説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】乱流や滞留の発生する可能性のある箇所の血管壁の3次元イメージングにおいて、所望のコントラストの画像を、アーチファクトを抑制しつつ高い品質で効率的に得る。
【解決手段】スライス非選択の反転RFパルスとスライス選択の反転RFパルスを組み合わせたダブルインバージョンパルスをプリパルスとして、非直交系サンプリング法を用いた3次元計測に組み合わせる。3次元計測として3次元FSE法を、非直交系サンプリング法としてハイブリッドラディアル法をそれぞれ適用し、1ブレード内のエコー信号を1回の励起RFパルスにより取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、核磁気共鳴(以下、「NMR」と略記する)現象を利用して被検体の検査部位の断層画像を得る磁気共鳴イメージング(以下、「MRI」と略記する)装置に関し、特に、乱流や滞留などが発生する箇所の血管壁のイメージングにおいて、血流アーチファクトを抑制し、画像コントラストを改善する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
虚血性疾患の予防及び進行の把握のために、プラーク、特に頚動脈に生じるプラークの診断は重要である。頚動脈は左右の喉に位置する動脈であり、大動脈弓から分岐した総頚動脈が、顎の下部分で脳内に向う内頚動脈と、表皮付近に向う外頚動脈に分岐する。この内頚動脈への分岐部は、プラークの好発部位とされている。この頚動脈のプラーク診断には、短時間で検査が終了する超音波による検査が用いられることが多い。
【0003】
最近、頚動脈のプラーク診断の手法として、MRIによる血管撮影方法(MRアンギオグラフィー)を用いるプラークイメージングが注目されつつある。これは、プラークイメージングが超音波検査と比べて空間分解能とコントラスト分解能に優れ、プラークの状態をより明瞭に描出できるとともに、撮影パラメータを変えることにより、多様なコントラストの画像を得ることができ、プラークの性状の評価に有効とされているためである。
【0004】
MRアンギオグラフィーの中でプラークイメージングに用いられる手法は、血管内の血液を低信号に描出し、血管壁を画像化するブラック・ブラッド法と呼ばれるものである。ブラック・ブラッド法にはSE(スピンエコー)法やFSE(ファストスピンエコー)法を用いるもの、これらとダブルインバージョンパルスとを併用するものなどがある(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
ダブルインバージョンパルスは、スライスを選択しないで印加する反転RFパルスとスライスを選択して印加する反転RFパルスとを組み合わせて血液の信号を消失させるものである。一方、このダブルインバージョンパルスを併用しないブラック・ブラッド法では、SE法やFSE法のエコー時間(TE)およびスライス厚を調整し、血管内の血液の信号を抑える。例えば、SE法の場合、スライス厚をΔx、血管内の血液の流速をvとすると、以下の式(1)を満たせば血管内を通過する血液は無信号となる。
【数1】

上記式(1)を満たすように、TEを長く、および/または、スライス厚を薄くすることにより、血管内の血液を低信号として描出するブラック・ブラッド画像を得ることができる。
【0006】
一般に、MRIでは、k空間(いわゆる「計測空間」といわれる空間)上の各格子点のエコー信号をサンプリングするに際し、周波数エンコード方向に平行なサンプリングを位相エンコード方向に繰り返す直交系(Cartesian)サンプリングを行う場合、位相エンコード量を変えながら繰り返しエコー信号をサンプリングする。このため、血流のように撮影中に位置が変化する対象を撮影する場合、印加した位相エンコード量に加えてランダムな位相変化がエコー信号に加わり、位相エンコード方向のフーリエ変換時に正しい位置に信号が配置されず、フローアーチファクトが生じる。
【0007】
このフローアーチファクト低減の1つの手法として心電/脈波同期撮影がある。心電/脈波同期撮影は、被検体から得られた周期的な生体信号をトリガ信号とし、トリガ信号を受信してから所定の時間間隔で撮影シーケンスと呼ばれる撮影手順を実行して、エコー信号を収集する撮影手法である。これによりエコー信号に含まれる動きの影響を揃え、体動やフローアーチファクトを低減する。特にプラークイメージングで撮影の対象となる動脈は、血流の流速が早く、また、拍動による血管壁の微細な動きの変化が大きいため、心電同期撮影の併用は効果的である。
【0008】
しかし、心電/脈波同期撮影は、撮影シーケンスの繰り返し時間(TR)が生体の生理的な周期に制約され、撮影パラメータの設定の自由度が低下する。例えば、T1強調画像を取得する場合、1.5TのMRI装置では、TRを500msec程度に設定することが望ましいとされる。しかし、心電同期撮影では、TRは、被検体の心周期のインターバルに同期させる必要があるため、900msec〜1secの範囲で設定することとなる。従って、心電同期撮影を併用する場合、T1強調画像に最適な撮影パラメータを設定することができず、正しいコントラストを得ることが難しい。
【0009】
心電/脈波同期撮影を行わず、体動やフローアーチファクトを低減するものとして、非直交系(Non−cartesian)サンプリング法が提案されている。非直交径サンプリング法として、例えば、ラディアル法(例えば、非特許文献2参照)、ハイブリッドラディアル法(例えば、非特許文献3参照)が知られている。
【0010】
ラディアル法は、計測空間の略一点(一般的には原点)を回転中心として回転角を変えながら放射状にサンプリングを行い、一枚の画像再構成に必要なエコー信号を得る技術である。このとき、回転角度毎に撮影が完結するため、体動やフローアーチファクトが生じにくくなる。更に、ラディアル法は放射状にサンプリングを行うことから、計測空間の中心部位が重複して計測され、加算効果によりアーチファクトが目立ちにくくなる。更に、アーチファクトが生じた場合でも、特定方向にサンプリングしていないため、アーチファクトが画像内に散らばり、直交系サンプリング法の撮影と比較してアーチファクトが目立たなくなる。このため、体動に対してロバストといわれる。
【0011】
また、ハイブリッドラディアル法は、ラディアル法に位相エンコードを組み合わせたもので、計測空間をサンプリング方向の異なる複数のブレードに分割してサンプリングし、ブレード内で位相エンコードを行う。ハイブリッドラディアル法は、ラディアル法の特性を有するとともに、一回の高周波磁場の印加で複数のエコー信号を取得するマルチエコー法のシーケンスに適用しやすいという特徴を持つ。なお、マルチエコー法としては、例えば、FSE法やエコープレナー法などが知られている。
【0012】
これらの非直交系サンプリングをプラークイメージングに用いることで、心電/脈波同期撮影を行わずにフローアーチファクトの少ない画像を得ることができる。
【0013】
なお、非直交系サンプリングで取得した計測データは、計測空間において、規則正しい格子点の座標に一致しない点に配置される。従って、これらの計測データから画像を再構成する場合は、グリッディングと呼ばれる補間処理を行う。グリッディングは、例えばSinc関数やKaiser−Bessel関数の補間用関数を用いて行う(例えば、非特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】O. P. Simonetti et. al., ”Black Blood” T2−weighted Inversion−Recovery MR Imaging of Heart, Radiology 199, 49(1996)
【非特許文献2】G. H. Glover et. al., Projection Reconstruction Techniques for Redution of Motion Effects in MRI, Magnetic Resonance in Medicine 28: 275−289 (1992)
【非特許文献3】James G. Pipe, Motion Correction With PROPELLER MRI: Application to Head Motion and Free−Breathing Cardiac Imaging, Magnetic Resonance in Medicine 42:963−969 (1999)
【非特許文献4】J. I Jackson et. al. , Selection of a Convolution Function for Fourier Inversion Using Gridding, IEEE Trans. Med. Imaging, vol.10, pp. 473−478, 1991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
頚動脈に生じるプラークといった血管の分岐部を含めた形態診断には、3次元画像が有用とされている。しかし、頚動脈の分岐部のような血管の走行方向が変化し、乱流や血液の滞留が発生しやすい領域では、ダブルインバージョンパルスを用いないブラック・ブラッド法では血液の信号を完全に低下できない場合がある。一方、ダブルインバージョンパルスを併用したブラック・ブラッド法では、上述のようにスライス非選択の反転RFパルスを使用するため、TR内に複数のスライス位置を撮影するマルチスライス法により3次元領域を撮像することは難しい。すなわち、スライス非選択の反転RFパルスによる磁化が回復するのを待ち、必要なスライス分撮影を繰り返す必要があり、撮影時間が長引く。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、乱流や滞留の発生する可能性のある箇所の血管壁の3次元イメージングにおいて、所望のコントラストの画像を、アーチファクトを抑制しつつ高い品質で効率的に得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、スライス非選択の反転RFパルスとスライス選択の反転RFパルスを組み合わせたダブルインバージョンパルスをプリパルスとして、非直交系サンプリング法を用いた3次元計測に組み合わせる。
【0018】
具体的には、静磁場中の被検体に傾斜磁場を与える傾斜磁場発生手段と、前記被検体内の原子核スピンに核磁気共鳴を起こさせる高周波磁場パルスを印加する高周波磁場送信手段と、前記被検体の撮影対象領域から核磁気共鳴により放出されるエコー信号を検出するエコー信号受信手段と、前記エコー信号受信手段で検出したエコー信号を用いて画像を再構成する演算を行う信号処理手段と、前記傾斜磁場発生手段、前記高周波磁場送信手段および前記エコー信号受信手段の動作を制御する制御手段と、を備える磁気共鳴イメージング装置であって、前記制御手段は、前記エコー信号が配置される計測空間を、当該計測空間のスライス方向の断面の原点を通る計測軌跡を有するブレードであって、前記断面の座標軸に対する前記計測軌跡の角度が互いに異なる複数のブレードに分割して計測するよう、前記傾斜磁場発生手段、高周波磁場送信手段およびエコー信号受信手段を制御するサンプリング制御手段と、1以上の予め定められた数の前記ブレード群の計測毎に、血液からの信号を抑圧するプリパルスを印加するプリパルス印加手段と、前記プリパルス印加後、当該ブレード群の、画像再構成用のエコー信号を計測データとして取得する計測データ取得手段と、を備え、前記計測データ取得手段は、1の前記高周波磁場パルス印加後に、前記ブレード群内の全エコー信号を取得することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、乱流や滞留の発生する可能性のある箇所の血管壁の3次元イメージングにおいて、所望のコントラストの画像を、アーチファクトを抑制しつつ高い品質で効率的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第一の実施形態のMRI装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】直交系サンプリングを適用したファストスピンエコー(FSE)法のパルスシーケンス図である。
【図3】直交系サンプリングを適用した2次元FSE法による計測空間充填を説明するための図である。
【図4】ハイブリッドラディアル法を適用した2次元FSE法のパルスシーケンス図である。
【図5】ハイブリッドラディアル法を適用した2次元FSE法による計測空間充填を説明するための図であり、(a)は1ブレードを、(b)は計測空間全体を示す。
【図6】ハイブリッドラディアル法を適用した3次元FSE法のパルスシーケンス図である。
【図7】ハイブリッドラディアル法を適用した3次元FSE法による計測空間を説明するための図である。
【図8】(a)〜(c)は、ダブルインバージョンパルスを用い、ブラック・ブラッド法を実現する原理を説明するための図である。
【図9】第一の実施形態の計測シーケンスのパルスシーケンス図である。
【図10】第一の実施形態の計測時の被検体と撮影スライスとの位置関係を説明するための図である。
【図11】第一の実施形態の画像再構成処理の処理フローである。
【図12】(a)は、第一の実施形態の計測シーケンスによる頚動脈のプラークイメージングの画像例で、(b)はそのMPR表示例である。
【図13】(a)、(b)は、従来法による頚動脈プラークイメージングの画像例である。
【図14】第一の実施形態の他の手法を説明するための図である。
【図15】(a)は、第二の実施形態の本計測シーケンスのパルスシーケンス図であり、(b)は、1ブレードへの充填順を説明するための図である。
【図16】(a)は、第二の実施形態の本計測シーケンスの他のパルスシーケンス図であり、(b)は、1ブレードへの充填順を説明するための図である。
【図17】(a)〜(c)は、各実施形態のスライスエンコード量と回転角との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<<第一の実施形態>>
以下、本発明を適用する第一の実施形態について説明する。以下、本発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
まず、本実施形態のMRI装置について説明する。図1は、本実施形態のMRI装置100の一例の全体構成を示すブロック図である。本図に示すように、本実施形態のMRI装置100は、NMR現象を利用して被検体1の断層画像を得るもので、静磁場発生系2と、傾斜磁場発生系3と、シーケンサ4と、送信系5と、受信系6と、情報処理系7と、を備える。
【0023】
静磁場発生系2は、被検体1の周りの空間にその体軸方向または体軸と直交する方向に均一な静磁場を発生させるもので、被検体1の周りに配置される永久磁石方式または常電導方式あるいは超電導方式の磁場発生手段により構成される。
【0024】
傾斜磁場発生系3は、X、Y、Zの3軸方向に巻かれた傾斜磁場コイル31と、それぞれの傾斜磁場コイルを駆動する傾斜磁場電源32とから成り、後述のシ−ケンサ4からの命令に従ってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源32を駆動することにより、X、Y、Zの3軸方向の成分を有する傾斜磁場パルスを被検体1に印加する。例えば、X、Y、Zのいずれかの1方向にスライス方向傾斜磁場パルス(Gs)を印加して被検体1に対するスライス面を設定し、残り2つの方向に位相エンコード方向傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード方向傾斜磁場パルス(Gf)を印加して、エコー信号にそれぞれの方向の位置情報をエンコードする。
【0025】
送信系5は、被検体1の生体組織を構成する原子の原子核スピンに核磁気共鳴を起こさせるために高周波磁場(RF)パルスを印加するもので、高周波発振器52と変調器53と高周波増幅器54と送信側の高周波コイル(送信コイル)51とを備える。高周波発振器53から出力された高周波パルスは、シーケンサ4からの指令によるタイミングで変調器53により振幅変調され、高周波増幅器54で増幅された後、被検体1に近接して配置された送信コイル51に供給され、被検体1にRFパルスとして印加される。
【0026】
受信系6は、被検体1の生体組織を構成する原子核スピンの核磁気共鳴により放出されるNMR信号(エコー信号)を検出するもので、受信側の高周波コイル(受信コイル)61と増幅器62と直交位相検波器63とA/D変換器64とを備える。送信コイル51から印加されたRFパルスによって誘起される被検体1の応答のエコー信号は、被検体1に近接して配置された受信コイル61で検出され、増幅器62で増幅された後、シーケンサ4からの指令によるタイミングで直交位相検波器63により直交する二系統の信号に分割され、それぞれがA/D変換器64でディジタル量に変換されて、受信信号として情報処理系7に送られる。
【0027】
シーケンサ4は、RFパルスと傾斜磁場パルスとを所定のパルスシーケンスに従って繰り返し印加する制御手段で、情報処理系7の制御で動作し、被検体1の断層画像のデータ収集に必要な種々の命令を送信系5、傾斜磁場発生系3、および受信系6に送る。パルスシーケンスは、計測の目的に従って予め作成され、プログラムおよびデータとして情報処理系7内の後述する記憶装置72等に格納される。
【0028】
情報処理系7は、MRI装置100全体の動作の制御、信号処理、画像再構成処理等を行うもので、CPU71、ROM、RAMなどの記憶装置72、光ディスク、磁気ディスク等の外部記憶装置73と、ディスプレイ等の表示装置74と、マウス、トラックボール、キーボード等の入力装置75とを備える。受信系6から受信信号が入力されると、CPU71が信号処理、画像再構成処理を実行し、その結果として得られる被検体1の断層画像を表示装置74に表示すると共に、記憶装置72または外部記憶装置73に記録する。また、情報処理系7は、予め記憶装置72等に格納されているパルスシーケンスに従って、シーケンサ4に指令を与える。
【0029】
なお、図1において、送信コイル51と受信コイル61と傾斜磁場コイル9とは、被検体1の周りの空間に配置された静磁場発生系2の静磁場空間内に設置されている。また、ここでは、送信コイル51と受信コイル61とを別個に設ける場合を例示しているが、これに限られない。例えば、1の高周波コイルで、両機能を兼用させるよう構成してもよい。
【0030】
以上の構成を有するMRI装置100は、撮影対象スピン種の密度の空間分布や、励起状態の緩和現象の空間分布を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮影する。なお、現在臨床で普及している撮影対象スピン種は、被検体の主たる構成物質であるプロトンである。
【0031】
特に、本実施形態のMRI装置100では、血流に乱流や滞留の発生する可能性のある箇所の血管壁を含む3次元領域を、所望のコントラストでフローアーチファクトを抑えつつ効率的に撮像する。本実施形態のMRI装置100では、上述のように予め定められ、記憶装置72に格納されるパルスシーケンスに従って各部を動作させることにより、このような血管壁を含む3次元領域の撮影を実現する。以下、この撮影を実現するパルスシーケンスについて説明する。
【0032】
本実施形態のパルスシーケンスの説明に先立ち、MRI装置100で取得する画像のコントラストについて説明する。
【0033】
受信系6から情報処理系7に送られてきた受信信号の信号強度Iは、以下の式(2)で示される。
【数2】

ここで、kは定数、ρはスピン密度(プロトン密度)、T1、T2は、それぞれ、組織の縦緩和時間および横緩和時間、TRはパルスシーケンスの繰り返し時間、TEはエコー時間である。
【0034】
この両緩和時間T1、T2が組織毎に異なるため、この差が画像コントラストになる。臨床診断上は、単一のコントラストの画像のみを用いるのではなく、同一部位において複数のコントラストの画像を取得し、それぞれの関係を考慮して病変部を診断する。コントラストの種類としては、T1強調、T2強調、プロトン密度強調などがある。
【0035】
式(2)から明らかなように、画像のコントラストは、TR、TEといった撮影時に設定される撮影パラメータに依存して変化する。T1強調画像を得る撮影では、TEによる寄与を少なくするためTEを短く設定し、かつ、TRによる緩和時間の差を出すためにTRを短めに設定する。例えば、1.5テスラのMRI装置では、TEを10msec程度、TRを500〜600msec程度とする設定が一般的である。一方、T2強調画像を得る撮影では、TRによる寄与を少なくするためにTRを長く設定し、かつ、TEによる緩和時間の差を出すためにTEを長めに設定する。例えば、1.5テスラのMRI装置では、TEを120msec程度、TRを6000msec程度とする設定が一般的である。
【0036】
このようなT1強調画像およびT2強調画像それぞれを効率よく得るために、本実施形態では、1回のRF励起で複数のエコー信号を取得するマルチエコー法の中の、FSE(Fast Spin Echo)法を画像取得のための撮影シーケンスに用いる。特に、本実施形態では、3次元領域を撮像するため、3次元FSE法を用いる。また、本実施形態では、心電/脈波同期撮影を用いず、フローアーチファクトを低減するため、非直交系サンプリング法を適用する。本実施形態では、非直交系サンプリング法の中でも、マルチエコー法に適用しやすいハイブリッドラディアル法を用いる。ハイブリッドラディアル法は、全計測を複数のブレードに分割し、各ブレードを異なるk空間の回転角で計測する。各ブレード内を、3次元FSE法の1回の励起で得られる複数のエコー信号で充填することで、効率的に計測を行う。さらに、血管内を流れる血液による乱流や滞留の影響を低減するため、3次元FSE法の各励起に先立ち、ブラック・ブラッド法のダブルインバージョンパルスを印加する。
【0037】
本実施形態に用いる3次元FSE法の説明に先立ち、一般のFSE法を説明する。図2は、FSE法のパルスシーケンス図である。本図において、RF、Gs、Gp、Gf、A/D、Echoはそれぞれ、RFパルス、スライス傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、周波数エンコード傾斜磁場、AD変換、エコー信号の軸を表す。また、ここでは、一例として、1回の励起RFパルス201について、6個のエコー信号210群を取得するFSEシーケンス200を示す。
【0038】
FSEシーケンス200では、まず、撮影面内のスピンに高周波磁場を与える励起RFパルス201とともに、スライス選択傾斜磁場パルス202を印加する。スライス選択傾斜磁場パルス202の印加直後にスライス選択傾斜磁場パルス202により拡散したスピンの位相を戻すためのスライスリフェーズパルス203を印加するとともに、エコー信号を生成させるために、予めスピンの位相を分散させておくために周波数ディフェーズ傾斜磁場パルス204を印加する。その後、スピンをスライス面内で反転するための反転RFパルス205を繰り返し印加するとともに、各反転RFパルス205の印加毎に、スライスを選択するスライス選択傾斜磁場パルス206、位相エンコード傾斜磁場パルス207、周波数エンコード傾斜磁場パルス208を印加し、サンプリングウインド209のタイミングで、エコー信号210を取得する。ここでは、上述のように、1回の励起RFパルス201について6個のエコー信号210群を取得するため、反転RFパルス205を6回印加する。なお、エコー信号210は、それぞれが、通常、128、256、512、1024個のサンプリングデータからなる時系列信号として取得される。
【0039】
また、FSE法による撮影では、このFSEシーケンス200を、時間間隔(TR)211毎に位相エンコード傾斜磁場パルス207群の面積を変えながら繰り返し、時間間隔212毎に画像に必要な全てのエコー信号210群を取得する。取得するエコー信号210の数は、通常1枚の画像あたり64、128、256、512等の値が選ばれる。1回のFSEシーケンス200の実行を、ショットと呼ぶ。
【0040】
図2に示すFSEシーケンス200で取得したエコー信号210群を計測空間301に配置した様子を図3に示す。本図において、矢印は1つのエコー信号210に対応し、矢印の向きがエコー信号210を走査した方向を示す。また、矢印の太さがエコー信号210の信号強度に対応する。ここでは、一例として、1回の励起RFパルス201で6個のエコー信号210群を取得し、これを8回繰り返すマルチショットのFSE法により計測空間301を充填する場合を例示する。
【0041】
FSEシーケンス200では、1回のショットで、エコー信号210群を上から下に(すなわち、−Kyから+Kyに向って)各ブロック302に1つずつシーケンシャルオーダで配置するよう位相エンコード傾斜磁場パルス307群を制御する。さらに、FSEシーケンス200を予め定められた回数(図3の場合は8回)繰り返す間に、各ブロック302に同じエコー時間時間の信号が配置されるよう位相エンコード傾斜磁場パルス207群を制御する。図3では、FSEシーケンス200で取得する各エコー信号のエコー番号を、各ブロック302の添え字として示す。すなわち、添え字が大きくなるほどエコー時間が長いエコー信号である。なお、計測空間の充填順は、位相エンコード傾斜磁場パルス群207の強度の変更法を変えることによって、変更することができる。
【0042】
なお、MRI画像のコントラストは、計測空間301の低空間周波数領域(Kx=0、Ky=0を中心として、その近傍)に配置されたエコー信号の影響を大きく受けて決定する。図3の場合、Ky方向の低空間周波数領域にはブロック302−3、302−4のエコー信号群210が配置されているので、画像のコントラストにはこれらエコー信号群210が取得された時点のコントラストが反映される。
【0043】
以上が、一般的なFSEシーケンス200の例である。次に、このFSE法に非直交径サンプリングを適用する場合のパルスシーケンスについて説明する。ここでは、上述のように、ハイブリッドラディアル法を適用し、1回の励起で得られるエコー信号群で、各ブレードを充填する。
【0044】
図4は、FSE法をハイブリッドラディアル法でサンプリングする場合のFSEシーケンス400のパルスシーケンス図である。上述のように、本実施形態では、3次元FSE法を用いる。しかし、ここでは、説明を簡単にするため、まず、2次元FSE法を例にあげて説明する。2次元FSE法に直交系サンプリング法を適用する図2に示すFSEシーケンス200との大きな違いは、位相エンコード傾斜磁場軸Gpと周波数エンコード傾斜磁場軸Gfとの区別が無いことである。なお、図4では便宜上、G1、G2軸として示す。また、ここでは、FSEシーケンス200と同様、1回のショットで6個のエコー信号群を取得する場合を例にあげて説明する。
【0045】
ハイブリッドラディアル法による撮影では、k空間を複数のブレード(単位領域)に分割し、各ブレードを異なるk空間の回転角で計測する。また、ブレード内で計測されるエコー信号に位相エンコードを付与する。ここでは、FSE法の1回の励起RFパルス201で取得するエコー信号410群でブレード502を充填する。従って、1ショット分のパルスシーケンスの基本的な構成はFSEシーケンス200と同様である。ブレード502の回転角で定まるブレード502内の位相エンコード方向に沿って、G1軸およびG2軸方向の傾斜磁場パルスを組み合わせ、位相エンコードパルスを所定の順序で印加する。
【0046】
本実施形態では、ブレード502内の読み出し方向と位相エンコード方向とをそれぞれKx’およびKy’とすると、エコー信号410が、−Ky’からKy’に向かって取得されるよう、G1軸およびG2軸に印加する傾斜磁場パルス407、408を制御する。図5(a)は、FSEシーケンス400を用いて取得した1つのブレード502のエコー信号410の配置を説明するための図である。ここでは、矢印は1つのエコー信号410に対応し、矢印の向きがエコー信号410を走査した方向を示す。また、矢印の太さがエコー信号410の信号強度と対応し、添え字がエコー番号に対応する。
【0047】
また、ハイブリッドラディアル法による撮影では、上述のように、各ブレードを異なるk空間の回転角で計測する。このため、時間間隔411毎にスライス面内の2軸(G1、G2軸)に印加する周波数ディフェーズ傾斜磁場パルス401および402、傾斜磁場パルス407および408の振幅を変えながらFSEシーケンス400を繰り返し実行し、時間間隔412で画像に必要な全てのエコー信号410群を取得する。このように制御することで、各ブレード502を、計測空間の略一点を中心として放射状に回転させる。
【0048】
図4に示すFSEシーケンス400を繰り返し、取得したエコー信号410群を計測空間501に配置した様子を図5(b)に示す。1回のFSEシーケンスの実行により得られたエコー信号はブレード502に配置される。502の添え字が時間間隔411毎のFSEシーケンス400の繰り返し回数に対応する番号(ショット番号)である。本図は、反時計回りに半周だけ回転し、8回の繰り返しで計測空間501を走査するようにFSEシーケンス400を制御した場合の例である。また、各ブレード502内で、矢印は1つのエコー信号410に対応し、矢印の向きがエコー信号410を走査した方向を示し、矢印の太さがエコー信号410の信号強度に対応する。
【0049】
このように、ハイブリッドラディアル法によれば、再構成画像の画質に与える影響の大きい計測空間の中心付近に、各ブレード502で取得した全てのエコー信号410が配置される。これにより、加算平均効果が得られ、エコー信号取得時点の体動(フローを含む)の影響が平均化されて、目立ちにくくなる。
【0050】
次に、本実施形態で用いる、3次元FSE法にハイブリッドラディアル法を適用した場合のパルスシーケンスについて説明する。3次元FSE法にハイブリッドラディアル法を適用する場合のパルスシーケンスは、基本的に図4に示す2次元FSE法にハイブリッドラディアル法を適用するものと同様である。ただし、3次元FSE法では、励起RFパルス201の印加時にスライス選択を行わない(非選択励起)か、或いはスライス方向に比較的厚さのある領域(スラブ)を選択するスライス傾斜磁場を印加する。そして、スライス方向の傾斜磁場Gsにも位相エンコード方向と同様な位相変化を与え、3次元フーリエ変換演算によってスライス方向も画素を分解する。
【0051】
図6は、本実施形態の3次元FSE法にハイブリッドラディアル法を適用する場合のFSEシーケンス600のパルスシーケンス図である。ここでは、スラブ選択励起の場合を示す。ハイブリッドラディアル法を2次元FSE法に適用するFSEシーケンス400との違いは、反転RFパルス205の印加毎に、スライスを選択するスライス選択傾斜磁場パルス206と、当該スライス選択傾斜磁場パルス206の前に印加されるスライスエンコード傾斜磁場パルス601と、スライス選択傾斜磁場パルス206の後に印加され、スライスエンコード傾斜磁場パルス601をリフォーカスするリフォーカス傾斜磁場パルス602とをスライス選択傾斜磁場パルス206の印加軸と同軸方向に印加する点である。他の構成は基本的にFSEシーケンス400と同様である。すなわち、時間間隔611毎にスライス面内の2軸(G1、G2軸)に印加する周波数ディフェーズ傾斜磁場パルス401および402、傾斜磁場パルス407および408の振幅を変えながらFSEシーケンス600を繰り返し実行し、時間間隔612で画像に必要な全てのエコー信号610群を取得する。ここでは、図4同様、1回のショットで6個のエコー信号群を取得する場合を例示する。
【0052】
図7は、3次元FSE法にハイブリッドラディアル法を適用した場合の計測空間701を説明するための図である。ここで、Kzはスライスエンコード方向であり、Ky、Kxは、Kzに直交する面内の直交する2方向である。本図において702は、Ky−Kx面でハイブリッドラディアル法によりサンプリングされる領域であり、その添え字は、Kz方向のサンプリング、すなわち、Kz方向のスライスエンコードに対応する。ここではスライスエンコード数を12とした場合を示す。
【0053】
さらに、上述のように、本実施形態では、乱流や滞留が発生するために血流の速度や方向が一定でない部位の血管壁を、血液の信号を抑えて撮影するため、ダブルインバージョンパルスを併用したブラック・ブラッド法を用いる。ここで、ダブルインバージョンパルスを用いるブラック・ブラッド法について、説明する。
【0054】
図8は、ダブルインバージョンパルスを用い、ブラック・ブラッド法を実現する原理を説明するための図である。図8(a)は、ダブルインバージョンパルスをプリパルスとして用いる場合のパルスシーケンス図であり、図8(b)は、図8(a)に示すパルスシーケンスに従った磁化の変化の様子を示す図であり、図8(c)は、MRI装置100の計測領域に対応づけて説明するための図である。
【0055】
図8(a)および図8(c)に示すように、ダブルインバージョンパルス810は、非選択反転RFパルス811および選択反転RFパルス812の2つの反転RFパルスからなる。本図に示すように、まず、非選択反転RFパルス811で、被検体1の周りの、MRI装置100で計測可能な空間841内の磁化を全て反転させる。続いて、選択反転RFパルス812で撮影スライス843を含む領域842内の磁化の反転を元に戻す。その後、一定時間おいて本計測シーケンス820の励起RFパルス821で、撮影スライス843の磁化を励起する。
【0056】
このとき、非選択反転RFパルス811で励起された磁化は、図8(b)に示す磁化緩和曲線834に従って緩和する。ここで、選択反転RFパルス812で再反転され磁化のうち、静止組織の磁化を831、血液の磁化を832とする。非選択反転RFパルス812の印加後、撮影スライス843内の静止組織及び血液の磁化は再反転される。撮影スライス843外の磁化は、磁化緩和曲線834に従って緩和する。この時、血液は、本計測シーケンス820開始までの間に撮影スライス843から流出し、その代わり、選択反転RFパルス812を受けてない血液が撮影スライス843内に流入する。この血液の磁化は、前述したように非選択反転RFパルス811のみで励起された状態から、磁化緩和曲線834に従って緩和しているため、非選択反転RFパルス811の印加から、磁化緩和曲線834に従って磁化が緩和し、0になる点(Null Point)833までの時間を、非選択反転パルス811と本計測シーケンス820の励起RFパルス821との印加間隔TIと等しく設定すれば、本計測シーケンス820時には血液の信号を消失させることができ、ブラック・ブラッド画像を得ることができる。
【0057】
本実施形態では、図6に示すFSEシーケンス600が図8(a)に示す本計測シーケンス820となる。すなわち、FSEシーケンス600の実行毎に、その励起RFパルス201の印加TI時間前に、図8(a)に示すダブルインバージョンパルス810を印加する。図9は、本実施形態の1ショット分の計測シーケンス900のパルスシーケンス図である。なお、ここでは、RFパルスのみ抽出して示す。本図に示すように、本実施形態では、非選択反転RFパルス811と、選択反転RFパルス812とからなるダブルインバージョンパルス810をこの順に印加し、Null point833から1ショット分のFSEシーケンス600を開始する。1ショット分の計測シーケンス900の実行時間である時間間隔(TR)911毎に、スライス面内の2軸(G1、G2軸)に印加する周波数ディフェーズ傾斜磁場パルスおよび傾斜磁場パルスの振幅を変えながら、計測シーケンス900を繰り返し実行し、時間間隔912で画像に必要な全てのエコー信号群を取得する。
【0058】
なお、1.5TのMRI装置100でダブルインバージョンパルス810を用いて血液の信号を消失させる(Nullにする)場合、TIは500msec程度となる。従って、計測シーケンス900の繰り返し時間(TR)911を〜600msec程度に設定することができ、コントラストの良いT1強調画像を得ることができる。
【0059】
ここで、実際の撮影時の本実施形態の計測シーケンス900実行時の撮影スライスおよびスライスエンコード方向の設定について説明する。図10は、本実施形態の計測シーケンス900実行時の被検体1と撮影スライス843との位置関係を説明するための図である。本図において、左右方向がA−P(Anterior−Posterior)、上下方向がH−F(Head−Foot)、紙面に垂直な方向がR−L(Right−Left)である。ここでは、乱流や滞留の発生する可能性のある箇所の一例として、内頚動脈の分岐部を示す。本図に示すように、総頚動脈1001は、分岐部において、内頚動脈1002と外頚動脈1003とに分岐する。血液は、総頚動脈1001内を図の下から上方向に流れる。本実施形態では、効果的に血液信号を消失させるため、撮影スライス843を総頚動脈1001の分岐部を含む横断面とし、計測シーケンス900のスライスエンコード方向を総頚動脈1001の走行方向に略平行になるよう設定する。
【0060】
次に、以上説明した本実施形態の計測シーケンス900により図7のように計測空間に充填されたエコー信号(非直交系計測データ)610群から画像を再構成する手順について説明する。図11は、本実施形態の計測シーケンス900により取得されたエコー信号群から画像を再構成する画像再構成処理の処理フローである。まず、これらの非直交系計測データ610群に対し、ブレード502毎に、非特許文献4に開示されている手法等を用い、グリッディングを行い(ステップS1101)、格子点上の計測データを算出し、直交系計測データ620群を作成する。グリッディングは、エコー信号610毎に実行可能であるが、上述のように、1ショットで1のブレード502の全データを取得する場合は、ブレード502内のエコー信号群610を取得する毎に行うと効率が良い。そして、全てのブレード502についてグリッディングを終えると(ステップS1002)、グリッディング後の直交系計測データ620群に対し、直交系サンプリング法の場合と同様に3次元フーリエ変換処理を施し(ステップS1003)、3次元再構成画像630を得る。
【0061】
以上説明したように、本実施形態では、非直交系サンプリングの中で、複数のエコー信号からなるブレード毎にサンプリング方向を回転させるハイブリッドラディアル法を3次元FSE法に適用して画像再構成用のデータを取得する。従って、フローアーチファクトを抑えた画像であって、血管壁診断に有用な3次元領域の画像を短時間に効率よく得ることができる。また、本実施形態では心電同期は併用しないため、シーケンスの繰り返し時間TRを含む各種の撮影パラメータを、生体周期の制約無しにそれぞれの所望のコントラストが得られる最適な値に設定できる。さらに、各ブロックの計測前にダブルインバージョンパルスを印加し、血液からの信号を抑制する。従って、本実施形態によれば、乱流や滞留が発生するような箇所、例えば、頚動脈の分岐部などを対象としたプラークイメージングにおいて、所望のコントラストの画像を、高い品質で効率よく取得することができる。
【0062】
また、本実施形態では、3次元FSE法を用いるため、スライスの励起厚さ(スラブ厚)が厚くなる。この分SNRが増加するため、撮影視野(FOV)を縮小したり、スライス厚を薄くすることができ、空間分解能の高い頚動脈プラークイメージングを実現できる。
【0063】
また、本実施形態では、3次元撮影を行うため、例えば、スライスエンコード方向に計測空間で0詰めをして、スライスエンコード数よりも多くのスライス枚数となるように再構成することができる。この場合、補間の効果によってスライス方向のピクセルサイズを細かくできる。このように構成することで、さらに空間分解能の高い画像を得ることができる。
【0064】
図12(a)は本実施形態の計測シーケンス900で取得した頚動脈のプラークイメージングの画像例である。スライス厚3.0mm、スライスエンコード数16、再構成スライス枚数32枚で作成した画像から、総頚動脈1001の分岐部(内頚動脈分岐部)を含むスライスを抜粋して示す。また、対比例として図12(a)と同じ部位を撮影した図13(a)および図13(b)を示す。図13(a)は、SE法に直交系サンプリング法を適用した場合の例であり、図13(b)は、SE法に非直交系サンプリング法を適用した場合の例である。
【0065】
図13(a)では、心電同期を使用せず、直交系サンプリング法を適用しているため、矢印で示す内頚動脈分岐部の近辺に、血管内の血流に起因するフローアーチファクトが生じている。図13(b)では、心電同期を使用していないが非直交系サンプリング法を適用しているため直交系サンプリング法の場合に生じていた血流に起因するフローアーチファクトが生じていない。しかし、ダブルインバージョンパルスを使用していないため、内頚動脈分岐部に、乱流と思われる血流の信号が残っている。一方、図12(a)に示す画像例は、図13(a)、(b)に示す従来例と比べると、フローアーチファクトはもちろん、内頚動脈分岐部における乱流による血液の信号残りも発生していないことがわかる。
【0066】
図12(b)に、本実施形態の計測シーケンス900で取得した3次元の画像を、頚動脈に沿ってMPR(Multi−Planar Reconstruction)表示した例を示す。本図に示すように、総頚動脈1001が分岐部で内頚動脈1002と外頚動脈1003とに分岐していることが明確になっていることがわかる。
【0067】
なお、本実施形態において、プリサチュレーションパルスを撮影スラブの上下に配置するよう構成してもよい。図14は、撮影領域843の上下に2つの領域1401および1402にプレサチュレーションパルスを印加する例である。これらの領域にプレサチュレーションパルスを印加し、これらの領域に存在する血液の磁化を抑制することにより、本計測時に撮影スライス843内に流入する血液信号をさらに抑制することができる。また、撮影領域外に存在する折り返される信号が低減されるため、スライスエンコード方向の撮影視野の折り返しを抑制できる。
【0068】
なお、上記実施形態では、非直交系サンプリング法として、ハイブリッドラディアルサンプリング法を用いる場合を例にあげて説明したが、非直交系サンプリング法はこれに限られない。例えば、ラディアルサンプリング法であってもよい。ラディアルサンプリング法を用いる場合は、例えば、FSE法の各反転RFパルス205の印加毎に印加する、位相エンコード傾斜磁場パルスおよび周波数エンコード傾斜磁場パルスの大きさの比率を変化させて計測を繰り返す。
【0069】
<<第二の実施形態>>
次に、本発明を適用する第二の実施形態を説明する。本実施形態のMRI装置は基本的に第一の実施形態と同様の構成を有する。ただし、撮影時の本計測シーケンス820に用いる計測シーケンスにおいて、位相エンコードパルスの印加順序が異なる。以下、本実施形態の計測シーケンスについて、第一の実施形態と異なる構成に主眼をおいて説明する。
【0070】
非直交系サンプリング法では、計測空間701のKy−Kx面の中心部分を繰り返しサンプリングする。例えば、ラディアルサンプリング法では、画像のコントラストを決定する計測空間701のKy−Kx面の中心部を全てのエコー信号が通るように配置される。しかし、ハイブリッドラディアル法では、ブレード単位で計測し、ブレード内では位相エンコードに従ってエコー信号が配置される。このため、ハイブリッドラディアル法を用いる場合、画像のコントラストは、各ブレード内でのエコー信号の取得順序に影響を受ける。従って、各ブレード内で、計測空間701のKy−Kx面の中心近傍に、エコー時間の短いエコー信号を配置することにより、より良いコントラストの画像を得ることができる。
【0071】
図15(a)は、本実施形態の本計測シーケンスに820に用いるFSEシーケンス1500のパルスシーケンス図である。FSEシーケンス1500は基本的に第一の実施形態のFSEシーケンス600と同様である。ただし、エコー信号1510取得時の位相エンコードに用いる傾斜磁場パルス1507および1508の印加順序が異なる。上述のように、FSEシーケンス600では、各ブレード502内で−Ky‘〜+Ky’(即ち、図の上から下へ)に向かってエコー信号610が取得されるよう傾斜磁場パルス407および408が制御される。
【0072】
一方、本実施形態のFSEシーケンス1500では、各ブレード1502内で位相エンコード方向の中心(Ky‘=0)付近から交互に外側へ向かって、エコー信号を取得し、いわゆるセントリックオーダでブレード1502に配置するよう傾斜磁場パルス1507および1508の印加順序を制御する。本実施形態のFSEシーケンス1500により取得した1つのブレード1502内のエコー信号1510の配置を図15(b)に示す。
【0073】
ここで、エコー信号1510の添え字は、エコー番号である。すなわち、添え字が大きくなるほどエコー時間が長いエコー信号である。エコー信号1510は、その添え字の順に取得されて各ブレード1502内に配置される。具体的には、位相エンコード量が0のエコー信号1510−1が取得され、次いで位相エンコードステップが1つ異なるエコー信号1510−2と1510−3が取得され、更に位相エンコードステップが2つ異なるエコー信号1510−4と1510−5が取得される。この制御を繰り返し、最終的に1のブレード1502内の全てのエコー信号1510が取得され、計測空間701に配置される。
【0074】
このようにエコー信号1510を取得し、配置することにより、本実施形態のFSEシーケンス1500によれば、各ブレード502’内において、位相エンコード方向の中心近傍に、最もエコー時間の短いエコー信号1510−1が配置される。そして、順次エコー時間の増加に伴って、位相エンコード方向の中心から遠ざかる位置に配置される。これにより、画像のコントラストを決定する最も重要な領域にエコー時間の短いエコー信号を配置でき、コントラストがより向上する。
【0075】
なお、本実施形態においても、ダブルインバージョンパルス810の印加後、上記各実施形態と同様のTI後、上記FSEシーケンス1500を実行し、これを予め定められた時間間隔(TR)1511毎に、スライス面内の2軸(G1、G2軸)に印加する周波数ディフェーズ傾斜磁場パルスおよび傾斜磁場パルスの振幅を変えながら繰り返し実行し、時間間隔1512で画像に必要な全てのエコー信号1510群を取得し、計測空間701に充填する。
【0076】
また、計測空間に充填されたエコー信号1510群からの画像再構成手順も上記第一の実施形態と同様である。すなわち、各ブレード1502毎に、計測データとして得られたエコー信号1510群をグリッディング後、3次元フーリエ変換を行い、再構成画像を得る。
【0077】
従って、本実施形態によれば、第一の実施形態と同様の効果が得られるだけでなく、ハイブリッドサンプリング法の位相エンコード順を上記順序にしているため、よりコントラストの良い画像を得ることができる。
【0078】
なお、上記実施形態では、コントラストに影響の大きい、各ブレード1502内の、位相エンコード方向の中心近傍に最もエコー時間の短いエコー信号1510−1を配置するため、セントリックオーダでエコー信号1510を配置するよう傾斜磁場パルス1507および1508の印加順序を制御している。しかし、印加順序の制御はこれに限られない。
【0079】
図16に、本計測シーケンス820に用いる他のFSEシーケンスであって、各ブレード内の位相エンコード方向の中心近傍に最もエコー時間の短いエコー信号を配置する他のFSEシーケンス1600の一例を示す。図16(a)は、本計測シーケンス820に用いるFSEシーケンス1600の1ショット分のパルスシーケンス図であり、図16(b)は、1ブレード1602内のエコー信号1610の配置順を説明するための図である。
【0080】
FSEシーケンス1600は、ハイブリッドラディアル法を3次元FSE法に適用したものであり、基本的にFSEシーケンス600と同様である。ただし、エコー信号取得時の位相エンコードパルスの印加順序が異なる。
【0081】
FSEシーケンス1600では、各ブレード1602内で、位相エンコード方向の中心(Ky‘=0)から+Ky’方向へ取得し、いわゆるシーケンシャルオーダで計測空間701に配置するよう位相エンコード傾斜磁場パルス1607と1608とを制御する。図16(b)において、エコー信号1610の添え字は、エコー番号である。従って、エコー信号1610はその添え字の順に取得され、各ブレード1602に配置される。具体的には、まず位相エンコード量が0のエコー信号1610−1が取得され、その後、位相エンコードステップを1つずつ増加させ、エコー信号1610−2〜1610−6が取得される。
【0082】
このようにエコー信号1610を取得することで、各ブレード1602内において、位相エンコード方向の中心近傍に最もエコー時間の短いエコー信号1610−1が配置され、順次エコー時間の増加に伴って中心から遠ざかる位置に配置される。
【0083】
なお、FSEシーケンス1600によれば、各ブレード1602内では、位相エンコード方向の中心(Ky‘=0)をはさんで片側のみが計測され、エコー信号1610が充填される。また、位相エンコードステップが同じであれば、最も外側のエコー信号1610の配置される位置の、中心(Ky‘=0)からの距離は、FSEシーケンス1500による計測の場合よりも長くなる。この様に、非対称に計測する場合、直交系サンプリングでは、非計測領域にデータが配置されないため、空間分解能の低下やトランケーションアーチファクトの原因となる。しかし、非直交系サンプリングでは、計測空間を回転させてデータを取得するため、非対称に計測されたブレードが回転し、結果として計測空間のほぼ全域を埋めることができる。このため、前記問題が生じにくい。従って、FSEシーケンス1600を本計測シーケンス820に用いることにより、上記FSEシーケンス1500を用いる場合と同様の効果を得ることができる。
【0084】
なお、上記各実施形態では、ハイブリッドラディアル法のブロック内のエコー数およびブロック数を説明を簡単にするため、それぞれ6および8の場合を例示しているが、これに限られない。ブロック数およびブロック内のエコー数は任意に設定可能である。
【0085】
また、上記各実施形態では、ハイブリッドラディアル法の実施形態として、Gr軸およびGp軸で規定される二次元面内で計測空間の回転を行う場合を例にあげて説明した。このGr軸、Gp軸は、撮影空間のX、Y、Zの任意の軸と対応させることが可能である。また、撮影空間のこれらの軸に対応させず、オブリーク撮影やオフセンター撮影を行うよう構成してもよい。
【0086】
なお、上記各実施形態では、FSEシーケンス600、FSEシーケンス1500、FSEシーケンス1600といった3次元計測に非直交系サンプリング法を組み合わせた撮影シーケンスを本計測シーケンス820に用いる。このような3次元計測に非直交系サンプリング法を組み合わせた撮影シーケンスでは、スライス方向のエンコーディングとサンプリング時の撮影スライス内の回転角の更新とについて、シーケンスの繰り返し毎にいずれを先に行うよう構成してもよい。この順序を最適化することにより、血液の信号を効果的に低下させるとともに、アーチファクトを低減できる。
【0087】
図17は、3次元計測に非直交系サンプリング法を組み合わせた撮影シーケンスの、スライス方向のエンコード傾斜磁場パルスの印加量(スライスエンコード)Gsと、非直交系サンプリングの回転角θとの関係を示す図である。なお、非直交系サンプリングの回転各θは、計測空間701のKy−Kx面における、所定の方向からの角度である。また、本図において、各番号の添え字は、シーケンスで計測する順序に対応する。
【0088】
図17(a)は、各回転角θについて、スライスエンコードGsを先に取得する場合である。まず回転角θが0°とし、スライスエンコード傾斜磁場パルスを+Gから−Gまで変化させて6つのデータ列1701−1を取得する。次いで、回転角を1ステップ変化させ(0°+Δθ)、同様にスライスエンコード傾斜磁場パルスを変化させ、次のデータ列1701−2を取得する。順次この操作を繰り返して全てのデータ列1701−1〜1701−Iを得る。
【0089】
ハイブリッドラディアル法では、各回転角度θで取得したエコー信号を用いて、低空間分解能の画像を作成して体動補正を行うこともできる。従って、図17(a)に示す順序でエコー信号を取得すると、計測空間において、回転角θ毎に画像再構成に必要なスライス方向の計測データが先に揃うため、同じ回転角θで取得したエコー信号間で体動の影響が少なくなるとともに、順次体動補正が実施でき、効率が良い。
【0090】
図17(b)は、各スライスエンコードGsについて、回転角方向のスキャンを先に行う場合である。まず、スライスエンコード量を+Gsとし、回転角θを0°から所定の角度(例えば180°)まで変化させてデータ列1702−1を取得する。次いで、スライスエンコード量を1ステップ変化させ、次のデータ列1702−2を取得する。順次この操作を繰り返して全てのデータ列1702−1〜1702−6を得る。
【0091】
この様に計測すると、各データ列1702の計測時間が長くなる。例えば、比較的シーケンスの繰り返し時間(TR)が短く設定されるT1強調画像を取得する場合でも、その繰り返し時間(TR)は500〜600msec程度である。このため、本図の例のように18回ほど回転各θを変化させて一列分のデータ1702を得るためには、数十秒の計測時間が掛かる。従って、血流からの信号に周期が1秒〜数秒の拍動の影響が含まれても、スライスエンコードGsのステップの更新時間の数十秒からみれば、ランダムなタイミングで取得されることになり、ディフェーズ効果により、血液からの信号をより低信号にできる。
【0092】
図17(c)は、図17(b)と同様に、各スライスエンコードGsについて、回転角方向のスキャンを先に行う他の例である。ただし、スライスエンコード量の印加順序が図17(b)の場合と異なる。まず、スライスエンコード量0のデータ列1703−1を取得し、次いでスライスエンコード量を1ステップ変えて、次のデータ列1703−2を取得する。次に、スライスエンコード量をそのままとし、傾斜磁場極性を変えてデータ列1703−3を取得する。その後、スライスエンコード量を更に1ステップ変えて、データ列1703−4を取得し、スライスエンコード量を維持して傾斜磁場極性を変えてデータ列1703−5を取得する。順次、スライスエンコード量を1ステップ変化させてデータ列を取得後、傾斜磁場極性を変えてデータ列を取得する操作を繰り返して、全てのデータ列1703−1〜1703−6を得る。
【0093】
この様に計測することにより、画像の全体的な形状の情報を含む、低空間周波数領域のデータを先に取得でき、体動アーチファクトの影響を少なくできる。
【0094】
なお、図17において、回転角θで示す点には、ラディアル法を用いる場合、1つのエコー信号が含まれ、ハイブリッドラディアル法を用いる場合、回転角θに平行な複数のエコー信号が含まれる。さらに、ここでは例示していないが、スライスエンコード量の印加順序と回転角の更新順序とを完全にランダムにするよう構成してもよい。
【0095】
以上が、本発明を適用する具体的な実施形態である。しかし、本発明は、以上の各実施形態で開示された内容にとどまらず、本発明の趣旨を踏まえた上で各種形態を取り得る。
【符号の説明】
【0096】
1:被検体、2:静磁場発生系、3:傾斜磁場発生系、4:シーケンサ、5:送信系、6:受信系、7:情報処理系、31:傾斜磁場コイル、32:傾斜磁場電源、51:送信コイル、52:高周波発振器、53:変調器、54:高周波増幅器、61:受信コイル、62:増幅器、63:直交位相検波器、64:A/D変換器、71:CPU、72:記憶装置、73:外部記憶装置、74:表示装置、75:入力装置、100:MRI装置、200:FSEシーケンス、201:励起RFパルス、202:スライス選択傾斜磁場パルス、203:スライスリフェーズパルス、204:周波数ディフェーズ傾斜磁場パルス、205:反転RFパルス、206:スライス選択傾斜磁場パルス、207:位相エンコード傾斜磁場パルス、208:周波数エンコード傾斜磁場パルス、209:サンプリングウインド、210:エコー信号、211:時間間隔(TR)、212:時間間隔、301:計測空間、302:ブロック、400:FSEシーケンス、401:周波数ディフェーズ傾斜磁場パルス、402:周波数ディフェーズ傾斜磁場パルス、407:傾斜磁場パルス、408:傾斜磁場パルス、410:エコー信号、411:時間間隔(TR)、412:時間間隔、501:計測空間、502:ブレード、600:FSEシーケンス、601:スライスエンコード傾斜磁場パルス、602:リフォーカス傾斜磁場パルス、610:エコー信号、620:直交系計測空間データ、630:画像、701:計測空間、702:サンプリング領域、810:ダブルインバージョンパルス、811:非選択反転RFパルス、812:選択反転RFパルス、812:領域、820:本計測シーケンス、831:静止組織の磁化、832:血液の磁化、833:Null Point、841:空間、843:撮影スライス、900:計測シーケンス、911:時間間隔、912:時間間隔、1001:頚動脈、1002:内頚動脈、1003:外頚動脈、1401:領域、1402:領域、1500:FSEシーケンス、1502:ブレード、1507:傾斜磁場パルス、1508:傾斜磁場パルス、1510:エコー信号、1600:FSEシーケンス、1602:ブレード、1607:傾斜磁場パルス、1608:傾斜磁場パルス、1610:エコー信号、1701:データ列、1702:データ列、1703:データ列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静磁場中の被検体に傾斜磁場を与える傾斜磁場発生手段と、前記被検体内の原子核スピンに核磁気共鳴を起こさせる高周波磁場パルスを印加する高周波磁場送信手段と、前記被検体の撮影対象領域から核磁気共鳴により放出されるエコー信号を検出するエコー信号受信手段と、前記エコー信号受信手段で検出したエコー信号を用いて画像を再構成する演算を行う信号処理手段と、前記傾斜磁場発生手段、前記高周波磁場送信手段および前記エコー信号受信手段の動作を制御する制御手段と、を備える磁気共鳴イメージング装置であって、
前記制御手段は、
前記エコー信号が配置される計測空間を、当該計測空間のスライス方向の断面の原点を通る計測軌跡を有するブレードであって、前記断面の座標軸に対する前記計測軌跡の角度が互いに異なる複数のブレードに分割して計測するよう、前記傾斜磁場発生手段、高周波磁場送信手段およびエコー信号受信手段を制御するサンプリング制御手段と、
1以上の予め定められた数の前記ブレード群の計測毎に、血液からの信号を抑圧するプリパルスを印加するプリパルス印加手段と、
前記プリパルス印加後、当該ブレード群の、画像再構成用のエコー信号を計測データとして取得する計測データ取得手段と、を備え、
前記計測データ取得手段は、1の前記高周波磁場パルス印加後に、前記ブレード群内の全エコー信号を取得すること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記計測データ取得手段は、前記スライス方向に傾斜磁場を印加して前記エコー信号に当該スライス方向のエンコードを付与する3次元計測により、前記エコー信号を取得すること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記各ブレードは、前記原点を通る計測軌跡に平行な複数の計測軌跡を備え、
前記プリパルス印加手段は、前記1のブレードの計測毎に前記プリパルスを印加すること、
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
請求項3記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記計測データ取得手段は、最もエコー時間の短いエコー信号を前記各ブレード内の前記原点を通る計測軌跡上に配置すること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
請求項4記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記計測データ取得手段は、前記エコー信号をセントリックオーダで配置すること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
請求項4記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記計測データ取得手段は、前記エコー信号をシーケンシャルオーダで配置すること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
請求項1から6いずれか1項記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記プリパルスは、領域を選択せずに印加する非選択高周波磁場パルスと、当該非選択高周波磁場パルスの印加後に印加する前記撮影対象領域を選択して印加する選択高周波磁場パルスとを備え、
前記計測データ取得手段は、前記プリパルス印加手段が前記非選択高周波磁場パルスを印加後、血液信号の強度が0となる時間後に計測を開始すること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
請求項1から7いずれか1項記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記撮影対象領域は、血流に乱流および/または滞留が発生する可能性のある血管壁であり、
前記スライス方向は、前記撮影対象領域の血管の走行方向に設定すること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
請求項8記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記撮影対象領域は、分岐部を含む頚動脈であること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記計測軌跡の角度は、前記スライス方向の全エンコードを付与する毎に変化させること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記スライス方向のエンコードは、前記サンプリング制御手段により分割された全ブレードの計測を終える毎に、印加する傾斜磁場を変化させて付与すること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項12】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記スライス方向のエンコードは、前記サンプリング制御手段により分割された全ブレードの計測を終える毎に、印加する傾斜磁場の印加量と極性とを交互に変化させて付与すること
を特徴とする磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−246596(P2010−246596A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96079(P2009−96079)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【出願人】(507148456)学校法人 岩手医科大学 (19)
【Fターム(参考)】