説明

研磨性及び潤滑性添加物を含む粒状第一リン酸カルシウム製造物

他の粒状リン酸飼料製品と比べて、十分な栄養価と、研磨性や潤滑性のようなペレット成型にあたっての利点をもたらす、粒状第一リン酸カルシウム組成物。この粒状第一リン酸カルシウム組成物は、潤滑性や研磨性添加物のような添加物を一種類以上含んでいる。潤滑性添加物は飼料製造工程やペレット成型工程において、金型を潤滑するナトリウム添加物を含んでいる。研磨性添加物はペレット成型工程において、金型を磨く、シリカや砂を含んでいる。組成物の潤滑性、研磨性が向上することは、最終飼料製造物における栄養価を劣化させることなく、ペレット成型工程における金型の処理能力や効率を上げる効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照によってここに全体を導入するところの、2010年1月15日に出願された「研磨性及び潤滑性添加物を含む粒状第一リン酸塩生成物」と題する米国仮出願第61/295,463号の利益を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は概して動物飼料に使用する添加物、具体的には栄養価を落とすことなくより優れた飼料製粉性能を示す、第一リン酸カルシウム組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に配合飼料として知られている家畜や家禽の飼料は、種々の原料や添加物を混ぜ合わせた飼料である。配合飼料は、日常で必要な栄養素の全てを供給する完全飼料、飼料の一部(タンパク質、エネルギー)を与える濃縮物、あるいはミネラルやビタミンなどの微量栄養素を補う補助剤として調合される。市販の飼料に使用されている主原料は、例えばコーン、大豆、モロコシ、オート麦、大麦、及びそれらを組み合わせた穀物である。
【0004】
家畜飼料産業での重要な産業の一つには、さらにプレミックスの販売及び製造が含まれる。プレミックスは、家畜飼料を製造するために市販用または個別で製造された飼料に混合する微量成分から成る。微量成分には、栄養素、ビタミン、ミネラル、化学保存料、抗生物質、発酵生成物、及びその他の必須成分が含まれる。
【0005】
リンやカルシウムの素は微量成分として家畜飼料によく添加されている。家畜飼料に使用可能な微量成分の一例としてBiofos(登録商標)がある。Biofos(登録商標)は炭酸カルシウムと湿式でフッ素除去したリン酸を反応させることで製造される飼料用第一リン酸カルシウムである。Biofos(登録商標)は利用可能なリン(P)とカルシウム(Ca)が多い素であり、カルシウム対リンの比率が限られており、これらの必須栄養素についての家畜や家禽の要求を満たすのに役立つ。例えば、Biofos(登録商標)は、製造において融通性と経済性をもたらすリン含有量21%以上を保証している。Biofos(登録商標)はまた、取り扱いの容易性と、飼料とミネラルの混合物中における均一な分散を与える。
【0006】
家畜飼料のリンやカルシウムの素として使用される微量成分のもうひとつの例がMultifos(登録商標)である。Multifos(登録商標)とは、飼料用のフッ素除去した第三リン酸カルシウムで、生物学的利用性を高め、フッ素を除去し、飼料混合用に生成物を物理的に調整する、注意深く制御された熱化学プロセスでリン鉱石から生成される。Biofos(登録商標)同様、Multifos(登録商標)は利用可能なリン(P)とカルシウム(Ca)、及びナトリウム(Na)が多い素であり、これらの栄養素についての家畜や家禽の要求に備えるのに役立つ。例えば、Multifos(登録商標)もまた飼料製造における融通性をもたらすリン含有量18%以上を保証している。
【0007】
配合飼料は対象とする家畜の特定の要件に従って配合される。飼料製造業者または飼料調製業者は栄養士などから提示された仕様に従い、農産物を購入し飼料工場にてそれらを混合することで配合飼料を調合する。配合飼料は飼料調製業者によって、ミールタイプ、ペレット、あるいはクランブルとして製造される。
【0008】
配合飼料の製造業界で見られる飼料製造機の一つはペレット製造機で、例えば小麦粉や草などの乾燥した粉末原料の混合物、蒸気や糖蜜のような水分を含む原料、そして微量成分のような他の原料を混合している。乾燥原料、水分を含む原料、そして他の原料は結合されて、マッシュ状またはミール状に形成される。そして、マッシュやミールは多数の小さな穴を有する円形の金型の内部に詰め込まれる。マッシュやミールは金型内で圧縮され、穴の外へ押し出されてペレット形状に成型される。
【0009】
飼料製造機またはペレット製造機の処理能力や効率などの性能は飼料製造業者にとって大変重要なもので、飼料原料の特性を含む多くの変数から影響を受け得る。処理能力を上げ、エネルギー消費を削減し、効率を上げるためには、性能の良い金型が必要不可欠である。しかし、製造物の堆積が金型の性能を低下させ、時には金型を洗浄する工程が別途必要になる。この工程には金型の洗浄に加え、金型の分解と再組み立てが必要で、時間がかかる。さらに、頻繁に金型を交換することが必要になるため、ペレット成型工程における製造経費が増える。
【0010】
市販材料の中には、処理能力と効率を上げるために製品堆積を少なくするような、優れたペレット成型にあたっての利点をもたらす特性を示すものがある。例えば、Multifos(登録商標)はBiofos(登録商標)や他の競合ミネラル補助剤よりも、例えば処理能力、金型摩耗減少、エネルギー効率、そして最終的には購入、保管、処理のコスト削減につながるペレットの品質の向上といった、ペレット成型にあたってのより優れた利点(non−P benefit)をもたらす。
【0011】
しかし、ペレット成型にあたっての利点はあるが、第三リン酸カルシウムの製造コストが原因で、一般的にMultifos(登録商標)のような第三リン酸カルシウムを使用するほうが、第一リン酸カルシウムや第二リン酸カルシウムを使用するより高価である。Multifos(登録商標)は他の第三リン酸カルシウムと同様に、Biofos(登録商標)を製造するのに使われているより安価な造粒製法ではなく、回転炉を使用して製造されている。一般的な回転炉製法は、エネルギー消費が大きいため、造粒製法よりコストが高くなる傾向にある。さらに、Multifos(登録商標)の製造に使用されるリン鉱石は価格の大きな変動が起こりやすく、Biofos(登録商標)の製造に使用する原料よりも高価である。
【0012】
ペレット製造業者にとってはこの費用増加が製造での利益を上回ることもある。そのため、製造での利益を伴いつつ、製造コストの大幅な増加または栄養価の損失のない、家畜飼料用の第一リン酸カルシウム原料の需要がある。
【発明の概要】
【0013】
本開示内容の実施形態は、リン、カルシウム、及びナトリウムの利用可能性を含む十分な栄養価を供給し、現在市場で入手可能な粒状リン酸塩組成と比べて研磨性や潤滑性などのペレット成型での利点が向上した、家畜や家禽の飼料に混合するための粒状の第一リン酸カルシウム組成物を対象としている。より具体的には、本発明の実施形態の組成物は、Multifos(登録商標)製造物やBiofos(登録商標)製造物のような他の飼料用微量成分と同等以上の栄養価に加え、Multifos(登録商標)製造物のような第三リン酸カルシウムに示されると同等以上の製造での利点を提供する。さらに、実施形態の組成物は、より高価な回転炉製法ではなく造粒製法で製造される。
【0014】
具体的に、実施形態の組成物は、Biofos(登録商標)及びMultifos(登録商標)のような既存の飼料用微量成分を使用した最終飼料配合物に見られる栄養価を損なうことなく、Multifos(登録商標)のような既存の第三リン酸カルシウム製造物に見られる効果と同程度以上のペレット製造効率をひいてはもたらす高い研磨性と潤滑性を提供する。
【0015】
或る側面において、本発明の実施形態の組成物は第一リン酸カルシウムと、当該組成物の約1〜約10重量%のナトリウム成分を供給する量のナトリウム添加物とを含んでいる粒状リン酸塩飼料成分組成物を含み得る。ナトリウム添加物は例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、モノナトリウムリン酸塩、炭酸カルシウム、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0016】
他の側面では、本発明の実施形態の組成物は、第一リン酸カルシウムと、当該組成物の約1〜約10重量%に相当する量の研磨剤または研磨性添加物とを含む粒状リン酸塩飼料成分組成を含み得る。研磨性添加物は、例えば珪砂のようなシリカを含み得る。
【0017】
さらに他の側面では、本発明の実施形態の組成物は、ペレット製造機にてペレット成型される家畜飼料における飼料成分として利用するための粒状リン酸塩組成物を含み得、該粒状リン酸塩組成物は、第一リン酸カルシウム、ペレット成型中にペレット製造機の金型を磨く研磨性添加物、並びに、ペレット成型中に金型を潤滑するリン酸ナトリウムを生じる潤滑性添加剤を含んでいる。
【0018】
上述の発明の概要は、本発明についての各例示実施形態やあらゆる実施を説明するためのものではない。以下に続く詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示するものである。
【0019】
発明の詳細な説明
本発明の一実施形態において、粒状第一リン酸カルシウム(MCP)製造物または組成物は第一リン酸カルシウムと一種類以上の添加物とを含む。この一種類以上の添加物は、後続のペレット成型工程において、Multifos(登録商標)のような既存の第三リン酸カルシウム製造物と同等以上の、例えば潤滑性や研磨性のような製造物特性を提供できる。それに加えて、又はその代わりに、この一種類以上の添加物は最終飼料配合物において、Multifos(登録商標)やBiofos(登録商標)のような既存の飼料用微量成分を加えた場合と同等以上の、例えばリン、カルシウム、及び/またはナトリウムの十分な利用可能性などの栄養特性を提供できる。
【0020】
背景で議論したように、ペレット製造機には多数の穴をもつ金型が使用されており、処理能力や効率を上げるためには、原料を詰め込む際に金型の穴とその内部表面は製造物の堆積がない、もしくはほぼない状態にしておくことが好ましい。製造物の堆積は、使用中の金型が洗浄、研磨されるよう、ミールやマッシュの潤滑性及び/または研磨性を上げることで減少することができ、それにより別工程で金型を洗浄する必要性を削減、あるいは排除できる。さらに、添加物は最終飼料製造物へ加えること、及び、対象の動物が消費することに対して安全でなければならない。
【0021】
本発明の一実施形態において、MCP組成物は、潤滑性特性を示す一種類以上の添加物(以下、潤滑性添加物)を含んでいる。潤滑性は製造物の堆積を防ぐ、又は減少させるためにペレット製造機の金型を潤滑にするのを促す生成物特性であり、それにより処理能力と効率が向上する。潤滑性添加物には、例えば、ナトリウム添加物が含まれ、例えば、炭酸ナトリウムもしくはソーダ灰、水酸化ナトリウムもしくは苛性ソーダ、モノナトリウムリン酸塩、炭酸カリ、またはそれらを組み合わせたものがある。炭酸塩もしくは水酸化物のようなナトリウム添加物は、ペレット成型中に金型を潤滑するリン酸ナトリウムをMCP組成物内に発生させ、それにより金型の効率と処理能力が向上する。潤滑性添加物、及び、特定のナトリウム添加物は、MCP組成物全体が当該MCP組成物の約1〜約10重量%のNa、より正確には、約3〜約5重量%のNaを有するために十分な量で、MCP組成物内に存在し得る。
【0022】
本発明の他の実施形態において、MCPは潤滑性添加物とは別に、又はそれに加えて、ペレット金型洗浄のための研磨の効果をもたらすことができる一種類以上の研磨性を有する添加物(以下、研磨性添加物または研磨添加物)を有する。研磨性は成型中の金型を研磨し、清潔に保つのを促す生成物特性である。研磨性添加物には珪砂、珪藻岩(珪藻土)、またはそれらの組み合わせが含まれる。研磨性添加物は、製造物全体がペレット成型前のMCP組成物の約1〜約10重量%のSi、より正確には約2〜約4重量%のSiを有するのに相当する量で、MCP組成物中に存在し得る。
【0023】
MCP組成物は対象動物が消費するに当たり、十分な栄養素を最終飼料製造物に供給することも必要である。本発明の一実施形態において、MCP組成物は最少でP約21%のリン成分と、最少でNa4%のナトリウム成分とを含んでいる。さらにこのMCP組成物は、カルシウム含有量約15〜約18%、最大フッ素含有量約0.21%、かさ密度約56−59 lbs/ft、水分含量約1%、pH約3.6であるという点において、現在入手できるBiofos(登録商標)生成物とよく似ている。メッシュサイズを(リニア)インチ毎の穴の数で示したタイラーメッシュスケールを使用したふるい分析結果もBiofos(登録商標)生成物に似ており、粒子は12メッシュスクリーンで99.7%、16メッシュスクリーンで88%、20メッシュスクリーンで73.4%、100メッシュスクリーンで1.0%通過する。
【0024】
本発明の他の実施形態において、MCP組成物は最少でP約18%のリン成分と、最少でNa4%のナトリウム成分とを含んでいる。さらに、このMCP組成物は、カルシウム含有量約30〜約34%、最大フッ素含有量約0.18%、かさ密度約82−85 lbs/ft、水分含量約0.6%、pH約6.0であるという点において、現在入手できるMultifos(登録商標)生成物とよく似ている。メッシュサイズを(リニア)インチ毎の穴の数で示したタイラーメッシュスケールを使用したふるい分析結果もMultifos(登録商標)生成物に似ており、粒子は12メッシュスクリーンで98.1%、100メッシュスクリーンで4.9%、200メッシュスクリーンで1.2%通過する。
【0025】
本発明の実施形態であるMCP組成物は、湿式でフッ素除去したリン酸と炭酸カルシウムを反応させることで製造でき、Biofos(登録商標)生成物の造粒前あるいは最中に一種類以上の添加物を生成物の流れ(product stream)に加えたものに類似する。組成物は、湿式または乾式造粒法のような従来の造粒法を使い、その生成物の流れ(product stream)に一種類以上の添加物を加えるというわずかな変更を伴って造粒される。
【0026】
飼料製造性検討
Biofos(登録商標)、Multifos(登録商標)、及び二種類の試験用飼料リン酸塩の効果を種々の飼料製造パラメーターについて評価するため、検討1、2の二つの検討を行なった。MCP組成物に研磨性添加物としてシリカを使うことを含め、ブロイラー飼料の試験手順と栄養組成とが、両検討で使用され、同様に計画された。検討1と検討2の違いは、材料組成のみであり、検討1では無機リン酸塩、肉および骨粉、及び有効リンの主な提供源であるDDGS(Distiller‘s Dried Grains with Solubles)を使用し、検討2では、必要なリンのおよそ25%を提供するためにフィターゼを使用した。
【0027】
飼料リン酸塩として、製品Aは市販のBiofos(登録商標)を、製品Bは市販のMultifos(登録商標)を含んでいる。製品A、Bとも潤滑性添加物または研磨性添加物のどちらも含んでいない。
【0028】
製品Cは飼料リン酸塩としてMCP組成物を含んでおり、潤滑性添加物としてMCP組成物の約3.8重量%のNaに相当する量で存在するソーダ灰を含んでいる。珪砂は研磨性添加物としてMCP組成物の約2.86重量%のSiに相当する量で存在している。
【0029】
製品Dは飼料リン酸塩としてMCP組成物を含んでおり、潤滑性添加物としてMCP組成物の約3.76重量%のNaに相当する量で存在する苛性ソーダを含んでいる。珪砂は研磨性添加物としてMCP組成物の約2.63重量%のSiに相当する量で存在している。
【0030】
飼料製造パラメーターは飼料製造量、馬力、1馬力ごとの飼料製造量、ペレット温度、ペレット耐久指数(PDI)を用いて計測した。
【0031】
表1は検討1について計測したパラメーターを示しており、表2は特定のパラメーターについて試験製品とBiofos(登録商標)生成物、Multifos(登録商標)生成物とを比較した差の割合を示している。表3は検討2について計測したパラメーターを示しており、表4は特定のパラメーターについて試験用生成物とBiofos(登録商標)生成物、Multifos(登録商標)生成物とを比較した差の割合を示している。
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】

【0032】
ソーダ灰生成物(生成物C)は検討1において、Lbs/Hp*hrで測定した値が総合的に最良の結果になり、検討1、2の両方において、Multifos(登録商標)及びBiofos(登録商標)より良い結果になった。ソーダ灰生成物(生成物C)と苛性ソーダ生成物(生成物D)は、検討2において、Biofos(登録商標)とMultifos(登録商標)の両方より結果が良く、苛性ソーダ生成物(生成物D)の結果が最良であった。最終的に、この二つの検討から、ソーダ灰生成物と苛性ソーダ生成物の両方は飼料製造性能がBiofos(登録商標)より優れており、Multifos(登録商標)より性能向上したものと同様の性能を示すことがわかった。

【0033】
生物学的利用性についての検討
Biofos(登録商標)、Multifos(登録商標)、ソーダ灰含有MCP、苛性ソーダ含有MCPを含む様々な飼料リン酸塩について、標準リン酸塩源と比較した生物学的価値、つまり相対生物学的利用性を評価、決定するために21日間の生物学的検定を行った。
【0034】
飼料用P源について生物学的価値(BV)を定めるためには、利用可能、又は、保持可能なP基準の割合で表現する代わりに、家禽の生物学的検定を利用することが知られている。飼料又は標準リン酸塩のBVは、幼雛又は若鶏がリン欠乏生物学的検定用飼料(P−deficient bioassay diet)に各種の量で含まれる試験リン酸塩を2〜3週間与えられた後、体重増加、飼料効率、脛骨の粗灰分を計測して求められる。飼料リン酸塩のBVは通常、試験用P源と標準飼料用P源のBVを比較した相対BV(RBV)として表現される。骨灰量、体重増加、及び飼料効果のデータを用いてRBVを測定する際に試験用Pを評価するために、本検討で使用する一つの認められた測定方法にはTriple Response Method(Sullivan、 1966)が含まれる。試験用P源のRBVデータは、標準飼料用P源と比較した相対数値でも示された。
【0035】
本検討では、被験動物として雄のコッブ種ブロイラーの幼雛を使用した。検討期間は21日間で、予備テストは0〜4日を要し、テストは5〜21日を要した。P欠乏基礎飼料中のリン酸濃度は有効Pで0.12%であり、有効Pを製造物ごとに0.28%、0.33%、0.38%の補足リン処理することで、合計の有効Pレベルを0.40%、0.45%、0.50%とした。ブロイラーに対する有効Pの必要量はPが0.40〜0.50%の範囲であるということは、一般的に知られている。一回の処理で幼雛は各ケージにつき10羽で4ケージ分、合計40羽であった。21日目に、1ケージにつき2羽の幼雛を選び、脛骨の粗灰分を計測した。試験に使用する幼雛は孵化場でマレック病の予防接種をし、研究施設に届いた際にニューカッスル病と感染性気管支炎の予防接種を受けた。
【0036】
標準リン酸塩生成物は第二リン酸カルシウム(CaHPO・2H0、分子量=172.09)であった。試験用飼料リン酸塩製造物にはBiofos(登録商標)、Multifos(登録商標)、ソーダ灰及び添加Si2.86%を含有するMCP、及び苛性ソーダ及び添加Si2.63%を含むMCPが含まれていた。表5は各製造物と標準製造物の栄養素組成を示したものである。

【表5】

【0037】
生物学的価値すなわちリン酸塩の生物学的利用性(Pbv)は次の式で求めた。
bv={(G/10)+%Ash+(10×G/F)}
ここで、G:平均体重、F:試料消費量、G/F:試料効率
そして、相対生物学的利用性がPbv(試験用生成物)/Pbv(標準生成物)×100で求められる。次に示す表6はそれぞれの試験用飼料リン酸塩の相対生物学的利用性を示す。
【表6】

【0038】
試験したすべての飼料リン酸塩は標準生成物と同等以上の性質を示し、新たなソーダ灰含有MCP、苛性ソーダ含有MCPを含むすべての配合物の生物学的利用性が既存のMultifos(登録商標)やBiofos(登録商標)生成物と同様に高いことを示している。
【0039】
本発明はその本質的な特質から逸脱することなく他の特定の形態で実施することができる。そのため、示された実施形態はすべからず例示にすぎず、限定的なものではないとみなすべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一リン酸カルシウムと、
当該組成物の約1〜約10重量%のナトリウム成分を与える量のナトリウム添加物と、
研磨添加物とを含む、
粒状リン酸塩飼料成分組成物。
【請求項2】
前記ナトリウム添加物は炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、モノナトリウムリン酸塩、炭酸カリウム、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項1の粒状リン酸塩飼料成分組成物。
【請求項3】
粒状リン酸塩飼料成分は当該組成物の約18重量%以上のリン成分を含む請求項1の粒状リン酸塩飼料成分組成物。
【請求項4】
前記ナトリウム成分が当該組成物の約3〜約5重量%で含まれる、請求項1の粒状リン酸塩飼料成分組成物。
【請求項5】
前記研磨添加物が当該組成物の約1〜約10重量%のシリカを含む、請求項1の粒状リン酸塩飼料成分組成物。
【請求項6】
第一リン酸カルシウム、及び、
当該組成物の約1〜約10重量%の量の研磨添加物を含む、
粒状リン酸塩飼料成分組成物。
【請求項7】
前記研磨添加物がシリカを含む、請求項6の粒状リン酸塩飼料成分組成物。
【請求項8】
ナトリウム添加物をさらに含み、該ナトリウム添加物が当該組成物の約1〜約10重量%のナトリウム成分を与える請求項6の粒状リン酸塩飼料成分組成物。
【請求項9】
前記ナトリウム添加物は炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、モノナトリウムリン酸塩、炭酸カリウム、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項8の粒状リン酸塩飼料成分組成物。
【請求項10】
粒状リン酸塩飼料成分は当該組成物の約18重量%以上のリン成分を含む請求項6の粒状リン酸塩飼料成分組成物。
【請求項11】
ペレット製造機でペレット化される家畜飼料において飼料材料として用いられる粒状リン酸塩組成物であって、
第一リン酸カルシウムと、
ペレット化中に前記ペレット製造機の金型を磨くための研磨添加物と、
ペレット化中に前記金型を潤滑するためのリン酸ナトリウムを生じさせるための潤滑添加剤とを含む、
粒状リン酸塩組成物。
【請求項12】
前記潤滑添加物はナトリウム添加物を含む、請求項11の粒状リン酸塩組成物。
【請求項13】
前記ナトリウム添加物は炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、モノナトリウムリン酸塩、炭酸カリウム、およびそれらの組み合わせから選ばれる、請求項12の粒状リン酸塩組成物。
【請求項14】
前記ナトリウム添加物は当該組成物の約1〜約10重量%のナトリウム成分を与える量で存在している、請求項12の粒状リン酸塩組成物。
【請求項15】
前記研磨添加物がシリカを含む、請求項11の粒状リン酸塩組成物。
【請求項16】
前記研磨添加物は当該組成物の約1〜約10重量%の量で存在する、請求項15の粒状リン酸塩組成物。
【請求項17】
前記ペレット製造機の効率が当該粒状リン酸塩組成物なしで動物飼料を成型するときの前記ペレット製造機の効率の100%以上である、請求項11の粒状リン酸塩組成物。
【請求項18】
当該粒状リン酸塩組成物を配合した家畜飼料中のリンの相対生物学的利用性は、第二リン酸カルシウムを含む基準となる標準リン酸塩源を配合した家畜飼料と比べて、100%以上である請求項11の粒状リン酸塩組成物。


【公表番号】特表2013−516992(P2013−516992A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549155(P2012−549155)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2011/021565
【国際公開番号】WO2011/088464
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(512186519)エムオーエス ホールディングス インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】