説明

磁気共鳴イメージング装置及び医用画像サーバ

【課題】より簡易かつ安価に装置データを管理することが可能な磁気共鳴イメージング装置を提供することである。
【解決手段】磁気共鳴イメージング装置は、記憶装置、データ送信部、装置データ取得部及びイメージング手段を備える。記憶装置は、装置ごとに固有の装置データを保存する。データ送信部は、前記装置データをDICOM規格のデータに変換してネットワークを介して所定の送信先に送信する。装置データ取得部は、前記送信先に前記DICOM規格のデータに変換された前記装置データの送信を要求し、前記送信先から送信された前記DICOM規格の前記装置データを取得して前記記憶装置に保存可能なデータ構造で書き込む。イメージング手段は、前記記憶装置に書き込まれた前記装置データに基づいて磁気共鳴イメージングを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング(MRI: Magnetic Resonance Imaging)装置及び医用画像サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
MRIは、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数の高周波(RF: radio frequency)信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生する核磁気共鳴(NMR: nuclear magnetic resonance)信号から画像を再構成する撮像法である。
【0003】
MRI装置では、より質の高い画像を撮像するために、設置場所等の条件に応じたハードウェア及びソフトウェアに関する様々なパラメータの調整が必要である。例えば、MRI装置の据付時には、ネットワークのIP (Internet Protocol)アドレスや傾斜磁場による渦電流を補正するための調整データ等のパラメータが据付データとしてMRI装置において設定される。
【0004】
また、据付後においても最適な画像を取得するためには、MRI装置の設置環境に応じた特有の調整が必要である。例えば、RFパルスの中心周波数等の撮像パラメータは随時調整される。そして、据付データや撮像パラメータ等のMRI装置ごとに固有の装置データは、MRI装置に備えられるハードディスクに保存される。
【0005】
また、サービスエンジニア等の装置管理者は、必要に応じてMRI装置の装置データを光磁気ディスク(MO: Magneto Optical disk), CD (Compact Disc), DVD (Digital Versatile Disk)等の外部記憶装置にバックアップとして保存することができる。そして、MRI装置が故障した際にバックアップされた装置データを用いることによって、MRI装置の復旧作業を支援することができる。
【0006】
更に、MRI装置において自動的に測定されたデータや手動で入力されたデータをサービスセンタにネットワークを介して転送し、サービスセンタに設置された専用サーバに保存する技術も考案されえている。この技術によれば、装置管理者が管理対象となるMRI装置の装置データを専用サーバに転送することによって、複数のMRI装置のデータを専用サーバにて一元管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−260039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
MRI装置の装置データは、より安価かつ簡易な方法で管理することが望まれる。
【0009】
また、MRI装置の装置データは、設置環境に応じて随時更新される。従って、MRI装置が故障した場合には、より新しい装置データに基づいてMRI装置の復旧を行うことが望まれる。すなわち、MRI装置が故障した場合には、故障直前におけるMRI装置の状態を再現することが重要である。
【0010】
しかしながら、バックアップされたMRI装置の装置データが最新のデータではなく、現在の設置環境に対応していない場合には、サービスエンジニアが再度MRI装置の据付調整を実行することとなる。この場合、MRI装置の据付調整に時間を要し、MRI装置の復旧までのダウンタイムが長引くという問題がある。
【0011】
本発明は、より簡易かつ安価に装置データを管理することが可能な磁気共鳴イメージング装置及び医用画像サーバを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明の他の目的は、より新しい装置データに基づいて装置状態を再現することが可能な磁気共鳴イメージング装置及び医用画像サーバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、記憶装置、データ送信部、装置データ取得部及びイメージング手段を備える。記憶装置は、装置ごとに固有の装置データを保存する。データ送信部は、前記装置データをDICOM規格のデータに変換してネットワークを介して所定の送信先に送信する。装置データ取得部は、前記送信先に前記DICOM規格のデータに変換された前記装置データの送信を要求し、前記送信先から送信された前記DICOM規格の前記装置データを取得して前記記憶装置に保存可能なデータ構造で書き込む。イメージング手段は、前記記憶装置に書き込まれた前記装置データに基づいて磁気共鳴イメージングを行う。
【0014】
また、本発明の実施形態に係る医用画像サーバは、データ受信部、記憶装置及びデータ送信部を備える。データ受信部は、DICOM規格のデータに変換された磁気共鳴イメージング装置ごとに固有の装置データを、ネットワークを介して受信する。記憶装置は、受信した前記DICOM規格の装置データを保存する。データ送信部は、前記DICOM規格の装置データの送信要求及び送信先情報を受信した場合に、前記記憶装置から検索して前記送信先情報で特定される送信先に前記DICOM規格の装置データを送信する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るMRI装置及び医用画像サーバの全体構成図。
【図2】図1に示すMRI装置及び医用画像サーバにおける動作及びデータの送受信を示すシーケンスチャート。
【図3】図1に示すMRI装置と医用画像サーバとの間で送受信されるDICOM通信規格のデータ内容を示す図。
【図4】図1に示す装置データ作成部により作成されるDICOM通信規格の装置データのデータ構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係るMRI装置及び医用画像サーバについて添付図面を参照して説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態に係るMRI装置及び医用画像サーバの全体構成図である。
【0018】
MRI装置1は、ネットワーク2を介して医用画像サーバ3と接続される。MRI装置1は、撮像系4、データ処理系5、画像データベース6、データ送受信部7、装置データ作成部8、装置データ取得部9、入力装置10及び表示装置11を有する。
【0019】
撮像系4は、被検体からNMR信号を収集する機能を有する。そのために撮像系4は、静磁場用磁石、傾斜磁場コイル及びRFコイル等のハードウェアと、ハードウェアを制御する静磁場電源、傾斜磁場電源、RF送信器、RF受信器、シーケンスコントローラ及びコンピュータ等の制御機器で構成される。
【0020】
データ処理系5は、コンピュータ及び回路で構成することができる。データ処理系5は、撮像系4にて収集されたNMR信号に画像再構成処理及び必要な画像処理を施すことによりMR画像データを生成する機能を有する。画像データベース6は、データ処理系5により生成されたMR画像データを保存する記憶装置である。
【0021】
また、撮像系4、データ処理系5及びMRI装置1の他の様々な部位の任意の位置には、任意の数の装置データ保存部12が記憶装置として設けられる。装置データ保存部12には、対応するハードウェア又はソフトウェアについて設定又は調整された各種パラメータがMRI装置ごとに固有の装置データとして保存される。そして、各装置データ保存部12に保存された装置データに基づいて、撮像系4及びデータ処理系5によってMRイメージングを行うことができる。
【0022】
装置データの例としては、RFパルスの中心周波数等のシーケンスパラメータ、渦電流等による傾斜磁場の歪の補正データ、シムコイルの調整データを始めとする撮像条件に関する調整データの他、MRI装置1のIPアドレス、DICOM (digital imaging and communication in medicine)通信のID等の設定情報、オペレーターのリスト等のMRI装置ごとに固有の設定データが挙げられる。
【0023】
データ送受信部7は入力装置10から画像データの識別情報及び送信先情報とともに送信指示を受けた場合に、識別情報で特定される画像データを画像データベース6から取得してDICOM通信規格の画像データに変換する機能と、DICOM通信規格の画像データを医用画像サーバ3等の送信先情報で特定される送信先にネットワーク2を介して送信する機能とを有する。また、データ送受信部7は入力装置10から画像データの識別情報及び送信元情報とともに画像データの取得指示を受けた場合に、識別情報で特定される画像データの送信要求を送信元情報で特定される送信元にネットワーク2を介して送信する機能、ネットワーク2を介して送信されたDICOM通信規格の画像データを受信して画像データベース6に保存可能なデータ構造を有する画像データに変換する機能及び画像データベース6に保存可能なデータ構造を有する画像データを画像データベース6に書き込む機能を有する。
【0024】
装置データ作成部8は、入力装置10から装置データの送信指示を受けた場合に、各装置データ保存部12から装置データを取得してDICOM通信規格の画像データとして送信用の装置データを作成する機能と、作成したDICOM通信規格の装置データを送信先情報とともにデータ送受信部7に与えることによって送信先情報で特定される所定の送信先に装置データをDICOM画像データとして送信させる機能とを有する。
【0025】
装置データをDICOM通信規格の画像データに変換する方法としては、装置データを画像データの画像タグに対応するデータに変換する方法と、装置データを画像データのプライベートタグに対応するデータに変換する方法が挙げられる。装置データを画像データの画像タグ情報に変換する場合には、患者ID等の属性情報を記録するタグに画像データが装置データであることを示す情報を記録することができる。また、装置データを画像データのプライベートタグ情報に変換する場合には、装置データを記録する専用のタグを定義することができる。
【0026】
装置データの送信タイミングは、入力装置10からトリガとして送信指示が装置データ作成部8に入力されたタイミングとすることができるが、他のトリガを設定することもできる。例えば、撮像系4やデータ処理系5を構成するコンピュータを起動したタイミングで装置データを所定の送信先に送信したり、所定の日時に定期的に装置データを所定の送信先に送信するようにすることもできる。装置データの送信タイミングについては、入力装置10から必要な情報を装置データ作成部8に入力して設定することができる。
【0027】
また、装置データ作成部8は、入力装置10から画像データの送信指示を取得し、各装置データ保存部12から装置データを取得してDICOM通信規格の画像データにプライベートタグ情報として添付可能なDICOM通信規格の装置データを作成する機能と、DICOM通信規格の装置データを送信指示されたDICOM通信規格の画像データにプライベートタグ情報として添付する機能を有する。
【0028】
装置データ取得部9は、入力装置10から装置データの取得指示を受けた場合に、DICOM通信規格のデータに変換された装置データが含まれる画像データの送信要求をデータ送受信部7に与えることによって医用画像サーバ3に送信させる機能、医用画像サーバ3から送信されたDICOM通信規格の画像データに含まれる装置データをデータ送受信部7から取得して各装置データ保存部12に保存可能なデータ構造を有する装置データに変換する機能、各装置データ保存部12に保存可能なデータ構造を有する装置データをそれぞれ各装置データ保存部12に書き込む機能を有する。
【0029】
また、必要に応じて装置データ取得部9には、装置データが画像タグ情報又はプライベートタグ情報として記録されている画像データの検索要求及びリスト情報の送信要求をデータ送受信部7に与えることによって医用画像サーバ3に送信させる機能と、医用画像サーバ3から検索結果として送信された画像データのリスト情報をデータ送受信部7から取得して表示装置11に表示させる機能とが備えられる。この場合、表示装置11に表示されたリスト情報を参照して入力装置10から装置データ取得部9に入力された画像データの選択情報を、画像データの送信要求として装置データ取得部9がデータ送受信部7に与えるようにすることができる。
【0030】
一方、画像データをリストから選択せずに医用画像サーバ3に送信要求する場合には、保存された日時が最新の画像データ又は特定の日時に保存された画像データが送信されるように、装置データ取得部9が画像データの送信要求をデータ送受信部7に与えるようにすることができる。或いは、装置データが記録されている画像データの識別情報を装置データ取得部9が入力装置10から取得して、識別情報で特定される画像データの送信要求を装置データ取得部9がデータ送受信部7に与えるようにしてもよい。
【0031】
医用画像サーバ3は、データベース制御部13及びDICOM画像データベース14を有する。また、データベース制御部13は、装置データリスト作成部13Aを有する。
【0032】
データベース制御部13は、ネットワーク2を介して送信されたDICOM通信規格の画像データをDICOM画像データベース14に書き込む機能と、ネットワーク2を介して送信された画像データの識別情報、送信要求及び送信先情報を受信して、識別情報で特定される画像データをDICOM画像データベース14から取得して送信先情報で特定される送信先にネットワーク2を介して送信する機能を有する。
【0033】
また、装置データリスト作成部13Aは、ネットワーク2を介して送信された、装置データが記録されている画像データのリスト情報の送信要求及び送信先情報を受信した場合に、DICOM画像データベース14を検索して装置データが記録されている画像データのリスト情報を作成する機能と、作成したリスト情報を送信先情報で特定される送信先にネットワーク2を介して送信する機能とを有する。
【0034】
装置データが画像データの画像タグ情報に変換されている場合には、患者ID等の属性情報を記録するタグに画像データが装置データであることを示す情報が記録されているか否かにより装置データが記録されている画像データをDICOM画像データベース14から検索することができる。また、装置データが画像データのプライベートタグ情報に変換されている場合には、プライベートタグとして装置データに対応する専用のタグがあるか否かを調べることによって装置データが記録されている画像データをDICOM画像データベース14から検索することができる。
【0035】
DICOM画像データベース14は、DICOM通信規格の画像データを保存する記憶装置である。
【0036】
次にMRI装置1及び医用画像サーバ3の動作及び作用について説明する。
【0037】
図2は、図1に示すMRI装置1及び医用画像サーバ3における動作及びデータの送受信を示すシーケンスチャートであり、図3は、図1に示すMRI装置1と医用画像サーバ3との間で送受信されるDICOM通信規格のデータ内容を示す図である。
【0038】
まずステップS1において、MRI装置1の各装置データ保存部12に、各種ハードウェア又はソフトウェアについての装置データが保存される。ハードウェア又はソフトウェアの機能によっては、装置データが設定される度に自動的に装置データ保存部12に保存される。また、MRI装置1の据付時においてサービスエンジニア等の管理者によって調整される据付データのように変更頻度の低い装置データについては、管理者が入力装置10を操作することによって、必要な装置データを装置データ保存部12に手動で保存することができる。
【0039】
次にステップS2において、管理者は、所望のタイミングで入力装置10を操作することによって装置データの医用画像サーバ3への送信指示を装置データ作成部8に入力することができる。
【0040】
そうすると、ステップS3において、装置データ作成部8は、各装置データ保存部12から装置データを取得してDICOM通信規格の画像データとして送信用の装置データを作成する。すなわち装置データ作成部8は、各装置データ保存部12から取得した装置データをDICOM通信規格の画像データに変換する。
【0041】
図4は、図1に示す装置データ作成部8により作成されるDICOM通信規格の装置データのデータ構造を示す図である。
【0042】
図4(A)は、装置データをDICOM通信規格の画像データのタグに埋め込むためのデータフォーマットを表している。すなわち図4(A)に示すようにDICOM通信規格のデータの構造は、データ長を表すデータ領域にデータ内容を表すデータ領域が続き、かつデータ内容としてファイル名を表すデータにファイルの内容となる実データが続くデータレコードをデータ通信の単位とする構造である。
【0043】
図4(B)は、図4(A)に示すデータ構造に変換された複数の装置データの例を示している。図4(B)の冒頭に示すように、RFパルスの中心周波数を保存するCF.dataという装置データのファイルに61.1234567という値を記録した装置データのデータレコードを作成することができる。同様に、渦電流の調整データ、パルスシーケンスの調整データ、IPアドレス等のネットワーク2の設定データ、病院名等の装置データをDICOM通信規格のデータレコードに変換することができる。
【0044】
このように変換された装置データは、DICOM通信規格の画像データの画像タグ又はプライベートタグに記録することができる。ここでは、画像タグに装置データが記録されるものとする。その場合、図3の画像データD2に示すように、画像タグに装置データ保存部12から取得された装置データの情報が記録される。
【0045】
尚、装置データ作成部8は、患者ID等の属性情報を記録するタグに画像データが装置データであることを識別するための文字列等の情報を記録することができる。すなわち、画像データには、実際の診断画像データが記録されていないため患者ID等の属性情報がなく、属性情報を示すタグを装置データであることを示す情報を記録するためのタグとして利用することができる。
【0046】
次にステップS4において、装置データ作成部8は、医用画像サーバ3を送信先としてDICOM通信規格の装置データをデータ送受信部7に与える。これにより、DICOM通信規格の装置データがデータ送受信部7からネットワーク2を介して医用画像サーバ3に送信される。
【0047】
次にステップS5において、医用画像サーバ3のデータベース制御部13は、ネットワーク2を介して送信されたDICOM通信規格の装置データを受信し、画像データとしてDICOM画像データベース14に書き込む。これにより、MRI装置1の装置データは、医用画像サーバ3のDICOM画像データベース14において画像データとして保存される。
【0048】
一方、MRI装置1では、所望のタイミングでイメージングを行うことができる。その場合には、ステップS6において、撮像系4及びデータ処理系5により画像データが収集される。すなわち、撮像系4により被検体からNMR信号が収集される。そして、データ処理系5は、撮像系4にて収集されたNMR信号に画像再構成処理及び必要な画像処理を施すことによりMR画像データを生成する。データ処理系5により生成されたMR画像データは、画像データベース6に書き込まれて保存される。
【0049】
また、ステップS7において、イメージングに用いられたRFパルスの中心周波数等の撮像パラメータを含む装置データがMRI装置1の各装置データ保存部12に保存される。
【0050】
更に、ユーザは所望のタイミングでイメージングによって得られた画像データを医用画像サーバ3に送信することができる。その場合には、ステップS8において、ユーザは入力装置10を操作することによって送信対象となる画像データの識別情報及び医用画像サーバ3への送信指示をデータ送受信部7に入力する。
【0051】
そうすると、ステップS9において、装置データ作成部8は、入力装置10から画像データの送信指示をトリガとして取得し、各装置データ保存部12から装置データを取得してDICOM通信規格のデータ構造を有する装置データに変換する。一方、データ送受信部7は、識別情報で特定される画像データを画像データベース6から取得してDICOM通信規格の画像データに変換する。そして、装置データ作成部8は、DICOM通信規格のデータ構造を有する装置データを、データ送受信部7によって変換されたDICOM通信規格の画像データのプライベートタグに書き込む。
【0052】
この結果、図3の画像データD1に示すように、画像タグに画像データベース6から取得されたMR画像データが記録され、プライベートタグに装置データ保存部12から取得された装置データの情報が記録されたDICOM通信規格の画像データが作成される。すなわち、画像データの送信指示が入力装置10からデータ送受信部7に入力されると、自動的に画像データがDICOM通信規格の画像タグに対応するデータに変換される一方、装置データがプライベートタグに対応するデータに変換される。この結果、プライベートタグに装置データが記録されたDICOM通信規格の画像データが生成される。
【0053】
次にステップS10において、データ送受信部7は、装置データをプライベートタグに添付したDICOM通信規格の画像データを医用画像サーバ3に送信する。
【0054】
次にステップS11において、医用画像サーバ3のデータベース制御部13は、ネットワーク2を介して送信されたDICOM通信規格の画像データを受信し、DICOM画像データベース14に書き込む。これにより、MRI装置1の装置データを含む画像データが医用画像サーバ3のDICOM画像データベース14に保存される。
【0055】
医用画像サーバ3に装置データが画像データとして、或いは画像データの付帯情報として保存されると、MRI装置1の故障時など必要な時点においてMRI装置1側で装置データを医用画像サーバ3から取得してMRI装置1の装置状態を復元することが可能となる。
【0056】
その場合、ステップS12において、ユーザによる操作により入力装置10から装置データの取得指示が装置データ取得部9に入力される。そうすると、装置データ取得部9は、装置データが含まれる画像データの送信要求をデータ送受信部7に与える。このため、データ送受信部7は、装置データが含まれる画像データの送信要求を、ネットワーク2を介して医用画像サーバ3に送信する。
【0057】
この場合、装置データが含まれる画像データを特定するための識別情報や保存日時情報を送信要求とともに医用画像サーバ3に送信することができる。或いは、画像データの送信要求に先立って、医用画像サーバ3に保存されている装置データのリスト情報の送信要求を装置データ取得部9から医用画像サーバ3に送信するようにしてもよい。
【0058】
医用画像サーバ3に装置データのリスト情報の送信要求を行う場合には、ユーザの操作によって入力装置10から医用画像サーバ3にDICOM通信規格のデータとして保存された装置データのリスト情報の送信要求が装置データ取得部9に入力される。そして、装置データ取得部9は、装置データのリスト情報の送信要求をデータ送受信部7に与える。このため、データ送受信部7は、装置データのリスト情報の送信要求を、ネットワーク2を介して医用画像サーバ3に送信する。
【0059】
このとき、装置データが含まれる画像データの検索条件として、DICOM通信規格のデータとして保存された画像データのプライベートタグに装置データに対応するタグがあるか否かという条件及び属性情報を記録するタグに装置データであることを示す情報が記録されているか否かという条件の一方又は双方を装置データ取得部9において設定することができる。この場合、設定された画像データの検索条件が装置データのリスト情報の送信要求とともに装置データ取得部9からデータ送受信部7及びネットワーク2を介して医用画像サーバ3に送信される。
【0060】
そして、医用画像サーバ3の装置データリスト作成部13Aが、装置データ取得部9から送信された装置データのリスト情報の送信要求及び画像データの検索条件を受信する。次に装置データリスト作成部13Aは、検索条件に従って装置データが記録されている画像データをDICOM画像データベース14から検索する。そして、装置データリスト作成部13Aは、装置データがプライベートタグ又は画像タグに記録されている画像データのリスト情報を作成する。更に装置データリスト作成部13Aは、作成したリスト情報をネットワーク2を介してMRI装置1に送信する。
【0061】
そして、データ送受信部7により医用画像サーバ3から送信されたリスト情報が受信される。装置データ取得部9は、データ送受信部7から装置データのリスト情報を取得して表示装置11に表示させる。このため、ユーザは、表示装置11を参照しつつ入力装置10の操作によって、最新又は所望の日時に医用画像サーバ3に保存された装置データを選択することができる。リスト情報を参照して入力装置10から装置データの選択情報が装置データ取得部9に入力されると、装置データ取得部9は、装置データの選択情報を、装置データが含まれる画像データの送信要求としてデータ送受信部7及びネットワーク2を介して医用画像サーバ3に送信することができる。
【0062】
次にステップS13において、医用画像サーバ3のデータベース制御部13は、装置データが含まれる画像データの特定情報及びMRI装置1への送信要求をMRI装置1から受信する。そして、データベース制御部13は、識別情報、保存日時情報又は選択情報等の特定情報で特定される画像データをDICOM画像データベース14から検索する。
【0063】
次にステップS14において、データベース制御部13は、検索結果としてDICOM画像データベース14から取得した装置データが含まれる画像データを、ネットワーク2を介してMRI装置1に送信する。すなわち、図3の画像データD3に示すように、画像タグに診断画像データが記録され、プライベートタグに装置データが記録されたデータが医用画像サーバ3からMRI装置1に送信される。或いは、画像タグに装置データが記録されたデータが医用画像サーバ3からMRI装置1に送信される。
【0064】
次にステップS15において、データ送受信部7により医用画像サーバ3から送信されたDICOM通信規格の画像データが受信される。
【0065】
次にステップS16において、装置データ取得部9は、データ送受信部7からDICOM通信規格の画像データの画像タグ又はプライベートタグに記録された装置データを取得する。そして、装置データ取得部9は、DICOM通信規格の装置データを各装置データ保存部12に保存可能なデータ構造を有する装置データに変換する。更に、装置データ取得部9は、変換後の装置データを各装置データ保存部12に書き込む。
【0066】
この結果、MRI装置1の装置状態を、装置データの保存時における状態に復元することができる。また、データ送受信部7により受信されたDICOM通信規格の画像データの画像タグに記録されたデータは、必要に応じて画像データベース6に保存することができる。
【0067】
つまり以上のようなMRI装置1は、撮像パラメータやハードウェア及びソフトウェアの調整データ等の装置固有の装置データを汎用の医用画像サーバ3上にバックアップデータとして保存できるようにDICOM通信規格のデータ構造で出力できるようにしたものである
【0068】
このため、MRI装置1によれば、装置データの保存及び管理を行う専用のサーバやシステムを備えることなく装置データのバックアップをとることができる。このため、設備に要するコストを低減させることができる。例えば、MRI装置1の保守サービスを受けていない医療機関においても、一般的に使用されるDICOM規格対応の医用画像サーバに定期的に装置データのバックアップをとることができる。
【0069】
また、MRI装置1によれば、システム起動時など定期的に装置データのバックアップを自動的にとることができるのみならず、画像データの送信時においてもユーザが意識することなく自動的に装置データを画像データに添付して医用画像サーバ3に保存することができる。このため、サービスエンジニア等の管理者の手動による装置データのバックアップ作業を省略することができる。一方で、管理者がパラメータの調整を行った場合には、手動で装置データを医用画像サーバ3に保存することもできる。
【0070】
このため、MRI装置1が突発的な災害などによって故障した場合であっても、常にバックアップされた最新の装置データを医用画像サーバ3から取得して故障直前の正常な状態にMRI装置1を復元することができる。特に、MRI装置1の設置環境に応じた撮像パラメータ等の装置データを復元できるため、良好な品質のMR画像を収集することができる。また、MRI装置1の復旧作業に要する時間を短縮することができるため、MRI装置1のダウンタイムを最小限にすることができる。
【0071】
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
【符号の説明】
【0072】
1 MRI装置
2 ネットワーク
3 医用画像サーバ
4 撮像系
5 データ処理系
6 画像データベース
7 データ送受信部
8 装置データ作成部
9 装置データ取得部
10 入力装置
11 表示装置
12 装置データ保存部
13 データベース制御部
13A 装置データリスト作成部
14 DICOM画像データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置ごとに固有の装置データを保存する記憶装置と、
前記装置データをDICOM規格のデータに変換してネットワークを介して所定の送信先に送信するデータ送信部と、
前記送信先に前記DICOM規格のデータに変換された前記装置データの送信を要求し、前記送信先から送信された前記DICOM規格の前記装置データを取得して前記記憶装置に保存可能なデータ構造で書き込む装置データ取得部と、
前記記憶装置に書き込まれた前記装置データに基づいて磁気共鳴イメージングを行うイメージング手段と、
を備える磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記データ送信部は、入力装置から画像データの送信指示が入力された場合に、前記画像データを前記DICOM規格のデータの画像タグに対応するデータに変換する一方、前記装置データを前記DICOM規格のデータのプライベートタグに対応するデータに変換して前記DICOM規格のデータを送信するように構成される請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記データ送信部は、入力装置から前記装置データの送信指示が入力された場合に、前記装置データを前記DICOM規格のデータの画像タグ又はプライベートタグに対応するデータに変換して送信するように構成される請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記装置データ取得部は、前記送信先に保存された前記DICOM規格の前記装置データのリスト情報の送信を前記送信先に要求し、前記送信先から送信された前記リスト情報を表示装置に表示させる一方、前記表示装置に表示された前記リスト情報を参照して入力装置から入力された前記DICOM規格の前記装置データの選択情報を、前記DICOM規格の前記装置データの送信要求として前記送信先に送信するように構成される請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記装置データ取得部は、前記送信先に保存されたDICOM規格のデータのプライベートタグに前記装置データに対応するタグがあるか否かという条件及び前記送信先に保存されたDICOM規格のデータの属性情報を記録するタグに装置データであることを示す情報が記録されているか否かという条件の少なくとも一方を、前記リスト情報を作成するための検索条件として前記送信先に送信するように構成される請求項4記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
DICOM規格のデータに変換された磁気共鳴イメージング装置ごとに固有の装置データを、ネットワークを介して受信するデータ受信部と、
受信した前記DICOM規格の装置データを保存する記憶装置と、
前記DICOM規格の装置データの送信要求及び送信先情報を受信した場合に、前記記憶装置から検索して前記送信先情報で特定される送信先に前記DICOM規格の装置データを送信するデータ送信部と、
を備える医用画像サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−143367(P2012−143367A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3505(P2011−3505)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】