説明

磁性粒子ベースの電気化学発光検出装置と方法

【課題】感度が改良され測定時間が短い電気化学発光検出装置および改良された感度と速度で試料組成物内の電気化学発光の測定法を提供する。
【解決手段】試料組成物からの電気化学発光の測定装置であって、a)試料組成物を規定する容量を有するセル、試料組成物に電圧を加えるのに適した電極、および試料組成物内の磁気応答性成分を電極表面に引き寄せるのに適した、1つまたはそれ以上の磁界源からなる捕捉磁石;b)試料組成物内の電気化学発光活性分子種から発光を発生させるのに充分な電圧を電極に加える手段;そしてc)試料組成物内の発生する発光を測定する手段、からなり、磁石は電極の下に位置し、磁石内の少なくとも1つの磁界の磁束線は圧縮および/または分散されるような構成を有する(但し、磁束線が分散のみされる場合、磁石は1つだけの磁界源を含有する)、上記装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定を行うための電気化学発光検出装置と方法に関し、分析される試料組成物は、化学発光反応を開始するために、1つまたはそれ以上の磁石を利用して、電極の表面に捕捉された磁気応答性微粒子に結合したECL活性分子種を含有する。
【背景技術】
【0002】
電気化学発光は、電極の表面で安定な前駆体から反応性分子種が電気的に生成される、高感度の検出および定量方法の基礎である。電気化学的に生成される反応性分子種は、化学発光反応を受ける。化学発光反応からの発光は、ECL−活性分子種の検出または定量に使用される。微量の物質を測定できる高感度な電気化学発光検出系および方法が開発されている。ECL−活性標識物からの発光の検出は、生化学的および生物学的物質のような物質の測定法を開発し、高感度の免疫測定法やDNAプローブ測定法を提供するために使用されている。
これらの電気化学発光検出系は、測定が簡便で迅速であり、放射性同位元素を使用せず、ECL−活性分子種の検出限界は極めて低く(200フェトモル/L);ECL−活性特異的定量法のダイナミックレンジは、6オーダー以上の大きさであり;そして、ECL−活性標識物は極めて安定で小さく(約1000ダルトン)、その結果ハプテンまたは大分子を標識することができ、タンパク質またはオリゴヌクレオチドの免疫反応性、溶解性またはハイブリダイズする能力を損なうことなく、これらに複数の標識物を結合させることができるという、他の検出系より多くの利点を有する。
【0003】
さらに、化学発光には電圧を加えることが必要であるため、応答の開始や持続は、電極に加える電圧により調節できる。ECL検出装置と方法は、特許文献1、2および3に記載されている。
電気化学発光の検出と定量に基づく測定法について、種々のフォーマットが開発されている。例えば、目的のアナライトについてECL−活性残基で標識されたハプテンが抗体と競合する競合測定法については、不均一(1つまたはそれ以上の分離)フォーマットおよび均一(非分離)フォーマットが開発されている。不均一フォーマットでは、ECL検出装置で分析する前に、ハプテンのような標識成分の遊離画分および結合画分は分離される。標識成分の遊離画分と結合画分のECL励起効率が大きく異なる場合、均一フォーマットにおいて1つの画分からのECL強度を他の画分の存在下で定量することができる。
特許文献4は、均一フォーマットにおける発光現象に基づく測定を実施する方法を記載しており、ここではECL−活性残基により生成される発光シグナルの強度の変化は、測定系の特異的結合を追跡する手段を提供する。この方法では、発光シグナルの強度を変化させるために、測定成分のECL−活性分子種に微粒子が結合している。
【0004】
特許文献5は、ECL−活性分子種に結合した微粒子が磁気応答性であり電極に引き寄せられ、そこでECL−活性残基は複数の北−南を指した磁石により励起される測定の実施方法を記載している。これは、試料組成物からのECLシグナルを大幅に増強する。
磁石の非存在下では、励起のための電極表面への磁気応答性微粒子の移動は、主にブラウン運動により制御される。電極の表面で磁気応答性微粒子を捕捉するために磁石を取り込むことにより、ECL−活性分子種の結合画分の励起は、より効率的になる;実際、結合画分からのシグナルは、遊離画分のシグナルより大幅に増強され、均一フォーマットにおける測定法が可能となる。
磁気応答性微粒子を含有させることは、存在するDNAを増幅するためにポリメラーゼチェイン反応(PCR)が使用されるDNAプローブ測定法のような測定の実施方法において、特に有効である。このような測定法では、まず2つのプライマー(そのうち1つはビオチン化プライマーである)を用いて特異的遺伝子を増幅するためにPCR反応を行う。ビオチン化プライマーと形成された2本鎖DNAは、ストレプトアビジン被覆微粒子に結合し、DNA鎖は分離される。粒子の結合した鎖を、ECL−活性標識物を有するDNAプローブでハイブリダイズされる(これは、ECL−検出装置(典型的には磁石を用いるもの)で検出され定量される)。
【0005】
特許文献4や5のような先行技術で教示される装置や方法、およびイゲン社(IGEN Inc.)のオリジン(登録商標)(Origin)1.5アナライザーは、種々の測定法において極めて少量のアナライトの検出と定量を可能にするが、検出限界を下げ、そして測定法の感度を上昇させ、また測定の実施速度を速める努力が続いている。
検出限界を下げ測定法の感度を上げる1つの手段は、試料そして試料組成物からのECLシグナルを増加させることである。これは、測定セル内の試料組成物の残留時間をのばして、より多くの粒子が電極表面に捕捉されるような方法で、試料組成物からの粒子捕捉を改良することにより行われる。感度を改良する他の方法は、電極上の粒子の分布を改良することである。他の粒子の上に重なった粒子は、ECL−活性分子種を電極表面から遠い位置におくため、電極に電圧を加えた時の発光が小さくなる。電極表面の粒子のより均一な分布により、より多くのECL−活性分子種が発光することが可能になり、ECLシグナルが増加するであろう。1つまたはそれ以上の標準的な磁石を用いる通常のECL検出装置は、短時間で有効な粒子捕捉と粒子分布を与えるが、改良が望まれる。
粒子捕捉は、磁気応答性粒子を溶液中で電極表面に引き寄せる磁力に依存する。この磁力は、典型的には粒子の磁性飽和と磁界勾配の積である。高い磁性飽和を有する磁性粒子の選択により、引き寄せる磁力を上昇させることができるが、いったん選択されると、この磁力を上昇させるために磁界勾配を上昇させなければならない。
【0006】
使用される磁石の磁界強度の増加は、磁界勾配を増加させ、粒子捕捉を改良するであろう。しかし、磁力強度を増加させると、光電増幅管の妨害の増加のような他の問題が発生することがある。磁界の強度が増加すると、そのサイズも増加し、典型的には電極の表面からさらに延長して光電増幅管に近づく。このため、ECLシグナルが低下し、感度が低下する。さらに、磁界強度の増加は、電極上の粒子の重なりを増やし、ECLシグナルが低下する。
【0007】
【特許文献1】国際公開第WO86/02734号パンフレット
【特許文献2】国際公開第WO87/00987号パンフレット
【特許文献3】国際公開第WO88/03947号パンフレット
【特許文献4】国際公開第WO89/04919号パンフレット
【特許文献5】国際公開第WO92/00982号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一般的目的は、感度が改良され測定時間が短い電気化学発光検出装置を提供することである。
本発明の別の一般的目的は、改良された感度と速度で、試料組成物内の電気化学発光の測定法を提供することである。
本発明の別の目的は、光電増幅管の妨害を増加することなく、試料組成物内の磁気応答性微粒子の改良された捕捉を提供する構成の捕捉磁石を使用する、ECL検出装置と方法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、電極表面上の粒子のより均一な分布を提供する構成の捕捉磁石を用いる、ECL検出装置と方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的および他の目的は、使用される磁界源の磁束線が圧縮および/または分散により再指向される構成を有する、ECL検出装置内の捕捉磁石を使用することにより達成される。
磁束線が分散のみされる時、磁界強度を増加することなく、すなわち構成に別の磁界源を加えることなく、分散が達成される。こうして磁束線を分散させる時、磁界勾配の分布は、変更でき、磁界の強度を増加させることなく変更し増強することができる。従って、磁界勾配は、表面から磁界を有意に拡大させることなく、電極表面中に広がるように操作することができる。
磁束線が圧縮される時、磁界の磁束密度(磁界強度)は、電極の表面から磁界を有意に拡大することなく増加される。両方の配置は、磁界勾配を表面に広げ、光電増幅管の妨害を低下させることにより、電極上のビーズ捕捉の効率を上昇させるのに役立つ。
本発明の態様は、試料組成物からの電気化学発光の測定装置であって、
a)試料組成物を規定する容量を有するセル、試料組成物に電圧を加えるのに適した電極、および試料組成物内の磁気応答性成分を電極表面に引き寄せるのに適した磁石;
b)試料組成物内の電気化学発光(ECL)活性分子種から発光を発生させるのに充分な電圧を電極に加える手段;そして
c)試料組成物内のECL−活性分子種により発生する発光を測定する手段、
からなり、
磁石は電極の下に位置し、磁石内の少なくとも1つの磁界の磁束線は圧縮および/または分散されるような構成を有する(但し、磁束線が分散のみされる場合、磁石は1つだけの磁界源を含有する)、上記装置である。
本発明はまた、試料組成物からの電気化学発光を測定する方法を提供し、ここで、該試料組成物は、ECL−活性残基と磁気応答性粒子からなる電気化学発光活性分子種を含有し、該方法は:
a)既知量の試料組成物を、電極を含有する測定セル内に導入し;
b)磁気応答性粒子に磁界を与えて、電極の表面に、ECL−活性残基と磁気応答性粒子からなるECL−活性分子種を集め;
c)試料組成物内のECL−活性分子種から発光を誘導するのに充分な大きさの電圧を電極に加え;そして
d)試料組成物から発生した発光を測定する、ことからなり、
ここで、磁気応答性粒子に加えられる磁界は、1つまたはそれ以上の磁界源からなる電極表面の下に位置する捕捉磁石により提供され、該捕捉磁石は、捕捉磁石内の少なくとも1つの磁界源の磁束線は圧縮および/または分散されるような構成を有する(但し、磁束線が分散のみされる場合、磁石は1つだけの磁界源を含有する)。
前記方法の実施において、電極の表面上の複合体を集め濃縮するためのいくつかの異なる不均一および均一フォーマットを使用することができる。不均一測定法では、結合画分を作用電極の表面上で濃縮し、測定セル中の非結合画分の存在下でECLシグナルを測定する。修飾した不均一フォーマットでは、試料組成物をポンプで測定セル内に入れた後in situ分離工程を行い、結合画分を作用電極上に捕捉する。このin situ分離工程では、第2の液をポンプでセル内に入れ、非結合画分を、ECL−活性分子種の結合画分から分離する。測定セル内で結合画分と非結合画分の分離を行う能力は、追加の分離装置を必要とせず、一般に外部分離法よりはるかに迅速なため、有効である。このような分離工程後の結合画分からのECLシグナルの測定は、分離なしの場合より高い正確度と低い検出限界を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
用語の説明
「ECL残基」、「ECL活性残基」および「標識物」という用語は、互換的に用いられ、加えた電圧に曝露すると電気化学発光を生ずる、アナライト、アナライトの類似体、類似体の結合パートナーもしくはその類似体、または他の測定成分のような分子に結合した、Ru(bpy)2+のような置換基を意味する。
「電気化学発光」、「電気化学発光性」、「発光」、「発光性」および「発光する」という用語は、光および他の型の電磁放射線の放出を意味する。「検出」および「定量」という用語は、「測定」を意味し、定量は参照組成物の調製および較正を必要とする。「磁束線」、「誘導の線」、「磁束」、「力線」および「磁界線」は、互換的に用いられ、その位置で磁気応答性対象に対して加えられる力による磁界を規定する線を意味する。磁束線の圧縮および/または分散は、磁界勾配の圧縮および/または分散を引き起こすか、および/または磁界のサイズと形の拡大を引き起こす。
「磁界源」という用語は、永久磁石および電気磁石を意味し、これらはN−S磁極を規定する別々の個別のものである。「磁界源」という用語はまた、磁界を発生させる複合材料または構造内の領域を包含する。このような領域は、複合型の磁性酸化鉄粒子内で産生することができる。
【0011】
好適な実施態様の詳細な説明
図1は、本発明の範囲内のECL検出系の主要な成分を例示する。装置の核心は、作用電極5を含有するセル2(示した電気化学的フローセル)、対極10、および磁石15である。
図2は、本発明の装置で使用することができる、電気化学的フローセルのより詳細な図である。電圧源25によりリード線26と27を介して電圧をかけた時、作用電極5と対極10は、ECL反応を開始する。好ましくは、これらの電極は、金から作成されるが、他の物質を用いて種々の程度でうまくいっている。光検出手段20は、ECL反応の間に放出される光を検出し、光電増幅管(PMT)、フォトダイオード、電荷結合装置写真フィルムまたは乳剤などが有効である。参照電極35は、フローセル2の下流に液体通路50内に置く。ポンプ55は、フローセル2を通過させ、液体通路50を介して種々の液体を引き込む。液体通路50は、出口3からフローセル2につながる単純な導管でもよい。試料組成物は、液体通路40により入り口4を通ってフローセルに導入される。液体通路40は、液体制御手段100から液体を供給する単純な導管でもよい。液体制御手段100は、種々の供給源からフローセル2に入る液体を制御する。図1に、フローセル2のための洗浄溶液および/または調整溶液のバルク供給源である、バルク供給源6と7を示し、また試料組成物のための試料供給源120を示す(これは、並べた試験管でもよい)。電圧源25は、典型的には電極を通過してリード線26と27を介して種々の電圧波型をかけることができるポテンシオスタットである。
【0012】
本発明は、イゲン社(IGEN Inc.)(ロックビル、メリーランド州)のオリジン(登録商標)(Origin)1.5アナライザーで使用される成分のような、市販のECL検出系に存在する液体ハンドリング成分、発光計およびポテンシオスタットを使用することができる。
典型的な配列では、試料組成物は、典型的には試験管内の試料供給源120から、ポンプ55に提供される真空によりフローセル2に引かれる。試料組成物内の磁気応答性粒子は、磁石15からの磁界により電極5上に捕捉される。随時、粒子を洗浄してECL−活性化合物を洗浄することにより、磁気応答性粒子に結合していないECL活性化合物を除去する。これらは、非特異結合(すなわち、粒子は目的の特異的部位でECL−活性残基に結合していない)に関与する遊離または非結合ECL活性化合物およびECL活性成分を含有する。
作用電極5と対極10にポテンシオスタット25を介してランプ電圧が加えられ、放出された光は、光電増幅管20を用いて測定される。測定後、洗浄溶液および/または調整溶液は、供給源6および/または7から制御装置100(必要であれば)を介してセル2に引かれる。電極の表面を「調整」または標準化して再現性のある測定値を与えるために、調整溶液がセル内にある時、典型的には電圧波型が加えられる。好適な実施態様において、試料のための液体ハンドリング成分、洗浄溶液および/または調整溶液は自動化されている。
【0013】
図2は、セル2と参照電極35のより詳細な図を示す。図1と2に示す装置は、フロースルーセルを含有する。しかし、これらの検出系内に静止セルを容易に導入でき、本発明はこのような装置も、好適ではないが含有することは、当業者は理解するであろう。光検出手段20は、図1の装置について前記した任意の態様であるが、好ましくは光電増幅管(PMT)である。装置は、ポンプ55を含有し、これはまたセル2へ、セル2を通って、およびセル2から液体を輸送する手段を提供するペリスタポンプが有効である。容量形ポンプを使用することもできる。セル2とPMT20の間にシャッター機構18が提供されるが、任意である。好ましくは、シャッター18は、ECL測定中PMT20をセル2に暴露するためにのみ開くように、調節的に操作される。例えば保持の間は、シャッター機構は閉じられる。セル2は、取り付けブロック120と125、輪状スペーサー140、および窓148からなる。試料保持容量130は、取り付けブロック120と125、輪状スペーサー140、および窓148により規定される。取り付けブロック120と125は、ステンレスでできていることが有効であり、輪状リング140は、テフロン(登録商標)でできていることが有効であり、そして窓148は、セル中のECL−活性分子種により放出される電気化学発光の波長で実質的に透明である物質(例えば、ガラス、プラスチック、石英または類似の物質)で形成されることが有効である。取り付けブロック125は中心口126を有し、ここに窓148が密封取り付けされる。取り付けブロック120は、入り口4で送り込み管40に連結され、出口3で排出管50に連結され、これらはいずれも好ましくはステンレス製である。送り込み管40は入り口チャンネル41に送り、排出管50は取り付けブロック120内の出口チャンネル51から受け取る。入り口チャンネル41と出口チャンネル51は、試料保持容量130に開口する。入り口チャンネル41は、スペーサー140に隣接するその第1末端150で試料保持容量130に交差し、出口チャンネル51は試料保持容量130に、スペーサー140に隣接するその第2末端151で交差する。送り込み管40、入り口チャンネル41、試料保持容量130、出口チャンネル51、排出管50の組合せは、こうしてセル2へ、セル2を通っておよびセル2からの、試料組成物の狭い、実質的に層流のための連続的な通路を提供する。矢印AとBは、送り込み管40へのおよび排出管50からの流れを示す。
【0014】
ポンプ55は、矢印Aの方向で送り込み管40内へ試料容量から溶液を引くために、排出管50に位置するのが有効である。溶液は、送り込み管40、試料保持容量130および排出管50に電極35を通過して流れ、矢印Bの方向で外に出る。あるいは、ポンプ55は、溶液を送り込み管40、試料容量130、および排出管50から押し出すために、送り込み管40に位置してもよい。ポンプ55は、一定時間操作を止めて特定の溶液をセル2に保持するために調節される。セル2を通過するすべての溶液および液体について、送り込み管、試料保持容量および排出管を通る同じ流れの通路が使用され、こうして液体は流体力学的洗浄作用を示し、古い液体をセル2の外に押し出す。フロースルー作製体は、初期化工程の間の迅速な変更を可能にし、作用電極が可変電圧を加えられるかまたは操作前の電位で連続的に保持される一方、これらの電極を空気に暴露(これは、ランダムな電圧変動を引き起こす)することなく、1つまたはそれ以上の溶液に暴露させることを可能にする。
【0015】
試料保持容量130に取り付けられるのは、作用電極5と対極10である。別の態様において、複数の作用電極が使用される。これらの電極は、白金、金、炭素またはこの目的のために有効な他の物質から作成されることが有効である。
作用電極5と対極10は、試料保持容量130内の溶液に電位をかけるためのインターフェースを提供し、これは、化学反応のエネルギーを与え、試料中の電気化学発光を開始させるかおよび/またはセル2の洗浄と調整のためのエネルギーを提供する。作用電極5は、目的の電気化学的およびECL反応が起きるところである。
参照電極35は、参照電圧を提供し、ここに作用電極5から加えられる電圧が参照され(例えば、参照に対して+1.2ボルト)、セル2から遠い位置で排出管50に有効に位置する。ワイアーリード線60、62および82は、作用電極5、対極10および参照電極35をそれぞれ、電圧制御供給源に連結する(これは、示していない)。適当な電圧制御供給源は、従来のポテンシオスタットおよび公開PCT出願WO82/14138に記載の操作回路を含有する。
【0016】
図3は、本発明の装置に使用される電気化学的セル2の別の例である。作用電極5、対極10、磁石15、試料容量130およびレンズ148に関して、相対的位置を示す。コネクター101は、送り込み管40を入り口チャンネル41に連結する手段、および排出管50をベース120の入り口チャンネル51に連結する手段を提供する。図3に示す磁石15は、本発明に一致するサンドイッチ構成を有する(後に詳述される)。
本発明の装置と方法に使用される磁石は、磁界源の磁束線が分散および/または圧縮されるように、すなわち磁界勾配が分散または圧縮されるような構成を有する。この方法で磁界を操作して、磁界の形と密度を、サイズを有意に拡大することなく調節することができる。磁界の形と分布は、電極表面から有意な拡大を起こすことなく電極表面上に均一な分散を提供するように調節でき、このためPMT妨害の実質的な上昇を起こすことなく電極上に粒子がより均一に分布する(重なりが少ない)。
【0017】
図4は、1つの磁界源99(すなわち、1つのN−S磁極対)からなる、当該分野で公知の標準的磁石を例示し、図9は、その磁界の図である。図5は、以後「チャンネル」磁石と呼ぶ、本発明での使用に適した磁石を例示し、ここで1つの磁界源99は、U形チャンネルの形で高度に磁化可能な物質98に結合している。このような構成において、磁化可能な物質98は、それが結合する磁極の延長となる。磁極(S)を対の対極(N)の両側に延長することにより、磁界源の1つの極は基本的に分離するため、磁界源99からの磁束線は、より大きな表面積に分散または拡大される。磁極が磁界を分散させるように拡大している磁石構成は、大きく変動し、本明細書の開示からこのような構成は当業者には明らかであろう。この磁石構成および分散のみを与える他の構成の重要な特徴は、第2の磁界源を利用することにより、磁界の強度を上げることなく、磁束線を再指令する。
図8は、図5のチャンネル磁石についての磁界を規定する磁束線を示す。3つの別個の磁界源により、磁束線の同様のパターンが得られる。磁界は、同じ表面積にわたった分布するが、磁束線は典型的には電極表面より拡大し、3つの異なる磁界源の付加作用により光電増幅管の妨害を引き起こす。磁気感受性物質を用いて磁極を拡大することにより、磁界全体を増加させることなく磁界を分散することが可能になる。
【0018】
磁極を拡大することができる磁気感受性物質は、形、サイズおよび組成が大きく変動する。基本的に、任意の強磁性の物質または高い磁気飽和を有する合金を使用することができる。特に有効な物質は、バナジウムパーマンヅール(Vanadium Permandur)と呼ぶものであり、これは典型的には、鉄50%、コバルト40%およびバナジウム2%からなり、アプライドマグネティクス(Applied Magnetics)(ボルチモア、メリーランド州)などの多くの供給源から入手できる。別の磁気感受性物質を用いて磁極を拡大すると、複雑な構成の磁石が得られる。同様の構成の1成分の単一磁界源磁石が得られるが、複雑な製造方法が必要である。
本発明の別の態様において、試料組成物内に磁性粒子を捕捉するのに使用される磁石は、磁束線が圧縮されている(すなわち、磁界勾配が圧縮されている)構成を有する。このような態様においては、2つまたはそれ以上の磁界源が使用され、それらの相対する磁界の重複が強制されるように構成される。これは、磁界源の相対する極(N−NまたはS−S)を引き合う極(N−S)より近くに置くこと(すなわち、「強制」構成)により達成される。これは、隣接する反対の極を含有する。図6は、「サンドイッチ磁石」と呼ぶ、強制構成の例であり、反対の極が隣接している。図7は、このような磁石の磁束線の図である。2つまたはそれ以上の磁界源をこのような方法で構成することにより、磁界全体としては、単一の磁界源のものより広くなる。また磁界勾配が圧縮されているため、2つまたはそれ以上の磁界源が付加構成を有するように構成される場合のように磁界を電極表面上に有意に拡大しなくても、磁束密度は増加する。
【0019】
図6は、2つの磁界源を有するサンドイッチ磁石を例示するが、本発明は3つ以上(4、5、6、7、8などを含む)の磁界源を有する構成を包含する。しかし、サンドイッチ磁石において2つだけの磁界源を用いると、作製が容易であり、このためいくつかのECL検出装置では好適である。使用される磁界源は永久磁石または電磁石でもよいが、セルの作製が簡単なことから永久磁石が好ましい。サンドイッチ磁石を形成するためには、エポキシまたは高結合強度の無酸素性接着剤を用いる従来法により、標準的永久磁石を結合するだけでよい。
図6に示すサンドイッチ磁石は、以下の磁気応答性粒子について図4のような標準的磁石に対して捕捉シグナルの30%または40%の増加を与える:ダイナル(Dynal)280ビーズ、ダイナル(Dynal)450ビーズ、およびローヌ−プーラン(Rhone−Poulenc)ビーズ。PMT妨害が低下するため、ECLシグナルの増加はさらに大きくなり、典型的には通常の操作条件でダイナル(Dynal)280ビーズでは約2.5倍、ダイナル(Dynal)450ビーズでは約3.5倍、およびローヌ−プーラン(Rhone−Poulenc)ビーズについては3.0倍大きくなる。捕捉シグナルの改良は感度の改良と相関する。より有効な粒子捕捉を介する捕捉シグナルの改良以外に、サンドイッチ磁石は標準的磁石より有効に粒子を保持する。ECL検出装置が、試料組成物と洗浄溶液が通過するフロースルーセルを有する場合、ポンプ速度は、シグナル低下を引き起こすことなく増加させることができ、サイクル時間が短縮され、その結果1回により多くの試料が分析できる。標準的磁石に対して捕捉シグナルと保持の同様の改良は、磁束線が圧縮されている他の磁石構成で得られる。
【0020】
使用される磁石は、形およびある程度サイズも大きく変動する。磁石のサイズは、典型的にはECL検出装置のセル内の入手できる形により限定される。北−南極が最長の大きさより拡大している長方形の磁石は、強制構成に有用であり、小さい容量で多くの相対する極を構成することができる。好適な実施態様において、磁気応答性物質は磁界源の間に配置される。この磁気応答性物質は、磁界源の間隔をあける以外にある程度磁束線を再指令し、磁界を形成するのに有用である。好適な実施態様において、磁気応答性物質は、バナジウムパーマンヅール(Vanadium Permandur)のような鉄または酸化鉄の合金である。
電極の平面に対してほとんど水平である作用電極上の領域中に、磁力線を提供することが好ましい。これは、粒子が電極の表面に位置して、ECL−活性残基が、電極から供給される電気化学的エネルギーに容易に近づくすることができる、磁気応答性粒子の配向を誘導する。図3に示す装置は、電極の真下に位置する磁石を示す。しかし、選択された態様においては、電極表面に対して磁石は可動性であるため、電極表面で磁気応答性粒子の容易な放出または除去を可能にする。ある態様においては、磁石が電極の下にピボットのように固定されて、流路まで延長して粒子を捕捉し、ECL測定のための流路から引っ込むことができることが好ましい。上(up)の位置から下(down)の位置まで約60度の弧が典型的である。このような構成は、PMTの妨害を増加することなく捕捉効率を上昇させる。
【0021】
任意の形の永久磁石が使用できるが、ネオジム−鉄−ボラン合金は、磁界の形や密度を規定するのを助ける磁気感受性物質として、バナジウムパーマンヅール(Vanadium Permandur)でサンドイッチ磁石デザインやチャンネル磁石デザインで有効に使用されている。使用される磁石は、腐食を防止するために典型的には、薄いニッケルのコーティングを有する。同様の厚さのバナジウムパーマンヅール(Vanadium Permandur)スペーサーを有するサンドイッチ磁石では、20〜30ミルの磁石の厚さが好適である。スペーサーの厚さは、基本的に0(すなわち、磁石の厚さの0.01倍未満)〜使用される磁石の厚さの2.0倍までの範囲である。
電極表面から延長する捕捉磁石の磁束線は、光電陰極から第1のダイオード段階へ移動する時、おそらく正常な電子の軌道を偏向させることによりPMTの妨害を引き起こすのであろう。偏向した電子はゲインが低下する。サンドイッチ磁石を用いると、磁束線は電極の表面から大きく延長しないため、この影響は大幅に減少する。
【0022】
本発明に必要な特殊な構成を有する磁石の使用は、セルの隙間(磁石の上表面と作用電極の表面の距離)が15ミル未満のフロースルーセルを有するECL検出装置において特に利点を有する。セルの隙間は、粒子を捕捉する磁石の性能に影響する。典型的なセルの隙間は10〜25ミルの範囲である。
本発明の方法は、分散および/または圧縮された磁束線を提供する構成を有する磁石を使用する(但し、磁束線が分散のみされる場合、磁石は1つだけの磁界源を含有する)。この方法は、試料セルに試料組成物を導入し(ここで試料組成物は、ECL−活性残基がそこに結合した磁気応答性の懸濁粒子を含有する);電極の表面で磁気応答性物質を集めるのに充分な強度の磁界を試料組成物に加え;ECL活性化合物が発光するのを誘導するのに充分な電圧を電極に加え、放出された発光を測定することからなる。この方法は、図1に示すように本発明の装置で有効に実施される(図1において、試料は試料制御手段100を介してカローセル120から引かれ、セル2に導入される。磁気応答性粒子は、磁石15を有する作用電極5の表面上に集められる。ピボット的に固定される場合、磁石15は、up位置であり、磁気応答性粒子を集めた後、磁石15はup位置から引っ込む。粒子がいったん電極表面上に集められたらポンプは随時止めて、試料組成物は定常状態になり、この間、発光を誘導するのに充分な電圧を電極5と対極10に加える。次に光電増幅管は、試料組成物から放出される発光を測定する。測定後、洗浄溶液により試料セルから試料組成物を追い出してもよい。ピボット的に固定される場合、磁石は、電極の表面から引っ込められ、磁気応答性粒子を放出する。放出後、調整溶液を試料セルに導入し、次に測定用の電極表面を調整するために電圧を加える。
【0023】
本発明の装置と方法は、特定の試料組成物に限定されない。試料は、PCT92/00982に記載のように、固体、乳剤、懸濁物、液体または気体でもよく、細胞、水、有機溶媒、空気などの種々の供給源から得られる。試料組成物は、目的のアナライトを含有し、これは、PCT92/00982に記載のように、細胞、細胞内粒子、ウイルス、ハプテン、抗原、抗体、核酸、タンパク質など広範囲である。典型的には目的のアナライトは、約10−3モル未満という低い濃度、および10−12モルまたはそれ以下の低い濃度で存在する。ある態様において、目的のアナライトは、DNAまたはRNA相互作用、抗原−抗体反応、リガンド受容体反応などの結合反応内に入ることができる。この結合反応は、ECL活性標識物のような標識物の取り込みを可能にする。標識物は、結合パートナー上に、または別の反応性成分を介して、アナライト上に直接導入される。目的のアナライトを直接または関節に標識する別の方法は、アナライトと競合するその類似体を標識することである。結合パートナーおよび目的のアナライトの類似体の使用は、WO92/14138に記載されており、これらは「測定−性能−物質」と呼ばれる。
【0024】
標識として使用されるECL−活性残基は、金属キレートであることが有効である。電気化学的条件下で発光する基本的に任意の金属キレートが、ECL−活性残基として使用できる。金属は、例えばd−ブロック遷移金属、または希土類金属のような遷移金属でもよい。適当な遷移金属には、ルテチウム、オスミウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、プラチナ、インジウム、パラジウム、モリブデン、テクネチウム、銅、クロム、またはタングステンよりなる群から選択されるものがある。好適な遷移金属はルテニウムとオスミウムである。このような金属キレートの金属に結合されるリガンドは、通常複素環または有機性であり、溶解度を決定するのに重要な役割を果たす。適当なリガンドの例は、WO92/14138に記載のような多座リガンドや単座リガンドがある。適当な金属キレートの例には以下のものがある:ビス[(4,4’−カルボメトキシ)−2,2’−ビピリジン]2−[3−(4−メチル−2,2’−ビピリジン−4−イル)プロピル]−1,3−ジオキソランルテニウム(II);ビス(2,2’−ビピリジン)[4−(ブタン−1−アール)−4’−メチル−2,2’−ビピリジン]ルテニウム(II);ビス(2,2’−ビピリジン)[4−(4’−メチル−2,2’−ビピリジン−4’−イル)−酪酸]ルテニウム(II);トリス(2,2’ビピリジン)ルテニウム(II);(2,2’−ビピリジン)[ビス−ビス(1,2−ジフェニルホスフィノ)エチレン]2−[3−(4−メチル−2,2’−ビピリジン−4’−イル)プロピル]−1,3−ジオキソランオスミウム(II);ビス(2,2’−ビピリジン)[4−(4’−メチル−2,2’−ビピリジン)−ブチルアミン]ルテニウム(II);ビス(2,2’−ビピリジン)[1−ブロモ−4(4’−メチル−2,2’−ビピリジン−4−イル)ブタン]ルテニウム(II);ビス(2,2’−ビピリジン)メレイミドヘキサノイン酸、4−メチル−2,2’−ビピリジン−4’−ブチルアミドルテニウム(II)。他の適当なECL−活性残基は、WO92/14138、WO88/0394、およびUS87/00987に記載されている。
【0025】
好適なECL−活性残基は、トリプロピルアミン(TPA)と電気化学発光反応を受けることができるトリス(2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)を有するものである。ルテニウム(II)トリス(ビピリジル)の塩は、非常に安定で水溶性の化合物であり、これは反応性基で化学的に修飾されて、以下の式を有するRu(bpy)2+NHSエステルのような活性残基を形成する。
【化1】

【0026】
これらの残基は、タンパク質、ハプテン、核酸などに結合できる。
試料組成物内のECL−活性分子種のECL反応は、加えられる電圧により開始される。ECL反応を開始するために多くの異なる電圧波型を加えることができる。図12は、上記式IのRu(bpy)2+NHSエステルを有するオリゲン(登録商標)(Origen)1.5アナライザーの電極にTPAで三角波を加えて誘導される作用電極電流とECL強度の測定を例示する。記載した加えられた電圧は、実際は参照電極で測定され、有意に補償された抵抗の作用を含む;従って、作用電極で実際に印加される電圧は、記載したものより実質的に小さい。電極に電圧を加える前にセル中を流れる電流は、おもにTPAの酸化と水の加水分解の結果である。加えられる電圧が約1100mAsに達すると、電気化学発光反応が明らかになる。発光の強度は、電極のTPAが枯渇するまで、加えられた電圧とともに増加する。図12に例示した観察された発光は、通常の光電増幅管により容易に測定される。
【0027】
当業者には明らかなように、試料組成物に導入される金属キレートまたは他のECL残基含有金属の量は、システム毎に大きく変動する。一般的に使用される残基の量は、試料組成物から検出可能な(必要な場合は、定量可能な)電磁エネルギーの放出を起こすのに有効な量である。目的のアナライトの検出および/または定量は、典型的には較正標準物質としての既知量の目的のアナライトを含有する試料からの発光を比較して行われる。
ECL残基が有効に結合する粒子は、直径0.0001〜200μmを有する微粒子物質からなる。これらの微粒子は、磁気応答性でなければならず、典型的には二酸化鉄または他の鉄の酸化物からなる。微粒子の表面は、目的のアナライト、その類似体、または結合パートナーに結合できる成分を含有する必要がある。適当な例は、WO92/14138に記載されている。これらは、架橋デンプン、デキストラン、タンパク質などを含む。粒子の密度は大きく変動し、典型的には1.0〜5.0g/mlの密度を有し、好ましくは1.1〜2g/mlの密度を有する。試料組成物を調製するのに使用される粒子の濃度もまた大きく変動し、例えば1〜10,000mg/ml、好ましくは5〜1000mg/mlである。適当な磁性粒子は、米国特許第4,628,037号;4,695,392号;4,695,393号;4,698,302号;4,554,088号;およびEP0180384に記載されている。粒子は常磁性または強磁性でもよい。磁性粒子は、磁気共鳴が小さく、その結果電極表面から磁界を除いた時、粒子が減磁し、セルから排除されることが好ましい。
【0028】
試料組成物中のECL−活性分子種に電気化学的エネルギーを導入するために、電極は、電解質(これは典型的には、1つまたはそれ以上の塩の溶液または他の分子種の水溶液、有機液体またはこれらの混合物)に浸漬する必要がある。適当な例は、WO92/14138に記載されている。
本発明の方法を用いる、種々の測定法を行うことができる。本発明の方法および本発明の装置は、微量の微生物、薬剤、ホルモン、ウイルス、抗体、核酸および他のタンパク質を測定することができる。
さらに説明しなくても、当業者は前記の説明から本発明を最大に利用できると考えられる。従って、以下の具体例は単に例示のためであり、決して本発明を限定するものではない。
前記および以後の例において、すべての温度は摂氏度であり、特に明記しない場合は、すべての部およびパーセントは重量基準である。
【0029】
実施例
計測
図6のサンドイッチ配置の捕獲磁石を備える、図1〜3に示されるECL−検出装置を本発明を例証する実施例で使用する。比較例では、そのサンドイッチ配置の磁石を図4の標準磁石に代える。各装置の流体取扱用構成部材、ルミノメーター(luminometer)、電位可変器及び電気化学的フローセルは、別に注記されなければ、次の特徴を有するオリゲン(Origen)1.5アナライザーのものである:
【0030】
作用電極 −Auディスク、直径3mm
カウンター電極−Auディスク、直径3mm
参照電極 −Ag/AgCl
セル間隙 −12ミル。
【0031】
試料組成物の成分
ECL部位−Ru(bpy)2+−NHSエステル=アイゲン社(Igen,Inc.)から入手したRu(2,2,−ビピリジル)(4−[3−(1,3−ジオキシラン−2−イル)プロピル]−4’−メチル−2,2’−ジピリジン)2+
ECL緩衝液−KHPO・112mM、KHPO・3HO・88mM、NaCl・50μm、NaN・6.5mM、トリトン(Triton)X−100・0.8μm、ツウィーン(Tween)20・0.4mM、トリプロピルアミンHO・100mM。
ECL希釈剤−KHPO・37.5mml、KHPO・3HO・109.2mM、NaCl・151.7mM、NaN・0.65mM、ウシの水中血清アルブミン0.43mM。
【0032】
微粒子
a)ニューヨーク州(NY)11021、グレート ネック(Great Neck)、ノース ステーション プラザ(North Station Plaza)45のダイナル社(Dynal)から入手した直径4.5μMの超常磁性粒子であるダイナル(Dynal)M−450・ダイナ(Dyna)ビーズ、30mg/mL。
b)ニューヨーク州11021、グレート ネック、ノース ステーション プラザ45のダイナル社(Dynal)から入手した直径2.8μMの超常磁性粒子であるダイナルM−280・ダイナビーズ、10mg/mL。
【0033】
被覆微粒子
150マイクロモル/リットルの炭酸/重炭酸−ナトリウム緩衝液(pH9.6)中粒子1mL(30mg)を等容量の0.5〜1.0g/L蛋白質溶液と混合することによって上記微粒子(ダイナル ビーズM−280)を蛋白質で被覆する。この蛋白質溶液を37℃で15分間インキュベートする。その粒子を次いで分離し、そして前記のECL希釈剤中で15分間インキュベートする。
【0034】
標識付き抗体
抗体にRu(bpy)2+の標識を付けるために、1mgの抗体及び0.5mLの前記燐酸塩緩衝食塩水(pH7.8)と5.0g/LのRu(bpy)2+−NHSエステル・無水ジメチルスルホキシド3mLとを混合する。標識付け処理を30分間続け、次いで1.0m/Lのグリシン試薬25μLを添加することにより停止させ、そして10分間更にインキュベートする。この標識付き蛋白質を、次いで、アジ化ナトリウムを0.5g/Lで含む燐酸塩緩衝食塩水(pH7.2)で溶離したセファデックス(Sephadex)G25カラムを通過させることにより精製する。そのRu(bpy)2+標識付き蛋白質分を集め、貯えて置く。
免疫検定は、試料100mL、被覆微粒子75mL及び標識付き抗体75mLを混合し、この混合物を撹拌しながら15分間インキュベートすることにより行うことができる。
【0035】
ECL測定サイクル
ECL測定サイクルは3つの工程、即ち1)予備調整;2)測定;及び3)クリーニングより成る。予備調整工程は0.0〜2.2ボルト乃至−1.0〜+0.6ボルトの三角波形電圧を2.0V/秒で印加することを含む。測定工程は+0.6ボルト〜+2.8ボルト〜+2.0ボルトの三角波形電圧を1.0ボルト/秒で印加することを含む。クリーニング工程は0.0〜3.0ボルト乃至−0.5〜0.0ボルトの方形波電圧を印加することを含む。電圧は全てAg/AgCl参照電極に対するものである。
【0036】
実施例1
フラッシュ緩衝液(Flash Buffer)を使用するBMG 280 HBsAGの検定
手動式BMG 280 HBsAg検定を実施する(37℃で15分間インキュベーション)。これは、一方が本発明のサンドイッチ磁石配置を有し、他方が標準捕獲磁石を有する前記のELC検出装置で運転される。試料組成物を両装置により色々な捕獲速度で分析して最適捕獲速度を決定する。検定は全てBMG緩衝液、RACEFシーケンス(走査速度4800mV/秒、走査限界2600mV)を用い、35℃に設定されたヒーターを使用して行う。典型的な結果を以下の表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
表1のデーターは、セル間隙12ミルの標準磁石についてその最適捕獲速度は約40〜50RPMであることを示している。サンドイッチ磁石はセル間隙12ミルで約60RPMの捕獲速度を有する。検定比はサンドイッチ磁石を使用したとき約14%の増加であることを示している。HBsAgの検定に対してサンドイッチ磁石を使用する場合、検定計数値の増加が9百50万の限界値以上となるため、PMT電圧を850V(標準磁石で使用)から800Vまで下げなければならない。800Vから850Vまでの50Vと言う変化はECL計数値を1.78倍増加させると考えられる。
これらの検定結果は、標準磁石からサンドイッチ磁石への計数値の増加が2.08倍であることを示している。この増加の約50%はPMTの増加における改善(PMTに対する低い妨害効果)に因る。残りの増加分はビーズのより効率的な捕獲及び/又はより効率的なECLを可能にするもっと最適な配置で置かれているビーズに因ると考えられる。ピーク電位は磁石を標準配置からサンドイッチ配置に変えることにより100mV以上増加する。これは電極表面上におけるビーズの配向が磁石の設計でどう変わるかを示している。
【0039】
実施例2
アイゲン緩衝液(Igen Buffer)を使用するBMG非分離TSHの検定
サンドイッチ磁石設計の性能を更に評価するために、BMG非分離・乾燥甲状腺に類似するホルモン(thyroid stimulating hormone:TSH)の検定を捕獲ポンプ速度を40rpmと80rpmにして行う。レキサン(Lexan)280セル(セル間隙=10ミル)及びRACE280 NEWシーケンスを、標準磁石及び磁石4個のサンドイッチ磁石を備える前記のオリゲン1.5アナライザーで使用する。ECLをTSHキャリブレーター(calibrators)に対して測定する。捕獲速度40rpmに対する捕獲時間は16.8秒に等しく、80rpmに対するそれは8.4秒である。
これらの結果は、サンドイッチ磁石の比は40rpmと80rpmの両方で標準磁石の比より良好であることを示している。図10を参照されたい。両磁石間の、それら磁石が電極表面のビーズ分布に影響するその仕方の違いが再び示される。即ち、ピーク電位のシフトはサンドイッチ磁石を使用した場合により顕著であり、これはビーズ分布が異なることを示している。
【0040】
実施例3
アイゲン緩衝液を使用するDNAプローブ検定
標準磁石及び磁石2個のサンドイッチ配置を持つ前記のECL検出装置を40rpmと80rpmで使用してDNA検定を行う。その比は標準磁石を使用したとき余り効果的には改善されないが、但し信号の大きさの増加は40〜100%の範囲であった(図11を参照されたい)。この結果も、サンドイッチ磁石設計を用いると捕獲rpmを80rpmまで高めることができ、検定時間の短縮が可能になることを示している。
これらDNA検定のもう1つの観察結果は、サンドイッチ設計から出る信号が増加すると共に、標準磁石による場合と同じ信号の大きさを維持することで一層速い捕獲速度(捕獲時間は4倍減少する)が可能となる。サンドイッチ磁石で40〜60rpmの捕獲速度を使用すると、40〜50%の信号増加とより速いサイクル時間と言う2つのことに由来する利益が得られる。
本発明により提供される方法には、免疫検定及びDNAプローブ検定のような検定を広範囲に及ぶ種々の様式で遂行する方法が含まれる。1つの検定を行うに当たって、微粒子に結合された、検出と定量が行われる標識付き錯体は、典型的には、その溶液内での反応により形成されるか、又はその溶液内での反応で沈殿する。その標識付き化合物は関心のある検体、その類似体、又は関心のある検体と競争反応する成分となり得る。このような化合物はしばしば“検定の際に生成する化合物(assay producing compounds)”と称される。微粒子に結合したECL標識付き錯体を与える反応は周知であって、その幾つかはWO92/14138に記載され、それには次のものが含まれる:
【0041】
実施例5−Ru(bpy)2+標識付きマウスのlgb;
実施例9及び10−Ru(bpy)2+標識付きマウスの抗−TSH;及び
実施例16〜18−核酸の磁性粒子の製造、
ストレプタビジン(Streptavidin)の製造−磁性粒子。
本発明のDNAプローブ検定は重合鎖反応(PCR)法、又は感度を高める他の増幅法を含んでいてもよい。適当な試料調製と試験法はClinical Chemistry、第37巻、第8号(1991年)及びClinical Chemistry、第38巻、第6号(1992年)に記載されている。
【0042】
本発明の検定法は、検体の異なるエピトープに対して特異性の2種の抗体を用い得る競争性固相サンドイッチ免疫検定を含む。特異性検定技術はWO92/14138の後続の実施例に更に詳しく記載されている。
当業者は、以上の説明を参照すれば、更に詳細に説明しなくても、本発明を最大限に利用できると考えられる。次の好ましい特定の態様は、従って、単に例示と解されるべきものであって、開示の残りをいかなる意味でも、それが何であれ、限定するものではない。
【0043】
添付の図面とともに本発明をさらに理解することにより、本発明の種々の他の目的、特徴および付随する利点は、より詳細に理解できるであろう。図中、同様の参照文字は、いくつかの図において同じかまたは同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本発明のECL検出系の基本的構成の略図である。
【図2】図2は、本発明のECL検出装置のフローセルと、フローセルと相互作用するECL検出装置の成分の略図である。
【図3】図3は、サンドイッチ構成を有する捕捉磁石を有する本発明のECL検出装置のフローセルの略図である。
【図4】図4は、通常のECL検出装置で捕捉磁石として使用される標準的磁石の透視図である。
【図5】図5は、本発明のECL検出装置で捕捉磁石として使用されるチャンネル磁石の透視図である。
【図6】図6は、本発明のECL検出装置で捕捉磁石として使用されるサンドイッチ磁石の透視図である。
【図7】図7は、図8に示すチャンネル磁石の磁界線の図である。
【図8】図8は、図5に示すチャンネル磁石の磁界線の図である。
【図9】図9は、図4に示す標準的磁石の磁界線の図である。
【図10】図10は、種々の構成の磁石による、ポンプ速度(試料時間)の関数としての、ECL検出装置で測定したポンプ速度(試料時間)の関数としてのピーク電位(平均)のグラフである。
【図11】図11は、ポンプ速度(試料時間)の関数としての、ECL検出装置で測定したECLシグナルの変化と磁石構成のグラフである。
【図12】図12は、加えた電圧の関数としての、ECL検出装置で測定したECLシグナルのグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料組成物からの電気化学発光の測定装置であって、
a)試料組成物を規定する容量を有するセル、試料組成物に電圧を加えるのに適した電極、および試料組成物内の磁気応答性成分を電極表面に引き寄せるのに適した、1つまたはそれ以上の磁界源からなる捕捉磁石;
b)試料組成物内の電気化学発光活性分子種から発光を発生させるのに充分な電圧を電極に加える手段;そして
c)試料組成物内の発生する発光を測定する手段、
からなり、
磁石は電極の下に位置し、磁石内の少なくとも1つの磁界の磁束線は圧縮および/または分散されるような構成を有する(但し、磁束線が分散のみされる場合、磁石は1つだけの磁界源を含有する)、上記装置。
【請求項2】
磁界源は永久磁石からなる、請求項1記載の装置。
【請求項3】
捕捉磁石は、磁気応答性物質を追加的に含有する、請求項2記載の装置。
【請求項4】
捕捉磁石は、電気化学発光性残基が結合した磁気応答性微粒子を、電極表面上に引き寄せ分布させるのに適した、請求項3記載の装置。
【請求項5】
捕捉磁石は、ルテニウムまたはオスミウムベースの電気化学発光活性残基を有する磁気応答性微粒子を、電極表面上に引き寄せ分布させるのに適した、請求項4記載の装置。
【請求項6】
試料組成物からの電気化学発光の測定装置であって、
a)試料組成物を規定する容量を有するセル、入り口、出口、試料組成物に電圧を加えるのに適した電極、および結合した電気化学発光活性残基を有する試料組成物内の磁気応答性成分を、電極表面に引き寄せ分布させるのに適した、2つまたはそれ以上の磁界源からなる捕捉磁石;
b)電極表面上に位置する微粒子に結合した電気化学発光活性残基から発光を発生させるのに充分な電圧を電極に加える手段;そして
c)試料組成物内の発生する発光を測定する手段、
からなり、
捕捉磁石は電極の下に位置し、捕捉磁石内の少なくとも1つの磁界の磁界勾配は圧縮されるような構成を有する、上記装置。
【請求項7】
捕捉磁石内の磁界源は、磁界源の相対する極(N−NまたはS−S)を磁界源の引き合う極(N−S)より近くに置くように構成される、請求項6記載の装置。
【請求項8】
捕捉磁石内の磁界源の相対する極は互いに隣接する、請求項6記載の装置。
【請求項9】
捕捉磁石はサンドイッチ構成を有する、請求項6記載の装置。
【請求項10】
捕捉磁石は、磁気応答性物質により分離される2〜8個の磁界源からなる、請求項9記載の装置。
【請求項11】
捕捉磁石は、ルテニウムまたはオスミウムベースの電気化学発光活性残基を有する磁気応答性微粒子を、電極表面上に引き寄せ分布させるのに適した、請求項10記載の装置。
【請求項12】
電気化学発光検出装置のための捕捉磁石であって、相対する極が隣接して位置する2〜8個の永久磁石、およびその間に位置する磁気応答性物質からなるスペーサーからなり、スペーサーは、最も薄い隣接永久磁石の0.01〜2倍の厚さを有する、上記装置。
【請求項13】
試料組成物からの電気化学発光の測定装置であって、
a)試料組成物を規定する容量を有するセル、入り口、出口、試料組成物に電圧を加えるのに適した電極、および結合した電気化学発光活性残基を有する試料組成物内の磁気応答性成分を、電極表面に引き寄せ分布させるのに適した、単一の磁界源からなる捕捉磁石;
b)電極表面上に位置する微粒子に結合した電気化学発光活性残基から発光を発生させるのに充分な電圧を電極に加える手段;そして
c)試料組成物内の発生する発光を測定する手段、
からなり、
捕捉磁石は電極の下に位置し、その中の単一の磁界は分散されるような構成を有する、上記装置。
【請求項14】
捕捉磁石は、単一の磁界源の磁極を延長するように位置した少なくとも1つの磁気応答性物質を追加的に含有する、請求項13記載の装置。
【請求項15】
捕捉磁石内の磁気応答性物質は、磁界源の延長した磁極の表面積を増加させる形を有する、請求項14記載の装置。
【請求項16】
捕捉磁石は、チャンネル磁石の構成を有する、請求項13記載の装置。
【請求項17】
捕捉磁石は、ルテニウムまたはオスミウムベースの電気化学発光活性残基を有する磁気応答性微粒子を、電極表面上に引き寄せ分布させるのに適した、請求項16記載の装置。
【請求項18】
磁気応答性物質からなるU−型チャンネルの内部のベースに、ただ1つの磁極で単一の永久磁石を結合して含有する、電気化学発光検出装置のための捕捉磁石。
【請求項19】
試料組成物からの電気化学発光を測定する方法であって、試料組成物は、電気化学発光(ECL)活性残基と磁気応答性粒子からなる電気化学発光活性分子種を含有し、該方法は:
a)既知量の試料組成物を、電極を含有するセル内に導入し;
b)磁気応答性粒子に磁界を与えて、電極の表面に、磁気応答性粒子に結合したECL活性残基からなるECL活性分子種を集め;
c)試料組成物内のECL−活性分子種から発光を誘導するのに充分な大きさの電圧を電極に加え;そして
d)試料組成物から発生した発光を測定する、ことからなり、
ここで、磁気応答性粒子に加えられる磁界は、1つまたはそれ以上の磁界源からなる電極表面の下に位置し、捕捉磁石内の少なくとも1つの磁界源の磁束線は圧縮および/または分散されるような構成を有する捕捉磁石により提供される上記方法(但し、磁束線が分散のみされる場合、磁石は1つだけの磁界源を含有する)。
【請求項20】
使用される捕捉磁石は、永久磁石の相対する極が永久磁石の引き合う極より近くにある、2つまたはそれ以上の永久磁石からなる、請求項19記載の方法。
【請求項21】
使用される捕捉磁石は、永久磁石の少なくとも1つの磁極を延長している、磁気応答性物質に結合した1つの永久磁石からなる、請求項19記載の方法。
【請求項22】
磁気応答性粒子に結合したECL活性残基からなるECL活性分子種を、試料組成物の他の成分から分離する工程をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項23】
追加の分離工程は、試料組成物からの発光を測定する工程の前に行われる、請求項22記載の方法。
【請求項24】
電極表面上に捕捉されたECL−活性分子種を他の成分から分離する追加の工程は、電極の表面上のECL活性分子種を集める工程の後に行われる、請求項22記載の方法。
【請求項25】
磁気応答性物質は、0.0001〜200ミクロンの範囲の直径と、1.0〜5.0g/mlの密度を有する、請求項19記載の方法。
【請求項26】
ECL活性分子種を集める工程は、磁石をセルに延長し、そして電極に電圧を加える工程の前にセルから磁石を引っ込めることからなる、請求項19記載の方法。
【請求項27】
試料組成物は運動している液体である、請求項19記載の方法。
【請求項28】
ECL−活性分子種は、ルテニウムまたはオスミウムベースのECL活性残基からなる、請求項19記載の方法。
【請求項29】
ECL−活性分子種は、細胞、細胞内粒子、微生物、ウイルス、ハプテン、抗原、抗体、核酸、またはタンパク質に結合している、請求項28記載の方法。
【請求項30】
磁気応答性粒子に結合したECL−活性残基からなるECL−活性分子種は、10−3モル未満の濃度で存在する、請求項19記載の方法。
【請求項31】
磁気応答性粒子に結合したECL−活性残基からなるECL−活性分子種は、約10−12モル以上の濃度で存在する、請求項19記載の方法。
【請求項32】
試料組成物から測定される発光は、試料組成物から測定される発光の少なくとも2倍であり、捕捉磁石は、分散および/または圧縮される磁束線を有する磁界源は持たない、請求項19記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−184294(P2006−184294A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96563(P2006−96563)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【分割の表示】特願平8−516309の分割
【原出願日】平成7年11月13日(1995.11.13)
【出願人】(504208614)イゲン,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】