説明

磁気分離装置のための磁化部分

本開示は、磁気分離装置の中に高勾配磁界をもたらすための磁化部分に関する。この磁化部分は、少なくとも1つの磁石アセンブリを含む。この少なくとも1つの磁石アセンブリは、複数の磁石であって、それぞれの磁石が、N極、S極、およびN極とS極との間に延びている磁石軸を有し、隣り合う磁石のN極およびS極が交互に配置されるとともに隣り合う磁石の間に空間が設けられるような方式で、それぞれの磁石軸に対して少なくとも実質的に垂直である向きで上下に配置されている複数の磁石、ならびに隣り合う磁石の間の空間に配置された少なくとも1つの非磁性間隔確保手段を含む。本開示はまた、前記磁化部分の少なくとも1つを含む磁気分離装置、および磁気分離装置を使用して、磁気的に標識された粒子を分離する方法とに関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、磁気分離装置に適した磁化部分に関するものである。この磁化部分により、磁気的に標識された粒子をそれらが含まれている非磁性媒体から吸着して分離することのできる高勾配の磁界がもたらされる。本開示はまた、前記磁化部分を含む、磁気的に標識された粒子を分離するための磁気分離装置に関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
背景
磁気的に標識された粒子をそれらが懸濁している流体から吸着して分離するために、高勾配の磁界を使用することは周知である。さらにまた、磁気分離装置は、製薬、医療、農業、科学および工学の各分野が含まれる、様々な産業界で使用されている。例えば、生物工学の分野では、磁気的に標識された骨髄細胞を血液試料から分離するために、高勾配の磁界を利用することができる。
【0003】
高勾配の磁界は従来、高い磁界密度の領域と低い磁界密度の領域とを有する磁界をもたらすために磁石を構成することによって、作り出されている。この磁界の勾配は、高密度領域と低密度領域との間における磁界強度の変化量である。
【0004】
欧州特許出願第03819654号(特許文献1)には、大きさがマイクロメートル程度(好ましくは、0.1〜2μmの範囲にある)である磁性粒子を収集するために磁性材料をどのように使用できるかについて記載されている。この磁性材料には複数の磁石が含まれている。それぞれの磁石にはN極とS極とがある。これらの磁石は、隣り合う磁石が互いに接するとともに隣り合う磁石のN極(N)とS極(S)とが交互に配置される(すなわち、それぞれの磁石のN極(N)が隣の磁石のS極(S)に隣接して配置される)ような方式で、上下に積み重ねられている。磁気的に標識された粒子を収集するために、前記磁性材料は、磁気的に標識された粒子を含んでいる試料が「フリンジ」磁界(すなわち、反対の磁極の間における前記磁性材料の周縁の周りに広がっている磁界)の支配を受けるように、試料容器の近傍に置かれている。このフリンジ磁界の強度および勾配は、磁石を互いに接するように置くことの結果として弱められていることがわかっている。フリンジ磁界の強度は制限されているが、その理由は、戻り磁束が、接している隣の磁石の周縁の周りで隣の磁石の反対の磁極へ向かって外方へ進行するのではなく、接している隣の磁石を通って反対の磁極へ直接進行するためである。フリンジ磁界の強度が制限されているため、フリンジ磁界の高い磁界密度の領域と低い磁界密度の領域との間における磁界強度の変動は制限されている。直接的な結果として、フリンジ磁界の勾配は最小限に抑えられている。磁性材料の性能は、磁石を互いに接するように配置する結果として、弱められている。例えば、この磁性材料は、大きさが最小マイクロメートル程度の粒子を分離することができず、そのため、大きさがナノメートル程度の粒子を分離するには適していない。分離過程の効率および精度もまた、制限される。
【0005】
米国特許出願第10/484,110号(特許文献2)には、液体の中に懸濁された、大きさがマイクロメートル程度(好ましくは、1.5〜4μmの範囲にある)の吸着可能な粒子を磁気的に分離するシステムが記載されている。このシステムには、リング状形態にある少なくとも2つの磁石を含む磁石構成体が含まれている。このシステムの第1態様では、磁石軸(Y-Y')は前記リングの平面に対して垂直に方向付けされており、これらの磁石は、N-S軸(Y-Y')が同一方向を向くように、上下に同一方向に配置されている。リング状磁石の内側部分は試料容器を受け入れるための空間を形成している。図1aには、同一方向に配置された3つのリング状磁石(10、10'、10'')を含んでいる磁石構成体(15)が描かれている。隣り合うリング状磁石の間には非磁性スペーサ(11、11')が配置されている。この磁石構成体の受け入れ用空間(12)の内部には試料容器(20)が配置されている。図1bには、図1aに示された磁石構成体によって生じた磁界が描かれている。前記受け入れ用空間の内部で作用する磁界はフリンジ磁界(25)である。前記受け入れ用空間の内部で作用する磁界が低い勾配を有する弱いフリンジ磁界であるということは、図1bに示された磁束の線から明らかである。この磁界は、リング状磁石の構造のために、弱いものであり、かつ、低い勾配を有している。これらのリング状磁石は、磁束が、前記受け入れ用空間の内部における磁石の周縁の周りで外方へ進行するのではなく、磁石を通って反対の磁極へ直接進行するように、構成されている。また、かなりの磁束が、前記受け入れ用空間の内部でなく、頂部磁極面および底部磁極面を通って広がっている。リング状磁石どうしの間に設けられた非磁性スペーサは、リング状空間の内部に低い磁界密度の領域を作り出すのに役立つように意図されている。しかしながら、これらのスペーサには、前記フリンジ磁界がすでにあまりにも弱いため、フリンジ磁界の勾配に関する効果がほとんどない。前記フリンジ磁界が貧弱であるため、前記分離過程の効率および精度は弱められている。この磁石構成体によって分離することのできる粒子の大きさもまた制限される。さらに詳しくは、この磁石構成体は、磁気的に標識されたより小さい粒子(ナノメートル程度の大きさの粒子)を分離するためには適していない。
【0006】
米国特許出願第10/484,110号(特許文献2)に開示された前記システムの第2態様では、リング状磁石は、隣り合う磁石のN-S軸(Y-Y')が反対方向にあるように、反対方向に配置されている。図2aには、反対方向に配置された3つのリング状磁石(10、10'、10'')を含んでいる磁石構成体(15')が描かれている。非磁性間隔確保手段(11、11')が、隣り合う磁石の間に配置されている。図2bには、図2aの磁石構成体によって生じた磁界が描かれている。図2cには、受け入れ用空間(12)の中心における磁界強度が前記磁石構成体の中心長手軸(X-X')に沿ってどのように変化するかを示すためのグラフが描かれている。前記リング状磁石が反対方向に配置されたときに、前記受け入れ用空間の内部に、より強く、かつ、より高い勾配のフリンジ磁界が生じるということは、図2bの磁束線から明らかである。このことは、反発し合う磁極のために、より多くの磁束が前記受け入れ空間の内部で外方へ向けられているからである。前記非磁性間隔確保手段は、前記受け入れ用空間の内部に低い磁界強度の領域を作り出すのに役立つ。増大した磁束と非磁性間隔確保手段の使用とによって、高い磁界強度の領域と低い磁界強度の領域との間における磁界強度の差は、第1態様のそれよりも大きい。それゆえ、フリンジ磁界の勾配は、第1態様のそれよりも高い。それにもかかわらず、受け入れ用空間の内部に作用するフリンジ磁界の磁界強度および勾配は、かなりの磁束が、前記受け入れ用空間の内部でなく、リング状磁石構成体の頂部磁極面および底部磁極面を通って広がり続けているために、なお制限されている。さらにまた、この磁石構成体の性能は、前記受け入れ用空間の長手軸に沿って一定ではない。図2bおよび図2cでは、頂部磁石(10)の間における受け入れ用空間に作用するフリンジ磁界のピーク強度と、底部磁石(10'')の間における受け入れ用空間に作用するフリンジ磁界のピーク強度とは、中間磁石(10')の間における受け入れ用空間に作用するフリンジ磁界のピーク強度よりも弱い。フリンジ磁界のピーク強度は、反発し合う磁極の構成のために、受け入れ用空間の長手軸に沿って変化する。ピーク強度が変化するため、フリンジ磁界の勾配もまた、受け入れ用空間の長手軸に沿って変化する。直接的な結果として、磁石構成体の性能は、分離過程の効率および精度が弱められている受け入れ用空間の長手軸に沿って不変ではない。
【0007】
従って、前記問題点の少なくともいくつかを軽減し、および/または、克服することのできる磁気分離装置を提供する要望が存在している。さらに詳しくは、本発明は、ナノメートル程度の大きさの粒子を含む、磁気的に標識された任意の大きさの粒子を分離するために適している高勾配磁界を生じさせる磁化部分を提供することを追求するものである。本発明は、磁気的に標識された粒子を迅速に吸着するとともに分離するために適している高勾配磁界が備わった磁化部分を提供することによって、分離時間を減少させることを追求するものである。本発明はまた、少なくとも実質的に一定の性能が備わった高勾配磁界を作る磁化部分を提供することを追求するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願第03819654号
【特許文献2】米国特許出願第10/484,110号
【発明の概要】
【0009】
開示の簡単な概要
本開示の第1の局面は、磁気分離装置の中に高勾配磁界をもたらすための磁化部分に関するものである。この磁化部分は少なくとも1つの磁石アセンブリを含んでいる。この少なくとも1つの磁石アセンブリは、
複数の磁石であって、それぞれの磁石が、N極、S極、およびN極とS極との間に延びている磁石軸を有し、隣り合う磁石のN極およびS極が交互に配置されるとともに隣り合う磁石の間に空間が設けられるような方式で、複数の磁石がそれぞれの磁石軸に対して少なくとも実質的に垂直である方向に上下に配置されている複数の磁石、および
隣り合う磁石の間の空間に配置された少なくとも1つの非磁性間隔確保手段
を含んでいる。
【0010】
好ましくは、非磁性間隔確保手段には、アルミニウム材料またはプラスチック材料が含まれている。あるいは、非磁性間隔確保手段は空隙である。
【0011】
好ましくは、磁石には、永久磁性材料または鉄系磁性材料が含まれている。
【0012】
好ましくは、それぞれの磁石には、第1磁極面と第2磁極面とが含まれており、かつ、少なくとも1つの磁石の第1磁極面および/または第2磁極面は、試料容器の輪郭に沿うように成形されている。
【0013】
好ましくは、磁化部分は、使用に際して少なくとも1つの磁性部材を少なくとも1つの試料容器の近傍に配置するように構成される。さらに詳しくは、磁化部分には、使用に際して試料容器の両側面に平行かつ近傍に配置されるように構成された第1磁性部材および第2磁性部材が含まれていてもよい。
【0014】
磁化部分には、実質的に放射状配列に取り付けられた複数の磁性部材が含まれていてもよい。あるいは、磁化部分には、実質的に直線状配列に取り付けられた複数の磁性部材が含まれていてもよい。
【0015】
本発明の第2の局面は、磁気的に標識された粒子を分離するための磁気分離装置に関するものである。この磁気分離装置は、
一連の試料容器保持部分を有する本体部分、および
前記第1の局面による複数の磁化部分であって、少なくとも2つの磁性部材がそれぞれの試料容器保持部分の周りに円周方向に間隔を置いて配置されるように、前記本体部分内に配置される複数の磁化部分
を含んでいる。
【0016】
本発明の第3の局面は、磁気的に標識された粒子を分離するためのさらなる磁気分離装置に関するものである。この特定の磁気分離装置は、
高勾配磁界とそれにより本体部分が支持面の上に立つことができる表面とをもたらすための、前記第1の局面による磁化部分を有する本体部分、
少なくとも1つの試料容器を保持するための試料容器保持部分
を含み、
前記試料容器保持部分は、試料容器の内容物の少なくとも一部分がユーザに見えるように、少なくとも1つの試料容器を保持するように構成されており、かつ
前記試料容器保持部分は、使用に際して、少なくとも1つの試料容器保持部分が前記磁化部分の高勾配磁界にさらされるように、前記磁化部分の上に取り付けることができるように構成されている。
【0017】
本発明の第4の局面は、本発明の第2の局面または第3の局面の磁気分離装置を使用して、磁気的に標識された粒子を磁性媒体から分離するための方法に関するものであって、この方法は、
(i)磁気的に標識された粒子を有する試料を収容している少なくとも1つの試料容器を試料容器保持部分の中に取り付ける段階、
(ii)磁気的に標識された粒子を有する試料を前記磁化部分の高勾配磁界へさらす段階、
(iii)非磁性上清を除去する段階
を含む。
【0018】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通じて、用語「含む(comprise)」および用語「含有する(contain)」およびこれらの用語の変形語、例えば、「含む(comprising)」および「含む(comprises)」は、「含んでいるが限定されない」ことを意味し、かつ、他の部分、付加物、構成要素、整数あるいは段階を排除することを意図していない(かつ、排除しない)。
【0019】
本明細書の説明および特許請求の範囲を通じて、単数形には、文脈に特段の定めのない限り、複数形が含まれている。とりわけ、不定冠詞が使用されているときには、本明細書は、文脈に特段の定めのない限り、単数と同様に複数をも意図していると理解すべきである。
【0020】
本発明の特定の局面、態様または例とともに説明された特徴、整数、特性、化合物、化学的部分または化学基は、それと矛盾しない限り、本明細書に記載されたあらゆる他の局面、態様または例へ適用することができると理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本開示をより良好に理解するために、かつ、どのように実施するかを示すために、例示としてのみ、以下の図面が参照される。
【0022】
【図1a】従来技術の磁石構成体における第1態様の斜視図である。
【図1b】図1aの磁石構成体によって生じた磁界を描いた図である。
【図2a】従来技術の磁石構成体における第2態様の側面図である。
【図2b】図2aの磁石構成体によって生じた磁界を描いた図である。
【図2c】磁界強度が図2aの磁石構成体の中心長手軸に沿ってどのように変化するかを示しているグラフである。
【図3】本開示による磁化部分の第1態様の斜視図である。
【図4a】本開示による磁化部分の第2態様の側面図である。
【図4b】図4aの磁化部分によって生じた磁界を描いた図である。
【図4c】図4aの磁化部分によって生じた高磁界密度の領域と低磁界密度の領域とを描いた図である。
【図4d】磁界強度が図4aの磁化部分の中心長手軸に沿ってどのように変化するかを示しているグラフである。
【図4e】図4aの磁化部分の高密度領域と低密度領域との間における磁界の勾配を示しているグラフである。
【図5a】本開示による磁化部分の第3態様の平面図である。
【図5b】本開示による磁化部分の第3態様の側面図である。
【図6a】本開示による磁化部分の第4態様の側面図である。
【図6b】本開示による磁化部分の第4態様の断面図である。
【図7a】本開示による第1の型の磁気分離装置におけるある態様の側面図である。
【図7b】本開示による第1の型の磁気分離装置におけるある態様の模式的分解斜視図である。
【図8a】本開示による第1の型の磁気分離装置における第2態様の前方部の斜視図である。
【図8b】本開示による第1の型の磁気分離装置における第2態様の後方部の斜視図である。
【図9】磁化部分が試料容器の主要部と試料容器の先端部とに対してどのように構成されているかを示した図である。
【図10】試料容器に対する複数の磁石の構成を示している平面図である。
【図11】磁化部分が試料容器保持部分に対してどのように配置されているかを示している側面図である。
【図12a】磁化部分が試料容器に対してどのように配置されているかを示している側面図である。
【図12b】磁化部分が試料容器に対してどのように配置されているかを示している側面図である。
【図13a】本開示による第1の型の磁気分離装置における第3態様の側面図である。
【図13b】本開示による第1の型の磁気分離装置における第3態様の平面図である。
【図13c】本開示による第1の型の磁気分離装置における第3態様の斜視図である。
【図14】本開示による第1の型の磁気分離装置における第3態様の模式的分解斜視図である。
【図15a】本開示による、第1位置にある第1の型の磁気分離装置における第4態様の斜視図である。
【図15b】本開示による、第2位置にある第1の型の磁気分離装置における第4態様の斜視図である。
【図16】本開示による第1の型の磁気分離装置における第5態様の第1位置および第2位置を示している斜視図である。
【図17】本開示による第1の型の磁気分離装置における第6態様の模式的分解斜視図である。
【図18a】より大きい試料容器を保持するように適合された、本開示による第1の型の磁気分離装置における第6態様の側面図である。
【図18b】より大きい試料容器を保持するように適合された、本開示による第1の型の磁気分離装置における第6態様の平面図である。
【図18c】より大きい試料容器を保持するように適合された、本開示による第1の型の磁気分離装置における第6態様の斜視図である。
【図19a】より小さい試料容器を保持するように適合された、本開示による第1の型の磁気分離装置における第6態様の側面図である。
【図19b】より小さい試料容器を保持するように適合された、本開示による第1の型の磁気分離装置における第6態様の平面図である。
【図19c】より小さい試料容器を保持するように適合された、本開示による第1の型の磁気分離装置における第6態様の斜視図である。
【図20】本開示による第2の型の磁気分離装置における第1態様の斜視図である。
【図21】図20の第2の型の磁気分離装置における本体部分および試料容器保持部分の斜視図である。
【図22】図20の第2の型の磁気分離装置の模式的分解斜視図である。
【図23a】図20の第2の型の磁気分離装置の側面図である。
【図23b】図20の第2の型の磁気分離装置の平面図である。
【図24a】本開示による第2の型の磁気分離装置における第2態様の分解斜視図である。
【図24b】本開示による第2の型の磁気分離装置における第2態様の斜視図である。
【図25a】本開示による第2の型の磁気分離装置における第3態様の分解斜視図である。
【図25b】本開示による第2の型の磁気分離装置における第3態様の斜視図である。
【図26a】本開示による第2の型の磁気分離装置における第4態様の斜視図である。
【図26b】本開示による第2の型の磁気分離装置における第4態様の試料容器保持部分の斜視図である。
【図26c】本開示による第2の型の磁気分離装置における第4態様の本体部分の斜視図である。
【図26d】本開示による第2の型の磁気分離装置における第4態様の模式的分解斜視図である。
【図27a】磁化部分に対する2つの試料容器の第1配置を示している平面図である。
【図27b】磁化部分に対する2つの試料容器の第1配置を示している側面図である。
【図27c】磁化部分に対する2つの試料容器の第2配置を示している側面図である。
【図28a】磁化部分に対する2つの試料容器の第3配置を示している平面図である。
【図28b】磁化部分に対する2つの試料容器の第3配置を示している側面図である。
【図29a】磁化部分に対する3つの試料容器の第4配置を示している平面図である。
【図29b】磁化部分に対する3つの試料容器の第4配置を示している側面図である。
【図30】混合器具と接触関係に配置された第2の型の磁気分離装置における第4態様による試料容器保持部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
磁化部分
さて、図3〜図6bによれば、磁気分離装置のために適している磁化部分(3)には、少なくとも1つの磁石アセンブリ(3m)が含まれている。この少なくとも1つの磁石アセンブリ(3m)には、複数の磁石(M)および隣り合う磁石(M)の間に配置された少なくとも1つの非磁性間隔確保手段(SP)が含まれている。
【0024】
磁化部分(3)によって、磁気的に標識された粒子をそれらが含まれている流体から吸着して分離するのに適している高勾配磁界がもたらされる。
【0025】
少なくとも1つの磁石アセンブリ(3m)のそれぞれの磁石(M)には、N極(N)、S極(S)、およびN極の端面とS極の端面との間に延びる磁石軸(Y-Y')が備わっている。磁性部材におけるこれらの磁石は、互いに平行に、「積み重ね」構成で上下に配置されている。これらの磁石は、それぞれの磁石の磁石軸(Y-Y')に対して少なくとも実質的に垂直な方向に積み重ねられている。この磁石アセンブリには、積み重ね構成物の頂部磁石と底部磁石との間に延びる長手軸(Z-Z')が備わっている。図3、図4a、図5b、図6aおよび図6bでは、これらの磁石(M)は、それぞれの磁石(M)の磁石軸(Y-Y')が実質的に水平な方向に延びるように互いに平行に配置されており、かつ、これらの磁石(M)は、この磁石アセンブリの長手軸(Z-Z')が実質的に垂直な方向に延びるように上下に積み重ねられていることがわかる。
【0026】
少なくとも1つの磁石アセンブリ(3m)の磁石(M)は、交互の多極構成をもたらすように、積み重ね形態で互いに配置されている。この交互の多極構成では、N極およびS極は交互のパターンに配置されている。この交互の多極構成は、これらの磁石を、それぞれの磁石のN極が隣の磁石のS極に隣接して配置されるように配置することで、達成される。例えば、磁石アセンブリが2つの磁石を含んでいるときには、第1磁石のN極が第2磁石のS極に隣接して配置され、かつ、第1磁石のS極が第2磁石のN極に隣接して配置される-図3および図6bを参照。
【0027】
少なくとも1つの磁石アセンブリ(3m)の磁石(M)は、隣り合う磁石の間に空間あるいは空所が存在するように、積み重ね構成物の内部に間隔を置いた関係で配置されている。(これらの磁石は互いに接触して配置されているのではなく、かつ、隣り合う磁石の表面は接していない。)隣り合う磁石は、前記磁石アセンブリの長手軸(Z-Z')に対して実質的に平行であってそれぞれの磁石の軸(Y-Y')に対して実質的に垂直である方向に、所定距離だけ間隔を置いて配置されている。
【0028】
少なくとも1つの磁石アセンブリ(3m)の磁石(M)は、鉄、鋼あるいは他のあらゆる適切な鉄系材料のような鉄系磁性材料から作ることができる。またはこれらの磁石を、フェライト、サマリウムコバルトあるいは他の適切な永久材料のような永久磁性材料から作ることができる。これらの永久磁石は、ネオジウム・鉄・ボロン(NdFeB)のような高性能希土類合金から形成されているのが好ましい。本開示の代わりの態様では、これらの磁石は電磁石であってもよい。
【0029】
これらの強磁性磁石あるいは永久磁石は、ロッド、板、バーあるいは立方体に形成されてもよく、かつ、第1磁極端面(あるいは表面)および第2磁極端面(あるいは表面)を有してもよい。これらの強磁性磁石あるいは永久磁石には、図3、図4a、図5bおよび図6bに示されたように、実質的に平坦な磁極端面(FEF)があるのが好ましい。しかしながら、磁極端面は試料容器の輪郭に沿うように成形することができる。例えば、磁石の磁極端面は、図5bおよび図6bに示されたように、試料容器の輪郭に沿うために傾斜していてもよい(IEF)。磁石が試料容器、とりわけより小さい試料容器の輪郭に沿うように成形されている場合、高勾配磁界の効果はさらに増大することがわかっている。
【0030】
磁石アセンブリの内部に積み重ねられる磁石の数、大きさおよび型は、磁気的に標識された粒子を非磁性媒体から分離するために必要な高勾配磁界、試料容器の大きさ、およびその高勾配磁界へさらされる試料容器の領域に従って選定できる。
【0031】
磁石アセンブリ(3m)の隣り合う磁石(M)の間の空間あるいは空所に、少なくとも1つの非磁性間隔確保手段(SP)が配置されている。図3、図4a、図5b、図6aおよび図6bを参照のこと。間隔確保手段(SP)は、隣り合う磁石の間の空間あるいは空所を少なくとも実質的に占めるのが好ましい。間隔確保手段(SP)は非磁性である材料から作られている。例えば、間隔確保手段(SP)はプラスチック材料あるいはアルミニウムから作られていてもよい。あるいは、間隔確保手段は空隙であってもよい。
【0032】
この少なくとも1つの非磁性間隔確保手段は、磁界の強度および空間的分布を調整するために設けられている。この非磁性間隔確保手段が非磁性の材料から作られているため、磁束の流れはこの間隔確保手段によって制限される。磁束が非磁性間隔確保手段を通して進行することはほとんどあるいはまったくできないと仮定すると、隣り合う磁石の間に低い磁界密度の領域が作り出される。それゆえ、この少なくとも1つの非磁性間隔確保手段は、磁界の内部に低い磁界強度の領域を作り出すことで、その磁界を調整する。
【0033】
隣り合う磁石の間に配置される非磁性間隔確保手段の数、材料および厚さは、適切な高勾配磁界をもたらすために必要な磁石および磁界調整によって生じた磁界によって決定される。
【0034】
磁石(M)および非磁性間隔確保手段(SP)の前記構成によって、磁石アセンブリ(3m)は、2つの側壁(100、101)、2つの端面(102、103)、上面(104)および下面(105)が備わった立方体状形状を有している。これらの磁石の交互多極構成によって、この磁石アセンブリの第1端面102には第1の交互多極表面が含まれ、かつ、この磁石アセンブリの第2(反対側)端面103には第2の交互多極表面が含まれている。図3および図6bを参照のこと。明らかなことであるが、前記第1表面における交互磁極の構成は前記第2表面における交互磁極の構成の裏返しあるいは反対である。図3に示されたように、交互多極表面の磁界は、表面に隣接する磁極片あるいは背板(110)を取り付けることで制限することができる。
【0035】
この磁石アセンブリの磁石(M)および非磁性間隔確保手段(SP)は、適切なあらゆる取付手段を用いて、積み重ね形態に取り付けかつ保持することができる。例えば、磁石(M)および非磁性間隔確保手段(SP)は、複数の磁石および少なくとも1つの非磁性間隔確保手段を受け入れるための空所、空洞あるいはチャンバを画定するハウジング(磁石アセンブリハウジング)の内部に取り付けることができる。このハウジングは、磁石(M)および間隔確保手段(SP)を積み重ね形態に保持するとともにこの磁石アセンブリを保護するために設けられている。このハウジングは、磁石の腐食、破損あるいは流体接触を防止するために設けられてもよい。明らかなことであるが、このハウジングは、非磁性の材料から作らなければならない。このハウジングは、容易に清浄化することができるとともに、消毒剤および/または他の腐食性化学物質に対して耐性があるのが好ましい。あるいは、この磁石アセンブリの磁石(M)および非磁性間隔確保手段(SP)は、非磁性締付手段を用いて取り付けかつ保持することができる。
【0036】
上で示されたように、磁化部分には1つまたは複数の磁石アセンブリが含まれていてもよい。使用に際して、1つまたは複数の磁石アセンブリは1つまたは複数の試料容器の近傍に配置することができる。例えば、磁化部分には第1の交互多極表面を有する単一の磁石アセンブリが含まれていてもよく、それによって、使用に際して、その磁石アセンブリは、前記第1の交互多極表面が単一の試料容器の近傍にあるように、単一容器に対して配置される。磁化部分には第1の交互多極表面および第2の交互多極表面を有する磁石アセンブリが含まれていてもよく、それによって、使用に際して、その磁石アセンブリは、前記第1の交互多極表面が第1試料容器の近傍にあるように、かつ、前記第2の交互多極表面が第2試料容器の近傍にあるように、2つの試料容器に対して配置される。磁化部分には複数の磁石アセンブリが含まれていてもよく、それによって、使用に際して、それらの磁石アセンブリは、それぞれの磁性部材の交互多極表面が試料容器の近傍にあるように、単一の試料容器に対して配置される。
【0037】
磁化部分には、実質的に放射状あるいは円周の構成に配置された複数の磁石アセンブリが含まれていてもよい-図5aおよび図5bを参照のこと。あるいは、磁化部分には、実質的に直線状構成に配置された複数の磁石アセンブリが含まれていてもよい-図6aおよび図6bを参照のこと。
【0038】
少なくとも1つの磁石アセンブリが少なくとも1つの試料容器の近傍に配置される場合、この少なくとも1つの磁石アセンブリは、磁石アセンブリの長手軸(Z-Z')が少なくとも1つの試料容器の長手軸に対して実質的に平行であるように配置されるのが好ましい。少なくとも1つの磁石アセンブリは、少なくとも1つの試料容器の少なくとも主要部が高勾配磁界にさらされるように、通常配置される。これに加えてあるいはこれの代わりに、少なくとも1つの磁石アセンブリは、少なくとも1つの試料容器の先端が高勾配磁界にさらされるように、配置される。
【0039】
磁石アセンブリの数、大きさおよび構成は、磁気的に標識された粒子を非磁性媒体から分離するために必要な高勾配磁界、磁気分離装置の構成、磁気分離装置の内部における試料容器の構成および試料容器の型(大きさおよび形状)に従って選定することができる。
【0040】
1つまたは複数の磁石アセンブリは、適切なあらゆる取付手段を用いて取り付けかつ保持することができる。例えば、複数の磁石アセンブリは、磁石アセンブリ取付部分に対して実質的に直線状構成にあるいは実質的に円周構成に取り付けることができる。図5a〜図6bを参照のこと。この代わりにあるいはこれに加えて、1つまたは複数の磁石アセンブリは、1つまたは複数の磁石アセンブリを受け入れるための空所、空洞あるいはチャンバを画定するハウジング(H)の中に取り付けることができる。図6aを参照のこと。少なくとも1つの磁石アセンブリを、締付手段を用いて、さらにあるいは代わりに取り付けかつ保持することができる。明らかなことであるが、この取付手段は、非磁性の材料から作らなければならない。この取付手段は、容易に清浄化することができるとともに、消毒剤および/または他の腐食性化学物質に対して耐性があるのが好ましい。
【0041】
先に述べたように、磁化部分は、相異なる型、大きさおよび形状のいくつかの試料容器とともに使用するのに適しているように構成されている。試料容器は、典型的には30mmまでの直径と約5〜50mlの範囲にある容積とを有している、慣例的なあらゆる大きさの試料容器であってもよい。試料容器は、例えば、アメリカ合衆国、ニュージャージーにあるB.D Falcon社からFalcon商標で入手することのできる「Falcon」試験管、または、同様に同社から入手することのできるサイトメトリ管のような「flow」試験管であってもよい。あるいは、試料容器は、より小さい容器、例えば、ドイツ、ハンブルグにあるEppendorf A.G.から入手することのできる0.5〜2.0mlの微小遠心管であってもよい。
【0042】
磁化部分の優れた高勾配磁界
本開示の磁化部分(3)により、従来技術に対して驚くほど優れている高勾配磁界がもたらされることがわかっている。磁石(M)と非磁性間隔確保手段(SP)とは、意外にも相互に作用して高勾配磁界をもたらすようである。
【0043】
本開示の磁化部分(3)によって作られた高勾配磁界には、従来技術よりも驚くほど良好な勾配がある。この磁界により良好な勾配があるのは、磁石(M)と非磁性間隔確保手段(SP)とが相互に作用して、従来技術よりも高い磁界密度の領域と従来技術よりも低い磁界密度の領域とをもたらすからである。
【0044】
より高い勾配によって、磁界は、ナノメートル程度の大きさの粒子が含まれる磁気的に標識されたごく小さい粒子を分離することができる。この磁界はまた、磁気的に標識された粒子をより迅速にかつより的確に分離することもできる。
【0045】
本開示の磁化部分(3)によって作られた高勾配磁界の性能は、従来技術よりも驚くほど一定である。高勾配磁界の性能がより一定であるのは、磁石(M)と非磁性間隔確保手段(SP)とが相互に作用して、この磁石アセンブリの長手軸(Z-Z')に沿って実質的に規則的かつ不変の様式で変化する磁界をもたらすからである。この磁界が実質的に規則的かつ不変の様式で変化するのは、交互の高密度領域と低密度領域とが実質的に等間隔で配置されているとともに、それぞれの高密度領域が実質的に同一の最大値あるいは「ピーク」値を有し、かつ、それぞれの低密度領域が実質的に同一の最小値を有しているからである。
【0046】
性能の不変性によって、この磁石アセンブリの長手軸(Z-Z')に沿った高勾配磁界の性能(あるいは効果)は少なくとも実質的に同一である。より一定の性能が備わった高勾配磁界は、磁気的に標識された粒子をより的確にかつより効率的に分離することができる。例えば、高勾配磁界は、磁界にさらされた試料流体対象のすべての部分から粒子を吸着して分離することができる。
【0047】
少なくとも1つの磁石アセンブリの交互多極表面がその少なくとも1つの試料容器の近傍にあるように、磁化部分(3)がその少なくとも1つの試料容器に対して配置されているときには、磁気的に標識されて試料の内部に懸濁された粒子は、少なくとも1つの磁石アセンブリによって吸着されて、試料容器の内面に沿った選択領域で固定化される。これらの選択領域は、少なくとも1つの磁石アセンブリの交互多極表面に隣接する試料容器の内面の区画あるいは帯域である。前記内面に沿った前記の区画あるいは帯域は、高勾配磁界の磁界密度の輪郭に対応している。一般に、磁気的に標識された粒子は、磁界の高密度領域に対応しているかあるいは関連している試料容器の内面に沿った区画あるいは帯域で固定化される。
【0048】
優れた高勾配磁界によって、磁化部分(3)はまた、ナノメートル程度の大きさの、好ましくは50〜500nmの範囲にある磁気的に標識された粒子も分離することができる。磁化部分(3)はまた、5分よりも小さい、好ましくは0.5分〜2分の範囲内にある磁気的に標識された粒子も分離して固定化することができる。
【0049】
磁化部分の第1態様
図3には、磁化部分(3)の態様がその最も簡単な形態で描かれている。磁化部分(3)には、2つの磁石(M1、M2)を有する単一の磁石アセンブリが含まれている。これらの磁石は、実質的に上下に垂直になるよう積み重ねられている。これらの磁石は、それぞれの磁石の軸(Y-Y')が実質的に水平に延びるように積み重ねられている。これら2つの磁石(M1、M2)は、隣り合う磁石のN極およびS極が交互に配置されるように、配置されている。これらの磁石(M1、M2)は、平坦な磁極端面(FEF)が備わったバー形状の磁石である。アルミニウム製の間隔確保板(SP)が、隣り合う磁石の間、すなわち磁石M1と磁石M2との間に配置されている。磁石アセンブリは、2つの側壁(100、101)、2つの端面(102、103)、上面(104)および下面(105)の備わった立方体状形状を有する。端面102には、NS構成を有する第1多極表面がある。端面103には、SN構成を有する第2多極表面がある。第2の交互多極表面の磁界は、第2の交互多極表面に沿って延びるように取り付けられた磁極片(110)によって制限されている。
【0050】
磁石アセンブリによって作られた磁界は、少なくとも実質的に一定の性能を有する高勾配磁界である。単一磁石アセンブリが、その第1の交互多極表面が試料容器の近傍にあるように配置されている場合、試料容器は高勾配「フリンジ」磁界にさらされる。磁石の構成のために、フリンジ磁界は試料容器の長手軸に対して実質的に垂直である。
【0051】
磁化部分の第2態様
図4aには、2つの磁石アセンブリ(3ma、3mb)を含んでいる磁化部分(3)の第2態様が描かれている。これらの磁石アセンブリは平行関係に置かれている。これらの磁石アセンブリの間には中心の領域、空所あるいは空間が形成されている。この空所は試料容器を受け入れるのに適しているように形成されている。磁化部分(3)の中心線あるいは中心長手軸がX-X'で標示されている。中心長手軸は、この中心領域の内部において磁石アセンブリから最も遠い点であり、従って、影響を及ぼすには最も困難である。第1磁石アセンブリ(3ma)には3つの磁石(M1a-M3a)が含まれている。第1磁石アセンブリ(3ma)の磁石は、第2磁石アセンブリ(3mb)に対向している交互多極表面がNSN構成を有するように、垂直に積み重ねられている。第2磁石アセンブリ(3mb)にも3つの磁石(M1b-M3b)が含まれている。第2磁石アセンブリ(3mb)の磁石は、第1磁石アセンブリ(3ma)に対向している交互多極表面がSNS構成を有するように、垂直に積み重ねられている。従って、第1磁石アセンブリおよび第2磁石アセンブリにおける対応する磁石どうし(M1aとM1b、M2aとM2b、M3aとM3b)は対称に位置している。磁石(M1a-M3b)は、平坦な磁極端面(FEF)を有するバー形状磁石である。隣り合う磁石(M1aとM2a、M2aとM3a、M1bとM2b、M2bとM3b)は、それぞれの空隙(SP)によって隔てられている。
【0052】
使用に際して、この特定の態様の磁石アセンブリは、対向側面に、かつ、試料容器の近傍に、平行関係で取り付けられる。これらの磁石アセンブリによって生じた磁界は、高勾配と少なくとも実質的に一定である性能とを有している。図4bの磁束線は、2つの磁石アセンブリの間に置かれた試料容器が高勾配「直接」磁界にさらされるということを示している。この高勾配磁界は、磁界の少なくとも実質的部分が第1磁石アセンブリと第2磁石アセンブリとの対向する磁石どうしの間に広がっているため、「直接」であるとみなされる。これらの磁石の構成のために、この直接磁界は前記試料容器の長手軸に対して実質的に垂直である。第1磁石アセンブリと第2磁石アセンブリとの隣り合う磁石間に設けられた非磁性間隔確保手段(SP)によって、その隣り合う磁石の間における磁束(フリンジ磁界)の流れが減少するかあるいは制限される。従って、この磁束は、第1磁石アセンブリと第2磁石アセンブリとの対称的に対向配置された磁石の間を進行するように促進される。直接的な結果として、対向する磁石の間の中心領域Aにおける磁界密度は高く、かつ、非磁性間隔確保手段どうしの間の中心領域Bにおける磁界密度は低い-図4cを参照のこと。
【0053】
図4dは、磁界強度が磁化部分(3)の中心長手軸(X-X')に沿ってどのように変化するかを示しているグラフである。図4dは、高密度領域のそれぞれが実質的に同一の磁界強度の最大値を有し、かつ、低密度領域のそれぞれが実質的に同一の磁界強度の最小値を有している、ということを示している。この特定の態様では、その高密度領域におけるピーク強度はおよそ0.55Bであり、その低密度領域における最小強度はほとんど0.0B(ゼロ)である。磁界の変化は磁化部分(3)の中心長手軸(X-X')に沿って実質的に不変であるので、この磁化部分の性能は実質的に一定である。
【0054】
高密度領域Aと低密度領域Bとの間における磁界強度の顕著な変化によって、前記磁化部分は高勾配磁界を作る。図4eには、高密度領域Aと低密度領域Bとの間における磁界強度がどのように変化するかを示すことによって磁界強度の勾配が描かれている。
【0055】
磁化部分の第3態様
図5aおよび図5bには、実質的に放射状あるいは円周の構成に配置された複数の磁石アセンブリ(3ma-3mf)を含んでいる磁化部分(3)の第3態様が描かれている。これらの磁石アセンブリ(3ma-3mf)は、磁石アセンブリ取付部分(MP)に対して実質的に円周配列で配置されている。それぞれの磁石アセンブリには、2つの磁石、すなわち、第1磁石(M1)および第2磁石(M2)が含まれている。これらの磁石(M1、M2)は、交互多極構成で垂直に積み重ねられている。隣り合う磁石の間にはアルミニウム製の間隔確保板(SP)が配置されている。それぞれの磁石アセンブリには、SN構成が備わった第1の交互多極表面とNS構成が備わった第2の交互多極表面とがある。しかしながら、第2の交互多極表面の磁界は磁石アセンブリ取付部分(MP)によって制限されている。磁化部分は、使用に際してそれぞれの磁性部材の第1の交互多極表面が試料容器の近傍に配置されるように、構成されている。高勾配磁界の効果をさらに改善するために、図5bは、第1磁石M1の磁極面が試料容器の傾斜状輪郭に沿うようにその磁極面がどのように傾斜しているか(IEF)を示している。(第2磁石M2の磁極面は実質的に平坦な磁極端面(FEF)である。)この放射状構成は従来型のあらゆる試料容器に使用することができるが、図5aおよび図5bに描かれた態様は、微小遠心管のようなより小さい試料容器のために特に適している。
【0056】
磁化部分の第4態様
図6aおよび図6bには、ハウジング(H)の内部に実質的に直線状の配列に配置された複数の磁石アセンブリ(3ma-3me)を含んでいる磁化部分(3)の第4態様が描かれている。図6aは、磁石アセンブリの実質的に直線状の配列を示している磁化部分の側面図である。それぞれの磁石アセンブリには、2つの磁石、すなわち、第1磁石(M1)および第2磁石(M2)が含まれている。これらの磁石は、交互多極構成で垂直に積み重ねられている。隣り合う磁石の間にはアルミニウム製の間隔確保板(SP)が配置されている。それぞれの磁石アセンブリには、第1の交互多極表面と第2の交互多極表面とがある。この磁石アセンブリは、使用に際して第1の交互多極表面が第1試料容器(V1)の近傍に配置されるとともに第2の交互多極表面が第2試料容器(V2)の近傍に配置されるように構成されている。図6bは、交互多極表面が容器に対してどのように配置されているかを示している磁性部材3maの断面図である。高勾配磁界の効果をさらに改善するために、図6bは、第1磁石M1の磁極面が試料容器の傾斜状輪郭に沿うようにその磁極面がどの程度傾斜しているか(IEF)を示している。(第2磁石M2の磁極面は実質的に平坦な磁極端面(FEF)である。)この構成は従来型のあらゆる試料容器の使用に適しているが、図6aおよび図6bに描かれた態様は、微小遠心管のようなより小さい試料容器のために特に適している。
【0057】
磁化部分を含む磁気分離装置
磁気分離装置は、高勾配磁界を使用して、磁気的に標識された粒子を非磁性流体から吸着して分離する。本開示の磁化部分は磁気分離装置に使用するために適している。磁気分離装置の一部として使用されるとき、本開示の磁化部分は、ナノメートル程度の大きさの粒子を効率よくかつ的確に分離することのできる優れた高勾配磁界をもたらす。
【0058】
複数の磁化部分を含む磁気分離装置の態様
図7a〜図19cには、複数の磁化部分を含んでいる第1型の磁気分離装置の態様が描かれている。これらの特定態様では、第1型の磁気分離装置は、一列の試料容器保持部分(2)を有する本体部分(1)と、本開示による複数の磁化部分(3)とを含んでいる。
【0059】
それぞれの試料容器保持部分(2)は、1つまたは複数の試料容器をラックに取り付けることができるよう、試料容器(4)を受け入れるとともに保持するように構成されている。
【0060】
複数の磁化部分(3)は、高勾配磁界をもたらすために、本体部分(1)の内部に配置されている。磁化部分(3)は、磁化部分(3)が試料容器保持部分とともに配置されるように、磁気分離装置の内部に構成されている。それぞれの磁化部分(3)には少なくとも2つの磁石アセンブリ(3m)が含まれている。磁石アセンブリ(3m)は、それぞれの試料容器保持部分(2)の周りに円周方向に間隔を置いて配置されている。より具体的には、磁化部分(3)は、少なくとも2つの磁石アセンブリ(第1磁石アセンブリ3ma、第2磁石アセンブリ3mb)がそれぞれの試料容器(4)と一体化されるように構成されている。第1および第2の磁石アセンブリ(3ma、3mb)は、対向側面に、かつ、それぞれの試料容器保持部分(2)の近傍に、平行関係で取り付けられている。このため、試料容器保持部分(2)の内部に保持された試料容器(4)は、少なくとも第1および第2の磁石アセンブリ(3ma、3mb)の間に置かれており、従って、高いエネルギーの磁界にさらされている。
【0061】
図7b、図10、図11、図12a、図12bおよび図14は、複数の磁化部分(3)が一列の試料容器保持部分(2)に対してどのように取り付けられるかを示している。これらの磁化部分(3)は、第1磁石アセンブリ(3ma)と第2磁石アセンブリ(3mb)とがそれぞれの試料容器保持部分の近傍に近接して配置されるように、構成されている。第1および第2の磁石アセンブリ(3ma、3mb)は、それぞれの試料容器保持部分(2)のいずれかの側面に平行に配置されている。図11および図12bでは、これらの磁石アセンブリ(3ma、3mb)はそれぞれ、2つの磁石(M1、M2)を含んでいる。それぞれの磁石アセンブリにおける磁石どうしは、それらの間に配置されたアルミニウム製間隔確保板(SP)とともに垂直に積み重ねられている。第1磁石アセンブリのこれらの磁石は、試料容器保持部分の近傍の交互多極表面がSN構成を有するように配置されている。第2磁石アセンブリのこれらの磁石は、試料容器保持部分の近傍の交互多極表面がNS構成を有するように配置されている。従って、第1磁石アセンブリ(3ma)の交互多極構成は、第2アセンブリ(3mb)の交互多極表面と反対である。磁界を制限するために、最端部の磁化部分に隣接して磁極片(5)が取り付けられている。
【0062】
磁化部分(3)の少なくとも1つの磁石アセンブリは、試料容器(4)のかなりの部分が磁性材料によって包囲されるように、かつ、観察目的のために適している隙間が設けられるように、成形されて配置されている。このことは、磁化部分(3)の少なくとも1つの磁石を、それが試料容器(4)の形状に少なくとも近似的に沿う面を有するように成形することで、達成することができる。あるいは、磁化部分(3)は、図10に示されたように、試料容器保持部分(2)の特定部分の幅を取り囲みあるいは包囲するように構成された、実質的に平坦な面を有する複数の従来型バー状磁石(3y)を含んでいてもよい。
【0063】
試料容器(4)が試料容器保持部分(2)によって受け入れられて保持されると、それは、高勾配磁界にさらされるように、第1および第2の磁石アセンブリ(3ma、3mb)の間に配置される。その結果、試料の内部に懸濁した、磁気的に標識された粒子は、磁石アセンブリ(3ma、3mb)によって吸着されて、試料容器(4)の内面に沿った選択領域で固定される。これらの選択領域は、磁石アセンブリに隣接する試料容器(4)の内面の部分あるいは帯域、すなわち、第1および第2の磁石アセンブリ(3ma、3mb)の内部に取り付けられた少なくとも1つの磁石に最も近接している内面の領域である。
【0064】
一対の磁石アセンブリ(3ma、3mb)をそれぞれの試料容器保持部分(2)の対向側面に、かつ、近傍に、平行関係で配置することによって、直接的高勾配磁界が生じる。
【0065】
磁化部分(3)の少なくとも1つの磁石アセンブリ(3m)は、それぞれの組み合わさった試料容器(4)の少なくとも主要部が高勾配磁界にさらされるように、成形して配置することができる。あるいは、磁化部分(3)の少なくとも1つの磁石アセンブリ(3m)は、それぞれの組み合わさった試料容器(4)の先端部だけが高勾配磁界にさらされるように、成形して配置することもできる。図9はこれらの任意の特徴を示すために提供されている。この図には、第1試料容器(4a)の主本体だけが平行な一対の磁石アセンブリ(3ma、3mb)の間に配置され、第2試料容器(4b)の先端部だけが平行な一対の磁化部分(3)の間に配置された構成が描かれている。
【0066】
磁気分離装置の本体部分(1)には、上面(1a)、下面(1b)、前壁(1c)、後壁(1d)および2つの側壁(1e、1f)が含まれているのが好ましい。明らかなことであるが、本体部分は非磁性材料から形成しなければならない。材料は、容易に清浄化することができるとともに、消毒剤および/または他の腐食性化学物質に対して耐性があるのが好ましい。
【0067】
上記のように、試料容器保持部分(2)は試料容器(4)を受け入れるとともに保持するために適している。この試料容器保持部分(2)は、従来型のあらゆる大きさの試料容器、とりわけ、30mmまでの直径と典型的には約5〜50mlの範囲にある容積とを有している試料容器を受け入れるとともに保持するように、寸法決めかつ成形できる。あるいは、試料容器部分(2)は、かなり小さい容器、例えば、ドイツ、ハンブルグにあるEppendorf A.G.社から入手することのできる0.5〜2.0mlの微小遠心管であってもよい。
【0068】
それぞれの試料容器保持部分(2)は、いくつかの好ましい態様では、その使用位置における試料容器の安定地点をもたらすために必要な最小数の完全体によって画定されている。さらにまた、この試料容器保持部分(2)は、磁化部分(3)の円周方向に取り付けられた磁石アセンブリ(3m)によって、典型的には少なくとも部分的に画定されている。
【0069】
任意の従来型装置のように、この第1型の磁気分離装置には、1次元配列の試料容器保持部分(2)あるいは2次元配列の試料容器保持部分(2)が含まれていてもよい。例えば、磁気分離装置には、図に描かれたように、単一列(1次元直線状配列)の試料容器保持部分(2)が含まれていてもよい。または、磁気分離装置には、2列の試料容器保持部分(2)が含まれていてもよく、あるいは、縦横(2次元配列)に配置された複数の試料容器保持部分(2)でさえ含まれていてもよい。
【0070】
それぞれの試料容器保持部分(2)には、本体部分(1)の上面(1a)に形成された開口(6)と、上面(1a)における開口(6)から少なくとも実質的に本体部分(1)を通って延びる通路(7)とが含まれている。これらの開口(6)および通路(7)は、これらが所定の幅および容積/長さの試料容器(4)を受け入れるために適しているように、寸法決めされかつ成形されている。通路(7)は、磁化部分(3)および前記本体部分の壁のような完全体によって完全に画定される必要はない。試料容器を安全かつ安定的にその使用位置に保持できると仮定する場合に限り、このような完全体どうしの間に間隙あるいは空間を設けることができる。
【0071】
試料容器保持部分(4)の上面(1a)に形成された開口(6)は、所定幅の試料容器(4)の縁が開口(6)の周縁に当接するように、そして試料容器(6)が前記上面(1a)に取り付けられるかあるいは保持されるように、構成することができる。前記試料容器の容積/長さおよび前記通路の深さによるが、試料容器(4)は、さらにあるいは代わりに、通路(7)の端面によって支持されてもよい。試料容器(4)は、さらにあるいは代わりに、以下でいっそう詳しく説明される支持部材(10)を使用して、通路(7)の内部で支持されてもよい。
【0072】
図7aおよび図7bには、3つの試料容器保持部分(4)を含んでいる第1の型の磁気分離装置についてのある態様が描かれている。それぞれの試料容器保持部分には、本体部分(1)の上面(1a)に形成された開口(6)と、上面(1a)における開口(6)から本体部分(1)を通って、本体部分(1)の下面(1b)まで延びる通路(7)とが含まれている。図7aおよび図7bに描かれた磁気分離装置によって受け入れられて保持され得るこの試料容器の寸法は、試料容器保持部分(2)の開口(6)および通路(7)の構成によって決定される。従って、図7aおよび図7bに描かれた磁気分離装置は、所定の幅および容積/長さの試料を受け入れて保持するために適している。
【0073】
それぞれの試料容器保持部分(2)には、前記通路が上面(1a)に形成された開口(6a)と下面(1b)に形成された開口との間で前記本体部分を通って延びるように、本体部分(1)の下面(1b)に形成された開口(6b)がさらに含まれていてもよい。下面(1b)に形成された開口(6b)は、試料容器の先端部がその開口の周縁に当接するように、そして試料容器(4)が下面(1b)に取り付けられるかあるいは保持されるように、構成することができる。試料容器(4)の先端部は、下面(1b)における開口(6b)を通って突出していてもよい。この型の構成は図18aに描かれている。
【0074】
図8a〜b、図17、図18a〜cおよび図19a〜cの態様において、それぞれの試料容器保持部分(4)には、第1の所定幅の、本体部分(1)の上面(1a)に形成された第1開口(6a)と、異なる第2の所定幅の、本体部分(1)の下面(1b)に形成された第2開口(6b)と、第1開口(6a)および第2開口(6b)の間で本体部分(1)を通って延びる通路(7)とが含まれている。従って、図8a〜b、図17、図18a〜cおよび図19a〜cに描かれた磁気分離装置は、しかるべく本体部分(1)を方向付けることによって、相異なる2つの所定寸法の試料容器を受け入れて保持するために適している。本体部分(1)は、足部分(8)に対して本体部分(1)を回転/「反転」させることによって、あるいは本体部分を枢動させることによって、方向付けることができる。このことは、足部分(8)および本体部分(1)を本体部分が足部分に対して少なくともおよそ180°回転可能であるように、枢動的に連結することで、達成できる。従って、回転可能な本体部分は、試料容器保持部分が第1方向に方向付けされると、第1の所定幅の試料容器が開口(6a)を通して試料容器保持部分の中に受け入れられて保持されるように、方向付けることができる。あるいは、図8a〜b、図17、図18a〜cおよび図19a〜cに示されたように、回転可能な本体部分は、第2の所定幅の試料容器が第2開口(6b)を通して試料容器保持部分の中に受け入れられて保持されるように、その本体部分を軸A(図8bを参照)を中心に前記足部分に対しておよそ180°だけ第2方向へ回転させることで、方向付けることができる。
【0075】
それぞれの試料容器保持部分(2)には少なくとも1つの可視部分(9)が含まれているのが好ましい。この可視部分(9)は、開口および/または試料容器保持部分(2)に取り付けられた試料容器の少なくとも一部分を見ることができるような少なくとも1つの透明部分であってもよい。試料容器の可視部分は、少なくとも試料容器の長さに実質的に沿って延びている部分であるのが好ましい。これらの開口あるいは透明部分は、試料容器保持部分(2)のそれぞれの通路に隣接する本体部分の前壁および/または後壁に形成されているのが好ましい。
【0076】
図7a〜b、図13a〜c、図14、図15a〜b、図16、図17、図18a〜cおよび図19a〜cには、第1の型の磁気分離装置の態様が描かれており、ここで、それぞれの試料容器保持部分(2)には、試料容器保持部分(2)に取り付けられた試料容器(4)のかなりの長さを本体部分(1)の前壁(1c)および後壁(1d)に形成された観察用開口(9)を通して見ることができるように、長手方向にかつ通路(7)の長さに実質的に沿って延びている2つの観察用開口(9)が含まれている。図8aおよび図8bには代わりの構成が示されており、ここで、それぞれの試料容器保持部分(2)には、試料容器保持部分(2)に取り付けられた試料容器(4)のかなりの長さを本体部分(1)の前壁(1c)および後壁(1d)を通して見ることができるように、長手方向にかつ通路(7)の長さに実質的に沿って延びる2つの透明領域(9)が含まれている。
【0077】
当業者は、可視部分(9)が、試料容器保持部分(2)の直線状1次元配列を有している本開示の磁気分離装置、あるいは2列の試料容器保持部分(2)を有している本開示の磁気分離ラックに適しており、それによって、第1直線状列の試料容器保持部分(2)が本体部分(1)の前壁(1c)に沿って直線状に延びるように構成され、かつ、第2直線状列の試料容器保持部分(2)が本体部分(2)の後壁(1d)に沿って直線状に延びるように構成されていることを認識する。
【0078】
少なくとも試料容器の長さに実質的に沿って延びる少なくとも1つの可視部分を設けることは、試料容器をいっそう容易に見ることができることを意味している。このことは、試料容器の検査がいくぶん制限され、かつ、試料容器をこの装置から取り外すことがしばしば必要になる従来技術の磁気分離ラックに優る顕著な利点である。
【0079】
試料容器(4)の可視性をさらに改善するために、磁気分離装置には試料容器(4)を照射するための照明手段が設けられていてもよい。試料容器の検査は、上記のように、この照明手段が試料容器の少なくとも1つの可視部分を特に照射するときに、改善される。この照明手段には、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)が含まれていてもよい。1つまたは複数のLEDは、試料容器保持部分(2)の通路(7)の内部にあるいは本体部分(1)の内部に、試料容器(4)の進入あるいは退出を妨げることなく取り付けることができる。1つまたは複数のLEDは、それぞれの試料容器保持部分(2)の通路(7)の端面に、すなわち、一般区域標識EFの中に取り付けられるのが好ましい。
【0080】
磁気分離装置には、試料容器(2)の少なくとも所定領域を拡大するための拡大手段が、さらにあるいは代わりに設けられていてもよい。この拡大手段は、上記のように、それが試料容器の少なくとも1つの可視部分の少なくともある領域を拡大するように構成されているのが好ましい。明らかなことであるが、この拡大手段は試料の可視性をさらに改善するのに役立つように設けられる。この拡大手段は、試料容器(4)の可視部分を設けるために構成された1つまたは複数の観察用開口(9)に配置されたレンズであってもよい。この拡大手段はあるいは、試料容器(4)の可視部分を設けるために構成された1つもしくは複数の透明部分(9)に隣接して配置されたかまたはその一部として組み込まれたレンズであってもよい。
【0081】
磁気分離装置には、少なくとも1つの足部分(8)がさらに含まれている。少なくとも1つの足部分は、装置がワークステーション、棚、テーブルなどのような支持面の上に立つことができるように構成されている。その最も簡単な形態では、足部分(8)は、本体部分(1)が支持面の上に立つことができる表面であってもよい。足部分(8)および本体部分(1)は一体状の構成要素として設けることができる。あるいは、足部分(8)および本体部分(1)は別個の要素であってもよい。
【0082】
足部分(8)は、本体部分がこの足部分に対して作動的に傾斜することができるように、本体部分(1)へ枢支連結することができる。足部分は、枢支連結手段を用いて本体部分へ枢支連結される。枢支連結手段には、ヒンジ、軸ボルトあるいは他の従来型枢支連結手段が含まれる。本体部分は、実質的に鉛直な位置からおよそ70°以下の角度だけ傾斜可能である。本体部分(1)は、実質的に鉛直な位置からおよそ30°〜60゜の範囲にある角度まで傾斜可能であるのが好ましい。本体を実質的に鉛直な位置から傾斜させることで、試料容器は、試料容器保持部分の少なくとも1つの可視部分(9)を通して、いっそう容易に観察することができる。
【0083】
少なくとも1つの可視部分と枢支連結手段とによって、試料を、試料容器を試料容器保持部分から取り外す必要なく、いっそう容易かつ簡単に検査することができる。本開示における少なくとも1つの可視部分と枢支連結手段の使用と構成は、試料容器の検査が改善されるのに役立ち、かつ、従来技術に関連した可視性の問題が少なくとも実質的に克服される。
【0084】
図7aおよび図7bにおいて、磁気分離装置には、本体部分(1)のそれぞれの側壁へ連結された足部分(8)が含まれている。図8a〜b、図17、図18a〜cおよび図19a〜cには、本体部分(1)のそれぞれの側壁へ枢支連結された足部分(8)を含む、本開示の態様が描かれている。この特定の足部分(8)により、装置が支持面の上に立つことができるだけでなく、必要に応じて本体部分(1)が傾斜することもできる。例えば、本体部分(1)は、本体部分(1)を軸A(図8bを参照)を中心に、鉛直線に対しておよそ45°の角度だけ足部分(8)に関し枢動させることで傾斜できるので、ユーザは、試料容器保持部分の内部に保持された試料容器を容易に検査することができる。
【0085】
図15aおよび図15bには、足部分(8)がフレーム(12)の下面へ連結された一対の足(8a)を含む、磁気分離装置の態様が描かれている。足(8a)は、フレーム(12)および本体部分(1)が足(8a)に対して作動的に傾斜することができるように、フレーム(12)の下面へ任意に枢支連結することができる。図16には、本体部分(1)の周りに取り付けられたフレーム(12)(開口画定要素―下記を参照のこと)を含む、磁気分離装置の態様が描かれており、ここで、フレームの下方部分あるいは下面(12y)は、試料容器(4)がフレーム(12)の上面(12x)に形成された開口を通してそれぞれの試料容器保持部分に受け入れられるよう、前記ラックが取り付けられたときに、足部分として機能する。フレーム(12)は、本体部分がフレームの内部における実質的に鉛直な位置から傾斜することができるように、本体部分(1)へ任意で枢支連結できる。例えば、本体部分(1)の上面はフレーム(12)へ枢支連結することができる。
【0086】
磁気分離装置には、試料容器支持部材(10)が、さらにあるいは代わりに含まれていてもよい。この試料容器支持部材(10)の少なくとも一部は、試料容器保持部分(2)の内部に置くことができ、かつ、試料容器保持部分の通路(7)の内部で試料容器(4)の先端部を支持するように設けられている。試料容器支持部材(10)は、必要に応じて、その関連部分を通路(7)の内部に置くことができるように、第1位置と第2位置との間で移動することが可能である。第1位置では、試料容器支持部材(10)の該部分は、試料容器保持部分(2)の通路(7)の内部に位置している。第2位置では、試料容器支持部材(10)は、通路(7)の外側に間隔を置いて配置あるいは位置している。試料容器支持部材(10)の関連部分は、それぞれの通路(7)に隣接する本体部分(1)の前壁および/または後壁に形成された開口を通して前記部分を挿入することで、試料容器保持部分(2)の通路(7)の内部に位置できる。この開口は、上記のように、ユーザが試料容器の一部を観察することができる観察用部分であってもよい。試料容器支持部材(10)は、試料容器支持部材(10)を本体部分(1)に対して摺動あるいは枢動させることで、第1位置と第2位置との間で移動することが可能である。
【0087】
図18a〜cおよび図19a〜cには、試料容器支持部材(10)を含んでいる磁気分離装置の態様が描かれている。この試料容器支持部材(10)は、それが第1位置と第2位置との間で枢動することができるように、本体部分(1)へ枢支連結されている。第1位置では、試料容器支持部材(10)は、本体部分(1)に対して外側に配置されており、かつ、試料容器保持部分(2)の通路(7)の内部には位置していない。第2位置では、試料容器支持部材(10)は、試料容器支持部材(10)の支持部分(11)がそれぞれの試料容器保持部分(2)の通路(7)の内部に位置するように、配置されている。図18a〜cでは、磁気分離装置は、第1所定寸法の試料容器、例えば、アメリカ合衆国、ニュージャージーのB.D.Falcon社からFalconの商標名で入手することのできる「Falcon」試験管を受け入れて保持するように構成されている。第1所定寸法の試料容器は、本体部分(1)の上面(1b)に形成された第1開口(6a)を介して試料容器保持部分(2)の内部に取り付けられている。第1所定寸法の試料容器は、試料容器の主要部が試料容器保持部分(2)の通路(7)の内部に配置され、かつ、試料容器の先端部が本体部分(1)の下面(1b)に形成された開口を通して突出するように、構成されている。それゆえ、試料容器支持部材(10)は必要なく、従って、本体部分(1)の外側の第1位置に取り付けられる。
【0088】
図19a〜cでは、同一の磁気分離装置は、第2の異なる所定寸法の試料容器、例えば、アメリカ合衆国、ニュージャージーのB.D.Falcon社から入手することのできるフローサイトメトリー管のような「flow」試験管を受け入れて保持するように構成されている。これらの特定の試料容器は、第1所定寸法の試料容器よりも寸法が小さい、すなわち、より細くてより短いものである。これら第2所定寸法の試料容器は、本体部分(1)の下面(1b)に形成された第2開口(6b)を介して試料容器保持部分(2)の内部に取り付けることができる。従って、本体部分(1)は、本体部分(1)の下面(1b)に形成された第2開口(6b)が上側に配置されるように、足部分(8)に対して枢動される。これら第2所定寸法の試料容器は、試料容器保持部分の通路よりも実質的に短い。それゆえ、試料容器支持部材(10)は、通路(7)の内部で試料容器の先端部を支持するために必要である。試料容器支持部材(10)は、この部材の支持部分(11)がそれぞれの通路の幅を実質的に越えて延びるように、第2位置へ枢動される。従って、第2所定寸法の試料容器が試料容器保持部分に取り付けられると、試料容器の先端部が支持され、かつ、試料容器が適切に保持される。
【0089】
当業者は、第1試料容器および第2試料容器が同一の幅を有しているが異なる長さを有している場合、本体部分を回転させるかあるいは軸Aを中心に枢動させることで、本体部分を方向付ける必要がないことを認識する。
【0090】
磁気分離装置には、試料容器保持部分(2)に受け入れられて保持されえる試料容器(4)の所定幅をさらに画定する開口画定要素(12)が含まれていてもよい。開口画定要素には複数の開口画定部分が含まれている。それぞれの開口画定部分には、相異なる所定幅の複数の開口セグメントが含まれている。例えば、図13a〜cおよび図14に描かれた開口画定要素(12)には4つの開口画定部分(12a、12b、12c、12d)が含まれ、かつ、それぞれの開口画定部分には相異なる2つの所定幅の2つの開口セグメント(13、14)が含まれている。第1開口セグメント(13)は第2開口セグメント(14)よりも大きい所定幅を有している。それぞれの開口セグメントは個別のものであってもよく、あるいは、開口セグメントは、例えば図13a〜cおよび図14に示されたように、一部が連なっているかあるいは重なっていてもよい。
【0091】
開口画定要素(12)は、本体部分(1)の周りに取り付けることのできるフレーム状あるいはハウジング状の構造体であるのが好ましい。開口画定要素(12)は上面(12x)および好ましくは下面(12y)を含んでいる。この開口画定要素が本体部分(1)の上に取り付けられると、開口画定要素(12)の上面(12x)は本体部分(1)の上面(1a)と並列するように配置される。従って、開口画定要素(12)の上面(12x)に形成された複数の開口画定部分(12a-d)は、本体部分(1)の上面に形成された試料容器保持部分(2)の開口に隣接するように配置される。
【0092】
開口画定要素(12)と本体部分(1)とは相対的に移動することができる。例えば、開口画定要素(12)のフレーム状あるいはハウジング状の構造体は、本体部分(1)に対して移動、例えば摺動することができる。あるいは、本体部分(1)が開口画定要素に対して移動、例えば摺動することができる。
【0093】
開口画定要素(12)と本体部分(1)とは、複数のユーザ選択可能位置の間で相対的に移動することができる。ユーザ選択可能位置の数は、通常は開口セグメントの数に等しい。任意の特定位置において、所望の幅を有する開口セグメントが、選択されるとともに、それぞれの試料容器保持部分の開口および通路に対して一直線に配置される。従って、開口画定要素(12)の選択された開口によって、試料容器保持部分(2)に受け入れられて保持され得る試料容器(4)の幅が決定される。
【0094】
図13a〜cおよび図14に描かれた磁気分離装置の態様では、本体部分(1)は、それが開口画定要素(12)に対して軸Aに沿って水平に摺動することができるように構成されている。開口画定部分(12a-d)には2つの開口セグメント(13、14)だけがあるので、本体部分(1)は2つの位置のうちの一方の間を移動することができる。第1位置では、より大きい第1開口セグメント(13)が本体部分(1)における試料容器受け入れ部分に対して一直線に配置され、かつ、第2位置では、より小さい開口セグメント(14)が本体部分(1)における試料容器受け入れ部分に対して一直線に配置される。従って、本体部分(1)が第1位置へ移動すると、第1の所定幅を有する試料容器(4)をラックの内部に取り付けることができる。本体部分(1)が第2位置へ移動すると、第2の所定幅を有する試料容器(4)を装置に取り付けることができる。
【0095】
図15aおよび図15bでは、磁気分離装置の態様が、磁化装置が、幅のより広い「Falcon」試験管(本体部分(1)が開口画定要素(12)に対して右へ移動するとき)と、幅のより狭い「Flow」試験管(本体部分(1)が開口画定要素(12)に対して左へ移動するとき)とを保持可能に、本体部分(1)が2つの位置の間で移動することができるように構成できることを認めることができる。
【0096】
図15aおよび図15bと同様に、図16には磁気分離装置の態様が描かれており、本体部分(1)もまた、「Falcon」試験管と「Flow」試験管とをこの磁気分離装置に取り付けることができるように、開口画定要素(12)に対して移動することができる。しかしながら、この特定の態様では、前記開口画定要素の前記フレーム状構造は、装置が支持面の上に立つことができるように、下面(12y)が足部分として機能するように構成されている。
【0097】
試料の中で分離される粒子は、慣用の標識手段を用いて磁気的に標識することができる。例えば、試料は、短いインキュベーションの間に関心標的粒子を結合あるいはコーティングする磁気ビーズと混合することができる。標的物質は例えば、DNA、RNA、mRNA、タンパク質、バクテリア、ウイルス、細胞、酵素、農薬、ホルモンあるいは他の化合物であり得る。
【0098】
操作に際して、試料は、磁気的に標的とされる粒子がロゼット(rosette)されるように、磁気的標識手段でまずインキュベートされる。インキュベーションの後、磁気的に標識された粒子を非磁性媒体から分離するために、磁気分離ラックが使用される。試料容器保持部分は、試料容器保持部分に保持された少なくとも1つの試料容器の内部に収容された試料が高勾配磁界にさらされるように、磁化部分に取り付けられる。磁気的に標識された粒子は、磁界によって吸着され、その結果、第1および第2の磁性部材(3ma、3mb)に隣接する試料容器の内面の領域へ移動する。これによって、場合によってはピペットを用いることで、非磁性上清の容易な除去が可能になり、一方、磁気的に標識された粒子は、試料容器の中に分離されて残される。洗浄の後に、標的粒子はさらなる研究(陽性粒子の分離)に使用することができる。磁気分離は、標的粒子が除去されて上清の中に残る物質を使用することができる(陰性分離)ように、不要な磁性粒子を懸濁液から除去するために、利用することもできる。
【0099】
磁化部分を含む磁気分離装置の態様
図20〜図30には、磁化部分を含む第2型の磁気分離装置が描かれている。これらの態様では、磁気分離装置には、本開示による試料容器保持部分(40)、ならびに足部分(20)および磁化部分(30)を有する本体部分(10)とが含まれている。
【0100】
足部分(20)は、ワークステーション、棚、テーブルなどのような支持面の上に立つことができるように構成されている。その最も簡単な形態では、足部分(20)は本体部分(10)が支持面の上に立つことができる表面であってもよい。図20〜図26cに描かれた態様では、足部分には、支持面の上に立つように構成された下面(20a)が含まれている。足部分(20)および磁化部分(30)は別個の要素であってもよい。足部分(20)および磁化部分(30)は解除可能に連結されていてもよい。足部分(20)には、図22および図24aに示されたように、磁化部分(30)の下面(30c)と対面関係で配置された上面(20b)が含まれていてもよい。図26a〜26dでは、足部分(20)には第1足部材(20x)と第2足部材(20y)とが含まれている。足部材(20x、20y)は、磁化部分の2つの対向側壁(30a)と並列するように配置されている。それぞれの足部材(20x、20y)には、支持面の上に立つように構成された下面(20a)、磁化部分の側壁(30a)と対面関係で配置された内側側壁、および試料容器保持部分(40)の側壁(90、91)の内面と対面関係で配置することができるように構成された外側側壁が含まれている。あるいは、足部分(20)および磁化部分(30)は、図25aに示されたように、一体型構成要素として設けることができる。
【0101】
磁化部分(30)には少なくとも1つの磁石アセンブリ(3m)が含まれている。この少なくとも1つの磁石アセンブリによって、磁気的に標識された粒子をこれらが懸濁された流体から吸着して分離するために適している高勾配磁界がもたらされる。
【0102】
少なくとも1つの磁石アセンブリ(3m)は、少なくとも1つの磁石アセンブリを受け入れるための空所、空洞あるいはチャンバを画定するハウジングの内部に取り付けられている。このハウジングには、ハウジングの最上部の縁、箇所、または境界と、ハウジングの最下部の縁、箇所、または境界との間に延びる少なくとも1つの側壁がある。図20〜図23bに描かれた態様では、磁化部分(30)のハウジングは、側壁(30a)、上面(30b)および下面(30c)を有する閉鎖円筒状の形状を有している。図24a〜図26dに描かれた態様では、磁化部分(30)のハウジングは、4つの側壁(30a)、上面(30b)および下面(30c)を有する閉鎖立方体状形状を有している。
【0103】
磁化部分(30)は足部分(20)に対して回転可能であってもよい。本体部分(10)には、磁化部分(30)を足部分(20)に対して回転可能に取り付ける回転可能な取付部材が含まれていてもよい。回転可能な取付部材は、磁化部分を回転可能に取り付けるために適した任意の慣用手段であってもよい。例えば、図22には、回転可能な取付部材が、磁化部分(30)の下面(30c)に形成された空所またはくぼみと、足部分(20)の上面(20b)における空所またはくぼみとの間に配置されたボールベアリング・アンド・ソケット構成体(60)であり得ることが示されている。
【0104】
明らかなことであるが、磁化部分の足部分(20)およびハウジングは、非磁性である材料から作らなければならない。この磁化部分の足部分(20)およびハウジングは、同一の材料ならびに/または、容易に清浄化することができるとともに、消毒剤および/もしくは他の腐食性化学物質に対して耐性がある材料から作られているのが好ましい。例えば、磁化部分の足部分(20)およびハウジングは、ABSプラスチックのようなプラスチック材料から作ることができる。
【0105】
試料容器保持部分(40)は少なくとも1つの試料容器(50)を保持するために適している。試料容器保持部分(40)は、磁化部分(30)を受け入れてその上に取り付けることができるように構成されている。試料容器保持部分(40)は、磁化部分(30)の上に解除可能に取り付けることができる。試料容器保持部分(40)が磁化部分(30)を受け入れると、試料容器保持部分(40)は本体部分(10)に外側で取り付けられる。その最も簡単な形態では、試料容器保持部分(40)は雄型の磁化部分(30)を受け入れるように構成された雌型部である。試料容器保持部分(40)が磁化部分(30)を受け入れると、試料容器保持部分(40)によって保持された試料容器(50)は、それが高勾配磁界にさらされるように、磁化部分(30)の少なくとも1つの磁石アセンブリ(3m)の近傍に配置される。その結果、試料の内部に懸濁された磁気的標識粒子は、磁化部分(30)によって吸着されて、試料容器(50)の内面に沿った選択領域で固定化される。これらの選択領域は、磁化部分の少なくとも1つの磁性部材(3m)に隣接する試料容器(50)の内面の区画あるいは帯域、すなわち、磁化部分の内部に取り付けられた少なくとも1つの磁石アセンブリ(3m)に最も近い前記内面の領域である。
【0106】
上記のように、磁化部分(30)には少なくとも1つの高勾配磁石アセンブリ(3m)が含まれている。少なくとも1つの高勾配磁石アセンブリは、少なくとも1つの試料容器(50)が試料容器保持部分(40)に取り付けられるとき、試料容器(50)が高勾配磁界にさらされるように、磁化部分(30)のハウジングの内部に取り付けられている。少なくとも1つの磁石アセンブリは、試料容器(50)の少なくとも主要部が高勾配磁界にさらされるように、成形しかつ配置することができる。図27aおよび図27bでは、複数の磁石アセンブリ(3ma-3me)は、磁化部分(30)のハウジングの内部に取り付けられているとともに、磁石アセンブリがそれぞれの構成物に隣接するように配置されている。この配置は、図20〜図26bに描かれた磁気分離装置の任意のものに利用するために適している。
【0107】
図27cでは、第1の交互多極表面が第1構成物の近傍にありかつ第2の交互多極表面が第2構成物の近傍にあるように、磁石アセンブリが磁化部分(30)のハウジングの内部に取り付けられ、かつ配置されている。この配置は、図24a〜図26dに描かれた磁気分離装置に利用するために適している。
【0108】
図27a〜図27cに描かれた態様では、それぞれの磁石アセンブリは、構成物の内部に取り付けられた試料容器の主要部および先端部の両方が高勾配磁界にさらされるように、成形されかつ配置されている。少なくとも1つの磁石アセンブリは代わりに、試料容器(50)の主要部だけあるいは先端部だけが高勾配磁界にさらされるように、成形されかつ磁化部分(30)のハウジングの内部に配置されていてもよい。
【0109】
試料容器のかなりの部分が高勾配磁界にさらされることを保証するために、磁気分離装置の磁化部分(30)は、少なくとも試料容器(50)の縦断面の少なくともかなりの部分に少なくともほぼ一致するように構成することができる。好ましいのは、ハウジングの外壁が、少なくとも試料容器の縦断面の少なくともかなりの部分に少なくともほぼ一致するように構成されていることである。さらに具体的には、試料容器と対面関係で配置された外壁の少なくとも1つの側壁(30a)は、少なくとも1つの試料容器の縦断面の少なくともかなりの部分に少なくともほぼ一致するように構成されている。前記外壁には、試料容器の本体部の縦断面に少なくともほぼ一致するように構成された第1部分と、試料容器の先端部の縦断面に少なくともほぼ一致するように構成された第2部分とが含まれていてもよい。図27a〜図27cには、複数の試料容器(50)を、試料容器の縦断面の少なくともかなりの部分に少なくともほぼ一致するように構成された磁化部分(30)に対して、どのように円周方向に配置できるかが描かれている。磁化部分(30)の外壁は、試料容器の輪郭、すなわち、試料容器の縦断面に従うように、構成されている。外壁には、実質的に垂直であり、試料容器の主要部領域の縦断面に少なくともほぼ一致する上壁部分(U)が含まれている。外壁には、上壁部分に対して傾斜しているとともに試料容器の先端部領域の縦断面に少なくともほぼ一致している下壁部分(L)もまた含まれている。図20〜図26dの態様に描かれた磁化部分(3)の外壁には、実質的に垂直であり、試料容器の主要部領域の縦断面に少なくともほぼ一致する上方部分(U)と、上壁部分に対して傾斜しており、試料容器の先端部領域の縦断面に少なくともほぼ一致する下方部分(L)とが含まれている。
【0110】
磁化部分は、代わりにまたは加えて、磁化部分(30)のハウジングの内部に取り付けられた少なくとも1つの磁石アセンブリ(3m)を配置および/もしくは成形することにより、ならびに/またはその磁石アセンブリ(3m)の少なくとも1つの磁石を配置および/もしくは成形することにより、試料容器の縦断面の少なくともかなりの部分に少なくともほぼ一致するように構成されていてもよい。少なくとも1つの磁石アセンブリ(3m)および/または磁石アセンブリの少なくとも1つの磁石は、少なくとも1つの磁石アセンブリ/磁石の少なくとも1つの面が試料容器の縦断面の少なくともかなりの部分に少なくともほぼ一致するように、配置および/または成形することができる。この磁石アセンブリおよび/または磁石は、図27aおよび図27bに描かれたように、それが試料容器の主要部および/または先端部の長手方向の輪郭あるいは外形に沿う面を有するように、配置および/または成形することができる。
【0111】
磁化部分(30)を少なくとも1つの試料容器(50)の縦断面の少なくともかなりの部分に少なくともほぼ一致するように構成することで、従来技術の磁気分離装置に関連した前記問題点のいくつかが緩和および/または克服される。磁化部分を構成することによって、(磁化部分に取り付けられたときに試料容器保持部分に保持された)試料容器は、改善された高勾配の磁界にさらされる。試料容器は、磁化部分のさらに近傍に配置されているので、従来技術よりも高勾配の磁界にさらされる。さらにまた、試料容器のさらに大きい部分が、少なくとも1つの試料容器のさらに多くの長さが従来技術におけるものよりも磁化部分に近接して配置されているので、より高い磁界にさらされる。例えば、試料容器の主要部および先端部の両方が磁化部分にさらに近接して配置されている。その結果、高勾配磁界は試料容器のかなりの長さ(例えば、主要部および先端部)に沿ってさらに不変である。試料容器が改善されたさらに高勾配の磁界にさらされるとともに、試料容器のさらに多くの長さがさらに不変の高勾配磁界にさらされるので、磁気的に標識された粒子は磁化部分によって試料のすべての部分から吸着されるとともに、固定化された磁気的標識粒子の選択領域を試料容器のかなりの長さの内面に認めることができる。また、磁化部分を、それが少なくとも1つの試料容器の先端部における縦断面のかなりの部分に少なくともほぼ一致するように特に構成することで、小さい試料容積の中で磁気的に標識された粒子の磁気分離が改善されることもわかっている。この磁化部分の構成によって、磁気分離装置の精度および効率が改善される。
【0112】
試料容器保持部分(40)には、外壁(40a)および内壁(40b)の両方がある。この試料容器保持部分の外壁(40a)は、それが最上部の縁または境界と最下部の縁または境界との間に延びている少なくとも1つの側壁を含むように、成形しかつ構成することができる。例えば、試料容器保持部分(40)は、外壁および内壁(40a、40b)を画定するために、最上部から最下部まで延びている開口を有する開放円筒状の形状を有していてもよい(図21および図22を参照のこと)。図20〜図23bに描かれた本開示の態様では、外壁(40a)には湾曲状側壁が含まれている。
【0113】
試料容器保持部分(40)は、代わりに、磁化部分(30)を受け入れるために、内壁(40b)がくぼみあるいは空洞を画定するように、成形されかつ構成されていてもよい。
【0114】
図24aおよび図24bに描かれた磁気分離装置の態様では、試料容器保持部分(40)は、開放立方体状形状を有するハウジング状構造を有している。この特定の試料容器保持部分(40)には、外壁および内壁(40a、40b)を画定するために、4つの側壁の最上部から最下部まで延びている開口がある。
【0115】
図25a〜図26dに描かれた磁気分離装置の態様では、試料容器保持部分(40)は、概ねU字形状であるフレーム状構造を有している。この試料容器保持部分(40)には、横部材(80)、横部材(80)の第1端部から実質的に延びている第1側壁(90)、および横部材(80)の第2端部から実質的に垂直に延びている第2側壁(10)が含まれている。横部材(80)の上面と側壁(90、91)の外面とによって、試料容器保持部分(40)の外壁(40a)が画定されている。横部材(80)の下面と側壁(9、91)の内面とによって、試料容器保持部分(40)の内壁(40b)が画定されている。
【0116】
雌型の試料容器保持部分(40)が雄型の磁化部分(20)を受け入れると、試料容器保持部分(40)の内壁(40b)は、磁化部分(30)の外壁と並列する。例えば図20〜図23bに描かれた態様では、開放円筒状試料容器保持部分(40)の内壁(40b)は、閉鎖円筒状磁化部分(30)の側壁(30a)と並列して位置している。同じように、図24aおよび図24bに描かれた態様では、開放立方体状試料容器保持部分(40)の内壁(40b)(4つの側壁の内面)は、閉鎖立方体状磁化部分(30)の4つの側壁(30a)と並列して位置している。図25aおよび図25bに描かれた態様では、内壁(40b)(横部材(80)の下面と、概ねU字形状の試料容器保持部分(40)の側壁(90、91)の内面)は、上面(30b)と2つの対向側壁(30a)、すなわち、閉鎖立方体状磁化部分(30)の外壁のある部分とに、並列して位置している。さらにまた、図26a-26dに描かれた態様では、内壁(40b)(横部材(80)の下面と、概ねU字形状の試料容器保持部分(40)の側壁(90、91)の内面)は、閉鎖立方体状磁化部分(30)の上面(30b)と足部材(20a、20b)の2つの対向側壁とに、並列して位置している。
【0117】
磁気分離装置には、雌型の試料容器保持部分(40)を雄型の磁化部分(40)へ解除可能に固定するために役立つ少なくとも1つの連結部材がさらに含まれていてもよい。この連結部材には、これらの部分を機械的に係合させる慣用型のラッチ止め手段、スナップ嵌合手段あるいはばねロック機構が含まれる。この連結部分は、代わりにもしくはさらに、この部分を摩擦により係合するための慣用手段を含んでもよい。図21および図22には、雌型の試料容器保持部分(40)が雄型の磁化部分(30)を受け入れると、雌型の試料容器保持部分(40)と雄型の磁化部分(30)とが摩擦により係合するように、磁化部分(30)の側壁(30a)に取り付けられたO-リング(70)が描かれている。
【0118】
磁気分離装置には、解除可能な係合手段が含まれていてもよく、それによって、試料容器保持部分(40)は、磁化部分(30)におけるある範囲の取付位置のうち選択された任意の1つに取り付けることができる。ある範囲の異なった取付位置を有していることにより、試料容器保持部分(40)の内部に保持された少なくとも1つの試料容器(50)の配置は、磁化部分(30)に対して変わる。それゆえ、少なくとも1つの試料容器(50)の相異なる部分が、試料容器保持部分(40)が磁化部分(30)における異なった位置に取り付けられると、高勾配磁界にさらされることになり得る。例えば、試料容器保持部分(40)は、第1位置では少なくとも1つの試料容器の先端部だけが高勾配磁界にさらされ、第2位置では少なくとも1つの試料容器の先端部と主要部の両方が高勾配磁界にさらされ、第3位置では少なくとも1つの試料容器の主要部だけが高勾配磁界にさらされるような、磁化部分における3つの異なった位置に取り付けることができる。解除可能な係合手段には、試料容器保持部分(40)と磁化部分(30)とを選択された位置において機械的に係合させるための慣用型のラッチ止め手段あるいはスナップ嵌合手段が含まれてもよい。
【0119】
試料容器保持部分(40)には、試料容器(50)を受け入れて保持するための少なくとも1つの構成物(40c)が含まれている。この試料容器保持部分には試料容器(50)を受け入れて保持するための複数の構成物(40c)が含まれているのが好ましい。少なくとも1つの構成物(40c)は、試料容器(50)と試料容器保持部分(40)との間に締まり嵌めがもたらされるように構成することができる。
【0120】
図20〜図24bに描かれた態様では、少なくとも1つの構成物(40c)は、試料容器保持部分(40)の外壁(40a)に形成されている。この少なくとも1つの構成物(40c)は、試料容器保持部分(40)の外壁(40a)に形成されたくぼみである。このくぼみは、試料容器(50)を受け入れて保持するように成形され、配置される。このくぼみには、試料容器の形状に少なくともほぼ一致する面が含まれている。このくぼみは、試料容器のある部分または試料容器のかなりの部分を受け入れるとともにそれによって保持するように構成することができる。試料容器(50)がくぼみ型構成物によって受け入れられて保持されると、それは、試料容器保持部分(40)の外壁の近傍における構成物(40c)の中に取り付けられる、と考えられる。
【0121】
図25a〜図26dには、少なくとも1つの構成物(40c)が試料容器保持部分(40)の横部材(80)の中に形成された本開示の態様が描かれている。少なくとも1つの構成物(40c)は、試料容器保持部分(40)の外壁(40a)と内壁(40b)との間に横部材を通って延びている開口である。開口は、試料容器(50)が横部材(80)で取り付けられるかあるいは保持されるように、所定幅の試料容器(50)の縁が開口の周縁に当接するように、構成することができる。試料容器(50)は本体部分(10)によって、さらにあるいは代わりに支持されていてもよい。本体部分(10)、とりわけ磁化部分(30)および/または足部分(20)は、試料容器(50)の先端部が、本体部分(10)に当接し、それによって、本体部分(10)により支持されることができるように、構成されている。試料容器(50)が開口型構成物によって受け入れられて保持されると、それは試料容器保持部分(40)の構成物(40c)を介して取り付けられると考えられる。
【0122】
好ましいいくつかの構成では、構成物(40c)は、試料容器保持部分(40)に対してほぼ円周配列に配置されているとともに、好ましくは、試料容器をそれぞれの構成物(40c)から取り外すことなく試料容器の内容物をユーザが容易に観察することができるように、さらに構成されている。図20〜図23bに示された態様では、試料容器保持部分(40)は、円筒状外壁(40a)の円周の周りで6つの試料容器を保持できる。従って、試料容器保持部分(40)が磁化部分(30)を受け入れると、試料容器(50)は、それによって磁化部分(30)の円周の周りに配置される。もちろん、試料容器保持部分(40)は、より少ないかあるいはより多い試料容器(50)を保持するように構成することができる。図23aおよび図23bでは、試料容器を受け入れて保持する構成物(40c)に1から6まで番号が付けられているのが認められる。図24a〜図26dに示された態様では、複数の試料容器(50)は、それらが立方体状形状の磁化部分(30)の周りにほぼ円周配列に配置されるように、試料容器保持部分(40)の周りにほぼ円周配列に配置することができる。
【0123】
試料容器を受け入れて保持する構成物(40c)は、磁気分離装置がある範囲の異なった大きさの試料容器とともに使用するために適しているように構成することができる。試料容器保持部分(40)は、従来型のあらゆる大きさの試料容器、とりわけ、30mmまでの直径と典型的には約5〜約50mlの範囲にある容積とを有している試料容器を受け入れるとともに保持するように、寸法決めするとともに成形することができる。あるいは、試料容器部分(40)は、かなり小さい容器、例えば、ドイツ、ハンブルグにあるEppendorf A.G.社から入手することのできる0.5〜2.0mlの微小遠心管を保持するよう、構成することができる。試料容器部分(40)は、受け入れかつ保持するためにそれが構成される試料容器(50)の大きさおよび/または型に従って、色分けすることができる。
【0124】
上記のように、構成物(40c)は、選択された範囲の異なった大きさの試料容器から、試料容器(50)を受け入れて保持するために構成することができる。従って、この磁気分離装置には複数の試料容器保持部分(40)が含まれていてもよく、それによって、それぞれの試料容器保持部分は、所定の大きさの少なくとも1つの試料容器(50)を保持するように構成される。
【0125】
明らかなことであるが、試料容器保持部分(40)は非磁性材料から作らなければならない。試料容器保持部分(40)は、容易に清浄化することができるとともに、消毒剤および/または他の腐食性化学物質に対して耐性がある材料から形成することが好ましい。試料容器保持部分(40)は、少なくとも1つの構成物が弾性変形して試料容器(50)を保持するように、弾性的に変形することのできる材料から形成することもできる。試料容器保持部分(40)は、さらにあるいは代わりに、少なくとも1つの構成物(40c)が摩擦嵌めをもたらすように、高い摩擦特性を有する材料から形成することができる。この試料容器保持部分(40)は、試料容器(50)を容易に観察することができるように、少なくとも実質的に透明な材料から形成することができる。
【0126】
図20〜図24bに描かれた磁気分離装置の態様では、試料容器を受け入れて保持する構成物(40c)は試料容器保持部分(40)の外壁(40a)に形成されている。従って、使用に際して、少なくとも1つの試料容器(50)は、試料容器保持部分(40)の外縁の周りに配置される。少なくとも1つの試料容器を試料容器保持部分(40)の外壁(40)の周りに取り付けることで、図20〜図24bに描かれた磁気分離装置の全体設計は、従来の直線状のラックあるいはトレイの構成よりもはるかにコンパクトなものである。このことは、従来技術に優る顕著な省スペースの利点である。
【0127】
少なくとも1つの試料容器を試料容器保持部分(40)の外壁(40a)に取り付けることは、試料容器をいっそう容易に観察することができることを意味している-図20〜図24bを参照のこと。このことはまた、試料容器が直線状のラック、トレイあるいは内部空洞空間の内部に取り付けられ、試料の検査がいくらか制限される従来技術の磁気分離装置に優る顕著な利点でもある。
【0128】
少なくとも1つの試料容器(50)を概ねU字形状に形成されたフレームの横部材(80)に形成された構成物(40c)を介して取り付けることは、試料容器をいっそう容易に観察することができることを意味している-図25a〜図26dを参照のこと。このことは、試料容器が直線状のラック、トレイあるいは他のあらゆる内部空洞空間構成におけるチャンバの内部に取り付けられ、試料の検査がいくらか制限される従来技術の磁気分離装置に優る顕著な利点である。
【0129】
構成物(40c)は、試料容器がこの構成物の内部における第1位置と第2位置とに受け入れられて保持されるように構成することができる。第1位置に保持される場合、試料容器は、その試料容器の少なくとも主要部が高勾配磁界にさらされるように、磁化部分(30)に対して取り付けられる。第1位置では、主要部だけが、あるいはこの試料容器の主要部と先端部との両方が磁界にさらされ得る。第2位置に保持される場合、試料容器は、その試料容器の先端部だけが高勾配磁界にさらされるように、磁化部分(30)に対して取り付けられる。図28aおよび図28bには本開示の態様が描かれており、ここでは、第1試料容器(50a)は、主要部および先端部の両方が磁化部分(3)によって作り出された高勾配磁界にさらされるように構成物の内部における第1位置に保持されており、かつ、第2試料容器(50b)は、試料容器の先端部だけが高勾配磁界にさらされるように構成物の内部における第2位置に保持されている。
【0130】
構成物(40c)は、さらにあるいは代わりに、試料容器(50)が磁化部分(30)に対して異なった位置に受け入れられて保持されるように、試料容器保持部分(30)の外壁(40a)に構成されてもよい。例えば、構成物(40c)は、試料容器の少なくとも主要部が高勾配磁界にさらされるように、試料容器保持部分(30)における第1地点に形成することができる。あるいは、構成物(40c)は、試料容器の先端部だけが高勾配磁界にさらされるように、試料容器保持部分(30)における第2地点に形成することができる。図29aおよび図29bには本開示の態様が描かれており、ここでは、第1および第2の試料容器(50x、50y)は、試料容器の主要部だけが高勾配磁界にさらされるように、試料容器保持部分(30)の外壁における第1地点に受け入れられて保持されている。また、試料容器保持部分(30)の外壁における第2地点には、先端部だけが高勾配磁界にさらされるように、第3試料容器(50z)が受け入れられて保持されている。
【0131】
可視性をさらに改善するために、磁気分離装置には、少なくとも1つの試料容器(50)を照射するための照明手段が含まれていてもよい。照明手段は1つまたは複数の発光ダイオード(LED)を含むことができる。1つまたは複数のLEDは、試料容器保持部分の構成物に、例えば構成物(40c)の内部および/または本体部分(10)に、試料容器(50)の進入あるいは退出を妨げることなく配置することができる。
【0132】
磁気分離装置には、さらにまたは代わりに、試料容器(50)の少なくとも所定領域を拡大するための拡大手段を設けることができる。拡大手段は、試料容器の少なくともある領域を拡大するように配置されているのが好ましい。明らかなことであるが、拡大手段は、試料の可視性をさらに改善するのに役立つよう設けられる。拡大手段は、試料容器保持部分(40)の構成物(40c)に隣接して配置されたレンズであってもよい。
【0133】
磁気分離装置の試料容器保持部分(40)には、任意で少なくとも1つの突出部材(300)が含まれている。少なくとも1つの突出部材(300)は、混合器具(100)と接触することができるように構成されている。さらに具体的には、少なくとも1つの突出部材は、それが混合器具(100)と接触関係(対面関係)に配置することができるように構成されている。
【0134】
少なくとも1つの突出部材は、接触面(300a)を含むように構成されているのが好ましい。接触面(300a)は、混合器具の対応面と十分に接触し、接し、係合し、あるいは対面することができ、それによって、接触関係が達成されるように、構成されている。この接触面(300a)は、突出部材(300)の実質的に平坦な端面であるのが好ましい。この接触面は、混合器具(100)の撹拌板(100a)の上面に接触し、接し、係合し、あるいは対面することができるように構成されているのが好ましい。
【0135】
試料流体を混合するために、試料容器保持部分(40)は、少なくとも1つの突出部材(30)が混合器具(100)と接触関係(対面関係)にあるように、混合器具(100)に対して配置しなければならない-図30を参照のこと。少なくとも1つの突出部材が混合器具と接触関係に配置されると、混合器具の撹拌運動は、少なくとも1つの突出部材を介し試料容器保持部分を通して伝達される。その結果、混合器具(100)の撹拌運動は流体試料(試料容器保持部分(40)に保持された任意の試料容器(50)に収容されている)へ伝達される。流体試料が前記混合器具の撹拌運動を受けると、それにより流体試料は混合される。
【0136】
混合器具の型に左右されるが、少なくとも1つの突出部材(300)は、試料容器保持部分(1)を混合器具に対して手動で配置するかあるいは保持することによって、混合器具(100)と接触関係に配置され、維持され得る-図30に示されたように。あるいは、混合器具(100)には、試料容器保持部分(40)の少なくとも1つの突出部材(300)を受け入れて保持する少なくとも1つの突出部材保持部分が含まれていてもよく、それによって、少なくとも1つの突出部材は混合器具(100)と接触関係に配置されるとともに維持され得る。
【0137】
少なくとも1つの突出部材(300)は、円筒状形状を有しているのが好ましいものの、円錐台形状、立方体状形状、指状形状あるいは他のあらゆる適切な形状を有していてもよい。円筒状形状の突出部材には、前記混合器具との接触関係を達成するために適している実質的に平坦な端面があるのが好ましい。
【0138】
少なくとも1つの突出部材(300)は、前記混合器具の撹拌運動が試料容器保持部分(40)を通して実質的に均等に伝達されるように、試料容器保持部分(40)に配置される。すべての流体試料が同一の度合いまで混合されることを保証するためには、撹拌運動が試料容器保持部分を通して実質的に均等に伝達されることが重要である。
【0139】
撹拌運動の振動数、振幅、時間および型は、混合される流体試料の種類、達成される混合の型、試料容器の寸法、型、および数、ならびに流体試料の容積によって選択することができる。
【0140】
図26a〜dおよび図30には、試料容器保持部分(40)が単一の突出部材(300)を含んでいる磁気分離装置の態様が描かれている。突出部材は、試料容器保持部分の横部材(80)の下面から実質的に垂直に延びている。突出部材は、混合器具の撹拌運動を試料容器保持部分を通して実質的に均等に伝達できるように、横部材(80)の実質的に中心の地点から延びている。突出部材は、実質的に平坦な端面を有する円筒状形状を有している。突出部材は、前記の実質的に平坦な端面が接触面(300a)として機能することができるように構成されている。図30には、試料容器保持部分(40)が混合器具(100)に対して配置されると、突出部材は前記の実質的に平坦な端面が撹拌板(100a)の上面と接触関係になるように配置されることが示されている。従って、使用に際して、撹拌板(100a)の撹拌運動は、流体試料が混合されるように、突出部材(300)を介して流体試料(試料容器保持部分(40)に保持された試料容器(50)に収容されている)へ伝達され得る。
【0141】
試料容器保持部分の突出部材によって、従来技術の混合システムおよび方法に関連した前記問題点のいくつかが緩和および/または克服される。試料容器保持部分は、複数の流体試料が混合器具(100)によって同時に撹拌および混合されるように構成されているだけでなく、本開示におけるこの特定の試料容器保持部分は、複数の流体試料が同時に撹拌され、それによって混合され、一方で、混合処理の間に試料容器が試料容器保持部分に原位置で残るようにも構成されている-試料容器は、試料容器保持部分から、混合器具のさらなる試料容器保持チャンバまで、個別にあるいは手動で移動させる必要がない。少なくとも1つの突出部材(300)によって、流体試料は、少なくとも1つの突出部材が混合器具と接触関係になるように、試料容器保持部分(40)を混合器具(100)に対して単に配置するだけで、混合することができる。それゆえ、従来技術の混合システムに関連した複雑性、処理時間および危険度は、少なくとも1つの突出部材が備わった試料容器保持部分を有している磁気分離装置を使用することで軽減される。
【0142】
磁気分離装置の本体部分(10)には、試料容器保持部分(40)の少なくとも1つの突出部材(300)を受け入れて保持するように構成された少なくとも1つの空洞(150)がさらに含まれていてもよい。少なくとも1つの空洞(150)をそのように構成することで、試料容器保持部分(40)は本体部分(1)に取り付けることができる。図26a〜dに描かれた態様では、空洞(150)は磁化部分(30)の上方領域に形成されている。空洞(150)は、試料容器保持部分(40)の突出部材(300)を受け入れて保持するように構成されている。
【0143】
試料の中で分離される粒子は、慣用型の磁気的標識手段を用いて磁気的に標識することができる。例えば、試料は、短いインキュベーションの間に標的粒子を結合あるいはコーティングする磁気ビーズと混合することができる。標的物質は例えば、DNA、RNA、mRNA、タンパク質、バクテリア、ウイルス、細胞、酵素、農薬、ホルモンあるいは他の化合物であってもよい。
【0144】
操作に際して、試料と磁気的標識手段は試料容器の内部にまず置かれる。試料は、磁気的に標的とされる粒子がロゼットされるように、磁気的標識手段でインキュベートされる。インキュベーション期間の間、試料容器の内部に収容された試料は、試料容器保持部分で保持できる。さらにまた、試料容器保持部分(40)は非磁化部分に解除可能に取り付けることができる。非磁化部分は、雄型の磁化部分(30)のそれに類似した雄型部である。それゆえ、雌型の試料容器保持部分(04)は、雄型の非磁化部分を受け入れ、それによってその上に取り付けることができる。この非磁化部分は磁界をもたらすことがない。従って、この磁気分離装置はインキュベーション期間の間に使用するために適している。
【0145】
試料容器保持部分(40)と前記非磁化部分とを解除可能に係合させるために、少なくとも1つの連結部材を設けることができる。
【0146】
上記のように、足部分(20)と磁化部分(30)とは解除可能に連結することができる。従って、足部分(20)と磁化部分(30)とは連結解除することができ、かつ、非磁化部分は足部分(20)へ解除可能に連結することができる。本体部分(10)は、それが回転式試料混合機のような混合器具へ連結されるように、構成することができる。
【0147】
あるいは、本開示による磁気分離装置には、非磁化部分と足部分とを含んでいる第2本体部分が含まれていてもよい。従って、試料容器保持部分は、インキュベーション期間の間にこの第2本体部分に取り付けることができる。この第2本体部分は、それが回転式試料混合機のような混合器具へ連結されるように、構成することができる。
【0148】
インキュベーション期間の間に、試料は、磁気的標識手段と、その結果、磁気的に標識された粒子とを試料の内部で混合することを助けるために、混合が必要になる場合がある。上記で述べたように、本体部分または第2本体部分は、混合器具と連結されるように構成することができる。しかしながら、試料容器保持部分に少なくとも1つの突出部材が、そして試料が含まれているときには、試料容器保持部分は、少なくとも1つの突出部材が混合器具と接触関係にあるように、混合器具に対して配置することができる。
【0149】
先に述べたように、磁化部分(30)の少なくとも1つの磁石は電磁石であり得る。明らかなことであるが、電磁石は、「オン」に切り換えられたときにだけ磁界をもたらす。従って、当業者は、電磁石が「オフ」に切り換えられたときに、磁化部分(30)が磁界をもたらすことがないことと、インキュベーション期間の間に試料容器保持部分(40)を磁化部分(30)に取り付けることができることを認識する。
【0150】
インキュベーションの後に、磁気分離装置は、磁気的に標識された粒子を非磁性試料媒体から分離するために使用することができる。試料容器保持部分(40)は、少なくとも1つの容器(50)の内部に収容された試料が高勾配磁界にさらされるように、磁化部分(30)に取り付けられる。磁気分離期間の間に、磁気的に標識された粒子は前記磁界によって吸着され、その結果、磁化部分に隣接する試料容器の内面の領域へ移動する。これによって、場合によってはピペットを用いることで、非磁性上清の容易な除去が可能になり、一方、磁気的に標識された粒子は、試料容器の中に分離されて残される。洗浄の後に、標的粒子はさらに別の研究(陽性粒子の分離)のために使用することができる。磁気分離は、今や標的粒子が除去され上清の中に残る物質を使用することができる(陰性分離)ように、不要な磁性粒子を懸濁液から除去するために、利用することもできる。
【0151】
試料容器の主要部と先端部の両方が高勾配磁界にさらされるように磁気分離装置を構成することで、磁気分離装置は、磁気的に標識された粒子を同一の試料容器に収容された試料のより大きい容積とより小さい容積との両方の容積に分離するために適している。例えば、磁気分離装置は、試料容器の先端部と主要部の両方が高勾配磁界にさらされることで、試料容器を実質的に満たす試料を処理することができる。磁気的に標識された粒子を分離するとともにピペットを使用して上清を除去した後に、磁気的に標識された粒子を、遊離緩衝液を用いて磁気的標識手段から解放/分別することができる。このことは、試料容器の中に残っている分離された磁気的標識粒子へ少量の遊離緩衝液を添加することによって達成することができる。それゆえ、同一の試料容器が、試料容器の先端部を実質的に満たす小さい容積だけを収容し得る。次いで、磁気分離装置を、磁気的標識手段が粒子から分別し、磁化部分に隣接する試料容器の内面の領域まで移動するように、試料容器の先端部が高勾配磁界にさらされるように使用することができる。磁気的標識手段から解放/分別された粒子は次いで、例えばピペットを用いて、試料容器から除去することができる。
【0152】
本明細書の中で説明されたような磁気分離装置は、本質的に有利であり、かつ、そのため、適切な高勾配磁界をもたらすために、他の適切なあらゆる磁化部分あるいは磁化手段とともに有用に使用することもできる。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁石であって、それぞれの磁石が、N極、S極、およびN極とS極との間に延びている磁石軸を有し、かつ、隣り合う磁石のN極およびS極が交互に配置されかつ隣り合う磁石の間に空間が設けられるような方式で、それぞれの磁石軸に対して少なくとも実質的に垂直である向きに上下に配置されている複数の磁石、および
隣り合う磁石の間の空間に配置された少なくとも1つの非磁性間隔確保手段
を含む少なくとも1つの磁石アセンブリを含む、磁気分離装置の中に高勾配磁界をもたらすための磁化部分。
【請求項2】
非磁性間隔確保手段がアルミニウム材料あるいはプラスチック材料を含む、請求項1記載の磁化部分。
【請求項3】
非磁性間隔確保手段が空隙である、請求項1記載の磁化部分。
【請求項4】
磁石が永久磁性材料または鉄系磁性材料を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の磁化部分。
【請求項5】
それぞれの磁石が第1磁極面と第2磁極面とを含み、かつ、少なくとも1つの磁石の第1磁極面および/または第2磁極面が試料容器の輪郭に沿うように成形されている、請求項1〜4のいずれか一項記載の磁化部分。
【請求項6】
使用に際して、少なくとも1つの磁石アセンブリが少なくとも1つの試料容器の近傍に配置できるように構成されている、請求項1〜5のいずれか一項記載の磁化部分。
【請求項7】
使用に際して、平行関係に、かつ、試料容器の対向側面および近傍に配置されるように構成された第1磁石アセンブリおよび第2磁石アセンブリを含む、請求項6記載の磁化部分。
【請求項8】
実質的に放射状配列に取り付けられた複数の磁石アセンブリを含む、請求項1〜6のいずれか一項記載の磁化部分。
【請求項9】
実質的に直線状配列に取り付けられた複数の磁石アセンブリを含む、請求項1〜6のいずれか一項記載の磁化部分。
【請求項10】
隣り合う磁極の間に間隔を置いて第1の交互多極構成で上下に配置された複数の磁極、
前記隣り合う磁極の間に間隔を置いて配置された少なくとも1つの非磁性間隔確保手段
を含む第1の交互多極表面を含む、磁化部分。
【請求項11】
隣り合う磁極の間に間隔を置いて第2の交互多極構成で上下に配置され、それによって、第2の交互多極構成が第1の交互多極構成に対向している、複数の磁極、
前記隣り合う磁極の間に間隔を置いて配置された少なくとも1つの非磁性間隔確保手段
を含む、第2の交互多極表面をさらに含む、請求項10記載の磁化部分。
【請求項12】
実質的に本明細書に記載され、かつ/または、図1〜図6bのいずれか1つに描かれた、請求項1〜11のいずれか一項記載の磁化部分。
【請求項13】
一連の試料容器保持部分、および
少なくとも2つの磁性部材がそれぞれの試料容器保持部分の周りに円周方向に間隔を置いて配置されるように、本体部分内に配置されている、請求項1〜7のいずれか一項記載の複数の磁化部分
を有する本体部分を含む、磁気的に標識された粒子を非磁性媒体から分離するための磁気分離装置。
【請求項14】
少なくとも2つの磁性部材が、それぞれの試料容器保持部分内に取り付けられた試料容器の主要部が磁界にさらされるように構成されている、請求項13記載の磁気分離装置。
【請求項15】
少なくとも2つの磁性部材が、それぞれの試料容器保持部分内に取り付けられた試料容器の先端部が磁界にさらされるように構成されている、請求項13または14記載の磁気分離装置。
【請求項16】
それぞれの磁化部材における少なくとも1つの磁石が、それぞれの試料容器保持部分内に取り付けられた試料容器のかなりの部分が磁性材料によって包囲されるように構成されている、請求項13〜15のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項17】
少なくとも1つの磁石が、試料容器のある特定の部分に少なくともほぼ一致するように成形された凹面を含む、請求項16記載の磁気分離装置。
【請求項18】
本体部分が支持面の上に立つことができる表面を含む足部分をさらに含む、請求項13〜17のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項19】
それぞれの試料容器保持部分がその中に支持されたそれぞれの試料容器を傾斜位置に保持するように、本体部分が鉛直線に対して作動的に傾斜することができるように、足部分が前記本体部分へ枢支連結されている、請求項18記載の磁気分離装置。
【請求項20】
本体部分が、それぞれの試料容器保持部分が試料容器を傾斜位置に保持することができるように構成されている、請求項13〜19のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項21】
それぞれの試料容器保持部分が、それぞれの試料容器保持部分に取り付けられた試料容器の少なくとも1つの部分がユーザに見えるように、少なくとも1つの可視部分を含む、請求項13〜20のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項22】
少なくとも1つの可視部分が、試料容器保持部分に少なくとも実質的に沿って延びている部分である、請求項21記載の磁気分離装置。
【請求項23】
試料容器保持部分の少なくとも1つの可視部分を照射するために、少なくとも1つの発光ダイオードをさらに含む、請求項21または22記載の磁気分離装置。
【請求項24】
試料容器保持部分の少なくとも1つの可視部分の所定区域を拡大するために、少なくとも1つの拡大部材をさらに含む、請求項21〜23のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項25】
それぞれの試料容器保持部分が、
本体部分の上面に形成された開口、および
上面に形成された前記開口から本体部分を通って少なくとも実質的に延びている通路
を含み、
前記開口および通路は、所定寸法の試料容器を受け入れかつ保持するために構成されている、
請求項13〜24のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項26】
それぞれの試料容器保持部分が、
第1の所定幅の本体部分の上面に形成された第1開口、
第2の所定幅の本体部分の下面に形成された第2開口、および
第1開口および第2開口の間で本体部分を通って延びている通路
を含み、
前記第1開口の第1の所定幅は、前記第2開口の第2の所定幅と同一であるかまたは異なっている、
請求項13〜24のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項27】
第1開口の第1の所定幅が第2開口の第2の所定幅と異なっている場合に、装置が、本体部分を第1方向と第2方向との間に方向付けるために作動できる方向付け手段をさらに含み、
前記第1方向では、前記本体部分は、第1の所定幅の試料容器を前記第1開口を介してそれぞれの試料容器保持部分に受け入れかつ保持できるように、方向付けられ、かつ
前記第2方向では、前記本体部分は、第2の所定幅の試料容器を前記第2開口を介してそれぞれの試料容器保持部分に受け入れかつ保持できるように、方向付けられる、
請求項26記載の磁気分離装置。
【請求項28】
支持部分を有している試料容器支持部材をさらに含み、前記部材は、第1位置と第2位置との間で移動することができ、
前記第1位置では、試料容器支持部材の前記部分が、それぞれの試料容器保持部分の通路の内部で試料容器を支持するために有効な位置に置かれ、かつ
前記第2位置では、試料容器支持部材の前記部分が、それぞれの試料容器保持部分の通路の外側に置かれる、
請求項25〜27のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項29】
複数の開口画定部分を有している開口画定要素をさらに含み、それぞれの開口画定部分は、相異なる所定寸法の複数の開口セグメントを含み、
それによって、前記開口画定要素と本体部分とは、ある範囲の位置の間で相対的に移動することができ、かつ、任意の所与位置でそれぞれの開口画定部分からの選択開口セグメントがそれぞれの試料容器保持部分と一直線に配置される、
請求項13〜28のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項30】
実質的に本明細書に記載され、かつ/または、図7a〜図19cのいずれか1つに描かれた、請求項13〜29のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項31】
高勾配磁界と本体部分が支持面の上に立つことができる表面とをもたらすための、請求項1〜6、8または9のいずれか一項に記載された磁化部分を有している本体部分、および
少なくとも1つの試料容器を保持するための試料容器保持部分
を含み、
前記試料容器保持部分は、試料容器の内容物の少なくとも一部分がユーザに見えるように、少なくとも1つの試料容器を保持するように構成されており、かつ
前記試料容器保持部分は、使用に際して、少なくとも1つの試料容器が前記磁化部分の高勾配磁界にさらされるように、前記磁化部分の上に取り付けることができるように構成されている、
磁気的に標識された粒子を非磁性媒体から分離するための磁気分離装置。
【請求項32】
少なくとも1つの磁性部材が、試料容器の主要部が磁界にさらされるように、磁化部分内に構成されている、請求項31記載の磁気分離装置。
【請求項33】
少なくとも1つの磁性部材が、試料容器の先端部だけが磁界にさらされるように、磁化部分内に構成されている、請求項31または32記載の磁気分離装置。
【請求項34】
試料容器保持部分が、試料容器を受け入れかつ保持するように構成された少なくとも1つの構成物を含む、請求項31〜33のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項35】
試料容器保持部分が、外壁と内壁とを含み、かつ、少なくとも1つの構成物が、前記外壁の近傍で少なくとも1つの試料容器を保持するために前記外壁に形成されたくぼみである、請求項34記載の磁気分離装置。
【請求項36】
試料容器保持部分が、外壁と内壁とを含み、かつ、少なくとも1つの構成物が、前記外壁と前記内壁との間で前記試料容器保持部分を通って延びている開口である、請求項34記載の磁気分離装置。
【請求項37】
少なくとも1つの構成物が、試料容器を第1位置あるいは第2位置に選択的に受け入れかつ保持するように構成されており、それによって、前記第1位置では、前記試料容器は、試料容器の少なくとも主要部が磁界にさらされるように磁化部分に対して配置され、かつ前記第2位置では、前記試料容器は、試料容器の先端部だけが磁界にさらされるように前記磁化部分に対して配置されている、請求項34〜36のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項38】
外壁上の第1地点に形成された第1型の少なくとも1つの構成物と、第2地点に形成された第2型の少なくとも1つの構成物とを含み、それによって、第1型の構成物の中に受け入れられかつ保持された試料容器は、試料容器の少なくとも主要部が磁界にさらされるように磁化部分に対して配置され、かつ、第2型の構成体の中に受け入れられかつ保持された試料容器は、試料容器の先端部だけが磁界にさらされるように磁化部分に対して配置される、請求項34〜37のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項39】
磁化部分が外壁を含み、それによって、試料容器保持部分が前記磁化部分を受け入れる際に、前記試料容器保持部分の内壁が前記磁化部分の前記外壁と並列する、請求項35〜38のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項40】
試料容器保持部分の内壁および磁化部分の外壁が実質的に円筒形である、最終的に請求項35記載に従属する請求項39記載の磁気分離装置。
【請求項41】
試料容器保持部分の内壁および磁化部分の外壁が実質的に立方形である、最終的に請求項35に従属する請求項39記載の磁気分離装置。
【請求項42】
試料容器保持部分の内壁が概ねU字形状であり、かつ、磁化部分の外壁が実質的に立方形であり、それによって、前記試料容器保持部分が前記磁化部分を受け入れる際に、前記試料容器保持部分の概ねU字形状の内壁が、前記磁化部分の実質的に立方形状の外壁の対応する概ねU字形状部分と並列する、最終的に請求項36に従属する請求項39記載の磁気分離装置。
【請求項43】
磁化部分が、試料容器の縦断面の少なくともかなりの部分に少なくともほぼ一致するように構成されている、請求項31〜42のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項44】
試料容器保持部分と磁化部分とを解除可能に係合させるために、少なくとも1つの連結部材をさらに含む、請求項31〜43のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項45】
連結部材が、試料容器保持部分と磁化部分とを摩擦により係合させるために、O-リングを含む、請求項44記載の磁気分離装置。
【請求項46】
それにより本体部分が支持面の上に立つことができる表面が、足部分の下面であり、かつ、磁気分離装置が、任意で、磁化部分を前記足部分に対して回転可能に取り付けるために、回転可能な取付部材をさらに含む、請求項31〜45のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項47】
回転可能な取付部材が、ボールベアリング・アンド・ソケット構成体を含む、請求項46記載の磁気分離装置。
【請求項48】
解除可能な係合手段をさらに含み、それによって、試料容器保持部分を磁化部分上のある範囲の取付位置のうちの選択された任意の1つに取り付けることができる、請求項31〜47のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項49】
非磁化部分を有しているさらなる本体部分と、それにより該さらなる本体部分が支持面の上に立つことができる表面とをさらに含み、かつ、試料容器保持部分が、前記非磁化部分に取り付けることができるように構成されている、請求項31〜48のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項50】
試料容器保持部分が、
少なくとも1つの突出部材が混合器具と接触関係で配置される場合、少なくとも1つの試料容器の流体試料が、前記混合器具の撹拌運動にさらされ、かつそれによって、前記混合器具により混合されるように、混合器具と接触可能に構成された少なくとも1つの突出部材をさらに含み、
本体部分が、
試料容器保持部分を前記本体部分に取り付けられるように、前記少なくとも1つの突出部材を受け入れかつ保持するための、少なくとも1つの空洞をさらに含む、
請求項31〜49のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項51】
撹拌運動が少なくとも1つの試料容器の流体試料へ伝達されるように、少なくとも1つの突出部材が、混合器具の撹拌板と接触することができるように構成されている、請求項50記載の磁気分離装置。
【請求項52】
撹拌運動が少なくとも1つの試料容器の流体試料へ伝達されるように、少なくとも1つの突出部材が、混合器具の撹拌板へ連結された中間部材と接触することができるように構成されている、請求項50記載の磁気分離装置。
【請求項53】
撹拌運動が少なくとも1つの試料容器の流体試料へ伝達されるように、少なくとも1つの突出部材が、混合器具の撹拌空洞および/または突出部材保持部分によって受け入れられかつ保持されるように構成されている、請求項50記載の磁気分離装置。
【請求項54】
撹拌運動が振動(oscillating)運動である、請求項50〜53のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項55】
撹拌運動が振動(vibrating)運動である、請求項50〜53のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項56】
少なくとも1つの突出部材が試料容器保持部分の下面から実質的に垂直に突出している、請求項50〜55のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項57】
それにより試料容器保持部分が支持面の上に立つことができる少なくとも1つの表面をさらに含む、請求項50〜56のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項58】
実質的に本明細書に記載され、かつ/または、図20〜図30のいずれか1つに描かれた、請求項31〜57のいずれか一項記載の磁気分離装置。
【請求項59】
a.磁気的に標識された粒子を有する試料を収容している少なくとも1つの試料容器を試料容器保持部分に取り付ける段階、
b.磁気的に標識された粒子を有する試料を磁化部分の高勾配磁界へさらす段階、
c.非磁性上清を除去する段階
を含む、請求項13〜29のいずれか一項に規定された磁気分離装置を使用して、磁気的に標識された粒子を非磁性媒体から分離する方法。
【請求項60】
実質的に本明細書に記載され、かつ/または、図7a〜図19cのいずれか1つに描かれた、請求項59記載の磁気的に標識された粒子を分離する方法。
【請求項61】
(i)試料容器保持部分を磁化部分に取り付ける段階、
(ii)前記試料容器保持部分に保持された少なくとも1つの試料容器内に収容された、磁気的に標識された粒子を有する試料を前記磁化部分の高勾配磁界へさらす段階、
(iii)非磁性上清を除去する段階
を含む、請求項31〜57のいずれか一項に規定された磁気分離装置を使用して、磁気的に標識された粒子を非磁性媒体から分離する方法。
【請求項62】
実質的に本明細書に記載され、かつ/または、図20〜図30のいずれか1つに描かれた、請求項61記載の磁気的に標識された粒子を分離する方法。

【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26a】
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【図26b】
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【図26c】
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【図26d】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公表番号】特表2010−527782(P2010−527782A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509826(P2010−509826)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056650
【国際公開番号】WO2008/145712
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(506001516)
【Fターム(参考)】