説明

硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法および処理装置

【課題】特別の中和操作を要することなく、還元処理に伴う生成塩の析出を抑えることができ、触媒との分離が容易となる硝酸ナトリウムを含有する水溶液の処理方法を得る。
【解決手段】第1反応槽1に処理すべき硝酸ナトリウム水溶液を入れ、触媒としてパラジウム−銅コロイド溶液を添加する。第1還元剤供給槽3からギ酸を供給する。ギ酸の供給量は処理すべき硝酸ナトリウムの約半量が還元される量とする。この処理液をつぎに第2反応槽10に送り、第2還元剤供給槽11からヒドラジンを供給する。ヒドラジンの供給量は、処理すべき硝酸ナトリウムの残余の約半量が還元される量とする。ヒドラジンを先に添加したのちギ酸を添加しても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、比較的高濃度の硝酸ナトリウムを含有する水溶液を対象とし、これに含まれる硝酸ナトリウムを還元処理する処理方法および処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子燃料再処理施設においては、主要な液体廃棄物として放射性元素を含む高濃度の硝酸ナトリウム廃液が発生する。この廃液は、セメント等で固化された後、放射能濃度に応じて処分されるが、含有する放射能量が低い廃液はピット処分等の浅地中に処分される。
しかし、硝酸根は放射能が減衰したあとも固化体中に存在することから長期にわたる貯蔵後において地下水等に漏洩する可能性があり、環境への影響が少ない炭酸塩等に塩転換した後に処分体とすることが望まれる。
【0003】
硝酸ナトリウムを含有する水溶液を処理して炭酸塩に転換する方法としては、化学的な処理方法がある。この化学的処理方法は、還元剤としてヒドラジンやギ酸などを用い、白金、パラジウム、ロジウムなどの触媒の存在下に硝酸ナトリウムを還元してするものである。
【0004】
しかし、還元剤としてヒドラジンを用いて硝酸ナトリウムと反応させた場合、水酸化ナトリウム、窒素、水が生成されるが、この水酸化ナトリウムを中和するために二酸化炭素を吹き込む操作などの中和操作に多大な時間を要することになる。
また、還元剤としてギ酸を用いて硝酸ナトリウムと反応させた場合、炭酸水素ナトリウム、窒素、二酸化炭素、水が生成されるが、炭酸水素ナトリウムは溶解度が小さく、処理液中に析出するため、触媒との分離が困難となる。
【特許文献1】特許第3374010号公報
【特許文献2】特開2005−95784号公報
【特許文献3】特許第3496669号公報
【特許文献4】特表2002−521197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明における課題は、特別の中和操作を要することなく、還元処理に伴う生成塩の析出を抑えることができ、触媒との分離が容易となる硝酸ナトリウムを含有する水溶液の処理方法および処理装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、硝酸ナトリウムを含有する水溶液を触媒の存在下に還元剤を添加して還元する処理方法において、
還元剤としてギ酸とヒドラジンを使用することを特徴とする硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法である。
【0007】
請求項2にかかる発明は、硝酸ナトリウムを含有する水溶液を触媒の存在下に還元剤を添加して還元する処理方法において、
ギ酸およびヒドラジンを還元剤として硝酸ナトリウムを還元処理する第1工程と、
ヒドラジンまたはギ酸の一方を還元剤として、第1工程における未反応の硝酸ナトリウムを還元処理する第2工程を有することを特徴とする硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法である。
【0008】
請求項3にかかる発明は、硝酸ナトリウムを含有する水溶液を触媒の存在下に還元剤を添加して還元する処理方法において、
ギ酸を還元剤として硝酸ナトリウムを還元する第1工程と、
ヒドラジンを還元剤として第1工程における未反応の硝酸ナトリウムを還元する第2工程を有することを特徴とする硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法である。
【0009】
請求項4にかかる発明は、硝酸ナトリウムを含有する水溶液を触媒の存在下に還元剤を添加して還元する処理方法において、
ヒドラジンを還元剤として硝酸ナトリウムを還元する第1工程と、
ギ酸を還元剤として第1工程における未反応の硝酸ナトリウムを還元する第2工程を有することを特徴とする硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法である。
【0010】
請求項5にかかる発明は、硝酸ナトリウムに対するギ酸のモル比が、ギ酸/硝酸ナトリウム=1.0〜1.5で、硝酸ナトリウムに対するヒドラジンのモル比が、ヒドラジン/硝酸ナトリウム=0.5〜0.8であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法である。
【0011】
請求項6にかかる発明は、硝酸ナトリウムに対するギ酸のモル比が、ギ酸/硝酸ナトリウム=0.3〜0.9で、硝酸ナトリウムに対するヒドラジンのモル比が、ヒドラジン/硝酸ナトリウム=0.8〜1.1であることを特徴とする請求項1、2および4のいずれかに記載の硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法である。
【0012】
請求項7にかかる発明は、触媒が、少なくとも銅とパラジウムを含むものであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法である。
【0013】
請求項8にかかる発明は、硝酸ナトリウムの濃度が、1.0〜6.0モル/リットルであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法である。
【0014】
請求項9にかかる発明は、前記第1工程および第2工程における反応開始温度が50〜100℃であることを特徴とする請求項2ないし8のいずれかに記載の硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法である。
【0015】
請求項10にかかる発明は、硝酸ナトリウムを含有する水溶液を触媒の存在下にギ酸により還元する第1反応槽と、この第1反応槽にギ酸を供給する第1還元剤供給槽と、前記第1反応槽で処理された処理液を濾過して触媒を分離するための第1触媒分離器を備えた第1還元処理装置と、
この第1還元処理装置で処理された処理液中の未反応硝酸ナトリウムを触媒の存在下でヒドラジンにより還元処理する第2反応槽と、この第2反応槽にヒドラジンを供給する第2還元剤供給槽と、前記第2反応槽で処理された処理液を濾過して触媒を分離するための第2触媒分離器を備えた第2還元処理装置を少なくとも有することを特徴とする硝酸ナトリウム含有水溶液の処理装置である。
【0016】
請求項11にかかる発明は、硝酸ナトリウムを含有する水溶液を触媒の存在下にヒドラジンにより還元する第1反応槽と、この第1反応槽にヒドラジンを供給する第1還元剤供給槽と、前記第1反応槽で処理された処理液を濾過して触媒を分離するための第1触媒分離器を備えた第1還元処理装置と、
この第1還元処理装置で処理された処理液中の未反応硝酸ナトリウムを触媒の存在下でギ酸により還元処理する第2反応槽と、この第2反応槽にギ酸を供給する第2還元剤供給槽と、前記第2反応槽で処理された処理液を濾過して触媒を分離するための第2触媒分離器を備えた第2還元処理装置を少なくとも有することを特徴とする硝酸ナトリウム含有水溶液の処理装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、還元処理すべき硝酸ナトリウムの約半量がギ酸と反応し、以下の反応式(1)によって、窒素、二酸化炭素、炭酸水素ナトリウム、水が生成する。
4NaNO+10HCOOH→
2N+6CO+4NaHCO+8HO・・・(1)
ついで、このものにヒドラジンを添加して残余の硝酸ナトリウムを下記反応式(2)により還元して、窒素、水酸化ナトリウム、水が生成する。
4NaNO+5N→7N+4NaOH+8HO・・・(2)
【0018】
さらに、ギ酸との反応によって生成した炭酸水素ナトリウムとヒドラジンとの反応によって生成した水酸化ナトリウムとが反応し、(3)式によって、炭酸ナトリウムと水となる。
4NaHCO3+4NaOH→4NaCO+4HO・・・(3)
これらの一連の反応を整理すると、(4)式のようになる。
8NaNO+5N+10HCOOH→
9N+6CO+4NaCO+20HO・・・(4)
【0019】
このように、還元処理に伴う副生成物としての溶解度の小さい炭酸水素ナトリウムの析出がなく、処理後の析出塩量を低減できる。また、二酸化炭素を吹き込むなどの余分な中和操作を要しない。また、水酸化ナトリウムの添加が不要であり、硝酸ナトリウムの1/2モル量相当の炭酸ナトリウムが回収できる。
【0020】
また、初めにヒドラジンを添加したのち、ギ酸を添加して還元処理するものでは、以下のような反応式によって処理が進行する。
4NaNO+5N→7N+4NaOH+8HO・・・(5)
2NaNO+5HCOOH+8NaOH→N+5NaCO+9HO・・・(6)
これらの一連の反応を整理すると、
4NaNO+4N+2HCOOH→6N+2NaCO+10HO・・・(7)
となる。
【0021】
このように、硝酸ナトリウムを最初にギ酸で処理したのち、ヒドラジンで処理する場合には二酸化炭素が発生するが、初めにヒドラジンを添加したのち、ギ酸を添加して還元処理する場合には、二酸化炭素の発生がない。したがって、硝酸ナトリウムを炭酸ナトリウムに還元するのに要する還元剤の総量は、初めにヒドラジンを添加し、そののちギ酸を添加する方法の方が少なくて済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、この発明の処理方法に用いられる処理装置の一例を示すもので、このものは連続処理に用いられるものである。
図1において、符号1は第1反応槽を示す。この第1反応槽1は、ジャケット構造となっており、その内部に加熱媒体を流すことで内部の処理液を温度50〜100℃に加熱または保温することができるようになっている。
【0023】
また、第1反応槽1には、管2から処理対象となる硝酸ナトリウムを含む水溶液が流入するようになっている。また、第1反応槽1には、第1還元剤供給槽3から管4を介して還元剤としてのギ酸水溶液が温度50〜80℃に加熱されて供給されるように構成されている。さらに、第1反応槽1内には、その内部の処理液を撹拌する攪拌翼5が設置されている。
【0024】
また、第1反応槽1の底部から処理液が管6によって抜き出され、第1触媒分離器7に送られ、ここで処理液中の触媒が回収され、回収された触媒は処理液の一部とともに管8から第1反応槽1に返送されるようになっている。
第1反応槽1、第1還元剤供給槽3、撹拌翼5および第1触媒分離器7で第1還元処理装置が構成されている。
【0025】
第1触媒分離器7を流出した処理液は、管9を通り第2反応槽10に流入し、第2還元剤供給槽11から管12を介して還元剤としてのヒドラジン水溶液が供給されるようになっている。さらに、第2反応槽10内には、内部の処理液を撹拌する攪拌翼13が設置されている。
【0026】
第2反応槽10の底部から処理液が管14によって抜き出され、第2触媒分離器15に送られ、ここで処理液中の触媒が回収され、回収された触媒は管16から第2反応槽10に返送され、第2触媒分離器15を通過した処理液は、処理済水として、管17を通り系外に排出されるように構成されている。
第2反応槽10、第2還元剤供給槽11、撹拌翼13および第2触媒分離器15で第2還元処理装置が構成されている。そして、第1還元処理装置と第2還元処理装置とで、この例の処理装置が構成されている。
【0027】
つぎに、このような処理装置を用いた処理方法を説明する。
この場合の処理は、連続処理方法となる。まず、管2から処理対象となる硝酸ナトリウム水溶液を第1反応槽1に連続的に送り込む。硝酸ナトリウム水溶液中の硝酸ナトリウム濃度は、この場合比較的高濃度の1.0〜6.0モル/リットル、好ましくは2.0〜4.0モル/リットルの範囲が好適である。処理対象となる水溶液中の硝酸ナトリウムの濃度が1.0モル/リットル未満では炭酸水素ナトリウムの析出が起きないためヒドラジンおよびギ酸を併用することなくギ酸単独の処理が可能になる。6.0モル/リットルを超えると処理済液の炭酸ナトリウムの量が溶解度を越えるため処理済液の希釈が必要になる。また、2.0〜4.0モル/リットルの範囲では、ギ酸と硝酸ナトリウムの反応で生成する炭酸水素ナトリウムが溶解度未満であり、希釈することなく炭酸ナトリウムに転換できる。
【0028】
第1反応槽1には、触媒が別途添加される。この触媒としては、パラジウム、白金、ルテニウム、イリジウムから選択された1種以上の貴金属と、銅、スズ、亜鉛、インジウム、ニッケル、銀、鉄、コバルトから選択された1種以上の金属とを含むものが用いられる。
【0029】
これらのなかでも、銅とパラジウムを含む組合せが好ましく、パラジウムと銅との重量比率が90/10〜60/40であるものが高活性で望ましい。パラジウムの比率が90%を越えた場合、60%未満となった場合には触媒活性が低下する。触媒形状としては、活性炭などの担体に金属コロイドを担持した担持触媒あるいは金属コロイド状のものが用いられるが、触媒金属含有量が1〜5wt%のコロイド水溶液が好ましい。
触媒添加量は、硝酸ナトリウムの濃度にかかわらず処理液1リットルに対して、金属量として1〜10gの範囲とされる。
【0030】
そして、第1反応槽1内の処理液のpHが8以上のアルカリとなるように、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液を別途少量添加し、この状態で第1還元供給槽3からギ酸水溶液を供給する。ギ酸は、濃度50〜99wt%の市販品から選定され、処理液を希釈させないためには、98.6wt%のものを、取扱上の安全性からは引火しない76wt%以下のものを使用すればよい。
【0031】
ギ酸水溶液の添加量は、第1反応槽1内に存在する硝酸ナトリウム水溶液中の硝酸ナトリウム1モルに対して、1.0〜1.5倍のモル量となるように定められ、第1反応槽1に流入する水溶液中の硝酸ナトリウムに対する理論当量の約半分となるように決められる。ギ酸の添加量が1.0倍未満では硝酸ナトリウムの処理に要するヒドラジン量が増加し、処理済液中の水酸化ナトリウムが多くなるため、その後の中和に多大な労力を要する。
1.5倍を越えると処理済液中の炭酸水素ナトリウムの量が増加し、炭酸ナトリウムとするための水酸化ナトリウムを加える必要がある。
【0032】
反応開始温度は、50〜100℃とされる。50℃未満では反応速度が遅く、100℃を越えると常圧において沸騰が起こる。圧力は、常圧でよく、特に加圧もしくは減圧とする必要はないが、必要に応じて加圧または減圧してもよい。第1反応槽1内での処理液の滞留時間は、通常のバッチ反応で用いられる条件で基本的には問題ないが、処理液の濃度が高くなるにつれ長くする方が反応を制御し易い傾向にあり、おおむね1〜24時間が好ましい。高濃度の硝酸ナトリウムの場合、短時間の滞留時間で処理すると、硝酸根は窒素に分解されずアンモニア等の生成量が増加する。
【0033】
これにより、第1反応槽1内では、上記反応式(1)によって還元反応が進行し、硝酸ナトリウム水溶液中に含まれる硝酸ナトリウムの約半量が還元され、窒素、二酸化炭素、炭酸水素ナトリウム、水が生成する。
【0034】
そして、反応が進行した処理液は、第1反応槽1底部から管6によって抜液され、第1触媒分離器7に送られ、ここで処理液中に分散している触媒が分離され、この回収された触媒は処理液の一部とともに管8から第1反応槽1に返送される。
第1触媒分離器7からの部分的に還元処理が進行した処理液は、管9を通り、第2反応槽10に送り込まれる。
【0035】
第2反応槽10には、第1反応槽1内に供給された触媒と同様の触媒が別途供給されている。この場合の触媒添加量は、処理液中の残余の硝酸ナトリウムの濃度にかかわらず処理液1リットルに対して、金属量として1〜10gの範囲とされる。この状態で第2還元供給槽11からヒドラジン水溶液を供給する。ヒドラジン水溶液には、市販品として入手できる1水和物で濃度80〜98wt%のものが使用できる。
【0036】
ヒドラジン水溶液の添加量は、第1反応槽1内に存在する硝酸ナトリウム水溶液中の硝酸ナトリウム1モルに対して、0.5〜0.8倍のモル量となるように定められ、第2反応槽10に流入する処理液中の残余の硝酸ナトリウムに対するほぼ理論当量となるように決められる。ヒドラジンの添加量が0.5倍未満では硝酸ナトリウムの処理に要するギ酸の添加量が増加し、処理済液中の炭酸水素ナトリウムの量が多くなるため、炭酸ナトリウムとするために多量の水酸化ナトリウムを加える必要がある。0.8倍を越える場合には、処理済液中の水酸化ナトリウムが多くなり、その後の中和に多大な労力を要する。
【0037】
反応温度および圧力は、第1反応槽1での反応温度および圧力と同様とされるが、若干の変更があっても問題はない。第2反応槽10内での処理液の滞留時間は、通常のバッチ反応で用いられる条件で基本的には問題はないが、処理液の濃度が高くなるにつれ長くする方が反応を制御し易い傾向にあり、おおむね1〜24時間が好ましい。高濃度において短時間の滞留時間で処理すると、硝酸根は窒素に分解されず、アンモニア等の生成量が増加する。
【0038】
これにより、第2反応槽10内では、上記反応式(2)によって還元反応が進行し、硝酸ナトリウム水溶液中に含まれる硝酸ナトリウムの残余量が還元され、窒素、水酸化ナトリウム、水が生成し、さらに生成した水酸化ナトリウムと先に生成した炭酸水素ナトリウムとが反応し、上記反応式(3)の反応が進行し、炭酸ナトリウムと水が生成する。生成した炭酸ナトリウムは、溶解度が大きいので処理液中に溶解した状態となっており、析出することはない。
【0039】
そして、反応が進行した処理液は、第2反応槽10底部から管14によって抜液され、第2触媒分離器15に送られ、ここで処理液中に分散している触媒が分離され、この回収された触媒は処理液の一部とともに管16から第2反応槽10に返送される。
第1触媒分離器15からの還元処理が完了した処理液は、管17を通り、系外に排出される。
【0040】
図2は、本発明の処理方法に用いられる処理装置の他の例を示すもので、この装置ではバッチ処理がなされるものである。
図2において、符号21は反応槽を示す。この反応槽21は、先の例と同様にジャケット構造となっており、内部の処理液を温度50〜100℃に加熱または保温することができるようになっている。
【0041】
この反応槽21には、管22から処理対象となる硝酸ナトリウムを含む水溶液が流入し、第1還元剤供給槽23から管24を介して還元剤としてのギ酸水溶液が温度50〜80℃に加熱された状態で供給され、第2還元剤供給槽25から管26を介して還元剤としてのヒドラジン水溶液が供給されるようになっている。
【0042】
さらに、反応槽21内には、内部の処理液を撹拌する攪拌翼27が設置されている。
反応槽21の底部から処理液が管28によって抜き出され、触媒分離器29に送られ、ここで処理液中の触媒が回収され、回収された触媒は処理液の一部とともに管30から反応槽21に返送されるようになっている。触媒分離器29を通過した処理液は、処理済水として、管31を通り系外に排出されるようになっている。
【0043】
この処理装置を用いた処理方法について、説明する。
まず、管22から処理対象となる硝酸ナトリウム水溶液を反応槽21に所定量送り込む。硝酸ナトリウム水溶液中の硝酸ナトリウム濃度は、この場合も1.0〜6.0モル/リットルの範囲が好適である。
【0044】
反応槽21には、触媒が別途添加される。この触媒としては、先の例と同様のものが用いられ、その添加量は、硝酸ナトリウムの濃度にかかわらず処理液1リットルに対して、金属量として1〜10gの範囲とされる。
【0045】
そして、反応槽21内の処理液のpHが8以上のアルカリとなるように、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液を少量添加し、この状態で第1還元剤供給槽23からギ酸水溶液を供給する。ギ酸水溶液の濃度は、先の例と同様である。
ギ酸水溶液の添加量は、第1反応槽1内に存在する硝酸ナトリウム水溶液中の硝酸ナトリウム1モルに対して、1.0〜1.5倍のモル量となるように定められる。
【0046】
反応開始温度は、50〜100℃とされ、圧力は常圧でよく、特に加圧もしくは減圧とする必要はないが、必要に応じて加圧または減圧してもよい。
これにより、反応槽21内では、先の例と同様にして、上記反応式(1)によって還元反応が進行する。
【0047】
ついで、第2還元剤供給槽25からヒドラジン水溶液を供給する。ヒドラジン水溶液の濃度も先の例と同様である。
ヒドラジン水溶液の添加量は、反応槽21内に存在する硝酸ナトリウム水溶液中の残余の硝酸ナトリウム1モルに対して、0.5〜0.8倍のモル量となるように定められる。
【0048】
これにより、反応槽21内では、先の例と同様にして上記反応式(2)によって還元反応が進行し、さらに上記反応式(3)の反応が進行する。
【0049】
そして、反応が進行した処理液は、反応槽21底部から管28によって抜液され、触媒分離器29に送られ、ここで処理液中に分散している触媒が分離され、この回収された触媒は処理液の一部とともに管30から反応槽21に返送される。
触媒分離器29からの還元処理が完了した処理液は、管31を通り、系外に排出される。
【0050】
このように、処理すべき硝酸ナトリウム水溶液中の硝酸ナトリウムのうちの約半量をはじめにギ酸によって還元し、約半量の硝酸ナトリウムを炭酸水素ナトリウムに転換しておくことで、処理液中で炭酸水素ナトリウムの濃度が高くなることがなく、炭酸水素ナトリウムが析出することがない。
【0051】
ついで、残余の約半量の硝酸ナトリウムをヒドラジンで還元することで、この硝酸ナトリウムを水酸化ナトリウムに転換し、この水酸化ナトリウムと既に処理液中に溶解している炭酸水素ナトリウムを反応させることで、最終的に硝酸ナトリウムを溶解度の大きい炭酸ナトリウムに塩転換することができる。
【0052】
このため、処理対象水に高濃度の硝酸ナトリウムが含まれていても、処理液には固形分が含まれることがないので、触媒の分離が容易になり、かつ以後の取扱操作が簡単となる。また、反応系に水酸化ナトリウムを添加しないので、硝酸ナトリウム1モルに対して1/2モルの炭酸ナトリウムが回収できることになって、全体的な処理コストを低減できる。
さらに、2種の還元剤の添加量比、添加順序、添加速度等を変化させることで、最終の処理液中に炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとを併せて生成させて、その比率を変化させることもできる。
【0053】
なお、以上の実施形態では、還元剤の添加順序をギ酸添加後にヒドラジンを添加するものとしているが、本発明では、ギ酸とヒドラジンとを同時に添加してもよく、さらにはいずれか一方を添加している途中に他方の添加を開始してもよく、ギ酸とヒドラジンとを同時に添加した後、一方の添加を先に終了させてもよい。
【0054】
以下、実験例を挙げる。以下の実験例は、図2に示したバッチ処理装置を模した実験装置によって行った。
撹拌器を備えたセパラブルフラスコに所定濃度の硝酸ナトリウム水溶液を入れ、湯浴にて温度60〜80℃に加熱した。セパラブルフラスコに所定量の触媒を添加し、還元剤としてのギ酸水溶液とヒドラジン水溶液を供給した。
【0055】
所定時間反応を行った後、処理液中の残存硝酸根濃度、残存ギ酸濃度、残存ヒドラジン濃度、炭酸ナトリウム比率を測定した。
残存硝酸根濃度は、硝酸イオンの分解に伴って生成する亜硝酸イオンおよび未分解物として残った硝酸イオン残存量を言う。炭酸ナトリウム比率は、処理済液中の炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムとの合計量に対する炭酸ナトリウムの割合を重量比で表したもので、メトロノーム社製自動滴定装置にて測定を行った。
【0056】
これらの実験例に使用した触媒は、以下の通りである。
A−25:触媒化成工業(株)製のパラジウム−銅合金コロイド溶液で、金属濃度が3wt%のもので、銅の含有比率が25wt%のもの
A−35:触媒化成工業(株)製のパラジウム−銅合金コロイド溶液で、金属濃度が3wt%のもので、銅の含有比率が35wt%にもの。
B−30:触媒化成工業(株)製のパラジウム−銅合金コロイド溶液を粒径50〜380μmの粒状活性炭に担持したもので、銅の比率が30wt%のもの
また、ギ酸水溶液には濃度97wt%のものを、ヒドラジン水溶液には一水和物で濃度98wt%ものを使用した。
【0057】
(例1)
この例は、硝酸ナトリウムに対して理論当量で、ギ酸、ヒドラジンの順序で添加したものである。
硝酸ナトリウム水溶液(1.3モル/リットル)500mlに、触媒A−25を83ml添加し、ギ酸水溶液(0.81モル)を0.55モル/時間の供給速度で供給し、その後ヒドラジン水溶液(0.41モル)を0.27モル/時間の供給速度で添加した。温度60℃、常圧で5時間反応させた。
結果を表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
(例2)
この例は、硝酸ナトリウムに対して理論当量で、ギ酸とヒドラジンを同時に添加するものと経時的に別々に添加するものを併用したものである。
硝酸ナトリウム水溶液(1.3モル/リットル)500mlに、触媒A−25を83ml添加した。ギ酸水溶液(0.82モル)を0.28モル/時間の供給速度で、これと同時にヒドラジン水溶液(0.41モル)を0.08モル/時間の供給速度で添加した。温度80℃、常圧で6時間反応させた。ただし、同時供給は試験開始直後から3時間までとし、3時間目から5時間目までの2時間はヒドラジンのみを供給した。
結果を表2に示す。
【0060】
【表2】

【0061】
(例3)
この例は、硝酸ナトリウムに対して理論当量で、ギ酸とヒドラジンを同時に添加したものである。
硝酸ナトリウム水溶液(1.3モル/リットル)500mlに、触媒A−25を83ml添加した。ギ酸水溶液(0.82モル)を0.28モル/時間の供給速度で、これと同時にヒドラジン水溶液(0.41モル)を0.14モル/時間の供給速度で添加した。温度60℃、常圧で5時間反応させた。
結果を表3に示す。
【0062】
【表3】

【0063】
(例4)
この例は、例3において反応温度を80℃としたものである。
結果を表4に示す。
【0064】
【表4】

【0065】
(例5)
この例は、反応温度の影響を見たもので、温度を80℃としたものである。
硝酸ナトリウム水溶液(1.3モル/リットル)500mlに、触媒A−25を83ml添加し、ギ酸水溶液(0.81モル)を0.56モル/時間の供給速度で供給し、その後ヒドラジン水溶液(0.42モル)を0.27モル/時間の供給速度で添加した。温度80℃、常圧で5時間反応させた。
結果を表6に示す。
【0066】
【表5】

【0067】
(例6)
この例も反応温度の影響を見たもので、温度を25℃としたものである。
硝酸ナトリウム水溶液(1.3モル/リットル)500mlに、触媒A−25を83ml添加し、ギ酸水溶液(0.81モル)を0.55モル/時間の供給速度で供給し、その後ヒドラジン水溶液(0.41モル)を0.27モル/時間の供給速度で添加した。温度25℃、常圧で5時間反応させた。
結果を表6に示す。
【0068】
【表6】

【0069】
(例7)
この例は、硝酸ナトリウムの濃度の高い被処理水を用いたものである。
硝酸ナトリウム水溶液(4.7モル/リットル)500mlに、触媒A−25を83ml添加し、ギ酸水溶液(2.94モル)を0.58モル/時間の供給速度で供給し、その後ヒドラジン水溶液(1.47モル)を0.27モル/時間の供給速度で添加した。温度80℃、常圧で12時間反応させた。
結果を表7に示す。
【0070】
【表7】

【0071】
(例8)
この例は、触媒のパラジウムと銅との比率を変えたものである。
例1において、触媒A−25に代えて、A−35を用いた以外は同様にして反応を行った。
結果を表8に示す。
【0072】
【表8】

【0073】
(例9)
この例は、担持触媒を用いたものである。
例1において、触媒としてB−30を用いた以外は同様にして反応を行った。
結果を表9に示す。
【0074】
【表9】

【0075】
(例10)
この例は、還元剤として理論当量のギ酸のみを添加したものである。
硝酸ナトリウム水溶液(1.2モル/リットル)500mlに、触媒A−25を83ml添加し、ギ酸水溶液(1.63モル)を0.42モル/時間の供給速度で供給した。温度60℃、常圧で5時間反応させた。
結果を表10に示す。
【0076】
【表10】

【0077】
(例11)
この例は、還元剤として理論当量のヒドラジンのみを添加したものである。
硝酸ナトリウム水溶液(1.3モル/リットル)500mlに、触媒A−25を83ml添加し、ヒドラジン水溶液(0.83モル)を0.28モル/時間の供給速度で添加した。温度40℃、常圧で5時間反応させた。
結果を表11に示す。
【0078】
【表11】

【0079】
また、本発明では、初めにヒドラジンを添加したのち、ギ酸を添加して還元処理することもできる。この場合、図1に示した処理装置では、第1還元剤供給槽3にはヒドラジン水溶液が、第2還元剤供給槽11にはギ酸水溶液がそれぞれ満たされ、第1還元剤供給槽3からヒドラジン水溶液が第1反応槽1に供給され、第2還元剤供給槽11からギ酸水溶液が第2反応槽10に供給されるようになる。
【0080】
この処理装置を用いた処理方法は、以下のようになる。
まず、管2から処理対象となる硝酸ナトリウム水溶液を第1反応槽1に連続的に送り込む。硝酸ナトリウム水溶液中の硝酸ナトリウム濃度は、この場合比較的高濃度の1.0〜6.0モル/リットル、好ましくは2.0〜4.0モル/リットルの範囲が好適である。
【0081】
第1反応槽1には、触媒が別途添加される。この触媒としては、パラジウム、白金、ルテニウム、イリジウムから選択された1種以上の貴金属と、銅、スズ、亜鉛、インジウム、ニッケル、銀、鉄、コバルトから選択された1種以上の金属とを含むものが用いられる。
【0082】
これらのなかでも、銅とパラジウムを含む組合せが好ましく、パラジウムと銅との重量比率が90/10〜60/40であるものが高活性で望ましい。パラジウムの比率が90%を越えた場合、60%未満となった場合には触媒活性が低下する。触媒形状としては、活性炭などの担体に金属コロイドを担持した担持触媒あるいは金属コロイド状のものが用いられるが、触媒金属含有量が1〜5wt%のコロイド水溶液が好ましい。
触媒添加量は、硝酸ナトリウムの濃度にかかわらず処理液1リットルに対して、金属量として1〜10gの範囲とされる。
【0083】
そして、第1反応槽1内の処理液に第1還元剤供給槽3からヒドラジン水溶液を供給する。ヒドラジン水溶液の濃度は、濃度60〜98wt%とされる。
【0084】
ヒドラジン水溶液の添加量は、第1反応槽1内に存在する硝酸ナトリウム水溶液中の硝酸ナトリウム1モルに対して、0.8〜1.1倍のモル量となるように定められ、第1反応槽1に流入する水溶液中の硝酸ナトリウムに対する理論当量の約80%となるように決められる。ヒドラジンの添加量が0.8倍未満では硝酸ナトリウムの処理に要するギ酸量が増加し、処理済液中の炭酸水素ナトリウムが多くなるため、炭酸ナトリウムにするための水酸化ナトリウムを加える必要がある。1.1倍を越えると処理済液中の水酸化ナトリウムの量が増加し、その後の中和に多大な労力を要する。
【0085】
反応開始温度は、50〜100℃とされる。50℃未満では反応速度が遅く、100℃を越えると常圧において沸騰が起こる。圧力は、常圧でよく、特に加圧もしくは減圧とする必要はないが、必要に応じて加圧または減圧してもよい。第1反応槽1内での処理液の滞留時間は、通常のバッチ反応で用いられる条件で基本的には問題ないが、処理液の濃度が高くなるにつれ長くする方が反応を制御し易い傾向にあり、おおむね1〜24時間が好ましい。高濃度の硝酸ナトリウムの場合、短時間の滞留時間で処理すると、硝酸根は窒素に分解されずアンモニア等の生成量が増加する。
【0086】
これにより、第1反応槽1内では、上記反応式(5)によって還元反応が進行し、硝酸ナトリウム水溶液中に含まれる硝酸ナトリウムの約80%量が還元され、窒素、水酸化ナトリウム、水が生成する。
【0087】
そして、反応が進行した処理液は、第1反応槽1底部から管6によって抜液され、第1触媒分離器7に送られ、ここで処理液中に分散している触媒が分離され、この回収された触媒は処理液の一部とともに管8から第1反応槽1に返送される。
第1触媒分離器7からの部分的に還元処理が進行した処理液は、管9を通り、第2反応槽10に送り込まれる。
【0088】
第2反応槽10には、第1反応槽1内に供給された触媒と同様の触媒が別途供給されている。この場合の触媒添加量は、処理液中の残余の硝酸ナトリウムの濃度にかかわらず処理液1リットルに対して、金属量として1〜10gの範囲とされる。
この状態で第2還元剤供給槽11からギ酸水溶液を供給する。ギ酸水溶液の濃度は50〜99wt%とされる。
【0089】
ギ酸水溶液の添加量は、第1反応槽1内に存在した硝酸ナトリウム水溶液中の硝酸ナトリウム1モルに対して、0.3〜0.9倍のモル量となるように定められ、第2反応槽10に流入する処理液中の残余の硝酸ナトリウムに対するほぼ理論当量となるように決められる。ギ酸の添加量が0.3倍未満では硝酸ナトリウムの処理に要するヒドラジンの添加量が増加し、処理済液中の水酸化ナトリウムの量が多くなるため、その後の中和に多大な労力を要する。0.9倍を越える場合には、炭酸水素ナトリウムの量が多くなるため、炭酸ナトリウムとするための水酸化ナトリウムを加える必要がある。
過剰に添加したヒドラジン、ギ酸は、空気パージ等により分解することができる。図3に過剰のギ酸を空気パージにより分解した例を示し、横軸には処理液中に空気を導入して吹き込んだ時間をとり、縦軸には処理液中に残存するギ酸濃度をとってある。
【0090】
反応温度および圧力は、第1反応槽1での反応温度および圧力と同様とされるが、若干の変更があっても問題はない。第2反応槽10内での処理液の滞留時間は、通常のバッチ反応で用いられる条件で基本的には問題はないが、処理液の濃度が高くなるにつれ長くする方が反応を制御し易い傾向にあり、おおむね1〜24時間が好ましい。高濃度において短時間の滞留時間で処理すると、硝酸根は窒素に分解されず、アンモニア等の生成量が増加する。
【0091】
これにより、第2反応槽10内では、上記反応式(6)によって還元反応が進行し、硝酸ナトリウム水溶液中に含まれる硝酸ナトリウムの残余量と、先に生成した水酸化ナトリウムとが反応し、炭酸ナトリウムと水が生成する。生成した炭酸ナトリウムは、溶解度が大きいので処理液中に溶解した状態となっており、析出することはない。
【0092】
そして、反応が進行した処理液は、第2反応槽10底部から管14によって抜液され、第2触媒分離器15に送られ、ここで処理液中に分散している触媒が分離され、この回収された触媒は処理液の一部とともに管16から第2反応槽10に返送される。
第2触媒分離器15からの還元処理が完了した処理液は、管17を通り、系外に排出される。
【0093】
また、図2に示したバッチ式処理装置を用いて、初めに第1還元剤供給槽23から反応槽21にヒドラジン水溶液を添加して還元反応を進め、ついで第2還元剤供給槽25からギ酸水溶液を添加して還元反応を進行させても、同様に硝酸ナトリウムを炭酸ナトリウムに変換することができる。
【0094】
以下、この実施形態での実験例を示す。以下の実験例は先に示した実験例1〜11と同様に図2に示したバッチ式処理装置を模した実験装置を用いたもので、処理操作、触媒は同様である。
【0095】
(例12)
この例は、硝酸ナトリウムに対して理論当量で、ヒドラジン、ギ酸の順序で添加したものである。
硝酸ナトリウム水溶液(1.3モル/リットル)500mlに、触媒A−25を83ml添加し、ヒドラジン水溶液(0.41モル)を0.27モル/時間の供給速度で添加し、その後ギ酸水溶液(0.82モル)を0.55モル/時間の供給速度で供給した。温度60℃、常圧で5時間反応させた。
結果を表12に示す。
【0096】
【表12】

【0097】
(例13)
硝酸ナトリウムに対して理論等量で、ヒドラジン、ギ酸の順序で添加した。
硝酸ナトリウム水溶液(1.3モル/リットル)200mlに触媒A−25を83ml添加し、ヒドラジン水溶液(0.26モル)を0.31モル/時間の供給速度で添加し、その後ギ酸水溶液(0.10モル)を0.30モル/時間の供給速度で添加した。温度80℃、常圧で2.5時間反応させた。
結果を表13に示す。
【0098】
【表13】

【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に用いられる処理装置の例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に用いられる処理装置の他の例を示す概略構成図である。
【図3】過剰に添加したギ酸の空気パージによる分解状態を示す図表である。
【符号の説明】
【0100】
1・・第1反応槽、3・・第1還元剤供給槽、7・・第1触媒分離器、10・・第2反応槽、11・・第2還元剤供給槽、15・・第2触媒分離器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硝酸ナトリウムを含有する水溶液を触媒の存在下に還元剤を添加して還元する処理方法において、
還元剤としてギ酸とヒドラジンを使用することを特徴とする硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法。
【請求項2】
硝酸ナトリウムを含有する水溶液を触媒の存在下に還元剤を添加して還元する処理方法において、
ギ酸およびヒドラジンを還元剤として硝酸ナトリウムを還元処理する第1工程と、
ヒドラジンまたはギ酸の一方を還元剤として、第1工程における未反応の硝酸ナトリウムを還元処理する第2工程を有することを特徴とする硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法。
【請求項3】
硝酸ナトリウムを含有する水溶液を触媒の存在下に還元剤を添加して還元する処理方法において、
ギ酸を還元剤として硝酸ナトリウムを還元する第1工程と、
ヒドラジンを還元剤として第1工程における未反応の硝酸ナトリウムを還元する第2工程を有することを特徴とする硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法。
【請求項4】
硝酸ナトリウムを含有する水溶液を触媒の存在下に還元剤を添加して還元する処理方法において、
ヒドラジンを還元剤として硝酸ナトリウムを還元する第1工程と、
ギ酸を還元剤として第1工程における未反応の硝酸ナトリウムを還元する第2工程を有することを特徴とする硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法。
【請求項5】
硝酸ナトリウムに対するギ酸のモル比が、ギ酸/硝酸ナトリウム=1.0〜1.5で、硝酸ナトリウムに対するヒドラジンのモル比が、ヒドラジン/硝酸ナトリウム=0.5〜0.8であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法。
【請求項6】
硝酸ナトリウムに対するギ酸のモル比が、ギ酸/硝酸ナトリウム=0.3〜0.9で、硝酸ナトリウムに対するヒドラジンのモル比が、ヒドラジン/硝酸ナトリウム=0.8〜1.1であることを特徴とする請求項1、2および4のいずれかに記載の硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法。
【請求項7】
触媒が、少なくとも銅とパラジウムを含むものであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法。
【請求項8】
硝酸ナトリウムの濃度が、1.0〜6.0モル/リットルであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法。
【請求項9】
前記第1工程および第2工程における反応開始温度が50〜100℃であることを特徴とする請求項2ないし8のいずれかに記載の硝酸ナトリウム含有水溶液の処理方法。
【請求項10】
硝酸ナトリウムを含有する水溶液を触媒の存在下にギ酸により還元する第1反応槽と、この第1反応槽にギ酸を供給する第1還元剤供給槽と、前記第1反応槽で処理された処理液を濾過して触媒を分離するための第1触媒分離器を備えた第1還元処理装置と、
この第1還元処理装置で処理された処理液中の未反応硝酸ナトリウムを触媒の存在下でヒドラジンにより還元処理する第2反応槽と、この第2反応槽にヒドラジンを供給する第2還元剤供給槽と、前記第2反応槽で処理された処理液を濾過して触媒を分離するための第2触媒分離器を備えた第2還元処理装置を少なくとも有することを特徴とする硝酸ナトリウム含有水溶液の処理装置。
【請求項11】
硝酸ナトリウムを含有する水溶液を触媒の存在下にヒドラジンにより還元する第1反応槽と、この第1反応槽にヒドラジンを供給する第1還元剤供給槽と、前記第1反応槽で処理された処理液を濾過して触媒を分離するための第1触媒分離器を備えた第1還元処理装置と、
この第1還元処理装置で処理された処理液中の未反応硝酸ナトリウムを触媒の存在下でギ酸により還元処理する第2反応槽と、この第2反応槽にギ酸を供給する第2還元剤供給槽と、前記第2反応槽で処理された処理液を濾過して触媒を分離するための第2触媒分離器を備えた第2還元処理装置を少なくとも有することを特徴とする硝酸ナトリウム含有水溶液の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−23522(P2008−23522A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161308(P2007−161308)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000004411)日揮株式会社 (94)
【Fターム(参考)】