説明

硬貨入出金装置、硬貨入出金装置の制御方法及び制御プログラム

【課題】硬貨入出金装置において、収納庫へ硬貨が誤選別収納された場合に、収納庫内の硬貨の在高を正常に戻すための手間を削減する。
【解決手段】硬貨入出金装置は、投入された硬貨の形状に応じて当該硬貨を金種別に選別する硬貨選別手段と、硬貨選別手段により選別された硬貨を金種別に収納可能とされた複数の金種別収納庫と、金種別収納庫毎に収納された硬貨の枚数を検出する収納枚数検出手段と、収納枚数検出手段の検出結果に基づいて在高を算出する在高算出手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、硬貨入出金装置、硬貨入出金装置の制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、1円,5円,10円,50円,100円,500円等の硬貨を金種毎に収納し、POS端末やECRからの釣り銭の払い出し指令により、硬貨収納部内の硬貨を釣り銭額だけ硬貨払出口に払い出すようにした硬貨入出金装置が普及している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような硬貨入出金装置は、顧客が自身で会計処理(精算処理)を行ういわゆるセルフレジに設けられている場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した硬貨入出金装置においては、硬貨の搬送路上に取り付けられた識別センサによって識別された金種別の硬貨の枚数を計数し、その計数結果に基づいて投入された硬貨の金額、すなわち、預かり金の額を算出する。このとき、硬貨入出金装置は、当該硬貨入出金装置内の在高についても、識別センサによって識別された金種別の硬貨の枚数に基づいて更新していた。
【0005】
さらに硬貨入出金装置は、投入された硬貨の大きさ(外径)に応じて収納場所を選別する選別部を備え、選別した硬貨を金種別に収納可能とされた硬貨収納庫を有する収納庫内に収納するようにしている。この選別部は、まれにキズや変形のある硬貨の場合に搬送の不具合等によって、誤って当該硬貨が該当する金種とは異なる金種の硬貨収納庫に収納させてしまう場合がある。
【0006】
この場合、選別部に設けられた光センサにより検出された入金枚数は、上述した識別センサで識別した硬貨の金種毎の入金枚数と異なることとなるため、エラー報知がなされることとなる。
エラー報知がなされると、オペレータは、収納庫内の該当金種を全て回収し、キズや変形のある硬貨は使用しないように別の場所に保管しておく必要がある。
【0007】
上述したように、硬貨入出金装置内の硬貨の在高は、識別センサによって識別された金種別の硬貨の枚数に応じて算出していたため、硬貨入出金装置内の在高枚数の硬貨を全て金種別に回収しようとすると、硬貨が誤って収納された金種の金種別収納庫では過放出エラーとして検出され、硬貨が誤って収納されなかった金種の金種別収納庫では過少放出(硬貨詰まり)エラーとして検出されてしまうことになる。
【0008】
硬貨入出金装置としては金種別収納庫の硬貨が、別金種の金種別収納庫に入ったため不足しているのか、収納庫内で詰まって出てこないのかは識別できないため、過少放出エラーを解消し在高を正常に戻すためには、一度全ての収納庫内の全ての硬貨を回収し、収納庫内に硬貨がないことを確認してから在高を初期化(0円)にする必要があり、在高を正常に戻すための手間が煩わしいという不具合があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、実施形態の硬貨入出金装置の硬貨選別手段は、投入された硬貨の形状に応じて当該硬貨を金種別に選別する。
一方、硬貨選別手段により選別された硬貨を金種別に収納可能とされた複数の金種別収納庫毎に設けられた複数の収納検出手段は、金種別収納庫に硬貨が収納されたことを検出する。
この結果、収納枚数検出手段は、収納検出手段の検出結果に基づいて、金種別収納庫にそれぞれ収納された硬貨の枚数を検出し、在高算出手段は、収納枚数検出部の検出結果に基づいて在高を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施形態にかかる硬貨入出金装置の外観斜視図である。
【図2】図2は、入出金ユニットの平面図である。
【図3】図3は、硬貨入出金装置の制御系の概要構成ブロック図である。
【図4】図4は、硬貨選別部及び硬貨収納部を示す縦断面図である。
【図5】図5は、実施形態の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、実施形態の硬貨入出金装置について詳細に説明する。
本実施形態は、硬貨投入口から投入された硬貨を搬送して硬貨選別部で金種別に選別して硬貨収納部に収納し、硬貨払出指示に応じて金種別に払い出すようにした硬貨入出金装置(自動釣銭機)への適用例である。
【0012】
図1は、実施形態にかかる硬貨入出金装置の外観斜視図である。
図2は、入出金ユニットの平面図である。
硬貨入出金装置10は、図1に示すように、大別すると、硬貨の入出金を行う入出金ユニット11と、この入出金ユニット11を引き出し可能に収容保持する収納ケース12と、を備えている。
【0013】
入出金ユニット11は、図1及び図2に示すように、硬貨入出金装置10の前部に位置し、硬貨の投入を受け入れる硬貨受入部13と、各種操作を行う複数の操作子を有する操作パネル14と、硬貨を払い出し、保持する硬貨払出部15と、を備えている。
さらに入出金ユニット11は、図1に示すように、硬貨払出部15の下方に設けられ、後述する払出回収袋を装着する回収袋装着部を支持する回収レールを収納ケース12内から手前に引き出すための引出ハンドル部16と、入出金ユニット11に引き出し可能に保持され変形硬貨等の排出対象の硬貨を保持するリジェクトボックス17と、硬貨が払い出される硬貨払出口18と、硬貨払出口18を形成するカバー19と、を備えている。
【0014】
上記構成において、硬貨受入部13は、硬貨を投入するための硬貨投入口21を備えている。硬貨投入口21は、複数枚の硬貨のまとまった投入を許容する。硬貨投入口21には、投入された硬貨を光電的に検出する複数組の投入センサ31が設けられている。
【0015】
図3は、硬貨入出金装置の制御系の概要構成ブロック図である。
また、硬貨投入口21の底部には、投入モータ32(図3参照)の駆動により回転し、投入された硬貨を硬貨入出金装置10の内部へと搬送する投入ベルト33が設けられている。投入ベルト33の途中には、投入ベルト33によって搬送される硬貨を1枚ずつ分離して送り出す投入プーリ34が設けられている。
【0016】
また、硬貨払出部15は、払い出された硬貨を保持するための受け皿部22を備えている。この受け皿部22の底部には、後述する硬貨搬送部により搬送された硬貨を保持するための保持部23が設けられており、受け皿部22は、硬貨搬送部により搬送された硬貨の搬送先を保持部23あるいは後述する払出回収袋のいずれかに選択的に切り替えるために回動する切替部材24と、保持部23と切替部材24との間の隙間を塞いで指の挿入を防止する指挿入防止部25と、を備えている。
【0017】
投入プーリ34の後段には、硬貨搬送部40が、設けられている。
硬貨搬送部40は、硬貨搬送面41と、この硬貨搬送面41に硬貨を押し付けながらその硬貨を搬送する搬送ベルト42と、を有している。
【0018】
硬貨搬送面41は、投入ベルト33の硬貨搬送方向下流側において投入ベルト33によって搬送された硬貨を受ける位置に配置されている。硬貨搬送面41は、搬送ベース43の上面によって形成されている。搬送ベース43には、硬貨搬送面41における硬貨搬送方向の図2中右側に搬送ガイド部材44が固定されている。搬送ベース43及び搬送ガイド部材44は、搬送対象の硬貨よりも硬い金属製である。
【0019】
搬送ベルト42は、ゴム製のエンドレスベルトであり、その断面は円形状に形成されている。この搬送ベルト42は、投入ベルト33から硬貨選別に用いる後述する選別ベルト83まで延出している。
搬送ベルト42は、硬貨搬送面41の上方であって硬貨搬送面41に硬貨を押し付ける位置に配置されている。
搬送ベルト42は、プーリ45と、プーリ45に対応して設けられているプーリ46に掛け渡されている。搬送ベルト42の終端部は、プーリ46とプーリ45との間に設けられた上下一対のプーリ47(下側のプーリは図示せず)によって、選別ベルト83に対して略直角方向に屈曲されている。これにより、搬送ベルト42は、上面視略L字状を成している。上下一対のプーリ47は相互に逆回転可能に連結されている。また、搬送ベルト42における硬貨搬送面41と対向する部分の内面は、複数のアイドラプーリ48によって支持されている。
【0020】
プーリ46は、選別ベルト83を介して連結された搬送モータ70(図3参照)からの駆動力が伝達されることで等速回転し、プーリ46の等速回転により搬送ベルト42も等速回転する。
投入ベルト33から搬送された硬貨、プーリ45の下流側で搬送ベルト42と硬貨搬送面41とにより挟まれ、硬貨搬送面41上に押し付けられながら搬送ベルト42の駆動に伴って搬送され、硬貨選別部50へ到る。
【0021】
搬送ガイド部材44は、投入ベルト33上を搬送された硬貨の搬送経路に干渉するように設けられている。搬送ガイド部材44は、搬送ベルト42に対して角度αの第1斜面と、搬送ベルト42に対して角度βの第2斜面と、を備えている。なお、第1斜面の角度αと第2斜面の角度βとの関係は、角度α>角度βである。第2斜面は、第1斜面の硬貨搬送方向下流側に位置している。この搬送ガイド部材44によって、投入ベルト33上を搬送された硬貨の搬送経路の幅が徐々に狭くなる。
【0022】
硬貨搬送面41における硬貨が通過する位置であって、後述するリジェクト孔33aより硬貨の搬送方向の上流側には、硬貨を識別する硬貨識別部61(図3参照)が設けられている。硬貨識別部61は、硬貨の材質を検知する第1の識別センサである材質センサ62と、硬貨の直径を検知する第2の識別センサである直径センサ63と、硬貨の厚さ及び孔の有無を検知する第3の識別センサである厚さ/孔検出用センサ64と、を有している。これらの3種の識別センサ62、63、64のうち材質センサ62が硬貨搬送方向で最も上流側に配置されており、直径センサ63が最も下流側に配置されている。そして、厚さ/孔検出用センサ64は、硬貨搬送方向で材質センサ62と直径センサ63との間に配置されている。
なお、厚さ/孔検出用センサ64に代えて、材質及び直径以外の硬貨に関する情報を検知するセンサ、例えば、硬貨の反射率あるいは硬貨の凹凸形状などを検知するセンサを用いることも可能である。
【0023】
材質センサ62、直径センサ63及び厚さ/孔検出用センサ64は、例えば、コイルと、このコイルに接続された発振回路と、この発振回路に接続された整流回路とを有する磁気センサとして構成される。
ここで、材質センサ62、直径センサ63及び厚さ/孔検出用センサ64においては、それらを構成するコイルに硬貨が接近すると、コイルのインピーダンスが変化し、これに伴い発振回路の発振レベルが変化する。整流回路は、発振回路の出力波形をデジタル信号に対応する波形に整流してCPU121(図3参照)に出力する。
【0024】
CPU121は、その出力値と予め設定されている正規の硬貨である正貨の値とを比較して、検出対象の硬貨の正偽の判定(硬貨が正規の硬貨である正貨であるか、偽物の硬貨である偽貨であるかの判定)を行う。その出力値が、予め設定されている正貨の値と異なる場合には、CPU121は、その硬貨は偽貨であると判定する。発振回路の発振レベルの変化量は、材質センサ62では硬貨の材質によって異なるように設定され、直径センサ63では硬貨の直径によって、異なるように設定され、厚さ/孔検出用センサ64では、硬貨の孔の有無や、硬貨の厚さによって、異なるように設定されている。
【0025】
また、硬貨搬送面41の硬貨搬送方向の下流端の硬貨が通過する位置には、最大径の硬貨が落下し得るリジェクト孔RHが形成されているが、図示しないリジェクトシャッタによってその一部が塞がれて、この状態においては、いずれの硬貨も落下しないようにされている。このリジェクトシャッタは、リジェクトソレノイド65(図3参照)によって開閉駆動される。例えば、硬貨が偽貨と判定された場合、硬貨の情報を検知してから予め定めた所定時間経過後にリジェクトシャッタを開放して、硬貨をリジェクト孔RHから落下させる。リジェクト孔RHの下方には、リジェクトボックス17(図1参照)が配置されている。
【0026】
リジェクトボックス17は、リジェクト孔から落下する硬貨等を受けて収納するものである。このリジェクトボックス17は、入出金ユニット11の筐体に設けられた支持部に引き出し可能に支持されている。支持部には、リジェクトボックス17の取り付け状態を検出するボックスセンサ66(図3参照)が設けられている。
【0027】
図4は、硬貨選別部及び硬貨収納部を示す縦断面図である。
硬貨選別部50は、上面に硬貨搬送面81が形成された選別ベース82と、硬貨搬送面81に硬貨を押し付けながら搬送する選別ベルト83と、を有している。
硬貨搬送面81は、硬貨搬送面41に対して略直角を成して図2中、左右方向に延在しており、硬貨搬送面81と硬貨搬送面41とにより、上面視略L字状の硬貨搬送面が形成されている。
【0028】
選別ベース82には、硬貨搬送方向下流に向かうに従って孔幅寸法が順次大きくなるように設けられた金種毎の選別孔84a、84b、84c、84d、84e、84fが硬貨搬送面81を貫通して形成されている。
【0029】
選別孔84a、84b、84c、84d、84e、84fは、図2において右から1円・50円・5円・100円・10円・500円のそれぞれの金種に対応するように6個設けられている。即ち、最高金額の金種である500円の選別孔84fが選別孔84a、84b、84c、84d、84e、84fのうちで最も左端に位置している。以後、説明の便宜上、選別孔84a、84b、84c、84d、84e、84fを特段に区別する必要がない場合には、選別孔84と表記するものとする。
【0030】
本実施形態では、硬貨選別搬送方向で隣り合う選別孔84同士は相互に連続して形成されており、外見上、一つの孔を形成している。硬貨選別部50では、硬貨が搬送されて、所定の幅の選別孔84に到達した際に、その硬貨が硬貨収納部52に落下する。ここで、硬貨収納部52は、金種別に硬貨を収納する複数の金種別収納庫を備えている。
【0031】
また、選別ベース82には、基準部材85が固定されており、この基準部材85には、基準面86が形成されている。この基準面86は、硬貨の側面を支持するものであり、この基準面86に硬貨の側面を当接させながら硬貨を搬送することで、選別孔84による正確な硬貨選別がなされる。また、各選別孔84a、84b、84c、84d、84e、84fに対しては、硬貨収納検出手段として機能し、落下する硬貨を検出する計数センサ87a、87b、87c、87d、87e、87f(図2参照)が設けられている。
【0032】
硬貨搬送面81の上方であって硬貨搬送面81に硬貨を押し付ける位置には、選別ベルト83が設けられている。この選別ベルト83は、ゴム製のエンドレスベルトであって、内周に複数の歯83aが形成された歯付ベルトである。
選別ベルト83は、プーリ88と、プーリ88に対応して設けられたプーリ89に掛け渡されている。
【0033】
プーリ88、89は、外周に選別ベルト83の歯83aと噛み合う複数の歯が形成された歯付プーリである。
プーリ88は、駆動プーリであり、最高金額(500円)の硬貨用の選別孔84f上に配置されている。プーリ88は搬送モータ70(図3参照)から伝達された駆動力によって等速回転し、このプーリ88の等速回転により選別ベルト83が等速回転する。
【0034】
プーリ89は、従動プーリであり、全ての選別孔84の硬貨搬送方向上流側に配置されている。プーリ89には、プーリ89と同軸上に硬貨搬送部40のプーリ46が固定されて設けられている。また、選別ベルト83における硬貨搬送面81と対向する部分の内面は、複数のアイドラプーリ71によって支持されている。このように、選別ベルト83とプーリ88、89とが噛み合った状態で、プーリ88が搬送モータ70の駆動によって等速回転すると、選別ベルト83も等速回転する。さらに、プーリ89に固定されたプーリ46も、プーリ89に連動して等速回転するため、その結果、選別ベルト83から搬送ベルト42に対して一定の駆動力を伝達することができ、硬貨搬送を良好に行うことができる。
【0035】
選別ベルト83と基準面86とは、硬貨搬送方向下流に向かうに従い相互に近づくように配置されており、これにより、選別ベルト83は、硬貨を基準面86に押し付けながら搬送する。また、選別ベルト83は、その断面が略長方形状に形成されているため、断面が円形状のベルトと比較すると搬送される硬貨に接触する面積が大きくなる。従って、選別ベルト83は、硬貨搬送面81に硬貨を押し付けながら搬送する際に大きな面積で硬貨に接触することで、より確実に硬貨を搬送できるようになっている。
【0036】
硬貨収納部52は、図2及び図4に示すように、選別孔84から落下する硬貨を受ける位置に配置されており、落下する硬貨を金種別に収納する。硬貨収納部52には、仕切板91によって仕切られた金種別の収納室92が設けられている。各収納室92は、対応する選別孔84に連通している。この収納室92は、上面が開口されており、収納室92の上面開口は、蓋93等によって覆われている。
【0037】
硬貨払出部15は、図4に示すように、各収納室92の底部に設けられた払出ベルト101を備えている。この払出ベルト101は、プーリ102,103に掛け渡されている。プーリ102は、駆動プーリであり、プーリ103は従動プーリである。また、払出ベルト101は、アイドラプーリ104によって支持されている。
プーリ102は、払出モータ110(図3参照)によって駆動されて回転し、これにより、払出ベルト101が回転する。払出ベルト101は、図4中、矢印A1で示す方向、すなわち、硬貨収納部52の後部から前部へ向けて硬貨を搬送する。
【0038】
また、硬貨払出部15は、硬貨収納部52の出口に配設されたリバースローラ105、払出シャッタ106、払出計数センサ107を有する。
リバースローラ105は、払出ベルト101と同一方向に回転して、払出ベルト101による硬貨の払出を一枚ずつにするものである。
払出シャッタ106は、払出ソレノイド108によって開閉駆動され、払出シャッタ106は、閉じ状態では硬貨を待機させる一方、開状態では払出ベルト101による硬貨の払出を許容する。
払出計数センサ107は、払出ベルト101によって払い出される硬貨を検知する。
【0039】
搬送ベルト42の終端位置(前端)の下方には、図1に示すように硬貨払出口18が設けられている。硬貨払出口18は、払出ベルト101によって硬貨が払い出される。硬貨払出口18は、図2に示すように、硬貨投入口21の左側に配置されている。
【0040】
図3に示すように、硬貨入出金装置10は、情報処理部としてのCPU121を搭載している。CPU121には、プログラム等の固定的データが予め記憶されたROM122と、各種データを書き換え自在に記憶するRAM123とがシステムバス124を介して接続されている。CPU121、ROM122及びRAM123によってマイクロコンピュータが構成されている。
【0041】
さらに、CPU121には、システムバス124を介して、投入センサ31、計数センサ87(87a〜87f)、払出計数センサ107、ボックスセンサ66、材質センサ62、直径センサ63、厚さ/孔検出用センサ64等のセンサ類からの信号を入力する入力ポート125と、リジェクトソレノイド65、払出ソレノイド108等に駆動信号を出力する出力ポート126と、POS端末と電気的に接続する通信インターフェース127と、投入モータ32、搬送モータ70、払出モータ110等のモータ類Mを個別に駆動制御するモータ駆動制御部128と、操作パネル14に接続されて操作子から入力されるキー信号を取込む操作パネル制御部129とが接続されている。これらの各部は、プログラムに従ってCPU121によって駆動制御される。
【0042】
このような構成において、硬貨が硬貨投入口21に投入されたならば、硬貨は投入センサ31により検出される。投入センサ31の検出信号の受信によりCPU121は、投入モータ32と搬送モータ70とを駆動して、投入ベルト33と搬送ベルト42と選別ベルト83とを回転させる。硬貨は、投入ベルト33の回転により硬貨搬送面41に搬送される。そして、硬貨搬送面41に搬送された硬貨は、搬送ベルト42の回転により、硬貨搬送方向下流側へと搬送される。
【0043】
ここで、搬送ベルト42は、幅が徐々に狭くなる搬送経路上の硬貨の側面を、搬送ガイド部材44に押し付けるようにして搬送する。したがって、硬貨は、金種毎に同一の通過軌跡を形成して硬貨搬送面41上を搬送されることになる。
【0044】
また、上述のように第1斜面の角度αと第2斜面の角度βとの関係を角度α>角度βとしたことにより、硬貨搬送方向上流側の搬送ガイド部材44における短い距離で硬貨投入口21を出た硬貨に対して幅寄せすることができる。
【0045】
このようにして硬貨が搬送ガイド部材44に押し付けられて硬貨搬送面41上を搬送されることを、硬貨が片寄せ搬送されると称する。このように硬貨を片寄せ搬送するのは、以下の理由による。直径センサ63による硬貨判別時に硬貨の直径判別などを行う場合には、硬貨を案内ガイドに片寄せさせて位置決めし、直径センサ63による硬貨判別を行う必要がある。そのため、硬貨投入口21を出た硬貨は、硬貨判別時において、搬送ガイド部材44に片寄せされて位置決めされている必要があるからである。
【0046】
硬貨搬送面41で搬送ガイド部材44に片寄せされて搬送される硬貨は、材質センサ62、厚さ/孔検出用センサ64及び直径センサ63を通過する。
【0047】
CPU121は、材質センサ62、直径センサ63及び厚さ/孔検出用センサ64の出力に基づいて硬貨判別を実行する。搬送される硬貨を正貨と判定した場合、CPU121は、リジェクトソレノイド65を駆動制御せず、リジェクトソレノイド65により駆動されるリジェクトシャッタは閉状態が維持される。したがって、硬貨は、図示しないリジェクト孔33aから落下することなく硬貨選別部50へ搬送される。一方で、搬送される硬貨を偽貨と判定した場合、CPU121は、リジェクトソレノイド65を駆動制御してリジェクトシャッタを開状態にする。これにより、偽貨と判定された硬貨は、リジェクト孔33aから落下して図示しないリジェクトボックスに収納される。
【0048】
硬貨選別部50では、硬貨は、選別ベルト83によって搬送され、対応する選別孔84から落下して硬貨収納部52に収納される。このとき、選別ベルト83と基準面86とが、硬貨搬送方向下流側に向かうに従い相互に近づくように配置されていることにより、選別ベルト83は、硬貨の側面を基準面86に押し付けながらその硬貨を搬送する。
【0049】
そして、CPU121は、POS端末からの硬貨払出指示があった場合には、払出ベルト101を駆動するとともに、金種毎に払出ソレノイド108を駆動して、必要枚数の硬貨を硬貨払出口18に払い出す。
この結果、硬貨は、切替部材24の表面として形成されている可動硬貨受け面24Aを滑り降りて、硬貨払出部15の受け皿部22に保持されることとなる。
【0050】
次に実施形態の動作を説明する。
図5は、実施形態の処理フローチャートである。
硬貨投入口21に硬貨が投入されると、CPU121は、材質センサ62、直径センサ63及び厚さ/孔検出用センサ64を用いて硬貨識別処理を行う(ステップS11)。
【0051】
ステップS11の硬貨識別処理の結果、投入された硬貨が日本円であるか否かを判別する(ステップS12)。
ステップS12の判別において、投入された硬貨が日本円ではない場合には(ステップS12;No)、当該硬貨は預かり金として収容すべきではないので、硬貨を排出するリジェクト処理を行い(ステップS14)、処理をステップS15に移行する。
【0052】
ステップS12の判別において、投入された硬貨が日本円である場合には(ステップS12;Yes)、識別された硬貨の金種及び投入枚数に基づいて預かり金を算出する(ステップS13)。
次にCPU121は、選別センサとしての計数センサ87a〜87fが硬貨の落下を検出したか否かを判別する(ステップS15)。
【0053】
ステップS15の判別において、いずれの計数センサ87a〜87fも硬貨の落下を検出しなかった場合には(ステップS15;No)、処理をステップS18に移行する。
ステップS15の判別において、いずれかの計数センサ87a〜87fが硬貨の落下を検出した場合には(ステップS15;Yes)、CPU121は、当該硬貨の落下を検出した計数センサに対応する金種別収納庫の収納枚数の計数を行う(ステップS16)。
【0054】
続いて収納枚数の計数結果に基づいて、全金種別収納庫の収納枚数に対応する在高を算出する(ステップS17)。
続いて、CPU121は、投入された全硬貨の処理が完了したかを判別する(ステップS18)。
【0055】
ステップS18の判別において、未だ投入された全硬貨の処理が完了していない場合には(ステップS18;No)、処理を再びステップS11に移行し、以下同様の処理を繰り返す。
ステップS18の判別において、投入された全硬貨の処理が完了した場合には(ステップS18;Yes)、金種別に硬貨の収納枚数をチェックする(ステップS19)。
【0056】
ステップS19のチェック処理の結果、ステップS11の硬貨識別処理における硬貨の枚数である識別枚数と不一致したか否かを判別する(ステップS20)。
ステップS20の判別において、ステップS18のチェック処理の結果、ステップS11の硬貨識別処理における硬貨の枚数である識別枚数と不一致した場合には、当該不一致した金種が収納された金種別収納庫を特定して、当該硬貨の材質異常である旨のエラー報知を行い(ステップS21)、処理を終了する。
【0057】
ここで、エラー報知時の具体的な一例について説明する。
投入した硬貨のうち、5円硬貨が100円硬貨の金種別収納庫に収納されてしまった場合には、ステップS11の硬貨識別処理では、投入された硬貨は、5円硬貨として識別されるが、当該硬貨は、100円硬貨の金種別収納庫に収納されてしまっている。
このため、CPU121は、エラー報知として、100円硬貨材質エラーを報知することとなる。
【0058】
この場合において、いずれかの金種の硬貨不足あるいは硬貨過放出のエラーは出力されていないため、投入された硬貨がいずれの金種別収納庫に格納されたのかがわからないという状況とはならず、100円硬貨の金種別収納庫に収納されている硬貨を全て回収すれば、誤って収納された5円硬貨を回収することが可能となる。
【0059】
そして、回収した5円硬貨については、釣銭としては使用せず、別の場所に保管した状態で、100円硬貨を再び硬貨投入口21に投入すれば、投入された全ての100円硬貨は、100円硬貨の金種別収納庫に収納されることとなり、今度は、正しい在高が算出されることとなる。
【0060】
一方、ステップS20の判別において、ステップS18のチェック処理の結果、ステップS11の硬貨識別処理における硬貨の枚数である識別枚数が一致している場合には(ステップS20;No)、正常処理であるので、処理を終了する。
以上の説明のように、本実施形態によれば、硬貨の誤選別収納が発生した場合であっても、硬貨入出金装置の在高を簡単に正常な状態に戻すことが可能となる。
【0061】
本実施形態の硬貨入出金装置で実行される制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0062】
また、本実施形態の硬貨入出金装置で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の硬貨入出金装置で実行される制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
また、本実施形態の硬貨入出金装置の制御プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
10 硬貨入出金装置
11 入出金ユニット
12 収納ケース
13 硬貨受入部
14 操作パネル
15 硬貨払出部
16 引出ハンドル部
17 リジェクトボックス
18 硬貨払出口
19 カバー
21 硬貨投入口
40 硬貨搬送部
50 硬貨選別部(硬貨選別手段)
52 硬貨収納部(金種別収納庫)
53 リジェクトボックス
61 硬貨識別部(硬貨種別判別手段)
62 材質センサ(硬貨種別判別手段)
63 直径センサ(硬貨種別判別手段)
64 厚さ/孔検出用センサ(硬貨種別判別手段)
67 計数センサ
70 搬送モータ
71 アイドラプーリ
81 硬貨搬送面
82 選別ベース(硬貨選別手段)
83 選別ベルト(硬貨選別手段)
84、84a〜84f 選別孔(硬貨選別手段)
87a〜87f 計数センサ(収納検出手段、収納枚数検出手段)
121 CPU(収納枚数検出手段、硬貨種別判別手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開2006−294072号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された硬貨の形状に応じて当該硬貨を金種別に選別する硬貨選別手段と、
前記硬貨選別手段により選別された硬貨を金種別に収納可能とされた複数の金種別収納庫と、
前記金種別収納庫毎に収納された硬貨の枚数を検出する収納枚数検出手段と、
前記収納枚数検出手段の検出結果に基づいて在高を算出する在高算出手段と、
を備えた硬貨入出金装置。
【請求項2】
前記収納枚数検出手段は、前記金種別収納庫毎に設けられ、前記金種別収納庫に前記硬貨が収納されたことを検出する複数の収納検出手段を備えた請求項1記載の硬貨入出金装置。
【請求項3】
前記投入された硬貨の金種を識別する硬貨種別判別手段と、
前記硬貨種別判別手段の判別結果及び前記収納検出手段の判別結果に基づいて、判別された硬貨の金種と異なる金種を収納する前記金種別収納庫に硬貨が収納される誤選別収納が発生したことを検出する誤選別収納判別手段と、
を備えた請求項2記載の硬貨入出金装置。
【請求項4】
前記誤選別収納判別手段の判別結果に基づいて、前記誤選別収納が発生した場合に、金種を特定してその旨を報知する報知手段を備えた請求項3記載の硬貨入出金装置。
【請求項5】
硬貨を金種別に収納可能とされた複数の金種別収納庫を備えた硬貨入出金装置で実行される硬貨入出金装置の制御方法であって、
投入された硬貨の形状に応じて当該硬貨を金種別に選別する硬貨選別過程と、
前記金種別収納庫毎に収納された硬貨の枚数を検出する収納枚数検出過程と、
前記収納枚数検出過程における検出結果に基づいて在高を算出する在高算出過程と、
を備えた硬貨入出金装置の制御方法。
【請求項6】
硬貨を金種別に収納可能とされた複数の金種別収納庫を備えた硬貨入出金装置で実行される硬貨入出金装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムであって、
前記コンピュータを、
投入された硬貨の形状に応じて当該硬貨を金種別に選別する硬貨選別手段と、
前記金種別収納庫毎に収納された硬貨の枚数を検出する収納枚数検出手段、
前記収納枚数検出手段における検出結果に基づいて在高を算出する在高算出手段と、
して機能させる制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−45434(P2013−45434A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185305(P2011−185305)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】