説明

磁性を有するキトサン系微生物固定化用担体及びその製造方法

【課題】微生物固定化用担体としての性能を維持しながらも、磁力による捕集が可能な、キトサン系微生物固定化用担体と、その製造方法を提供する。
【解決手段】第一鉄イオン単独、または第一鉄イオンと第二鉄イオンよりなる磁性化物由来の、灰分率の増分が4%〜25%の範囲となるように、粒状多孔質架橋キトサン表面に磁性化粒子を形成させてなる、磁性を有するキトサン系微生物固定化用担体であり、粒状多孔質架橋キトサンを、第一鉄イオン単独、または第一鉄イオンと第二鉄イオンを含む溶液中に混合した後、アルカリ水溶液により処理して磁性化粒子を形成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物固定化用担体等としての性能を維持し、かつ磁力による捕集が可能な磁性を有するキトサン系微生物固定化用担体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バイオテクノロジー関連の大きな技術的進展に伴い微生物を利用した精密有機合成等、バイオリアクターシステムの利用が盛んになってきている。そして、その固定化担体として、粒状多孔質体、中でもキトサン由来の微生物固定化担体の利用が盛んになってきている。
キトサン由来の微生物固定化担体は、a)素材が天然由来であり安全性に優れていること、b)合成樹脂系担体に比べ、大きな細孔が担体の表面から内部まで均一に存在し基質の拡散に優れていること、c)酵素の共有結合による固定化や重金属のキレートによる固定化に有利なアミノ基を分子内に有すること、そして、d)キトサンそのものが酵素や微生物と親和性が高く固定化可能量の多いことなど、多くの長所を有しており、例として、特公昭63−54285号で開示されている粒状多孔質キトサンを挙げることができる。
【0003】
最近、上記の理由によって、これらキトサン由来の微生物固定化担体の利用がビーカースケールを中心に活発化してきているが、海洋、河川、および、廃水処理などへの応用を意図した例が増えてきており、近い将来、大規模かつ開空間で使用されるケースが想定できる。しかし、この様な広い空間で使用した場合、従来の系では、担体の散逸が大きく、捕集に大きな設備を要することが課題となる。また、ビーカースケールでの作業においても、微生物保存用器具などへの応用を意図し、固液分離が容易な担体の開発が求められている。
【0004】
担体の捕集を目的としたものとしてはキトサン等の天然多糖類、および、それら誘導体中に磁性体や磁性粒子を練り込む方法、磁性体や磁性粒子を混合させてから成形する方法、そして、天然多糖類等で磁性体や磁性粒子表面を被覆する方法などがある。例えば、特開平3−278834号(特許文献1)では磁性微粒子をキトサン溶液中で分散させた後、同時に凝固再生させてキトサン複合体とする方法が、特開平10−99843号(特許文献2)では、磁性体を核とし、その表面をキトサン混合物によって被覆する方法が提示されているが、これらは、比較的分子量の低い化合物の吸着剤としての応用を意図したものであり、微生物等、マクロな物質の固定化や培養向けの担体としては、不向きであった。例えば、性能を視点にして考えた場合、微生物固定化担体では5μm〜最大で100μmにも及ぶ大きな孔径を有すること、そして、微生物固定化担体内部までマクロな孔が形成されていることなど、孔のサイズや構造などの制御が求められるが、上記の方法では、マクロな物質の固定化や培養向けの利用には対応できない。また、上記方法では装置汚染や成型時のロスが大きく、磁性担体を製造するために専用の製造設備が必要であり、小さなロットへの対応や菌種に見合った多品種化ができない等の諸問題があった。
【特許文献1】特開平3−278834号
【特許文献2】特開平10−99843号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、微生物固定化用担体としての性能を維持しながらも、磁力による捕集が可能なキトサン系微生物固定化用担体とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題点を解決するために、本発明者は、鋭意検討した結果、本発明に至った。
即ち、本発明における第一の発明は、第一鉄イオン単独、または、第一鉄イオンと第二鉄イオンよりなる磁性化物由来の灰分率の増分が4%〜25%の範囲となるように、粒状多孔質架橋キトサン表面に磁性化粒子を形成させてなる、磁性を有するキトサン系微生物固定化用担体であり、第二の発明は粒状多孔質架橋キトサンを第一鉄イオン単独、または、第一鉄イオンと第二鉄イオンを含む溶液中に混合した後、アルカリ水溶液により処理し、粒状多孔質架橋キトサンに磁性化粒子を形成させることを特徴とする磁性を有するキトサン系微生物固定化用担体の製造方法である。第三の発明は該粒状多孔質架橋キトサンの処理液の塩化第一鉄水和物のモル数の比率が、水和物モル数の25mol%から100mol%とした磁性を有するキトサン系微生物固定化用担体の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の磁性を有するキトサン系微生物固定化用担体は、微生物固定化能と磁性を実用に供しうるレベルで具備しているので、微生物の純粋培養担体、新規微生物の探索用担体、磁性細菌の捕集、活性汚泥代替物、精密有機合成など、バイオ関連技術分野の様々な用途に使用、応用することができ、しかも、使用後は、磁力によって捕集可能な担体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明においてベースとなる粒状多孔質キトサンとしては、特公平1−16420などで開示された粒状多孔質キトサンを使用することが好ましい。微生物固定化酵素担体では、大孔径の孔が担体の表層から中心部まで均一に存在している必要がある。適切な孔径としては、5μm以上で、上限はないが製造安定性の観点から1,000μm以下が好ましい。
【0009】
本発明においてベースとなる微生物固定化用粒状多孔質キトサンは、架橋構造が導入されている、あるいは、汎用の溶剤に不溶化されていなければならない。架橋化時の架橋剤や改質剤は特に限定されないが、例えば、ジイソシアネート化合物、ビスエポキシド化合物、および、酸無水物などが挙げられる。特に、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート、および、それらの変性体、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル化合物(エチレングリコール部の鎖長は1以上で任意)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル化合物(プロピレングリコール部の鎖長は1以上で任意)、そして、無水酢酸や無水コハク酸などが好ましい。
【0010】
本発明において、磁性粒子を後加工により粒状多孔質架橋キトサンに形成させる際、第一鉄イオン単独、または、第一鉄イオンおよび第二鉄イオンを含む溶液中で、粒状多孔質架橋キトサンを処理する必要がある。第一鉄イオンおよび第二鉄イオンは、キトサン系の吸着担体との親和性が高く、系が均一になり易い。そのイオン源としては、これら鉄イオンの塩酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、および、酢酸塩など、それぞれに相当する汎用、市販の塩であれば、何れも使用できるが、コストや入手簡便性の観点から、それぞれの塩化物であることが好ましい。
【0011】
本発明における第一鉄イオン単独、または、第一鉄イオンおよび第二鉄イオンを含む溶液は、塩化第一鉄単独、あるいは、塩化第一鉄と塩化第二鉄の混合水溶液であることが好ましく、混合液の塩化第一鉄の比率としては水和物のモル数から計算したとき、25mol%〜100mol%の範囲にあることが好ましい。この範囲内にあると、微生物固定化担体としての性能と磁力による捕集が可能な担体の性能を併せ持つため、本発明の目的を十分に満足することが出来る。この範囲から外れると、すなわち、塩化第二鉄のみで調製した場合や塩化第一鉄が25モル%未満の場合は、磁石に近づけても処理した粒子が磁石の周りに付着しない、又は、付着力が弱いなど、本件の目的を果たすことが出来ない。
【0012】
本発明における塩化第一鉄単独、および、塩化第一鉄と塩化第二鉄の混合物の仕込み量は、25mlの湿潤状態の粒状多孔質架橋キトサンを例に取った場合、0.003mol以上であることが好ましく、より好ましくは0.003mol以上0.02mol以下の範囲にあることが好ましい。この場合、磁性化物による灰分率(測定法を以下に詳細に記載する)の増加分は、4%以上あることが好ましく、より好ましくは4%以上15%以内の範囲である。4%未満の場合、微生物固定化担体としては申し分ないが、磁性が弱く磁石を近づけてもその周りに付着せず、本発明の目的を果たすことが出来ない。逆に15%を超えると磁性体としての性能は発現するが、固定化菌数の減少が生じる上、仕込み量を非常に高い濃度に設定しても、灰分率は25%程度で上げ止まるため、経済性の観点からも好ましくない。第一鉄イオン単独、または、第一鉄イオンと第二鉄イオンを含む溶液中に粒状多孔質架橋キトサンを混合した後、アルカリ水溶液で処理し、粒状多孔質架橋キトサンに磁性粒子を形成させるが、この時に使用されるアルカリ水溶液は、従来既存の塩基性物質の水溶液であれば何れも使用できるが、アンモニア水や水酸化ナトリウム水溶液を使用することが好ましい。なお、アルカリ水溶液の量は、反応系のpHが8以上になるように適宜選択すればよいが、アンモニア水の仕込み量を過度に用いると、粒状多孔質架橋キトサンの架橋基や改質基の脱離、および、孔の収縮が起こり、磁性担体の固定化菌数が急激に減少することがあるため好ましくない。
【実施例】
【0013】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例、および、比較例において、反応ムラ、磁性、微生物固定化担体の形態、灰分率、および、固定化菌数については、以下の方法より測定、または、評価した。
(1) 反応ムラ(外観評価) 実施例に示す方法で調製した担体の色調を目視観察し、そのムラから反応ムラを評価した。色むらが無く均質性に優れる場合は○、色むらはあるが品質的に許容できる範囲内である場合は△、色むらが大きく、品質的に許容できない場合は×として評価した。
(2) 磁石への付着(外観評価) 実施例に示す方法で調製した担体をガラスシャーレに移し、担体が水没するまでRO水(逆浸透水)を加えた後、磁束密度0.3Tの回転子取り出し棒(アズワン社製)を系中に挿入して磁石への付着状況、および、引き寄せられる状況を目視観察により評価した。評価結果は、付着する場合は○、付着しない、あるいは、系外に取り出すことが出来ない場合は×で示した。
【0014】
(3) 走査型電子顕微鏡(SEM)観察 実施例に示す方法で調製した担体をRO水、メタノール、エタノール、そして、t−ブチルアルコールの順に洗浄、溶媒交換し、凍結乾燥した。凍結乾燥後、ゲルに金を常法に従ってスパッタリングし、日本電子製JSM6060LVを用いて、300倍で観察した。なお、菌体を粒状多孔質架橋キトサンで増殖させたものについては、0.1Mリン酸バッファー(pH7.0)で洗浄した後、グルタルアルデヒドで架橋処理してから工程に供し、1000倍で観察した。
(4) 灰分率測定 熱風循環式乾燥器中、105℃、4時間の条件で絶乾した試料を風袋重量既知のセラミックるつぼに入れた後、電気炉中で600℃、5時間の条件で灰化した。灰化後は、速やかにデシケータに入れ、デシケータ中で室温まで放冷後、重量を計測し、下式から灰分率を求めた。
灰分率(%)=焼成残分重量(g)/絶乾試料重量(g)×100
(5) イースト酵母の前培養 108培地(グルコース10g/l、ペプトン5g/l、酵母エキス3g/l、麦芽エキス3g/lLの割合でなる水溶液)25mlをオートクレーブ中、121℃、20分間の条件で滅菌した後、室温まで放冷し、1白金耳のイースト酵母(Candida albicans NBRC1385)を植菌し、24℃で24時間振盪(70rpm)培養した。
【0015】
(6) 担体中でのイースト酵母の培養 キトサンビーズ2.5g(含水率約80%)を100mlの三角フラスコ中に入れた後、108培地を25ml加え、オートクレーブ中、121℃、20分間の条件で滅菌した。室温まで放冷した後、50μlの前培養液を系に添加し、24℃で40時間振盪(振盪速度:70rpm)培養した。
(7) 生息酵母数の定量 培養後のビーズを生理食塩水で洗浄した後、固定化済みビーズ20粒を取り、1mlの生理食塩水とともに10mlのメスシリンダーに入れた。シリンダー中でガラス棒を用いてビーズを破壊し、40Hzの超音波を10分間照射した後、生理食塩水で10mlにメスアップした。酵母数は血球計(日本臨床器械工業(株)社製)を用いて、常法に従ってカウントした。
【0016】
〔実施例1〕
粒状多孔質架橋キトサンとして、富士紡ホールディングス社製商品名キトパールHP−5020(粒径800〜1,200μm、比表面積20〜30m2/g)25mlをプラスチック製の密閉容器に秤取り、20μmのシーブを先端に付けたスポイトで水分を軽く除去した。ここに、あらかじめ調製しておいた塩化第一鉄・四水和物1.625g、および、塩化第二鉄・六水和物2.5gを45gのRO水に溶解させた溶液を全量投入し、良く混合した。次いで、反応系を振盪恒温水槽を用いて60℃に昇温し、130ストローク/分で2時間、振盪混合した。所定時間経過後、空気をバブリングしながら、反応系に28%アンモニア水(和光純薬製)3.75gを21.25gのRO水で希釈した溶液を添加し、良く混合した。なお、この時点で系は褐色化した。その後、再び、振盪恒温水槽を用いて反応系を60℃に昇温し、130ストローク/分で1時間浸振盪、混合した。所定時間経過後、濾別、水洗して目的物を得た。保管はRO水中、5℃で行った。
【0017】
処理前の粒状多孔質架橋キトサンの状態を図1、本発明により磁性化粒子形成後の微生物固定化用担体の状態を図2に示す。図1,図2は、走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、写真から判る様に、処理後も粒状多孔質架橋キトサンが元来有する多孔質構造がそのまま保持されていた。本発明の微生物固定化用担体を焼成、灰化した後の、灰分率を評価すると10.5%であった。なお、磁性化前の灰分率はほぼ0であった。微生物固定化用担体を焼成、灰化した後のるつぼ残存成分を観察した様子が,図3に示す走査型電子顕微鏡写真であるが、焼成により収縮がみられるものの、孔構造は残存しており、その構造は粒状多孔質架橋キトサンの形状を正確にトレースしていた。
【0018】
処理後の湿潤状態の粒状多孔質架橋キトサンに磁石を近づけると、粒状多孔質架橋キトサンが磁石に引き寄せられ付着した。よって、磁性を有する粒状多孔質架橋キトサンが得られたと言える。イースト酵母をモデル化合物とし、その固定化量を評価したところ、8.81×105Cell/粒であった。本発明の微生物固定化用担体におけるイースト酵母の増殖具合を走査型電子顕微鏡観察すると図4に示す写真の様になっており、微生物固定化担体としての性能を十分に保持していた。評価結果は以下に記載の表1にまとめた。
【0019】
〔実施例2〕
各塩化鉄の仕込み量、および、28%アンモニア水の仕込み量を1/5にした以外は実施例1と同様の作業を行った。結果は表1に示す様に、本発明の目的を満足する担体が得られた。
【0020】
〔実施例3〕
鉄イオン源として、塩化第一鉄・四水和物のみを使用した以外は実施例1と同様の作業を行った。結果は担体の外観に、反応ムラがみられたものの、表1に示す様に、本発明の目的を満足する担体が得られた。
【0021】
〔実施例4〕
鉄イオン源として、塩化第一鉄・四水和物を75mol%、塩化第二鉄・六水和物を25mol%とした以外は実施例1と同様の作業を行った。結果は表1に示す様に、本発明の目的を満足する担体が得られた。
【0022】
〔実施例5〕
鉄イオン源として、塩化第一鉄・四水和物を25mol%、塩化第二鉄・六水和物を75mol%とした以外は実施例1と同様の作業を行った。結果は表1に示す様に、本発明の目的を満足する担体が得られた。
【0023】
〔比較例1〕
各塩化鉄の仕込み量、および、28%アンモニア水の仕込み量を2倍にした以外は実施例1と同様の作業を行った。結果は表1に示す様に、磁性化は可能であったが、固定化菌数の急激な減少が観られ、本発明の目的を満足する担体は得られなかった。
〔比較例2〕
各塩化鉄の仕込み量、および、28%アンモニア水の仕込み量を4倍にした以外は実施例1と同様の作業を行った。結果、表1に示す様に、磁性化は可能であったが、固定化菌数の急激な減少が観られ、本発明の目的を満足する担体は得られなかった。また、灰分率も比較例1と殆ど変わらず、上げ止まっており、経済性の観点からも好ましくなかった。
〔比較例3〕
各塩化鉄の仕込み量、および、28%アンモニア水の仕込み量を1/10にした以外は実施例1と同様の作業を行った。結果、表1に示す様に、固定化菌数の減少は観られなかったが、灰分率が減少し、磁石への付着が観られず、本発明の目的を満足する担体は得られなかった。
〔比較例4〕
鉄イオン源として、塩化第二鉄・六水和物を100mol%とした以外は実施例1と同様の作業を行った。結果、表1に示す様に、磁石への付着が全く観られず、本発明の目的を満足する担体は得られなかった。
【0024】
【表1】

【0025】
表1の結果から、塩化第一鉄の比率が水和物モルのモル数の25mol%〜100mol%の範囲にあること、第一鉄イオンと第二鉄イオンよりなる磁性化粒子の灰分率の増分が4%〜25%の範囲にあり、また、アンモニア水の仕込み量が適宜であることが好ましいことが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の磁性を有するキトサン系微生物固定化用担体は、孔径の制御が容易である上、必要量を加工できるので、製造安定性とともに小ロット、多品種性に対応でき、有利である。しかも微生物固定化能と磁性を実用に供しうるレベルで具備しているので、微生物の純粋培養担体、新規微生物の探索用担体、磁性細菌の捕集、活性汚泥代替物、精密有機合成場など、バイオ関連技術分野の様々な用途に使用、応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】処理前の粒状多孔質架橋キトサンの断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明の微生物固定化用担体の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明の微生物固定化用担体を焼成、灰化した後の坩堝残存成分の断面を、示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の微生物固定化用担体内部で増殖するイースト酵母の走査型電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一鉄イオン単独、または、第一鉄イオンと第二鉄イオンよりなる磁性化粒子の灰分率の増分が4%〜25%の範囲となるように、粒状多孔質架橋キトサンに磁性化粒子を形成させてなる、磁性を有するキトサン系微生物固定化用担体。
【請求項2】
粒状多孔質架橋キトサンを、第一鉄イオン単独、または、第一鉄イオンと第二鉄イオンを含む溶液中で混合した後、アルカリ水溶液により処理し、粒状多孔質架橋キトサンに磁性化粒子を形成させることを特徴とする磁性を有するキトサン系微生物固定化用担体の製造方法。
【請求項3】
該粒状多孔質架橋キトサンの処理液の塩化第一鉄水和物のモル数の比率が、水和物モル数の25mol%から100mol%である請求項2に記載の磁性を有するキトサン系微生物固定化用担体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−189932(P2007−189932A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10046(P2006−10046)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000005359)富士紡ホールディングス株式会社 (180)
【Fターム(参考)】