説明

磁性物体検出装置

【課題】 小形でしかも設置に関する自由度が高い磁性物体検出装置を提供する。
【解決手段】 本発明の磁性物体検出装置は、近傍空間に交番磁界を放射させる磁界発生手段と、近傍空間の磁界を電気信号に変換する1又は複数のループアンテナと、各ループアンテナの電気信号に基づいて、磁性物体が近傍空間に存在することにより生じる磁気歪みの有無を分析して磁性物体の有無を判別する判別手段とを有する。そして、少なくとも上記磁界発生手段と各ループアンテナとを取り付けた設置用部材が、ポール状の形状を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁性物体検出装置に関し、例えば、万引き防止用の検知タグ検出用ゲートに適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、万引き防止用の装置においては、検知タグが貼付された商品の購買者が、通常2枚の検知タグ検出用ゲートの間を通過する際に、検知タグ検出用ゲート側が検知タグから得たデータに基づいて、支払いが済んでいるか否かなどを判別するものである。例えば、支払いが済むと検知タグを通信できない状態に変化させることにより、支払いが済んでいるか否かを判別可能とする。
【0003】
ここで、検知タグと検知タグ検出用ゲートとの通信に磁界を利用しているものがある(特許文献1参照)。このような磁界を利用した通信方式(一般にEM方式と呼ばれている)に従う検知タグを検出するために、従来では、例えば、幅が70cmで高さが150cm程度の平板状の2枚の検知タグ検出用ゲートを1m程度離して平行に設置していた。
【特許文献1】特開平6−342065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、検知タグ検出用ゲートは、店舗や建物の出入口に設けられるが、上述のような大きさを有する検知タグ検出用ゲートが2枚設置されていると、入場時には店舗や建物内部の見通しが悪く購買意欲に影響を与える可能性があり、また、正規の購買者に対して退場時に不快感を抱くようにさせる可能性がある。
【0005】
また、上述のような2枚の検知タグ検出用ゲートの設置では間隔が狭いため、車椅子を利用しているハンディキャップ者などが通過し難いという課題も有する。
【0006】
さらに、検知タグ検出用ゲートの設置そのもののために大きな空間が必要になっているだけでなく、検出精度を考慮すると、金属製の棚や建具などを検知タグ検出用ゲートの周囲に設けることができないという課題も有する。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、小形でしかも設置に関する自由度が高い磁性物体検出装置を提供しようとしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するために、請求項1の本発明は、近傍空間に交番磁界を放射させる磁界発生手段と、近傍空間の磁界を電気信号に変換する1又は複数のループアンテナと、上記各ループアンテナの電気信号に基づいて、磁性物体が近傍空間に存在することにより生じる磁気歪みの有無を分析して磁性物体の有無を判別する判別手段とを有する磁性物体検出装置において、少なくとも上記磁界発生手段と上記各ループアンテナとを取り付けた設置用部材が、ポール状の形状を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2の本発明は、請求項1の磁性物体検出装置において、上記磁界発生手段が、磁界発生コイルに対する通電で交番磁界を放射させるものであることを特徴とする。
【0010】
請求項3の本発明は、請求項2の磁性物体検出装置において、上記磁界発生コイルのコイル面と、上記各ループアンテナのアンテナ面とが同一平面上にあることを特徴とする。
【0011】
請求項4の本発明は、請求項2の磁性物体検出装置において、上記磁界発生コイルのコイル面と、上記各ループアンテナのアンテナ面とが交差し、交差による直線が、上記設置用部材の長手方向の軸線方向に平行であることを特徴とする。
【0012】
請求項5の本発明は、請求項2の磁性物体検出装置において、上記磁界発生コイルが、巻回用筒状体に巻回されたものであることを特徴とする。
【0013】
請求項6の本発明は、請求項5の磁性物体検出装置において、上記磁界発生コイルが、上記巻回用筒状体の側面では当該巻回用筒状体の軸線方向に平行に巻回されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7の本発明は、請求項5の磁性物体検出装置において、上記磁界発生コイルが、上記巻回用筒状体の側面に対して螺旋状に巻回されている部分を有することを特徴とする。
【0015】
請求項8の本発明は、請求項1の磁性物体検出装置において、上記各ループアンテナが、アンテナ面の形状が取付用筒状体の側面の形状と合致するように取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項9の本発明は、請求項1の磁性物体検出装置において、上記磁界発生手段が、永久磁石を回転させることにより交番磁界を放射させるものであることを特徴とする。
【0017】
請求項10の本発明は、請求項1の磁性物体検出装置において、複数の上記ループアンテナを有し、上記判別手段は、複数の上記ループアンテナの電気信号の差信号を得、この差信号に基づいて、磁性物体の有無を判別することを特徴とする。
【0018】
請求項11の本発明は、請求項1の磁性物体検出装置において、上記判別手段による判別対象の磁性物体が、磁性タグであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、少なくとも磁界発生手段と各ループアンテナとを取り付けた設置用部材が、ポール状の形状を有するので、小形でしかも設置に関する自由度が高い磁性物体検出装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(A)第1の実施形態
以下、本発明に係る磁性物体検出装置を検知タグ検出用ゲート装置に適用した第1の実施形態を図面を参照しながら詳述する。
【0021】
図1は、第1の実施形態の検知タグ検出用ゲート装置の概略構成図である。
【0022】
図1において、第1の実施形態の検知タグ検出用ゲート装置1は、円筒又は角筒でなる筒状体2を有している。この筒状体2の内部には、磁界発生コイル3と、2個のループアンテナ4A及び4Bが設けられていると共に、筒状体2の下側に電気処理部5が設けられている。なお、磁界発生コイル3と、2個のループアンテナ4A及び4Bとの筒状体2内部への固定方法は任意の方法で良く、限定されないものである。
【0023】
磁界発生コイル3は、例えば、上下方向が1160mm、幅方向(左右方向)が130mmの長円(上下端のそれぞれが半径65mmの円弧)状に巻回されているものであり、電気処理部5による駆動によって交番磁界を発生するものである。筒状体2の大きさは、この磁界発生コイル3の大きさが考慮されて選定されている。
【0024】
2個のループアンテナ4A及び4Bは、そのアンテナ面が磁界発生コイル3のコイル面と同一平面上に、しかも、磁界発生コイル3のコイル面内に、上下に設けられたものである。各ループアンテナ4A,4Bはそれぞれが、例えば、上下方向が440mm、幅方向(左右方向)が90mmの長円(上下端のそれぞれが半径45mmの円弧)状に同数ずつ巻回されている。
【0025】
各ループアンテナ4A,4Bは、個別に電気処理部5に接続されていても良く、図2に示すように、ループアンテナ4A及び4Bが縦続接続された状態で電気処理部5に接続されていても良い。
【0026】
図2は、上下に分かれて配置された2個のループアンテナ4A及び4Bの巻回方向が同一の場合の縦続接続例であり、両ループアンテナ4A及び4Bの第1出力端子(正負を取り得るが図面では「+」で表している)同士を接続すると共に、ループアンテナ4Aの第2出力端子(「−」で表している)を接地し、ループアンテナ4Bの第2出力端子を電気処理部5に接続する。
【0027】
ここで、近傍に検知タグが存在しない場合のループアンテナ4A及び4Bの両出力端子間の誘起電圧をそれぞれV1、V2とすると、これら誘起電圧V1、V2には同様なノイズ成分が混入し、図2に示すような縦続接続により電気処理部5に入力された差電圧V1−V2は、ノイズ成分も相殺されてほぼ0となる。近傍に検知タグが存在する場合、ループアンテナ4Aの誘起電圧はV1からV1+ΔV1に変化し、ループアンテナ4Bの誘起電圧はV2からV2+ΔV2に変化し、電気処理部5には入力された差電圧はほぼΔV1−ΔV2となり、この差電圧ΔV1−ΔV2の時間的な変化などから、磁界分布に影響を与える検知タグ(例えば、ワイヤ状タグ)の存在時に生じる磁気歪みを監視し、検知タグの存在を弁別することができる。
【0028】
各ループアンテナ4A、4Bを個別に電気処理部5に接続する装置であれば、電気処理部5が、ループアンテナ4A及び4Bの両出力端子間の誘起電圧の差電圧を例えば内蔵する差動増幅器などを用いて求める。
【0029】
なお、2個のループアンテナ4A及び4Bの誘起電圧の差電圧に基づいて、検知タグが近傍に存在することを検知する考え方については、特願2003−199323号明細書及び図面に記載されている。
【0030】
電気処理部5は、磁界発生コイル3を駆動して交番磁界を発生させたり、上述した差電圧を取り込んだりするものである。電気処理部5自体が、差電圧に基づいて、磁界分布に影響を与える検知タグ(例えば、ワイヤ状タグ)が近傍に存在するか否かを判別するものであっても良い。また、電気処理部5は、例えば、差電圧をデジタル信号に変換して上位装置に送信するようなものであっても良い。
【0031】
この第1の実施形態においては、磁界発生コイル3と2個のループアンテナ4A及び4Bとを共に筒状体2の内部に設けているが、実際上、十分な検知距離を期待できる。本実施形態の例では、磁界発生コイル3から100AT(アンペアターン)の磁界を発生させた場合、ループアンテナ4A及び4Bの差動構成による検知精度の向上と相俟って、30〜40cm程度の検出距離を得ることができた。なお、磁界発生コイル3からの磁界を大きくすれば検出距離はより長くなる。
【0032】
以上のように、第1の実施形態によれば、検知タグ検出用ゲート装置をポール型で実現することができる。その結果、検知タグ検出用ゲート装置を小型、軽量、安価なものとすることができ、また、検知タグ検出用ゲート装置の設置自由度を大きくすることができる。さらに、ポール型であるので、大面積の平板状のものより、見栄えが良く、また、複数本が設けられたとしてもその脇を通過し易いものである。
【0033】
因みに、RF方式やAM方式などの他の方式による検知タグ検出用ゲート装置では既にポール型のものがあったが、この実施形態と同様なEM方式の場合には、磁気歪みを利用した検知であるため、検知のために大きな磁界を発生しなければならず、磁界発生コイル及びループアンテナを共に備えているポール型のものは存在していなかった。
【0034】
図1では、磁界発生コイル3と2個のループアンテナ4A及び4Bとを、筒状体2の内部に設けたポール型のものを示したが、図3に示すように、長さに比べて幅が格段的に狭い(例えば、1/8以下)直方体(例えば木材でなる)2Aの一面に磁界発生コイル3と2個のループアンテナ4A及び4Bとを設けた、断面が長方形のポール型にしたものであっても良い。磁界発生コイル3と2個のループアンテナ4A及び4Bとを取り付けた筒状体2などの全体をモータなどによって定速回転させるようにしても良く(なお、この明細書での回転の用語は、揺動などを含むものである)、この場合に、電気処理部5との接触をスリップリングなどを介して行うようにしても良い。要は、磁界発生コイル3と2個のループアンテナ4A及び4Bとの配置関係が、第1の実施形態と同様であれば、磁界発生コイル3と、2個のループアンテナ4A及び4Bの設置方法は任意で良い。
【0035】
(B)第2の実施形態
次に、本発明に係る磁性物体検出装置を検知タグ検出用ゲート装置に適用した第2の実施形態を図面を参照しながら詳述する。
【0036】
図4は、第2の実施形態の検知タグ検出用ゲート装置の概略構成図であり、第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0037】
第2の実施形態の検知タグ検出用ゲート装置1は、構成要素そのものは第1の実施形態と同様である。しかし、磁界発生コイル3のコイル面と、ループアンテナ4A及び4Bのアンテナ面との関係が第1の実施形態と異なり交差している。
【0038】
すなわち、第2の実施形態の場合、図5の概略平面図(上方から見た図面)のように、磁界発生コイル3のコイル面と、ループアンテナ4A及び4Bのアンテナ面とは直角に交差しており、交差による直線が、設置用部材の長手方向の軸線方向に平行である。このような直交関係を、例えば、磁界発生コイル3をその外形とほぼ同じ周囲形状を有する平板に取り付けると共に、その平板の幅方向の中間位置に上下方向に伸びるスリットを設け、そのスリットに対して、ループアンテナ4A及び4Bを設けることで実現する。
【0039】
第2の実施形態の検知タグ検出用ゲート装置によっても、第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0040】
図6は、第2の実施形態の変形例を示す概略平面図であり、上述した図5に対応する図面である。この変形例の場合、ループアンテナ4Aのアンテナ面は、磁界発生コイル3のコイル面に対して角度θ1をもって傾いており、ループアンテナ4Bのアンテナ面は、磁界発生コイル3のコイル面に対して角度θ2をもって傾いており、これらの角度θ1及びθ2を任意に調整可能となされている。すなわち、検知タグの検出の指向性を調整することができる。
【0041】
第2の実施形態のその他の変形例として、磁界発生コイル3とループアンテナ4A及び4Bとの全体をモータなどによって定速回転させるものや、ループアンテナ4A及び4Bを固定させた状態で磁界発生コイル3だけをモータなどによって定速回転させるものや、磁界発生コイル3を固定させた状態でループアンテナ4A及び4Bをモータなどによって定速回転させるものや、磁界発生コイル3と、ループアンテナ4A及び4Bとを異なる速度で定速回転させるものなどを挙げることができ、このような手段を用いることにより指向性を拡げることができる。
【0042】
(C)第3の実施形態
次に、本発明に係る磁性物体検出装置を検知タグ検出用ゲート装置に適用した第3の実施形態を図面を参照しながら詳述する。第3の実施形態の場合、磁界発生コイル3の形状に特徴を有している。
【0043】
図7は、第3の実施形態の磁界発生コイル3の概略構成を示している。図7において、磁界発生コイル3は、筒状体2(図1参照)の内部に設けられた、円筒状のコイル巻回用筒状体6の側面では当該巻回用筒状体の軸線方向に平行に巻回されている。磁界発生コイル3は、コイル巻回用筒状体6の底板6a側から側面6bを通って天井板6c側に直線的に上昇する部分3aと、天井板6cを直線的に進行する部分3bと、天井板6cから側面6bを通って底板側6aに直線的に下降する部分3cと、底板6aを直線的に進行する部分3dとをこの順に数回繰り返し、コイル巻回用筒状体6の円周上で、上昇部分3a及び下降部分3cが略等角間隔(図7のものは60°)に配置されるようになされている。なお、図7とは異なり、コイル巻回用筒状体6の円周上に、上昇部分3a及び下降部分3cが疎密を有するように配置されていても良い。
【0044】
ここで、図7では省略しているが、コイル巻回用筒状体6の内部に2個のループアンテナ4A及び4Bが設けられている。
【0045】
上述した第1及び第2の実施形態の場合、モータなどによって、磁界発生コイル3やループアンテナ4A及び4Bを回転させない場合には、指向性が狭いものであった。この第3の実施形態の場合、磁界発生コイル3やループアンテナ4A及び4Bを回転させない場合でも(回転させる場合も第3の実施形態の変形例となっている)指向性を拡げることができる。
【0046】
この第3の実施形態においても、ポール型構成で検知タグ検出用ゲート装置を形成したことによる効果は、上述した第1の実施形態の場合と同様である。
【0047】
(D)第4の実施形態
次に、本発明に係る磁性物体検出装置を検知タグ検出用ゲート装置に適用した第4の実施形態を図面を参照しながら詳述する。第4の実施形態の場合、磁界発生コイル3の形状に特徴を有している。
【0048】
図8は、第4の実施形態の磁界発生コイル3の概略構成を示している。図8において、第4の実施形態の磁界発生コイル3も、筒状体2(図1参照)の内部に設けられた、円筒状のコイル巻回用筒状体6に巻回されている。第4の実施形態の磁界発生コイル3は、コイル巻回用筒状体6の側面に対して徐々に上昇していく螺旋状に巻回されており、その上昇からの戻り部分は、コイル巻回用筒状体6の中心軸に沿っている。なお、図8とは異なり、磁界発生コイル3の螺旋状の巻回に疎密があっても良い。
【0049】
ここで、図8では省略しているが、コイル巻回用筒状体6の内部に2個のループアンテナ4A及び4Bが設けられている。
【0050】
螺旋状の磁界発生コイル3を適用すると、磁性方向がコイル巻回用筒状体6の中心軸に平行に位置しているときの方が、同じ距離隔てた検知タグに対して、磁性方向がコイル巻回用筒状体6の中心軸に直交に位置しているときより検出し易いものとなる。すなわち、同じ位置でありながら、検知タグの磁性方向で検出能力に差を持たせることができる。
【0051】
この第4の実施形態においても、ポール型構成で検知タグ検出用ゲート装置を形成したことによる効果は、上述した第1の実施形態の場合と同様である。
【0052】
図9は、第4の実施形態の変形例を示す概略構成図であり、上述した図8に対応する図面である。この変形例の場合、磁界発生コイル3は、コイル巻回用筒状体6の側面に対して徐々に上昇していく螺旋状に巻回されていると共に、その上昇からの戻り部分も、徐々に下降していく螺旋状に巻回されている。
【0053】
第4の実施形態の他の変形例として、磁界発生コイル3及び又はループアンテナ4A、4Bを回転させるものを挙げることができる。
【0054】
(E)第5の実施形態
次に、本発明に係る磁性物体検出装置を検知タグ検出用ゲート装置に適用した第5の実施形態を図面を参照しながら詳述する。
【0055】
図10は、第5の実施形態の検知タグ検出用ゲート装置の要部構成を示す概略構成図である。図10において、磁界発生コイル3は、円筒状のアンテナ取付用筒状体7の内部に設けられている。一方、各ループアンテナ4A、4Bは、アンテナ取付用筒状体7の外部に、しかも、アンテナ取付用筒状体7の側面形状に合致するようその外側に設けられている。これにより、各ループアンテナ4A、4Bのアンテナ面を大きくできると共に曲面にすることができ、検出精度の向上が期待できる。また、各ループアンテナ4A、4Bの取付作業を容易にし得る。
【0056】
この第5の実施形態においても、ポール型構成で検知タグ検出用ゲート装置を形成したことによる効果は、上述した第1の実施形態の場合と同様である。
【0057】
第5の実施形態の他の変形例として、磁界発生コイル3及び又はループアンテナ4A、4Bを回転させるものを挙げることができる。
【0058】
(F)第6の実施形態
次に、本発明に係る磁性物体検出装置を検知タグ検出用ゲート装置に適用した第6の実施形態を図面を参照しながら詳述する。図11は、第6の実施形態の検知タグ検出用ゲート装置の要部構成を示す概略構成図である。
【0059】
この第6の実施形態は、検知タグを検出するために放射する磁界の発生方法に特徴を有するものであり、既述した実施形態のような磁界発生コイル3を用いないものである。すなわち、この第6の実施形態は、周方向に2分(4分や6分などの他の分け方でも良い)されてN極及びS極が着磁されている棒状(例えば円筒状又は平板状であっても良い)の永久磁石10を、2個のループアンテナ4A及び4Bに近接させて配置すると共に、この永久磁石10をモータ11によって回転させることにより、交番磁界を発生させている。
【0060】
磁界発生コイルを適用しながらより細いポール形状を実現しようとすると、磁界発生コイルの幅方向(左右方向)の長さが短くなり、そのような状態で十分大きな交番磁界を十分な範囲に発生させるためには、磁界発生コイルヘの供給電力が大きくなる。同じ程度の細さのポール形状を、第6の実施形態のように永久磁石10を利用して実現させる場合、モータ11への電力供給は必要であるが、磁界発生コイルヘの電力量より少なく、省エネルギータイプの検知タグ検出用ゲート装置を実現できる。
【0061】
この第6の実施形態においても、ポール型構成で検知タグ検出用ゲート装置を形成したことによる効果は、上述した第1の実施形態の場合と同様である。
【0062】
(G)第7の実施形態
次に、本発明に係る磁性物体検出装置を検知タグ検出用ゲート装置に適用した第7の実施形態を図面を参照しながら詳述する。図12は、第7の実施形態の検知タグ検出用ゲート装置の要部構成を示す概略構成図である。
【0063】
第7の実施形態は、2個(3個以上でも良い)の永久磁石10A及び10Bのそれぞれを、2個のループアンテナ4A及び4Bを挟むように、しかも、ループアンテナ4A及び4Bに近接させて配置し、各永久磁石10A、10Bのそれぞれを、対応するモータ11A、11Bによって回転させるものである。2個の永久磁石10A及び10Bの回転は、例えば、電気処理部5(図1参照)の制御下で同期して実行される。
【0064】
2個の永久磁石10A及び10Bを用いることにより、交番磁界として大きいものを発生可能とし、検出可能範囲を広めることができる。
【0065】
この第7の実施形態においても、ポール型構成で検知タグ検出用ゲート装置を形成したことによる効果は、上述した第1の実施形態の場合と同様である。
【0066】
図12では、各永久磁石10A、10Bのそれぞれに対応させてモータ11A、11Bを設けるものを示したが、共通の1個のモータを設け、このモータの回転力を歯車機構などによって2個の永久磁石10A及び10Bに伝達させるようにしても良い。
【0067】
(H)他の実施形態
上記各実施形態の説明でも種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
【0068】
上記第3や第4の実施形態におけるコイル巻回用筒状体や、第5の実施形態におけるアンテナ取付用筒状体は、上記のような巻回形状や、上記のような取付形状を実現できるのであれば、完全な筒状体である必要はない。また例えば、磁界発生コイルの剛性が高く、筒状体に実際に巻回しなくても上記形状を形成できるような場合であれば、筒状体そのものがなくても良く、アンテナ取付用筒状体についても同様である。
【0069】
上記第6及び第7の実施形態では、磁界発生コイルに代えて、永久磁石を適用したものを示したが、磁界発生コイルと永久磁石とを併用するようにしても良い。
【0070】
上記各実施形態では、ループアンテナが2個有するものを示したが、ループアンテナは1個でも3個以上でも良い。複数のループアンテナを備え、ノイズを相殺できるような差動処理がなされていることが好ましい。
【0071】
検知タグを検出するための、検知タグ検出用ゲート装置の設置数は任意で良い。複数を設置する場合において、各装置が同一のものである必要はない。例えば、異なる実施形態のものが混在して設けられていても良い。また、検知タグ検出用ゲート装置の設置は床置き設置に限定されず、天井などからの垂下状態の設置であっても良い。
【0072】
上記各実施形態は、本発明を、検知タグ検出用ゲート装置に適用したものであったが、本発明は、近傍に磁性物体が存在するか否かを検出する磁性物体検出装置に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1の実施形態の検知タグ検出用ゲート装置の構成を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施形態の2個のループアンテナの接続例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態の変形例の構成を示す概略構成図である。
【図4】第2の実施形態の検知タグ検出用ゲート装置の構成を示す概略構成図である。
【図5】第2の実施形態の磁界発生コイルのコイル面とループアンテナのアンテナ面との関係を示す概略平面図である。
【図6】第2の実施形態の変形例での磁界発生コイルのコイル面とループアンテナのアンテナ面との関係を示す概略平面図である。
【図7】第3の実施形態の検知タグ検出用ゲート装置の磁界発生コイルを示す概略構成図である。
【図8】第4の実施形態の検知タグ検出用ゲート装置の磁界発生コイルを示す概略構成図である。
【図9】第4の実施形態の変形例の磁界発生コイルを示す概略構成図である。
【図10】第5の実施形態の検知タグ検出用ゲート装置の要部構成を示す概略構成図である。
【図11】第6の実施形態の検知タグ検出用ゲート装置の要部構成を示す概略構成図である。
【図12】第7の実施形態の検知タグ検出用ゲート装置の要部構成を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0074】
1…検知タグ検出用ゲート装置、2…筒状体、3…磁界発生コイル、4A、4B…ループアンテナ、5…電気処理部、6…コイル巻回用筒状体、7…アンテナ取付用筒状体、10、10A、10B…永久磁石、11、11A、11B…モータ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
近傍空間に交番磁界を放射させる磁界発生手段と、近傍空間の磁界を電気信号に変換する1又は複数のループアンテナと、上記各ループアンテナの電気信号に基づいて、磁性物体が近傍空間に存在することにより生じる磁気歪みの有無を分析して磁性物体の有無を判別する判別手段とを有する磁性物体検出装置において、
少なくとも上記磁界発生手段と上記各ループアンテナとを取り付けた設置用部材が、ポール状の形状を有することを特徴とする磁性物体検出装置。
【請求項2】
上記磁界発生手段が、磁界発生コイルに対する通電で交番磁界を放射させるものであることを特徴とする請求項1に記載の磁性物体検出装置。
【請求項3】
上記磁界発生コイルのコイル面と、上記各ループアンテナのアンテナ面とが同一平面上にあることを特徴とする請求項2に記載の磁性物体検出装置。
【請求項4】
上記磁界発生コイルのコイル面と、上記各ループアンテナのアンテナ面とが交差し、交差による直線が、上記設置用部材の長手方向の軸線方向に平行であることを特徴とする請求項2に記載の磁性物体検出装置。
【請求項5】
上記磁界発生コイルが、巻回用筒状体に巻回されたものであることを特徴とする請求項2に記載の磁性物体検出装置。
【請求項6】
上記磁界発生コイルが、上記巻回用筒状体の側面では当該巻回用筒状体の軸線方向に平行に巻回されていることを特徴とする請求項5に記載の磁性物体検出装置。
【請求項7】
上記磁界発生コイルが、上記巻回用筒状体の側面に対して螺旋状に巻回されている部分を有することを特徴とする請求項5に記載の磁性物体検出装置。
【請求項8】
上記各ループアンテナが、アンテナ面の形状が取付用筒状体の側面の形状と合致するように取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の磁性物体検出装置。
【請求項9】
上記磁界発生手段が、永久磁石を回転させることにより交番磁界を放射させるものであることを特徴とする請求項1に記載の磁性物体検出装置。
【請求項10】
複数の上記ループアンテナを有し、上記判別手段は、複数の上記ループアンテナの電気信号の差信号を得、この差信号に基づいて、磁性物体の有無を判別することを特徴とする請求項1に記載の磁性物体検出装置。
【請求項11】
上記判別手段による判別対象の磁性物体が、磁性タグであることを特徴とする請求項1に記載の磁性物体検出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−71606(P2006−71606A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258837(P2004−258837)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【出願人】(597019609)株式会社 シーディエヌ (22)
【Fターム(参考)】