説明

磁気シールド

同一平面にある、電磁的遮蔽特性を有する少なくとも2枚のシートを有するラミネートパネルを備えてなり、これらのシートが、各シート縁部に沿って重なり合うように、互いにずらして配置されて連結されてなる、予め製造された磁気シールド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気シールドおよびそのようなシールドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子システムまたはサブシステムが、電磁的妨害により損なわれずに、信頼性良く作動するために、電磁的干渉を排除する必要がある環境の数が増加している。磁気シールドは、新しい建物の建造において益々重要な特徴になっている。
【発明の開示】
【0003】
本発明は、改良された磁気シールドを提供する。
【0004】
本発明の一態様で、同一平面にある、電磁的遮蔽特性を有する少なくとも2枚のシートを有するラミネートパネルを備えてなり、これらのシートが、各シート縁部に沿って重なり合うように、互いにずらして配置されて連結されてなる、予め製造された磁気シールドを提供する。
【0005】
好ましくは、このパネルは、2〜5枚のシートを備えてなる。より好ましくは、このパネルは3枚のシートを備えてなる。
【0006】
さらに好ましくは、これらのシートは、透過性が高い材料で製造される。好ましくは、これらのシートは、高透過性ケイ素鋼から製造される。
【0007】
好ましくは、この磁気シールドは、複数のパネルを備えてなり、これらの複数のパネルが、あるパネルの各シートの縁部が隣り合ったパネルの各シートの対応する縁部と隣接するように、一つに連結されている。
【0008】
好ましくは、重なり部は、突合わせ接合される。
【0009】
第二の態様では、電磁的遮蔽特性を有する少なくとも2枚のシートを、同一平面関係で、これらのシートが、各シート縁部に沿って重なり合うように、互いにずらして配置する工程、およびこれらのシートを一つに連結する工程を備えてなる、磁気シールドの製造方法を提供する。
【0010】
ここで、本発明の一実施態様を、添付の図面を参照しながら例として説明する。
【0011】
先ず、図1に関して、磁気シールドは、それ自体が、電磁的遮蔽特性を有する3枚のシート10A、10B、10Cを備えてなるパネル5を備えてなる。これらのシート10A〜Cは、好ましくは高透過性のケイ素鋼から製造する。
【0012】
シート10A〜Cは、厚さが約1mmであるが、意図する用途に応じて、いずれかの所望の厚さに製造することができる。そのような材料から製造されたシートは、軽量であり、従って、これらのシートから構築されたパネル5は軽量であり、これは非常に有利である。
【0013】
ここに記載する実施態様は、3枚のシート10A〜Cを備えてなるパネル5に関するが、パネル5は、意図する用途に望ましい総厚を与えるように、どのような数のシートからでも形成できる。本出願者は、これまでは、シートの最適範囲は2〜5であることを見出している。
【0014】
鋼は、粒子配向性でも非粒子配向性でもよい。
【0015】
これらのシートを特定の材料に限定すべきでないことは明らかである。他の金属系材料、例えば鉄、コバルトまたはニッケル、も使用できる。遮蔽すべき電磁界の特徴に応じて、シート10A〜Cは、他の材料、例えばアルミニウム、鉛、銅またはセラミックもしくはプラスチック材料、を含むか、またはこれらの材料からなることもできる。
【0016】
最上部のシート10Aは、乾式ライニングし(dry-lined)、美的な外観を与えることができる。シート10Aは、耐食性または抗菌性化合物で被覆するか、またはこれらの化合物を包含することができる。
【0017】
シート10A〜10Cは、スポット溶接または類似の技術により一つに連結し、パネル5を形成することができる。スポット溶接部14の位置の一例を図1に示す。
【0018】
あるいは、機械的取付具および/または接着剤を使用してシート10A〜10Cを一つに連結することもできる。
【0019】
シート10A〜10Cは、直接一つに連結するか、または材料層をシート間に配置してサンドイッチ構造にし、遮蔽効果を改良するか、または遮蔽構造に有利な他の特性を与えることもできる。
【0020】
複数のパネル5を、各パネル5の最上部シート10Aを隣接させて互いに配置した時に(図2参照)、パネル縁部の周りにある重なり部分12が、各パネル5の連結部を含めたシールド表面全体にわたって、遮蔽材料の一様な厚さを確保するように、パネル5をずらして配置する。
【0021】
各パネル5のシート10A〜10Cの重なり部分12は、突き合わせ接合し、漏れを最少に抑える。別の実施態様(図には示していない)では、各シートの縁部が、各パネル5のシート10A〜Cが鳩尾配置に接合されるように設計される。
【0022】
磁気シールドの構築および設置は簡単である。予め製造されたパネルを設置場所へ運ぶ。パネル5を壁にリベットを使用して取り付ける(リベットの頭は形成した穴より大きくする)。あるいは、パネル5は、合板または木製バトンからなる骨組みに取り付ける。パネル5は、曲げるか、または他の様式で成形し、壁と天井および/または壁と床の接合部を覆う。これによって、室全体を磁気シールドで取り囲むことができる。
【0023】
必要であれば、2層以上のパネル5を使用し、必要な遮蔽を施すことができる。
【0024】
本発明により構築したパネル5を備えてなる磁気シールドは、特にMRIスキャナを収容する室および変圧器および変電所の遮蔽、通信保護、または変換器遮蔽を必要とする室に使用する。また、磁界により影響を受ける場合がある敏感な装置および測定装置を収容する実験室または工業的設備。
【0025】
上記の実施態様は、例として記載しただけであり、当業者には明らかなように、本発明の範囲から離れることなく、多くの変形を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明により構築した磁気シールドの平面図である。
【図2】一つに連結した複数のシールドの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一平面にある、電磁的遮蔽特性を有する少なくとも2枚のシートを有するラミネートパネルを備えてなり、前記シートが、各シート縁部に沿って重なり合うように、互いにずらして配置されて連結されてなる、予め製造された磁気シールド。
【請求項2】
前記パネルが、2〜5枚のシートを備えてなる、請求項1に記載のパネル。
【請求項3】
前記パネルが、3枚のシートを備えてなる、請求項2に記載のパネル。
【請求項4】
前記シートが、高い透過性を有する材料で製造されたものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項5】
前記シートが、高透過性ケイ素鋼から製造されたものである、請求項4に記載のパネル。
【請求項6】
前記磁気シールドが、複数のパネルを備えてなり、前記複数のパネルが、あるパネルの各シートの縁部が隣り合ったパネルの各シートの対応する縁部と隣接するように、一つに連結されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項7】
前記重なり部が突合わせ接合される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項8】
電磁的遮蔽特性を有する少なくとも2枚のシートを、同一平面関係で、前記シートが、各シート縁部に沿って重なり合うように、互いにずらして配置する工程、および前記シートを一つに連結する工程を含んでなる、磁気シールドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−529266(P2008−529266A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551741(P2007−551741)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000194
【国際公開番号】WO2006/077417
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(598019897)コラス、ユーケー、リミテッド (1)
【Fターム(参考)】