研磨装置
【課題】積層ゴム部材で構成した研磨部材の支持機構において、積層ゴムの破損の虞を低減するとともに研磨装置の大型化に対応した積層ゴム部材の取り付け構造を可能とする。
【解決手段】研磨部材を被加工部材の加工面に相対的に揺動可能に支持し、前記被加工部材に前記研磨部材を押し付けた状態で前記研磨部材を前記被加工部材の加工面に水平な方向に相対運動させて前記被加工部材の加工面を研磨する研磨装置において、回転駆動源からの回転トルクを前記研磨部材に伝達する回転伝達部材と、前記回転伝達部材に設けられた第一の取り付け部材と、前記研磨部材に設けられた第二の取り付け部材との間に、与圧を与えるように介在された、前記回転伝達部材の回転トルクを伝達するとともに前記研磨部材の揺動運動に追従して変形する積層ゴム部材とを有する回転伝達機構と、を備えた研磨装置を提供する。
【解決手段】研磨部材を被加工部材の加工面に相対的に揺動可能に支持し、前記被加工部材に前記研磨部材を押し付けた状態で前記研磨部材を前記被加工部材の加工面に水平な方向に相対運動させて前記被加工部材の加工面を研磨する研磨装置において、回転駆動源からの回転トルクを前記研磨部材に伝達する回転伝達部材と、前記回転伝達部材に設けられた第一の取り付け部材と、前記研磨部材に設けられた第二の取り付け部材との間に、与圧を与えるように介在された、前記回転伝達部材の回転トルクを伝達するとともに前記研磨部材の揺動運動に追従して変形する積層ゴム部材とを有する回転伝達機構と、を備えた研磨装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された従来の研磨装置を図11及び図12に示す。図11に示すように、この研磨装置130は、研磨部材支持機構(以下、RCC機構(リモートセンタコンプライアンスメカニズム)と称する。)134及び回転トルク伝達手段(回転伝達機構)136を備えている。
【0003】
RCC機構134は、4本の積層ゴム部材137を有している。積層ゴム部材137の下端部は、円錐台138の周面に90°の間隔をおいて固定されており、円錐台138は、研磨板(研磨部材)140の表面に形成されている。
【0004】
図12に示すように、この積層ゴム部材137、137…は、一定の傾斜角で上方を向いて配設され、それぞれの上端部は支持板143(回転伝達部材)に取り付けられている。これにより、研磨板140は、積層ゴム部材137、137…を介して支持板143に連結される。この場合、4本の積層ゴム部材137の延長線は研磨板140の中心軸線上の仮想中心D点で交差し、仮想中心D点は研磨板140の研磨面から僅かに下方に位置している。
【0005】
積層ゴム部材137は、図示を省略するが、複数の金属プレートが積層ゴム部材137の軸方向に微少間隔をおいて、円柱状に形成されたゴム内に埋設されて形成されている。また図12に示すように、この円柱状に形成された積層ゴム部材137の両端部には、それぞれ取り付け部137C、137Dが形成され、取り付け部137C、137Dは支持板143、研磨板140に固定されている。
【0006】
この積層ゴム部材137は垂直荷重に対しては変形量が非常に小さく、図12に示す押圧力Pが支持板143に作用した場合、押圧力Pは4本の積層ゴム部材137を介して研磨板140に伝達される。また積層ゴム部材137は水平荷重に対しては変形量が大きく、研磨板140に摩擦反力F1が生じた場合、研磨板140を上方に逃がして研磨板140のスティックを防止する。これにより、ガラス板142に研磨ムラが発生することを防止して、ガラス板142を均一に研磨する。
【0007】
図11に示すように、回転トルク伝達手段136は、矩形状の枠体146を有し、枠体146を形成する左右辺には中央に取り付け部146A、146Aが形成されている。また、枠体146を形成する上下辺には中央に取り付け部146B、146Bが形成されている。取り付け部146Aには積層ゴム部材148、148の一端が固定され、積層ゴム部材148、148の他端はU字ブロック150の端部に固定されている。この場合、積層ゴム部材148、148は同軸上に配設される。また、U字ブロック150、150は研磨板140に固定されている。
【0008】
取り付け部146Bには積層ゴム部材149、149の一端が固定され、積層ゴム部材149、149の他端はU字ブロック152の端部に固定されている。この場合、積層ゴム部材149、149は同軸上に配設され、U字ブロック152の上面152Aは支持板143に固定される。従って、例えば支持板143が公転した場合、支持板143の回転力はU字ブロック152、152を介して積層ゴム部材149、149に伝達される。
【0009】
この場合、回転力は積層ゴム部材149、149の軸線方向に作用するので、積層ゴム部材149、149に伝達された回転力は取り付け部146B、146B及び枠体146を介して取り付け部146A、146Aに伝達される。取り付け部146A、146Aに伝達された回転力は、積層ゴム部材148、148の軸線方向に作用して、積層ゴム部材148、148及びU字ブロック150、150を介して研磨板140に伝達される。これにより、支持板143に回転力が作用した場合でも、研磨板140は支持板143に追従して移動し、研磨板140のねじり運動が阻止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−57615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記従来のような研磨部材の回転伝達機構に2対の積層ゴム部材148、148及び149、149を有するユニットを用いた構成においては、研磨対称物(被加工部材)が大型化した場合には、研磨対象物のサイズに応じて、上記ユニットそのものを大型化して対応するしかなかった。
【0012】
しかしながら、上記ユニットをそのまま大型化する際、円筒状の積層ゴム部材の端面が摩耗したり、積層ゴム部材がその中心軸のまわりに回ったりしないように組み付けて作成するのが難しく、研磨部材の回転伝達機構の耐久性に問題があり、大型化が困難であるという問題があった。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、積層ゴム部材で構成した回転トルクを伝達する研磨部材の回転伝達機構において、積層ゴムの破損のトラブルを低減するとともに装置の大型化に対応した積層ゴム部材の取り付け構造を可能とした研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明は、研磨部材を被加工部材の加工面に相対的に揺動可能に支持し、前記被加工部材に前記研磨部材を押し付けた状態で前記研磨部材を前記被加工部材の加工面に水平な方向に相対運動させて前記被加工部材の加工面を研磨する研磨装置において、回転駆動源からの回転トルクを前記研磨部材に伝達する回転伝達部材と、前記回転伝達部材に設けられた第一の取り付け部材と、前記研磨部材に設けられた第二の取り付け部材との間に、与圧を与えるように介在された、前記回転伝達部材の回転トルクを伝達するとともに前記研磨部材の揺動運動に追従して変形する積層ゴム部材とを有する回転伝達機構と、を備えた研磨装置を提供する。
【0015】
このように積層ゴムを組み付けた際、与圧を与えるようにしたことにより、回転伝達機構に組み付けた積層ゴムに引っ張り力が発生せず、積層ゴムが破断するのを防止し、積層ゴムを用いた回転伝達機構の耐久性を向上させることが可能となる。
【0016】
また、本発明の研磨装置において、前記回転伝達機構の前記積層ゴム部材の、前記第一の取り付け部材及び第二の取り付け部材との間に取り付ける前の自然長が、前記第一の取り付け部材及び第二の取り付け部材との間の長さよりも長いことが好ましい。
【0017】
これにより、組み付け後の積層ゴムに容易に与圧を付与することができ、回転伝達機構の耐久性を向上させることが可能となる。
【0018】
また、本発明の研磨装置において、前記回転伝達機構の前記積層ゴム部材と前記第1の取り付け部材との間、及び、前記積層ゴム部材と前記第二の取り付け部材との間、の少なくともいずれか一方の間に、前記積層ゴム部材がその中心軸の回りに回転することを防止する回転防止手段を設けたことが好ましい。
【0019】
これにより、積層ゴムの端面が摩擦で摩耗することを防止し、回転伝達機構の耐久性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の研磨装置において、前記回転伝達機構の前記回転防止手段は、前記積層ゴム部材の端面と前記第一の取り付け部材との間、及び、前記積層ゴム部材と第二の取り付け部材との間、の少なくともいずれか一方の間に契合させた2本のピンであることが好ましい。
【0021】
これにより、容易に積層ゴムの回転を防止し、摩耗によるトラブルの発生を低減することができる。
【0022】
また、同様に前記目的を達成するために、本発明は、被加工部材の任意の大きさに対応した前記研磨部材と、前記回転伝達部材との間に、前記回転伝達機構を、前記研磨部材の大きさに応じて所定の複数個配置した研磨装置を提供する。
【0023】
これにより、被加工部材の大型化に伴う研磨部材の大型化に対して、小型の積層ゴム部材を用いた回転伝達機構を複数配置することで、任意の大きさの研磨装置を自由に設計することができ、研磨装置の大型化が容易となる。
【0024】
また、本発明の研磨装置において、前記回転伝達部材の回転トルクを前記研磨部材に伝達する前記積層ゴム部材とともに、研磨時に前記被加工部材を押圧する押圧力を前記回転伝達部材から前記研磨部材に加えるために複数の流体バネを有し、該複数の流体バネは前記回転伝達部材と前記研磨部材との間で、前記被加工部材に対する押圧力が均等となるような位置に配置されたことが好ましい。
【0025】
これにより、研磨部材が浮き上がったり振動したりせずに適正な押圧力で研磨を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、積層ゴムを組み付けた際、与圧を与えるようにしたことにより、回転伝達機構に組み付けた積層ゴムに引っ張り力が発生せず、積層ゴムが破断するのを防止し、積層ゴムを用いた回転伝達機構の耐久性を向上させることが可能となる。また、前記積層ゴム部材がその中心軸の回りに回転することを防止する回転防止手段を設けた場合には、積層ゴムの端面が摩擦で摩耗することを防止し、積層ゴムの破損のトラブルを低減することができる。さらに、小型の積層ゴム部材を用いた回転伝達機構を複数配置するようにすれば、被加工部材の大型化に対応して研磨装置を容易に大型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明に係る研磨装置の研磨ラインの概略を示す斜視図である。
【図2】図2は、研磨ユニットの平面図である。
【図3】図3は、図2中の3A−3A線に沿った研磨ユニットの断面図である。
【図4】図4(A)及び4(B)は、積層ゴムユニットの拡大平面図である。
【図5】図5は、積層ゴム部材を示す斜視図である。
【図6】図6(A)〜6(C)は、矩形状の研磨板上に空気バネ及び積層ゴムユニットを配置した例を示す平面図である。
【図7】図7は、本発明に係る研磨装置の研磨ラインの他の例を示す概略斜視図である。
【図8】図8は、研磨ユニットの支持板と研磨板との間に設置される空気バネと積層ゴムユニットの配列の一例を示す平面図である。
【図9】図9は、より大型化した研磨板上に空気バネと積層ゴムユニットを配置した例を示す平面図である。
【図10】図10は、大型化した研磨板に設置する積層ゴムユニットの一例を示す平面図である。
【図11】図11は、従来の研磨装置の概略を示す斜視図である。
【図12】図12は、従来の研磨装置における積層ゴムを用いた研磨圧付与手段を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る研磨装置について詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る研磨装置の研磨ラインの概略を示す斜視図である。この研磨ラインは矩形の研磨板を有する研磨ユニットが複数配列された連続研磨装置を形成している。
【0030】
図1に示すように、この連続研磨装置の研磨ライン1は、被加工部材であるガラス板3を搭載して矢印Aで示す移送方向に移送する研磨テーブル2と、研磨テーブル2上を移送されるガラス板3の上に、移送方向Aに沿って複数配置された研磨ユニット4、4、…とから構成されている。
【0031】
詳しくは後述するが、各研磨ユニット4は、上下定盤である支持板(回転伝達部材)と研磨板(研磨部材)を有し、支持板と研磨板との間に、研磨部材を被加工部材の加工面に相対的に揺動可能に支持し、回転トルクを支持板から研磨板に伝達する回転伝達機構と、研磨圧を研磨板に付与し研磨圧を制御するための空気バネとが配置されている。ここで回転伝達機構には、積層ゴム部材(積層ゴムユニット)が用いられており、積層ゴム部材が変形することにより研磨部材が揺動する。また、積層ゴム部材は研磨部材の揺動運動に追従して変形する。
【0032】
また研磨ユニット4の上部には、図示を省略した駆動源からの回転駆動力を研磨ユニット4に伝達するため回転駆動軸5が配置されている。回転駆動軸5は、研磨ユニット4内に設けられた偏心回転機構を介して、支持板を偏心回転させる(ここで、偏心回転とは支持板が一定の姿勢を保持したまま支持板の質量中心からずれたある点の周りを回転すること(いわゆる公転)を言う)。
【0033】
支持板が偏心回転すると、積層ゴム部材を用いた回転伝達機構(積層ゴムユニット)を介して研磨板も支持板と同様に偏心回転される。これにより、ガラス板3に対して揺動可能に支持され偏心回転する研磨板によってガラス板3の表面(加工面)が研磨されるようになっている。
【0034】
図2に、研磨ユニット4の平面図を示す。ただし図2では、上定盤である支持板は省略して、研磨板7上に空気バネ10及び回転伝達機構を構成する積層ゴムユニット12が配置された様子を示している。
【0035】
図2に示すように、矩形状の研磨板7上に、その長手方向に沿って空気バネ10と積層ゴムユニット12が一列に配置されている。また、研磨板7は、その姿勢(図では横長に配置されているがその向き)を保ったまま、研磨板7の質量中心以外の点の周りに回転(公転)するようになっているが、その回転トルクを研磨板7に伝達するために積層ゴムユニット12は、縦方向と横方向の2方向を向いて配置されている。
【0036】
図3に、図2中の3A−3A線に沿った研磨ユニット4の断面図を示す。ただし、図3では、図2において省略していた支持板6をも表示している。
【0037】
図3に示すように、研磨ユニット4は、支持板6と研磨板7との間に、空気バネ10と積層ゴムユニット12とが配置されており、ガラス板3を研磨する際の押圧力(研磨圧)P1、P2が空気バネ10によって研磨板7に加えられるとともに、支持板6からの回転駆動トルクが積層ゴムユニット12によって研磨板7に伝達されるようになっている。空気バネは、空気の弾性を利用した流体バネであり、振動を吸収する働きを有している。なお、空気以外のガスを利用した流体バネを用いてもよい。
【0038】
また、研磨板7の下面(ガラス板3側)には、例えば発泡ウレタン製の研磨パッド8が取り付けられており、この研磨パッド8によってガラス板3(ここでは図示省略)の表面(加工面)が研磨される。
【0039】
このように構成された研磨ユニット4、4…をそれぞれ偏心回転(公転)させ、その下を研磨テーブル2上にガラス板3を移送することにより、ガラス板3が各研磨ユニット4、4…により連続研磨される。
【0040】
また、積層ゴムユニット12は、研磨板7に固定されたU字ブロック13(第二の取り付け部材)と、U字ブロック13の開口部の中央に、支持板6に固定された取り付け部14(第一の取り付け部材)が位置するように配置され、取り付け部14の両側のU字ブロック13との間に積層ゴム部材15、15が配置されて構成されている。
【0041】
図4に、この積層ゴムユニット12を拡大して示す。
【0042】
図4に示すように、積層ゴムユニット12は、U字ブロック13と、U字ブロック13の開口部の略中央部に突起状の取り付け部14を配置して、取り付け部14とU字ブロック13との間の2つの隙間に、それぞれ積層ゴム部材15、15を配置して構成されている。
【0043】
積層ゴム部材15、15を取り付けた際、引っ張り力が発生しないように、逆に積層ゴム部材15、15に与圧が発生するようにする。それには、例えば、各隙間よりも軸方向の自然長が大きな積層ゴム部材15、15を圧縮して縮めておいて、上記隙間に嵌め込むようにすればよい。
【0044】
例えば、図4(A)に示すように、U字ブロック13の開口部の幅をL1とし、取り付け部14の突起部の幅をL2とし、取り付け部14とU字ブロック13との間の隙間をそれぞれL3、L4とする。このとき、U字ブロック13の開口部の幅L1及び取り付け部14の突起部の幅L2から、隙間L3、L4を、L1−L2=L3+L4として導くことができる。次に、自然長がL3、L4の幅の長さを超える積層ゴム部材15を準備する。また、図4(B)に示すように、研磨時においては、L3、L4の幅は常に変化する。
【0045】
従って、積層ゴム部材15の好ましい自然長(最短縮長)は、以下のように求めることができる。
【0046】
例えば、図4(B)は、L3に設ける積層ゴム部材15が最も縮んだ場合(最短縮長のとき)を表すとするとき、L4に設ける積層ゴム部材15の自然長L0はL4より大きい、すなわち、L4<L0を満たすように選択する。
【0047】
このようにすることで、研磨時に取り付け部14が左右に大きく動いても、積層ゴム部材15は自然長を超える長さに変形することはなく、積層ゴム部材15の破損を防止することができる。
【0048】
このような条件を満たすようにして、積層ゴム部材15、15を縮めて上記U字ブロック13の開口部と取り付け部14との間の隙間に嵌め込むことによって、積層ゴム部材15、15に与圧が掛かるようになる。これにより、積層ゴム部材15、15に引っ張り力が発生することはなく、積層ゴム部材15、15の耐久性を向上させることができる。
【0049】
図5に、積層ゴム部材15の斜視図を示す。
【0050】
従来の積層ゴム部材は、中心軸の周りに回転する(円周方向に少しずれる)ことにより積層ゴム部材の端面が摩耗して劣化する虞があったため、これを防止するために、本実施形態では、図5に示すように、中心軸16以外にもう一つピン17(回転防止手段)を設置している。このピン17をU字ブロック13又は取り付け部14の少なくとも一方と契合させることにより、積層ゴム部材15が中心軸16の周りに回るのを防止することができる。すなわち、積層ゴムユニット12の積層ゴム部材15と取り付け部14との間、及び、積層ゴム部材15とU字ブロック13との間、の少なくともいずれか一方の間に、積層ゴム部材15がその中心軸の回りに回転することを防止するピン17を設けることが好ましい。
【0051】
なお、このように中心軸16ともう一つのピン17を設置する形態以外に、中心軸16以外に2本のピンを設けるようにしてもよい。このようにしても、積層ゴム部材が回転せず、端面の摩耗を防止することができる。
【0052】
以上説明した図2に示す研磨ユニット4の例は、2つの空気バネ10と3つの積層ゴムユニット12を有するものであったが、より大きな研磨ユニット4の例を図6に示す。
【0053】
図6に示す例は、いずれも研磨ユニット4の矩形状の研磨板7上に空気バネ10及び積層ゴムユニット12を配置したものである。いずれも、図に空気バネ10は丸形で示し、積層ゴムユニット12は矩形で示している。
【0054】
図6(A)に示す例は、3つの空気バネ10と4つの積層ゴムユニット12を有するものである。図6(B)に示す例は、研磨板7がより大きくなって、7つの空気バネ10と4つの積層ゴムユニット12を有するものである。また図6(C)に示す例は、研磨板7がさらに大きくなって、10個の空気バネ10と8個の積層ゴムユニットを有するものである。
【0055】
このように、本実施形態においては、複数の積層ゴムユニットを用いることで様々な大きさの研磨装置(研磨ユニット)に対応することが可能である。また、各積層ゴムユニット12において、小型の積層ゴムに与圧を与えるとともに、中心軸の周りの回転を防止するようにしたため、研磨ユニットの耐久性を向上させることが可能となった。
【0056】
以上説明した研磨装置の例は、矩形状の研磨板を用いたものであったが、次に円形の研磨板を用いた例について説明する。
【0057】
図7に、円形の研磨板を有する研磨ユニットを備えた研磨ラインの概略構成を示す。
【0058】
図7に示すように、この研磨ライン100は、図1に示す研磨ライン1と同様に、ガラス板3を搭載して矢印A方向で示す移送方向に移送する研磨テーブル2と、研磨テーブル2上を移送されるガラス板3の上に、移送方向Aに沿って複数配置された研磨ユニット104(図7では1つのみ表示)…から構成される。
【0059】
ここでは研磨ユニット104は、その中に支持板と研磨板(図示省略)を備えており、その上部に偏心回転機構106が配置されている。偏心回転機構106は、研磨ユニット104内の支持板を介して研磨板をその中心軸の周りに矢印Bで示すように回転(自転)させるとともに、研磨板を、自転させながら研磨板の中心軸からはずれた点の周りに破線及び矢印Cで示すように回転(偏心回転、いわゆる公転)させるものである。また、図示を省略するが、研磨板の下面には研磨パッドが設置されている。
【0060】
また図示を省略するが、図3に示すのと同様に、この研磨ユニット104内の支持板と研磨板との間にも、支持板から研磨板に研磨圧を付与するための空気バネと、回転駆動トルクを研磨板に伝達するための積層ゴムユニットが複数設置されている。また、該複数の空気バネは支持板と研磨板との間で、ガラス板に対する押圧力が均等となるような位置に配置されている。
【0061】
このように構成された研磨ユニット104を研磨ライン100に沿って複数配置し、各研磨ユニット104の研磨板をそれぞれ自転及び公転させ、その下を研磨テーブル2上にガラス板3を移送することにより、ガラス板3が連続研磨される。
【0062】
図8に、研磨ユニット104の支持板と研磨板との間に設置される空気バネと積層ゴムユニットの配列の一例を示す。
【0063】
図8に示すように、研磨板107上に、8つの空気バネ110と4つの積層ゴムユニット120が、円形の研磨板107に、それぞれ均一となるような位置に配置されている。
【0064】
また図9に、研磨ユニット104をより大型化した場合の研磨板107上に空気バネ110と積層ゴムユニット120を配置した例を示す。
【0065】
図9に示す例では、16個の空気バネ110と4つの積層ゴムユニット120が研磨板107上に均一となるような位置に配列されている。
【0066】
また、このように研磨ユニット104を大型化した場合には、支持板から研磨板に回転駆動トルクを伝達する積層ゴムユニット120も大きなトルクを伝達しなければならないので、積層ゴムの個数を増やして対応する。
【0067】
図10に、このような場合の積層ゴムユニット120の一例を示す。
【0068】
積層ゴムユニット120は、研磨板107に結合された四角形の枠体122と、支持板(図示省略)に結合された取り付け部124と、積層ゴム部材126とから構成される。
【0069】
取り付け部124は、四角形の枠体122の中央開口内に配置され、取り付け部124と枠体122との間に、左右それぞれ2つずつ積層ゴム部材126が配置されている。
【0070】
これにより、偏心回転機構106により駆動される支持板からの回転トルクが、取り付け部124から積層ゴム部材126及び枠体122を介して研磨板107(ここでは図示省略)に伝達され、研磨板107が自転及び偏心回転(公転)する。
【0071】
また、この積層ゴムユニット120においても、前述した例と同様に、積層ゴム部材126を積層ゴムユニット120に組み付ける際、積層ゴム部材126に引っ張り力が発生しないように、与圧が掛かるように取り付ける。これは例えば、取り付け部124と枠体122との間の隙間よりも軸方向の自然長が長い積層ゴムを用意して、これを縮めた状態で取り付け部124と枠体122との間の隙間に嵌めこむようにすればよい。
【0072】
さらに、積層ゴム部材126が中心軸の周りに回転しないように、例えば、積層ゴム部材126の端面と枠体122との間に回り止め部材を設置する。回り止め部材としては、例えば、2本のピンを積層ゴム部材126の端面と枠体122との間に打ち込めばよい。具体的には、中心軸の他にもう1本ピンを設置すればよい。
【0073】
以上説明したように、被加工部材(研磨対象物)が大きくなって、これに対応するように研磨板を大型化する場合においても、大型化した研磨板に合わせて積層ゴムユニット自体を大きくするのではなく、小型の積層ゴムユニット及び空気バネを、複数用意して支持板と研磨板との間に配置することにより、研磨ユニットの大型化が容易となる。このように、大型のガラス板を研磨するために研磨ユニットを大型化する際、小型の積層ゴムを用いたユニットを複数個用いることが好ましい。
【0074】
ここで従来のように、研磨装置の大型化に伴い発生する回転トルクに対応した大型の積層ゴムユニットを利用すると、研磨装置自体が大きくなるとともに構造が複雑になり設備の設計も難しくなる。
【0075】
しかし本実施形態においては、積層ゴムユニット自体を大きくするのではなく、小型の積層ゴムを用いたユニットを複数用いるようにしたため、研磨ユニットの高さ方向の大きさを変えずに研磨ユニットの面積を大きくすることができる。従って、研磨ユニットの仮想中心を被研磨材からあまり離さずに大型化できるので、被加工部材に対する研磨圧のばらつきを低減することができ、均一な研磨が可能となる。
【0076】
また、従来の積層ゴムの組み付け構造においては、組み付け部に摩擦・摩耗が発生するような隙間がある場合には、使用していると積層ゴムに引っ張り力が掛かり、破断してしまう虞があった。しかし、本実施形態においては、積層ゴムユニットへの積層ゴムの取り付けに際して、積層ゴムに与圧を与えるようにするとともに、積層ゴムの中心軸の周りの回転を防止する部材を設けることで、積層ゴム取り付け部の摺動面の摩耗を防止して、研磨ユニットの耐久性を向上させることができる。
【0077】
なお、積層ゴムの中心軸の周りの回転を防止する部材としては、上述したように積層ゴムの端面と枠体等の固定部材との間に2本のピンを入れて回り止めとしても良いが、これに限定されることなく、例えば接着剤で固定して回転を防止するようにしても良い。
【0078】
なお、上で説明した例においては、研磨板に研磨圧を与えるとともに研磨圧を制御する手段として空気バネを用いていたが、研磨圧の付与及び制御手段は空気バネに限定されるものではない。例えば、図11及び図12で説明したような、複数の積層ゴム部材137を斜めに配置したようなものでも良いし、流体シリンダやその他の手段を用いても良い。
【0079】
また、本実施形態で説明した、積層ゴムに対して与圧を与えたり、積層ゴムの中心軸の回りの回転を防止する部材を取り付けたりすることを、図11で説明した従来の研磨装置の積層ゴム部材148や149に対して適用しても良い。これにより、従来の研磨装置の積層ゴム部材の耐久性を向上させることができる。
【0080】
以上、本発明に係る研磨装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【0081】
本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の範囲と精神を逸脱することなく、様々な修正や変更を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0082】
1…(矩形状の研磨板を有する)研磨ライン、2…研磨テーブル、3…ガラス板、4…研磨ユニット、5…回転駆動軸、6…支持板、7…研磨板、8…研磨パッド、10…空気バネ、12…積層ゴムユニット(回転伝達機構)、13…U字ブロック、14…取り付け部、15…積層ゴム部材、16…中心軸、17…ピン、100…(円形の研磨板を有する)研磨ライン、104…研磨ユニット、106…偏心回転機構、107…研磨板、110…空気バネ、120…積層ゴムユニット(回転伝達機構)、122…枠体、124…取り付け部、126…積層ゴム部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された従来の研磨装置を図11及び図12に示す。図11に示すように、この研磨装置130は、研磨部材支持機構(以下、RCC機構(リモートセンタコンプライアンスメカニズム)と称する。)134及び回転トルク伝達手段(回転伝達機構)136を備えている。
【0003】
RCC機構134は、4本の積層ゴム部材137を有している。積層ゴム部材137の下端部は、円錐台138の周面に90°の間隔をおいて固定されており、円錐台138は、研磨板(研磨部材)140の表面に形成されている。
【0004】
図12に示すように、この積層ゴム部材137、137…は、一定の傾斜角で上方を向いて配設され、それぞれの上端部は支持板143(回転伝達部材)に取り付けられている。これにより、研磨板140は、積層ゴム部材137、137…を介して支持板143に連結される。この場合、4本の積層ゴム部材137の延長線は研磨板140の中心軸線上の仮想中心D点で交差し、仮想中心D点は研磨板140の研磨面から僅かに下方に位置している。
【0005】
積層ゴム部材137は、図示を省略するが、複数の金属プレートが積層ゴム部材137の軸方向に微少間隔をおいて、円柱状に形成されたゴム内に埋設されて形成されている。また図12に示すように、この円柱状に形成された積層ゴム部材137の両端部には、それぞれ取り付け部137C、137Dが形成され、取り付け部137C、137Dは支持板143、研磨板140に固定されている。
【0006】
この積層ゴム部材137は垂直荷重に対しては変形量が非常に小さく、図12に示す押圧力Pが支持板143に作用した場合、押圧力Pは4本の積層ゴム部材137を介して研磨板140に伝達される。また積層ゴム部材137は水平荷重に対しては変形量が大きく、研磨板140に摩擦反力F1が生じた場合、研磨板140を上方に逃がして研磨板140のスティックを防止する。これにより、ガラス板142に研磨ムラが発生することを防止して、ガラス板142を均一に研磨する。
【0007】
図11に示すように、回転トルク伝達手段136は、矩形状の枠体146を有し、枠体146を形成する左右辺には中央に取り付け部146A、146Aが形成されている。また、枠体146を形成する上下辺には中央に取り付け部146B、146Bが形成されている。取り付け部146Aには積層ゴム部材148、148の一端が固定され、積層ゴム部材148、148の他端はU字ブロック150の端部に固定されている。この場合、積層ゴム部材148、148は同軸上に配設される。また、U字ブロック150、150は研磨板140に固定されている。
【0008】
取り付け部146Bには積層ゴム部材149、149の一端が固定され、積層ゴム部材149、149の他端はU字ブロック152の端部に固定されている。この場合、積層ゴム部材149、149は同軸上に配設され、U字ブロック152の上面152Aは支持板143に固定される。従って、例えば支持板143が公転した場合、支持板143の回転力はU字ブロック152、152を介して積層ゴム部材149、149に伝達される。
【0009】
この場合、回転力は積層ゴム部材149、149の軸線方向に作用するので、積層ゴム部材149、149に伝達された回転力は取り付け部146B、146B及び枠体146を介して取り付け部146A、146Aに伝達される。取り付け部146A、146Aに伝達された回転力は、積層ゴム部材148、148の軸線方向に作用して、積層ゴム部材148、148及びU字ブロック150、150を介して研磨板140に伝達される。これにより、支持板143に回転力が作用した場合でも、研磨板140は支持板143に追従して移動し、研磨板140のねじり運動が阻止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−57615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記従来のような研磨部材の回転伝達機構に2対の積層ゴム部材148、148及び149、149を有するユニットを用いた構成においては、研磨対称物(被加工部材)が大型化した場合には、研磨対象物のサイズに応じて、上記ユニットそのものを大型化して対応するしかなかった。
【0012】
しかしながら、上記ユニットをそのまま大型化する際、円筒状の積層ゴム部材の端面が摩耗したり、積層ゴム部材がその中心軸のまわりに回ったりしないように組み付けて作成するのが難しく、研磨部材の回転伝達機構の耐久性に問題があり、大型化が困難であるという問題があった。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、積層ゴム部材で構成した回転トルクを伝達する研磨部材の回転伝達機構において、積層ゴムの破損のトラブルを低減するとともに装置の大型化に対応した積層ゴム部材の取り付け構造を可能とした研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明は、研磨部材を被加工部材の加工面に相対的に揺動可能に支持し、前記被加工部材に前記研磨部材を押し付けた状態で前記研磨部材を前記被加工部材の加工面に水平な方向に相対運動させて前記被加工部材の加工面を研磨する研磨装置において、回転駆動源からの回転トルクを前記研磨部材に伝達する回転伝達部材と、前記回転伝達部材に設けられた第一の取り付け部材と、前記研磨部材に設けられた第二の取り付け部材との間に、与圧を与えるように介在された、前記回転伝達部材の回転トルクを伝達するとともに前記研磨部材の揺動運動に追従して変形する積層ゴム部材とを有する回転伝達機構と、を備えた研磨装置を提供する。
【0015】
このように積層ゴムを組み付けた際、与圧を与えるようにしたことにより、回転伝達機構に組み付けた積層ゴムに引っ張り力が発生せず、積層ゴムが破断するのを防止し、積層ゴムを用いた回転伝達機構の耐久性を向上させることが可能となる。
【0016】
また、本発明の研磨装置において、前記回転伝達機構の前記積層ゴム部材の、前記第一の取り付け部材及び第二の取り付け部材との間に取り付ける前の自然長が、前記第一の取り付け部材及び第二の取り付け部材との間の長さよりも長いことが好ましい。
【0017】
これにより、組み付け後の積層ゴムに容易に与圧を付与することができ、回転伝達機構の耐久性を向上させることが可能となる。
【0018】
また、本発明の研磨装置において、前記回転伝達機構の前記積層ゴム部材と前記第1の取り付け部材との間、及び、前記積層ゴム部材と前記第二の取り付け部材との間、の少なくともいずれか一方の間に、前記積層ゴム部材がその中心軸の回りに回転することを防止する回転防止手段を設けたことが好ましい。
【0019】
これにより、積層ゴムの端面が摩擦で摩耗することを防止し、回転伝達機構の耐久性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の研磨装置において、前記回転伝達機構の前記回転防止手段は、前記積層ゴム部材の端面と前記第一の取り付け部材との間、及び、前記積層ゴム部材と第二の取り付け部材との間、の少なくともいずれか一方の間に契合させた2本のピンであることが好ましい。
【0021】
これにより、容易に積層ゴムの回転を防止し、摩耗によるトラブルの発生を低減することができる。
【0022】
また、同様に前記目的を達成するために、本発明は、被加工部材の任意の大きさに対応した前記研磨部材と、前記回転伝達部材との間に、前記回転伝達機構を、前記研磨部材の大きさに応じて所定の複数個配置した研磨装置を提供する。
【0023】
これにより、被加工部材の大型化に伴う研磨部材の大型化に対して、小型の積層ゴム部材を用いた回転伝達機構を複数配置することで、任意の大きさの研磨装置を自由に設計することができ、研磨装置の大型化が容易となる。
【0024】
また、本発明の研磨装置において、前記回転伝達部材の回転トルクを前記研磨部材に伝達する前記積層ゴム部材とともに、研磨時に前記被加工部材を押圧する押圧力を前記回転伝達部材から前記研磨部材に加えるために複数の流体バネを有し、該複数の流体バネは前記回転伝達部材と前記研磨部材との間で、前記被加工部材に対する押圧力が均等となるような位置に配置されたことが好ましい。
【0025】
これにより、研磨部材が浮き上がったり振動したりせずに適正な押圧力で研磨を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、積層ゴムを組み付けた際、与圧を与えるようにしたことにより、回転伝達機構に組み付けた積層ゴムに引っ張り力が発生せず、積層ゴムが破断するのを防止し、積層ゴムを用いた回転伝達機構の耐久性を向上させることが可能となる。また、前記積層ゴム部材がその中心軸の回りに回転することを防止する回転防止手段を設けた場合には、積層ゴムの端面が摩擦で摩耗することを防止し、積層ゴムの破損のトラブルを低減することができる。さらに、小型の積層ゴム部材を用いた回転伝達機構を複数配置するようにすれば、被加工部材の大型化に対応して研磨装置を容易に大型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明に係る研磨装置の研磨ラインの概略を示す斜視図である。
【図2】図2は、研磨ユニットの平面図である。
【図3】図3は、図2中の3A−3A線に沿った研磨ユニットの断面図である。
【図4】図4(A)及び4(B)は、積層ゴムユニットの拡大平面図である。
【図5】図5は、積層ゴム部材を示す斜視図である。
【図6】図6(A)〜6(C)は、矩形状の研磨板上に空気バネ及び積層ゴムユニットを配置した例を示す平面図である。
【図7】図7は、本発明に係る研磨装置の研磨ラインの他の例を示す概略斜視図である。
【図8】図8は、研磨ユニットの支持板と研磨板との間に設置される空気バネと積層ゴムユニットの配列の一例を示す平面図である。
【図9】図9は、より大型化した研磨板上に空気バネと積層ゴムユニットを配置した例を示す平面図である。
【図10】図10は、大型化した研磨板に設置する積層ゴムユニットの一例を示す平面図である。
【図11】図11は、従来の研磨装置の概略を示す斜視図である。
【図12】図12は、従来の研磨装置における積層ゴムを用いた研磨圧付与手段を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る研磨装置について詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る研磨装置の研磨ラインの概略を示す斜視図である。この研磨ラインは矩形の研磨板を有する研磨ユニットが複数配列された連続研磨装置を形成している。
【0030】
図1に示すように、この連続研磨装置の研磨ライン1は、被加工部材であるガラス板3を搭載して矢印Aで示す移送方向に移送する研磨テーブル2と、研磨テーブル2上を移送されるガラス板3の上に、移送方向Aに沿って複数配置された研磨ユニット4、4、…とから構成されている。
【0031】
詳しくは後述するが、各研磨ユニット4は、上下定盤である支持板(回転伝達部材)と研磨板(研磨部材)を有し、支持板と研磨板との間に、研磨部材を被加工部材の加工面に相対的に揺動可能に支持し、回転トルクを支持板から研磨板に伝達する回転伝達機構と、研磨圧を研磨板に付与し研磨圧を制御するための空気バネとが配置されている。ここで回転伝達機構には、積層ゴム部材(積層ゴムユニット)が用いられており、積層ゴム部材が変形することにより研磨部材が揺動する。また、積層ゴム部材は研磨部材の揺動運動に追従して変形する。
【0032】
また研磨ユニット4の上部には、図示を省略した駆動源からの回転駆動力を研磨ユニット4に伝達するため回転駆動軸5が配置されている。回転駆動軸5は、研磨ユニット4内に設けられた偏心回転機構を介して、支持板を偏心回転させる(ここで、偏心回転とは支持板が一定の姿勢を保持したまま支持板の質量中心からずれたある点の周りを回転すること(いわゆる公転)を言う)。
【0033】
支持板が偏心回転すると、積層ゴム部材を用いた回転伝達機構(積層ゴムユニット)を介して研磨板も支持板と同様に偏心回転される。これにより、ガラス板3に対して揺動可能に支持され偏心回転する研磨板によってガラス板3の表面(加工面)が研磨されるようになっている。
【0034】
図2に、研磨ユニット4の平面図を示す。ただし図2では、上定盤である支持板は省略して、研磨板7上に空気バネ10及び回転伝達機構を構成する積層ゴムユニット12が配置された様子を示している。
【0035】
図2に示すように、矩形状の研磨板7上に、その長手方向に沿って空気バネ10と積層ゴムユニット12が一列に配置されている。また、研磨板7は、その姿勢(図では横長に配置されているがその向き)を保ったまま、研磨板7の質量中心以外の点の周りに回転(公転)するようになっているが、その回転トルクを研磨板7に伝達するために積層ゴムユニット12は、縦方向と横方向の2方向を向いて配置されている。
【0036】
図3に、図2中の3A−3A線に沿った研磨ユニット4の断面図を示す。ただし、図3では、図2において省略していた支持板6をも表示している。
【0037】
図3に示すように、研磨ユニット4は、支持板6と研磨板7との間に、空気バネ10と積層ゴムユニット12とが配置されており、ガラス板3を研磨する際の押圧力(研磨圧)P1、P2が空気バネ10によって研磨板7に加えられるとともに、支持板6からの回転駆動トルクが積層ゴムユニット12によって研磨板7に伝達されるようになっている。空気バネは、空気の弾性を利用した流体バネであり、振動を吸収する働きを有している。なお、空気以外のガスを利用した流体バネを用いてもよい。
【0038】
また、研磨板7の下面(ガラス板3側)には、例えば発泡ウレタン製の研磨パッド8が取り付けられており、この研磨パッド8によってガラス板3(ここでは図示省略)の表面(加工面)が研磨される。
【0039】
このように構成された研磨ユニット4、4…をそれぞれ偏心回転(公転)させ、その下を研磨テーブル2上にガラス板3を移送することにより、ガラス板3が各研磨ユニット4、4…により連続研磨される。
【0040】
また、積層ゴムユニット12は、研磨板7に固定されたU字ブロック13(第二の取り付け部材)と、U字ブロック13の開口部の中央に、支持板6に固定された取り付け部14(第一の取り付け部材)が位置するように配置され、取り付け部14の両側のU字ブロック13との間に積層ゴム部材15、15が配置されて構成されている。
【0041】
図4に、この積層ゴムユニット12を拡大して示す。
【0042】
図4に示すように、積層ゴムユニット12は、U字ブロック13と、U字ブロック13の開口部の略中央部に突起状の取り付け部14を配置して、取り付け部14とU字ブロック13との間の2つの隙間に、それぞれ積層ゴム部材15、15を配置して構成されている。
【0043】
積層ゴム部材15、15を取り付けた際、引っ張り力が発生しないように、逆に積層ゴム部材15、15に与圧が発生するようにする。それには、例えば、各隙間よりも軸方向の自然長が大きな積層ゴム部材15、15を圧縮して縮めておいて、上記隙間に嵌め込むようにすればよい。
【0044】
例えば、図4(A)に示すように、U字ブロック13の開口部の幅をL1とし、取り付け部14の突起部の幅をL2とし、取り付け部14とU字ブロック13との間の隙間をそれぞれL3、L4とする。このとき、U字ブロック13の開口部の幅L1及び取り付け部14の突起部の幅L2から、隙間L3、L4を、L1−L2=L3+L4として導くことができる。次に、自然長がL3、L4の幅の長さを超える積層ゴム部材15を準備する。また、図4(B)に示すように、研磨時においては、L3、L4の幅は常に変化する。
【0045】
従って、積層ゴム部材15の好ましい自然長(最短縮長)は、以下のように求めることができる。
【0046】
例えば、図4(B)は、L3に設ける積層ゴム部材15が最も縮んだ場合(最短縮長のとき)を表すとするとき、L4に設ける積層ゴム部材15の自然長L0はL4より大きい、すなわち、L4<L0を満たすように選択する。
【0047】
このようにすることで、研磨時に取り付け部14が左右に大きく動いても、積層ゴム部材15は自然長を超える長さに変形することはなく、積層ゴム部材15の破損を防止することができる。
【0048】
このような条件を満たすようにして、積層ゴム部材15、15を縮めて上記U字ブロック13の開口部と取り付け部14との間の隙間に嵌め込むことによって、積層ゴム部材15、15に与圧が掛かるようになる。これにより、積層ゴム部材15、15に引っ張り力が発生することはなく、積層ゴム部材15、15の耐久性を向上させることができる。
【0049】
図5に、積層ゴム部材15の斜視図を示す。
【0050】
従来の積層ゴム部材は、中心軸の周りに回転する(円周方向に少しずれる)ことにより積層ゴム部材の端面が摩耗して劣化する虞があったため、これを防止するために、本実施形態では、図5に示すように、中心軸16以外にもう一つピン17(回転防止手段)を設置している。このピン17をU字ブロック13又は取り付け部14の少なくとも一方と契合させることにより、積層ゴム部材15が中心軸16の周りに回るのを防止することができる。すなわち、積層ゴムユニット12の積層ゴム部材15と取り付け部14との間、及び、積層ゴム部材15とU字ブロック13との間、の少なくともいずれか一方の間に、積層ゴム部材15がその中心軸の回りに回転することを防止するピン17を設けることが好ましい。
【0051】
なお、このように中心軸16ともう一つのピン17を設置する形態以外に、中心軸16以外に2本のピンを設けるようにしてもよい。このようにしても、積層ゴム部材が回転せず、端面の摩耗を防止することができる。
【0052】
以上説明した図2に示す研磨ユニット4の例は、2つの空気バネ10と3つの積層ゴムユニット12を有するものであったが、より大きな研磨ユニット4の例を図6に示す。
【0053】
図6に示す例は、いずれも研磨ユニット4の矩形状の研磨板7上に空気バネ10及び積層ゴムユニット12を配置したものである。いずれも、図に空気バネ10は丸形で示し、積層ゴムユニット12は矩形で示している。
【0054】
図6(A)に示す例は、3つの空気バネ10と4つの積層ゴムユニット12を有するものである。図6(B)に示す例は、研磨板7がより大きくなって、7つの空気バネ10と4つの積層ゴムユニット12を有するものである。また図6(C)に示す例は、研磨板7がさらに大きくなって、10個の空気バネ10と8個の積層ゴムユニットを有するものである。
【0055】
このように、本実施形態においては、複数の積層ゴムユニットを用いることで様々な大きさの研磨装置(研磨ユニット)に対応することが可能である。また、各積層ゴムユニット12において、小型の積層ゴムに与圧を与えるとともに、中心軸の周りの回転を防止するようにしたため、研磨ユニットの耐久性を向上させることが可能となった。
【0056】
以上説明した研磨装置の例は、矩形状の研磨板を用いたものであったが、次に円形の研磨板を用いた例について説明する。
【0057】
図7に、円形の研磨板を有する研磨ユニットを備えた研磨ラインの概略構成を示す。
【0058】
図7に示すように、この研磨ライン100は、図1に示す研磨ライン1と同様に、ガラス板3を搭載して矢印A方向で示す移送方向に移送する研磨テーブル2と、研磨テーブル2上を移送されるガラス板3の上に、移送方向Aに沿って複数配置された研磨ユニット104(図7では1つのみ表示)…から構成される。
【0059】
ここでは研磨ユニット104は、その中に支持板と研磨板(図示省略)を備えており、その上部に偏心回転機構106が配置されている。偏心回転機構106は、研磨ユニット104内の支持板を介して研磨板をその中心軸の周りに矢印Bで示すように回転(自転)させるとともに、研磨板を、自転させながら研磨板の中心軸からはずれた点の周りに破線及び矢印Cで示すように回転(偏心回転、いわゆる公転)させるものである。また、図示を省略するが、研磨板の下面には研磨パッドが設置されている。
【0060】
また図示を省略するが、図3に示すのと同様に、この研磨ユニット104内の支持板と研磨板との間にも、支持板から研磨板に研磨圧を付与するための空気バネと、回転駆動トルクを研磨板に伝達するための積層ゴムユニットが複数設置されている。また、該複数の空気バネは支持板と研磨板との間で、ガラス板に対する押圧力が均等となるような位置に配置されている。
【0061】
このように構成された研磨ユニット104を研磨ライン100に沿って複数配置し、各研磨ユニット104の研磨板をそれぞれ自転及び公転させ、その下を研磨テーブル2上にガラス板3を移送することにより、ガラス板3が連続研磨される。
【0062】
図8に、研磨ユニット104の支持板と研磨板との間に設置される空気バネと積層ゴムユニットの配列の一例を示す。
【0063】
図8に示すように、研磨板107上に、8つの空気バネ110と4つの積層ゴムユニット120が、円形の研磨板107に、それぞれ均一となるような位置に配置されている。
【0064】
また図9に、研磨ユニット104をより大型化した場合の研磨板107上に空気バネ110と積層ゴムユニット120を配置した例を示す。
【0065】
図9に示す例では、16個の空気バネ110と4つの積層ゴムユニット120が研磨板107上に均一となるような位置に配列されている。
【0066】
また、このように研磨ユニット104を大型化した場合には、支持板から研磨板に回転駆動トルクを伝達する積層ゴムユニット120も大きなトルクを伝達しなければならないので、積層ゴムの個数を増やして対応する。
【0067】
図10に、このような場合の積層ゴムユニット120の一例を示す。
【0068】
積層ゴムユニット120は、研磨板107に結合された四角形の枠体122と、支持板(図示省略)に結合された取り付け部124と、積層ゴム部材126とから構成される。
【0069】
取り付け部124は、四角形の枠体122の中央開口内に配置され、取り付け部124と枠体122との間に、左右それぞれ2つずつ積層ゴム部材126が配置されている。
【0070】
これにより、偏心回転機構106により駆動される支持板からの回転トルクが、取り付け部124から積層ゴム部材126及び枠体122を介して研磨板107(ここでは図示省略)に伝達され、研磨板107が自転及び偏心回転(公転)する。
【0071】
また、この積層ゴムユニット120においても、前述した例と同様に、積層ゴム部材126を積層ゴムユニット120に組み付ける際、積層ゴム部材126に引っ張り力が発生しないように、与圧が掛かるように取り付ける。これは例えば、取り付け部124と枠体122との間の隙間よりも軸方向の自然長が長い積層ゴムを用意して、これを縮めた状態で取り付け部124と枠体122との間の隙間に嵌めこむようにすればよい。
【0072】
さらに、積層ゴム部材126が中心軸の周りに回転しないように、例えば、積層ゴム部材126の端面と枠体122との間に回り止め部材を設置する。回り止め部材としては、例えば、2本のピンを積層ゴム部材126の端面と枠体122との間に打ち込めばよい。具体的には、中心軸の他にもう1本ピンを設置すればよい。
【0073】
以上説明したように、被加工部材(研磨対象物)が大きくなって、これに対応するように研磨板を大型化する場合においても、大型化した研磨板に合わせて積層ゴムユニット自体を大きくするのではなく、小型の積層ゴムユニット及び空気バネを、複数用意して支持板と研磨板との間に配置することにより、研磨ユニットの大型化が容易となる。このように、大型のガラス板を研磨するために研磨ユニットを大型化する際、小型の積層ゴムを用いたユニットを複数個用いることが好ましい。
【0074】
ここで従来のように、研磨装置の大型化に伴い発生する回転トルクに対応した大型の積層ゴムユニットを利用すると、研磨装置自体が大きくなるとともに構造が複雑になり設備の設計も難しくなる。
【0075】
しかし本実施形態においては、積層ゴムユニット自体を大きくするのではなく、小型の積層ゴムを用いたユニットを複数用いるようにしたため、研磨ユニットの高さ方向の大きさを変えずに研磨ユニットの面積を大きくすることができる。従って、研磨ユニットの仮想中心を被研磨材からあまり離さずに大型化できるので、被加工部材に対する研磨圧のばらつきを低減することができ、均一な研磨が可能となる。
【0076】
また、従来の積層ゴムの組み付け構造においては、組み付け部に摩擦・摩耗が発生するような隙間がある場合には、使用していると積層ゴムに引っ張り力が掛かり、破断してしまう虞があった。しかし、本実施形態においては、積層ゴムユニットへの積層ゴムの取り付けに際して、積層ゴムに与圧を与えるようにするとともに、積層ゴムの中心軸の周りの回転を防止する部材を設けることで、積層ゴム取り付け部の摺動面の摩耗を防止して、研磨ユニットの耐久性を向上させることができる。
【0077】
なお、積層ゴムの中心軸の周りの回転を防止する部材としては、上述したように積層ゴムの端面と枠体等の固定部材との間に2本のピンを入れて回り止めとしても良いが、これに限定されることなく、例えば接着剤で固定して回転を防止するようにしても良い。
【0078】
なお、上で説明した例においては、研磨板に研磨圧を与えるとともに研磨圧を制御する手段として空気バネを用いていたが、研磨圧の付与及び制御手段は空気バネに限定されるものではない。例えば、図11及び図12で説明したような、複数の積層ゴム部材137を斜めに配置したようなものでも良いし、流体シリンダやその他の手段を用いても良い。
【0079】
また、本実施形態で説明した、積層ゴムに対して与圧を与えたり、積層ゴムの中心軸の回りの回転を防止する部材を取り付けたりすることを、図11で説明した従来の研磨装置の積層ゴム部材148や149に対して適用しても良い。これにより、従来の研磨装置の積層ゴム部材の耐久性を向上させることができる。
【0080】
以上、本発明に係る研磨装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【0081】
本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の範囲と精神を逸脱することなく、様々な修正や変更を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0082】
1…(矩形状の研磨板を有する)研磨ライン、2…研磨テーブル、3…ガラス板、4…研磨ユニット、5…回転駆動軸、6…支持板、7…研磨板、8…研磨パッド、10…空気バネ、12…積層ゴムユニット(回転伝達機構)、13…U字ブロック、14…取り付け部、15…積層ゴム部材、16…中心軸、17…ピン、100…(円形の研磨板を有する)研磨ライン、104…研磨ユニット、106…偏心回転機構、107…研磨板、110…空気バネ、120…積層ゴムユニット(回転伝達機構)、122…枠体、124…取り付け部、126…積層ゴム部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨部材を被加工部材の加工面に相対的に揺動可能に支持し、前記被加工部材に前記研磨部材を押し付けた状態で前記研磨部材を前記被加工部材の加工面に水平な方向に相対運動させて前記被加工部材の加工面を研磨する研磨装置において、
回転駆動源からの回転トルクを前記研磨部材に伝達する回転伝達部材と、
前記回転伝達部材に設けられた第一の取り付け部材と、前記研磨部材に設けられた第二の取り付け部材との間に、与圧を与えるように介在された、前記回転伝達部材の回転トルクを伝達するとともに前記研磨部材の揺動運動に追従して変形する積層ゴム部材とを有する回転伝達機構と、
を備えた研磨装置。
【請求項2】
前記回転伝達機構の前記積層ゴム部材の、前記第一の取り付け部材及び第二の取り付け部材との間に取り付ける前の自然長が、前記第一の取り付け部材及び第二の取り付け部材との間の長さよりも長い請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記回転伝達機構の前記積層ゴム部材と前記第1の取り付け部材との間、及び、前記積層ゴム部材と前記第二の取り付け部材との間、の少なくともいずれか一方の間に、前記積層ゴム部材がその中心軸の回りに回転することを防止する回転防止手段を設けた請求項1又は2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記回転伝達機構の前記回転防止手段は、前記積層ゴム部材の端面と前記第一の取り付け部材との間、及び、前記積層ゴム部材と第二の取り付け部材との間、の少なくともいずれか一方の間に契合させた2本のピンである請求項3に記載の研磨装置。
【請求項5】
被加工部材の任意の大きさに対応した前記研磨部材と、前記回転伝達部材との間に、前記回転伝達機構を、前記研磨部材の大きさに応じて所定の複数個配置した請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記回転伝達部材の回転トルクを前記研磨部材に伝達する前記積層ゴム部材とともに、研磨時に前記被加工部材を押圧する押圧力を前記回転伝達部材から前記研磨部材に加えるために複数の流体バネを有し、該複数の流体バネは前記回転伝達部材と前記研磨部材との間で、前記被加工部材に対する押圧力が均等となるような位置に配置された請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項1】
研磨部材を被加工部材の加工面に相対的に揺動可能に支持し、前記被加工部材に前記研磨部材を押し付けた状態で前記研磨部材を前記被加工部材の加工面に水平な方向に相対運動させて前記被加工部材の加工面を研磨する研磨装置において、
回転駆動源からの回転トルクを前記研磨部材に伝達する回転伝達部材と、
前記回転伝達部材に設けられた第一の取り付け部材と、前記研磨部材に設けられた第二の取り付け部材との間に、与圧を与えるように介在された、前記回転伝達部材の回転トルクを伝達するとともに前記研磨部材の揺動運動に追従して変形する積層ゴム部材とを有する回転伝達機構と、
を備えた研磨装置。
【請求項2】
前記回転伝達機構の前記積層ゴム部材の、前記第一の取り付け部材及び第二の取り付け部材との間に取り付ける前の自然長が、前記第一の取り付け部材及び第二の取り付け部材との間の長さよりも長い請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記回転伝達機構の前記積層ゴム部材と前記第1の取り付け部材との間、及び、前記積層ゴム部材と前記第二の取り付け部材との間、の少なくともいずれか一方の間に、前記積層ゴム部材がその中心軸の回りに回転することを防止する回転防止手段を設けた請求項1又は2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記回転伝達機構の前記回転防止手段は、前記積層ゴム部材の端面と前記第一の取り付け部材との間、及び、前記積層ゴム部材と第二の取り付け部材との間、の少なくともいずれか一方の間に契合させた2本のピンである請求項3に記載の研磨装置。
【請求項5】
被加工部材の任意の大きさに対応した前記研磨部材と、前記回転伝達部材との間に、前記回転伝達機構を、前記研磨部材の大きさに応じて所定の複数個配置した請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記回転伝達部材の回転トルクを前記研磨部材に伝達する前記積層ゴム部材とともに、研磨時に前記被加工部材を押圧する押圧力を前記回転伝達部材から前記研磨部材に加えるために複数の流体バネを有し、該複数の流体バネは前記回転伝達部材と前記研磨部材との間で、前記被加工部材に対する押圧力が均等となるような位置に配置された請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−148395(P2012−148395A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241202(P2011−241202)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
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