説明

磁気テープ装置、磁気テープ用データ再配置方法、及びそのプログラム

【課題】磁気テープ上に分散記憶されている有効データを一定箇所に効率よく短時間に再配置し磁気テープ上の空き容量の有効利用を図る。
【解決手段】往復走行する磁気テープ11の幅方向に移動して該磁気テープ上の各ラップに対するデータの読み書きを実行する磁気ヘッド12と、この磁気ヘッドの動作及び前記読出又は書込動作を制御する主制御部14とを備えた装置本体を備え、この装置本体に、主制御部14に各制御動作を指令すると共に磁気テープ上のデータの再配置を指令する再配置管理部15を設け、この再配置管理部15に前記データにかかるインデックス情報格納用のインデックス格納部16を併設し、再配置管理部15が、前記インデックス情報に基づいて各データが有効データか否か判定する再配置判定部15Aと、有効データの場合に主制御部14に対し再配置を指令する再配置実行指令部15Bとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気テープ装置、磁気テープ用データ再配置方法、及びそのプログラムに係り、特に空き容量を有効に利用することを可能とした磁気テープ装置、磁気テープ用データ再配置方法、及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンピュータシステムの扱うデータの種類は大きく分けて二つに分類される。その一つは、データベースとして管理できる構造化データであり、他の一つは文書,電子メール,写真,及び映像などファイルベースに係る非構造化データである。
ここで、近時にあっては、ファイルベースで扱われるデータの増加が著しく、それを格納するためのストレージも大容量化が進んでいる。磁気テープ装置においても例外ではなく、その大容量化が進んでいる。
【0003】
一方、磁気テープ装置における磁気テープは、シーケンシャルにデータをアクセスするストレージであり、ファイルシステムに相当する情報がなかった。そのため、ファイルのアクセスはファイルベースのアプリケーションから直接扱うことが出来ず、専用の磁気テープ管理ソフトウェアを用いて行うこととなり、ハードディスクなどファイルシステムを持つストレージと比べると、ファイルの扱い不便な点があった。
【0004】
そこで、近年、磁気テープ上のデータをファイルとして扱えるようにするために、磁気テープにパーティションを分けてファイルシステムを構築したリニアテープファイルシステム(LTFS:Linear Tape File System )が提唱されている。
【0005】
このリニアテープファイルシステム(LTFS)は、ファイルの位置,ファイルの属性,ディレクトリ構造などのファイル構成情報と、ファイルの本体とを、各々の別のパーティションに構築したものであり、このファイルシステムを用いることにより、磁気テープ上でファイルベースのアプリケーションから直接ファイルアクセスが可能となり、ファイルの扱いが容易になってきている。
【0006】
磁気テープに係るファイルシステムでは、従来より、一つの磁気テープをファイルの位置やファイルの属性,ディレクトリ構造などのファイル構成情報(以後「インデックス(INDEX)」という)を記録するインデックスパーティション(INDEXパーティション)と、ファイルの本体を記録するデータパーティション(DATAパーティション)の2つのパーティションに分けて構成されている。
【0007】
そして、ファイルが更新されると、INDEXパーティション上のインデックスを最新のインデックスで上書きするが、ファイル本体は、DATAパーティションに追記して書き込まれる。そのため、ファイルの更新を繰り返すことによってDATAパーティション(データ)の空き容量が減り、最終的に空き容量がなくなることになる。
【0008】
この場合、例えば、ファイルシステムの一つであるLTFS(Linear Tape File System) では磁気テープに書き込むことは出来なくなり、磁気テープを再利用するためにはフォーマットし直すという方法が採られていた。
このように、磁気テープのファイルシステムにおいて、参照することがなくなった不要なファイルが、空き容量を圧迫する要因となっていた。
【0009】
そして、かかる不要なファイルを取り除く方法として、従来より、下記特許文献1乃至3が知られている。
この内、特許文献1(特開2006−113938号公報)では、上位装置を用いて記録メディアから必要なデータのみ読み込んで、必要なデータのみで再構築し記録メディアへ書き戻すことにより、不要なデータを取り除く方法が開示されている。
【0010】
また、特許文献2(特許第4079244号)及び特許文献3(特許第4402103号)では、複数のメディアを一つの連続した記録領域として扱うと共に追記記録しているデータを再配置する方法が開示されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−113938号公報
【特許文献2】特許第4079244号
【特許文献3】特許第4402103号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1(特開2006−113938号公報)に開示された方法にあっては、上位装置が認識している記録メディアの論理的な先頭から必要なデータを順次読み込む動作となるため、記録メディアの全面に必要なデータが分散している場合、必要なデータの記録位置にたどり着くまでに時間がかかり、その結果、再構築に時間がかかるという課題があった。
【0013】
又、再構築は上位装置で行うため、上位装置へのデータ転送時間や、再構築処理に用いるバッファについても再構築を行う上で考慮する必要があり、例えば再構築するデータ量が多くなると、データ量に応じてデータ転送時間が長くなり、又用意するバッファが増大する等の不都合が生じている。
【0014】
更に、特許文献2(特許第4079244号)及び特許文献3(特許第4402103号)では、上述したように複数のメディアを一つの連続した記録領域として扱うようになっており、従って、一つのメディアではデータを再配置することが出来ないことから、依然として磁気テープのファイルシステムにおける上記課題を解決することが出来ないという不都合があった。
【0015】
〔発明の目的〕
本発明は、上記関連技術の有する不都合を改善し、磁気テープ上に分散して記憶されている有効なデータを一定箇所に効率よく短時間に再配置し、これによって磁気テープ上の空き容量の有効利用を可能とした磁気テープ装置、磁気テープ用データ再配置方法、及びそのプログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明にかかる磁気テープ装置は、往路方向又は復路方向に走行する磁気テープの幅方向に移動して当該磁気テープ上に設定された複数の各ラップに対するデータの読出し又は書込みを実行する磁気ヘッドと、この磁気ヘッドの移動動作をヘッドドライブ機構を介して制御すると共に前記磁気ヘッドによる前記読出し又は書込み動作を外部指令に基づいて制御する主制御部とを備えた装置本体を備えている。
【0017】
前記装置本体には、前記主制御部に対して当該主制御部の前記各制御動作を指令すると共に前記磁気テープに記憶されているデータの再配置を指令する再配置管理部を設け、
この再配置管理部に、前記磁気テープに記憶されているデータ及びそのインデックスの内のインデックス情報を予め格納したインデックス格納部を併設されている。
【0018】
そして、上記再配置管理部が、前記インデックス格納部に格納された前記インデックス情報に基づいて対応する前記各データが予め設定された再配置可否判定基準に適合する有効データか否かを判定する再配置判定部と、この再配置判定部により再配置可能と判定された各データを対象として前記主制御部に対してその再配置を指令すると共に当該各データの再配置位置を個別に設定する再配置実行指令部とを備えていることを特徴とする。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明にかかるデータ再配置方法は、往路方向又は復路方向に走行する磁気テープの幅方向に稼働位置を移動して当該磁気テープ上に設定された各ラップに対するデータの読出し又は書込みを実行する磁気ヘッドと、この磁気ヘッドの移動動作をヘッドドライブ機構を介して制御すると共に前記磁気ヘッドによる前記読出し又は書込み動作を外部指令に基づいて制御する主制御部とを備えた磁気テープ装置にあって、前記主制御部が予め装備された再配置管理部からの指令により作動し、前記磁気テープに記憶されているデータの再配置を実行するデータ再配置方法であり、
【0020】
前記磁気テープに記録されている複数のファイルにかかる各データのインデックスを予め装備したインデックス格納部から読み出して前記磁気テープに記録されている各データの属性および配置位置を、前記再配置管理部がファイル毎に確認し(データファイル確認工程)、
前記インデックス格納部に格納された前記インデックス情報に基づいて対応する前記各データが予め設定された再配置可否判定基準に適合する有効データか否かを、前記再配置管理部の再配置判定部が判定し(再配置可否判定工程)、
この再配置判定部により再配置可能と判定された各有効データを対象として前記主制御部に対して、再配置実行指令部がその再配置を指令すると共に当該各データの再配置位置を個別に設定する(再配置実行指令工程)という構成を採っている。
【0021】
更に、上記目的を達成するため、本発明にかかるデータ再配置用動作制御プログラムは、往路方向又は復路方向に走行する磁気テープの幅方向に移動して当該磁気テープ上に設定されている複数の各ラップに対するデータの読出し又は書込みを実行する磁気ヘッドと、この磁気ヘッドの移動動作をヘッドドライブ機構を介して制御すると共に前記磁気ヘッドによる前記読出し又は書込み動作を外部指令に基づいて制御する主制御部とを備えた装置本体を有する磁気テープ装置にあって、
前記装置本体は、前記主制御部に対して当該主制御部の前記各制御動作を指令すると共に前記磁気テープに記憶されているデータの再配置を指令する再配置管理部が予め備えたものであり、
【0022】
前記磁気テープに記録されている複数のファイルにかかる各データのインデックスを予め別に装備したインデックス格納部から読み出して前記磁気テープに記録されている各データの属性および配置位置を、ファイル毎に確認するインデックス確認処理機能、
前記インデックス格納部に格納された前記各インデックス情報に基づいて対応する前記各データが予め設定された再配置可否判定基準に適合するか否かを判定する再配置可否判定処理機能、
及びこの再配置判定処理機能により再配置可能と判定された各データを対象として前記主制御部に対して、その再配置を指令すると共に当該各データの再配置位置を個別に設定する再配置実行指令機能、を備え、
これらを前記再配置管理部が備えているコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明は上述したように構成したので、これによると、磁気テープ上の複数のラップに分散したファイルを、往路方向又復路方向に走行する磁気テープ上の複数のラップに分散したファイル(データ)を、テープ移動動作を止めることなく磁気ヘッドを磁気テープの幅方向に移動させて(ラップを切り替えながら)読出し書き込み動作を成し得るようにしたので、ファイルを再配置することが可能となり、どのようにファイルが分散していても、再配置先ラップのファイル消去を含めて2回の往復動作の時間でファイル(データ)の再配置を実行することができるという優れた磁気テープ装置、磁気テープ用データ再配置方法、及びそのプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明にかかる磁気テープ装置の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に開示した第1実施形態の一部を成す再配置管理部の構成を示す説明図である。
【図3】図1に開示した第1実施形態の一部を成す主制御部の構成を示す説明図である。
【図4】図2に開示した再配置管理部の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】図2に開示した再配置管理部が有する再配置判定部の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】図2に開示した再配置管理部が有する再配置実行指令部の指令に基づいて主制御部が実行する再配置動作を示すフローチャートである。
【図7】図1に開示した第1実施形態の磁気テープにおけるデータパーティションの構成区画内容を示す説明図である。
【図8】図7に開示したデータパーティションに有効データが配置され記憶されている場合の例を示す説明図である。
【図9】図8に開示した各有効データを再配置した場合の例を示す説明図である。
【図10】図1に開示した磁気テープ装置にバックリード機能を付加した場合に再配置を可能とする有効データの配置状態の例を示す図で、図10(A)は第1ラップと第2ラップの同一順位のセクタに有効データが記録されている場合を示す説明図、図10(B)は図10(A)の状態の有効データを再配置した場合の例を示す説明図である。
【図11】本発明にかかる磁気テープ装置の第2実施形態を示すブロック図である。
【図12】図11に開示した第2実施形態の一部を成す再配置管理部の構成を示す説明図である。
【図13】図11に開示した第2実施形態の一部を成す主制御部の構成を示す説明図である。
【図14】図12に開示した再配置管理部の再配置判定部の動作を示すフローチャートである。
【図15】図11に開示した第2実施形態における再配置管理部が有する再配置実行指令部の指令に基づいて主制御部が実行する再配置動作を示すフローチャートである。
【図16】図11に開示した第2実施形態の一部を成す磁気テープのデータパーティションを示す図で、図16(A)は再配置前の有効データが配置されている場合の例を示す説明図、図16(B)は再配置後の有効データの配置を示す説明図である。
【図17】図11に開示した第2実施形態の磁気テープ装置にバックリード機能を付加した場合の再配置を可能とする有効データの配置状態の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔第1実施形態〕
本発明は、リニア記録方式の磁気テープ装置において、複数のラップに分散しているデータを少ないテープ往復動作で再配置することを特徴としている。
以下、本発明の第1実施形態を、図1乃至図10に基づいて説明する。
最初に、本第1実施形態における磁気テープ装置の基本的な構成内容を説明し、その後に具体的な実施内容について説明する。
【0026】
ここで、本第1実施形態で再配置対象とするファイル(データ)は、後述するINDEXパーティションに記録されている最新のインデックス(INDEX)で参照されるファイルであり、これらを有効ファイル(有効データ)として扱う。
【0027】
図1において、磁気テープ装置2は、往路方向又は復路方向に走行する磁気テープ11の幅方向に稼働位置を移動して当該磁気テープ11上に設定されている複数の各ラップ11a,11b,11c(図7参照)に対するデータの読出し又は書込みを実行する磁気ヘッド12と、この磁気ヘッド12の移動動作をヘッドドライブ機構13を介して制御すると共に前記磁気ヘッド12による前記読出し又は書込み動作を外部指令に基づいて制御する主制御部14とを備えた装置本体2Aを備えている。
【0028】
符号11Aは、上述した主制御部14に制御されて作動し前述した磁気テープ11を、その往路方向又は復路方向に自在に走行駆動する磁気テープ走行駆動機構を示す。又、符号18は、主制御部14に対して必要な情報及び指令等を外部入力する入力部を示す。
【0029】
上記装置本体2Aには、更に、主制御部14に対して当該主制御部14の前述した各制御動作を指令すると共に磁気テープ11に記憶されているデータ(DATAパーティション)の再配置を指令する再配置管理部15が装備されている。
この再配置管理部15には、磁気テープ11に記憶されているデータ(DATAパーティション)及びそのインデックス(INDEXパーティション)の内のインデックス情報を予め格納し又は起動時に格納するインデックス格納部16が併設されている。
【0030】
そして、この再配置管理部15は、インデックス格納部16に格納されたインデックス情報に基づいて対応する前記磁気テープ11上の各データが予め設定された再配置可否判定基準に適合する有効データか否かを判定する再配置判定部15Aと、この再配置判定部15Aにより再配置可能と判定された各データを対象として主制御部14に対してその再配置を指令すると共に当該各データの再配置位置を個別に設定する再配置実行指令部15Bとを備えている。
【0031】
このため、再配置判定部15Aで有効と判定されたデータは、再配置実行指令部15Bからの指令に沿って稼働する主制御部14によって、効率よく磁気テープ11上の一定箇所(例えばラップ11c部分/図6参照)に再配置されるようになっている。
【0032】
又、前述した再配置管理部15は、前述した磁気テープ11上インデックス情報の読み出しを前記主制御部14に指令すると共に、当該主制御部14の制御動作によって前記磁気ヘッド12を介して読み出される磁気テープ11上のデータのインデックス情報を、前記インデックス格納部16に格納するインデックス取得管理部15Cが予め装備され、データの再配置に際しては、後述するように、磁気テープ11上のデータのインデックス情報が予めリアルタイムで収集されるようになっている。
【0033】
ここで、再配置判定部15Aによる有効データの判定について説明する。
まず、前述した磁気テープ11は、本第1実施形態では図7に示すように、その磁気テープ11の幅方向(記憶幅領域)が三つ(三行)のラップ11a,11b,11cに区分けされ、各一のラップが往路方向および復路方向に沿った記録領域をそれぞれハーフラップとする1ラップを構成している。
又、この三つ(三行)に分けられた各ラップ11a〜11cは、本第1実施形態では更に、それぞれ共通順位が位置付けられた八つのセクタ(記憶領域)に分割され、これによって各データの記憶位置を迅速に特定し得るようになっている。
【0034】
前述した再配置管理部15の再配置判定部15Aは、往路方向又は復路方向に走行する磁気テープ11上に予め設定された同一方向(往路方向又は復路)の各ラップに共通に区画された複数(本実施形態では8つ)のセクタに記憶されているデータを対象としている。そして、当該各データについて前述した再配置が可能か否かを判定する再配置判定基準として以下の三点を予め備えている。
【0035】
(1)同一の磁気テープ上に往路及び復路を含む全体が空き領域のラップがあること。
(2)二つ以上のセクタを跨がった有効ファイルが存在しないこと。
(3)有効ファイルのセクタからハーフラップの移動方向に一つずらしたセクタを再配置移動範囲(再配置先のセクタ)とし、同一走行方向のハーフラップ間にある複数の有効ファイルの再配置移動範囲が重ならないこと。なお、有効ファイルがハーフラップの終端側にある場合の再配置移動範囲は、逆方向側ハーフラップの先頭セクタとなる。
【0036】
そして、この三点に適合するデータを再配置判定部15Aは再配置可能な有効データと判定する。これにより、再配置の対象データの全てを効率よく且つ迅速に再配置することが可能となり、これは実際に実験の結果得られた内容でもある。
【0037】
又、前述した再配置管理部15の再配置実行指令部15Bは、再配置判定部15Aで判定され再配置の対象となった複数の各有効データの再配置に際しては、往路方向又は復路方向に走行する磁気テープ11上で対象となる一のセクタに記憶されている有効データを読み出す読出し制御動作を,および再配置先の位置では前記読み出した一のセクタと同順位の次のセクタに前記読み出した一の有効データを書き込む書込み制御動作を、それぞれ前述した主制御部14に対して指令する再配置動作指令機能15Baを備えている。
【0038】
これにより、主制御部14は、後述するヘッドドライブ機構13を介して磁気ヘッド12を例えば再配置先の位置(例えばラップ11c部分)に迅速に移送制御しデータの再配置(再書き込み)を可能成らしめている。
【0039】
ここで、上述したヘッドドライブ機構13によるラップの幅領域を越えた磁気ヘッド12の移動(磁気テープ11の幅方向への移動)に際しては、各セクタ間には予め移動に必要なスペース(許容スペース)が設定されており(図示せず)、このため、磁気ヘッド12は、各セクタのデータ記憶領域内を通過することなく円滑な移動が可能となっている。
【0040】
更に、前述した主制御部14は、前記再配置実行指令部15Bからの指令に基づいて作動し、磁気テープ11上の一のセクタに記憶されている有効データの読出し制御動作と当該読み出した有効データの前記再配置先の位置での書込み制御動作とを、連続して実行するデータ個別再配置制御機能14Cを備えている。
【0041】
これにより、主制御部14は磁気テープ11の往路方向および復路方向の往復の往復走行の間に、ヘッドドライブ機構13を介して磁気ヘッド12を磁気テープ11の幅方向に自在に移動させ、一のセクタに記憶されている有効データを、再配置先の磁気テープ11の次の順位のセクタへ、前述したようにラップ間移動時間に相当する許容スペースの通過時間内に、最短距離で自在に移送制御することが可能となり、これによって迅速に且つ確実にデータの再配置を実行することができる。
【0042】
又、再配置管理部15の再配置実行指令部15Bは、前記往路方向及び復路方向に走行する磁気テープ11に記憶されている有効データの再配置が完了した場合に、再配置データを書き込んだ最後のセクタの次のセクタにデータ終了位置を示す記号を書き込む終了位置書込み指令を、前述した主制御部14に対して発信する終了位置書込み指令機能15Bcを備えている。
【0043】
更に、この再配置実行指令部15Bは、再配置データの最初の書き込みに際しては前記最初の有効データの開始位置を示す記号を前記再配置のラップの最初のセクタの前段に書き込む開始位置書込み指令を、前述した主制御部14に対して発信する開始位置書込み指令機能15Bbを備えている。
【0044】
これにより、再配置先の位置の設置領域が明確化され、磁気テープ11上の使用可能な空き領域の存在位置が明確となり、磁気ヘッド12による後発的な書き込み処理を迅速に且つ効率よく実行することが可能となる。
【0045】
又、本第1実施形態では、前述した再配置管理部15の再配置実行指令部15Bが、前記復路方向に走行する磁気テープ11の前記往路側ラップに残存する未処理状態の有効データに対する再配置を前記主制御部14に指令するバックリード指令機能15Bdを備えている。
【0046】
これに対応して、前述した主制御部14は、上記再配置実行指令部15Bからバックリード指令が出された場合に機能し、前記復路方向に走行する磁気テープ11上の未処理状態にある往路側セクタの有効データを前記ヘッドドライブ機構13および磁気ヘッド12を介して捕捉制御(バックリード)すると共に、前記磁気ヘッド12で読み出された往路側セクタの有効データを対応する前記再配置先の位置にあるセクタに前記再配置の場合と同様に順次書き込む未処理データ再配置制御機能14Eを備えている。
これにより、順方向での読み取りでは捕らえられなかった未処理データを、後述するように有効に捕捉することができるという利点がある。
【0047】
次に、上述した第1実施形態を更に具体的に詳述する。
【0048】
図1において、符号1は上位装置を示す。
この上位装置1は、再配置開始を磁気テープ装置2に指示するものであり、磁気テープ2の管理端末或いは磁気テープ装置2を使用するホストコンピュータの何れであってもよい。
【0049】
上述したように、磁気テープ装置2は、往路方向又は復路方向に走行する磁気テープ11の幅方向に稼働位置を移動して当該磁気テープ11上の複数の各ラップ11a,11b,又は11cに対するデータの読出し又は書込みを実行する磁気ヘッド12と、この磁気ヘッド12の移動を案内し且つ所望位置に移送するヘッドドライブ機構13とを備えている。
【0050】
この磁気テープ装置2は、更に、前述したヘッドドライブ機構13の動作を制御する磁気ヘッド用移送制御機能14Aおよび前記磁気ヘッド12による前記読出し又は書込み動作を外部指令に基づいて実行する磁気ヘッド用読出し/書込み制御機能14Bとを有する主制御部14とを備えている。
【0051】
この主制御部14には、前述したように再配置管理部15及びインデックス格納部16が併設され、又磁気テープ11には磁気テープ走行駆動機構11Aが併設されている。
この内、インデックス格納部16は、再配置処理で使用するインデックス(INDEX)を格納するバッファである。
【0052】
ここで、磁気テープ11を読み書きする磁気ヘッド12のラップ間移動時間は、テープ走行速度に対して無視できる時間で処理できるものとする。この場合、磁気ヘッド12のラップ間移動時間を考慮して、実際の磁気テープでは、前述したように、ラップ間移動時間に相当するスペースが磁気テープ11上の各セクタ相互間に設定されている(図示せず)。
【0053】
再配置管理部15は、インデックス格納部16又は走行する磁気テープ11のINDEXパーティションに記録されているインデックスを読み出して再配置処理の実行の可否を判断する機能、再配置先に記録されているファイルの残骸を消去を指令する機能、再配置先に有効なファイル(有効データ)の書き込みを指令する機能、有効ファイルを全てコピーした後にDATAパーティションの先頭位置および末尾位置の記録情報の移動書き込みを指令する機能、および、最後に、再配置後のインデックスでINDEXパーティションのインデックスを上書きすることで再配置処理を指令する機能を備えた再配置の管理部である。
【0054】
これら、再配置管理部15の各指令機能は、本第1実施形態では前述した主制御部14に対して成されるものであり、主制御部14はこれを受けて、前述したように各制御動作を実行するように構成されている。そして、この再配置管理部15は、上位装置1より再配置の開始指示の受けることにより再配置処理を開始する機能を備えている。
【0055】
上記再配置管理部15には、更に、再配置動作に先立って、主制御部14に対し、磁気テープ11のINDEXパーティションに記録されているインデックスを予め読み出し動作を指令する共に、これを前記インデックス格納部16に格納するように当該主制御部14に指示するインデックス取得管理部15Cが設けられている。尚、このインデックス情報の読み出し及び格納は、後述するように、再配置動作の開始直後に実行してもよい。
【0056】
ここで、本実施形態にて使用される磁気テープ11のDATAパーティションの構成について図7を用いて説明する。
【0057】
図7で示す磁気テープ11は、同時にデータを書き込むトラックの一往復分を指すラップ11a,11b,11cと、磁気テープ11の長手方向の物理位置を指すために一定間隔で区切った複数のセクタとで分割されており、このラップと、セクタにより、磁気テープ11上のファイルの書き込み位置が特定されるようになっている。
【0058】
本第1実施形態における磁気テープ11のDATAパーティションは、前述したように3つのラップ11a,11b,11cで構成され、各ラップは、往路方向のハーフラップと復路方向のハーフラップに分割されている。また、往路方向および復路方向の各ハーフラップは、それぞれ8つのセクタで区切られている。図7では、第1セクタ乃至第8セクタとして記載されている。
【0059】
DATAパーティションの先頭位置(以後「BOP」と記す)は第1ラップ11aの先頭にあり、DATAパーティションの終端(以後「EOP」と記す)は第3ラップ11cの終端に設定されている。
各セクタは、磁気テープ11の始端側から順次割り当てられ、第1セクタから始まり第8セクタまである。これらは、全てのハーフラップで共通のアドレス(順位)となる。
【0060】
次に、ラップの始端および終端位置について説明する。
まず、往路方向側ハーフラップの始端はテープの始端側に、ハーフラップの終端はテープの終端側にある。又、復路方向側ハーフラップの始端はテープの終端側に、ハーフラップの終端はテープの始端側にある。
即ち、このラップは二つのハーフラップで構成されていることから、ラップの始端は往路方向側ハーフラップの始端となり、ラップの終端は復路方向側ハーフラップの終端となる。
【0061】
また、ファイル(データ)の記録は、BOPの位置から始まる。この記録動作は、磁気ヘッド12によって、往路方向側ハーフラップの始端からハーフラップの終端に向かって行われ、ハーフラップの終端に到達すると、復路方向側ハーフラップに切り替わり継続され、そして、復路方向側ハーフラップの終端に到達すると、次のラップに(例えばラップ11aからラップ11bに)切り替わる。
【0062】
このように、往路方向のハーフラップ、復路方向のハーフラップ、次のラップの往路方向のハーフラップへとファイル(データ)は記録される。
【0063】
〔第1実施形態の動作〕
次に、図4乃至図6のフローチャートに基づいて、本第1実施形態の磁気テープ装置2におけるデータ再配置処理の動作について説明する。
【0064】
はじめに、再配置前のDATAパーティションの状態を、図8を用いて説明する。
第1ラップ11aの先頭にはBOPが設定されており、第3ラップ11cの末尾にEOPが設定されている。これにより、DATAパーティションは第1ラップ、第2ラップ、第3ラップの順番でファイル(データ)が記録される。
【0065】
BOPからEOD(終端位置)までは磁気テープ11にファイル(データ)が書き込まれている領域であり、数字3001〜3005は有効ファイルを示す。
【0066】
図8に示すように、有効ファイル3001,3002が第1ラップ11aの往路方向側ラップ、ファイル3003が第1ラップ11aの復路方向側ラップ、ファイル3004が第2ラップ11bの往路方向側ラップ、ファイル3005が第2ラップ11bの復路方向側ラップへ予め配置されており、有効ファイルが複数のラップに分散している状態となっている。
【0067】
又、ファイル3005(第2ラップ11bの復路方向)の後が磁気テープ11のファイルの終端位置(EOD)となり、このEODより後は書き込み可能な空き領域となる。
【0068】
(再配置処理の前後の処理動作)
続いて、この図8に示す再配置前の状態から上記各有効ファイルを再配置する動作を説明する。
【0069】
図4において、上位装置1より再配置指示を受信し再配置の起動がかかると、再配置管理部15は、予め装備したインデックス取得管理部15Cが機能し、主制御部14に対してインデックス(INDEX)の読み込み指示を送り、INDEXパーティションからINDEXを読み出された場合にこれをインデックス格納部16へ格納する(図4:ステップS101/INDEX読出し格納工程)。
これにより、主制御部14は、再配置の対象となるファイル(データ)の位置をインデックス格納部16によって常時把握することができるようになっている。
【0070】
再配置管理部15は、前述した再配置判定部15Aが機能し、上記得られたINDEXから、有効ファイル(有効データ)にかかる前述した判定基準(1)乃至(3)の条件を確認し当該有効データが再配置可能か否かを判定する(図4:ステップS102/再配置可否判定工程)。
【0071】
この判定工程は、図5に開示したフローチャートに基づいて、実行され、前述した判定基準(1)乃至(3)の各条件が順次確認される。この再配置可否判定工程は、再配置管理部15の再配置判定部15Aで実行される。
ここで、有効ファイル(有効データ)がハーフラップの終端側にある場合の再配置移動範囲は、逆方向側ハーフラップの先頭のセクタとなる。
【0072】
再配置管理部15では、これらの条件が全て満たしている(図4:ステップS103/イエス)と判定された場合、当該INDEXにかかるINDEXデータは再配置可能と認定され、再配置処理(図4:ステップS104/再配置処理工程)へ進む。また、条件が満たされない(図4:ステップS103/ノー)場合には、再配置は行わず処理終了となる。
【0073】
上記ステップS104の再配置処理工程では、有効ファイルの再配置およびINDEX格納部16に格納しているINDEXを再配置後の状態に更新する。
その後、INDEX格納部12に格納しているINDEXにてINDEXパーティションを書き換える(図4:ステップS105/INDEX書換え工程)。
【0074】
(再処理動作の内容)
続いて、図4で実行した上記再配置処理(図4:ステップS104/再配置処理工程)部分を、図6のフローチャートを用いて詳細に説明する。
まず最初に、主制御部14は、走行中の磁気テープ11に対して磁気ヘッド12を駆動し、再配置先として決めたラップ(第3ラップ11c)の全域に残っているファイルの残骸を消去する(図6:ステップS121/不用ファイル消去処理工程)。これにより、磁気テープ11の1回分の往復動作が実行される。
【0075】
次に、主制御部14は、第1ラップ11a往路方向への移動を開始する。
まず、往路方向側ハーフラップに記録されている有効ファイルの内、最も近くのセクタにある有効ファイルであるファイル3001の第1ラップの往路方向側ハーフラップに磁気ヘッド12を移動し、ファイル3001に到達したら、そのデータを読み出すと共に、磁気ヘッド12を第3ラップ11cの往路方向側ハーフラップに移動させて、セクタが往路方向に一つずれた位置に書き込みを行う。同時に、INDEX格納部12のINDEXのファイル3001に該当する情報を、配置後の状態に更新する(図6:ステップS122/再配置更新処理工程)。
【0076】
ここで、有効ファイルがハーフラップの終端位置手前のファイルの場合は、復路方向に移動を切り替えた後に再配置先に書き込む(図6:ステップS123/再配置先書き込み処理工程)。
そして、磁気テープの端に到達するまで、このステップS122,S123の動作を繰り返し実施する(図6:ステップS124/ノー)。これにより、ファイル3002,3004のデータが第3ラップ11cの往路方向側ハーフラップに書き込まれる。
【0077】
その後、テープの端に到達したとき(図6:ステップS125/イエス)に、処理を行ったのが往路方向の場合は復路方向に移動を開始する(図6:ステップS126/復路方向再配置切替え工程)。
【0078】
復路方向の処理を、前述した往路方向の場合と同様に磁気テープの端に到達するまで当該S124を繰り返すと(図6:ステップS124/ノー)、これにより、復路方向側はハーフラップに記録されているファイル3005,3003が第3ラップ11cの復路方向側ハーフラップに書き込まれる。
【0079】
復路方向の再配置処理が終わったら(図6:ステップS124,S125)、BOPの書き込み位置を再配置先の第3ラップ11cの先頭に移すと共に、更にEOPの書き込み位置を第2ラップ11bの終端に移して記録し(図6:ステップS127)、これにより図6の再配置処理動作が終了する。
尚、この再配置処理動作は1回の往復動作で完了する。
【0080】
このようにして再配置管理部15によって再配置が完了すると、DATAパーティションは図9の再配置後の状態になる。
【0081】
再配置後では、DATAパーティションの先頭を指すBOPが第3ラップ11cの先頭に設定され、第2ラップ11bの末尾にEOPが設定される。これにより、ファイル(データ)は第3ラップ11c、第1ラップ11a、第2ラップ11bの順番で記録されることとなる。また、第3ラップ11cは、有効ファイル3001〜3005が書き込まれ、有効ファイル以外の領域は書き残しのファイルもない消去済みの状態となる。
【0082】
更に、ファイル3003の後がEOD(磁気テープのファイルの終端)となり、このEODより後となる領域である第1ラップ11a、第2ラップ11cは、書き込み可能な空き領域となる。
このように、有効ファイルが一つのラップ(第3ラップ11c)にまとまり、その他のラップは書き込み可能な領域に設定することができた。
【0083】
ここで、前述した主制御部14に対して、逆方向側ハーフラップに書き込まれているファイルを読み出すバックリード制御機能14Dを追加装備すると、その制御動作に対する動作指令(バックリード指令機能15Bd)を前述した再配置管理部15の再配置実行指令部15Bが発信することにより、当該主制御部14によるバックリード制御が実行され、同一方向ハーフラップ間で再配置移動範囲が重なる有効ファイルが存在していても、重複している有効ファイルが2つであり且つ逆方向のハーフラップに同じ再配置移動範囲を持つ有効ファイルが存在しなければ、逆方向の移動時にバックリードで読み出し可能になる。
【0084】
このため、前述した再配置の可否判定の際に前述した判定基準(1)乃至(3)の内、判定基準(3)を満たしていない場合、次の判断を設けることで、この判定基準(3)の条件を緩和することが可能となる。
【0085】
即ち、「再配置移動範囲が重なる有効ファイル数は2つで、且つ逆方向のハーフラップに再配置移動範囲が重なる有効ファイルが存在しないこと。」
これにより、再配置可能条件を緩和することができ、再配置を可能とする元の有効データの対象範囲を広げることができる。
【0086】
この場合、前記復路方向に走行する磁気テープ11上では、前記往路側ラップに残存する未処理状態の有効データに対して、前記再配置実行指令部15Bからの指令に基づいて前記主制御部14の未処理データ再配置制御機能14Eが、前記ヘッドドライブ機構13および磁気ヘッド12を介して捕捉処理し、続いて、これを対応する前記再配置先の位置にあるセクタに前述した再配置の場合と同様に書き込むように処理されるようになっている(未処理データ再配置制御工程)。
【0087】
図10に、この場合の具体的な適用例を図10に示す。
バックリード機能の無い場合、この図10(A)の有効データの配置では再配置が不可能となる。一方、バックリード機能が有る場合は再配置が可能となり、この場合に実行される再配置の記憶形態は図10(B)のようになる。
【0088】
ここで、上記実施形態における磁気テープ装置2の動作説明にあって、特定される各情報処理工程については、その内容をプログラム化し前記再配置管理部又は主制御部が備えているコンピュータに実現させるように構成してもよい。
【0089】
この場合、特定される上記プログラムは、非一時的な記録媒体,例えばDVD,CD,フラッシュメモリなどに記録したものであってもよい。その場合、当該プログラムは記録媒体からコンピュータによって読みだされて実行される。
この点は、以下に示す他の実施形態でも同様である。
【0090】
(第1実施形態の効果)
以上説明したように、本第1実施形態では、複数のラップに分散したファイルを、同一方向への磁気テープ11の移動動作を止めずに、磁気ヘッド(R/Wヘッダ)12を第1乃至第3ラップの相互間で移動させることにより、ラップを切り替えながらファイルを再配置しているので、どのようにファイルが分散していても、再配置先ラップのファイル消去を含めて、2回の往復動作の時間でのデータ再配置を実行し得るという優れた効果が得られる。
【0091】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明にかかる磁気テープ装置の第2実施形態を、図11乃至図14に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一の構成部材については同一の符号を用いるものとする。
【0092】
〔構成〕
前述した第1実施形態では、磁気テープ11の走行動作を止めることなく、磁気ヘッド(R/Wヘッダ)12の移動だけでファイルの再配置を行っているため、ファイル間で記録領域に隙間ができる場合があり、多くの場合は有効に機能するものの、改善の余地もある。
【0093】
また、2つ以上のセクタをまたがった有効ファイル(有効データ)が存在した場合や、再配置移動範囲がハーフラップ間で重なる複数の有効ファイルが存在すると、再配置を行うことが出来ず、かかる点において有効データに対する再配置可否の判定条件がかなり厳格に規定されている。このため、再配置の対象となる有効データに制限が加えられ場合が生じる。
【0094】
本第2の実施形態では、有効データに対する再配置可否の判定条件の緩和を図ったものであり、同時に、その構成としては、有効データにかかるファイルを別に設けたバッファ内に収集したあと、これをまとめて再配置先に書き込むという構成を採用している。
これにより、ファイルを隙間無く配置することができると共に、再配置を行うための条件を緩和し、再配置の対象範囲を拡大することが可能となっている。
【0095】
以下、これを具体的に説明する。
まず、図11に示すように、本第2実施形態にかかる磁気テープ装置は、前述した第1実施形態における磁気テープ装置とは異なり、ファイル情報を一時的に記憶するファイル格納部(データ格納部)21を主制御部24に併設装備すると共に、このファイル格納部21を介して有効ファイルの再配置を実行するようにした点に特徴を有する。符号2Bは装置本体を示す。
【0096】
更に、この図11において、符号24は本第2実施形態における主制御部を示し、符号25は同じく再配置管理部を示す。又、上記ファイル格納部21は、再配置管理部25にて再配置処理で使用する有効ファイルを一時的に格納する1ラップに相当する容量のバッファである。
【0097】
この第2実施形態における再配置管理部25は基本的な管理機能は前述した第1実施形態の場合とほぼ同一であるが、この再配置管理部25からの指令に基づいて主制御部24が実行するデータ再配置に際しての磁気ヘッド12に対するデータの読出し書込みの制御内容に、大幅な機能変化を設定した点に特徴を有する。
【0098】
即ち、本第2実施形態における主制御部24は、上記ファイル格納部21に対する再配置用の有効データの格納に際しては前述した第1実施形態における再配置動作に優先して当該有効データを前述したファイル格納部(データ格納部)21へ格納制御するデータ格納優先処理機能と、格納された再配置用のデータの再配置先への書き込みに際しては予め設定されているファイル番号の若い順に取り出して前記再配置先に順次連続して書き込む番号順再配置処理機能とを備えている。
【0099】
一方、この第2実施形態では、上記主制御部24は、前述した第1実施形態の主制御部14が備えていたデータ個別再配置制御機能および事前に再配置先の残存データを消去するというデータ消去動作制御機能は備えてはいない。
このため、この第2実施形態では、番号順再配置処理機能が有効に作用して、再配置先では、再配置データの格納状態が隙間の無い連続した状態に設定されこれによって、効率のよいデータの再配置を実現することができるという利点がある。
【0100】
ここで、前述した再配置管理部25の前記再配置判定部25Aでは、再配置判定基準として、前述した第1実施形態における再配置判定基準に比較して大幅に緩和された判定基準を備えている。即ち、
(1)同一の磁気テープ上に往路及び復路を含む全体が空き領域のラップがあること。
(2)同一方向のハーフラップ上にあって他の異なったハーフラップ上の同一順位のセクタには有効ファイルが存在しないこと、の少なくとも二つの判定基準を有している。
【0101】
これは、上述した主制御部24の有効データに対する再配置制御の連続性に由来するもので、データの読出し制御と再配置先への書込み制御とをその制御動作を二分したことにより、再配置先の位置の確認をすることなくデータの読出し制御を連続して成し得ることに起因している。
その他の構成は、再配置実行意指令部15Bから発信されるバックリード指令機能15Bdおよび主制御部24が備えている未処理データ格納処理機能15Eを含めて、前述した第1実施形態の場合と同一となっている。
【0102】
〔動作説明〕
次に、本第2実施形態における再配置管理部25を中心とした装置の一部又は全体の動作を、図14乃至図15のフローチャートに基づいて説明する。
ここで、再配置前の磁気テープ11上におけるDATAパーティションの状態としては、第1実施形態の場合の図8に近い図16(A)の状態を前提とする。
【0103】
又、この第2実施形態では、前述した第1実施形態における図5のフローチャートで実行された再配置可否の判定基準(図4:ステップS102)および再配置処理(図4:ステップS104)が、この第1の実施形態の場合と異なる。
【0104】
まず、再配置可否の判定基準(図4:ステップS102対応)について説明する。
INDEXパーティションの読出したインデックス(INDEX)から、本第2実施形態では、上述した二つの判定基準(条件)が予め設定されている。
【0105】
そして、これらの条件を全て満している(図4:ステップS103/イエス)ならば、再配置可能と判定し、再配置処理(図4:ステップS104)へ進む。条件が満たされない場合(図4:ステップS103/ノー)には、再配置は行わず処理終了となる(終)。
【0106】
それ以外の実行手順(図4:ステップS101,S105)は、前述した第1実施形態の場合と同様である。
【0107】
ここで、上記判定基準(条件)(1)(2)に基づいた有効データ(有効ファイル)に対する再審査可否の判定は、本実施形態では図14に示すフローチャートに従って、再配置判定部25Aによって順次実行される(図14:ステップS311乃至314)。
【0108】
(再配置処理)
続いて、主制御部24による有効データ(有効ファイル)の本第2実施形態における再配置処理(図4:ステップS104対応)を、図15のフローチャートに基づいて説明する。
【0109】
最初に、BOPから往路方向への移動を開始する(実際には、磁気テープ11が磁気ヘッド12側に向かって走行する)。
往路方向側ハーフラップに記録されている有効ファイルの内、最も近くのセクタにある有効ファイル(ファイル3001)の第1ラップの往路方向側ハーフラップに、磁気ヘッド12(R/Wヘッダ)を移動し、ファイル3001に到達したら、これを読み出してファイル格納部(データ格納部)21に格納する(図15:ステップS321,S322)。
【0110】
このファイル格納部21に対する前記再配置用の有効データの格納に際しては、前記主制御部24は、前記磁気ヘッド12が読み出す再配置用の有効データに対する格納制御動作を、当該主制御部24が本来備えている前記再配置動作に優先して実行する(データ格納優先処理工程)。
【0111】
この格納動作は、図15のステップS321を磁気ヘッド12が磁気テープ11の端に到達するまで繰り返し実施すると(図15:ステップS323/ノー)、ファイル3002,3004がファイル格納部(データ格納部)21に順次格納される。
その後、磁気テープ11の端に到達した(図15:ステップS323/イエス)ときに、処理を行ったのが往路方向の場合(図15:ステップS324/イエス)は、復路方向に移動を開始する(図15:ステップS325)。
【0112】
そして、ステップS321,S322の動作(復路方向の処理)を、磁気ヘッド12が磁気テープ11の端に到達するまで繰り返す(図15:ステップS323/ノー)。これにより、復路方向側ではハーフラップに記録されているファイル3005,3003が、再配置管理部25によってファイル格納部21に書き込まれる。
【0113】
この復路方向の処理が終わったら(図15:ステップS323/イエス,ステップS324/ノー)、再配置管理部25は、ファイル格納部21内にある若番のファイルから順次取りだして、再配置先の第3ラップの先頭から書き込みを開始すると共に、書き込んだファイルに該当するインデックス格納部16内のインデックスを再配置後の状態に更新する(図15:ステップS326)。
【0114】
即ち、上記格納された再配置用データの再配置に際しては、前記主制御部24が予め前記格納された有効データに付されているファイル番号の若い順に読み出して、前記再配置先の位置に順次連続して書き込むように作動する(番号順再配置処理工程)。
【0115】
続いて、ファイル格納部(データ格納部)21に格納されているファイルを全て書込み済であるか否かを確認し(図15:ステップS327)、書込み済でないファイルがあれば磁気テープ12の終端に到達したか否か確認する(図15:ステップS328)。
そして、終端に到達していなければ、前述したステップS326に戻り、終端に到達しておれば復路方向に走行方向を切り換えてステップS326に戻る(図15:ステップS329)。
【0116】
そして、ファイル格納部(データ格納部)21に格納しているファイル(データ)の全てが書込み済であれば、最後に、図16(B)に示すように、BOPを再配置先の第3ラップの先頭に移動すると共に、EOPを第2ラップの終端に移動し(図15:ステップS330)、これにより再配置処理が終了する(図16(B)参照)。
ここで、上記再配置の実行処理は磁気テープ11の1回の往復走行動作ないで実行され完了する。
【0117】
このように再配置管理部25によって再配置が完了すると、DATAパーティションは上述したように、図16(B)の再配置後の状態になる。
【0118】
この図16(B)で明らかのように、第3ラップ11cに有効ファイル3001〜3005が隙間なく連続して書き込まれ、ファイル3005の後がEOD(磁気テープのファイルの終端)となり、このEODより後は全て書き込み可能な空き領域となる点が、前述した第1実施形態(図9、図10(B))の場合と異なる。
【0119】
ここで、上述した主制御部24に、逆方向側ハーフラップに書き込まれているファイルを読み出すバックリード制御機能を追加すると、同一方向ハーフラップ間で再配置移動範囲が重なる有効ファイルが存在していても、重複している有効ファイルが2つで且つ逆方向のハーフラップに同じ再配置移動範囲を持つ有効ファイルが存在しなければ、逆方向の移動時にバックリードで読み出しが可能になる。
【0120】
即ち、前述した再配置実行指令部15Bが、予め前記復路方向に走行する磁気テープ11の前記往路側ラップ上に残存する未処理状態の有効データに対する再配置を、前記主制御部25に指令するバックリード指令機能15Bdを備えている場合を設定する。同時に、これに対応して前記主制御部25は、予め逆方向側ハーフラップに書き込まれているファイルを前記磁気ヘッド12を介して読み出すバックリード制御機能14Dを備えた構成とする。
【0121】
そして、前述した有効データ格納の優先処理の工程にあっては、前記復路方向に走行する磁気テープ11上の前記往路側ラップ上の未処理状態の有効データを、前記再配置実行指令部15Bからの指令に基づいて前記主制御部25が前記ヘッドドライブ機構13および磁気ヘッド12を介して捕捉制御する(往路側残存データ捕捉制御工程)。
【0122】
続いて、前記磁気ヘッド12で捕捉した往路側の有効データを前記復路方向のデータ格納の流れに沿って、前記主制御部25が前記ファイル格納部21に順次格納する(未処理データ格納処理工程)。
【0123】
このため、前述した再配置管理部25の再配置実行指令部15Bからの指令により、主制御部24によるバックリード制御が実行され、同一方向ハーフラップ間で再配置移動範囲が重なる有効ファイルが存在していても、重複している有効ファイルが2つであり且つ逆方向のハーフラップに同じ再配置移動範囲を持つ有効ファイルが存在しなければ、逆方向の移動時にバックリードで読み出し可能になる。
【0124】
この主制御部24によるバックリード制御を実現することにより、前述した図14のステップS311乃至S314で実行される再配置可能条件(再配置可否の判定基準)の内の判定基準(2)を満たしていない場合に対しては、下記の判断基準を設けることで、前述した(2)の条件を緩和することが可能となる。
即ち、「同じセクタをもつ有効ファイル数は2つで、且つ逆方向のハーフラップに同じセクタをもつ有効ファイルが存在しないこと。」
【0125】
図17に、この場合の具体的な適用例を示す。
バックリード機能の無い場合、この図17の有効データの配置では再配置が不可能となる。一方、バックリード機能が有る場合は、この図17の有効データの配置でも再配置が可能となり、この場合に実行される再配置の記憶形態は前述した場合と同様に図16(B)のようになる。
これにより、再配置可能条件を緩和することができ、再配置を可能とする元の有効データの対象範囲を広げることができる。
【0126】
ここで、前述した第1実施形態の場合と同様に、上記第2実施形態における磁気テープ装置の動作説明にあって、各制御工程および処理工程にあっては、その実行内容をプログラム化し、主制御部24又は再配置管理部25が備えているコンピュータに実現させるようにしてもよい。
【0127】
(第2実施形態の効果)
以上で説明したように、再配置するファイルをファイル格納部21に格納することで、再配置先である第3ラップ11cに書き込んだ時にファイル相互間を隙間なく再配置することができるようになり、効率よく磁気テープを使用できるという効果が得られる。
【0128】
また、再配置するファイルをファイル格納部21に格納することで、テープ移動動作中に、読み出し/書き込を繰り返す必要が無くなり、2つ以上のセクタをまたがった有効ファイルが存在した場合でも、再配置を行うことが出来る効果がある。
【0129】
更に、上述した主制御部24に、逆方向側ハーフラップに書き込まれているファイルを読み出すバックリード制御機能を追加すると、同一方向ハーフラップ間で再配置移動範囲が重なる有効ファイルが存在していても、重複している有効ファイルが2つであり、且つ逆方向のハーフラップに同じ再配置移動範囲を持つ有効ファイルが存在しなければ、逆方向の移動時にバックリードで読み出し可能になる。
【0130】
このため、前述した判定基準(2)を満たしていない場合についても、上述したように当該判定基準(2)を越えて、適用される対象範囲が更に拡大することができるという利点がある。
【0131】
更に、前述した第1実施形態では、再配置処理の際、再配置先をフォーマット処理していたが、本第2実施形態では再配置先のフォーマット処理が必要なくなることから、再配置処理時間を短縮することができるという効果が得られる。
その他の構成およびその作用効果は、前述した第1実施形態の場合と同様である。
【0132】
上述した各実施形態については、その新規な技術的な要点をまとめると、以下のようになる。尚、本発明はその権利範囲を必ずしもこれに限定するものではない。
【0133】
〔付記1〕(再配置管理部)
往路方向又は復路方向に走行する磁気テープの幅方向に移動して当該磁気テープ上に設定されている複数の各ラップに対するデータの読出し又は書込みを実行する磁気ヘッドと、この磁気ヘッドの移動動作をヘッドドライブ機構を介して制御すると共に前記磁気ヘッドによる前記読出し又は書込み動作を外部指令に基づいて制御する主制御部とを備えた装置本体を有する磁気テープ装置であって、
前記装置本体に、前記主制御部に対して当該主制御部の前記各制御動作を指令すると共に前記磁気テープに記憶されているデータの再配置を指令する再配置管理部を設け、
この再配置管理部に、前記磁気テープに記憶されているデータにかかるインデックス情報を格納するインデックス格納部を併設すると共に、
前記再配置管理部が、
前記インデックス格納部に格納された前記インデックス情報に基づいて対応する前記各データが予め設定された再配置可否判定基準に適合する有効データか否かを判定する再配置判定部と、この再配置判定部により再配置可能と判定された各データを対象として前記主制御部に対してその再配置を指令すると共に当該各データの再配置先の位置を設定する再配置実行指令部とを備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【0134】
〔付記2〕(再配置判定基準)
付記1に記載の磁気テープ装置において、
前記再配置判定部は、往路方向又は復路方向に走行する磁気テープ上に予め設定された各ラップに共通に区画された複数のセクタに記憶されているデータを対象とすると共に、当該各データについて前記再配置が可能か否かを判定する再配置判定基準として、
(1) 同一の磁気テープ上に往路及び復路を含む全体が空き領域のラップがあること、
(2) 二つ以上のセクタを跨がった有効ファイルが存在しないこと、
(3) 有効ファイルのセクタからハーフラップの移動方向に一つずらしたセクタを再配置移動範囲とし、同一方向のハーフラップ間にある複数の有効ファイルの再配置移動範囲が重ならないこと、ここで、有効ファイルがハーフラップの終端側にある場合の再配置移動範囲は、逆方向側ハーフラップの先頭セクタとなる、
の少なくとも三つの判定基準を有し、これに適合するデータを再配置可能な有効データと判定することを特徴とした磁気テープ装置。
【0135】
〔付記3〕(再配置先/同順位の次のセクタに配置)
付記1に記載の磁気テープ装置において、
前記再配置実行指令部は、前記再配置判定部で判定され再配置の対象となった複数の各データの再配置に際しては、往路方向又は復路方向に走行する磁気テープ上で対象となるセクタに記憶されている有効データを順次読み出す読出し制御動作および前記再配置先の位置では同一順位のセクタの次のセクタに前記読み出した一の有効データを書き込む書込み制御動作を、それぞれ前記主制御部に対して指令する再配置動作指令機能を備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【0136】
〔付記4〕(再配置/一個づつ読出し書込み)
付記3に記載の磁気テープ装置において、
前記主制御部は、前記再配置実行指令部からの指令に基づいて作動し、磁気テープ上の一のセクタに記憶されている有効データの読出し制御動作と当該読み出した有効データの前記再配置先の位置での書込み制御動作とを、連続して実行するデータ個別再配置制御機能を備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【0137】
〔付記5〕(データ開始/終了位置の書き込み)
付記3に記載の磁気テープ装置において、
前記再配置実行指令部は、前記往路方向及び復路方向に走行する磁気テープに記憶されている有効データの再配置が完了した場合に、再配置データを書き込んだ最後のセクタの次のセクタにデータ終了位置を示す記号を書き込む終了位置書込み指令機能と、前記再配置データの最初の書き込みに際しては前記最初の有効データの開始位置を示す記号を前記再配置のラップの最初のセクタの前段に書き込む開始位置書込み指令機能とを備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【0138】
〔付記6〕(バックリード指令機能)
付記3に記載の磁気テープ装置において、
前記再配置実行指令部が、前記復路方向に走行する磁気テープの前記往路側ラップに残存する未処理状態の有効データに対する再配置を前記主制御部に指令するバックリード指令機能を有すると共に、
前記主制御部が、
前記再配置実行指令部からバックリード指令が出された場合に機能し、前記復路方向に走行する磁気テープ上の未処理状態にある往路側セクタの有効データを前記ヘッドドライブ機構および磁気ヘッドを介して捕捉制御すると共に、前記磁気ヘッドで読み出された往路側セクタの有効データを対応する前記再配置先の位置にある同一順位のセクタの次のセクタに順次書き込む未処理データ再配置制御機能を備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【0139】
〔付記7〕(第2実施形態)
付記1に記載の磁気テープ装置において、
前記主制御部に、前記磁気ヘッドが読み出す前記再配置用の有効データを記憶するファイル格納部を併設すると共に、
前記主制御部は、前記ファイル格納部に対する前記再配置用の有効データの格納に際しては前記再配置動作に優先して格納するデータ格納優先処理機能と、格納された再配置用データの再配置に際しては予め設定されているファイル番号の若い順に取り出して前記再配置先に順次連続して書き込む番号順再配置処理機能とを備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【0140】
〔付記8〕(第2実施形態)
付記7に記載の磁気テープ装置において、
前記再配置判定部は、往路方向又は復路方向に走行する磁気テープ上に予め設定された各ラップに共通に区画された複数のセクタに記憶されているデータを対象とすると共に、当該各データについて前記再配置が可能か否かを判定する再配置判定基準として、
(1) 同一の磁気テープ上に往路及び復路を含む全体が空き領域のラップがあること、
(2) 同一方向のハーフラップ上にあって他の異なったハーフラップ上の同一順位のセクタには有効ファイルが存在しないこと、
の少なくとも二つの判定基準を有し、これに適合するデータを再配置可能な有効データとすることを特徴とした磁気テープ装置。
【0141】
〔付記9〕(第2実施形態/バックリード指令機能)
付記7に記載の磁気テープ装置において、
前記再配置実行指令部が、少なくとも前記復路方向に走行する磁気テープの前記往路側ラップに残存する未処理状態の有効データの再配置を前記主制御部に指令するバックリード指令機能を有すると共に、
前記主制御部は、前記再配置実行指令部からバックリード指令が出された場合に機能し、前記復路方向に走行する磁気テープ上で未処理状態にある往路側ラップ上の有効データを前記ヘッドドライブ機構および磁気ヘッドを介して捕捉制御すると共に、当該磁気ヘッドで読み出される往路側ラップ上の有効データを、復路方向の有効データ格納の流れに沿って前記ファイル格納部に順次格納する未処理データ格納処理機能を備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【0142】
〔付記10〕(方法の発明/付記1対応)
往路方向又は復路方向に走行する磁気テープの幅方向に移動して当該磁気テープ上に設定されている複数の各ラップに対するデータの読出し又は書込みを実行する磁気ヘッドと、この磁気ヘッドの移動動作をヘッドドライブ機構を介して制御すると共に前記磁気ヘッドによる前記読出し又は書込み動作を外部指令に基づいて制御する主制御部とを備えた磁気テープ装置にあって、前記主制御部が予め別に装備された再配置管理部からの指令により作動し、前記磁気テープに記憶されているデータの再配置を実行するデータ再配置方法において、
前記磁気テープに記録されている複数のファイルにかかる各データのインデックスを予め装備したインデックス格納部から読み出して前記磁気テープに記録されている各データの属性および配置位置を、前記再配置管理部がファイル毎に確認し(データファイル確認工程)、
前記インデックス格納部に格納された前記インデックス情報に基づいて対応する前記各データが予め設定された再配置可否判定基準に適合する有効データか否かを、前記再配置管理部の再配置判定部が判定し(再配置可否判定工程)、
この再配置判定部により再配置可能と判定された各有効データを対象として前記主制御部に対して、再配置実行指令部がその再配置を指令すると共に当該各データの再配置先の位置を個別に設定すること(再配置実行指令工程)を特徴としたデータ再配置方法。
【0143】
〔付記11〕(付記2対応/再配置判定基準)
付記10に記載のデータ再配置方法において、
前記再配置判定部による再配置可否の判定に際しては、往路方向又は復路方向に走行する磁気テープ上に予め設定された同一方向の各ラップに共通に区画された複数のセクタに記憶されているデータを対象とすると共に、
当該各データについて前記再配置が可能か否かを判定する再配置判定基準として、
(1) 同一の磁気テープ上に往路及び復路を含む全体が空き領域のラップがあること、
(2) 二つ以上のセクタを跨がった有効ファイルが存在しないこと、
(3) 有効ファイルのセクタからハーフラップの移動方向に一つずらしたセクタを再配置移動範囲とし、同一方向のハーフラップ間にある複数の有効ファイルの再配置移動範囲が重ならないこと、ここで、有効ファイルがハーフラップの終端側にある場合の再配置移動範囲は、逆方向側ハーフラップの先頭セクタとなる、
の少なくとも三つの判定基準を予め設置し、
この再配置判定基準に適合するデータを、前記再配置判定部が再配置可能な有効データと判定することを特徴としたデータ再配置方法。
【0144】
〔付記12〕(付記3対応/同一順位の次のセクタに再配置)
付記10に記載のデータ再配置方法において、
再配置の対象となった複数の各データの再配置の実行に際しては、
前記往路方向又は復路方向に走行する磁気テープ上で再配置の対象となった一のセクタに記憶されているデータを前記磁気ヘッドを介して読み出すデータ読出し制御動作を、前記再配置実行指令部の指令に基づいて前記主制御部が実行し、
続いて、前記一のセクタと同一順位位置にある再配置先の位置におけるセクタの次のセクタへ前記磁気ヘッドを移送させて前記読み出したデータを書き込む書込み制御動作を、前記主制御部が実行するようにしたことを特徴とするデータ再配置方法。
【0145】
〔付記13〕(付記4対応/一個づつ再配置)
付記12に記載のデータ再配置方法において、
前記磁気テープ上の一のセクタに記憶されているデータの読出し制御動作と当該読み出したデータの前記再配置先の位置での書込み制御動作とを、前記再配置実行指令部からの指令に基づいて前記主制御部が各データ毎に連続して実行するようにしたことを特徴とするデータ再配置方法。
【0146】
〔付記14〕(付記5対応/データ開始・終了位置の書き込み)
付記12に記載のデータ再配置方法において、
前記往路方向および復路方向に走行する磁気テープに記憶されているデータの再配置が完了した後に、前記再配置データを書き込んだ最後のセクタの次のセクタにデータ終了位置を示す記号を、前記再配置実行指令部からの指令に基づいて前記主制御部が前記磁気ヘッドを介して書込み制御し、
前記再配置データの最初の書き込みに際しては、前記最初のデータの開始位置を示す記号を前記再配置のラップの最初のセクタの前段に、前記主制御部が前記磁気ヘッドを介して書込み制御するようにしたことを特徴とするデータ再配置方法。
【0147】
〔付記15〕(付記6対応/バックリード指令機能)
付記12に記載のデータ再配置方法において、
前記再配置実行指令部は予め前記復路方向に走行する磁気テープの前記往路側ラップに残存する未処理状態の有効データの再配置を前記主制御部に指令するバックリード指令機能を備えており、
前記復路方向に走行する磁気テープ上で前記往路側ラップに残存する未処理状態の有効データに対しては、前記再配置実行指令部からの指令に基づいて前記主制御部が前記ヘッドドライブ機構および磁気ヘッドを介して捕捉制御し、
続いて、これを対応する前記再配置先の同一順位にあるセクタの次のセクタに順次書き込むようにしたこと(未処理データ再配置制御工程)を特徴とするデータ再配置方法。
【0148】
〔付記16〕(付記7対応/第2実施形態)
付記10に記載のデータ再配置方法において、
前記主制御部には予め前記磁気ヘッドが読み出す前記再配置用の有効データを記憶するファイル格納部が併設されており、
前記ファイル格納部に対する前記再配置用の有効データの格納に際しては、前記磁気ヘッドが読み出す前記再配置用の有効データの格納動作を、前記主制御部が前記再配置動作に優先して実行し(データ格納優先処理工程)、
この格納された再配置用データの再配置に際しては、前記主制御部が予め前記格納された有効データに付されているファイル番号の若い順に読み出して前記再配置先の位置に順次連続して書き込むようにしたこと(番号順再配置処理工程)を特徴とするデータ再配置方法。
【0149】
〔付記17〕(付記8対応/第2実施形態)
付記16に記載のデータ再配置方法において、
前記再配置可否の判定工程にあっては、往路方向又は復路方向に走行する磁気テープ上に予め設定された各ラップに共通に区画された複数のセクタに記憶されているデータを対象とすると共に、
当該各データについて前記再配置が可能か否かを判定する再配置判定基準として、
(1) 同一の磁気テープ上に往路及び復路を含む全体が空き領域のラップがあること、
(2) 同一方向のハーフラップ上にあって他の異なったハーフラップ上の同一順のセクタには有効ファイルが存在しないこと、の少なくとも二つの判定基準を有し、
この再配置判定基準に適合するデータを、前記再配置判定部が再配置可能な有効データと判定することを特徴としたデータ再配置方法。
【0150】
〔付記18〕(付記9対応/第2実施形態/バックリード指令機能)
付記16に記載のデータ再配置方法において、
前記再配置実行指令部は予め前記復路方向に走行する磁気テープの前記往路側ラップ上に残存する未処理状態の有効データに対する再配置を前記主制御部に指令するバックリード指令機能を備えており、
前記有効データ格納の優先処理工程にあっては、
前記復路方向に走行する磁気テープ上の前記往路側ラップ上の未処理状態の有効データを、前記再配置実行指令部からの指令に基づいて前記主制御部が前記ヘッドドライブ機構および磁気ヘッドを介して捕捉制御し(往路側残存データ捕捉制御工程)、
続いて、前記磁気ヘッドで捕捉した往路側の有効データを前記復路方向のデータ格納の流れに沿って、前記主制御部が前記ファイル格納部に順次格納するようにしたこと(未処理データ格納処理工程)を特徴とするデータ再配置方法。
【0151】
〔付記19〕(プログラム発明/付記10対応)
往路方向又は復路方向に走行する磁気テープの幅方向に移動して当該磁気テープ上に設定されている複数の各ラップに対するデータの読出し又は書込みを実行する磁気ヘッドと、この磁気ヘッドの移動動作をヘッドドライブ機構を介して制御すると共に前記磁気ヘッドによる前記読出し又は書込み動作を外部指令に基づいて制御する主制御部とを備えた装置本体を有する磁気テープ装置にあって、
前記装置本体には、前記主制御部に対して当該主制御部の前記各制御動作を指令すると共に前記磁気テープに記憶されているデータの再配置を指令する再配置管理部が予め設置されており、
前記磁気テープに記録されている複数のファイルにかかる各データのインデックスを予め別に装備したインデックス格納部から読み出して前記磁気テープに記録されている各データの属性および配置位置を、ファイル毎に確認するインデックス確認処理機能、
前記インデックス格納部に格納された前記各インデックス情報に基づいて対応する前記各データが予め設定された再配置可否判定基準に適合するか否かを判定する再配置可否判定処理機能、
及びこの再配置判定処理機能により再配置可能と判定された各データを対象として前記主制御部に対して、その再配置を指令すると共に当該各データの再配置先の位置を個別に設定する再配置実行指令機能、
を備え、これらを前記再配置管理部が備えているコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とするデータ再配置用動作制御プログラム。
【0152】
〔付記20〕(付記11対応/再配置判定基準)
付記19に記載のデータ再配置用動作制御プログラムにおいて、
前記再配置可否判定処理機能では、
往路方向及び復路方向に走行する磁気テープ上に予め設定された各ラップに共通に区画された複数のセクタの何れかに記憶されているデータを対象とすると共に、
当該各データについて前記再配置が可能か否かを判定する再配置判定基準として、
(1) 同一の磁気テープ上に往路及び復路を含む全体が空き領域のラップがあること、
(2) 二つ以上のセクタを跨がった有効ファイルが存在しないこと、
(3) 有効ファイルのセクタからハーフラップの移動方向に一つずらしたセクタを再配置移動範囲とし、同一方向のハーフラップ間にある複数の有効ファイルの再配置移動範囲が重ならないこと、の少なくとも三つを判定基準として有し、
この再配置判定基準に適合するデータを、前記再配置可否判定処理機能が再配置可能な有効データと判定することをその内容とし、
これを前記コンピュータに実現させるようにしたことを特徴とするデータ再配置用動作制御プログラム。
【0153】
〔付記21〕(付記12対応/元のセクタと同一順位の次のセクタに再配置)
付記19に記載のデータ再配置用動作制御プログラムにおいて、
前記再配置実行指令機能では、
前記往路方向又は復路方向に走行する磁気テープ上で再配置の対象となった同一方向の一のセクタに記憶されているデータを前記磁気ヘッドを介して読み出す読出す動作を前記主制御部に指令する読出し動作指令機能、
及びこの読み出された前記各データを前記ヘッドドライブ機構および磁気ヘッドを移送制御して前記一のセクタと同順位にある再配置先のセクタの次のセクタへ書き込むデータ書込み動作を前記主制御部に指令する書込み動作指令機能を有し、
これらの各指令機能を前記コンピュータに実現させるようにしたことを特徴とするデータ再配置用動作制御プログラム。
【0154】
〔付記22〕(付記13対応/一個づつ再配置)
付記21に記載のデータ再配置用動作制御プログラムにおいて、
前記磁気テープ上の一のセクタに記憶されているデータの読出し制御動作と当該読み出したデータの前記再配置先の位置での書込み制御動作とを、前記主制御部が連続して実行するように指令する再配置個別実行指令機能を設け、
これを前記コンピュータに実現させるようにしたことを特徴とするデータ再配置用動作制御プログラム。
【0155】
〔付記23〕(付記14対応/データ開始・終了位置の書き込み)
付記21に記載のデータ再配置用動作制御プログラムにおいて、
前記往路方向および復路方向に走行する磁気テープに記憶されているデータの再配置が完了した後に、前記再配置データを書き込んだ最後のセクタの次のセクタにデータ終了位置を示す記号を前記磁気ヘッドを介して書込み制御するように、前記主制御部に指令する終了位置書込み指令発信機能、
及び前記再配置データの最初の書き込みに際しては、前記最初のデータの開始位置を示す記号を前記再配置のラップの最初のセクタの前段に前記磁気ヘッドを介して書込み制御するように、前記主制御部に指令する開始位置書込み指令発信機能、
を設け、これらを前記コンピュータに実現させるようにしたことを特徴とするデータ再配置用動作制御プログラム。
【0156】
〔付記24〕(付記15対応:バックリード指令機能)
付記21に記載のデータ再配置用動作制御プログラムにおいて、
前記再配置実行指令機能では、予め前記復路方向に走行する磁気テープの前記往路側ラップに残存する未処理状態の有効データの再配置を前記主制御部に指令するバックリード指令機能を備えており、
前記再配置実行指令機能が、その内容として、
少なくとも前記復路方向に走行する磁気テープ上で前記往路側ラップ上に残存する未処理状態の有効データを前記ヘッドドライブ機構および磁気ヘッドを介して捕捉するように前記主制御部に指令する有効データ捕捉指令機能、
及びこの捕捉した有効データを対応する前記再配置先の位置にあるセクタに前記再配置の場合と同様に書き込むように前記主制御部に指令する有効データ書込み指令機能、
を有し、これらを前記コンピュータに実現させるようにしたことを特徴とするデータ再配置用動作制御プログラム。
【0157】
〔付記25〕(付記16対応/第2実施形態)
付記19に記載のデータ再配置用動作制御プログラムにおいて、
前記主制御部には予め前記磁気ヘッドが読み出す前記再配置用の有効データを記憶するファイル格納部が併設されており、
前記ファイル格納部に対する前記再配置用の有効データの格納に際しては、前記磁気ヘッドが読み出す前記再配置用の有効データの格納動作を前記再配置動作に優先して実行するように前記主制御部に指令するデータ格納優先処理機能、
及びこの格納された再配置用データの再配置に際しては、予め前記格納された有効データに付されているファイル番号の若い順に読み出して前記再配置先の位置に順次連続して書き込むように前記主制御部に指令する再配置連続処理機能、
を設け、この各処理機能を前記コンピュータに実現させるようにしたことを特徴とするデータ再配置用動作制御プログラム。
【0158】
〔付記26〕(付記17対応/第2実施形態)
付記25に記載のデータ再配置用動作制御プログラムにおいて、
前記再配置可否判定処理機能では、
前記往路方向又は復路方向に走行する磁気テープ上に予め設定された各ラップに共通に区画された複数のセクタに記憶されているデータを対象とすると共に、
当該各データについて前記再配置が可能か否かを判定する再配置判定基準として、
(1) 同一の磁気テープ上に往路及び復路を含む全体が空き領域のラップがあること、
(2) 同一方向のハーフラップ上にあって他の異なったハーフラップ上の同一順位のセクタには有効ファイルが存在しないこと、の少なくとも二点を予め備えており、
この再配置判定基準に適合するデータを、前記再配置可否判定処理機能が再配置可能な有効データと判定することをその内容とし、
この判定機能を前記コンピュータに実現させるようにしたことを特徴とするデータ再配置用動作制御プログラム。
【0159】
〔付記27〕(付記18対応/第2実施形態/バックリード指令機能)
付記25に記載のデータ再配置用動作制御プログラムにおいて、
前記再配置実行指令機能は、予め前記復路方向に走行する磁気テープの前記往路側ラップ上に残存する未処理状態の有効データに対する再配置を前記主制御部に指令するバックリード指令機能を備えており、
前記データ格納優先処理機能にあっては、
前記復路方向に走行する磁気テープ上の前記往路側ラップ上の未処理状態の有効データを前記ヘッドドライブ機構および磁気ヘッドを介して捕捉することを前記主制御部に指令する往路側残存データ捕捉指令機能、及び前記磁気ヘッドで捕捉した往路側の有効データを前記復路方向のデータ格納の流れに沿って前記ファイル格納部に順次格納することを前記主制御部に指令する未処理データ格納処理機能を含み、
これを前記コンピュータに実現させるようにしたことを特徴とするデータ再配置用動作制御プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0160】
ラップおよびセクタによってデータ格納領域が特定される全ての記憶媒体に適用可能である。
【符号の説明】
【0161】
1 上位装置
2 磁気テープ装置
2A,2B 装置本体
11 磁気テープ
11A 磁気テープ走行駆動装置
11a 第1ラップ
11b 第2ラップ
11c 第3ラップ
12 磁気ヘッド
13 ヘッドドライブ機構
14,24 主制御部
14A 磁気ヘッド用移送制御機能
14B 磁気ヘッド用読出し書込み制御機能
14C データ個別再配置制御機能
14D バックリード制御機能
14E 未処理データ再配置制御機能
15,25 再配置管理部
15A,25A 再配置判定部
15B 再配置実行指令部
15Ba 再配置動作祖例機能
15Bb 開始位置書込み指令機能
15Bc 終了位置書込み指令機能
15Bd バックリード指令機能
15C インデックス取得管理部
16 インデックス格納部
21 ファイル格納部(データ格納部)
24C データ格納優先処理機能
24D 番号順再配置処理機能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
往路方向又は復路方向に走行する磁気テープの幅方向に移動して当該磁気テープ上に設定されている複数の各ラップに対するデータの読出し又は書込みを実行する磁気ヘッドと、この磁気ヘッドの移動動作をヘッドドライブ機構を介して制御すると共に前記磁気ヘッドによる前記読出し又は書込み動作を外部指令に基づいて制御する主制御部とを備えた装置本体を有する磁気テープ装置であって、
前記装置本体に、前記主制御部に対して当該主制御部の前記各制御動作を指令すると共に前記磁気テープに記憶されているデータの再配置を指令する再配置管理部を設け、
この再配置管理部に、前記磁気テープに記憶されているデータにかかるインデックス情報を格納するインデックス格納部を併設すると共に、
前記再配置管理部が、
前記インデックス格納部に格納された前記インデックス情報に基づいて対応する前記各データが予め設定された再配置可否判定基準に適合する有効データか否かを判定する再配置判定部と、この再配置判定部により再配置可能と判定された各データを対象として前記主制御部に対してその再配置を指令すると共に当該各データの再配置先の位置を設定する再配置実行指令部とを備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気テープ装置において、
前記再配置判定部は、往路方向又は復路方向に走行する磁気テープ上に予め設定された各ラップに共通に区画された複数のセクタに記憶されているデータを対象とすると共に、当該各データについて前記再配置が可能か否かを判定する再配置判定基準として、
(1)同一の磁気テープ上に往路及び復路を含む全体が空き領域のラップがあること、
(2)二つ以上のセクタを跨がった有効ファイルが存在しないこと、
(3)有効ファイルのセクタからハーフラップの移動方向に一つずらしたセクタを再配置移動範囲とし、同一方向のハーフラップ間にある複数の有効ファイルの再配置移動範囲が重ならないこと(ここで、有効ファイルがハーフラップの終端側にある場合の再配置移動範囲は、逆方向側ハーフラップの先頭セクタとなる)、
の少なくとも三つの判定基準を有し、これに適合するデータを再配置可能な有効データと判定することを特徴とした磁気テープ装置。
【請求項3】
請求項1に記載の磁気テープ装置において、
前記再配置実行指令部は、前記再配置判定部で判定され再配置の対象となった複数の各データの再配置に際しては、往路方向又は復路方向に走行する磁気テープ上で対象となるセクタに記憶されている有効データを順次読み出す読出し制御動作および前記再配置先の位置では同一順位のセクタの次のセクタに前記読み出した一の有効データを書き込む書込み制御動作を、それぞれ前記主制御部に対して指令する再配置動作指令機能を備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の磁気テープ装置において、
前記主制御部は、前記再配置実行指令部からの指令に基づいて作動し、磁気テープ上の一のセクタに記憶されている有効データの読出し制御動作と当該読み出した有効データの前記再配置先の位置での書込み制御動作とを、連続して実行するデータ個別再配置制御機能を備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【請求項5】
請求項3に記載の磁気テープ装置において、
前記再配置実行指令部が、前記復路方向に走行する磁気テープの前記往路側ラップに残存する未処理状態の有効データに対する再配置を前記主制御部に指令するバックリード指令機能を有すると共に、
前記主制御部が、
前記再配置実行指令部からバックリード指令が出された場合に機能し、前記復路方向に走行する磁気テープ上の未処理状態にある往路側セクタの有効データを前記ヘッドドライブ機構および磁気ヘッドを介して捕捉制御すると共に、前記磁気ヘッドで読み出された往路側セクタの有効データを対応する前記再配置先の位置にある同一順位のセクタの次のセクタに順次書き込む未処理データ再配置制御機能を備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【請求項6】
請求項1に記載の磁気テープ装置において、
前記主制御部に、前記磁気ヘッドが読み出す前記再配置用の有効データを記憶するファイル格納部を併設すると共に、
前記主制御部は、前記ファイル格納部に対する前記再配置用の有効データの格納に際しては前記再配置動作に優先して格納するデータ格納優先処理機能と、格納された再配置用データの再配置に際しては予め設定されているファイル番号の若い順に取り出して前記再配置先に順次連続して書き込む番号順再配置処理機能とを備えていることを特徴とした磁気テープ装置。
【請求項7】
往路方向又は復路方向に走行する磁気テープの幅方向に移動して当該磁気テープ上の各ラップに対するデータの読出し又は書込みを実行する磁気ヘッドと、この磁気ヘッドの移動動作をヘッドドライブ機構を介して制御すると共に前記磁気ヘッドによる前記読出し又は書込み動作を外部指令に基づいて制御する主制御部とを備えた磁気テープ装置にあって、前記主制御部が予め別に装備された再配置管理部からの指令により作動し、前記磁気テープに記憶されているデータの再配置を実行するデータ再配置方法において、
前記磁気テープに記録されている複数のファイルにかかる各データのインデックスを予め装備したインデックス格納部から読み出して前記磁気テープに記録されている各データの属性および配置位置を、前記再配置管理部がファイル毎に確認し、
前記インデックス格納部に格納された前記インデックス情報に基づいて対応する前記各データが予め設定された再配置可否判定基準に適合する有効データか否かを、前記再配置管理部の再配置判定部が判定し、
この再配置判定部により再配置可能と判定された各有効データを対象として前記主制御部に対して、再配置実行指令部がその再配置を指令すると共に当該各データの再配置先の位置を個別に設定することを特徴としたデータ再配置方法。
【請求項8】
請求項7に記載のデータ再配置方法において、
前記主制御部には予め前記磁気ヘッドが読み出す前記再配置用の有効データを記憶するファイル格納部が併設されており、
前記ファイル格納部に対する前記再配置用の有効データの格納に際しては、前記磁気ヘッドが読み出す前記再配置用の有効データの格納動作を、前記主制御部が前記再配置動作に優先して実行し、
この格納された再配置用データの再配置に際しては、前記主制御部が予め前記格納された有効データに付されているファイル番号の若い順に読み出して前記再配置先の位置に順次連続して書き込むようにしたことを特徴とするデータ再配置方法。
【請求項9】
往路方向又は復路方向に走行する磁気テープの幅方向に移動して当該磁気テープ上に設定されている複数の各ラップに対するデータの読出し又は書込みを実行する磁気ヘッドと、この磁気ヘッドの移動動作をヘッドドライブ機構を介して制御すると共に前記磁気ヘッドによる前記読出し又は書込み動作を外部指令に基づいて制御する主制御部とを備えた装置本体を有する磁気テープ装置にあって、
前記装置本体には、前記主制御部に対して当該主制御部の前記各制御動作を指令すると共に前記磁気テープに記憶されているデータの再配置を指令する再配置管理部が予め設置されており、
前記磁気テープに記録されている複数のファイルにかかる各データのインデックスを予め別に装備したインデックス格納部から読み出して前記磁気テープに記録されている各データの属性および配置位置を、ファイル毎に確認するインデックス確認処理機能、
前記インデックス格納部に格納された前記各インデックス情報に基づいて対応する前記各データが予め設定された再配置可否判定基準に適合するか否かを判定する再配置可否判定処理機能、
及びこの再配置判定処理機能により再配置可能と判定された各データを対象として前記主制御部に対して、その再配置を指令すると共に当該各データの再配置先の位置を個別に設定する再配置実行指令機能、
を備え、これらを前記再配置管理部が備えているコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とするデータ再配置用動作制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のデータ再配置用動作制御プログラムにおいて、
前記主制御部には予め前記磁気ヘッドが読み出す前記再配置用の有効データを記憶するファイル格納部が併設されており、
前記ファイル格納部に対する前記再配置用の有効データの格納に際しては、前記磁気ヘッドが読み出す前記再配置用の有効データの格納動作を前記再配置動作に優先して実行するように前記主制御部に指令するデータ格納優先処理機能、
及びこの格納された再配置用データの再配置に際しては、予め前記格納された有効データに付されているファイル番号の若い順に読み出して前記再配置先の位置に順次連続して書き込むように前記主制御部に指令する再配置連続処理機能、
を設け、この各処理機能を前記コンピュータに実現させるようにしたことを特徴とするデータ再配置用動作制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−243339(P2012−243339A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110720(P2011−110720)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】