説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】RF(B1)強度の不均一に起因する画像の劣化を低減することを課題とする。
【解決手段】実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、第1収集部と、第2収集部と、合成部とを備える。第1収集部は、第1の高周波パルス送信条件によるパルスシーケンスを実行し、データを収集する。第2収集部は、前記第1の高周波パルス送信条件と異なる第2の高周波パルス送信条件によるパルスシーケンスを実行し、データを収集する。合成部は、前記第1収集部により収集されたデータおよび前記第2収集部により収集されたデータ、又は、前記第1収集部により収集されたデータを再構成したデータおよび前記第2収集部により収集されたデータを再構成したデータについて、合成処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置)による撮像は、核磁気共鳴現象を利用することで主に被検体内部を画像化する手法である。具体的には、MRI装置は、核磁気共鳴現象を発生させるために、共振周波数に対応する高周波パルス(以下、RF(Radio Frequency)パルス)を送信コイルに印加し、送信コイルが、高周波磁場(以下、RF(B1)磁場)を発生する。
【0003】
ここで、共振周波数は静磁場強度に比例するので、静磁場強度が大きくなると共振周波数も高くなる関係にあるが、静磁場強度が例えば1.5T(テスラ)を超えると、被検体内部における電気的な損失や誘電共振などが原因となってRF(B1)磁場の分布が不均一となる。すなわち、被検体内部においてRF(B1)強度が不均一となり、画像の均一度も低下する。具体的には、画像において、部分的な信号低下やコントラスト低下が発生し、画像が劣化する。このため、従来、静磁場強度が例えば1.5Tを超えるMRI装置においては、RF(B1)強度を均一にするための手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4004964号明細書
【特許文献2】特表2008−514259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術によっても、RF(B1)強度を完全に均一にすることは難しく、依然としてRF(B1)強度の不均一は存在する。このため、RF(B1)強度の不均一に起因する画像の劣化も依然として存在するという課題があった。このようなことから、RF(B1)強度の不均一に起因する画像の劣化を低減することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態のMRI装置は、第1収集部と、第2収集部と、合成部とを備える。前記第1収集部は、第1の高周波パルス送信条件によるパルスシーケンスを実行し、データを収集する。前記第2収集部は、前記第1の高周波パルス送信条件と異なる第2の高周波パルス送信条件によるパルスシーケンスを実行し、データを収集する。前記合成部は、前記第1収集部により収集されたデータおよび前記第2収集部により収集されたデータ、又は、前記第1収集部により収集されたデータを再構成したデータおよび前記第2収集部により収集されたデータを再構成したデータについて、合成処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、実施例1に係るMRI装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、実施例1に係る制御部の構成を示す図である。
【図3】図3は、実施例1に係る制御部による処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、実施例1に係る画像合成部による合成処理の技術的な意味を説明するための図である。
【図5A】図5Aは、静磁場強度が3T、高速スピンエコー法で実施した例を示す図である。
【図5B】図5Bは、静磁場強度が3T、高速スピンエコー法で実施した例を示す図である。
【図5C】図5Cは、静磁場強度が3T、高速スピンエコー法で実施した例を示す図である。
【図5D】図5Dは、静磁場強度が3T、高速スピンエコー法で実施した例を示す図である。
【図6A】図6Aは、静磁場強度が3T、スピンエコー法で3回のデータ収集を実施した例を示す図である。
【図6B】図6Bは、静磁場強度が3T、スピンエコー法で3回のデータ収集を実施した例を示す図である。
【図6C】図6Cは、静磁場強度が3T、スピンエコー法で3回のデータ収集を実施した例を示す図である。
【図6D】図6Dは、静磁場強度が3T、スピンエコー法で3回のデータ収集を実施した例を示す図である。
【図7A】図7Aは、実施例1におけるデータ収集の変形例を説明するための図である。
【図7B】図7Bは、実施例1におけるデータ収集の変形例を説明するための図である。
【図8A】図8Aは、実施例1におけるデータ収集の変形例を説明するための図である。
【図8B】図8Bは、実施例1におけるデータ収集の変形例を説明するための図である。
【図8C】図8Cは、実施例1におけるデータ収集の変形例を説明するための図である。
【図8D】図8Dは、実施例1におけるデータ収集の変形例を説明するための図である。
【図9A】図9Aは、実施例2におけるデータ収集を説明するための図である。
【図9B】図9Bは、実施例2におけるデータ収集の変形例を説明するための図である。
【図10A】図10Aは、実施例2における画像の再構成を説明するための図である。
【図10B】図10Bは、実施例2における画像の再構成を説明するための図である。
【図10C】図10Cは、実施例2における画像の再構成を説明するための図である。
【図11】図11は、実施例2に係る制御部による処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、実施の形態に係るMRI装置の一例として、実施例1〜3に係るMRI装置を説明する。
【実施例1】
【0009】
まず、図1を用いて、実施例1に係るMRI装置100の構成を説明する。図1は、実施例1に係るMRI装置100の構成を示す図である。図1に例示するように、実施例1に係るMRI装置100は、特に、静磁場磁石1と、傾斜磁場コイル2と、傾斜磁場電源3と、寝台4と、寝台制御部5と、送信コイル6と、送信部7と、受信コイル8と、受信部9と、シーケンス制御部10と、計算機システム20とを備える。
【0010】
静磁場磁石1は、中空の円筒形状に形成され、内部の空間に一様な静磁場を発生する。静磁場磁石1は、例えば、永久磁石、超伝導磁石などである。傾斜磁場コイル2は、中空の円筒形状に形成され、内部の空間に傾斜磁場を発生する。具体的には、傾斜磁場コイル2は、静磁場磁石1の内側に配置され、傾斜磁場電源3から電流の供給を受けて傾斜磁場を発生する。傾斜磁場電源3は、シーケンス制御部10から送られるパルスシーケンス実行データに従って、傾斜磁場コイル2に電流を供給する。
【0011】
寝台4は、被検体Pが載置される天板4aを備え、天板4aを、被検体Pが載置された状態で傾斜磁場コイル2の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台4は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部5は、寝台4を駆動して、天板4aを長手方向及び上下方向へ移動する。
【0012】
送信コイル6は、RF(B1)磁場を発生する。具体的には、送信コイル6は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、送信部7からRFパルスの供給を受けて、RF(B1)磁場を発生する。送信部7は、シーケンス制御部10から送られるパルスシーケンス実行データに従って、共振周波数(ラーモア周波数)に対応するRFパルスを送信コイル6に印加する。
【0013】
受信コイル8は、MRエコー信号を受信する。具体的には、受信コイル8は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから放射されるMRエコー信号を受信する。また、受信コイル8は、受信したMRエコー信号を受信部9に出力する。例えば、受信コイル8は、頭部用の受信コイル、脊椎用の受信コイル、腹部用の受信コイルなどである。
【0014】
受信部9は、シーケンス制御部10から送られるパルスシーケンス実行データに従って、受信コイル8から出力されたMRエコー信号に基づきMRエコー信号データを生成する。具体的には、受信部9は、受信コイル8から出力されたMRエコー信号をデジタル変換することによってMRエコー信号データを生成し、生成したMRエコー信号データをシーケンス制御部10を介して計算機システム20に送信する。なお、受信部9は、静磁場磁石1や傾斜磁場コイル2などを備える架台装置側に備えられていてもよい。
【0015】
シーケンス制御部10は、傾斜磁場電源3、送信部7、及び受信部9を制御する。具体的には、シーケンス制御部10は、計算機システム20から送信されたパルスシーケンス実行データを、傾斜磁場電源3、送信部7、及び受信部9に送信する。
【0016】
計算機システム20は、特に、インタフェース部21と、入力部22と、表示部23と、記憶部24と、制御部25とを備える。インタフェース部21は、シーケンス制御部10に接続され、シーケンス制御部10と計算機システム20との間で送受信されるデータの入出力を制御する。入力部22は、撮像指示などを操作者から受け付ける。例えば、入力部22は、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。表示部23は、再構成された画像などを表示する。例えば、表示部23は、液晶表示器などの表示デバイスである。
【0017】
記憶部24は、再構成された画像や、MRI装置100において用いられるその他のデータを記憶する。例えば、記憶部24は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどである。
【0018】
制御部25は、上記各部を制御することによってMRI装置100を総括的に制御する。例えば、制御部25は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路、または、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。
【0019】
図2は、実施例1に係る制御部25の構成を示す図である。図2に例示するように、実施例1に係る制御部25は、特に、第1収集部25aと、第2収集部25bと、画像再構成部25cと、画像合成部25dとを備える。
【0020】
第1収集部25aは、第1のRFパルス送信条件によるパルスシーケンスを実行し、データを収集する。具体的には、第1収集部25aは、第1のRFパルス送信条件によるパルスシーケンスを実行するためのパルスシーケンス実行データを、シーケンス制御部10を介して傾斜磁場電源3、送信部7、及び受信部9に送信する。次に、第1収集部25aは、受信部9にて生成されたMRエコー信号データを、シーケンス制御部10を介して受信する。そして、第1収集部25aは、受信したMRエコー信号データを画像再構成部25cに送る。
【0021】
第2収集部25bは、第2のRFパルス送信条件によるパルスシーケンスを実行し、データを収集する。具体的には、第2収集部25bは、第2のRFパルス送信条件によるパルスシーケンスを実行するためのパルスシーケンス実行データを、シーケンス制御部10を介して傾斜磁場電源3、送信部7、及び受信部9に送信する。次に、第2収集部25bは、受信部9にて生成されたMRエコー信号データを、シーケンス制御部10を介して受信する。そして、第2収集部25bは、受信したMRエコー信号データを画像再構成部25cに送る。
【0022】
ここで、第1のRFパルス送信条件及び第2のRFパルス送信条件は、それぞれ異なるものである。実施例1において、第1のRFパルス送信条件及び第2のRFパルス送信条件は、それぞれRFパルスの送信強度が異なる。第1収集部25a及び第2収集部25bによって送信されるパルスシーケンス実行データは、例えば、第2のRFパルス送信条件による送信強度が、第1のRFパルス送信条件による送信強度よりもスライス面全体一律に大きくなるように設定されたものである。例えば、送信強度をスライス面全体一律に大きくなるように設定した場合、被検体内部の各部分における励起フリップ角は一律に大きくなる。
【0023】
また、第1収集部25a及び第2収集部25bによって送信されるパルスシーケンス実行データは、例えば、第2のRFパルス送信条件による送信強度が、第1のRFパルス送信条件による送信強度よりもスライス面全体一律に小さくなるように設定されたものである。例えば、送信強度をスライス面全体一律に小さくなるように設定した場合、被検体内部の各部分における励起フリップ角は一律に小さくなる。このようなパルスシーケンス実行データは、例えば予めMRI装置100に設定されていてもよいし、例えば操作者によるパラメータの入力を受け付けて設定されるものであってもよい。
【0024】
なお、第1収集部25a及び第2収集部25bによって実行されるパルスシーケンスには、数々の種類のものを適用することができる。代表的には、スピンエコー法、高速スピンエコー法、SSFP(Steady State Free Precession)法などを挙げることができる。また、撮影のモードとしては、2D法、3D法、Cartesian法、Non−Cartesian法などを幅広く使用することができる。
【0025】
画像再構成部25cは、第1収集部25aにより収集されたデータ及び第2収集部25bにより収集されたデータを用いて画像を再構成する。具体的には、画像再構成部25cは、第1収集部25aからMRエコー信号データを受け取ると、受け取ったMRエコー信号データを再構成して第1の画像を生成し、生成した第1の画像を画像合成部25dに送る。また、画像再構成部25cは、第2収集部25bからMRエコー信号データを受け取ると、受け取ったMRエコー信号データを再構成して第2の画像を生成し、生成した第2の画像を画像合成部25dに送る。
【0026】
画像合成部25dは、画像再構成部25cによる再構成により得られた画像に対して合成処理を行う。具体的には、画像合成部25dは、画像再構成部25cから第1の画像及び第2の画像を受け取ると、受け取った第1の画像及び第2の画像について、空間的位置が同一となるピクセル毎に信号強度を比較する。そして、画像合成部25dは、信号強度の最大値を選択することで、合成処理を行う。なお、合成処理は、信号強度の最大値を選択する手法に限られない。例えば、信号強度の絶対値を加算する手法でもよいし、平方和(Sum of Square)を演算する手法でもよい。
【0027】
図3は、実施例1に係る制御部25による処理手順を示すフローチャートである。なお、実施例1においては、2回のデータ収集、すなわち第1収集部25aによるデータ収集及び第2収集部25bによるデータ収集を想定するので、図3に例示するステップS101〜S103の処理は、2回繰り返されることになる。しかし、後述するように、実施の形態に係るMRI装置はこれに限られるものではなく、図3に例示するステップS101〜S103の処理は、予め設定された任意の回数繰り返されてもよい。
【0028】
まず、放射線技師や医師などの操作者によって撮影プロトコルが指定されることにより、MRI装置100による撮影が開始される。このとき、例えば、操作者によって、第1収集部25a、第2収集部25b、画像再構成部25c、及び画像合成部25dによる一連の処理を実行する撮影プロトコルが指定される。指定された撮影プロトコルには、第1のRFパルス送信条件及び第2のRFパルス送信条件が含まれており、また、これらに依存した撮影時間などの付随する情報が含まれている。
【0029】
次に、制御部25において、第1収集部25aが、第1のRFパルス送信条件を設定する(ステップS101)。例えば、撮影プロトコルに、第1のRFパルス送信条件として、励起フリップ角x°が設定されていたとする。すると、第1収集部25aは、励起フリップ角がx°となるようにパルスシーケンス実行データを計算し、計算したパルスシーケンス実行データを傾斜磁場電源3、送信部7、及び受信部9に送信する。
【0030】
続いて、第1収集部25aは、データを収集する(ステップS102)。例えば、第1収集部25aは、受信部9にて生成されたMRエコー信号データを受信し、受信したMRエコー信号データを画像再構成部25cに送る。なお、データの収集単位は、1シリーズ分のデータ(例えば、励起フリップ角x°、50スライス)であってもよいし、1スライス分のデータであってもよく、任意に設定可能である。
【0031】
制御部25は、撮影プロトコルに含まれるRFパルス送信条件によるデータ収集を終えたか否かを判定する(ステップS103)。実施例1においては、撮影プロトコルに第2のRFパルス送信条件も含まれている。このため、制御部25は、データ収集を終えていないと判定し(ステップS103否定)、第2収集部25bが、第2のRFパルス送信条件を設定する(ステップS101)。例えば、撮影プロトコルに、第2のRFパルス送信条件として、励起フリップ角y°が設定されていたとする。すると、第2収集部25bは、励起フリップ角がy°となるようにパルスシーケンス実行データを計算し、計算したパルスシーケンス実行データを傾斜磁場電源3、送信部7、及び受信部9に送信する。
【0032】
続いて、第2収集部25bは、データを収集する(ステップS102)。例えば、第2収集部25bは、受信部9にて生成されたMRエコー信号データを受信し、受信したMRエコー信号データを画像再構成部25cに送る。なお、データの収集単位は、1シリーズ分のデータ(例えば、励起フリップ角y°、50スライス)であってもよいし、1スライス分のデータであってもよく、任意に設定可能である。
【0033】
再び、制御部25は、撮影プロトコルに含まれるRFパルス送信条件によるデータ収集を終えたか否かを判定し(ステップS103)、データ収集を終えたと判定すると(ステップS103肯定)、続いて、画像再構成部25cが、第1収集部25aにより収集されたデータ及び第2収集部25bにより収集されたデータそれぞれを再構成する(ステップS104)。
【0034】
なお、画像再構成部25cによる画像の再構成は、第1収集部25a及び第2収集部25bの双方によるデータ収集が完了した後に開始される処理手順に限られるものではない。例えば、画像再構成部25cは、第1収集部25aによるデータ収集が完了した場合に、第2収集部25bによるデータ収集を待つことなく直ちに第1収集部25aにより収集されたデータの再構成を開始してもよい。また、例えば、画像再構成部25cは、第1収集部25aにより収集されたデータの再構成と、第2収集部25bによるデータ収集とを並行して行ってもよい。ステップS104が完了した段階において、画像合成部25dによる処理に必要な画像全ての再構成が完了している。
【0035】
そして、画像合成部25dが、画像再構成部25cによる再構成により得られた第1の画像及び第2の画像に対して合成処理を行う(ステップS105)。具体的には、画像合成部25dは、第1の画像及び第2の画像について、空間的位置が同一となるピクセル毎に信号強度を比較し、信号強度の最大値を選択することで、合成処理を行う。
【0036】
ここで、図4を用いて、合成処理の技術的な意味を説明する。図4は、実施例1に係る画像合成部25dによる合成処理の技術的な意味を説明するための図である。横軸に「励起フリップ角」をとり、縦軸に「信号強度」をとると、信号強度は、組織毎に、例えば図4に例示するような曲線として示される。
【0037】
上述したように、第2のRFパルス送信条件による送信強度が、第1のRFパルス送信条件による送信強度よりもスライス面全体一律に大きくなるように設定されるということは、励起フリップ角が一律に大きくなるように設定されることと等価である。すなわち、図4において、×印a0、×印a1、×印a2は、励起フリップ角が徐々に大きくなる場合の組織aの信号強度の変化である。ここで、例えば、×印a1において信号強度は最大値を示しており、この信号強度で収集されたデータによって画像を再構成することが、画像の品質を向上するという観点からは最も望ましいとする。
【0038】
しかしながら、被検体内部においてRF(B1)強度が不均一となると、あるピクセルにおいて信号強度が×印a1を示す場合であっても、他のピクセルにおいては×印a0の信号強度や×印a2の信号強度を示す場合がある。この点、実施例1に係るMRI装置100によれば、励起フリップ角が一律に大きくなるように2回パルスシーケンスを実行する。すると、例えば、ピクセルP1においては、1回目に×印a0の信号強度となり、2回目には×印a1の信号強度となる一方で、ピクセルP2においては、1回目に×印a1の信号強度となり、2回目には×印a2の信号強度となるという状況が生じる。
【0039】
ここで、空間的位置が同一となるピクセル毎に信号強度を比較し、信号強度の最大値を選択すれば、ピクセルP1においては、×印a1の信号強度のデータとして2回目に収集されたデータが選択され、ピクセルP2においては、×印a1の信号強度のデータとして1回目に収集されたデータが選択されることになる。このようなことから、画像合成部25dによって合成された画像は、信号強度の最大値が選択されたピクセルの集合となり、画像全体の品質が向上することになる。なお、画像のコントラストは、例えば組織aの信号強度と、組織bの信号強度との差分に相当する。したがって、各組織において信号強度の最大値が選択されれば、これに伴い、他組織の信号強度との差分であるコントラストも改善されることになる。
【0040】
なお、合成処理は、信号強度の最大値を選択する手法に限られず、例えば、信号強度の絶対値を加算する手法や平方和を演算する手法でもよいと述べたが、この場合には、画像の劣化の低減効果が最大値を選択する手法よりもやや低下すると考えられる。すなわち、信号強度の絶対値を加算することは、結局、2回のデータ収集によって得られた2つの信号強度の平均値を得ていることと等価である。このため、画像合成部25dによって合成された画像は、信号強度の平均値を示すピクセルの集合となり、画像全体の品質は向上するものの、最大値を選択する手法に比較すると、画像の劣化の低減効果はやや低下すると考えられる。また、平方和を演算することは、輝度の高いピクセル値をより強調することになり、画像全体の品質を向上させる。
【0041】
もっとも、最大値を選択する手法では、複数枚の画像を合成することによるS/N比(信号と雑音との比)の向上を期待することができず、1枚分の画像相当のS/N比にとどまる。これに対し、絶対値を加算する手法や平方和を演算する手法では、合成した画像の枚数に応じてS/N比が向上する。
【0042】
図5A〜5Dは、静磁場強度が3T、高速スピンエコー法で実施した例を示す図である。なお、T2強調画像の条件を用いている。図5Aは、送信強度が50dB(デシベル)のRFパルス送信条件によって収集されたデータを再構成した画像である。RF(B1)強度の不均一により、腹部前壁側や背面側に信号強度の低下領域を認めることができる。また、図5Bは、送信強度が54dBのRFパルス送信条件によって収集されたデータを再構成した画像である。RF(B1)強度の不均一により、左右側に信号強度の低下領域を認めることができる。図5Cは、画像合成部25dによって合成された画像である。図5Cに例示する画像では、図5Aの画像や図5Bの画像において認められた信号強度の低下が改善され、信号強度の低下領域が低減し、コントラストが改善していることが明瞭である。なお、図5Dは、説明の便宜上、図5Cに例示する画像と図5Aに例示する画像との差分画像を示すものである。
【0043】
なお、実施例1においては、2回のデータ収集、すなわち第1収集部25aによるデータ収集及び第2収集部25bによるデータ収集を想定して説明したが、実施の形態に係るMRI装置はこれに限られるものではなく、データ収集は、予め設定された任意の回数行われてもよい。もっとも、撮影時間が延長されることに鑑みると、2回ないし3回が望ましい。
【0044】
図6A〜6Dは、静磁場強度が3T、スピンエコー法で3回のデータ収集を実施した例を示す図である。なお、T1強調画像の条件を用いている。図6Aは、基本となる送信強度のRFパルス送信条件によって収集されたデータを再構成した画像である。RF(B1)強度の不均一により、腹部前壁側などに信号強度の低下領域を認めることができる。また、図6Bは、送信強度が基本となる送信強度+2dBのRFパルス送信条件によって収集されたデータを再構成した画像である。RF(B1)強度の不均一により、背面側などに信号強度の低下領域を認めることができる。図6Cは、送信強度が基本となる送信強度+4dBのRFパルス送信条件によって収集されたデータを再構成した画像である。RF(B1)強度の不均一により、左右側などに信号強度の低下領域を認めることができる。図6Dは、画像合成部25dによって合成された画像である。図6Dに例示する画像では、図6Aに例示する画像や図6Bに例示する画像、図6Cに例示する画像において認められた信号強度の低下が改善され、信号強度の低下領域が低減し、コントラストが改善していることが明瞭である。
【0045】
上述したように、実施例1に係るMRI装置100は、第1のRFパルス送信条件によるパルスシーケンスを実行するとともに、第1のRFパルス送信条件と送信強度が異なる第2のRFパルス送信条件によるパルスシーケンスを実行し、それぞれデータを収集する。また、MRI装置100は、第1のRFパルス送信条件によって収集されたデータを再構成して第1の画像を生成し、第2のRFパルス送信条件によって収集されたデータを再構成して第2の画像を生成する。そして、MRI装置100は、第1の画像および第2の画像について、空間的位置が同一となるピクセル毎に信号強度を比較し、信号強度の最大値を選択することで、合成処理を行う。このようなことから、実施例1によれば、RF(B1)強度の不均一に起因する画像の劣化を低減することが可能になる。
【0046】
なお、実施例1に係るMRI装置100は、ハードウェアによってRF(B1)強度の不均一を改善する技術や、RFパルスの波形を改良することによってRF(B1)強度の不均一を改善する技術などと併用することもできる。
【0047】
また、実施例1においては、第1収集部25aによるデータの収集が終わった後に第2収集部25bによるデータの収集を行う手法を説明したが、実施例はこれに限られるものではない。第1収集部25aによるデータの収集と第2収集部25bによるデータの収集とを交互に行ってもよい。
【0048】
図7Aおよび7Bは、実施例1の変形例を説明するための図であり、図7Aは、実施例1において説明した手法を示し、図7Bは、変形例を示す。実施例1においては、MRI装置100は、図7Aに示すように、例えば、第1の画像の再構成に用いられるデータを収集した後に、第2の画像の再構成に用いられるデータを収集した。この場合、第1の画像用に収集されたデータと第2の画像用に収集されたデータとの間には時間的な乖離がある。このため、例えば呼吸動などの動きが被検体にあると、第1の画像と第2の画像との間に位置ずれが生じてしまい、合成後の画像にその影響が及ぶ。
【0049】
これに対し、変形例において、MRI装置100は、図7Bに示すように、例えば、第1の画像の再構成に用いられるデータの一部の収集と、第2の画像の再構成に用いられるデータの一部の収集とを交互に行う。例えば、50エンコード分ずつ交互に収集を行う。
【0050】
この場合、第1の画像用のデータと第2の画像用のデータとがほぼ同じ時間帯に収集されることになる。このため、例えば呼吸動などの動きが被検体にあったとしても、その動きは第1の画像及び第2の画像の両方に同じように反映され、結果的に、合成後の画像に与える影響は小さくなる。なお、図7A及び7Bに例示したデータの収集単位は一例に過ぎず、上述したように、データの収集単位は任意に設定可能である。
【0051】
また、実施例1においては、第1の画像用のデータ及び第2の画像用のデータのいずれも全エンコード分収集する手法を説明したが、実施例はこれに限られるものではない。一方の画像用のデータについては一部のデータのみ収集し、収集を行わない部分について、他方の画像用のデータから複製したり、推定したりする手法でもよい。図8A〜8Dは、実施例1の変形例を説明するための図である。以下、実施例1の変形例として、変形例1〜4を説明する。
【0052】
(変形例1)
変形例1において、第1収集部25aは、k空間全体のデータを収集し、第2収集部25bは、k空間の一部領域のデータを収集し、画像再構成部25cは、第2収集部25bにより収集されない領域のデータを、第1収集部25aにより収集されたデータに基づく複製により補う。
【0053】
図8Aにおいて、(A)は、第1収集部25aによって収集されたデータを示し、(B)は、第2収集部25bによって収集されたデータを示す。図8Aに示すように、第1収集部25aは、第1の画像用のデータについて、全エンコード分のデータを収集する。一方、第2収集部25bは、第2の画像用のデータについて、一部のデータのみを収集する。例えば、第2収集部25bは、k空間の中央付近のデータ、すなわち低周波領域のデータのみ(例えば100エンコード分)収集する。k空間の中央付近のデータには、画像の大まかな信号分布やコントラスト、RF(B1)強度の不均一の情報などが含まれる。
【0054】
そして、画像再構成部25cは、第2の画像用のデータを再構成する際には、第2収集部25bによるデータ収集が行われなかった領域について、第1の画像用のデータを複製する。なお、図8Aにおいては、説明の便宜上、1〜3、510〜512のエンコードラインを複製する矢印を図示しているが、データ収集が行われなかった他のエンコードラインについても同様に複製を行う。
【0055】
上述したように、k空間の中央付近のデータには、画像の大まかな信号分布やコントラスト、RF(B1)強度の不均一の情報などが含まれる。このため、第2の画像用として少なくともこの中央付近のデータさえ収集されていれば、画像再構成部25cは、その他の領域については第1の画像用のデータを複製することで、第2の画像を再構成することができる。
【0056】
このような手法によれば、収集するデータ量を減らし、撮影時間を短縮することが可能になる。なお、第2の画像用のデータについて全エンコード分のデータを収集し、第1の画像用のデータについて一部のデータのみを収集する手法でもよい。
【0057】
(変形例2)
変形例2において、第1収集部25aは、k空間全体のデータを収集し、第2収集部25bは、k空間の一部領域のデータを収集し、画像再構成部25cは、第2収集部25bにより収集されない領域のデータを、第1収集部25aにより収集されたデータに基づく推定により補う。
【0058】
図8Bにおいて、(A)は、第1収集部25aによって収集されたデータを示し、(B)は、第2収集部25bによって収集されたデータを示す。図8Bに示すように、変形例1と同様、第1収集部25aは、第1の画像用のデータについて、全エンコード分のデータを収集する。一方、第2収集部25bは、第2の画像用のデータについて、一部のデータのみを収集する。
【0059】
ここで、変形例2に係る画像再構成部25cは、第1収集部25aによって収集されたデータと、第2収集部25bによって収集されたデータとを用いて、第1収集部25aによって収集されたデータから、第2収集部25bによって収集されたデータを推定するための変換行列Wを求める。
【0060】
すなわち、第2収集部25bによって収集されたデータSjは既知であり、第1収集部25aによって収集されたデータSiも既知であるので、(1)式の関係から、第1収集部25aによって収集されたデータSiから第2収集部25bによって収集されたデータSjを推定するための変換行列W(wiの行列)を求めることができる。なお、(1)式において、wiは重み付けを示す。
Σwii=Sj ・・・(1)
【0061】
そして、画像再構成部25cは、第2の画像用のデータを再構成する際には、第2収集部25bによるデータ収集が行われなかった領域について、第1収集部25aによって収集されたデータと、変換行列Wとを用いた(1)式の計算を行うことで、第2収集部25bによるデータ収集が行われなかった領域のデータを推定する。なお、図8Bにおいては、説明の便宜上、1〜3、510〜512のエンコードラインを推定する矢印を図示しているが、データ収集が行われなかった他のエンコードラインについても同様に推定を行う。また、第2の画像用として少なくとも一部のデータさえ収集されていれば、画像再構成部25cは、その他の領域については第1の画像用のデータから推定することで、第2の画像を再構成することができる。さらに、受信コイルが複数装備されている場合、(1)式は、複数コイル間の線形結合としてもよい。つまり、第1収集部25aによって受信コイルmで収集されたデータSi,mから第2収集部25bによって収集された受信コイルnでデータSj,nを推定するための変換行列W(wi,m,nの行列)を求めることができる。
Σwi,m,ni,m=Sj,n ・・・(1)´
【0062】
このような手法によれば、収集するデータ量を減らし、撮影時間を短縮することが可能になる。なお、第2の画像用のデータについて全エンコード分のデータを収集し、第1の画像用のデータについて一部のデータのみを収集する手法でもよい。
【0063】
(変形例3)
変形例3において、第1収集部25aは、k空間全体のデータを間引いて収集し、第2収集部25bは、k空間の一部領域のデータを間引いて収集し、画像再構成部25cは、第1収集部25aにより間引かれたデータを各コイルの感度分布の線形結合を用いて推定することにより補うとともに、第2収集部25bにより収集されない領域のデータ及び間引かれたデータを、第1収集部25aにより収集されたデータに基づく推定により補う。なお、推定の替わりに複製により補ってもよい。
【0064】
図8Cにおいて、(A)は、第1収集部25aによって収集されたデータを示し、(B)は、第2収集部25bによって収集されたデータを示す。また、(C)は、(A)のデータから推定されることで生成された第1の画像用のデータを示し、(D)は、(C)のデータから推定されることで生成された第2の画像用のデータを示す。
【0065】
図8Cに示すように、第1収集部25aは、第1の画像用のデータについて、データを間引いて収集する。例えば、第1収集部25aは、データを1/2に間引いて収集する。一方、第2収集部25bは、第2の画像用のデータについて、一部のデータのみを収集する。例えば、第2収集部25bは、k空間の中央付近のデータ、すなわち低周波領域のデータのみ収集する。
【0066】
すると、変形例3に係る画像再構成部25cは、各コイルの信号を用いて、k空間上で、収集したデータの線形結合で間引いたデータを推定する。つまり、画像再構成部25cは、各コイルの感度分布の線形結合で生成されたハーモニックデータと位相エンコードデータとが相似する関係を用いることで、(A)のデータに基づいて、間引いたデータを推定し、(C)のような完全なデータを生成することができるのである。
【0067】
また、画像再構成部25cは、変形例2と同様、第1収集部25aによって収集されたデータと、第2収集部25bによって収集されたデータとを用いて、第1収集部25aによって収集されたデータから、第2収集部25bによって収集されたデータを推定するための変換行列Wを求める。
【0068】
そして、画像再構成部25cは、完全なデータとしての第1の画像用のデータ((C)のデータ)と、変換行列Wとを用いた(1)ないし(1)´式の計算を行うことで、第2収集部25bによるデータ収集が行われなかった領域のデータを推定する。こうして、画像再構成部25cは、(C)のデータから(D)のような完全なデータを生成する。
【0069】
このような手法によれば、収集するデータ量を減らし、撮影時間を短縮することが可能になる。なお、第2の画像用のデータについてデータを間引いて収集し、第1の画像用のデータについて一部のデータのみを収集する手法でもよい。
【0070】
(変形例4)
変形例4において、第1収集部25aは、k空間全体のデータを間引いて収集し、第2収集部25bは、k空間の一部領域のデータを間引いて収集し、画像再構成部25cは、第2収集部25bにより収集されない領域のデータを、第1収集部25aにより収集されたデータに基づく推定により補うとともに、第1収集部25a及び第2収集部25bにより間引かれたデータを各コイルの感度分布の線形結合を用いて推定することにより補う。なお、推定の替わりに複製により補ってもよい。
【0071】
図8Dにおいて、(A)は、第1収集部25aによって収集されたデータを示し、(B)は、第2収集部25bによって収集されたデータ、及び、第1収集部25aによって収集されたデータから推定されたデータを示す。また、(C)は、(A)のデータから推定されることで生成された第1の画像用のデータを示し、(D)は、(B)のデータから推定されることで生成された第2の画像用のデータを示す。
【0072】
図8Dに示すように、第1収集部25aは、第1の画像用のデータについて、データを間引いて収集する。例えば、第1収集部25aは、データを1/2に間引いて収集する。一方、第2収集部25bは、第2の画像用のデータについて、一部のデータのみを収集する。例えば、第2収集部25bは、k空間の中央付近のデータ、すなわち低周波領域のデータのみ収集する。
【0073】
変形例4に係る画像再構成部25cは、まず、変形例2と同様、第1収集部25aによって収集されたデータと、第2収集部25bによって収集されたデータとを用いて、第1収集部25aによって収集されたデータから、第2収集部25bによって収集されたデータを推定するための変換行列Wを求める。
【0074】
そして、画像再構成部25cは、間引いたデータである第1の画像用のデータ((A)のデータ)と、変換行列Wとを用いた(1)式の計算を行うことで、第2収集部25bによるデータ収集が行われなかった領域のデータを推定する。こうして、画像再構成部25cは、(A)のデータから(B)のようなデータを生成する。なお、変形例4において、推定元のデータが間引いたデータであるので、(A)のデータから推定された(B)のデータも、間引いたデータとなる。
【0075】
そして、変形例4に係る画像再構成部25cは、(A)のデータ及び(B)のデータそれぞれに基づいて、間引いたデータを推定し、(C)のような完全なデータ、及び、(D)のような完全なデータを、それぞれ生成する。この推定は、変形例3と同様、各コイルのデータの線形結合を用いて行われる。
【0076】
このような手法によれば、収集するデータ量を減らし、撮影時間を短縮することが可能になる。なお、第2の画像用のデータについてデータを間引いて収集し、第1の画像用のデータについて一部のデータのみを収集する手法でもよい。データ量に関して変形例3と変形例4で共通に言えることは、第1の画像用データと第2の画像用データの収集データ量が異なることである。図8A〜8Dで示した例では第2の画像用データの収集データ量が第1の画像用データのそれよりも少ない。このことは、撮像時間の短縮割合は比較的自由に設定可能で、輝度ムラ低減の効果や画像のS/N比を考慮して撮像スケジュールを決めることができる。
【実施例2】
【0077】
次に、図9〜11を用いて、実施例2に係るMRI装置100を説明する。実施例2に係るMRI装置100は、実施例1に係るMRI装置100と同様の構成であり、実施例1に係る制御部25と同様、実施例2に係る制御部25は、特に、第1収集部25aと、第2収集部25bと、画像再構成部25cと、画像合成部25dとを備える。
【0078】
もっとも、実施例2に係る第1収集部25aは、収集したデータがk空間における奇数番目のエコー位置に相当するように位相エンコード量を制御する。また、実施例2に係る第2収集部25bは、収集したデータがk空間における偶数番目のエコー位置に相当するように位相エンコード量を制御する。また、実施例2に係る画像再構成部25cは、第1収集部25aにより収集されたデータをk空間における奇数番目のエコー位置に相当するデータとして扱うとともに第2収集部25bにより収集されたデータをk空間における偶数番目のエコー位置に相当するデータとして扱うことで、画像を再構成する。
【0079】
図9Aは、実施例2におけるデータ収集を説明するための図である。実施例2に係る第1収集部25aは、例えば図9Aの(A)に例示するように、収集したデータがk空間における奇数番目のエコー位置に相当するように位相エンコード量を制御する。この場合、位相エンコード方向の収集FOV(Field Of View)は、画像化FOVに対して2倍とする。また、実施例2に係る第2収集部25bは、例えば図9Aの(B)に例示するように、収集したデータがk空間における偶数番目のエコー位置に相当するように位相エンコード量を制御する。この場合も、位相エンコード方向の収集FOVは、画像化FOVに対して2倍とする。
【0080】
続いて、実施例2に係る画像再構成部25cは、例えば図9Aの(C)に例示するように、第1収集部25aにより収集されたデータをk空間における奇数番目のエコー位置に相当するデータとして扱うとともに第2収集部25bにより収集されたデータをk空間における偶数番目のエコー位置に相当するデータとして扱うことで、画像を再構成する。ここで、画像再構成部25cは、収集における位相エンコード方向の画像化中心の位置を、画像化FOVの半分に相当する量だけずらすことが望ましい。
【0081】
なお、実施例2におけるデータ収集は、実施例1で説明した変形例のように、例えば、一方の画像用のデータについては一部のデータのみ収集し、収集を行わない部分について、他方の画像用のデータから推定したりする手法でもよい。図9Bは、実施例2におけるデータ収集の変形例を説明するための図である。
【0082】
実施例2の変形例において、第1収集部25a及び第2収集部25bの一方が、k空間全体のデータを収集し、他方がk空間の一部領域のデータを収集する。画像再構成部25cは、k空間の一部領域のデータを収集した第1収集部25a又は第2収集部25bにより収集されない領域のデータを、k空間全体のデータを収集した第1収集部25a又は第2収集部25bにより収集されたデータに基づく推定により補う。なお、推定の替わりに複製により補ってもよい。また、以下では、第1収集部25aが奇数番目のエコー位置に相当するように位相エンコード量を制御し、第2収集部25bが偶数番目のエコー位置に相当するように位相エンコード量を制御する例を説明するが、その逆でもよい。
【0083】
実施例2の変形例に係る第1収集部25aは、例えば図9Bの(A)に例示するように、収集したデータがk空間における奇数番目のエコー位置に相当するように位相エンコード量を制御する。一方、実施例2の変形例に係る第2収集部25bは、例えば図9Bの(B)に例示するように、k空間における偶数番目のエコー位置に相当するデータを、k空間の中央付近についてのみ収集する。
【0084】
続いて、実施例2の変形例に係る画像再構成部25cは、実施例1の変形例2などと同様、第1収集部25aによって収集されたデータと、第2収集部25bによって収集されたデータとを用いて、第1収集部25aによって収集されたデータから、第2収集部25bによって収集されたデータを推定するための変換行列Wを求める。そして、画像再構成部25cは、第2収集部25bによるデータ収集が行われなかった領域について、第1収集部25aによって収集されたデータと、変換行列Wとを用いた(1)式の計算を行うことで、第2収集部25bによるデータ収集が行われなかった領域のデータ(ただし、k空間における偶数番目のエコー位置に相当するデータ)を推定する。例えば、画像再構成部25cは、(D)のようなデータを生成する。
【0085】
その後、実施例2に係る画像再構成部25cは、例えば図9Bの(E)に例示するように、第1収集部25aにより収集されたデータ((C)を参照)をk空間における奇数番目のエコー位置に相当するデータとして扱うとともに、(D)に示すデータをk空間における偶数番目のエコー位置に相当するデータとして扱うことで、画像を再構成する。
【0086】
図10A〜10Cは、実施例2における画像の再構成を説明するための図である。図10Aは、画像化中心の位置をずらさない場合に再構成される画像を示す。後述するように、実施例2に係る画像再構成部25cは、再構成の結果、1画像内に、分裂した2つの画像を再構成する。しかしながら、図10Aに例示するように、画像化中心の位置をずらさない場合には、分裂した2つの画像のうち、画像nは、画像の端に位置付けられてしまい、望ましくない。このようなことから、実施例2に係る画像再構成部25cは、画像化中心の位置を、画像化FOVの半分に相当する量だけずらし、再構成の結果、図10Bに例示するような画像を得る。
【0087】
さて、図10Bに例示する画像を説明する。図10Bに例示するように、実施例2に係る画像再構成部25cは、再構成の結果、1画像内に、分裂した2つの画像を再構成する。画像mは、ピクセル毎に、第1のRFパルス送信条件により収集されたデータの信号強度と、第2のRFパルス送信条件により収集されたデータの信号強度との平均値を用いて再構成したものに相当する。例えば図4を用いて説明すれば、×印a0と×印a1との平均値を用いて再構成した画像に相当する。
【0088】
一方、画像nは、ピクセル毎に、第1のRFパルス送信条件により収集されたデータの信号強度と、第2のRFパルス送信条件により収集されたデータの信号強度との差分値を用いて再構成したものに相当する。例えば図4を用いて説明すれば、×印a0と×印a1との差分値を用いて再構成した画像に相当する。
【0089】
こうして、実施例2に係る画像再構成部25cは、再構成の結果、1画像内に、分裂した2つの画像を再構成し、実施例2に係る画像合成部25dは、分裂した2つの画像に対して合成処理を行う。画像合成部25dは、例えば、図10Bに例示する画像mと画像nとをピクセル毎に絶対値で加算処理し、例えば図10Cに例示するように、画像化FOVの画像(1画像内には1つの画像)を生成する。
【0090】
なお、図10に例示する画像は、静磁場強度が3T、高速スピンエコー法で、T2強調画像の条件を用いた例である。第1のRFパルス送信条件及び第2のRFパルス送信条件は、それぞれ、基本の送信強度及び基本+2dBの送信強度である。また、RF(B1)強度の不均一を強調する目的で、電解質を含む水ファントムを撮影している。図10Bに例示される画像nに示される輝度分布は、基本+2dBの送信強度増加によって信号強度が変化した領域に相当する。一方、画像mにおいては、ファントム中央で輝度が低下しているが、画像nにおいては、画像化されている(励起フリップ角が大きい領域)。このように、送信分布により信号強度の変化を把握できることを端的に示している。
【0091】
なお、実施例2においても、2回のデータ収集、すなわち第1収集部25aによるデータ収集及び第2収集部25bによるデータ収集を想定して説明したが、実施の形態に係るMRI装置はこれに限られるものではなく、データ収集は、予め設定された任意の回数行われてもよい。もっとも、撮影時間が延長されることに鑑みると、2回ないし3回が望ましい。
【0092】
例えば、3回のデータ収集を行う場合、データを収集する各部は、位相エンコード方向の収集FOVを、画像化FOVに対して3倍とすればよい。また、データを収集する各部は、収集したデータが、それぞれk空間において隣接して配置されるように、位相エンコード量を制御すればよい。また、画像再構成部は、収集における位相エンコード方向の画像化中心の位置を、画像化FOVの1.5倍に相当する量だけずらすことが望ましい。すると、画像再構成部は、再構成の結果、1画像内に、分裂した3つの画像を再構成する。ある画像は、ピクセル毎に、第1のRFパルス送信条件により収集されたデータの信号強度と、第2のRFパルス送信条件により収集されたデータの信号強度と、第3のRFパルス送信条件により収集されたデータの信号強度との平均値を用いて再構成したものに相当する。また、ある画像は、第1のRFパルス送信条件により収集されたデータの信号強度と、第2のRFパルス送信条件により収集されたデータの信号強度との差分値を用いて再構成したものに相当する。また、ある画像は、第2のRFパルス送信条件により収集されたデータの信号強度と、第3のRFパルス送信条件により収集されたデータの信号強度との差分値を用いて再構成したものに相当する。
【0093】
図11は、実施例2に係る制御部25による処理手順を示すフローチャートである。なお、実施例2においては、2回のデータ収集、すなわち第1収集部25aによるデータ収集及び第2収集部25bによるデータ収集を想定するので、図11に例示するステップS201〜S203の処理は、2回繰り返されることになる。しかし、上述したように、実施の形態に係るMRI装置はこれに限られるものではなく、図11に例示するステップS201〜S203の処理は、予め設定された任意の回数繰り返されてもよい。
【0094】
まず、実施例1と同様、放射線技師や医師などの操作者によって撮影プロトコルが指定されることにより、MRI装置100による撮影が開始される。次に、実施例1と同様、制御部25において、第1収集部25aが、第1のRFパルス送信条件を設定し(ステップS201)、データを収集する(ステップS202)。
【0095】
制御部25は、撮影プロトコルに含まれるRFパルス送信条件によるデータ収集を終えたか否かを判定する(ステップS203)。実施例2においては、撮影プロトコルに第2のRFパルス送信条件も含まれている。このため、制御部25は、データ収集を終えていないと判定し(ステップS203否定)、第2収集部25bが、第2のRFパルス送信条件を設定し(ステップS201)、データを収集する(ステップS202)。
【0096】
再び、制御部25は、撮影プロトコルに含まれるRFパルス送信条件によるデータ収集を終えたか否かを判定し(ステップS203)、データ収集を終えたと判定すると(ステップS203肯定)、続いて、画像再構成部25cが、第1収集部25aにより収集されたデータ及び第2収集部25bにより収集されたデータを用いて画像を再構成する(ステップS204)。ここでは、実施例1と異なり、画像再構成部25cは、第1収集部25aにより収集されたデータをk空間における奇数番目のエコー位置に相当するデータとして扱うとともに第2収集部25bにより収集されたデータをk空間における偶数番目のエコー位置に相当するデータとして扱うことで、画像を再構成する。
【0097】
そして、画像合成部25dが、画像再構成部25cによる再構成により得られた画像に対して合成処理を行う(ステップS205)。ここでは、実施例1と異なり、画像合成部25dは、分裂した2つの画像に対して合成処理を行う。例えば、画像合成部25dは、例えば、分裂した2つの画像をピクセル毎に絶対値で加算処理し、画像化FOVの画像(1画像内には1つの画像)を生成する。
【0098】
上述したように、実施例2に係るMRI装置100は、収集したデータがk空間における奇数番目のエコー位置に相当するように位相エンコード量を制御し、第1のRFパルス送信条件によるパルスシーケンスを実行する。また、MRI装置100は、収集したデータがk空間における偶数番目のエコー位置に相当するように位相エンコード量を制御し、第2のRFパルス送信条件によるパルスシーケンスを実行する。そして、MRI装置100は、第1のRFパルス送信条件により収集されたデータをk空間における奇数番目のエコー位置に相当するデータとして扱うとともに第2のRFパルス送信条件により収集されたデータをk空間における偶数番目のエコー位置に相当するデータとして扱うことで、画像を再構成する。続いて、MRI装置100は、再構成された画像に現れる分裂した2つの画像に対して合成処理を行う。このようなことから、実施例2によれば、RF(B1)強度の不均一に起因する画像の劣化を低減することが可能になる。
【0099】
また、実施例2によれば、複数枚分の画像の再構成に用いられるデータを収集する手法ではなく、1枚分に相当するデータを収集する手法である。このため、実施例1と同じS/N比の場合も、実施例1よりも効率的にそのS/N比を得ることができる。
【実施例3】
【0100】
次に、実施例3に係るMRI装置100を説明する。実施例3に係るMRI装置100は、実施例1に係るMRI装置100と同様の構成であり、実施例1に係る制御部25と同様、実施例3に係る制御部25は、特に、第1収集部25aと、第2収集部25bと、画像再構成部25cと、画像合成部25dとを備える。もっとも、実施例3に係るMRI装置100は、送信コイルの送電系統を2系統有する。すなわち、実施例3に係るMRI装置100は、2系統の送電系統を用いて、振幅、位相、波形、または組合せのうち、少なくとも1つを変更することによりRFパルス送信条件を変更し、2回のデータ収集において、RF(B1)強度の分布自体を変更する。
【0101】
言い換えると、実施例1や実施例2においては、例えば、第2のRFパルス送信条件による送信強度が、第1のRFパルス送信条件による送信強度よりもスライス面全体一律に大きくなるように設定されることを想定していた。すると、SAR(Specific Absorption Rate)分布も一律に(強度倍率の二乗で)変化するので、送信パワーの観点からデメリットがあった。この点、実施例3においては、系統毎に強度倍率が変わることになり、SAR分布が一律に変わるとは限らない。このため、実施例3におけるSAR分布の方が、実施例1や実施例2のSAR分布ほどに大きくならず、送信パワーの観点からメリットがある。
【0102】
この点について詳述する。送信コイルの送電系統を複数系統有する構成として、以下の2つの構成を検討する。まず第1の構成は、1つの送信コイルに複数の給電点を設け、各給電点に対するRFパルスの供給を独立に制御する構成である。第2の構成は、複数の送信コイル(複数チャネル)を配置し、各送信コイルに対するRFパルスの供給を独立に制御する構成である。
【0103】
第1の構成の場合、MRI装置は、例えば円筒状のバードケージタイプの1つの送信コイルを有し、この送信コイルには、例えば円筒上で互いに90度離れた位置にある2つの給電点が設けられる。そして、MRI装置は、各給電点に対して独立にRFパルスを供給する。すなわち、MRI装置は、各給電点に対して、振幅、位相、波形、または組合せのうち、少なくとも1つが互いに異なるRFパルスを供給する。
【0104】
一方、第2の構成の場合、MRI装置は、複数の送信コイルの各送信コイルに対して、振幅、位相、波形、または組合せのうち、少なくとも1つが互いに異なるRFパルスを供給する。
【0105】
いずれの構成の場合も、複数の送電系統が独立に制御されることにより系統毎に異なるRFパルスが供給される構成であり、スライス面に現れる影響を部分的かつ柔軟に制御することが可能である。
【0106】
具体的に例を挙げて説明する。実施例1で説明した手法を用いる場合、第1のRFパルス送信条件として励起フリップ角「80°」を設定し、第2のRFパルス送信条件として励起フリップ角「90°」を設定したとする。この場合、被検体内部の各部分における励起フリップ角は一律に大きくなり、SARの分布も一律に大きくなった。
【0107】
これに対し、上述した第1の構成又は第2の構成によれば、例えば、第1のRFパルス送信条件として、第1の系統及び第2の系統のいずれについても励起フリップ角「80°」を設定する一方で、第2のRFパルス送信条件として、第1の系統には励起フリップ角「70°」を設定し、第2の系統には励起フリップ角「90°」を設定することで、RF(B1)強度の分布自体を変更することができる。
【0108】
この場合、第2の系統によって励起された部分における励起フリップ角は大きくなるが、第1の系統によって励起された部分における励起フリップ角は逆に小さくなり、SARの分布が一律に大きくなることはない。
【0109】
なお、上述した例は一例に過ぎず、位相や波形など、その他のパラメータや、その他の組合せを設定することもできる。また、送電系統は2系統に限られるものではなく、3系統など任意の系統数でもよい。
【0110】
このように、実施例3によれば、複数の送電系統毎に異なるRFパルスを供給することができ、スライス面に現れる影響を部分的かつ柔軟に制御することができるので、その設定によっては、SARの上昇も緩和することができる。
【0111】
なお、上述した各実施例及びその変形例において、第1のRFパルス送信条件及び第2のRFパルス送信条件はそれぞれ異なるものであるが、第1収集部25aにより実行されるパルスシーケンスと第2収集部25bにより実行されるパルスシーケンスとは、種類が共通であり、かつ、RFパルス送信条件以外のその他の条件は共通である。ここで、パルスシーケンスの種類とは、例えば、SE(Spin Echo)やFE(Filed Echo)などの種類である。また、その他の条件とは、TE(echo time)やTI(inversion time)などである。
【0112】
なお、RFパルス送信条件及び位相エンコードに関する条件がそれぞれ異なり、その他の条件が共通な場合でもよい。ここで、位相エンコードに関する条件には、例えば、位相エンコードのパターンがある。すなわち、例えば実施例1の変形例で説明したように、第1収集部25aによる収集ではk空間全体のデータを収集し、第2収集部25bによる収集ではk空間の一部領域のデータを収集する、といったように、RFパルス送信条件の他に、位相エンコードのパターンが異なる場合がある。この場合、その他の条件は共通である。
【0113】
また、位相エンコードに関する条件には、例えば、k空間上の配置のスケジュールがある。すなわち、例えば、実施例2で説明したように、第1収集部25aによる収集では、k空間における奇数番目のエコー位置に相当するように位相エンコード量を制御し、第2収集部25bによる収集では、k空間における偶数番目のエコー位置に相当するように位相エンコード量を制御する、といったように、RFパルス送信条件の他、k空間上の配置のスケジュールが異なる場合がある。この場合、その他の条件は共通である。更に、例えば、実施例2の変形例で説明したように、RFパルス送信条件の他、位相エンコードのパターン及びk空間上の配置のスケジュール双方が異なる場合もある。この場合、その他の条件は共通である。
【0114】
上述したように、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、第1収集部と、第2収集部と、合成部とを備える。第1収集部は、第1の高周波パルス送信条件によるパルスシーケンスを実行し、データを収集する。第2収集部は、第1の高周波パルス送信条件と異なる第2の高周波パルス送信条件によるパルスシーケンスを実行し、データを収集する。合成部は、第1収集部により収集されたデータおよび第2収集部により収集されたデータ、又は、第1収集部により収集されたデータを再構成したデータおよび第2収集部により収集されたデータを再構成したデータについて、合成処理を行う。
【0115】
ここで、「第1収集部」とは、例えば、実施例1〜3において説明した「第1収集部25a」のことである。また、「第2収集部」とは、例えば、実施例1〜3において説明した「第2収集部25b」のことである。また、「高周波パルス送信条件」とは、例えば、実施例1〜3において説明した「RFパルス送信条件」のことである。また、「合成部」とは、例えば、実施例1〜3において説明した「画像再構成部25c」及び「画像合成部25d」のことである。
【0116】
以上述べた少なくとも一つの実施形態のMRI装置によれば、RF(B1)強度の不均一に起因する画像の劣化を低減することができる。
【0117】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0118】
100 MRI装置
25 制御部
25a 第1収集部
25b 第2収集部
25c 画像再構成部
25d 画像合成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の高周波パルス送信条件によるパルスシーケンスを実行し、データを収集する第1収集部と、
前記第1の高周波パルス送信条件と異なる第2の高周波パルス送信条件によるパルスシーケンスを実行し、データを収集する第2収集部と、
前記第1収集部により収集されたデータおよび前記第2収集部により収集されたデータ、又は、前記第1収集部により収集されたデータを再構成したデータおよび前記第2収集部により収集されたデータを再構成したデータについて、合成処理を行う合成部と
を備える、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記合成部は、前記第1収集部により収集されたデータを再構成したデータおよび前記第2収集部により収集されたデータを再構成したデータについて合成処理を行う場合に、前記第1収集部により収集されたデータを再構成した第1の画像および前記第2収集部により収集されたデータを再構成した第2の画像について合成処理を行う、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記合成部は、前記第1の画像および前記第2の画像について、空間的位置が同一となるピクセル毎に信号強度を比較し、信号強度の最大値を選択することで、合成処理を行う、請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記合成部は、前記第1の画像および前記第2の画像について、空間的位置が同一となるピクセル毎に信号強度を比較し、信号強度の値を加算または信号強度の平方和を演算することで、合成処理を行う、請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記第1の高周波パルス送信条件および前記第2の高周波パルス送信条件は、高周波パルスの送信強度、振幅、位相、波形、または組合せのうち、少なくとも一つが異なる、請求項1〜4のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記第1収集部により実行されるパルスシーケンスと前記第2収集部により実行されるパルスシーケンスとは、種類が共通であり、かつ、前記第1の高周波パルス送信条件および前記第2の高周波パルス送信条件以外の条件が共通であって、
前記第1収集部および前記第2収集部は、前記第1の高周波パルス送信条件および前記第2の高周波パルス送信条件について、高周波パルスの送信強度、振幅、位相、波形、または組合せのうち、少なくとも一つを変更する、請求項5に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記第1収集部は、k空間全体のデータを収集し、
前記第2収集部は、k空間の一部領域のデータを収集し、
前記合成部は、前記第2収集部により収集されない領域のデータを、前記第1収集部により収集されたデータに基づく複製又は推定により補う、請求項1〜6のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記第1収集部は、k空間全体のデータを間引いて収集し、
前記第2収集部は、k空間の一部領域のデータを間引いて収集し、
前記合成部は、前記第1収集部により間引かれたデータを各コイルの感度分布の線形結合を用いて推定することにより補うとともに、前記第2収集部により収集されない領域のデータおよび間引かれたデータを、前記第1収集部により収集されたデータに基づく推定により補う、請求項1〜6のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記第1収集部は、k空間全体のデータを間引いて収集し、
前記第2収集部は、k空間の一部領域のデータを間引いて収集し、
前記合成部は、前記第2収集部により収集されない領域のデータを、前記第1収集部により収集されたデータに基づく推定により補うとともに、前記第1収集部および前記第2収集部により間引かれたデータを各コイルの感度分布の線形結合を用いて推定することにより補う、請求項1〜6のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
前記第1収集部は、収集したデータがk空間における奇数番目のエコー位置に相当するように位相エンコード量を制御し、
前記第2収集部は、収集したデータがk空間における偶数番目のエコー位置に相当するように位相エンコード量を制御し、
前記合成部は、前記第1収集部により収集されたデータをk空間における奇数番目のエコー位置に相当するデータとして扱うとともに前記第2収集部により収集されたデータをk空間における偶数番目のエコー位置に相当するデータとして扱うことで、画像を再構成する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
前記第1収集部および前記第2収集部の一方がk空間全体のデータを収集し、前記第1収集部および前記第2収集部の他方がk空間の一部領域のデータを収集し、
前記合成部は、k空間の一部領域のデータを収集した前記第1収集部または前記第2収集部により収集されない領域のデータを、k空間全体のデータを収集した前記第1収集部または前記第2収集部により収集されたデータに基づく推定により補う、請求項10に記載の磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−5828(P2012−5828A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119608(P2011−119608)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】