説明

磁気的に誘導された画像を製造するためのコーティング組成物

本発明は、揮発性成分(S)と非揮発性成分とからなり、前記非揮発性成分は、インキビヒクル(I)と、磁気的に配向可能な光学可変性干渉顔料(P)とからなる、磁気的に誘導された画像を製造するためのコーティング組成物、前記組成物を製造するためのプロセス、及び印加した磁場を活用して基材上に磁気的に誘導した画像コーティングを生成させるための組成物の使用に関する。前記磁気的に誘導した画像コーティングは、重要書類または本人(確認)書類、ブランド保護ラベルなどでセキュリティーデバイスとして使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気的に誘導された画像を製造するためのコーティング組成物に関する。より具体的には、本発明は、偽造品または違法複製に対して機密文書(security document)若しくは有価証券、またはブランド品を保護するために、かかる物品で使用するための磁気的に誘導した画像を製造するための印刷用インキに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な種類の光学可変性のデバイスは、機密文書及び有価証券上の有効なコピー防止手段として使用されている。中でも、特に重要な光学可変性のコピー防止手段としては、光学可変性インキ(optically variable ink:OVI(登録商標)、欧州特許出願第EP−A−0 227 423号)がある。光学可変性のインキ(OVI:登録商標)は、視野角依存性色(viewing angle dependent color)(=色ずれ、カラーシフト)を示す表面及び/または証印(indicium)を印刷するために使用される。
【0003】
前記コピー防止インキは、光学可変性の顔料(OVP)をベースとして配合される。好ましい種類は、米国特許第4,705,300号、同第4,705,356号、同第4,721,271号及び関連する開示に記載のフレーク形薄層光学干渉デバイスである。
【0004】
光学可変性のインキ組成物の他の有用な種類は、米国特許第5,624,486号及び同第5,607,504号に記載の干渉コーティング粒子(interference coated particle)と、米国特許第5,807,497号及び同第5,824,733号に記載の薄層コレステリック(即ちキラル−ネマチック)液晶顔料を含む。
【0005】
光学可変性のインキ、コーティング及び塗料は、たとえば欧州特許出願第EP−A−0227423号、米国特許第5,279,657号またはPCT国際特許出願国際公開第WO95/29140号から当業界では公知である。前記光学可変性のインキは、銅板(インタリオ)印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷またはスクリーン印刷などの種々の印刷プロセスで使用することができる。
【0006】
当業者には公知のように、前記印刷プロセスから得られた湿潤フィルム厚は、使用したプロセス及び条件に依存して、約2μm〜約50μmの広範囲を変動し得る。
光学可変性のインキまたはコーティングの高い色変わり効果(high color−shifting effect)を達成するために、光学可変性の顔料(optically variable pigment:OVP)の形状は、当業界で開示されているように小板(platelet)またはフレークであるのが好ましい。
【0007】
認識された光学的特徴及び色純度(color purity)は、基材(substrate)上の硬化インキまたはコーティング層の中の顔料の最終配向に依存する。ランダム配向した光学可変性の顔料フレークまたは小板は、色変わり(color sift)が少なく且つ色純度が低い。最大の色変わりと色純度には、インキまたはコーティング内で光学可変性の顔料フレークまたは小板が同一の特定の配向、たとえば基材表面に対して共通の平面(co−planar)をとる必要がある。
【0008】
これらの光学的効果は、基材表面がベースコーティングの適用によって予め滑らかになっていると一層強められる。この場合、光学可変性顔料フレークは、より平面に配置し易くなって、基材の被覆率(coverage)、色純度及び色変わりが強まる。
【0009】
基材の同一平面に配置された光学可変性の顔料フレークを有するコーティングを得るために、乾燥プロセスの間に湿潤フィルム厚を10μm未満に減少させるインキまたはコーティング配合物が通常使用される。乾燥プロセスの間にフィルム厚が徐々に減少すると、光学可変性の顔料フレークを基材表面に対して平行な単一平面に強制的に配列させるので、基材上に最大被覆率及び色変わりが提供される。
【0010】
磁気光学可変性顔料は、機密文書、有価証券及び紙幣上のインキ用の光学可変性の顔料に対する改良策として、PCT国際特許出願国際公開第WO02/073250号;米国特許第4,838,648号;欧州特許出願第EP−A−686675号;PCT国際特許出願国際公開第WO03/00801号及び米国特許第6,838,166号に開示されている。これらの文献は、本明細書中、参照として含まれる。
【0011】
印刷用インキまたはコーティング中の磁気光学可変性の顔料によって、対応する磁場を印加することによって磁気的に誘導された画像、デザイン及び/またはパターンを生成させることができ、コーティング中に磁気光学可変性顔料を局所的に配向させて、その後、これを乾燥/硬化させる。その結果、磁気的に誘導された画像、デザインまたはパターンが光学可変性インキ中で固定される。
【0012】
コーティング組成物及び印刷プロセスにおいて磁性粒子を配向させるための材料及び方法は、米国特許第2,418,479号;同第2,570,856号;同第3,791,864号;ドイツ特許第DE2006848−A号;米国特許第3,676,273号;同第5,364,689号;同第6,103,361号;同第2004/0051297号;同第2004/0009309号;欧州特許出願第EP−A−710508号;PCT国際特許出願国際公開第WO02/090002号;PCT国際特許出願国際公開第WO03/000801号;PCT国際特許出願国際公開第WO2005/002866号;及び米国特許第2002/0160194号に開示されており、これらは本明細書中、参照として含まれる。
【0013】
米国特許第2,418,479号及び同第2,570,856号は、塗料フィルム中で金属顔料を磁場配向させるためのプロセス及びコーティング組成物を開示する。前記フィルムは、高配向度及び低い明度並びに、独特の反射率及び透光性をもつ。この金属顔料は、フィルムを形成するバインダーの0.1重量%から95重量%の量の、強磁性体材料、好ましくはニッケルのフレークを含み、揮発性有機成分は、全重量の50%〜70%の範囲の量で組成物中に存在する。湿潤フィルムは25ミル(635μm)の厚さで適用し、金属フレークを配向させるために磁場に暴露し、フィルムが乾燥するまで磁場を保持する。これらの文献はOVI(登録商標)に関するものではなく、単に磁性金属フレーク顔料を含む塗料組成物と、それをベースとする効果的なコーティングについて開示するだけである。最適の光学効果を得るためのフレークサイズ、フレーク濃度及びコーティング厚さに関する情報については示されていない。
【0014】
米国特許第3,791,864号及びドイツ特許第2006848−A号は、磁場配向させたコーティングを製造するために、ストーブ・エナメル組成物、ニトロセルロース組成物、及び磁性成分(たとえばラメラまたはロッド型鉄顔料)を含む二成分組成物に関する。この文献は、二層コーティング中の顔料の磁場配向(magnetic orientation)の方法及びプロセスに関するものであるが、関連するコーティング組成物の配合特徴は考慮されていない。
【0015】
米国特許第3,676,273号は、アクリルバインダー中に分散させた高反射性のニッケルフレークを含む、磁場配向コーティングを開示する。磁性顔料の量は、フィルム形成材料の0.1重量%から95重量%を変動する。具体的な配合特徴は、この文献では扱われていない。
【0016】
米国特許第5,364,689号は、塗料媒体中に磁性非球体顔料を含む塗装製品であって、前記磁性粒子は、三次元の光学的外観パターンを示すように配向されている、前記塗装製品を開示する。この磁性粒子は、一種以上のニッケル、コバルト、鉄及びその合金を含む。粒子は0.1〜1.0μmの厚さと10〜100μmの長さを有する。塗料媒体は、アルキド、ポリエステル、アクリル系、ポリウレタン及びビニル樹脂から選択される。粒子は塗料媒体100重量部当たり1〜60部の量で存在する。しかしながら塗料媒体の配合に関して特定の規則は与えられていない。
【0017】
米国特許第6,103,361号は、フライパンのコーティングにパターンを磁気的に誘導する、PFTE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフルオロポリマー及び磁化可能なフレークを含有する耐熱性コーティング組成物に関する。
【0018】
米国特許第2004/0051297号及び同第2004/0009309号は、塗装または塗装プロセスの間に磁性フレークを配向させるための方法及び装置に関する。磁気光学可変性の顔料粒子は液体塗料またはインキ媒体に分散される。典型的なフレークは、約20μmの大きさで約1μmの厚さである。このフレークは、通常、コバルト、ニッケル若しくはPERMALLOY(通常80%Ni、20%Fe)などの強磁性金属または合金の薄いフィルムなどの磁性金属層と、前記金属層の両側に吸収体−誘電体−反射体Fabry−Perot型構造体などの光学干渉構造体とを含む。米国特許第2004/0051297号は、顔料の磁場配向性で使用した有機キャリヤの種類とフィルム厚の影響についての見解を含む。しかしながら、本出願の目的に関するコーティング組成物の最適配合に関しては、全く詳細が開示されていない。
【0019】
PCT国際特許出願国際公開第WO02/090002号は、磁気光学可変性顔料を使用することによって画像形成したコーティング化製品を製造する方法、並びにコーティング化製品に関する。この顔料は、PCT国際特許出願国際公開第WO03/000801号の“Multi−Layered Magnetic Pigments and Foils”に記載された種類の反射性磁性フレーク(reflective magnetic flake:RMF)からなり、磁性コア層を有する。しかしながら、使用すべきコーティング組成物に関しては全く詳細が開示されていない。
【0020】
PCT国際特許出願国際公開第WO05/002866号は、磁性粒子を含むコーティング中に磁気的に誘導したデザインを作り出すための方法及び手段に関する。前記コーティングは、好ましくは磁気光学可変性粒子を含む。このコーティング組成物は、好ましくはスクリーン印刷用インキ、グラビアインキ及びフレキソ印刷インキを含む、液体インキの群から選択される。液体インキは粘度が低い(20℃で0.1〜5Pa*sの範囲)ので、磁性顔料が容易に配向できる。インキの乾燥/硬化は、溶媒若しくは水の蒸発、並びにUV−架橋またはハイブリッド硬化メカニズム、たとえば希釈剤の蒸発、UV−硬化及び他の細網化反応、たとえばオキシ重合(oxypolymerization)架橋反応をベースとすることができる。しかしながら、コーティング中にインプリントされた磁気画像/効果に関して所与のインキ配合物はいずれも最適化されていなかった。
【0021】
米国特許第2002/0160194号は、多層磁性顔料及びホイルに関する。開示された顔料フレークは、広範な種類の物体または紙に適用し得る着色剤組成物(インキ)を製造するためにバインダー媒体内に散在させることができる。このバインダー媒体は樹脂または樹脂の混合物と溶媒(有機溶媒若しくは水)を含み、熱架橋、熱硬化、または熱溶媒蒸発などの熱的プロセスによって、あるいは光化学的架橋によって乾燥/硬化させることができる。
【0022】
当業界で使用される光学可変性インキ及びコーティング組成物は、光学可変性顔料を可能な限り少ない量で使用して、冴えた色、強い色変わりを示し、優れた基材被覆率を生み出すことを目的とする。低顔料濃度は原材料コストを抑制するため、並びにインキの優れた印刷適性と印刷物の耐久性を得るために望ましい。これらの目的は、比較的多量の揮発性成分、たとえば組成物の50重量%以上のオーダーの有機溶媒、水またはその混合物と、比較的少量の非揮発性成分、即ち組成物の50重量%未満のオーダーのバインダー媒体及びOVPとを使用して印刷用インキを提供することによって達成される。
【0023】
この特定の配合物によって、乾燥プロセスの間にコーティング層の容積が確実に減少し、印刷された基材表面にOVPが対応して配向する。これが、光学的効果顔料(optical effect pigment)を含む殆どのOVI配合物またはコーティング配合物は溶媒または水ベースであり、固体含有量が50%を超えないという理由である。固体含有量は、乾燥/硬化プロセス後の印刷済みインキまたはコーティング層の非揮発性化合物の一部を表す。
【0024】
しかしながら、磁気光学可変性顔料の場合、印刷済みインキ層中に画像、パターンまたはデザインを磁気的に誘導するために使用すると、この種のインキ配合物で視覚的効果が悪くなるということが知見された。
発明の概要
本発明に内在する技術的な問題は、印刷済みインキまたはコーティング層の磁気光学可変性顔料(MOVP)の磁場配向に特に適合するコーティング組成物及び対応する配合規則を見つけることであった。印刷用OVI(登録商標)に適した慣用の配合物を使用すると、湿潤インキフィルムに移った磁気的画像は、印刷済みインキまたはコーティング層が垂直方向に縮むため、乾燥/硬化プロセスの間、改造度とコントラストが顕著に減退する。
【0025】
得られたインキは、乾燥速度及び印刷解像度などの標準的な印刷必要条件、並びに適用した量を限定することによってコストを節減するための経済的制約とも両立しなければならない。MOVP粒子を印刷するのに使用すべき印刷方法は、(銅板)インタリオ−、フレキソ−、グラビア−、スクリーン印刷並びにロールコーティングである。
【0026】
本発明に従って、この問題は、付記請求の範囲に定義のコーティング組成物によって解決された。
特に、本発明は、本発明に従った磁気的に誘導した画像を形成するためのコーティング組成物であって、従って、揮発性成分(S)と非揮発性成分とからなり、後者の非揮発性成分はインキビヒクル(I)と磁気的に配向可能な光学可変性干渉顔料(P)からなり、前記インキビヒクルの容積(V(I))対顔料の容積(V(P))の比は3.0を超え、好ましくは4.0を超え、最も好ましくは5.0を超えることを特徴とする、前記コーティング組成物に関する。
【0027】
本発明は、磁気的に誘導された画像を製造するためのコーティング組成物の製造プロセスであって、前記プロセスは揮発性成分(S)と非揮発性成分とを一緒に混合する段階を含み、後者の非揮発性成分はインキビヒクル(I)と磁気的に配向可能な光学可変性干渉顔料(P)とからなり、前記インキビヒクルの容積(V(I))対顔料の容積(V(P))の比は3.0を超え、好ましくは4.0を超え、最も好ましくは5.0を超えることを特徴とする、前記製造プロセスに関する。
【0028】
本発明に従って、「磁気光学可変性顔料(magnetic optically variable pigment:MOVP)」なる用語は、当業者に公知のように、光学干渉コーティングを保持する小板またはフレーク形の磁性顔料粒子を指す。OVPに対するMOVPの独自性は、このMOVP粒子は、印加した磁場によって配向し得るということである。かくしてMOVPは、「磁場配向可能な光学可変性干渉顔料」である。本発明の印刷用インキまたはコーティング組成物中に含まれるMOVPは、PCT/EP2005/056260号に開示の真空蒸着磁気薄層干渉顔料、干渉コーティング化金属顔料、干渉コーティング化非金属顔料、磁性液晶顔料ならびにこれらの混合物の群から選択される平坦な小板またはフレーク形粒子からなる。特に好ましいのは、米国特許第4,838,648号及びPCT国際特許出願国際公開第WO02/73250号の5層または7層真空蒸着薄層干渉顔料である。
【0029】
本発明で使用されるMOVPは、その平均粒径も特徴とする。飽和色及び急激な色変化を得るために、平均粒径(d50)は通常、5〜40μm、好ましくは15〜25μmであり、0.1〜6μmの厚さ、より好ましくは0.5〜3μmの厚さを有するべきである。
【0030】
本発明に従って、「揮発性成分」なる用語は、周囲圧力で300℃未満の沸点をもつ成分、即ち、印刷後に最終的には蒸発するものすべて、を指す。コーティング/インキ組成物中に存在する揮発性成分は、有機溶媒、水及びその混合物から、即ち印刷用インキを製造するのに通常使用される溶媒から選択することができる。
【0031】
本発明に従って、「非揮発性成分」なる用語は、周囲圧力で少なくとも300℃の沸点をもつ成分、即ち印刷後にも残るものすべて、を指す。
本発明に従って、「インクビヒクル」なる用語は、磁気光学可変性干渉顔料を除く、印刷用インキまたはコーティング組成物の非揮発性部分を指す。しかしながら、インキビヒクルは他の顔料を含んでもよい。かくして、本発明に従ったインキビヒクルは、ニス(即ちバインダー)、オリゴマー、フィラー、顔料、染料、均展材(leveling agent)、湿潤化剤、界面活性剤、腐食防止剤、乾燥触媒(drying catalyst)、光開始剤、ワックス、架橋剤、非揮発性希釈剤またはモノマーからなる群から選択される成分を含むことができる。
【0032】
本発明に従って、「インキビヒクルの容積」なる用語は、乾燥/硬化インキビヒクルの容積を指す。
本発明に従って、「乾燥」なる用語により、当業界では三つの異なるメカニズムが取り上げられている。二つの単に物理的乾燥プロセスは、印刷済みインキまたはコーティングから揮発性成分を蒸発させて、その固体樹脂または顔料成分を残すことと、非揮発性インキまたはコーティング溶媒が基材に侵入/吸収することとを指す。硬化(hardening)または硬化(curing)とも呼ばれる第三の化学的乾燥プロセスは、UV照射、電子ビームまたはオキシ重合(Co及びMn触媒などの触媒及び酸素の結合作用によって誘導した酸化的細網化)によって開始された化学重合または架橋反応によって液体組成物が固体組成物へ転換することを指す。これらの乾燥プロセスの一つ以上は、同じ特定の印刷用インキまたはコーティングの乾燥に含まれるかもしれない。かくして、硬化は乾燥の具体例である。「二重硬化(dual curing)」なる用語は、好適な添加剤によって開始されたUV硬化またはオキシ重合または化学重合で揮発性成分を物理的に蒸発及び/または基材に侵入させることの組み合わせを意味する。「UVOX」なる用語は、UV硬化及びオキシ重合の組み合わせを意味する。
【0033】
MOVP粒子を印刷するのに使用し得る印刷方法は、(銅板)インタリオ−、フレキソ−、グラビア−、スクリーン印刷並びにローラーコーティングである。
印刷の必要条件を達成するために、対応する印刷部材は、2〜50μm、好ましくは5(フレキソ印刷)〜30μm(インタリオ−またはスクリーン−印刷)の通常平均乾燥インキフィルム厚を付着させるように選択される。
【0034】
顔料の平均直径は、通常得られ得る層の厚さ及び、所定の印刷用途に結合した技術的制限の機能で選択される。小さすぎる顔料を選択すると、全ての場合において、色の変化が悪くなり、光の散乱が強くなり彩度が低くなる。これは当業者には公知であり、好適な顔料を選択するときに考慮されるだろう。
【0035】
配向した顔料粒子が、磁化によって発生した配向作用を顕著に減少または完全に破壊してしまう平らな位置を取らないようにするためには、乾燥/硬化プロセスの間に印刷済みインキまたはコーティング層が垂直方向に収縮しないようにしなければならないことが知見された。これは、揮発性成分が蒸発した後に残存する非揮発性インクビヒクルの十分に厚い層を提供することによって達成される。
【0036】
かくして、乾燥/硬化インキビヒクル(I)対インキビヒクルに存在する磁気光学可変性顔料(P)の容積比V(I)/V(P)が特に最も重要である。V(I)/V(P)の容積比3.0未満では、本発明のコーティング中に十分な磁気的に誘導した画像を形成するのは不可能であったことが知見された。本発明に従って、以下の詳細な説明に開示のように、実験データ及び公知の製品特徴をベースとして容積比を計算する。
【0037】
考慮すべきことは、乾燥/硬化インキ層の厚さである。本発明者は、十分な磁気的に配向した画像を生成する配向可能なコーティング層を得るためには、乾燥/硬化固体インキ層は、d50/3以上、好ましくはd50/2以上、の厚さでなければならないことを知見した。d50値は、磁気光学可変性顔料の平均直径であり、当業界で公知のように決定する。
【0038】
d50/2よりかなり薄いコーティングでは、達成可能な配向効果は弱い。
磁気画像を製造するための本発明のコーティング組成物は、銅板インタリオ印刷用インキ、フレキソ印刷用インキ、グラビア印刷用インキ、シルクスクリーン印刷用インキまたはローラーコーティングインキであってもよいので、銅板インタリオ−、フレキソ−、グラビア−、シルクスクリーン印刷−またはローラー−コーティングプロセスで使用することができる。
図面の簡単な説明
図1〜3は、(a)三種の例示的な組成物で得られた種々の光学効果と、(b)インキ層内部において得られた顔料配向を示す。
【0039】
図1は、実施例2aに従ったUV硬化スクリーン印刷用インキで得られた結果を示す。図1aには、得られた磁化画像(magnetized image)が示されている。図1bには、基材上のインキ層の走査電子顕微鏡(SEM)断面が示されている。
【0040】
図2は、実施例2bに従ったUV硬化スクリーン印刷用インキで得られた結果を示す。図2aには、得られた磁化画像が示されている。図2bには、基材上のインキ層の走査電子顕微鏡(SEM)断面が示されている。
【0041】
図3は、実施例2cに従ったUV硬化スクリーン印刷用インキで得られた結果を示す。図3aには、得られた磁化画像が示されている。図3bには、基材上のインキ層の走査電子顕微鏡(SEM)断面が示されている。
発明の詳細な説明
本発明の磁気光学可変性印刷用インキまたはコーティング組成物は、三つの主な構成成分に分けられる。磁気光学可変性顔料(P)、溶媒または揮発性成分(S)(即ち、印刷後に最終的には蒸発するものすべて:有機溶媒、水またはその混合物)、及びインキビヒクル(I)(即ち、顔料以外の、印刷後に含有するものすべて;即ち、非揮発性成分、たとえばニス、オリゴマー、フィラー、顔料、染料、均展材、湿潤化剤、界面活性剤、腐食防止剤、乾燥触媒、光開始剤、ワックス、架橋剤、非揮発性希釈剤若しくはモノマー)。
【0042】
本発明の磁性顔料は、通常、平板形状の粒子が5〜40μmの平均直径(d50)、より好ましくは直径が15〜25μmであり、厚さが0.1〜6μm、より好ましくは0.5〜3μmの範囲であるように選択される。
【0043】
平板形状の粒子の直径は、当業者に公知の方法により測定して、平均(d50)値(mean value)として理解すべきである。同様に、平板形状の粒子の厚さは、当業者に公知の方法により測定して、小板の上部表面と下部表面との間の距離の平均として理解すべきである。
【0044】
基材に磁性インキを適用するのに使用するプロセスとは独立して、インキ中のインキビヒクル(I)対磁気光学可変性顔料(P)の容積比V(I)/V(P)には下限があり、それよりも下の条件では、磁気的に配向した画像、パターンまたはデザインの視覚効果は湿潤フィルムの乾燥時に色あせることが知見された。この下限は容積比V(I)/V(P)3.0であることが知見された。4.0を超える容積比V(I)/V(P)、好ましくは5.0を超える容積比で良好な結果が得られた。
【0045】
言い換えれば、顔料フレークが基材の平面にない場合、顔料フレークにその配向を維持させるためには、乾燥インキフィルム中で十分なインキビヒクル(I)の容積/顔料(P)の容積でなければならない。
【0046】
容積比V(I)/V(P)を計算する場合には、インキビヒクル単独の容積と、インキビヒクル中の顔料容積を知らなければらならない。これは、以後、実施例2を参照して概説する。
【0047】
実施例2a〜2cに従った三種類のインキ配合物(UV−硬化シルクスクリーン印刷用インキ)は、配合パラメーターと取得可能な磁気配向効果とを関連させる基礎となった。これらの実施例の詳細に関しては、以下の実施例セクションを参照されたい。実施例2aの配合例は優れた磁場配向性を示し;実施例2bの配合例は、実施例2aと比較して幾らか低下し、実施例2cの配合例は、実施例2aと比較してかなり低下したことが判明した。3.0未満の比V(I)/V(P)をもつ配合例は、何の効果もないことが推測できる。
【0048】
実施例2の基本配合例から測定した実験データ(第1欄)は、湿潤インキの比重(密度)(Dinkw)が1.24g/cm(乾燥インキはDinkd1.26g/cm)であることを示した。磁気光学可変性顔料の密度は、2.82g/cmであることが解った。(顔料密度は、顔料フレーク中の誘電材料(MgF(光学特性))と磁性材料(Ni、Fe、CoまたはNi合金(磁気的特性))の比に依存してある程度変動する。)本実施例で使用した顔料は、2.82g/cmの実験密度であり、溶媒(Dowanol)密度は、0.967g/cmであった。実験密度は、比重瓶によって測定した。密度を測定するための比重瓶の使用は当業者に公知であり、本明細書中で詳細を記載する必要はない(たとえばISO標準1183−1:2004)。
【0049】
ベース湿潤インキ配合例は、おおよそ以下のようにして記載することができる(式中、W=重量、V=混合前容積、I=インキビヒクル、P=MOVP、S=溶媒、D=密度)。
【0050】
【数1】

【0051】
重量あたりの配合比(per weight formulation ratio)W(I)+W(S)=0.80g/gとW(P)=0.20g/gと、顔料密度D(P)=2.82g/cmを考慮すると、インキ1グラム当たりの顔料容積V(P)は、公知の相関関係d=m/Vにより0.071cmであり、湿潤インキビヒクルの残りの容積は0.735cmであると計算される。
【0052】
乾燥/硬化インキ配合物は、およそ以下のように記載することができる。
【0053】
【数2】

【0054】
上記データ及び溶媒の密度D(S)=0.967g/cmから、蒸発した溶媒量を計算することができ、インキビヒクルの重量は元インキ配合物の0.747g/gであり、対応する容積V(I)は0.68cmであり;これによってインキビヒクルD(I)は1.098g/cmとなる。本実施例(ベース配合物)では、容積比V(I)/V(P)は9.58で与えられる。
【0055】
磁場配向例(実施例2a〜2cの配合物)を参照して、対応する容積比は、MOVPとインキビヒクル(I)の所定の比重と対応する重量百分率を使用して同様に計算した。
【0056】
【表1】

【0057】
インキビヒクルにおいて、顔料と固体含有量は%であり、V(I)とV(P)はcmであり、乾燥フィルム厚さはμmであり、使用した顔料のd50は22μmであった。
同様に、インタリオ印刷用インキを参照する実施例1の容積比V(I)/V(P)は4.83であった。乾燥/硬化印刷用インキと湿潤印刷用インキの密度は、Dinkd=1.37g/cmと、Dinkw=1.236g/cmであった。顔料と溶媒の密度は、D(P)=2.82g/cmと、D(S)=0.805g/cm(インキ溶媒27/29 Shell Industrial Chemicals)であった。顔料(P)0.3g/gを(インキビヒクル(I)+インキ溶媒(S))0.70g/gと混合した。インキビヒクルの密度D(I)は1.066g/cmであった。
【0058】
良好なインク配合物を考える上でのさらなる点は、乾燥/硬化固体コーティング層の厚さである。コーティング層はd50/3よりも厚くなくてはならず、好ましくはd50/2よりも厚くなくてはならない。ここでd50は、当業界で公知の方法で測定した、磁気光学可変性顔料の平均直径である。
【0059】
溶媒を含むコーティングは、溶媒を含まないコーティングよりも適用時に厚くなるに違いない。溶媒を蒸発させた後、乾燥及び固体層の厚さは、所定の基準を満足するに違いないと考えられる。図1〜3の実施例では、乾燥固体層の厚さは、全ての場合において好ましいd50/2基準を満たす。
【0060】
本発明のコーティング組成物中の非揮発性成分の量は、全組成物の50重量%〜100重量%、好ましくは全組成物の80重量%〜100重量%の間で選択する。
図1は、容積比V(I)/V(P)10.3と最大固体含有量100重量%(MOVP20%)のコーティング組成物を参照し、これにより対応するコーティング層中で最適に磁気的に誘導した効果(画像、パターンまたはデザイン)が得られたのに対し、図3では容積比V(I)/V(P)3.8と固体含有量50重量%(MOVP20%)のコーティング組成物を参照し、これは良くない品質であるにもかかわらず、コーティング層中で磁気的に誘導した画像、パターンまたはデザインを生成することができる。
【0061】
当業者は、本発明の記載で概説した一般的な概念を、種々の固体含有量(種々のMOVP量)で製造した一連の印刷用インキ配合物に適用することができ、それによって種々の容積比V(I)/V(P)得られると理解するだろう。
【0062】
表2は、本発明の概念に従った配合物の計算したマトリックスの一つの可能な編集例である。容積比は約0.6〜約23を変動する。
【0063】
【表2】

【0064】
SC:固体含有量、I=インキビヒクルの重量画分、P=顔料の重量画分、V(I)/V(P):容積比。
表2は、種々の固体含有量とその個々の組成をベースとする自由裁量の選択を提供する。技術的視点から、当業者には、満足する結果を生み出すためには最小量の顔料が必要であり、印刷用インキ中に存在する顔料の量が多いと、インキの印刷適性が低下し、コストを押し上げることが理解されよう。
【0065】
従って、表2は、固体含有量の限界並びに本発明に従った容積比V(I)/V(P)に関して好適なコーティング組成物の選択を提供する。ハイライト部分の例は、実施例2の5.0よりも高い最も好ましい比V(I)/V(P)であり、単なる説明的な目的のために提供する。
【0066】
4.0未満の容積比をもつ印刷用インキは、本発明を実施するために同様に好適であり得るが、インキビヒクルに関して磁気光学可変性顔料の量が多くなると、MOVPの磁場配向をより難しくしてしまい、印刷したインキ層が厚ければ、磁気光学可変性印刷用インキのコストを不必要に押し上げてしまいかねない。
【0067】
磁気的に誘導した画像を生成するための本発明の印刷用インキまたはコーティング組成物を製造するためのプロセスは、揮発性成分(S)と非揮発性成分とを一緒に混合する段階を含み、後者の非揮発性成分はインキビヒクル(I)と磁気的に配向可能な光学可変性干渉顔料(P)からなり、前記インキビヒクルの容積(V(I))対顔料の容積(V(P))の比は3.0を超え、好ましくは4.0を超え、最も好ましくは5.0を超えることを特徴とする。
【0068】
本発明の印刷用インキまたはコーティング組成物を製造するためのプロセス用の揮発性成分は、有機溶媒、水及びそれらの混合物から選択される。
本発明はさらに、磁気的に誘導した画像の製造プロセスであって、
a)本発明に従ったコーティング組成物を基材表面に適用する;
b)磁場を印加することによって、段階a)の適用したコーティング組成物中の磁性顔料粒子を配向させる;及び
c)段階b)の配向したコーティング組成物を硬化/乾燥して、配向した位置に前記粒子を固定させる、各段階を含む、前記プロセスに関する。
【0069】
コーティング組成物を基材表面に適用するための段階a)のコーティングプロセスは、好ましくは、銅板インタリオ印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、ローラーコーティング及びシルクスクリーン印刷から選択される。これらのプロセスは当業者に公知である。
【0070】
前記印刷プロセスによって、約2μm〜約50μmで湿潤フィルム層を付着させることができる。好ましい湿潤フィルム付着量は約5μm〜約30μmである。基材上の得られたコーティングは2μm〜50μm、好ましくは5μm〜30μm、より好ましくは10μm〜20μmで構成される平均乾燥層厚さである。
【0071】
配向段階b)は、コーティング段階a)と同時に、またはコーティング段階a)に続いて実施することができる。磁性粒子の磁場配向は当業界で記載されており、公知である。本出願の導入部分に引用された先行技術の文献を参照する。
【0072】
硬化/乾燥段階c)は、揮発性成分の物理的蒸発、UV−硬化、酸化的細網化、化学的架橋、電子ビーム硬化またはその任意の組み合わせによって実施することができる。この段階も当業界で公知であり、本明細書中では詳細について記載しない。
【0073】
本発明はさらに、硬化固体インキビヒクル(I)中に磁気的に配向した光学可変性干渉顔料(P)を含む基材上の磁気的に誘導された画像コーティングであって、前記インキビヒクルの容積(V(I))対顔料の容積(V(P))の比は3.0を超え、好ましくは4.0を超え、最も好ましくは5.0を超え、且つ前記コーティング層はd50/3より厚く、好ましくはd50/2より厚いことを特徴とし、ここで前記d50は、磁気的に配向可能な光学可変性干渉顔料フレークの平均直径である、前記画像コーティングに関する。硬化した固体インキビヒクル(I)中の磁気的に配向した顔料の量は、湿潤コーティングの1重量%〜40重量%、好ましくは5重量%〜30重量%、より好ましくは10重量%〜20重量%を変動する。
【0074】
本発明の印刷用インキまたはコーティング組成物は、磁気的に誘導した画像を製造するために使用することができる。前記磁気的に誘導した画像は、紙幣、クレジットカード、アクセスカード、セキュリティバッジ、有価証券、権利書若しくは身分証明書、乗車券、宝くじ、イベントチケット、タックスバンデロール、セキュリティスレッド、ラベル、ホイル、ストリップまたは製品セキュリティ用途として使用することができる。かくして、本発明は、上記用途のための開示されたコーティング組成物の使用、並びに本発明のコーティング組成物で得られた磁気的に誘導した画像を含むセキュリティ文書にも関する。
【0075】
前記セキュリティエレメントはさらに、赤外線マーカー、蛍光マーカー、UVマーカー、燐光マーカー、磁気マーカー、裁判用マーカー及びその混合物などの追加のマーキング手段を含む。
【0076】
本発明は、任意の種類の印刷可能なシートまたはウェブ材料上で実施することができ、特に紙幣、クレジットカード、アクセスカード、セキュリティバッジ、有価証券、権利書若しくは身分証明書、乗車券、宝くじ、イベントチケット、タックスバンデロール、セキュリティスレッド、ラベル、ホイル、ストリップまたは製品セキュリティ用途を製造するために使用する材料で実施することができる。印刷可能なシートまたはウェブ材料はさらに、単層並びに複数層を含んでいてもよい。
【0077】
本発明は非限定的な実施例及び図面を参照して、さらに記載することができる。他に記載しない限り、全ての量は重量パーセントである。
実施例
実施例1:インタリオペーパーワイプインキ(paper−wipe ink)
本実施例では、本発明に従ったインタリオペーパーワイプインキの配合例を提供する。
【0078】
【表3】

【0079】
実施例2:シルクスクリーンインキ、UV−乾燥
本実施例では、本発明に従ったシルクスクリーンインキの配合例を提供する。
【0080】
【表4】

【0081】
実施例2aの配合物をセキュリティ紙に適用した。乾燥前に、湿潤インキを磁化した。平均乾燥フィルム厚は19μmであった。インキの固体含有量は100%であり、磁気光学可変性顔料(P)20重量%の量で含まれ、インキビヒクル(I)は80重量%の量で含まれていた。結果を図1a及び図1bに示す。図1aには、得られた磁化画像が示されている。図1bには、基材上のインキ層の走査電子顕微鏡(SEM)断面が示されている。フレークの平均角度は水平面から24°+/−12°であると測定される。
【0082】
図1bにおいて、「マトリックス」は、断面を製造するのに必要な、埋め込みを指す。磁化によって生み出された効果は明らかにはっきりとした画像で示されている。
実施例2bの配合物をセキュリティ紙に適用した。乾燥前にインキを磁化した。平均乾燥フィルム厚は14μmであった。インキの固体含有量は80%であり、磁気光学可変性顔料(P)20重量%の量で含まれ、インキビヒクル(I)は60重量%の量で含まれ、溶媒(S)は20重量%であった。結果を図2a及び図2bに示す。図2aには、得られた磁化画像が示されている。図2bには、基材上のインキ層のSEM断面が示されている。フレークの平均角度は水平面から25°+/−12°であると測定される。磁化により生み出された効果は、解像度の低い画像であるが、それでもはっきりと見える。
【0083】
実施例2cの配合物をセキュリティ紙に適用した。乾燥前にインキを磁化した。平均乾燥フィルム厚は11μmであった。インキの固体含有量は50%であり、磁気光学可変性顔料(P)20重量%の量で含まれ、インキビヒクル(I)は30重量%の量で含まれ、溶媒(S)は50重量%であった。結果を図3a及び図3bに示す。図3aには、得られた磁化画像が示されている。図3bには、基材上のインキ層のSEM断面が示されている。フレークの平均角度は水平面から10°+/−9°であると測定される。磁化により生み出された効果は、だいぶ質の悪い解像度の画像である。
【0084】
実施例2aの配合例は優れた磁場配向を示した。実施例2bの配合例は、実施例2aと比較して幾らか低品質であり、実施例2cの配合例は実施例2aと比較してかなり低品質であった。3.0未満の比V(I)/V(P)をもつ配合例は、全く効果がないだろう。
【0085】
図1〜3及び上記表1から、優れた相関関係は一方で、磁性顔料の配向性(orientability)と容積比V(I)/V(P)との間に、他方では顔料の配向性と乾燥フィルム厚との間に存在することが明らかである。
【0086】
実施例3:シルクスクリーンインキ、UV−乾燥
本実施例では、本発明に従ったシルクスクリーンインキの配合物を提供する。
【0087】
【表5】

【0088】
実施例3:フレキソ印刷用インキ、UV−乾燥
本実施例では、本発明に従ったフレキソ印刷用インキの配合物を提供する。
【0089】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、実施例2aに従ったUV硬化スクリーン印刷用インキで得られた結果を示す。図1aには、得られた磁化画像が示されている。図1bには、基材上のインキ層の走査電子顕微鏡(SEM)断面が示されている。
【図2】図2は、実施例2bに従ったUV硬化スクリーン印刷用インキで得られた結果を示す。図2aには、得られた磁化画像が示されている。図2bには、基材上のインキ層の走査電子顕微鏡(SEM)断面が示されている。
【図3】図3は、実施例2cに従ったUV硬化スクリーン印刷用インキで得られた結果を示す。図3aには、得られた磁化画像が示されている。図3bには、基材上のインキ層の走査電子顕微鏡(SEM)断面が示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性成分(S)と非揮発性成分とからなる磁気的に誘導した画像を製造するためのコーティング組成物であって、後者の前記非揮発性成分はインキビヒクル(I)と磁気的に配向可能な光学可変性干渉顔料(P)とからなり、前記インキビヒクルの容積(V(I))対顔料の容積(V(P))の比は3.0を超え、好ましくは4.0を超え、最も好ましくは5.0を超えることを特徴とする、前記コーティング組成物。
【請求項2】
前記非揮発性成分が、全組成物の50重量%〜100重量%、好ましくは全組成物の80重量%〜100重量%の量で存在する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記コーティング組成物が、銅板インタリオ印刷用インキ、フレキソ印刷用インキ、グラビア印刷用インキ、シルクスクリーン印刷用インキ及びローラーコーティングインキからなる群から選択される、請求項1〜2の一項に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記揮発性成分が、有機溶媒、水及びその混合物からなる群から選択される、請求項1〜3の一項に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記磁気的に配向可能な光学可変性顔料が、真空蒸着磁気薄層干渉顔料、干渉コーティング化金属顔料、干渉コーティング化非金属顔料、磁気液晶顔料及びその混合物からなる群から選択される、請求項1〜4の一項に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記磁気的に配向可能な干渉顔料が、五層及び七層の真空蒸着磁気薄層干渉顔料からなる群から選択される、請求項5に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記磁気的に配向可能な干渉顔料が5〜40μm、好ましくは15〜25μmの範囲の平均直径d50をもつ、請求項1〜6の一項に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記磁気的に配向可能な干渉顔料が、0.1μm〜6μm、好ましくは0.5μm〜3μmの範囲の厚さを有する、請求項1〜7の一項に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の磁気的に誘導された画像を製造するためのコーティング組成物の製造プロセスであって、揮発性成分(S)と非揮発性成分とを一緒に混合する段階を含み、後者の非揮発性成分はインキビヒクル(I)と磁気的に配向可能な光学可変性干渉顔料(P)からなり、前記インキビヒクルの容積(V(I))対顔料の容積(V(P))の比は3.0を超え、好ましくは4.0を超え、最も好ましくは5.0を超えることを特徴とする、前記製造プロセス。
【請求項10】
前記非揮発性成分が、全組成物の50重量%〜100重量%、好ましくは全組成物の80重量%〜100重量%の量で存在する、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記揮発性成分(S)が、有機溶媒、水及びその混合物からなる群から選択される、請求項9〜10の一項に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
前記磁気的に配向可能な光学可変性顔料が、真空蒸着磁気薄層干渉顔料、干渉コーティング化金属顔料、干渉コーティング化非金属顔料、磁気液晶顔料及びその混合物からなる群から選択される、請求項9〜11の一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記磁気的に配向可能な干渉顔料が、五層及び七層の真空蒸着磁気薄層干渉顔料からなる群から選択される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記磁気的に配向可能な干渉顔料が5〜40μm、好ましくは15〜25μmの範囲の平均直径d50をもつ、請求項9〜13の一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記磁気的に配向可能な干渉顔料が、0.1μm〜6μm、好ましくは0.5μm〜3μmの範囲の厚さを有する、請求項9〜14の一項に記載のプロセス。
【請求項16】
磁気的に誘導された画像を製造するための請求項1〜8の一項に記載のコーティング組成物の使用。
【請求項17】
前記磁気的に誘導された画像が、銅板インタリオ印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷及びローラーコーティングからなる群から選択される、請求項16に記載のコーティング組成物の使用。
【請求項18】
a)請求項1〜8の一項に記載のコーティング組成物を基材表面に適用する;
b)磁場を印加することによって、段階a)の適用したコーティング組成物中の磁性顔料粒子を配向させる;及び
c)段階b)の配向したコーティング組成物を硬化/乾燥して、配向した位置に前記粒子を固定させる、各段階を含む、磁気的に誘導した画像を製造するプロセス。
【請求項19】
前記段階a)は、銅板インタリオ印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷及びローラーコーティングからなる群から選択される印刷プロセスによって実施する、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記配向段階b)は、前記コーティング段階a)と同時に実施する、請求項18または19の一方に記載のプロセス。
【請求項21】
前記配向段階b)を前記コーティング段階a)に続いて実施する、請求項18〜19の一項に記載のプロセス。
【請求項22】
前記硬化/乾燥段階c)は、揮発性化合物の物理的蒸発、UV−硬化、酸化的レチキュレーション(oxidative reticulation)、化学的架橋、電子ビーム硬化またはその任意の組み合わせからなる群から選択されるプロセスによって実施する、請求項18〜21の一項に記載のプロセス。
【請求項23】
硬化固体インキビヒクル(I)中に磁気的に配向した光学可変性干渉顔料(P)を含む基材上の磁気的に誘導された画像コーティングであって、前記インキビヒクルの容積(V(I))対顔料の容積(V(P))の比は3.0を超え、好ましくは4.0を超え、最も好ましくは5.0を超え、且つ前記コーティング層はd50/3より厚く、好ましくはd50/2より厚いことを特徴とし、前記d50は、磁気的に配向可能な光学可変性干渉顔料フレークの平均直径である、前記磁気的に誘導された画像コーティング。
【請求項24】
紙幣、クレジットカード、アクセスカード、セキュリティバッジ、有価証券、権利書若しくは身分証明書、乗車券、宝くじ、イベントチケット、タックスバンデロール(tax banderole)、セキュリティスレッド、ラベル、ホイル、ストリップまたは製品セキュリティ用途における請求項23に記載の磁気的に誘導した画像コーティングの使用。
【請求項25】
請求項23に記載の磁気的に誘導された画像コーティングを含む、紙幣、クレジットカード、アクセスカード、セキュリティバッジ、有価証券、権利書若しくは身分証明書、乗車券、宝くじ、イベントチケット、タックスバンデロール、セキュリティスレッド、ラベル、ホイル、ストリップまたは製品セキュリティ用途用のセキュリティエレメント。
【請求項26】
赤外線マーカー、蛍光マーカー、UVマーカー、燐光マーカー、磁気マーカー、裁判用マーカー及びその混合物からなる群から選択されるマーキング手段をさらに含む、請求項25に記載のセキュリティエレメント。
【請求項27】
請求項25または26の一つに記載のセキュリティエレメントを含む、紙幣、クレジットカード、アクセスカード、セキュリティバッジ、有価証券、権利書若しくは身分証明書、乗車券、宝くじ、イベントチケット、タックスバンデロール、セキュリティスレッド、ラベル、ホイル、ストリップまたは製品セキュリティ用途。

【図1】
image rotate

【図2a)】
image rotate

【図2b)】
image rotate

【図3a)】
image rotate

【図3b)】
image rotate


【公表番号】特表2009−536974(P2009−536974A)
【公表日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508279(P2009−508279)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052993
【国際公開番号】WO2007/131833
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(500269417)シクパ・ホールディング・ソシエテ・アノニム (23)
【Fターム(参考)】