説明

磁気ばねバランス式ストリンガプローブを備える非破壊検査装置

内部開口部を有する構造を検査する非破壊検査装置および方法であり、非破壊検査装置は、複数の外部プローブユニット壁を有する検査装置外部プローブユニットを備え、各外部プローブユニット壁は、対応する構造壁の複数の外側表面の1つに対応する表面を有し、外部プローブユニットは、第1外部プローブ部材と、そして第2外部プローブ部材とを含み、第1外部プローブ部材および第2外部プローブ部材は、第1外部プローブユニット部材の磁石と第2外部プローブユニット部材の磁石との間の磁気吸着力により、互いに対して磁気結合し;検査装置はさらに、第2外部プローブユニット部材を、磁気天秤の磁石と第2外部プローブユニット部材の磁石との間の磁気反発力により第1外部プローブユニット部材との第2外部プローブユニット部材の磁気結合が強くなる方向に押しやるように配置される磁気天秤を備える。さらに開示されるのは、外部ユニットおよびトランスヂューサに磁気吸着されて、構造を非破壊探傷する内部プローブユニットである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、構造を検査する装置および方法に関するものであり、特にストリンガのような構造のうちの接近が困難な形状部を非破壊探傷する装置および構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
構造の非破壊検査(NDI)では、構造を、構造を傷付けることなく、または構造の大規模な解体を必要とすることなく全て検査する。非破壊検査では通常、検査対象部品の取り外しに関連するスケジュール、労力、およびコストを回避するだけでなく、構造を損傷する可能性を回避することが好ましい。非破壊検査は、構造の外部および/または内部を全て検査する必要がある多くの応用分野において有利である。例えば、非破壊検査は、航空機産業において広く使用されて、航空機構造を、構造に対する全ての種類の内部または外部ダメージに関して、または構造の欠陥に関して検査する。NDIはまた、航空機の構造部品の初期製造に使用される。NDIを使用して、プロセス上の問題が、部品を組み立てる場合に、または可能性のある異種材料が部品の内部に取り込まれている場合に、生じていなかったことを確認する。検査は、構造の製造中に、そして/または一旦、構造が使用に供されると行うことができる。例えば、検査では、構造の完全性および適合性を立証することにより、構造が製造に継続して使用され、そして将来に亘って継続して使用に供されるようにする必要がある。しかしながら、内部表面にまで接近することは、多くの場合、難しく、または不可能であり、部品を航空機から検査のために取り外すように、解体せざるを得なくなる。
【0003】
日常的に非破壊探傷される構造の中でもとりわけ、複合材サンドイッチ構造体のような複合材構造、および炭素繊維強化材料およびグラファイトエポキシ(Gr/Ep)材料により形成されるハット型ストリンガまたはハット型スティフナー、および同時硬化または同時接合ハット型ストリンガのような他の接着剤接合パネルおよびアセンブリを挙げることができる。この点に関して、複合材構造は、エンジニアリング品質が高く、設計フレキシビリティがあり、そして剛性対重量比のように重量が軽いために、航空機産業全体に亘って広く使用されている。このようなことから、複合材構造を検査して亀裂、ボイド、または空隙のような全ての欠陥を特定することが望ましい場合が非常に多く、これらの欠陥は、複合材構造の性能に悪影響を及ぼす。
【0004】
種々の種類のセンサを使用して非破壊検査を実施することができる。1つ以上のセンサを検査対象の構造の一部の上を移動させることができ、そしてこれらのセンサは、構造に関するデータを受信することができる。例えば、パルスエコー(pulse−echo:PE)センサ、透過(through transmission:TT)型センサ、またはせん断波センサを使用して、例えば構造内の厚さ計測、層状欠陥および空隙の検出、異種材料検出、および/または亀裂検出に関する超音波データを取得することができる。共振パルスエコーセンサまたは機械インピーダンスセンサを使用して、構造の接着剤接合ラインに見られるようなボイドまたは空隙の存在を通知することができる。航空機構造の高分解能検査は、検査対象の部品または構造の平面画像を供給するために半自動超音波探傷装置(UT)を使用して広く実施されている。例えば、固体ラミネートは、片側パルスエコー超音波(pulse echo ultrasonic:PEU)探傷を使用して検査することができ、そして複合材サンドイッチ構造体は、両側透過型超音波(through−transmission ultrasonic:TTU)探傷を使用して検査することができる。パルスエコー超音波(PEU)探傷では、超音波トランスデューサのような超音波センサは、検査対象の構造の1つの表面に隣接して、または表面の近傍に配置される。例えば、PEUトランスデューサは超音波信号を検査対象の構造に送信し、そして構造からの超音波信号の反射を受信する。透過型超音波検査では、トランスデューサのような一対の超音波センサ、またはトランスデューサ/受信機ペアは、他方に対向し、かつ構造の両側に接触するように配置される。超音波信号は、トランスデューサのうちの少なくとも一方のトランスデューサから送信され、構造を通って伝搬し、そして他方のトランスデューサによって受信される。PEUトランスデューサおよびTTUトランスデューサのようなセンサによって取得されるデータは通常、処理素子によって処理され、そして処理データは、ユーザにディスプレイを介して提示される。データ取得ボードおよびデータ処理ソフトウェアを使用して、検査データを収集し、そして表示して、例えばデータをコンピュータモニタに、ハット型ストリンガのような検査対象の構造の画像表示として、検査の対応色および/またはグラフィカルデータを付して表示することにより、有資格検査者による分析を可能にする。
【0005】
非破壊検査は、技術者が手動で行うことができ、これらの技術者が通常、適切なセンサを構造の上を移動させる。手動走査では、熟練技術者が、センサを、検査を必要とする構造の全ての部分の上を移動させる必要がある。手動走査では通常、技術者が、センサを左右に、1つの方向に繰り返し移動させると同時に、センサを、別の方向にインデックス移動させる。さらに、センサは通常、位置情報を取得データに関連付けることがないので、構造を手動で走査している同じ技術者がさらに、構造を走査しながらセンサディスプレイを見つめて、在るとした場合の欠陥が構造内に位置している箇所を確認する必要がある。したがって、検査の品質は、センサの運動に関してのみならず、表示データを解釈する際の技術者の注意力に関する技術者の技能に依存するところが大きい。このように、構造に対する手動走査は、長時間を要し、多大な労力を要し、そしてヒューマンエラーを伴い易い。
【0006】
半自動検査システムも開発されている。例えば、モバイル型自動スキャナ(Mobile Automated Scanner:MAUS(登録商標))システムは可動式走査型システムであり、この可動式走査型システムは普通、固定フレームと、そして通常、超音波検査に適合させている1つ以上の自動走査ヘッドと、を用いる。MAUSシステムは、パルスエコーセンサ、せん断波センサ、および透過型センサを用いて利用することができる。固定フレームは、検査対象の構造の表面に、真空吸着カップ、磁石、または同様の取り付け方法によって取り付けることができる。より小型のMAUS[MiniMAUS]システムは、技術者が構造の表面の上を手動で移動させる携帯型ユニットとすることができる。
【0007】
自動検査システムも開発されている。例えば、Automated Ultrasonic Scanning System(自動超音波走査システム:AUSS(登録商標))システムは、複雑な機械走査システムであり、この機械走査システムは、透過型超音波検査を用いることができる。AUSSシステムは、パルスエコー検査、および2周波数同時検査を実施することもできる。AUSSシステムは、ロボット制御プローブアームを有し、これらのロボット制御プローブアームは、検査を受けている構造の対向表面の近くでTTU検査を行うように配置することができ、この場合、一方のプローブアームで超音波送信機を、構造の一方の表面に沿って移動させ、そしてプローブアームに対応するようにして、他方のプローブアームで、超音波受信機を、構造の反対側の表面に沿って移動させる。超音波送信機および超音波受信機を、互いに対して、かつ検査を受けている構造に対して正しい位置に、かつ間隔で保持するために、従来の自動検査システムは、複雑な位置決めシステムを有することができ、この位置決めシステムは、AUSS−Xシステムが10軸のモーションコントロールを実行するように、多軸のモーションコントロールを可能にする。しかしながら、自動検査システムおよび同様のロボットは、途方もなく高価になってしまう。さらに、センサの向き、および間隔を構造に対して、そして互いに対して調整してTTU検査を行うことは、屈曲構造およびハット型ストリンガの検査のように、構造が非平坦形状を有することに起因して非常に難しい。また、AUSS−Xシステムのような従来の自動走査システムは、構造の両側に接近する必要があり、この状況は、少なくとも幾つかの環境においては、不可能ではないとしても、特に非常に大型の構造、または小型の構造の場合に問題になってくる。さらに、走査システムは、最大数平方メートルの限定領域しか検査できない。検査を必要とする構造への、そして特定の形状部への接近可能性もまた、考慮に入れなければならない重要事項である。接近がこのように困難になることにより、手動検査または自動検査が可能ではなくなる。例えば、航空機の胴体のハット型ストリンガの内部を検査するために、内部への接近が困難になり、特に端部から遠く離れた場所からの接近が困難になる。
【0008】
前述の背景技術の節における説明は、特許文献1(米国特許第7,249,512号)および特許文献2(米国特許第7,263,889号)に依拠している。特許文献3(米国特許第7,231,826号)および特許文献4(米国特許第6,722,202号)も参照されたく、これらの特許文献には、例えば支持部材として形成されて、航空機翼および胴体のような構造物に用いられるハット型ストリンガによって取り囲まれる或る長さの内部スペースを有するように形成される構造を非破壊検査する種々の装置および方法が記載されている。このような非破壊検査(NDI)プローブは、1つの構造の表面のうちの1つ以上の表面、すなわち上部壁面および底部壁面、または側部壁面の近傍に配置される超音波トランスデューサのような検出素子であった。このようなプローブのトランスデューサ()は多くの場合、構造壁面の反対側のトランスデューサと相互作用する必要があるので、ハット型ストリンガのような構造の外部の外部プローブアセンブリと磁気結合するプローブを保持する内部トランスデューサは、外部プローブと一緒に移動する。磁気結合は、これらのプローブの一方、または両方に位置する蝶番連結コーナー具、または自在コーナー具とともに、これらのプローブの一方、または両方の位置、形状、構成、および/または位置整合状態を、ハット型ストリンガの種々の形状、サイズ、および構成に関連するハット型ストリンガの変化に応じて再適正化するために利用されるものとして知られている。
【0009】
磁気結合は、内部ホルダープローブ部材および外部トランスデューサ固定プローブアセンブリユニットに設けられる対向する磁石の間の距離に対する感度が非常に高い。したがって、従来のシステムは、内部プローブアセンブリおよび外部プローブアセンブリの形状、および/または内部プローブの幅の調整を可能にすることにより、プローブ側壁を、構造の内部および外部それぞれの壁のそれぞれの表面に接触するほど近くに保持しようとする。しかしながら、磁気結合が解除される可能性があり、例えば検査を、磁気的に再結合した内部プローブおよび外部アセンブリと再度、磁気的に再結合させた状態で、再度実施する必要がある。この現象に対する主要な寄与要素は、構造の表面粗さ、および/または表面不規則性である。内部プローブおよび外部トランスデューサ固定アセンブリに設けられる結合磁石の間の磁気結合力は、これらの磁石を隔てる距離の比較的小さな増加に対して著しく低下する。
【発明の概要】
【0010】
外側および内側の表面を有する複数の壁により画定される内部開口部を有する構造を検査する非破壊検査装置および方法が開示され、非破壊検査装置は、複数の外部プローブユニット壁を有する検査装置外部プローブユニットを備えることができ、各外部プローブユニット壁は、各構造壁の複数の外側表面の1つに対応する表面を有し、外部プローブユニットは、第1外部プローブ部材と、そして第2外部プローブ部材とを含み、第1外部プローブ部材および第2外部プローブ部材は、互いに対して磁気結合することにより、第1外部プローブユニット部材の少なくとも1つの外部プローブユニット壁、および第2外部プローブユニット部材の少なくとも1つの外部プローブユニット壁を、構造の各外側表面の近くに、第1外部プローブユニット部材の磁石と第2外部プローブユニット部材の磁石との間の磁気吸着力により押しやり、検査装置はさらに、第2外部プローブユニット部材を、磁気天秤の磁石と第2外部プローブユニット部材の磁石との間の磁気反発力により第1外部プローブユニット部材との第2外部プローブユニット部材の磁気結合が強くなる方向に押しやるように配置される磁気天秤を備えることができる。装置はさらに、複数の内部プローブユニット壁を有する検査装置内部プローブユニットを備えることができ、各内部プローブユニット壁は、構造の内側表面のうちの1つに対応する表面を有し;そして内部プローブユニットは、構造を介して外部プローブユニットに、内部プローブユニットの磁石および外部プローブユニットの磁石の磁気吸着力により磁気結合して、構造の内側部分を通るように、外部プローブユニットと一緒に移動する。内部プローブユニットは、第1内部プローブユニット部材と、そして第2内部プローブユニット部材とを含むことができ、第1内部プローブユニット部材および第2内部プローブユニット部材のうちの少なくとも一方は、第1外部プローブユニット部材および第2外部プローブユニット部材のうちの少なくとも一方と、第1内部プローブユニット部材および第2内部プローブユニット部材のうちの一方の磁石と、第1外部プローブユニット部材および第2外部プローブユニット部材のうちの一方の磁石との間の磁気吸着力により磁気結合して、第1内部プローブユニット部材および第2内部プローブユニット部材のうちの一方、および第1外部プローブユニット部材および第2外部プローブユニット部材のうちの一方の各々を、構造の一つの壁の近くに保持する。第1内部プローブユニット部材および第2内部プローブユニット部材は、第1内部プローブユニット部材の磁石と第2内部プローブユニット部材の磁石との間の磁気反発力により引き離すことができる。
【0011】
装置は、磁気天秤ガイドロッドを備えることができ、磁気天秤ガイドロッドは、第1外部プローブユニット部材から第2外部プローブユニット部材を通って磁気天秤まで延びて、第2外部プローブユニット部材の移動を第1外部プローブユニット部材と磁気天秤との間で誘導する。装置は、第1外部プローブユニット部材および第2外部プローブユニット部材のうちの少なくとも一方を備えることができ、少なくとも一方の外部プローブユニット部材に、非破壊検査探傷用トランスデューサを搭載する。
【0012】
本開示はさらに、外側および内側の表面を有する複数の壁により画定される内部開口部を有する構造を検査する方法を提供し、方法は:複数の外部プローブユニット壁を有する検査装置外部プローブユニットを提供し、各外部プローブユニット壁は、各構造壁の複数の外側表面の1つに対応する表面を有し、外部プローブユニットは、第1外部プローブ部材と、そして第2外部プローブ部材と、を含み、第1外部プローブ部材および第2外部プローブ部材は、互いに対して磁気結合することにより、第1外部プローブユニット部材の少なくとも1つの外部プローブユニット壁、および第2外部プローブユニット部材の少なくとも1つの外部プローブユニット壁を構造の各外側表面の近くに、第1外部プローブユニット部材の磁石と第2外部プローブユニット部材の磁石との間の磁気吸着力により押しやり、そして第2外部プローブユニット部材を、磁気天秤の磁石と第2外部プローブユニット部材の磁石との間の磁気反発力により第1外部プローブユニット部材との第2外部プローブユニット部材の磁気結合が強くなる方向に押しやるように配置される磁気天秤を提供するステップと;複数の内部プローブユニット壁を有する検査装置内部プローブユニットを提供するステップであって、各内部プローブユニット壁が、構造の内側表面のうちの1つに対応する表面を有する、提供するステップと;内部プローブユニットを、構造を介して外部プローブユニットに、内部プローブユニットの磁石および外部プローブユニットの磁石の磁気吸着力により磁気結合させて、構造の内側部分を通るように外部プローブユニットと一緒に移動させるステップと;そしてプローブが構造に沿って移動するときに、検査信号を構造に送信し、そして検査信号を構造から受信するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本開示の1つの実施形態の種々の態様による非破壊検査装置の外部プローブアセンブリ部分の分解斜視図を示している。
【図2】図2は、本開示の1つの実施形態の種々の態様による非破壊検査装置の内部プローブアセンブリ部分の分解斜視図を示している。
【図3】図3は、図1の外部プローブアセンブリの上面図を示している。
【図4】図4は、検査対象の構造の外側部分に部分的に嵌合する外部プローブアセンブリを示している。
【図5】図5は、検査対象の構造の内部に部分的に挿入される内部プローブアセンブリを示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、NDI装置が、ハット型ストリンガ構造支持部材のような検査対象の構造に沿って移動するときの、内部プローブアセンブリおよび外部プローブアセンブリの吸着磁力結合を反発磁力でバランスをとった、または緩和した状態を実現することができる。
【0015】
図1を参照するに、一例として、非破壊検査(「NDI」)システムの外部プローブアセンブリ部分10が図示されており、この外部プローブアセンブリ部分10を検査システムの内部プローブアセンブリ14(図2に示す)と一緒に利用することにより、ハット型ストリンガ構造支持部材(以下、簡便に「ハット型ストリンガ(hat stringers)」と総称する)のような、或る長さの閉鎖空間を画定する壁を有する構造の非破壊検査を実施することができる。
【0016】
外部プローブアセンブリ10は、第1側方部材20を有することができ、この場合、外部プローブ固定部分22が、プローブ固定基台23およびプローブ固定側壁24を有している。側壁24は、内部接触面26を有することができ、この内部接触面26に、車輪軸受(図示せず)を取り付けて、ハット型ストリンガの外部側壁面に沿ったプローブ固定具の移動を容易にすることができる。
【0017】
固定具部分20は、磁石ハウジングブラケットアーム30と磁石ハウジングブラケットアーム32との間に取り付けられる磁石ハウジング28を有することができる。磁石ハウジングは、ギャップ調整延出部34を有することができ、このギャップ調整延出部34を貫通するように、ネジ切りギャップ調整ネジ穴36を形成することができ、このネジ穴36に、ギャップ調整ネジ38が螺合する。磁石ハウジング28は、所定の位置に磁石ハウジングカバー50によって保持される磁石40を収容することができる。
【0018】
NDIシステムアセンブリシャフト42は、側壁24のシャフト取り付けタワー44部分のシャフト貫通穴46を挿通して延びることができる。プローブ固定具部分20のシャフト42上の位置は、一対のシャフト固定ネジ48により固定することができる。
【0019】
外部/外側プローブアセンブリ10はさらに、エンコーダ部材52を含むことができ、このエンコーダ部材52は、エンコーダ部材基台54と、そして内部接触面58を有するエンコーダ部材側壁56と、を有することができ、この内部接触面58に、車輪軸受110を取り付けることができ、これらの車輪軸受110のうちの幾つかの車輪軸受110を図1に観察することができる。
【0020】
エンコーダ部材側壁56は、磁石ハウジングブラケット60を有することができ、この磁石ハウジングブラケット60は磁石ハウジング62を含むことができる。磁石ハウジングブラケット60はさらに、ギャップ調整延出部64を有することができ、このギャップ調整延出部34内に、ギャップ調整ネジ当接面凹凸部66を形成することができる。磁石80は、所定の位置に磁石ハウジングカバー80によって保持される磁石ハウジング62に収容することができる。磁石ハウジングブラケット60はさらに、線形軸受90を収容することができ、この線形軸受90は、磁石ハウジングブラケット60の所定の位置に、一対の軸受固定ネジ92によって保持することができる。エンコーダ部材52は、テーパ状開口112の側壁内部接触面108を有することができる。エンコーダ部材はさらに、この技術分野で公知の磁気結合磁石(図示せず)を、指示線130で指示される所定位置の磁石ハウジングに有する、すなわち、下方に下がった位置の外部プローブアセンブリの第2部材であるエンコーダ部材52の側壁58の上に、内部プローブ12と磁気結合する磁気結合磁石を有することができる。
【0021】
上に説明した構造は基本的に、プローブ固定具20およびエンコーダ部材52それぞれの反対側の端部に同様にプローブ固定具およびエンコーダ部材が配設されていることを理解されたい。
【0022】
エンコーダ部材52には、エンコーダホイール142を含むエンコーダアセンブリ140が搭載され、このエンコーダホイール142は、検査対象の構造の外部側壁に係合し、そして位置を、構造の長さに沿って測定する。プローブ固定具20には、1つ以上のプローブトランスデューサが搭載され、これらのプローブトランスデューサは、例えばトランスデューサ146用のトランスデューサハウジング144に、そしてトランスデューサ150用のトランスデューサハウジング148に収容される。
【0023】
外部プローブアセンブリ10はさらに、磁力天秤装置を含み、この磁力天秤装置は、内部プローブ搬送シャトル12との外部プローブアセンブリ10の磁気結合のバランスをとる/磁気結合を緩和する。クッション機構は、一対の磁石ハウジング162を有するシャフトバー160を含むことができ、これらの磁石ハウジング162は、磁石ハウジングカバー164により所定の位置に保持される磁石170を収容するシャフトバー160のそれぞれの端部に位置する。シャフトバー160は、一対のシャフト開口180を有し、そしてシャフト42上の所定の位置に、それぞれの固定ネジ182により保持される。
【0024】
次に、図2を参照するに、一例として、本開示の1つの実施形態の種々の態様による非破壊検査装置の内部プローブアセンブリ部分12の分解斜視図が図示されている。この内部プローブユニットアセンブリ12は、プローブユニットアセンブリの右側第1部材202と、そしてプローブユニットアセンブリの左側第2部材204と、を有することができる。右側部材202および左側部材204は、互いに対して所定の位置に調整することができるので、複数の分離調整スライド206のうち一つの分離調整スライド206を、対応する分離調整スライド収容部208の内部に摺動可能に係合させることにより、構造の側壁の間隔が変化する検査対象の構造に合うように調整することができる。
【0025】
このようにして、右側部材202および左側部材204のそれぞれの接触側壁210は、各構造側壁と密接に接触する状態を保持することができ、車輪軸受212を有することにより、構造壁に沿って容易に移動することができる。右側部材202および左側部材204は、それぞれの磁石ハウジング220に収容され、かつ磁石ハウジングカバー222により所定の位置に保持される磁石224の反発性磁力によって互いから引き離すことができる。
【0026】
内部プローブシャトル12には、各側に、トランスデューサ238、240に対応するトランスデューサハウジング234、トランスデューサハウジング236を含むそれぞれのトランスデューサ室230,232内に保持されるトランスデューサ236を搭載することができる。
【0027】
図5は、図1に示す外部プローブアセンブリ10の上面図である。
【0028】
動作状態では、内部プローブ12を、図5に示すハット型ストリンガのような構造250の開口に挿入する。次に、図3の上面図に示す外部プローブアセンブリを、図4に示すように、構造250の外側に配置する。内部プローブシャトル12の磁石224と磁石ハウジング130に収容される磁石との間の磁気結合は、エンコーダ部材側壁56の内部で生じるものとして図示されている。磁石ハウジング130のみがエンコーダ部材側壁56に位置し、これが外部アセンブリ10の可能な実施形態であるのに対し、磁気結合磁石224が、内部プローブ12の両側に位置するものとして図示されていて、これも可能な実施形態であり、この場合、外部アセンブリ10は、内部プローブシャトル12と、図1に示すように一方の側で、または両方の側で磁気結合する磁気結合磁石を収容するように構成することもできることを理解されたい。ギャップ調整ネジを調整して、外部プローブアセンブリ10のプローブ固定具20とエンコーダアセンブリ52との間の最小間隔を設定することができる。
【0029】
動作状態では、外部プローブアセンブリが、この技術分野で公知の如く、内部/外部プローブ磁気結合磁石の吸着力により構造250に沿って移動すると、内部プローブ12が外部プローブアセンブリ10と一緒に引きずられる。内部プローブ12の右側部材202および左側部材204は、互いに対して移動することにより、右側部材202および左側部材204の車輪軸受212が構造250の各内部側壁に接触する状態を、磁気吸着力が内部プローブ12の右側部材202および左側部材204の磁石224と外部アセンブリの磁石ハウジング130(この場合、一例として、外部プローブアセンブリ10のエンコーダアセンブリ52内にのみ位置しているものとして図示されている)の磁石(図示せず)との間に働くので保持することができる。
【0030】
外部プローブアセンブリ10のプローブ固定具20およびエンコーダアセンブリ52は、構造250の各外部側壁に密接に接触する状態が、プローブ固定具20およびエンコーダアセンブリ52の側壁20,52の磁石ハウジングブラケット30,32,および60に位置する磁石ハウジング28,62の磁石40,80の吸着力によって保持される。シャフトバー160に位置する磁石170は、エンコーダアセンブリ52に位置する磁石80との間で反発力が作用するように配置される。このように、相互/外部吸着する磁気結合の他に、エンコーダアセンブリ52を、構造250の各側壁に向かって押す別の磁力を用いる。プローブ固定磁石40とエンコーダアセンブリ磁石80との間の磁気吸着結合、およびエンコーダアセンブリ磁石80とシャフトバー磁石170との間の反発磁力が組み合わされた影響を受けるエンコーダアセンブリはシャフト42上を、軸受90を介して移動することにより、検査対象の構造250の幅の変化に合うように、そしてさらに、構造250の側壁の表面凹凸、または他の表面デコボコの変化に合うように調整を行う。これにより、内部/外部磁気結合が破壊される機会を大幅に減らすことができる。
【0031】
本開示の範囲および内容は、上記実施形態に限定されず、かつ範囲および内容に関して、開示の実施形態を開示の主題および請求項の範囲および思想から逸脱しない範囲で変更し、そして変形することができる態様を考慮に入れていると捉えられるべきであり、これらの変更および変形のうちの幾つかは上に記述されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側および内側の表面を有する複数の壁により画定される内部開口部を有する構造を検査するための非破壊検査装置であって、
複数の外部プローブユニット壁を有する検査装置外部プローブユニットを備えており、各外部プローブユニット壁が、各構造壁の複数の外側表面の1つに対応する表面を有し、外部プローブユニットが第1外部プローブ部材と第2外部プローブ部材とを含み、これら第1外部プローブ部材および第2外部プローブ部材が互いに対して磁気結合することによって、第1外部プローブユニット部材の磁石と第2外部プローブユニット部材の磁石との間の磁気吸着力により、第1外部プローブユニット部材の少なくとも1つの外部プローブユニット壁と第2外部プローブユニット部材の少なくとも1つの外部プローブユニット壁とが、構造の対応する外側表面に接近する、検査装置外部プローブユニットと、
磁気天秤の磁石と第2外部プローブユニット部材の磁石との間の磁気反発力により、第2外部プローブユニット部材と第1外部プローブユニット部材との磁気結合が強くなる方向に、第2外部プローブユニット部材を押しやるように配置された磁気天秤と
を備える非破壊検査装置。
【請求項2】
非破壊検査装置が、複数の内部プローブユニット壁を有する検査装置内部プローブユニットをさらに備え、各内部プローブユニット壁が、構造の内側表面のうちの1つの内側表面に対応する表面を有しており、
内部プローブユニットの磁石および外部プローブユニットの磁石の磁気吸着力により、構造を介して外部プローブユニットと内部プローブユニットを磁気結合させて、構造の内側部分を通るように外部プローブユニットと一緒に内部プローブユニットを移動させる、請求項1に記載の非破壊検査装置。
【請求項3】
内部プローブユニットが第1内部プローブユニット部材と第2内部プローブユニット部材とを含み、これら第1内部プローブユニット部材および第2内部プローブユニット部材のうちの少なくとも一方が、第1内部プローブユニット部材および第2内部プローブユニット部材のうちの一方の磁石と、第1外部プローブユニット部材および第2外部プローブユニット部材のうちの一方の磁石との間の磁気吸着力により、第1外部プローブユニット部材および第2外部プローブユニット部材のうちの少なくとも一方に磁気結合されて、第1内部プローブユニット部材および第2内部プローブユニット部材のうちの一方、および第1外部プローブユニット部材および第2外部プローブユニット部材のうちの一方の各々を構造の一つの壁の近くに保持する、請求項2に記載の非破壊検査装置。
【請求項4】
第1内部プローブユニット部材の磁石と第2内部プローブユニット部材の磁石との間の磁気反発力により、第1内部プローブユニット部材と第2内部プローブユニット部材とを引き離す、請求項3に記載の非破壊検査装置。
【請求項5】
磁気天秤ガイドロッドが、第1外部プローブユニット部材から第2外部プローブユニット部材を通って磁気天秤まで延びて、第1外部プローブユニット部材と磁気天秤との間での第2外部プローブユニット部材の移動を誘導する、請求項1に記載の非破壊検査装置。
【請求項6】
第1外部プローブユニット部材、および第2外部プローブユニット部材のうちの少なくとも一方に、非破壊検査探傷器用トランスデューサが搭載されている、請求項1に記載の非破壊検査装置。
【請求項7】
第1外部プローブユニット部材、第2外部プローブユニット部材、および内部プローブユニットのうちの少なくとも1つに、非破壊検査探傷器が搭載されている、請求項2に記載の非破壊検査装置。
【請求項8】
第1外部プローブユニット部材、第2外部プローブユニット部材、第1内部プローブユニット部材、および第2内部プローブユニット部材のうちの少なくとも1つに、非破壊検査探傷器用トランスデューサが搭載されている、請求項3に記載の非破壊検査装置。
【請求項9】
外側および内側の表面を有する複数の壁により画定される内部開口部を有する構造の検査方法であって、
複数の外部プローブユニット壁を有する検査装置外部プローブユニットであって、各外部プローブユニット壁が、各構造壁の複数の外側表面の1つに対応する表面を有し、外部プローブユニットが第1外部プローブ部材と第2外部プローブ部材とを含み、これら第1外部プローブ部材および第2外部プローブ部材が互いに磁気結合することによって、第1外部プローブユニット部材の磁石と第2外部プローブユニット部材の磁石との間の磁気吸着力により、第1外部プローブユニット部材の少なくとも1つの外部プローブユニット壁、および第2外部プローブユニット部材の少なくとも1つの外部プローブユニット壁を、構造の各外側表面に接近させる検査装置外部プローブユニットと;磁気天秤であって、磁気天秤の磁石と第2外部プローブユニット部材の磁石との間の磁気反発力により、第1外部プローブユニット部材と第2外部プローブユニット部材との磁気結合が強くなる方向に、第2外部プローブユニット部材を押しやるように配置された磁気天秤とを提供するステップと、
複数の内部プローブユニット壁を有する検査装置内部プローブユニットを提供するステップであって、各内部プローブユニット壁が、構造の内側表面のうちの1つに対応する表面を有するステップと、
内部プローブユニットの磁石および外部プローブユニットの磁石の磁気吸着力により、構造を介して外部プローブユニットと内部プローブユニットとを磁気結合させて、構造の内側部分を通るように外部プローブユニットと一緒に内部プローブユニットを移動させるステップと、
プローブが構造に沿って移動するときに、検査信号を構造に送信して、検査信号を構造から受信するステップと
を含む方法。
【請求項10】
内部プローブユニットが第1内部プローブユニット部材と第2内部プローブユニット部材とを含み、これら第1内部プローブユニット部材および第2内部プローブユニット部材のうちの少なくとも一方が、第1内部プローブユニット部材および第2内部プローブユニット部材のうちの一方の磁石と、第1外部プローブユニット部材および第2外部プローブユニット部材のうちの一方の磁石との間の磁気吸着力により、第1外部プローブユニット部材および第2外部プローブユニット部材のうちの少なくとも一方に磁気結合されて、第1内部プローブユニット部材および第2内部プローブユニット部材のうちの一方、および第1外部プローブユニット部材および第2外部プローブユニット部材のうちの一方の各々を、構造の一つの壁の近くに保持する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第1内部プローブユニット部材の磁石と第2内部プローブユニット部材の磁石との間の磁気反発力により、第1内部プローブユニット部材と第2内部プローブユニット部材とを引き離す、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
磁気天秤ガイドロッドが、第1外部プローブユニット部材から第2外部プローブユニット部材を通って磁気天秤まで延びて、第1外部プローブユニット部材と磁気天秤との間での第2外部プローブユニット部材の移動を誘導する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
第1外部プローブユニット部材および第2外部プローブユニット部材のうちの少なくとも一方に非破壊検査探傷用トランスデューサを搭載する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
第1外部プローブユニット部材、第2外部プローブユニット部材、および内部プローブユニットのうちの少なくとも1つに、非破壊検査探傷器を搭載する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
第1外部プローブユニット部材、第2外部プローブユニット部材、第1内部プローブユニット部材、および第2内部プローブユニット部材のうちの少なくとも1つに、非破壊検査探傷用トランスデューサを搭載する、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−514532(P2013−514532A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544529(P2012−544529)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/056612
【国際公開番号】WO2011/075253
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】