説明

磁気ヘッド装置及び磁気記録再生装置

【課題】加熱によらずに保磁力が大きい記録層に高精度でデータを記録できる磁気ヘッド装置及びこれを備える磁気記録再生装置を提供する。
【解決手段】記録ヘッド16は、主磁極20と、記録側前端シールド(補助磁極)22と、記録側後端シールド(補助磁極)23と、主磁極20に垂直記録磁界を発生させるための主コイル24と、主磁極20にマイクロ波帯域の周波数の面内交流磁界を発生させるための副コイル26と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保磁力が大きい記録層に磁気データを記録するための磁気ヘッド装置及びこれを備える磁気記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハードディスク等の磁気記録媒体は、磁気記録層を構成する磁性粒子の微細化、材料の改良、ヘッド加工の微細化等の改良により著しい面記録密度の向上が図られている。更に近年、磁気記録媒体の表面に垂直な方向に記録層を磁化させることで面記録密度の向上を図った垂直記録式の磁気記録再生装置が普及しつつあり、今後も一層の面記録密度の向上が期待されている。
【0003】
一方、記録ビットや磁性粒子の微細化に伴い熱揺らぎが生じやすくなるため、記録層の材料として磁気異方性エネルギが大きく、保磁力が大きい磁性粒子を用いることが好ましい。
【0004】
しかしながら、記録層の材料として磁気異方性エネルギが大きい磁性粒子を用いた場合、記録層の保磁力が例えば4kOe以上の大きな値となる。飽和磁気記録を行う場合、一般的に保磁力の2倍程度の記録磁界が必要と言われており、従来の磁気ヘッドの性能では、記録層を飽和磁化させることが困難な場合があった。即ち、磁気データの記録・消去が困難な場合があった。
【0005】
これに対し、記録層にビームを照射して加熱することにより保磁力を一時的に低減し、この部分に記録磁界を印加して磁気データの記録・再生を行うようにした磁気記録再生装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2001−250201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、磁気ヘッドに加え、ビームを照射するためのヘッドも備える磁気記録再生装置は、構造が複雑であると共にコンパクト化が困難である。
【0008】
又、微細な記録対象部位に正確にビームを照射し、且つ、記録磁界を印加することは困難である。
【0009】
又、記録層はビームが照射される部位だけでなく、伝熱によりその周辺の部位も加熱される。更に、被加熱部分の温度分布や、磁気ヘッドの記録磁界の分布は一様ではないため、所望の記録対象部位だけを確実に磁化反転させたり消磁させることは困難である。即ち、高精度・高品質なデータの記録が困難である。
【0010】
又、記録対象部位の周囲も加熱することで、却って熱揺らぎを助長してしまう可能性もある。
【0011】
又、加熱により保磁力を一時的に低減するためには、記録層の材料として温度の上昇に伴って保磁力が大きく減少する材料を用いることが好ましいが、このような新たな材料の開発が必要であると共に、このような材料を用いても環境温度が上昇すれば熱揺らぎが起きてしまう可能性がある。
【0012】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、加熱によらずに保磁力が大きい記録層に高精度でデータを記録できる磁気ヘッド装置及びこれを備える磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、主磁極と、補助磁極と、主磁極に垂直記録磁界を発生させるための主コイルと、主磁極にマイクロ波帯域の周波数の面内交流磁界を発生させるための副コイルと、を有する記録ヘッドを備える磁気ヘッド装置により上記目的を達成するものである。
【0014】
この磁気ヘッド装置は、磁気記録媒体の記録層にマイクロ波帯域の周波数の面内交流磁界を印加することで、垂直方向の所要記録磁界を大幅に低減できる。従って、保磁力が大きい記録層であっても、データを記録できる。
【0015】
更に、面内交流磁界は、垂直記録磁界と同様に主磁極に発生するので、面内交流磁界及び垂直記録磁界双方を記録対象部位に確実に印加できる。従って、データの記録精度・品質の向上に寄与する。
【0016】
又、この磁気ヘッド装置は、面内交流磁界及び垂直記録磁界を共通の主磁極に発生させるので構造が簡単であると共にコンパクト化に寄与する。
【0017】
即ち、次のような本発明により、上記課題の解決を図ることができる。
【0018】
(1)主磁極と、補助磁極と、前記主磁極に垂直記録磁界を発生させるための主コイルと、前記主磁極にマイクロ波帯域の周波数の面内交流磁界を発生させるための副コイルと、を有する記録ヘッドを備えることを特徴とする磁気ヘッド装置。
【0019】
(2) (1)において、前記副コイルは、その一部が前記主磁極と前記補助磁極との間に配置されたことを特徴とする磁気ヘッド装置。
【0020】
(3) (1)又は(2)において、前記副コイルは、幅方向に垂直な断面の形状がほぼ一定で該幅方向に略平行、且つ、前記断面の面積が他の部分よりも小さい交流磁界伝達部を前記主磁極に対向する位置に備え、該交流磁界伝達部の幅が前記主磁極の先端の幅よりも小さいことを特徴とする磁気ヘッド装置。
【0021】
(4) (1)又は(2)において、前記副コイルは、前記主磁極の幅方向に垂直な断面の形状がほぼ一定で該幅方向に略平行、且つ、前記断面の面積が他の部分よりも小さい交流磁界伝達部を前記主磁極に対向する位置に備え、前記主磁極の先端の幅が前記副コイルの交流磁界伝達部の幅よりも小さいことを特徴とする磁気ヘッド装置。
【0022】
(5) (1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記副コイルに交流電流を供給するための、該副コイルを含む副コイル用電気回路を備え、該副コイル用電気回路はキャパシタ及びインダクタの少なくとも一方のインピ−ダンス調整素子を有し、該副コイル用電気回路の共振周波数が、該副コイル用電気回路から前記インピ−ダンス調整素子を除いた電気回路の共振周波数よりも記録対象である磁気記録媒体の記録層の強磁性共鳴周波数に近づけられたことを特徴とする磁気ヘッド装置。
【0023】
(6) (1)乃至(5)のいずれかにおいて、前記副コイルに1〜15GHzの範囲の周波数の交流電流を供給するための副コイル駆動部を備えることを特徴とする磁気ヘッド装置。
【0024】
(7) (1)乃至(6)のいずれかにおいて、前記面内交流磁界の最大値が前記垂直記録磁界の最大値よりも小さくなるように構成されたことを特徴とする磁気ヘッド装置。
【0025】
(8) (1)乃至(7)のいずれかにおいて、TMR素子及びGMR素子のいずれかの磁気抵抗素子を有する再生ヘッドを備えることを特徴とする磁気ヘッド装置。
【0026】
(9) (1)乃至(8)のいずれかに記載の磁気ヘッド装置と、記録層及び軟磁性層を有する垂直記録方式の磁気記録媒体と、を備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
【0027】
(10) (9)において、前記磁気記録媒体の記録層の材料は、垂直磁気異方性エネルギが1×10erg/cc以上であることを特徴とする磁気記録再生装置。
【0028】
尚、本出願において「幅方向」という用語は、磁気ヘッド装置の記録対象である磁気記録媒体のトラック幅の方向に相当する方向であって、サスペンションアームが回転する磁気ヘッド装置においてサスペンションアームの長手方向及び回転軸方向に垂直な方向という意義で用いることとする。
【0029】
又、本出願において「磁気記録媒体」という用語は、ハードディスクの他、磁気テープ等の他の磁気記録媒体も含む意義で用いることとする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、加熱によらずに保磁力が大きい記録層に高精度でデータを記録できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
図1に示されるように、本発明の第1実施形態に係る磁気記録再生装置10は、磁気ヘッド装置12と、磁気記録媒体14と、を備え、磁気ヘッド装置12は、記録ヘッド16と、再生ヘッド18と、を有し、記録ヘッド16に特徴を有している。他の構成については、本第1実施形態の理解のために重要とは思われないため、説明を適宜省略する。
【0033】
記録ヘッド16は、主磁極20と、記録側前端シールド(補助磁極)22と、記録側後端シールド(補助磁極)23と、主磁極20に垂直記録磁界を発生させるための主コイル24と、主磁極20にマイクロ波帯域の周波数の面内交流磁界を発生させるための副コイル26と、を有している。
【0034】
記録ヘッド16は、面内交流磁界の最大値が垂直記録磁界の最大値よりも小さくなるように構成されている。
【0035】
尚、垂直記録磁界とは、磁気記録媒体14の記録層42に磁気記録媒体14の表面に対してほぼ垂直な方向に印加される磁界である。又、面内交流磁界とは、記録層42に磁気記録媒体14の表面に対してほぼ平行な方向に印加される磁界である。
【0036】
図2に示されるように、主磁極20は、記録側前端シールド22又は記録側後端シールド23側から見て磁気記録媒体14に近接する先端が基端よりも細い形状であり、先端の幅はMpwである。尚、図3に示されるように、主磁極20の先端は磁気記録媒体14側から見て記録側後端シールド23側から記録側前端シールド22の方向に細くなる略台形であり、主磁極20の先端の幅Mpwは、記録側後端シールド23に対向する側の面の幅(台形の最大幅)である。尚、図3は磁気ヘッド装置12を磁気記録媒体14側から見た底面図である。
【0037】
一方、記録側前端シールド22、記録側後端シールド23の幅は、主磁極20の先端の幅Mpwよりも著しく大きく、Mpwの数十倍〜数百倍である。尚、記録側前端シールド22、記録側後端シールド23には、主磁極20の基端(図示省略)が連結されている。記録層42に印加される垂直記録磁界の方向が磁気記録媒体14の表面に垂直な方向に近くなるようにするためには、主磁極20と記録側前端シールド22との間の隙間は、1μm以上であることが好ましい。又、主磁極20と記録側後端シールド23との間の隙間は、10〜100nmであることが好ましく、50nm程度であれば、より好ましい。
【0038】
主コイル24は、主磁極20と記録側前端シールド22との図示しない連結部を取り巻くように、主磁極20における記録側前端シールド22側に配置されている。尚、図1では主コイル24は1巻きであるが、主コイルの巻数は特に限定されず、2巻き以上でもよい。又、図1では主コイル24は単層であるが、主コイルは多層でもよい。
【0039】
副コイル26は、主磁極20と記録側後端シールド23との図示しない連結部を取り巻くように、主磁極20における記録側後端シールド23側に配置されている。副コイル26の一部は主磁極20と記録側後端シールド23との間に配置されている。副コイル26の(主磁極20及び記録側後端シールド23の隙間の方向の)厚さは、10〜50nmであることが好ましい。又、製造工程において主磁極20の磁気記録媒体14側の先端は研磨される。従って、副コイル26が研磨されることを回避するためには、副コイル26の磁気記録媒体14側の先端は、主磁極20の磁気記録媒体14側の先端よりも10nm程度又はそれ以上、磁気記録媒体14から離間する方向に引き込んでいることが好ましい。
【0040】
副コイル26は、幅方向に垂直な断面の形状がほぼ一定(本第1実施形態では矩形(図1参照))で、図2に示されるように幅方向に略平行、且つ、前記断面の面積が該副コイル26の他の部分よりも小さい交流磁界伝達部26Aを、主磁極20に対向する位置に備えている。副コイル26の交流磁界伝達部26Aの幅Scwは、主磁極20の先端の幅Mpwよりも小さい。
【0041】
尚、図1では副コイル26は単巻きであるが、副コイルの巻数は特に限定されず、2巻き以上でもよい。又、図1では副コイル26は単層であるが、副コイルは多層でもよい。このように、副コイル26の巻数や層数を増やすことで、副コイル26に供給する電流を抑制しつつ、面内交流磁界を増大させることができる。
【0042】
又、磁気ヘッド装置12は、図4に示されるように、副コイル26に交流電流を供給するための副コイル26を含む副コイル用電気回路47を備えている。副コイル用電気回路47は、副コイル26に、1〜15GHzの範囲のマイクロ波帯域の周波数の交流電流を供給するための副コイル駆動部52を備えている。
【0043】
副コイル用電気回路47は、1〜15GHzの範囲のマイクロ波帯域の周波数の交流電流を発振するための発振回路を構成している。
【0044】
磁気ヘッド装置12は、サスペンションアーム48及びその先端に取付けられたスライダ50を備えており、記録ヘッド16及び再生ヘッド18はスライダ50に設置されている。
【0045】
副コイル駆動部52は、サスペンションアーム48の基端近傍に取付けられている。尚、サスペンションアーム48の上には、導電層56、絶縁層58、導電層59がこの順で積層されており、副コイル駆動部52は、平面導波路を構成する導電層56及び59を介して副コイル26と電気的に接続されている。
【0046】
又、副コイル用電気回路47は、スライダ50の近傍に可変キャパシタ(インピ−ダンス調整素子)54を有し、該副コイル用電気回路47の共振周波数は、該副コイル用電気回路47から可変キャパシタ54を除いた仮想の電気回路の共振周波数よりも磁気記録媒体14の記録層42の強磁性共鳴周波数に近づけられている。
【0047】
尚、可変キャパシタの静電容量と配線の浮遊容量との合計容量をC、副コイル26の等価インダクタンスをLとすると副コイル用電気回路47の共振周波数fは、
=2π/√(CL)
である。
【0048】
又、副コイル用電気回路47の直流抵抗をRc、平面導波路を構成する導電層56及び59のインピーダンスをZとすると、
Rc=Z
であることが好ましい。このようにすることで、周波数fでの交流電流の反射率が0に近くなり、周波数が高いマイクロ波帯域の交流電流を副コイル26に効率良く供給することができる。
【0049】
再生ヘッド18は、再生側前端シールド28と、磁気抵抗素子30と、再生側後端シールド32と、を有している。
【0050】
磁気抵抗素子30は、具体的には、TMR素子及びGMR素子のいずれかであり、再生側前端シールド28と再生側後端シールド32との間に配置されている。
【0051】
尚、磁気ヘッド装置12は、主コイル24に直流電流を供給するための主コイル用電気回路、磁気抵抗素子30の抵抗値の変化を検出するための再生用電気回路も備えているが、これらについては、本第1実施形態の理解のために重要とは思われないため説明を省略する。
【0052】
磁気記録媒体14は、基板34、下地層36、軟磁性層38、配向層40、記録層42、保護層44、潤滑層46を有し、基板34の上にこれらの層がこの順で積層された構成である。記録層42の材料は、垂直磁気異方性エネルギが1×10erg/cc以上である。記録層42の具体的な材料としては例えばCoCrPt合金を用いることができる。記録層42の強磁性共鳴周波数は、記録層42を構成する磁性粒子の形状や構成元素等により決まる材料に固有の値であり、概ね1〜15GHzである。記録層42は強磁性共鳴周波数を1つだけ有することもあり、複数の強磁性共鳴周波数を有することもある。
【0053】
尚、磁気記録媒体14は、図1に示す矢印の方向(図1における右方向)に回転するように図示しない回転機構に取付けられている。
【0054】
次に、磁気記録再生装置10の作用について説明する。
【0055】
磁気記録再生装置10は、主コイル24に直流電流を供給することにより主コイル24が直流磁界を発生し、この直流磁界は主磁極20、磁気記録媒体14の軟磁性層38、記録側前端シールド22及び記録側後端シールド23を還流し、磁気記録媒体14の表面に垂直な方向の垂直記録磁界が記録層42に印加される。
【0056】
一方、副コイル用電気回路47が副コイル26に1〜15GHzの範囲のマイクロ波帯域の周波数の交流電流を供給すると、副コイル26が交流磁界を発生する。この交流磁界は、主として交流磁界伝達部26Aから主磁極20及び記録側後端シールド23に伝達される。この交流磁界は高周波であるので表皮効果により、主磁極20及び記録側後端シールド23における、交流磁界伝達部26Aに対向する部分の表面の近傍の部分に限定して主磁極20及び記録側後端シールド23を貫く。例えば、周波数が10GHz程度の場合、交流磁界は、主磁極20及び記録側後端シールド23における、交流磁界伝達部26Aに対向する部分の表面から50nm程度の部分に限定して主磁極20及び記録側後端シールド23を貫く。このように、副コイル26が発生させる交流磁界は、主磁極20及び記録側後端シールド23における間隔が小さい部分の間に限定して発生するので、前記直流磁界と比較して磁気記録媒体14の浅い部分までしか到達しない。従って副コイル26が発生させる交流磁界は、磁気記録媒体14の表面にほぼ平行な方向で記録層42を貫くように、主磁極20、記録層42、記録側後端シールド23を還流する。尚、面内交流磁界の大きさは、0.1〜0.2Hk(Hk:異方性磁界)程度であることが好ましい。又、面内交流磁界の周波数は数GHz〜10GHz程度であることがより好ましい。
【0057】
このようにマイクロ波帯域の周波数の面内交流磁界が記録層42に印加されることにより、垂直方向の所要記録磁界を大幅に低減できる。例えば、面内交流磁界を印加する前に対し、面内交流磁界を印加することで記録層42の磁化を反転させることができる垂直磁界を40%程度低減し、60%程度とすることが可能である。従って、記録層42の材料は、垂直磁気異方性エネルギが1×10erg/cc以上で記録層42の保磁力が大きいにも拘わらず、垂直記録磁界により記録層42の記録対象部位を磁化反転又は消磁することができる。例えば、面内交流磁界を印加する前における記録層42の保磁力が4kOe程度であっても、面内交流磁界を印加することで記録層42の保磁力を等価的には2.4kOe程度まで低減したことになり、記録層42の記録対象部位を磁化反転又は消磁することができる。
【0058】
更に、面内交流磁界は、垂直記録磁界と同様に主磁極20に発生するので、面内交流磁界及び垂直記録磁界双方を記録対象部位に確実に印加できる。従って、データの記録精度・品質の向上に寄与する。
【0059】
尚、面内交流磁界が過度に大きいと、垂直記録磁界による記録層42の磁化の反転に要する時間が長くなることがあるが、磁気ヘッド装置12は、面内交流磁界の最大値が垂直記録磁界の最大値よりも小さくなるように構成されているので、記録対象部位の磁化反転又は消磁を効率良く行うことができる。
【0060】
又、磁気ヘッド装置12は、面内交流磁界及び垂直記録磁界を共通の主磁極20に発生させるので構造が簡単であり、コンパクト化に寄与する。
【0061】
又、記録ヘッド16の実効記録幅Ewwは、記録層42において垂直記録磁界が印加され、且つ、面内交流磁界も印加されて保磁力が垂直記録磁界よりも小さくなる領域の幅であり、副コイル26の交流磁界伝達部26Aの幅Scwと主磁極20の先端の幅Mpwのうち、小さい方の幅よりも若干大きい。言い換えれば、副コイル26の交流磁界伝達部26Aの幅Scwと主磁極20の先端の幅Mpwのうち、いずれか一方を小さくすることで実効記録幅Ewwを小さくし、面記録密度を高めることができる。
【0062】
本第1実施形態では、図2に示されるように、副コイル26の交流磁界伝達部26Aの幅Scwを小さくすることで実効記録幅Ewwを主磁極20の先端の幅Mpwよりも小さくしているので、主磁極20の先端の加工がそれだけ容易であり、主磁極20の生産性の向上に寄与する。
【0063】
又、副コイル用電気回路47は、スライダ50の近傍に可変キャパシタ(インピ−ダンス調整素子)54を有し、該副コイル用電気回路47の共振周波数は、該副コイル用電気回路47から可変キャパシタ54を除いた仮想の電気回路の共振周波数よりも磁気記録媒体の記録層42の強磁性共鳴周波数に近づけられているので、記録層42には強磁性共鳴周波数に近い面内交流磁界が印加され、記録層42の保磁力を効率良く確実に低減できる。
【0064】
尚、副コイル用電気回路47の共振周波数は記録層42の強磁性共鳴周波数と一致することが好ましいが、副コイル用電気回路47の共振周波数が記録層42の強磁性共鳴周波数と若干ずれていても、垂直方向の所要記録磁界を大幅に低減することが可能である。
【0065】
又、インピーダンス調整素子として可変キャパシタ54に代えて可変インダクタを副コイル用電気回路に備え、可変インダクタを除いた仮想の電気回路の共振周波数よりも副コイル用電気回路の共振周波数を磁気記録媒体の記録層の強磁性共鳴周波数に近づけてもよい。又、インピーダンス調整素子として可変キャパシタ54に加えて可変インダクタを副コイル用電気回路に備え、可変キャパシタ54及び可変インダクタを除いた仮想の電気回路の共振周波数よりも副コイル用電気回路の共振周波数を磁気記録媒体の記録層の強磁性共鳴周波数に近づけてもよい。又、静電容量が一定の非可変キャパシタ及び/又はインダクタンスが一定の非可変インダクタを副コイル用電気回路に備えて該キャパシタ及び/又はインダクタを除いた仮想の電気回路の共振周波数よりも副コイル用電気回路の共振周波数を磁気記録媒体の記録層の強磁性共鳴周波数に近づけてもよい。
【0066】
又、磁気記録再生装置10は、記録層42の材料が垂直磁気異方性エネルギが1×10erg/cc以上で記録層42の保磁力が大きいので、熱揺らぎによる磁化の反転が生じにくい。即ち、データの保存特性が良好で信頼性が高い。
【0067】
又、磁気ヘッド装置12の再生ヘッド18はTMR素子及びGMR素子のいずれかの磁気抵抗素子30を有しているので、記録された磁気データを高精度で再生することができる。
【0068】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0069】
図5に示されるように、本第2実施形態は前記第1実施形態に対し、記録側後端シールド23に代えて、磁気記録媒体14側の先端部60Aよりも基端部60Bが細く、先端部60Aが基端部60Bよりも主磁極20側に突出し、先端部60A及び基端部60Bの間の中間部60Cが先端部60Aから基端部60Bの方向にテーパ状に連続的に細くなる形状の記録側後端シールド60を備えている。更に、前記第1実施形態の副コイル26に代えて、主磁極20と記録側後端シールド60との間における断面の(主磁極20と記録側後端シールド60との隙間の方向の)厚さが副コイル26よりも厚い副コイル62を備えている。この副コイル62は、記録側後端シールド60の基端部60Bと主磁極20との間に配置されている。他の構成は前記第1実施形態と同様であるので図1と同一符号を付することとして説明を省略する。
【0070】
このように、記録側後端シールド60は、基端部60Bが先端部60Aよりも細い形状であり、副コイル62が記録側後端シールド60の基端部60Bと主磁極20との間に配置されているので、副コイル62の厚さを厚くすることができる。これにより副コイル62の発熱を抑制することができる。又、副コイル62の厚さに制約されることなく、記録側後端シールド60の先端部60Aと主磁極20との間の隙間を所望の大きさに設定できる。
【0071】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0072】
図6に示されるように、本第3実施形態は前記第1実施形態に対し、記録側後端シールド23に代えて、磁気記録媒体14側の先端部70Aよりも基端部70Bが細く、先端部70Aが基端部70Bよりも主磁極20側に突出する段付形状である記録側後端シールド70を備えている。又、前記第1実施形態の副コイル26に代えて、主磁極20と記録側後端シールド70との間における断面の(主磁極20と記録側後端シールド70との隙間の方向の)厚さが副コイル26よりも厚い副コイル72を備えている。この副コイル72は、記録側後端シールド70の基端部70Bと主磁極20との間に配置されている。又、副コイル72は2巻きである。他の構成は前記第1実施形態と同様であるので図1と同一符号を付することとして説明を省略する。
【0073】
このように、記録側後端シールド70も基端部70Bが先端部70Aよりも細い形状であり、副コイル72が記録側後端シールド70の基端部70Bと主磁極20との間に配置されているので、前記第2実施形態と同様に副コイル72の厚さを厚くすることができる。又、記録側後端シールド70は、先端部70Aと基端部70Bとの間に中間部がない段付形状であるので、それだけ基端部70Bを磁気記録媒体14の表面に垂直な方向に長くすることができ、副コイル72の巻数を増加させることができる。尚、副コイル72を磁気記録媒体14の表面に垂直な方向に長くすることも可能である。これにより副コイル72の発熱を抑制しつつ面内交流磁界を増大させることができる。又、前記第2実施形態と同様に副コイル72の厚さに制約されることなく、記録側後端シールド70の先端部70Aと主磁極20との間の隙間を所望の大きさに設定できる。
【0074】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
【0075】
図7に示されるように、本第4実施形態は前記第1実施形態に対し、副コイル26の交流磁界伝達部26Aの幅Scwよりも主磁極20の先端の幅Mpwが小さい構成である。他の構成は前記第1実施形態と同様であるので図1と同一符号を付することとして説明を省略する。
【0076】
このように、主磁極20の先端の幅Mpwを小さくすることで実効記録幅Ewwを副コイル26の交流磁界伝達部26Aの幅Scwよりも小さくしているので、副コイル26の交流磁界伝達部26Aの加工がそれだけ容易であり、副コイル26の生産性の向上に寄与する。
【0077】
言い換えれば、主磁極の加工が副コイルの加工よりも容易であれば、本第4実施形態のように、副コイルの交流磁界伝達部の幅Scwよりも主磁極の先端の幅Mpwを小さくすればよい。一方、主磁極の加工よりも副コイルの加工が容易であれば、前記第1実施形態のように、副コイルの交流磁界伝達部の幅Scwを主磁極の先端の幅Mpwよりも小さくすればよい。尚、例えば主磁極の加工及び副コイルの加工の難易度が同等であるような場合には、副コイルの交流磁界伝達部の幅Scwと主磁極の先端の幅Mpwとを等しくしてもよい。
【0078】
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
【0079】
図8に示されるように、本第5実施形態は前記第1実施形態に対し、磁気記録媒体14の記録層80が上部記録層80Aと下部記録層80Bとを有する構成である。他の構成は前記第1実施形態と同様であるので図1と同一符号を付することとして説明を省略する。
【0080】
上部記録層80Aの材料は、軟磁性材料又は垂直方向の磁気異方性が1×10erg/cc以下の磁性材料である。
【0081】
下部記録層80Bの構成は、前記第1実施形態の記録層42と同様である。
【0082】
このように、下部記録層80Bの上に上部記録層80Aを設けることで下部記録層80Bに印加される垂直記録磁界を磁気記録媒体14の表面に対して更に垂直に近い方向に近づけることができる。
【0083】
尚、上部記録層80Aの垂直磁気異方性が下部磁性層80Bの垂直磁気異方性よりも高い構成としてもよい。このようにすることで、より急峻な磁化転移が形成される。尚、上層ほど印加される記録磁界が強いので、たとえ上部記録層80Aの垂直磁気異方性が大きくなっても上部記録層80Aの磁化の反転は可能である。
【0084】
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
【0085】
図9に示されるように、本第6実施形態は前記第1実施形態に対し、主コイル24が、主磁極20の両側に配置された構成である。尚、主磁極20の記録側後端シールド23側において、副コイル26における主磁極20に対向する部分は、主コイル24における主磁極20に対向する部分よりも磁気記録媒体14に近い側に配置されている。他の構成は前記第1実施形態と同様であるので図1と同一符号を付することとして説明を省略する。
【0086】
このように、主コイル24を主磁極20の両側に配置することで主コイル24の発熱を抑制しつつ垂直記録磁界を大きくすることができる。
【0087】
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
【0088】
図10に示されるように、本第7実施形態は前記第6実施形態に対し、副コイル26が、記録側後端シールド23の両側に配置された構成である。他の構成は前記第6実施形態と同様であるので図9と同一符号を付することとして説明を省略する。
【0089】
このように、副コイル26を記録側後端シールド23の両側に配置することで、副コイル22の発熱を抑制しつつ、面内交流磁界を大きくすることができる。
【0090】
尚、本第7実施形態の場合、面内交流磁界の周波数は表皮効果が比較的低い1〜5GHzであることが好ましい。
【0091】
次に、本発明の第8実施形態について説明する。
【0092】
図11に示されるように、本第8実施形態は前記第6実施形態に対し、主磁極20における記録側前端シールド22側に配置された主コイル24及び記録側前端シールド22を省略したものである。他の構成は前記第6実施形態と同様であるので図9と同一符号を付することとして説明を省略する。
【0093】
このように、記録側前端シールド側の主コイル及び記録側前端シールドを省略することで、磁気ヘッド装置をコンパクト化することができる。
【0094】
尚、前記第6実施形態に対し、主磁極20における記録側後端シールド23側に配置された主コイル24及び記録側後端シールド23を省略し、主磁極20と記録側前端シールド22との間に副コイル26を配置した構成としてもよい。この場合も、磁気ヘッド装置をコンパクト化することができる。
【0095】
次に、本発明の第9実施形態について説明する。
【0096】
図12に示されるように、本第9実施形態は前記第1実施形態に対し、副コイル駆動部52が、サスペンションアーム48から離間して設置された構成である。他の構成は前記第1実施形態と同様であるので図1と同一符号を付することとして説明を省略する。
【0097】
このように、副コイル駆動部52をサスペンションアーム48から離間して設置することで、サスペンションアーム48と共に回転運動する部分の質量が軽くなり、サスペンションアーム48の挙動を安定させる効果が得られる。
【0098】
次に、本発明の第10実施形態について説明する。
【0099】
図13に示されるように、本第10実施形態は前記第1実施形態に対し、連続した膜形状の記録層42を備える磁気記録媒体14に代えて、トラックの部分が凸部の記録要素92Aである凹凸パターンの記録層92を有する磁気記録媒体90を備える構成である。磁気記録媒体90は、ディスクリートトラックメディア又はパターンドメディアである。尚、記録要素92Aの間の凹部には非磁性材94が充填されている。他の構成は前記第1実施形態と同様であるので図1と同一符号を付することとして説明を省略する。
【0100】
上述のように、記録ヘッド16の実効記録幅Ewwは、副コイル26の交流磁界伝達部26Aの幅Scwと主磁極20の先端の幅Mpwのうち、小さい方の幅に近いが、記録層92の記録要素92Aはトラックの部分にだけ形成されているので、実効記録幅Ewwを記録要素92Aの幅Twに厳密に一致させなくても実効記録幅EwwをTwよりも大きくすれば、記録要素92Aを幅方向の全体に亘って磁化反転させることができる。尚、トラックに隣接するガードバンド部には非磁性材94が充填され、記録層92は存在しないので、トラックの部分だけを確実に磁化させることができる。
【0101】
従って、データの記録精度が高く、又、副コイル26と主磁極20の加工精度を低くできるので、副コイル26と主磁極20の生産性を高めることができる。
【0102】
次に、本発明の第11実施形態について説明する。
【0103】
図14に示されるように、本第11実施形態に係る磁気記録再生装置110は、磁気ヘッド装置112の記録ヘッド116が、主磁極120と、記録側前端シールド(補助磁極)122と、主磁極120に面内記録磁界を発生させるための主コイル124と、主磁極120にマイクロ波帯域の周波数の垂直交流磁界を発生させるための副コイル126と、を有する構成である。磁気記録媒体114は面内記録方式であり、記録層142は面内磁気異方性エネルギが1×10erg/cc以上で面内方向に磁化されるように構成されている。配向層138は、記録層142の面内方向の磁気異方性を高めるために設けられている。尚、記録層142の下に軟磁性層は設けられていない。他の構成は前記第1実施形態と同様であるので図1と同一符号を付することとして説明を省略する。
【0104】
主コイル124は、主磁極120と記録側後端シールド(補助磁極)123との間に配置されている。
【0105】
一方、副コイル126は、主磁極120と記録側前端シールド122との間に配置されている。主磁極120と記録側前端シールド122との隙間は、主磁極120と記録側後端シールド123との隙間よりも大きく、これにより、副コイル126により発生され主磁極120と記録側前端シールド122との間において還流する磁界は、記録層142における少なくとも磁気ヘッド装置112に近い側の部分を磁気記録媒体114の表面に対して垂直に近い方向で貫くようになっている。
【0106】
再生ヘッド118は、磁気抵抗素子130が面内方向の再生磁界を検出するように構成されている。
【0107】
磁気記録再生装置110は、主コイル124に直流電流を供給することにより主コイル24が直流磁界を発生し、この直流磁界は主磁極120、磁気記録媒体114、記録側前端シールド122を還流し、面内記録磁界が磁気記録媒体114の記録層142に印加される。
【0108】
一方、副コイル用電気回路47と同様の副コイル用電気回路が副コイル126に1〜15GHzの範囲のマイクロ波帯域の周波数の交流電流を供給すると、副コイル126が交流磁界を発生する。副コイル126が発生させる交流磁界は、上記のように記録層142における少なくとも磁気ヘッド装置112に近い側の部分を磁気記録媒体114の表面に対して垂直に近い方向で貫いて、主磁極120、記録層142、記録側前端シールド122を還流する。
【0109】
このようにマイクロ波帯域の周波数の垂直交流磁界が記録層142に印加されることにより、記録層142の面内方向の所要記録磁界を大幅に低減できる。従って、記録層142の材料は、面内磁気異方性エネルギが1×10erg/cc以上で記録層142の保磁力が大きいにも拘わらず、面内記録磁界により記録層142の記録対象部位を磁化反転又は消磁することができる。
【0110】
尚、前記第1〜第7実施形態及び前記第9〜第11実施形態において、記録側前端シールド22、122と再生側後端シールド32とが個別に設けられているが、記録側前端シールドが再生側後端シールドを兼ねる構成としてもよい。
【0111】
又、前記第1〜第10実施形態において、記録層42の下に配向層40、軟磁性層38、下地層36が形成されているが、記録層42の下の層の構成は、磁気記録再生装置の種類に応じて適宜変更すればよい。例えば、下地層36、軟磁性層38、配向層40のうち一又は二の層を省略してもよい。又、各層が複数の層で構成されていてもよい。又、基板34上に磁気記録層42を直接形成してもよい。前記第11実施形態の記録層142の下の構成についても同様である。
【0112】
又、前記第1〜第11実施形態において、磁気記録媒体14、114は基板34の片面に磁気記録層42、142が形成された片面記録式であるが、基板の両面に磁気記録層を形成した両面記録式の磁気記録媒体についても本発明を適用可能である。磁気ヘッド装置は、磁気記録媒体の両側に設置すればよい。
【0113】
又、前記第1〜第11実施形態において、記録層42、92、142、下部記録層80Bの材料はCoCrPt合金であるが、例えば、鉄族元素(Co、Fe(鉄)、Ni)を含む他の合金、これらの積層体等の他の材料、特にCoPtやFePt系の規則合金やCo/Pd、Co/Pt多層膜などの高磁気異方性材料の記録層にも本発明を適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、保磁力が大きい記録層に磁気データを記録するための磁気ヘッド装置及びこれを備える磁気記録再生装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の第1実施形態に係る磁気記録再生装置の概略構造を模式的に示す断面を含む側面図
【図2】図1におけるII−II線に沿う断面を含む背面図
【図3】図1においてIII−III線で示される方向から見た同磁気記録再生装置の磁気ヘッド装置の底面図
【図4】同磁気ヘッド装置の概略構造を模式的に示す断面を含む側面図
【図5】本発明の第2実施形態に係る磁気記録再生装置の概略構造を模式的に示す断面を含む側面図
【図6】本発明の第3実施形態に係る磁気記録再生装置の概略構造を模式的に示す断面を含む側面図
【図7】本発明の第4実施形態に係る磁気記録再生装置の主磁極及び副コイルの概略構造を模式的に示す断面を含む背面図
【図8】本発明の第5実施形態に係る磁気記録再生装置の記録層の概略構造を模式的に示す断面を含む側面図
【図9】本発明の第6実施形態に係る磁気記録再生装置の概略構造を模式的に示す断面を含む側面図
【図10】本発明の第7実施形態に係る磁気記録再生装置の概略構造を模式的に示す断面を含む側面図
【図11】本発明の第8実施形態に係る磁気記録再生装置の概略構造を模式的に示す断面を含む側面図
【図12】本発明の第9実施形態に係る磁気記録再生装置の磁気ヘッド装置の概略構造を模式的に示す断面を含む側面図
【図13】本発明の第10実施形態に係る磁気記録再生装置の概略構造を模式的に示す断面を含む背面図
【図14】本発明の第11実施形態に係る磁気記録再生装置の概略構造を模式的に示す断面を含む側面図
【符号の説明】
【0116】
10、110…磁気記録再生装置
12、112…磁気ヘッド装置
14、114…磁気記録媒体
16、116…記録ヘッド
18、118…再生ヘッド
20、120…主磁極
22、122…記録側前端シールド(補助磁極)
23、60、70、123…記録側後端シールド(補助磁極)
24、124…主コイル
26、62、72、126…副コイル
26A…交流磁界伝達部
28…再生側前端シールド
30、130…磁気抵抗素子
32…再生側後端シールド
34…基板
36…下地層
38…軟磁性層
40…配向層
42、80、142…記録層
44…保護層
46…潤滑層
47…副コイル用電気回路
48…サスペンションアーム
50…スライダ
52…副コイル駆動部
54…可変キャパシタ(インピーダンス調整素子)
56、59…導電層
58…絶縁層
Eww…実効記録幅
Mpw…主磁極幅
Scw…交流磁界伝達部の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主磁極と、補助磁極と、前記主磁極に垂直記録磁界を発生させるための主コイルと、前記主磁極にマイクロ波帯域の周波数の面内交流磁界を発生させるための副コイルと、を有する記録ヘッドを備えることを特徴とする磁気ヘッド装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記副コイルは、その一部が前記主磁極と前記補助磁極との間に配置されたことを特徴とする磁気ヘッド装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記副コイルは、幅方向に垂直な断面の形状がほぼ一定で該幅方向に略平行、且つ、前記断面の面積が他の部分よりも小さい交流磁界伝達部を前記主磁極に対向する位置に備え、該交流磁界伝達部の幅が前記主磁極の先端の幅よりも小さいことを特徴とする磁気ヘッド装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記副コイルは、前記主磁極の幅方向に垂直な断面の形状がほぼ一定で該幅方向に略平行、且つ、前記断面の面積が他の部分よりも小さい交流磁界伝達部を前記主磁極に対向する位置に備え、前記主磁極の先端の幅が前記副コイルの交流磁界伝達部の幅よりも小さいことを特徴とする磁気ヘッド装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記副コイルに交流電流を供給するための、該副コイルを含む副コイル用電気回路を備え、該副コイル用電気回路はキャパシタ及びインダクタの少なくとも一方のインピ−ダンス調整素子を有し、該副コイル用電気回路の共振周波数が、該副コイル用電気回路から前記インピ−ダンス調整素子を除いた電気回路の共振周波数よりも記録対象である磁気記録媒体の記録層の強磁性共鳴周波数に近づけられたことを特徴とする磁気ヘッド装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記副コイルに1〜15GHzの範囲の周波数の交流電流を供給するための副コイル駆動部を備えることを特徴とする磁気ヘッド装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記面内交流磁界の最大値が前記垂直記録磁界の最大値よりも小さくなるように構成されたことを特徴とする磁気ヘッド装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
TMR素子及びGMR素子のいずれかの磁気抵抗素子を有する再生ヘッドを備えることを特徴とする磁気ヘッド装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の磁気ヘッド装置と、記録層及び軟磁性層を有する垂直記録方式の磁気記録媒体と、を備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記磁気記録媒体の記録層の材料は、垂直磁気異方性エネルギが1×10erg/cc以上であることを特徴とする磁気記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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