求項に記載の構成に追従しており、素子の構成に関する補足説明については、対応する方法に関する従属請求項を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】レーザロッドとしての光学活性素子を製造する際の第1の方法ステップとしてプリフォームを準備する過程を示す図である。
【図2】プリフォームを端面側で接合して複合プリフォームを形成する過程を示す図である。
【図3】複合プリフォームに中央の内孔を形成する過程を示す図である。
【図4】複合プリフォームの内孔にコアロッドを導入する過程を示す図である。
【図5】複合プリフォームを延伸して、円錐部を備えた本発明によるロッド状の素材を形成する過程を示す図である。
【図6】複数の円錐部を備えた本発明による素材の別の実施の形態を示す図である。
【図7】円錐部の円形の横断面幾何学形状を示す図である。
【図8】円錐部のD字形の横断面幾何学形状を示す図である。
【図9】半径方向断面でみてリング状でありかつ軸方向断面でみて円錐形のポンプ光域を備えた円筒形のレーザファイバとしての、素材から形成された光学活性素子の第1の実施の形態を示す長手方向断面図である。
【図10】円筒形のレーザファイバとしての光学活性素子の第2の実施の形態を示す長手方向断面図である。
【図11】光学活性素子の製造に際してプリフォームを準備して接合する別の過程を示す図である。
【図12】光学活性素子の製造に際してプリフォームを準備して接合する別の過程を示す図である。
【図13】光学活性素子の製造に際してプリフォームを準備する別の過程を示す図である。
【図14】図13に示すプリフォームを、外側隆起部を形成しながら端面側で接合する過程を示す図である。
【図15】図14に示す複合プリフォームの外側隆起部を研削したあとで得られる石英ガラス素材を示す図である。
【0083】
発明を実施するための形態
以下に、図面ならびに図示の実施の形態に基づいて、本発明を詳説する。
【0084】
図1には、非ドープ石英ガラスから成る第1の円筒体11と、4%の重量パーセント濃度のフッ素をドープした石英ガラスから成る第2の円筒体12とを示している。第1の円筒体11は、端面を備えており、端面は、円錐尖端部13として研磨されている。第2の円筒体12は、端面を備えており、端面に、円錐形の凹部14が切削(フライス加工)されている。両方の円筒体11,12の外径は同一で、40mmである。同様に円錐尖端部13の高さと円錐形の凹部14の深さとは同一で、15.6mmである。円錐角度α(円錐の頂点を通る垂線と斜面とが成す角、両方の斜面が成すテーパ角度の半分)は、52°で、円錐形の凹部14の円錐角度βに相当する。
【0085】
円筒体11,12は、対向する端面13;14で、旋盤のチャックに緊締され、共通の中心回転軸線15に対して調整される。
【0086】
次いで円筒体11,12は、中心軸線15に沿って押し合わされ、接合複合体が形成されるので、図2に略示するように、端面側の端部13;14は、相互に接触し合う。接合複合体17は、破線で示す接触部16において回転しながら加熱されるので、端面13;14は、相互に溶け合う。フッ素ドープにより、第2の円筒体12の石英ガラスは、第1の円筒体11よりも軟らかい。
【0087】
このようにして円筒形の溶融複合体18が形成され、そこでは第1の円筒体11および第2の円筒体12の石英ガラスは、接触部16において、円錐部分で相互に入り込んでいる。溶融複合体18の外径は、円筒体11;12の外径に相当する。
【0088】
図3に略示するように、溶融複合体18に冷却後に内孔19が設けられる。内孔19の直径は、4mmであり、図4に略示するように、コアロッド20を収容するために用いられる。コアロッド20は、半径方向に均一の屈折率を有するコアガラスから成っているか、または、別の屈折率を有する単数または複数のクラッドガラス層により包囲されたコアガラスから成っている。
【0089】
コアロッド20を備えた溶融複合体18は、次いで、域ごとに順次加熱することによって延伸され、1mmの外径を有するロッド21が形成される。元来の接触部16は、図5に略示するように、25mの長さを有する錐体構造22に引き延ばされる。錐体構造22は、内側域23と外側域24とから構成されている。内側円筒部23の直径(厚み)は、円錐体構造22の一方の端部から他方の端部に向かって漸減しており、外側域24の直径(厚み)は、同じ区間にわたって反対に漸増している。錐体構造22から、所望の光学素子が形成され、その際、錐体構造22の両側で端部が部分的または全体的に除去される。その際、切り取られた端部は、廃棄物となる。
【0090】
図6に略示する溶融複合体25の実施の形態では、廃棄物の量は低減される。同一または同等の構成素子には、図5と同じ符号を設けた。溶融複合体25の長さにわたって、複数の錐体構造22が分配されている。複数の錐体構造22は、別の構成をした円筒体11’;12’を用いることにより形成され、円筒体11’;12’の両方の端面は、それぞれ外側円錐部(11’)もしくは内側円錐部(12’)として形成されている。
【0091】
さらに偏心的に配置された2本のコアロッド20’が設けられている。ここで製造された光学素子をレーザファイバとして用いる場合、コア域の偏心的な配置は、上述のように、ポンプ光が入力結合する際に好適である。
【0092】
図7には、図5に示す構成要素としての錐体構造22を、A−A線に沿った半径方向断面図で略示する。同一または同等の構成素子には、図5と同じ符号を設けた。内側域23および外側域24は、円形リング状に形成されている。
【0093】
これに対して図8には、リング形状とは異なる半径方向断面、つまりいわゆる「Dフォーム」の輪郭を略示しており、ここでは構成素子の外側の側面が平面26として形成されている。この輪郭は、第1のプリフォーム11に適切な平面を有する外側円錐部が設けられることにより、形成される。
【0094】
サイドポンプ方式のレーザとして構成素子を使用する際に、たとえばDフォームまたはダブルDフォーム、星形、花形などの多角形として形成することができる、円形リング面とは異なる輪郭は、らせん光線の発生を低減させる。らせん光線は、活性のコアに侵入せず、したがってコアのポンピングに提供されない。らせん光線の低減によりポンプ光の効率が改善される。
【0095】
図9には、本発明によるレーザファイバを長手方向断面図で示す。レーザ活性のコア1は、円筒形に形成されていて、長手軸線9に沿って延在している。コア1は、その全長にわたって、ポンプクラッド3と外側クラッド2とにより包囲されている。
【0096】
コア1は、0.25モルパーセント濃度のYb2O3および1.0モルパーセント濃度のAl2O3がドープされた、レーザ活性の石英ガラスから成っている。コア−石英ガラスの屈折率は、非ドープ石英ガラスの屈折率よりも僅かに高い。コア−石英ガラスは、0.1mmの直径を有している。レーザ活性のコア1では、放出しようとするレーザビーム5は、ポンプクラッド3を介して光学的なポンピングにより形成される。
【0097】
ポンプクラッド3は、非ドープ石英ガラスから成っている。ポンプクラッド3は、円錐形に形成されており、その厚みは、20mの長さにわたって、ポンプ光8のための入力結合端面6からレーザビームのための出力結合端面7まで、1mmから100μmに漸減する。円錐角度は、約0.02mradである。
【0098】
ポンプクラッド3を包囲する外側クラッド2は、4重量パーセント濃度のフッ素がドープされた石英ガラスから成っており、これは、非ドープ石英ガラスよりも14×10-3低い屈折率を有している。外側クラッド2の比較的低い屈折率により、ポンプクラッド3からのポンプ光8の放出が防止される。外側クラッド2は、ポンプクラッド3の円錐形状に対して補完的な内側円錐形に形成されている。その厚みは、20mの長さにわたって、ポンプ光8のための入力結合端面6からレーザビームのための出力結合端面7まで、10μmから1mmに漸増する。これによりレーザファイバ全体として円筒形状が得られる。
【0099】
ポンプ光8は、入力結合側6で(ポンプクラッド3において円形に形成された両方の端部面の大きい方を介して)入力結合する。入力結合するポンプ光8のNA(開口数)は、ポンプクラッド3のNAに適合されており、その際、ポンプ光8の均等な入力結合がコア1の全長にわたって達成される。ポンプ光8は、全体的または部分的に端部面6に照射することができる。好適には、ポンプ光8が活性のコア面に作用しないかまたはできるだけ僅かしか作用しないように、ポンプ光8は、ポンプクラッド3に入力結合する。
【0100】
ポンプ光8は、ポンプクラッド3において、全反射の条件がもはや満たされず、ポンプ光線8がコア1に侵入するまで、ガイドされる。ポンプクラッド3の円錐形状に基づいて、外側クラッド2に対する境界面で反射するごとに、漸増する反射角度が生じる。何度か反射したあとで反射角度が過度に大きくなると、ポンプ光8は、コア1に侵入して、活性のコア1において反転分布を生じさせ、これにより十分に高い励起出力でレーザ放出5が行われる。
【0101】
ポンプクラッド3内の光のガイドは、コア1が薄い内側のクラッド層により包囲されている場合に改善することができる。内側のクラッド層の屈折率は、ポンプクラッドの屈折率よりも小さい。その際、外側クラッド2の屈折率は、好適には、内側のクラッド層の屈折率よりも小さく選択されている。これにより、ポンプ光8が外側クラッド2に放出される、ということが防止される。
【0102】
選択的な実施の形態では、ポンプクラッド3は、出力結合端部7に向かって真っ直ぐに先細りに延在する円錐形の構成の代わりに、出力結合端部7に向かって非線形に先細りに延在する湾曲した経過を有している。このような経過は、たとえばガラス円筒体を延伸する際に、タマネギを細長く伸ばしたような形状、いわゆる「テーパ」として得られる。
【0103】
光学活性素子の長さは、数cm〜数mの範囲である。直径は、典型的には0.2mm〜10mmである。本実施の形態では、レーザファイバは、20mの長さを有していて、この長さは、出力結合区分の長さに相当する。
【0104】
図10に示す実施の形態では、本発明によるレーザは、ファイバとして提供され、このファイバは、コア1、円錐形のポンプクラッド3および円錐形のポンプクラッド3に対して補完的な内側円錐形の外側クラッド2に関して、図1に示す実施の形態に対応する。外側クラッド2は、追加的に、非ドープ石英ガラスから成る安定化層4により包囲されている。ファイバは、全体として均一な外径を有している。
【0105】
図11および図12には、図1に示す方法の変化形を略示する。同一または同等の構成素子または構成部分には、図1と同じ符号を設けた。
【0106】
図11に示す実施の形態では、円筒体11は、端面側に外側円錐部13を有しており、その円錐角度α’は、別の円筒体12の、端面側で内側円錐形の凹部14の円錐角度β’よりも小さい。円筒体11,12を接合する際に、円錐尖端部と凹部14の底部との間で所定に再現可能に第1の接触が生じる。凹部14の底部から出発して、接触箇所は、内側から外側へ移動する。これによりガスは、最終的に接触するまで、円筒体11;12の端面の間のギャップから逃がすことができる。
【0107】
図12に示す実施の形態では、円筒体11は、端面側に外側円錐部13を備えており、その円錐角度α’’は、別の円筒体12の、端面側で内側円錐形の凹部14の円錐角度β’’よりも大きい。外側域ガラスから成る円筒体12には、追加的に、排気孔28が設けられており、排気孔28は、長手軸線15上を延びていて、凹部14の底部に通じている。円筒体11,12を接合する際に、先ず凹部14の環状の外縁27に外側円錐部13の側面が所定に再現可能に接触する。この接触により、円筒体11;12の端面の間に残るギャップがシールされる。このギャップから、ガスは、排気孔28を介して吸い込まれ、次いで真空が維持される。外縁部27から出発して、接触箇所は、外側から内側へ移動する。これによりガスは、円筒体11;12の端面の間のギャップから排気孔28を介して最後まで逃がすことができる。排気孔28は、次いでコアロッドを収容するために準備され、用いられる。
【0108】
図13には、非ドープ石英ガラスから成る第1の円筒体11と、4重量パーセント濃度のフッ素がドープされた石英ガラスから成る環状の第2の円筒体30とを略示する。第1の円筒体11は、丸み付けされた円錐尖端部を有する円錐部13として切削された端面を備えている。円錐角度は、約35°である。第1の円筒体11の外径は、40mmであり、これは、内孔31の直径(41mm)に適合されている。
【0109】
円筒体11;12は、旋盤のチャックに緊締され、共通の中心回転軸線15に対して調整される。次いで第1の円筒体11は、円筒体外側面が内孔の内壁に接触するまで、内孔31に挿入される。
【0110】
そのようにして製造された接合複合体は、接触部分で回転しながら加熱されるので、環状の円筒体30は、先ず円筒体の外側クラッドに沿って潰れて、溶融して円筒体と結合する。フッ素ドープに基づいて、第2の円筒体30の石英ガラスは、第1の円筒体11の石英ガラスよりも軟らかい。
【0111】
次いで、ブロック矢印36で示唆するように、内孔31を介して負圧が及ぼされて維持される。環状の円筒体30は、外側円錐部13に沿って潰れる。図14に略示するように、円筒体30は、長細い内実な円筒体に引き延ばされる。その際、外側域ガラスから成る環状の外側隆起部32が残り、次いで、外側隆起部32は、線33に沿って研削される。
【0112】
このようにして図15に示す略円筒形の素材35が得られ、素材35は、接触部37において、円錐形に先細りに延在する内側域13と、この円錐形状に対して補完的な内側形状に拡開する外側域とを備えている。上述のようにして接触部は後加工され、光学素子が形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石英ガラスから成る円筒形の光学素子を製造する方法であって、
該光学素子は、内側域ガラスから成る、長手軸線(15)方向に延在する内側域を備え、該内側域は、外側域ガラスから成る外側域により包囲され、外側域の平均厚みは、光学素子の長手軸線(15)方向にみて該外側域の長さの少なくとも一部にわたって変化し、
以下の方法ステップ:
(a)内側域ガラスから成る第1のプリフォーム(11)を準備し、該第1のプリフォーム(11)は、外側円錐形の接触面(13)を備え、
(b)外側域ガラスから成る第2のプリフォーム(12)を準備し、
(c)外側域ガラスに外側円錐形の接触面(13)を埋め込み、該接触面(13)を外側域ガラスと溶接して、複合プリフォーム(18)を形成し、該複合プリフォーム(18)は、接触域(16)に、内側域ガラスから成る円錐形の内側域を備え、該内側域は、内側円錐形の外側域により包囲され、
(d)複合プリフォーム(18)を延伸して、光学素子または光学素子の中間製品を形成する、
ステップを有することを特徴とする、光学素子を製造する方法。
【請求項2】
第2のプリフォーム(12)は、第2の接触面(14)を備え、複合プリフォームの形成が、第1の接触面(13)と第2の接触面(14)との接合を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
接合に際して、第1の接触面と第2の接触面との間の中間室を排気する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
第2のプリフォーム(12)の接触面(14)は、凹部を有し、該凹部は、好適には内側円錐体として形成される、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
第2のプリフォーム(12)の凹部は、環状の縁部を備え、第1のプリフォーム(11)の外側円錐体は、円錐側面を備え、第1のプリフォーム(11)と第2のプリフォーム(12)とを接合する際に、円錐側面は、環状の縁部に密に接触する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
凹部を、機械加工により製作する、請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
凹部を、熱間成形プロセスにより製作する、請求項4または5記載の方法。
【請求項8】
外側域ガラスとして、フッ素ドープ石英ガラスを使用する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
第1のプリフォーム(11)と第2のプリフォーム(12)とを、それぞれ円筒体として形成する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
第1のプリフォーム(11)の外側円錐形の接触面(13)を、機械加工により製作する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
第1のプリフォーム(11)の外側円錐形の接触面(13)を、熱間成形プロセスにより製作する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
第1のプリフォーム(11)の外側円錐形の接触面(13)に丸み付けされた円錐尖端部を設ける、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
内側域ガラスとして非ドープ石英ガラスを使用する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
接合に際して、少なくとも第2のプリフォーム(12)を、第2の接触面の付近で軟化させる、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
複合プリフォーム(18)に、延伸前に、コアロッド(20)を収容するための少なくとも1つの内側孔(19)を設け、コアロッド(20)を装着する、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
複合プリフォーム(18)を、延伸前に、フッ素ドープ石英ガラスから成る層により包囲する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
複合プリフォーム(18)に、非ドープ石英ガラスから成る外側層を設ける、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
軸方向にみて相前後して位置する複数の接触部を有する複合プリフォーム(25)を製作する、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
光学活性素子を製造するための円筒形の素材であって、
該素材は、長手軸線(15)を備え、該長手軸線(15)に沿って延在する、光学活性材料から成るコア(1)を備え、該コア(1)に沿って延在するポンプ光層(3)を備え、該ポンプ光層(3)の屈折率よりも低い屈折率を有する、ポンプ光層(3)を包囲するクラッド層(2)を備え、ポンプ光層(3)は、出力結合区分に沿って漸減する厚みを有しているものにおいて、
ポンプ光層の厚みは、クラッド層の外径が3mm〜50mmの範囲の場合、25°〜80°の平均円錐角度で、出力結合区分に沿って漸減しており、クラッド層(2)は、同じ円錐角度で、ポンプ光層とは逆に漸増していることを特徴とする、円筒形の素材。
【請求項20】
ポンプ光層(3)は、出力結合区間の少なくとも一部の長さにわたって、円形リングとは異なる半径方向断面を有している、請求項19記載の素材。
【請求項21】
クラッド層(2)は、フッ素ドープ石英ガラスから成っている、請求項19または20記載の素材。
【請求項22】
ポンプ光層(3)は、非ドープ石英ガラスから成っている、請求項19から21までのいずれか1項記載の素材。
【請求項23】
クラッド層(2)は、フッ素ドープ石英ガラスから成る層により包囲されている、請求項19から22までのいずれか1項記載の素材。
【請求項24】
非ドープ石英ガラスから成る外側層(4)が設けられている、請求項23記載の素材。
【請求項25】
複数の出力結合区間が設けられている、請求項19から24までのいずれか1項記載の素材。
【請求項26】
少なくとも1つのコアが、長手軸線の傍で偏心的に延在している、請求項19から25までのいずれか1項記載の素材。
【請求項1】
石英ガラスから成る円筒形の光学素子を製造する方法であって、
該光学素子は、内側域ガラスから成る、長手軸線(15)方向に延在する内側域を備え、該内側域は、外側域ガラスから成る外側域により包囲され、外側域の平均厚みは、光学素子の長手軸線(15)方向にみて該外側域の長さの少なくとも一部にわたって変化し、
以下の方法ステップ:
(a)内側域ガラスから成る第1のプリフォーム(11)を準備し、該第1のプリフォーム(11)は、外側円錐形の接触面(13)を備え、
(b)外側域ガラスから成る第2のプリフォーム(12)を準備し、
(c)外側域ガラスに外側円錐形の接触面(13)を埋め込み、該接触面(13)を外側域ガラスと溶接して、複合プリフォーム(18)を形成し、該複合プリフォーム(18)は、接触域(16)に、内側域ガラスから成る円錐形の内側域を備え、該内側域は、内側円錐形の外側域により包囲され、
(d)複合プリフォーム(18)を延伸して、光学素子または光学素子の中間製品を形成する、
ステップを有することを特徴とする、光学素子を製造する方法。
【請求項2】
第2のプリフォーム(12)は、第2の接触面(14)を備え、複合プリフォームの形成が、第1の接触面(13)と第2の接触面(14)との接合を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
接合に際して、第1の接触面と第2の接触面との間の中間室を排気する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
第2のプリフォーム(12)の接触面(14)は、凹部を有し、該凹部は、好適には内側円錐体として形成される、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
第2のプリフォーム(12)の凹部は、環状の縁部を備え、第1のプリフォーム(11)の外側円錐体は、円錐側面を備え、第1のプリフォーム(11)と第2のプリフォーム(12)とを接合する際に、円錐側面は、環状の縁部に密に接触する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
凹部を、機械加工により製作する、請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
凹部を、熱間成形プロセスにより製作する、請求項4または5記載の方法。
【請求項8】
外側域ガラスとして、フッ素ドープ石英ガラスを使用する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
第1のプリフォーム(11)と第2のプリフォーム(12)とを、それぞれ円筒体として形成する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
第1のプリフォーム(11)の外側円錐形の接触面(13)を、機械加工により製作する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
第1のプリフォーム(11)の外側円錐形の接触面(13)を、熱間成形プロセスにより製作する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
第1のプリフォーム(11)の外側円錐形の接触面(13)に丸み付けされた円錐尖端部を設ける、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
内側域ガラスとして非ドープ石英ガラスを使用する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
接合に際して、少なくとも第2のプリフォーム(12)を、第2の接触面の付近で軟化させる、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
複合プリフォーム(18)に、延伸前に、コアロッド(20)を収容するための少なくとも1つの内側孔(19)を設け、コアロッド(20)を装着する、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
複合プリフォーム(18)を、延伸前に、フッ素ドープ石英ガラスから成る層により包囲する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
複合プリフォーム(18)に、非ドープ石英ガラスから成る外側層を設ける、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
軸方向にみて相前後して位置する複数の接触部を有する複合プリフォーム(25)を製作する、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
光学活性素子を製造するための円筒形の素材であって、
該素材は、長手軸線(15)を備え、該長手軸線(15)に沿って延在する、光学活性材料から成るコア(1)を備え、該コア(1)に沿って延在するポンプ光層(3)を備え、該ポンプ光層(3)の屈折率よりも低い屈折率を有する、ポンプ光層(3)を包囲するクラッド層(2)を備え、ポンプ光層(3)は、出力結合区分に沿って漸減する厚みを有しているものにおいて、
ポンプ光層の厚みは、クラッド層の外径が3mm〜50mmの範囲の場合、25°〜80°の平均円錐角度で、出力結合区分に沿って漸減しており、クラッド層(2)は、同じ円錐角度で、ポンプ光層とは逆に漸増していることを特徴とする、円筒形の素材。
【請求項20】
ポンプ光層(3)は、出力結合区間の少なくとも一部の長さにわたって、円形リングとは異なる半径方向断面を有している、請求項19記載の素材。
【請求項21】
クラッド層(2)は、フッ素ドープ石英ガラスから成っている、請求項19または20記載の素材。
【請求項22】
ポンプ光層(3)は、非ドープ石英ガラスから成っている、請求項19から21までのいずれか1項記載の素材。
【請求項23】
クラッド層(2)は、フッ素ドープ石英ガラスから成る層により包囲されている、請求項19から22までのいずれか1項記載の素材。
【請求項24】
非ドープ石英ガラスから成る外側層(4)が設けられている、請求項23記載の素材。
【請求項25】
複数の出力結合区間が設けられている、請求項19から24までのいずれか1項記載の素材。
【請求項26】
少なくとも1つのコアが、長手軸線の傍で偏心的に延在している、請求項19から25までのいずれか1項記載の素材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2012−512796(P2012−512796A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541290(P2011−541290)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066230
【国際公開番号】WO2010/069768
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(507332918)ヘレーウス クヴァルツグラース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (17)
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Quarzglas GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Quarzstrasse 8, D−63450 Hanau, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066230
【国際公開番号】WO2010/069768
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(507332918)ヘレーウス クヴァルツグラース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (17)
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Quarzglas GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Quarzstrasse 8, D−63450 Hanau, Germany
【Fターム(参考)】
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