説明

磁気冷凍材料、磁気冷凍デバイスおよび磁気冷凍システム

【課題】本発明は、かつ永久磁石による磁場変化が可能と考えられる2テスラ付近までで、従来の冷凍性能を大幅に超える磁気冷凍材料を提供するものである。
【解決手段】式La1−fRE(Fe1−a−b−c−d−eSiCo13(式中REはLaを除く、Sc及びYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種を含む元素、XはGa、Alの少なくとも1種を含む元素、MはGe、Sn、B及びCの少なくとも1種を含む元素、ZはTi、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Zrの少なくとも1種を含む元素を示し、aは0.03≦a≦0.17、bは0.003≦b≦0.06、cは0.02≦c≦0.10、dは0≦d≦0.04、eは0≦e≦0.04、fは0≦f≦0.50である。)で表される組成を有する第一の相と、Fe、BおよびZから選ばれる1種以上の元素を含有し、LaおよびREの含有量の合計が1原子%以下である第二の相を有し、第一の相および第二の相の平均的な結晶粒径が0.01μmから1μmの範囲であることを特徴とする磁気冷凍材料。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
冷凍庫、冷蔵庫などの家電製品や自動車用のエアコンなどに好適に用いられる磁気冷凍材料およびこれを用いた磁気冷凍デバイス、磁気冷凍システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化などの環境問題を引き起こすフロン系ガスを冷媒とする従来の気体冷凍方式に替わる磁気冷凍方式が提案されている。
この磁気冷凍方式では、磁気冷凍材料を冷媒とし、等温状態で磁性材料の磁気秩序を磁場で変化させた際に生じる磁気エントロピー変化および断熱状態で磁性材料の磁気秩序を磁場で変化させた際に生じる断熱温度変化を利用する。したがって、この磁気冷凍方式によれば、フロンガスを使用せずに冷凍を行なうことができ、従来の気体冷凍方式に比べて冷凍効率が高いという利点がある。
【0003】
この磁気冷凍方式に用いられる磁気冷凍材料としてGd(ガドリニウム)又は/及びGd系化合物などのGd系材料が知られている。これらのGd系材料は動作温度範囲の広い材料として知られているが磁気エントロピー変化量(−ΔS)が小さいという欠点がある。またGdは希土類元素の中でも希少で高価な金属であり、工業的に実用性のある材料とは言い難い。
【0004】
そこでGd系材料よりも大きな磁気エントロピー変化量(−ΔS)を示す材料であるNaZn13型の結晶構造有するLa(FeSi)13系化合物が提案されている。さらなる特性向上のため、例えば非特許文献1のようなコバルト(Co)置換をはじめとした多様な置換元素の検討や特許文献1のようにLaの一部をCeで置換および水素を吸収させることによりLa1−zCe(FeSi1−x13とし、キュリー温度を高温化する工夫がなされている。特許文献2では組成の異なる複数の相で構成され、各相の粒径が20μm以下のLa(FeSi)13系磁性材料が提案されている。さらに特許文献3ではLa(Fe1−x−yCoSi13でのCo、Fe、Siの比率を調整することにより、動作温度範囲を拡大する工夫がなされている。
【0005】
また、これらの材料を製造するための手段として、例えば特許文献4ではロール急冷法により凝固させる方法、特許文献5では加圧処理しつつ通電加熱焼結する方法および特許文献6ではFe−Si合金と酸化Laとを反応させる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献1】「磁気冷凍技術の常温域への展開」 まぐね Vol.1,No.7(2006),p308−315
【特許文献1】特開2006−089839号公報
【特許文献2】特開2009−068077号公報
【特許文献3】特開2009−221494号公報
【特許文献4】特開2005−200749号公報
【特許文献5】特許第4237730号公報
【特許文献6】特開2006−274345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1や特許文献1で報告されているLa(FeSi)13系材料では磁気エントロピー変化量(−ΔS)の最大値(−ΔSmax)を保ちつつキュリー温度を上昇させるものの、Gd系材料よりも磁気冷凍材料の動作温度範囲が狭いため、動作温度範囲が異なる複数種の材料を使用する必要があり、磁気冷凍システムの構成が複雑となり、コストがかかるという問題がある。
【0007】
さらに特許文献2では、急速冷却した後は組成の異なる複数の相で構成されているものの、その後の均質化熱処理により単相で組成が均質な磁性材料となっている。そのため、複数相を有する場合の効果は不明である。また各相の粒径が20μm以下とあるものの、実施例から各相は1μm以上の大きさを持っていると考えられる。
【0008】
また特許文献3には、磁気冷凍性能を示す指標として相対冷却力(Relative Cooling Power、以下RCP)が提示されている。この指標で判断するとこれらに記載されている磁気冷凍材料では、磁気エントロピー変化量(−ΔS)の最大値は大きいが動作温度範囲が狭い、もしくは動作温度範囲が広くなったが磁気エントロピー変化量(−ΔS)の最大値(−ΔSmax)が減少方向にあるため、相対冷却力(RCP)はGd系材料とほぼ同等であり、性能を大きく上回る磁気冷凍材料とは言い難い。
【0009】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。従来技術では着目されていなかった結晶粒径と合金組織について詳細に検討することにより上記課題を解決するに至った。
【0010】
さらに、本発明の課題は永久磁石による磁場変化が可能と考えられる2テスラ付近までで、従来の冷凍性能を大幅に超える磁気冷凍材料を提供するものである。詳しくは、磁気エントロピー変化量(−ΔS)が大きいだけでなく動作温度範囲も広い、つまり相対冷却力(RCP)が大きい磁気冷凍材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、式La1−fRE(Fe1−a−b−c−d−eSiCo13(式中REはLaを除く、Sc及びYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種を含む元素、XはGa、Alの少なくとも1種を含む元素、MはGe、Sn、B及びCの少なくとも1種を含む元素、ZはTi、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Zrの少なくとも1種を含む元素を示す。aは0.03≦a≦0.17、bは0.003≦b≦0.06、cは0.02≦c≦0.10、dは0≦d≦0.04、eは0≦e≦0.04、fは0≦f≦0.50である。)で表される組成を有する第一の相と、Fe、BおよびZから選ばれる1種以上の元素を含有し、LaおよびREの含有量の合計が1原子%以下である第二の相を有し、第一の相および第二の相を含めた平均的な結晶粒径が0.01μmから1μmの範囲であって、磁気エントロピー変化量(−ΔS)が大きいだけでなく動作温度範囲も広い、つまり相対冷却力(RCP)が大きい磁気冷凍材料が提供される。
【0012】
また、本発明によれば前記磁気冷凍材料を用いた磁気冷凍デバイス、さらには磁気冷凍システムを提供することにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、磁気エントロピー変化量(−ΔS)が大きいだけでなく動作温度範囲も広い、つまり従来材料で得られる冷凍性能を大幅に超える磁気冷凍材料を提供することができる。さらには本発明の磁気冷凍材料を用いることで、これまでよりも少ない種類の材料で磁気冷凍システムを構成することが可能となる。また、異なるキュリー温度を持つ磁気冷凍材料を選択することにより、例えば家庭用空調機と産業用冷凍冷蔵庫といった異なる用途に応じた磁気冷凍システムを構成することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の磁気冷凍材料は、式La1−fRE(Fe1−a−b−c−d−eSiCo13(式中REはLaを除く、Sc及びYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種を含む元素、XはGa、Alの少なくとも1種を含む元素、MはGe、Sn、B及びCの少なくとも1種を含む元素、ZはTi、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Zrの少なくとも1種を含む元素を示し、aは0.03≦a≦0.17、bは0.003≦b≦0.06、cは0.02≦c≦0.10、dは0≦d≦0.04、eは0≦e≦0.04、fは0≦f≦0.50である。)で表される組成を有する第一の相と、Fe、BおよびZから選ばれる1種以上の元素を含有し、LaおよびREの含有量の合計が1原子%以下である第二の相を有し、第一の相および第二の相を含めた平均的な結晶粒径が0.01μmから1μmの範囲である。
【0015】
本発明の磁気冷凍材料における第一の相は、上記組成式中のLaの一部をRE(Laを除く、Sc及びYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種を含む元素)で置換することが可能である。fは、Laの一部を置換するREの含有量を示す。fは、0≦f≦0.50である。LaとREはキュリー温度や動作温度範囲、さらにはRCPを調整することが可能である。ただし、REを0.50以上置換すると磁気エントロピー変化量(−ΔS)が低下するため好ましくない。
【0016】
aは、Siの含有量を表す。aは0.03≦a≦0.17である。Siは、キュリー温度や動作温度範囲、さらにはRCPを調整することが可能である。さらには、化合物の融点の調整、機械強度の増加などの効果がある。aが0.03より小さいとキュリー温度が下がるため好ましくない。一方、aが0.17より大きいと磁気エントロピー変化量(−ΔS)が下がるため好ましくない。
【0017】
bは、Coの含有量を表す。bは0.003≦b≦0.06である。Coはキュリー温度や磁気エントロピー変化量(−ΔS)を調整するのに効果がある元素である。bが0.003より小さいと磁気エントロピー変化量(−ΔS)が下がるため好ましくない。一方、bが0.06より多いと半値幅が狭くなるため好ましくない。
【0018】
cは、Xの含有量を表す。cは0.02≦c≦0.10である。Xは、Ga、Alの少なくとも1種を含む。GaもしくはAlは動作温度範囲を調整するのに効果がある元素である。cが0.02より小さいと半値幅が狭くなり好ましくない。一方、cが0.10より大きいと磁気エントロピー変化量(−ΔS)が下がるため好ましくない。
【0019】
dは、Mの含有量を表す。dは0≦d≦0.04である。Mは、Ge、Sn、B及びCの少なくとも1種を含む。キュリー温度や動作温度範囲、さらにはRCPを調整することが可能である。さらには、化合物の融点の調整、機械強度の増加などの効果がある。dが0.04より大きいと磁気エントロピー変化量(−ΔS)が下がる、もしくは半値幅が狭くなるため好ましくない。
【0020】
eは、Zの含有量を表す。eは0≦e≦0.04である。ZはTi、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Zrの少なくとも1種を含む元素である。これらの元素はキュリー温度を制御したり、粉末の耐久性を改善したりすることが可能である。eが0.04より大きいと磁気エントロピー変化量(−ΔS)が下がる、もしくは半値幅が狭くなるため好ましくない。
【0021】
1−a−b−c−d−eは、Feの含有量を表す。1−a−b−c−d−eは、0.75≦1−a−b−c−d−e≦0.95が好ましい。1−a−b−c−d−eが0.75より小さいと磁気エントロピー変化量(−ΔS)が下がり好ましくない。一方、1−a−b−c−d−eが0.95より大きいと半値幅が狭くなったり、キュリー温度の調節が困難となり好ましくない。
【0022】
本発明の磁気冷凍材料における第二の相は、Fe、BおよびZから選ばれる1種またはそれ以上の元素からなる。この相には希土類元素(LaおよびRE)はほとんど含まれておらず、第二の相における希土類元素の割合は1原子%以下である。また、この相は1種類の組成からなるものであっても良いが、希土類元素の含有量が1原子%以下であれば、複数の組成であっても良い。
【0023】
本発明の磁気冷凍材料における第一の相および第二の相の平均的な結晶粒径は0.01μmから1μmの範囲である。
第一の相および第二の相を含めた平均的な結晶粒径が0.01μmより小さいと、磁場中での磁化が小さくなってしまい、磁気エントロピー変化がかえって小さくなってしまうため好ましくない。また、第一の相および第二の相を含めた平均的な結晶粒径が1μmより大きいと、第一の相と第二の相との間に働く交換相互作用が小さくなり磁気エントロピー変化が小さくなってしまうため好ましくない。
【0024】
本発明の磁気冷凍材料における第一の相と第二の相の割合は5:95〜95:5までが好ましい。これ以外だと、第一の相および第二の相の平均的な結晶粒径を0.01μmから1μmの範囲にとどめることが難しい。
本発明において、各相の同定、相比、第一の相および第二の相を含めた平均的な結晶粒径はFE−EPMAを使用して行う。本発明の磁気冷凍材料は、断面組織のEPMAによる倍率1000倍のLaの元素マッピング像において、La濃度が高い部分と低い部分が観察される。La濃度の高い部分は本発明の第一の相に相当し、低い部分は第二の相に相当する。それぞれの部分について、定量分析を行い、第一の相と第二の相であることを確認する。マッピング像内の第一の相と第二の相の面積率を相比とし、第一の相および第二の相を含めた長径の長さの平均値を平均的な結晶粒径とした。
【0025】
本発明の磁気冷凍材料における酸素、窒素及び原料の不可避的不純物の含有量は、少ない方が好ましいが微量であれば含有しても良い。
【0026】
本発明の磁気冷凍材料を製造する方法は、結晶粒径を微細化可能な方法であれば特に限定されず、例えば、メルトスパンのようなロールを用いた超急冷法によって一旦、アモルファス状態の合金を作製し、再結晶化熱処理によって微細結晶を得る方法やメカニカルアロイングの手法を用いてアモルファス状態の合金を作製し、再結晶化熱処理によって微細結晶を得る方法等が好ましく挙げられる。
【0027】
本発明において、磁気エントロピー変化量(−ΔS)とその半値幅は、SQUID磁束計(カンタムデザイン社製、商品名MPMS−7)を用いて測定される。磁気エントロピー変化量(−ΔS)は特定温度範囲において2テスラまでの一定強度の印加磁場のもとで磁化を測定し、磁化−温度曲線から、下記に示すMaxwellの関係式を用いて求めることができる。
【0028】
【式1】

但し、Mは磁化、Tは温度、Hは印加磁場を表す。
【0029】
得られた磁気エントロピー変化量(−ΔS)の最大値(−ΔSmax)と半値幅の積により、磁気冷凍能力を示す相対冷却力(RCP)を次式より算出することができる。
【0030】
【式2】
RCP=−ΔSmax×δT
但し、−ΔSmaxは−ΔSの最大値を示し、δTは−ΔSのピークの半値幅を示す。
【0031】
本発明の磁気冷凍材料は、従来のNaZn13型La(FeSi)13系化合物の磁気冷凍材料に比べて、磁気エントロピー変化量(−ΔS)の最大値(−ΔSmax)を示す温度であるキュリー温度が高い。
【0032】
本発明の磁気冷凍材料のキューリー温度は200K〜300Kであることが好ましい。したがって、本発明の磁気冷凍材料は、広い温度範囲において使用することが可能である。さらに半値幅が広いため、従来の材料よりも少ない材料で磁気冷凍システムを構成することが可能である。
【0033】
また、本発明の磁気冷凍材料の2テスラまでの磁場変化における磁気エントロピー変化量(−ΔS)(J/kgK)の最大値(−ΔSmax)は、5J/kgK以上であることが好ましい。磁気エントロピー変化量(−ΔS)の最大値(−ΔSmax)が5J/kgKより低い場合には、磁気冷凍性能が不足し、磁気冷凍の効率が低下する。
【0034】
さらに、本発明の磁気冷凍材料の2テスラまでの磁場変化において測定・算出された磁気エントロピー変化量(−ΔS)・温度曲線の半値幅(K)は40K以上であることが好ましい。半値幅が40K以上の場合は使用温度領域が広くなる。その一方、半値幅が40K以下の場合は、使用温度領域が狭くなり、取り扱いにくくなるため好ましくない。
【0035】
また、本発明の磁気冷凍材料の2テスラまでの磁場変化における磁気冷凍能力を示す相対冷却力(RCP)(J/kg)は、380J/kg以上であることが好ましい。RCPが低い場合は、磁気冷凍材料による冷凍能力に欠け、好ましくない。
【0036】
本発明の磁気冷凍デバイス、さらに磁気冷凍システムには、本発明の磁気冷凍材料を使用する。本発明の磁気冷凍材料は、各種の形状に加工したものが使用できる。例えば、短冊状等に機械加工した形状、粉末形状、粉末を焼結した形状等である。この磁気冷凍デバイス、さらに磁気冷凍システムは、その種類によって特に限定されるわけではないが、磁気冷凍作業室内に配置した本発明の磁気冷凍材料の表面を熱交換媒体が流通するように、磁気冷凍作業室の一方の端部に熱交換媒体の導入配管、他方の端部に熱交換媒体の排出配管を設けるとともに、磁気冷凍作業室の近傍に永久磁石が配置され、かつ本発明の磁気冷凍材料に対する永久磁石の相対位置を変化させて磁界の印加及び除去を行う駆動装置を備えているものが好ましい。
【0037】
駆動装置を作動させて作業室と永久磁石の相対位置を変化させると、本発明の磁気冷凍材料に対して磁界が印加された状態から、除去された状態に切り替わる際、結晶格子から電子スピンにエントロピーが移動し, 電子スピン系のエントロピーが増加する。それによって、本発明の磁気冷凍材料の温度が低下し、それが熱交換用媒体に伝達され、熱交換用媒体の温度が低下する。このようにして温度が低下した熱交換用媒体は、磁気冷凍作業室から排出配管を通って排出され、外部の低温消費施設に冷媒として供給され、優れた磁気冷凍システムが得られる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【製法1】
【0039】
原料を秤量した後、高周波溶解炉にてアルゴンガス雰囲気中で溶解し、合金溶融物とした。続いて、この合金溶融物を、周速度40m/sで回転する銅製ロールに注湯して厚み約50μmの合金リボンを得た。その後、得られた合金をアルゴンガス雰囲気中において850℃、20分間で再結晶熱処理を行ない、その後乳鉢により粉砕を行った。粉砕した粉末を分級(18メッシュ〜30メッシュのふるい間で得られる粉末を採取)により合金粉末を得た。
【製法2】
【0040】
原料を秤量した後、高周波溶解炉にてアルゴンガス雰囲気中で溶解し、合金溶融物とした。続いて、この合金溶融物を、銅製金型に注湯して厚み10mmの合金を得た。得られた合金をアルゴンガス雰囲気中において1,150℃、20時間で熱処理を行ない、その後乳鉢により粉砕を行った。粉砕した粉末を分級(18メッシュ〜30メッシュのふるい間で得られる粉末を採取)により合金粉末を得た。
【製法3】
【0041】
再結晶化熱処理の条件を1000℃、20分間とした以外は製法1と同様にして合金粉末を得た。
【実施例1〜14】
【0042】
表2に示す製法により、合金粉末を得た。前記方法により得られた合金粉末の第一の相、第二の相を同定し、それぞれの組成、相比、第一の相および第二の相を含めた平均的な結晶粒径を得た。また、磁気エントロピー変化量(−ΔS)、最大値(−ΔSmax)、半値幅、RCPおよびキューリー温度を評価した。その結果を表1〜3に示す。
【比較例1〜4】
【0043】
表2に示す製法により、合金粉末を得た。得られた合金粉末について実施例と同様に評価を行った。その結果を表1〜3に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式La1−fRE(Fe1−a−b−c−d−eSiCo13(式中REはLaを除く、Sc及びYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種を含む元素、XはGa、Alの少なくとも1種を含む元素、MはGe、Sn、B及びCの少なくとも1種を含む元素、ZはTi、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Zrの少なくとも1種を含む元素を示し、aは0.03≦a≦0.17、bは0.003≦b≦0.06、cは0.02≦c≦0.10、dは0≦d≦0.04、eは0≦e≦0.04、fは0≦f≦0.50である。)で表される組成を有する第一の相と、Fe、BおよびZから選ばれる1種またはそれ以上の元素を含有し、LaおよびREの含有量の合計が1原子%以下である第二の相を有し、第一の相および第二の相を含めた平均的な結晶粒径が0.01μmから1μmの範囲であることを特徴とする磁気冷凍材料。
【請求項2】
キュリー温度が200K以上300K以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気冷凍材料。
【請求項3】
2テスラまでの磁場変化における磁気エントロピー変化量(−ΔS)の最大値(−ΔSmax)が5J/kgK以上であることを特徴とする請求項1または2記載の磁気冷凍材料。
【請求項4】
2テスラまでの磁場変化において測定・算出された磁気エントロピー変化量(−ΔS)・温度曲線の半値幅(K)は40K以上である請求項1〜3記載の磁気冷凍材料。
【請求項5】
2テスラまでの磁場変化における磁気冷凍能力を示す相対冷却力(Relative Cooling Power、RCP)が380J/kg以上であることを特徴とする請求項1〜4記載の磁気冷凍材料。
【請求項6】
請求項1〜5記載の磁気冷凍材料を用いた磁気冷凍デバイス。
【請求項7】
請求項6記載の磁気冷凍デバイスを用いた磁気冷凍システム。

【公開番号】特開2013−104129(P2013−104129A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267328(P2011−267328)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000176660)株式会社三徳 (22)
【Fターム(参考)】