説明

磁気共鳴イメージング方法、磁気共鳴イメージング装置、磁気共鳴イメージングプログラム、及び設計装置

【課題】B1ロバスト及びT1ロバストな核種抑制技術を提供すること。
【解決手段】実施形態に係るMRIパルスシーケンスは、スペクトル選択リフォーカスパルス(以下、REFUSAL(REFocusing Used to Selectively Attenuate Lipids)パルス)を含む。REFUSALパルスは、水スピンを選択式にリフォーカスし、脂肪スピンをリフォーカスすることを回避する。REFUSALパルスは、理想的には、水にリフォーカスすることを最大限にし、脂肪にリフォーカスすることを最小限にする。REFUSALパルスでリフォーカスされたスピンのみが、コヒーレントに発展し続け、エコートレインを生成する。最小限にリフォーカスされたスピンは役に立たなくされ、このため、最終画像に対する信号を提供しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング方法、磁気共鳴イメージング装置、磁気共鳴イメージングプログラム、及び設計装置に関する。
【0002】
明細書中、いくつかの頭字語及び/又は省略形を用いる。大半が当業者にとって馴染みがあるものであるが、便宜上、一部の頭字語及び/又は省略形を説明する。
BASING=Band Selective INversion with Gradient dephasing
MEGA=MEscher GArwood(著者)(BASINGに非常に近い技術)
SAR=Specific Absorption Rate
FSE=Fast Spin Echo(一般的なMRIパルスシーケンス)
FASE=Fast Asymmetric Spin Echo(FSEに類似)
FOV=Field of View
SNR=Signal-to-Noise Ratio
B0=main static magnetic field(メイン静磁場)
B1=transmitted RF magnetic field(送信されたRF磁場)
T1=longitudinal NMR(Nuclear Magnetic Resonance) recovery time constant(縦緩和時間)
T2=transverse NMR decay time constant(横緩和時間)
TR=repetition time between successive excitations for MRI imaging data acquisition sequence(連続励起の間の繰り返し時間)
ppm=parts per million(百万分の一(周波数オフセット又は周波数偏差を測定する単位))
CHESS=CHEmically Selective Suppression
SPAIR=SPectral(-ly selective) Adiabatic Inversion Recovery
SPIR=SPectral(-ly selective) Inversion Recovery
STIR=Short Tau Inversion Recovery
PASTA=Polarity Alternated Spectral and spatial Acquisition(励起パルス及びリフォーカスパルスは反対の勾配極性を有する)
DIET=Dual Interval Echo Train(初期エコートレイン間隔は、繰り返されたエコートレイン間隔より長い)
WFOP=Water-Fat Opposed Phase
IDEAL=Dixon脂肪抑制方法の製造業者の企業名
【0003】
磁気共鳴イメージング(以下、MRI(Magnetic Resonance Imaging))における脂肪(fat、lipid)抑制は、対象組織を脂肪信号が覆い隠す領域において良好な画像品質を達成するために重要である。水と脂肪との間の化学シフト相違(4.67ppm v.〜1.3ppm)を利用するように設計された技術がいくつか存在する。CHESS(スペクトル選択飽和)及びPASTA(水信号のみにリフォーカスパルスを印加する交互極性スライス選択傾斜磁場)を含む。
【0004】
別の一群の技術は、化学シフト相違(Dixon、IDEAL、WFOP)による横磁化の相展開を使用して、水を脂肪から分離する。やや関連があるのは、水を選択式に励起し脂肪を排除するスペクトル空間二項RFパルスである。他の技術は、脂肪のより短いT1(〜250ms v.〜1000ms水)を利用して、脂肪信号を無効にする(STIR、SPIR、SPAIR)。更に他の技術は、脂肪の短いT2及びJ変調を使用し、不規則なエコー間隔を使用して、脂肪を弱化する(DIET)。
【0005】
上記に明らかにされた脂肪化学シフト及びT1の値は、脂肪の優勢メチレン(CH2)成分用に挙げられる。しかし、メチル基(CH3)及びカルボニルへの近接又は二重結合によってシフトされるCH2陽子等の他の脂肪成分もまた存在する。加えて、5.3ppmで(すなわち、0.0ppmと規定されたテトラメチルシラン(TMS)標準と比較して)オレフィン陽子があるが、これらは、いずれの化学シフト系技術が除去するには水に近すぎる(例えば、4.7ppmの水は5.3ppmのオレフィン陽子から0.6ppmしか離れていない)。したがって、脂肪T1は、何百ミリ秒を超える範囲であり得、化学シフトは1.5ppmを超える範囲であり得る。更なる検討のためには、非特許文献1を参照のこと。加えて、臨床MR実験において、B1及びB0両方の均一性は、FOVに対して不均一であり得る。特に、高磁場(例えば3T)で、範囲は、局所生体構造に依存して、B1では±40%、且つ、B0では何百ヘルツほど大きくあり得る。
【0006】
各脂肪抑制技術は、B1及びB0均一性、及びシーケンス制約が与えられた特定のアプリケーションに対する利点及び欠点を有する。一般的な利点及び欠点は、図8の表に要約される。
【0007】
スペクトロスコピーにおけるBASING/MEGA技術は、最小のシーケンス制約で、良好なT1非感受性、B1非感受性、時間効率、及び化学シフトロバストを提供する。しかし、その元々のスペクトロスコピーを明示してイメージングするためにこの技術を使用することが(脂肪を反転し対立傾斜磁場でその信号をクラッシュし、一方、水にはリフォーカスを当てない)、非常に長い第1のエコーを生成する。さらに、この技術に典型的に使用されるRFパルスの設計は、オフセット周波数の作用に応じて、影響を受けないままであると思われるスピンの位相を変えることができる。したがって、水共鳴の幅にわたって均一な位相プロファイルを生成するために、これらのRFパルスの整合した対を加えて位相変化を解くことが必要である。
【0008】
例えば、引用されるBlockらの文書には、選択式に水を励起し脂肪を排除するためにスペクトル空間二項RFパルスを使用する例が記載されている。
【0009】
MRスペクトロスコピーでは、BASING及びMEGA技術を使用して、スペクトルから水及び/又は脂肪を変更する。これらの技術は、水及び/又は脂質の共鳴を反転し、対象代謝物(1.9〜3.6ppm)をそのままにするスペクトル選択180度RFパルス(例えば、図2参照)を含むことによって、作用する。一対の交互極性Gx又はGy傾斜磁場クラッシャーが各スペクトル選択RFパルス(例えば、図2に示されるように)を取り囲み、反転した磁化のみを役に立たなくする。これらの技術は、横方向磁化に作用するため、本質的にT1感度が悪い。
【0010】
マルチスライスイメージング用の狭帯域RF励起パルスの設計もまた既知である。例えば、非特許文献22を参照のこと。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】Jensenら、米国特許第5,142,231号公報
【特許文献2】Miyazakiら、米国特許第6,320,377号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Kurodaら著、「脂肪の化学シフト選択抑制の最適化(Optimization of Chemical Shift Selective Suppression of Fat)」Magn.Reson.Med.1997年、40巻、p.505〜510
【非特許文献2】Dixon著、「簡略陽子分光イメージング(Simple proton spectroscopic imaging)」、ラジオグラフィー誌、1984年、153巻、p.189〜194
【非特許文献3】Bydderら著、「短T1反転回復シーケンス−腹部のMRイメージングへのアプローチ(The Short T1 Inversion Recovery Sequence - An Approach to MR Imaging of the Abdomen)」、Magn.Reson.Imaging、1985年、3巻、p.251〜254
【非特許文献4】Yeungら著、「磁場不均一性をその場所で訂正することによる真の脂肪及び水の画像の分離(Separation of true fat and water images by correcting magnetic field inhomogeneity in situ)」、ラジオグラフィー誌、1986年、159巻、p.783〜786
【非特許文献5】Meyerら著、「同時空間及びスペクトル選択励起(Simultaneous spatial and spectral selective excitation)」、Mag.Res.Med.、1990年、15巻、p.287〜304
【非特許文献6】Glover著、「水及び脂肪陽子用マルチポイントDixon技術及び感受性イメージング(Multipoint Dixon technique for water and fat proton and susceptibility imaging)」、J.Mag.Res.Imag.、1991年、I:p.521〜530
【非特許文献7】Gloverら著、「B0不均一訂正を備えた真の水/脂肪を分解するための3点Dixon技術(Three-point Dixon technique for true water/fat decomposition with B0inhomogeneity correction)」、Mag.Res.Med.、1991年、18巻、p.371〜383
【非特許文献8】Kanazawaら著、「急速スピンエコーイメージングのコントラストナチュラリゼーション:場不均一のない脂肪減少技術(Contrast naturalization of fast spin echo imaging: A fat reduction technique free from field inhomogeneity)」、PROC.、SMR、2nd Annual Meeting、サンフランシスコ、1994年、p.474
【非特許文献9】Buttsら著、「二重エコーDIET急速スピンエコーイメージング(Dual echo DIET fast spin echo imaging)」、PROC.、SMR、3rd Annual Meeting、ニース、1995年、p.651
【非特許文献10】Miyazakiら著、「極性変化スペクトル及び空間選択獲得技術(A polarity altered spectral and spatial selective acquisition technique)」、PROC.、SMR、3rd Annual Meeting、ニース、1995年、p.657
【非特許文献11】Kanazawaら著、「DIET−PASTAを使用する新規脂肪抑制急速スピンエコー技術(A new fat-suppressed fast spin echo technique using DIET-PASTA)」、PROC.、ISMRM、4th Annual Meeting、ニューヨーク、1996年、p.1547
【非特許文献12】Mescherら著、「選択エコーディフェーズを使用する水抑制(Water suppression using selective echo dephasing)」、PROC.、ISMRM、4th Annual Meeting、ニューヨーク、1996年、p.384
【非特許文献13】Mescherら著、「選択エコーディフェーズを使用する溶媒抑制(Solvent suppression using selective echo dephasing)」、J.Mag.Res.、シリーズA、1996年、123巻、p.226〜229
【非特許文献14】Blockら著、「補正済スペクトル空間パルスを備えた一貫した脂肪抑制(Consistent fat suppression with compensated spectral-spatial pulses)」、Magn.Reson.Med.1997年、38巻、p.198〜206
【非特許文献15】Star−Lackら著、「勾配ディフェーズ(BASING)を備えたRF帯選択反転を使用する3D PRESS CSI用の改良された水及び脂肪抑制(Improved water and lipid suppression for 3D PRESS CSI using RF band selective inversion with gradient dephasing (BASING))」、Mag.Res.、Med.、1997年、38巻、p.311〜321
【非特許文献16】Schick著、「簡単で新タイプのスペクトル空間励起を使用する同時高選択MR水及び脂肪イメージング(Simultaneous highly selective MR water and fat imaging using a simple new type of spectral-spatial excitation)」、Mag.Res.、Med.、1998年、40巻、p.194〜202
【非特許文献17】Maら著、「効率的な急速スピンエコーDixonイメージングのための方法(Method for efficient fast spin echo Dixon imaging)」、Mag.Res.、Med.、2002年、48巻、p.1021〜1027
【非特許文献18】Reederら著、「エコー非対称及び最小二乗概算(IDEAL)を備えた水及び脂肪の反復分解:急速スピンエコーイメージングを備えたアプリケーション(Iterative decomposition of water and fat with echo asymmetry and least-squares estimation (IDEAL): application with fast spin-echo imaging)」、Mag.Res.、Med.、2005年、54巻、p.636〜644
【非特許文献19】Reederら著、「IDEAL勾配エコーイメージングを備えた水−脂肪分離(Water-fat separation with IDEAL gradient-echo imaging)」、J.Mag.Res.Imag.、2007年、25巻、p.644〜652
【非特許文献20】Lauensteinら著、「T2加重腹部MRイメージング用に最適化された反転回復脂肪抑制技術の評価(Evaluation of optimized inversion-recovery fat-suppression techniques for T2-weighted abdominal MR imaging)」、J.Mag.Res.Imag.、2008年、27巻、p.1448〜1454
【非特許文献21】Bleyら著、「脂肪及び水磁気共鳴イメージング(Fat and water magnetic resonance imaging)」、J.Mag.Res.Imag.、2010年、31巻、p.4〜18
【非特許文献22】Murdochら著、「マルチスライスイメージング用にコンピュータで最適化された狭帯域パルス(Computer-optimized narrowband pulses for multislice imaging)」、J.Mag.Res.、第74巻、p.226〜263(1987年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
水及び脂肪を分離するために用いられる全ての先行技術にかかわらず、B1ロバスト及びT1ロバストな核種抑制技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング方法は、コンピュータで実行される磁気共鳴イメージング方法であって、初期パルス工程と、第1のリフォーカスパルス工程と、第2のリフォーカスパルス工程と、収集工程とを含む。初期パルス工程は、画像が形成される対象物の少なくとも一部について、第1の核種及び第2の核種を励起するRF(Radio Frequency)パルスを印加する。第1のリフォーカスパルス工程は、励起された前記第1の核種及び前記第2の核種の内、前記第1の核種を選択的にリフォーカスするRFパルスを印加する。第2のリフォーカスパルス工程は、前記第1の核種及び前記第2の核種をリフォーカスするRFパルスを印加するとともに傾斜磁場パルスを印加する。収集工程は、前記第1のリフォーカスパルス工程によって印加されたRFパルス、及び、前記第2のリフォーカスパルス工程によって印加されたRFパルスによって前記第1の核種から発生したエコー信号のトレインを収集する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、例示的な実施形態を実行するように修正された、典型的なMRIシステムの簡略化されたブロック図である。
【図2】図2は、NMRスペクトロスコピーに以前用いられた、先行技術のBASINGパルスシーケンスを示す図である。
【図3】図3は、非空間選択、スペクトル選択180度パルスの1つの例示的な実施形態を例示する、REFUSALパルスシーケンスの第1の部分の概略図である。
【図4】図4は、頸椎画像におけるREFUSAL及びCHESSのB1感度を比較する6枚の写真の配列である。B1振幅は各技術の理想的なニューテーション角度の80%〜120%の角度内で変動し、不良脂肪飽和及び信号損失の区域はCHESS画像で識別され、一方、REFUSAL画像はB1変動の同一範囲にわたって比較的均一な信号及び脂肪飽和を生成した。
【図5】図5は、下部腰画像におけるREFUSAL及びCHESSのB1感度を比較する6枚の写真の別の配列であり、B1振幅は再度、各技術の理想的なニューテーション角度の80%〜120%の角度内で変動し、不良脂肪飽和及び信号損失の区域はCHESS画像で識別され、一方、REFUSAL画像はB1変動の同一範囲にわたって比較的均一な信号及び脂肪飽和を生成した。
【図6A】図6Aは、時間領域における例示的な非空間選択、REFUSALパルスを示す。
【図6B】図6Bは、周波数領域において結果として得られた水通過帯域及び脂肪阻止帯域幅を示す。
【図7】図7は、例示的なREFUSALシーケンスを達成するためのコンピュータプログラムコード構造を示すブロック図である。
【図8】図8は、MRI用の様々な脂肪抑制技術の利点及び欠点を比較する表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態の概要]
例示的な実施形態は、MRイメージングのためにスペクトルの概念を使用する。以下、新しい技術を「REFUSAL」と呼ぶ。
【0017】
REFUSALは、エコートレイン系のシーケンス(例えば、FSE、FASE)に用いられる。エコートレインのリフォーカスパルスは、スペクトル選択性であるように生成される。これは、非空間選択、スペクトル選択パルス(好適な実施形態)、又は、空間スペクトル複合選択パルス(代替の実施形態)のいずれかで達成することができる。
【0018】
例示的な実施形態においては、スペクトル選択パルスを使用して、選択的に水スピンをリフォーカスし、脂肪スピンをリフォーカスすることを回避する。REFUSAL RFパルス(以下、適宜「REFUSALパルス」)は、どのような手法で設計されてもよいが、理想的には、B0不均一及びB1不均一に対するロバストネスを考慮し、水にリフォーカスすることを最大限にし、脂肪をリフォーカスすることを最小限にする。
【0019】
例示的な実施形態において、REFUSALパルスは、エコートレインに含まれるN個(N>1)のリフォーカスパルスの内、第1のリフォーカスパルスの位置に挿入される。REFUSALパルスに続く傾斜磁場クラッシャーパルス(単/複)が、残りの横磁化をディフェーズする。できる限り長く持続するREFUSALパルスを組み込むために、エコー間隔は、非均一に作ることができる。具体的には、第1のエコー間隔を、エコートレインのエコー間隔の残りのものよりも、長く作ることができる。
【0020】
例示的な実施形態において、REFUSALパルスに続くエコートレインの残りのものは、従来の手法で継続する。したがって、スペクトル選択リフォーカスパルスでリフォーカスされたスピンのみが、コヒーレントに発展し続け、エコートレインを生成する。最小限にリフォーカスされたスピンは役に立たなくされ、したがって、最終画像へ信号を提供しない。
【0021】
すなわち、そのようなREFUSALパルスは、所望の共鳴(例えば、水)を可能にし、それによってリフォーカスされ、後にエコートレインで発展し続ける。不要な共鳴(例えば、脂肪)は、最小限にリフォーカスされ、FID(Free Induction Decay)クラッシャーパルスによってディフェーズされ、したがって、後に次のエコートレインに伝播することを「拒否」される。
【0022】
BASING/MEGAにおいて、スペクトル選択リフォーカスパルスは、所望の代謝物共鳴を回避するように設計され、したがって、傾斜磁場クラッシャーパルスは反対の極性である。REFUSALにおいては、所望の共鳴(例えば、水)にリフォーカスすることが望ましく、したがって、単極の傾斜磁場FIDクラッシャーパルスの対が用いられる。
【0023】
非空間選択の実施形態の場合には、REFUSALパルスの後の第1のエコーは廃棄される。REFUSALは、CHESSに存在した明らかな欠点を有さずに、CHESSの様な画像コントラストを備えた画像を生成する。
【0024】
例示的な実施形態は、B1ロバスト及びT1ロバストな脂肪抑制MRIパルスシーケンスを実施するための方法及び装置、更に、そのようなMRIパルスシーケンスを設計するためのプログラム、そうするためにプログラムされたコンピュータシステム、及び、そのようなMRIパルスシーケンスを設計/実施するための少なくとも1つのコンピュータプログラムを含むコンピュータ可読記憶媒体を含む。
【0025】
多くのMRIパルスシーケンス同様、TR間隔開けは、画像形成されるべき対象物へ、画像形成されるべき対象物の少なくとも所望の部分で核種をニューテート(nutate)する最初のNMR RFニューテートパルス(すなわち、励起パルス)を加えることによって、開始される。例えば、これは、空間選択(例えば、スライス選択)90度励起パルスであってもよい。当業者が理解するように、最初のパルスの帯域幅に依存して、異なる核種は、特に、そのような核種のラーモア周波数が密集している場合に、適切に等しい量(例えば、水核及び脂肪核)だけニューテートされてもよい。すなわち、この最初のNMR RFニューテートパルスは、後の特別なスペクトル選択リフォーカスパルス(REFUSALパルス)を説明するために使用される意味でのスペクトル選択性ではない。
【0026】
少なくとも第1及び第2の核種の初期のニューテート後に、例示的な実施形態は、実質的に180度、第1の核種を選択式にニューテートし、一方、異なる第2の核種のニューテートを実質的に回避するように、スペクトル選択位相変調180度ニューテートパルスを加え、それによって、第2の核種ではなく、第1の核種のその後のNMRリフォーカスを選択式に発生させる。詳細に記載される例示的な実施形態は、位相変調されたスペクトル選択RFパルスを使用するが、適切なスペクトル選択REFUSALパルスは、位相変調される必要はない。実際上の理由で、例示的なREFUSALパルスは、位相変調されるように設計された(B0/B1性能を改良し、時間を短縮し、非対称反転プロファイルを生成するために)。しかし、スペクトル選択パルスを設計する他の非位相変調方法があるため、そのようなことは、必須ではない。
【0027】
好ましくは、MRIパルスシーケンスにおいてTR開始励起パルスに続く第1のリフォーカスパルスとして、特別なREFUSALパルスが加えられる。例示的な実施形態において、傾斜磁場なしで、このスペクトル選択位相変調REFUSALニューテートパルスが加えられ、したがって、非空間選択であり、その代わり、実際、スペクトル選択であるのみである。
【0028】
当業者が理解するように、有効であるために、そのようなスペクトル選択位相変調ニューテートパルスは、実質的に持続する必要はないと思われる。しかし、そのように第1の種に選択式にリフォーカスした後に、時間領域における比較的より短い間隔を有する時間間隔の正常な又は正規の(すなわち、非スペクトル選択、位相変調等)180度NMR RFリフォーカスパルスのその後のトレインを使用して、第1の核種に選択式にリフォーカスすることができる。しかし、第2の核種は、REFUSALパルスによって早期にリフォーカスされなかったため、NMR RFスピンエコー応答の次のトレインは、実質的に、第1の核種のみから発し、第2の核種からではない。当業者によって理解されるように、正常なリフォーカスパルスのこのトレインは、その第1の核種から発する位相エンコードされたエコー応答のそれぞれ対応するトレインを生成するように、普通の位相エンコード傾斜磁場パルスを連結することができる。
【0029】
次いで、第1の核種からのRFスピンエコー応答のトレインが、MRIデータとして取得され、それをコンピュータ可読メモリで表すように格納され、且つ/又は、それを使用して、当業者によって理解されるように、従来の再構成プロセスを使用して、第1の核種の画像を生成する。
【0030】
例示的な実施形態において、スペクトル選択位相変調NMR RF180度ニューテートパルスの直後に形成された第1のNMR RFスピンエコー応答は、イメージング目的には使用されない(REFUSALパルスが空間選択ではなかったため)。さらに、例示的な実施形態において、単極傾斜磁場FIDクラッシャパルスは、スピンエコー応答のトレインにおけるスピンエコー応答の間に加えられる(すなわち、一方は各RFリフォーカスパルスの前に発生し、もう一方は各RFリフォーカスパルスの後に発生する対において)。
【0031】
例示的な実施形態において、第1の核種は水であり、第2の核種は脂肪(又は脂質)であり、REFUSALパルスの半幅リフォーカス及び阻止帯域幅(すなわち、それぞれ、水及び脂肪用)が、1.5〜3.0(ppm)内であるように設計される。水種と脂肪種との間には、約3.5ppm周波数の差しかない。一般に、持続する位相変調スペクトル選択RFパルスが長ければ長いほど、より狭い通過帯域及び/又は阻止帯域を提供することができる。しかし、好適な実施形態において、帯域幅は、約1+ppmのB0変動を補正するほど充分に大きくなければならず、他方、B1変動の広い範囲にわたって、水及び脂肪の予期される核種におけるリフォーカス効果を効果的に分離するほど充分に狭い。
【0032】
1つの例示的な実施形態において、REFUSALパルスは、約8ms持続し、約2.2ppm半幅の水リフォーカス帯域幅、及び、約2.4ppm半幅の脂肪阻止帯域幅である。そのようなエコートレインをスペクトル選択B1ロバスト及びT1ロバストにするように設計するための機械実施方法において、プログラムされたコンピュータシステムは、第1のNMR種用のNMRリフォーカス帯域幅、及び、第2のNMR種用のNMR阻止帯域幅を効果的に規定する入力設計仕様データを受け入れるように構成される。現在の例示的な実施形態において、REFUSAL帯域幅の他の部分は抑制されない(例えば、より短い持続REFUSALパルスを容易にするように)。既知のスペクトル選択RFニューテートパルス設計技術を使用して(例えば、上記に引用された非特許文献22を参照のこと)、次いで、所望のスペクトル選択位相変調180度NMR RFニューテートパルスは、実質的に180度、NMR核の第1の種を選択式にニューテートし、一方、核の第2の異なる種のニューテートは回避するように設計され、それによって、第2の種ではなく、第1の種のNMRリフォーカスを発生させる。
【0033】
例示的な実施形態においては、次いで、計算されたスペクトル選択位相変調RFニューテートパルス(すなわち、先に述べたタイプの)を使用して、完全MRIデータ取得シーケンスを規定する。このようにして規定された完全MRIデータ取得シーケンスは、コンピュータ可読メモリに出力されてもよい(例えば、診断用のスキャンに使用されるために)。
【0034】
例示的な実施形態においては、先に計算した設計結果に基づいて、異なる設計仕様データを用いて、設計手順におけるいくつか又は全てのステップを繰り返すことができるように、コンピュータに実行させる設計方法に最適化選択肢を提供することも可能である。
【0035】
例示的な実施形態の、これらの及び他の目的及び利点は、添付の図面と併せて、より完全に理解され、認識される。
【0036】
[実施形態の詳細説明]
図1に示すように、MRIシステムは、ガントリー10(概略断面で示される)と、ガントリー10に接続された、様々な関連システム構成要素20とを含む。少なくともガントリー10は、典型的には、シールドルーム内に配置される。図1に示す1つのMRIシステムの構造は、実質的に同軸の円筒形に配列された静磁場磁石B012と、Gx、Gy及びGzの傾斜磁場コイルセット14と、RFコイルアセンブリ16とを含む。この円筒形アレイの水平軸に沿って、寝台11によって支持された患者9の頭部を実質的に包囲するように、画像ボリューム(imaging volume)18が生成される。
【0037】
MRIシステムコントローラ22は、ディスプレイ24、キーボード26及びプリンタ28に接続された入力/出力ポートを有する。理解されるように、ディスプレイ24は、入力も提供するように、様々なタッチスクリーンであってもよい。
【0038】
MRIシステムコントローラ22は、MRIシーケンスコントローラ30に接続され、Gx、Gy及びGzの傾斜磁場コイルドライバ32、RF送信機34及び送信/受信スイッチ36(送信及び受信の両方に同一のRFコイルが使用される場合)を制御する。MRIシーケンスコントローラ30は、計算されたB1ロバスト及びT1ロバストMRIパルスシーケンスを実行するための、且つ/又は、MRIシーケンスコントローラ30の能力の範囲内で既に利用可能である他の(例えば、従来の)MRIパルスシーケンスを備えた、適切なプログラムコード構造38を含む。
【0039】
MRIシステム20は、処理された画像データをディスプレイ24へ表示するように、データプロセッサ42へ入力を提供するRF受信機40を含む。MRIデータプロセッサ42は、RF受信機40から獲得したMRIデータに基づいてMR画像を生成し、格納し、且つ/又は、表示するために、データ分析プログラムコード構造44へアクセスするように構成される。
【0040】
また、図1には、MRIシステムプログラムストア50の一般的説明が例示され、格納されたプログラムコード構造(例えば、B1ロバスト及びT1ロバストMRIパルスシーケンスを計算するための)が、MRIシステムの様々なデータ処理構成要素へアクセス可能なコンピュータ可読の記憶媒体に格納される。当業者が理解するように、プログラムストア50は、通常操作におけるそのような格納されたプログラムコード構造にもっとも差し迫った必要を有するコンピュータを処理するシステム20の異なるものに、少なくとも部分的に、分割され、直接接続されてもよい(すなわち、MRIシステムコントローラ22に通常格納され直接接続されるのではなく)。
【0041】
当業者が理解するように、図1は、後述する例示的な実施形態を実行するように修正された、典型的なMRIシステムの、非常に高度に簡略化されたブロック図である。システム構成要素は、「ボックス」の異なる論理集合に分割することができ、典型的に、多数のデジタル信号プロセッサ(DSP(Digital Signal Processing))と、マイクロプロセッサと、専用処理回路(例えば、高速A/D変換、高速フーリエ変換、アレイ処理等用)と、を備える。これらのプロセッサの各々は、典型的に、クロック「状態機械」であり、物理的データ回路は、各クロックサイクル(又は所定の数のクロックサイクル)の発生時に、1つの物理的状態から別の物理的状態に進行する。
【0042】
処理回路(例えば、CPU(Central Processing Unit)、レジスタ、バッファ、算術演算装置等)の物理的状態が、操作中に1つのクロックサイクルから別のクロックサイクルに漸次変化するだけではなく、関連データ記憶媒体(例えば、磁気記憶媒体のビット記憶場所)の物理的な状態が、そのようなシステムの操作中に1つの状態から別の状態に変換する。例えば、REFUSAL(拒否)のMRIパルスシーケンスの計算結果で、物理的記憶媒体のコンピュータ可読アクセス可能データ値記憶場所のアレイが、以前の状態(例えば、全て均一な「ゼロ」値又は全「1」値)から新しい状態へ変換し、そのようなアレイの物理的な場所の物理的状態は、現実世界の物理的事象及び状態を表すために、最小値から最大値の間を変動する(例えば、MRIデータを取得する際に使用されるべき、計算されたREFUSALのMRIパルスシーケンス)。当業者が理解するように、格納されたデータ値のそのようなアレイは、物理的構造を表し、且つそれを構成するが、コンピュータ制御プログラムコードの特定の構造がそうであるようにであり、それは、命令レジスタに順次ロードされ、且つMRIシステム20の1つ以上のCPUによって実行されるときに、操作状態の特定のシーケンスを発生させ、MRIシステム内を通って遷移させる。
【0043】
後述される例示的な実施形態は、MRIデータを取得するために、より多くのB1ロバスト及びT1ロバストなMRIマルチエコーパルスシーケンスを計算するための方法を提供する。
【0044】
上述したように、図2は、BASINGパルスシーケンスを示す。BASING RFパルス(以下、BASINGパルス)は、点線のボックス内に示されている。図2に示すように、各スペクトル選択BASINGパルスが連結された交互極性FIDクラッシャーパルス対(Gxの対又はGyの対)がある。ここで、スペクトル選択BASINGパルスは、水及び脂肪共鳴を反転するが、対象代謝物(例えば、1.9〜3.6ppm)をそのままにする。各BASINGパルスを取り囲む交互極性傾斜磁場クラッシャーパルスの対は、反転した磁化のみを役に立たなくする。これらの技術は、横方向磁化で作用するため、本質的にT1感度が悪い。BASINGパルスシーケンスは、非スペクトル選択の「従来の」180度リフォーカスパルスの間に挟まれたBASINGパルスを使用する。図2に示されたシーケンスは、NMRスペクトロスコピー用である(すなわち、MRIではない)。
【0045】
例示するREFUSALパルスの設計は、MRイメージングに含まれるために数種類の特徴を含む。スペクトル選択プロファイルは、水と脂肪との間に急激な遷移を含み、水のために、完全リフォーカスの帯域幅(BW)を最大限にし、一方、脂肪化学シフトの広い範囲のために、ゼロに近いリフォーカスを維持する(図6B)。図4、図5及び図6Bに示すように、REFUSALパルスは、広い範囲のB1脂肪抑制にわたって均一なふるまいを生成するように設計される。
【0046】
図6Aの波形は、例示的なRFエンベロープの大きさを、実部(実線)及び虚部(点線)及び正味の大きさ(一点鎖線)で示す。すなわち、例示的なREFUSALスペクトル選択位相変調RFパルスが、直交分の位相で設計される(すなわち、「虚部」は「実部」に対して+90度で位相シフトされている)。当業者が理解するように、RF NMR信号は、周知のラーモア方程式によって規定されたRF中心周波数を有し(例えば、0.5〜3.0テスラの典型的な磁場強度に対しては何十メガヘルツ)、一方、その直交分のエンベロープは、かなり遅い速度で変化する(例えば、およそ1キロヘルツ程度)。
【0047】
図6Bは、周波数領域における、例示的な実施形態のREFUSALパルス用の典型的なリフォーカスプロファイルを示す。ここで、複数の重なり合うプロットは、所望のB1フィールドの70%〜130%の範囲の性能を示す。図6Bに示すように、水の共鳴周波数の通過帯域について、70%及び80%のB1フィールド強度の場合に、依然として、所望の完全なリフォーカス効果よりわずかに少ないものを生成する(例えば、完全リフォーカス効果のおよそ90〜95%)。同時に、脂肪阻止帯域は、脂肪のリフォーカス効果の実質的に完全な阻止を維持するように、B1の変化の範囲全体にわたって効果的であることが見られる(例えば、2%未満のリフォーカス効果)。
【0048】
例示的な実施形態において、REFUSALパルスは、水通過帯域の半幅は、少なくとも1.5ppm〜5.0ppm未満であり、脂肪阻止帯域の半幅は、少なくとも1.5ppm〜5.0ppm未満であるように設計される。また、例示的な実施形態は、約2.2ppmの水通過帯域幅、及び、約2.4ppmの脂肪阻止帯域幅を使用している。各々は、それぞれの公称NMR共鳴周波数に実質的に中心がある。しかし、異なる帯域幅及び/又はこれらの帯域幅の異なる相対位置も使用することができることを理解しなければならない。例えば、依然として水及び脂肪のそれぞれの公称NMR共鳴周波数に中心がある通過及び阻止の帯域幅で、幾分狭い及び/又は広い通過及び/又は阻止の帯域幅を使用することは可能である。水通過帯域の中心が左へシフトする(すなわち、脂肪から離れる)場合には、及び、脂肪阻止帯域の中心が右へシフトする(すなわち、水から離れる)場合には、これらの帯域幅をかなり多く(例えば、最大およそ5ppmほどまで)調整することは可能である。
【0049】
これらのRF性能特徴を組み込むために、例示的なREFUSALパルスは、その後のエコートレインに使用される通常のイメージングパルスと比較して、比較的長い。この例では、REFUSALパルスは、持続時間が8.0msであった(その後の通常のイメージングリフォーカスパルスの持続時間が1.3msであることと比較される)。より長いエコー間隔(例えば、おそらく10ms以上)が所与の用途には望ましくない場合には、持続時間を短くするために、REFUSALパルスと設計トレードオフを行うことができる。あるいは、初期エコー間隔は、少量延長することができ(DIETとのものよりもかなり少ない)、正規の短いエコー間隔のトレインが続く。この例では、13.0msの初期エコー間隔2τ1が使用され、6.5msの2τ2エコー間隔のトレインが続く(図3参照)。
【0050】
REFUSALは、T1ロバストネス、B1ロバストネス、時間効率及びBASING/MEGAの化学シフト利点を含むが、MRイメージングをもたらす実施において、である。例えば、REFUSALシーケンスは、脂肪のT1パラメータに依存せず、したがって、TRインターバルに関係するプレパルスは必要ない。図8の表は、REFUSALを他の脂肪抑止技術と比較する。他のスペクトル選択技術と同様に、REFUSALは、潜在的なB0感度の欠点を有する。また、この例に示された特定の実施形態において、REFUSALは、第1のエコーデータの廃棄、幾分のエコーコヒーレンス損失の可能性、又は、拡散によるイソクロマット(isochromat)のディフェーズ(初期エコー間隔が延ばされる場合)、及び、REFUSALパルスのサイドローブからの磁化移動効果のため、幾分のSNRを失う。
【0051】
REFUSALは、DIET及びPASTA技術に概念的に類似するが、数種類の観点で異なっている。REFUSALのようなスペクトル選択方法は、B0不均一性によって影響され、一方、DIETは不感受性である。しかし、DIETは、脂肪のおよそT2で非常に長い初期エコースペース(例えば、〜40ms)を使用する。長い初期エコースペースは、最小のTE長を作り、したがって、DIETをT2強調イメージング用途に限定する。また、DIETのより長い初期エコースペース(〜40ms v.REFUSALの〜13ms)は、REFUSALに比較して、SNRを減少する。PASTAの非常に長い、低帯域励起パルスは、各エコートレインの少なくとも第1のエコーもまた長くすることを必要とする。また、PASTAの低スライス選択勾配振幅は、背景B0不均一性からのワーピングに感受性がありうるスライスを生成する。
【0052】
図3に示されるように、例示的な実施形態は、TRインターバルの初期励起パルス(例えば、90度ニューテートパルス)に続くパルストレインの第1の180度リフォーカスパルスとして、非空間選択ではあるが、スペクトル選択位相変調REFUSAL RFパルスを使用する。図3に示すように、初期90度ニューテートパルスは、非対称sincパルスエンベロープとして形状づけられる(比較的長いREFUSAL用に少し多い時間を得るように)。スライス選択傾斜磁場Gssは、初期ニューテートパルス中、及び、シーケンスの各「正規」180度リフォーカスパルス中、オンである。加えて、単極クラッシャーパルスを用いてFID応答を弱化する。
【0053】
リードアウト傾斜磁場パルスGROが、各エコー時間に加えられ、当業者が理解するように、初期プレ位相(巻き戻し)傾斜磁場パルスも使用される。
【0054】
図3の例示的な実施形態において、不規則なエコー間隔が使用される。例えば、初期エコー間隔は、2τ1(例えば、およそ13.0ms程度)であり、一方、その後のエコー間隔は、かなり短く2τ2(例えば、およそ半分程度、すなわち6.5ms)である。この特定の実施形態において、REFUSAL空間選択パルスは空間選択性ではなかったため、第1のエコーは、廃棄されることが好ましい(すなわち、REFUSALパルス中に、スイッチを「オン」にされる傾斜磁場はない)。REFUSALパルス直後に加えられた初期クラッシャーパルスを使用して、REFUSALパルスの通過帯域及び阻止帯域によって影響されない核種の位相コヒーレンスを破壊することが好ましい。
【0055】
MRIにおける脂肪抑制は、対象組織を脂肪信号が覆い隠す領域において良好な画像品質を達成するために重要である。高いB0フィールド(3T以上)で、数種類の物理的性質の変化が、脂肪抑制性能を悪化させる可能性がある。RFパルスエネルギーのSARは、B0の平方に比例する。このため、1.5Tに対する3Tの場合、SARは4倍増加する。これは、高磁場用の脂肪抑制においてSARを最大の関心事にする。B1フィールドもまた、より不均一になり、不正確に変動するニューテート角度を導き、したがって、イメージング視野にわたって、不均一な脂肪抑制を導く。さらに、大半の化学種では、縦緩和時間(T1)が実質的に増加し、これは、T1系脂肪抑制を分裂させ、撮像時間を長くする可能性がある。
【0056】
REFUSALシーケンスは、SAR効率がよく、時間効率がよく、B1及びT1における変動の影響に対してロバストである脂肪抑制の新規技術を提供する。
【0057】
この技術は、RFエコートレイン系シーケンス(例えば、FSE、FASE)上で作用する。図3に示すように、エコートレインの第1のRF励起パルスは、スペクトル選択性に作ることが好ましい。これは、非空間選択、スペクトル選択パルス(好適な実施形態)又は空間スペクトル複合選択パルス(代替の実施形態)のいずれかで、達成することができる。第1のRFパルスは、その後のエコートレインで発展するように完全にリフォーカスされる所望の共鳴(例えば、水)を可能にする。不要な共鳴(例えば、脂肪)は、最小限度にリフォーカスされ、FIDクラッシャーパルスによってディフェーズされ、結果として、その後のエコートレインで伝播することが「拒否される」。BASING/MEGAでは、RFパルスは所望の共鳴を回避するように設計され、したがって、クラッシャーパルスは異極性である。REFUSALでは、所望の共鳴は、リフォーカスされるべきものであり、したがって、単極クラッシャーパルス対が使用される。非空間選択実施形態では、第1のエコーは廃棄される。
【0058】
REFUSALは、CHESSの明らかな欠点を有さずに、CHESS様の画像コントラストを備えた画像を生成する(例えば、図4及び図5を参照)。
【0059】
図4に示すように、頸椎の画像用のREFUSAL及びCHESSのMRIシーケンスのB1感度は、著しく異なる。ここで、B1強度は、各技術で理想のニューテート角度の80%〜120%の間の範囲で変動する。不良脂肪飽和及び信号損失の区域は、CHESS画像で識別され、一方、REFUSAL技術は、B1変動のこの範囲にわたって均一な信号及び脂肪飽和を生成し続けた。
【0060】
同様に、図5は、下部腰領域におけるREFUSAL及びCHESSの画像のB1感度を比較する。ここで、再度、B1振幅は、各技術で理想のニューテート角度の80%〜120%の間の範囲で変動する。不良脂肪飽和及び信号損失の区域は、CHESS画像で識別され、一方、REFUSALは、B1変動のこの範囲全体にわたって均一な信号及び脂肪飽和を有する画像を生成する。
【0061】
男性志願者の下部腰が、東芝3T全身調査システムで走査された。REFUSAL画像は、下記のパラメータで得られた。すなわち、TE/TR=78/3000ms、ETL=27、マトリクス=256×256、FOV=28×28cm、1つの5mm厚スライス、読み出しBW=390Hz/ピクセルである。この例では、13.0msの初期エコー間隔の後に、6.5msエコー間隔のトレインが続いた。比較のために、CHESS脂肪抑制を備えたTE合致FSE画像が、同一のパラメータで得られた。B1不均一の範囲に対するREFUSALの応答を検査するために、REFUSALパルスのB1振幅の範囲で実験が繰り返された(理想の60%〜140%、10%ずつ)。CHESSプレパルスの振幅を調整することによって、CHESSデータで類似実験が実行された。B1=100%画像では、SNRは、両方の技術のために椎骨で測定された。
【0062】
図5に示された結果は、CHESSの明白なB1感度がない、CHESS様のコントラストを備えた画像を生成した。REFUSALのSNRは、CHESSよりも約10〜15%低かった。REFUSALは、B1の範囲にわたって均一な脂肪抑制を生成した。低B1では、CHESSは、脂肪を完全には抑制しなかった。高B1では、CHESSは不均一な脂肪抑制を生成し、オーバーチップCHESSパルスのサイドローブは、椎骨の水信号を減少した。
【0063】
非空間選択でありスペクトル選択のみであるリフォーカスパルスの例示的な実施形態の使用のため、REFUSALのこの例は、単一スライス又は3D取得に限定される。しかし、スペクトル選択第1パルスは、空間選択と交換することができ、マルチスライス取得を可能にする。
【0064】
図7は、REFUSALパルスシーケンスの例示的な実施形態を設計/実施するように適切にプログラムされた、コンピュータシステムに実装することができるコンピュータプログラムのコード構造のブロック図を例示する。
【0065】
例えば、RFエコートレイン設計手順は、700及び702にて入力されてもよい。ユーザ設計仕様を入力してもよく、又は、格納されたデフォルト設計仕様を取得してもよい。
【0066】
例えば、下記のパラメータを、設計仕様のパラメータとして入力してもよい。
・課せられたパルス対称:同相(「実」又は「x」)成分は、中心に対して対称である。異相(「虚」又は「y」)成分は、非対称である。
・パルス長=8ms
・水用「リフォーカス帯」の目標帯域幅=280Hz=3Tで2.188ppm(すなわち、共鳴のいずれかのサイドで140Hz=1.094ppm)
・水と脂肪との間の「無関心」遷移ゾーンの目標帯域幅=135Hz=3Tで1.055ppm
・脂肪用「非リフォーカス帯」の目標帯域幅=305Hz=3Tで2.383ppm
・所望のプロファイルが望ましい、相対的な全体B1レベルの範囲=名目上正確な値の85%〜145%
・最大許容パルス振幅=700Hz=16.4マイクロテスラ
【0067】
試行錯誤による調整の後、これらの値に到達した。これらの値は、最適なセットでなくてもよいが、使用可能なパルスを発生させた。
【0068】
704において、「REFUSAL」180度スペクトル選択(場合により位相変調)RFパルスが計算される(例えば、直交位相成分の場合は、おそらくスペクトル選択の最適化技術(非特許文献22)を用いることができる)。
【0069】
706において、704にて計算済の「REFUSAL」180度スペクトル選択RFパルスを用いて、脂肪(又は、所望の他の種)抑制MRIパルスシーケンスが生成される(例えば、従来の180度リフォーカスパルス、位相エンコード傾斜磁場パルス、スピンエコー用のリードアウト傾斜磁場パルス等のその後のトレインを使用する)。
【0070】
708において、今計算されたMRIパルスシーケンスを使用したシミュレート結果が提供され、現在の結果をレビューした後、更なる最適化のための選択が710にて続く。例えば、708において、今計算されたMRIパルスシーケンスを使用して出力したシミュレート画像が、適切又は最適であると思われない場合には、710において、入力された設計仕様を修正する(712)ための選択がなされてもよく、704へ制御を戻し、そこで別の「REFUSAL」180度スペクトル選択RFパルスが計算され、処理手順が繰り返される。当然ながら、ステップ708及び710は省略されてもよく、且つ/又は、シミュレート結果のレビュー及び入力された設計仕様を修正するための選択は、必要な場合、完全に自動化されてもよい。
【0071】
とにかく、MRIパルスシーケンスの設計が完了するときには、714において、計算された脂肪(又は他の種)抑制MRIパルスシーケンスは、診断用のMRI撮像で用いるため、且つ/又は、表示/印刷等のために、メモリに出力される。場合により、結果として得られたパルスシーケンス記述の出力を含む。そして、設計手順は、716で終了してもよい。
【0072】
REFUSALパルスのスペクトル選択特性は、異なる化学種のために、リフォーカスを最大限にし/最小限にすることができる。例えば、REFUSALパルスは、特定の関心代謝物を選択式にリフォーカスし、水及び/又は脂肪をリフォーカスすることを回避するように、設計され得る。
【0073】
エコートレインに2つ以上のREFUSALパルスを使用することができる。しかし、例示的な実施形態において、脂肪抑制の目的には、1つのパルスで十分である。
【0074】
2つ以上のREFUSALパルスが使用される場合には、異なるパルス形状を使用することによって、又は、単に各パルスの中心周波数及び/又は帯域幅を調整することによって、各パルスのスペクトル選択プロファイルを修正することができる。
【0075】
REFUSALパルス(単/複)を、均一なエコー間隔を備えて又は備えずに、エコートレイン内に組み込むことができる。
【0076】
スペクトル選択、非空間選択REFUSALパルスは、スペクトル選択及び空間選択パルスと置き換えることができる(例えば、二項パルス)。
【0077】
REFUSALパルスは、エコートレイン内のどのポイントにも挿入することができる。しかし、最大に脂肪を抑制するには、第1のリフォーカス位置が理想である。
【0078】
REFUSALは、T1ロバスト/B1ロバスト、SAR効率及び時間効率、及び、BASING/MEGAの化学シフトの利点を含むが、MRIをもたらす実施において、である。図8の表は、利点及び欠点に関して、REFUSALと他の脂肪抑制技術とを比較する。
【0079】
REFUSALは、横方向磁化に働く(励起パルスによって既に横方向平面内にニューテートした)。このようにして、REFUSALは、全体T1値、化学種内のT1変化、T1上の静磁場B0の強さの効果、又は、設計パラメータのユーザ選択によって影響されない(SPIR、STIR、SPAIR及びCHESSの場合に、ニューテート角度又はTI)。
【0080】
REFUSALは、180度で、又は、その近傍で作動するB1ロバストRFパルスを使用する。したがって、REFUSALは、B1感度が悪い(図4及び図5に例示されるように)。
【0081】
REFUSALは、プレパルスを使用したり、余分なデータ(Dixon又はIDEAL方法等)を取得したりする必要はない。したがって、時間効率がよい。
【0082】
REFUSALは、余分なSARをシーケンスへ提供するプレパルスを含まない。
【0083】
REFUSALパルスを適切に設計することによって、どのような化学種のスペクトル範囲を弱化するためにも、REFUSALを使用することができる。
【0084】
REFUSALは、特別な再構成アルゴリズム又は制限事項に関与しない。取得されたMRIデータは、従来の方法を用いて、直接再構成され、処理されることができる。
【0085】
REFUSALは、高い最小TE(DIET、PASTA等)、高い最小スライス厚(スペクトル空間励起等)、又は、TEの範囲(Dixon、IDEAL等)等のシーケンス制限事項を課さない。
【0086】
他のスペクトル選択技術同様、REFUSALは、潜在的なB0感度の欠点を有する。MRシステムの中心周波数が適切に調整されない場合には、又は、背景感受性の変化が充分に局所静磁場B0をワープする場合には、スペクトル選択RFパルスは、意図されたものでないスピンを励起し/リフォーカスする可能性がある。これは、結果として、不良性能になり、すなわち、水の部分的抑制及び脂肪の完全抑制になる可能性がある。
【0087】
また、不均一なエコー間隔を備えた例示的な実施形態において、REFUSALは、(a)第1のエコーデータの廃棄、(b)スペクトル選択パルスに関与するいくつかの刺激を受けたエコーコヒーレンス経路の損失、(c)拡散によるイソクロマットディフェーズ(初期エコー間隔が延ばされる場合)、及び、(d)REFUSALパルスのサイドローブからの磁化移動効果(本願に記載されたREFUSALパルス設計の実施形態において)のため、少量のSNRを失う。
【0088】
REFUSALは、RFエコートレイン系パルスシーケンス(例えば、FSE、FASE)に限定される。スペクトル選択性であるが空間選択性ではないパルスを備えたより簡単な好適な実施形態では、3D(又は単スライス2D)アプリケーションに制限される。
【0089】
REFUSALは、化学種が信号をMR画像に提供することを選択式に弱化する目的のためにエコートレイン内でスペクトル選択パルスを含む。REFUSALシーケンスは、相対的なB1値の範囲にわたって、当該の所望の種(例えば、水)用にほぼ一定の最大リフォーカス、及び、当該の不要な種(例えば、脂質)用にほぼ一定の最小リフォーカスを送達するスペクトル選択リフォーカスパルスを使用する。
【0090】
上記の例示的な実施形態は、やや詳細に記載されているが、本発明の1つ以上の新規で有利な特徴を依然として保持しながら、これらの例示的な実施形態において多くの変更及び修正を行ってもよいことを当業者は理解する。したがって、全てのそのような変更及び修正は、添付した特許請求の範囲内に含まれると意図される。
【符号の説明】
【0091】
34 RF送信機
40 受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータで実行される磁気共鳴イメージング方法であって、
画像が形成される対象物の少なくとも一部について、第1の核種及び第2の核種を励起するRF(Radio Frequency)パルスを印加する初期パルス工程と、
励起された前記第1の核種及び前記第2の核種の内、前記第1の核種を選択的にリフォーカスするRFパルスを印加する第1のリフォーカスパルス工程と、
前記第1の核種及び前記第2の核種をリフォーカスするRFパルスを印加するとともに傾斜磁場パルスを印加する第2のリフォーカスパルス工程と、
前記第1のリフォーカスパルス工程によって印加されたRFパルス、及び、前記第2のリフォーカスパルス工程によって印加されたRFパルスによって前記第1の核種から発生したエコー信号のトレインを収集する収集工程と
を含んだことを特徴とする磁気共鳴イメージング方法。
【請求項2】
前記第1のリフォーカスパルス工程によって印加されたRFパルスによって発生したエコー信号は、画像の生成に用いられないことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング方法。
【請求項3】
前記初期パルス工程によるRFパルスの印加と、前記第1のリフォーカスパルス工程によって印加されたRFパルスによるエコー信号の発生との間の時間間隔は、その後に発生した、前記第2のリフォーカスパルス工程によって印加されたRFパルスによるエコー信号間の時間間隔に比較して長いことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージング方法。
【請求項4】
前記第1のリフォーカスパルス工程によって印加されるRFパルスは、位相変調されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング方法。
【請求項5】
前記第1のリフォーカスパルス工程によって印加されたRFパルスによって発生したエコー信号、及び、前記第2のリフォーカスパルス工程によって印加されたRFパルスによって発生したエコー信号を含むエコートレインにおけるエコー信号間に、単極の傾斜磁場FID(Free Induction Decay)クラッシャーパルスが印加されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング方法。
【請求項6】
前記第1の核種は水であり、前記第2の核種は脂肪又は脂質であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング方法。
【請求項7】
前記第1のリフォーカスパルス工程によって印加されるRFパルスは、
(a)水通過帯域の半幅は、少なくとも1.5ppm〜5.0ppm未満であり、
(b)脂肪阻止帯域の半幅は、少なくとも1.5ppm〜5.0ppm未満である
ように設計されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング方法。
【請求項8】
前記第1のリフォーカスパルス工程によって印加されるRFパルスは、略8ms持続し、位相変調され、
(a)水通過帯域の半幅は、略2.2ppmであり、
(b)脂肪阻止帯域の半幅は、略2.4ppmである
ように設計されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング方法。
【請求項9】
前記第1のリフォーカスパルス工程によるRFパルスの印加中に印加される傾斜磁場パルスは無いことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング方法。
【請求項10】
前記第1のリフォーカスパルス工程によるRFパルスの印加中、少なくとも1つの傾斜磁場パルスを印加することによって空間選択にすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング方法。
【請求項11】
RF送信機と受信機とを備え、
前記RF送信機は、
画像が形成される対象物の少なくとも一部について、第1の核種及び第2の核種を励起するRFパルスを印加する初期パルス印加部と、
励起された前記第1の核種及び前記第2の核種の内、前記第1の核種を選択的にリフォーカスするRFパルスを印加する第1のリフォーカスパルス印加部と、
前記第1の核種及び前記第2の核種をリフォーカスするRFパルスを印加するとともに傾斜磁場パルスを印加する第2のリフォーカスパルス印加部と、
前記第1のリフォーカスパルス印加部によって印加されたRFパルス、及び、前記第2のリフォーカスパルス印加部によって印加されたRFパルスによって前記第1の核種から発生したエコー信号のトレインを収集する収集部とを有し、
前記受信機は、
前記エコー信号のトレインを取得し、記憶部に格納する、及び/又は、前記エコー信号のトレインを取得し、取得したエコー信号のトレインを用いて、前記第1の核種の画像を生成することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項12】
前記第1のリフォーカスパルス印加部によって印加されたRFパルスによって発生したエコー信号は、画像の生成に用いられないことを特徴とする請求項11に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項13】
前記初期パルス印加部によるRFパルスの印加と、前記第1のリフォーカスパルス印加部によって印加されたRFパルスによるエコー信号の発生との間の時間間隔は、その後に発生した、前記第2のリフォーカスパルス印加部によって印加されたRFパルスによるエコー信号間の時間間隔に比較して長いことを特徴とする請求項11又は12に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項14】
前記第1のリフォーカスパルス印加部によって印加されるRFパルスは、位相変調されることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項15】
前記第1のリフォーカスパルス印加部によって印加されたRFパルスによって発生したエコー信号、及び、前記第2のリフォーカスパルス印加部によって印加されたRFパルスによって発生したエコー信号を含むエコートレインにおけるエコー信号間に、単極の傾斜磁場FID(Free Induction Decay)クラッシャーパルスが印加されることを特徴とする請求項11〜14のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項16】
前記第1の核種は水であり、前記第2の核種は脂肪又は脂質であることを特徴とする請求項11〜15のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項17】
前記第1のリフォーカスパルス印加部によって印加されるRFパルスは、
(a)水通過帯域の半幅は、少なくとも1.5ppm〜5.0ppm未満であり、
(b)脂肪阻止帯域の半幅は、少なくとも1.5ppm〜5.0ppm未満である
ように設計されることを特徴とする請求項11〜16のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項18】
前記第1のリフォーカスパルス印加部によって印加されるRFパルスは、略8ms持続し、位相変調され、
(a)水通過帯域の半幅は、略2.2ppmであり、
(b)脂肪阻止帯域の半幅は、略2.4ppmである
ように設計されることを特徴とする請求項11〜17のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項19】
前記第1のリフォーカスパルス印加部によるRFパルスの印加中に印加される傾斜磁場パルスは無いことを特徴とする請求項11〜18のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項20】
前記第1のリフォーカスパルス印加部によるRFパルスの印加中、少なくとも1つの傾斜磁場パルスを印加することによって空間選択にすることを特徴とする請求項11〜18のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項21】
画像が形成される対象物の少なくとも一部について、第1のNMR(Nuclear Magnetic Resonance)核種及び第2の核種を励起するRF(Radio Frequency)パルスを印加する初期パルスステップと、
励起された前記第1の核種及び前記第2の核種の内、前記第1の核種を選択的にリフォーカスするRFパルスを印加する第1のリフォーカスパルスステップと、
前記第1の核種及び前記第2の核種をリフォーカスするRFパルスを印加するとともに傾斜磁場パルスを印加する第2のリフォーカスパルスステップと、
前記第1のリフォーカスパルスステップによって印加されたRFパルス、及び、前記第2のリフォーカスパルスステップによって印加されたRFパルスによって前記第1の核種から発生したエコー信号のトレインを収集する収集ステップと
をコンピュータに実行させるための磁気共鳴イメージングプログラム。
【請求項22】
第1の核種用の通過帯域幅、及び、第2の核種用の阻止帯域幅を規定する設計仕様データを受け付ける受付部と、
前記第1の核種を選択式に励起し、前記第2の核種の励起を回避するスペクトル選択180度リフォーカスパルスを計算する計算部と、
計算された前記スペクトル選択180度リフォーカスパルスを用いて、MRIパルスシーケンス全体を規定する規定部と、
規定された前記MRIパルスシーケンスを、記憶部へ出力する出力部と
を備えた設計装置。
【請求項23】
前記設計装置は、規定された前記MRIパルスシーケンスをシミュレートし、前記受付部、前記計算部、及び前記規定部による処理を繰り返すことで、最適化を行うことを特徴とする請求項22に記載の設計装置。
【請求項24】
前記第1の核種は水であり、前記第2の核種は脂肪又は脂質であることを特徴とする請求項22又は23に記載の設計装置。
【請求項25】
前記計算部は、
(a)水通過帯域の半幅は、少なくとも1.5ppm〜5.0ppm未満であり、
(b)脂肪阻止帯域の半幅は、少なくとも1.5ppm〜5.0ppm未満である
ように前記スペクトル選択180度リフォーカスパルスを計算する請求項22〜24のいずれか一つに記載の設計装置。
【請求項26】
前記計算部は、略8ms持続し、位相変調され、
(a)水通過帯域の半幅は、略2.2ppmであり、
(b)脂肪阻止帯域の半幅は、略2.4ppmである
ように前記スペクトル選択180度リフォーカスパルスを計算する請求項22〜25のいずれか一つに記載の設計装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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