説明

硬貨処理装置

【課題】視認性や操作性を低下させることのない硬貨処理装置を提供する。
【解決手段】利用者との間で入出金口を介して硬貨類に関する取引を行う硬貨処理装置であって、硬貨類を溜めるバケット部と、硬貨処理装置の収納部に収納されている硬貨類をバケット部と収納部との間で搬送する搬送部と、下降位置にあるバケット部を上昇させる昇降機構部と、バケット部が入出金口まで上昇したことを検知する上昇検知センサと、昇降機構部によって上昇したバケット部に溜まった硬貨類の上端を検知する上端媒体検知センサと、上昇検知センサがバケット部を検知するまで、または上端媒体検知センサがバケット部に溜まった硬貨類の上端を検知するまで、バケット部を上昇させるように昇降機構部を制御する制御部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ATM(Automated Teller Machine)に備えられた硬貨処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動預け払い機(ATMや自動取引装置とも呼ばれる。)等の、自動的に硬貨や紙幣等の媒体を処理する装置にあっては、例えば、硬貨の入金、出金処理さらには補充、精査処理を行う硬貨処理装置が備えられている。硬貨処理装置は、顧客が硬貨の入出金を行う入出金口を有しているが、自動預け払い機の筐体は、一般的に立操作用の筐体になっており、手前側には、表示・操作部が実装され、その奥に硬貨処理装置の入出金口が実装されているものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、硬貨処理装置の入出金口内部は、出金搬送部から放出される出金硬貨の容量を確保する為、底部のトレイが下方に奥まって形成されているものがある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−276699号公報
【特許文献2】特開平8−273021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、硬貨処理装置の入出金口の位置は、特許文献1では、自動預け払い機に対する顧客の立ち位置から前方の奥まった位置に実装され、顧客が硬貨を取り出す場合には、入出金口を上から覗き込むも必要がある。また、特許文献2では、トレイが下に奥まった位置に実装され、また、入出金口自体が顧客側からみて奥まった離れた場所に有る為、顧客が入出金の操作する場合、その視認性や操作性が悪くなる場合がある。例えば、自動預け払い機は、一般的に立操作筐体である為、特に身長の低い人や、子供、車椅子の人には、視認性や、操作性が悪くなることが想定される。
【0006】
更に、前記による弊害として、出金された硬貨に気付かないことや、全て取出したつもりで残留したままになる取り忘れが発生する可能性が高くなり、銀行業務にも支障をきたすことになる。また、入出金口に出金された硬貨を顧客が取出す場合、手を奥まで入れることになり、顧客にとっては恐怖心を煽ることになる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、視認性や操作性を低下させることのない硬貨処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる硬貨処理装置は、利用者との間で入出金口を介して硬貨類に関する取引を行う硬貨処理装置であって、前記硬貨類を溜めるバケット部と、前記硬貨処理装置の収納部に収納されている硬貨類を前記バケット部と前記収納部との間で搬送する搬送部と、下降位置にある前記バケット部を上昇させる昇降機構部と、前記バケット部が前記入出金口まで上昇したことを検知する上昇検知センサと、前記昇降機構部によって上昇した前記バケット部に溜まった硬貨類の上端を検知する上端媒体検知センサと、前記上昇検知センサが前記バケット部を検知するまで、または前記上端媒体検知センサが前記バケット部に溜まった硬貨類の上端を検知するまで、前記バケット部を上昇させるように前記昇降機構部を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、視認性や操作性を低下させることのない硬貨処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る硬貨処理装置を備えるATMの外観図である。
【図2】ATMの主要部の構成を示すブロック図である。
【図3】硬貨処理装置の詳細構成図である。
【図4】入出金口部及び昇降バケット(下降状態)の詳細構成図である。
【図5】入出金口部及び昇降バケット(上昇状態)の詳細構成図である。
【図6】昇降バケットに指定された硬貨を搬送し、顧客が硬貨を取り出すまでの処理を示すフローチャートである。
【図7】顧客が入金開始を指示してから、繰出し部から内部に取込むまでの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる硬貨処理装置の実施の形態を詳細に説明する。以下では、本発明にかかる硬貨処理装置が、金融機関等に設置されているATM(Automated teller machine)のような自動預け払い機に適用されている場合について説明しているが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、両替機やメダル払い出し機等、硬貨に類する媒体を排出する機構を有した装置であれば適用可能である。また、硬貨処理装置は、バラ硬貨だけでなく、所定の枚数の硬貨を1つに包装した包装硬貨を排出する場合についても適用することができる。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係わる硬貨処理装置を備えるATM1の外観図である。図2は、ATM1の主要部の構成を示すブロック図である。ATM1は、金融機関の店舗やコンビニエンスストア等に設置され、顧客の操作に応じて現金の入金や出金や振替取引等の各種取引を行う装置である。
【0013】
図2に示すように、ATM1は、主制御部10、表示・操作部11、紙幣処理部12、硬貨処理部13、カード・明細書処理部14、通信部15、通帳処理部16、生体情報読取部17、記憶部18、顧客検知部19、及び撮像部20を含んで構成されている。
【0014】
主制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置から構成され、ATM1本体各部の動作を制御する。
【0015】
表示・操作部11は、図1に示したように、ATM1の本体正面に設けた表示パネル11A、及びこの表示パネル11A上に貼付けしたタッチパネル11Bを有している。表示・操作部11は、顧客に対する操作案内画面を表示パネル11Aに表示する。また、タッチパネル11Bの押下位置を検知することにより、暗証番号や取引内容(取引種別、入出金金額等)等の入力を受付ける。
【0016】
紙幣処理部12は、図1に示したように、ATM1の本体正面に設けた紙幣入出金口12Aと、本体内部に収納されている紙幣カートリッジ(不図示)との間に形成した紙幣搬送路に沿って紙幣を搬送する。また、紙幣処理部12は、紙幣搬送路に沿って搬送している紙幣毎に、金種及び真偽を鑑別する紙幣鑑別部(不図示)を有している。
【0017】
硬貨処理部13は、図1に示したように、ATM1の本体正面に設けた硬貨入出金口13Aと、本体内部に収納されている金種別スタッカや一括スタッカ等との間に形成された硬貨搬送路に沿って硬貨を搬送する。また、硬貨処理部13は、硬貨搬送路に沿って搬送している硬貨毎に、金種及び真偽を鑑別する識別部を有している。硬貨処理部13の詳細構成は、後述する。
【0018】
カード・明細書処理部14は、図1に示したように、ATM1の本体正面に設けたカード挿入口14Aに挿入されたカードを取り込み、このカードの磁気ストライプに記録されているカード情報(金融機関番号、店舗番号、口座番号等の情報)の読み取りや、書き換え等を行う。また、挿入されたカードがICカードである場合には、必要に応じて、そのカードのICチップに記録されているデータの読み取りや、書き換えも行う。ICチップには、このカードの所有者である利用者の生体情報(登録情報)等が記録されている。さらに、カード・明細書処理部14は、取引内容を明細書に印字する印字部(不図示)を有する。取引内容を印字した明細書は、本体正面に設けた明細書放出口14Bに放出する。
【0019】
通信部15は、モデム等の通信機器を有し、ネットワーク2を介したホストコンピュータ3等の通信を制御する。
【0020】
通帳処理部16は、図1に示したように、ATM1の本体正面に設けた通帳挿入口16Aに挿入された通帳を取り込み、この通帳に対して取引履歴を印字する印字部(不図示)を有している。また、通帳処理部16は、取り込んだ通帳のページを捲るページ捲り機構や、通帳に印刷されているページ番号を示すバーコードを読み取るバーコードリーダ、通帳に貼付されている磁気ストライプに記録されている通帳情報(金融機関番号、店舗番号、口座番号等)を読み取る磁気ヘッド等も有している。
【0021】
生体情報読取部17は、図1に示したように、ATM1の本体正面に設けた生体情報読取センサ17Aを有している。この生体情報読取センサ17Aは、利用者の指静脈パターンを読み取る。ここでは、生体情報読取センサ17Aは、指静脈パターンを読み取るセンサであるが、掌静脈、虹彩、網膜等、他の生体情報を読み取るセンサに置き換えてもよい。生体情報読取部17は、生体情報読取センサで読み取った顧客の生体情報(読取情報)と、カードのICチップに記録されている生体情報(登録情報)とを照合し、その類似度から顧客とカードの所有者本人であるかどうかを認証する機能も有している。
【0022】
記憶部18は、ハードディスク等の記憶媒体を有し、この記憶媒体に各種情報を記憶する。この記憶媒体は、自ATM1が設置されている店舗を示す店舗番号、自ATM1を識別する機器番号、自ATM1のネットワークアドレス、ネットワーク2を介して接続されるホストコンピュータ3や他の機器のネットワークアドレス等を対応付けて記憶する。
【0023】
顧客検知部19は、本体正面に顧客が来たことを検知する近接センサ19A(例えば、赤外線センサ)によって、表示パネル11Aの点灯や消灯、画面表示内容の切替え等の制御を行う。
【0024】
また、撮像部20は、ATM1本体を操作している顧客の顔を略正面から撮像する向きに取り付けた人物カメラ20Aを有する。ATM1は、必要に応じて、撮像部20のカメラの撮像画像を取り込み、この撮像画像を記憶部18の記憶媒体に記憶する。
【0025】
次に、本発明の硬貨処理装置である硬貨処理部13の内部の詳細機構及び媒体の搬送経路を、図3に基づいて説明する。なお、前記の硬貨処理部13が、硬貨処理装置100に相当する。
【0026】
図3において、硬貨処理装置100の構成を説明する。硬貨処理装置100は、バラ状態の硬貨を取扱いの対象としている。硬貨処理装置100の上部に設けられた入出金口13Aは、顧客が硬貨を入金、出金する操作部となる。昇降バケット101は、投入された入金すべき硬貨を一時的に溜めた後に硬貨処理装置100内部に取込んだり、硬貨処理装置100内部から放出された出金硬貨を外部に取出したりする。尚、入出金口13A及び昇降バケット101の詳細構造は、後述する。
【0027】
シャッタ102は、入出金口13Aを顧客の操作に応じて開閉する。繰出し部103は、昇降バケット101から送られてきた硬貨を1枚ずつ分離して送る。異物回収部104は、硬貨よりも小さい形状をした異物を回収する。硬貨識別部105は、繰出し部103から送られてきた硬貨の真偽及び金種を識別する。入金搬送部106は、入金する硬貨を金種別にスタッカ107に搬送する。スタッカ107は、入金搬送部106より搬送されてきた硬貨を金種別に収納する。一時保留部108は、硬貨を一括して一時的に保留させる。横搬送ベルト109は、スタッカ107から放出された硬貨を搬送する。
【0028】
経路切替部110は、硬貨の搬送経路を切り替える。出金搬送部111は、出金すべき硬貨を上部に搬送する。出金判別部112は、出金搬送部111から搬送されてきた硬貨の金種等を簡易識別する。硬貨回収部113は、取り忘れ硬貨や、リジェクト硬貨を回収する。硬貨カセット114は、補充用の硬貨をセットする。一括スタッカ115は、スタッカ107に入りきらない場合に一時保存用として使用する。縦搬送部116は、硬貨カセット114、一括スタッカ115から送られている硬貨を、経路切替部110に搬送する。
【0029】
次に、上記構成の硬貨処理装置100の概略動作を説明する。硬貨の入金処理の場合は、顧客によって表示・操作部11で入金処理の開始が指示されると、主制御部10は、シャッタ102を開いて入出金口13Aを開放させる。入出金口13Aから硬貨が昇降バケット101に投入され、顧客によって表示・操作部11が投入完了の指示を受け付けると、主制御部10は、シャッタ102を閉じて入出金口13Aを閉塞させ、投入された硬貨をバケット101に一時的に保持させた後に繰出し部103へ送る。顧客が入金開始を指示してから、繰出し部103が投入された硬貨を内部に取込むまでの処理の詳細は、後述する。
【0030】
繰出し部103が投入された硬貨を取込むと、繰出し部103で一枚ずつ分離して、硬貨識別部105が硬貨の真偽判定と金種判定を行う。この時に硬貨よりも小さい異物が有った場合は、異物回収部104が回収する。その後、硬貨識別部105によって識別された硬貨は、一時保留部108に搬送される。そして、入金された全ての硬貨の識別が完了すると、主制御部10は入金金額を算出し、入金金額を表示パネル11Aに表示させる。ここで顧客が入金した金額を確認の上、表示・操作部11が顧客からの入金の実行指示を受け付けると、主制御部10からの制御によって、一時保留部108にある硬貨を全て経路切替部110を通して出金搬送部111に送り、上部に搬送された後、出金判別部112が簡易識別を行い、主制御部10は再びバケット101を通過させて硬貨を内部に取込む。
【0031】
硬貨が内部に取込まれると、繰出し部103は再び硬貨を1枚ずつ分離して硬貨識別部105に搬送し、硬貨識別部105は硬貨の金種判定を行う。この時、硬貨識別部105が識別した硬貨は、入金搬送部106によってスタッカ107に収納される。スタッカ107に入りきらない場合は、一括スタッカ115に一時保存しておく。そして、入金された全ての硬貨がスタッカ107もしくは、一括スタッカ115への収納が完了すると、入金処理が完了する。続いて、硬貨の出金処理について説明する。
【0032】
硬貨の出金処理の場合は、表示・操作部11が顧客から指定金額の出金処理の開始が指示を受け付けると、主制御部10は、指示された金額に応じた硬貨を金種別にスタッカ107から横搬送ベルト109に放出させる。そして、主制御部10からの指示に応じて横搬送ベルト109が硬貨を搬送して経路切替部110に送り、さらに経路切替部110を経由して出金搬送部111に送る。その後、出金搬送部111は、硬貨を出金判別部112に搬送し、出金判別部112が硬貨の金種等を識別した後、入出金口13Aのバケット101に搬送された硬貨を一時的に保持する。そして、出金する全ての硬貨の識別が完了すると、主制御部10は、出金金額の算出を行い、指定された金額と一致しているか否かを確認する。
【0033】
この時、出金金額が指定された金額に対して足りない場合は、スタッカ107の硬貨が不足しているので、主制御部10は、硬貨カセット114から縦搬送部116等を経由して、スタッカ107へ硬貨を補充させ、再度出金処理を行う。一方、出金金額が指定された金額と一致していれば、主制御部10は、シャッタ102を開けて入出金口13Aを開放させ、昇降バケット101に保持していた硬貨を取出し可能にする。その後、顧客によって、入出金口13Aから硬貨が全て取出されると、主制御部10は、シャッタ102を閉じて出金処理が終了となる。この時、顧客が出金硬貨を取り忘れた場合は、主制御部10は、その硬貨を硬貨回収部113に送り、取り忘れ回収を実施する。昇降バケット101に指定された硬貨を搬送し、顧客が硬貨を取り出すまでの処理の詳細は、後述する。
【0034】
本発明は、硬貨出金時において、前記入出金口13A及び昇降バケット101の構成を用いて山積みになっている出金硬貨を外部にこぼれ落ちることなく、且つ、昇降バケット101内部のトレイ等の構造物を外部に露出させることなく、硬貨を入出金口13Aの上部まで上昇させることで顧客の視認性、操作性の向上を実現している。また、顧客が山積みになった硬貨を何回かに分けて取出した場合、主制御部10が、山積みになった硬貨の高さ(上端)に追従して昇降バケット及び硬貨を上昇させることで、トレイの底に残留している硬貨の視認性を向上させ、取り忘れ防止の可能性を低減している。前記発明を実現するにあたり、以下にその実施例を示す。硬貨処理装置100における入出金口13Aの詳細構成を図4、図5に基づいて説明する。図4は、本発明である昇降バケット101が下降した状態の図である。図5は、本発明である昇降バケット101が上昇した状態の図である。
【0035】
入出金口13A及び昇降バケット101の構成として、上端媒体検知センサ200は、入出金口13Aの上部に複数有しており、昇降バケット内部に山積みになった硬貨や、顧客の手挿入を検知する。回転トレイ201は、昇降バケット101の底部に位置するトレイであり、回転トレイモータ202は、硬貨を一時保持する時は、回転トレイ201を閉じる。回転トレイ201に保持した硬貨を繰出し部103に送る場合は、回転トレイモータ202は、180度回転トレイ201を回転させて、底部を開放する。回転トレイモータ202は、回転トレイ201を回転してトレイを開閉させる。回転トレイ閉検知センサ203は、回転トレイ201が閉位置になっていることを検知する。回転トレイ開検知センサ204は、回転トレイ201が開位置になっていることを検知する。バケット上昇検知センサ205は、昇降バケット101が上昇位置になっていることを検知する。バケット下降検知センサ206は、昇降バケット101が下降位置になっていることを検知する。底部媒体検知センサ207は、昇降バケット101及び回転トレイ201の底部に複数有しており、底部に残留している硬貨を検知する。昇降バケットモータ208は、昇降バケット101を昇降させる。
【0036】
続いて、昇降バケット101に指定された硬貨を搬送し、顧客が硬貨を取り出すまでの処理の詳細を、図6のフローチャートを用いて説明する。なお、以下では顧客がバラ硬貨を取り出す場合や入金する場合について説明しているが、例えば、所定の枚数の硬貨を1つに包装した包装硬貨を複数本取り出したり入金したりする場合も、これと同様に適用することとしてもよい。
【0037】
表示・操作部11が顧客から出金金額の指定を受け付け、主制御部10は、出金動作を指示し(ステップS1)、昇降バケット101内部の容量を最大限確保する為、バケット下降検知センサ206を検知しているか否かを判定し、昇降バケット101が下降していることを確認する(ステップS2)。
【0038】
そして、主制御部10は、バケット下降検知センサ206を検知していないと判定した場合(ステップS2;No)、昇降バケット101を、昇降バケットモータ208を駆動して下降させる(ステップS3)。一方、主制御部10は、バケット下降検知センサ206を検知したと判定した場合(ステップS2;Yes)、出金搬送部111から搬送される硬貨を受取る為、さらに、回転トレイ201が閉じているか否かを回転トレイ閉検知センサ203で確認する(ステップS4)。
【0039】
主制御部10は、回転トレイ201が閉じていることを検知できない場合(ステップS4;No)、回転トレイ201を回転トレイモータ202を駆動させて閉じる(ステップ5)。一方、回転トレイ201が閉じていることを検知できた場合(ステップS4;Yes)、次に、顧客指定金額を出金搬送部111から昇降バケット101に出金させる(ステップS6)。この時、主制御部10は、底部媒体検知センサ207が検知しているか否かを判定する(ステップS7)。
【0040】
そして、主制御部10は、底部媒体検知センサ207が検知していないと判定した場合(ステップS7;No)、硬貨が出金されていない状態なので、ステップS6に戻って再度、出金動作を行う。一方、底部媒体検知センサ207が検知したと判定した場合(ステップS7;Yes)、顧客の視認性、操作性向上の為、入出金口13Aの上部(上方)に硬貨を配置する手段として、上端媒体検知センサ200もしくは、バケット上昇検知センサ205のどちらかが検知するまで昇降バケットモータ208を駆動し、昇降バケット101を上昇させる(ステップS8)。
【0041】
このとき、出金硬貨が多い場合は、バケット上昇検知センサ205よりも先に、複数あるどれかの上端媒体検知センサ200が検知するので、山積みになった硬貨が外部にこぼれ落ちることなく、その位置で停止する。一方、出金硬貨が少ない場合は、上端媒体検知センサ200が検知することなく、昇降バケット101がバケット上昇検知センサ205の最大上昇位置まで上昇することになる。このように、昇降バケット101の上昇を制限することで、上昇バケット101及び回転トレイ201の機構部品を外部に露出することを防ぐ。
【0042】
その後、主制御部10からの指示に応じてシャッタ102が開く(ステップS9)。このとき、シャッタ102が開いた状態の入手金口13Aの出金硬貨は、従来技術に比べ入出金口13Aの上端に配置された状態となっている為、視認性と、操作性が向上している。そして、主制御部10は、底部媒体検知センサ207が、顧客が昇降バケット101の初期位置で全ての硬貨を取出したか否かを判定する(ステップS10)。
【0043】
そして、主制御部10は、顧客が昇降バケット101の初期位置で全ての硬貨を取出していないと判定した場合(ステップS10;No)、例えば、顧客が複数回に分けて取出した場合でも、外部にこぼれ落ちることなく、再度入手金口13Aの上部に硬貨が配置される手段として、複数ある上端媒体検知センサ200が媒体有無の監視を行う。すなわち、硬貨が取出されて山積み硬貨の上端が無くなった場合は、昇降バケットモータ208を駆動し、再び上端媒体検知センサ200が検知するまで、昇降バケット101を上昇させる。これを繰り返すと最後は、上昇の上限であるバケット上昇検知センサ205が検知するまで上昇することになる。これにより、底部に残った硬貨の視認性を高めることができる為、取り忘れの防止に繋がる(ステップS11)。
【0044】
それでも、顧客が硬貨を取り忘れた場合は、主制御部10は、規定時間が経過したか否かを判定し(ステップS12)、規定時間が経過していないと判定した場合(ステップS12;No)、ステップS10に戻り、以降の処理を繰り返す。一方、主制御部10は、規定時間が経過したと判定した場合(ステップS12;Yes)、硬貨の取り忘れ回収処理を行い(ステップS13)、処理を終了させる。
【0045】
ステップS10において、底部媒体検知センサ207で底部に媒体が無いことを確認できた場合、すなわち、主制御部10が、顧客が昇降バケット101の初期位置で全ての硬貨を取出したと判定した場合(ステップS10;Yes)、顧客が全て硬貨を取出したことになるので、上端媒体検知センサ200で手挿入が無いことを確認の上、シャッタ102を閉じる(ステップS14)。そして、次の入金・出金動作に備え、昇降バケットモータ208を駆動し、バケット下降センサ206が検知するまで昇降バケット101を下降させ(ステップS15)、処理を終了させる。ステップS13またはステップS15の処理が終了すると、図6に示した全ての処理が終了する。続いて、顧客が入金開始を指示してから、繰出し部103から内部に取込むまでの処理の詳細について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0046】
表示・操作部11が顧客から入金の指示を受け付けると、主制御部10は、入金動作を指示し(ステップS20)、昇降バケット101内部の容量を最大限確保する為、バケット下降検知センサ206を検知しているか否かを判定し、昇降バケット101が下降していることを確認する(ステップS21)。
【0047】
そして、主制御部10は、バケット下降検知センサ206を検知していないと判定した場合(ステップS21;No)、昇降バケット101を、昇降バケットモータ208を駆動して下降させる(ステップS22)。一方、主制御部10は、バケット下降検知センサ206を検知したと判定した場合(ステップS21;Yes)、顧客が入出金口13Aから入金された硬貨をトレイで受取る為、さらに、回転トレイ201が閉じているか否かを回転トレイ閉検知センサ203で確認する(ステップS23)。
【0048】
主制御部10は、回転トレイ201が閉じていることを検知できない場合(ステップS23;No)、回転トレイ201を回転トレイモータ202を駆動させて閉じる(ステップ24)。一方、回転トレイ201が閉じていることを検知できた場合、すなわち、硬貨入金の準備が完了した場合(ステップS23;Yes)、主制御部10からの指示に応じてシャッタ102を開く(ステップS25)。
【0049】
その後、表示・操作部11は顧客から入金完了の指示を受け付け(ステップ26)、入金完了の指示が受け付けられると、主制御部10は、複数有る底部媒体検知センサ207が硬貨が有ることを検知したか否かを判定し(ステップS27)、硬貨が有ることを検知していないと判定した場合(ステップS27;No)、顧客から入金がされていないことになるので、表示パネル11A等に未入金であることを表示させ、その旨を通知する(ステップ28)。
【0050】
一方、主制御部10は、硬貨があることを検知したと判定した場合(ステップS27;Yes)、上端媒体検知センサ200が手挿入を検知していないが無いことを確認の上、シャッタ102を閉じる(ステップS29)。その後、繰出し部103に硬貨を送り入出金処理装置100内部に取込む為、回転トレイモータ202を駆動させ、回転トレイ201を開く(ステップS30)。
【0051】
回転トレイ201が全開になったことを検知する為、主制御部10は、回転トレイ開検知センサ204が回転トレイ201が開状態であることを検知したか否かを判定し(ステップS31)、回転トレイ開検知センサ204が開状態であることを検知していないと判定した場合(ステップS31;No)、ステップS30に戻り、再び回転トレイ201の開動作を行う。
【0052】
一方、主制御部10は、回転トレイ開検知センサ204が開状態であることを検知したと判定した場合(ステップS31;Yes)、回転トレイモータ202を駆動させ、回転トレイ201を閉じる(ステップ32)。
【0053】
そして、主制御部10は、回転トレイ202が閉じたことを確認する為、回転トレイ閉検知センサ203が、回転トレイ201が閉状態であることを検知したか否かを判定し(ステップS33)、回転トレイ201が閉状態であることを検知していないと判定した場合(ステップS33;No)、ステップS32に戻って回転トレイ201を閉じる。
【0054】
一方、主制御部10は、回転トレイ201が閉状態であることを検知したと判定した場合(ステップS33;Yes)、さらに、複数有る底部媒体検知センサ207が硬貨の残留を検知しているか否かを判定し(ステップS34)、複数有る底部媒体検知センサ207が硬貨の残留を検知していると判定した場合(ステップS34;Yes)、ステップS30に戻って、再び回転トレイ201を開く。
【0055】
一方、主制御部10は、複数有る底部媒体検知センサ207が硬貨の残留を検知していないと判定した場合(ステップS34;No)、顧客から入金された硬貨が繰出し部103に送られているので、繰出し部103を動作し、内部へ取込む(ステップS35)。このステップS35の処理が終了すると、図7に示した全ての処理が終了する。
【0056】
このように、硬貨入出金口部13Aの硬貨の視認性、操作性を高める為に、入出金口内部の昇降バケット101底部より高いところで硬貨の受け渡しを可能とし、出金時は、昇降バケット101内部の山積み硬貨の上端を硬貨入出金口部13A上部で検知し、それ以上は底部を上昇させず、回転トレイ201との関係を考慮して上昇バケット101及び回転トレイ201の機構部品を露出させない様、上昇を制御している。
【0057】
また、本実施の形態における硬貨処理装置100では、昇降バケット101を昇降させる昇降モータを設け、顧客が硬貨を取出す時は、硬貨入出金口13Aの上部まで昇降バケット101内部の山積みになった硬貨を上昇させ、視認性、操作性を高めることができる。また、硬貨入出金口13Aの上部に複数の上端媒体検知センサ200を設け、山積みになった硬貨が昇降バケット101上昇時に、上端媒体検知センサ200で硬貨を検知したら上昇を停止させることで、硬貨を外部にこぼれ落ちることを防ぐことができる。
【0058】
さらに、本実施の形態における硬貨処理装置100では、昇降バケット101の上昇状態において、上端媒体検知センサ200で顧客が硬貨を取出したことを検知することで、顧客が何回かに分けて硬貨を取出した場合に上端媒体検知センサ200が再度検知するまで昇降バケット101を再上昇させる。これにより、硬貨を全て取出すまで昇降バケット101及び硬貨は、硬貨入出金口13Aの上部に上昇し続けるので、視認性、操作性を高めることができる。
【0059】
また、本実施の形態における硬貨処理装置100では、昇降バケット101底部の回転トレイ201に底部媒体検知センサ207を設けることで、硬貨の残留を検知することが可能となる。上端媒体検知センサ200と組合わせて制御することで、確実に全ての硬貨を取出したことを検知することができ、顧客の硬貨取り忘れを防止する。さらに、入金時に昇降バケット101の回転トレイ201を回転させ硬貨を入金搬送部106に落下させる必要があるが、昇降バケット101の昇降検知センサ(バケット上昇検知センサ205、バケット下降検知センサ206)を設けることで、上昇時にバケット上昇検知センサ205が検知したら上昇を停止することで、回転トレイ機構等が外部に露出することを防ぐ。入金時や、出金時に出金搬送部111から放出される時は、バケット下降検知センサ206まで昇降バケット101を下降させることにより、硬貨の入金容量を多く確保することができる。
【0060】
このように、本実施の形態における硬貨処理装置100では、硬貨出金時において、硬貨処理装置内部からバケットに出金された山積みの硬貨を外部にこぼれ落ちることなく、且つ、バケットの構造物を外部に露出させることなく、硬貨を入出金口上部まで上昇する制御をすることで顧客の視認性、操作性の向上を実現する。また、顧客がバケットの山積みになった硬貨を何回かに分けて取出した場合、それに追従してバケット及び硬貨を入出金口上部まで再上昇させることで、トレイの底に残っている硬貨の視認性を向上させ、取り忘れの可能性を低減することを可能としている。
【符号の説明】
【0061】
1…自動預け払い機(ATM)、2…ネットワーク、3…ホストコンピュータ、10…主制御部、11…表示・操作部、11A…表示パネル、11Bタッチパネル、12…紙幣処理部、12A…紙幣入出金口、13…硬貨処理部、13A…硬貨入出金口、14…カード・明細書処理部、14A…カード挿入口、14B…明細書放出口、15…通信部、16…通帳処理部、16A…通帳挿入口、17…生体情報読取部、17A…生体情報読取センサ、18…記憶部、19…顧客検知部、19A…近接センサ、20…撮像部、20A…人物カメラ、100…硬貨処理装置、101…昇降バケット、102…シャッタ、103…繰出し部、104…異物回収部、105…硬貨識別部、106…入金搬送部、107…スタッカ107、108…一時保留部、109…横搬送ベルト109、110…経路切替部、111…出金搬送部、112…金判別部、113…貨回収部、114…硬貨カセット、115…一括スタッカ、116…縦搬送部、200…上端媒体検知センサ、201…回転トレイ、202…回転トレイモータ、203…回転トレイ閉検知センサ204…回転トレイ開検知センサ、205…バケット上昇検知センサ、206…バケット下降検知センサ、207…底部媒体検知センサ、208…昇降バケットモータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者との間で入出金口を介して硬貨類に関する取引を行う硬貨処理装置であって、
前記硬貨類を溜めるバケット部と、
前記硬貨処理装置の収納部に収納されている硬貨類を前記バケット部と前記収納部との間で搬送する搬送部と、
下降位置にある前記バケット部を上昇させる昇降機構部と、
前記バケット部が前記入出金口まで上昇したことを検知する上昇検知センサと、
前記昇降機構部によって上昇した前記バケット部に溜まった硬貨類の上端を検知する上端媒体検知センサと、
前記上昇検知センサが前記バケット部を検知するまで、または前記上端媒体検知センサが前記バケット部に溜まった硬貨類の上端を検知するまで、前記バケット部を上昇させるように前記昇降機構部を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
前記バケット部は、溜まっている硬貨類が残留していることを検知する媒体検知センサをさらに備え、
前記上端媒体検知センサは、前記利用者による前記バケット部に溜まった硬貨類の取り出しをさらに検知し、
前記制御部は、前記上端媒体検知センサが前記硬貨類の取り出しを検知した場合において、前記媒体検知センサが前記バケット部に残留している硬貨類を検知しているか否かを判定し、前記媒体検知センサが前記バケット部に残留している硬貨類を検知していると判定した場合、再び、前記上昇検知センサが前記バケット部を検知するまで、または前記上端媒体検知センサが前記バケット部に残留している硬貨類の上端を検知するまで、前記バケット部を上昇させるように前記昇降機構部を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記媒体検知センサが前記バケット部に溜まっている硬貨類を検知しなくなるまで、繰り返し上昇させるように前記昇降機構部を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記硬貨類を前記利用者に排出する場合、前記バケット部を前記搬送部まで下降させ、前記搬送部によって前記硬貨類が前記バケットに搬送された場合に、前記バケットを前記下降位置から上昇させるように前記昇降機構部を制御する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記バケット部は、前記硬貨類を排出または受け入れるための開閉機構を備えた開閉可能なトレイを有し、
前記制御部は、前記バケット部を前記下降位置まで下降させ、前記トレイを開状態にして前記入出金口から前記硬貨類を受け入れたのち、前記トレイを閉状態にして受け入れた前記硬貨類を前記搬送部に前記収納部まで搬送させる、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬貨類処理装置。
【請求項6】
前記トレイの開状態または閉状態を検知する開閉検知センサをさらに備え、
前記制御部は、前記トレイが前記硬貨類を受け入れ、前記開閉検知センサが前記トレイが開状態から閉状態に変わったことを検知した場合において、前記媒体検知センサが硬貨類の残留を検知しなくなった場合に、前記硬貨類の入金処理を開始させる、
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
前記バケット部の上方に、前記入出金口を開状態または閉状態にするための開閉可能なシャッタをさらに備え、
前記制御部は、前記トレイと前記シャッタとを開状態にしたうえで、前記硬貨類を前記利用者に排出させ、または前記利用者から前記硬貨類を受け入れる、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の硬貨処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−146248(P2012−146248A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5796(P2011−5796)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】