説明

砂場用抗菌剤

【課題】 人体に対して安全であり、安価で、効果的な砂場用抗菌剤を提供すること。
【解決手段】 消石灰と生分解性樹脂及び/又は生分解性ワックスからなることを特徴とする砂場用抗菌剤。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は飼い犬や猫等の排泄等によって砂場に発生する雑菌等を防除する砂場用抗菌剤に関し、詳しくは生分解性の媒体と消石灰からなる砂場用抗菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】散歩時に放された飼い犬や猫等が団地、学校、公園等の砂場で排泄することが環境衛生上問題となっている。これは、犬や猫等の排泄物等が原因となって砂場に有害な微生物が発生したり、それに伴う異臭が生じるからである。上記問題に対して、砂の全量あるいは一部入れ替え、砂を焼く、砂に抗菌剤を散布する等の対策が取られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】抗菌剤としては、人体に対する安全衛生上、銀やゼオライト等の無機系の抗菌剤が使用されている。しかしながら、これらの物質は価格が高く、また貴重な資源であることから、大量に散布することはできず、人体に対して安全であり、安価で、効果的な抗菌剤が求められている。
【0004】本発明者は、上記要望に応えるべく検討した結果、一般に工業用原料等として用いられており、また食品添加物にも利用されている安価な消石灰(水酸化カルシウム)が、安全な抗菌剤となり得ることを見いだした。消石灰は、微粉状であるため飛散し易く、砂場に散布する際の取扱が困難である。この問題も、消石灰を生分解性の媒体と混練し、これを粉砕することで解決でき、散布後は該媒体は生分解することで環境への影響を少なくすることもできる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、消石灰と生分解性樹脂及び/又は生分解性ワックスからなることを特徴とする砂場用抗菌剤が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。本発明で使用する消石灰は、前記の如く一般に工業用原料等として用いられており、また食品添加物にも利用されている安価な材料である。通常微粉体として流通されている。
【0007】本発明で使用する生分解性樹脂は、生分解性を有するポリマーであり、経時的に生分解するポリマーはいずれも使用でき、特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールと澱分のブレンド、ポリ乳酸、ポリアルキレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトンと澱分のブレンド、ポリエステルカーボネート、ポリアミノ酸、ポリエステルアミド、ポリヒドロキシブチレート/バリレート、キトサン等が挙げられる。抗菌性ワックスとしては、例えば、ステアリン酸エステル、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート、モンタン酸ワックス等の脂肪酸系ワックス等が挙げられるが、生分解性を有するワックスはいずれも使用でき、特に限定されない。
【0008】本発明の砂場用抗菌剤は、消石灰と生分解性樹脂及び/又は生分解性ワックスとを混練することで製造することができる。混練には二軸押出機、ロール等の従来公知の混練機がいずれも使用でき、特に限定されない。混練物は任意の手段で粉末又は顆粒状等とされる。
【0009】消石灰は、通常、生分解性樹脂及び/又は生分解性ワックス100重量部当り1〜300重量部、好ましくは50〜250重量部、更に好ましくは150〜200重量部の割合で使用される。消石灰の量が少な過ぎると抗菌性が十分でなく、多過ぎるとそれ以上使用しても抗菌性は飽和して変わらなくなり、不経済である。尚、本発明の砂場用抗菌剤には、必要により、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等の各種添加剤を適宜添加することができる。
【0010】本発明の砂場用抗菌剤は、粉末状や顆粒状等の形態で砂場に散布される。散布量は特に限定されず、砂場の砂の量に応じて適当量を散布する。例えば、砂の重量に対して、消石灰として少なくとも0.1重量%程度の量が必要である。
【0011】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
実施例1硬化ヒマシ油100重量部と消石灰150重量部とを三本ロールで混練し、得られた混練物をマラーミキサーで粉砕し、平均粒径が約0.5〜1mmの本発明の抗菌剤を得た。
【0012】供試菌株として大腸菌(グラム陽性菌)と黄色ブドウ球菌を用い、以下に示す試験方法により、上記の抗菌剤を消石灰の量が、それぞれ500ppm、1000ppm、2000ppm及び3000ppmとなるように使用して抗菌性を評価した。
【0013】〔試験方法〕前培養した上記の供試菌株液をリン酸緩衝液で1/10000に希釈して菌数を調整し、これを200mlフラスコに20mlと抗菌剤を所定量入れ、35℃で210rpmの条件で3時間振とう培養した。希釈平版法により、各培養液の35℃、48時間培養後の生菌数を99%以上抑制するものを抗菌力のあるものと判定した。試験は全て無菌的に行い、抗菌剤を添加しないものを比較例とした。試験結果を表1及び表2に示す。表1及び2の結果から、抗菌剤(消石灰)の濃度が2000ppm以上で、大腸菌及び黄色ブドウ球菌の減少に有意差があり、抗菌効果があると判定される。
【0014】


【0015】


【0016】
【発明の効果】以上の本発明により、安価で、取扱が容易且つ人体及び環境に影響を及ぼさない衛生上安全な砂場用抗菌剤が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 消石灰と生分解性樹脂及び/又は生分解性ワックスからなることを特徴とする砂場用抗菌剤。
【請求項2】 消石灰の割合が生分解性樹脂及び/又は生分解性ワックス100重量部当り1〜300重量部である請求項1に記載の砂場用抗菌剤。

【公開番号】特開2002−161010(P2002−161010A)
【公開日】平成14年6月4日(2002.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−361574(P2000−361574)
【出願日】平成12年11月28日(2000.11.28)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【Fターム(参考)】