説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】D/D変換するときの累積誤差が大きくなるのを防止することにより、MRI画像の画質の低下を防止可能な磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【解決手段】N(>M)ビットのデジタルデータを生成したとき、Nビットのデジタルデータの下位(N−M)ビットを切り捨てることにより、上位Mビットのデジタルデータに変換し、切り捨てられた下位(N−M)ビットのデジタルデータを変換の度に積算し、積算値が下位(N−M)ビットの最大値+1以上に達した時、積算値から前記下位(N−M)ビットの最大値+1を減算した後、新たに積算し、積算値が下位(N−M)ビットの最大値+1以上に達し、その後に、データ生成部がNビットのデジタルデータを生成し、上位Mビットのデジタルデータに変換したとき、変換されたMビットのデジタルデータに数値1を加算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁気共鳴イメージング装置に関し、特に、デジタルデータをアナログデータに変換し、アナログデータを励磁電流として出力し、励磁電流により磁場の強さを段階的に変化させた傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイルを有する磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング装置において、傾斜磁場と、傾斜磁場に対応する所定範囲の周波数をもつ電磁波とを被検体に加えると、磁場の強さ及び電磁波の周波数に関係する磁気回転比をもつ特定の原子核が共鳴する(MR現象)。共鳴したときの周波数から例えば水素原子核の位置を特定し、その水素原子核の位置の情報から被検体のMRI画像を得ることができる。MR現象は、電磁波の周波数、原子核の種類、磁場の強さに応じて、起きたり、起きなかったりする。磁場の強さBと、磁気回転比(原子核固有の定数)γと、共鳴周波数ωとの関係は、式(ω=γB)で表すことができる。
【0003】
例えば、従来の技術としては、Nビットのデジタルデータを生成するデータ生成部と、生成されたNビットのデジタルデータをアナログデータに変換し、アナログデータを励磁電流として出力するNビットD/A変換器と、入力された前記励磁電流により傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイルとを有する磁気共鳴イメージング装置がある。Nビットが16ビットであるとき、16ビットD/A変換器は、高速で安価であるという利点を有する。
【0004】
D/A変換器の分解能によって、電流の分解能が決まっている。したがって、16ビットD/A変換器では、より高い電流分解能の要求に対応できない。
【0005】
高い電流分解能の要求に対応するためには、Nビットを20ビットとし、20ビットD/A変換器を用いる。それにより、高い電流分解能となり、高い精度で傾斜磁場を発生させることができ、それにより、高い精度で原子核の位置を知ることができ、MRI画像の画質を向上させることが可能となる。
【0006】
また、高速で安価であるという利点、及び高い電流分解を要求されたとき、従来の技術(例えば、特許文献1)としては、データ生成部により生成された20ビットデジタルデータを、セレクタにより上位16ビットと下位16ビットとに分け、上位16ビットを第1の16ビットD/A変換器によりアナログデータに変換し、下位16ビットを第2の16ビットD/A変換器によりアナログデータに変換し、第1のD/A変換器の出力値と第2のD/A変換器の出力値とを加算器により加算する磁気共鳴イメージング装置がある。
【0007】
なお、20ビットのデジタルデータを16ビットのデジタルデータにD/D変換するときに誤差が累積していく場合、その累積誤差が大きくなるのを抑えることにより、MRI画像の画質の低下を防止できることが分かってきた。
【0008】
さらに、16ビットD/A変換器を有する磁気共鳴イメージング装置から20ビットD/A変換器を有する磁気共鳴イメージング装置へのアップグレードを簡単な構成により可能とすることは、ユーザー及びメーカーにとって好都合である。
【0009】
【特許文献1】特開2008−153928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1に記載された後者の従来技術では、20ビットのデジタルデータを上位16ビットと下位16ビットとに分けるセレクタ、及び上位16ビットの第1の16ビットD/A変換器の出力値と下位16ビットの第2の16ビットD/A変換器の出力値とを加算するための加算器等、多くの構成を必要とするという問題点があった。
【0011】
この発明は、上記の問題を解決するものであり、多ビットのデジタルデータをアナログデータに変換する構成と、多ビットのデジタルデータを少ビットのデジタルデータに変換してからアナログデータに変換する他の構成とを採ることが可能であり、多ビットのデジタルデータを少ビットのデジタルデータに変換するときの累積誤差が大きくなるのを防止することにより、MRI画像の画質の低下を防止可能な磁気共鳴イメージング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、この発明は、Nビットのデジタルデータの下位(N−M)ビットを切り捨てることにより、上位Mビットのデジタルデータに変換するとき、誤差が累積し、累積誤差が予め定められた量となった場合、上位Mビットのデジタルデータに含ませることにより、予め定められた量より累積誤差が大きくなるのを防止することに着目した。
具体的に、この発明の第1の形態は、Nビットのデジタルデータを生成するデータ生成部と、該生成されたNビットのデジタルデータをNビットより少ない上位Mビットのデジタルデータに変換するD/D変換器と、該変換された上位Mビットのデジタルデータをアナログデータに変換し、該アナログデータを励磁電流として出力するD/A変換器と、入力された前記励磁電流により傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイルと、を有する磁気共鳴イメージング装置において、前記D/D変換器は、前記データ生成部が前記Nビットのデジタルデータを生成したとき、該Nビットのデジタルデータの下位(N−M)ビットを切り捨てることにより、前記上位Mビットのデジタルデータに変換する端数処理部と、前記端数処理部により切り捨てられた下位(N−M)ビットのデジタルデータを前記変換の度に積算し、該積算値が下位(N−M)ビットの最大値+1以上に達した時、積算値から前記下位(N−M)ビットの最大値+1を減算した後、新たに積算する積算部と、前記積算値が下位(N−M)ビットの最大値+1以上に達し、その後に、前記データ生成部が前記Nビットのデジタルデータを生成し、前記端数処理部が前記Mビットのデジタルデータに変換したとき、該変換された前記Mビットのデジタルデータに数値1を加算する加算部と、を有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置である。
また、この発明の第2の形態は、Nビットのデジタルデータを生成するデータ生成部と、該生成されたNビットのデジタルデータをNビットより少ない上位Mビットのデジタルデータに変換するD/D変換器と、該変換された上位Mビットのデジタルデータをアナログデータに変換し、該アナログデータを励磁電流として出力するD/A変換器と、入力された前記励磁電流により傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイルと、を有する磁気共鳴イメージング装置において、前記D/D変換器は、前記データ生成部が前記Nビットのデジタルデータを生成したとき、該Nビットのデジタルデータの下位(N−M)ビットを切り捨てることにより、前記上位Mビットのデジタルデータに変換する端数処理部と、前記端数処理部により切り捨てられた下位(N−M)ビットのデジタルデータを積算し、該積算値が(N−M)ビットの最大値よりも小さい、予め決められた一定値以上に達した時、積算値から前記下位(N−M)ビットの最大値+1を減算した後、新たに積算する積算部とを有し、前記端数処理部は、前記積算値が決められた一定値以上に達し、前記データ生成部が前記Nビットのデジタルデータを生成し、前記端数処理部が前記Mビットのデジタルデータに変換したとき、該変換された前記Mビットのデジタルデータに数値1を加算する加算部を有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置である。
さらに、この発明の第3の形態は、Nビットのデジタルデータを生成するデータ生成部と、該生成されたNビットのデジタルデータをNビットより少ない上位Mビットのデジタルデータに変換するD/D変換器と、該変換された上位Mビットのデジタルデータをアナログデータに変換し、該アナログデータを励磁電流として出力するD/A変換器と、入力された前記励磁電流により傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイルと、を有する磁気共鳴イメージング装置において、前記D/D変換器は、前記データ生成部が前記Nビットのデジタルデータを生成したとき、該Nビットのデジタルデータの下位(N−M)ビットを切り捨てることにより、前記上位Mビットのデジタルデータに変換する端数処理部と、前記データ生成部が前記Nビットのデジタルデータを次に生成したとき、該次に生成された前記Nビットのデジタルデータに、前記端数処理部により切り捨てられた下位(N−M)ビットのデジタルデータを加算する加算部と、を有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置である。
さらに、この発明の第4の形態は、Nビットのデジタルデータを生成するデータ生成部と、該生成されたNビットのデジタルデータをNビットより少ない上位Mビットのデジタルデータに変換するD/D変換器と、該変換された上位Mビットのデジタルデータをアナログデータに変換し、該アナログデータを励磁電流として出力するD/A変換器と、入力された前記励磁電流により傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイルと、を有する磁気共鳴イメージング装置において、前記D/D変換器は、前記データ生成部が前記Nビットのデジタルデータを生成したとき、該Nビットのデジタルデータの下位(N−M)ビットを切り捨てることにより、前記上位Mビットのデジタルデータに変換する端数処理部と、前記データ生成部が前記Nビットのデジタルデータを次に生成したとき、該次に生成された前記Nビットのデジタルデータから、前記端数処理部により変換された前記上位Mビットのデジタルデータを減算する減算部と、前記減算部が減算したとき、該減算された前記デジタルデータを積算し、該積算されたデジタルデータを前記端数処理部に出力する積算部と、を有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置である。
【発明の効果】
【0013】
この発明の第1の形態によると、端数処理部により切り捨てられた下位(N−M)ビットのデジタルデータを積算し、積算された下位(N−M)ビットのデジタルデータは、誤差として累積する。積算された下位(N−M)ビットの最大値+1以上に達した時、その後、生成されたNビットのデジタルデータをMビットのデジタルデータに変換したとき、そのMビットのデジタルデータに数値1を加算したので、累積された誤差が大きくなるのを抑えることが可能となる。それにより、MRI画像の画質の低下を防止可能となる。
【0014】
また、積算された値が下位(N−M)ビットの最大値以上に達した時、積算値から前記下位(N−M)ビットの最大値+1を減算した後、新たに積算するので、累積された誤差が小さなうちに、その累積誤差を減少させることができる。この点からも、MRI画像の画質の低下を防止可能となる。
【0015】
以上の第1の形態によれば、累積誤差は、Nビットのデジタルデータを積算した数値を常に下回ることとなり、MRI画像の画質の輝度が例えば低めに常に片寄るため、MRI画像の画質をさらに向上させるときに支障となる。
【0016】
これに対し、この発明の第2の形態によると、積算値が(N−M)ビットの最大値よりも小さい、予め決められた一定値以上に達した時であって、生成されたNビットのデジタルデータをMビットのデジタルデータに変換したとき、そのMビットのデジタルデータに数値1を加算したので、累積誤差は、Nビットのデジタルデータを積算した数値を上回ったり、下回ったりすることとなり、例えばMRI画像の画質の輝度が低めに片寄ったり、高めに片寄ったりせず、MRI画像の画質をさらに向上させることができる。
【0017】
また、この発明の第3の形態によると、データ生成部がNビットのデジタルデータを次に生成したとき、次に生成されたNビットのデジタルデータに、切り捨てられた下位(N−M)ビットのデジタルデータを加算部が加算したので、簡単な構成により、累積誤差が大きくなるのを抑えることが可能となる。また、MRI画像の画質の低下を防止可能となる。
【0018】
さらに、この発明の第4の形態によると、Nビットのデジタルデータを次に生成したとき、次に生成された前記NビットのデジタルデータからMビットのデジタルデータを減算部が減算し、減算したとき、減算された前記デジタルデータを積算し、積算されたデジタルデータを端数処理部に出力したので、同じく簡単な構成により、累積誤差が大きくなるのを抑えることが可能となる。それにより、MRI画像の画質の低下を防止可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[第1の実施の形態]
(構成)
この発明の第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)の構成について図1を参照して説明する。図1は、MRI装置の構成図である。
【0020】
先ず、MRI装置を構成する傾斜磁場コイル駆動電源部10について説明する。傾斜磁場コイル駆動電源部10は、Nビットのデジタルデータを生成するデータ生成部11と、生成されたNビットのデジタルデータをNビットより少ないMビットのデジタルデータに変換するD/D変換器12と、変換されたMビットのデジタルデータをアナログデータに変換するD/A変換器13と、アナログデータを励磁電流として出力する電流増幅部14と、入力された励磁電流により傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイル22と、を有する。傾斜磁場コイル駆動電源部10を有するMRI装置を図1に示す。
【0021】
次に、D/D変換器12について図2を参照してさらに詳細に説明する。図2はD/D変換器の構成図である。
【0022】
D/D変換器12は、データ生成部11が20ビットのデジタルデータを生成したとき、20ビットのデジタルデータの下位4ビットを切り捨てることにより、16ビットのデジタルデータに変換する端数処理部121と、端数処理部121により切り捨てられた下位4ビットのデジタルデータを出力する減算部122、出力された下位4ビットのデジタルデータを、変換の度に積算し、積算された下位4ビットのデジタルデータの最上位ビットデータが切り上げられたとき、端数処理部121により切り捨てられた下位4ビットのデジタルデータを数値0に戻してから新たに積算する積算部123と、積算された下位4ビットのデジタルデータの最上位ビットデータが切り上がり、その後に、データ生成部11が20ビットのデジタルデータを生成し、端数処理部121が16ビットのデジタルデータに変換したとき、変換された16ビットのデジタルデータに数値1を加算する加算部124と、遅延部125とを有する。
【0023】
なお、減算部122、積算部123及び加算部124は、端数処理部121に含まれていても、含まれていなくても良い。加算部124を含む端数処理部121を図2に示す。
【0024】
加算部124は、積算部123の出力が0x0000F(下位4ビットの最大値)以下であれば、16ビットのデジタルデータに加算せずに切り捨て、0x00010以上であれば、0x00010(下位4ビットの最大値+1)を16ビットのデジタルデータに加算する(16ビットのデジタルデータに数値1を加算する)。遅延部125を設けることにより、積算部123から出力された結果は、切り上げるか否かの加算部124による次の決定に使用される。
【0025】
次に、MRI装置の全体的な構成について図1を参照にして説明する。
【0026】
図1に示すMRI装置は、傾斜磁場コイル駆動電源部10、静磁場磁石21、傾斜磁場コイル22、寝台24、寝台制御部25、RFコイルユニット26a、26b、26c、送信部27、選択回路28、受信部29および制御コンピュータ部31、さらに、この制御コンピュータ部31に接続した記憶部32、入力部34、表示部33を具備する。
【0027】
また、傾斜磁場コイル駆動電源部10は、制御コンピュータ部31からの指示により傾斜磁場コイル22の駆動に関するデジタル情報を発生するデータ生成部11、このデジタルデータをビット数の少ないデジタルデータに変換するD/D変換器12、このデジタルデータをアナログ値に変換し、このアナログ値を励磁電流として傾斜磁場コイル22に出力するD/A変換器13を具備する。
【0028】
静磁場磁石21は、中空の円筒形をなし、内部の空間に一様な静磁場を発生する。この静磁場磁石21としては、例えば永久磁石、超伝導磁石等が使用される。
【0029】
傾斜磁場コイル22は、中空の円筒形をなし、静磁場磁石21の内側に配置される。傾斜磁場コイル22は、互いに直交するX、Y、Zの各軸に対応する3種のコイルが組み合わされている。傾斜磁場コイル22は、上記の3種のコイルが傾斜磁場コイル駆動電源部10からそれぞれ個別に電流供給を受けて、磁場強度がX、Y、Zの各軸に沿って傾斜する傾斜磁場を発生する。なお、Z軸方向は、例えば静磁場と同方向とする。X、Y、Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場、位相エンコード用傾斜磁場およびリードアウト用傾斜磁場にそれぞれ対応される。スライス選択用傾斜磁場は、任意に撮影断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場は、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場は、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の周波数を変化させるために利用される。
【0030】
被検体Pは、寝台24の天板24aに載置された状態で傾斜磁場コイル22の空洞(撮影口)内に挿入される。寝台24は、寝台制御部25により駆動され、天板24aをその長手方向(図1における左右方向)および上下方向に移動する。通常、この長手方向が静磁場磁石21の中心軸と平行になるように寝台24が設置される。
【0031】
RFコイルユニット26aは、1つまたは複数のコイルを円筒状のケースに収容して構成される。RFコイルユニット26aは、傾斜磁場コイル22の内側に配置される。RFコイルユニット26aは、送信部27から高周波パルス(RFパルス)の供給を受けて、高周波磁場を発生する。
【0032】
RFコイルユニット26b、26cは、天板24a上に載置されたり、天板24aに内蔵されたり、あるいは被検体Pに装着される。そして撮影時には、被検体Pとともに傾斜磁場コイル22の空洞内に挿入される。RFコイルユニット26b、26cは、それぞれ複数の要素コイルを備えるアレイコイルが利用され、被検体Pから放射される磁気共鳴信号を受信する。要素コイルのそれぞれの出力信号は、個別に選択回路28に入力される。
【0033】
送信部27は、発振部、位相選択部、周波数変換部、振幅変調部および高周波電力増幅部を有している。発振部は、静磁場中における対象原子核に固有の共鳴周波数の高周波信号を発生する。位相選択部は、上記高周波信号の位相を選択する。周波数変換部は、位相選択部から出力された高周波信号の周波数を変換する。振幅変調部は、周波数変調部から出力された高周波信号の振幅を例えばシンク関数に従って変調する。高周波電力増幅部は、振幅変調部から出力された高周波信号を増幅する。そしてこの結果として送信部27は、ラーモア周波数に対応するRFパルスをRFコイルユニット26aに供給する。
【0034】
選択回路28は、RFコイルユニット26b、26cから出力される多数の磁気共鳴信号からいくつかを選択する。そして選択回路28は、選択した磁気共鳴信号を受信部29へ与える。どのチャネルを選択するかは、制御コンピュータ部31から指示される。
【0035】
受信部29は、前段増幅器、位相検波器およびアナログデジタル変換器を有する処理系を複数チャネル備えている。これら複数チャネルの処理系へは、選択回路28が選択する磁気共鳴信号がそれぞれ入力される。前段増幅器は、磁気共鳴信号を増幅する。位相検波器は、前置増幅器から出力される磁気共鳴信号の位相を検波する。アナログデジタル変換器は、位相検波器から出力される信号をデジタル信号に変換する。受信部29は、各処理系により得られるデジタル信号をそれぞれ出力する。
【0036】
制御コンピュータ部31は、図示していないCPUやメモリ等を有しており、本実施形態のMRI装置を総括的に制御し、インタフェース部、データ収集部、再構成部および制御部の各機能部を有して構成されている。インタフェース部は、傾斜磁場コイル駆動電源部10、寝台制御部25、送信部27、選択回路28、受信部29等の接続される各部間で授受される信号の入出力を行う。データ収集部は、受信部29から出力されるデジタル信号を収集し、この収集結果、すなわち磁気共鳴信号データを、記憶部32に格納する。再構成部は、記憶部32に記憶された磁気共鳴信号データに対して、後処理、すなわちフーリエ変換等の再構成を実行し、被検体P内の所望の核スピンのスペクトラムデータあるいは画像データを得ることができる。
【0037】
記憶部32は、磁気共鳴信号データと、スペクトラムデータあるいは画像データとを、患者毎に記憶する。
【0038】
表示部33は、スペクトラムデータあるいは画像データ等の各種の情報を制御コンピュータ部31の制御部の制御下で表示する。表示部33としては、液晶表示器などの表示デバイスを利用可能である。
【0039】
入力部34は、オペレータからの各種指令や情報入力を受け付ける。入力部34は、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切り替えスイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスを適宜に利用可能である。
【0040】
(動作)
次に、20ビットのデジタルデータを受けたD/D変換器12の動作について、図3を参照にして説明する。図3は、D/D変換器12における各部のデータ値の一例を示す説明図である。説明を簡単にするために、20ビットのデジタルデータは一定とする。
【0041】
時刻t0にて、データ生成部11により生成されたデジタルデータ0x11464が端数処理部121に入力されたとする。初期状態では積算部123の出力が0x00000であったとすると、端数処理部121で切り捨てとなり、端数処理部121の出力は0x1146となる。出力0x1146がD/A変換器13に入力される。積算部123には、減算部122の出力0x00004(=0x11464−0x1146)が記憶される。
【0042】
時刻t1では、次に、データ生成部11がデジタルデータ0x11464を生成すると、積算部123の出力0x0000F以下なので、端数処理部121で切り捨てとなり、端数処理部121の出力は0x1146となる。出力0x1146がD/A変換器13に入力される。このとき、積算部123には0x00008(=0x00004+0x00004)が記憶される。
【0043】
時刻t2でも、次に、データ生成部11がデジタルデータ0x11464を生成すると、積算部123の出力0x0000F以下なので、端数処理部121で切り捨てとなり、端数処理部121の出力は0x1146となる。出力0x1146がD/A変換器13に入力される。このとき、積算部123には0x0000C(=0x00008+0x00004)が記憶される。
【0044】
時刻t3でも、次に、データ生成部11がデジタルデータ0x11464を生成すると、積算部123の出力0x0000F以下なので、端数処理部121で切り捨てとなり、端数処理部121の出力は0x1146となる。出力0x1146がD/A変換器13に入力される。このとき、積算部123には0x00010(=0x0000C+0x00004)が記憶される。
【0045】
時刻t4では、次に、データ生成部11がデジタルデータ0x11464を生成すると、積算部123の出力0x00010以上なので、端数処理部121で切り上げとなり、加算部124は、切り上げた0x00010を16ビットのデジタルデータ0x1146に加算する(数値1を16ビットのデジタルデータ0x1146に加算する)。端数処理部121から0x1147(=0x00010+0x1146)がD/A変換器13に入力される。このとき、積算部123には0xFFFF4(=0x11464−0x1147)が加算される。積算部123には、0x00004(=0x00010+0xFFFF4)が記憶される。結果的に、積算部123は、下位4ビットのデジタルデータが切り上げられたとき、積算値から4ビットの最大値+1(=0x00010)を減算してから、新たに0x00004を積算する。
【0046】
以下、時刻t5から時刻t8までの動作を図3に示す。時刻t1から時刻t8までの動作で分かるように、時刻t5から時刻t8までの動作は、時刻t1から時刻t4までの動作と同じである。すなわち、第1の実施形態に係るD/D変換器12は、時刻t1から時刻t4までの動作を繰り返す。
【0047】
図3では、積算部123の出力が累積誤差を表している。上記D/D変換器12の動作を説明したように、切り捨てによる累積誤差が指定したしきい値を超えると切り上げとなり、累積誤差を減らすように動作する。従って、誤差が累積し続けることはない。
【0048】
それにより、20ビットのデジタルデータを16ビットのデジタルデータに変換するときの累積誤差が大きくなるのを抑えることとなり、MRI画像の画質の低下を防止可能となる。生成された20ビットのデジタルデータと、その20ビットのデジタルデータに近づけた16ビットのデジタルデータとを図4に示す。図4は、D/D変換器12の出力データをグラフで示す説明図である。
【0049】
[第2の実施の形態]
(構成)
この発明の第2の実施形態に係るD/D変換器12の構成について説明する。第2の実施形態のD/D変換器12の構成は、図2に示す第1の実施形態のD/D変換器12の構成と基本的に同じである。以下、第1の実施形態のD/D変換器12と異なる構成について説明する。なお、D/D変換器12以外の各構成については、第1の実施形態の各構成と同じであり、それらの各構成の説明を省略する。
【0050】
第2の実施形態に係るD/D変換器12は、データ生成部11が20ビットのデジタルデータを生成したとき、20ビットのデジタルデータの下位4ビットを切り捨てることにより、16ビットのデジタルデータに変換する端数処理部121と、端数処理部121により切り捨てられた下位4ビットのデジタルデータを積算する積算部123とを有する。
端数処理部121は、積算部の積算値が、(N−M)ビットの最大値よりも小さい予め決められた一定値以上に達した時であって、データ生成部11が20ビットのデジタルデータを生成し、端数処理部121が16ビットのデジタルデータに変換したとき、変換された16ビットのデジタルデータに数値1を加算する加算部124を有する。
【0051】
前記第1の実施形態では、積算された下位4ビットのデジタルデータの最大値+1(0x00010となる)以上のとき、変換された16ビットのデジタルデータ(0x1146)に加算部124が数値1を加算する(0x1146+0x00010)。
【0052】
これに対し、この第2の実施形態では、積算部の積算値が、(N−M)ビットの最大値よりも小さい予め決められた一定値以上に達した時(0x00008のとき)、変換された16ビットのデジタルデータ(0x1146)に加算部124が数値1を加算する(0x1146+0x00010)。
【0053】
(動作)
次に、20ビットのデジタルデータを受けたD/D変換器12の動作について、図5を参照にして説明する。図5は、D/D変換器12における各部のデータ値の一例を示す説明図である。説明を簡単にするために、20ビットのデジタルデータは一定とする。
【0054】
時刻t0にてデジタルデータ0x11464が入力されたとする。初期状態では積算部123の出力が0x00000であったとすると、端数処理部121で切り捨てとなり、出力は0x1146となる。これがD/A変換器13に入力される。積算部123には、減算部122の出力0x00004(=0x11464−0x1146)が記憶される。
【0055】
時刻t1では、積算部123の出力0x00008以下なので、端数処理部121で切り捨てとなり、0x1146がD/A変換器13に入力される。このとき、積算部123には0x00008(=0x00004+0x00004)が記憶される。
【0056】
時刻t2では、積算部123の出力0x00008以上なので、端数処理部121で切り上げとなり、加算部124は、切り上げた0x00010を16ビットのデジタルデータ0x1146に加算する(数値1を16ビットのデジタルデータ0x1146に加算する)。端数処理部121から0x1147(=0x00010+0x1146)がD/A変換器13に入力される。このとき、積算部123には0xFFFF4(=0x11464−0x1147)が加算される。積算部123には、0xFFFFC(=0x00008+0xFFFF4)が記憶される。
【0057】
時刻t3では、積算部123の出力0x00008以下なので、端数処理部121で切り捨てとなり、0x1146がD/A変換器13に入力される。このとき、積算部123には0x00000(=0xFFFFC+0x00004)が記憶される。
【0058】
時刻t4では、時刻t0と同じく、積算部123の出力0x00008以下なので、端数処理部121で切り捨てとなり、0x1146がD/A変換器13に入力される。このとき、積算部123には0x00004(=0x00000+0x00004)が記憶される。
【0059】
以下、時刻t5では、時刻t1と同じく、積算部123の出力0x00008以下なので、端数処理部121で切り捨てとなり、0x1146がD/A変換器13に入力される。このとき、積算部123には0x00008(=0x00004+0x00004)が記憶される。
【0060】
時刻t6では、時刻t2と同じく、積算部123の出力0x00008以上なので、端数処理部121で切り上げとなり、加算部124は、切り上げた0x00010を16ビットのデジタルデータ0x1146に加算する(数値1を16ビットのデジタルデータ0x1146に加算する)。端数処理部121から0x1147(=0x00010+0x1146)がD/A変換器13に入力される。このとき、積算部123には0xFFFF4(=0x11464−0x1147)が加算される。積算部123には、0xFFFFC(=0x00008+0xFFFF4)が記憶される。
【0061】
以上の時刻t1から時刻t6までの動作の説明で分かるように、第2の実施形態に係るD/D変換器12は、時刻t3の動作を挟んで、時刻t0から時刻t2までの動作を繰り返す。
【0062】
ここで、指定したしきい値である0x00008に積算部123の出力がなると、D/D変換器12の出力が0x00147(=0x00010+0x1146)となるので、累積誤差が、20ビットのデジタルデータを積算した数値を上回ったり、下回ったりする。それにより、例えばMRI画像の画質の輝度が低めに片寄ったり、高めに片寄ったりせず、MRI画像の画質をさらに向上させることができる。20ビットのデジタルデータと、その20ビットのデジタルデータを上回ったり、下回ったりする16ビットのデジタルデータとを図6に示す。図6は、D/D変換器の出力データをグラフで示す説明図である。
【0063】
[第3の実施の形態]
(構成)
この発明の第3の実施形態に係るD/D変換器12の構成について図7を参照して説明する。図7は、D/D変換器12の構成図である。なお、D/D変換器12以外の各構成については、第1の実施形態の各構成と同じであり、それらの各構成の説明を省略する。
【0064】
第3の実施形態に係るD/D変換器12は、データ生成部11が20ビットのデジタルデータを生成したとき、20ビットのデジタルデータの下位4ビットを切り捨てることにより、16ビットのデジタルデータに変換する端数処理部121と、データ生成部11が20ビットのデジタルデータを次に生成したとき、次に生成された20ビットのデジタルデータに、端数処理部121により切り捨てられた下位4ビットのデジタルデータを加算する加算部124とを有している。
【0065】
また、端数処理部121に入力された20ビットのデジタルデータに対し、端数処理部121により変換された16ビットのデジタルデータを減算する減算部122を有している。減算部122が20ビットのデジタルデータから16ビットのデジタルデータを減算することにより、下位4ビットのデジタルデータを生成する。
【0066】
なお、20ビットのデジタルデータの下位4ビットを取り出すことにより、下位4ビットのデジタルデータを生成するようにしても良い。
【0067】
また、遅延部125を有している。遅延部125を設けることにより、減算部122から出力された結果は、データ生成部11が20ビットのデジタルデータを次に生成した時、下位4ビットのデジタルデータを加算する。
【0068】
(動作)
次に、20ビットのデジタルデータを受けたD/D変換器12の動作について、図8を参照にして説明する。図8は、D/D変換器12における各部のデータ値の一例を示す説明図である。説明を簡単にするために、20ビットのデジタルデータは一定とする。
【0069】
時刻t0にて、データ生成部11により生成されたデジタルデータ0x11464が加算部124に入力されたとする。初期状態では遅延部125の出力が0x00000であったとすると、加算部124の出力は0x11464となる。加算部124の出力0x11464は、端数処理部121で切り捨てられ、端数処理部121の出力は0x1146となる。端数処理部121の出力0x1146がD/A変換器13に入力される。減算部122の出力は、0x00004(=0x11464−0x11460)となる。
【0070】
時刻t1では、次に、データ生成部11により生成されたデジタルデータ0x11464に遅延部125を経た減算部122の出力0x00004が、加算部124にて加算され、加算部124の出力は、0x11468(=0x11464+0x00004)となり、端数処理部121で切り捨てられ、端数処理部121の出力は0x1146となる。端数処理部121の出力0x1146がD/A変換器13に入力される。減算部122の出力は、0x00008(=0x11468−0x11460)となる。
【0071】
時刻t2では、次に、データ生成部11により生成されたデジタルデータ0x11464に遅延部125を経た減算部122の出力0x00008が、加算部124にて加算され、加算部124の出力は、0x1146C(=0x11468+0x00004)となり、端数処理部121で切り捨てられ、端数処理部121の出力は0x1146となる。端数処理部121の出力0x1146がD/A変換器13に入力される。減算部122の出力は、0x0000C(=0x1146C−0x11460)となる。
【0072】
時刻t3では、次に、データ生成部11により生成されたデジタルデータ0x11464に遅延部125を経た減算部122の出力0x0000Cが、加算部124にて加算され、加算部124の出力は、0x11470(=0x1146C+0x00004)となり、端数処理部121で切り捨てられ、端数処理部121の出力は0x1147となる。端数処理部121の出力0x1147がD/A変換器13に入力される。減算部122の出力は、0x00000(=0x11470−0x11470)となる。
【0073】
時刻t4では、結果として、時刻t0と同じである。すなわち、次に、データ生成部11により生成されたデジタルデータ0x11464に遅延部125を経た減算部122の出力0x00000が、加算部124にて加算され、加算部124の出力は0x11464となる。加算部124の出力0x11464は、端数処理部121で切り捨てられ、端数処理部121の出力は0x1146となる。端数処理部121の出力0x1146がD/A変換器13に入力される。減算部122の出力は、0x00004(=0x11464−0x11460)となる。
【0074】
以上の時刻t0から時刻t4までの動作で分かるように、第3の実施形態に係るD/D変換器12は、時刻t0から時刻t3までの動作を繰り返す。
【0075】
図8では、端数処理部121により切り捨てられた下位4ビットのデータが累積誤差を表している。上記D/D変換器12の動作を説明したように、下位4ビットのデータの最上位が切り上げられると、累積誤差が0となるように動作する。従って、誤差が累積し続けることはない。
【0076】
それにより、20ビットのデジタルデータを16ビットのデジタルデータに変換するときの累積誤差が大きくなるのを抑えることとなり、MRI画像の画質の低下を防止可能となる。また、減算部122及び遅延部125を設けた簡単な構成にすることが可能となる。
【0077】
データ生成部11により生成された20ビットのデジタルデータと、その20ビットのデジタルデータに近づけた16ビットのデジタルデータとを図9に示す。図9は、D/D変換器12の出力データをグラフで示す説明図である。
【0078】
[第4の実施の形態]
(構成)
この発明の第4の実施形態に係るD/D変換器12の構成について図10を参照して説明する。図10は、D/D変換器12の構成図である。D/D変換器12以外の各構成については、第1の実施形態の各構成と同じであり、それらの各構成の説明を省略する。
【0079】
第4の実施形態に係るD/D変換器12は、データ生成部11が20ビットのデジタルデータを生成したとき、20ビットのデジタルデータの下位4ビットを切り捨てることにより、16ビットのデジタルデータに変換する端数処理部121と、データ生成部11が20ビットのデジタルデータを次に生成したとき、次に生成された20ビットのデジタルデータから、端数処理部121により変換された16ビットのデジタルデータを減算する減算部122と、減算部122が減算したとき、減算された前記デジタルデータを積算し、積算されたデジタルデータを端数処理部121に出力する積算部123とを有している。
【0080】
また、遅延部125を有している。遅延部125を設けることにより、データ生成部11が20ビットのデジタルデータを次に生成した時、端数処理部121から出力された結果を減算する。
【0081】
(動作)
次に、20ビットのデジタルデータを受けたD/D変換器12の動作について、図11を参照にして説明する。図11は、D/D変換器12における各部のデータ値の一例を示す説明図である。説明を簡単にするために、20ビットのデジタルデータは一定とする。
【0082】
時刻t0にて、データ生成部11により生成されたデジタルデータ0x11464が減算部122に入力されたとする。初期状態では遅延部125の出力が0x00000であったとすると、減算部122の出力は0x11464となる。積算部123の出力は0x11464となる。積算部123の出力0x11464は、端数処理部121で切り捨てられ、端数処理部121の出力は0x1146となる。端数処理部121の出力0x1146がD/A変換器13に入力される。このとき、累積誤差は、積算部123の出力0x11464から端数処理部121の出力0x1146を減算した値0x00004となる。
【0083】
時刻t1では、次に、データ生成部11により生成されたデジタルデータ0x11464に対し、遅延部125を経た端数処理部121の出力0x1146が、減算部122にて減算され、減算部122の出力は0x00004(0x11464−0x1146)となる。積算部の出力は0x11468(=0x11464+0x00004)となる。積算部123の出力0x11468は、端数処理部121で切り捨てられ、端数処理部121の出力は0x1146となる。端数処理部121の出力0x1146がD/A変換器13に入力される。このとき、累積誤差は、積算部123の出力0x11468から端数処理部121の出力0x1146を減算した値0x00008となる。
【0084】
時刻t2でも、次に、データ生成部11により生成されたデジタルデータ0x11464に対し、遅延部125を経た端数処理部121の出力0x1146が、減算部122にて減算され、減算部122の出力は0x00004(0x11464−0x1146)となる。積算部の出力は0x1146C(=0x11468+0x00004)となる。積算部123の出力0x1146Cは、端数処理部121で切り捨てられ、端数処理部121の出力は0x1146となる。端数処理部121の出力0x1146がD/A変換器13に入力される。このとき、累積誤差は、積算部123の出力0x1146Cから端数処理部121の出力0x1146を減算した値0x0000Cとなる。
【0085】
時刻t3では、次に、データ生成部11により生成されたデジタルデータ0x11464に対し、遅延部125を経た端数処理部121の出力0x1146が、減算部122にて減算され、減算部122の出力は0x00004(0x11464−0x1146)となる。積算部の出力は0x11470(=0x1146C+0x00004)となる。積算部123の出力0x11470は、端数処理部121で切り捨てられ、端数処理部121の出力は0x1147となる。端数処理部121の出力0x1147がD/A変換器13に入力される。このとき、累積誤差は、積算部123の出力0x11470から端数処理部121の出力0x1147を減算した値0x00000となる。
【0086】
時刻t4では、次に、データ生成部11により生成されたデジタルデータ0x11464に対し、遅延部125を経た端数処理部121の出力0x1147が、減算部122にて減算され、減算部122の出力は0xFFFF4(0x11464−0x1147)となる。積算部の出力は0x11464(=0x11470+0xFFFF4)となる。積算部123の出力0x11464は、端数処理部121で切り捨てられ、端数処理部121の出力は0x1146となる。端数処理部121の出力0x1146がD/A変換器13に入力される。このとき、累積誤差は、積算部123の出力0x11464から端数処理部121の出力0x1146を減算した値0x00004となる。
【0087】
時刻t5では、次に、データ生成部11により生成されたデジタルデータ0x11464に対し、遅延部125を経た端数処理部121の出力0x1146が、減算部122にて減算され、減算部122の出力は0x00004(0x11464−0x1146)となる。積算部の出力は0x11468(=0x11464+0x00004)となる。積算部123の出力0x11468は、端数処理部121で切り捨てられ、端数処理部121の出力は0x1146となる。端数処理部121の出力0x1146がD/A変換器13に入力される。このとき、累積誤差は、積算部123の出力0x11468から端数処理部121の出力0x1146を減算した値0x00008となる。これは、時刻t1の動作と同じである。
【0088】
以上の時刻t0から時刻t5までの動作で分かるように、第4の実施形態に係るD/D変換器12は、時刻t1から時刻t4までの動作を繰り返す。
【0089】
図11では、積算部123の出力値から端数処理部の出力を減算した値として累積誤差を表している。上記D/D変換器12の動作を説明したように、一定の時刻毎に累積誤差が0となるように動作する。従って、誤差が累積し続けることはない。それにより、MRI画像の画質の低下を防止可能となる。
【0090】
上記各実施形態において、D/D変換器12をフィールドプログラマブルゲートアレイにより構成しておけば、ROM(リードオンリーメモリー)の交換により、16ビットのD/A変換器を20ビットのD/A変換器に容易に交換可能となる。それにより、電流高分解能を要求するアップグレードに容易に対応する、傾斜磁場系を提供することが可能となる。
【0091】
なお、前記実施形態では、Mビットを16ビットとし、Nビットを20ビットとした。しかし、この発明では、MビットがNビットより少なければ良く(M<N)、例えば、Mビットを18ビットとし、Nビットを24ビットとしても良い。また、D/A変換器13と電流増幅部14とを別個に設けたが、D/A変換器13に電流増幅部14を含ませても良い。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(MRI)の構成図である。
【図2】D/D変換器の構成図である。
【図3】D/D変換器における各部のデータ値の一例を示す説明図である。
【図4】D/D変換器の出力データをグラフで示す説明図である。
【図5】この発明の第2の実施形態に係るD/D変換器における各部のデータ値の一例を示す説明図である。
【図6】D/D変換器の出力データをグラフで示す説明図である。
【図7】この発明の第3の実施形態に係るD/D変換器の構成図である。
【図8】D/D変換器における各部のデータ値の一例を示す説明図である。
【図9】D/D変換器の出力データをグラフで示す説明図である。
【図10】この発明の第4の実施形態に係るD/D変換器の構成図である。
【図11】D/D変換器における各部のデータ値の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0093】
10 傾斜磁場コイル駆動電源部 11 データ生成部 12 D/D変換器
13 D/A変換器 14 電流増幅部 121 端数処理部 122 減算部
123 積算部 124 加算部 125 遅延部
21 静磁場磁石 22 傾斜磁場コイル 24 寝台 24a 天板
25 寝台制御部 26a、26b、26c RFコイルユニット
27 送信部 28 選択回路 29 受信部
31 制御コンピュータ部 32 記憶部 33 表示部 34 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nビットのデジタルデータを生成するデータ生成部と、該生成されたNビットのデジタルデータをNビットより少ない上位Mビットのデジタルデータに変換するD/D変換器と、該変換された上位Mビットのデジタルデータをアナログデータに変換し、該アナログデータを励磁電流として出力するD/A変換器と、入力された前記励磁電流により傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイルと、を有する磁気共鳴イメージング装置において、
前記D/D変換器は、
前記データ生成部が前記Nビットのデジタルデータを生成したとき、該Nビットのデジタルデータの下位(N−M)ビットを切り捨てることにより、前記上位Mビットのデジタルデータに変換する端数処理部と、
前記端数処理部により切り捨てられた下位(N−M)ビットのデジタルデータを前記変換の度に積算し、該積算値が下位(N−M)ビットの最大値+1以上に達した時、積算値から前記下位(N−M)ビットの最大値+1を減算した後、新たに積算する積算部と、
前記積算値が下位(N−M)ビットの最大値+1以上に達し、その後に、前記データ生成部が前記Nビットのデジタルデータを生成し、前記端数処理部が前記Mビットのデジタルデータに変換したとき、該変換された前記上位Mビットのデジタルデータに数値1を加算する加算部と、
を有する
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
Nビットのデジタルデータを生成するデータ生成部と、該生成されたNビットのデジタルデータをNビットより少ない上位Mビットのデジタルデータに変換するD/D変換器と、該変換された上位Mビットのデジタルデータをアナログデータに変換し、該アナログデータを励磁電流として出力するD/A変換器と、入力された前記励磁電流により傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイルと、を有する磁気共鳴イメージング装置において、
前記D/D変換器は、
前記データ生成部が前記Nビットのデジタルデータを生成したとき、該Nビットのデジタルデータの下位(N−M)ビットを切り捨てることにより、前記上位Mビットのデジタルデータに変換する端数処理部と、
前記端数処理部により切り捨てられた下位(N−M)ビットのデジタルデータを積算し、該積算値が(N−M)ビットの最大値よりも小さい、予め決められた一定値以上に達した時、積算値から前記下位(N−M)ビットの最大値+1を減算した後、新たに積算する積算部と、
を有し、
前記端数処理部は、前記積算値が決められた一定値以上に達し、前記データ生成部が前記Nビットのデジタルデータを生成し、前記端数処理部が前記上位Mビットのデジタルデータに変換したとき、該変換された前記上位Mビットのデジタルデータに数値1を加算する加算部を有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
Nビットのデジタルデータを生成するデータ生成部と、該生成されたNビットのデジタルデータをNビットより少ない上位Mビットのデジタルデータに変換するD/D変換器と、該変換された上位Mビットのデジタルデータをアナログデータに変換し、該アナログデータを励磁電流として出力するD/A変換器と、入力された前記励磁電流により傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイルと、を有する磁気共鳴イメージング装置において、
前記D/D変換器は、
前記データ生成部が前記Nビットのデジタルデータを生成したとき、該Nビットのデジタルデータの下位(N−M)ビットを切り捨てることにより、前記上位Mビットのデジタルデータに変換する端数処理部と、
前記データ生成部が前記Nビットのデジタルデータを次に生成したとき、該次に生成された前記Nビットのデジタルデータに、前記端数処理部により切り捨てられた下位(N−M)ビットのデジタルデータを加算する加算部と、
を有する
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
Nビットのデジタルデータを生成するデータ生成部と、該生成されたNビットのデジタルデータをNビットより少ない上位Mビットのデジタルデータに変換するD/D変換器と、該変換された上位Mビットのデジタルデータをアナログデータに変換し、該アナログデータを励磁電流として出力するD/A変換器と、入力された前記励磁電流により傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイルと、を有する磁気共鳴イメージング装置において、
前記D/D変換器は、
前記データ生成部が前記Nビットのデジタルデータを生成したとき、該Nビットのデジタルデータの下位(N−M)ビットを切り捨てることにより、前記上位Mビットのデジタルデータに変換する端数処理部と、
前記データ生成部が前記Nビットのデジタルデータを次に生成したとき、該次に生成された前記Nビットのデジタルデータから、前記端数処理部により変換された前記上位Mビットのデジタルデータを減算する減算部と、
前記減算部が減算したとき、該減算された前記デジタルデータを積算し、該積算されたデジタルデータを前記端数処理部に出力する積算部と、
を有する
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記D/D変換器は、フィールドプログラマブルゲートアレイにより構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−142531(P2010−142531A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324946(P2008−324946)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】