説明

硬貨計数装置

【課題】硬貨の金種の不一致、硬貨の収納不可、硬貨の散乱といった不具合の発生を防止できる硬貨計数装置11を提供する。
【解決手段】カセット装着部54に装着されたカセット14の金種を金種読取手段で読み取り、カセット14のシャッタ22が開放されていることをシャッタ開放検知手段で検知する。硬貨計数部33で計数した硬貨をカセット14に案内するシュート76がカセット案内位置にあることをシュート位置検知手段で検知する。シュート76がカセット案内位置にある場合、カセット14の金種と金種設定部38で設定した金種とが一致し、カセット14のシャッタ22が開放されることを含む計数スタート判定条件を満たせば、硬貨計数部33による計数スタートを許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を計数してカセットに収納させる硬貨計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば券売機では、硬貨の釣銭を準備するために、金種毎のカセットを用いて各金種の硬貨を装填している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
カセットに所定の枚数の硬貨を収納させるために、硬貨を計数して払い出す硬貨計数機が用いられている。この硬貨計数機では、ホッパに硬貨を投入し、金種と枚数を設定して計数スタートボタンを操作することにより、ホッパ内の硬貨が繰り出されて識別され、設定金種の硬貨だけが払出口から払い出され、設定枚数の硬貨が計数されたら計数が停止され、また、設定金種以外の硬貨についてはリジェクトボックスに回収されるように構成されている。
【0004】
そして、例えば、100円用カセットに釣銭を収納する場合には、100円用カセットのシャッタを開いて上面を開口させ、その100円用カセットの上面の開口部分を硬貨計数機の払出口の下側に配置し、硬貨計数機の金種設定部を操作して100円を設定するとともに枚数を設定して計数スタートボタンを操作することにより、硬貨計数機の払出口から払い出される100円硬貨を100円用カセットに収納する。この100円用カセットに設定枚数の硬貨が収納されれば、この100円用カセットを券売機に装着する。
【特許文献1】特開2003−30708号公報(第3−4頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カセットの金種確認を目視で行い、かつ硬貨計数機の金種設定を手動で行っているため、人為的ミスにより、カセットに誤った金種の硬貨が収納され、そのまま券売機に装着されると、券売機から誤った金種の硬貨が払い出されるおそれがある。例えば、100円硬貨を補充しようとして、100円用カセットを準備しているのにもかかわらず、操作ミスや前の処理の設定変更忘れなどによって硬貨計数機の金種設定が10円硬貨だった場合、100円用カセットに10円硬貨が収納される。その100円用カセットを券売機に装着したとすると、その後の取引において、釣銭として100円硬貨を払い出すべきところを10円硬貨を払い出してしまう。なお、異金種硬貨を排除する機能を備えた券売機の場合は、10円硬貨が全て排除されてしまうので、やはり、正常な釣銭は投出されない。
【0006】
また、カセットのシャッタを開け忘れた場合、硬貨計数機の払出口から払い出される硬貨がシャッタによってカセット内に入らず、硬貨計数機の払出口に硬貨が詰まったり、硬貨がシャッタに当たって床などに散乱してしまう。
【0007】
また、硬貨計数部の払出口から払い出される硬貨をカセットに案内するシュートを用いるとした場合、シュートが所定の位置に配置されていないと、硬貨がカセットに入らずに床などに散乱してしまう。
【0008】
このように、硬貨の金種の不一致、硬貨の収納不可、硬貨の散乱といった不具合の発生がある。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、硬貨の金種の不一致、硬貨の収納不可、硬貨の散乱といった不具合の発生を防止できる硬貨計数装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の硬貨計数装置は、開閉可能なシャッタおよび金種特定情報を有するカセットが着脱可能に装着されるカセット装着部と、このカセット装着部に装着された前記カセットの金種特定情報を読み取る金種読取手段と、前記カセット装着部に装着された前記カセットのシャッタが開放されていることを検知するシャッタ開放検知手段と、計数する硬貨の金種を設定する金種設定部と、この金種設定部で設定された硬貨を計数して払い出す硬貨計数部と、この硬貨計数部から払い出される硬貨を前記カセット装着部に装着された前記カセットに案内するカセット案内位置とこのカセット案内位置から退避する退避位置との間で移動可能なシュートと、このシュートの位置を検知するシュート位置検知手段と、前記シュート位置検知手段によって前記シュートがカセット案内位置にあることを検知している場合、前記金種読取手段が読み取った金種と前記金種設定部で設定された金種とが一致すること、前記シャッタ開放検知手段が前記カセットのシャッタの開放を検知することを含む計数スタート判定条件を満たせば、前記硬貨計数部による計数スタートを許可する制御部とを具備しているものである。
【0011】
請求項2記載の硬貨計数装置は、請求項1記載の硬貨計数装置において、前記カセット装着部に装着された前記カセット内に硬貨が残留していることを検知する残留検知手段を具備し、前記制御部は、前記残留検知手段によって前記カセット内の硬貨の残留が検知されていないことも含む計数スタート判定条件を満たせば、前記硬貨計数部による計数スタートを許可するものである。
【0012】
請求項3記載の硬貨計数装置は、請求項1または2記載の硬貨計数装置において、前記制御部は、硬貨を所定のバッチ枚数ずつカセットに収納させるバッチ計数処理時に、カセット抜き取り待ち状態でないことも含む計数スタート判定条件を満たせば、前記硬貨計数部による計数スタートを許可するものである。
【0013】
請求項4記載の硬貨計数装置は、請求項1ないし3いずれか記載の硬貨計数装置において、前記制御部は、計数中に発生したエラーの解除後、カセット抜き取り待ち状態でないことも含む計数スタート判定条件を満たせば、前記硬貨計数部による計数スタートを許可するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の硬貨計数装置によれば、シュート位置検知手段によってシュートがカセット案内位置にあることを検知している場合、金種読取手段が読み取ったカセットの金種と金種設定部で設定された金種とが一致すること、シャッタ開放検知手段がカセットのシャッタの開放を検知することを含む計数スタート判定条件を満たした場合にのみ、硬貨計数部による計数スタートを許可するため、カセットの金種と異なる金種の硬貨がカセットに収納されたり、シャッタが閉じているために硬貨をカセットに収納できずに床などに散乱したり、硬貨計数部から払い出される硬貨をカセットに案内できずに床などに散乱するといった、人為的なミスによる不具合の発生を防止できる。
【0015】
請求項2記載の硬貨計数装置によれば、請求項1記載の硬貨計数装置の効果に加えて、残留検知手段によってカセット内の硬貨の残留が検知されていないことも含む計数スタート判定条件を満たせば、硬貨計数部による計数スタートを許可するため、硬貨が残留しているカセットに硬貨を収納させるといった不具合の発生を防止できる。
【0016】
請求項3記載の硬貨計数装置によれば、請求項1または2記載の硬貨計数装置の効果に加えて、硬貨を所定のバッチ枚数ずつカセットに収納させるバッチ計数処理時に、カセット抜き取り待ち状態でないことも含む計数スタート判定条件を満たせば、硬貨計数部による計数スタートを許可するため、所定のバッチ枚数の硬貨が収納されたカセットが抜き取られないまま、そのカセットに対して再び所定のバッチ枚数の硬貨を収納させるといった不具合の発生を防止できる。
【0017】
請求項4記載の硬貨計数装置によれば、請求項1ないし3いずれか記載の硬貨計数装置の効果に加えて、計数中に発生したエラーの解除後、カセット抜き取り待ち状態でないことも含む計数スタート判定条件を満たせば、硬貨計数部による計数スタートを許可するため、エラーの発生によって硬貨の収納枚数が把握できなくなったカセットが抜き取られないまま、そのカセットに対して再び硬貨を収納させるといった不具合の発生を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
図1に示すように、11は硬貨計数装置で、この硬貨計数装置11は、硬貨計数機12とカセット装着機13とで構成され、カセット装着機13に装着されるカセット(カセット金庫)14に硬貨計数機12で計数した硬貨を収納させる。
【0020】
まず、カセット14は、例えば券売機に釣銭を装填するためのもので、券売機の機種に応じて第1種類のカセット14aとこの第1種類のカセット14aよりも高さが低く幅が広い第2種類のカセット14bとの2種類があり、さらに、これらカセット14a,14bにも収納する金種別に例えば金種Aと金種Bとの2種類がある。
【0021】
いずれの種類のカセット14も、硬貨を収納可能とする細長い箱型で、その上面には、硬貨を出し入れする長方形の開口部21が形成されているとともに、この開口部21を開閉するシャッタ22がカセット14の長手方向にスライド可能に配設されている。カセット14の前面には、シャッタ22の閉鎖位置で施錠、解錠可能とする錠23が設けられている。
【0022】
カセット14には、カセット装着機13側でカセット14の金種を特定可能とするための金種特定情報が付与されている。図4(a)(b)に示すように、第1種類のカセット14aは、後面に設けられる金種特定情報としてのスリット24の高さ位置が金種Aと金種Bとで異なるよう設けられている。図5(a)(b)に示すように、第2種類のカセット14bは、後面に設けられる金種特定情報としての孔25の位置が金種Aと金種Bとで異なるように設けられている。
【0023】
図6(a)(b)に示すように、第1種類のカセット14aの上面には、シャッタ22の開放時に第1種類のカセット14aの上面から突出するとともにシャッタ22の閉鎖時に第1種類のカセット14aの上面に埋没するロック部26が設けられている。なお、この第1種類のカセット14aのロック部26と同様に、第2種類のカセット14bにも、シャッタ22の開閉に連動して第2種類のカセット14bの上面から出没するロック部が設けられている。
【0024】
そして、カセット14を券売機に装着する際には、カセット14の上下面をひっくり返して券売機に装着し、鍵操作で錠23を解錠してシャッタ22を開放することにより、カセット14内の硬貨を開口部21から流出させて券売機へ補充する。
【0025】
また、図1に示すように、硬貨計数機12は、硬貨計数機本体31を備え、この硬貨計数機本体31の上面に計数する硬貨を投入するホッパ32が設けられている。硬貨計数機12内にはホッパ32から導かれる硬貨のうち設定金種の硬貨のみを選別計数して払い出す硬貨計数部33が配設されている。この硬貨計数部33では、ホッパ32から導かれる硬貨を回転円板により1枚ずつ搬送通路へ繰り出して搬送し、この搬送通路上に設けた識別センサ(図2参照)により硬貨の金種を識別する。搬送通路の終端は、硬貨計数機12の前部に下方へ向けて開口形成されていて計数した硬貨を払い出す硬貨払出口34に通じている。硬貨通路の途中には設定金種以外の硬貨、偽造硬貨、識別不能硬貨などの所定の硬貨を排除するリジェクト部(図2参照)を備え、このリジェクト部は硬貨計数機12の右側面に形成された図示しない硬貨リジェクト口に通じている。
【0026】
硬貨計数機12の前部上面には操作表示部35が設けられ、図3に示すように、この操作表示部35には操作部36および表示部37が設けられている。
【0027】
操作部36は、回動操作して計数する金種を設定する金種摘みを有する金種設定部38、計数モードを切り換える計数モード設定手段としてのモードボタン39、設定枚数であるバッチ枚数を設定するバッチボタン40、計数を開始および停止させる計数スタートボタンとしてのスタート/ストップボタン41、計数値をクリアしたうえで計数を開始させるクリアスタートボタン42、計数値およびエラーをクリアするクリアボタン43を備えている。そして、モードボタン39およびバッチボタン40によって、カセット14に収納する硬貨の枚数を設定する枚数設定手段44が構成されている。
【0028】
表示部37は、モードボタン39で設定された計数モードを表示する複数のモードランプ45、設定されたバッチ枚数を表示するバッチ表示部46、硬貨の計数枚数を表示する計数表示部47を備えている。
【0029】
そして、モードボタン39で選択設定可能な計数モードとしては、スタート/ストップボタン41で計数が停止されるかホッパ32に投入された硬貨が無くなるまで計数を継続する無限大モード、予め固定されたバッチ枚数分の硬貨を計数したら自動停止する固定モード、任意に設定されたバッチ枚数分の硬貨を計数したら自動停止する任意モードがある。固定モードでは、予め設定されている複数種の枚数の中から対応するバッチボタン40の操作によって選択可能とする。任意モードでは、各バッチボタン40を操作することによって各バッチボタン40に対応した位を+1ずつ増加させて設定することができ、また、バッチボタン40の1つによって入力したバッチ枚数をクリアすることもできる。
【0030】
モードボタン39の操作毎に、無限大モード、固定モード、任意モード、累計モードが順に切り換わる。累計モードは、バッチ枚数分の硬貨を計数したカセット14の累計個数や計数した硬貨の累計枚数を表示部37の計数表示部47で表示させる。
【0031】
また、図1に示すように、カセット装着機13は、カセット装着機本体51を備え、このカセット装着機本体51の上面に硬貨計数機12を載置する載置台52が設けられている。
【0032】
カセット装着機本体51の前面にはカセット装着口53が形成され、このカセット装着口53の内側でカセット装着機本体51の内部にカセット14がカセット装着口53を通じて着脱可能に装着されるカセット装着部54が形成されている。図7(a)(b)(c)に示すように、このカセット装着部54の一側下部には段部55が前後方向に沿って設けられ、この段部55の側部域に第1種類のカセット14aが装着され、段部55の上部域に第2種類のカセット14bが装着される。段部55の側部でカセット装着部54の底部には第1種類のカセット14aの底部側の着脱移動をガイドするガイド部56が前後方向に沿って取り付けられ、段部55の上部には第2種類のカセット14bの底部側の着脱移動をガイドするガイド部56が前後方向に沿って取り付けられ、さらに、カセット装着部54の両側面上部側には各カセット14a,14bの上部側の着脱移動をガイドするガイド部56が前後方向に沿って取り付けられている。これらガイド部56は、カセット装着部54に装着された各カセット14a,14bを位置決めする位置決め手段としても機能する。
【0033】
カセット装着部54には、装着されたカセット14の金種特定情報およびカセット種類を読み取る金種読取手段57が配設されている。この金種読取手段57は、第1種類のカセット14aのスリット24の位置を検知するスリット検知部58、第2種類のカセット14bの孔25の位置を検知する孔検知部59、第1種類のカセット14aを装着した際に検知するサイズ検知部60を有している。そして、図8に示すように、スリット検知部58がオン、孔検知部59がオン、サイズ検知部60がオンであれば第1種類のカセット14aの金種Aであると判別し、スリット検知部58がオフ、孔検知部59がオン、サイズ検知部60がオンであれば金種Bであると判別する。また、スリット検知部58がオン、孔検知部59がオン、サイズ検知部60がオフであれば第2種類のカセット14bの金種Aであると判別し、スリット検知部58がオン、孔検知部59がオフ、サイズ検知部60がオフであれば第2種類のカセット14bの金種Bであると判別する。さらに、スリット検知部58がオフ、孔検知部59がオフ、サイズ検知部60がオフであればカセット未装着であると判別する。
【0034】
カセット装着機本体51の上面でカセット装着部54の上側位置には、硬貨計数機12から払い出される硬貨を受け入れてカセット14に収納させる硬貨受入口61が形成されている。
【0035】
また、図9に示すように、カセット装着部54には、装着されたカセット14を固定するカセット固定手段64が設けられている。このカセット固定手段64は、カセット装着部54の所定の装着位置に装着されたカセット14のロック部26の上方に対向する上壁面に形成されたロック孔65を備え、カセット14の装着状態で錠23を解錠してシャッタ22を開放することにより、ロック部26が上方に突出してロック孔65に入り、カセット装着部54に対してカセット14の位置を固定される。また、シャッタ22を閉じ、錠23を施錠することにより、ロック部26がロック孔65から外れ、カセット14をカセット装着部54から抜き外すことが可能となる。
【0036】
このカセット固定手段64により、カセット装着部54の所定の装着位置にカセット14を装着しないと、シャッタ22を開こうとした際にロック部26がロック孔65に入らず、シャッタ22を開放できないため、カセット装着部54の所定の装着位置にカセット14を装着することができ、また、ロック部26がロック孔65に入ることで、カセット装着部54に装着したカセット14の位置ずれを防止でき、カセット14の位置ずれによって硬貨計数機12から払い出される硬貨がカセット14内に入らず、床面に散乱するような不具合の発生を防止できる。
【0037】
また、図10(a)(b)に示すように、カセット装着部54には、装着されたカセット14のシャッタ22が開放されていることを検知するシャッタ開放検知手段68が設けられている。このシャッタ開放検知手段68は、カセット装着部54の上側に水平状態で回動可能に支持された軸69を備え、この軸69に検知ローラ70を回動可能に支持した検知ローラ支持板71が固定され、軸69の端部には検知板72が固定され、この検知板72の回動によってオンオフするスイッチ73が配置されている。
【0038】
そして、図10(a)に示すように、カセット装着部54に装着されたカセット14のシャッタ22が閉じている状態、またはシャッタ22の開放が不十分である状態では、シャッタ22上に検知ローラ70が当接して押し上げられているため、軸69を介して回動する検知板72でスイッチ73を押してオンし、シャッタ22が開放されていないことを検知できる。また、カセット装着部54に装着されたカセット14のシャッタ22が完全に開放されている状態では、検知ローラ70がカセット14の開口部21に落ち込むため、軸69を介して回動する検知板72がスイッチ73から離反してスイッチ73がオフし、シャッタ22が開放されていることを検知できる。
【0039】
このシャッタ開放検知手段68により、カセット14のシャッタ22が完全に開放されているか確認でき、硬貨計数機12から払い出される硬貨をカセット14に確実に収納させることができる。
【0040】
また、図1に示すように、載置台52の前面には、硬貨計数機12から払い出される硬貨をカセット装着機13のカセット装着部54に装着されているカセット14に案内するシュート76がスライド機構77によって左右方向にスライド可能に取り付けられている。
【0041】
このシュート76は、スライド機構77によって、硬貨計数機12の硬貨払出口34の真下位置でその硬貨払出口34から払い出される硬貨をカセット装着機13の硬貨受入口61からカセット装着部54内のカセット14に案内するカセット案内位置と、そのカセット案内位置から左側方に退避する退避位置との間を移動可能としている。図13に示すように、シュート76が退避位置に移動することにより、硬貨払出口34の下方に空間ができ、その硬貨払出口34から払い出される硬貨を袋78に収納する袋取りを可能としている。硬貨払出口34には袋78を取付可能としている。
【0042】
図11(a)(b)に示すように、シュート76は、上下に開口する筒形で、カセット案内位置において硬貨払出口34の下方に対向する傾斜面79を備え、この傾斜面79の下端に鉛直面80が設けられ、この鉛直面80を含むシュート76の下端に硬貨を排出する排出口81が形成されている。排出口81は、カセット14の長手方向に対応した方向の開口幅が広く、カセット14の短手方向に対応した方向の開口幅が狭いとともに開口部21の幅寸法よりも小さく形成されている。
【0043】
このようにシュート76を構成することにより、硬貨払出口34から払い出される硬貨がシュート76の傾斜面79に接触してからカセット14内に導かれるため、カセット14内に硬貨がばらけて収納されやすく、硬貨が自由落下してカセット14内に収納される場合に比べて、カセット14内の1ヶ所に硬貨が山積み状態となりにくく、山積み状態となって硬貨がこぼれ出るような不具合の発生を防止できる。
【0044】
図12(a)(b)に示すように、スライド機構77は、載置台52の前面に水平に取り付けられる固定レール82、この固定レール82に水平方向に沿ってスライド可能に係合する第1のスライドレール83、この第1のスライドレール83に水平方向に沿ってスライド可能に係合するとともにシュート76に取り付けられた第2のスライドレール84を備えている。
【0045】
スライド機構77の箇所には、シュート76がカセット案内位置に位置するのか退避位置に位置するのかを検知するシュート位置検知手段87を備えている。このシュート位置検知手段87は、載置台52に取り付けられたスイッチ88を備え、シュート76にはシュート側位置にスライドすることでスイッチ88を押してオンさせる作動部89が設けられている。
【0046】
次に、図2は硬貨計数装置11のブロック図を示す。
【0047】
硬貨計数機12は、この硬貨計数機12の動作制御を行う制御部101を備え、この制御部101には、ホッパ32内の硬貨の有無を検知する有無検知センサ102、硬貨計数部33の回転円板や搬送通路の搬送手段を駆動する駆動モータ103、搬送通路を搬送する硬貨を識別する識別センサ104、搬送通路から設定金種以外の硬貨を排除するリジェクト部105、計数すべき金種を設定する金種設定部38、各種操作を行う操作部36、各種表示を行う表示部37、カセット装着機13と通信する通信部106、および電源供給を行う電源部107が接続されている。
【0048】
また、カセット装着機13は、このカセット装着機13の動作制御を行う制御部111を備え、この制御部111には、カセット装着部54に装着されたカセット14の金種特定情報を読み取る金種読取手段57、カセット装着部54に装着されたカセット14のシャッタ22が開放されていることを検知するシャッタ開放検知手段68、シュート76の位置を検知するシュート位置検知手段87、カセット装着部54に装着されたカセット14に硬貨が残留していることを検知する残留検知手段113、硬貨計数機12と通信する通信部114が接続されている。残留検知手段113は、カセット装着部54に装着されたカセット14の質量を測定して硬貨の有無による質量の違いから硬貨残留を検知したり、カセット14に通電して硬貨の有無による通電状態から硬貨残留を検知したり、カセット14内に光センサから光を透光させて硬貨の有無による遮光透光状態から硬貨残留を検知する。
【0049】
そして、カセット装着機13の制御部111は、カセット14の着脱情報および金種特定情報、カセット14のシャッタ22の位置情報、シュート76の位置情報、カセット14内の硬貨の残留情報を、硬貨計数機12の制御部101に通知する機能を有する。
【0050】
また、硬貨計数機12の制御部101は、シュート位置検知手段87によって検知されるシュート76の位置が、カセット案内位置にあればカセットモード、退避位置にあれば通常モードと判断する機能を有している。
【0051】
さらに、硬貨計数機12の制御部101は、カセットモードの場合において、すなわち、シュート位置検知手段87によってシュート76がカセット案内位置にあることを検知している場合、金種読取手段57が読み取った金種と金種設定部38で設定された金種とが一致すること、シャッタ開放検知手段68がカセット14のシャッタ22の開放を検知すること、残留検知手段113によってカセット14内の硬貨の残留が検知されていないこと、エラーが発生していないこと、の全てまたはスタート条件として予め設定された条件を含む計数スタート判定条件を満たせば、硬貨計数部33による計数スタートを許可し、また、満たさなければ、計数スタートを禁止する機能を有している。さらに、硬貨を所定のバッチ枚数ずつカセット14に収納させるバッチ計数処理時には、カセット抜き取り待ち状態でないこと、計数中には、発生したエラーの解除後、カセット抜き取り待ち状態でないことを含む計数スタート判定条件を満たせば、硬貨計数部33による計数スタートを許可し、また、満たさなければ、計数スタートを禁止する機能を有している。
【0052】
さらに、硬貨計数機12の制御部101は、カセットモードの場合において、カセット装着部54に入れ替えて装着されるカセット14に対して硬貨計数部33で計数される硬貨を設定されているバッチ枚数ずつ収納させ、このバッチ枚数ずつ硬貨を収納させたカセット14の累計個数をカウントするとともに表示部37に表示させる機能、カセット装着部54に対してカセットを入れ替えても硬貨計数部33で計数される硬貨の累計枚数を引き続き計数するとともに、その累計枚数を表示部37で表示させる機能、計数中にエラーが発生した場合、カセット14の抜き取りがなければ、エラー解除後に引き続き計数するとともに計数の情報を表示部37に表示させる機能を有している。なお、金種毎のカセット14の累計個数、および金種毎の累計枚数を計数するとともに表示部37に表示させてもよい。
【0053】
次に、硬貨計数装置11の動作について説明する。
【0054】
硬貨計数装置11を用いた作業の内容としては、券売機のカセット14に所定枚数の釣銭硬貨を投入して釣銭として準備する釣銭準備作業と、券売機から回収した硬貨やカセット14に入りきれずに残った硬貨を袋78に入れて保管する袋取り保管作業とがある。
【0055】
そして、図14に主に釣銭準備作業のフローチャート、図15に表示部37の表示遷移を示すフローチャート、図16に通常モードの各状態での表示部37の表示例を説明する説明図、図17にカセットモードの各状態での表示部37の表示例を説明する説明図を示す。
【0056】
まず、券売機から回収した硬貨を全て袋取りする袋取り保管作業について説明する。
【0057】
作業者により、券売機から回収してきた硬貨を硬貨計数機12のホッパ32に投入する。図13に示すように、硬貨計数機12のシュート76を硬貨払出口34の側方の退避位置に移動させ、硬貨払出口34に袋78を取り付ける。また、硬貨計数装置11の電源をオンし、硬貨計数機12の金種設定部38で計数する金種を選択設定する。また、シュート76が硬貨払出口34の側方の退避位置に移動されていてカセット案内位置にないことをシュート位置検知手段87で検知し、通常モードを設定する。また、必要に応じて、モードボタン39で計数モード(無限大モード、固定モード、任意モード)を選択設定する。なお、これらの手順はいずれの順序で行ってもよい。
【0058】
そして、硬貨計数装置11の電源をオンすると、イニシャル処理を行い(図14のステップ1、図15および図16の表示1)、イニシャル処理が正常でなければ(図14のステップ2のNO)、表示部37でエラー表示し(図14のステップ3)、クリアボタン43の操作により(図14のステップ4)、イニシャル処理を再び実行する。
【0059】
イニシャル処理が正常に実行されれば、シュート位置検知手段87の検知に基づいてシュート76の位置を確認し(図14のステップ5)、シュート76がカセット案内位置になく、つまり退避位置にあれば、通常モードが設定され(図14のステップ6)、待機中となる。この通常モードでは、表示部37のモードランプ45が点灯表示する。なお、通常モードに設定しても、シュート76がカセット案内位置に移動されれば、カセットモードに変更する。
【0060】
待機中に、硬貨計数機12のモードボタン39を操作して任意の計数モードを選択設定する。設定された計数モードにおいて、表示部37のモードランプ45が点灯し、バッチ表示部46および計数表示部47が対応する表示状態となる(図15および図16の表示2、表示3、表示4)。固定モードおよび任意モードの場合には前回の設定値のままになっており、変更が必要な場合にはバッチボタン40を操作して設定する。
【0061】
その後、硬貨計数機12のスタート/ストップボタン41を操作する。
【0062】
このスタート/ストップボタン41の操作で、硬貨計数機12の硬貨計数部33によりホッパ32内の硬貨の計数、払い出し動作を開始する。硬貨計数部33では、回転円板によりホッパ32から導かれる硬貨を1枚ずつ搬送通路へ繰り出して搬送し、この搬送通路上に設けた識別センサ104により硬貨の金種を識別する。該当金種の硬貨は搬送通路の終端に搬送して硬貨払出口34から払い出す。硬貨払出口34から払い出された硬貨は袋78に収納する。このとき、表示部37の計数表示部47には、該当金種の硬貨の計数値をリアルタイムに表示する(図15および図16の表示6)。
【0063】
識別センサ104での識別により、設定金種以外の硬貨、偽造硬貨、識別不能硬貨などがあった場合は、その硬貨をリジェクト部105で排除してリジェクト口に払い出す。
【0064】
例えば、任意モードでバッチ枚数が設定されていた場合には、設定されていたバッチ枚数分の硬貨の計数、払い出し動作が完了すれば、硬貨計数部33の動作を停止し、待機中となる。このとき、表示部37の計数表示部47には、計数した枚数を表示するとともにバッチ計数が終了したことを点滅表示する(図15および図16の表示7)。
【0065】
そして、袋78を硬貨払出口34から取り外す。これで1袋分の硬貨の袋取り保管作業が完了する。
【0066】
引き続き、袋取り保管作業を行う場合には、作業者により、硬貨払出口34に空の袋78を取り付け、硬貨計数機12のスタート/ストップボタン41を操作する。これにより、上述と同様に、硬貨計数部33が硬貨の計数、払い出し動作を開始し、バッチ枚数分の硬貨を袋78に収納して停止する。このとき、硬貨計数部33で計数される該当金種の硬貨の累計枚数は引き続き計数する。
【0067】
そのため、待機中において、硬貨計数機12のモードボタン39を操作して累計モードを選択することにより、表示部37の計数表示部47で累計枚数を表示する(図15および図16の表示5)。
【0068】
また、計数中にエラーが発生した場合には、表示部37のバッチ表示部46にエラーコードを点滅表示する(図15および図16の表示8)。エラーの原因を解消し、クリアボタン43の操作することによりエラー解除する。
【0069】
また、計数中にスタート/ストップボタン41が操作されるか、ホッパ32内の硬貨がなくなった場合には、硬貨計数部33の硬貨の計数、払い出し動作を停止し、待機中となる。再びスタート/ストップボタン41が操作されるか、ホッパ32に硬貨が投入された後にスタート/ストップボタン41が操作された場合には、硬貨計数部33の硬貨の計数、払い出し動作を再開する。
【0070】
また、待機中に、シュート76がカセット案内位置に移動したことが検知されれば、通常モードからカセットモードの設定に変更する。
【0071】
次に、釣銭準備作業について説明する。
【0072】
作業者により、券売機の釣銭として準備する金種の硬貨を硬貨計数機12のホッパ32に投入する。図1に示すように、シュート76を硬貨計数機12の硬貨払出口34の下方のカセット案内位置に移動させる。また、硬貨計数装置11の電源をオンし、金種設定部38で計数する金種を選択設定する。また、シュート76が硬貨払出口34の下方のカセット案内位置にあることをシュート位置検知手段87で検知し、カセットモードを設定する。また、必要に応じて、モードボタン39で計数モード(無限大モード、固定モード、任意モード)を選択設定する。また、カセット14をカセット装着機13のカセット装着部54に装着し、カセット14の錠23を解錠してシャッタ22を開放する。なお、これらの手順は、いずれの順序で行ってもよい。
【0073】
カセット14をカセット装着機13のカセット装着部54に装着し、カセット14の錠23を解錠してシャッタ22を開放することにより、カセット14からロック部26が突出してカセット装着部54に係合し、カセット14がカセット装着部54に固定される。
【0074】
そして、硬貨計数装置11の電源をオンすると、イニシャル処理を行い(図14のステップ1、図15および図17の表示11)、イニシャル処理が正常でなければ(図14のステップ2のNO)、表示部37でエラー表示し(図14のステップ3)、クリアボタン43の操作により(図14のステップ4)、イニシャル処理を再び実行する。
【0075】
イニシャル処理が正常に実行されれば、シュート位置検知手段87でシュート76の位置を確認し(図14のステップ5)、シュート76がカセット案内位置にあれば、カセットモードが設定され、待機中となる。このカセットモードでは、表示部37のモードランプ45が点滅表示する。なお、カセットモードに設定しても、シュート76が退避位置に移動されれば、通常モードに変更する。
【0076】
カセットモードでは、カセット14がカセット装着機13のカセット装着部54に装着されておらず、金種読取手段57でカセット未装着が検知されている場合、表示部37の計数表示部47にはカセット14がないことを示す「nOCAS」を表示する(図17の表示12)。
【0077】
また、カセット14がカセット装着機13のカセット装着部54に装着されている場合、金種読取手段57が読み取ったカセット14の金種と金種設定部38で設定された金種とが一致するか確認する(図14のステップ7)。不一致であれば(図14のステップ7の不一致)、一致待ちとなり、この時点でスタート/ストップボタン41を操作しても、計数スタート判定条件を満たさないために計数スタートしない。このとき、表示部37の計数表示部47には、カセット14の金種を示す「C10」または「C100」などを表示する(図17の表示12)。
【0078】
カセット装着機13の金種読取手段57が読み取ったカセット14の金種と金種設定部38で設定された金種とが一致すれば(図14のステップ7の一致)、残留検知手段113によってカセット14内の硬貨の残留が検知されていないか確認する(図14のステップ8)。カセット14内の硬貨の残留が検知されていれば(図14のステップ8の残留あり)、カセット14の抜き取り待ちとなり(図14のステップ13)、この時点でスタート/ストップボタン41を操作しても、計数スタート判定条件を満たさないために計数スタートしない。このとき、表示部37の計数表示部47には、カセット14の抜き取り待ちを示す「CAS」を点滅表示する(図17の表示19と同様)。
【0079】
残留検知手段113がカセット14内の硬貨の残留を検知していなければ(図14のステップ8の残留なし)、シャッタ開放検知手段68がカセット14のシャッタ22の開放を検知しているか確認する(図14のステップ9)。シャッタ22が閉じていれば(図14のステップ9の閉)、開放待ちとなり、この時点でスタート/ストップボタン41を操作しても、計数スタート判定条件を満たさないために計数スタートしない。このとき、表示部37の計数表示部47には、カセット14のシャッタ22が閉じていることを示す「CLOSE」を表示する(図17の表示12)。
【0080】
シャッタ開放検知手段68がカセット14のシャッタ22の開放を検知していれば(図14のステップ9の開)、すなわち、シュート76がカセット案内位置に位置し、金種が一致し、カセット14内の硬貨の残留なし、シャッタ22の開放の全てを含む計数スタート判定条件を満たせば、スタート/ストップボタン41の操作を受け付け(図14のステップ10)、硬貨計数部33による計数スタートを許可する状態となる。このとき、表示部37の計数表示部47には、現在の計数値を示す「0」を表示する(図17の表示12)。
【0081】
スタート/ストップボタン41が操作されるまでに、カセット14の抜き取りや、金種の変更設定などがあれば、再び計数スタート判定条件を満たすか判定する。
【0082】
また、待機中に、硬貨計数機12のモードボタン39を操作して任意の計数モードを選択設定する。設定された計数モードにおいて、表示部37のモードランプ45が点灯し、表示部37のバッチ表示部46および計数表示部47が対応する表示状態となる(図15および図17の表示12、表示13、表示14)。固定モードおよび任意モードの場合には前回の設定値のままになっており、変更が必要な場合にはバッチボタン40を操作して設定する。
【0083】
また、計数スタートが許可された状態で、スタート/ストップボタン41を操作すると、硬貨計数機12の硬貨計数部33によるホッパ32内の硬貨の計数、払い出し動作を開始する(図14のステップ11)。硬貨計数機12で計数した該当金種の硬貨は、硬貨払出口34からシュート76を通じてカセット装着機13のカセット装着部54に装着されているカセット14内に収納する。このとき、表示部37の計数表示部47には、該当金種の硬貨の計数値をリアルタイムに表示する(図15および図17の表示16)。
【0084】
例えば、任意モードでバッチ枚数が設定されていた場合には、設定されていたバッチ枚数分の硬貨の計数、払い出し動作が正常に終了すれば(図14のステップ12の正常)、硬貨計数部33の硬貨の計数、払い出し動作を停止し、バッチ枚数分の硬貨を収納し終えたカセット14の累計個数を+1カウントアップし、カセット14の抜き取り待ちとなる(図14のステップ13)。このとき、表示部37の計数表示部47では、計数した計数値と、バッチ枚数分の硬貨を収納し終えたカセット14の累計個数とを所定の間隔で交互に表示する(図15および図17の表示17)。累計個数については、1個目であれば「CS 1」と表示し、5個目であれば「CS 5」と表示する。
【0085】
引き続き、釣銭準備作業を行う場合には、作業者により、カセット14の交換作業を行う。
【0086】
すなわち、カセット装着機13のカセット装着部54に装着されているカセット14のシャッタ22を閉じて錠23を施錠する。これにより、カセット14のロック部26がカセット装着部54側から外れ、カセット14の引き抜きが可能となり、カセット14を引き抜く(図14のステップ13のYES)。カセット14を引き抜くと、計数値をクリアし(図14のステップ14)、表示部37の計数表示部47でカセット14がないことを示す「nOCAS」を表示する。なお、計数値のクリアは、今回の計数値に関してだけで、硬貨の累計枚数やカセット14の累計個数はクリアされない。
【0087】
その後、次に硬貨を収納させるカセット14をカセット装着機13のカセット装着部54に装着し、カセット14の錠23を解錠してシャッタ22を開放する。
【0088】
これにより、上述と同様に、シュート76がカセット案内位置に位置し、金種が一致し、シャッタ22が開き、カセット14内の硬貨の残留なしの全てを含む計数スタート判定条件を満たせば、スタート/ストップボタン41の操作により、硬貨計数機12の硬貨計数部33が硬貨の計数、払い出し動作を開始し、バッチ枚数分の硬貨をカセット14に収納して停止する。このとき、硬貨計数部33で計数される硬貨の累計枚数は引き続き計数する。
【0089】
また、カセット14の交換時などの待機中に、硬貨計数機12のモードボタン39を操作すると、累計モードとなり、表示部37の計数表示部47では、計数した硬貨の累計枚数と、バッチ枚数分の硬貨を収納し終えたカセット14の累計個数とを所定の間隔で交互に表示する(図15および図17の表示15)。この累計モードでは、スタート/ストップボタン41の操作を受け付けない。
【0090】
また、所定の個数のカセット14への硬貨の収納が完了すれば、硬貨計数機12に残った硬貨を袋取りして回収する。
【0091】
この場合には、硬貨計数機12のシュート76を硬貨払出口34の下方のカセット案内位置から側方の退避位置に移動させることにより、上述した通常モードに移行し(モードランプ45が点滅表示から点灯表示に変わる)、硬貨計数機12で計数した硬貨を硬貨払出口34に取り付けた袋78に収納する。計数中において、表示部37の計数表示部47には、計数した該当金種の硬貨の計数値をリアルタイムに表示する。
【0092】
ホッパ32内に硬貨がなくなって計数が終了すれば、表示部37の計数表示部47には、計数した硬貨の計数値と、バッチ枚数分の硬貨を収納し終えたカセット14の累計個数とを所定の間隔で交互に表示する。
【0093】
このとき、モードボタン39を操作すると、累計モードとなり、表示部37の計数表示部47には、計数した硬貨の累計枚数と、バッチ枚数分の硬貨を収納し終えたカセット14の累計個数とを所定の間隔で交互に表示する。
【0094】
また、この累計モード時に、クリアボタン43を操作すると、硬貨の累計枚数およびカセット14の累計個数をクリアする。
【0095】
また、計数中にスタート/ストップボタン41が操作されるか、ホッパ32内の硬貨がなくなった場合には(図14のステップ12のストップ/エンプティ)、硬貨計数部33の硬貨の計数、払い出し動作を停止し、表示部37の計数表示部47で計数値を表示したまま、待機中となる(図14のステップ15)。再びスタート/ストップボタン41が操作されるか、ホッパ32に硬貨が投入された後にスタート/ストップボタン41が操作された場合には、硬貨計数部33の硬貨の計数、払い出し動作を再開する。
【0096】
また、エラーが発生した場合(図14のステップ12の異常)、硬貨計数部33の硬貨の計数、払い出し動作を停止し、表示部37の計数表示部47で計数枚数を表示したまま、バッチ表示部46にエラーコードを点滅表示する(図14のステップ16、図15および図17の表示18)。
【0097】
エラーには、カセット14のシャッタ22が閉じたり、カセット14が引き抜かれたり、金種設定部38の金種の設定位置が変化したり、シュート76の位置が変化するなどの計数スタート判定条件が満たされなくなることを原因とするもの、無限大モードの場合に計数した硬貨の累計枚数が予め異常と判断する限度枚数に達したことを原因とするもの、硬貨計数部33での硬貨詰まりなどのその他を原因とするものなどがある。
【0098】
エラーが硬貨計数部33での硬貨詰まりなどの計数に関係する計数エラーの場合には、カセット14に収納した硬貨の枚数が正確に把握できなくなり、計数値が無効となるため、カセット14をカセット装着部54から一旦取り外してカセット14内から硬貨を取り出し、空となったカセット14をカセット装着部54に再び装着して、計数をしなおす必要がある。
【0099】
すなわち、計数エラーの場合には、まず、硬貨詰まりなどのエラーの原因を解消し、クリアボタン43を操作することにより(図14のステップ17のYES)、カセット14の抜き取り待ちとなる(図14のステップ13)。このとき、表示部37の計数表示部47では、カセット14の抜き取り待ちを示す「CAS」を表示する(図15および図17の表示19)。この時点でスタート/ストップボタン41を操作しても、計数スタート判定条件を満たさないために計数スタートしない。
【0100】
カセット14をカセット装着部54から取り外し、カセット14内の硬貨を取り出してホッパ32に戻し、空となったカセット14をカセット装着部54に再び装着する。カセット14を引き抜くと(図14のステップ13のYES)、計数値をクリアする(図14のステップ14)。なお、計数値のクリアは、今回のエラーが発生した計数値に関してだけで、前回までの硬貨の累計枚数やカセット14の累計個数はクリアされない。そして、空となったカセット14をカセット装着部54に再び装着すると、上述と同様に、シュート76がカセット案内位置に位置し、金種が一致し、シャッタ22が開き、カセット14内の硬貨の残留なしの全てを含む計数スタート判定条件を満たせば、スタート/ストップボタン41の操作により、硬貨計数機12の硬貨計数部33が硬貨の計数、払い出し動作を開始する。
【0101】
なお、エラーが計数に関係なく、カセット14の抜き取りが必要ない通常エラーの場合には、クリアボタン43の操作でエラー解除することにより、硬貨計数部33が硬貨の計数、払い出し動作を再開し、硬貨を引き続き計数するとともに計数値を表示部37の計数表示部47に表示する。
【0102】
このように、硬貨計数装置11によれば、カセット装着部54に入れ替えて装着されるカセット14に対して硬貨計数部33で計数される硬貨をバッチ枚数ずつ収納させる場合に、バッチ枚数分の硬貨を収納させたカセット14の累計個数を表示部37に表示するため、その表示によってバッチ枚数分の硬貨を収納させたカセット14の数を確認でき、バッチ枚数分の硬貨を収納させたカセット14の数を作業者が数えて把握しておく必要がなく、作業者の負担を軽減でき、バッチ枚数分の硬貨を収納させたカセット14の数を間違えてしまうのを防止できる。
【0103】
さらに、カセット装着部54に対してカセット14を入れ替えても、硬貨計数部33で計数された硬貨の計数値をクリアすることなく、硬貨の累計枚数を引き続き計数するとともに、その累計枚数を表示部37で表示するため、硬貨の累計枚数を計数しながら、複数のカセット14に対してバッチ枚数ずつ硬貨を収納でき、運用効率を向上できる。
【0104】
さらに、計数中にエラーが発生した場合でも、硬貨の計数値に影響がなく、カセット14の抜き取りが必要ないエラーであれば、エラー解除後に引き続き計数するとともに計数値を表示部37に表示するため、バッチ枚数分の硬貨を収納させたカセット14の累計個数および硬貨の累計計数を引き続き把握できる。
【0105】
なお、カセット装着部54に入れ替えて装着されるカセット14に対して金種毎にバッチ枚数ずつ硬貨を収納させる場合には、バッチ枚数ずつ硬貨を収納させた金種毎のカセット14の累計個数を表示部37に表示するようにすれば、バッチ枚数分の硬貨を収納させた金種別のカセット14の数を確認できる。さらに、カセット装着部54に対してカセット14を入れ替えても、硬貨計数部33で計数された硬貨の金種毎の計数値をクリアすることなく、金種毎の累計枚数を引き続き計数するとともに、その金種毎の累計枚数を表示部37で表示するようにすれば、金種別の硬貨の累計枚数を計数しながら、複数のカセット14に対してバッチ枚数ずつ硬貨を収納でき、運用効率を向上できる。この場合、例えば、金種レバーを表示したい金種に合わせることで、金種毎に累計個数や累計枚数を表示させることが可能となる。
【0106】
さらに、カセット14の累計個数だけでなく、金額も表示してもよい。
【0107】
さらに、計数した硬貨の総額を表示するようにしてもよい。この総額とは、例えば、100円が100枚、10円が100枚であれば、11000円となる。
【0108】
さらに、バッチ枚数分の硬貨の計数、払い出し動作が正常に終了した時点で、バッチ枚数分の硬貨を収納し終えたカセット14の累計個数を+1カウントアップしたが、カセット14が抜き取られた時点で、バッチ枚数分の硬貨を収納し終えたカセット14の累計個数を+1カウントアップしてもよい。
【0109】
また、硬貨計数装置11によれば、シュート位置検知手段87によってシュート76がカセット案内位置にあることを検知している場合、金種読取手段57が読み取ったカセット14の金種と金種設定部38で設定された金種とが一致すること、シャッタ開放検知手段68がカセット14のシャッタ22の開放を検知すること、残留検知手段113によってカセット14内の硬貨の残留が検知されていないこと、の全てを含む計数スタート判定条件を満たした場合に、硬貨計数部33による計数スタートを許可するため、カセット14の金種と異なる金種の硬貨がカセット14に収納されたり、シャッタ22が閉じていたり十分に開いていないために硬貨をカセット14に収納できずに床などに散乱したり、硬貨計数部33から払い出される硬貨をカセット14に案内できずに床などに散乱したり、硬貨が残留しているカセット14に硬貨を収納させるといった、人為的なミスによる不具合の発生を防止できる。
【0110】
さらに、硬貨を所定のバッチ枚数ずつカセット14に収納させるバッチ計数処理時に、カセット抜き取り待ち状態でないことも含む計数スタート判定条件を満たせば、硬貨計数部33による計数スタートを許可するため、所定のバッチ枚数の硬貨が収納されたカセット14が抜き取られないまま、そのカセット14に対して再び所定のバッチ枚数の硬貨を収納させるといった不具合の発生を防止できる。
【0111】
さらに、計数中に発生したエラーの解除後、カセット抜き取り待ち状態でないことも含む計数スタート判定条件を満たせば、硬貨計数部33による計数スタートを許可するため、エラーの発生によって硬貨の収納枚数が把握できなくなったカセット14が抜き取られないまま、そのカセット14に対して再び硬貨を収納させるといった不具合の発生を防止できる。
【0112】
なお、カセット装着部54に装着されたカセット14の計数中などにおける抜き取りを防止するため、カセット装着部54側に、アクチュエータの駆動によりカセット14を着脱可能にロックするロック機構を設けてもよい。
【0113】
また、硬貨計数機12は、カセット装着機13から受け付けたカセット14の金種特定情報を正として計数すべき硬貨の金種に自動設定し、当該金種の硬貨を計数するようにしてもよい。この場合、硬貨計数機12での金種設定が不用で、誤った金種設定を防止できる。
【0114】
また、カセット14の金種特定情報としては、カセット14に設けたスリット24や孔25以外に、バーコードやICタグをカセット14に添付して用いてもよい。この場合には、カセット装着機13の金種読取手段57として、バーコードリーダやICタグリーダが用いられる。
【0115】
また、カセット14とカセット装着機13との接続形態は、金種情報や硬貨の授受が可能であれば、カセット14がカセット装着機13の内部に挿入されるものに限定されるものではない。
【0116】
また、硬貨計数機12とカセット装着機13とを別体に設けているが、一体化してもよい。
【0117】
また、モードボタン39などの操作で、カセットモードと通常モードとを切り替えるようにし、シュート位置検知手段87によってシュート76がカセット案内位置にあることを検知することを、計数スタート判定条件の1つとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の一実施の形態を示す硬貨計数装置の斜視図である。
【図2】同上硬貨計数装置のブロック図である。
【図3】同上硬貨計数装置の操作表示部の正面図である。
【図4】同上硬貨計数装置に装着される第1種類のカセットを示し、(a)は第1種類のカセットの先端面の正面図、(b)は第1種類のカセットの斜視図である。
【図5】同上硬貨計数装置に装着される第2種類のカセットを示し、(a)は第2種類のカセットの先端面の正面図、(b)は第2種類のカセットの斜視図である。
【図6】同上硬貨計数装置に装着される第1種類のカセットを示し、(a)は第1種類のカセットのシャッタ閉鎖状態の斜視図、(b)は第1種類のカセットのシャッタ開放状態の斜視図である。
【図7】同上硬貨計数装置のカセット装着機を示し、(a)はカセット未装着状態の正面図、(b)は第1種類のカセットの装着状態の正面図、(c)は第2種類のカセットの装着状態の正面図である。
【図8】同上カセット装着機の金種判定手段によるカセットの種類および金種と各センサ出力との関係を示す表である。
【図9】同上カセット装着機のカセット装着部およびこのカセット装着部に装着したカセットの斜視図である。
【図10】同上カセット装着機のカセット装着部およびこのカセット装着部に装着したカセットを示し、(a)はカセットのシャッタ閉鎖状態の斜視図、(b)はカセットのシャッタ開放状態の斜視図である。
【図11】同上硬貨計数装置のシュートを示し、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【図12】同上シュートのスライド機構を示し、(a)はシュート案内位置にあるシュートの斜視図、(b)は退避位置にあるシュート斜視図である。
【図13】同上硬貨計数装置の袋取り時の斜視図である。
【図14】同上硬貨計数装置の主に釣銭準備作業のフローチャートである。
【図15】同上硬貨計数装置の表示部の表示遷移を示すフローチャートである。
【図16】同上通常モードの各状態での表示部の表示例を説明する説明図である。
【図17】同上カセットモードの各状態での表示部の表示例を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0119】
11 硬貨計数装置
14 カセット
22 シャッタ
33 硬貨計数部
38 金種設定部
54 カセット装着部
57 金種読取手段
68 シャッタ開放検知手段
76 シュート
87 シュート位置検知手段
101 制御部
113 残留検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能なシャッタおよび金種特定情報を有するカセットが着脱可能に装着されるカセット装着部と、
このカセット装着部に装着された前記カセットの金種特定情報を読み取る金種読取手段と、
前記カセット装着部に装着された前記カセットのシャッタが開放されていることを検知するシャッタ開放検知手段と、
計数する硬貨の金種を設定する金種設定部と、
この金種設定部で設定された硬貨を計数して払い出す硬貨計数部と、
この硬貨計数部から払い出される硬貨を前記カセット装着部に装着された前記カセットに案内するカセット案内位置とこのカセット案内位置から退避する退避位置との間で移動可能なシュートと、
このシュートの位置を検知するシュート位置検知手段と、
前記シュート位置検知手段によって前記シュートがカセット案内位置にあることを検知している場合、前記金種読取手段が読み取った金種と前記金種設定部で設定された金種とが一致すること、前記シャッタ開放検知手段が前記カセットのシャッタの開放を検知することを含む計数スタート判定条件を満たせば、前記硬貨計数部による計数スタートを許可する制御部と
を具備していることを特徴とする硬貨計数装置。
【請求項2】
前記カセット装着部に装着された前記カセット内に硬貨が残留していることを検知する残留検知手段を具備し、
前記制御部は、前記残留検知手段によって前記カセット内の硬貨の残留が検知されていないことも含む計数スタート判定条件を満たせば、前記硬貨計数部による計数スタートを許可する
ことを特徴とする請求項1記載の硬貨計数装置。
【請求項3】
前記制御部は、硬貨を所定のバッチ枚数ずつカセットに収納させるバッチ計数処理時に、カセット抜き取り待ち状態でないことも含む計数スタート判定条件を満たせば、前記硬貨計数部による計数スタートを許可する
ことを特徴とする請求項1または2記載の硬貨計数装置。
【請求項4】
前記制御部は、計数中に発生したエラーの解除後、カセット抜き取り待ち状態でないことも含む計数スタート判定条件を満たせば、前記硬貨計数部による計数スタートを許可する
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の硬貨計数装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−33384(P2010−33384A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195490(P2008−195490)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】