説明

磁気硬化性インク

【課題】硬化性磁気インくの提供
【解決手段】(a)少なくとも1つの硬化性モノマー、オリゴマーまたはプレポリマーを含むインクキャリアと、(b)少なくとも1つの光重合開始剤と、(c)カーボンコーティングされた磁気ナノ粒子とを含む硬化性磁気インク。該インクはインクジェット印刷及びその他の印刷法で用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書には、硬化性インクおよび硬化性インクの使用方法が開示されている。詳細には、本明細書には、磁気ナノ粒子を含む硬化性インクが開示されている。
【背景技術】
【0002】
磁気インクは、一般的に知られている。例えば、強磁性インクは、磁石によって磁化され、磁石が除去されても、飽和磁化の一部分は維持される。これらのインクは、自動化されたチェック処理のような磁気インク文字認識(「MICR」)用途に用いられることが知られている。それに加えて、超常磁性インクも磁場存在下で磁化されるが、磁場がなくなると磁化は失われる。これらのインクは、セキュリティ印刷用途で用いられることが知られており、この場合、例えば、米国特許第5,667,924号に開示されているインクを用いて作られるセキュアプリントの磁気金属特性が本物であることを証明するために、金属検出デバイスを用いる。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本明細書に開示されているインクは、硬化性である。「硬化性」は、インクキャリアが、重合可能であるか、または鎖伸長可能な少なくとも1つの化合物(すなわち、遊離ラジカル重合または鎖伸長、カチオン性重合または鎖伸長を含む重合によって硬化させることが可能であり、および/または、重合が、放射線感受性の光開始剤を用いることによって、光によって開始されるような材料)を含むことを意味する。放射線硬化性とは、本明細書で使用される場合、放射線源(光源および熱源を含み、開始剤存在下または開始剤が存在しない状態を含む)をあてると硬化するすべての形態を包含することを意図している。放射線硬化の例としては、場合により、光開始剤および/または光感作剤存在下での紫外(UV)光(例えば、200nm〜400nmの波長を有する光)、可視光など、場合により、光開始剤存在下での電子線照射、場合により、高温熱開始剤存在下での熱による硬化(好ましくは、転相インクを用いる場合、吐出温度では主に不活性である)、およびこれらの適切な組み合わせが挙げられる。
【0004】
適切な硬化性モノマー、オリゴマー、プレポリマーの例としては、プロポキシル化ネオペンチルジアクリレート、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸イソデシル、メタクリル酸イソデシル、カプロラクトンアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソオクチル、アクリル酸ブチルなど、およびこれらの混合物が挙げられる。適切な多官能アクリレートおよびメタクリレートのモノマー、オリゴマー、ポリマーの例としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,2−エチレングリコールジアクリレート、1,2−エチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,12−ドデカノールジアクリレート、1,12−ドデカノールジメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、アミン修飾されたポリエーテルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレートなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0005】
反応性のモノマー、オリゴマーまたはプレポリマーは、インク中に任意の望ましい量または任意の有効な量で存在し、一実施形態では、インクキャリアの少なくとも20重量%、別の実施形態では、インクキャリアの少なくとも30重量%、さらに別の実施形態では、インクキャリアの少なくとも40重量%、一実施形態では、インクキャリアの90重量%を超えず、別の実施形態では、インクキャリアの85重量%を超えず、さらに別の実施形態では、インクキャリアの80重量%を超えない量で存在するが、この量は、これらの範囲から外れていてもよい。
【0006】
また、インクキャリアは、場合により、ゲル化材料を含有していてもよい。
【0007】
適切なゲル化材料の例としては、米国特許第7,714,040号に開示されているような硬化性アミドゲル化剤、例えば、以下の式を有するもの
【化1】

が挙げられ、式中、
およびR’は、それぞれ互いに独立して、アルキル、アリールアルキルまたはアルキルアリールであり、RおよびR’は、それぞれ互いに独立して、アルキレン、アリーレン、アリールアルキレンまたはアルキルアリーレンであり、Rは、アルキレン、アリーレン、アリールアルキレンまたはアルキルアリーレンであり、nは、繰り返しアミド単位の数をあらわす整数であり、一実施形態では、少なくとも1であり、一実施形態では、20以下であり、別の実施形態では、15以下であり、さらに別の実施形態では、10以下であるが、nの値は、これらの範囲から外れていてもよい。
【0008】
また、ゲル化剤として適しているのは、米国特許第7,276,614号および第7,279,587号に記載されているジアミド化合物である。米国特許第7,279,587号に記載されているように、アミドゲル化剤は、以下の式を有する化合物であってもよく、
【化2】

式中、
は、
直鎖および分岐、飽和および不飽和、環状および非環状、置換および非置換のアルキレン基を含み、アルキレン基にはヘテロ原子が、アルキレン基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキレン(一実施形態では、炭素原子を少なくとも1個含み、一実施形態では、12個以下、4個以下の炭素原子を含み、さらに別の実施形態では、2個以下の炭素原子を含むが、炭素原子の数は、これらの範囲から外れていてもよい)と、
置換および非置換のアリーレン基を含み、アリーレン基には、ヘテロ原子が存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリーレン(一実施形態では、少なくとも5個、別の実施形態では、少なくとも6個の炭素原子を含み、一実施形態では、14個以下の炭素原子、別の実施形態では、10個以下、さらに別の実施形態では、6個以下の炭素原子を含むが、炭素原子の数は、これらの範囲から外れていてもよい)と、
置換および非置換のアリールアルキレン基を含み、アリールアルキレン基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキレン基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリールアルキレン(一実施形態では、少なくとも6個、別の実施形態では、少なくとも7個の炭素原子を含み、一実施形態では、32個以下、別の実施形態では、22個以下、さらに別の実施形態では、7個以下の炭素原子を含むが、炭素原子の数は、これらの範囲から外れていてもよい)と、または、
置換および非置換のアルキルアリーレン基を含み、アルキルアリーレン基のアルキル部分は、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリーレン基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキルアリーレン(一実施形態では、少なくとも6個、別の実施形態では、少なくとも7個の炭素原子を含み、一実施形態では、32個以下、別の実施形態では、22個以下、さらに別の実施形態では、7個以下の炭素原子を含むが、炭素原子の数は、これらの範囲から外れていてもよい)
であり、2個以上の置換基が結合して環を形成していてもよく、
およびR’は、それぞれ互いに独立して、
直鎖および分岐、飽和および不飽和、環状および非環状、置換および非置換のアルキレン基を含み、アルキレン基には、ヘテロ原子が、存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキレン(一実施形態では、少なくとも1個の炭素原子を含み、一実施形態では、54個以下、別の実施形態では、36個以下の炭素原子を含むが、炭素原子の数は、これらの範囲から外れていてもよい)と、
置換および非置換のアリーレン基を含み、アリーレン基には、ヘテロ原子が、存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリーレン(一実施形態では、少なくとも5個、別の実施形態では、少なくとも6個の炭素原子を含み、一実施形態では、14個以下、別の実施形態では、10個以下、さらに別の実施形態では、7個以下の炭素原子を含むが、炭素原子の数は、これらの範囲から外れていてもよい)と、
置換および非置換のアリールアルキレン基を含み、アリールアルキレン基のアルキル部分は、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状であってもよく、ヘテロ原子は、アリールアルキレン基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリールアルキレン(一実施形態では、少なくとも6個、別の実施形態では、少なくとも7個の炭素原子を含み、一実施形態では、32個以下、別の実施形態では、22個以下、さらに別の実施形態では、8個以下の炭素原子を含むが、炭素原子の数は、これらの範囲から外れていてもよい)と、または
置換および非置換のアルキルアリーレン基を含み、アルキルアリーレン基のアルキル部分は、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状であってもよく、ヘテロ原子は、アルキルアリーレン基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキルアリーレン(一実施形態では、少なくとも6個の炭素原子を含み、別の実施形態では、少なくとも7個の炭素原子を含み、一実施形態では、32個以下、別の実施形態では、22個以下、さらに別の実施形態では、7個以下の炭素原子を含むが、炭素原子の数は、これらの範囲から外れていてもよい)、であり、2個以上の置換基が結合して環を形成していてもよく、
およびR’は、それぞれ互いに独立して、
(a)光開始基、例えば、以下の式の1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンから誘導される基、
【化3】

以下の式の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンから誘導される基、
【化4】

以下の式の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンから誘導される基、
【化5】

以下の式のN,N−ジメチルエタノールアミンまたはN,N−ジメチルエチレンジアミンから誘導される基、
【化6】

など、または、
(b)
一実施形態では、少なくとも2個、別の実施形態では、少なくとも3個、さらに別の実施形態では、少なくとも4個の炭素原子を含み、一実施形態では、100個以下、別の実施形態では、60個以下、さらに別の実施形態では、30個以下の炭素原子を含むが、炭素原子の数は、これらの範囲から外れていてもよい、アルキル(直鎖および分岐、飽和および不飽和、環状および非環状、置換および非置換のアルキル基を含み、アルキル基には、ヘテロ原子が、存在していてもよく、存在していなくてもよい)と、
一実施形態では、少なくとも5個、別の実施形態では、少なくとも6個の炭素原子を含み、一実施形態では、100個以下、別の実施形態では、60個以下、さらに別の実施形態では、30個以下の炭素原子を含むが、炭素原子の数は、これらの範囲から外れていてもよい、アリール(置換および非置換のアリール基を含み、アリール基には、ヘテロ原子が、存在していてもよく、存在していなくてもよい)と、例えば、フェニルなど、
一実施形態では、少なくとも6個、別の実施形態では、少なくとも7個の炭素原子を含み、一実施形態では、100個以下、別の実施形態では、60個以下、さらに別の実施形態では、30個以下の炭素原子を含むが、炭素原子の数は、これらの範囲から外れていてもよい、アリールアルキル(置換および非置換のアリールアルキル基を含み、アリールアルキル基のアルキル部分は、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状であってもよく、ヘテロ原子は、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい)と、例えば、ベンジルなど、または
一実施形態では、少なくとも6個、別の実施形態では、少なくとも7個の炭素原子を含み、一実施形態では、100個以下、別の実施形態では、60個以下、さらに別の実施形態では、30個以下の炭素原子を含むが、炭素原子の数は、これらの範囲から外れていてもよい、アルキルアリール(置換および非置換のアルキルアリール基を含み、アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状であってもよく、ヘテロ原子は、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい)と、例えば、トリルなどの基であり、2個以上の置換基が結合して環を形成していてもよく、
但し、RおよびR’のうち、少なくとも1個は光開始基であり、
XおよびX’は、それぞれ互いに独立して、酸素原子であるか、または式NRの基であり、ここで、Rは、
水素、
直鎖および分岐、飽和および不飽和、環状および非環状、置換および非置換のアルキル基を含み、アルキル基には、ヘテロ原子が、存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキル(一実施形態では、少なくとも1個の炭素原子を含み、一実施形態では、100個以下、別の実施形態では、60個以下、さらに別の実施形態では、30炭素原子以下の炭素原子を含むが、炭素原子の数は、これらの範囲から外れていてもよい)と、
置換および非置換のアリール基を含み、ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリール(一実施形態では、少なくとも5個、別の実施形態では、少なくとも6個の炭素原子を含み、一実施形態では、100個以下、別の実施形態では、60個以下、さらに別の実施形態では、30個以下の炭素原子を含むが、炭素原子の数は、これらの範囲から外れていてもよい)と、
置換および非置換のアリールアルキル基を含み、アリールアルキル基のアルキル部分は、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状であってもよく、ヘテロ原子は、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリールアルキル(一実施形態では、少なくとも6個、別の実施形態では、少なくとも7個の炭素原子を含み、一実施形態では、100個以下、別の実施形態では、60個以下、さらに別の実施形態では、30個以下の炭素原子を含むが、炭素原子の数は、これらの範囲から外れていてもよい)と、または
置換および非置換のアルキルアリール基を含み、アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状であってもよく、ヘテロ原子は、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキルアリール(一実施形態では、少なくとも6個、別の実施形態では、少なくとも7個の炭素原子を含み、一実施形態では、100個以下、別の実施形態では、60個以下、さらに別の実施形態では、30個以下の炭素原子を含むが、炭素原子の数は、これらの範囲から外れていてもよい)、であり、2個以上の置換基が結合して環を形成していてもよい。
【0009】
これらの化合物の特定の例としては、
【化7】

〔式中、mは整数であり、mが2である実施形態を含む〕
【化8】

〔式中、nは整数であり、nが2である実施形態と、nが5である実施形態を含む〕
【化9】

〔式中、pは整数であり、pが2である実施形態と、pが3である実施形態を含む〕
【化10】

〔式中、qは整数であり、qが2である実施形態と、qが3である実施形態を含む〕
【化11】

〔式中、rは整数であり、rが2である実施形態と、rが3である実施形態を含む〕
など、およびこれらの混合物が挙げられ、それぞれの場合に、−C3456+a−は、不飽和部および環状基を含んでいてもよい、分岐したアルキレン基をあらわし、ここで、aは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の整数であり、以下の式の異性体を含む。
【化12】

【0010】
また、ゲル化剤として適切なのは、以下の式を有する、末端が芳香族エステルのジアミド化合物であり、
【化13】

式中、RおよびR’は、同じであってもよく、異なっていてもよく、RおよびR’は、それぞれ互いに独立して、
【化14】

【化15】

のような基であってもよく、
およびR’は、不飽和部および環状基を含んでいてもよい分岐アルキレン基である式−C3456+a−を有する異性体のような基を含み、aは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の整数であり、Rは、例えば、2010年4月22日に出願された米国出願第12/765,148号に開示されているような、−CH−のような基、例えば、以下の式を有するもの
【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

など、およびこれらの混合物を含む。
【0011】
また、ゲル化剤として適切なのは、例えば、米国特許第7,153,349号に開示されているようなtrans−1,2−シクロヘキサンビス(尿素−ウレタン)化合物であり、例えば、以下の式を有するもの
【化23】

またはこれらの混合物であり、式中、RおよびR’は、それぞれ互いに独立して、アルキレン、アリーレン、アリールアルキレンまたはアルキルアリーレンであり、RおよびR’は、それぞれ互いに独立して、アルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリールであり、RおよびR’は、それぞれ互いに独立して、水素またはアルキルであり、RおよびR’は、それぞれ互いに独立して、水素、フッ素、アルキルまたはフェニルであり、nは、0、1、2、3または4の整数であり、各Rは、他と独立して、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、または、アルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルキルアリール以外の置換基であり、ここで、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基またはアルキルアリール以外の置換基は、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む)、イミン基、アンモニウム基、シアノ基、ピリジニウム基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、ウレタン基、尿素基、これらの混合物などであってもよく、2個以上の置換基が結合して環を形成していてもよい。
【0012】
ゲル化剤が存在する場合、ゲル化剤は、インク中に任意の望ましい量または任意の有効な量で存在し、一実施形態では、インクキャリアの少なくとも5重量%、別の実施形態では、インクキャリアの少なくとも7.5重量%、さらに別の実施形態では、インクキャリアの少なくとも10重量%、一実施形態では、インクキャリアの50重量%以下、別の実施形態では、インクキャリアの40重量%以下、さらに別の実施形態では、インクキャリアの30重量%以下の量で存在していてもよいが、この量は、これらの範囲から外れていてもよい。
【0013】
場合により、1つ以上のワックスをインクに加えてもよい。ある種の実施形態では、ワックスによって画像密度を上げることができ、画像の汚れを防ぐことができる。適切なワックスの例としては、ポリオレフィンワックス、例えば、低分子量ポリエチレンおよびポリプロピレンおよびこれらのコポリマー、Fischer−Tropschワックス、フルオロカーボン系ワックス(例えば、テフロンなど)、およびこれらの混合物が挙げられる。ワックスは、任意の望ましい量または任意の有効な量で存在していてもよく、一実施形態では、インクの少なくとも0.1重量%、別の実施形態では、インクの少なくとも1重量%、一実施形態では、インクの10重量%以下、別の実施形態では、インクの6重量%以下の量で存在していてもよいが、この量は、これらの範囲から外れていてもよい。
【0014】
ある特定の実施形態では、ワックスは、硬化性ワックスであってもよい。硬化性ワックスは、変換可能な官能基(例えば、カルボン酸またはヒドロキシル)を含有するワックスと、硬化性基または重合可能な基を含む試薬とを反応させることによって合成することができる。ヒドロキシル基を含有するワックスの適切な例としては、末端がヒドロキシルのポリエチレンワックスおよびGuerbetアルコール(2,2−ジアルキル−1−エタノールとして特徴づけられる)が挙げられる。変換可能なカルボン酸基を含む適切なワックスとしては、末端がカルボン酸のポリエチレンおよびGuerbet酸(2,2−ジアルキルエタノール酸として特徴づけられる)が挙げられる。存在する硬化性基としては、アクリレート、メタクリレート、アルケン、アルキン、ビニル、アリルエーテルを挙げることができる。適切な硬化性ワックスの例は、式CH(CH−CHOH(式中、nは、繰り返しCH基の数をあらわす整数である)の化合物と、アクリル酸またはメタクリル酸との反応生成物である。
【0015】
硬化性ワックスは、インク中に任意の望ましい量または任意の有効な量で存在してもよく、一実施形態では、インクキャリアの重量の少なくとも1%、別の実施形態では、少なくとも2%、さらに別の実施形態では、少なくとも3%、一実施形態では、40%以下、別の実施形態では、30%以下、さらに別の実施形態では、20%以下の量で存在していてもよいが、その量は、これらの範囲から外れていてもよい。
【0016】
インクキャリアは、インク中に任意の望ましい量または任意の有効な量で存在し、一実施形態では、インクの少なくとも0.1重量%、別の実施形態では、インクの少なくとも50重量%、さらに別の実施形態では、インクの少なくとも70重量%、さらに別の実施形態では、インクの少なくとも90重量%、一実施形態では、インクの97重量%以下、別の実施形態では、インクの95重量%以下、さらに別の実施形態では、インクの85重量%以下の量で存在するが、この量は、これらの範囲から外れていてもよい。
【0017】
インク組成物は、開始剤をさらに含む。遊離ラジカル開始剤の例としては、ベンジルケトン、ヒドロキシルケトンモノマー、ヒドロキシルケトンポリマー、α−アミノケトン、アシルホスフィンオキシド、メタロセン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体などが挙げられる。
【0018】
インクは、カーボンコーティングされた磁気ナノ粒子をさらに含む。コーティングされた磁気ナノ粒子は、表面がカーボンコーティング材料でコーティングされたコア磁気ナノ粒子を含む。コーティングされた磁気ナノ粒子は、異なる形状、例えば、卵形、立方体、球、六角形などを有するように製造することができるが、他の形状も適している。細長いナノ粒子(例えば、針状または棒状のナノ粒子)も同様に適している。平板状、針状、柱状、八面体、十二面体、管状、立方体、六角形、卵形、球、樹枝状、角柱、アモルファス形状も適している。アモルファス形状は、現在のインクの観点で、認識可能な形状を有する、うまく定義できない形状であると定義される。例えば、アモルファス形状は、端または角度が明確ではない。また、形状の混合物を用いてもよい。
【0019】
適切な磁気ナノ粒子の例としては、特に、磁気金属ナノ粒子、および例えば、コバルトおよび鉄を含む(立方体)強磁性ナノ粒子が挙げられる。他のものとしては、マンガン、ニッケル、上述のあらゆるものから作られるアロイが挙げられる。さらに、磁気ナノ粒子は、二元金属または三元金属、またはこれらの混合物であってもよい。適切な二元金属磁気ナノ粒子の例としては、限定されないが、CoPt、fcc(面心立方)相のFePt、fct(面心正方)相のFePt、FeCo、MnAl、MnBi、これらの混合物などが挙げられる。三元金属ナノ粒子の例としては、限定されないが、上の磁気ナノ粒子3種類の混合物、または三元金属ナノ粒子を形成するコア/シェル構造(例えば、Coで覆われたfct相のFePt)が挙げられる。
【0020】
ナノ粒子の磁気コアは、大きな粒子のボールミルアトリッション(ナノサイズの顔料の製造で用いられる一般的な方法)、次いでアニーリングを含む、当該技術分野で既知の任意の方法によって調製することができる。アニーリング工程は、ボールミルによってアモルファスナノ粒子が得られ、次いで、これを単結晶形態へと結晶化させるため、一般的に用いられる。また、ナノ粒子は、RFプラズマによって直接的に製造することができる。金属Feナノ粒子は、例えば、Watariら、「Effect of Crystalline Properties on Coercive Force in Iron Acicular Fine Particles」、J.Materials Sci.、23、1260〜1264(1988)、Shahら、「Effective Magnetic Anisotropy and Coercivity in Fe Nanoparticles Prepared by Inert Gas Condensation」、Int.J.of Modern Phys.B.、Vol.20(1)、37〜47(2006)、Bonderら、「Controlling Synthesis of Fe Nanoparticles with Polyethylene Glycol」、J.Magn.Magn.Mater.、311(2)、658〜664(2007)によって教示される方法にしたがって調製することができる。fct相のFePtナノ粒子は、例えば、Elkinsら、「Monodisperse Face−Centred Tetragonal FePt Nanoparticles with Giant Coercivity」、J.Phys.D:Appl.Phys.、pp.2306〜09(2005)、Liら、「Hard Magnetic FePt Nanoparticles by Salt−Matrix Annealing」、J.Appl.Phy.、99、08E911(2006)、またはTzitiosら、「Synthesis and Characterization of L1 FePt Nanoparticle From Pt (Au,Ag)/γ−Fe Core−Shell Nanoparticle」、Adv.Mater.、17、pp.2188〜92(2005)によって教示される方法にしたがって、fcc相のFePtナノ粒子から合成することができる。また、ナノ粒子は、溶媒(水を含む)中、多くの系内での方法によって製造することもできる。
【0021】
カーボンコーティングされた磁気ナノ粒子は、任意の望ましいプロセスまたは任意の適切なプロセスによって調製することができる。例えば、磁気コアは、レーザーエバポレーションプロセスによってコーティングすることができる。あるアプローチでは、グラファイト層でコーティングされたナノ粒子(例えば、直径が3〜10nmのニッケル)は、例えば、Q.Ou、T.Tanaka、M.Mesko、A.Ogino、M.Nagatsu、Diamond and Related Materials、Vol.17、Issues 4〜5、664〜8ページ、2008に開示されているように、レーザーアブレーション技術によって製造することができる。異なるアプローチでは、カーボンコーティングされたナノ粒子(例えば、鉄)は、例えば、Yu Liang Anら、Advanced Materials Research、92、7、2010に開示されているように、鉄を触媒として用い、水素を流しつつ、ポリビニルアルコールを炭化させることによって調製することができる。または、カーボンコーティングされたナノ粒子(例えば、鉄)は、アニーリング手順を用いて調製することができる。この手順は、あらかじめ作成された鉄ナノ粒子を安定化させるために用いられる、安定化している有機材料3−(N,N−ジメチルラウリルアンモニオ)プロパンスルホネートの炭化を誘発する。このプロセスは、炭化プロセスを確実に行うために、水素を流しつつ行われる。カーボンシェルは、例えば、Z.Guo、L.L.Henry、E.J.Podlaha、ECS Transactions、1(12)63〜69、2006)に開示されているように、酸性溶液中で鉄コアが酸化しないように有効に保護する。
【0022】
上述のように、本明細書の金属ナノ粒子は、強磁性であってもよく、超常磁性であってもよい。超常磁性ナノ粒子は、磁石によって磁化した後に、残留磁化はゼロである。強磁性ナノ粒子は、磁石によって磁化した後に、残留磁化がゼロより大きい。すなわち、強磁性ナノ粒子は、磁石によって誘発された磁化の一部分を維持している。ナノ粒子の超常磁性または強磁性は、一般的に、粒径、形状、材料の選択、温度をはじめとしたいくつかの因子の関数である。所与の材料の場合、所与の温度で、保磁力(すなわち、強磁性挙動)は、多磁区構造から単磁区構造への遷移に対応する臨界粒径で最大になる。この臨界粒径は、臨界磁区粒径(Dc、球状)と呼ばれる。単磁区範囲において、熱的緩和のために粒径が小さくなると、保磁力および残留磁化が急激に低下する。粒径をもっと小さくすると、熱の影響が優位になり、熱の影響が、すでに飽和磁化になったナノ粒子を消磁するのに十分強いため、誘発された磁化は完全に失われる。超常磁性ナノ粒子は、残留磁化および保磁力がゼロである。Dc以上の粒径を有する粒子は、強磁性である。例えば、室温で、鉄のDcは15nmであり、fccコバルトの場合、7nmであり、ニッケルの場合、55nmである。さらに、室温で、粒径が3、8、13nmの鉄ナノ粒子は超常磁性であり、一方、粒径が18〜40nmの鉄ナノ粒子は、強磁性である。アロイの場合、Dc値は、材料によって変わってもよい。さらなる詳細については、Burkeら、Chemistry of Materials、4752〜4761ページ、2002を参照。さらなる詳細については、米国特許公開第2009/0321676号、B.D.CullityおよびC.D.Graham、Introduction to Magnetic Materials、IEEE Press(Wiley)、第2版、2009、Chapter 11、Fine Particles and Thin Films、359〜364ページ、Luら、Angew.Chem.Int.Ed.2007、46、1222−444、Magnetic Nanoparticles:Synthesis,Protection,Functionalization and Applicationを参照。
【0023】
磁気ナノ粒子の上にあるカーボンコーティングは、原子状炭素を含む。適切なカーボンコーティング材料としては、アモルファスカーボン、ガラス状カーボン、グラファイト、カーボンナノフォーム、ダイアモンドなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
磁気ナノ粒子の上にあるカーボンコーティングは、任意の望ましい厚みまたは任意の有効な厚みで存在していてもよく、一実施形態では、少なくとも0.2nm、別の実施形態では、少なくとも0.5nm、別の実施形態では、少なくとも1nm、一実施形態では、100nm以下、別の実施形態では、50nm以下、さらに別の実施形態では、20nm以下の厚みで存在していてもよいが、コーティングの厚みは、これらの範囲から外れていてもよい。
【0025】
カーボンコーティングされた磁気ナノ粒子は、任意の望ましい平均粒径または任意の有効な平均粒径を有していてもよく、一実施形態では、少なくとも3nm、別の実施形態では、少なくとも10nm、別の実施形態では、少なくとも20nm、一実施形態では、500nm以下、別の実施形態では、300nm以下、さらに別の実施形態では、250nm以下の平均粒径を有していてもよいが、平均粒径は、これらの範囲から外れていてもよい。ここで、「平均」粒径は、d50として表わされるか、または、粒径分布の50%のときのメジアン粒径であると定義され、ここで、分布中の粒子の50%は、d50粒径の値よりも大きく、この分布中の粒子の他の50%は、d50の値よりも小さい。平均粒径は、粒径を推測する光分散技術(例えば、動的光散乱)を用いる方法によって測定することができる。粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって作成された粒子の画像から誘導される粒子の長さ、または動的光散乱から誘導される粒子の長さを指す。
【0026】
磁気ナノ粒子の保磁力は、例えば、一実施形態では、少なくとも200エルステッド、別の実施形態では、少なくとも1,000エルステッド、さらに別の実施形態では、少なくとも10,000エルステッド、一実施形態では、50,000エルステッド以下、別の実施形態では、40,000エルステッド以下、さらに別の実施形態では、20,000エルステッド以下であってもよいが、この量は、これらの範囲から外れていてもよい。
【0027】
磁気ナノ粒子は、残留磁化が、一実施形態では、少なくとも20emu/g、別の実施形態では、少なくとも30emu/g、さらに別の実施形態では、少なくとも50emu/g、一実施形態では、100emu/g以下、別の実施形態では、80emu/g以下、さらに別の実施形態では、70emu/g以下であってもよいが、この量は、これらの範囲から外れていてもよい。
【0028】
磁気ナノ粒子の磁気飽和モーメントは、例えば、一実施形態では、少なくとも20emu/g、別の実施形態では、少なくとも30emu/g、さらに別の実施形態では、少なくとも50emu/g、一実施形態では、150emu/g以下、別の実施形態では、100emu/g以下、さらに別の実施形態では、80emu/g以下であってもよいが、この量は、これらの範囲から外れていてもよい。
【0029】
カーボンコーティングされた磁気ナノ粒子は市販されている(例えば、Nanoshel Corporation(Wilmington、DE)から)。
【0030】
カーボンコーティングされた磁気ナノ粒子は、インク中に任意の望ましい量または任意の有効な量で存在し、一実施形態では、インクの少なくとも0.5重量%、別の実施形態では、インクの少なくとも5重量%、さらに別の実施形態では、インクの少なくとも6重量%、一実施形態では、インクの30重量%以下、別の実施形態では、インクの10重量%以下、さらに別の実施形態では、インクの8重量%以下の量で存在するが、この量は、これらの範囲から外れていてもよい。
【0031】
MICRインク用途では、インクは、強磁性ナノ粒子を含む。強磁性材料は、MICRで読み取り可能な信号を作成し、同じ経過時間保持する能力を有するような磁化源にさらすと、十分な残留磁化を示す。一般的に、許容可能な電荷レベルは、産業標準によって設定されるように、50〜200Signal Level Unitであり、100は、公称どおりの値であり、ANSIによって現像される標準から定義される。信号が少ないほど、MICR読み取りデバイスで検出されない場合があり、信号が大きいほど、正確に読み取られない場合がある。
【0032】
場合により、インクは、カーボンコーティングされた磁気ナノ粒子に加え、着色剤を含有していてもよい。着色剤をインクキャリアに溶解または分散させることができる限り、染料、顔料、これらの混合物などを含め、任意の望ましい着色剤または有効な着色剤を使用してもよい。
【0033】
インクの硬化は、インク画像に、任意の望ましい波長または任意の有効な波長で、一実施形態では、少なくとも200nm、一実施形態では、480nm以下の波長で化学線をあてることによって行うことができるが、波長は、これらの範囲から外れていてもよい。硬化とは、インク中の硬化性化合物に化学線をあてると、架橋、鎖伸長などの分子量増加が起こることを意味する。
【0034】
このインクは、直接印刷であるインクジェットプロセスおよび間接的な(オフセット)印刷インクジェット用途の装置で使用することができる。また、本明細書に開示されるような硬化性インクをインクジェット印刷プロセス以外の印刷プロセスに用いてもよい。
【実施例】
【0035】
(実施例I)
Nanoshel Corporationから得た、平均粒径が25nmの受領したままのカーボンコーティングされた鉄ナノ粒子の袋を、安全性の予防措置として、酸素および湿度がそれぞれ5ppmおよび5ppmになるように最初にアルゴンを入れておいたグローブボックス内で開けた。過剰な熱が観察されないことは、グローブボックス内で顕著な酸化が起こらなかったことを示している。その後、これらの粒子を少量グローブボックスから取り出し、空気にさらしたが、炎は出なかった。次いで、これらの粒子を磁気インク調製のために空気中で多量に取り扱った。
【0036】
比較の目的で、MTI Corp.から得たコーティングされていない鉄ナノ粒子(平均粒径50nm)を、同じ条件下、グローブボックス内で開封した。これらの条件下でさえ、この粒子はすぐに非常に熱くなった。この粒子は、アルゴンガス中の酸素および水(それぞれ約5ppm)を捕捉することによってすばやく酸化し、本質的に磁気残留性のほとんどが失われた。空気中で開封すると、これらの自然発火性材料はすぐに発火するだろう。
【0037】
(実施例II)
アトライタにジルコニアショット(1,800g)を加え、これにプロポキシル化ネオペンチルジアクリレート硬化性モノマー(SR9003、57.6g、Sartomer Co.Inc.から得た)、アクリルブロックコポリマー(EFKA 4340、27.4g、BASFから得た、メトキシプロパノール溶液であるが、使用前に溶媒を除去した)を加えた。得られた混合物を200rpmで撹拌し、その後、15gのカーボンコーティングされた鉄ナノ粒子(Nanoshel Corporationから得た、平均粒径25nm)を1分間かけて加えた。次いで、この混合物を20時間撹拌し、次いで、ふるい分けし、ステンレス鋼ショットを除去し、カーボンコーティングされた鉄粒子の15%分散物40gを得た。
【0038】
次いで、8.73gの15重量%磁気鉄ナノ粒子、0.5gのジペンタエリスリトールペンタアクリレート硬化性モノマー(SR399LV、Sartomer Corporationから得た)、0.3gのIRGACURE 379(2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン)、0.1gのIRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド)、0.35gのIRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン)、0.02gのIRGASTAB UV10(缶内の窒素酸化物系安定化剤)を混合することによって、13重量%のカーボンコーティングされた鉄磁気粒子を含むインク10gを調製した。得られた混合物をガラス瓶に入れ、85℃で2時間撹拌した。
【0039】
このようにして調製したインク滴を紙の上に置き、インクでコーティングされた紙を、水銀D球を取り付けた600W Fusions UV Lighthammerランプの下をベルト速度32フィート/分で通すことによって硬化させた。液滴の表面に膜が張っているのが視認され、これは硬化が起こったことを示している。
【0040】
磁気UV硬化性インクの硬化した液滴がついた紙は、磁気によって引き寄せられ、このことは、
インクの製造および硬化のプロセスが、磁気インクに匹敵するものであり、カーボンコーティングされた磁気粒子が、硬化後にも磁気特性を維持していることを示している。
【0041】
(実施例III)
実施例IIのプロセスを繰り返すが、但し、カーボンコーティングされた鉄ナノ粒子の平均粒径は25nmではなく5nmであり、これらの粒子は超常磁性である。インクは磁気に引き寄せられるが、磁気が除去されると、その磁化も失われるであろうと考えられる。
【0042】
(実施例IV)
実施例IIのプロセスを繰り返すが、但し、カーボンコーティングされたナノ粒子は、鉄のコアではなくコバルトのコアを有している。同様の結果が観察されるであろうと考えられる。
【0043】
(実施例V)
実施例IIのプロセスを繰り返すが、但し、カーボンコーティングされたナノ粒子は、鉄のコアではなく、MnBiのコアを有している。同様の結果が観察されるであろうと考えられる。
【0044】
(実施例VI)
実施例IIのプロセスを繰り返すが、但し、カーボンコーティングされたナノ粒子は、鉄のコアではなく、鉄−ニッケルのコアを有している。同様の結果が観察されるであろうと考えられる。
【0045】
(実施例VII)
8.58gのプロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート(Sartomer SR 9003)、1.65gのアミン修飾されたポリエーテルアクリレート(BASF PO 83 F)、0.55gの2−ベンジル 2−ジメチルアミノ 1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1(BASF IRGACURE 369)を混合し、赤色染料の代わりに、1.2gのNanoshel Corporationから入手可能な平均粒径が28nmのカーボンコーティングされたコバルトナノ粒子に置き換えることによって、米国特許第7,754,779号のインク実施例1に記載されるようにUV硬化性インクを調製する。転相インクジェットプリンタから吐出させるのに適した磁気紫外線硬化性インクが得られ、MICR検出器(例えば、自動化されたチェック処理)および他の磁気インク検出器で検出可能なものによって読み取り可能な画像が得られるだろうと考えられる。
【0046】
(実施例VIII)
放射線硬化性ゲルUVインクを以下のように調製する。10gの実施例IIのパートAから得られた15%磁気鉄ナノ粒子インク濃縮物を、0.3gのIRGACURE 379、0.1gのIRGACURE 819、0.35gのIRGACURE 127、0.02gのIRGASTAB UV10、0.91gの米国出願第12/765,148号の実施例3に記載されるように調製され、以下の式を有するゲル化剤と、
【化24】

0.62gのUNILIN 350ワックス(Baker Petroliteから入手可能)と混合した。得られた混合物をガラス瓶に入れ、85℃で2時間撹拌する。このプロセスによって、12重量%のカーボンコーティングされた鉄ナノ粒子を含む硬化性ゲルUV磁気インク10.8gが得られるだろうと考えられる。
【0047】
(実施例IX)
米国特許第7,153,349号の実施例IIに記載されるように、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート(SR9003)、アミン修飾されたポリエーテルアクリレート(PO 94F)、IRGACURE 369、DAROCUR ITX、IRGACURE 819、以下の式を有するゲル化剤、
【化25】

および
【化26】

を含む放射線硬化性ゲルUVインクを調製する。しかし、元の原稿に記載されている青色顔料の代わりに、所定量のカーボンコーティングされた鉄顔料粒子(平均粒径25nm、Nanoshel Corporationから入手可能)に置き換える。カーボンコーティングされたナノ粒子の量は、10%のカーボンコーティングされたナノ粒子を含むインクを与えるような量である。転相インクジェットプリンタから吐出させるのに適した磁気紫外線硬化性インクが得られ、MICR検出器(例えば、自動化されたチェック処理)および他の磁気インク検出器で検出可能なものによって読み取り可能な画像が得られるだろうと考えられる。
【0048】
(実施例X)
米国特許第7,714,040号の実施例Aに記載されているように、6.32重量%の下式の化合物
【化27】

〔式中、−C3456+a−は、不飽和部および環状基を含んでいてもよい分岐アルキレン基をあらわし、aは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の整数であり、nは1であり、下式の異性体
【化28】

を含み、n=1である〕、2重量%のイソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン(ITX、BASF Corporationから得た)、3重量%のα−アミノケトン(IRGACURE 379)、3重量%のIRGACURE 2959、0.2重量%のIRGASTAB UV10、77.98重量%のプロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート(SR9003、Sartomer)、7.5重量%の青色顔料分散物の代わりに、7.5重量%の実施例IIのインクで調製した磁気顔料分散物を含む放射線硬化性インクを調製する。
【0049】
転相インクジェットプリンタから吐出させるのに適した磁気紫外線硬化性インクが得られ、MICR検出器(例えば、自動化されたチェック処理)および他の磁気インク検出器で検出可能なものによって読み取り可能な画像が得られるだろうと考えられる。
【0050】
(実施例XVI)
米国特許第7,625,956号の実施例Iに記載されるように調製した、下式の7.5重量%アミドゲル化剤
【化29】

を、70.8重量%のプロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート(SR9003)、3.0重量%のIRGACURE(登録商標)379、2.0重量%のイソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン(DAROCUR(登録商標)ITX、BASF)、1.0重量.%のIRGACURE(登録商標)819、3.5重量%のIRGACURE(登録商標)127、0.2重量%のIRGASTAB(登録商標)UV10と混合し、90℃で1時間撹拌する。実施例IIのインクで調製した12重量%の磁気顔料分散物溶液を撹拌し、これに上で得られた溶液を、これも90℃で滴下する。このようにして調製したインクを90℃でさらに1時間撹拌した。転相インクジェットプリンタから吐出させるのに適した磁気紫外線硬化性インクが得られ、MICR検出器(例えば、自動化されたチェック処理)および他の磁気インク検出器で検出可能なものによって読み取り可能な画像が得られるだろうと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性磁気インクであって、
(a)少なくとも1つの硬化性モノマー、オリゴマーまたはプレポリマーを含むインクキャリアと、
(b)少なくとも1つの開始剤と、
(c)カーボンコーティングされた磁気ナノ粒子と、を含み、
前記インクに放射線をあてると硬化性を示す、硬化性磁気インク。
【請求項2】
前記インクに紫外線をあてると硬化性を示す、請求項1に記載のインク。
【請求項3】
前記カーボンコーティングされた磁気ナノ粒子が、(i)鉄、(ii)コバルト、(iii)ニッケル、(iv)マンガン、(v)鉄、コバルト、ニッケル、マンガンのアロイ、またはこれらの混合物、(vi)CoPt、(vii)fcc相のFePt、(viii)fct相のFePt、(ix)FeCo、MnAl、(x)MnBi、(xi)Coで覆われたfct相のFePt、または(xii)i〜xiの1つ以上の混合物を含むコアを有する、請求項1に記載のインク。
【請求項4】
前記磁気ナノ粒子の上の前記カーボンコーティングが、アモルファスカーボン、ガラス状カーボン、グラファイト、カーボンナノフォーム、ダイアモンド、およびこれらの混合物を含む、請求項1に記載のインク。
【請求項5】
前記磁気ナノ粒子の上の前記カーボンコーティングは、厚みが0.2nm〜100nmである、請求項1に記載のインク。
【請求項6】
前記カーボンコーティングされた磁気ナノ粒子は、平均粒径が3nm〜300nmである、請求項1に記載のインク。
【請求項7】
前記カーボンコーティングされた磁気ナノ粒子が、インク中に0.5〜30重量%の量で存在する、請求項1に記載のインク。
【請求項8】
前記カーボンコーティングされた磁気ナノ粒子が、200〜50,000エルステッドの保磁力を示す、請求項1に記載のインク。
【請求項9】
前記カーボンコーティングされた磁気ナノ粒子が、20〜150emu/gの磁気飽和モーメントを示す、請求項1に記載のインク。
【請求項10】
(1)インクジェット印刷装置に、
(a)少なくとも1つの硬化性モノマー、オリゴマーまたはプレポリマーを含むインクキャリアと、
(b)少なくとも1つの開始剤と、
(c)カーボンコーティングされた磁気ナノ粒子と、
を含み、放射線をあてると硬化性を示す、硬化性磁気インクを組み込むことと、
(2)前記インクを溶融させることと、
(3)前記溶融したインクの液滴を画像の模様になるように基材の上に吐出させることと、
(4)前記画像の模様に、硬化性放射線をあてることと、を含む、プロセス。

【公開番号】特開2012−193355(P2012−193355A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−42469(P2012−42469)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】