磁気ヘッドサスペンション
【課題】荷重曲げ部の曲げ位置調整によっては磁気ヘッドスライダの位置ズレを抑えることが困難なねじれ2次モードの共振を可及的に防止する。
【解決手段】ロードビーム部の本体部の側縁は、基端側から先端側へ行く従ってサスペンション長手方向中心線に近接するように第1傾斜角で傾斜された基端領域と、変曲点を挟んで前記基端領域の先端部に連結される基端側から先端側へ行くに従って前記中心線に近接するように前記第1傾斜角よりも小さい第2傾斜角で傾斜された先端領域とを含む。支持部の先端部とディンプルとの間のサスペンション長手方向距離をLとした場合に前記支持部の先端部と前記変曲点との間のサスペンション長手方向距離aが0.78×L≦a≦1.13×Lを満たすように前記変曲点の位置が設定される。
【解決手段】ロードビーム部の本体部の側縁は、基端側から先端側へ行く従ってサスペンション長手方向中心線に近接するように第1傾斜角で傾斜された基端領域と、変曲点を挟んで前記基端領域の先端部に連結される基端側から先端側へ行くに従って前記中心線に近接するように前記第1傾斜角よりも小さい第2傾斜角で傾斜された先端領域とを含む。支持部の先端部とディンプルとの間のサスペンション長手方向距離をLとした場合に前記支持部の先端部と前記変曲点との間のサスペンション長手方向距離aが0.78×L≦a≦1.13×Lを満たすように前記変曲点の位置が設定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスク等の記憶媒体に対してデータをリード及び/又はライトする磁気ヘッドスライダを支持する為の磁気ヘッドサスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置の大容量化に伴って、磁気ヘッドサスペンションには磁気ヘッドスライダの目的トラックに対する位置決め精度の向上が求められている。位置決め精度を向上させる為には、前記磁気ヘッドサスペンションをボイスコイルモータ等のアクチュエータによってディスク面に平行なシーク方向へ揺動させる際に、前記磁気ヘッドスライダが振動することを可及的に防止する必要がある。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、平板状の本体部と前記本体部の両側縁からディスク面とは反対側へ延びる左右一対のリブ(フランジ部)とを有するロードビーム部を備えた磁気ヘッドサスペンションであって、前記ロードビーム部がサスペンション長手方向基端側から先端側へ行くに従って幅狭となるように前記本体部の両側縁をサスペンション長手方向中心線に対して傾斜させつつ、ディスク面と直交する方向に沿って視た平面視において前記リブが少なくとも部分的に湾曲されてくびれを形成している磁気ヘッドサスペンションが記載されている。
【0004】
前記特許文献1に記載の前記磁気ヘッドサスペンションは、前記くびれの形成によって前記ロードビーム部の質量を低減させて、前記ロードビーム部の共振周波数をこれまで以上に高めることができるとされている。
【0005】
このように、前記特許文献1には、前記ロードビーム部のフランジ部にくびれを形成することで共振周波数を高め得ることは記載されているが、磁気ヘッドサスペンションに生じ得る種々の振動モードのうちのどの振動モードの共振周波数に着目しているのか不明である。
【0006】
下記特許文献2には、弾性変形部及び前記弾性変形部から前方へ延びた本体部を有し、前記本体部は前方へ行くに従って幅狭とされ且つ左右側縁にフランジを有する第1部材と、基端縁にフランジが設けられた幅広部及び前記幅広部から前方へ延びた幅狭部を有し、前記幅狭部は前記本体部よりも幅狭とされ且つ左右側縁にフランジを有する略T字状の第2部材とを備えた磁気ヘッドサスペンションが開示されている。
【0007】
前記特許文献2においては、前記第1及び第2部材が接合されてなるアッセンブリが荷重曲げ部及びロードビーム部を一体的に形成する。
即ち、前記弾性変形部が前記荷重曲げ部を形成し、前記本体部及び前記第2部材が前記ロードビーム部を形成する。
【0008】
詳しく説明すると、前記本体部の側縁は、フランジを有しつつ前方へ行くに従ってサスペンション長手方向中心線に近接するように傾斜されている。前記幅狭部の側縁はフランジを有しつつ前記本体部の側縁よりもサスペンション長手方向中心線に近接した位置で前記中心線に略平行に延びている。
【0009】
従って、前記本体部及び前記第2部材によって形成されるロードビーム部の左右側縁の各々は、長手方向略全域に亘ってフランジを有しつつ、基端側においては前方へ行くに従って前記中心線に近接するように前記中心線に対して第1傾斜角で傾斜され且つ先端側においては前記中心線に略平行とされている。
【0010】
前記特許文献2に記載の磁気ヘッドサスペンションは、前記ロードビーム部の先端側が前記幅狭部によって形成される為、前記ロードビーム部の幅を従前より狭めることができ、これにより、前記ロードビーム部の前記中心線回りの慣性モーメントを低減させてねじれ1次モードの共振周波数を高めることができるとされている。
【0011】
ところで、磁気ヘッドサスペンションに生じる種々の振動モードの中で共振周波数が低周波数帯域に存在するのは、ねじれ1次モード及びねじれ2次モードである。
従って、前記磁気ヘッドスライダの位置決め精度を向上させる為には、ねじれ1次モードの共振に起因する前記磁気ヘッドスライダの位置ズレ及びねじれ2次モードの共振に起因する前記磁気ヘッドスライダの位置ズレを防止する必要がある。
【0012】
前記特許文献2に記載の磁気ヘッドサスペンションは、ねじれ1次モードの共振周波数を上昇させてねじれ1次モードの共振を防止し得るとされているが、ねじれ2次モードについては考慮されていない。
【0013】
ここで、ねじれ1次モードの共振に対する前記磁気ヘッドスライダの位置ズレの大きさ(ゲイン)は前記荷重曲げ部の曲げ位置を調整することで容易に小さくできるが、ねじれ2次モードの共振に対する前記磁気ヘッドスライダの位置ズレの大きさ(ゲイン)を前記荷重曲げ部の曲げ位置調整によって小さくすることは非常に困難である。
【0014】
即ち、ねじれ1次モードの共振においては、前記荷重曲げ部の位置及び前記ロードビーム部のディンプルの位置がディスク面に直交するz方向の変位ゼロ(即ち、節)とされた状態で、サスペンション長手方向に関し前記2つの節の略中央部分がz方向変位最大(即ち、腹)となるように、主としてロードビーム部のみがサスペンション長手方向中心線回りに捩れる。
【0015】
これに対し、ねじれ2次モードの共振においては、支持部のうちz方向に関し強固に固定される位置(前記支持部がベースプレートの場合には、アクチュエータに連結されたキャリッジアームにかしめを介して固定されるボス部の位置であり、以下、支持部固定位置という)と前記ディンプルの位置と前記支持部固定位置及び前記ディンプル位置の間のサスペンション長手方向略中央に位置するロードビーム部の中途位置との3箇所が節とされた状態で、サスペンション長手方向に関し前記支持部固定位置及び前記ロードビーム部の中途位置の間の略中央部分とサスペンション長手方向に関し前記ロードビーム部の中途位置及び前記ディンプルの位置の間の略中央部分との2箇所が腹となるように、前記支持部の先端側,前記荷重曲げ部及び前記ロードビーム部がサスペンション長手方向中心線回りに捩れる。
【0016】
このように、ねじれ2次モードの共振においては、前記ロードビーム部の長手方向中途位置に節が生じる。前記ロードビーム部は、ディスク面に略平行な本体部と前記本体部の左右側縁から前記ディスク面とは反対側へ延びる左右一対のフランジ部とを有している。つまり、ねじれ2次モードの共振においては、前記長手方向中心線回りのねじれに対して高剛性を有する部分に節が存在する。
【0017】
その為、ねじれ2次モードの共振周波数は個々のサスペンション間においてバラツキ易い。従って、前記荷重曲げ部の曲げ位置の調整によってねじれ2次モードの共振に対する前記磁気ヘッドスライダのゲインを小さくすることは、ねじれ1次モードの共振に対する前記磁気ヘッドスライダのゲインを小さくすることよりも、非常に困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2005−032393号公報
【特許文献2】特開2008−021374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、荷重曲げ部の曲げ位置の調整によって磁気ヘッドスライダのゲインを小さくすることが困難なねじれ2次モードの共振の発生を可及的に防止し得る磁気ヘッドサスペンションの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、前記目的を達成する為に、アクチュエータによって直接又は間接的にディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部と、磁気ヘッドスライダを前記ディスク面に向けて押し付ける為の荷重を発生し得るように基端部が前記支持部の先端部に連結された荷重曲げ部と、基端部が前記荷重曲げ部の先端部に連結され且つ前記荷重を前記磁気ヘッドスライダに伝達するロードビーム部と、前記ロードビーム部及び前記支持部に支持されたフレクシャ部とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、前記ロードビーム部は、基端部が前記荷重曲げ部に連結され且つ前記ディスク面と対応する下面に前記フレクシャ部のフレクシャ基板が固着されるプレート状の本体部と前記本体部の左右側縁から前記ディスク面とは反対側へ延びる左右一対のフランジ部とを有し、前記本体部の左右の側縁の各々は基端側から先端側へ行く従ってサスペンション長手方向中心線に近接するように前記中心線に対して第1傾斜角で傾斜する基端領域と変曲点を挟んで前記基端領域の先端部に連結される基端側から先端側へ行くに従って前記中心線に近接するように前記中心線に対して前記第1傾斜角よりも小さい第2傾斜角で傾斜する先端領域とを含み、前記支持部の先端部と前記ロードビーム部に設けられたディンプルとの間のサスペンション長手方向距離をLとした場合に前記支持部の先端部と前記変曲点との間のサスペンション長手方向距離aが0.78×L≦a≦1.13×Lを満たしている磁気ヘッドサスペンションを提供する。
【0021】
好ましくは、前記ロードビーム部は、前記本体部の基端縁から前記ディスク面とは反対側へ延びる基端側フランジ部を有し得る。
【0022】
好ましくは、前記ロードビームの前記本体部には前記ディスク面とは反対側へ膨出された膨出部が設けられる。
前記膨出部は、例えば、サスペンション幅方向に沿うように設けられる。
【0023】
好ましくは、前記ロードビーム部の前記本体部における前記ディスク面とは反対側の上面には制振材が固着される。
【0024】
好ましくは、前記ロードビーム部の前記本体部は、前記ディスク面とは反対側に向けて厚肉とされた厚肉領域を有し得る。
【0025】
好ましくは、前記制振材又は前記厚肉領域は、基端部が前記本体部の基端側エッジと略同一位置に位置し且つ先端部と前記支持部の先端部との間のサスペンション長手法距離bが0.4×L≦b≦0.7×Lを満たすように配置される。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る磁気ヘッドサスペンションによれば、ロードビーム部の本体部の側縁が基端側から先端側へ行く従ってサスペンション長手方向中心線に近接するように第1傾斜角で傾斜された基端領域と変曲点を挟んで前記基端領域の先端部に連結される基端側から先端側へ行くに従って前記中心線に近接するように前記第1傾斜角よりも小さい第2傾斜角で傾斜された先端領域とを含み、支持部の先端部とディンプルとの間のサスペンション長手方向距離をLとした場合に前記支持部の先端部と前記変曲点との間のサスペンション長手方向距離aが0.78×L≦a≦1.13×Lを満たすように前記変曲点の位置が設定されている。従って、ねじれ2次モードの共振周波数を上昇させ、ねじれ2次モードの共振の発生を有効に防止することができる。
ここで、荷重曲げ部の曲げ位置の調整によってねじれ1次モードの共振に対する磁気ヘッドスライダの位置ズレの大きさ(ゲイン)を容易に低減することができる。従って、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションによれば、ねじれ1次モード及びねじれ2次モードの双方の振動モードによる磁気ヘッドスライダの目的トラックに対する位置ズレを可及的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1A】図1Aは、本発明の実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図である。
【図1B】図1Bは、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションの下面図である。
【図2】図2Aは、第1及び第2解析に用いた磁気ヘッドサスペンションの上面図である。 図2Bは、図2Aにおける2B-2B線に沿った断面図である。
【図3】図3A〜Gは、前記第1及び第2解析に用いた磁気ヘッドサスペンションにおけるロードビーム部の上面図である。
【図4】図4は、第1解析の結果を示すグラフである。
【図5】図5は、第2解析の結果を示すグラフである。
【図6】図6Aは、本発明の実施の形態2に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図である。 図6Bは、図6Aにおける6B-6B線に沿った断面図である。
【図7】図7Aは、本発明の実施の形態3に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図である。 図7Bは、図7Aにおける7B-7B線に沿った断面図である。
【図8】図8Aは、本発明の実施の形態4に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図である。 図8B及び8Cは、それぞれ、図8Aにおける8B-8B線及び8C-8C線に沿った断面図である。
【図9】図9A〜Cは、第3及び第4解析に用いた磁気ヘッドサスペンションの上面図である。
【図10】図10は、第3解析の結果を示すグラフである。
【図11】図11は、第4解析の結果を示すグラフである。
【図12】図12A〜12Eは、第5及び第6解析に用いた磁気ヘッドサスペンションの上面図である。
【図13】図13は、第5解析の結果を示すグラフである。
【図14】図14は、第6解析の結果を示すグラフである。
【図15】図15Aは、本発明の実施の形態5に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図である。 図15B及び15Cは、それぞれ、図15Aにおける15B-15B線及び15C-15C線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施の形態1
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1A及び図1Bに、それぞれ、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1の上面図(ディスク面とは反対側から見た平面図)及び下面図(ディスク面側から見た底面図)を示す。なお、図1Bにおける○印は溶接点を示している。
【0029】
前記磁気ヘッドサスペンション1は、図1A及び図1Bに示すように、ボイスコイルモータ等のアクチュエータ(図示せず)によって直接又は間接的にディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部10と、磁気ヘッドスライダ50を前記ディスク面に向けて押し付ける為の荷重を発生し得るように基端部が前記支持部10の先端部に連結された荷重曲げ部20と、基端部が前記荷重曲げ部20の先端部に連結され且つ前記荷重を前記磁気ヘッドスライダ50に伝達するロードビーム部30と、前記ロードビーム部30及び前記支持部10に支持されたフレクシャ部40とを備えている。
【0030】
前記支持部10は、前記アクチュエータに直接又は間接的に連結された状態で前記荷重曲げ部20を介して前記ロードビーム部30を支持する部材であり、比較的高剛性を有するものとされる。
【0031】
本実施の形態においては、前記支持部10は、前記アクチュエータに連結されるキャリッジアーム(図示せず)の先端にかしめ加工によって接合されるボス部15を備えたベースプレートとされている。
前記支持部10は、例えば、厚さ0.1mm〜0.8mmのステンレス板によって好適に形成される。
当然ながら、前記支持部10として、基端部が前記メインアクチュエータの揺動中心に連結されるアームを採用することも可能である。
【0032】
前記ロードビーム部30は、前述の通り、前記荷重曲げ部20によって発生される荷重を前記磁気ヘッドスライダ50に伝達する為の部材であり、従って、所定の剛性が要求される。
【0033】
本実施の形態においては、図1A及び図1Bに示すように、前記ロードビーム部30は、平板状の本体部31と、前記本体部31のサスペンション幅方向両端部からディスク面とは反対側に延びる左右一対のフランジ部32とを有しており、前記フランジ部32によって剛性を確保している。
前記ロードビーム部30は、例えば、厚さ0.02mm〜0.1mmのステンレス板によって好適に形成される。
【0034】
図1Aに示すように、前記本体部31の左右の側縁の各々は、サスペンション長手方向に関し基端側に位置する基端領域31aと前記基端領域31aからサスペンション長手方向先端側へ延びる先端領域31bとを有している。
【0035】
前記基端領域31aは、サスペンション長手方向基端側から先端側へ行くに従ってサスペンション長手方向中心線CLに近接するように前記中心線CLに対して第1傾斜角θ1で傾斜されている。
【0036】
一方、前記先端領域31bは、サスペンション長手方向基端側から先端側へ行くに従って前記中心線CLに近接するように前記中心線CLに対して前記第1傾斜角θ1よりも小さい第2傾斜角θ2で傾斜されている。
【0037】
即ち、前記基端領域31a及び前記先端領域31bは何れも先端側へ行くに従って前記中心線CLに近接するように傾斜されているが、両者の間に変曲点Pが存在するように前記先端領域31bの第2傾斜角θ2が前記基端領域31aの第1傾斜角θ1よりも小さくされている。
なお、前記変曲点Pが存在するように前記基端領域31a及び前記先端領域31bの傾斜角が異ならせる場合には、前記変曲点近傍において前記フランジ部に歪みが生じ易い。この点に関し、好ましくは、平面視において前記変曲点Pがサスペンション幅方向外方へ開く湾曲形状を有するように構成することができ、これにより、前記フランジ部の歪みを低減させることができる。
【0038】
前記本体部31には、先端側に、所謂ディンプルと呼ばれる突起33が形成されている。
前記突起33は、ディスク面に近接する方向に、例えば、0.05mm〜0.1mm程度突出されている。この突起33は、前記フレクシャ部40におけるヘッド搭載領域415の上面(ディスク面とは反対側の面)に接触しており、前記荷重はこの突起33を介して前記フレクシャ部40のヘッド搭載領域415に伝達される。
【0039】
本実施の形態においては、前記ロードビーム部30は、さらに、前記本体部31の先端からサスペンション長手方向先端側へ延びるリフトタブ34を一体的に有している。前記リフトタブ34は、前記磁気ヘッドスライダ50がディスク面の径方向外方へ位置するように前記磁気ヘッドサスペンション1が前記アクチュエータによって揺動された際に、磁気ディスク装置に備えられたランプと係合して前記磁気ヘッドスライダ50をz方向(前記ディスク面と直交する方向)に沿って前記ディスク面から離間させる為の部材である。
【0040】
前記荷重曲げ部20は、基端部が前記支持部10に連結され且つ先端部が前記ロードビーム部30に連結されており、自己の弾性変形に基づいて前記磁気ヘッドスライダ50を前記ディスク面へ向けて押し付ける押し付け荷重を発生する。
【0041】
図1A及び図1Bに示すように、本実施の形態においては、前記荷重曲げ部20は、板面が前記ディスク面と対向する状態で前記中心線CLを挟んで互いに対して離間配置された左右一対の板バネ21を有している。
【0042】
好ましくは、前記一対の板バネ21は、前記磁気ヘッドサスペンション1が前記磁気ディスク装置へ実装される前の段階において前記磁気ヘッドスライダ50が前記ディスク面に近づく方向に所定の曲げ位置で予め折り曲げられ、且つ、前記磁気ヘッドサスペンション1の前記磁気ディスク装置への実装時には曲げ戻されることで前記押し付け荷重を発生するように、構成される。
【0043】
前記荷重曲げ部20は、例えば、厚さ0.02mm〜0.1mmのステンレス板によって形成される。
なお、本実施の形態においては、図1A及び図1Bに示すように、前記荷重曲げ部20は前記ロードビーム部30と一体形成されている。
【0044】
即ち、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1は、前記ロードビーム部30及び前記荷重曲げ部20を一体形成するロードビーム/荷重曲げ形成体300を有しており、前記ロードビーム/荷重曲げ形成体300は、前記ディスク面とは反対側の上面が前記支持部10の前記ディスク面と対向する下面に当接された状態で、前記支持部10に溶接によって接合されている。
当然ながら、前記ロードビーム部及び前記荷重曲げ部を別部材によって形成し、両者を溶接等によって連結させることも可能である。
【0045】
前記フレクシャ部40は、前記磁気ヘッドスライダ50を支持した状態で前記ロードビーム部30及び前記支持部10に溶接等によって固着される。
【0046】
詳しくは、前記フレクシャ部40はフレクシャ金属プレート410を有している。
前記フレクシャ金属プレート410は、図1Bに示すように、前記支持部10に溶接等によって固着される支持部固着領域411と、前記ロードビーム部30に溶接等によって固着されるロードビーム部固着領域412と、前記ロードビーム部固着領域412の先端部におけるサスペンション幅方向両側からサスペンション長手方向先端側へ延びる一対の支持片413と、前記一対の支持片413によって支持された前記ヘッド搭載領域415とを有している。
【0047】
前記ヘッド搭載領域415は、図1Bに示すように、前記ディスク面と対向する下面において前記磁気ヘッドスライダ50を支持している。
前述の通り、前記ヘッド搭載領域415の上面には前記突起33が接触しており、従って、前記ヘッド搭載領域415は前記突起33を支点としてロール方向及びピッチ方向に柔軟に揺動し得るようになっている。
【0048】
前記フレクシャ金属プレート410は、前記ヘッド搭載領域415がロール方向及びピッチ方向に揺動し得るように、前記ロードビーム部30よりも低剛性とされる。
前記フレクシャ金属プレート410は、例えば、厚さ0.01mm〜0.025mm程度のステンレス板とされる。
【0049】
本実施の形態においては前記フレクシャ部40は、図1Bに示すように、前記磁気ヘッドスライダ50を外部部材に電気的に接続する為の配線構造体420を一体的に有している。
【0050】
詳しくは、前記配線構造体420は、前記フレクシャ金属プレート410における前記ディスク面と対向する下面に積層される絶縁層と、前記絶縁層における前記ディスク面と対向する面に積層される信号配線とを含んでいる。
好ましくは、前記配線構造体は、前記信号配線を囲繞する絶縁性のカバー層(図示せず)を有し得る。
【0051】
ここで、前記変曲点Pのサスペンション長手方向に関する位置と前記磁気ヘッドサスペンション1のねじれ1次モードの共振周波数との関係に関して行った第1解析、及び、前記変曲点の位置と前記サスペンション1のねじれ2次モードの共振周波数との関係に関して行った第2解析について説明する。
図2Aに、前記第1及び第2解析に用いた磁気ヘッドサスペンションの上面図を示す。
又、図2Bに、図2Aにおける2B-2B線に沿った断面図を示す。
【0052】
本解析においては、前記支持部10,前記ロードビーム部30及び前記フレクシャ金属プレート410を、それぞれ、厚さ0.17mm,0.03mm及び0.02mmのステンレスとした。
【0053】
本解析においては、前記支持部10のうち前記ディスク面に直交するz方向に関し固定される位置(以下、本実施の形態におけるように前記支持部10がベースプレートの場合には、前記アクチュエータに連結された前記キャリッジアームにかしめを介して固定される前記ボス部15の位置であり、以下、支持部固定位置という)と前記ディンプル33との間のサスペンション長手方向長さを11mmとし、前記支持部10の先端エッジと前記ディンプル33との間のサスペンション長手方向長さLを6.2mmとし、前記荷重曲げ部20のサスペンション長手方向長さ(即ち、前記支持部10の先端エッジと前記ロードビーム部30の基端部との間のサスペンション長手方向長さ)を0.065L(=0.40mm)とし、前記支持部10の先端エッジのサスペンション幅方向長さを0.7L(=4.3mm)とした。
【0054】
又、前記ロードビーム部30の前記フランジ部32は、前記本体部31に対する傾斜角が75度で且つz方向高さが0.26mmに構成した。
そして、前記第1傾斜角θ1(前記基端領域31aのサスペンション長手方向中心線CLに対する傾斜角)を19°とし、前記第2傾斜角θ2(前記先端領域31bの前記中心線CLに対する傾斜角)を前記第1傾斜角θ1より小さい5°とした。
【0055】
斯かる構成を備えつつ、前記基端領域31aと前記先端領域31bとの間の前記変曲点Pのサスペンション長手方向位置が互いに対して異なる複数の磁気ヘッドサスペンションを用意し、前記複数の磁気ヘッドサスペンションのそれぞれのねじれ1次モード及びねじれ2次モードの共振周波数を有限要素法を用いて求めた。
【0056】
具体的には、前記支持部10の先端エッジと前記変曲点Pとの間のサスペンション長手方向距離aを、それぞれ、0.39L(=2.45mm)、0.52L(=3.25mm)、0.65L(=4.05mm)、0.78L(=4.85mm)、0.91L(=5.65mm)、1.05L(=6.49mm)及び1.19L(=7.39mm)とした磁気ヘッドサスペンション1a〜1gのねじれ1次モード及びねじれ2次モードの共振周波数を有限要素法を用いて求めた。
【0057】
図3A〜図3Gに、それぞれ、前記磁気ヘッドサスペンション1a〜1gの前記ロードビーム部30の上面図を示す。
なお、前記磁気ヘッドサスペンション1gにおいては、前記基端領域31aの前記第1傾斜角θ1及び前記先端領域31bの前記第2傾斜角θ2が同一とされている。即ち、前記磁気ヘッドサスペンション1gにおいては、前記本体部31の左右側縁のそれぞれは、サスペンション長手方向全域に亘って直線状とされている。
【0058】
図4に、前記距離aとねじれ1次モードの共振周波数との関係に関する第1解析の結果を示す。
又、図5に、前記距離aとねじれ2次モードの共振周波数との関係に関する第2解析の結果を示す。
【0059】
図4から、ねじれ1次モードの共振周波数は、前記距離aを0.5L(=3.1mm)以上で且つ0.83L(=5.2mm)以下とすることで上昇されることが理解される。
一方、図5から、ねじれ2次モードの共振周波数は、前記距離aを0.78L(=4.85mm)以上で且つ1.13L(=7mm)以下とすることで上昇されることが理解される。
【0060】
ところで、ねじれ1次モードの共振に起因する前記磁気ヘッドスライダ50の位置ズレの大きさ(ゲイン)は前記荷重曲げ部20の前記曲げ位置を調整することで容易に小さくできるが、ねじれ2次モードの共振に起因する前記磁気ヘッドスライダ50の位置ズレの大きさ(ゲイン)を前記荷重曲げ部20の前記曲げ位置調整によって小さくすることは非常に困難である。
【0061】
即ち、ねじれ1次モードの共振においては、前記荷重曲げ部20の位置及び前記ロードビーム部30の前記ディンプル33の位置がディスク面に直交するz方向の変位ゼロ(即ち、節)とされた状態で、サスペンション長手方向に関し前記2つの節の略中央部分がz方向変位最大(即ち、腹)となるように、主としてロードビーム部20のみがサスペンション長手方向中心線CL回りに捩れる。
【0062】
これに対し、ねじれ2次モードの共振においては、前記支持部10のうちz方向に関し強固に固定される前記支持部固定位置、前記ディンプル33の位置及び前記支持部固定位置と前記ディンプル33の位置との間のサスペンション長手方向略中央に位置するロードビーム部30の中途位置の3箇所が節とされた状態で、サスペンション長手方向に関し前記支持部固定位置及び前記ロードビーム部30の中途位置の間の略中央部分、並びに、サスペンション長手方向に関し前記ロードビーム部30の中途位置及び前記ディンプル33の位置の間の略中央部分の2箇所が腹となるように、前記支持部10の前記支持部固定位置より先端側に位置する部分,前記荷重曲げ部20及び前記ロードビーム部30がサスペンション長手方向中心線CL回りに捩れる。
【0063】
このように、ねじれ2次モードの共振においては、前記ロードビーム部30の長手方向中途位置に節が生じる。前記ロードビーム部30は、前述の通り、前記本体部31の左右側縁から前記ディスク面とは反対側へ延びる左右一対の前記フランジ部32を有している。つまり、ねじれ2次モードの共振においては、前記長手方向中心線CL回りのねじれに対して高剛性を有する位置に節が存在する。
【0064】
その為、ねじれ2次モードの共振周波数は、個々のサスペンション間においてバラツキ易い。従って、前記荷重曲げ部20での前記曲げ位置を調整することでねじれ2次モードの共振に対する前記磁気ヘッドスライダ50のゲインを小さくすることは、ねじれ1次モードの共振に対する前記磁気ヘッドスライダ50のゲインを小さくすることよりも、非常に困難となる。
【0065】
この点に関し、図5から明らかなように、前記距離aを0.78L(=4.85mm)以上で且つ1.13L(=7mm)以下とすれば、前記磁気ヘッドサスペンション1のねじれ2次モードの共振周波数を上昇させることができる。
即ち、前記距離aを0.78L(=4.85mm)以上で且つ1.13L(=7mm)以下とすれば、前記荷重曲げ部20の曲げ位置調整では前記磁気ヘッドスライダ50のゲインを小さくすることが困難なねじれ2次モードの共振の発生を可及的に防止することができる。
【0066】
なお、前記距離aが0.78L(=4.85mm)〜1.13L(=7mm)とされている磁気ヘッドサスペンションにおいては、ねじれ1次モードの共振周波数はそれ程高くはならない。
従って、前記距離aが0.78L(=4.85mm)〜1.13L(=7mm)とされている磁気ヘッドサスペンションにおいては、ねじれ1次モードの共振が発生する恐れはあるが、ねじれ1次モードの振動に対して前記磁気ヘッドスライダ50が目的位置から位置ズレする大きさ(ゲイン)は、前述の通り、前記荷重曲げ部20の曲げ位置調整によって容易に小さくすることができる。
【0067】
つまり、前記距離aが0.78L(=4.85mm)〜1.13L(=7mm)とされている磁気ヘッドサスペンションにおいては、ねじれ1次モードの共振の発生自体を抑えることはできないものの、ねじれ1次モードの共振が発生したとしても、これによる前記磁気ヘッドスライダ50の位置ズレは前記曲げ位置調整によって容易に抑えられ得る。
【0068】
実施の形態2
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの他の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図6Aに、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション2の上面図を示す。
又、図6Bに、図6Aにおける6B-6B線に沿った断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0069】
図6A及びBに示すように、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション2は、ロードビーム部30Bの本体部31の基端縁に基端側フランジ部35が設けられている点において、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1と相違している。
【0070】
詳しくは、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション2は、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1に比して、前記ロードビーム部30の代わりにロードビーム部30Bを有している。
前記ロードビーム部30Bは、前記本体部31及び前記一対のフランジ部32に加えて、前記本体部31の基端縁から前記ディスク面とは反対側へ延びる前記基端側フランジ部35を有している。
【0071】
前記基端側フランジ部35のサスペンション幅方向長さを2.0mmとし、前記本体部31に対する傾斜角を80度とし、且つ、z方向高さを0.3mmとした状態で、前記支持部10の先端エッジと前記変曲点Pとの間のサスペンション長手方向距離aを0.78L(=4.85mm)、0.91L(=5.65mm)、1.05L(=6.49mm)とした磁気ヘッドサスペンション2d〜2eのねじれ1次モードの共振周波数を有限要素法を用いて求めた。
その算出結果を図4に併せて示す。
【0072】
図4から明らかなように、前記本体部31の基端縁に前記基端側フランジ部35を設けることにより、ねじれ1次モードの共振周波数を上昇させ、これにより、ねじれ1次モードの共振の発生を防止することができる。
【0073】
実施の形態3
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの他の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図7Aに、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション3の上面図を示す。
又、図7Bに、図7Aにおける7B-7B線に沿った断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1又は2におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0074】
図7A及びBに示すように、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション3は、ロードビーム部30Cの本体部31Cの基端側に膨出部36が設けられている点において、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1と相違している。
【0075】
詳しくは、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション3は、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1に比して、前記ロードビーム部30の代わりにロードビーム部30Cを有している。
前記ロードビーム部30Cは、前記ディスク面と略平行な本体部31Cと前記本体部31Cの両側縁から前記ディスク面とは反対側へ延在された前記一対のフランジ部32とを有している。
【0076】
前記本体部31Cは、基端側に前記膨出部36を有している。
前記膨出部36は、前記ディスク面とは反対側へ膨出され且つサスペンション幅方向に沿っている。
【0077】
前記膨出部36を備えることによっても前記磁気ヘッドサスペンション3のねじれ1次モードの共振周波数を上昇させ、これにより、ねじれ1次モードの共振の発生を防止することができる。
【0078】
実施の形態4
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの他の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図8Aに、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション4の上面図を示す。
又、図8B及び8Cに、それぞれ、図8Aにおける8B-8B線及び8C-8C線に沿った断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1〜3におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0079】
図8A〜8Cに示すように、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション4は、前記ロードビーム部30の前記本体部31における前記ディスク面とは反対側の上面に制振材60が固着されている点において、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションと相違している。
【0080】
前記制振材60は、前記本体部31のディスク面とは反対側の上面に固着される粘弾性材からなる第1層61と、前記第1層61のディスク面とは反対側の上面に固着される第2層62とを有し得る。
【0081】
前記第1層61としては、例えば、アクリルポリマーやシリコンが好適に使用される。
前記第2層62としては、例えば、ステンレスやアルミニウム等の金属材料、若しくは、ポリエチレン・テレフタレート等の樹脂材料が好適に使用される。
樹脂材料を用いて前記第2層62を形成することにより、金属材料を用いて前記第2層62を形成する場合に比して、質量低減による磁気ヘッドサスペンション4の耐衝撃性の向上を図ることができる。
【0082】
前記制振材60が前記第1層61として厚さ50μmのアクリルポリマーを有し且つ前記第2層62として厚さ50μmのステンレスを有しており、前記本体部31の基端縁からサスペンション長手方向先端側へ0.40L(=2.45mm)の位置に亘って前記本体部31のディスク面とは反対側の上面の略全域を覆うような大きさを有している複数の磁気ヘッドサスペンションであって、前記支持部の先端エッジと前記変曲点との間のサスペンション長手方向距離aがそれぞれ0.78L(=4.85mm)、0.91L(=5.65mm)、1.05L(=6.49mm)とされた磁気ヘッドサスペンション4d〜4fのねじれ1次モードの共振周波数を有限要素法を用いて求めた。
その算出結果を図4に併せて示す。
【0083】
図4から明らかなように、前記本体部31のディスク面とは反対側の上面に前記制振材60を備えることにより、ねじれ1次モードの共振周波数を上昇させ、これにより、ねじれ1次モードの共振の発生を防止することができる。
【0084】
ここで、前記支持部10の先端エッジと前記変曲点Pとの間のサスペンション長手方向距離aが0.91L(=5.65mm)とされた磁気ヘッドサスペンションを用いて、前記制振材60の固着位置とねじれ1次モードの共振周波数との関係に関して行った第3解析、及び、前記固着位置とSWAYモードの共振周波数との関係に関して行った第4解析について説明する。
なお、SWAYモードとは、シーク方向の振動を主とした磁気ヘッドサスペンションの主共振モードである。
図9A〜Cに、前記第3及び第4解析に用いた磁気ヘッドサスペンション4e(1)〜4e(3)の上面図を示す。
【0085】
前記磁気ヘッドサスペンション4e(1)は、前記本体部31の基端縁からサスペンション長手方向先端側へ長さ0.4L(=2.45mm)に亘って前記本体部31のディスク面とは反対側の上面の略全域を覆うような制振材60(1)を有している。
【0086】
即ち、前記磁気ヘッドサスペンション4e(1)の前記制振材60(1)は、基端部と前記支持部10の先端エッジとの間のサスペンション長手方向距離Cが0.065L(=0.4mm)となるように前記基端部の位置が設定されており、さらに、サスペンション長手方向に沿った長さが0.4L(=2.45mm)とされている。
【0087】
前記磁気ヘッドサスペンション4e(2)は、前記制振材60(1)と同一面積(7.04mm2)を有し且つ前記制振材60(1)よりもサスペンション長手方向先端側に配置された制振材60(2)を有している。
【0088】
詳しくは、前記制振材60(2)は、基端部と前記支持部10の先端エッジとの間のサスペンション長手方向距離Cが0.1L(=0.62mm)となるように前記基端部の位置が設定されており、さらに、前記制振材60(1)と同一面積を有するようにサスペンション長手方向に沿った長さが0.42L(=2.60mm)とされている。
【0089】
前記磁気ヘッドサスペンション4e(3)は、前記制振材60(1),60(2)と同一面積(7.04mm2)を有し且つ前記制振材60(2)よりもサスペンション長手方向先端側に配置された制振材60(3)を有している。
【0090】
詳しくは、前記制振材60(3)は、基端部と前記支持部10の先端エッジとの間のサスペンション長手方向距離Cが0.2L(=1.24mm)となるように前記基端部の位置が設定されており、さらに、前記制振材60(1),60(2)と同一面積を有するようにサスペンション長手方向に沿った長さが0.54L(=3.35mm)とされている。
【0091】
前記第3解析として、前記磁気ヘッドサスペンション4e(1)〜4e(3)の各々に対して、有限要素法を用いて前記制振材60の固着位置(即ち、前記距離C)とねじれ1次モードの共振周波数との関係を求めた。前記第3解析の結果を図10に示す。
【0092】
前記第4解析として、前記磁気ヘッドサスペンション4e(1)〜4e(3)の各々に対して、有限要素法を用いて前記制振材の固着位置(即ち、前記距離C)とSWAYモードの共振周波数との関係を求めた。前記第4解析の結果を図11に示す。
【0093】
図10及び図11から、同一面積の制振材60を用いる場合には、前記制振材60を前記本体部31の基端側に可及的に位置させることによって、ねじれ1次モード及びSWAYモードの双方の共振周波数を上昇させ得ることが理解される。
【0094】
次に、前記制振材60のサスペンション長手方向長さとねじれ1次モードの共振周波数との関係を求める為に行った第5解析、及び、前記長さとSWAYモードの共振周波数との関係を求める為に行った第6解析について説明する。
【0095】
前記第5及び第6解析は、前記支持部10の先端エッジと前記変曲点Pとの間のサスペンション長手方向距離aが0.91L(=5.65mm)とされ、且つ、基端部が前記本体部31の基端縁に略一致するように前記本体部31に固着された前記制振材60を備えた磁気ヘッドサスペンションであって、前記制振材60のサスペンション長手方向長さが種々に変更された磁気ヘッドサスペンションを用いて行った。
図12A〜12Eに、それぞれ、前記第5及び第6解析に用いた磁気ヘッドサスペンション4e(11)〜4e(15)の上面図を示す。
【0096】
前記磁気ヘッドサスペンション4e(11)は、前記支持部10の先端エッジと先端部との間のサスペンション長手方向長さbが0.26L(=1.62mm)となるような制振材60(11)を有している。
【0097】
前記磁気ヘッドサスペンション4e(12)は、前記支持部10の先端エッジと先端部との間のサスペンション長手方向長さbが0.46L(=2.85mm)となるような制振材60(12)を有している。
【0098】
前記磁気ヘッドサスペンション4e(13)は、前記支持部10の先端エッジと先端部との間のサスペンション長手方向長さbが0.64L(=3.95mm)となるような制振材60(13)を有している。
【0099】
前記磁気ヘッドサスペンション4e(14)は、前記支持部10の先端エッジと先端部との間のサスペンション長手方向長さbが0.81L(=5.05mm)となるような制振材60(14)を有している。
【0100】
前記磁気ヘッドサスペンション4e(15)は、前記支持部10の先端エッジと先端部との間のサスペンション長手方向長さbが1.08L(=6.70mm)となるような制振材60(15)を有している。
【0101】
前記第5解析として、前記磁気ヘッドサスペンション4e(11)〜(15)の各々のねじれ1次モードの共振周波数を有限要素法を用いて求めた。前記第5解析の結果を図13に示す。
前記第6解析として、前記磁気ヘッドサスペンション4e(11)〜(15)の各々のSWAYモードの共振周波数を有限要素法を用いて求めた。前記第6解析の結果を図14に示す。
【0102】
図13から、前記長さbを0.4L以上とすることでねじれ1次モードの共振周波数を実質的に最高状態とすることができ、さらに、前記長さbが0.4L以上であれば前記長さbをそれ以上に長くしてもねじれ1次モードの共振周波数は上昇しないことが理解される。
【0103】
又、図14から、前記長さbが0.3L≦b≦0.7Lの条件を満足する場合には、SWAYモードの共振周波数を上昇させ得ることが理解される。
【0104】
以上の点から、前記制振材60は、基端部が前記本体部31の基端エッジと略同一位置に位置するように前記本体部31の基端側に可及的に配置させることが好ましく、さらには、ねじれ1次モード及びSWAYモードの双方の共振周波数を上昇させる為には先端部と前記支持部10の先端エッジとの間のサスペンション長手方向長さbが0.4L≦b≦0.7Lを満たすように前記制振材60の長さを設定することが好ましい。
【0105】
実施の形態5
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの他の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図15Aに、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション5の上面図を示す。
又、図15B及び15Cに、それぞれ、図15Aにおける15B-15B線及び15C-15C線に沿った断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1〜4におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0106】
図15A〜15Cに示すように、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション5は、ロードビーム部30Eの本体部31Eが厚肉領域37を有している点において、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1と相違している。
【0107】
詳しくは、本実施の形態に係る前記磁気ヘッドサスペンション5は、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1に比して、前記ロードビーム部30の代わりに前記ロードビーム部30Eを備えている。
【0108】
前記ロードビーム部30Eは、基端部が前記荷重曲げ部20に連結された状態で板面が前記ディスク面に略平行とされた平板状の前記本体部31Eと、前記本体部31Eの左右側縁から前記ディスク面とは反対側へ延在された左右一対の前記フランジ部32とを備えている。
なお、前記ロードビーム部30Eは、前記各実施の形態におけると同様に、さらに、前記リフトタブ34を有している。
【0109】
図15B及び15Cに示すように、前記厚肉領域37は、前記本体部31Eにおける前記ディスク面とは反対側の上面の一部が前記ディスク面とは反対側へ膨出されることで形成されている。
【0110】
前記厚肉領域31Eを備えた前記ロードビーム部30Eは、少なくとも前記厚肉領域31Eの厚さを有するロードビーム部形成板を用意する工程と、前記厚肉領域37とそれ以外の領域とがそれぞれ所定の厚みを有するように前記ロードビーム部形成板に対して前記ディスク面とは反対側の上面から対応したエッチング量でエッチングを行う工程とを含む製造方法によって容易に形成され得る。
【0111】
前記厚肉領域37の基端部が前記本体部31Eの基端部と略同一位置に位置し且つ先端部が前記支持部10の先端エッジからサスペンション長手方向に0.46L(=2.85mm)だけ離間されるように前記厚肉領域37のサスペンション長手方向位置が設定され、さらに、前記厚肉領域37以外の前記本体部31Eの厚みが0.03mmとされ且つ前記厚肉領域37の厚みが0.08mmとされた磁気ヘッドサスペンションであって、前記支持部10の先端エッジと前記変曲点Pとの間のサスペンション長手方向距離aがそれぞれ0.78L(=4.85mm)、0.91L(=5.65mm)、1.05L(=6.49mm)とされた磁気ヘッドサスペンション5d〜5fのねじれ1次モードの共振周波数を有限要素法を用いて求めた。
その算出結果を図4に併せて示す。
【0112】
図4から明らかなように、前記本体部31Eに前記厚肉領域37を設けることにより、ねじれ1次モードの共振周波数を上昇させ、これにより、ねじれ1次モードの共振の発生を防止することができる。
【0113】
さらに、補強構造としての前記厚肉領域37及び前記制振材36の共通性から判断すると、基端部が前記本体部31Eの基端エッジと略同一位置に位置するように前記厚肉領域37を形成するのが好ましく、さらには、先端部と前記支持部10の先端エッジとの間のサスペンション長手方向長さbが0.4L以上で且つ0.7L以下となるように前記厚肉領域37を形成することが好ましい。
【符号の説明】
【0114】
1〜5 磁気ヘッドサスペンション
10 支持部
20 荷重曲げ部
30 ロードビーム部
31,31C,31E 本体部
31a 基端領域
31b 先端領域
32 フランジ部
33 ディンプル
35 基端側フランジ部
36 膨出部
37 厚肉領域
40 フレクシャ部
50 磁気ヘッドスライダ
60 制振材
P 変曲点
CL サスペンション長手方向中心線
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスク等の記憶媒体に対してデータをリード及び/又はライトする磁気ヘッドスライダを支持する為の磁気ヘッドサスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置の大容量化に伴って、磁気ヘッドサスペンションには磁気ヘッドスライダの目的トラックに対する位置決め精度の向上が求められている。位置決め精度を向上させる為には、前記磁気ヘッドサスペンションをボイスコイルモータ等のアクチュエータによってディスク面に平行なシーク方向へ揺動させる際に、前記磁気ヘッドスライダが振動することを可及的に防止する必要がある。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、平板状の本体部と前記本体部の両側縁からディスク面とは反対側へ延びる左右一対のリブ(フランジ部)とを有するロードビーム部を備えた磁気ヘッドサスペンションであって、前記ロードビーム部がサスペンション長手方向基端側から先端側へ行くに従って幅狭となるように前記本体部の両側縁をサスペンション長手方向中心線に対して傾斜させつつ、ディスク面と直交する方向に沿って視た平面視において前記リブが少なくとも部分的に湾曲されてくびれを形成している磁気ヘッドサスペンションが記載されている。
【0004】
前記特許文献1に記載の前記磁気ヘッドサスペンションは、前記くびれの形成によって前記ロードビーム部の質量を低減させて、前記ロードビーム部の共振周波数をこれまで以上に高めることができるとされている。
【0005】
このように、前記特許文献1には、前記ロードビーム部のフランジ部にくびれを形成することで共振周波数を高め得ることは記載されているが、磁気ヘッドサスペンションに生じ得る種々の振動モードのうちのどの振動モードの共振周波数に着目しているのか不明である。
【0006】
下記特許文献2には、弾性変形部及び前記弾性変形部から前方へ延びた本体部を有し、前記本体部は前方へ行くに従って幅狭とされ且つ左右側縁にフランジを有する第1部材と、基端縁にフランジが設けられた幅広部及び前記幅広部から前方へ延びた幅狭部を有し、前記幅狭部は前記本体部よりも幅狭とされ且つ左右側縁にフランジを有する略T字状の第2部材とを備えた磁気ヘッドサスペンションが開示されている。
【0007】
前記特許文献2においては、前記第1及び第2部材が接合されてなるアッセンブリが荷重曲げ部及びロードビーム部を一体的に形成する。
即ち、前記弾性変形部が前記荷重曲げ部を形成し、前記本体部及び前記第2部材が前記ロードビーム部を形成する。
【0008】
詳しく説明すると、前記本体部の側縁は、フランジを有しつつ前方へ行くに従ってサスペンション長手方向中心線に近接するように傾斜されている。前記幅狭部の側縁はフランジを有しつつ前記本体部の側縁よりもサスペンション長手方向中心線に近接した位置で前記中心線に略平行に延びている。
【0009】
従って、前記本体部及び前記第2部材によって形成されるロードビーム部の左右側縁の各々は、長手方向略全域に亘ってフランジを有しつつ、基端側においては前方へ行くに従って前記中心線に近接するように前記中心線に対して第1傾斜角で傾斜され且つ先端側においては前記中心線に略平行とされている。
【0010】
前記特許文献2に記載の磁気ヘッドサスペンションは、前記ロードビーム部の先端側が前記幅狭部によって形成される為、前記ロードビーム部の幅を従前より狭めることができ、これにより、前記ロードビーム部の前記中心線回りの慣性モーメントを低減させてねじれ1次モードの共振周波数を高めることができるとされている。
【0011】
ところで、磁気ヘッドサスペンションに生じる種々の振動モードの中で共振周波数が低周波数帯域に存在するのは、ねじれ1次モード及びねじれ2次モードである。
従って、前記磁気ヘッドスライダの位置決め精度を向上させる為には、ねじれ1次モードの共振に起因する前記磁気ヘッドスライダの位置ズレ及びねじれ2次モードの共振に起因する前記磁気ヘッドスライダの位置ズレを防止する必要がある。
【0012】
前記特許文献2に記載の磁気ヘッドサスペンションは、ねじれ1次モードの共振周波数を上昇させてねじれ1次モードの共振を防止し得るとされているが、ねじれ2次モードについては考慮されていない。
【0013】
ここで、ねじれ1次モードの共振に対する前記磁気ヘッドスライダの位置ズレの大きさ(ゲイン)は前記荷重曲げ部の曲げ位置を調整することで容易に小さくできるが、ねじれ2次モードの共振に対する前記磁気ヘッドスライダの位置ズレの大きさ(ゲイン)を前記荷重曲げ部の曲げ位置調整によって小さくすることは非常に困難である。
【0014】
即ち、ねじれ1次モードの共振においては、前記荷重曲げ部の位置及び前記ロードビーム部のディンプルの位置がディスク面に直交するz方向の変位ゼロ(即ち、節)とされた状態で、サスペンション長手方向に関し前記2つの節の略中央部分がz方向変位最大(即ち、腹)となるように、主としてロードビーム部のみがサスペンション長手方向中心線回りに捩れる。
【0015】
これに対し、ねじれ2次モードの共振においては、支持部のうちz方向に関し強固に固定される位置(前記支持部がベースプレートの場合には、アクチュエータに連結されたキャリッジアームにかしめを介して固定されるボス部の位置であり、以下、支持部固定位置という)と前記ディンプルの位置と前記支持部固定位置及び前記ディンプル位置の間のサスペンション長手方向略中央に位置するロードビーム部の中途位置との3箇所が節とされた状態で、サスペンション長手方向に関し前記支持部固定位置及び前記ロードビーム部の中途位置の間の略中央部分とサスペンション長手方向に関し前記ロードビーム部の中途位置及び前記ディンプルの位置の間の略中央部分との2箇所が腹となるように、前記支持部の先端側,前記荷重曲げ部及び前記ロードビーム部がサスペンション長手方向中心線回りに捩れる。
【0016】
このように、ねじれ2次モードの共振においては、前記ロードビーム部の長手方向中途位置に節が生じる。前記ロードビーム部は、ディスク面に略平行な本体部と前記本体部の左右側縁から前記ディスク面とは反対側へ延びる左右一対のフランジ部とを有している。つまり、ねじれ2次モードの共振においては、前記長手方向中心線回りのねじれに対して高剛性を有する部分に節が存在する。
【0017】
その為、ねじれ2次モードの共振周波数は個々のサスペンション間においてバラツキ易い。従って、前記荷重曲げ部の曲げ位置の調整によってねじれ2次モードの共振に対する前記磁気ヘッドスライダのゲインを小さくすることは、ねじれ1次モードの共振に対する前記磁気ヘッドスライダのゲインを小さくすることよりも、非常に困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2005−032393号公報
【特許文献2】特開2008−021374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、荷重曲げ部の曲げ位置の調整によって磁気ヘッドスライダのゲインを小さくすることが困難なねじれ2次モードの共振の発生を可及的に防止し得る磁気ヘッドサスペンションの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、前記目的を達成する為に、アクチュエータによって直接又は間接的にディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部と、磁気ヘッドスライダを前記ディスク面に向けて押し付ける為の荷重を発生し得るように基端部が前記支持部の先端部に連結された荷重曲げ部と、基端部が前記荷重曲げ部の先端部に連結され且つ前記荷重を前記磁気ヘッドスライダに伝達するロードビーム部と、前記ロードビーム部及び前記支持部に支持されたフレクシャ部とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、前記ロードビーム部は、基端部が前記荷重曲げ部に連結され且つ前記ディスク面と対応する下面に前記フレクシャ部のフレクシャ基板が固着されるプレート状の本体部と前記本体部の左右側縁から前記ディスク面とは反対側へ延びる左右一対のフランジ部とを有し、前記本体部の左右の側縁の各々は基端側から先端側へ行く従ってサスペンション長手方向中心線に近接するように前記中心線に対して第1傾斜角で傾斜する基端領域と変曲点を挟んで前記基端領域の先端部に連結される基端側から先端側へ行くに従って前記中心線に近接するように前記中心線に対して前記第1傾斜角よりも小さい第2傾斜角で傾斜する先端領域とを含み、前記支持部の先端部と前記ロードビーム部に設けられたディンプルとの間のサスペンション長手方向距離をLとした場合に前記支持部の先端部と前記変曲点との間のサスペンション長手方向距離aが0.78×L≦a≦1.13×Lを満たしている磁気ヘッドサスペンションを提供する。
【0021】
好ましくは、前記ロードビーム部は、前記本体部の基端縁から前記ディスク面とは反対側へ延びる基端側フランジ部を有し得る。
【0022】
好ましくは、前記ロードビームの前記本体部には前記ディスク面とは反対側へ膨出された膨出部が設けられる。
前記膨出部は、例えば、サスペンション幅方向に沿うように設けられる。
【0023】
好ましくは、前記ロードビーム部の前記本体部における前記ディスク面とは反対側の上面には制振材が固着される。
【0024】
好ましくは、前記ロードビーム部の前記本体部は、前記ディスク面とは反対側に向けて厚肉とされた厚肉領域を有し得る。
【0025】
好ましくは、前記制振材又は前記厚肉領域は、基端部が前記本体部の基端側エッジと略同一位置に位置し且つ先端部と前記支持部の先端部との間のサスペンション長手法距離bが0.4×L≦b≦0.7×Lを満たすように配置される。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る磁気ヘッドサスペンションによれば、ロードビーム部の本体部の側縁が基端側から先端側へ行く従ってサスペンション長手方向中心線に近接するように第1傾斜角で傾斜された基端領域と変曲点を挟んで前記基端領域の先端部に連結される基端側から先端側へ行くに従って前記中心線に近接するように前記第1傾斜角よりも小さい第2傾斜角で傾斜された先端領域とを含み、支持部の先端部とディンプルとの間のサスペンション長手方向距離をLとした場合に前記支持部の先端部と前記変曲点との間のサスペンション長手方向距離aが0.78×L≦a≦1.13×Lを満たすように前記変曲点の位置が設定されている。従って、ねじれ2次モードの共振周波数を上昇させ、ねじれ2次モードの共振の発生を有効に防止することができる。
ここで、荷重曲げ部の曲げ位置の調整によってねじれ1次モードの共振に対する磁気ヘッドスライダの位置ズレの大きさ(ゲイン)を容易に低減することができる。従って、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションによれば、ねじれ1次モード及びねじれ2次モードの双方の振動モードによる磁気ヘッドスライダの目的トラックに対する位置ズレを可及的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1A】図1Aは、本発明の実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図である。
【図1B】図1Bは、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションの下面図である。
【図2】図2Aは、第1及び第2解析に用いた磁気ヘッドサスペンションの上面図である。 図2Bは、図2Aにおける2B-2B線に沿った断面図である。
【図3】図3A〜Gは、前記第1及び第2解析に用いた磁気ヘッドサスペンションにおけるロードビーム部の上面図である。
【図4】図4は、第1解析の結果を示すグラフである。
【図5】図5は、第2解析の結果を示すグラフである。
【図6】図6Aは、本発明の実施の形態2に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図である。 図6Bは、図6Aにおける6B-6B線に沿った断面図である。
【図7】図7Aは、本発明の実施の形態3に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図である。 図7Bは、図7Aにおける7B-7B線に沿った断面図である。
【図8】図8Aは、本発明の実施の形態4に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図である。 図8B及び8Cは、それぞれ、図8Aにおける8B-8B線及び8C-8C線に沿った断面図である。
【図9】図9A〜Cは、第3及び第4解析に用いた磁気ヘッドサスペンションの上面図である。
【図10】図10は、第3解析の結果を示すグラフである。
【図11】図11は、第4解析の結果を示すグラフである。
【図12】図12A〜12Eは、第5及び第6解析に用いた磁気ヘッドサスペンションの上面図である。
【図13】図13は、第5解析の結果を示すグラフである。
【図14】図14は、第6解析の結果を示すグラフである。
【図15】図15Aは、本発明の実施の形態5に係る磁気ヘッドサスペンションの上面図である。 図15B及び15Cは、それぞれ、図15Aにおける15B-15B線及び15C-15C線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施の形態1
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1A及び図1Bに、それぞれ、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1の上面図(ディスク面とは反対側から見た平面図)及び下面図(ディスク面側から見た底面図)を示す。なお、図1Bにおける○印は溶接点を示している。
【0029】
前記磁気ヘッドサスペンション1は、図1A及び図1Bに示すように、ボイスコイルモータ等のアクチュエータ(図示せず)によって直接又は間接的にディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部10と、磁気ヘッドスライダ50を前記ディスク面に向けて押し付ける為の荷重を発生し得るように基端部が前記支持部10の先端部に連結された荷重曲げ部20と、基端部が前記荷重曲げ部20の先端部に連結され且つ前記荷重を前記磁気ヘッドスライダ50に伝達するロードビーム部30と、前記ロードビーム部30及び前記支持部10に支持されたフレクシャ部40とを備えている。
【0030】
前記支持部10は、前記アクチュエータに直接又は間接的に連結された状態で前記荷重曲げ部20を介して前記ロードビーム部30を支持する部材であり、比較的高剛性を有するものとされる。
【0031】
本実施の形態においては、前記支持部10は、前記アクチュエータに連結されるキャリッジアーム(図示せず)の先端にかしめ加工によって接合されるボス部15を備えたベースプレートとされている。
前記支持部10は、例えば、厚さ0.1mm〜0.8mmのステンレス板によって好適に形成される。
当然ながら、前記支持部10として、基端部が前記メインアクチュエータの揺動中心に連結されるアームを採用することも可能である。
【0032】
前記ロードビーム部30は、前述の通り、前記荷重曲げ部20によって発生される荷重を前記磁気ヘッドスライダ50に伝達する為の部材であり、従って、所定の剛性が要求される。
【0033】
本実施の形態においては、図1A及び図1Bに示すように、前記ロードビーム部30は、平板状の本体部31と、前記本体部31のサスペンション幅方向両端部からディスク面とは反対側に延びる左右一対のフランジ部32とを有しており、前記フランジ部32によって剛性を確保している。
前記ロードビーム部30は、例えば、厚さ0.02mm〜0.1mmのステンレス板によって好適に形成される。
【0034】
図1Aに示すように、前記本体部31の左右の側縁の各々は、サスペンション長手方向に関し基端側に位置する基端領域31aと前記基端領域31aからサスペンション長手方向先端側へ延びる先端領域31bとを有している。
【0035】
前記基端領域31aは、サスペンション長手方向基端側から先端側へ行くに従ってサスペンション長手方向中心線CLに近接するように前記中心線CLに対して第1傾斜角θ1で傾斜されている。
【0036】
一方、前記先端領域31bは、サスペンション長手方向基端側から先端側へ行くに従って前記中心線CLに近接するように前記中心線CLに対して前記第1傾斜角θ1よりも小さい第2傾斜角θ2で傾斜されている。
【0037】
即ち、前記基端領域31a及び前記先端領域31bは何れも先端側へ行くに従って前記中心線CLに近接するように傾斜されているが、両者の間に変曲点Pが存在するように前記先端領域31bの第2傾斜角θ2が前記基端領域31aの第1傾斜角θ1よりも小さくされている。
なお、前記変曲点Pが存在するように前記基端領域31a及び前記先端領域31bの傾斜角が異ならせる場合には、前記変曲点近傍において前記フランジ部に歪みが生じ易い。この点に関し、好ましくは、平面視において前記変曲点Pがサスペンション幅方向外方へ開く湾曲形状を有するように構成することができ、これにより、前記フランジ部の歪みを低減させることができる。
【0038】
前記本体部31には、先端側に、所謂ディンプルと呼ばれる突起33が形成されている。
前記突起33は、ディスク面に近接する方向に、例えば、0.05mm〜0.1mm程度突出されている。この突起33は、前記フレクシャ部40におけるヘッド搭載領域415の上面(ディスク面とは反対側の面)に接触しており、前記荷重はこの突起33を介して前記フレクシャ部40のヘッド搭載領域415に伝達される。
【0039】
本実施の形態においては、前記ロードビーム部30は、さらに、前記本体部31の先端からサスペンション長手方向先端側へ延びるリフトタブ34を一体的に有している。前記リフトタブ34は、前記磁気ヘッドスライダ50がディスク面の径方向外方へ位置するように前記磁気ヘッドサスペンション1が前記アクチュエータによって揺動された際に、磁気ディスク装置に備えられたランプと係合して前記磁気ヘッドスライダ50をz方向(前記ディスク面と直交する方向)に沿って前記ディスク面から離間させる為の部材である。
【0040】
前記荷重曲げ部20は、基端部が前記支持部10に連結され且つ先端部が前記ロードビーム部30に連結されており、自己の弾性変形に基づいて前記磁気ヘッドスライダ50を前記ディスク面へ向けて押し付ける押し付け荷重を発生する。
【0041】
図1A及び図1Bに示すように、本実施の形態においては、前記荷重曲げ部20は、板面が前記ディスク面と対向する状態で前記中心線CLを挟んで互いに対して離間配置された左右一対の板バネ21を有している。
【0042】
好ましくは、前記一対の板バネ21は、前記磁気ヘッドサスペンション1が前記磁気ディスク装置へ実装される前の段階において前記磁気ヘッドスライダ50が前記ディスク面に近づく方向に所定の曲げ位置で予め折り曲げられ、且つ、前記磁気ヘッドサスペンション1の前記磁気ディスク装置への実装時には曲げ戻されることで前記押し付け荷重を発生するように、構成される。
【0043】
前記荷重曲げ部20は、例えば、厚さ0.02mm〜0.1mmのステンレス板によって形成される。
なお、本実施の形態においては、図1A及び図1Bに示すように、前記荷重曲げ部20は前記ロードビーム部30と一体形成されている。
【0044】
即ち、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1は、前記ロードビーム部30及び前記荷重曲げ部20を一体形成するロードビーム/荷重曲げ形成体300を有しており、前記ロードビーム/荷重曲げ形成体300は、前記ディスク面とは反対側の上面が前記支持部10の前記ディスク面と対向する下面に当接された状態で、前記支持部10に溶接によって接合されている。
当然ながら、前記ロードビーム部及び前記荷重曲げ部を別部材によって形成し、両者を溶接等によって連結させることも可能である。
【0045】
前記フレクシャ部40は、前記磁気ヘッドスライダ50を支持した状態で前記ロードビーム部30及び前記支持部10に溶接等によって固着される。
【0046】
詳しくは、前記フレクシャ部40はフレクシャ金属プレート410を有している。
前記フレクシャ金属プレート410は、図1Bに示すように、前記支持部10に溶接等によって固着される支持部固着領域411と、前記ロードビーム部30に溶接等によって固着されるロードビーム部固着領域412と、前記ロードビーム部固着領域412の先端部におけるサスペンション幅方向両側からサスペンション長手方向先端側へ延びる一対の支持片413と、前記一対の支持片413によって支持された前記ヘッド搭載領域415とを有している。
【0047】
前記ヘッド搭載領域415は、図1Bに示すように、前記ディスク面と対向する下面において前記磁気ヘッドスライダ50を支持している。
前述の通り、前記ヘッド搭載領域415の上面には前記突起33が接触しており、従って、前記ヘッド搭載領域415は前記突起33を支点としてロール方向及びピッチ方向に柔軟に揺動し得るようになっている。
【0048】
前記フレクシャ金属プレート410は、前記ヘッド搭載領域415がロール方向及びピッチ方向に揺動し得るように、前記ロードビーム部30よりも低剛性とされる。
前記フレクシャ金属プレート410は、例えば、厚さ0.01mm〜0.025mm程度のステンレス板とされる。
【0049】
本実施の形態においては前記フレクシャ部40は、図1Bに示すように、前記磁気ヘッドスライダ50を外部部材に電気的に接続する為の配線構造体420を一体的に有している。
【0050】
詳しくは、前記配線構造体420は、前記フレクシャ金属プレート410における前記ディスク面と対向する下面に積層される絶縁層と、前記絶縁層における前記ディスク面と対向する面に積層される信号配線とを含んでいる。
好ましくは、前記配線構造体は、前記信号配線を囲繞する絶縁性のカバー層(図示せず)を有し得る。
【0051】
ここで、前記変曲点Pのサスペンション長手方向に関する位置と前記磁気ヘッドサスペンション1のねじれ1次モードの共振周波数との関係に関して行った第1解析、及び、前記変曲点の位置と前記サスペンション1のねじれ2次モードの共振周波数との関係に関して行った第2解析について説明する。
図2Aに、前記第1及び第2解析に用いた磁気ヘッドサスペンションの上面図を示す。
又、図2Bに、図2Aにおける2B-2B線に沿った断面図を示す。
【0052】
本解析においては、前記支持部10,前記ロードビーム部30及び前記フレクシャ金属プレート410を、それぞれ、厚さ0.17mm,0.03mm及び0.02mmのステンレスとした。
【0053】
本解析においては、前記支持部10のうち前記ディスク面に直交するz方向に関し固定される位置(以下、本実施の形態におけるように前記支持部10がベースプレートの場合には、前記アクチュエータに連結された前記キャリッジアームにかしめを介して固定される前記ボス部15の位置であり、以下、支持部固定位置という)と前記ディンプル33との間のサスペンション長手方向長さを11mmとし、前記支持部10の先端エッジと前記ディンプル33との間のサスペンション長手方向長さLを6.2mmとし、前記荷重曲げ部20のサスペンション長手方向長さ(即ち、前記支持部10の先端エッジと前記ロードビーム部30の基端部との間のサスペンション長手方向長さ)を0.065L(=0.40mm)とし、前記支持部10の先端エッジのサスペンション幅方向長さを0.7L(=4.3mm)とした。
【0054】
又、前記ロードビーム部30の前記フランジ部32は、前記本体部31に対する傾斜角が75度で且つz方向高さが0.26mmに構成した。
そして、前記第1傾斜角θ1(前記基端領域31aのサスペンション長手方向中心線CLに対する傾斜角)を19°とし、前記第2傾斜角θ2(前記先端領域31bの前記中心線CLに対する傾斜角)を前記第1傾斜角θ1より小さい5°とした。
【0055】
斯かる構成を備えつつ、前記基端領域31aと前記先端領域31bとの間の前記変曲点Pのサスペンション長手方向位置が互いに対して異なる複数の磁気ヘッドサスペンションを用意し、前記複数の磁気ヘッドサスペンションのそれぞれのねじれ1次モード及びねじれ2次モードの共振周波数を有限要素法を用いて求めた。
【0056】
具体的には、前記支持部10の先端エッジと前記変曲点Pとの間のサスペンション長手方向距離aを、それぞれ、0.39L(=2.45mm)、0.52L(=3.25mm)、0.65L(=4.05mm)、0.78L(=4.85mm)、0.91L(=5.65mm)、1.05L(=6.49mm)及び1.19L(=7.39mm)とした磁気ヘッドサスペンション1a〜1gのねじれ1次モード及びねじれ2次モードの共振周波数を有限要素法を用いて求めた。
【0057】
図3A〜図3Gに、それぞれ、前記磁気ヘッドサスペンション1a〜1gの前記ロードビーム部30の上面図を示す。
なお、前記磁気ヘッドサスペンション1gにおいては、前記基端領域31aの前記第1傾斜角θ1及び前記先端領域31bの前記第2傾斜角θ2が同一とされている。即ち、前記磁気ヘッドサスペンション1gにおいては、前記本体部31の左右側縁のそれぞれは、サスペンション長手方向全域に亘って直線状とされている。
【0058】
図4に、前記距離aとねじれ1次モードの共振周波数との関係に関する第1解析の結果を示す。
又、図5に、前記距離aとねじれ2次モードの共振周波数との関係に関する第2解析の結果を示す。
【0059】
図4から、ねじれ1次モードの共振周波数は、前記距離aを0.5L(=3.1mm)以上で且つ0.83L(=5.2mm)以下とすることで上昇されることが理解される。
一方、図5から、ねじれ2次モードの共振周波数は、前記距離aを0.78L(=4.85mm)以上で且つ1.13L(=7mm)以下とすることで上昇されることが理解される。
【0060】
ところで、ねじれ1次モードの共振に起因する前記磁気ヘッドスライダ50の位置ズレの大きさ(ゲイン)は前記荷重曲げ部20の前記曲げ位置を調整することで容易に小さくできるが、ねじれ2次モードの共振に起因する前記磁気ヘッドスライダ50の位置ズレの大きさ(ゲイン)を前記荷重曲げ部20の前記曲げ位置調整によって小さくすることは非常に困難である。
【0061】
即ち、ねじれ1次モードの共振においては、前記荷重曲げ部20の位置及び前記ロードビーム部30の前記ディンプル33の位置がディスク面に直交するz方向の変位ゼロ(即ち、節)とされた状態で、サスペンション長手方向に関し前記2つの節の略中央部分がz方向変位最大(即ち、腹)となるように、主としてロードビーム部20のみがサスペンション長手方向中心線CL回りに捩れる。
【0062】
これに対し、ねじれ2次モードの共振においては、前記支持部10のうちz方向に関し強固に固定される前記支持部固定位置、前記ディンプル33の位置及び前記支持部固定位置と前記ディンプル33の位置との間のサスペンション長手方向略中央に位置するロードビーム部30の中途位置の3箇所が節とされた状態で、サスペンション長手方向に関し前記支持部固定位置及び前記ロードビーム部30の中途位置の間の略中央部分、並びに、サスペンション長手方向に関し前記ロードビーム部30の中途位置及び前記ディンプル33の位置の間の略中央部分の2箇所が腹となるように、前記支持部10の前記支持部固定位置より先端側に位置する部分,前記荷重曲げ部20及び前記ロードビーム部30がサスペンション長手方向中心線CL回りに捩れる。
【0063】
このように、ねじれ2次モードの共振においては、前記ロードビーム部30の長手方向中途位置に節が生じる。前記ロードビーム部30は、前述の通り、前記本体部31の左右側縁から前記ディスク面とは反対側へ延びる左右一対の前記フランジ部32を有している。つまり、ねじれ2次モードの共振においては、前記長手方向中心線CL回りのねじれに対して高剛性を有する位置に節が存在する。
【0064】
その為、ねじれ2次モードの共振周波数は、個々のサスペンション間においてバラツキ易い。従って、前記荷重曲げ部20での前記曲げ位置を調整することでねじれ2次モードの共振に対する前記磁気ヘッドスライダ50のゲインを小さくすることは、ねじれ1次モードの共振に対する前記磁気ヘッドスライダ50のゲインを小さくすることよりも、非常に困難となる。
【0065】
この点に関し、図5から明らかなように、前記距離aを0.78L(=4.85mm)以上で且つ1.13L(=7mm)以下とすれば、前記磁気ヘッドサスペンション1のねじれ2次モードの共振周波数を上昇させることができる。
即ち、前記距離aを0.78L(=4.85mm)以上で且つ1.13L(=7mm)以下とすれば、前記荷重曲げ部20の曲げ位置調整では前記磁気ヘッドスライダ50のゲインを小さくすることが困難なねじれ2次モードの共振の発生を可及的に防止することができる。
【0066】
なお、前記距離aが0.78L(=4.85mm)〜1.13L(=7mm)とされている磁気ヘッドサスペンションにおいては、ねじれ1次モードの共振周波数はそれ程高くはならない。
従って、前記距離aが0.78L(=4.85mm)〜1.13L(=7mm)とされている磁気ヘッドサスペンションにおいては、ねじれ1次モードの共振が発生する恐れはあるが、ねじれ1次モードの振動に対して前記磁気ヘッドスライダ50が目的位置から位置ズレする大きさ(ゲイン)は、前述の通り、前記荷重曲げ部20の曲げ位置調整によって容易に小さくすることができる。
【0067】
つまり、前記距離aが0.78L(=4.85mm)〜1.13L(=7mm)とされている磁気ヘッドサスペンションにおいては、ねじれ1次モードの共振の発生自体を抑えることはできないものの、ねじれ1次モードの共振が発生したとしても、これによる前記磁気ヘッドスライダ50の位置ズレは前記曲げ位置調整によって容易に抑えられ得る。
【0068】
実施の形態2
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの他の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図6Aに、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション2の上面図を示す。
又、図6Bに、図6Aにおける6B-6B線に沿った断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0069】
図6A及びBに示すように、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション2は、ロードビーム部30Bの本体部31の基端縁に基端側フランジ部35が設けられている点において、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1と相違している。
【0070】
詳しくは、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション2は、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1に比して、前記ロードビーム部30の代わりにロードビーム部30Bを有している。
前記ロードビーム部30Bは、前記本体部31及び前記一対のフランジ部32に加えて、前記本体部31の基端縁から前記ディスク面とは反対側へ延びる前記基端側フランジ部35を有している。
【0071】
前記基端側フランジ部35のサスペンション幅方向長さを2.0mmとし、前記本体部31に対する傾斜角を80度とし、且つ、z方向高さを0.3mmとした状態で、前記支持部10の先端エッジと前記変曲点Pとの間のサスペンション長手方向距離aを0.78L(=4.85mm)、0.91L(=5.65mm)、1.05L(=6.49mm)とした磁気ヘッドサスペンション2d〜2eのねじれ1次モードの共振周波数を有限要素法を用いて求めた。
その算出結果を図4に併せて示す。
【0072】
図4から明らかなように、前記本体部31の基端縁に前記基端側フランジ部35を設けることにより、ねじれ1次モードの共振周波数を上昇させ、これにより、ねじれ1次モードの共振の発生を防止することができる。
【0073】
実施の形態3
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの他の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図7Aに、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション3の上面図を示す。
又、図7Bに、図7Aにおける7B-7B線に沿った断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1又は2におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0074】
図7A及びBに示すように、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション3は、ロードビーム部30Cの本体部31Cの基端側に膨出部36が設けられている点において、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1と相違している。
【0075】
詳しくは、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション3は、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1に比して、前記ロードビーム部30の代わりにロードビーム部30Cを有している。
前記ロードビーム部30Cは、前記ディスク面と略平行な本体部31Cと前記本体部31Cの両側縁から前記ディスク面とは反対側へ延在された前記一対のフランジ部32とを有している。
【0076】
前記本体部31Cは、基端側に前記膨出部36を有している。
前記膨出部36は、前記ディスク面とは反対側へ膨出され且つサスペンション幅方向に沿っている。
【0077】
前記膨出部36を備えることによっても前記磁気ヘッドサスペンション3のねじれ1次モードの共振周波数を上昇させ、これにより、ねじれ1次モードの共振の発生を防止することができる。
【0078】
実施の形態4
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの他の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図8Aに、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション4の上面図を示す。
又、図8B及び8Cに、それぞれ、図8Aにおける8B-8B線及び8C-8C線に沿った断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1〜3におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0079】
図8A〜8Cに示すように、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション4は、前記ロードビーム部30の前記本体部31における前記ディスク面とは反対側の上面に制振材60が固着されている点において、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンションと相違している。
【0080】
前記制振材60は、前記本体部31のディスク面とは反対側の上面に固着される粘弾性材からなる第1層61と、前記第1層61のディスク面とは反対側の上面に固着される第2層62とを有し得る。
【0081】
前記第1層61としては、例えば、アクリルポリマーやシリコンが好適に使用される。
前記第2層62としては、例えば、ステンレスやアルミニウム等の金属材料、若しくは、ポリエチレン・テレフタレート等の樹脂材料が好適に使用される。
樹脂材料を用いて前記第2層62を形成することにより、金属材料を用いて前記第2層62を形成する場合に比して、質量低減による磁気ヘッドサスペンション4の耐衝撃性の向上を図ることができる。
【0082】
前記制振材60が前記第1層61として厚さ50μmのアクリルポリマーを有し且つ前記第2層62として厚さ50μmのステンレスを有しており、前記本体部31の基端縁からサスペンション長手方向先端側へ0.40L(=2.45mm)の位置に亘って前記本体部31のディスク面とは反対側の上面の略全域を覆うような大きさを有している複数の磁気ヘッドサスペンションであって、前記支持部の先端エッジと前記変曲点との間のサスペンション長手方向距離aがそれぞれ0.78L(=4.85mm)、0.91L(=5.65mm)、1.05L(=6.49mm)とされた磁気ヘッドサスペンション4d〜4fのねじれ1次モードの共振周波数を有限要素法を用いて求めた。
その算出結果を図4に併せて示す。
【0083】
図4から明らかなように、前記本体部31のディスク面とは反対側の上面に前記制振材60を備えることにより、ねじれ1次モードの共振周波数を上昇させ、これにより、ねじれ1次モードの共振の発生を防止することができる。
【0084】
ここで、前記支持部10の先端エッジと前記変曲点Pとの間のサスペンション長手方向距離aが0.91L(=5.65mm)とされた磁気ヘッドサスペンションを用いて、前記制振材60の固着位置とねじれ1次モードの共振周波数との関係に関して行った第3解析、及び、前記固着位置とSWAYモードの共振周波数との関係に関して行った第4解析について説明する。
なお、SWAYモードとは、シーク方向の振動を主とした磁気ヘッドサスペンションの主共振モードである。
図9A〜Cに、前記第3及び第4解析に用いた磁気ヘッドサスペンション4e(1)〜4e(3)の上面図を示す。
【0085】
前記磁気ヘッドサスペンション4e(1)は、前記本体部31の基端縁からサスペンション長手方向先端側へ長さ0.4L(=2.45mm)に亘って前記本体部31のディスク面とは反対側の上面の略全域を覆うような制振材60(1)を有している。
【0086】
即ち、前記磁気ヘッドサスペンション4e(1)の前記制振材60(1)は、基端部と前記支持部10の先端エッジとの間のサスペンション長手方向距離Cが0.065L(=0.4mm)となるように前記基端部の位置が設定されており、さらに、サスペンション長手方向に沿った長さが0.4L(=2.45mm)とされている。
【0087】
前記磁気ヘッドサスペンション4e(2)は、前記制振材60(1)と同一面積(7.04mm2)を有し且つ前記制振材60(1)よりもサスペンション長手方向先端側に配置された制振材60(2)を有している。
【0088】
詳しくは、前記制振材60(2)は、基端部と前記支持部10の先端エッジとの間のサスペンション長手方向距離Cが0.1L(=0.62mm)となるように前記基端部の位置が設定されており、さらに、前記制振材60(1)と同一面積を有するようにサスペンション長手方向に沿った長さが0.42L(=2.60mm)とされている。
【0089】
前記磁気ヘッドサスペンション4e(3)は、前記制振材60(1),60(2)と同一面積(7.04mm2)を有し且つ前記制振材60(2)よりもサスペンション長手方向先端側に配置された制振材60(3)を有している。
【0090】
詳しくは、前記制振材60(3)は、基端部と前記支持部10の先端エッジとの間のサスペンション長手方向距離Cが0.2L(=1.24mm)となるように前記基端部の位置が設定されており、さらに、前記制振材60(1),60(2)と同一面積を有するようにサスペンション長手方向に沿った長さが0.54L(=3.35mm)とされている。
【0091】
前記第3解析として、前記磁気ヘッドサスペンション4e(1)〜4e(3)の各々に対して、有限要素法を用いて前記制振材60の固着位置(即ち、前記距離C)とねじれ1次モードの共振周波数との関係を求めた。前記第3解析の結果を図10に示す。
【0092】
前記第4解析として、前記磁気ヘッドサスペンション4e(1)〜4e(3)の各々に対して、有限要素法を用いて前記制振材の固着位置(即ち、前記距離C)とSWAYモードの共振周波数との関係を求めた。前記第4解析の結果を図11に示す。
【0093】
図10及び図11から、同一面積の制振材60を用いる場合には、前記制振材60を前記本体部31の基端側に可及的に位置させることによって、ねじれ1次モード及びSWAYモードの双方の共振周波数を上昇させ得ることが理解される。
【0094】
次に、前記制振材60のサスペンション長手方向長さとねじれ1次モードの共振周波数との関係を求める為に行った第5解析、及び、前記長さとSWAYモードの共振周波数との関係を求める為に行った第6解析について説明する。
【0095】
前記第5及び第6解析は、前記支持部10の先端エッジと前記変曲点Pとの間のサスペンション長手方向距離aが0.91L(=5.65mm)とされ、且つ、基端部が前記本体部31の基端縁に略一致するように前記本体部31に固着された前記制振材60を備えた磁気ヘッドサスペンションであって、前記制振材60のサスペンション長手方向長さが種々に変更された磁気ヘッドサスペンションを用いて行った。
図12A〜12Eに、それぞれ、前記第5及び第6解析に用いた磁気ヘッドサスペンション4e(11)〜4e(15)の上面図を示す。
【0096】
前記磁気ヘッドサスペンション4e(11)は、前記支持部10の先端エッジと先端部との間のサスペンション長手方向長さbが0.26L(=1.62mm)となるような制振材60(11)を有している。
【0097】
前記磁気ヘッドサスペンション4e(12)は、前記支持部10の先端エッジと先端部との間のサスペンション長手方向長さbが0.46L(=2.85mm)となるような制振材60(12)を有している。
【0098】
前記磁気ヘッドサスペンション4e(13)は、前記支持部10の先端エッジと先端部との間のサスペンション長手方向長さbが0.64L(=3.95mm)となるような制振材60(13)を有している。
【0099】
前記磁気ヘッドサスペンション4e(14)は、前記支持部10の先端エッジと先端部との間のサスペンション長手方向長さbが0.81L(=5.05mm)となるような制振材60(14)を有している。
【0100】
前記磁気ヘッドサスペンション4e(15)は、前記支持部10の先端エッジと先端部との間のサスペンション長手方向長さbが1.08L(=6.70mm)となるような制振材60(15)を有している。
【0101】
前記第5解析として、前記磁気ヘッドサスペンション4e(11)〜(15)の各々のねじれ1次モードの共振周波数を有限要素法を用いて求めた。前記第5解析の結果を図13に示す。
前記第6解析として、前記磁気ヘッドサスペンション4e(11)〜(15)の各々のSWAYモードの共振周波数を有限要素法を用いて求めた。前記第6解析の結果を図14に示す。
【0102】
図13から、前記長さbを0.4L以上とすることでねじれ1次モードの共振周波数を実質的に最高状態とすることができ、さらに、前記長さbが0.4L以上であれば前記長さbをそれ以上に長くしてもねじれ1次モードの共振周波数は上昇しないことが理解される。
【0103】
又、図14から、前記長さbが0.3L≦b≦0.7Lの条件を満足する場合には、SWAYモードの共振周波数を上昇させ得ることが理解される。
【0104】
以上の点から、前記制振材60は、基端部が前記本体部31の基端エッジと略同一位置に位置するように前記本体部31の基端側に可及的に配置させることが好ましく、さらには、ねじれ1次モード及びSWAYモードの双方の共振周波数を上昇させる為には先端部と前記支持部10の先端エッジとの間のサスペンション長手方向長さbが0.4L≦b≦0.7Lを満たすように前記制振材60の長さを設定することが好ましい。
【0105】
実施の形態5
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの他の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図15Aに、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション5の上面図を示す。
又、図15B及び15Cに、それぞれ、図15Aにおける15B-15B線及び15C-15C線に沿った断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1〜4におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0106】
図15A〜15Cに示すように、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション5は、ロードビーム部30Eの本体部31Eが厚肉領域37を有している点において、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1と相違している。
【0107】
詳しくは、本実施の形態に係る前記磁気ヘッドサスペンション5は、前記実施の形態1に係る磁気ヘッドサスペンション1に比して、前記ロードビーム部30の代わりに前記ロードビーム部30Eを備えている。
【0108】
前記ロードビーム部30Eは、基端部が前記荷重曲げ部20に連結された状態で板面が前記ディスク面に略平行とされた平板状の前記本体部31Eと、前記本体部31Eの左右側縁から前記ディスク面とは反対側へ延在された左右一対の前記フランジ部32とを備えている。
なお、前記ロードビーム部30Eは、前記各実施の形態におけると同様に、さらに、前記リフトタブ34を有している。
【0109】
図15B及び15Cに示すように、前記厚肉領域37は、前記本体部31Eにおける前記ディスク面とは反対側の上面の一部が前記ディスク面とは反対側へ膨出されることで形成されている。
【0110】
前記厚肉領域31Eを備えた前記ロードビーム部30Eは、少なくとも前記厚肉領域31Eの厚さを有するロードビーム部形成板を用意する工程と、前記厚肉領域37とそれ以外の領域とがそれぞれ所定の厚みを有するように前記ロードビーム部形成板に対して前記ディスク面とは反対側の上面から対応したエッチング量でエッチングを行う工程とを含む製造方法によって容易に形成され得る。
【0111】
前記厚肉領域37の基端部が前記本体部31Eの基端部と略同一位置に位置し且つ先端部が前記支持部10の先端エッジからサスペンション長手方向に0.46L(=2.85mm)だけ離間されるように前記厚肉領域37のサスペンション長手方向位置が設定され、さらに、前記厚肉領域37以外の前記本体部31Eの厚みが0.03mmとされ且つ前記厚肉領域37の厚みが0.08mmとされた磁気ヘッドサスペンションであって、前記支持部10の先端エッジと前記変曲点Pとの間のサスペンション長手方向距離aがそれぞれ0.78L(=4.85mm)、0.91L(=5.65mm)、1.05L(=6.49mm)とされた磁気ヘッドサスペンション5d〜5fのねじれ1次モードの共振周波数を有限要素法を用いて求めた。
その算出結果を図4に併せて示す。
【0112】
図4から明らかなように、前記本体部31Eに前記厚肉領域37を設けることにより、ねじれ1次モードの共振周波数を上昇させ、これにより、ねじれ1次モードの共振の発生を防止することができる。
【0113】
さらに、補強構造としての前記厚肉領域37及び前記制振材36の共通性から判断すると、基端部が前記本体部31Eの基端エッジと略同一位置に位置するように前記厚肉領域37を形成するのが好ましく、さらには、先端部と前記支持部10の先端エッジとの間のサスペンション長手方向長さbが0.4L以上で且つ0.7L以下となるように前記厚肉領域37を形成することが好ましい。
【符号の説明】
【0114】
1〜5 磁気ヘッドサスペンション
10 支持部
20 荷重曲げ部
30 ロードビーム部
31,31C,31E 本体部
31a 基端領域
31b 先端領域
32 フランジ部
33 ディンプル
35 基端側フランジ部
36 膨出部
37 厚肉領域
40 フレクシャ部
50 磁気ヘッドスライダ
60 制振材
P 変曲点
CL サスペンション長手方向中心線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータによって直接又は間接的にディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部と、磁気ヘッドスライダを前記ディスク面に向けて押し付ける為の荷重を発生し得るように基端部が前記支持部の先端部に連結された荷重曲げ部と、基端部が前記荷重曲げ部の先端部に連結され且つ前記荷重を前記磁気ヘッドスライダに伝達するロードビーム部と、前記ロードビーム部及び前記支持部に支持されたフレクシャ部とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、
前記ロードビーム部は、基端部が前記荷重曲げ部に連結され且つ前記ディスク面と対応する下面に前記フレクシャ部のフレクシャ基板が固着されるプレート状の本体部と前記本体部の左右側縁から前記ディスク面とは反対側へ延びる左右一対のフランジ部とを有し、
前記本体部の左右の側縁の各々は、基端側から先端側へ行く従ってサスペンション長手方向中心線に近接するように前記中心線に対して第1傾斜角で傾斜する基端領域と、変曲点を挟んで前記基端領域の先端部に連結される基端側から先端側へ行くに従って前記中心線に近接するように前記中心線に対して前記第1傾斜角よりも小さい第2傾斜角で傾斜する先端領域とを含み、
前記支持部の先端部と前記ロードビーム部に設けられたディンプルとの間のサスペンション長手方向距離をLとした場合に、前記支持部の先端部と前記変曲点との間のサスペンション長手方向距離aが0.78×L≦a≦1.13×Lを満たしていることを特徴とする磁気ヘッドサスペンション。
【請求項2】
前記ロードビーム部は、前記本体部の基端縁から前記ディスク面とは反対側へ延びる基端側フランジ部を有していることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項3】
前記ロードビームの前記本体部には前記ディスク面とは反対側へ膨出された膨出部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項4】
前記ロードビーム部の前記本体部における前記ディスク面とは反対側の上面には制振材が固着されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項5】
前記ロードビーム部の前記本体部は、前記ディスク面とは反対側に向けて厚肉とされた厚肉領域を有していることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項6】
前記制振材又は前記厚肉領域は、基端部が前記本体部の基端側エッジと略同一位置に位置し且つ先端部と前記支持部の先端部との間のサスペンション長手法距離bが0.4×L≦b≦0.7×Lを満たしていることを特徴とする請求項4又は5に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項1】
アクチュエータによって直接又は間接的にディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部と、磁気ヘッドスライダを前記ディスク面に向けて押し付ける為の荷重を発生し得るように基端部が前記支持部の先端部に連結された荷重曲げ部と、基端部が前記荷重曲げ部の先端部に連結され且つ前記荷重を前記磁気ヘッドスライダに伝達するロードビーム部と、前記ロードビーム部及び前記支持部に支持されたフレクシャ部とを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、
前記ロードビーム部は、基端部が前記荷重曲げ部に連結され且つ前記ディスク面と対応する下面に前記フレクシャ部のフレクシャ基板が固着されるプレート状の本体部と前記本体部の左右側縁から前記ディスク面とは反対側へ延びる左右一対のフランジ部とを有し、
前記本体部の左右の側縁の各々は、基端側から先端側へ行く従ってサスペンション長手方向中心線に近接するように前記中心線に対して第1傾斜角で傾斜する基端領域と、変曲点を挟んで前記基端領域の先端部に連結される基端側から先端側へ行くに従って前記中心線に近接するように前記中心線に対して前記第1傾斜角よりも小さい第2傾斜角で傾斜する先端領域とを含み、
前記支持部の先端部と前記ロードビーム部に設けられたディンプルとの間のサスペンション長手方向距離をLとした場合に、前記支持部の先端部と前記変曲点との間のサスペンション長手方向距離aが0.78×L≦a≦1.13×Lを満たしていることを特徴とする磁気ヘッドサスペンション。
【請求項2】
前記ロードビーム部は、前記本体部の基端縁から前記ディスク面とは反対側へ延びる基端側フランジ部を有していることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項3】
前記ロードビームの前記本体部には前記ディスク面とは反対側へ膨出された膨出部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項4】
前記ロードビーム部の前記本体部における前記ディスク面とは反対側の上面には制振材が固着されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項5】
前記ロードビーム部の前記本体部は、前記ディスク面とは反対側に向けて厚肉とされた厚肉領域を有していることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の磁気ヘッドサスペンション。
【請求項6】
前記制振材又は前記厚肉領域は、基端部が前記本体部の基端側エッジと略同一位置に位置し且つ先端部と前記支持部の先端部との間のサスペンション長手法距離bが0.4×L≦b≦0.7×Lを満たしていることを特徴とする請求項4又は5に記載の磁気ヘッドサスペンション。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−258257(P2011−258257A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129991(P2010−129991)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000175722)サンコール株式会社 (96)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000175722)サンコール株式会社 (96)
【Fターム(参考)】
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