説明

磁性ワイヤー付与装置およびその方法

【課題】
ソリッドインクを用いた印刷装置によって画像データの印刷が行われる印刷用紙に対して、セキュリティ用の磁性ワイヤーを必要に応じて任意の場所に付与する磁性ワイヤー付与装置を提供する。
【解決手段】
画像形成装置100において、インクジェットヘッド14によりドラム16上にソリッドインクを使用して画像を形成し、磁性ワイヤー投与装置15によりドラム16上に形成されたソリッドインクによる画像の上に磁性ワイヤーを投与し、ドラム上に形成されたソリッドインクによる画像と投与された磁性ワイヤーとを転写ドラム16により印刷用紙に転写する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性ワイヤー付与装置およびその方法に関し、特に、ソリッドインクを用いた印刷装置によって画像データの印刷が行なわれる印刷用紙に対して、セキュリティ用の磁性ワイヤーを必要に応じて任意の場所に付与する磁性ワイヤー付与装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機密情報や個人情報等の漏洩防止、有価証券等の不正複写による偽造防止等、セキュリティ強化を目的とする種々の方法や装置が提案されている。
【0003】
有価証券等の偽造防止を目的とする技術としては、用紙にセキュリティスレッド等を挿入することで、本物を特定できる特性を用紙に付与して、偽造防止用紙を作成する技術がある。
【0004】
例えば、特許文献1では、二層以上の紙層で構成され、円網抄紙機によって用紙を製造する際に、最外部に位置する紙層とその下に位置する紙層の間にセキュリティスレッドを挿入することでカラー複写機による偽造を防止することができる偽造防止用紙が提供されている。
【0005】
また、特許文献2においては、用紙基材の紙層間に、磁性ワイヤーが漉き込まれた状態でなる万引き防止用ワイヤーが漉き込まれた用紙が提供されている。
【0006】
また、近年、画像形成装置において、染料系インクをワックス樹脂で固めたソリッドインクを使用したものがある。
【0007】
例えば、特許文献3では、医療診断画像形成において使用しているハロゲン化銀写真フィルムと同等の画像を相変化インクにより形成する相変化インクおよびプリント方法が提供されている。
【0008】
また、特許文献4では、使用する被記録媒体の表面性状に合わせて、印字部分の表面性状を変えることのできる、画像記録装置における固形インクまたはトナーの定着方法及び定着装置が提供されている。
【特許文献1】特開平8−311800号公報
【特許文献2】特開2002−317398号公報
【特許文献3】特開平11−172172号公報
【特許文献4】特開2000−155485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1および2の技術では、円網抄紙機や長網抄紙機を使用して偽造防止効果や持ち出し禁止効果が得られる用紙を製造することができるのであるが、すでに抄紙されて印刷に使用される用紙に対して、必要に応じて、磁性ワイヤーを付与させて偽造防止効果や持ち出し禁止効果が得られるセキュリティ用紙を製造することはできなかった。
【0010】
また、特許文献3および4では、画像形成装置によって画像データが印刷用紙上に印刷される前後において、当該印刷用紙に対して必要に応じて磁性ワイヤーを付与する技術は提案されていない。
【0011】
そこで、本発明の磁性ワイヤー付与装置およびその方法では、ソリッドインクを用いた印刷装置によって画像データの印刷が行なわれる印刷用紙に対して、セキュリティ用の磁性ワイヤーを必要に応じて任意の場所に付与する磁性ワイヤー付与装置およびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、ソリッドインクを使用してドラム上に画像を形成し、該ドラム上に形成されたソリッドインクによる画像を印刷用紙に転写する画像形成装置における磁性ワイヤー付与装置において、前記ドラム上にソリッドインクを使用して画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により形成されたソリッドインクによる画像の上に磁性ワイヤーを投与する磁性ワイヤー投与手段と、前記磁性ワイヤー投与手段により前記磁性ワイヤーが投与され、かつ前記画像形成手段により形成された前記ドラム上の前記ソリッドインクによる画像を前記印刷用紙に転写する画像転写手段とを具備することを特徴とする。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記磁性ワイヤー投与手段は、前記ドラム上に形成された前記ソリッドインクによる画像の中の特定の個所を認識する認識手段を具備し、前記認識手段で認識された特定の個所に形成されたソリッドインクの上に前記磁性ワイヤーを投与することを特徴とする。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記認識手段は、前記ドラム上に形成された画像の中のベタ塗りの画像が形成される個所を前記特定の個所として認識することを特徴とする。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記画像形成手段は、前記磁性ワイヤー投与手段により前記磁性ワイヤーを投与するための特定の画像を前記ソリッドインクにより前記ドラム上に形成し、前記磁性ワイヤー投与手段は、前記画像形成手段により形成された前記ソリッドインクによる前記特定の画像の上に磁性ワイヤーを投与することを特徴とする。
【0016】
また、請求項5の発明は、ソリッドインクを使用して画像が形成される印刷用紙に磁性ワイヤーを付与する磁性ワイヤー付与方法において、前記ソリッドインクによる画像の形成に先立って、前記印刷用紙上に前記磁性ワイヤーを貼付し、その後該印刷用紙上に前記ソリッドインクによる画像を形成することを特徴とする。
【0017】
また、請求項6の発明は、ソリッドインクを使用して画像が形成される印刷用紙に磁性ワイヤーを付与する磁性ワイヤー付与方法において、前記ソリッドインクによる画像をドラム上に形成し、該ドラム上に形成されたソリッドインクによる画像の上に前記磁性ワイヤーを投与し、該磁性ワイヤーが投与された前記ドラム上の前記ソリッドインクによる画像を印刷用紙に転写することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の磁性ワイヤー付与装置およびその方法によれば、ドラム上にソリッドインクを使用して画像を形成する画像形成手段と、画像形成手段により形成されたソリッドインクによる画像の上に磁性ワイヤーを投与する磁性ワイヤー投与手段と、磁性ワイヤー投与手段により磁性ワイヤーが投与され、かつ画像形成手段により形成されたドラム上のソリッドインクによる画像を印刷用紙に転写する画像転写手段とを具備するように構成したので、ソリッドインクを用いた印刷装置によって画像データの印刷が行なわれる印刷用紙に対して、セキュリティ用の磁性ワイヤーを必要に応じて任意の場所に付与することができる。
【0019】
また、印刷用紙とソリッドインクとの間に磁性ワイヤを埋め込み、ソリッドインクで磁性ワイヤを覆うようにして磁性ワイヤを印刷用紙上に付与できるので磁性ワイヤが目立たないように付与できる。
【0020】
また、磁性ワイヤを印刷用紙上に接着するための接着剤を不要とする効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係わる磁性ワイヤー付与装置およびその方法の実施例について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係わる磁性ワイヤ付与装置およびその方法が適用された画像形成装置100の要部の構成を示す構成図である。
【0023】
なお、図1に示す画像形成装置100は、偽造防止や不正複写、不正持ち出しの防止等のセキュリティ強化を目的として、所定の磁界を与えることで信号を発する磁性ワイヤーを必要に応じて用紙に付与するように構成されており、磁性ワイヤーを検知する検知装置を備えた複写機や盗難防止装置等が用紙に付与された磁性ワイヤーを検知することで複写禁止あるいは持ち出し禁止の処理動作を行うことで機密情報が印刷された用紙が不正複写または不正持ち出しされることを防止することができる。
【0024】
図1に示すように、画像形成装置100は、給紙トレイ10、ピックローラ11、フィードローラ12、リタードローラ13、インクジェットヘッド14、磁性ワイヤー投与装置15、ドラム16、転写ローラ17、メンテナンスローラ18、排紙口19、排紙トレイ20、CPU(Central Processing Unit)210等で構成される。
【0025】
本発明が提供する磁性ワイヤー付与装置に係わる装置として磁性ワイヤー投与装置15とCPU210が設置されている。
【0026】
ピックローラ11は給紙トレイ10より印刷用紙を繰り出す機能を担い、フィードローラ12、リタードローラ13は繰り出された印刷用紙を一枚ずつ分離給紙する機能を担い、フィードローラ12は印刷用紙の搬送方向に回転し、リタードローラ13には当該搬送方向とは反対方向に印刷用紙を戻すトルクがかけられ、2枚以上の印刷用紙が給紙されるのを防止している。
【0027】
このようにして、給紙トレイから一枚ずつ印刷用紙が転写ローラ17に搬送される。
【0028】
また、ドラム16の表面は、インクが固着しないように約60度に温められており、印刷開始時にメンテナンスローラ18により、ドラム16表面にインクの剥離性を高める為のシリコンオイルが塗布される。
【0029】
シリコンオイルが塗布されると、インクジェットヘッド14によって、液体の状態に溶融されたソリッドインクがドラム16上に噴射されて、ドラム16上にインク像が形成される。
【0030】
ソリッドインクとは、染料系のインクを常温では固体のワックス樹脂で固めたものである。
【0031】
液体の状態に溶融されたソリッドインクによってドラム16上にインク像が形成されると、磁性ワイヤー投与装置15によって、ドラム16上のインク像に磁性ワイヤーが投下され、該インク像の表面に、投下された磁性ワイヤーが付着する。
【0032】
そして、ドラム16上に形成されたインク像とインク像の表面に付着した磁性ワイヤーは、ドラム16と共に回転し、転写ローラ17によって印刷用紙に転写される。
【0033】
ドラム16から印刷用紙に転写されたソリッドインクは瞬時に固着し、印刷用紙の繊維表面に細かく絡みつくように定着する。
【0034】
また、インク像の表面に付着していた磁性ワイヤーは、ソリッドインクと印刷用紙との間でソリッドインクが磁性ワイヤーを覆うような状態で印刷用紙上に固定される。
【0035】
このようにして印刷用紙とソリッドインクとの間に磁性ワイヤーが固定されて付与された印刷用紙は、排紙口19から排紙トレイ20に排紙される。
【0036】
なお、印刷用紙に付与される磁性ワイヤーは、バルクハウゼン効果を有する線径が例えば約30μm程度の磁性ワイヤーであり、Fe−Co系アモルファス材で形成されている。
【0037】
磁性ワイヤーは、所定の磁界を受けると磁化反転時に急峻な磁気パルスを発するので、印刷用紙に磁性ワイヤが付与されているか否かは、印刷用紙に対して所定の磁界を与え、その際に磁気パルスが検知されたか否かにより検知することができる。
【0038】
次に、画像形成装置100の動作制御を行うCPU210内部での機能的な構成について図2を参照して説明を行う。
【0039】
図2は、画像形成装置100の動作制御を行うCPU210内部での機能的な構成を示すブロック図である。
【0040】
図2に示すように、CPU210は、制御部201、画像受信制御部202、画像蓄積部203、画像処理制御部204、磁性ワイヤー投与制御部205、画像形成実行制御部206で構成される。
【0041】
制御部201は、CPU210の各部の制御を行うと共に、画像形成装置100の全体を統括制御する。
【0042】
画像受信制御部202は、画像形成装置100の図示しない画像受信部での画像データの受信の制御を行い、画像蓄積部203は、画像受信部で受信された画像データを蓄積し、画像処理制御部204は、図示しない画像処理部を制御して画像データに基づき磁性ワイヤーを付与する場所を決定させる等の制御を行い、磁性ワイヤー投与制御部205は、磁性ワイヤー投与装置15に磁性ワイヤーを投下させる制御を行い、画像形成実行制御部206は、印刷用紙上に画像が形成されるように画像形成を実行する画像形成実行部であるインクジェットヘッド14、ドラム16、転写ローラ17、メンテナンスローラ18の制御を行う。
【0043】
画像受信制御部202の制御によって画像形成装置100の図示しない画像受信部がユーザから磁性ワイヤー付与の指示を含む画像データの印刷指示を受けると、受信した画像データは、一旦、画像蓄積部203に蓄積され記憶される。
【0044】
画像蓄積部203に記憶された画像データは、印刷の順番がくると、画像処理制御部204が制御を行う図示しない画像処理部に転送される。
【0045】
画像処理部においては、磁性ワイヤーを付与しても目立たない領域である、転送された画像データの中の写真、絵等のベタ塗りの部分を認識し、該ベタ塗りの部分を、磁性ワイヤーを付与する場所として決定する。
【0046】
また、ユーザより磁性ワイヤーを付与する場所の指示が行われていれば、画像処理部において、ユーザより指示された画像データ中の磁性ワイヤーを付与する場所を認識し、磁性ワイヤーを付与する場所として決定する。
【0047】
画像データの中の磁性ワイヤーを付与する場所が決定されると、画像形成実行制御部206が画像形成実行部であるインクジェットヘッド14等の制御を行い、メンテナンスローラ18によってシリコンオイルが塗布されたドラム16上にインクジェットヘッド14によってインク像が形成される。
【0048】
ドラム16上に、画像処理部で決定された磁性ワイヤーを付与する場所のインク像が形成されると、その形成されたインク像上に磁性ワイヤー投与制御部205が制御を行って磁性ワイヤー投与装置15に磁性ワイヤーを投下させる。
【0049】
磁性ワイヤー投与装置15によってドラム16上に形成されたインク像上に磁性ワイヤーが投下されると、画像形成実行制御部206の制御により印刷用紙に画像を形成する処理が行われ、ドラム16上に形成されたインク像と磁性ワイヤーとが転写ローラ17によって印刷用紙上に転写され、磁性ワイヤーが付与される処理と画像が形成される処理が行われた印刷用紙は排紙口19から排紙トレイ20に排紙される。
【0050】
また、画像受信制御部202の制御によって画像形成装置100の図示しない画像受信部がユーザから磁性ワイヤー付与の指示を含まない画像データの印刷指示を受けると、受信した画像は、一旦、画像蓄積部203に蓄積され記憶される。
【0051】
画像蓄積部203に記憶された画像データは、印刷の順番がくると、画像形成実行制御部206が制御するインクジェットヘッド14等の画像形成実行部によって磁性ワイヤーが付与されない印刷が行われる。
【0052】
このように、画像形成装置100は、必要に応じてユーザの指示により画像データと共に磁性ワイヤーを印刷用紙に付与する。
【0053】
次に、磁性ワイヤーがドラム16上のインク像に投下され、印刷用紙に磁性ワイヤーとインクが転写される様子について図3を参照して説明する。
【0054】
図3は、磁性ワイヤー22がドラム16上のインク像21に投下され、印刷用紙23に磁性ワイヤー22とインク24が転写される様子を示した模式図である。
【0055】
図3に示すように、インクジェットヘッド14によって、溶融されたソリッドインクがドラム16上に噴射されてドラム16上にインク像21が形成されている。
【0056】
磁性ワイヤー投与装置15は、ドラム16上に形成されたインク像21に対して、画像処理部で決定された磁性ワイヤーを付与する場所に、磁性ワイヤー22を投下している(矢印300で示す個所)。
【0057】
このように、ドラム16上に形成されたインク像21に対して磁性ワイヤー22を投下するので、インク像21の表面に磁性ワイヤー22が付着している状態となる(矢印300で示す個所)。
【0058】
磁性ワイヤー22はインク像21の表面に付着したままドラム16と共に回転して(矢印301で示す個所)、転写ローラ17によって印刷用紙23にインク像21と共に転写される。
【0059】
表面が約60度に温められているドラム16から転写されたインクは、印刷用紙23上で瞬時に固着し、印刷用紙23の繊維表面に細かく絡みつくように定着する。
【0060】
磁性ワイヤー22は、ドラム16上ではインク像21で形成されるインク層の表面に付着しているが、印刷用紙23に転写される際には、インク像21と共に印刷用紙23に転写されるので、印刷用紙23に転写された後には、印刷用紙23上において、磁性ワイヤー22が印刷用紙23に定着したインク24に覆われている状態となる(矢印302で示す個所)。
【0061】
このようにして、磁性ワイヤー22は、印刷用紙23に定着したインクによって印刷用紙23に付与された状態となる。
【0062】
次に、印刷用紙23上に定着したインク24と磁性ワイヤー22との位置関係について図4を参照して説明する。
【0063】
図4は、印刷用紙23上に定着したインク24と磁性ワイヤー22との位置関係について示した模式図である。
【0064】
図4に示すように、印刷用紙23上に定着したインク24と磁性ワイヤー22との位置関係は、印刷用紙23の上に磁性ワイヤー22があり、印刷用紙23上で定着したインク24が磁性ワイヤー22を覆っている状態である。
【0065】
このように、固着したインク24が磁性ワイヤー22を覆う状態となって、磁性ワイヤー22は印刷用紙23に付与される。
【0066】
なお、図示しない画像処理部が磁性ワイヤーを付与する場所を決定する際に、画像処理部が、印刷する画像データ中の空白領域、例えば、ページ枚数が表示されている個所、或いはヘッダー部、或いはフッター部、或いはロゴが形成されている場所にベタのマークを形成する処理を行い、形成したベタのマーク上に磁性ワイヤーを付与するように決定しても良い。
【0067】
これまでは、印刷用紙上に画像データを転写する際に印刷用紙と画像を形成するソリッドインクとの間に磁性ワイヤーを付与するように構成された画像形成装置100の例について説明した。
【0068】
図5は、画像形成装置100とは他の本発明に係わる磁性ワイヤ付与装置およびその方法を適用した一例である画像形成装置500の要部の構成を示す構成図である。
【0069】
図5に示す画像形成装置500は、印刷用紙に画像を転写する前に、予め印刷用紙に対して磁性ワイヤーを付与するように構成されたものである。
【0070】
なお、図5において、画像形成装置500の磁性ワイヤー投与装置501が図1に示した画像形成装置100の磁性ワイヤー投与装置15が配置された位置とは異なる位置に配置されている他は、画像形成装置100と同様に構成されており、説明の便宜上、画像形成装置100と同様な各部等には画像形成装置100と同一の番号を付すと共に、説明は省略する。
【0071】
図5に示すように、画像形成装置500は、給紙トレイ10、ピックローラ11、フィードローラ12、リタードローラ13、インクジェットヘッド14、ドラム16、転写ローラ17、メンテナンスローラ18、排紙口19、排紙トレイ20、CPU220、磁性ワイヤー投与装置501、モータ502等で構成される。
【0072】
磁性ワイヤー投与装置501は、印刷用紙に磁性ワイヤーを付与する処理を行い、磁性ワイヤーの印刷用紙に対する付与方法は、例えば、磁性ワイヤー投与装置501内で接着剤塗布部と磁性ワイヤー投与部とを設けて、接着剤塗布部によって印刷用紙に接着剤を塗布した後に磁性ワイヤー投与部によって磁性ワイヤーを接着剤が塗布された部分に付与するようにしても良いし、また、磁性ワイヤー投与装置501内に磁性ワイヤー付与部だけを設けて、磁性ワイヤー付与部によって、磁性ワイヤーが接着されたテープを印刷用紙に貼り付けて、磁性ワイヤーを印刷用紙に付与するようにしても良い。
【0073】
モータ502は、印刷用紙を磁性ワイヤー投与装置501に配置する位置を調節する為のもので、印刷用紙上の磁性ワイヤーが付与される位置が調節される。
【0074】
CPU220は、画像形成装置500の動作制御を行う。
【0075】
CPU220内部での機能的な構成について図6を参照して説明する。
【0076】
図6は、CPU220内部での機能的な構成を示したブロック図である。
【0077】
図6に示すCPU220の構成において、図2を参照して説明したCPU210と異なる構成は、制御部221、画像受信制御部222、磁性ワイヤー投与制御部225であり、それ以外のCPU210の各部と同じ機能を担う各部については、CPU210の各部と同じ符号を記し、重複を避ける為説明は省略する。
【0078】
制御部221は、CPU220の各構成部の制御を行うと共に、画像形成装置500の全体の統括制御を行い、画像受信制御部222は、画像形成装置500の図示しない画像受信部での画像データの受信の制御を行い、磁性ワイヤー投与制御部225は、磁性ワイヤー投与装置501に対して、画像処理制御部204で決定された磁性ワイヤーを付与する場所に磁性ワイヤーを付与させる制御を行う。
【0079】
画像形成装置500では、ユーザから磁性ワイヤーを付与する指示を含む印刷指示を図示しない画像受信部が受信すると、給紙トレイ10より搬送された印刷用紙はモータ502によって磁性ワイヤー投与装置501に配置され、磁性ワイヤー投与装置501によって印刷用紙に磁性ワイヤーが付与され、そして、画像形成実行部である転写ローラ17等によりソリッドインクによる印刷が行われ、磁性ワイヤーが付与されてソリッドインクによる印刷が行われた印刷用紙は排紙トレイ20に排紙される。
【0080】
また、画像形成装置500では、ユーザから磁性ワイヤーを付与する指示を含まない印刷指示を図示しない画像受信部が受信すると、給紙トレイ10より搬送された印刷用紙は画像形成実行部である転写ローラ17等によりソリッドインクによる印刷が行われ、ソリッドインクによる印刷が行われた印刷用紙は排紙トレイ20に排紙される。
【0081】
このように画像形成装置500においては、必要に応じて磁性ワイヤーが付与された後に、ソリッドインクによる印刷が行われ、磁性ワイヤーが付与されて印刷が行われた場合には、印刷用紙に付与された磁性ワイヤーはソリッドインクに覆われて目立たないという利点がある。
【0082】
なお、図示しない画像処理部が磁性ワイヤーを付与する場所を決定する際に、画像処理部が、印刷する画像データ中の空白領域、例えば、ページ枚数が表示されている個所、或いはヘッダー部、或いはフッター部、或いはロゴが形成されている場所にベタのマークを形成する処理を行い、磁性ワイヤー投与制御部225が磁性ワイヤー投与装置501に磁性ワイヤーを付与させる印刷用紙上の場所として、該ベタのマークが印刷される印刷用紙上の場所を、磁性ワイヤーを付与する場所として決定しても良い。
【0083】
また、印刷用紙に磁性ワイヤーを付与する処理と画像を形成する処理を行う画像形成装置内において、図7に示すように、給紙トレイ内部で印刷用紙に磁性ワイヤーを付与し、その後、磁性ワイヤーが付与された印刷用紙に画像が形成される処理が行なわれるようにしても良い。
【0084】
図7は、画像形成装置100、500とは他の本発明に係わる磁性ワイヤ付与装置およびその方法を適用した一例である画像形成装置700の要部の構成を示す構成図である。
【0085】
図7に示す画像形成装置700は、給紙トレイに蓄積格納された印刷用紙に対して磁性ワイヤーを付与するように構成されたものである。
【0086】
なお、図7において、画像形成装置500と同様な各部等には画像形成装置500と同一の番号を付すと共に、説明は省略する。
【0087】
図7に示すように、画像形成装置700は、給紙トレイ702、インクジェットヘッド14、ドラム16、転写ローラ17、メンテナンスローラ18、排紙口19、排紙トレイ20、CPU230、磁性ワイヤー投与装置701等で構成される。
【0088】
給紙トレイ702は、印刷用紙を蓄え、磁性ワイヤー投与装置701は、給紙トレイ702に蓄積格納された印刷用紙に対して磁性ワイヤーを付与する動作を行う。
【0089】
磁性ワイヤー投与装置701による印刷用紙への磁性ワイヤーの付与方法は、例えば、磁性ワイヤー投与装置701内で接着剤塗布部と磁性ワイヤー投与部とを設けて、接着剤塗布部によって印刷用紙に接着剤を塗布した後に磁性ワイヤー投与部によって磁性ワイヤーを接着剤が塗布された部分に付与するようにしても良いし、また、磁性ワイヤー投与装置701内に磁性ワイヤー付与部だけを設けて、磁性ワイヤー付与部によって、磁性ワイヤーが接着されたテープを印刷用紙に貼り付けて、磁性ワイヤーを印刷用紙に付与するようにしても良い。
【0090】
また、CPU230は、画像形成装置700の動作制御を行う。
【0091】
次に、CPU230内部での機能的な構成について図8を参照して説明する。
【0092】
図8は、CPU230内部での機能的な構成を示したブロック図である。
【0093】
図8に示すCPU230の構成において、図2を参照して説明したCPU230と異なる構成は、制御部231、画像受信制御部232、磁性ワイヤー投与制御部235であり、それ以外のCPU230の各部と同じ機能を担う各部については、CPU230の各部と同じ符号を記し、重複を避ける為説明は省略する。
【0094】
制御部231は、CPU230の各部の制御を行うと共に、画像形成装置700の全体の統括制御を行い、画像受信制御部231は、画像形成装置700の図示しない画像受信部での画像データの受信の制御を行い、磁性ワイヤー投与制御部235は、磁性ワイヤー投与装置701に対して、画像処理制御部204で決定された磁性ワイヤーを付与する場所に磁性ワイヤーを付与させる制御を行う。
【0095】
画像形成装置700では、ユーザから磁性ワイヤーを付与する指示を含む印刷指示を図示しない画像受信部が受信すると、給紙トレイ702内において磁性ワイヤーが印刷用紙に付与され、磁性ワイヤーが付与された印刷用紙は転写ドラム17に搬送され、そして、画像形成実行部である転写ローラ17等によってソリッドインクによる印刷が行われ、磁性ワイヤーが付与されてソリッドインクによる印刷が行われた印刷用紙は排紙トレイ20に排紙される。
【0096】
また、画像形成装置700では、ユーザから磁性ワイヤーを付与する指示を含まない印刷指示を図示しない画像受信部が受信すると、給紙トレイ702内において磁性ワイヤーが付与されずに印刷用紙は転写ドラム17に搬送され、画像形成実行部である転写ローラ17等によってソリッドインクによる印刷が行われ、ソリッドインクによる印刷が行われた印刷用紙は排紙トレイ20に排紙される。
【0097】
このように画像形成装置700においては、必要に応じて磁性ワイヤーが付与された後に、ソリッドインクによる印刷が行われ、磁性ワイヤーが付与されて印刷が行われた場合には、印刷用紙に付与された磁性ワイヤーはソリッドインクに覆われて目立たないという利点がある。
【0098】
なお、図示しない画像処理部が磁性ワイヤーを付与する場所を決定する際に、画像処理部が、印刷する画像データ中の空白領域、例えば、ページ枚数が表示されている個所、或いはヘッダー部、或いはフッター部、或いはロゴが形成されている場所にベタのマークを形成する処理を行い、磁性ワイヤー投与制御部235が磁性ワイヤー投与装置701に磁性ワイヤーを付与させる印刷用紙上の場所として、該ベタのマークが印刷される印刷用紙上の場所を、磁性ワイヤーを付与する場所として決定しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0099】
この発明は、ソリッドインクを用いる画像形成装置において利用可能である。
【0100】
この発明によれば、ソリッドインクを用いた印刷装置によって画像データの印刷が行われる印刷用紙に対して、セキュリティ用の磁性ワイヤーを必要に応じて任意の場所に付与することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】画像形成装置100の要部の構成を示す構成図。
【図2】CPU210内部での機能的な構成を示すブロック図。
【図3】磁性ワイヤー22がドラム16上のインク像21に投下され、印刷用紙23に磁性ワイヤー22とインク24が転写される様子を示した模式図。
【図4】印刷用紙23上に定着したインク24と磁性ワイヤー22との位置関係について示した模式図。
【図5】画像形成装置500の要部の構成を示す構成図。
【図6】CPU220内部での機能的な構成を示したブロック図。
【図7】画像形成装置700の要部の構成を示す構成図。
【図8】CPU230内部での機能的な構成を示したブロック図。
【符号の説明】
【0102】
10 給紙トレイ
11 ピックローラ
12 フィードローラ
13 リタードローラ
14 インクジェットヘッド
15 磁性ワイヤー投与装置
16 ドラム
17 転写ローラ
18 メンテナンスローラ
19 排紙口
20 排紙トレイ
21 インク像
22 磁性ワイヤー
23 印刷用紙
24 インク
100 画像形成装置
210 CPU
220 CPU
230 CPU
500 画像形成装置
501 磁性ワイヤー投与装置
502 モータ
700 画像形成装置
701 磁性ワイヤー投与装置
702 給紙トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソリッドインクを使用してドラム上に画像を形成し、該ドラム上に形成されたソリッドインクによる画像を印刷用紙に転写する画像形成装置における磁性ワイヤー付与装置において、
前記ドラム上にソリッドインクを使用して画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により形成されたソリッドインクによる画像の上に磁性ワイヤーを投与する磁性ワイヤー投与手段と、
前記磁性ワイヤー投与手段により前記磁性ワイヤーが投与され、かつ前記画像形成手段により形成された前記ドラム上の前記ソリッドインクによる画像を前記印刷用紙に転写する画像転写手段と
を具備することを特徴とする磁性ワイヤー付与装置。
【請求項2】
前記磁性ワイヤー投与手段は、
前記ドラム上に形成された前記ソリッドインクによる画像の中の特定の個所を認識する認識手段
を具備し、
前記認識手段で認識された特定の個所に形成されたソリッドインクの上に前記磁性ワイヤーを投与する
ことを特徴とする請求項1記載の磁性ワイヤー付与装置。
【請求項3】
前記認識手段は、
前記ドラム上に形成された画像の中のベタ塗りの画像が形成される個所を前記特定の個所として認識する
ことを特徴とする請求項2記載の磁性ワイヤー付与装置。
【請求項4】
前記画像形成手段は、
前記磁性ワイヤー投与手段により前記磁性ワイヤーを投与するための特定の画像を前記ソリッドインクにより前記ドラム上に形成し、
前記磁性ワイヤー投与手段は、
前記画像形成手段により形成された前記ソリッドインクによる前記特定の画像の上に磁性ワイヤーを投与する
ことを特徴とする請求項1記載の磁性ワイヤー付与装置。
【請求項5】
ソリッドインクを使用して画像が形成される印刷用紙に磁性ワイヤーを付与する磁性ワイヤー付与方法において、
前記ソリッドインクによる画像の形成に先立って、前記印刷用紙上に前記磁性ワイヤーを貼付し、
その後該印刷用紙上に前記ソリッドインクによる画像を形成する
ことを特徴とする磁性ワイヤー付与方法。
【請求項6】
ソリッドインクを使用して画像が形成される印刷用紙に磁性ワイヤーを付与する磁性ワイヤー付与方法において、
前記ソリッドインクによる画像をドラム上に形成し、
該ドラム上に形成されたソリッドインクによる画像の上に前記磁性ワイヤーを投与し、
該磁性ワイヤーが投与された前記ドラム上の前記ソリッドインクによる画像を印刷用紙に転写する
ことを特徴とする磁性ワイヤー付与方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−256124(P2006−256124A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−77223(P2005−77223)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】