説明

硬貨入出金装置

【課題】光センサの受光素子を外光の影響の受け難い位置に配置して、光センサの誤動作を防止したものである。
【解決手段】硬貨収納部を内部に有する装置本体と、前記装置本体の端部に形成された硬貨の払い出しを行う硬貨払出口と、前記装置本体の端部で前記硬貨払出口の下方部位に形成され、前記硬貨払出口より払い出された硬貨を受ける底面が略水平な硬貨払出受部と、受光素子と発光素子とからなり、これら受光素子または発光素子は前記硬貨払出受部に形成した受光側スリットまたは発光側スリットにそれぞれ対向させて配置され、かつ、受光素子から受光側スリットまでの距離を発光素子から発光側スリットまでの距離より大きく設定した前記硬貨払出受部の底面上の硬貨の有無を検知する光センサとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は硬貨入出金装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、POS端末やECR等の電子機器に接続して使用するのに適した硬貨入出金装置として、1円,5円,10円,50円,100円,500円等の硬貨を判別し、金種毎に収納し、POS端末やECRからの釣り銭の払い出し指令により、硬貨収納部内の硬貨を釣り銭額だけ硬貨払出部に払い出すようにしたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平3−48675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような硬貨入出金装置において、特にお客様自身が会計処理を行うセルフレジでは、お釣りの取り忘れが起こる場合がある。そこで、お客様がお釣りを取り忘れて会計を終了してしまうことを防止するため、硬貨払出部の受け皿に光センサを設け、受け皿内の硬貨の有無を検知し、受け皿内に硬貨の取り残しがある場合には警報音を発して、お客様に硬貨の取り忘れを報知していた。通常、光センサは受光素子と発光素子とから構成され、これら受光素子と発光素子は近づけて配置した方が検出精度の面では非常に好ましいが、その一方で受光素子が外光の影響を受け易く、この外光による影響で光センサが誤動作するとういう問題があった。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、光センサの受光素子を外光の影響の受け難い位置に配置して、光センサの誤動作を防止したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態における硬貨入出金装置は、硬貨収納部を内部に有する装置本体と、前記装置本体の端部に形成された硬貨の払い出しを行う硬貨払出口と、前記装置本体の端部で前記硬貨払出口の下方部位に形成され、前記硬貨払出口より払い出された硬貨を受ける底面が略水平な硬貨払出受部と、受光素子と発光素子とからなり、これら受光素子または発光素子は前記硬貨払出受部に形成した受光側スリットまたは発光側スリットにそれぞれ対向させて配置され、かつ、受光素子から受光側スリットまでの距離を発光素子から発光側スリットまでの距離より大きく設定した前記硬貨払出受部の底面上の硬貨の有無を検知する光センサとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態の硬貨入出金装置の外観斜視図。
【図2】実施形態の硬貨入出金装置の要部の斜視図。
【図3】硬貨払出受部の概略の平面図。
【図4】硬貨払出受部の左右方向の断面図。
【図5】硬貨払出受部における外光の侵入経路を示す説明図。
【図6】硬貨払出受部における受光素子から受光側スリットまでの距離Lと、受光側スリットのスリット高さHと、受光側スリットへの外光の入射角θとの関係を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の硬貨入出金装置を図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、実施形態の硬貨入出金装置の外観斜視図である。図1に示すように、硬貨入出金装置1は、前後方向と比較して左右幅方向に狭い長さで、所定高さの装置本体2を備えている。装置本体2の上面で手前側右側部には、複数枚の硬貨を同時に投入可能な硬貨投入口3が形成されている。そして、この硬貨投入口3の左側部には、ディスプレイ4および複数の操作ボタンを備えた操作パネル5が設けられている。
【0010】
図2は、硬貨入出金装置の要部の斜視図である。図2に示すように、装置本体2の前面のディスプレイ4に近接した位置には硬貨払出口6が形成されている。そして、この硬貨払出口6の下方部位には、装置本体内より払出された硬貨を受ける硬貨払出受部7が設けられている。また、硬貨投入口3に近接した位置には、一旦投入された硬貨を返却するための返却口(図示しない)が形成されている。
【0011】
さらに、装置本体2の内部には、金種別硬貨収納部(図示しない)が備えられていて、硬貨投入口3に投入された硬貨は、装置本体2内部で一時保留され、金額が確定された後に、金種別硬貨収納部に金種別に収納される。その時の投入金額は、ディスプレイ4に表示されるようになっている。このディスプレイ4には、投入金額および硬貨入出金装置1としての作動状態や操作指示なども表示できる。
【0012】
次に、硬貨入出金装置1の硬貨払出受部7の構造と、この硬貨払出受部7に設けられ硬貨払出受部7内の硬貨の有無を検出する光センサ10について説明する。
【0013】
図3は、硬貨払出受部7の概略の平面図、図4は、硬貨払出受部7の左右方向の断面図、図5は、硬貨払出受部における外光の侵入経路を示す説明図、図6は、硬貨払出受部における受光素子から受光側スリットまでの距離Lと、受光側スリットのスリット高さHと、受光側スリットへの外光の入射角θとの関係を示す説明図である。図3ないし図4に示すように、硬貨払出受部7は、硬貨の取り出し側となる前側斜面7aと、硬貨払出口6に連なる後側斜面7bと、左右側面である左側斜面7cおよび右側斜面7dと、これら前後左右側斜面7a,7b,7c,7dの下端部を連結する平坦な水平底面7eとを備えている。
【0014】
よって、硬貨払出口6から出金される硬貨Aは、硬貨払出受部7の後側斜面7bをシュートとして滑落し、水平底面7e上に載置される。なお、硬貨払出受部7の前側斜面7a、左側斜面7cおよび右側斜面7dは、硬貨払出口6から払い出された硬貨が跳ね返って外部へ落下することがないように、適宜な深さ寸法に設定されている。
【0015】
そして、この硬貨払出受部7には、硬貨の取り忘れに備えて、図3ないし図4に示すように複数の受光側スリット8と発光側スリット9および硬貨払出受部7内の硬貨の有無を検出する光センサ10が設けられている。
【0016】
具体的には、硬貨払出受部7を構成する左側斜面7cの最下部で水平底面7eと接する部位に、前後方向に所定間隔を存して複数(3個)の受光側スリット8が開口されている。また、各受光側スリット8と相対向する部位である、右側斜面7dの最下部で水平底面7eと接する部位に、複数(3個)の発光側スリット9が開口されている。受光側スリット8と発光側スリット9は、その上端部が平行、左右両側部が互いに平行であり、矩形状の開口部をなす。そして、上下方向寸法よりも左右幅方向寸法がある程度長く形成されている。これら受光側スリット8および発光側スリット9の形状は、必ずしも上述のように限定する必要はないが、左側斜面7cと右側斜面7dにおいて互いに同一位置に設け、同一形状にしたほうが制作上有利である。
【0017】
そして、硬貨払出受部7の左側斜面7c外側の空間スペースには、受光素子11が配置され、この受光素子11の受光面は受光側スリット8に向けている。また、硬貨払出受部7の右側斜面7d外側の空間スペースには、発光素子12が配置され、この発光素子12の発光面は発光側スリット9に向けている。これらの受光素子11と発光素子12は、素子取付け板13aと13bにそれぞれ支持され、バスライン(図示しない)を介して制御部(図示しない)に電気的に接続されている。この3組の受光素子11と発光素子12で、光センサ10が構成される。
【0018】
次に、光センサ10の動作について説明する。図4に示すように、発光素子12から発せられる光の光軸14は、発光側スリット9を介して水平底面7e上を進む。そして、光軸14は、水平底面7eを横断し、発光側スリット9と相対向する受光側スリット8に至り、この受光側スリット8を介して受光素子11に到達し、受光素子11で受光されるようになっている。したがって、図示しない制御部では、光センサ10における受光素子11からの出力をもとに、水平底面7e上に載置された硬貨で光軸14が遮られているか否かを検出することで、硬貨払出受部7上の硬貨の有無を検出する。そして、この制御部が、硬貨払出受部7上に残留硬貨の存在を検出すると、硬貨の取り忘れがあることをお客様に対して報知部(図示しない)等により知らせるよう構成されている。
【0019】
そして、図4ないし図6に示すように、受光素子11は外光の影響を受け難くするため、出来る限り受光側スリット8から遠ざけて配置されている。本実施形態では、受光素子11から受光側スリット8までの距離Lは、少なくとも発光素子12から発光側スリット9までの距離lよりも大きく設定されている。なお、外光の影響を全く受け無くする為には、図5及び図6に示すように、受光素子11から受光側スリット8までの距離Lと、この受光側スリット8のスリット高さHと、受光側スリット8への外光の入射角θとすると、L>H/tanθとなるよう受光素子11を受光側スリット8から離して配置すればよい。
【0020】
以上、説明したように、本実施形態の硬貨入出金装置によれば、硬貨払出受部の底面上の硬貨の有無を検知する光センサにおいて、受光素子から受光側スリットまでの距離を発光素子から発光側スリットまでの距離より大きく設定し受光素子を外光の影響の受け難い位置に配置して、光センサの誤動作を防止したものである。
【0021】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、様々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0022】
1 硬貨入出金装置
2 装置本体
6 硬貨払出口
7 硬貨払出受部
7e 水平底面
8 受光側スリット
9 発光側スリット
10 光センサ
11 受光素子
12 発光素子
14 光軸
A 硬貨
L 受光素子から受光側スリットまでの距離
l 発光素子から発光側スリットまでの距離
H 受光側スリットのスリット高さ
θ 受光側スリットへの外光の入射角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨収納部を内部に有する装置本体と、
前記装置本体の端部に形成された硬貨の払い出しを行う硬貨払出口と、
前記装置本体の端部で前記硬貨払出口の下方部位に形成され、前記硬貨払出口より払い出された硬貨を受ける底面が略水平な硬貨払出受部と、
受光素子と発光素子とからなり、これら受光素子または発光素子は前記硬貨払出受部に形成した受光側スリットまたは発光側スリットにそれぞれ対向させて配置され、かつ、受光素子から受光側スリットまでの距離を発光素子から発光側スリットまでの距離より大きく設定した前記硬貨払出受部の底面上の硬貨の有無を検知する光センサと、
を備える硬貨入出金装置。
【請求項2】
受光素子と発光素子とからなる前記光センサを複数設けたことを特徴とする請求項1記載の硬貨入出金装置。
【請求項3】
硬貨収納部を内部に有する装置本体と、
前記装置本体の端部に形成された硬貨の払い出しを行う硬貨払出口と、
前記装置本体の端部で前記硬貨払出口の下方部位に形成され、前記硬貨払出口より払い出された硬貨を受ける底面が略水平な硬貨払出受部と、
受光素子と発光素子とからなり、これら受光素子または発光素子は前記硬貨払出受部に形成した受光側スリットまたは発光側スリットにそれぞれ対向させて配置した前記硬貨払出受部の底面上の硬貨の有無を検知する光センサとを備え、
前記受光素子から前記受光側スリットまでの距離Lと、前記受光側スリットのスリット高さHと、前記受光側スリットへの外光の入射角をθとすると、L>H/tanθにしたことを特徴とする硬貨入出金装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−242978(P2012−242978A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110900(P2011−110900)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】