磁気カード読取装置
【課題】屋外設置の自動販売機に適応可能であって、磁気カードを読取操作が利用者に容易であるようにしたスワイプ方式の磁気カード読取装置を提供することを目的とする。
【解決手段】装置正面上部に形成された凹部に設けられたカード差込口と、該カード差込口に上流端が連通してかつ下流端が装置本体下面に達するよう垂直方向に直線的に形成されたスリット状のカード通路と、該カード通路の前面の略全長を開閉自在に覆うシャッタとを備え、前記凹部と前記カード通路との間にはガイド面が形成され、前記シャッタは、拡開時に磁気カードを案内するためのガイドリブを有し、さらに、待機状態において前記カード通路を覆うように付勢されて前記カード差込口側の端部と前記ガイド面とが当接し、かつ、前記カード差込口に磁気カードが差し込まれると該磁気カードの片面に当接しながら前記磁気カード読取装置手前に拡開するように設けるようにした。
【解決手段】装置正面上部に形成された凹部に設けられたカード差込口と、該カード差込口に上流端が連通してかつ下流端が装置本体下面に達するよう垂直方向に直線的に形成されたスリット状のカード通路と、該カード通路の前面の略全長を開閉自在に覆うシャッタとを備え、前記凹部と前記カード通路との間にはガイド面が形成され、前記シャッタは、拡開時に磁気カードを案内するためのガイドリブを有し、さらに、待機状態において前記カード通路を覆うように付勢されて前記カード差込口側の端部と前記ガイド面とが当接し、かつ、前記カード差込口に磁気カードが差し込まれると該磁気カードの片面に当接しながら前記磁気カード読取装置手前に拡開するように設けるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機等の機器外部に配設された磁気カード読取装置に関し、特にスワイプ方式の磁気カード読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金融機関や自動販売機等において、キャッシュレスや個人認証等を実現するためのカードとして、磁気カードが用いられている。磁気カードは、プラスチック基板表面に磁気ストライプが形成されたカードであり、磁気カードに対する情報の読み取りは、磁気ヘッドを備えた磁気カード読取装置によって行われる。
【0003】
磁気カード読取装置におけるカードの読取方式にはいくつか種類があり、その一つには、銀行のATM(Automatic Teller Machine)に用いられるもので、磁気カードを装置内部に引き込み、装置内部に設けられた磁気ヘッドによって情報を読み取る方式が知られている。この方式は、モータを用いて磁気カードを自動的に搬送してくれるという利点がある一方、磁気カードの搬送中に装置内部に磁気カードが詰まったり、磁気カードを取り忘れたりする虞があるという難点がある。
【0004】
搬送モータを用いない手動式の磁気カード読取方法には、磁気カードを装置に半分程押し込んだ状態で情報の読み取りを行うディップ方式や、磁気カードを装置に設けられたスリット部にスライドさせて読み取りを行うスワイプ方式等がある。この内、特に、スワイプ方式の磁気カード読取装置は、装置に情報を読み取らせる際に、常に利用者が磁気カードから手を離さないので、カード詰まりや取り忘れの危険性はない。また、悪戯や間違いによって侵入した異物は、スリット部からの排除が可能である。
【0005】
ここで、これら従来の磁気カード読取装置は、全て屋内設置を想定して開発されたものである。その為、屋外に磁気カード読取装置を設置する場合は、該装置を配設する機器の筐体側に、カード挿入口上方に屋根を設けたり、カード挿入口の手前にカバーやシャッタを設けたりするようにして、防塵や防水等の耐候対策を施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/276320号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記磁気カード読取装置を、例えば、自動販売機の装置外部の正面扉に取り付ける場合、設計上の制約により、その標準的取付位置は、高さ約85cm程度の位置となる。この位置は、一般的な成人の腰から大腿辺りの高さであるので、操作がし難く、装置に操作方法が記載されていても、それを認識するのが困難である。また、屋外に設置する場合は更に、屋根、カバーやシャッタがスムーズな操作の妨げになる虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点を解決し、屋外設置の自動販売機に適応可能であって、磁気カードの読取操作が利用者に容易であるようにしたスワイプ方式の磁気カード読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の磁気カード読取装置では、該装置正面上部に設けられたカード差込口と、上流端が前記カード差込口に連通してかつ下流端が前記装置本体下面に達するよう垂直方向に直線的に形成されたスリット状のカード通路と、該カード通路の前面の略全長を開閉自在に覆うシャッタとを備え、前記カード差込口は前記磁気カード読取装置本体正面に形成された凹部に設けられて、該凹部と前記カード通路との間にはガイド面が形成され、前記シャッタには拡開時に磁気カードを案内するためのリブが形成され、さらに、前記シャッタは、待機状態において前記カード通路を覆うように付勢されて前記カード差込口側の端部と前記ガイド面とが当接し、かつ、前記カード差込口に磁気カードが差し込まれると該磁気カードの片面に当接しながら前記磁気カード読取装置手前に拡開するように設けるようにしている。
【発明の効果】
【0010】
このように、本発明の磁気カード読取装置では、シャッタを設け、装置正面に設けたカード差込口から磁気カードを水平奥方向に差し込むことのみにより、シャッタを拡開して、カード差込口の垂直下方に連通するカード通路を開放し、磁気カードを垂直下方にスライドさせるようにしたので、上方および前方からの雨水や塵埃の装置内部への侵入を防止するとともに、磁気カード差込位置およびスライド方向の認識、磁気カード読取操作が容易にでき、さらに、誤った位置からの磁気カードを挿入するなどの誤操作を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る磁気カード読取装置の正面図。
【図2】本発明に係る磁気カード読取装置の右側面図。
【図3】本発明に係る磁気カード読取装置の平面図。
【図4A】図1におけるA−A切断部端面図。
【図4B】図1におけるB−B切断部端面図。
【図5A】図4Aの部分拡大図
【図5B】図4Bの部分拡大図。
【図6A】磁気カードがカード差込口に挿入される直前を示す磁気カード読取装置の斜視図。
【図6B】磁気カードがカード差込口に挿入された状態を示す磁気カード読取装置の斜視図。
【図6C】磁気カードがカード通路内を通過する様子を示す磁気カード読取装置の斜視図。
【図6D】磁気カードがカード通路を通過した後の状態を示す磁気カード読取装置の斜視図。
【図7A】磁気カードがカード差込口に挿入される直前を示す図4Aの部分拡大図。
【図7B】磁気カードがカード差込口に挿入された状態を示す図4Aの部分拡大図。
【図7C】磁気カードがカード通路内を通過する様子を示す図4Bの部分拡大図。
【図7D】磁気カードがカード通路を通過した後の状態を示す図4Bの部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る磁気カード読取装置の一実施例を示して詳述する。
【0013】
図1〜図3に示す、磁気カード読取装置1は、筐体からなる本体2と、本体2の右側面および正面右部を覆うシャッタ3と、磁気カードC(図5A等参照。以下同様)を磁気カード読取装置1の正面側から水平奥方向へ挿入するように設けられたカード差込口4とから主に構成される。
【0014】
本体2には、その正面に開口して、上流端がカード差込口4に連通してかつ下流端が本体2の下面に達するよう、垂直方向(図1における上下方向。以下同様)に直線的に形成されたスリット状のカード通路21が設けられており、このカード通路21前面の略全長は、シャッタ3の正面側端部31によって開閉自在に覆われている。そして、本体2内部には、カード通路21に沿って磁気ヘッド22配置されて、カード差込口4に挿入された磁気カードCがカード通路21に沿って下方にスライドすると、磁気カードCの磁気ストライプ部が磁気ヘッド22に摺接しながら、磁気ストライプに記憶されているデータの読み取りが行なわれるようにしている。
【0015】
また、シャッタ3は、図4Aおよび図4Bに示すように、本体2の右側面および正面右部を覆うよう、断面略L字形状に設けられており、本体2に設けられた軸32を介して回転自在に支承されている。この軸32を中心として、図示せぬバネ等によって図示X方向に付勢力が作用しており、待機時においては、シャッタ3の正面側の端部31がカード通路21の前方へと突出してカード通路21の前面を覆うようにしている。
【0016】
さらに、本体2正面上部であって、カード通路21の図示左方には、垂直方向長さが磁気カードCの長手方向長さと同等である凹部23が形成され、凹部23とカード通路21との間にはなだらかに湾曲したガイド面24が形成されている。そして、待機時において、すなわち、シャッタ3が閉塞した状態においては、このガイド面24とシャッタ3の正面側の端部31とは、互いに当接している。
この際の、カード通路21の中心から、シャッタ3の正面側端部31およびガイド面24の当接位置までの図示左右方向距離Wは、1.5〜2.5mmであることが好ましい(図5A参照)。 これは、距離Wが1.5mmより小さい値である場合、ガイド面24とシャッタ3正面側端部31との当接部がカード通路21と略同位置になり雨水または埃が装置内部に直接侵入する恐れがある一方、距離Wが2.5mmより大きい値である場合、磁気カードCを差し込むだけでは、上記付勢力に抗してシャッタ3を拡開することができず、利用者がもう一方の手でシャッタ3を拡開する操作が必要となるからである。
【0017】
ここで、シャッタ3の正面側端部31の上部には、ガイドリブ33が複数設けられて、磁気カードCをガイド面23およびシャッタ3の当接部へと誘導するようにしている(図1等参照)。
なお、図1に示すように、本体2の凹部21に、磁気カードCの差込位置を誘導する発光部25を設けて、発光または点滅等によって、利用者に磁気カードの挿入を促すようにしてもよい。
【0018】
そして、上記本体のガイド面24とシャッタ3の正面側端部31によって、カード差込口4が形成されており、ガイド面24またはシャッタ3の正面側端部31に押し当てられた磁気カードCを、ガイド面24の曲面またはガイドリブ33によって、カード差込口4に誘導するようにしている(図5A)。磁気カードCがさらに奥へと押し込まれると、図示X方向の付勢力に抗してシャッタ3が拡開し、磁気カードCをカード通路21に差し込むことができるようにしている。
【0019】
なお、磁気カード読取装置1下部においては本体2正面とシャッタ3の正面側端部31の正面とは、略同一面になるように形成されている。これによって、カード通路21の下流側において、直接磁気カードCを差し込んでも、シャッタ3は開かないようにしている。また、カード通路21の下流端において、上方に向けて磁気カードを差し込んでも、同様に、シャッタ3は開かないようにしている(図5B参照)。
【0020】
そして、このような磁気カード読取装置1は、本体2の背面に設けられた取付具5(図2および図3参照)によって、図示せぬ自動販売機等の機器に取り付けられるものである。
【0021】
次に、本発明の磁気カード読取装置1における、磁気カード読取動作について説明すると共に、シャッタ3の働きをより詳細に説明する。
【0022】
図6Aおよび図7Aに示すように、待機状態の磁気カード読取装置1において、シャッタ3は軸32(図4A等参照)を中心とするX方向への付勢力によりカード通路21前面を閉塞した状態である。利用者は、凹部23、ガイド面24、発光部25およびガイドリブ33等により誘導されて、カード差込口4に磁気カードCを押し付ける。
【0023】
図6Bおよび図7Bに示すように、ガイド面24とシャッタ3の正面側端部31との当接部に誘導された磁気カードCを、より水平奥方向へと押し込むと、磁気カードCは、ガイド面24およびガイドリブ33によって誘導されて、カード差込口4内に挿入され、カード通路21に差し込まれる。この際、シャッタ3は、正面側端部31が磁気カードCの片面に当接しながら、Y回転方向に拡開するので、カード差込口4より下方に連通するカード通路21が開放されて、利用者に磁気カードCを垂直下方にスライドさせるように認識させることとなる。
【0024】
図6Cおよび図7Cに示すように、開放されたカード通路21に誘導されて、磁気カードCを垂直下方にスライドさせている間、磁気カードCの片面がシャッタ3の正面側端部31に当接して、シャッタ3が閉塞するX方向への付勢力に対抗し、カード通路21は開放された状態を維持する。この際、カード通路21内に設けられた磁気ヘッド22に、磁気カードCの磁気ストライプ部が摺接して、磁気ストライプに記憶されているデータの読み取りが行なわれる。
【0025】
図6Dおよび図7Dに示すように、磁気カード読取装置1の下部において、磁気カードCをカード通路21の下流端から抜き取ると、シャッタ3は軸32(図4A等参照)を中心とするX方向への付勢力により、カード通路21前面を覆うように閉塞する。
【0026】
このように、本発明の磁気カード読取装置では、シャッタを設け、装置正面に設けたカード差込口から磁気カードを水平奥方向に差し込むことのみにより、シャッタを拡開して、カード差込口の垂直下方に連通するカード通路を開放し、磁気カードを垂直下方にスライドさせるようにしている。
【0027】
磁気カード読取装置に対して、磁気カードを正面から水平奥方向に差し込んだ後、垂直下方にスライドさせながら磁気情報を読み取る方式により、磁気カード読取装置を自動販売機等に設置する場合であっても、自動販売機正面扉から流れ落ちた雨水から磁気カードの通路を守ることができる。
【0028】
そして、待機時においては、シャッタがカード通路前面を閉塞しているので、正面から吹き付ける雨水や塵埃の装置内部への侵入を防止することができる。このシャッタは、拡開する際に、磁気カードの片面に接しながら手前方向に拡開することで、カードの側面に付着した雨水を削ぎ落とし、雨水の装置内部への侵入を更に防止することができる。
【0029】
また、シャッタを磁気カード読取装置側に設けて、磁気カードを差し込むことでシャッタを拡開するようにしたので、磁気カード読取装置を配設する機器の筐体側に、屋根やカバーを設ける必要がなく、磁気カードを差し込む際に差し込み位置を確認するのに屋根の下を覗き込んだり、磁気カードを差し込む前にカバーを開く必要がない。
【0030】
さらに、カード差込口左方に凹部およびガイド面を形成して、かつシャッタ正面側端部にガイドリブを設けたので、磁気カードの差込位置の認識が容易であり、磁気カードの差込によるシャッタの拡開によってカード通路を開放するようにしたので、磁気カードを垂直下方にスライドさせることの認識が容易である。
【0031】
したがって、磁気カード読取装置を自動販売機等に設置する場合、取付位置が下方であっても、磁気カード読取のスムーズな操作が実現できる。また、カード差込口以外の箇所から、磁気カードを差し込もうとしてもシャッタは拡開しないので、誤操作を防止できる。
【0032】
以上により、本発明は、屋外設置の自動販売機に対応可能であって、磁気カードの読取操作が利用者に容易であるようにしたスワイプ方式の磁気カード読取装置を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は磁気ストライプを有する磁気カードの読取装置、例えば、クレジットカード、キャッシュカードおよびポイントカード等の磁気カード読取装置に利用でき、屋外設置型の無人機器への取付にも対応可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 磁気カード読取装置
2 本体
21 カード通路
22 磁気ヘッド
23 凹部
24 ガイド
25 発光部
3 シャッタ
31 正面側端部
32 軸
33 ガイドリブ
4 カード差込口
5 止め具
C 磁気カード
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機等の機器外部に配設された磁気カード読取装置に関し、特にスワイプ方式の磁気カード読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金融機関や自動販売機等において、キャッシュレスや個人認証等を実現するためのカードとして、磁気カードが用いられている。磁気カードは、プラスチック基板表面に磁気ストライプが形成されたカードであり、磁気カードに対する情報の読み取りは、磁気ヘッドを備えた磁気カード読取装置によって行われる。
【0003】
磁気カード読取装置におけるカードの読取方式にはいくつか種類があり、その一つには、銀行のATM(Automatic Teller Machine)に用いられるもので、磁気カードを装置内部に引き込み、装置内部に設けられた磁気ヘッドによって情報を読み取る方式が知られている。この方式は、モータを用いて磁気カードを自動的に搬送してくれるという利点がある一方、磁気カードの搬送中に装置内部に磁気カードが詰まったり、磁気カードを取り忘れたりする虞があるという難点がある。
【0004】
搬送モータを用いない手動式の磁気カード読取方法には、磁気カードを装置に半分程押し込んだ状態で情報の読み取りを行うディップ方式や、磁気カードを装置に設けられたスリット部にスライドさせて読み取りを行うスワイプ方式等がある。この内、特に、スワイプ方式の磁気カード読取装置は、装置に情報を読み取らせる際に、常に利用者が磁気カードから手を離さないので、カード詰まりや取り忘れの危険性はない。また、悪戯や間違いによって侵入した異物は、スリット部からの排除が可能である。
【0005】
ここで、これら従来の磁気カード読取装置は、全て屋内設置を想定して開発されたものである。その為、屋外に磁気カード読取装置を設置する場合は、該装置を配設する機器の筐体側に、カード挿入口上方に屋根を設けたり、カード挿入口の手前にカバーやシャッタを設けたりするようにして、防塵や防水等の耐候対策を施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/276320号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記磁気カード読取装置を、例えば、自動販売機の装置外部の正面扉に取り付ける場合、設計上の制約により、その標準的取付位置は、高さ約85cm程度の位置となる。この位置は、一般的な成人の腰から大腿辺りの高さであるので、操作がし難く、装置に操作方法が記載されていても、それを認識するのが困難である。また、屋外に設置する場合は更に、屋根、カバーやシャッタがスムーズな操作の妨げになる虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点を解決し、屋外設置の自動販売機に適応可能であって、磁気カードの読取操作が利用者に容易であるようにしたスワイプ方式の磁気カード読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の磁気カード読取装置では、該装置正面上部に設けられたカード差込口と、上流端が前記カード差込口に連通してかつ下流端が前記装置本体下面に達するよう垂直方向に直線的に形成されたスリット状のカード通路と、該カード通路の前面の略全長を開閉自在に覆うシャッタとを備え、前記カード差込口は前記磁気カード読取装置本体正面に形成された凹部に設けられて、該凹部と前記カード通路との間にはガイド面が形成され、前記シャッタには拡開時に磁気カードを案内するためのリブが形成され、さらに、前記シャッタは、待機状態において前記カード通路を覆うように付勢されて前記カード差込口側の端部と前記ガイド面とが当接し、かつ、前記カード差込口に磁気カードが差し込まれると該磁気カードの片面に当接しながら前記磁気カード読取装置手前に拡開するように設けるようにしている。
【発明の効果】
【0010】
このように、本発明の磁気カード読取装置では、シャッタを設け、装置正面に設けたカード差込口から磁気カードを水平奥方向に差し込むことのみにより、シャッタを拡開して、カード差込口の垂直下方に連通するカード通路を開放し、磁気カードを垂直下方にスライドさせるようにしたので、上方および前方からの雨水や塵埃の装置内部への侵入を防止するとともに、磁気カード差込位置およびスライド方向の認識、磁気カード読取操作が容易にでき、さらに、誤った位置からの磁気カードを挿入するなどの誤操作を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る磁気カード読取装置の正面図。
【図2】本発明に係る磁気カード読取装置の右側面図。
【図3】本発明に係る磁気カード読取装置の平面図。
【図4A】図1におけるA−A切断部端面図。
【図4B】図1におけるB−B切断部端面図。
【図5A】図4Aの部分拡大図
【図5B】図4Bの部分拡大図。
【図6A】磁気カードがカード差込口に挿入される直前を示す磁気カード読取装置の斜視図。
【図6B】磁気カードがカード差込口に挿入された状態を示す磁気カード読取装置の斜視図。
【図6C】磁気カードがカード通路内を通過する様子を示す磁気カード読取装置の斜視図。
【図6D】磁気カードがカード通路を通過した後の状態を示す磁気カード読取装置の斜視図。
【図7A】磁気カードがカード差込口に挿入される直前を示す図4Aの部分拡大図。
【図7B】磁気カードがカード差込口に挿入された状態を示す図4Aの部分拡大図。
【図7C】磁気カードがカード通路内を通過する様子を示す図4Bの部分拡大図。
【図7D】磁気カードがカード通路を通過した後の状態を示す図4Bの部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る磁気カード読取装置の一実施例を示して詳述する。
【0013】
図1〜図3に示す、磁気カード読取装置1は、筐体からなる本体2と、本体2の右側面および正面右部を覆うシャッタ3と、磁気カードC(図5A等参照。以下同様)を磁気カード読取装置1の正面側から水平奥方向へ挿入するように設けられたカード差込口4とから主に構成される。
【0014】
本体2には、その正面に開口して、上流端がカード差込口4に連通してかつ下流端が本体2の下面に達するよう、垂直方向(図1における上下方向。以下同様)に直線的に形成されたスリット状のカード通路21が設けられており、このカード通路21前面の略全長は、シャッタ3の正面側端部31によって開閉自在に覆われている。そして、本体2内部には、カード通路21に沿って磁気ヘッド22配置されて、カード差込口4に挿入された磁気カードCがカード通路21に沿って下方にスライドすると、磁気カードCの磁気ストライプ部が磁気ヘッド22に摺接しながら、磁気ストライプに記憶されているデータの読み取りが行なわれるようにしている。
【0015】
また、シャッタ3は、図4Aおよび図4Bに示すように、本体2の右側面および正面右部を覆うよう、断面略L字形状に設けられており、本体2に設けられた軸32を介して回転自在に支承されている。この軸32を中心として、図示せぬバネ等によって図示X方向に付勢力が作用しており、待機時においては、シャッタ3の正面側の端部31がカード通路21の前方へと突出してカード通路21の前面を覆うようにしている。
【0016】
さらに、本体2正面上部であって、カード通路21の図示左方には、垂直方向長さが磁気カードCの長手方向長さと同等である凹部23が形成され、凹部23とカード通路21との間にはなだらかに湾曲したガイド面24が形成されている。そして、待機時において、すなわち、シャッタ3が閉塞した状態においては、このガイド面24とシャッタ3の正面側の端部31とは、互いに当接している。
この際の、カード通路21の中心から、シャッタ3の正面側端部31およびガイド面24の当接位置までの図示左右方向距離Wは、1.5〜2.5mmであることが好ましい(図5A参照)。 これは、距離Wが1.5mmより小さい値である場合、ガイド面24とシャッタ3正面側端部31との当接部がカード通路21と略同位置になり雨水または埃が装置内部に直接侵入する恐れがある一方、距離Wが2.5mmより大きい値である場合、磁気カードCを差し込むだけでは、上記付勢力に抗してシャッタ3を拡開することができず、利用者がもう一方の手でシャッタ3を拡開する操作が必要となるからである。
【0017】
ここで、シャッタ3の正面側端部31の上部には、ガイドリブ33が複数設けられて、磁気カードCをガイド面23およびシャッタ3の当接部へと誘導するようにしている(図1等参照)。
なお、図1に示すように、本体2の凹部21に、磁気カードCの差込位置を誘導する発光部25を設けて、発光または点滅等によって、利用者に磁気カードの挿入を促すようにしてもよい。
【0018】
そして、上記本体のガイド面24とシャッタ3の正面側端部31によって、カード差込口4が形成されており、ガイド面24またはシャッタ3の正面側端部31に押し当てられた磁気カードCを、ガイド面24の曲面またはガイドリブ33によって、カード差込口4に誘導するようにしている(図5A)。磁気カードCがさらに奥へと押し込まれると、図示X方向の付勢力に抗してシャッタ3が拡開し、磁気カードCをカード通路21に差し込むことができるようにしている。
【0019】
なお、磁気カード読取装置1下部においては本体2正面とシャッタ3の正面側端部31の正面とは、略同一面になるように形成されている。これによって、カード通路21の下流側において、直接磁気カードCを差し込んでも、シャッタ3は開かないようにしている。また、カード通路21の下流端において、上方に向けて磁気カードを差し込んでも、同様に、シャッタ3は開かないようにしている(図5B参照)。
【0020】
そして、このような磁気カード読取装置1は、本体2の背面に設けられた取付具5(図2および図3参照)によって、図示せぬ自動販売機等の機器に取り付けられるものである。
【0021】
次に、本発明の磁気カード読取装置1における、磁気カード読取動作について説明すると共に、シャッタ3の働きをより詳細に説明する。
【0022】
図6Aおよび図7Aに示すように、待機状態の磁気カード読取装置1において、シャッタ3は軸32(図4A等参照)を中心とするX方向への付勢力によりカード通路21前面を閉塞した状態である。利用者は、凹部23、ガイド面24、発光部25およびガイドリブ33等により誘導されて、カード差込口4に磁気カードCを押し付ける。
【0023】
図6Bおよび図7Bに示すように、ガイド面24とシャッタ3の正面側端部31との当接部に誘導された磁気カードCを、より水平奥方向へと押し込むと、磁気カードCは、ガイド面24およびガイドリブ33によって誘導されて、カード差込口4内に挿入され、カード通路21に差し込まれる。この際、シャッタ3は、正面側端部31が磁気カードCの片面に当接しながら、Y回転方向に拡開するので、カード差込口4より下方に連通するカード通路21が開放されて、利用者に磁気カードCを垂直下方にスライドさせるように認識させることとなる。
【0024】
図6Cおよび図7Cに示すように、開放されたカード通路21に誘導されて、磁気カードCを垂直下方にスライドさせている間、磁気カードCの片面がシャッタ3の正面側端部31に当接して、シャッタ3が閉塞するX方向への付勢力に対抗し、カード通路21は開放された状態を維持する。この際、カード通路21内に設けられた磁気ヘッド22に、磁気カードCの磁気ストライプ部が摺接して、磁気ストライプに記憶されているデータの読み取りが行なわれる。
【0025】
図6Dおよび図7Dに示すように、磁気カード読取装置1の下部において、磁気カードCをカード通路21の下流端から抜き取ると、シャッタ3は軸32(図4A等参照)を中心とするX方向への付勢力により、カード通路21前面を覆うように閉塞する。
【0026】
このように、本発明の磁気カード読取装置では、シャッタを設け、装置正面に設けたカード差込口から磁気カードを水平奥方向に差し込むことのみにより、シャッタを拡開して、カード差込口の垂直下方に連通するカード通路を開放し、磁気カードを垂直下方にスライドさせるようにしている。
【0027】
磁気カード読取装置に対して、磁気カードを正面から水平奥方向に差し込んだ後、垂直下方にスライドさせながら磁気情報を読み取る方式により、磁気カード読取装置を自動販売機等に設置する場合であっても、自動販売機正面扉から流れ落ちた雨水から磁気カードの通路を守ることができる。
【0028】
そして、待機時においては、シャッタがカード通路前面を閉塞しているので、正面から吹き付ける雨水や塵埃の装置内部への侵入を防止することができる。このシャッタは、拡開する際に、磁気カードの片面に接しながら手前方向に拡開することで、カードの側面に付着した雨水を削ぎ落とし、雨水の装置内部への侵入を更に防止することができる。
【0029】
また、シャッタを磁気カード読取装置側に設けて、磁気カードを差し込むことでシャッタを拡開するようにしたので、磁気カード読取装置を配設する機器の筐体側に、屋根やカバーを設ける必要がなく、磁気カードを差し込む際に差し込み位置を確認するのに屋根の下を覗き込んだり、磁気カードを差し込む前にカバーを開く必要がない。
【0030】
さらに、カード差込口左方に凹部およびガイド面を形成して、かつシャッタ正面側端部にガイドリブを設けたので、磁気カードの差込位置の認識が容易であり、磁気カードの差込によるシャッタの拡開によってカード通路を開放するようにしたので、磁気カードを垂直下方にスライドさせることの認識が容易である。
【0031】
したがって、磁気カード読取装置を自動販売機等に設置する場合、取付位置が下方であっても、磁気カード読取のスムーズな操作が実現できる。また、カード差込口以外の箇所から、磁気カードを差し込もうとしてもシャッタは拡開しないので、誤操作を防止できる。
【0032】
以上により、本発明は、屋外設置の自動販売機に対応可能であって、磁気カードの読取操作が利用者に容易であるようにしたスワイプ方式の磁気カード読取装置を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は磁気ストライプを有する磁気カードの読取装置、例えば、クレジットカード、キャッシュカードおよびポイントカード等の磁気カード読取装置に利用でき、屋外設置型の無人機器への取付にも対応可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 磁気カード読取装置
2 本体
21 カード通路
22 磁気ヘッド
23 凹部
24 ガイド
25 発光部
3 シャッタ
31 正面側端部
32 軸
33 ガイドリブ
4 カード差込口
5 止め具
C 磁気カード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スワイプ方式の磁気カード読取装置であって、
該装置正面上部に設けられたカード差込口と、
上流端が前記カード差込口に連通してかつ下流端が前記装置本体下面に達するよう垂直方向に直線的に形成されたスリット状のカード通路と、
該カード通路の前面の略全長を開閉自在に覆うシャッタとを備え、
前記カード差込口は前記磁気カード読取装置本体正面に形成された凹部に設けられて、該凹部と前記カード通路との間にはガイド面が形成され、
前記シャッタには拡開時に磁気カードを案内するためのガイドリブが形成され、
さらに、前記シャッタは、待機状態において前記カード通路を覆うように付勢されて前記カード差込口側の端部と前記ガイド面とが当接し、かつ、前記カード差込口に磁気カードが差し込まれると該磁気カードの片面に当接しながら前記磁気カード読取装置手前に拡開するように設けられることを特徴とする磁気カード読取装置。
【請求項2】
前記シャッタのカード差込口側の端部および前記ガイド面の当接部と、前記カード通路の中心との水平方向距離が、1.5〜2.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の磁気カード読取装置。
【請求項1】
スワイプ方式の磁気カード読取装置であって、
該装置正面上部に設けられたカード差込口と、
上流端が前記カード差込口に連通してかつ下流端が前記装置本体下面に達するよう垂直方向に直線的に形成されたスリット状のカード通路と、
該カード通路の前面の略全長を開閉自在に覆うシャッタとを備え、
前記カード差込口は前記磁気カード読取装置本体正面に形成された凹部に設けられて、該凹部と前記カード通路との間にはガイド面が形成され、
前記シャッタには拡開時に磁気カードを案内するためのガイドリブが形成され、
さらに、前記シャッタは、待機状態において前記カード通路を覆うように付勢されて前記カード差込口側の端部と前記ガイド面とが当接し、かつ、前記カード差込口に磁気カードが差し込まれると該磁気カードの片面に当接しながら前記磁気カード読取装置手前に拡開するように設けられることを特徴とする磁気カード読取装置。
【請求項2】
前記シャッタのカード差込口側の端部および前記ガイド面の当接部と、前記カード通路の中心との水平方向距離が、1.5〜2.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の磁気カード読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【公開番号】特開2013−73460(P2013−73460A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212716(P2011−212716)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(307003777)株式会社日本コンラックス (140)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(307003777)株式会社日本コンラックス (140)
【Fターム(参考)】
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