磁気共鳴イメージング装置
【課題】MRSを用いた検査時間の無駄を好適に省くことができる磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【解決手段】磁気共鳴イメージング装置は、スペクトル収集手段と、表示手段とを備える。スペクトル収集手段は、静磁場中の被検体に対して高周波パルスおよび傾斜磁場パルスを印加することによって、前記被検体内の対象領域に存在する代謝産物からの磁気共鳴信号の周波数スペクトルを収集する。表示手段は、前記周波数スペクトルの収集の途中における周波数スペクトルを表示する。
【解決手段】磁気共鳴イメージング装置は、スペクトル収集手段と、表示手段とを備える。スペクトル収集手段は、静磁場中の被検体に対して高周波パルスおよび傾斜磁場パルスを印加することによって、前記被検体内の対象領域に存在する代謝産物からの磁気共鳴信号の周波数スペクトルを収集する。表示手段は、前記周波数スペクトルの収集の途中における周波数スペクトルを表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の原子核スピンをラーモア周波数の高周波(RF: radio frequency)信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生する核磁気共鳴(NMR:nuclear magnetic resonance)信号から画像を再構成する磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置に係り、特に、MRS(Magnetic Resonance Spectroscopy)を用いて被検体内に存在する代謝産物からの磁気共鳴信号の周波数スペクトルを収集することが可能な磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージングは、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数のRF信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生するNMR信号から画像を再構成する撮像法である。
【0003】
近年、疾病の早期診断(特に腫瘍の進行度の判定)に有効な方法として、例えば1H−MRSが行われている。1H−MRSは、磁気共鳴現象を利用して1Hの核を含む生体内の微小な代謝産物からの磁気共鳴信号の周波数スペクトルを観測するものであり、NAA(N−アセチルアスパラギン酸)、Cho(コリン)、PCr/Cr(クレアチンリン酸/クレアチン)、Glx(グルタミン酸およびグルタミン)、Lac(乳酸)、ml(ミオイノシトール)などを観測することができる。生体内に存在するNAAなどのプロトン代謝産物の濃度は、生体水の濃度に比べて約4桁程度小さく、また代謝産物は5ppm程度の範囲に分布している。このため、1H−MRSでは、SN比(signal to noise ratio)がよく、かつ、線幅の細いスペクトルを得ることができるように、MRSの対象となるボクセルサイズやスペクトルを作成するためのエコー信号の積算回数を適切に設定することが重要となる。このことは、31P−MRSや13C−MRS等の他のMRSについても同様である。
【0004】
なお、MRSの関連技術として、標識ブドウ糖、標識されていないブドウ糖、標識化合物および標識されていない化合物の濃度に関わる磁気共鳴データを収集するための複数のパルスシーケンスを交互に実行する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、被検体にとって非常に負担になる採血を行うことなく、ブドウ糖およびその化合物の代謝速度を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−14657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したように、MRSにおいてはボクセルサイズや積算回数を適切に設定することが重要となるが、従来においてはボクセルサイズや積算回数はオペレータの経験によって設定されている。このため、RFコイルの感度が均一でない場合や、被検体のサセプタビリティ(感受性)が均一ではない場合などでは、ボクセルサイズや積算回数を適切に設定することは困難である。その結果、体動などによって実際の検査が失敗に終ってしまったり、あるいは、不必要に検査時間が長くなってしまったりすることで、無駄に検査時間を増やしてしまうという課題があった。
また、従来においては、MRSの観測終了後にスペクトルの表示処理が行われていた。そのため、MRSの検査を実行したはいいが、MRSにおけるSNRが良くないという状況が生じうる。このような場合、その後にSNRを改善しようとすると余計な時間がかかってしまうという課題があった。
【0007】
そこで本発明の一実施形態は、MRSを用いた検査時間の無駄を好適に省くことができる磁気共鳴イメージング装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態では、磁気共鳴イメージング装置は、スペクトル収集手段と、表示手段とを備える。スペクトル収集手段は、静磁場中の被検体に対して高周波パルスおよび傾斜磁場パルスを印加することによって、前記被検体内の対象領域に存在する代謝産物からの磁気共鳴信号の周波数スペクトルの収集を実行する。表示手段は、前記周波数スペクトルの収集の途中における周波数スペクトルを表示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置を示す構成図。
【図2】図1に示すRFコイルの詳細構成の一例を示す図。
【図3】図2に示す被検体の体表側に設けられる表面コイルの配置例を示す図。
【図4】図2に示す被検体の背面側に設けられる表面コイルの配置例を示す図。
【図5】図2に示す被検体の体表側に設けられる表面コイルの別の配置例を示す図。
【図6】図2に示す被検体の背面側に設けられる表面コイルの別の配置例を示す図。
【図7】図1に示すコンピュータの機能ブロック図。
【図8】図7に示すRFコイル感度分布生成部におけるRFコイル感度分布生成処理を説明するフローチャート。
【図9】図7に示すRFコイル感度分布生成部により生成されるRFコイル感度分布を示す図。
【図10】図7に示す積算回数算出部における積算回数算出処理を説明するフローチャート。
【図11】MRSのプランに使用される任意の画像の表示例を示す図。
【図12】所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切な積算回数の算出方法を説明する説明図。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置におけるコンピュータの機能ブロック図。
【図14】図13の磁気共鳴イメージング装置における磁場均一性分布生成処理を説明するフローチャート。
【図15】図13に示す磁場均一性分布生成部により生成される磁場均一性分布を示す図。
【図16】図13に示す積算回数算出部における積算回数算出処理を説明するフローチャート。
【図17】所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切な積算回数の算出方法を説明する説明図。
【図18】MRSの収集時に表示されるタッチパネルの構成例を示す図。
【図19】本発明の第3の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置におけるコンピュータの機能ブロック図。
【図20】図19に示す積算回数算出部43における積算回数算出処理を説明するフローチャート。
【図21】MRSの対象領域を含む所定の補正用信号収集領域を示す図。
【図22】補正用信号の位相ずれを示す図。
【図23】補正用信号の中心周波数の経時的なシフトを示す図。
【図24】図19に示す積算回数算出部43における他の積算回数算出処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0011】
1.第1の実施形態
(構成および機能)
図1は本発明の第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置を示す構成図である。
磁気共鳴イメージング装置20は、静磁場を形成する筒状の静磁場用磁石21、この静磁場用磁石21の内部に設けられたシムコイル22、傾斜磁場コイル23およびRFコイル24を備えている。
【0012】
また、磁気共鳴イメージング装置20には、制御系25が備えられる。制御系25は、静磁場電源26、傾斜磁場電源27、シムコイル電源28、送信器29、受信器30、シーケンスコントローラ31およびコンピュータ32を具備している。制御系25の傾斜磁場電源27は、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zで構成される。また、コンピュータ32には、入力装置33、表示装置34、演算装置35および記憶装置36が備えられる。
【0013】
静磁場用磁石21は静磁場電源26と接続され、静磁場電源26から供給された電流により撮像領域に静磁場を形成させる機能を有する。尚、静磁場用磁石21は超伝導コイルで構成される場合が多く、励磁の際に静磁場電源26と接続されて電流が供給されるが、一旦励磁された後は非接続状態とされるのが一般的である。また、静磁場用磁石21を永久磁石で構成し、静磁場電源26が設けられない場合もある。
【0014】
また、静磁場用磁石21の内側には、同軸上に筒状のシムコイル22が設けられる。シムコイル22はシムコイル電源28と接続され、シムコイル電源28からシムコイル22に電流が供給されて静磁場が均一化されるように構成される。
【0015】
傾斜磁場コイル23は、X軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zで構成され、静磁場用磁石21の内部において筒状に形成される。傾斜磁場コイル23の内側には寝台37が設けられて撮像領域とされ、寝台37には被検体Pがセットされる。RFコイル24にはガントリに内蔵されたRF信号の送受信用の全身用コイル(WBC)や寝台37や被検体P近傍に設けられるRF信号の受信用の局所コイルなどがある。
【0016】
また、傾斜磁場コイル23は、傾斜磁場電源27と接続される。傾斜磁場コイル23のX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zはそれぞれ、傾斜磁場電源27のX軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zと接続される。
【0017】
そして、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zからそれぞれX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zに供給された電流により、撮像領域にそれぞれX軸方向の傾斜磁場Gx、Y軸方向の傾斜磁場Gy、Z軸方向の傾斜磁場Gzを形成することができるように構成される。
【0018】
RFコイル24は、送信器29および/または受信器30と接続される。送信用のRFコイル24は、送信器29からRF信号を受けて被検体Pに送信する機能を有し、受信用のRFコイル24は、被検体P内部の原子核スピンのRF信号による励起に伴って発生したNMR信号を受信して受信器30に与える機能を有する。
【0019】
図2は図1に示すRFコイル24の詳細構成の一例を示す図であり、図3は図2に示す被検体Pの体表側に設けられる表面コイル24cの配置例を示す図、図4は図2に示す被検体Pの背面側に設けられる表面コイル24cの配置例を示す図である。
【0020】
図2に示すようにRFコイル24は、筒状の全身用(WB:whole-body)コイル24aとフェーズドアレイコイル24bを備えている。フェーズドアレイコイル24bは、複数の表面コイル24cを備えており、被検体Pの体表側と背面側とにそれぞれ複数の表面コイル24cが配置される。
【0021】
例えば図3に示すように被検体の体表側には、広範囲の撮影部位がカバーされるようにx方向に4列、z方向に8列の合計32個の表面コイル24cが配置される。また、図4に示すように被検体の背面側にも同様に広範囲の撮影部位がカバーされるようにx方向に4列、z方向に8列の合計32個の表面コイル24cが配置される。背面側では、被検体Pの背骨の存在を考慮した感度向上の観点から、体軸付近に他の表面コイル24cよりも小さい表面コイル24cが配置される。
【0022】
一方、受信器30は、デュプレクサ30a,アンプ30b、切換合成器30cおよび受信系回路30dを備えている。デュプレクサ30aは、送信器29、WBコイル24aおよびWBコイル24a用のアンプ30bと接続される。アンプ30bは、各表面コイル24cおよびWBコイル24aの数だけ設けられ、それぞれ個別に各表面コイル24cおよびWBコイル24aと接続される。切換合成器30cは、単一または複数個設けられ、切換合成器30cの入力側は、複数のアンプ30bを介して複数の表面コイル24またはWBコイル24aと接続される。受信系回路30dは、各表面コイル24cおよびWBコイル24aの数以下となるように所望の数だけ設けられ、切換合成器30cの出力側に設けられる。
【0023】
WBコイル24aは、高周波信号の送信用のコイルとして用いることができる。また、NMR信号の受信用のコイルとして各表面コイル24cを用いることができる。さらに、WBコイル24aを受信用のコイルとして用いることもできる。
【0024】
このため、デュプレクサ30aは、送信器29から出力された送信用の高周波信号をWBコイル24aに与える一方、WBコイル24aにおいて受信されたNMR信号を受信器30内のアンプ24dを経由して切換合成器30cに与えるように構成されている。また、各表面コイル24cにおいて受信されたNMR信号もそれぞれ対応するアンプ24dを経由して切換合成器30cに出力されるように構成されている。
【0025】
切換合成器30cは、表面コイル24cやWBコイル24aから受けたNMR信号の合成処理および切換を行って、対応する受信系回路30dに出力するように構成されている。換言すれば、受信系回路30dの数に合わせて表面コイル24cやWBコイル24aから受けたNMR信号の合成処理および切換が切換合成器30cにおいて行われ、所望の複数の表面コイル24cを用いて撮影部位に応じた感度分布を形成して様々な撮影部位からのNMR信号を受信できるように構成されている。
【0026】
ただし、表面コイル24cを設けずに、WBコイル24aのみでNMR信号を受信するようにしてもよい。また、切換合成器30cを設けずに、表面コイル24cやWBコイル24aにおいて受信されたNMR信号を直接受信系回路30dに出力するようにしてもよい。さらに、より多くの表面コイル24cを広範囲に亘って配置することもできる。
【0027】
図5は、図2に示す被検体Pの体表側に設けられる表面コイル24cの別の配置例を示す図、図6は図2に示す被検体Pの背面側に設けられる表面コイル24Cの別の配置例を示す図である。
【0028】
図5および図6に示すようにさらに多くの表面コイル24cを被検体Pの周囲に配置することができる。図5に示す例では、x方向に4列、z方向に4列の16要素の表面コイル24cで構成されるコイルユニット24dがz方向に3つ配置されているため合計48要素の表面コイル24cが被検体Pの体表側に設けられることとなる。また、図6に示す例では、x方向に4列、z方向に8列の32要素の表面コイル24cで構成されるコイルユニット24eが背骨側に、図示しない2要素の表面コイル24cを備えたコイルユニット24fが顎付近に、図示しない12要素の表面コイル24cを備えたコイルユニット24gが頭部にそれぞれは位置されるため、合計46要素の表面コイル24cが被検体Pの背面側に設けられることとなる。そして、図5および図6に示すように被検体Pの体表側および背面側に表面個オイル24cを配置すれば、合計94要素の表面コイル24cが被検体の周囲に配置されることとなる。各表面コイル24cは、図示しないコイルポートを経由してそれぞれ専用のアンプ30bと接続される。
【0029】
そして、表面コイル24cを多数被検体Pの周囲に配置することによって、コイルや被検体Pの位置を移動させることなく複数の撮影部位からのデータを受信することが可能な全身用のフェーズドアレイコイル24bを形成することが可能となる。WBコイル24aもコイルや被検体Pの位置を移動させることなく複数の撮影部位からのデータを受信することが可能であるが、全身用のフェーズドアレイコイル24bを受信用のコイルとして用いれば、より撮影部位に適した感度およびより良好なSNR (signal to noise ratio)でデータを受信することが可能となる。
【0030】
一方、制御系25のシーケンスコントローラ31は、傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30と接続される。シーケンスコントローラ31は傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30を駆動させるために必要な制御情報、例えば傾斜磁場電源27に印加すべきパルス電流の強度や印加時間、印加タイミング等の動作制御情報を記述したシーケンス情報を記憶する機能と、記憶した所定のシーケンスに従って傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30を駆動させることによりX軸傾斜磁場Gx、Y軸傾斜磁場Gy,Z軸傾斜磁場GzおよびRF信号を発生させる機能を有する。
【0031】
また、シーケンスコントローラ31は、受信器30におけるNMR信号の検波およびA/D変換により得られた複素データである生データ(raw data)を受けてコンピュータ32に与えるように構成される。
【0032】
このため、送信器29には、シーケンスコントローラ31から受けた制御情報に基づいてRF信号をRFコイル24に与える機能が備えられる一方、受信器30には、RFコイル24から受けたMR信号を検波して所要の信号処理を実行するとともにA/D変換することにより、デジタル化された複素データである生データを生成する機能と生成した生データをシーケンスコントローラ31に与える機能とが備えられる。
【0033】
さらに、磁気共鳴イメージング装置20には、被検体PのECG信号を取得するECGユニット38が備えられる。ECGユニット38により取得されたECG信号はシーケンスコントローラ31を介してコンピュータ32に出力されるように構成される。
【0034】
また、寝台37は、寝台駆動装置39を備えている。寝台駆動装置39は、コンピュータ32と接続され、コンピュータ32からの制御によって寝台37の天板(table)を移動させてmoving table法やstepping-table法による撮像を行うことができるように構成される。moving table法は、撮影時に寝台37の天板を連続移動することによって移動方向に大きな撮影視野(FOV: field of view)を得る技術である。stepping-table法は、stationごとに寝台37の天板をステップ移動させて3D(dimensional)撮像する技術である。これらの技術は、全身撮像のように一度に撮像できないような広領域の撮像を行う場合に用いられる。寝台37を移動して収集された複数の画像は、コンピュータ32における合成処理によって互いに繋ぎ合わせることもできる。
【0035】
また、コンピュータ32の記憶装置36に保存されたプログラムを演算装置35で実行することにより、コンピュータ32には各種機能が備えられる。ただし、プログラムによらず、各種機能を有する特定の回路を磁気共鳴イメージング装置20に設けてもよい。
図7は、図1に示すコンピュータ32の機能ブロック図である。
【0036】
コンピュータ32は、プログラムによりシーケンスコントローラ制御部41、RFコイル感度分布生成部42、積算回数算出部43および表示データ作成部44として機能する。
【0037】
シーケンスコントローラ制御部41は、オペレータにより入力装置33が操作されることにより入力された種々の情報に基づいて、シーケンスコントローラ31の駆動を統括的に制御する。シーケンスコントローラ制御部41は、例えばEPI(Echo Planar Imaging)や、フェーズドアレイコイル24bを用いたイメージングであるPI(Parallel Imaging)、グラディエントエコーなどのシーケンスをシーケンスコントローラ31に与えてダイナミックスキャンを実行させる。
【0038】
尚、PIは、複数の表面コイル24cを用いてエコーデータを受信し、かつ位相エンコードをスキップさせることによって画像再構成に必要な位相エンコード数を減らす撮像法である。PIが行われる場合には、エコーデータの収集に用いる表面コイル24cの数や各表面コイル24cと撮影部位を関連付けた情報を始めとしてPIに必要な情報が撮影条件として設定される。
【0039】
また、シーケンスコントローラ制御部41は、所望のMRS対象領域(MRS収集領域)における1H−MRSのシーケンスをシーケンスコントローラ31に与えてMRSを実行させる。勿論、31P−MRSや13C−MRSのシーケンスもシーケンスコントローラ31に実行させることができる。
【0040】
RFコイル感度分布生成部42は、シーケンスコントローラ31からシーケンスコントローラ制御部41を介して供給された生データ(raw data)を取得し、取得された生データをk空間(フーリエ空間)に配置するとともに、配置された生データに所定の信号処理を施すことによりRFコイル24に関するRFコイル感度マップを生成する。そして、RFコイル感度分布生成部42は、生成されたRFコイル感度マップにおける各信号強度に基づいて、エンコード方向の信号強度の変化を示すRFコイル感度分布を生成し、生成されたRFコイル感度分布に関するデータを記憶装置36に供給する。
【0041】
尚、PIによりMRSを実行する場合には、表面コイル24cごとにRFコイル感度分布が生成され、表面コイル24cごとのRFコイル感度分布に関するデータが記憶装置36に保存される。
【0042】
積算回数算出部43は、記憶装置36に記憶されているRFコイル感度分布に関するデータを読み出し、MRSの撮像前に、読み出されたRFコイル感度分布に関するデータに基づいて所定の算出方法により、所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切なスペクトル生成用のエコー信号の積算回数を算出し、算出された積算回数に関するデータをシーケンスコントローラ制御部41に供給する。
【0043】
表示データ作成部44は、シーケンスコントローラ制御部41の制御に従い、種々のシーケンスによるスキャンに伴う画像を表示装置43に表示させる。具体的には、表示データ作成部44は、例えばMRSのプランに使用される画像データやMRSによって収集された周波数スペクトル等の表示データを生成して表示装置43に表示させる。
【0044】
このため、表示データ作成部44は、シーケンスコントローラ制御部41から生データを取得してk空間に配置する機能と、k空間に配置されたk空間データに対してフーリエ変換(FT: Fourier transformation)を含む画像再構成処理を施すことにより、画像データを再構成する機能を有する。また、表示データ作成部44は、シーケンスコントローラ制御部41からMRS用のシーケンスに従って収集されたエコー信号および積算回数情報を取得し、積算回数だけエコー信号を積算することによって周波数スペクトルを作成する機能を有する。
(動作および作用)
【0045】
図8は、図7に示すRFコイル感度分布生成部42におけるRFコイル感度分布生成処理を説明するフローチャートである。
【0046】
次に、図8のフローチャートを参照して、図7の磁気共鳴イメージング装置20におけるRFコイル感度分布生成処理について説明する。なお、このRFコイル感度分布生成処理は、以下に説明する本発明に係る積算回数算出処理の前処理として予め実行される。
【0047】
ステップS1において、シーケンスコントローラ制御部41は、シーケンスコントローラ31を制御し、MRSの撮像前に、RFコイル24の感度補正のために、分解能の低いグラディエントエコー法によるデータ(例えばエンコード回数が64回のグラディエントエコー法によるデータ)を収集させる。
【0048】
シーケンスコントローラ制御部41は、分解能の低いグラディエントエコー法により収集された生データをRFコイル感度分布生成部42に供給する。
【0049】
ステップS2において、RFコイル感度分布生成部42は、シーケンスコントローラ31からシーケンスコントローラ制御部41を介して供給された生データを取得し、取得された生データをk空間に配置するとともに、配置された生データにRFコイル感度マップ生成用の公知の信号処理を施すことによりRFコイル24に関するRFコイル感度マップを生成する。例えば、生データに対して画像再構成処理を施して得られる画像データの各位置における信号強度を求めることによりRFコイル感度マップを作成することができる。そして、RFコイル感度分布生成部42は、生成されたRFコイル感度マップにおける各信号強度に基づいて、エンコード方向の信号強度の変化を示すRFコイル感度分布を生成する。
【0050】
図9は、図7に示すRFコイル感度分布生成部42により生成されるRFコイル感度分布を示す図である。
【0051】
例えば図9に示されるように、収集位置に応じたRFコイル24の信号強度がグラフとして表されている。
【0052】
RFコイル感度分布生成部42は、生成されたRFコイル感度分布に関するデータを記憶装置36に供給する。
【0053】
ステップS3において、記憶装置36は、RFコイル感度分布生成部42から供給されたRFコイル感度分布に関するデータを取得し、取得されたRFコイル感度分布に関するデータを記憶する。このRFコイル感度分布に関するデータには、例えばそれぞれの収集位置に対応した信号強度に関するデータとともに、RFコイル感度分布の作成用のデータ収集の際に用いられたボクセルサイズやRFコイル感度分布を作成するために積算された信号の積算回数に関するデータが含まれている。
【0054】
図10は、図7に示す積算回数算出部43における積算回数算出処理を説明するフローチャートである。
【0055】
図10のフローチャートを参照して、図7の磁気共鳴イメージング装置20における積算回数算出処理について説明する。この積算回数算出処理は、オペレータにより入力装置33が操作されることにより、例えば所望のMRS対象領域において1H−MRSのスキャンの実行を開始するとの指示が受け付けられたときに、MRSのスキャン(検査)が実際に実行される前に開始される。
【0056】
ステップS11において、シーケンスコントローラ制御部41は、オペレータにより入力装置33が操作されることにより、例えば所望のMRS対象領域において1H−MRSのスキャンの実行を開始するとの指示が受け付けられたか否かを判定し、所望のMRS対象領域(MRS収集領域)において1H−MRSのスキャンの実行を開始するとの指示が受け付けられたと判定するまで待機する。
【0057】
ステップS11においてシーケンスコントローラ制御部41が、オペレータにより入力装置33が操作されることにより、例えば所望のMRS対象領域において1H−MRSのスキャンの実行を開始するとの指示が受け付けられたと判定した場合、シーケンスコントローラ制御部41はステップS12で、所望のMRS対象領域において1H−MRSのスキャンの実行を開始する前に、シーケンスコントローラ31を制御し、MRSのプランに使用される画像データの生成用のエコー信号を収集するとともに、収集されたエコー信号を表示データ作成部44に供給する。表示データ作成部44は、シーケンスコントローラ41から供給された、MRSのプラン画像用のエコー信号を取得し、エコー信号に対して画像再構成処理を施すことにより生成したMRSのプラン画像データを表示装置44に表示させる。
図11は、MRSのプランに使用される任意の画像の表示例を示す図である。
【0058】
表示装置34は、例えば図11に示されるように、MRSのプランに使用される任意の画像を表示する。そして、オペレータは入力装置33を操作してシーケンスコントローラ制御部41に情報を入力することによってMRSの対象領域となるボクセルを設定することができる。
【0059】
MRS対象領域が設定されると、表示装置44は、プラン画像上に重畳して、シングルボクセルMRS対象領域を表示する。なお、マルチボクセルの場合、局所励起領域がプラン画像上に重畳して表示される。
【0060】
ステップS13において、積算回数算出部43は、MRSの撮像前に記憶装置36に記憶されているRFコイル感度分布に関するデータを読み出す。このRFコイル感度分布に関するデータには、例えばそれぞれの収集位置に対応した信号強度(最も感度が高い収集位置の信号強度など)に関するデータとともに、データ収集の際に用いられたボクセルサイズや信号の積算回数(例えばボクセルサイズN=8(cc)で、積算回数(または位相エンコード回数)O=128など)に関するデータが含まれている。
【0061】
ステップS14において、表示データ作成部44は、積算回数算出部43による積算回数算出処理の際に、記憶装置36に記憶されているRFコイル感度分布に関するデータを読み出し、表示装置34を制御し、読み出されたRFコイル感度分布に関するデータに基づいて、RFコイル感度分布を表示装置34に表示させる。
【0062】
図12は、所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切な積算回数の算出方法を説明する説明図である。
【0063】
表示装置34は、表示データ作成部44の制御に従い、例えば図12に示されるようにRFコイル感度分布を表示する。図12のRFコイル感度分布においては、MRSのプランに使用される任意の画像全体において最も高い信号強度がMとされ、MRSの収集位置における信号強度はaとされる。
【0064】
ステップS15において、積算回数算出部43は、MRSの撮像前に、読み出されたRFコイル感度分布に関するデータに基づいて所定の算出方法により、所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切なスペクトル生成用のエコー信号の積算回数を算出する。
【0065】
ここで、図12を参照して、所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切な積算回数の算出方法について説明する。例えば図12に示されるように、MRSのプランに使用される任意の画像全体において最も高い信号強度がMとされ、MRSの収集位置における信号強度はaとされる。このとき、MRSの検査に用いられるボクセルサイズをq(cc)、最も感度が高い位置に対応する基準となるボクセルサイズをN(cc)、最も感度が高い位置に対応する基準となるエコー信号の積算回数をOとすると、所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切な積算回数(マルチボクセルの場合、位相エンコード回数と積算回数の積)Xは、式(1)により求めることができる。
[数1]
X=(N/q)2×(M/a)2×O (1)
【0066】
積算回数算出部43は、算出された積算回数に関するデータをシーケンスコントローラ制御部41に供給する。
【0067】
その後、ステップS16において、シーケンスコントローラ制御部41は、積算回数算出部43から供給された積算回数に関するデータを取得し、取得された積算回数に関するデータに基づいて、所望のMRS対象領域(MRS収集領域)における1H−MRSのシーケンスをシーケンスコントローラ31に与えてMRSを実行させ、静磁場中に置かれた被検体Pに対して高周波パルスおよび傾斜磁場パルスを印加させ、被検体P内に存在する代謝産物からの磁気共鳴信号を収集させる。
【0068】
次に、シーケンスコントローラ制御部41は、収集した磁気共鳴信号および積算回数を表示データ作成部44に与える。そうすると、表示データ作成部44は、積算回数だけ磁気共鳴信号を積算することにより周波数スペクトルを作成する。そして、作成された周波数スペクトルは表示装置34に表示される。これにより、MRSの検査にて、SN比(SNR)がよく、かつ、線幅の細いスペクトルを得ることが可能となる。
【0069】
このような磁気共鳴イメージング装置20によれば、所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切な積算回数を算出することができ、RFコイル24の感度が均一でない場合や、被検体Pのサセプタビリティ(感受性)が均一ではない場合などであったとしても、体動などによって実際の検査が失敗に終ってしまったり、あるいは、不必要に検査時間が長くなってしまったりすることで、無駄に検査時間を増やしてしまうことを防止することができる。従って、必要最低限の時間でスペクトル収集が可能となり、MRSを用いた検査時間の無駄を好適に省くことができる。
【0070】
なお、本発明の実施形態においては、被検体P内に存在する代謝産物からの磁気共鳴信号を収集する際に用いられる積算回数を算出するようにしたが、このような場合に限られず、例えば周波数スペクトルの生成用のデータ収集のためにかける位相エンコード回数を算出するようにしてもよい。
【0071】
また、予め生成されたRFコイル感度分布以外に、さらにMRSの撮像前に生成された磁場均一性分布を用いて、MRS対象領域のサイズに対応する積算回数を算出するようにしてもよい。以下、この方法を用いた本発明の第2実施形態について説明する。
【0072】
2.第2の実施形態
図13は、本発明の第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置におけるコンピュータの機能ブロック図である。
【0073】
図13において、図7の磁気共鳴イメージング装置20の構成と対応するものについては、同一の符号を付しており、その説明は繰り返しになるので省略する。また、磁気共鳴イメージング装置の基本的な構成については、本発明の第1実施形態にて図1乃至図6を用いて説明した構成と同様であり、その説明は省略する。
【0074】
磁場均一性分布生成部45は、シーケンスコントローラ31からシーケンスコントローラ制御部41を介して供給された、磁場均一性を求めるためのデータを取得し、磁場均一性を求めるためのデータに所定の信号処理を施すことにより磁場均一性分布を生成し、生成された磁場均一性感度分布に関するデータを記憶装置36に供給する。
【0075】
図14は、図13の磁気共鳴イメージング装置における磁場均一性分布生成処理を説明するフローチャートである。
【0076】
図14のフローチャートを参照して、図13の磁気共鳴イメージング装置20の磁場均一性分布生成処理について説明する。
【0077】
ステップS21において、シーケンスコントローラ制御部41は、シーケンスコントローラ31を制御し、MRSの撮像前に、磁場均一性を求めるためのエコーデータを収集させる。シーケンスコントローラ制御部41は、収集された、磁場均一性を求めるためのエコーデータを磁場均一性分布生成部45に供給する。
【0078】
ステップS22において、磁場均一性分布生成部45は、シーケンスコントローラ31からシーケンスコントローラ制御部41を介して供給された、磁場均一性を求めるためのエコーデータを取得し、磁場均一性を求めるためのエコーデータに磁場均一性を求めるための公知の信号処理を施すことにより、画像全体の磁場均一性を計算し、磁場均一性分布を生成する。
【0079】
例えば、磁場不均一性に起因するエコーデータの位相ずれやエコーデータから得られる画像データの位置ずれを測定することにより磁場均一性分布を得ることができる。
【0080】
図15は、図13に示す磁場均一性分布生成部45により生成される磁場均一性分布を示す図である。
例えば図15に示されるように、収集位置に応じた磁場均一性がグラフとして表されている。
【0081】
磁場均一性生成部45は、生成された磁場均一性分布に関するデータを記憶装置36に供給する。
【0082】
ステップS23において、記憶装置36は、磁場均一性生成部45から供給された磁場均一性分布に関するデータを取得し、取得された磁場均一性分布に関するデータを記憶する。この磁場均一性分布に関するデータには、例えばそれぞれの収集位置に対応した磁場均一性が含まれている。
【0083】
図16は、図13に示す積算回数算出部43における積算回数算出処理を説明するフローチャートである。
【0084】
図16のフローチャートを参照して、図13に示す積算回数算出部43における積算回数算出処理について説明する。なお、図16のステップS31乃至S35の処理は、図10のステップS11乃至S15の処理と基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。なお、ステップS35の処理により所望のMRS対象領域のサイズに対応する第1の積算回数Xが算出される。
【0085】
ステップS36において、積算回数算出部43は、記憶装置36に記憶されている磁場均一性分布に関するデータを読み出す。
【0086】
ステップS37において、表示データ作成部44は、積算回数算出部43による積算回数算出処理の際に、記憶装置36に記憶されている磁場均一性分布に関するデータを読み出し、表示装置34を制御し、読み出された磁場均一性分布に関するデータに基づいて、磁場均一性分布を表示装置34に表示させる。表示装置34は、表示データ作成部44の制御に従い、例えば図12に示されるように磁場均一性分布を表示する。
【0087】
図17は、所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切な積算回数の算出方法を説明する説明図である。
【0088】
図17の磁場均一性分布においては、MRSのプランに使用される任意の画像全体において最も高い磁場均一性がP(ppm)とされ、MRSの収集位置における磁場均一性はb(ppm)とされる。なお、磁場均一性が悪ければスペクトルの線幅は太くなり、面積値は一定であることから、信号強度は低下する。
【0089】
ステップS38において、積算回数算出部43は、MRSの撮像前に、読み出された磁場均一性分布に関するデータに基づいて所定の算出方法により、所望のMRS対象領域のサイズに対応する第2の積算回数を算出する。
【0090】
ここで、図17を参照して、所望のMRS対象領域のサイズに対応する第2の積算回数の算出方法について説明する。例えば図17に示されるように、MRSのプランに使用される任意の画像全体において最も高い磁場均一性がP(ppm)とされ、MRSの収集位置における磁場均一性はb(ppm)とされる。
【0091】
このとき、所望のMRS対象領域のサイズに対応する第2の積算回数(マルチボクセルの場合、位相エンコード回数と積算回数の積)Yは、上述ように算出された積算回数(第1の積算回数)Xを用いて、式(2)により求めることができる。
[数2]
Y=(P/b)2×X (2)
【0092】
積算回数算出部43は、算出された積算回数に関するデータをシーケンスコントローラ制御部41に供給する。
【0093】
その後、ステップS39において、シーケンスコントローラ制御部41は、積算回数算出部43から供給された第2の積算回数に関するデータを取得し、取得された第2の積算回数に関するデータに基づいて、所望のMRS対象領域(MRS収集領域)における1H−MRSのシーケンスをシーケンスコントローラ31に与えてMRSを実行させ、静磁場中に置かれた被検体Pに対して高周波パルスおよび傾斜磁場パルスを印加させ、被検体P内に存在する代謝産物からの磁気共鳴信号を収集させる。
【0094】
次に、シーケンスコントローラ制御部41は、収集した磁気共鳴信号および積算回数を表示データ作成部44に与える。そうすると、表示データ作成部44は、積算回数だけ磁気共鳴信号を積算することにより周波数スペクトルを作成する。そして、作成された周波数スペクトルは表示装置34に表示される。これにより、MRSの検査にて、よりSN比(SNR)がよく、かつ、より線幅の細いスペクトルを得ることが可能となる。
【0095】
なお、磁場均一性を補正して用いる方法として、単一の領域からの信号を収集する1H−MRSの際には、その撮像前に、水抑制しないスペクトルを収集し、その線幅を使用するようにしてもよい。MRSのプランに使用される任意の画像全体において最も高い信号強度Mにおける水スペクトルの半値幅をS(ppm)として、所望のMRS対象領域の水スペクトルの半値幅をt(ppm)とすると、積算回数(マルチボクセルの場合、位相エンコード回数と積算回数の積)Y´は、式(3)により求められる。
【0096】
[数3]
Y´=(S/t)2×X (3)
【0097】
勿論、RFコイル感度分布と磁場均一性分布の両方を用いて積算回数を求めるようにしてもよいが、磁場均一性分布のみによって積算回数を求めるようにしてもよい。
つまり、RFコイル感度分布や磁場均一性分布等の周波数スペクトルに影響を与える因子に応じて積算回数または位相エンコード回数を設定することができる。また、式(1)から式(3)における次数は2に限らず正数としてもよい。一般化すると、式(4)または式(5)によって積算回数Zを計算することができる。
【0098】
[数4]
Z=a1(N/q)n1・a2(M/a)n2・a3(P/b)n3・O (4)
Z=b1(N/q)m1・b2(M/a)m2・b3(S/t)m3・O (5)
但し、式(4)および式(5)において
Z:積算回数
N:基準となるボクセルサイズ
q:MRS対象領域のボクセルサイズ
M:プラン画像上の最大信号強度
a:MRS収集位置における信号強度
P:プラン画像上の磁場均一性を表す指標の最大値
b:MRS収集位置における磁場均一性を表す指標
S:基準となる水スペクトルの半値幅
t:MRS収集位置における水スペクトルの半値幅
O:基準となる積算回数
a1, a2, a3, b1, b2, b3 (>0): 係数
n1, n2, n3, m1, m2, m3: 正数
である。
【0099】
基準となるボクセルサイズN、水スペクトルの半値幅S、積算回数Oは、最大感度および最大磁場均一性のときの値とすることができる。また、係数a1, a2, a3, b1, b2, b3および正数n1, n2, n3, m1, m2, m3は、経験的または実験的に適切な値に設定することができる。正数n1, n2, n3, m1, m2, m3は、0, 1, 2, 3等の整数に限らず1/2, 1/3等の値であってもよい。
つまり式(4)または式(5)に示すように、Nに対してqが相対的に小さい程、Mに対してaが相対的に小さい程、Pに対してbが相対的に小さい程、Sに対してtが相対的に小さい程、積算回数Zが大きくなるようにすればよい。
【0100】
また、式(4)や式(5)に示すような数式を用いずに、周波数スペクトルに影響を与えるボクセルサイズ等のパラメータごとに予め適切な積算回数を関連付けたテーブルを記憶装置36に記憶させて準備しておき、テーブルを参照して対応する積算回数をMRS用の積算回数として設定してもよい。
位相エンコード回数についても同様な決定方法で決定することができる。
【0101】
ところで、システムコントローラ制御部41がMRSの検査を実行する際には、表示装置34は、表示データ作成部44の制御に従い、MRSの検査に伴うスペクトルを表示する。従来においては、MRSの観測終了後にスペクトルの表示処理が行われていた。そのため、MRSの検査を実行したはいいが、MRSにおけるSNRが良くないという状況が生じうる。このような場合、その後にSNRを改善しようとすると余計な時間がかかってしまう。そこで、設定したMRSの観測時間の途中で、表示データ作成部44は、シーケンスコントローラ制御部41の制御に従い、MRSのスペクトルの生成処理および表示処理を行い、表示装置34にMRSのスペクトルを表示させるようにする。
【0102】
図18は、MRSの収集時に表示されるタッチパネルの構成例を示す図である。
図18(A)は、例えば1分経過時の収集途中のシングルボクセルのスペクトルを示しており、図18(B)は、例えば4分経過時の収集途中のシングルボクセルのスペクトルを示している。
【0103】
勿論、このスペクトルの表示処理はMRSでの1回の積算ごとに行うようにしてもよいし、1H−MRS(プロトンスペクトルスコピー)の場合には、水抑制をしないスペクトルを例えば8回積算で収集した場合、その倍数ごとに処理を行ってもよい。
【0104】
また、図18(A)および(B)に示されるように、MRSのスペクトルを表示装置34に表示させる際に、入力手段としてのタッチパネル51を同時に表示させるようにしてもよい。例えば図18(A)および(B)に示されるように、タッチパネル51には、SNRが十分であれば途中で撮影を終了して保存(記憶)させる機能(Save&Exit)を有するタッチパネル51−1、途中で良好なスペクトルが得られないときに撮影を終了する機能(Abort)を有するタッチパネル51−2、および、設定した積算回数が足りなそうであれば、途中で積算回数を変更する機能(Change)を有するタッチパネル51−3が設けられている。従ってこれらのタッチパネル51を操作することによって周波数スペクトルの収集中において周波数スペクトルの収集条件を変更させることができる。
【0105】
これにより、例えば算出された積算回数を用いたMRSの実行時に、スペクトルのSNRが十分であれば、オペレータがたとえばタッチパネル51−1を操作すると、途中でMRSの撮影を終了してデータを記憶装置36に保存(記憶)させることができる。また、途中で良好なスペクトルが得られないときに、オペレータがたとえばタッチパネル51−2を操作すると、良好なスペクトルが得られない撮影を終了させることができる。
【0106】
さらに、例えば算出された積算回数を用いたMRSの実行時に、設定した積算回数が足りなそうであれば、オペレータがたとえばタッチパネル51−3を操作すると、途中で積算回数を変更させることができる。勿論、実行されるMRSの撮影が終了したのちにこのChange機能を実行することも可能である。具体的には、図10または図16のフローチャートを用いて算出されて設定された積算回数(例えば128回など)でMRSの撮影が終了した後に、積算回数を192回などに変更してさらに64回撮影を実行させるようにしてもよい。この場合、192回の積算回数のデータが実行されて処理されることとなる。
【0107】
なお、これらのタッチパネルの代わりに、専用の入力ボタンを入力装置33の一部として設けるようにしてもよい。
【0108】
ところで、被検体Pの体動を、予め設定された積算回数ごとに、グラディエントエコー法などによって水スペクトルを収集した上でエコー(信号)の位相のずれから判定するようにし、エコー(信号)の位相のずれが一定量以上あり、一定時間以上続く場合には、オペレータに対してその旨を警告するようにしてもよい。以下、この方法を用いた本発明の第3実施形態について説明する。
【0109】
3.第3の実施形態
図19は、本発明の第3の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置におけるコンピュータの機能ブロック図である。
【0110】
図19において、図7の磁気共鳴イメージング装置20の構成と対応するものについては、同一の符号を付しており、その説明は繰り返しになるので省略する。また、磁気共鳴イメージング装置の基本的な構成については、本発明の第1実施形態にて図1乃至図6を用いて説明した構成と同様であり、その説明は省略する。
【0111】
シーケンスコントローラ制御部41は、MRS用のNMR信号を収集させるとともに、ある積算回数ごとに少なくともMRSの対象領域を含む領域から、グラディエントエコー法によってスペクトルの補正用信号を収集させる。
【0112】
補正用信号解析部52は、積算回数ごとにシーケンスコントローラ31からシーケンスコントローラ制御部41を介して供給された補正用信号を取得し、取得された補正用信号に所定の信号処理を施すことによって補正用信号を解析する。そして、補正用信号の位相のずれが一定量以上あるか否かを判定することで、被検体Pの体動を検知する。そして、補正用信号解析部52は、補正用信号の解析の結果、補正用信号の位相のずれが一定量以上あると判定した場合、被検体Pの体動があったと認識して検知信号を生成する。生成された検知信号は、シーケンスコントローラ制御部41と表示データ作成部44に供給される。
【0113】
図20は、図19に示す積算回数算出部43における積算回数算出処理を説明するフローチャートである。
【0114】
図20のフローチャートを参照して、図19に示す積算回数算出部43における積算回数算出処理について説明する。なお、図20のステップS51乃至S55の処理は、図10のステップS11乃至S15の処理と基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
【0115】
ステップS56において、シーケンスコントローラ制御部41は、積算回数算出部43から供給された積算回数に関するデータを取得し、取得された積算回数に関するデータに基づいて、所望のMRS対象領域(MRS収集領域)における1H−MRSのシーケンスをシーケンスコントローラ31に与えてMRSの実行を開始させる。
【0116】
ステップS57において、シーケンスコントローラ制御部41は、積算回数ごとに例えば図21に示されるように少なくともMRSの対象領域を含む所定の補正用信号収集領域からMRSのスペクトルの補正用信号を収集させる。
図21は、MRSの対象領域を含む所定の補正用信号収集領域を示す図である。
【0117】
なお、図21の場合、収集されるデータの断面は、アキシャル断面であるが、サジタル断面であってもよいし、コロナル断面であってもよい。
【0118】
ステップS58において、補正用信号解析部52は、積算回数ごとにシーケンスコントローラ31からシーケンスコントローラ制御部41を介して供給された補正用信号を取得し、補正用信号に所定の信号処理を施して解析することによって、補正用信号の位相のずれが一定量以上あるか否かを判定する。
図22は、補正用信号の位相ずれを示す図である。
【0119】
図22(A)および(B)は、補正用信号の位相がずれる様子を表している。例えば図22(A)および(B)に示されるように、初期位相をaとし、位相ずれの許容範囲をΦ(例えば20°など)とした場合に、積算回数t回目(マルチボクセルの場合、エンコードのt回目)で、被検体Pの体動があり、位相が許容範囲外のeに飛んでいる。従って、図22(A)および(B)のいずれにおいても、補正用信号の位相のずれが一定量以上あると判定される。
【0120】
ステップS58において補正用信号解析部52が、補正用信号の位相のずれが一定量以上あると判定した場合、補正用信号解析部52はステップS59で、被検体Pの体動を検知し、被検体Pの体動に応じた検知信号を生成する。
【0121】
すなわち、図22(A)の場合、被検体Pの体動が瞬間的なものであったために、一旦許容範囲外のeに飛んだが、その後に元の位相に戻っている。そこで、シングルボクセルのときには、MRSの収集を続けた上で動いた部分のデータが処理から除外されるように、補正用信号解析部52は、その旨の検知信号(すなわち、シングルボクセルのときには、MRSの収集を続けた上で動いた部分のデータを処理から除外する旨の検知信号)を生成する。生成された検知信号はシーケンスコントローラ41に供給される。なお、マルチボクセルの場合、被検体Pが動いた部分のエンコードデータが再収集されるように、補正用信号解析部52は、その旨の検知信号を生成する。そして、生成された検知信号がシーケンスコントローラ41に供給される。
【0122】
一方、図22(B)の場合、被検体Pの体動は瞬間的なものではなく、一旦許容範囲外のeに飛んだが、その後に元の位相に戻ってはいない。このため、図22(B)の場合、被検体Pの体動が大きく、MRSの検査に対する影響が看過し得ない。そこで、被検体Pの体動を検知した旨のメッセージが表示装置34に表示されるように、補正用信号解析部52は、その旨の検知信号(すなわち、被検体の体動を検知した旨のメッセージを表示装置34に表示させるための検知信号)を生成し、生成された検知信号を表示データ作成部44に供給する。
【0123】
一方、ステップS58において補正用信号解析部52が、補正用信号の位相のずれが一定量以上はないと判定した場合、ステップS59の処理はスキップされ、補正用信号解析部52はいずれの検知信号も生成しない。
【0124】
ステップS60において、シーケンスコントローラ制御部41は、取得された積算回数に関するデータに基づいて、所望のMRS対象領域(MRS収集領域)における1H−MRSのシーケンスをシーケンスコントローラ31に与えてMRSを実行させる。すなわち、静磁場中に置かれた被検体Pに対して高周波パルスおよび傾斜磁場パルスが印加され、被検体P内に存在する代謝産物からの磁気共鳴信号が収集される。
【0125】
このとき、例えば図22(A)の場合、被検体Pの体動が瞬間的なものであったために、一旦許容範囲外のeに飛んではいるが、その後に位相が元に戻っている。そこで、シーケンスコントローラ制御部41は、補正用信号解析部52から供給された検知信号に基づいて、シングルボクセルのときには、MRSの収集を続けた上で動いた部分のデータを処理から除外する。これにより、MRSの検査にて、SN比(SNR)がよく、かつ、線幅の細いスペクトルを得ることができるだけでなく、被検体Pの体動があった場合であっても、被検体Pの体動によるMRSの検査への影響を排除することができる。
【0126】
また、例えば図22(B)の場合、被検体Pの体動は瞬間的なものではなく、一旦許容範囲外のeに飛んだが、その後に元の位相に戻ってはいない。このため、被検体Pの体動が大きく、MRSの検査に対する影響が看過できない。そこで、表示データ作成部44は、補正用信号解析部52から供給された検知信号に基づいて、被検体Pの体動を検知した旨のメッセージを表示装置34に表示させるように制御する。例えば「被検体Pの体動がありました。」などのメッセージが表示装置34に表示される。これにより、オペレータは、MRSの検査中に被検体Pの体動があったことを知ることができる。そして、入力装置33を操作することで、そのMRSの実行を適宜以降終了させることができる。なお、音声や発光素子などを用いてその旨をオペレータに通知するようにしてもよい。
【0127】
ステップS61において、シーケンスコントローラ制御部41は、算出された積算回数までMRSを実行したか否かを判定する。ステップS61においてシーケンスコントローラ制御部41が、算出された積算回数までMRSを実行したと判定した場合、処理はステップS62に進み、ステップS62においてシーケンスコントローラ制御部41は、MRSの実行を終了する。
【0128】
一方、ステップS61においてシーケンスコントローラ制御部41は、算出された積算回数までMRSを実行していないと判定された場合、シーケンスコントローラ制御部41は積算回数を1だけインクリメントする。次に、処理はステップS57に戻り、ステップS57以降の処理が繰り返し実行される。これにより、算出された積算回数までMRSが実行され、データが収集される。
【0129】
本発明の第3の実施形態においては、所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切な積算回数を算出することができる。加えて、RFコイル24の感度が均一でない場合や、被検体Pのサセプタビリティ(感受性)が均一ではない場合などであったとしても、体動などによって実際の検査が失敗に終ってしまったり、あるいは、不必要に検査時間が長くなってしまったりすることで、無駄に検査時間を増やしてしまうことを防止することができる。また、たとえMRSの検査の実行中に、被検体Pの体動があったとしても、被検体Pが動いた部分のデータを処理から除外したり、オペレータに対して、被検体Pの体動を検知した旨のメッセージを通知することができる。従って、MRSを用いた検査時間の無駄をより好適に省くことができる。
【0130】
なお、補正用信号の位相だけでなく、振幅(信号強度)を用いるようにしてもよいし、これらの2つを同時に用いるようにしてもよい。また、図20のフローチャートでは、被検体Pの体動を、予め設定された積算ごとに、グラディエントエコー法などによって水スペクトルを収集した上でエコー信号の位相のずれから判定するようにしたが、このような場合に限られない。例えば数回の積算ごとに(マルチボクセルの場合は数回のエンコードごとに)、被検体Pの体動を検知するようにしてもよい。
図23は、補正用信号の中心周波数の経時的なシフトを示す図である。
【0131】
図23に示されるように、初期の中心周波数をf、中心周波数の許容範囲をC(例えば0.1ppmなど)とした場合、傾斜磁場系の温度変化などによって、積算回数t回目(マルチボクセルの場合、エンコードt回目)に、中心周波数が許容範囲から外れている。
【0132】
図24は図19に示す積算回数算出部43における他の積算回数算出処理を説明するフローチャートである。
【0133】
図24のフローチャートに示されるように、ステップS80にて、補正用信号解析部52が中心周波数が許容範囲から所定の量以上ずれているか否かを判定し、中心周波数が許容範囲から所定の量以上ずれていると判定された場合、ステップS81にてシーケンスコントローラ制御部41が中心周波数をf+CにシフトしてMRSを実行するようにする。例えば図23の場合、t+1回目以降においては、MRSの収集時に用いられる中心周波数がf+Cにシフトされる。これにより、傾斜磁場などの経時変化が生じたとしても、MRSを用いた検査を好適に行うことができる。
【0134】
なお、図24のステップS71乃至S79、およびステップS82乃至S84の処理は、図20のステップS51乃至S62の処理と基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
【0135】
本発明の実施形態において説明した一連の処理は、ソフトウェアにより実行させることもできるが、ハードウェアにより実行させることもできる。
【0136】
また、本発明の実施形態では、フローチャートのステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、時系列的に処理されなくてもよい。すなわち各ステップは、並列的あるいは個別実行される場合もある。
【符号の説明】
【0137】
20…磁気共鳴イメージング装置、21…静磁場用磁石、22…シムコイル、23…傾斜磁場コイルユニット、24…RFコイルユニット、24a…WBコイル、24b…フェーズドアレイコイル、24c…表面コイル、24d、24e、24f、24g…コイルユニット、25…制御系、26…静磁場電源、27…傾斜磁場電源、28…シムコイル電源、29…送信器、30…受信器、30a…デュプレクサ、30b…アンプ、30c…切換合成器、30d…受信系回路、31…シーケンスコントローラ、32…コンピュータ、33…入力装置、34…表示装置、35…演算装置、36…記憶装置、37…寝台、38…ECGユニット、41…シーケンスコントローラ制御部、42…RFコイル感度分布生成部、43…積算回数算出部、44…表示データ作成部、45…磁場均一性分布生成部、51(51−1乃至51−3)…タッチパネル、52…補正用信号解析部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の原子核スピンをラーモア周波数の高周波(RF: radio frequency)信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生する核磁気共鳴(NMR:nuclear magnetic resonance)信号から画像を再構成する磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置に係り、特に、MRS(Magnetic Resonance Spectroscopy)を用いて被検体内に存在する代謝産物からの磁気共鳴信号の周波数スペクトルを収集することが可能な磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージングは、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数のRF信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生するNMR信号から画像を再構成する撮像法である。
【0003】
近年、疾病の早期診断(特に腫瘍の進行度の判定)に有効な方法として、例えば1H−MRSが行われている。1H−MRSは、磁気共鳴現象を利用して1Hの核を含む生体内の微小な代謝産物からの磁気共鳴信号の周波数スペクトルを観測するものであり、NAA(N−アセチルアスパラギン酸)、Cho(コリン)、PCr/Cr(クレアチンリン酸/クレアチン)、Glx(グルタミン酸およびグルタミン)、Lac(乳酸)、ml(ミオイノシトール)などを観測することができる。生体内に存在するNAAなどのプロトン代謝産物の濃度は、生体水の濃度に比べて約4桁程度小さく、また代謝産物は5ppm程度の範囲に分布している。このため、1H−MRSでは、SN比(signal to noise ratio)がよく、かつ、線幅の細いスペクトルを得ることができるように、MRSの対象となるボクセルサイズやスペクトルを作成するためのエコー信号の積算回数を適切に設定することが重要となる。このことは、31P−MRSや13C−MRS等の他のMRSについても同様である。
【0004】
なお、MRSの関連技術として、標識ブドウ糖、標識されていないブドウ糖、標識化合物および標識されていない化合物の濃度に関わる磁気共鳴データを収集するための複数のパルスシーケンスを交互に実行する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、被検体にとって非常に負担になる採血を行うことなく、ブドウ糖およびその化合物の代謝速度を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−14657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したように、MRSにおいてはボクセルサイズや積算回数を適切に設定することが重要となるが、従来においてはボクセルサイズや積算回数はオペレータの経験によって設定されている。このため、RFコイルの感度が均一でない場合や、被検体のサセプタビリティ(感受性)が均一ではない場合などでは、ボクセルサイズや積算回数を適切に設定することは困難である。その結果、体動などによって実際の検査が失敗に終ってしまったり、あるいは、不必要に検査時間が長くなってしまったりすることで、無駄に検査時間を増やしてしまうという課題があった。
また、従来においては、MRSの観測終了後にスペクトルの表示処理が行われていた。そのため、MRSの検査を実行したはいいが、MRSにおけるSNRが良くないという状況が生じうる。このような場合、その後にSNRを改善しようとすると余計な時間がかかってしまうという課題があった。
【0007】
そこで本発明の一実施形態は、MRSを用いた検査時間の無駄を好適に省くことができる磁気共鳴イメージング装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態では、磁気共鳴イメージング装置は、スペクトル収集手段と、表示手段とを備える。スペクトル収集手段は、静磁場中の被検体に対して高周波パルスおよび傾斜磁場パルスを印加することによって、前記被検体内の対象領域に存在する代謝産物からの磁気共鳴信号の周波数スペクトルの収集を実行する。表示手段は、前記周波数スペクトルの収集の途中における周波数スペクトルを表示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置を示す構成図。
【図2】図1に示すRFコイルの詳細構成の一例を示す図。
【図3】図2に示す被検体の体表側に設けられる表面コイルの配置例を示す図。
【図4】図2に示す被検体の背面側に設けられる表面コイルの配置例を示す図。
【図5】図2に示す被検体の体表側に設けられる表面コイルの別の配置例を示す図。
【図6】図2に示す被検体の背面側に設けられる表面コイルの別の配置例を示す図。
【図7】図1に示すコンピュータの機能ブロック図。
【図8】図7に示すRFコイル感度分布生成部におけるRFコイル感度分布生成処理を説明するフローチャート。
【図9】図7に示すRFコイル感度分布生成部により生成されるRFコイル感度分布を示す図。
【図10】図7に示す積算回数算出部における積算回数算出処理を説明するフローチャート。
【図11】MRSのプランに使用される任意の画像の表示例を示す図。
【図12】所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切な積算回数の算出方法を説明する説明図。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置におけるコンピュータの機能ブロック図。
【図14】図13の磁気共鳴イメージング装置における磁場均一性分布生成処理を説明するフローチャート。
【図15】図13に示す磁場均一性分布生成部により生成される磁場均一性分布を示す図。
【図16】図13に示す積算回数算出部における積算回数算出処理を説明するフローチャート。
【図17】所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切な積算回数の算出方法を説明する説明図。
【図18】MRSの収集時に表示されるタッチパネルの構成例を示す図。
【図19】本発明の第3の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置におけるコンピュータの機能ブロック図。
【図20】図19に示す積算回数算出部43における積算回数算出処理を説明するフローチャート。
【図21】MRSの対象領域を含む所定の補正用信号収集領域を示す図。
【図22】補正用信号の位相ずれを示す図。
【図23】補正用信号の中心周波数の経時的なシフトを示す図。
【図24】図19に示す積算回数算出部43における他の積算回数算出処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0011】
1.第1の実施形態
(構成および機能)
図1は本発明の第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置を示す構成図である。
磁気共鳴イメージング装置20は、静磁場を形成する筒状の静磁場用磁石21、この静磁場用磁石21の内部に設けられたシムコイル22、傾斜磁場コイル23およびRFコイル24を備えている。
【0012】
また、磁気共鳴イメージング装置20には、制御系25が備えられる。制御系25は、静磁場電源26、傾斜磁場電源27、シムコイル電源28、送信器29、受信器30、シーケンスコントローラ31およびコンピュータ32を具備している。制御系25の傾斜磁場電源27は、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zで構成される。また、コンピュータ32には、入力装置33、表示装置34、演算装置35および記憶装置36が備えられる。
【0013】
静磁場用磁石21は静磁場電源26と接続され、静磁場電源26から供給された電流により撮像領域に静磁場を形成させる機能を有する。尚、静磁場用磁石21は超伝導コイルで構成される場合が多く、励磁の際に静磁場電源26と接続されて電流が供給されるが、一旦励磁された後は非接続状態とされるのが一般的である。また、静磁場用磁石21を永久磁石で構成し、静磁場電源26が設けられない場合もある。
【0014】
また、静磁場用磁石21の内側には、同軸上に筒状のシムコイル22が設けられる。シムコイル22はシムコイル電源28と接続され、シムコイル電源28からシムコイル22に電流が供給されて静磁場が均一化されるように構成される。
【0015】
傾斜磁場コイル23は、X軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zで構成され、静磁場用磁石21の内部において筒状に形成される。傾斜磁場コイル23の内側には寝台37が設けられて撮像領域とされ、寝台37には被検体Pがセットされる。RFコイル24にはガントリに内蔵されたRF信号の送受信用の全身用コイル(WBC)や寝台37や被検体P近傍に設けられるRF信号の受信用の局所コイルなどがある。
【0016】
また、傾斜磁場コイル23は、傾斜磁場電源27と接続される。傾斜磁場コイル23のX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zはそれぞれ、傾斜磁場電源27のX軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zと接続される。
【0017】
そして、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zからそれぞれX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zに供給された電流により、撮像領域にそれぞれX軸方向の傾斜磁場Gx、Y軸方向の傾斜磁場Gy、Z軸方向の傾斜磁場Gzを形成することができるように構成される。
【0018】
RFコイル24は、送信器29および/または受信器30と接続される。送信用のRFコイル24は、送信器29からRF信号を受けて被検体Pに送信する機能を有し、受信用のRFコイル24は、被検体P内部の原子核スピンのRF信号による励起に伴って発生したNMR信号を受信して受信器30に与える機能を有する。
【0019】
図2は図1に示すRFコイル24の詳細構成の一例を示す図であり、図3は図2に示す被検体Pの体表側に設けられる表面コイル24cの配置例を示す図、図4は図2に示す被検体Pの背面側に設けられる表面コイル24cの配置例を示す図である。
【0020】
図2に示すようにRFコイル24は、筒状の全身用(WB:whole-body)コイル24aとフェーズドアレイコイル24bを備えている。フェーズドアレイコイル24bは、複数の表面コイル24cを備えており、被検体Pの体表側と背面側とにそれぞれ複数の表面コイル24cが配置される。
【0021】
例えば図3に示すように被検体の体表側には、広範囲の撮影部位がカバーされるようにx方向に4列、z方向に8列の合計32個の表面コイル24cが配置される。また、図4に示すように被検体の背面側にも同様に広範囲の撮影部位がカバーされるようにx方向に4列、z方向に8列の合計32個の表面コイル24cが配置される。背面側では、被検体Pの背骨の存在を考慮した感度向上の観点から、体軸付近に他の表面コイル24cよりも小さい表面コイル24cが配置される。
【0022】
一方、受信器30は、デュプレクサ30a,アンプ30b、切換合成器30cおよび受信系回路30dを備えている。デュプレクサ30aは、送信器29、WBコイル24aおよびWBコイル24a用のアンプ30bと接続される。アンプ30bは、各表面コイル24cおよびWBコイル24aの数だけ設けられ、それぞれ個別に各表面コイル24cおよびWBコイル24aと接続される。切換合成器30cは、単一または複数個設けられ、切換合成器30cの入力側は、複数のアンプ30bを介して複数の表面コイル24またはWBコイル24aと接続される。受信系回路30dは、各表面コイル24cおよびWBコイル24aの数以下となるように所望の数だけ設けられ、切換合成器30cの出力側に設けられる。
【0023】
WBコイル24aは、高周波信号の送信用のコイルとして用いることができる。また、NMR信号の受信用のコイルとして各表面コイル24cを用いることができる。さらに、WBコイル24aを受信用のコイルとして用いることもできる。
【0024】
このため、デュプレクサ30aは、送信器29から出力された送信用の高周波信号をWBコイル24aに与える一方、WBコイル24aにおいて受信されたNMR信号を受信器30内のアンプ24dを経由して切換合成器30cに与えるように構成されている。また、各表面コイル24cにおいて受信されたNMR信号もそれぞれ対応するアンプ24dを経由して切換合成器30cに出力されるように構成されている。
【0025】
切換合成器30cは、表面コイル24cやWBコイル24aから受けたNMR信号の合成処理および切換を行って、対応する受信系回路30dに出力するように構成されている。換言すれば、受信系回路30dの数に合わせて表面コイル24cやWBコイル24aから受けたNMR信号の合成処理および切換が切換合成器30cにおいて行われ、所望の複数の表面コイル24cを用いて撮影部位に応じた感度分布を形成して様々な撮影部位からのNMR信号を受信できるように構成されている。
【0026】
ただし、表面コイル24cを設けずに、WBコイル24aのみでNMR信号を受信するようにしてもよい。また、切換合成器30cを設けずに、表面コイル24cやWBコイル24aにおいて受信されたNMR信号を直接受信系回路30dに出力するようにしてもよい。さらに、より多くの表面コイル24cを広範囲に亘って配置することもできる。
【0027】
図5は、図2に示す被検体Pの体表側に設けられる表面コイル24cの別の配置例を示す図、図6は図2に示す被検体Pの背面側に設けられる表面コイル24Cの別の配置例を示す図である。
【0028】
図5および図6に示すようにさらに多くの表面コイル24cを被検体Pの周囲に配置することができる。図5に示す例では、x方向に4列、z方向に4列の16要素の表面コイル24cで構成されるコイルユニット24dがz方向に3つ配置されているため合計48要素の表面コイル24cが被検体Pの体表側に設けられることとなる。また、図6に示す例では、x方向に4列、z方向に8列の32要素の表面コイル24cで構成されるコイルユニット24eが背骨側に、図示しない2要素の表面コイル24cを備えたコイルユニット24fが顎付近に、図示しない12要素の表面コイル24cを備えたコイルユニット24gが頭部にそれぞれは位置されるため、合計46要素の表面コイル24cが被検体Pの背面側に設けられることとなる。そして、図5および図6に示すように被検体Pの体表側および背面側に表面個オイル24cを配置すれば、合計94要素の表面コイル24cが被検体の周囲に配置されることとなる。各表面コイル24cは、図示しないコイルポートを経由してそれぞれ専用のアンプ30bと接続される。
【0029】
そして、表面コイル24cを多数被検体Pの周囲に配置することによって、コイルや被検体Pの位置を移動させることなく複数の撮影部位からのデータを受信することが可能な全身用のフェーズドアレイコイル24bを形成することが可能となる。WBコイル24aもコイルや被検体Pの位置を移動させることなく複数の撮影部位からのデータを受信することが可能であるが、全身用のフェーズドアレイコイル24bを受信用のコイルとして用いれば、より撮影部位に適した感度およびより良好なSNR (signal to noise ratio)でデータを受信することが可能となる。
【0030】
一方、制御系25のシーケンスコントローラ31は、傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30と接続される。シーケンスコントローラ31は傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30を駆動させるために必要な制御情報、例えば傾斜磁場電源27に印加すべきパルス電流の強度や印加時間、印加タイミング等の動作制御情報を記述したシーケンス情報を記憶する機能と、記憶した所定のシーケンスに従って傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30を駆動させることによりX軸傾斜磁場Gx、Y軸傾斜磁場Gy,Z軸傾斜磁場GzおよびRF信号を発生させる機能を有する。
【0031】
また、シーケンスコントローラ31は、受信器30におけるNMR信号の検波およびA/D変換により得られた複素データである生データ(raw data)を受けてコンピュータ32に与えるように構成される。
【0032】
このため、送信器29には、シーケンスコントローラ31から受けた制御情報に基づいてRF信号をRFコイル24に与える機能が備えられる一方、受信器30には、RFコイル24から受けたMR信号を検波して所要の信号処理を実行するとともにA/D変換することにより、デジタル化された複素データである生データを生成する機能と生成した生データをシーケンスコントローラ31に与える機能とが備えられる。
【0033】
さらに、磁気共鳴イメージング装置20には、被検体PのECG信号を取得するECGユニット38が備えられる。ECGユニット38により取得されたECG信号はシーケンスコントローラ31を介してコンピュータ32に出力されるように構成される。
【0034】
また、寝台37は、寝台駆動装置39を備えている。寝台駆動装置39は、コンピュータ32と接続され、コンピュータ32からの制御によって寝台37の天板(table)を移動させてmoving table法やstepping-table法による撮像を行うことができるように構成される。moving table法は、撮影時に寝台37の天板を連続移動することによって移動方向に大きな撮影視野(FOV: field of view)を得る技術である。stepping-table法は、stationごとに寝台37の天板をステップ移動させて3D(dimensional)撮像する技術である。これらの技術は、全身撮像のように一度に撮像できないような広領域の撮像を行う場合に用いられる。寝台37を移動して収集された複数の画像は、コンピュータ32における合成処理によって互いに繋ぎ合わせることもできる。
【0035】
また、コンピュータ32の記憶装置36に保存されたプログラムを演算装置35で実行することにより、コンピュータ32には各種機能が備えられる。ただし、プログラムによらず、各種機能を有する特定の回路を磁気共鳴イメージング装置20に設けてもよい。
図7は、図1に示すコンピュータ32の機能ブロック図である。
【0036】
コンピュータ32は、プログラムによりシーケンスコントローラ制御部41、RFコイル感度分布生成部42、積算回数算出部43および表示データ作成部44として機能する。
【0037】
シーケンスコントローラ制御部41は、オペレータにより入力装置33が操作されることにより入力された種々の情報に基づいて、シーケンスコントローラ31の駆動を統括的に制御する。シーケンスコントローラ制御部41は、例えばEPI(Echo Planar Imaging)や、フェーズドアレイコイル24bを用いたイメージングであるPI(Parallel Imaging)、グラディエントエコーなどのシーケンスをシーケンスコントローラ31に与えてダイナミックスキャンを実行させる。
【0038】
尚、PIは、複数の表面コイル24cを用いてエコーデータを受信し、かつ位相エンコードをスキップさせることによって画像再構成に必要な位相エンコード数を減らす撮像法である。PIが行われる場合には、エコーデータの収集に用いる表面コイル24cの数や各表面コイル24cと撮影部位を関連付けた情報を始めとしてPIに必要な情報が撮影条件として設定される。
【0039】
また、シーケンスコントローラ制御部41は、所望のMRS対象領域(MRS収集領域)における1H−MRSのシーケンスをシーケンスコントローラ31に与えてMRSを実行させる。勿論、31P−MRSや13C−MRSのシーケンスもシーケンスコントローラ31に実行させることができる。
【0040】
RFコイル感度分布生成部42は、シーケンスコントローラ31からシーケンスコントローラ制御部41を介して供給された生データ(raw data)を取得し、取得された生データをk空間(フーリエ空間)に配置するとともに、配置された生データに所定の信号処理を施すことによりRFコイル24に関するRFコイル感度マップを生成する。そして、RFコイル感度分布生成部42は、生成されたRFコイル感度マップにおける各信号強度に基づいて、エンコード方向の信号強度の変化を示すRFコイル感度分布を生成し、生成されたRFコイル感度分布に関するデータを記憶装置36に供給する。
【0041】
尚、PIによりMRSを実行する場合には、表面コイル24cごとにRFコイル感度分布が生成され、表面コイル24cごとのRFコイル感度分布に関するデータが記憶装置36に保存される。
【0042】
積算回数算出部43は、記憶装置36に記憶されているRFコイル感度分布に関するデータを読み出し、MRSの撮像前に、読み出されたRFコイル感度分布に関するデータに基づいて所定の算出方法により、所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切なスペクトル生成用のエコー信号の積算回数を算出し、算出された積算回数に関するデータをシーケンスコントローラ制御部41に供給する。
【0043】
表示データ作成部44は、シーケンスコントローラ制御部41の制御に従い、種々のシーケンスによるスキャンに伴う画像を表示装置43に表示させる。具体的には、表示データ作成部44は、例えばMRSのプランに使用される画像データやMRSによって収集された周波数スペクトル等の表示データを生成して表示装置43に表示させる。
【0044】
このため、表示データ作成部44は、シーケンスコントローラ制御部41から生データを取得してk空間に配置する機能と、k空間に配置されたk空間データに対してフーリエ変換(FT: Fourier transformation)を含む画像再構成処理を施すことにより、画像データを再構成する機能を有する。また、表示データ作成部44は、シーケンスコントローラ制御部41からMRS用のシーケンスに従って収集されたエコー信号および積算回数情報を取得し、積算回数だけエコー信号を積算することによって周波数スペクトルを作成する機能を有する。
(動作および作用)
【0045】
図8は、図7に示すRFコイル感度分布生成部42におけるRFコイル感度分布生成処理を説明するフローチャートである。
【0046】
次に、図8のフローチャートを参照して、図7の磁気共鳴イメージング装置20におけるRFコイル感度分布生成処理について説明する。なお、このRFコイル感度分布生成処理は、以下に説明する本発明に係る積算回数算出処理の前処理として予め実行される。
【0047】
ステップS1において、シーケンスコントローラ制御部41は、シーケンスコントローラ31を制御し、MRSの撮像前に、RFコイル24の感度補正のために、分解能の低いグラディエントエコー法によるデータ(例えばエンコード回数が64回のグラディエントエコー法によるデータ)を収集させる。
【0048】
シーケンスコントローラ制御部41は、分解能の低いグラディエントエコー法により収集された生データをRFコイル感度分布生成部42に供給する。
【0049】
ステップS2において、RFコイル感度分布生成部42は、シーケンスコントローラ31からシーケンスコントローラ制御部41を介して供給された生データを取得し、取得された生データをk空間に配置するとともに、配置された生データにRFコイル感度マップ生成用の公知の信号処理を施すことによりRFコイル24に関するRFコイル感度マップを生成する。例えば、生データに対して画像再構成処理を施して得られる画像データの各位置における信号強度を求めることによりRFコイル感度マップを作成することができる。そして、RFコイル感度分布生成部42は、生成されたRFコイル感度マップにおける各信号強度に基づいて、エンコード方向の信号強度の変化を示すRFコイル感度分布を生成する。
【0050】
図9は、図7に示すRFコイル感度分布生成部42により生成されるRFコイル感度分布を示す図である。
【0051】
例えば図9に示されるように、収集位置に応じたRFコイル24の信号強度がグラフとして表されている。
【0052】
RFコイル感度分布生成部42は、生成されたRFコイル感度分布に関するデータを記憶装置36に供給する。
【0053】
ステップS3において、記憶装置36は、RFコイル感度分布生成部42から供給されたRFコイル感度分布に関するデータを取得し、取得されたRFコイル感度分布に関するデータを記憶する。このRFコイル感度分布に関するデータには、例えばそれぞれの収集位置に対応した信号強度に関するデータとともに、RFコイル感度分布の作成用のデータ収集の際に用いられたボクセルサイズやRFコイル感度分布を作成するために積算された信号の積算回数に関するデータが含まれている。
【0054】
図10は、図7に示す積算回数算出部43における積算回数算出処理を説明するフローチャートである。
【0055】
図10のフローチャートを参照して、図7の磁気共鳴イメージング装置20における積算回数算出処理について説明する。この積算回数算出処理は、オペレータにより入力装置33が操作されることにより、例えば所望のMRS対象領域において1H−MRSのスキャンの実行を開始するとの指示が受け付けられたときに、MRSのスキャン(検査)が実際に実行される前に開始される。
【0056】
ステップS11において、シーケンスコントローラ制御部41は、オペレータにより入力装置33が操作されることにより、例えば所望のMRS対象領域において1H−MRSのスキャンの実行を開始するとの指示が受け付けられたか否かを判定し、所望のMRS対象領域(MRS収集領域)において1H−MRSのスキャンの実行を開始するとの指示が受け付けられたと判定するまで待機する。
【0057】
ステップS11においてシーケンスコントローラ制御部41が、オペレータにより入力装置33が操作されることにより、例えば所望のMRS対象領域において1H−MRSのスキャンの実行を開始するとの指示が受け付けられたと判定した場合、シーケンスコントローラ制御部41はステップS12で、所望のMRS対象領域において1H−MRSのスキャンの実行を開始する前に、シーケンスコントローラ31を制御し、MRSのプランに使用される画像データの生成用のエコー信号を収集するとともに、収集されたエコー信号を表示データ作成部44に供給する。表示データ作成部44は、シーケンスコントローラ41から供給された、MRSのプラン画像用のエコー信号を取得し、エコー信号に対して画像再構成処理を施すことにより生成したMRSのプラン画像データを表示装置44に表示させる。
図11は、MRSのプランに使用される任意の画像の表示例を示す図である。
【0058】
表示装置34は、例えば図11に示されるように、MRSのプランに使用される任意の画像を表示する。そして、オペレータは入力装置33を操作してシーケンスコントローラ制御部41に情報を入力することによってMRSの対象領域となるボクセルを設定することができる。
【0059】
MRS対象領域が設定されると、表示装置44は、プラン画像上に重畳して、シングルボクセルMRS対象領域を表示する。なお、マルチボクセルの場合、局所励起領域がプラン画像上に重畳して表示される。
【0060】
ステップS13において、積算回数算出部43は、MRSの撮像前に記憶装置36に記憶されているRFコイル感度分布に関するデータを読み出す。このRFコイル感度分布に関するデータには、例えばそれぞれの収集位置に対応した信号強度(最も感度が高い収集位置の信号強度など)に関するデータとともに、データ収集の際に用いられたボクセルサイズや信号の積算回数(例えばボクセルサイズN=8(cc)で、積算回数(または位相エンコード回数)O=128など)に関するデータが含まれている。
【0061】
ステップS14において、表示データ作成部44は、積算回数算出部43による積算回数算出処理の際に、記憶装置36に記憶されているRFコイル感度分布に関するデータを読み出し、表示装置34を制御し、読み出されたRFコイル感度分布に関するデータに基づいて、RFコイル感度分布を表示装置34に表示させる。
【0062】
図12は、所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切な積算回数の算出方法を説明する説明図である。
【0063】
表示装置34は、表示データ作成部44の制御に従い、例えば図12に示されるようにRFコイル感度分布を表示する。図12のRFコイル感度分布においては、MRSのプランに使用される任意の画像全体において最も高い信号強度がMとされ、MRSの収集位置における信号強度はaとされる。
【0064】
ステップS15において、積算回数算出部43は、MRSの撮像前に、読み出されたRFコイル感度分布に関するデータに基づいて所定の算出方法により、所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切なスペクトル生成用のエコー信号の積算回数を算出する。
【0065】
ここで、図12を参照して、所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切な積算回数の算出方法について説明する。例えば図12に示されるように、MRSのプランに使用される任意の画像全体において最も高い信号強度がMとされ、MRSの収集位置における信号強度はaとされる。このとき、MRSの検査に用いられるボクセルサイズをq(cc)、最も感度が高い位置に対応する基準となるボクセルサイズをN(cc)、最も感度が高い位置に対応する基準となるエコー信号の積算回数をOとすると、所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切な積算回数(マルチボクセルの場合、位相エンコード回数と積算回数の積)Xは、式(1)により求めることができる。
[数1]
X=(N/q)2×(M/a)2×O (1)
【0066】
積算回数算出部43は、算出された積算回数に関するデータをシーケンスコントローラ制御部41に供給する。
【0067】
その後、ステップS16において、シーケンスコントローラ制御部41は、積算回数算出部43から供給された積算回数に関するデータを取得し、取得された積算回数に関するデータに基づいて、所望のMRS対象領域(MRS収集領域)における1H−MRSのシーケンスをシーケンスコントローラ31に与えてMRSを実行させ、静磁場中に置かれた被検体Pに対して高周波パルスおよび傾斜磁場パルスを印加させ、被検体P内に存在する代謝産物からの磁気共鳴信号を収集させる。
【0068】
次に、シーケンスコントローラ制御部41は、収集した磁気共鳴信号および積算回数を表示データ作成部44に与える。そうすると、表示データ作成部44は、積算回数だけ磁気共鳴信号を積算することにより周波数スペクトルを作成する。そして、作成された周波数スペクトルは表示装置34に表示される。これにより、MRSの検査にて、SN比(SNR)がよく、かつ、線幅の細いスペクトルを得ることが可能となる。
【0069】
このような磁気共鳴イメージング装置20によれば、所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切な積算回数を算出することができ、RFコイル24の感度が均一でない場合や、被検体Pのサセプタビリティ(感受性)が均一ではない場合などであったとしても、体動などによって実際の検査が失敗に終ってしまったり、あるいは、不必要に検査時間が長くなってしまったりすることで、無駄に検査時間を増やしてしまうことを防止することができる。従って、必要最低限の時間でスペクトル収集が可能となり、MRSを用いた検査時間の無駄を好適に省くことができる。
【0070】
なお、本発明の実施形態においては、被検体P内に存在する代謝産物からの磁気共鳴信号を収集する際に用いられる積算回数を算出するようにしたが、このような場合に限られず、例えば周波数スペクトルの生成用のデータ収集のためにかける位相エンコード回数を算出するようにしてもよい。
【0071】
また、予め生成されたRFコイル感度分布以外に、さらにMRSの撮像前に生成された磁場均一性分布を用いて、MRS対象領域のサイズに対応する積算回数を算出するようにしてもよい。以下、この方法を用いた本発明の第2実施形態について説明する。
【0072】
2.第2の実施形態
図13は、本発明の第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置におけるコンピュータの機能ブロック図である。
【0073】
図13において、図7の磁気共鳴イメージング装置20の構成と対応するものについては、同一の符号を付しており、その説明は繰り返しになるので省略する。また、磁気共鳴イメージング装置の基本的な構成については、本発明の第1実施形態にて図1乃至図6を用いて説明した構成と同様であり、その説明は省略する。
【0074】
磁場均一性分布生成部45は、シーケンスコントローラ31からシーケンスコントローラ制御部41を介して供給された、磁場均一性を求めるためのデータを取得し、磁場均一性を求めるためのデータに所定の信号処理を施すことにより磁場均一性分布を生成し、生成された磁場均一性感度分布に関するデータを記憶装置36に供給する。
【0075】
図14は、図13の磁気共鳴イメージング装置における磁場均一性分布生成処理を説明するフローチャートである。
【0076】
図14のフローチャートを参照して、図13の磁気共鳴イメージング装置20の磁場均一性分布生成処理について説明する。
【0077】
ステップS21において、シーケンスコントローラ制御部41は、シーケンスコントローラ31を制御し、MRSの撮像前に、磁場均一性を求めるためのエコーデータを収集させる。シーケンスコントローラ制御部41は、収集された、磁場均一性を求めるためのエコーデータを磁場均一性分布生成部45に供給する。
【0078】
ステップS22において、磁場均一性分布生成部45は、シーケンスコントローラ31からシーケンスコントローラ制御部41を介して供給された、磁場均一性を求めるためのエコーデータを取得し、磁場均一性を求めるためのエコーデータに磁場均一性を求めるための公知の信号処理を施すことにより、画像全体の磁場均一性を計算し、磁場均一性分布を生成する。
【0079】
例えば、磁場不均一性に起因するエコーデータの位相ずれやエコーデータから得られる画像データの位置ずれを測定することにより磁場均一性分布を得ることができる。
【0080】
図15は、図13に示す磁場均一性分布生成部45により生成される磁場均一性分布を示す図である。
例えば図15に示されるように、収集位置に応じた磁場均一性がグラフとして表されている。
【0081】
磁場均一性生成部45は、生成された磁場均一性分布に関するデータを記憶装置36に供給する。
【0082】
ステップS23において、記憶装置36は、磁場均一性生成部45から供給された磁場均一性分布に関するデータを取得し、取得された磁場均一性分布に関するデータを記憶する。この磁場均一性分布に関するデータには、例えばそれぞれの収集位置に対応した磁場均一性が含まれている。
【0083】
図16は、図13に示す積算回数算出部43における積算回数算出処理を説明するフローチャートである。
【0084】
図16のフローチャートを参照して、図13に示す積算回数算出部43における積算回数算出処理について説明する。なお、図16のステップS31乃至S35の処理は、図10のステップS11乃至S15の処理と基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。なお、ステップS35の処理により所望のMRS対象領域のサイズに対応する第1の積算回数Xが算出される。
【0085】
ステップS36において、積算回数算出部43は、記憶装置36に記憶されている磁場均一性分布に関するデータを読み出す。
【0086】
ステップS37において、表示データ作成部44は、積算回数算出部43による積算回数算出処理の際に、記憶装置36に記憶されている磁場均一性分布に関するデータを読み出し、表示装置34を制御し、読み出された磁場均一性分布に関するデータに基づいて、磁場均一性分布を表示装置34に表示させる。表示装置34は、表示データ作成部44の制御に従い、例えば図12に示されるように磁場均一性分布を表示する。
【0087】
図17は、所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切な積算回数の算出方法を説明する説明図である。
【0088】
図17の磁場均一性分布においては、MRSのプランに使用される任意の画像全体において最も高い磁場均一性がP(ppm)とされ、MRSの収集位置における磁場均一性はb(ppm)とされる。なお、磁場均一性が悪ければスペクトルの線幅は太くなり、面積値は一定であることから、信号強度は低下する。
【0089】
ステップS38において、積算回数算出部43は、MRSの撮像前に、読み出された磁場均一性分布に関するデータに基づいて所定の算出方法により、所望のMRS対象領域のサイズに対応する第2の積算回数を算出する。
【0090】
ここで、図17を参照して、所望のMRS対象領域のサイズに対応する第2の積算回数の算出方法について説明する。例えば図17に示されるように、MRSのプランに使用される任意の画像全体において最も高い磁場均一性がP(ppm)とされ、MRSの収集位置における磁場均一性はb(ppm)とされる。
【0091】
このとき、所望のMRS対象領域のサイズに対応する第2の積算回数(マルチボクセルの場合、位相エンコード回数と積算回数の積)Yは、上述ように算出された積算回数(第1の積算回数)Xを用いて、式(2)により求めることができる。
[数2]
Y=(P/b)2×X (2)
【0092】
積算回数算出部43は、算出された積算回数に関するデータをシーケンスコントローラ制御部41に供給する。
【0093】
その後、ステップS39において、シーケンスコントローラ制御部41は、積算回数算出部43から供給された第2の積算回数に関するデータを取得し、取得された第2の積算回数に関するデータに基づいて、所望のMRS対象領域(MRS収集領域)における1H−MRSのシーケンスをシーケンスコントローラ31に与えてMRSを実行させ、静磁場中に置かれた被検体Pに対して高周波パルスおよび傾斜磁場パルスを印加させ、被検体P内に存在する代謝産物からの磁気共鳴信号を収集させる。
【0094】
次に、シーケンスコントローラ制御部41は、収集した磁気共鳴信号および積算回数を表示データ作成部44に与える。そうすると、表示データ作成部44は、積算回数だけ磁気共鳴信号を積算することにより周波数スペクトルを作成する。そして、作成された周波数スペクトルは表示装置34に表示される。これにより、MRSの検査にて、よりSN比(SNR)がよく、かつ、より線幅の細いスペクトルを得ることが可能となる。
【0095】
なお、磁場均一性を補正して用いる方法として、単一の領域からの信号を収集する1H−MRSの際には、その撮像前に、水抑制しないスペクトルを収集し、その線幅を使用するようにしてもよい。MRSのプランに使用される任意の画像全体において最も高い信号強度Mにおける水スペクトルの半値幅をS(ppm)として、所望のMRS対象領域の水スペクトルの半値幅をt(ppm)とすると、積算回数(マルチボクセルの場合、位相エンコード回数と積算回数の積)Y´は、式(3)により求められる。
【0096】
[数3]
Y´=(S/t)2×X (3)
【0097】
勿論、RFコイル感度分布と磁場均一性分布の両方を用いて積算回数を求めるようにしてもよいが、磁場均一性分布のみによって積算回数を求めるようにしてもよい。
つまり、RFコイル感度分布や磁場均一性分布等の周波数スペクトルに影響を与える因子に応じて積算回数または位相エンコード回数を設定することができる。また、式(1)から式(3)における次数は2に限らず正数としてもよい。一般化すると、式(4)または式(5)によって積算回数Zを計算することができる。
【0098】
[数4]
Z=a1(N/q)n1・a2(M/a)n2・a3(P/b)n3・O (4)
Z=b1(N/q)m1・b2(M/a)m2・b3(S/t)m3・O (5)
但し、式(4)および式(5)において
Z:積算回数
N:基準となるボクセルサイズ
q:MRS対象領域のボクセルサイズ
M:プラン画像上の最大信号強度
a:MRS収集位置における信号強度
P:プラン画像上の磁場均一性を表す指標の最大値
b:MRS収集位置における磁場均一性を表す指標
S:基準となる水スペクトルの半値幅
t:MRS収集位置における水スペクトルの半値幅
O:基準となる積算回数
a1, a2, a3, b1, b2, b3 (>0): 係数
n1, n2, n3, m1, m2, m3: 正数
である。
【0099】
基準となるボクセルサイズN、水スペクトルの半値幅S、積算回数Oは、最大感度および最大磁場均一性のときの値とすることができる。また、係数a1, a2, a3, b1, b2, b3および正数n1, n2, n3, m1, m2, m3は、経験的または実験的に適切な値に設定することができる。正数n1, n2, n3, m1, m2, m3は、0, 1, 2, 3等の整数に限らず1/2, 1/3等の値であってもよい。
つまり式(4)または式(5)に示すように、Nに対してqが相対的に小さい程、Mに対してaが相対的に小さい程、Pに対してbが相対的に小さい程、Sに対してtが相対的に小さい程、積算回数Zが大きくなるようにすればよい。
【0100】
また、式(4)や式(5)に示すような数式を用いずに、周波数スペクトルに影響を与えるボクセルサイズ等のパラメータごとに予め適切な積算回数を関連付けたテーブルを記憶装置36に記憶させて準備しておき、テーブルを参照して対応する積算回数をMRS用の積算回数として設定してもよい。
位相エンコード回数についても同様な決定方法で決定することができる。
【0101】
ところで、システムコントローラ制御部41がMRSの検査を実行する際には、表示装置34は、表示データ作成部44の制御に従い、MRSの検査に伴うスペクトルを表示する。従来においては、MRSの観測終了後にスペクトルの表示処理が行われていた。そのため、MRSの検査を実行したはいいが、MRSにおけるSNRが良くないという状況が生じうる。このような場合、その後にSNRを改善しようとすると余計な時間がかかってしまう。そこで、設定したMRSの観測時間の途中で、表示データ作成部44は、シーケンスコントローラ制御部41の制御に従い、MRSのスペクトルの生成処理および表示処理を行い、表示装置34にMRSのスペクトルを表示させるようにする。
【0102】
図18は、MRSの収集時に表示されるタッチパネルの構成例を示す図である。
図18(A)は、例えば1分経過時の収集途中のシングルボクセルのスペクトルを示しており、図18(B)は、例えば4分経過時の収集途中のシングルボクセルのスペクトルを示している。
【0103】
勿論、このスペクトルの表示処理はMRSでの1回の積算ごとに行うようにしてもよいし、1H−MRS(プロトンスペクトルスコピー)の場合には、水抑制をしないスペクトルを例えば8回積算で収集した場合、その倍数ごとに処理を行ってもよい。
【0104】
また、図18(A)および(B)に示されるように、MRSのスペクトルを表示装置34に表示させる際に、入力手段としてのタッチパネル51を同時に表示させるようにしてもよい。例えば図18(A)および(B)に示されるように、タッチパネル51には、SNRが十分であれば途中で撮影を終了して保存(記憶)させる機能(Save&Exit)を有するタッチパネル51−1、途中で良好なスペクトルが得られないときに撮影を終了する機能(Abort)を有するタッチパネル51−2、および、設定した積算回数が足りなそうであれば、途中で積算回数を変更する機能(Change)を有するタッチパネル51−3が設けられている。従ってこれらのタッチパネル51を操作することによって周波数スペクトルの収集中において周波数スペクトルの収集条件を変更させることができる。
【0105】
これにより、例えば算出された積算回数を用いたMRSの実行時に、スペクトルのSNRが十分であれば、オペレータがたとえばタッチパネル51−1を操作すると、途中でMRSの撮影を終了してデータを記憶装置36に保存(記憶)させることができる。また、途中で良好なスペクトルが得られないときに、オペレータがたとえばタッチパネル51−2を操作すると、良好なスペクトルが得られない撮影を終了させることができる。
【0106】
さらに、例えば算出された積算回数を用いたMRSの実行時に、設定した積算回数が足りなそうであれば、オペレータがたとえばタッチパネル51−3を操作すると、途中で積算回数を変更させることができる。勿論、実行されるMRSの撮影が終了したのちにこのChange機能を実行することも可能である。具体的には、図10または図16のフローチャートを用いて算出されて設定された積算回数(例えば128回など)でMRSの撮影が終了した後に、積算回数を192回などに変更してさらに64回撮影を実行させるようにしてもよい。この場合、192回の積算回数のデータが実行されて処理されることとなる。
【0107】
なお、これらのタッチパネルの代わりに、専用の入力ボタンを入力装置33の一部として設けるようにしてもよい。
【0108】
ところで、被検体Pの体動を、予め設定された積算回数ごとに、グラディエントエコー法などによって水スペクトルを収集した上でエコー(信号)の位相のずれから判定するようにし、エコー(信号)の位相のずれが一定量以上あり、一定時間以上続く場合には、オペレータに対してその旨を警告するようにしてもよい。以下、この方法を用いた本発明の第3実施形態について説明する。
【0109】
3.第3の実施形態
図19は、本発明の第3の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置におけるコンピュータの機能ブロック図である。
【0110】
図19において、図7の磁気共鳴イメージング装置20の構成と対応するものについては、同一の符号を付しており、その説明は繰り返しになるので省略する。また、磁気共鳴イメージング装置の基本的な構成については、本発明の第1実施形態にて図1乃至図6を用いて説明した構成と同様であり、その説明は省略する。
【0111】
シーケンスコントローラ制御部41は、MRS用のNMR信号を収集させるとともに、ある積算回数ごとに少なくともMRSの対象領域を含む領域から、グラディエントエコー法によってスペクトルの補正用信号を収集させる。
【0112】
補正用信号解析部52は、積算回数ごとにシーケンスコントローラ31からシーケンスコントローラ制御部41を介して供給された補正用信号を取得し、取得された補正用信号に所定の信号処理を施すことによって補正用信号を解析する。そして、補正用信号の位相のずれが一定量以上あるか否かを判定することで、被検体Pの体動を検知する。そして、補正用信号解析部52は、補正用信号の解析の結果、補正用信号の位相のずれが一定量以上あると判定した場合、被検体Pの体動があったと認識して検知信号を生成する。生成された検知信号は、シーケンスコントローラ制御部41と表示データ作成部44に供給される。
【0113】
図20は、図19に示す積算回数算出部43における積算回数算出処理を説明するフローチャートである。
【0114】
図20のフローチャートを参照して、図19に示す積算回数算出部43における積算回数算出処理について説明する。なお、図20のステップS51乃至S55の処理は、図10のステップS11乃至S15の処理と基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
【0115】
ステップS56において、シーケンスコントローラ制御部41は、積算回数算出部43から供給された積算回数に関するデータを取得し、取得された積算回数に関するデータに基づいて、所望のMRS対象領域(MRS収集領域)における1H−MRSのシーケンスをシーケンスコントローラ31に与えてMRSの実行を開始させる。
【0116】
ステップS57において、シーケンスコントローラ制御部41は、積算回数ごとに例えば図21に示されるように少なくともMRSの対象領域を含む所定の補正用信号収集領域からMRSのスペクトルの補正用信号を収集させる。
図21は、MRSの対象領域を含む所定の補正用信号収集領域を示す図である。
【0117】
なお、図21の場合、収集されるデータの断面は、アキシャル断面であるが、サジタル断面であってもよいし、コロナル断面であってもよい。
【0118】
ステップS58において、補正用信号解析部52は、積算回数ごとにシーケンスコントローラ31からシーケンスコントローラ制御部41を介して供給された補正用信号を取得し、補正用信号に所定の信号処理を施して解析することによって、補正用信号の位相のずれが一定量以上あるか否かを判定する。
図22は、補正用信号の位相ずれを示す図である。
【0119】
図22(A)および(B)は、補正用信号の位相がずれる様子を表している。例えば図22(A)および(B)に示されるように、初期位相をaとし、位相ずれの許容範囲をΦ(例えば20°など)とした場合に、積算回数t回目(マルチボクセルの場合、エンコードのt回目)で、被検体Pの体動があり、位相が許容範囲外のeに飛んでいる。従って、図22(A)および(B)のいずれにおいても、補正用信号の位相のずれが一定量以上あると判定される。
【0120】
ステップS58において補正用信号解析部52が、補正用信号の位相のずれが一定量以上あると判定した場合、補正用信号解析部52はステップS59で、被検体Pの体動を検知し、被検体Pの体動に応じた検知信号を生成する。
【0121】
すなわち、図22(A)の場合、被検体Pの体動が瞬間的なものであったために、一旦許容範囲外のeに飛んだが、その後に元の位相に戻っている。そこで、シングルボクセルのときには、MRSの収集を続けた上で動いた部分のデータが処理から除外されるように、補正用信号解析部52は、その旨の検知信号(すなわち、シングルボクセルのときには、MRSの収集を続けた上で動いた部分のデータを処理から除外する旨の検知信号)を生成する。生成された検知信号はシーケンスコントローラ41に供給される。なお、マルチボクセルの場合、被検体Pが動いた部分のエンコードデータが再収集されるように、補正用信号解析部52は、その旨の検知信号を生成する。そして、生成された検知信号がシーケンスコントローラ41に供給される。
【0122】
一方、図22(B)の場合、被検体Pの体動は瞬間的なものではなく、一旦許容範囲外のeに飛んだが、その後に元の位相に戻ってはいない。このため、図22(B)の場合、被検体Pの体動が大きく、MRSの検査に対する影響が看過し得ない。そこで、被検体Pの体動を検知した旨のメッセージが表示装置34に表示されるように、補正用信号解析部52は、その旨の検知信号(すなわち、被検体の体動を検知した旨のメッセージを表示装置34に表示させるための検知信号)を生成し、生成された検知信号を表示データ作成部44に供給する。
【0123】
一方、ステップS58において補正用信号解析部52が、補正用信号の位相のずれが一定量以上はないと判定した場合、ステップS59の処理はスキップされ、補正用信号解析部52はいずれの検知信号も生成しない。
【0124】
ステップS60において、シーケンスコントローラ制御部41は、取得された積算回数に関するデータに基づいて、所望のMRS対象領域(MRS収集領域)における1H−MRSのシーケンスをシーケンスコントローラ31に与えてMRSを実行させる。すなわち、静磁場中に置かれた被検体Pに対して高周波パルスおよび傾斜磁場パルスが印加され、被検体P内に存在する代謝産物からの磁気共鳴信号が収集される。
【0125】
このとき、例えば図22(A)の場合、被検体Pの体動が瞬間的なものであったために、一旦許容範囲外のeに飛んではいるが、その後に位相が元に戻っている。そこで、シーケンスコントローラ制御部41は、補正用信号解析部52から供給された検知信号に基づいて、シングルボクセルのときには、MRSの収集を続けた上で動いた部分のデータを処理から除外する。これにより、MRSの検査にて、SN比(SNR)がよく、かつ、線幅の細いスペクトルを得ることができるだけでなく、被検体Pの体動があった場合であっても、被検体Pの体動によるMRSの検査への影響を排除することができる。
【0126】
また、例えば図22(B)の場合、被検体Pの体動は瞬間的なものではなく、一旦許容範囲外のeに飛んだが、その後に元の位相に戻ってはいない。このため、被検体Pの体動が大きく、MRSの検査に対する影響が看過できない。そこで、表示データ作成部44は、補正用信号解析部52から供給された検知信号に基づいて、被検体Pの体動を検知した旨のメッセージを表示装置34に表示させるように制御する。例えば「被検体Pの体動がありました。」などのメッセージが表示装置34に表示される。これにより、オペレータは、MRSの検査中に被検体Pの体動があったことを知ることができる。そして、入力装置33を操作することで、そのMRSの実行を適宜以降終了させることができる。なお、音声や発光素子などを用いてその旨をオペレータに通知するようにしてもよい。
【0127】
ステップS61において、シーケンスコントローラ制御部41は、算出された積算回数までMRSを実行したか否かを判定する。ステップS61においてシーケンスコントローラ制御部41が、算出された積算回数までMRSを実行したと判定した場合、処理はステップS62に進み、ステップS62においてシーケンスコントローラ制御部41は、MRSの実行を終了する。
【0128】
一方、ステップS61においてシーケンスコントローラ制御部41は、算出された積算回数までMRSを実行していないと判定された場合、シーケンスコントローラ制御部41は積算回数を1だけインクリメントする。次に、処理はステップS57に戻り、ステップS57以降の処理が繰り返し実行される。これにより、算出された積算回数までMRSが実行され、データが収集される。
【0129】
本発明の第3の実施形態においては、所望のMRS対象領域のサイズに対応する適切な積算回数を算出することができる。加えて、RFコイル24の感度が均一でない場合や、被検体Pのサセプタビリティ(感受性)が均一ではない場合などであったとしても、体動などによって実際の検査が失敗に終ってしまったり、あるいは、不必要に検査時間が長くなってしまったりすることで、無駄に検査時間を増やしてしまうことを防止することができる。また、たとえMRSの検査の実行中に、被検体Pの体動があったとしても、被検体Pが動いた部分のデータを処理から除外したり、オペレータに対して、被検体Pの体動を検知した旨のメッセージを通知することができる。従って、MRSを用いた検査時間の無駄をより好適に省くことができる。
【0130】
なお、補正用信号の位相だけでなく、振幅(信号強度)を用いるようにしてもよいし、これらの2つを同時に用いるようにしてもよい。また、図20のフローチャートでは、被検体Pの体動を、予め設定された積算ごとに、グラディエントエコー法などによって水スペクトルを収集した上でエコー信号の位相のずれから判定するようにしたが、このような場合に限られない。例えば数回の積算ごとに(マルチボクセルの場合は数回のエンコードごとに)、被検体Pの体動を検知するようにしてもよい。
図23は、補正用信号の中心周波数の経時的なシフトを示す図である。
【0131】
図23に示されるように、初期の中心周波数をf、中心周波数の許容範囲をC(例えば0.1ppmなど)とした場合、傾斜磁場系の温度変化などによって、積算回数t回目(マルチボクセルの場合、エンコードt回目)に、中心周波数が許容範囲から外れている。
【0132】
図24は図19に示す積算回数算出部43における他の積算回数算出処理を説明するフローチャートである。
【0133】
図24のフローチャートに示されるように、ステップS80にて、補正用信号解析部52が中心周波数が許容範囲から所定の量以上ずれているか否かを判定し、中心周波数が許容範囲から所定の量以上ずれていると判定された場合、ステップS81にてシーケンスコントローラ制御部41が中心周波数をf+CにシフトしてMRSを実行するようにする。例えば図23の場合、t+1回目以降においては、MRSの収集時に用いられる中心周波数がf+Cにシフトされる。これにより、傾斜磁場などの経時変化が生じたとしても、MRSを用いた検査を好適に行うことができる。
【0134】
なお、図24のステップS71乃至S79、およびステップS82乃至S84の処理は、図20のステップS51乃至S62の処理と基本的には同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
【0135】
本発明の実施形態において説明した一連の処理は、ソフトウェアにより実行させることもできるが、ハードウェアにより実行させることもできる。
【0136】
また、本発明の実施形態では、フローチャートのステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、時系列的に処理されなくてもよい。すなわち各ステップは、並列的あるいは個別実行される場合もある。
【符号の説明】
【0137】
20…磁気共鳴イメージング装置、21…静磁場用磁石、22…シムコイル、23…傾斜磁場コイルユニット、24…RFコイルユニット、24a…WBコイル、24b…フェーズドアレイコイル、24c…表面コイル、24d、24e、24f、24g…コイルユニット、25…制御系、26…静磁場電源、27…傾斜磁場電源、28…シムコイル電源、29…送信器、30…受信器、30a…デュプレクサ、30b…アンプ、30c…切換合成器、30d…受信系回路、31…シーケンスコントローラ、32…コンピュータ、33…入力装置、34…表示装置、35…演算装置、36…記憶装置、37…寝台、38…ECGユニット、41…シーケンスコントローラ制御部、42…RFコイル感度分布生成部、43…積算回数算出部、44…表示データ作成部、45…磁場均一性分布生成部、51(51−1乃至51−3)…タッチパネル、52…補正用信号解析部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静磁場中の被検体に対して高周波パルスおよび傾斜磁場パルスを印加することによって、前記被検体内の対象領域に存在する代謝産物からの磁気共鳴信号の周波数スペクトルの収集を実行するスペクトル収集手段と、
前記周波数スペクトルの収集の途中における周波数スペクトルを表示する表示手段と
を備えることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記表示手段は、予め定められた前記磁気共鳴信号の積算回数毎に、前記周波数スペクトルの表示処理を行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記表示手段は、前記磁気共鳴信号の1回の積算毎に前記周波数スペクトルの表示処理を行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記表示手段は、前記磁気共鳴信号の複数回の積算毎に前記周波数スペクトルの表示処理を行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記表示手段は、前記磁気共鳴信号の複数回の積算の倍数毎に前記周波数スペクトルの表示処理を行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
設定された周波数スペクトルの観測時間の途中で前記周波数スペクトルの収集を終了させるための入力手段をさらに備えることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
設定された周波数スペクトルの観測時間の途中で前記周波数スペクトルの収集を終了させると共に、前記観測時間の途中の周波数スペクトルを保存させるための入力手段をさらに備えることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
設定された周波数スペクトルの観測時間の途中で前記周波数スペクトルの積算回数を変更させるための入力手段をさらに備えることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
請求項8記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記スペクトル収集手段は、前記設定された観測時間の周波数スペクトルの収集を実行した後に、前記入力手段により入力された積算回数の前記周波数スペクトルの収集を実行することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項1】
静磁場中の被検体に対して高周波パルスおよび傾斜磁場パルスを印加することによって、前記被検体内の対象領域に存在する代謝産物からの磁気共鳴信号の周波数スペクトルの収集を実行するスペクトル収集手段と、
前記周波数スペクトルの収集の途中における周波数スペクトルを表示する表示手段と
を備えることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記表示手段は、予め定められた前記磁気共鳴信号の積算回数毎に、前記周波数スペクトルの表示処理を行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記表示手段は、前記磁気共鳴信号の1回の積算毎に前記周波数スペクトルの表示処理を行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記表示手段は、前記磁気共鳴信号の複数回の積算毎に前記周波数スペクトルの表示処理を行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記表示手段は、前記磁気共鳴信号の複数回の積算の倍数毎に前記周波数スペクトルの表示処理を行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
設定された周波数スペクトルの観測時間の途中で前記周波数スペクトルの収集を終了させるための入力手段をさらに備えることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
設定された周波数スペクトルの観測時間の途中で前記周波数スペクトルの収集を終了させると共に、前記観測時間の途中の周波数スペクトルを保存させるための入力手段をさらに備えることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
設定された周波数スペクトルの観測時間の途中で前記周波数スペクトルの積算回数を変更させるための入力手段をさらに備えることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
請求項8記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記スペクトル収集手段は、前記設定された観測時間の周波数スペクトルの収集を実行した後に、前記入力手段により入力された積算回数の前記周波数スペクトルの収集を実行することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−106077(P2012−106077A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−46305(P2012−46305)
【出願日】平成24年3月2日(2012.3.2)
【分割の表示】特願2009−54481(P2009−54481)の分割
【原出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月2日(2012.3.2)
【分割の表示】特願2009−54481(P2009−54481)の分割
【原出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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