説明

磁性粒子除去装置、および被処理流体浄化システム

【課題】磁性粒子の除去効率を向上させる。
【解決手段】
被処理流体の流路底壁201の下方には、マグネット213を有するヨーク212が、エアシリンダ221によって矢印A、B方向に移動可能に設けられている。マグネット213と流路底壁201との間には、開口部214aを有する磁気シールド板214が設けられている。ヨーク212がA方向に移動したときには、マグネット213が磁気シールド板214の開口部214aに臨み、流路底壁201付近の被処理流体中の磁性粒子jが流路底壁201の近傍に集約される。ヨーク212がB方向に移動したときには、マグネット213の磁力は磁気シールド板214により遮断されて、磁気吸引力が解除され、流路底壁201の近傍に集約された磁性粒子jは排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理流体中の磁性粒子を磁気吸引力により吸着して除去する磁性粒子除去装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
この種の磁性粒子除去装置としては、例えば特許文献1に示すように、内周面にマグネットを配して外周面を磁性粒子吸着用の吸着面とする非磁性回転円筒と、該回転円筒の吸着面に吸着された磁性粒子(切屑等)を掻き取る掻取り板とを備えたものが知られている。この除去装置では、上記非磁性回転円筒を、その吸着面がクーラント液中に浸漬する状態でモータにより回転駆動させることで、掻取り板を、吸着面に沿って周方向に(つまり掻取り板の掻取り面が磁性粒子を掻き取る向きに)相対移動させ、これによって、吸着面に吸着された磁性粒子を該掻取り板で掻き取るようになっている。掻き取られた磁性粒子は、掻取り板に沿って落下して装置外へと排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−340717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような磁石部材の磁気吸引力を利用した磁性粒子除去装置では、磁性粒子の除去効率の向上を図るために、マグネット数を増やす等して磁気吸引力の増強を図ることが好ましい。
【0005】
しかしながら、このように磁気吸引力を増強した場合には、磁性粒子の吸着面への吸着力が強くなり過ぎる結果、掻取り板により掻き取られた磁性粒子が再び吸着面に吸着されて、磁性粒子の除去効率が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、例えば、被処理流体中の磁性粒子を磁気吸引力により吸着して除去する磁性粒子除去装置において、その構成に工夫を凝らすことで、装置の簡素化を図りつつ、磁性粒子の除去効率を可及的に向上させようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、例えば、磁石部材を、被処理流体中の磁性粒子に磁気吸引力を作用させる吸引位置と、該磁気吸引力を解除する解除位置とに移動させる移動機構を設け、磁石部材を吸引位置に移動させて磁性粒子を吸引、集約し被処理流体を浄化するとともに、解除位置に移動させて上記磁性粒子を容易に排出できるようにした。
【0008】
具体的には、本発明は、
被処理流体中に含まれる磁性粒子を除去する磁性粒子除去装置であって、
上記被処理流体中の磁性粒子に磁気吸引力を作用させる磁石部材と、
上記磁石部材を、上記被処理流体中の磁性粒子に磁気吸引力を作用させる吸引位置と、該磁気吸引力を解除する解除位置とに移動させる移動機構と、
上記吸引位置の磁石部材により磁性粒子が除去された浄化後被処理流体の排出流路と、
上記解除位置で磁石部材の吸引力が解除された磁性粒子の排出流路と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
これにより、磁石部材が吸引位置に移動したときには、被処理流体中の磁性粒子に磁石部材の磁気吸引力が作用して、例えば10μm以下、特に5μm以下などの微小、軽量な磁性粒子であっても容易に吸引、集約され、被処理流体が浄化される。磁石部材が解除位置に移動したときには上記磁石部材の吸引力が解除された磁性粒子(磁性粒子を含む被処理流体)が磁性粒子排出流路から排出される。それゆえ、磁石部材を移動させる比較的簡素な機構を設けることにより、特に微小、軽量な磁性粒子を効率的に除去できる。
【0010】
上記磁石部材の移動は、手動で行われるようにしてもよいが、エアシリンダ、油圧シリンダやモータなどの駆動部によって行われるようにしてもよい。
【0011】
また、磁性粒子排出流路、および浄化後被処理流体排出流路は、常時開放されて、被処理流体や磁性粒子が排出されるようにしてもよい。一方、これらの流路の何れか、または両方の下流側に開閉バルブを設けて、間欠的に排出されるようにしてもよい。
【0012】
すなわち、磁性粒子排出流路の下流側に設けられる場合には、磁石部材が解除位置に移動したときに、当該開閉バルブを開いて、磁器吸引力が解除されて被処理流体中に漂う磁性粒子を磁性粒子排出流路から排出させるとともに、磁石部材が吸引位置に移動したときには、当該開閉バルブを閉じて、浄化後被処理流体排出流路から排出される被処理流体の流量を確保することが容易にできる。
【0013】
一方、浄化後被処理流体排出流路の下流側に設けられる場合には、磁石部材が解除位置に移動したときに当該開閉バルブを閉じて、磁石部材による磁気吸引力が解除されて被処理流体中に漂う磁性粒子が浄化後被処理流体排出流路から排出されるのを確実に阻止することができる。
【0014】
上記のような開閉バルブの開閉動作は、個別に行われるようにしてもよいが、互いに連動して行われるようにしたり、磁石部材の移動に連動して行われるようにしたりして、動作の確実性や操作性の向上を図り得るようにしてもよい。
【0015】
上記磁石部材は、被処理流体の流路壁、例えば底壁の下面に沿って移動可能に設け、解除位置における磁石部材と被処理流体との間に磁気遮蔽部材が設けられるようにしてもよい。
【0016】
これにより、磁石部材が吸引位置に移動した場合には、磁石部材の磁力により被処理流体中の磁性粒子が流路壁に向けて吸引されて集約され、浄化後の被処理流体が浄化後被処理流体排出流路から排出される。一方、磁石部材が解除位置に移動した場合には、集約した磁性粒子に作用する磁力が磁気遮蔽部材によって遮られるので、磁性粒子は磁性粒子排出流路から排出されやすくなる。
【0017】
また、磁石部材を底壁の下面側に設ける場合、磁石部材の上流側や下流側にバッフル板を設けて、被処理流体の流れを磁石部材の位置の底壁に向けるようにしたり、磁性粒子が底壁に吸引されることにより浄化された被処理流体が、バッフル板の上方に形成された浄化後被処理流体排出流路から排出されるようにするとともに、底壁に吸引された磁性粒子が、バッフル板の下方に形成された磁性粒子排出流路から排出されるようにしてもよい。また、上記磁性粒子排出流路の流路断面積よりも、上記浄化後被処理流体排出流路の流路断面積の方が大きく設定されるようにして、磁性粒子の速やかな排出や、浄化処理後被処理流体排出流路から排出される浄化後の被処理流体の流量確保が容易にできるようにしてもよい。
【0018】
また、被処理流体中に浸漬されるとともに、吸引位置に位置する磁石部材に近接して設けられ、該磁石部材と磁気的に結合して、被処理流体中の磁性粒子を吸着させる吸着磁性体を設けてもよい。上記吸着磁性体は、例えば断面四角形状または断面円形状の棒状(短冊状を含む)の形状を有し、吸引位置に位置する磁石部材の下方に垂下して設けることができる。また、上記吸着磁性体は、複数設けられ、被処理流体の流れる方向に垂直な方向に互いに平行に配列されるようにしたり、中心軸が鉛直な仮想円筒面に沿う位置に配列されるようにしたりしてもよい。上記のような吸着磁性体と磁石部材との磁気的結合の解除は、磁石部材を、吸着磁性体に近接した位置から、その磁力を遮る磁気遮蔽部材に対向する位置に移動させたり、例えばねじ送り機構によって吸着磁性体から十分に離間する位置に移動させたりすることにより行うことができる。
【0019】
これにより、被処理流体中の磁性粒子は、被処理流体に浸漬された吸着磁性体の近傍を通過する際に効率よく捕捉されるので、被処理流体の浄化能力を高めることが容易にできる。また、吸着磁性体と磁石部材との磁気的結合を解除することにより、吸着磁性体に吸着された磁性粒子は比較的凝集した状態で沈殿するので、磁性粒子排出流路から容易に排出させることができる。
【0020】
上記のような吸着磁性体を設ける場合にも、バッフル板を設けて、磁性粒子が吸着磁性体に吸引されることにより浄化された被処理流体が、バッフル板の上方に形成された浄化処理後被処理流体排出流路から排出されるようにするとともに、吸着磁性体に吸着された後沈殿した磁性粒子が、バッフル板の下方に形成された磁性粒子排出流路から排出されるようにしてもよい。
【0021】
また、上記のような磁性粒子除去装置とサイクロン式磁性粒子除去装置とを組み合わせてもよい。具体的には、例えばサイクロン式磁性粒子分離装置による浄化後の被処理流体の流路中、および/またはサイクロン式磁性粒子分離装置によって分離された磁性粒子を含む被処理流体の流路中に磁性粒子除去装置を設けてもよい。
【0022】
これにより、例えば比較的大きな磁性粒子をサイクロン式磁性粒子除去装置で除去し、サイクロン式磁性粒子除去装置で除去しきれなかった比較的小さな磁性粒子を磁性粒子除去装置で除去したり、一旦サイクロン式磁性粒子除去装置で除去された磁性粒子が別途設けられるダスト分離(回収)装置で回収しきれずに再度サイクロン式磁性粒子除去装置に戻されるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、例えば、被処理流体中の磁性粒子を磁気吸引力により吸着して除去する磁性粒子除去装置において、装置の簡素化を図りつつ、磁性粒子の除去効率を可及的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態1の磁性粒子除去装置を含む被処理流体浄化システムの構成を示す正面図である。
【図2】実施形態1の磁性粒子除去装置の具体的な構成を示す縦断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5】実施形態2の磁性粒子除去装置を含む被処理流体浄化システムの構成を示す正面図である。
【図6】実施形態2の磁性粒子除去装置の具体的な構成を示す縦断面図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】図6のVIII−VIII線断面図である。
【図9】実施形態3の磁性粒子除去装置の具体的な構成を示す縦断面図である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】図9のXI−XI線断面図である。
【図12】実施形態4の磁性粒子除去装置の具体的な構成を示す縦断面図である。
【図13】実施形態4の磁性粒子除去装置の具体的な構成を示す平面図である。
【図14】図12のXIV−XIV線断面図である。
【図15】図12のXV−XV線断面図である。
【図16】実施形態5の磁性粒子除去装置の具体的な構成を示す縦断面図である。
【図17】図16のXVII−XVII線断面図である。
【図18】実施形態6の被処理流体浄化システムの構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、他の実施形態と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0026】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る被処理流体浄化システム100を示し、本実施形態では一例として、この被処理流体浄化システム100を、工作機械101のクーラント液(被処理流体)の浄化システムに適用した例を示す。
【0027】
すなわち、上記被処理流体浄化システム100は、工作機械101において、クーラント液(すなわち被処理流体)の中に混入する切粉、或いは該切粉と砥粒との溶着したもの等からなる切削屑である磁性粒子jと、クーラント液とを分離し、該磁性粒子jを分離回収する場合に適用したものである。より具体的には、この被処理流体浄化システム100は、ダーティタンク102と、サイクロン式分離除去装置1(異物粒子分離装置)と、ダスト分離用タンク103と、コンベア式のダスト分離装置108と、磁性粒子除去装置210と、スーパクリーンタンク104とを備えている。
【0028】
工作機械101から排出されたダーティ液(磁性粒子jを除去する前の被処理流体)は先ず、ダーティタンク102内へと導かれて貯留される。ダーティタンク102内に貯留された被処理流体は、ポンプ105により汲み上げられてサイクロン式分離除去装置1の導入口3へと導かれる。
【0029】
サイクロン式分離除去装置1では、比重がかなり小さい粒子、油成分、浮遊カーボン等は浮上物排出口21からダスト分離用タンク103へと排出された後、比重が比較的大きい磁性粒子jが遠心力により分離されて、排出口4からダスト分離用タンク103へと排出され、磁性粒子j分離後の被処理流体が、筒状排出管6から排出されて、磁性粒子除去装置210を介してスーパクリーンタンク104へと導かれる。
【0030】
サイクロン式分離除去装置1の排出口4や浮上物排出口21から排出されたダストが導かれるダスト分離用タンク103内では、該ダスト分離用タンク103の底部に沈殿した磁性粒子jがダスト分離装置108により回収されてダストボックス107に排出される。ダスト分離用タンク103内の上層の被処理流体は、その水位が所定水位h1に達すると戻り管103bからダーティタンク102へと戻されて、再度、サイクロン式分離除去装置1へと導かれる。尚、サイクロン式分離除去装置1からダスト分離用タンク103に導かれた磁性粒子jを含む被処理流体が戻り管103bからダーティタンク102に直接戻されないように、仕切り壁103cが設けられている。尚、ダスト分離装置108は、例えば特開2003−251542号公報に示す公知の構造を有するものとされ、ここではその説明を省略する。
【0031】
一方、サイクロン式分離除去装置1の筒状排出管6から排出された浄化処理後の被処理流体は、スーパクリーンタンク104に至る流路中に設けられた磁性粒子除去装置210によって、サイクロン式分離除去装置1では除去しきれなかった、比重が比較的小さい磁性粒子jが除去される。より詳しくは、磁性粒子除去装置210の上流側には、上流側バッフル板203が設けられる一方、下流側には、下流側バッフル板204が設けられている。上流側バッフル板203は、流路上壁202に取り付けられて流路底壁201との間に被処理流体の流路を形成し、被処理流体の流れを流路底壁201に向けるようになっている。下流側バッフル板204は、流路上壁202との間に浄化処理後被処理流体流路204aを形成するとともに、流路底壁201との間に磁性粒子流路204bを形成するように設けられている。磁性粒子流路204bは、後述するように磁性粒子除去装置210のマグネット213が吸引位置にあるときに磁性粒子除去装置210付近に吸引された磁性粒子jを、マグネット213が磁気吸引力の解除位置に移動したときに、磁性粒子排出口206およびダーティ側開閉バルブ207を介してダーティタンク102に戻すようになっている。また、磁性粒子jがマグネット213に吸引されて除去された被処理流体は、浄化処理後被処理流体流路204aから浄化後被処理流体排出口205およびクリーン側開閉バルブ207’を介して、スーパクリーンタンク104に導かれる。上記流路204a・204bの流路面積比は、限定されないが、例えば8:2に設定されている。
【0032】
スーパクリーンタンク104に導かれて貯留された、磁性粒子除去後のクリーンな被処理流体は、不図示のポンプにより工作機械101に供給されてクーラント液として使用される。尚、スーパクリーンタンク104内の被処理流体は、その水位が所定水位h2に達すると戻り管104bからダーティタンク102へと戻されるようになっている。これに伴って、軽くてスーパクリーンタンク104内で表面に浮いたダストも、ダーティタンク102へと戻される。また、サイクロン式分離除去装置1、および磁性粒子除去装置210によっても除去されずスーパクリーンタンク104内で沈殿したダストは、スーパクリーンタンク104の底部に設けられた排出管104c、および排出バルブ104dを介してダーティタンク102に排出されるようになっている。なお、スーパクリーンタンク104の上壁部104aから垂下された仕切り壁104e、および/または底部に立設された仕切り壁104fを設けて、スーパクリーンタンク104内でのダストの浮上や沈殿による除去効果をより高めるようにしてもよい。このような構成にすることにより、スーパクリーンタンク104内でのダストの蓄積を極力抑制できるので、常時クリーンな液を工作機械101に供給することができ、工作機械101の稼働を止めることなく、連続して使用することができる。
【0033】
−磁性粒子除去装置210の構成−
磁性粒子除去装置210は、図2、図3に示すように、被処理流体流路における流路底壁201の下面に設けられている。すなわち、流路底壁201の下面には、マグネットガイド211が、ビス217とナット218とによって取り付けられている。マグネットガイド211内には、2つのマグネット213を備えた磁性体製のヨーク212が、図2に矢印A、Bで示す方向に摺動自在に設けられている。マグネット213は、ヨーク212の段付凹部212aに例えば上下方向の極性が互いに逆になるように嵌め込まれ、位置決めされて固定されるとともに、上端付近でマグネット213とヨーク212との間にわずかな隙間が形成されることによって、磁力線のリークを防止し、磁気吸引力が被処理流体中の磁性粒子jに効率よく作用するようになっている。
【0034】
流路底壁201とヨーク212との間には、磁性体製の磁気シールド板214が設けられている。この磁気シールド板214には、ヨーク212が矢印Aで示す方向に移動する位置(吸引位置)に対応して開口部214aが形成され、マグネット213の磁気吸引力を被処理流体中の磁性粒子jに作用させる一方、ヨーク212が矢印Bで示す方向に移動した位置(解除位置)では、マグネット213の磁力を遮断するようになっている。
【0035】
上記ヨーク212は、エアシリンダ221によって、矢印A、Bで示す方向に駆動されるようになっている。エアシリンダ221は、流路底壁201に設けられたベースプレート208に取り付けられている。ヨーク212は、レバープレート215を介してエアシリンダ221のロッド222に連結されている。すなわち、レバープレート215は、ボルト216によりヨーク212に固定される一方、ボルト223によりロッド222に固定されている。また、ヨーク212が矢印A方向に移動したとき(吸引位置)の位置決めは、マグネットガイド211のブラケット231に取り付けられたストッパボルト232およびロックナット233によってなされるようになっている。すなわち、ストッパボルト232によってボルト223の先端位置が規制されることによって、図4に示すように、マグネット213が磁気シールド板214の開口部214aに正確に臨むように調整し得るようになっている。なお、マグネット213の停止位置精度が高く保たれる場合には、調整可能なストッパボルト232に代えて固定的なストッパを設けたり、エアシリンダ221をフルストロークさせるようにしたりしてもよい。また、ヨーク212が解除位置に移動したときの位置決めも同様に調整可能または固定的なストッパを設けたりしてもよいが、磁気シールド板214が十分に大きければ、解除位置の精度は比較的低くてもよい。
【0036】
−磁性粒子除去装置210の動作−
以上のように構成された被処理流体浄化システム100において、サイクロン式分離除去装置1から排出された、軽量な(例えば10μm以下、特に5μm以下の)磁性粒子jを含む被処理流体は、上流側バッフル板203によって流路底壁201に沿うように誘導され、磁性粒子除去装置210の近傍を通過する。
【0037】
そこで、ヨーク212がエアシリンダ221により矢印Aで示す方向に駆動されてマグネット213が磁気シールド板214の開口部214aに臨む位置(吸引位置)にあるときには、被処理流体中の磁性粒子jは、マグネット213の磁力により吸引されて流路底壁201の近傍に集約される。これにより、磁性粒子jが除去された被処理流体は、主として下流側バッフル板204の上方に形成された浄化処理後被処理流体流路204a、浄化後被処理流体排出口205、およびクリーン側開閉バルブ207’を介してスーパクリーンタンク104に導かれる。
【0038】
一方、ヨーク212がエアシリンダ221により矢印Bで示す方向に駆動されると(解除位置)、マグネット213の磁力は磁気シールド板214により遮断されて、磁気吸引力が解除される。この状態でダーティ側開閉バルブ207が開かれると、上記流路底壁201の近傍に集約された磁性粒子jは磁性粒子排出口206からダーティ側開閉バルブ207を介してダーティタンク102に排出される。また、クリーン側開閉バルブ207’を閉じることにより、マグネット213の磁器吸引力が解除されて被処理流体中に漂う磁性粒子jがスーパクリーンタンク104に送られるのを阻止して確実にダーティタンク102に戻すことができる。
【0039】
上記のような開閉バルブ207・207’の開閉は、手動で行うようにしてもよいが、磁性粒子除去装置210の動作と連動させて自動的に行われるようにしてもよい。具体的には、例えば、空気圧によって駆動される開閉バルブ207・207’を用い、エアシリンダ221と連動して開閉されるように制御してもよい。また、エアシリンダ221と開閉バルブ207・207’とをリンクやワイヤなどで連接する機構を設けて連動させるようにしたり、開閉バルブ207・207’が一体化された複合バルブを用いるなどしてもよい。また、これらの場合には、所定のタイムラグを持たせて、ダーティ側開閉バルブ207の開放、クリーン側開閉バルブ207’の閉塞、およびマグネット213の解除位置への移動を順次行わるようにしてもよい。これにより、磁性粒子jがスーパクリーンタンク104に送られるのを確実に阻止して効率よくダーティタンク102に戻すようにすることが容易にでき、操作性を向上させることもできる。また、開閉バルブ207・207’の一方だけをエアシリンダ221と連動させたり、開閉バルブ207・207’どうしだけを連動させたりしてもよい。
【0040】
なお、ダーティ側開閉バルブ207だけを設けて、クリーン側開閉バルブ207’は設けず(または常時開放状態にして)、浄化処理後被処理流体流路204aからスーパクリーンタンク104に送られる被処理流体の流量が確保されるようにしてもよい。
【0041】
逆に、クリーン側開閉バルブ207’だけを設けて、ダーティ側開閉バルブ207は設けず(または常時開放状態にして)、被処理流体中に漂う磁性粒子jがスーパクリーンタンク104に送られるのをより確実に阻止し得るようにしてもよい。
【0042】
また、開閉バルブ207・207’を共に設けず(または常時開放状態にして)、流路底壁201の近傍に吸引された磁性粒子jが速やかに磁性粒子流路204bから排出されるとともに、浄化処理後被処理流体流路204aからスーパクリーンタンク104に送られる被処理流体の流量が確保されるようにしてもよい。
【0043】
ここで、上記のようにダーティ側開閉バルブ207を設けない(または常時開放状態にする)場合には、特に、前記のように磁性粒子流路204bの流路面積を浄化処理後被処理流体流路204aよりも小さくすることは、浄化処理後被処理流体流路204aからスーパクリーンタンク104に送られる被処理流体の流量確保が容易になる点で有効である。
【0044】
また、磁性粒子排出口206から排出された磁性粒子jは、ダーティタンク102に送られるのに限らず、ダスト分離用タンク103に送られるようにしてもよい。
【0045】
《発明の実施形態2》
図5は、本発明の実施形態2に係る磁性粒子除去装置240を備えた被処理流体浄化システム100を示す。
【0046】
実施形態2の磁性粒子除去装置240は、流路上壁202の上に設けられ、被処理流体中に垂下されて浸漬される棒状の吸着磁性体249を有している。吸着磁性体249は、後に詳述するように、マグネット243と磁気的に結合される状態または解除される状態に切り替えられるようになっている。
【0047】
吸着磁性体249の下流側には、第1および第2下流側バッフル板204’・204”が設けられ、磁性粒子jが吸着磁性体249に吸引されて除去された後の被処理流体が、第1下流側バッフル板204’の上方、および第2下流側バッフル板204”の下方を通過して、浄化後被処理流体排出口205からクリーン側開閉バルブ207’を介してスーパクリーンタンク104に導かれるようになっている。また、吸着磁性体249とマグネット243との磁気的結合が解除されたときに、吸着磁性体249に吸引されていた磁性粒子jが第1下流側バッフル板204’の下方からダーティ側開閉バルブ207を介してダーティタンク102に戻されるようになっている。
【0048】
−磁性粒子除去装置240の構成−
磁性粒子除去装置240は、図6、図7に示すように、流路上壁202の上に、例えばアルミニウム等の非磁性体から成るベースプレート208がボルト209により固定されることによって取り付けられている。ベースプレート208には、マグネットガイド244がボルト245によって取り付けられるとともに、エアシリンダ221が取り付けられている。マグネットガイド244内には、2つのマグネット243を備えたヨーク242が、図6に矢印A、Bで示す方向に摺動自在に設けられている。マグネット243は、実施形態1と同様に、図8に示すようにヨーク242の段付凹部242aに嵌め込まれている。
【0049】
上記ヨーク242は、ピン225、およびクレビス224を介してエアシリンダ221のロッド222に連結され、矢印A、Bで示す方向に駆動されるようになっている。ヨーク242が矢印Aで示す方向に移動した位置の下方には、被処理流体の流れる方向に垂直な方向に櫛形に配列されて垂下される4本の断面四角形状の棒状の吸着磁性体249が、押ボルト250によってベースプレート208に固定されている。すなわち、ヨーク242が矢印Aで示す方向に移動したときには、マグネット243と吸着磁性体249とが磁気的に結合されて、被処理流体中の磁性粒子jを吸着磁性体249に吸着させるようになっている。また、ヨーク242が矢印Bで示す方向に移動した位置の下方には、磁性体製の磁気シールド板246がボルト247によってベースプレート208に固定され、マグネット243の磁力を遮断するようになっている。また、ベースプレート208、吸着磁性体249、および磁気シールド板246と、ヨーク242との間には、ヨーク242をなめらかに摺動させやすくするために、例えばステンレスプレート248が設けられている。
【0050】
−磁性粒子除去装置240の動作−
以上のように構成された被処理流体浄化システム100において、サイクロン式分離除去装置1から排出された被処理流体中の軽量な磁性粒子jは、吸着磁性体249の周囲を通過する。
【0051】
そこで、ヨーク242がエアシリンダ221により矢印Aで示す方向に駆動されてマグネット243が吸着磁性体249と磁気的に結合する位置(吸引位置)にあるときには、被処理流体中の磁性粒子jは、マグネット243の磁力により吸引されて吸着磁性体249の周囲に集約される。これにより、磁性粒子jが除去された被処理流体は、液面が所定の高さ以上になると、第1下流側バッフル板204’の上方、および第2下流側バッフル板204”の下方を通過して、浄化後被処理流体排出口205からスーパクリーンタンク104に導かれる。
【0052】
一方、ヨーク242がエアシリンダ221により矢印Bで示す方向に駆動されると、マグネット243が吸着磁性体249と離間するとともに、マグネット243の磁力が磁気シールド板246により遮断されて、吸着磁性体249から被処理流体中の磁性粒子jに作用する磁気吸引力が解除され、吸着磁性体249の表面に吸着された磁性粒子jは、吸着磁性体249の下方に沈殿し、流路底壁201の近傍に集約される。そこで、ダーティ側開閉バルブ207が開かれると、上記流路底壁201の近傍に集約された磁性粒子jはダーティタンク102に排出される。また、クリーン側開閉バルブ207’が閉じられると、上記のように吸着磁性体249から離脱した磁性粒子jがスーパクリーンタンク104に送られるのが阻止される。
【0053】
なお、ダーティ側開閉バルブ207は必ずしも設けず、被処理流体をわずかずつダーティタンク102に向けて流して、マグネット243が吸引位置にある場合でも吸着磁性体249に吸着されずに自重で流路底壁201付近に沈殿した磁性粒子jを常時排出させるようにしてもよい。
【0054】
また、第1下流側バッフル板204’は、実施形態1で示したのと同様に、流路底壁201との間に形成される磁性粒子流路を狭くしたり、側壁との間に隙間を設けて第1下流側バッフル板204’の下流側で沈殿した磁性粒子jも磁性粒子排出口206から排出させ得るようにしてもよい。
【0055】
また、上記の例では、第1下流側バッフル板204’の下流側に第2下流側バッフル板204”が設けられる例を示したが、これらの位置関係を逆にするなどしてもよい。
【0056】
また、磁気シールド板246は、マグネット243の位置をずらすことによって吸着磁性体249との磁気的結合が十分に小さくなる場合には、必ずしも設けなくてもよい。
【0057】
また、上記のように被処理流体が所定の高さ以上の液面になったときに浄化後被処理流体排出口205からスーパクリーンタンク104に流れるように構成されるのに限らず、実施形態1のように密閉された流路が形成され、その流路中に吸着磁性体249が配置されるようにしてもよい。
【0058】
また、マグネット243、および吸着磁性体249の数や、ヨーク242の形状は、上記に限るものではない。例えば、マグネット243は、1本の吸着磁性体249あたり1個設け、隣り合うマグネット243ごとに、吸着磁性体249に面する部分の極性が互いに逆になるようにしてもよい。この場合には、各マグネット243の大きさは比較的小さくなるが、各隣り合う吸着磁性体249間に生じる磁束の磁束密度を容易に高くすることができる。また、ヨーク242は、マグネット243の上面だけに面する平板状に形成し、上記ヨーク242と同様の形状に形成された非磁性体内にマグネット243とともに収容してもよい。これにより、ヨーク242と吸着磁性体249との間に生じる磁束の磁束密度を低減して、吸着磁性体249間に生じる磁束の磁束密度を高くすることが容易にできる。
【0059】
《発明の実施形態3》
吸着磁性体249は、上記実施形態2について説明したように被処理流体の流れる方向に垂直な方向に配列されるのに限らず、例えば図9〜図11に示すように、仮想的な円筒面に沿う位置に配列されて設けられてもよい。より詳しくは、ヨーク242には円形状の段付凹部242aが形成され、その内部には、半割れドーナツ状の2つのマグネット243が嵌め込まれている。吸着磁性体249は、断面円形状の棒状をなし、2本ずつが、それぞれ1つのマグネット243の下方に位置するように配列されている。すなわち、被処理流体の上流側から下流側にかけて同極性の吸着磁性体249が設けられることになる。
【0060】
このように構成される場合には、被処理流体の上流側の吸着磁性体249に捕捉されなかった磁性粒子jを下流側の吸着磁性体249で捕捉することによって、磁性粒子jの除去効率を高めることが容易にできる。
【0061】
《発明の実施形態4》
ヨーク242は、上記のようにエアシリンダ221によって駆動されるのに限らず、手動で吸引位置と解除位置とに切り替えられるようにしてよい。実施形態4の磁性粒子除去装置では、例えば図12〜図14に示すように、流路上壁202上にボルト209によって取り付けられたベースプレート208の上面に、ステンレスプレート248を介して、矢印A、Bで示す方向の2つの貫通穴291aが形成されたシリンダブロック291が設けられている。上記シリンダブロック291の貫通穴291aには、フランジ292aに取り付けられた2本のロッド292が摺動自在に勘合されている。マグネット243を備えたヨーク242は、上記フランジ292aに取り付けられることにより、矢印A、Bで示す方向に摺動自在に設けられている。ヨーク242の上部にはハンドル293が取り付けられ、手動で吸引位置と解除位置とに切り替えられるようになっている。
【0062】
吸着磁性体249は、短冊状、すなわち図15に示すように横断面形状が長い四角形状の平板棒状に形成され、互いに平行、かつ、被処理流体の流れる方向に垂直な方向に櫛形に配列されて設けられ、押ボルト250によりベースプレート208に固定されている。
【0063】
このように手動可能に構成される場合にも、マグネット243と吸着磁性体249とを磁気的に結合状態と解除状態とに切り替えることによる磁性粒子の除去メカニズム自体は実施形態2、3と同じである。それゆえ、低コストで、軽量、微小な磁性粒子jを効率よく除去することができる。
【0064】
なお、図12〜図14には特に示していないが、ヨーク242を吸引位置および/または解除位置に正確にまたは容易に位置決めするためのストッパ装置やラッチ機構を設けてもよい。
【0065】
《発明の実施形態5》
マグネット243と吸着磁性体249との磁気的結合を解除するためには、上記のようにヨークを摺動させて吸着磁性体249に対応する位置からずらすのに限らず、単に吸着磁性体249との距離を空けるようにしてもよい。
【0066】
具体的には、実施形態5の磁性粒子除去装置240は、例えば図16〜図17に示すように構成されている。すなわち、ヨーク271は外形形状が円形状に形成され、段付凹部271aにマグネット243が嵌め込まれ、有底円筒状のカバー273内に収容されている。ベースプレート208には、雄ねじシャフト261が、ナット263とスナップリング264との間に固定されたスリーブ262を介して回転自在に設けられている。雄ねじシャフト261の上部には、ハンドル265がボルト266によって取り付けられている。雄ねじシャフト261の外周に形成された雄ねじと、ヨーク271の中心部に形成された雌ねじとが螺合されるとともに、ベースプレート208に立設された回り止めピン272がヨーク271に形成されたピン穴271bに勘合されている。これによって、ハンドル265を回して雄ねじシャフト261を回転させると、ヨーク271は回り止めピン272により回転を抑制されているため上下に移動するようになっている。
【0067】
上記のように構成される場合でも、吸着磁性体249から被処理流体中の磁性粒子jに作用する磁気吸引力が十分小さくなる程度に、ハンドル265を回してマグネット243を上方に移動させ、吸着磁性体249から離間させれば、吸着磁性体249の表面に吸着された磁性粒子jは、吸着磁性体249の下方に沈殿し、流路底壁201の近傍に集約される。そこで、ダーティ側開閉バルブ207が開かれると、上記流路底壁201の近傍に集約された磁性粒子jはダーティタンク102に排出される。
【0068】
なお、上記のように雄ねじシャフト261をヨーク271と螺合させるのに代えて、ベースプレート208と螺合させるとともに、ヨーク271は雄ねじシャフト261に相対的に回転可能、かつ上下方向の位置はスナップリング264等により拘束されるように設けてもよい。この場合には、ハンドル265を回すことによって、雄ねじシャフト261を上下に移動させ、これに伴ってヨーク271も上下に移動させることができる。
【0069】
《発明の実施形態6》
上記実施形態2〜5で説明したような磁性粒子除去装置210・240は、実施形態2の図5に示した被処理流体浄化システム100のように、サイクロン式分離除去装置1によって浄化された被処理流体の流路に設けられるのに限らず、図18に示すように、ダスト分離用タンク103、すなわちサイクロン式分離除去装置1の排出口4から排出されたダストを含む被処理流体の流路中に設けられてもよい。
【0070】
より詳しくは、サイクロン式分離除去装置1の排出口4から排出された被処理流体は、主として図18におけるバッフル板282の右方から下方に回り込み、ダスト分離装置108によって比較的大きなダストが除去された後、磁性粒子除去装置240の吸着磁性体249の近傍、およびバッフル板281の上方を通過し、排出口103dから戻り管103bを介してダーティタンク102に戻されるようになっている。
【0071】
このように構成される場合には、ダスト分離装置108の排出口4から排出された磁性粒子j、特に軽量な磁性粒子jは、被処理流体が磁性粒子除去装置240の吸着磁性体249の近傍を通過する際に吸着磁性体249に吸着された後、マグネット243が解除位置になったときに沈殿して、ダスト分離装置108により効率よく回収される。すなわち、サイクロン式分離除去装置1によって一旦分離された磁性粒子jは、ダスト分離用タンク103からダーティタンク102に戻される被処理流体中に混入しにくくなるので、ダスト分離装置108によるダストの回収効率を向上させて、被処理流体浄化システム100全体としての浄化効率を向上させることができる。
(その他の事項)
なお、上記各実施形態および変形例について説明した構成要素は、論理的に可能な範囲で種々組み合わせてもよい。
【0072】
具体的には、例えば実施形態1で説明したような開閉バルブ207・207’の有無や、これらのバルブどうし、および/または少なくとも一方のバルブとエアシリンダ221とを連動させる構成を実施形態2の被処理流体浄化システム100に適用してもよい。また、実施形態4のように手動によるマグネット243の移動と開閉バルブ207・207’とを連動させるようにしてもよい。
【0073】
また、実施形態4で説明したように手動によってマグネット243を吸引位置または解除位置に移動させる構成を実施形態1〜3の磁性粒子除去装置210・240に適用してもよい。
【0074】
また、実施形態1で説明したようなマグネット243の吸引位置および/または解除位置の位置決め精度を調整するためのストッパ機構を他の実施形態の磁性粒子除去装置に設けてもよい。もっとも、実施形態2等においては、マグネット213と吸着磁性体249とが磁気的に結合、または解除されればよいので、両者の相対位置精度は比較的低くてもよいため、必ずしも高精度または調整可能なストッパ機構を設けなくてもよい。
【0075】
また、吸着磁性体249の形状は、特に限定されず、実施形態2〜4で説明したような断面四角形状または断面円形状の棒状(短冊状を含む)を相互に変更したり、他の形状を適用したりしてもよい。
【0076】
また、実施形態3〜5(図9〜図17)で説明したような磁性粒子除去装置240が、実施形態6(図18)で説明したようにダスト分離用タンク103に設けられるなどしてもよい。さらに、スーパクリーンタンク104(特に仕切り壁104eの上流側または近傍)に設けられてもよく、これらが組み合わされてもよい。
【0077】
また、工作機械101から排出されたダーティ液は、そのままサイクロン式分離除去装置1に送られるのに限らず、一旦、ダスト分離用タンク103に(直接または貯留タンクを介して)送られ、自重だけで沈殿しやすいダストが除去された後、サイクロン式分離除去装置1に供給されるようにしてもよく、この場合でも、各実施形態で説明したような磁性粒子除去装置をダスト分離用タンク103、および/またはサイクロン式分離除去装置1による浄化後の被処理流体の流路中に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明にかかる磁性粒子除去装置は、被処理流体中の磁性粒子を磁気吸引力により吸着して除去する磁性粒子除去装置等として有用である。
【符号の説明】
【0079】
1 サイクロン式分離除去装置
3 導入口
4 排出口
6 筒状排出管
21 浮上物排出口
100 被処理流体浄化システム
101 工作機械
102 ダーティタンク
103 ダスト分離用タンク
103b 戻り管
103c 仕切り壁
103d 排出口
104 スーパクリーンタンク
104a 上壁部
104b 戻り管
104c 排出管
104d 排出バルブ
104e 仕切り壁
104f 仕切り壁
105 ポンプ
107 ダストボックス
108 ダスト分離装置
201 流路底壁
202 流路上壁
203 上流側バッフル板
204 下流側バッフル板
204’ 第1下流側バッフル板
204” 第2下流側バッフル板
204a 浄化処理後被処理流体流路
204b 磁性粒子流路
205 浄化後被処理流体排出口
206 磁性粒子排出口
207 ダーティ側開閉バルブ
207’ クリーン側開閉バルブ
208 ベースプレート
209 ボルト
210 磁性粒子除去装置
211 マグネットガイド
212 ヨーク
212a 段付凹部
213 マグネット
214 磁気シールド板
214a 開口部
215 レバープレート
216 ボルト
217 ビス
218 ナット
221 エアシリンダ
222 ロッド
223 ボルト
224 クレビス
225 ピン
231 ブラケット
232 ストッパボルト
233 ロックナット
240 磁性粒子除去装置
242 ヨーク
242a 段付凹部
243 マグネット
244 マグネットガイド
245 ボルト
246 磁気シールド板
247 ボルト
248 ステンレスプレート
249 吸着磁性体
250 押ボルト
261 雄ねじシャフト
262 スリーブ
263 ナット
264 スナップリング
265 ハンドル
266 ボルト
271 ヨーク
271a 段付凹部
271b ピン穴
272 回り止めピン
273 カバー
281 バッフル板
282 バッフル板
291 シリンダブロック
291a 貫通穴
292 ロッド
292a フランジ
293 ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理流体中に含まれる磁性粒子を除去する磁性粒子除去装置であって、
上記被処理流体中の磁性粒子に磁気吸引力を作用させる磁石部材と、
上記磁石部材を、上記被処理流体中の磁性粒子に磁気吸引力を作用させる吸引位置と、該磁気吸引力を解除する解除位置とに移動させる移動機構と、
上記吸引位置の磁石部材により磁性粒子が除去された浄化後被処理流体の排出流路と、
上記解除位置で磁石部材の吸引力が解除された磁性粒子の排出流路と、
を備えたことを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項2】
請求項1の磁性粒子除去装置であって、さらに、
上記磁石部材を上記吸引位置と上記解除位置とに移動させるように駆動する駆動部を備えたことを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項3】
請求項1の磁性粒子除去装置であって、
上記磁性粒子排出流路、および上記浄化後被処理流体排出流路の少なくとも一方の下流側に、開閉バルブが設けられていることを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項4】
請求項3の磁性粒子除去装置であって、
上記磁性粒子排出流路の下流側の開閉バルブが開く動作に連動して上記浄化後被処理流体排出流路の下流側の開閉バルブが閉じ、または上記磁石部材が上記解除位置に移動する動作に連動して、上記磁性粒子排出流路の下流側の開閉バルブが開く動作、および上記浄化後被処理流体排出流路の下流側の開閉バルブが閉じる動作の少なくとも一方の動作が行われることを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項5】
請求項1の磁性粒子除去装置であって、
上記磁石部材は、被処理流体の流路壁に沿って移動可能に設けられるとともに、
さらに、上記解除位置における磁石部材と被処理流体との間に磁気遮蔽部材が設けられていることを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項6】
請求項5の磁性粒子除去装置であって、
上記磁石部材は、被処理流体の流路壁における底壁の下面側に沿って移動可能に設けられるとともに、さらに、
被処理流体の流路における上記吸引位置の上流側に設けられ、被処理流体の流れを底壁に向ける上流側バッフル板と、
被処理流体の流路における上記吸引位置の下流側に設けられ、上方に上記浄化後被処理流体排出流路を形成するとともに、下方に上記磁性粒子排出流路を形成する下流側バッフル板と、
を備えたことを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項7】
請求項6の磁性粒子除去装置であって、
上記磁性粒子排出流路の流路断面積よりも、上記浄化後被処理流体排出流路の流路断面積の方が大きく設定されていることを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項8】
請求項1の磁性粒子除去装置であって、さらに、
被処理流体中に浸漬されるとともに、吸引位置に位置する磁石部材に近接して設けられ、該磁石部材と磁気的に結合して、被処理流体中の磁性粒子を吸着させる吸着磁性体と、
解除位置に位置する磁石部材と対向して設けられる磁気遮蔽部材と、
を備えたことを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項9】
請求項8の磁性粒子除去装置であって、
上記磁石部材は、被処理流体の流路の上方に設けられ、
上記吸着磁性体は、棒状の形状を有し、吸引位置に位置する磁石部材の下方に垂下して設けられていることを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項10】
請求項9の磁性粒子除去装置であって、
上記吸着磁性体は、複数設けられ、被処理流体の流れる方向に垂直な方向に配列されていることを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項11】
請求項9の磁性粒子除去装置であって、
上記吸着磁性体は、複数設けられ、中心軸が鉛直な仮想円筒面に沿う位置に配列されていることを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項12】
請求項8の磁性粒子除去装置であって、
被処理流体の流路における上記吸着磁性体の下流側に設けられ、上方に上記浄化後被処理流体排出流路を形成するとともに、下方に上記磁性粒子排出流路を形成するバッフル板を備えたことを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項13】
請求項1の磁性粒子除去装置であって、さらに、
被処理流体中に浸漬されるとともに、吸引位置に位置する磁石部材に近接して設けられ、該磁石部材と磁気的に結合して、被処理流体中の磁性粒子を吸着させる吸着磁性体を備え、
上記移動機構は、磁石部材を上記吸着磁性体と離間する上記解除位置に移動させ得るように構成されていることを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項14】
請求項13の磁性粒子除去装置であって、さらに、
上記移動機構は、磁石部材の移動方向の中心軸を有する雄ねじ部材と、
該雄ねじ部材に螺合する雌ねじ部材と、
を備え、
上記雄ねじ部材を回転させることによって、雄ねじ部材または雌ねじ部材がねじ送りされることにより、磁石部材が上記吸引位置と、上記解除位置とに移動することを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項15】
請求項13の磁性粒子除去装置であって、
上記磁石部材は、被処理流体の流路の上方に設けられ、
上記吸着磁性体は、棒状の形状を有し、吸引位置に位置する磁石部材の下方に垂下して設けられていることを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項16】
請求項15の磁性粒子除去装置であって、
上記吸着磁性体は、複数設けられ、中心軸が鉛直な仮想円筒面に沿う位置に配列されていることを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項17】
請求項13の磁性粒子除去装置であって、
被処理流体の流路における上記吸着磁性体の下流側に設けられ、上方に上記浄化後被処理流体排出流路を形成するとともに、下方に上記磁性粒子排出流路を形成するバッフル板を備えたことを特徴とする磁性粒子除去装置。
【請求項18】
請求項1の磁性粒子除去装置と、
サイクロン式磁性粒子分離装置とを有し、これらの装置によって磁性粒子を除去する被処理流体浄化システムであって、
上記サイクロン式磁性粒子分離装置は、
磁性粒子を含む被処理流体を内周面に沿って旋回下降流動させ、その旋回下降流動によって生じる遠心力により被処理流体内の磁性粒子を分離して下方に排出するサイクロン式処理容器と、
上記サイクロン式処理容器の中心部にて上下方向に延び、下端に該サイクロン式処理容器の内部に開口する開口部を有し、浄化後の被処理流体を該サイクロン式処理容器の上方から該容器外へと導く排出管と、
を備え、
上記磁性粒子除去装置は、上記サイクロン式磁性粒子分離装置による浄化後の被処理流体の流路中に設けられていることを特徴とする被処理流体浄化システム。
【請求項19】
請求項1の磁性粒子除去装置と、
サイクロン式磁性粒子分離装置とを有し、これらの装置によって磁性粒子を除去する被処理流体浄化システムであって、
上記サイクロン式磁性粒子分離装置は、
磁性粒子を含む被処理流体を内周面に沿って旋回下降流動させ、その旋回下降流動によって生じる遠心力により被処理流体内の磁性粒子を分離して下方に排出するサイクロン式処理容器と、
上記サイクロン式処理容器の中心部にて上下方向に延び、下端に該サイクロン式処理容器の内部に開口する開口部を有し、浄化後の被処理流体を該サイクロン式処理容器の上方から該容器外へと導く排出管と、
を備え、
上記磁性粒子除去装置は、上記サイクロン式磁性粒子分離装置によって分離された磁性粒子を含む被処理流体の流路中に設けられていることを特徴とする被処理流体浄化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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