説明

硬化性トナー組成物およびプロセス

【課題】エマルジョン凝集トナーを製造するプロセスを提供する。
【解決手段】低コストおよび可とう性のために低い堆積高さが望ましいフレキシブル包装用途における使用を含む、低融点用途のために適合するトナーを開発することができる。実施形態では、EAトナーは、エマルジョンの粒径、利用する凝集剤の選択および量、ならびにエマルジョンの固形含量を最適化する工程によって調製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、トナープロセス、およびより詳細には、エマルジョン凝集および融合プロセス、ならびに当該プロセスによって形成されたトナー組成物ならびに当該トナーを使用する現像プロセスに向けられる。
【背景技術】
【0002】
約8ミクロン(μm)サイズのトナーを含む従来型トナーを用いた電子写真式デジタル印刷は、例えば、約300%〜約400%の表面被覆率に対する約12μm〜約14μmのように、高い表面被覆率に対して極めて高い堆積高さ(pile height)を生じさせる可能性がある。薄いフレキシブル包装基材上に印刷されると、この大きなトナー堆積高さは波状の巻取りロールを生じさせることがある。この波状のロールは、その後のフレキシブル包装作業には使用不能となることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,290,654号公報
【特許文献2】米国特許第5,278,020号公報
【特許文献3】米国特許第5,308,734号公報
【特許文献4】米国特許第5,370,963号公報
【特許文献5】米国特許第5,344,738号公報
【特許文献6】米国特許第5,403,693号公報
【特許文献7】米国特許第5,418,108号公報
【特許文献8】米国特許第5,364,729号公報
【特許文献9】米国特許第5,346,797号公報
【特許文献10】米国特許第5,348,832号公報
【特許文献11】米国特許第5,405,728号公報
【特許文献12】米国特許第5,366,841号公報
【特許文献13】米国特許第5,496,676号公報
【特許文献14】米国特許第5,527,658号公報
【特許文献15】米国特許第5,585,215号公報
【特許文献16】米国特許第5,650,255号公報
【特許文献17】米国特許第5,650,256号公報
【特許文献18】米国特許第5,501,935号公報
【特許文献19】米国特許第5,723,253号公報
【特許文献20】米国特許第5,744,520号公報
【特許文献21】米国特許第5,763,133号公報
【特許文献22】米国特許第5,766,818号公報
【特許文献23】米国特許第5,747,215号公報
【特許文献24】米国特許第5,827,633号公報
【特許文献25】米国特許第5,853,944号公報
【特許文献26】米国特許第5,804,349号公報
【特許文献27】米国特許第5,840,462号公報
【特許文献28】米国特許第5,869,215号公報
【特許文献29】米国特許第5,863,698号公報
【特許文献30】米国特許第5,902,710号公報
【特許文献31】米国特許第5,910,387号公報
【特許文献32】米国特許第5,916,725号公報
【特許文献33】米国特許第5,919,595号公報
【特許文献34】米国特許第5,925,488号公報
【特許文献35】米国特許第5,977,210号公報
【特許文献36】米国特許第6,730,450号公報
【特許文献37】米国特許第6,743,559号公報
【特許文献38】米国特許第6,756,176号公報
【特許文献39】米国特許第6,780,500号公報
【特許文献40】米国特許第6,830,860号公報
【特許文献41】米国特許第7,029,817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、フレキシブル包装用途のために適合する可能性がある、約3μm〜約4μmのサイズを有する小さなサイズのエマルジョン凝集(EA)トナーに対する必要が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の方法を利用すると、低コストおよび可とう性のために低い堆積高さが望ましいフレキシブル包装用途における使用を含む、低融点用途のために適合するトナーを開発することができる。実施形態では、EAトナーは、エマルジョンの粒径、利用する凝集剤の選択および量、ならびにエマルジョンの固形含量を最適化する工程によって調製することができる。
【0006】
実施形態では、本開示のプロセスは、少なくとも1つの結晶性ポリエステル樹脂を組み合わせた、少なくとも1つの非結晶性ポリエステル樹脂を含むエマルジョンが、所望により含んでよいワックス及び所望により含んでよい着色剤に接触し、前記エマルジョンが50nm〜200nmの粒径を有し、固形成分量が10重量%〜50重量%であり、凝集粒子を形成するために、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ臭化アルミニウム、ポリフッ化アルミニウム、ポリヨウ化アルミニウム、ポリケイ酸アルミニウム、ポリスルホケイ酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される凝集剤を、前記エマルジョンの粒子100質量部当たり、0.1質量部〜2質量部接触させて凝集し、前記凝集粒子を、光開始剤を組み合わせた、少なくとも1つの不飽和ポリマー樹脂と接触させて、前記凝集粒子を被覆するシェルを形成し、前記凝集粒子を融合してトナー粒子を形成し、前記トナー粒子を回収することを含むことができる。
【0007】
他の実施形態では、本開示のプロセスは、少なくとも1つの結晶性ポリエステル樹脂を組み合わせた、少なくとも1つの非結晶性ポリエステル樹脂を含むエマルジョンが、所望により含んでよいワックス及び所望により含んでよい着色剤に接触し、前記エマルジョンが50nm〜200nmの粒径を有し、固形成分量が10重量%〜50重量%であり、凝集粒子を形成するために、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ臭化アルミニウム、ポリフッ化アルミニウム、ポリヨウ化アルミニウム、ポリケイ酸アルミニウム、ポリスルホケイ酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される凝集剤の0.1質量部〜2質量部と、前記エマルジョンの粒子を接触させて凝集し、前記凝集粒子を、光開始剤を組み合わせた、少なくとも1つの不飽和ポリマー樹脂と接触させて、前記凝集粒子を被覆するシェルを形成し、前記凝集粒子を融合してトナー粒子を形成し、前記トナー粒子を回収し、前記トナー粒子を基材に付与し、及び前記トナー粒子を、非接触定着により前記基材に定着させて、前記基材上に画像を形成することを含むことができ、トナーが、20ggu〜100gguの光沢を有し、前記基材上の前記画像が1μm〜6μmのトナー堆積高さを有するプロセスであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】A〜Dは、本開示のトナーについての電荷および凝集試験データを描出するグラフである。
【図2】本開示の未硬化トナーおよび比較トナー上で実施されたドキュメントオフセット試験の結果を示すグラフである。
【図3】本開示の硬化トナーおよび比較トナー上で実施されたドキュメントオフセット試験の結果を示すグラフである。
【図4】本開示の未硬化トナーおよび比較トナー上で実施された、自動車取扱説明書のドキュメントオフセット試験の結果を示すグラフである。
【図5】本開示の硬化トナーおよび比較トナー上で実施された、自動車取扱説明書のドキュメントオフセット試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示によると、不飽和樹脂を少なくとも1つの紫外線(UV)開始剤と組み合わせて含む粒径の小さな低融点EAトナーが提供される。これらのトナーは、非接触型定着用途において利用することができる。実施形態では、本開示のトナー粒子は、コア/シェル構成を有することができる。
【0010】
実施形態では、本開示は、例えばエマルジョン凝集などの化学プロセスによって製造されるものを含む硬化性トナー組成物に関するが、このとき結果として生じるトナー組成物は、不飽和ポリエステル樹脂、光開始剤、所望によりワックス、および所望により着色剤を含んでいる。
【0011】
本開示のプロセスは、凝集ラテックス粒子を含むことができる。
【0012】
本明細書に例示したプロセスおよびトナー組成物によって入手されるトナーには多数の利点が結び付いている。本プロセスは、分級機を使用せずに、時には約1.2〜約1.25の狭い幾何学的標準偏差(GSD)と言われる狭いサイズ分布を備える、直径が2.5〜4.2μ、実施形態では約3μm〜約4μm、実施形態では約3.5μmのサイズにある粒子を調製することを可能にする。さらに、低融点または超低融点定着温度は、トナー組成物中に結晶性樹脂を使用することによって得ることができる。上記の低定着温度は、例えば約120℃〜約135℃などのより低い温度を発生させる紫外線による硬化を可能にする。本トナー組成物は、例えば約85℃までなどの高温ドキュメントオフセット特性、ならびにメチルエチルケトン(MEK)などの有機溶媒に対する耐性などの他の利点を提供する。
【0013】
実施形態では、本開示によって調製されたトーは、不飽和樹脂、UV開始剤およびシェルを含むUV硬化性低融点EAトナーであってよい。この樹脂に光開始剤を加えると、UV硬化性トナーを製造することができる。本開示のトナーは紫外線とともに使用される光開始剤を含むことができるが、相違する波長の赤外線(IR)放射体との非接触定着が発生する場合があるので、UV硬化が必要とされない可能性があることが見いだされている。
【0014】
本開示によると、所望のトナーは、エマルジョンの粒径、適切な凝集剤の使用、およびエマルジョンの固形含量を最適化する工程によって得ることができる。
【0015】
本開示のトナーは、トナーを形成する際に使用するために適合するいずれのラテックス樹脂を含むことができる。
【0016】
実施形態では、樹脂を形成するために利用できるポリマーは、ポリエステル樹脂であってよい。実施形態では、本樹脂は、所望により使用する触媒の存在下でジオールを二酸またはジエステルと反応させる工程によって形成されるポリエステル樹脂であってよい。
【0017】
トナーを形成する際には、1つ、2つ、またはそれ以上の樹脂を使用することができる。2つ以上の樹脂が使用される実施形態では、本樹脂は、例えば、約1%(第1樹脂)/99%(第2樹脂)〜約99%(第1樹脂)/1%(第2樹脂)、実施形態では約10%(第1樹脂)/90%(第2樹脂)〜約90%(第1樹脂)/10%(第2樹脂)などの適切な比率(例、重量比)にあってよい。
【0018】
実施形態では、本開示の適切なトナーは、2つの非結晶性ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含むことができる。3つの樹脂の重量比は、約29%の第1非結晶性樹脂/69%の第2非結晶性樹脂/2%の結晶性樹脂〜約60%の第1非結晶性樹脂/20%の第2非結晶性樹脂/20%の結晶性樹脂であってよい。
【0019】
上述したように、実施形態では、本樹脂は、エマルジョン凝集法によって形成することができる。当該方法を利用すると、本樹脂は樹脂エマルジョン中に存在してよく、これは次に本開示のトナーを形成するために他の成分および添加物と組み合わせることができる。
【0020】
本ポリマー樹脂は、固形分基準で、トナー粒子(すなわち、外添添加物を除いたトナー粒子)の約65〜約95重量%、または好ましくは約75〜約85重量%の量で存在してよい。結晶性樹脂対非結晶性樹脂の比率は、例えば、約5:95〜約25:75、一部の実施形態では約5:95〜約15:95などの約1:99〜約30:70の範囲内にあってよい。
【0021】
さらにまた低酸価であるポリマーは、照射下ではより優れた架橋結合結果を生じさせることもまた見いだされている。例えば、実施形態では、ポリマーの酸価が約0〜約40mgKOH/g、例えば約1〜約30mgKOH/g、実施形態では約10〜約20mgKOH/gであることが有用である。不飽和ポリマーの硬化を可能にするために、本開示のトナーはさらに光開始剤も含有することができる。
【0022】
実施形態では、本トナー組成物は、例えば紫外線開始剤などの光開始剤を、約0.5〜約15重量%、実施形態では約1〜約14重量%、または約3〜約12重量%で含有している。
【0023】
トナー組成物を形成するためには、上述した樹脂エマルジョンの樹脂、実施形態ではポリエステル樹脂を利用することができる。当該のトナー組成物は、所望により着色剤、ワックス、およびその他の添加物を含むことができる。トナーは、エマルジョン凝集法を含むがそれには限定されない、当業者の範囲内で任意の方法を利用して形成することができる。
【0024】
実施形態では、トナー組成物を形成するために利用される着色剤、ワックス、およびその他の添加物は、界面活性剤を含む分散剤中にあってよい。さらに、トナー粒子は、本トナーの樹脂およびその他の成分を1つ以上の界面活性剤中に加え、エマルジョンを形成し、トナー粒子を凝集し、融合し、所望により洗浄し、乾燥し、そして回収するエマルジョン凝集法によって形成することができる。
【0025】
1つ、2つ、またはそれ以上の界面活性剤を利用することができる。界面活性剤は、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤から選択することができる。アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤は、「イオン性界面活性剤」に包含される。実施形態では、界面活性剤は、トナー組成物中に約0.01〜約5重量%、例えばトナー組成物の約0.75%〜約4重量%、実施形態では本トナー組成物の約1%〜約3重量%の量で存在するように利用することができる。
【0026】
添加できる着色剤としては、例えば染料、顔料、染料の混合物、顔料の混合物、染料および顔料の混合物などの様々な公知の適切な着色料をトナー中に含めることができる。着色剤は、トナー中に、例えば、トナーの約0.1〜約35重量%、またはトナーの約1〜約15重量%、またはトナーの約3〜約10重量%の量で含めることができる。
【0027】
ポリマーバインダー樹脂および光開始剤に加えて、本開示のトナーは、さらに所望により、単独タイプのワックスもしくは2つまたはそれ以上の相違するワックスの混合物のいずれかであってよいワックスを含有している。単独のワックスは、例えば、トナー粒子の形状、トナー粒子表面上のワックスの存在および量、荷電および/または定着特性、光沢、ストリッピング、オフセット特性などのトナー特性を改善するためにトナー調製物へ加えることができる。または、トナー組成物へ複数の特性を提供するためにワックスの組み合わせを加えることができる。
【0028】
所望により、ワックスはさらに、トナー粒子を形成する際に本樹脂およびUV用添加物と組み合わせることができる。ワックスは、含められる場合は、トナー粒子の約1重量%〜約25重量%、実施形態ではトナー粒子の約5重量%〜約20重量%の量で存在してよい。
【0029】
トナー粒子は、当業者の範囲内にある任意の方法によって調製することができる。トナー粒子製造に関連する実施形態をエマルジョン凝集プロセスに関して記載するが、例えば化学的プロセスを含むトナー粒子を調製する任意の適切な方法を使用できる。実施形態では、トナー組成物およびトナー粒子は、サイズの小さな樹脂粒子が適切なトナー粒径へ凝集させられ、次に最終トナー粒子の形状および形態を達成するために融合させられる凝集および融合プロセスによって調製することができる。
【0030】
実施形態では、トナー組成物は、例えば、所望によりワックスおよびその他の所望もしくは所要の添加物の混合物、および上述した樹脂を含むエマルジョンを、所望によっては上述した界面活性剤中で凝集させる工程と、および次に前記凝集混合物を融合させる工程とを含むプロセスなどのエマルジョン−凝集プロセスによって調製することができる。混合物は、樹脂を含有する2つ以上のエマルジョンの混合物であってよいエマルジョンへ、所望により界面活性剤を含む分散液中にあってもよい所望によりワックスもしくはその他の材料を加える工程によって調製することができる。結果として生じる混合物のpHは、例えば酢酸、硝酸などの酸によって調整することができる。実施形態では、混合物のpHは、約2〜約4.5へ調整することができる。さらに、実施形態では、混合物は、均質化することができる。混合物が均質化される場合は、均質化は約600〜約4,000回転/分で混合する工程によって遂行することができる。
【0031】
上記の混合物の調製に続いて、前記混合物へ凝集剤を加えることができる。トナーを形成するためには、任意の凝集剤を利用することができる。適切な凝集剤には、例えば、二価カチオンもしくは多価カチオン材料の水溶液が含まれる。
【0032】
凝集剤は、例えば、約0.1pph(100重量部当たりの重量部)〜約1pph、実施形態では約0.25pph〜約0.75pph、一部の実施形態では約0.5pphの量でトナーを形成するために利用される混合物に加えることができる。これは、十分な量の凝集剤を提供する。
【0033】
トナーの光沢は、粒子内の例えばAl3+などの残留金属イオンの量によって影響を及ぼすことができる。残留金属イオンの量は、さらに、EDTAの添加によって調節することができる。実施形態では、本開示のトナー粒子中における例えばAl3+の残留架橋剤の量は、約0.1pph〜約1pph、実施形態では約0.25pph〜約0.8pph、実施形態では約0.5pphであってよい。
【0034】
粒子の凝集および融合を制御するためには、実施形態では、凝集剤は経時的に混合物中に測り入れることができる。例えば、凝集剤は、約5〜約240分間の期間、実施形態では約30〜約200分間の期間にわたって混合物中に測り入れることができる。凝集剤の添加は、混合物が攪拌条件下で維持される間に、実施形態では約50rpm〜約1,000rpm、他の実施形態では約100rpm〜約500rpmで、および上記で考察したように樹脂のガラス転移温度より低い温度、実施形態では約30℃〜約90℃、実施形態では約35℃〜約70℃の温度で実施することもできる。
【0035】
本粒子は、規定の所望の粒径が入手されるまで凝集させることができる。規定の所望サイズとは、形成に先行して決定されるような入手すべき所望の粒径を意味しており、粒径は成長プロセス中にそのような粒径に達するまで監視される。成長プロセス中にサンプルを採取し、例えばCoulter(コールター)カウンターを用いて、平均粒径について分析することができる。凝集はそこで、凝集粒子を提供するために、攪拌を維持しながら、上昇した温度を維持することによって、または温度を例えば約40℃から約100℃へ緩徐に上昇させ、そしてこの温度を約0.5時間〜約6時間、実施形態では約1時間〜約5時間の時間にわたって維持することによって進行させることができる。規定の所望の粒径に達すると、成長プロセスが停止される。実施形態では、規定の所望の粒径は、上記で言及したトナー粒径範囲内にある。
【0036】
凝集剤の添加後の粒子の成長および成形は、いずれの適切な条件下で遂行することができる。例えば、成長および成形は、凝集が融合からは別個に発生する条件下で実施することができる。個別の凝集および融合段階については、凝集プロセスは、上記で考察したように本樹脂のガラス転移温度より低くてよい例えば約40℃〜約90℃、実施形態では約45℃〜約80℃の高温の剪断条件下で実施することができる。
【0037】
実施形態では、凝集粒子は、約3μm未満、実施形態では約2μm〜約3μm、実施形態では約2.5μm〜約2.9μmのサイズであってよい。
【0038】
実施形態では、形成された凝集トナー粒子には所望のシェルを適用することができる。コア樹脂に適用できるいずれの樹脂も、シェル樹脂として利用することができる。シェル樹脂は、当業者の範囲内にあるいずれの方法によって凝集粒子に適用することができる。実施形態では、シェル樹脂は、上述したいずれの界面活性剤を含むエマルジョン中にあってよい。上述した凝集粒子は、樹脂が形成された凝集体上にシェルを形成するように、前記エマルジョンと結び付けることができる。実施形態では、非結晶性ポリエステルは、コア−シェル構造を有するトナー粒子を形成するために凝集体上にシェルを形成するために利用することができる。
【0039】
シェル樹脂は、トナー粒子の約10重量%〜約32重量%、実施形態ではトナー粒子の約24重量%〜約30重量%の量で存在してよい。実施形態では、上述した光開始剤は、シェル内に含めることができる。このように、光開始剤は、コア、シェル、または両方の中にあってもよい。光開始剤は、トナー粒子の約1重量%〜約5重量%、実施形態ではトナー粒子の約2重量%〜約4重量%の量で存在してよい。
【0040】
これらの樹脂を含むエマルジョンは、約5固形重量%〜約20固形重量%、実施形態では約12固形重量%〜約17固形重量%、実施形態では約13固形重量%の固形重量を有していてよい。
【0041】
トナー粒子の所望の最終サイズが達成されると、混合物のpHは塩基を用いて約6〜約10の数値、および実施形態では約6.2〜約7の数値へ調整することができる。pHの調整は、フリーズするため、すなわちトナーの成長を停止させるために利用することができる。トナーの成長を停止させるために利用される塩基は、いずれの適切な塩基、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、それらの組み合わせなどを含むことができる。実施形態では、pHを上述した所望の数値へ調整するのに役立つように、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を加えることができる。塩基は、混合物の約2〜約25重量%、実施形態では混合物の約4〜約10重量%の量で加えることができる。
【0042】
所望の粒径へ凝集した後、上述したような所望のシェルの形成に伴って、粒子は次に所望の最終形状に融合させることができ、融合は、例えば混合物を、可塑化を防止するために結晶性樹脂の融点未満であってよい約55℃〜約100℃、実施形態では約65℃〜約75℃、実施形態では約70℃の温度へ加熱する工程によって達成される。より高い、またはより低い温度を使用できるが、この温度はバインダーに使用される樹脂の関数であると理解されている。
【0043】
融合は、約0.1〜約9時間の期間、実施形態では約0.5〜約4時間の期間にわたって進行および遂行することができる。
【0044】
融合後、混合物は、例えば約20℃〜約25℃などの室温へ冷却させることができる。冷却する工程は、必要に応じて、迅速または緩徐であってよい。適切な冷却法は、反応器の周囲のジャケットへ冷水を導入する工程を含むことができる。冷却後、トナー粒子は、所望により水で洗浄し、その後乾燥させることができる。乾燥する工程は、例えば、フリーズドライする工程を含む、乾燥のためのいずれの適切な方法によって遂行することができる。
【0045】
本開示によると、エマルジョンの初期固形含量は、シェル添加および融合中には約5%〜約15%、実施形態では約7.5%〜約12.5%、一部の実施形態では約10%であろうが、驚くべきことに、エマルジョンの固形重量を少なくとも約13%の固形、実施形態では約13%〜約20%、他の実施形態では約14%〜約17%へ増加させることによってのみ狭いサイズ分布へ安定化および融合させられることが見いだされた。
【0046】
実施形態では、トナー粒子は、さらに所望もしくは必要に応じて、他の所望の添加物を含有することができる。例えば、トナーは、トナーの約0.1〜約10重量%、および実施形態では約0.5〜約7重量%の量で任意の公知の電荷添加物を含むことができる。
【0047】
表面添加物は、本開示のトナー組成物へ洗浄または乾燥させる工程後に加えることができる。表面添加物はトナーに対して、約0.1〜約10重量%の量で含むことができ、実施形態では約0.5〜約7重量%であってよい。
【0048】
トナー粒子の特性は、任意の適切な技術および装置によって決定することができる。体積平均粒径D50v、GSDv、およびGSDnは、製造業者の取扱説明書にしたがって操作されるBeckman Coulter Multisizer 3などの測定器械によって測定することができる。代表的なサンプリング工程は、次のように行うことができる。約1gの少量のトナーサンプルを入手して25μmスクリーンに通して濾過し、約10%の濃度を得るために等張溶液中に入れ、次にサンプルをBeckman Coulter Multisizer 3内で走査することができる。本開示によって製造されたトナーは、極度の相対湿度(RH)条件に曝露させたときに優れた帯電特性を有することができる。低湿度ゾーン(Cゾーン)は約10℃/15% RHであってよいが、高湿度ゾーン(Aゾーン)は約28℃/85% RHであってよい。本開示のトナーは、約−3μC/g〜約−35μC/gの親トナー電荷/質量比(Q/M)、および表面添加物混合後に−10μC/g〜約−45μC/gの最終トナー電荷をさらに有することができる。
【0049】
本開示の方法を利用すると、所望の光沢レベルを得ることができる。本開示のトナーの光沢レベルは、Gardner(ガードナー)光沢単位(ggu)によって測定した場合に、約20ggu〜約100ggu、実施形態では約50ggu〜約95ggu、実施形態では約60ggu〜約90gguの光沢を有することができる。
【0050】
実施形態では、本開示のトナーは、超低融点(ULM)トナーとして利用できる。実施形態では、外部表面添加物を含んでいない乾燥トナー粒子は、以下の特性を有することができる。
【0051】
(1)約2.5〜約20μm、実施形態では約2.75〜約10μm、他の実施形態では約3〜約7.5μmの体積平均径(「体積平均粒径」とも呼ばれる)。
【0052】
(2)約1.18〜約1.30、実施形態では約1.21〜約1.24の数平均幾何標準偏差(GSDn)および/または体積平均標準偏差(GSDv)。
【0053】
(3)約0.9〜約1(例えば、Sysmex FPIA 2100分析装置を用いて測定する)、実施形態では約0.95〜約0.985、他の実施形態では約0.96〜約0.98の真円度。
【0054】
(4)約45℃〜約60℃、実施形態では約48℃〜約55℃のガラス転移温度。
【0055】
(5)トナー粒子は、約1.3〜約6.5m2/gの、周知のBET法によって測定される表面積を有することができる。例えば、シアン、イエローおよびブラックのトナー粒子については、BET表面積は、2m2/g未満、例えば約1.4〜約1.8m2/g、およびマゼンタトナーについては約1.4〜約6.3m2/gであってよい。
【0056】
実施形態では、トナー粒子がDSCによって測定される別個の結晶性ポリエステルおよびワックス融点および非結晶性ポリエステルガラス転移温度を有すること、ならびに融点およびガラス転移温度は非結晶性もしくは結晶性ポリエステルの可塑化によって、または光開始剤、またはワックスによって実質的に低下させられないことが望ましい場合がある。非可塑化を達成するために、結晶性成分、光開始剤およびワックス成分の融点より低い融合温度でエマルジョン凝集を実施することが望ましい場合がある。
【0057】
このようにして形成されたトナー粒子は、現像剤組成物に調製することができる。トナー粒子は、2成分現像剤組成物を達成するためにキャリア粒子と混合することができる。現像剤中のトナー濃度は、現像剤の総重量の約1%〜約25重量%、実施形態では現像剤の総重量の約2%〜約15重量%であってよい。
【0058】
選択されたキャリア粒子は、コーティングを伴って、またはコーティングを伴わずに使用できる。実施形態では、キャリア粒子は、帯電列においてそれの近位にはないポリマーの混合物から形成することができるコーティングを被覆したコアを含むことができる。
【0059】
実施形態では、PMMAは所望により、結果として生じるコポリマーが適切な粒径を保持する限り、いずれの所望のコモノマーと共重合することができる。キャリア粒子は、キャリアコアをコーティングされたキャリア粒子の重量に対して、約0.05〜約10重量%、実施形態では約0.01〜約3重量%の量にあるポリマーと、機械的衝撃および/または静電引力によるキャリアコアへのその付着が生じるまで混合する工程によって調製することができる。
【0060】
ポリマーをキャリアコア粒子の表面に付与するために、例えば、カスケードロール混合法、タンブリング法、ミリング法、シェーキング法、静電パウダークラウドスプレー法、流動床法、静電ディスク加工処理法、静電カーテン法、それらの組み合わせなどの様々な有効で適切な手段を使用できる。キャリアコア粒子およびポリマーの混合物は、次にポリマーを融解させてキャリアコア粒子へ定着させることを可能にするために加熱することができる。コーティングされたキャリア粒子は次に冷却し、その後で所望の粒径に分級することができる。
【0061】
実施形態では、適切なキャリアには鋼コアが含まれ、例えば、約25μm〜約100μmのサイズ、実施形態では約50μm〜約75μmのサイズであってよく、米国特許第5,236,629号公報及び米国特許第5,330,874号公報に記載の方法に従って、約0.5重量%〜約10重量%、実施形態では約0.7重量%〜約5重量%の導電性ポリマー混合物で被覆されてよく、該導電性ポリマー混合物は、例えば、メチルアクリレート及びカーボンブラックを含む。
【0062】
キャリア粒子は、様々な適切な組み合わせでトナー粒子と混合することができる。濃度は、トナー組成物の約1重量%〜約20重量%であってよい。しかし、所望の特性を備える現像剤組成物を達成するためには、様々なトナーおよびキャリアパーセンテージを使用できる。
【0063】
トナーは、静電写真または電子写真プロセスのために利用でき、米国特許第4,295,990号公報に記載のプロセスが挙げられる。実施形態では、画像現像装置としていずれの公知の画像現像システムも使用することができ、例えば、磁気ブラシ現像、一成分ジャンピング現像、ハイブリッドスカベンジレス現像(HSD)などが挙げられる。これらの現像システム及び同様の現像システムは当業者の範囲内である。
【0064】
撮像プロセスには、例えば、帯電コンポーネント、撮像コンポーネント、光伝導コンポーネント、現像コンポーネント、転写コンポーネント、および定着コンポーネントを含む電子写真デバイスを用いて画像を調製する工程が含まれる。実施形態では、現像コンポーネントは、キャリアを本明細書に記載したトナー組成物と混合する工程によって調製される現像剤を含むことができる。電子写真デバイスは、高速プリンター、モノクロ高速プリンター、カラープリンターなどを含むことができる。
【0065】
画像が例えば上記の方法のうちのいずれか1つなどの適切な画像現像法によってトナー/現像剤を用いて形成されると、この画像は次に例えば紙などの受像媒体へ転写ことができる。実施形態では、トナーは、定着ロール(fuser roll)部材を利用して現像デバイスにおいて画像を現像する際に使用することができる。定着ロール部材は、ロールからの熱および圧力が受像媒体へトナーを定着させるために使用できる当業者の範囲内にある接触定着デバイスである。実施形態では、定着部材は、受像基材上に融解した後又は融解中に、トナーの定着温度より高い温度に加熱され、例えば、約70℃〜約160℃、実施形態では、約80℃〜約150℃、さらに他の実施形態では、約90℃〜約140℃に加熱され得る。
【0066】
実施形態では、トナー画像の定着は、例えば加熱した加圧ローラーの使用によるなどの加熱加圧併用定着などのいずれの従来型手段によって実施することができる。そのような定着工程は、光開始剤を活性化し、そしてトナー組成物中に含有される不飽和ポリマーの架橋結合もしくは硬化を誘発するための、紫外線照射工程などの照射工程を含むことができる。この照射工程は、例えば、従来型定着が実施される同一定着ハウジングおよび/または工程において実施することができる。または別個の照射定着機構および/または工程で実施することができる。一部の実施形態では、この照射工程は、トナーの非接触定着を提供することができるので、従来型加圧定着は必要とされなくなる可能性がある。
【0067】
例えば、実施形態では、照射は、従来型定着が実施される同一定着ハウジングおよび/または工程において実施することができる。実施形態では、照射定着は従来型定着と実質的に同時に実施することができ、例えば、照射源を加熱加圧ロールアセンブリの直前又は直後に配置して実施できる。照射は加熱加圧ロールアセンブリの直後に配置するのが好ましく、これにより、すでに定着した画像中で架橋が生じる。
【0068】
他の実施形態では、照射は、従来型定着の定着ハウジングおよび/または工程とは別個の定着ハウジングおよび/または工程において実施することができる。例えば、照射定着は、加熱加圧ロール定着などの従来型定着とは別個のハウジング内で実施することができる。すなわち、従来、定着した画像は他の現像装置又は同一現像装置内の別の部材に移送されて、照射定着される場合があった。このように、照射定着は任意の工程として実施することができ、例えば、高度な高温記録オフセット特性が要求される照射硬化性画像には実施され、そのような高度な高温記録オフセット特性が要求されない照射硬化性画像には実施しないことができる。従来の定着工程は湿潤性の用途に対して、許容可能な定着画像特性を提供するが、任意の照射性硬化は、より厳しい又はより高温環境化に曝される画像に対して実施することができる。
【0069】
他の実施形態では、トナー画像は従来の加圧定着を行わずに、照射と所望によっては加熱によって定着させることができる。これは実施形態では、非接触定着であってよい。照射定着はいずれの適切な照射装置により、及び適切なパラメーター条件下で、不飽和ポリマーの所望の程度の架橋を生じるように実施することができる。適切な非接触定着方法は、当業者の範囲内であり、実施形態では、フラッシュ定着、ラジアント定着及び/又はスチーム定着が含まれる。
【0070】
実施形態では、定着のためのエネルギー源は、紫外又は可視領域に波長を有する照射などの光線、電子線照射などの加速粒子、熱又は赤外線放射などの熱等であってよい。実施形態ではエネルギーは光線であってよい。適切な光線源には、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、タングステン電球、レーザー、太陽光等が挙げられる。
【0071】
他の実施形態では、非接触定着は、波長約750nm〜約4000nm、実施形態では約900nm〜約3000nmの赤外線を、約20ミリ秒〜約4000ミリ秒、実施形態では約500ミリ秒〜約1500ミリ秒の時間、トナーに照射して実施してもよい。
【0072】
熱がさらに付与される場合は、画像は、例えば紫外線もしくは赤外線などの照射によって、例えば100℃〜約250℃、例えば約125℃〜約225℃、または約150℃もしくは約160℃〜約180℃もしくは約190℃へなどの加熱環境において定着させることができる。
【0073】
上記画像を形成するための例示的装置は、実施形態では、加熱部材を備える加熱装置、所望によっては接触定着器、例えばラジアント定着器などの非接触定着器、所望によっては基材予備加熱器、画像支持部材予備加熱器、並びにトランスフューザーを含むことができる。
【0074】
実施形態では、本開示のトナーとともに使用するための適切な静電写真装置は、上述した光線を利用する実施形態において、内部にトナー補給品を保持するためのチャンバーを規定するハウジングと、その表面上の前記トナーを潜像に向かう第1方向に前記ハウジングの前記チャンバーから前進させるための前進部材と、基材、実施形態では可とう性基材へトナーを移送するための移送ステーションであって、印刷基材と画像保持部材との間の実質的に均一な接触を提供するための移送支援部材を含む移送ステーションと、前記潜像を現像するためのトナーを有する現像ユニットと、および前記トナーを前記可とう性基材へ、実施形態では光を用いて定着させるための定着部材と、を含むことができる。
【0075】
照射定着が光開始剤含有トナー組成物に適用される場合は、結果として生じる定着画像には、非ドキュメントオフセット特性が付与され、すなわち、画像は約90℃まで、例えば約85℃まで、または約80℃までの温度でドキュメントオフセットを示さない。結果として生じる定着画像は、従来型定着トナー画像に比較して改良された摩耗および引掻き抵抗性を示す。そのような改良された摩耗および引掻き抵抗性は、ブックカバーや封筒を製造する際、ならびに摩耗および引掻きが品目の視覚的外観を減少させるであろう他の用途において使用するために有益である。溶媒に対する改良された抵抗性もまた提供されるが、これはさらに例えば封筒などの使用のためにも有益である。これらの特性は特に、例えば典型的にはグローブ・ボックス内の高温に曝露させられる自動車取扱説明書またはヒートシール処理に抵抗できなければならない印刷包装材料などの、高温環境に抵抗できなければならない画像のために有用である。
【0076】
実施形態では、UV照射は、定着のために個別に、または上述したように赤外線と併用して適用することができる。実施形態では紫外線下での、例えば約20〜約70m/分などの高速コンベヤーを用いて中圧水銀ランプからの紫外線照射を使用することができるが、他方UV照射は、約1秒間未満にわたり約200〜約500nmの波長で提供される。実施形態では、高速コンベヤーの速度は、約10〜約50ミリ秒(ms)にわたり約200〜約500nmの波長のUV光下で約15〜約35m/分であってよい。UV光源の発光スペクトルは、一般にUV開始剤の吸収スペクトルに重複する。所望による硬化装置には、UV光を集束もしくは拡散させるための反射体、およびUV光源からの熱を取り除くための冷却システムが含まれるがそれらに限定されない。当然ながら、これらのパラメーターは、単に例示に過ぎず、実施形態はそれには限定されない。さらに、プロセスにおける変更には、光源波長、所望による予備加熱、複数の光開始剤の使用を含む代替光開始剤などの改変を含むことができる。
【0077】
そこで、画像を基材へ定着させるために適用すべき光線は、約200nm〜約4,000nmであってよい。
【0078】
本開示のトナーは、ゼログラフィー用途以外の用途を含む、トナーを用いて画像を形成するための任意の適切な方法において使用できることが想定されている。
【0079】
本開示のトナーを利用すると、画像は、約1μm〜約6μm、実施形態では約2μm〜約4μmのトナー堆積高さを有する可とう性基材を含む基材上に形成することができる。
【実施例1】
【0080】
(非結晶性樹脂−光開始剤エマルジョンの調製)
約816.67gの酢酸エチルを以下の式(I)を有する、ガラス転移温度が約56℃の、約125gのポリ(プロポキシル化ビスフェノールAフマレート共重合体)樹脂に加えた。
【化1】

【0081】
メカニカルスターラーおよび蒸留装置を装備した1L(リットル)入りケトルに、Reichold社から入手した、酸価が、約14.08g/KOHの、約192gの上記のポリエステル、Ciba Geigy社から入手した約8gのIRGACURE 814、約100gのメチルエチルケトン(MEK)、および約2.5gのイソプロパノールを装填した。この混合液を約45℃で約3時間にわたり約350rpmで攪拌すると、その間に樹脂および光開始剤は有機溶媒中に完全に溶解した。次にこの混合液へ約9gの10%水酸化アンモニウム水溶液を10分間かけて加え、次に約4g/分の速度で約600gの水を加える(ポンプを利用して滴下する)と、ポリエステル分散液が生成された。この反応器を次に、蒸留して有機溶媒を除去するために約85℃へ加熱した。生じた樹脂分散液は、水中に約24.47固形重量%で含まれ、HONEYWELL MICROTRAC(登録商標)UPA 150粒径分析装置を用いて測定すると約138.8nm(ナノメートル)の体積平均径を備えていた。
【実施例2】
【0082】
(結晶性樹脂エマルジョンの調製)
約816.67gの酢酸エチルを以下の式(II)を有する約125gのコポリ(エチレン−ドデカノエート)−コポリ(エチレン−フマレート)樹脂に加えた。
【化2】

【0083】
この樹脂をホットプレート上で約65℃へ加熱し、約200rpmで攪拌することによって溶解させた。この溶液が約65℃に達したら、別個の4L入りガラス製反応器容器中で、(約17の酸価に対して)約3.05gの重炭酸ナトリウムを約708.33gの脱イオン水に加えた。この水溶液を約200rpmで攪拌しながらホットプレート上で約65℃へ加熱した。この水溶液を含有する4L入りガラス製反応器へ溶解した樹脂および酢酸エチル混合液を約4,000rpmで均質化しながら緩徐に注入した。ホモジナイザーの速度を約10,000rpmへ上昇させ、約30分間にわたり維持した。
【0084】
均質化した混合液は、約200rpmで攪拌しながら、熱ジャケット付きPYREX(登録商標)製蒸留装置に入れた。この温度を約1℃/分の速度で約80℃へ上昇させた。酢酸エチルは、この混合液から約120分間にわたり約80℃で蒸留した。この混合液を約40℃未満へ冷却し、次に20μ(ミクロン)スクリーンに通して選別した。この混合液のpHは、約4%のNaOH溶液を用いて約7へ調整し、遠心分離した。
【0085】
生じた樹脂分散液は、水中に約33.5固形重量%で含まれ、HONEYWELL MICROTRAC(登録商標)UPA 150を用いて測定すると約205nmの体積平均径を備えていた。
【実施例3】
【0086】
実施例1に記載の約82%のポリエステル−光開始剤樹脂、約12%の結晶性ポリエステル樹脂、および約6.0%のシアン顔料であるPigment Blue 15:3を含むエマルジョン凝集トナーを調製した。このトナーは、シェル内に約28%のポリエステル−光開始剤樹脂を有していた。
【0087】
2L入りケトルに、実施例1に記載の約224gのポリエステルエマルジョン(約24.47%の固形、約138.8nmの粒径を有する)を装填した。これにPigment Blue 15:3としてSun Chemical社から入手できる約15%固形分の約44.8gのシアン顔料分散液、約175gのミリポア水、および約2.9gのDOWFAX(商標)2A1界面活性剤(Dow Chemical社からのアルキルジフェニルオキシドジスルホネート)(約47.1%水溶液))を約100rpmで攪拌しながら加えた。この混合液に、約33.5%の固形含量を有する実施例2に記載の約34.9gの結晶性ポリエステル樹脂エマルジョンを加えた。次にこれに約4.2のpHが達成されるまで0.3M硝酸溶液を加え、次に約2,000rpmで均質化した。これに硫酸アルミニウム(約0.5pph)を加え、ホモジナイザーの速度を硫酸アルミニウム添加終了時には約4,200rpmへ増加させた。
【0088】
この混合液をオーバーヘッド式スターラーを用いて約450rpmで攪拌し、加熱マントル内に入れた。約30分間の時間をかけてこの温度を約30℃へ上昇させると、その時間中に粒子は3μmを少し下回るまでに成長した。
【0089】
約50gのミリポア水および約1.2gのDOWFAX(商標)2A1界面活性剤と一緒に実施例1に記載の約115gのポリエステルエマルジョンを含むシェル溶液のpHは、0.3M硝酸を用いて約4.2へ調整した。このシェル溶液を次に2L入りケトルへ加えた。次に約3.5μの粒径に到達するまで、温度を2℃ずつ上昇させた。これはおよそ38℃で発生した。粒径を固定する(それ以上の成長を防止する)ために、混合液のpHが約4になるまで水中に水酸化ナトリウムを含む溶液(約4重量%のNaOH)を加えた。
【0090】
これに続いて、アルミニウムを除去するために約1.6g(0.75pph)のキレート剤であるEDTAを加え、4%のNaOHを用いてpHをさらに7.2へ調整した。これらの添加中に、攪拌速度は徐々に約160rpmへ低下させた。この混合液を次に約60分間かけて約63℃へ、さらに約30分間かけて約70℃へ加熱した。pHは、酢酸ナトリウムおよび酢酸のバッファー水溶液の添加によって、約0.2pH単位ずつ低下させた(最初のバッファーのpHは、所望のバッファー比を達成するために酢酸を用いて約5.9へ調整した)。これらのpH低下は、約6.2の最終pHに到達するまで、約44℃、約50℃、約56℃、約62℃および約68℃で発生した。これらの混合液は、約70℃の最終温度および約6.2のpHで融合するように設定した。生じたトナー粒子は球状の形態を有し、約1.22のGSDを備える約3.68μmの粒径を示した。
【実施例4】
【0091】
実施例1に記載の約83.7%のポリエステル−光開始剤樹脂、約11.8%の結晶性ポリエステル樹脂、および約5.5%のRegal 330カーボンブラック顔料を含むエマルジョン凝集トナーを調製した。このトナーは、シェル内に約28%のポリエステル−光開始剤樹脂を有していた。
【0092】
2L入りケトルに、実施例1に記載の約224gのポリエステルエマルジョン(約24.47%の固形、および約138.8nmの粒径を有する)を装填した。これにCabot Corporation社から入手できる約21.4%固形分の約27.6gのRegal 330カーボンブラック分散液、約175gのミリポア水、および約2.9gのDOWFAX(商標)2A1界面活性剤(Dow Chemical社からのアルキルジフェニルオキシドジスルホネート)(約47.1%水溶液))を約100rpmで攪拌しながら加えた。この混合液に、約33.5%の固形含量を有する実施例2に記載の約35.3gの結晶性ポリエステル樹脂エマルジョンを加えた。次にこれに約4.2のpHが達成されるまで0.3M硝酸溶液を加え、次に約2,000rpmで均質化した。これに硫酸アルミニウム(約0.5pph)を加え、ホモジナイザーの速度を硫酸アルミニウム添加終了時には約4,200rpmへ増加させた。
【0093】
この混合液をオーバーヘッド式スターラーを用いて約450rpmで攪拌し、加熱マントル内に入れた。この温度を約30分間の時間をかけて約30℃へ上昇させ、その時間中に粒子は3μmを少し下回るまでに成長した。
【0094】
約50gのミリポア水および約1.2gのDOWFAX(商標)2A1界面活性剤と一緒に実施例1に記載の約112gのポリエステルエマルジョンを含むシェル溶液のpHは、0.3M硝酸を用いて約4.2へ調整した。このシェル溶液を次に2L入りケトルへ加えた。次に約3.5μmの粒径に到達するまで、温度を2℃ずつ上昇させた。これはおよそ38℃で発生した。粒径を固定する(それ以上の成長を防止する)ために、混合液のpHが約4になるまで水中に水酸化ナトリウムを含む溶液(約4重量%のNaOH)を加えた。
【0095】
これに続いて、アルミニウムを除去するために約1.6g(0.75pph)のキレート剤であるEDTAを加え、4%のNaOHを用いてpHをさらに7.2へ調整した。これらの添加中に、攪拌速度は徐々に約160rpmへ低下させた。この混合液を次に約60分間かけて約63℃へ、さらに約30分間かけて約70℃へ加熱した。pHは、酢酸ナトリウムおよび酢酸のバッファー水溶液の添加によって、約0.2pH単位ずつ低下させた(最初のバッファーのpHは、所望のバッファー比を達成するために酢酸を用いて約5.9へ調整した)。これらのpH低下は、約6.1の最終pHに到達するまで、約44℃、約50℃、約56℃、約62℃および約70℃で発生した。これらの混合液は、約70℃の最終温度および約6.2のpHで融合するように設定した。生じたトナー粒子は球状の形態を有し、約1.21のGSDを備える約3.42μmの粒径を示した。
【実施例5】
【0096】
実施例1に記載の約81.4%のポリエステル−光開始剤樹脂、約11.6%の結晶性ポリエステル樹脂、および約7%のイエロー顔料を有するエマルジョン凝集トナーを調製した。このトナーは、シェル内に約28%のポリエステル−光開始剤樹脂を有していた。
【0097】
2L入りケトルに、実施例1に記載の約220gのポリエステルエマルジョン(約24.47%の固形、および約138.8nmの粒径を有する)を装填した。これに約18.7%の固形の約40.8gのPigment Yellow 74分散液、約175gのミリポア水、および約2.9gのDOWFAX(商標)2A1界面活性剤(Dow Chemical社からのアルキルジフェニルオキシドジスルホネート)(約47.1%水溶液)を約100rpmで攪拌しながら加えた。この混合液に、約33.5%の固形含量を備える実施例2に記載の約34.6gの結晶性ポリエステル樹脂エマルジョンを加えた。次にこれに、約4.2のpHが達成されるまで0.3M硝酸溶液を加え、次に約2,000rpmで均質化した。これに硫酸アルミニウム(約0.5pph)を加え、ホモジナイザーの速度を硫酸アルミニウム添加終了時には約4,200rpmへ増加させた。
【0098】
この混合液をオーバーヘッド式スターラーを用いて約450rpmで攪拌し、加熱マントル内に入れた。この温度を約30分間の時間をかけて約30℃へ上昇させ、その時間中に粒子は3μmを少し下回るまでに成長した。
【0099】
約50gのミリポア水および約1.2gのDOWFAX(商標)2A1界面活性剤と一緒に実施例1に記載の約110gのポリエステルエマルジョンを含むシェル溶液のpHは、0.3M硝酸を用いて約4.2へ調整した。このシェル溶液を次に2L入りケトルへ加えた。次に約3.5μmの粒径に到達するまで、温度を2℃ずつ上昇させた。これはおよそ38℃で発生した。混合液のpHが約4になるまで、粒径を固定する(それ以上の成長を防止する)ために、水中に水酸化ナトリウムを含む溶液(約4重量%のNaOH)を加えた。
【0100】
これに続いて、アルミニウムを除去するために約1.6g(0.75pph)のキレート剤であるEDTAを加え、4%のNaOHを用いてpHをさらに7.2へ調整した。これらの添加中に、攪拌速度は徐々に約160rpmへ低下させた。この混合液を次に約60分間かけて約63℃へ、さらに約30分間かけて約70℃へ加熱した。pHは、酢酸ナトリウムおよび酢酸のバッファー水溶液の添加によって、約0.2pH単位ずつ低下させた(最初のバッファーのpHは、所望のバッファー比を達成するために酢酸を用いて約5.9へ調整した)。これらのpH低下は、約6.0の最終pHに到達するまで、約44℃、約50℃、約56℃、約62℃および約72℃で発生した。これらの混合液は、約72℃の最終温度および約6.1のpHで融合するように設定した。生じたトナー粒子は球状の形態を有し、約1.23のGSDを備える約3.53μmの粒径を示した。
【実施例6】
【0101】
実施例1に記載の約78.8%のポリエステル−光開始剤樹脂、約11.2%の結晶性ポリエステル樹脂、および約10%のマゼンタ顔料を有するエマルジョン凝集トナーを調製した。このトナーは、シェル内に約28%のポリエステル−光開始剤樹脂を有していた。
【0102】
2L入りケトルに、実施例1に記載の約218gのポリエステルエマルジョン(約24.47%の固形、および約138.8nmの粒径を有する)を装填した。これに入手できる約17.2%の固形の約58.14gのPigment Red 269/122 Magenta分散液、約175gのミリポア水、および約2.9gのDOWFAX(商標)2A1界面活性剤(Dow Chemical社からのアルキルジフェニルオキシドジスルホネート)(約47.1%水溶液))を約100rpmで攪拌しながら加えた。この混合液に、約33.5%の固形含量を有する実施例2に記載の約33.4gの結晶性ポリエステル樹脂エマルジョンを加えた。次にこれに、約4.2のpHが達成されるまで0.3M硝酸溶液を加え、次に約2,000rpmで均質化した。これに硫酸アルミニウム(約0.5pph)を加え、ホモジナイザーの速度を硫酸アルミニウム添加終了時には約4,200rpmへ増加させた。
【0103】
この混合液をオーバーヘッド式スターラーを用いて約450rpmで攪拌し、加熱マントル内に入れた。この温度を約30分間の時間をかけて約30℃へ上昇させ、その時間中に粒子は3μmを少し下回るまでに成長した。
【0104】
約50gのミリポア水および約1.2gのDOWFAX(商標)2A1界面活性剤と一緒に実施例1に記載の約109gのポリエステルエマルジョンを含むシェル溶液のpHは、0.3M硝酸を用いて約4.2へ調整した。このシェル溶液を次に2L入りケトルへ加えた。次に約3.5μmの粒径に到達するまで、温度を2℃ずつ上昇させた。これはおよそ38℃で発生した。粒径を固定する(それ以上の成長を防止する)ために、混合液のpHが約4になるまで水中に水酸化ナトリウムを含む溶液(約4重量%のNaOH)を加えた。
【0105】
これに続いて、アルミニウムを除去するために約1.6g(0.75pph)のキレート剤であるEDTAを加え、4%のNaOHを用いてpHをさらに7.2へ調整した。これらの添加中に、攪拌速度は徐々に約160rpmへ低下させた。この混合液を次に約60分間かけて約63℃へ、さらに約30分間かけて約70℃へ加熱した。pHは、酢酸ナトリウムおよび酢酸のバッファー水溶液の添加によって、約0.2pH単位ずつ低下させた(最初のバッファーのpHは、所望のバッファー比を達成するために酢酸を用いて約5.9へ調整した)。これらのpH低下は、約6.1の最終pHに到達するまで、約44℃、約50℃、約56℃、約62℃および約70℃で発生した。これらの混合液は、約71℃の最終温度および約6.0のpHで融合するように設定した。生じたトナー粒子は球状の形態を有し、約1.25のGSDを備える約3.57μmの粒径を示した。
【表1】

【0106】
(ベンチq/dおよび凝集試験結果)
各トナーサンプルは、約15,000rpmで約30秒間にわたりサンプルミル上でブレンドした。現像剤サンプルは、約0.5gのトナーサンプルおよび約10gのキャリアを用いて調製した。重複現像剤サンプル対は、評価した各トナーについて上記のとおりに調製した。この対の1つの現像剤はAゾーン環境室(28℃/58%RH)内で一晩状態調節し、もう1つの現像剤はCゾーン環境室(10℃/15%RH)内で一晩状態調節した。翌日、現像剤サンプルを密封し、約2分間にわたり攪拌し、次にターブラ(Turbula)ミキサーを用いて約1時間にわたり混合した。2分間の攪拌および1時間の混合後、トナー摩擦電気電荷は100V/cmの電場を用いて電荷スペクロトグラフで測定した。トナー電荷(q/d)は、トナー電荷分布の中点として視覚的に測定した。電荷は、ゼロ線からの移動をmmで報告した。1時間の混合後、追加の0.5gのトナーサンプルを既に帯電した現像剤に加え、さらに15秒間混合したが、このときq/d移動を再び測定し、次にさらに45秒間混合し(計1分間の混合)、そしてさらにq/d移動を測定した。
【0107】
最終トナーの帯電は、より小さな粒径について比例してスケーリングされた、キャリアTK748(35μm、Core−EFC35B(Li−Mnフェライト)、1.6%のRSM1585(メタクリレートコポリマー−CHMA/DMAEMA=99/1)、0.27%のカーボンブラック顔料、より詳細にはCabot社によってVULCAN(登録商標)XC72Rとして販売された導電性カーボンブラック顔料、0.21%のEposter S CCA(メラミンホルムアルデヒド))、および添加物パッケージ(0.88%のJMT2000(15μmのチタニア)、1.71%のRY50(40μmのシリカ)、1.73%のX24(93μm〜130μmのSiO2ゾルゲル)、0.55%のE10(CeO2)、0.9%のUADD(10〜25μmのワックス))を用いて測定した。
【0108】
より小さな粒径を考察すると、全てのトナー電荷レベルおよび電荷分布幅(「エラー」バー、混合、およびRH感受性によって示される)は、許容レベル範囲内にあった。2分後および60分後の電荷レベルは、約−4から約−11の所望範囲内に近かった。
【0109】
添加物電荷および凝集試験データは、図1A〜1Dに示した。図1Aはシアントナーについてである(実施例3);1Bはブラックトナーについてである(実施例4);1Cはマゼンタトナーについてである(実施例6);および1Dはイエロートナーについてである(実施例5)。
【0110】
凝集試験結果は、スチレン/ブチルアクリレートコポリマーをベースとする樹脂を含む、市販で入手できるエマルジョン凝集トナーであるXerox Corporation社製のDocuColor 250(比較トナー)と比較した。以下の表2から明らかなように、本開示のUV硬化性トナーは、市販で入手できるトナーと比較して有意に低い凝集を示した。より小さなサイズのトナーは典型的には不良な凝集を有するために、これは予想外であった。
【表2】

【0111】
(定着試験結果)
未定着画像を、改変したDC−12プリンターを用いて、2つの基材(Xerox社製の非コートCX+90gsm紙(P/N 3R11540))と、DCEG 120gsmコート紙(3R11450)へ付与した。0.50±0.02mg/cm2の目標TMAが達成された。画像の非接触定着は、輻射ヒーター下の単回通過、および直後に高強度UV光源の露光を行うことによって達成された。試験装置において使用されたIRエミッターは、2個のHeraerusツインカーボン(2μのピーク波長)管形電球であった。プリントサンプルは60mm/秒でIRおよびUV露光ステーション下で運ばれた(注意:追加の電球がある場合はより高速を使用できよう)。UV露光は、「H」中圧水銀ランプを有していた定着UV試験システムであるモデル300(300ワット/インチ−サンプルは照射器から53mm、2つのUV電球)を用いて実施した。J/cm2で測定したUV出力は、0.126(A波長)、0.119(B)、0.013(C)および0.082(V)であった。
【0112】
(クリース(crease)試験)
基材へのトナー密着性を評価するために、標準クリース領域試験方法を使用した。試験サンプルを半分に折り畳み、クリースツール(約960mの金属シリンダ)を折った部分上に転がした。試験シートの折り畳みを広げ、こぼれているトナーを除去するために波面上を綿ボールで拭った。クリース領域の評価は、画像分析システムを用いて実施した。(標準クリース領域目標値は、(通常紙について)85以下である)。本開示のトナーについて得られた全ての測定値はこの要件を超え、CX+紙についての結果は、全トナーについて本質的に0であった。これらの結果は、以下の表3に要約した。
【表3】

【0113】
(文書のオフセット試験)
文書のオフセット試験は、画像の堅牢性を評価するために実施した。本試験は、倉庫またはその他の保管領域で経験する可能性がある条件をシミュレーションした。非接触定着印刷セクション、トナー−トナーのセクション、およびトナー−紙のセクションは5cm×5cmの試験シートから切断し、ガラス板上に配置した。次にガラススライドを試験サンプル(非コート紙サンプル)の上に載せ、その後に約80g/cm2(2,000g質量)のトナーサンプルを加え、このサンプルを約60℃に設定した温度および約50%の相対湿度を備えるHotpac環境室内に約24時間にわたり配置した。
【0114】
文書のオフセット試験サンプルを冷却し、次にトナーシートを上に向けて一定速度で注意深く剥がした(約180°の剥離角度)。文書のオフセットの損傷は、標準画像基準(SIR)文書を用いて評価した。5と示したサンプルのSIRランクは損傷していなかったが、1のSIRランクは有意な量の損傷を示した。図2に示した未硬化サンプルについての結果は、有意な量の文書のオフセットの損傷を示した(SIRは1.5および1であった)。トナー−トナーイエロートナーについて観察された高いランクは、イエローのトナー損傷を評価することが困難なためであった。図3に示した結果である硬化画像は、トナー−トナー接触またはトナー−紙接触についての損傷を全く示さず、シアントナー−トナーシートだけがわずかにくっついているように見えた。その他全試験サンプルは、くっつかなかった。硬化トナーについては、文書のオフセットの損傷に対する改良された画像堅牢性が見いだされた。
【0115】
(自動車マニュアル試験)
グローブ・ボックス内または自動車のトランク内に放置された場合に印刷文書が受ける可能性がある条件を用いて画像堅牢性を評価するためにまた別の試験を実施した。試験サンプルは基材としてコーティングされた紙を使用した。試験のためのトナー−トナーおよびトナー−紙セクションは、5cm×5cmのサイズを有する印刷試験シートから切断し、ガラス板上に配置した。次にスライドガラスを試験サンプルの上に配置し、その後に約2g/cm2(50gの質量)のトナーを加え、サンプルをTest Equity環境室内に配置した。
【0116】
要約すると、本試験は、サンプルを約70%相対湿度へ約2g/cm2負荷で置く工程と、約2時間かけて、室温から70℃の温度へ上昇させる行程と、前記サンプルを約70℃で約4時間にわたり保持する工程と、この温度を約2時間かけて約−40℃へ低下させる工程と、前記サンプルを約−40℃で約4時間保持する工程と、および次に全試験サイクルを繰り返す工程とを含んでいた。
【0117】
サンプルを環境室から取り出した後、ページを一定速度および180°の剥離角度で剥離した。シートは平面を背景に配置し、1つの縁を持ち上げ、次に引き剥がした。オフセット損傷は、再びトナー−トナー接触またはトナー−紙接触を見た領域について標準画像基準(SIR=5−べたつきもしくは損傷なしからSIR=1−重度損傷)を用いて再びランク付けした。図4に提供したAudi Offset未硬化データに示したように、全てのコントロールサンプルは、自動車マニュアル試験後に深刻なオフセット損傷を有していた(SIR、1.5または1)。図5から明らかなように、UV硬化トナーは損傷しておらず、大部分についてページは一緒にくっつかなかった(SIR=5)。ブラックのUV硬化性トナーだけが、わずかに一緒にくっついたページを有していた(SIR=4.5)。
【0118】
(ヒートシール試験)
ヒートシール/ラミネーション試験は、Sencorp社製バー/プラテンシーラー、12−AS/1モデルを用いて試験サンプルについて実施した。本試験は、包装材料のヒートシール加工中に発生する可能性がある条件をシミュレートした。トップおよびボトムプラテン温度は所望温度に設定し、プラテンに適用したライン圧は約10psiであり、シーリング時間は約5秒間であった。相違する基材上の試験サンプル(トナー−トナーおよびトナー−紙接触)はプラテン間に配置し、所望の時間にわたり圧力を適用した。試験サンプルをシーラーから取り外し、印刷物が室温に冷却するに任せ、その後に剥離し、損傷についてランク付けした(R=重度損傷、Y=一部の損傷が目に見える、G=印刷物への損傷なし)。
【0119】
未硬化トナーサンプルは重度に損傷した。硬化サンプルは約150℃までは損傷を示さなかったが、約200℃へ加熱された印刷物についてはコーティングされた紙上では印刷物への一部の損傷が見いだされた。硬化したUV硬化性トナーについては、高度に改善された画像堅牢性が見いだされた。発生した損傷の量は、基材依存性であった。得られた結果は、以下の表4〜8に要約した。
【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの結晶性ポリエステル樹脂を組み合わせた、少なくとも1つの非結晶性ポリエステル樹脂を含むエマルジョンが、所望により含んでよいワックス及び所望により含んでよい着色剤に接触し、前記エマルジョンが50nm〜200nmの粒径を有し、固形成分量が10重量%〜50重量%であり、
凝集粒子を形成するために、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ臭化アルミニウム、ポリフッ化アルミニウム、ポリヨウ化アルミニウム、ポリケイ酸アルミニウム、ポリスルホケイ酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される凝集剤を、前記エマルジョンの粒子100質量部当たり、0.1質量部〜2質量部接触させて凝集し、
前記凝集粒子を、光開始剤を組み合わせた、少なくとも1つの不飽和ポリマー樹脂と接触させて、前記凝集粒子を被覆するシェルを形成し、
前記凝集粒子を融合してトナー粒子を形成し、
前記トナー粒子を回収することを含むプロセス。
【請求項2】
前記ポリマー樹脂が、非結晶性ポリエステル樹脂を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
少なくとも1つの結晶性ポリエステル樹脂を組み合わせた、少なくとも1つの非結晶性ポリエステル樹脂を含むエマルジョンが、所望により含んでよいワックス及び所望により含んでよい着色剤に接触し、前記エマルジョンが50nm〜200nmの粒径を有し、固形成分量が10重量%〜50重量%であり、
凝集粒子を形成するために、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ臭化アルミニウム、ポリフッ化アルミニウム、ポリヨウ化アルミニウム、ポリケイ酸アルミニウム、ポリスルホケイ酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される凝集剤の0.1質量部〜2質量部と、前記エマルジョンの粒子を接触させて凝集し、
前記凝集粒子を、光開始剤を組み合わせた、少なくとも1つの不飽和ポリマー樹脂と接触させて、前記凝集粒子を被覆するシェルを形成し、
前記凝集粒子を融合してトナー粒子を形成し、
前記トナー粒子を回収し、
前記トナー粒子を基材に付与し、及び
前記トナー粒子を、非接触定着により前記基材に定着させて、前記基材上に画像を形成することを含むプロセスであって、
トナーが、20ggu〜100gguの光沢を有し、前記基材上の前記画像が1μm〜6μmのトナー堆積高さを有する前記プロセス。
【請求項4】
前記ポリマー樹脂が下記一般式(I)で表される非結晶性ポリエステル樹脂を含み、
【化1】

前記非結晶性ポリエステル樹脂が、一般式(II)で表される、結晶性ポリエステル樹脂と組み合わされる、請求項3に記載のプロセス。
【化2】


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate