説明

石鹸の製造装置

【課題】高品質の石鹸を効率良く製造できる石鹸製造装置を提供する。
【解決手段】石鹸製造装置は、ターンテーブル6と、ターンテーブル6上にその周方向に所定の間隔で配置された複数の成形型1と、ターンテーブル6に隣接して配置され且つ各成形型1に液体原料を供給する供給手段3とを具備し、ターンテーブル6が各成形型1間の間隔に対応した角度で周方向に間欠的に回転し、各成形型1が供給手段3に順次接続可能に構成されている。ターンテーブル6に、歯部を有する円環状のラック70が同心状に固定され、ラック70の歯部に、複数のピニオン72が噛み合わされている。複数のピニオン72のそれぞれに1対1で対応して接続された複数の駆動源73を具備し、各駆動源73による各ピニオン72の回転によりラック70が従動回転し、それによりターンテーブル6が周方向に回転するようになされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の成形型を所定角度間隔でターンテーブル上に配置し、該ターンテーブルを各該成形型の配置角度間隔に対応した角度で間欠回転させ、該ターンテーブルに隣接して配置された液体原料の供給手段により各該成形型に該液体原料を順次供給し、該成形型内で該液体原料を成形固化させて石鹸を製造する、ロータリー式石鹸製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融石鹸の如き液体原料を所定形状に成形固化させて石鹸を製造する装置として、本出願人は、先に特許文献1において、一組の割型が組み付けられて内部に成形用のキャビティが複数形成される石鹸の成形型と、該成形型の該キャビティに液体原料を注入する注入装置とを備え、該注入装置が、複数の該キャビティのそれぞれに1対1で対応する複数のノズルを備えている石鹸の製造装置を提案している。特許文献1に記載の石鹸の製造装置は、成形型が成形用のキャビティを複数有しているため、高品質の石鹸を一度に多数個製造することができ、生産性に優れる。
【0003】
また従来、複数の成形型を所定度間隔でターンテーブルに搭載し、該ターンテーブルを各成形型間の配置角度間隔に対応した角度で間欠回転させる(ターンテーブルに搭載した成形型の1つを、順次、射出・充填ポジションに位置付けるように間欠回転させる)ようにした射出成形装置が知られている。例えば特許文献2には、外周面に歯部が刻設された円形従動部をターンテーブルに設けると共に、外周面に歯部が刻設された円形駆動部をサーボモータの駆動軸に設け、該円形従動部と該円形駆動部との間にベルト又はチェーン部材を張設した構成の堅型ロータリー式射出成形機が記載されている。
【0004】
また、特許文献3には、ターンテーブル等の被駆動体をサーボモータ等の駆動源で回転駆動させるときに懸念されるバックラッシの発生を防止し、被駆動体の高精度の位置制御が可能な技術として、2個のサーボモータを駆動して1個の被駆動体を従動回転させるデュアルドライブ方式において、各サーボモータ側の伝動機構により被駆動体側の伝動機構を挟圧若しくは張引するように位置指令に差を与えて2つのサーボモータを駆動することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−111710号公報
【特許文献2】特開平10−646号公報
【特許文献3】特開平7−88740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の如き、複数の成形型が搭載された間欠駆動型のターンテーブルを具備するロータリー式の成形装置において、精度の良い成形品を効率良く得るためには、ターンテーブルを高速で回転させ且つターンテーブル(成形型)の位置決めを高精度で行う必要があるところ、この種の成形装置におけるターンテーブルは、一般に大型で重量が重いため、ターンテーブル上の成形型を高速且つ高精度で位置決めすることは容易ではない。特許文献2に記載されているように、ベルト又はチェーン部材によってターンテーブルを回転駆動させる方法は、高速回転による生産効率の向上の点では有効であるが、ベルト等の伸びや磨耗が懸念されるため、高精度の位置決めによる品質の向上の点では不利である。また、ターンテーブルの高精度の位置決めのために、ターンテーブルにピン等の挿入具を挿入する方法を採用した成形装置が知られているが、そのような構成の成形装置は、挿入具の挿入や取り外しに時間を要するため高速運転が難しく、生産効率の向上の点で不利である。
【0007】
また、液体原料の吐出用ノズルから成形型のキャビティに該液体原料を充填して成形固化させる石鹸の製造方法、特に、複数の成形型が搭載された間欠駆動型のターンテーブルを具備するロータリー式の成形装置を用いた石鹸の製造方法においては、分離状態にあるノズルと成形型とを接続し、ノズルから成形型へ液体原料を供給してキャビティに充填し、充填完了後ノズルと成形型と分離する、という一連の工程が繰り返され、ノズルと成形型との接続の度に、ノズル先端の供給口と成形型の所定位置(液体原料の注入口)の位置決めを高精度で行い、液体原料の漏れを起こさないように供給口及び注入口がシールされるような接続を確実に行う必要がある。しかしながら、ノズルや成形型の加工精度や溶融状態の液体原料の使用に起因する熱膨張等により、ノズルと成形型との確実な接続を安定的に実施することは困難な場合があり、斯かる接続ができなければ、生産効率及び石鹸の品質の低下を招くおそれがある。特に、特許文献1に記載の如き、複数のノズルを備えた注入装置を用いる場合は、ノズルの数が多くなる分、その困難度が増す。
【0008】
前述したように、複数の成形型が搭載された間欠駆動型のターンテーブルを具備する従来のロータリー式の成形装置は、ターンテーブルの回転に関して高速性や位置決め精度の点で改善の余地があり、また、液体原料を吐出するノズルと成形型との接続に関してそれらの位置決め精度やシール性の点で改善の余地がある。これらの問題を解決し、高品質の石鹸を効率良く製造することのできる石鹸の製造装置は未だ提供されていない。
【0009】
従って本発明の課題は、高品質の石鹸を効率良く製造することのできる石鹸の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ターンテーブルと、該ターンテーブル上にその周方向に所定の間隔で配置された複数の成形型と、該ターンテーブルに隣接して配置され且つ各該成形型に液体原料を供給する供給手段とを具備し、該ターンテーブルが各該成形型間の間隔に対応した角度で周方向に間欠的に回転し、各該成形型が該供給手段に順次接続可能に構成された石鹸の製造装置であって、前記ターンテーブルに、歯部を有する円環状のラックが同心状に固定され、該ラックの該歯部に、複数のピニオンが噛み合わされており、複数の前記ピニオンのそれぞれに1対1で対応して接続された複数の駆動源を具備し、各該駆動源による各該ピニオンの回転により前記ラックが従動回転し、それにより前記ターンテーブルが周方向に回転するようになされている石鹸の製造装置を提供することにより、前記課題を解決したものである。
【0011】
また、本発明は、ターンテーブルと、該ターンテーブル上にその周方向に所定の間隔で配置された複数の成形型と、該ターンテーブルに隣接して配置され且つ各該成形型に液体原料を供給する供給手段とを具備し、該ターンテーブルが各該成形型間の間隔に対応した角度で周方向に間欠的に回転し、各該成形型が該供給手段に順次接続可能に構成された石鹸の製造装置であって、複数の前記成形型は、それぞれ、前記液体原料が充填される成形用のキャビティを複数有しており、前記供給手段は、複数の前記キャビティのそれぞれに1対1で対応し且つ該供給手段と前記成形型とを接続するときに先端が該成形型と接触し且つ該先端に前記液体原料の供給口を有する、複数のノズルと、該ノズルが設けられ且つ該液体原料を該ノズルへ供給する供給路を内部に有する、本体とを具備し、前記ノズルは、前記供給手段と前記成形型とを接続するときの接続方向に伸縮する伸縮部材を介して、前記本体に設けられ、且つ該ノズルの一部が前記供給路内に挿入され、該伸縮部材の伸縮に伴って該供給路内を該接続方向に摺動可能になされている石鹸の製造装置を提供することにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の石鹸の製造装置は、高速且つ高精度な位置決めが可能なターンテーブルを具備しているため、高品質の石鹸を効率良く製造することができる。また、本発明の石鹸の製造装置は、成形型に液体原料を供給する供給手段における複数のノズルそれぞれが、該ノズルが取り付けられている該供給手段の本体内における、液体原料の供給路内を、該供給手段と該成形型とを接続するときの接続方向に摺動可能になされているため、該供給手段と該成形型とを確実に接続することができ、液体原料の漏れを起こし難く、高品質の石鹸を効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の石鹸の製造装置の一実施形態の模式上面図である。
【図2】図2は、図1に示す製造装置の模式垂直断面図である。
【図3】図3は、図1に示す製造装置の要部(ラック及びピニオン)の模式上面図である。
【図4】図4は、本発明に係るピニオンの配置位置の説明図である。
【図5】図5は、図1に示す製造装置における成形型(型締手段)及び供給手段を示す模式図である。
【図6】図6は、図5に示す成形型の型開状態の模式斜視図である。
【図7】図7は、図6に示す成形型の割型を組み付けた状態の模式断面図である。
【図8】図8は、図1に示す製造装置における液体原料の循環手段を示す模式図である。
【図9】図9は、図1に示す製造装置の成形開始時における成形型及び供給手段の状態を示す模式図である。
【図10】図10は、図9の要部拡大図である。
【図11】図11は、成形型の内部に液体原料を供給する状態を模式的に示す図10相当図である。
【図12】図12は、図1に示す製造装置において成形型の内部への液体原料の充填が完了した状態を示す模式図である。
【図13】図13は、図1に示す製造装置において成形型を型開した状態を示す模式図である。
【図14】図14は、図1に示す製造装置を用いて製造された石鹸の模式側面図である。
【図15】図15は、本発明に係る成形型の他の実施形態の一部を示す図であり、成形型の割型を組み付けた状態の模式断面図である。
【図16】図16は、本発明に係る供給手段の他の実施形態の要部拡大図である。
【図17】図17は、図15に示す成形型と図16に示す供給手段のノズルとを接続した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。図1及び図2には、本発明の石鹸の製造装置の一実施形態の概略が示されている。本実施形態の石鹸の製造装置5は、ターンテーブル6と、ターンテーブル6上にその周方向に所定の間隔で配置された複数の成形型1(成形型1を開閉させる型締手段2)と、ターンテーブル6に隣接して配置され且つ各成形型1に溶融石鹸(液体原料)を供給する供給手段3と、液体原料の循環手段4(図8参照)とを具備し、ターンテーブル6が各成形型1(型締手段2)間の間隔に対応した角度で周方向に間欠的に回転し、各成形型1(型締手段2)が供給手段3に順次接続可能に構成されている。図1中、符号R1は、ターンテーブル6の回転方向を示す。本実施形態の製造装置5は、15個の成形型1(型締手段2)を具備している。
【0015】
先ず、本実施形態の石鹸の製造装置5の主たる特長の1つであるターンテーブル6の駆動機構について、図1〜図4を参照して説明する。ターンテーブル6は、金属等の剛体からなり、図1に示すように平面視して円形形状であり、その中心部が、ベースプレート66から立設された円柱状の支柱67によって回転可能に軸支されている。
【0016】
図3には、単一のラック70及び複数のピニオン72を含んで構成されるターンテーブル6の駆動機構が示されている。図1〜図3に示すように、ターンテーブル6には、歯部71を有する円環状のラック70が同心状に固定され、ラック70の歯部71に、複数のピニオン72が噛み合わされている。本実施形態の製造装置5は、2個のピニオン72を具備している。ラック70は、ターンテーブル6の下面(成形型1の配置面とは反対側の面)の中央部に、ボルト止めや溶接等の公知の固定手段によって固定されている。
【0017】
ラック70は、円環状を成すギヤであり、その外周面全体に歯部71が連続して形成されている。ラック70としては、例えば、所定の長さを有する偏平な金属製板材の片側縁に金属加工機等によって等ピッチの歯部71を連続形成して製作したものを使用することができ、位置決め精度を上げるために、金属加工機等によって形成された歯部71を研磨しても良い。ターンテーブル6の直径Rbとラック70の直径Raとの比(Rb/Ra)は、好ましくは1〜2、更に好ましくは1〜1.5である。
【0018】
2個のピニオン72は、それぞれ、平面視して略円盤状であり、その外周面に歯部が連続して形成されており、ピニオン72の該歯部とラック70の歯部71とが噛み合わされている。2個のピニオン72は、それぞれ、駆動源73に接続されており、駆動源73によってその周方向に回転される。ピニオン72は、複数の円柱状のピン(又はローラ)を回転(自転)可能なようにホルダーに取り付けた構成の内歯車であっても良い。
【0019】
本実施形態の製造装置5は、図1及び図2に示すように、複数(2個)のピニオン72のそれぞれに1対1で対応して接続された複数(2個)の駆動源73を具備し、各駆動源73による各ピニオン72の回転によりラック70が従動回転し、それによりターンテーブル6が周方向(方向R1)に回転するようになされている。即ち、本実施形態では、1個の被駆動体〔ラック70(ターンテーブル6)〕を回転させるために、駆動源73の動力によって回転するピニオン72を複数用いている。このように、回転駆動する複数のピニオン72によって単一の被駆動体であるターンテーブル6を従動回転させることにより、ターンテーブル6が大型で重量の重いものであってもターンテーブル6の高速回転が可能になると共に、ターンテーブル6の間欠的な回転における高精度の位置決めが可能になる。従って、このようなターンテーブルの駆動機構を有する本実施形態の製造装置5によれば、高品質の石鹸を効率良く製造することができる。これに対し、1個のラック70(ターンテーブル6)を1個のピニオン72(1個の駆動源73)で回転させる駆動機構は、大型で重量のあるターンテーブル6の回転速度や位置を精密に制御することが難しく、高品質の石鹸を効率良く製造することはできない。
【0020】
ラック70及びピニオン72としては、ターンテーブル6の高精度の位置決めを得る観点から、両者70,72がバックラッシ(歯車を噛み合わせたときの歯面間の遊び又は隙間)の生じないように噛み合うノンバックラッシタイプのものが好ましい。ノンバックラッシタイプのラック及びピニオンとして、加茂精工(株)製のノンバックラッシラック及びピニオン(TCGランナー)が好ましく用いられる。
【0021】
複数の駆動源73は、それぞれ、図2に示すように、水平に配置されたターンテーブル6の下面に直交する方向(図2の上下方向)に延びる回転軸(出力軸)74を具備する減速機付きモータであり、その回転軸74にピニオン72が取り付けられている。駆動源73としては、ピニオン72(ラック70)の動作制御が可能であれば特に制限はなく、サーボモータ、空圧式アクチュエータ、油圧式アクチュエータ等を用いることができる。これらの中でも特にサーボモータは、加速・減速制御の応答性等の点で好ましい。本実施形態では、複数の駆動源73として同一出力のサーボモータを2個用いており、単一のラック70及び複数のピニオン72を含んで構成されるターンテーブル6の駆動機構の採用により、各駆動源73としてトルクが比較的小さい小型のサーボモータを用いることができる。
【0022】
複数のピニオン72(駆動源73)のラック70に対する配置位置は、特に制限されないが、前述した、ターンテーブル6の高速回転及び高精度の位置決めをより確実に得られるようにする観点から、2個のピニオン72が、ラック70を挟んで略対向するように配置されていることが好ましい。ここで、「略対向する」とは、図4に示すように、ラック70に噛み合わされている2個のピニオン72A,72Bのうちの一方72Aに対し、他方72Bが、一方72Aからラック70の周方向R1及びR2それぞれに中心角にして120°に亘る領域A1及びA2を除く、ラック70の領域A3(ラック70の中心角にして120°の領域)に位置することを意味する。本実施形態における2個のピニオン72(駆動源73)はラック70を挟んで対向配置されており、一方のピニオン72(駆動源73)と他方のピニオン72(駆動源73)とのなす角は180°であり、ターンテーブル6の下方にターンテーブル6の中心に位置する支柱67を挟んで対称に設けられている。
【0023】
本実施形態では、前述したように、複数の駆動源73として2個のサーボモータを用いており、更に、これら2個のサーボモータ73を、一方のモータに合わせて他方のモータを制御する方法ではなく、両方のモータに同時に位置指令を与える方法で制御している。前者の制御方法に従い一方のモータに合わせて他方を制御する場合、必ず遅れ時間が発生し、追従する側(スレーブ側)のモータは追従される側(マスター側)のモータに比べ負荷が小さくなり、両方のモータの出力を充分に生かし切れなくなる不都合が発生するおそれがあるが、後者の制御方法によれば、そのような不都合の発生が防止される。より具体的には、本実施形態では、後者の制御方法を実施すべく、仮想的なモータをソフト的に作製してその仮想的なモータの位置に現実の2個のモータの位置を合わせるように指令を出し、仮想的なモータの位置にそれぞれの現実のモータの位置を合わせるように補間制御を行う。即ち、本実施形態の製造装置5は、複数のサーボモータ73を補間制御する制御ユニット(図示せず)を具備している。これにより、現実の2個のモータ73には同じ指令が与えられ、一方のモータ73が遅れたり進んだりすることが無くバランスのとれた出力トルクを発生させることが可能になる。一方のモータ73に僅かな遅れが生じた場合、指令値と現在値との差が大きくなるのでモーションコントローラ(図示せず)がフィードバック制御することで出力トルクを増加させ加速して位置偏差が一定になるように制御して2個のモータ73の位置を合わせる。補間制御では、モータが複数個有っても複数のモータそれぞれに同じ指令が与えられるので、バランスのとれた動作が可能になる。なお、モータに与えられる位置指令を数ミリセカンド毎に更新し、その間隔でフィードバック制御を行うことで安定したスムーズなモータ動作が行える。
【0024】
次に、本実施形態の石鹸の製造装置5における石鹸の製造機構(成形型1、型締手段2、供給手段3、循環手段4)について、図5〜図8を参照して説明する。図5には、図1に示すターンテーブル6上の複数(15個)の成形型1(型締手段2)のうちの1個と供給手段3とが対向している状態が示されている。特に断らない限り、図5に示す成形型1(型締手段2)以外の他の成形型1(型締手段2)も、図5に示すものと同様に構成されている。
【0025】
成形型1は、溶融石鹸(液体原料)が充填される成形用のキャビティ10を複数有しているもので、図6に示すように、二個一組の割型1A及び割型1Bで構成されている。各割型は金属等の剛体からなる矩形ブロック状の形態をしており、それぞれのパーティング面PLに凹状のキャビティの形成面11A及び11Bがそれぞれ複数形成されている。各キャビティの形成面(以下、キャビティ形成面ともいう)11A,11Bは、割型1Aと割型1Bとをそれらのパーティング面PLで突き合わせて組み合わせたとき、図7に示すように、製造すべき石鹸の形状に合致した形状のキャビティ10が複数(本実施形態では12個)形成されるように設けられている。
【0026】
複数のキャビティ形成面11Aは、成形型の上下方向Z及び該上下方向Zと直交する左右方向Yそれぞれに所定間隔を置いて列をなすように配されている。本実施形態では、上下方向Zに沿って2個のキャビティ形成面11Aを配してなる列が、左右方向Yに所定間隔を置いて6列並列に配されている。複数のキャビティ形成面11Bもこれと同様に配されている。従って、図7に示す如く割型1Aと割型1Bとをそれらのパーティング面PLで突き合わせて組み付けた状態においては、複数(12個)のキャビティが上下方向Z及び左右方向Yそれぞれに所定間隔を置いて列をなすように配されている。
【0027】
また、図7に示す如く割型1A及び1Bを組み付けた状態においては、複数のキャビティ10それぞれの下部に該キャビティ10に通ずる溶融石鹸の供給路12が配されている。供給路12は、キャビティ10の下部から下方に延びるランナー12Aと、該ランナー12Aと直交し且つ割型1A及び1Bを組み付けるときの組み付け方向Xに延びるスプール12Bとを有しており、成形型1の側面視において略L字状をしている。ランナー12Aは、キャビティ10の最下部(底部)から成形型1の下端近傍まで略垂直に延びている。スプール12Bは、ランナー12Aの下端から成形型1の外面(割型1Bの背面)まで略水平に延びている。後述するように溶融石鹸は、ランナー12A及びスプール12Bからなる供給路12を通じて、キャビティ10の下部から上方へ向かって充填される。
【0028】
図6に示すようにランナー12Aは、割型1Aのパーティング面PLの一部を切り欠いて形成されている。ランナー12Aは、円の一部が該パーティング面PLに沿って切り欠かれた断面形状をしており、その径は、ランナー12Aの全長に亘って略一定となっている。ランナー12Aは一端(上端)がキャビティ形成面11Aで開口し、他端(下端)が閉じている。スプール12Bは、割型1Bの所定部位に該割型1Bをその厚さ方向に貫通する貫通孔を穿設し、該貫通孔に、図7に示すように、スプール12Bを有するスプールブッシュ14を嵌着して形成されており、スプールブッシュ14における割型1Bの背面側の端部が、溶融石鹸の注入口16となっている。スプール12Bの径は、割型1Bの背面側(注入口16)に向かうに連れ漸次縮径している。
【0029】
図7に示すように、ランナー12Aが形成されている割型1Aをそのパーティング面と反対側に位置する背面から見たときに、該ランナー12Aに対応する部位(ランナー形成面)に、該背面から該ランナー12Aに達する微細幅のスリット13が形成されている。本実施形態においては、スリット13は、ランナー12Aに対応する部位のみならず、キャビティ10に対応する部位(キャビティ形成面11A及び11B)にも形成されている。割型1Aにおける複数のスリット13は、それぞれ、キャビティ形成面11A又はランナー形成面から該割型1Aの背面まで略水平に延びている。割型1Bにおける複数のスリット13は、それぞれ、キャビティ形成面11Bから該割型1Bの背面まで略水平に延びている。スリット13は、後述するように、成形型1内で溶融石鹸を固化させて固形石鹸とした後に該成形型1を型開する際に利用されるもので、固形石鹸の一方の割型への吸引や空気の吹き出しに用いられる。スリット13の幅は、好ましくは10〜100μmである。
【0030】
割型1Aのパーティング面PL上の少なくともキャビティ形成面11Aを介してランナー12Aに対向する位置にはエアベント(図示せず)が設けられている。該エアベントは、キャビティに溶融石鹸を充填するときに該キャビティの空気を外部に排出するための脱気孔として機能する。該エアベントは割型1Aに限らず、割型1Bに設置することもでき、また両割型1A,1Bに設置することもできる。また図示していないが、両割型1A,1Bを構成するブロックには冷却水の循環路が設けられている。
【0031】
成形型1は、図5に示すように、型締手段2に取り付けられる。具体的には、成形型1における割型1Bはその下部が、ベースプレート20から立設された支持板21に取り付けられており、固定型となっている。ベースプレート20は、ターンテーブル6(図5では図示せず)の上面に配置されている。一方割型1Aはその背面が、サーボモータ22に送りねじ23を介して接続された可動板24に取り付けられている。サーボモータ22は、送りねじ23が可動板24と直交する方向に摺動するように、ベースプレート20から立設された支持板25に取り付けられている。従って、割型1Aは水平方向に移動可能な移動型となっている。成形型1は、各供給路12が各キャビティ10の下側に位置するように固定されている。これによって、溶融石鹸はキャビティ10の下部から上方へ向かって充填される。
【0032】
型締手段2は、図5に示すように、成形型1のターンテーブル6の上面(成形型1の配置面)からの設置高さを調整する高さ調整手段48を具備している。より具体的には、型締手段2を構成し且つターンテーブル6上に配置されるベースプレート20と、成形型1を構成し且つ注入口16が形成された割型1Bとの間には、高さ(厚さ)を可変可能な高さ調整手段48が、両者20,1Bと接するように配置されている。高さ調整手段48の高さ(厚さ)を変更することにより、割型1Bのベースプレート20からの設置高さが変動し、延いては、割型1Bのターンテーブル6の上面からの設置高さが変動する。このように成形型1(割型1B)のターンテーブル6の上面からの設置高さを可変可能にすることで、供給手段3(ノズル32)と成形型1(割型1B)との接続前における両者の位置決めをより高精度で行うことが可能となり、それによって接続時における液漏れがより効果的に防止される。高さ調整手段48による割型1Bの設置高さの変動幅は、0.5mm程度である。高さ調整手段48としては、例えば、調整ブロック・シム・ジャッキボルトを用いることができる。
【0033】
成形型1の型締めやキャビティ10の圧力制御を行うサーボモータ22は、図示しない制御装置と電気的に接続されている。該制御装置は、サーボモータ22をはじめとする製造装置5全体を実質的に制御するマイクロコンピュータ等のCPUと、該CPUにより実行される制御プログラムや各種データ等の必要な固定情報を格納したROMと、該CPUによる処理の実行時におけるワークエリアとして使用されるRAMと、該制御装置のオペレーター用入力装置などを備えている。
【0034】
供給手段3は、図1に示すように、ターンテーブル6に隣接して配置されており、ターンテーブル6近傍の所定位置に固定されている。供給手段3は、図5に示すように、1個の成形型1における複数のキャビティ10(図7参照)のそれぞれに1対1で対応する複数のノズル32と、ノズル32が設けられる本体としての供給部39とを具備している。ノズル32の先端は、供給手段3と成形型1とを接続するときに成形型1と接触する部位であり、該先端には、溶融石鹸(液体原料)の供給口が形成されている。供給部39(供給手段3の本体)の内部には、溶融石鹸をノズル32へ供給する供給路が形成されている。
【0035】
更に説明すると、供給手段3は、複数のキャビティ10(複数の供給路12)のそれぞれに1対1で対応する複数(本実施形態では12個)の溶融石鹸の供給部39を備えている。複数の供給部39は、成形型1の上下方向Z及び左右方向Yそれぞれに所定間隔を置いて列をなすように配されており、成形型1を構成する割型1Bにおける複数(12個)のスプール12Bの開孔部に1対1で対応している。複数の供給部39は、それぞれ、一端が後述する循環手段4の循環管路42に接続されている供給管30を備えている。供給管30の他端は、溶融石鹸の供給路として機能する液溜まり部31となっており、その液溜まり部31にノズル32が突設されている。本実施形態に係る供給手段3は、12個の供給部39を具備しているので、ノズル32を12個具備していることになる。
【0036】
ノズル32内には、該ノズル32の内形状と同形状の外形を有する押し込みバルブ33が配されている。バルブ33は、その後端に取り付けられているエアーシリンダ38によってノズル32内を進退する。バルブ33が後退することでノズル32とバルブ33との間に空隙が生じ、この空隙を通じて溶融石鹸が成形型1へ供給される。一方、バルブ33が前進するとノズル32とバルブ33とが嵌り合って、両者間には空隙が無くなり溶融石鹸の供給が停止される。つまり、バルブ33の進退によって、溶融石鹸が供給され、またその供給が遮断されるようになっている。
【0037】
供給管30における、溶融石鹸の流動方向(図5中矢印Aで示す方向)に関してノズル32よりも上流側の位置には、定容量供給装置の一例であるシリンダ34及びピストン36が取り付けられている。シリンダ34は、供給管30と交差するように設けられている。シリンダ34内には、該シリンダ34を境として供給管30の上流側又は下流側とシリンダ34とを択一的に連通させる切り替え用のロータリーバルブ35が配されている。これと共にシリンダ34内には、該シリンダ内を進退可能になっているピストン36が配されている。そして、シリンダ34とピストン36とによって、溶融石鹸の定容量供給装置が構成されている。ピストン36の進退は、その後端に取り付けられているサーボモータ37によって精密に制御されている。ピストン36が後退することで、シリンダ34内には、溶融石鹸を収容するための空間が形成される。この空間に溶融石鹸が充填されたのち、ピストン36を押し込むことで、成形型1のキャビティ10へ溶融石鹸が加圧下に充填される。キャビティ10への溶融石鹸の供給体積は、ピストン36の後退距離又は押し込み距離によって決定される。具体的には、1)後退前のピストン36の位置を原点としてピストン36の後退距離で供給体積を決定する方法、又は2)後退後のピストン36の位置を原点としてピストン36の押し込み距離で供給体積を決定する方法がある。計量される溶融石鹸が気泡入りである場合、これは圧縮性の流体であるので、前記1)の方法において、ピストン36の原点の位置でシリンダ34内に溶融石鹸ができるだけ残らないように原点を決めることが、製品重量の精度を高める点から好ましい。
【0038】
複数の供給部39は、ベースプレート60から立設された枠体61に取り付けられている。ベースプレート60は、台座62上に摺動自在に配されたスライダー63の上に載置固定されている。スライダー63は、台座62上に載置されたサーボモータ64に送りねじ65を介して接続されており、サーボモータ64の動作によって台座62上を摺動する。これによって、複数の供給部39が、型締手段2に取り付けられた成形型1に対して接離可能になっている。
【0039】
溶融石鹸の循環手段4は、図8に示すように、貯蔵タンク41、該貯蔵タンク41に接続され且つ該貯蔵タンク41内を経由するループを形成する循環管路42、該循環管路42の途中に介在された循環ポンプ43を備えている。また貯蔵タンク41には、発泡部(図示せず)において発泡された溶融石鹸の供給管路44が接続されている。更に貯蔵タンク41内には撹拌翼45が設置されている。撹拌翼45はモータ46によって所定方向に回転する。循環管路42には、前述した溶融石鹸の複数の供給部39が、循環管路42と開閉可能に連通するように接続されている。尚、図8では、各供給部39が循環管路42に直列に接続されているように記載されているが、両者の接続は必ずしもこのようになっているわけではない。貯蔵タンク41及び循環管路42を含む循環手段4並びに供給部39には、何れも温水及びヒーター等の保温装置が取り付けられており、所定温度に保たれている。
【0040】
以上の構成を有する石鹸の製造装置5を用いた石鹸(気泡入り石鹸)の製造方法について説明する。先ず循環手段4による溶融石鹸の循環について図8を参照しながら説明すると、図示しない発泡部において発泡されて、無数の気泡が分散含有されている溶融石鹸は、供給管路44を通じて貯蔵タンク41内に貯えられる。貯蔵タンク41内において溶融石鹸は、撹拌翼45によって撹拌されて、気泡の分散状態が均一に保たれる。溶融石鹸の一部は、循環ポンプ43によって循環管路42内に送り込まれる。その結果、貯蔵タンク41内に貯えられている溶融石鹸は、貯蔵タンク41を経由して循環管路42内を循環する。この循環によって、たとえ何らかのトラブルが発生して石鹸製造の作業が停止しても、溶融石鹸が配管系内で停滞することがなくなり、溶融石鹸に剪断力が常に加わった状態が維持され、気泡と液体分とが分離状態となることが防止される。特に、本実施態様においては、溶融石鹸を循環させることで剪断力を加えるので、例えば溶融石鹸の流速を制御して溶融石鹸に剪断力を加える時間を制御できるという利点がある。つまり気泡を含む溶融石鹸のような保存安定性の低い圧縮性流体に長時間剪断力を加え続けることで気泡の状態を保持させることができる。一方、剪断力を加えないと、気泡の合一や気液の分離が起こることが避けられない。このように、溶融石鹸を循環させる場合に、剪断力を加える時間を制御することで、溶融石鹸に効果的に剪断力を加えることができ、その結果、貯蔵タンク41内の気泡入り石鹸における気泡の分散状態を良好にすることができ、且つその良好な状態を長時間保つことができる。貯蔵タンク41における撹拌翼45による撹拌によっても、気泡と液体分との分離はある程度防止できるが十分とはいえない。撹拌翼45によって気液分離や気泡の合一が発生しないように溶融石鹸を撹拌すると、溶融石鹸が気泡を巻き込みその比重が変動してしまう。従って、貯蔵タンク41内では気泡を混入させない緩やかな撹拌を行い、気泡と液体分との分離防止は、循環管路42内の循環によって行うことが好ましい。
【0041】
本実施形態の石鹸の製造装置5は、ロータリー式石鹸製造装置であり、ターンテーブル6の間欠的な回転によって各成形型1(型締手段2)が、所定位置に固定された1台の供給手段3の近傍に順次配置され、供給手段3から溶融石鹸を供給されるようになされている。供給手段3による成形型1への溶融石鹸の供給は、1)供給手段3(ノズル32)と成形型1(注入口16)との接続(ノズル前進)、2)溶融石鹸の充填、3)接続状態の保持(ノズル保持)、4)ノズル32の注入口16からの離脱(ノズル後退)、及び5)ターンテーブル6の回転による、溶融石鹸未充填の成形型1の供給手段3の近傍への移動(インターバル)を、1サイクルとしている。
【0042】
成形開始前に、型締手段2のサーボモータ22を動作させて送りねじ23を押し出して、図9に示すように割型1Aと割型1Bとを型閉する。両割型には、前述した冷却水の循環路に水を循環させておく。また、ターンテーブル6を回転させて、成形型1における割型1Bの背面側に供給手段3を配置し、該供給手段3のサーボモータ64を動作させてスライダー63を方向X(図1参照)に摺動させて、図9に示すように複数の供給部39それぞれにおけるノズル32の先端と、割型1Bにおける複数のスプール12Bそれぞれの開孔部とを1対1で接続する。尚、図中符号Xが付された矢印が示す方向は、供給手段3(ノズル32)と成形型1とを接続するときの接続方向、あるいは割型1A及び1Bを組み付けるときの組み付け方向である。
【0043】
図9に示す状態においては、各供給部39におけるシリンダ34と循環管路42との連通が、ロータリーバルブ35によって遮断されている。シリンダ34内に配されているピストン36は所定の位置に留まっている。またこの状態においては、図10に示すように、各供給部39における押し込みバルブ33はノズル32内に完全に挿入されており、溶融石鹸が供給されないようになっている。
【0044】
この状態下に、循環管路42を循環する溶融石鹸は、その一部が、各供給部39へ送り込まれる。溶融石鹸を各供給部39へ送り込むには、ロータリーバルブ35を所定角度回転させてシリンダ34と循環管路42とを連通させる。これと共にサーボモータ37を作動させてピストン36を後退させる。これによってシリンダ34内に空間が形成され、その空間内に溶融石鹸が流入する。ピストン36の後退は、所定量の溶融石鹸がシリンダ34内に充填されるまで続けられる。
【0045】
所定量の溶融石鹸がシリンダ34内に充填されたら、サーボモータ37の作動を停止し、ピストン36の後退を停止する。次に、ロータリーバルブ35を所定角度反転させてシリンダ34と循環管路42との連通を遮断し且つシリンダ34とノズル32とを連通させる。引き続き、エアーシリンダ38を作動させてノズル32内からバルブ33を引き抜き、両者間に空隙を形成する。この状態を図11に示す。これによって、シリンダ34、供給管30、液溜まり部31及びノズル32並びにスプール12B、ランナー12A及びキャビティ10からなる溶融石鹸の供給路が形成される。この状態下にサーボモータ37を作動させてシリンダ34内のピストン36を押し込む。これによって、シリンダ34内に充填されていた溶融石鹸が前記供給路を通じて成形型1のキャビティ10に加圧注入される。溶融石鹸の供給量がピストン34のストローク量で決定されることは前述の通りであるが、そのストローク量はサーボモータ37によって精密に制御される。このような溶融石鹸の供給操作は、複数のキャビティ10それぞれにおいて略同時になされる。各キャビティ10に溶融石鹸が満たされるにつれて、キャビティ10の空気は前記エアベント(図示せず)から外部に排出され、溶融石鹸に置換されていく。成形型1において、溶融石鹸は供給路12(ランナー12A及びスプール12B)を通じてキャビティ10の下部から上方へ向かって充填されるため、溶融石鹸の脱泡がより確実に行われる。
【0046】
本実施態様においては、図12に示すように、溶融石鹸はキャビティ10のみならずこれに通ずる供給路12(ランナー12A及びスプール12B)にも充填される。最終的に製品とされるのはキャビティ10に充填された溶融石鹸のみであるが、このように溶融石鹸の注入量をキャビティ10の容積よりも多くして供給路12内にも溶融石鹸を充填することにより、その固化に際しての収縮やひけの発生が防止されると共に、従来のいわゆるゲートピン方式の石鹸の製造方法において問題になっていた、石鹸の歪みや汚れの発生が防止され、高品質の石鹸が得られるようになる。
【0047】
各キャビティ10及び各供給路12への所定量の溶融石鹸の供給が完了したら、再び各供給部39における押し込みバルブ33をノズル32内に完全に挿入する(図10参照)。そして、この状態下に成形型1内の溶融石鹸を冷却固化させる。前述した通り割型1A,1Bは冷却水の循環によって所定温度に冷却されており、これによって各キャビティ10及び各供給路12内の溶融石鹸の冷却固化が促進される。
【0048】
溶融石鹸が固化したら、図13に示すように、供給手段3を後退(ターンテーブル6から離れる方向に移動)させて、供給手段3を割型1Bから取り外すと共に、サーボモータ22を動作させて送りねじ23を引き込み、両割型1A,1Bを型開する。このとき、割型1Aのキャビティ形成面11A及び前記ランナー形成面に形成されているスリット13(図7参照)を通じて吸引を行う。これと共に割型1Bのキャビティ形成面11Bに形成されているスリット13を通じて該キャビティ形成面11Bから固形石鹸Sに向けて空気を吹き付け、該キャビティ形成面11Bからの固形石鹸Sの離型を促進させる。これらの操作によって、各固形石鹸Sを割型1Aのキャビティ形成面11A及び前記ランナー形成面に保持させる。
【0049】
尚、溶融石鹸の冷却固化後に成形型を型開する時期に特に制限はないが、石鹸の内部までが固化してから型開するよりも、もっと早い段階、例えば石鹸の表層部は固化しているが内部は未固化の状態で型開する方が、石鹸は確実に割型1A側に保持される。
【0050】
引き続き、割型1Aに保持されている各固形石鹸Sを所定の把持手段(図示せず)によって取り出す。このとき、割型1Aに形成されているスリット13を通じてキャビティ形成面11A及び前記ランナー形成面から固形石鹸Sに向けて空気を吹き付け、割型1Aからの固形石鹸Sの離型を促進させる。こうして、固形石鹸Sが複数(本実施態様では12個)同時に得られる。その後、割型1Aと割型1Bとを型閉して図9に示す状態に復帰させ、これまでに述べた操作を繰り返す。割型1A,1Bを型開して固形石鹸Sを取り出した後、割型1A,1Bを型閉する操作は、少なくともターンテーブル6が1回転する間、即ち、成形型1(型締手段2)が図1に示す供給手段3との対向位置を通過してから再び該対向位置に達するまでの間に完了する。
【0051】
このようにして成形型1から取り出された固形石鹸Sは、図14に示すように、キャビティ10内で溶融石鹸が固化された部分S1と、供給路12(ランナー12A及びスプール12B)内で溶融石鹸が固化された部分S2とを含んでいる。これに対し、いわゆるゲートピン方式の製造方法においては、溶融石鹸の冷却固化を開始する時点で既に供給路(ゲート)内の溶融石鹸はゲートピンによってキャビティ内に押し出されているため、成形型から取り出される固形石鹸は部分S1のみからなり、部分S2を含んでいない。このようなゲートピン方式で得られる石鹸は、ゲートピンによる残存溶融石鹸の押し出し操作に起因して、ゲート(ランナー)の周辺に位置していた部位に、歪みやゲート内面の磨耗等による汚れが発生しやすいという問題がある。本実施形態においては、成形型1から取り出される固形石鹸Sに部分S2を具備させることで、ゲートピン方式におけるこのような問題を解消している。
【0052】
成形型1から固形石鹸Sを取り出した後、その部分S1と部分S2との境界部を所定の切断手段(図示せず)によって切断し、部分S1を最終製品とする。部分S2は回収して新たな石鹸の製造に利用することができる。
【0053】
本実施形態の石鹸の製造装置5によれば、前述した、1)単一のラック70及び複数のピニオン72を含んで構成されるターンテーブル6の駆動機構、並びに2)ランナー12A及びスプール12Bを含んで構成される、成形型1における溶融石鹸(液体原料)の供給路12の採用により、ひけや歪みや汚れが少なく均質に成形された高品質の気泡入り石鹸を、効率良く低コストで製造することができる。
【0054】
石鹸を構成する配合成分としては、例えば、脂肪酸石鹸、非イオン系界面活性剤、無機塩、ポリオール類、非石鹸系のアニオン界面活性剤、遊離脂肪酸、香料、水等が挙げられる。更に、抗菌剤、顔料、染料、油剤、植物エキス等の添加物を必要に応じて適宜配合してもよい。
【0055】
ところで、前述した石鹸の製造装置5の如き、複数の成形型が搭載された間欠駆動型のターンテーブルを具備するロータリー式の石鹸の製造装置において、前述したように、ターンテーブルの回転に着目してそれを適切に制御することは、高品質の石鹸を効率良く製造するという本発明の目的を達成する上で重要であるが、斯かる目的のより確実な達成のためには、液体原料を吐出するノズル(供給手段)と成形型との接続についても工夫が必要である。以下、本発明の主たる特長の1つである、ノズルと成形型との接続に関する工夫について、図15〜図17を参照して説明する。尚、後述する実施形態については、前記実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前記実施形態についての説明が適宜適用される。
【0056】
図15には、本発明に係る成形型の他の実施形態である成形型15の一部が示されている。尚、図15に示しているのは成形型15の一部であり、成形型15は、前述した成形型1と同様に、溶融石鹸(液体原料)が充填される成形用のキャビティ10を複数(12個)有しているもので、その基本構成は成形型1と同様である(図6及び図7参照)。成形型15を構成する二個一組の割型1A及び割型1Bのうちの一方の割型1Bにおける、パーティング面PLとは反対側に位置する背面(スプールブッシュ14)には、スプール12Bに通じる溶融石鹸の注入口16が穿設されている。また、割型1A,1Bを構成するブロックには、溶融石鹸の冷却・固化を促進するための冷却水の循環路17が設けられている。
【0057】
成形型15(割型1B)における注入口16が穿設されている部分(供給手段3のノズル32の先端が接続される部分)及びその近傍、即ち、スプールブッシュ14の背面(供給手段3との接続面)の中央部は、図15に示すように、周辺部に比して凹んでいて凹部となっており、断面視してパーティング面PL側に向けて凸(背面側に向けて凹)の円弧形状をしている。注入口16は、該凹部の中心に位置している。このスプールブッシュ14の凹部は、ノズル32の先端が嵌合する嵌合凹部として機能する。
【0058】
また、図16には、本発明に係る供給手段の他の実施形態の要部が示されている。図16に示す供給手段3の基本構成は、前記実施形態の供給手段3と同様であり、図16に示す供給手段3は、複数(12個)のキャビティ10(供給路12)のそれぞれに1対1で対応する複数(12個)の供給部39を備え、各供給部39には、先端に溶融石鹸の供給口26を有する中空円筒状のノズル32が設けられている。供給部39は、供給手段3の本体であり、溶融石鹸をノズル32へ供給する供給路としての液溜まり部31を内部に有している。
【0059】
供給口26が形成されたノズル32の先端は、図16に示すように、供給手段3(ノズル32)と成形型15との接続方向(割型1A及び1Bを組み付けるときの組み付け方向)Xの外方に向けて凸に湾曲しており、断面視してノズル外方に凸の円弧形状をしている。このノズル32の先端の凸部は、前述した、成形型15(割型1B)のスプールブッシュ14の凹部に嵌合し、嵌合凸部として機能する。
【0060】
供給手段3は、図16に示すように、複数(12本)のノズル32のそれぞれに1対1で対応する複数(12個)のヒーター18を具備している。ヒーター18は、環状をなし、ノズル32の先端近傍と該先端近傍よりも供給部39寄りの位置との計2箇所においてノズル32の外面にその全周に亘って巻かれており、それぞれノズル32に密着している。このように本実施形態では、各ヒーター18により複数のノズル32の温度をそれぞれ独立に制御可能になされている。
【0061】
ノズル32は、図16に示すように、供給手段3と成形型15との接続方向Xに伸縮する伸縮部材27を介して、供給手段3の本体である供給部39に設けられ、且つノズル32の一部が供給路である液溜まり部31内に挿入され、伸縮部材27の伸縮に伴って液溜まり部31内を接続方向Xに摺動可能になされている。より具体的には、ノズル32は、供給口26を有する先端側と後端側との間に、ノズル32の外面から外方に突出する環状のフランジ部29を有し、フランジ部29よりも該後端側が液溜まり部31内に挿入され、フランジ部29を含む該先端側は、常時供給路26の外方に位置している。ノズル32における液溜まり部31への挿入部分は、液溜まり部31の内形状と同形状の外形を有し、該挿入部分の外面と液溜まり部31の内面との間には隙間が無く、液漏れしないようになされている。フランジ部29における供給部39との対向面の所定部位には、伸縮部材27としてのコイルスプリングの一端が固定されており、該コイルスプリングの他端は、供給部39に設けられた凹部の底部に固定されている。該凹部は伸縮部材27の収容部であり、伸縮部材27の一部が収容されている。伸縮部材27(コイルスプリング)は、ノズル32に外力がかかっていない状態(成形型15に接続されていない状態)においてノズル32を先端側から後端側に向けて押圧したときに収縮し得る状態で配置されており、本実施形態では、外力がかかっていない自然状態で配置されている。供給部39には、ノズル32のフランジ部29に係合する係合部19が設けられており、係合部19によってノズル32が液溜まり部31から外れることが防止される。このような伸縮部材27を含むノズル32の配置形態により、フランジ部29を含むノズル32の先端側は、供給部39から常時離間しており、また、ノズル32における液溜まり部31への挿入部分(フランジ部29よりも後端側)は、液溜まり部31内を接続方向Xに摺動する。
【0062】
伸縮部材27(コイルスプリング)は、図16に示すように、少なくとも2個配置されていることが好ましく、その2個の伸縮部材27は、供給路としての液溜まり部31(ノズル32における液溜まり部31への挿入部分)を挟んで対向するように配置されることが好ましい。伸縮部材27がこのように複数配置されることで、ノズル32の接続方向Xの摺動がよりスムーズになされるようになる。
【0063】
本実施形態では、ノズル32における液溜まり部31内への挿入部分(フランジ部29よりも後端側)の外面の材質は、ノズル32における液溜まり部31内に挿入されない部分(フランジ部29を含む先端側)の外面の材質と異なっている。より具体的には、ノズル32の前記挿入部分は、金属等からなるノズル本体の外面を、該ノズル本体とは異なる材料からなる環状のガイドリング28で被覆して構成されており、該挿入部分の外面は、ガイドリング28から形成されている。一方、ノズル32における、フランジ部29を含む先端側は、該ノズル本体から構成されており、ガイドリング28とは材質が異なる。前記ノズル本体(ノズル32の前記挿入部分)は、通常金属から形成されるのに対し、ガイドリング28は、テフロン(登録商標)等の樹脂;シリコンゴム等から形成され、両者は材質が異なる。このような両外面の材質の違いにより、ノズル32の前記挿入部分の液溜まり部31内での摺動がよりスムーズになる。
【0064】
供給部39(供給手段3の本体)は、図16に示すように、液溜まり部31(供給路)内及びノズル32内を接続方向Xに進退可能に設けられたバルブ33を具備し、図17に示すように、バルブ33の先端をノズル32の先端側に位置させることでノズル32の供給口26を閉塞可能になされている。バルブ33の後端には、図示しないエアーシリンダ(図5中のエアーシリンダ38と同じもの)が取り付けられており、バルブ33は、このエアーシリンダによって液溜まり部31内及びノズル32内を接続方向Xに進退する。
【0065】
図16に示すように、ノズル32の先端とバルブ33の先端とは同一形状である。従って、図17に示す如く、ノズル32の先端に設けられた供給口26をバルブ33の先端でノズル内部から閉塞したときに、ノズル32の先端面とバルブ33の先端面とが面一となる。このように、ノズル32の先端とバルブ33の先端とが同一形状であることにより、供給口26をバルブ33の先端で閉塞したときに、ノズル32における供給口26の形成位置に段差が発生せず、該段差(バルブ33の先端が相対的に後退した状態での段差)に液体原料が滞留するという不都合が防止される。
【0066】
図17には、図15に示す成形型15と図16に示す供給手段3のノズル32とを接続した状態、即ち、バルブ33の先端で供給口26を閉塞した状態で、ノズル32の先端を成形型15(スプールブッシュ14)の注入口16に接触させて供給手段3と成形型15とを接続した状態が示されている。図17に示す状態から、図示しないエアーシリンダを作動させてバルブ33を後退させる(図17の右方向に移動させる)等、前述した操作を実施することで、成形型15のキャビティ10に溶融石鹸が充填される。溶融石鹸充填後の操作は前述した通りである。
【0067】
図17に示す如き成形型15とノズル32との接続状態においては、溶融石鹸の漏れが生じないようにすることが必要であり、そのためには、両者の接続前に成形型15の注入口16とノズル32の供給口26の位置決めを高精度で行い、注入口16と供給口26とを正確に重ね合わせて両者を完全にシールする必要があるところ、注入口16が形成されているスプールブッシュ14や供給口26が形成されているノズル32の先端部の加工精度が低い場合、あるいは、高温の溶融石鹸を扱うことによって装置各部が熱膨張する場合があり、そのような場合には、接続前に高精度の位置決めを実施しても、接続時には誤差が生じて注入口16及び供給口26を完全にシールすることは困難である。特に、本実施形態の製造装置5は、成形型15及びノズル32をそれぞれ複数備えており、斯かるシールの問題はより深刻となり得る。
【0068】
しかしながら、本実施形態の製造装置5は、前述したように、複数のノズル32それぞれが、成形型15とノズル32との接続方向Xに伸縮する伸縮部材27を介して供給部39に設けられ、且つノズル32の一部(フランジ部29よりも後端側)が液溜まり部31内に挿入され、伸縮部材27の伸縮に伴って液溜まり部31内を接続方向Xに摺動可能になされているため、仮に、前述したノズル等の加工精度や熱膨張の問題があっても、そうした問題に起因する誤差を、ノズル32の接続方向Xでの摺動動作によって吸収することができる。即ち、供給手段3(供給部39)を成形型15に向けて前進させ、ノズル32の先端を成形型15(スプールブッシュ14)に接続すると、ノズル32は押圧されて、接続方向Xにおいて成形型15から後退する方向(図17の右方向)に摺動し、それにより前記誤差を吸収しつつ、注入口16及び供給口26を完全にシールする。また、斯かるノズル32の摺動(後退)に伴ってバルブ33が従動(後退)するので、注入口16及び供給口26のシール状態は維持される。ノズル32による斯かる誤差の吸収量は、ノズル32の接続方向Xでの摺動可能距離に略比例する。本実施形態に係るノズル32による誤差の吸収量は最大で2mm程度である。
【0069】
また、本実施形態の製造装置5においては、前述したように、スプールブッシュ14における注入口16の形成位置に凹部が形成されていると共に、供給口26が形成されているノズル32の先端が、該凹部に嵌合する凸部となっているため、注入口16及び供給口26のシール性をより向上させることができる。
【0070】
要するに、本発明は、複数の成形型1が搭載された間欠駆動型のターンテーブル6を具備するロータリー式の石鹸の製造装置5において、成形型1の高速且つ高精度の位置決めを実現して、高品質の石鹸を効率良く製造しようとしたものであり、特に、A)成形型1(成形型15)の上下方向Z(図6参照)、B)該上下方向Zと直交する左右方向Y(図6参照)、及びC)割型1A及び1Bを組み付けるときの組み付け方向X(図6参照)の3方向に着目して、これら3方向について高精度の位置決めを実現し得るようにしたものである。そして、前記A)については、主として、高さ調整手段48の採用により、供給手段3(ノズル32)と成形型1,15(割型1B)との接続前における両者の前記上下方向Zの高精度の位置決めを可能とし、また、前記B)については、主として、単一のラック70及び複数のピニオン72を含んで構成されるターンテーブル6の駆動機構の採用により、ターンテーブル6の高速回転及び前記左右方向Y(ターンテーブル6の周方向)の高精度の位置決めを可能とし、また、前記C)については、主として、伸縮部材27を含んで構成されるノズル32の摺動機構の採用により、前記組み付け方向X(供給手段3と成形型1,15との接続方向X)の高精度の位置決めを可能としている。
【0071】
また、本発明によれば、前述したように、固定配置された1台の供給手段3を対象として複数の成形型1,15(型締手段2)が旋回移動する構成となっているため、供給手段3と成形型1,15との接続前における供給手段3での溶融石鹸(液体原料)の計量動作を、ターンテーブル6の回転による、溶融石鹸未充填の成形型1,15の供給手段3の近傍への移動動作と並行して行うことが可能であり、斯かる計量動作と移動動作との複合化によって、供給手段3側の動作時間の短縮を図ることができる。即ち、計量動作と移動動作とが同時進行する時間帯の分だけは、確実に時間の短縮となる。つまり、供給手段3は、1個の成形型1,15に対して溶融石鹸の充填を行った後は、その保圧時間さえ待てば、冷却時間や型開、製品離型等の時間を待つ必要はなく、次の成形型1,15を受け入れるための後退動作と共に計量動作を同時に開始することにより、時間を節約できる。従って、本発明によれば、同一面積、同一時間当たりの石鹸の生産量を、従来の石鹸の製造装置に比して向上させることができる。
【0072】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、成形型1,15における複数のキャビティ10の数及び配列は前記実施形態に制限されず、適宜設定することができる。また、前記実施形態では固形石鹸の一方の割型への吸引や空気の吹き出し用にスリット13を形成していたが、このようなスリットは形成しなくても良く、またスリット13に代えて、あるいはスリット13と共に、前記キャビティ形成面及び前記ランナー形成面に微小孔を形成しても良い。
【0073】
また、固形石鹸Sを一方の割型1Aにより確実に保持させるために、割型1Aにおけるキャビティ形成面11Aの表面積を、割型1Bにおけるキャビティ形成面11Bの表面積よりも大きくしても良い。両者の表面積に差を設ける方法としては、例えば両者で表面粗さを異ならせる方法が挙げられる。また、前記実施形態は気泡入り石鹸の製造方法に係るものであったが、本発明はこれ以外の石鹸の製造にも同様に適用できることは言うまでもない。前述した一の実施形態のみが有する部分は、すべて適宜相互に利用できる。
【符号の説明】
【0074】
1,15 成形型
1A,1B 割型
2 型締手段
3 供給手段
4 循環手段
5 石鹸の製造装置
6 ターンテーブル
10 キャビティ
12 供給路
12A ランナー
12B スプール
14 スプールブッシュ
16 注入口
18 ヒーター
19 係合部
26 ノズルの供給口
27 伸縮部材
28 ガイドリング
29 フランジ部
32 ノズル
33 バルブ
39 供給部(供給手段の本体)
48 高さ調整手段
70 ラック
71 ラックの歯部
72 ピニオン
73 駆動源(サーボモータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターンテーブルと、該ターンテーブル上にその周方向に所定の間隔で配置された複数の成形型と、該ターンテーブルに隣接して配置され且つ各該成形型に液体原料を供給する供給手段とを具備し、該ターンテーブルが各該成形型間の間隔に対応した角度で周方向に間欠的に回転し、各該成形型が該供給手段に順次接続可能に構成された石鹸の製造装置であって、
前記ターンテーブルに、歯部を有する円環状のラックが同心状に固定され、該ラックの該歯部に、複数のピニオンが噛み合わされており、
複数の前記ピニオンのそれぞれに1対1で対応して接続された複数の駆動源を具備し、各該駆動源による各該ピニオンの回転により前記ラックが従動回転し、それにより前記ターンテーブルが周方向に回転するようになされている石鹸の製造装置。
【請求項2】
少なくとも2個の前記ピニオンと各該ピニオンのそれぞれに1対1で対応して接続された2個の前記駆動源とを具備し、2個の該ピニオンが、前記ラックを挟んで略対向するように配置されている請求項1記載の石鹸の製造装置。
【請求項3】
複数の前記駆動源はそれぞれサーボモータであり、複数の該サーボモータを補間制御する制御ユニットを具備している請求項1又は2記載の石鹸の製造装置。
【請求項4】
ターンテーブルと、該ターンテーブル上にその周方向に所定の間隔で配置された複数の成形型と、該ターンテーブルに隣接して配置され且つ各該成形型に液体原料を供給する供給手段とを具備し、該ターンテーブルが各該成形型間の間隔に対応した角度で周方向に間欠的に回転し、各該成形型が該供給手段に順次接続可能に構成された石鹸の製造装置であって、
複数の前記成形型は、それぞれ、前記液体原料が充填される成形用のキャビティを複数有しており、
前記供給手段は、複数の前記キャビティのそれぞれに1対1で対応し且つ該供給手段と前記成形型とを接続するときに先端が該成形型と接触し且つ該先端に前記液体原料の供給口を有する、複数のノズルと、該ノズルが設けられ且つ該液体原料を該ノズルへ供給する供給路を内部に有する、本体とを具備し、
前記ノズルは、前記供給手段と前記成形型とを接続するときの接続方向に伸縮する伸縮部材を介して、前記本体に設けられ、且つ該ノズルの一部が前記供給路内に挿入され、該伸縮部材の伸縮に伴って該供給路内を該接続方向に摺動可能になされている石鹸の製造装置。
【請求項5】
前記ノズルにおける前記供給路内に挿入される部分の外面の材質が、該ノズルにおける該供給路内に挿入されない部分の外面の材質と異なっている請求項4記載の石鹸の製造装置。
【請求項6】
前記本体は、前記供給路内及び前記ノズル内を前記接続方向に進退可能に設けられたバルブを具備し、該バルブの先端を該ノズルの先端側に位置させることで前記供給口を閉塞可能になされており、
前記バルブの先端で前記供給口を閉塞した状態で、前記ノズルの先端を前記成形型に接触させて前記供給手段と該成形型とを接続したときに、該ノズルが前記接続方向に摺動し、該ノズルの摺動に伴って該バルブが従動するようになされている請求項4又は5記載の石鹸の製造装置。
【請求項7】
前記ノズルの先端と前記バルブの先端とが同一形状である請求項6記載の石鹸の製造装置。
【請求項8】
前記供給手段は、複数の前記ノズルのそれぞれに1対1で対応する複数のヒーターを具備し、各該ヒーターにより複数の該ノズルの温度をそれぞれ独立に制御可能になされている請求項4〜7の何れか一項に記載の石鹸の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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