説明

磁気ディスク用ブランク材の保持具

【課題】ブランク材を運搬する際にブランク材の重なり合う平面が傷つき難く、梱包作業を軽減することのできる磁気ディスク用ブランク材の保持具を提供する。
【解決手段】磁気ディスクに使用されるブランク材50を複数枚単位で積層して保持するための磁気ディスク用ブランク材の保持具において、中心軸線Pに沿って延在し、ブランク材50のそれぞれに形成された穴部51を中心軸線P方向に挿通可能な芯部10を備え、芯部10の一端側には、挿通される最初のブランク材50を支持する受け部20が設けられ、芯部10の他端側には、ロック機構部14をロックした状態で、芯部10の外周面11と同一またはそれよりも内方の位置に退避し、ロック機構部14を解除した状態で、芯部10の外周面11から突出して、挿通して積層される最後のブランク材50を受け部20に向けて押圧するブランク材保持部12が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円板状の磁気ディスク用ブランク材を束ねて保持するための保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク用ブランク材は、例えば、アルミニウム合金鋳塊に熱間圧延、冷間圧延(中間焼鈍を含む)、プレス打ち抜き、加圧焼鈍をこの順に施すことにより製造されることが知られている。このブランク材は、その後、順次、端面加工・表面研磨(Gサブ加工)、Ni−Pメッキ処理、表面研磨、メディア加工(記憶媒体を表面に形成する)の各工程を経て磁気ディスクに加工され、ハードディスクドライブに組み込まれることも知られている。また、前記メディア加工はテクスチャー、スパッタリングなどの方法により行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ブランク材は、上述した加圧焼鈍を終えた段階で出荷される。このとき、ブランク材は、数十枚単位で積層された状態(以下、パックという)で梱包されることになる。より詳細には、それぞれのブランク材の穴部に芯材を挿通させ、隣り合うブランク材の平面同士を重ね合わせた状態で束ねられる。このパックの外側は、各ブランク材がその半径方向にずれないようにプラスチックフィルムでシュリンク梱包され、客先へと運搬される。上述した芯材は、厚紙またはプラスチック材によって筒状に形成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-186241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブランク材は、端面加工・表面研磨、Ni−Pメッキ処理、表面研磨、メディア加工を経て、ブランク材表面に磁性体・保護膜等を形成されたのちハードディスクドライブに搭載されるが、ブランク材の表面に深い傷が生じると平面加工工程において傷が残存し、その傷の部分が記録不能領域となってしまうため、その平面には傷がないことが好ましい。しかしながら、上述した芯材の外径は、ブランク材を挿通し易くするためにブランク材の穴部の内径よりも若干小さく形成されている。そのため、ブランク材の運搬中の振動によって個々のブランク材に径方向へ力が作用したときに、個々のブランク材が径方向にずれてしまい、ブランク材の互いに接する平面同士が擦れて、表面に平面研磨工程で残存するような深い傷がついてしまうおそれがある。
また、このずれを防止するために、上述の通り、従来では、プラスチックフィルムでパックの外側をシュリンク梱包していたが、積層枚数が多くなると完全にブランク材の径方向のずれを防ぐことは難しくなり、またシュリンク梱包する作業及びシュリンク梱包を取り除く作業が煩わしいという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、ブランク材を適切に保持し、運搬する際にブランク材の重なり合う平面が傷つき難くすることができ、かつ梱包作業を軽減することのできる磁気ディスク用ブランク材の保持具を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述課題を解決するため、本発明は、磁気ディスク用ブランク材を複数枚単位で積層して保持するための磁気ディスク用ブランク材の保持具において、中心軸線に沿って延在し、前記ブランク材のそれぞれに形成された穴部を前記中心軸線方向に挿通可能な芯部を備え、前記芯部の一端側には、挿通される最初のブランク材を支持する受け部が設けられ、前記芯部の他端側には、ロック機構部をロックした状態で、前記芯部の外周面と同一またはそれよりも内方の位置に退避し、前記ロック機構部を解除した状態で、前記芯部の外周面から突出して、挿通して積層される最後のブランク材を前記受け部に向けて押圧するブランク材保持部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、前記ロック機構部および前記ブランク材保持部は、樹脂材料で成形されており、前記ブランク材保持部は、樹脂材料の弾性を利用して変位するようにしてもよい。
【0009】
さらに、前記ブランク材保持部は、複数カ所に設けられていることが好ましい。
【0010】
さらにまた、前記芯部は中空内部を有する筒状に形成され、前記ロック機構部は、前記芯部の中空内部に設けられていてもよい。
【0011】
また、前記ロック機構部は、2つの前記ブランク材保持部から径方向内側にそれぞれ突出するアーム部と、このアーム部に設けられ、前記芯部の中央部で互いに係合可能な爪部とで構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る磁気ディスク用ブランク材の保持具では、中心軸線に沿って延在し、前記ブランク材のそれぞれに形成された穴部を中心軸線方向に挿通可能な芯部を備え、前記芯部の一端側には、挿通される最初のブランク材を支持する受け部が設けられ、前記芯部の他端側には、ロック機構部をロックした状態で、前記芯部の外周面と同一またはそれよりも内方の位置に退避し、前記ロック機構部を解除した状態で、前記芯部の外周面から突出して、挿通して積層される最後のブランク材を前記受け部に向けて押圧するブランク材保持部が設けられているので、芯部にブランク材の穴部を挿通させるときにはロック機構をロックさせることで、芯部にブランク材の穴部を挿通させることができる。他方、複数のブランク材を積層させた後は、ロック機構を解除して、ブランク材保持部で最後のブランク材を受け部に向けて押圧することで、積層されたブランク材同士を強く密着させ、各ブランク材間の摩擦力を大きくすることができる。そのため、運搬時の振動によって個々のブランク材が芯材の径方向にずれ難くなり、ブランク材の重なり合う平面同士が擦れ合うことを防止することができる。その結果、ブランク材を運搬する際にブランク材の重なり合う平面が傷つき難くなる。
【0013】
また、ブランク材が径方向へずれないようにすることができるので、運搬時にブランク材を固定するためのシュリンク梱包をする必要がない。その結果、梱包作業および納入先での開梱作業の負荷を軽減することができる。また、シュリンク用のプラスチックフィルムが不要となり、梱包資材の削減が可能となる効果もある。さらに、本発明にかかる保持具は、再使用することが可能である効果を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る磁気ディスク用ブランク材の保持具の側面図である。
【図2】図1のII−II線で切断した状態における断面図である。
【図3】図1の上面図である。
【図4】図3のロック機構部をロックさせた状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る磁気ディスク用ブランク材の保持具の側面図である。また、図2は、図1のII−II線で切断した状態における断面図であり、図3は、図1の上面図であって、後述するロック機構部14が解除されている状態(ロックされていない状態)を示している。なお、以下の説明で使用する上および下の方向は、図1の状態に基づいて示すものである。
【0016】
磁気ディスク用ブランク材の保持具1(以下、単に保持具1という)は、図1に示す側面図において、略逆T字形状をなしている。この保持具1は、その上側部分を構成する芯部10と、下側(芯部10の一端側)部分を構成する底面部20とで構成されている。
【0017】
この保持具1には、図1に示すように、加圧焼鈍後のブランク材50が積層して束ねられるようになっている。このブランク材50は、アルミの平板から円板状に打ち抜かれた後に、加圧焼鈍時の熱処理によって所定の平面度を有するように加工されたものである。また、このブランク材50の中心には、ブランク材50を用いて製造される記録ディスクの把持用穴を構成するための穴部51が形成されている。この保持具1には、複数枚(数十枚)のブランク材50が、芯部10に穴部51を挿通させた状態で上下に積層されるようになる。このとき、上下に隣接するブランク材50の上側平面50aと下側平面50bとは、互いに直接に接触している。
【0018】
芯部10は、図1に示すように、内部が中空形状の筒状に形成されており、その中心軸線Pが上下方向に向けられている。この芯部10の外周面11の外径D1は、ブランク材50の穴部51の内径D2よりも若干小さく形成されており、穴部51を芯部10に容易に挿通させることができるようになっている。
【0019】
この芯部10の上部には、2つのブランク材保持部12,12が設けられている。このブランク材保持部12,12は、図3の断面図に示すように、芯部10の中心軸線Pを挟んで対峙する位置に一対で配置されており、図1および図2に示すように、高さも同じ位置に配置されている。なお、2つのブランク材保持部12,12はその形状および構造は同じものである。そのため、以下で特に言及しない場合には、ブランク材保持部12の説明は、両方のブランク材保持部12を説明するものとする。
【0020】
ブランク材保持部12,12は、芯部10の本体側と樹脂材料で一体に成形されている。また、ブランク材保持部12,12は、図1に示すように、芯部10の上端10aから下側に向けて延びる2つのスリット13,13によって横方向が分離されており、下側の基端部12a,12aだけが芯部10の本体と繋がっている。これにより、ブランク材保持部12,12は、基端部12a,12aの弾性によって芯部10の径方向に自由に動くことができるようになっている。
【0021】
2つのブランク材保持部12,12の外側面12c,12c間の長さD3であって、ブランク材保持部12,12に径方向への外力が作用していない状態(基端部12aが弾性変形していない状態。図2参照)における外側面12c,12c間の長さD3は、芯部10の外周面11の外径D1とほぼ等しくなるように形成されている。なお、D3は、D1と比較して短くなるように形成してあってもよい。
【0022】
また、ブランク材保持部12,12には、図1〜図3に示すように、その上端部12b,12bから芯部10の半径方向外側に向かって突出する支持部17,17が設けられている。
【0023】
この支持部17,17の外側端部17a,17a間の長さD4であって、ブランク材保持部12,12に径方向の力が作用していない状態(基端部12aが弾性変形していない状態。図2参照)における外側端部17a,17a間の長さD4は、芯部10の外周面11の外径D1、および、ブランク材50の穴部51の内径D2よりも大きくなるように形成されている。
【0024】
また、外側端部17a,17aの下側には、図2に示すように、外側端部17a,17aから芯部10の外周面11に向かって下側に傾斜する傾斜面17b,17bが形成されている。
【0025】
一方、一対のブランク材保持部12,12には、図3に示すように、ブランク材保持部12,12の上端部12b,12bから芯部10の半径方向内側(支持部17,17の突出方向と反対側)に向かって中心軸線Pの付近(芯部の)までそれぞれ延びるアーム部14a,14aと、このアーム部14a,14aの先端部から互いに向き合う方向に突出する爪部14b,14bとを備えている。これらのアーム部14a,14aおよび爪部14b,14bによって、ロック機構部14が構成されている。このロック機構部14は、ブランク材を挿入したり、取り出したりする際に芯材の内側に退避し、ロック解除した際に、ブランク材保持部12,12の上述した径方向への移動を規制するためのものである。また、このロック機構部14は、図3に示すように、芯部10の中空内部Sの空間を利用して構成されている。
【0026】
これらのアーム部14a,14aおよび爪部14b,14bは、樹脂材料によってブランク材保持部12,12と一体に形成されている。すなわち、芯部10の本体部、ブランク材保持部12,12、およびロック機構部14とは、樹脂材料によって一体に成形されている。
【0027】
アーム部14a,14aは、樹脂材料の弾性によって、爪部14b,14bが係合した状態から、この係合が解除される方向に撓むようになっている。より詳細には、アーム部14a,14aは、水平方向に互いに離れるように撓んだり、上下方向に互いに離れるように撓んだりすることができるようになっている。
【0028】
爪部14b,14bは、アーム部14a,14aの延在する方向と略直角をなし、係合(ロック)するときに互いに接触係合する係合面15,15と、爪部14b,14bの突出する頂部からアーム部14aの先端に向けて先細りする態様で傾斜する傾斜面16,16とを備えている。
【0029】
図4は、図3のロック機構部14をロックさせた状態を示す図である。
上述した係合面15,15が互いに係合した状態(ロック機構部14がロックした状態)では、ブランク材保持部12,12は、径方向外側への移動が規制されるようになる。より詳細には、ブランク材保持部12,12は、図4に示すように、半径内側方向(図中、符号Tで示す)に押し込まれたときに、基端部12aの弾性変形によってT方向へと移動し、爪部14b,14bが係合する。
【0030】
このロックした状態では、支持部17,17の外側端部17a,17a間の長さD4は、芯部10の外周面の外径D1とほぼ等しくなる(外側端部17a,17aが外周面11とほぼ同一の位置に退避する)。これにより、ロックした状態では、芯部10の上端10a側からブランク材50の穴部51を挿通することができる。なお、ロックした状態におけるD4は、外径D1よりも小さくなる(外側端部17a,17aが芯部10の内方の位置に退避する)ように形成されていてもよい。
【0031】
他方、机上などの平面に保持具1を載置可能にするために、芯部10の下側を支持する底面部20が設けられている(図1参照)。この底面部20は、芯部10の一端側に位置する脚部21(受け部)と、この脚部21から上方に向けて突出する芯部支持部22とで構成されており、これらは樹脂材料で一体に形成されている。この脚部21は、その上面21aが芯部支持部22と略直交する平面に形成されており、挿通されて積層されるブランク材の最下層の(最初の)ブランク材50の下側平面50bと面で接触して支持するようになっている。
【0032】
また、芯部支持部22の上端には、芯部10が略垂直に起立した姿勢で取り付けられる。この芯部支持部22の直径は、芯部10の直径とほぼ等しく形成されており、芯部10を芯部支持部22に取り付けた状態で、芯部10の外周面11と芯部支持部22の外周面23とが、上下にほぼ面一になるようになっている。
【0033】
次に、本発明の実施の形態に係る保持具1の作用について図1〜図4を用いて説明する。
ブランク材50を保持具1に束ねて積層する前の状態では、ロック機構部14はロックしてある。このロック操作は、一対のブランク材保持部12,12を半径方向に押し込むことにより行う。すなわち、半径方向に押し込むと、ブランク材保持部12,12の基端部12a,12aが弾性により撓むようになる。そして、爪部14b,14bの傾斜面16,16が互いに接触・摺動して爪部14b,14bを離反させる方向に押し開き、所定の押し込み位置で係合面15,15同士が係合してロックされる。このとき、アーム部14a,14aは、水平方向に弾性によって撓むことによって爪部14b,14bが押し開かれるようになる。
【0034】
このロックした状態では、支持部17,17の外側端部17a,17a間の長さD4は、芯部10の外径D1とほぼ等しい位置まで退避しているので、芯部10の上側からブランク材50の穴部51を芯部10に挿通させることができる。
【0035】
最初に挿入した最下層に位置するブランク材50の下側平面50bは、保持具1の脚部21の上面21aと面で接触し、安定した状態で置かれるようになる。そして、2枚目以降のブランク材50を芯部10に順次挿通させることにより、複数枚のブランク材50が積層して保持具1で束ねられるようになる。
【0036】
ブランク材50を所定の枚数(数十枚単位の枚数)だけ束ねた後、ロック機構部14のロックを解除する。このロック解除操作は、爪部14b,14b同士がそれぞれ離れる方向(水平方向または上下方向)へ撓ませることで、係合面15,15の係合が解除される。この係合が解除されると、ブランク材保持部12,12は、基端部12a,12aの弾性によって半径方向外側に移動して、支持部17が芯部10の外周面11よりも外側に突出する。さらには、支持部17の外側端部17a,17aがブランク材50の穴部51の内径D2よりも外側に位置するようになる。
【0037】
このとき、支持部17は、挿通して積層される最後のブランク材50の上側平面50aを脚部21に向けて押圧するようになる。また、この押圧は、支持部17の傾斜面17bが最後のブランク材50の穴部51の縁部と当接することによって発生する。
【0038】
積層された複数枚のブランク材50は、この押圧力によって平面同士が強く押しつけられ、摩擦力が高まることになる。これにより、運搬中に各ブランク材50に径方向へのずれ力が作用したとしても、ブランク材50がその半径方向へ移動しにくくなる。
【0039】
本発明の実施の形態に係る磁気ディスク用ブランク材の保持具によれば、以下の効果を得ることができる。
すなわち、中心軸線Pに沿って延在し、ブランク材50のそれぞれに形成された穴部51を中心軸線P方向に挿通可能な芯部10を備え、芯部10の一端側には、挿通される最初のブランク材50を支持する脚部21が設けられ、芯部10の他端側には、ロック機構部14をロックした状態で、芯部10の外周面11と同一またはそれよりも内方の位置に退避し、ロック機構部14を解除した状態で、芯部10の外周面11から突出して、挿通して積層される最後のブランク材50を脚部21に向けて押圧するブランク材保持部12が設けられているので、芯部10にブランク材50の穴部51を挿通させるときにはロック機構部14をロックさせることで、芯部10にブランク材50の穴部51を挿通させることができる。他方、複数のブランク材50を積層させた後は、ロック機構部14を解除して、ブランク材保持部12で最後のブランク材50を脚部21に向けて押圧することで、積層されたブランク材50同士の接触する平面50a,50bを強く密着させ、各ブランク材間の摩擦力を大きくすることができる。そのため、運搬時の振動によって個々のブランク材50が芯材10の径方向にずれ難くなり、ブランク材50同士が重なり合う平面50a,50bが擦れ合うことを防止することができる。その結果、ブランク材50を運搬する際にブランク材の重なり合う平面50a,50bが傷つき難くなる。
【0040】
また、ロック機構部14およびブランク材保持部12,12は、芯部10に樹脂材料で一体に成形されており、ブランク材保持部12,12は、樹脂材料の弾性を利用して変位するように構成されているので、ロック機構部14およびブランク材保持部12,12を容易に芯部10に設けることができる。また、樹脂材料の弾性を利用することにより、ばね等の弾性部品を別途設ける必要がない。
【0041】
さらに、ブランク材保持部12,12は、芯部10の断面において、この芯部10の中心軸線Pを挟んで対峙する2カ所に設けられているので、ブランク材50を確実に押圧することができる。また、本実施の形態では、ロック機構部14とブランク材保持部を連続するように構成したことにより、2カ所に位置するブランク材保持部12,12を互いに係合させてロックすることができる。ここで、ブランク材保持部を3カ所以上設けてもよく、この場合には一部のブランク材保持部にのみにロック機構部を設けることも可能である。なお、ブランク材保持部を3カ所以上設ける場合には、各ブランク材保持部を等間隔で設けると、ブランク材に均等に力がかかるので好ましい。
【0042】
また、ロック機構部14は、ブランク材保持部12,12から径方向内側にそれぞれ突出し、芯部10の中空内部Sで構成されているので、空きスペースを有効に活用してロック機構部14を構成することができる。
【0043】
さらに、ロック機構部14の係止面15を中空内部Sの中心部でそれぞれ係合させているので、2つのブランク材保持部12,12が径方向において均等な力で引っ張られるようになり、2つのブランク材保持部12の突出量を均等にすることができる。
【0044】
さらにまた、芯部10と底面部20とを別体で構成して組み付けるようにしているので、芯部10および底面部20の樹脂成形がし易い。
【0045】
以上、本発明を実施するための最良の形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
例えば、ブランク材保持部12,12は基端部12a,12aの弾性によって突出するようにしているが、樹脂材料の弾性を利用せずに、機構を用いて突出するようにしてもよい。すなわち、本発明では、ブランク材保持部12,12が突出または退避可能に構成されていれば、最後のブランク材50を脚部21に向けて押圧することができ、その方法にはよらない。
【0046】
また、本実施の形態では、ロック機構部14をアーム部14aと爪部14bとで構成しているが、ブランク材保持部12を所定の位置で保持できる機構であれば、他の構造であってもかまわない。すなわち、本発明では、ブランク材保持部12が退避した位置でブランク材50を挿通できるようにロックできればよく、そのロックする方法は本実施の形態に示した方法に限らない。
【0047】
また、本実施の形態では、芯部支持部22の上端に、芯部10が略垂直に起立した姿勢で取り付けられているが、芯部10を長くして芯部支持部22に取付けオスネジ部を設けることにより、芯部支持部22に芯部10と同一径の箇所を設けない形態とすることもできる。また、脚部20にメスネジを設け、オスネジを有する芯部10に直接取り付ける等の方法を取ることも可能である。なお、芯部10、脚部20は別体に成形されるほうが、設計自由度が大きくなる利点がある。
【0048】
また、ロック機構部14およびブランク材保持部12は、芯部10とは一体に形成されても別体に成形されていても良いが、別体に成形されるほうが、設計自由度が大きくなる利点がある。
【0049】
また、本発明を適用するブランク材は、加圧焼鈍後のブランク材のみではなく、加圧焼鈍前のブランク材であっても良い。
【符号の説明】
【0050】
1 磁気ディスク用ブランク材の保持具(保持具)
10 芯部
10a 芯部の上端
11 外周面
12 ブランク材保持部
12a 基端部
12b 上端部
12c 外側面
13 スリット
14 ロック機構部
14a アーム部
14b 爪部
15 係合面
16 傾斜面
17 支持部
17a 外側端部
17b 傾斜面
20 底面部
21 脚部(受け部)
21a 上面
22 芯部支持部
23 外周面
50 ブランク材
50a 上側平面
50b 下側平面
51 穴部
D1 外周面の外径
D2 穴部の内径
D3 ブランク材保持部の外側面間の長さ
D4 支持部の外側端部間の長さ
P 中心軸線(芯部の中心部)
S 中空内部
T ブランク材保持部のロック時の移動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ディスク用ブランク材を複数枚単位で積層して保持するための磁気ディスク用ブランク材の保持具において、
中心軸線に沿って延在し、前記ブランク材のそれぞれに形成された穴部を前記中心軸線方向に挿通可能な芯部を備え、
前記芯部の一端側には、挿通される最初のブランク材を支持する受け部が設けられ、
前記芯部の他端側には、ロック機構部をロックした状態で、前記芯部の外周面と同一またはそれよりも内方の位置に退避し、前記ロック機構部を解除した状態で、前記芯部の外周面から突出して、挿通して積層される最後のブランク材を前記受け部に向けて押圧するブランク材保持部が設けられていることを特徴とする磁気ディスク用ブランク材の保持具。
【請求項2】
前記ロック機構部および前記ブランク材保持部は、樹脂材料で成形されており、前記ブランク材保持部は、樹脂材料の弾性を利用して変位することを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク用ブランク材の保持具。
【請求項3】
前記ブランク材保持部は、複数カ所に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気ディスク用ブランク材の保持具。
【請求項4】
前記芯部は中空内部を有する筒状に形成され、前記ロック機構部は、前記芯部の中空内部に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の磁気ディスク用ブランク材の保持具。
【請求項5】
前記ロック機構部は、2つの前記ブランク材保持部から径方向内側にそれぞれ突出するアーム部と、このアーム部に設けられ、前記芯部の中央部で互いに係合可能な爪部とで構成されていることを特徴とする請求項4に記載の磁気ディスク用ブランク材の保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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