磁気記録媒体及び磁気記憶装置
【課題】磁気ディスクにおける情報記録精度の低減の抑制及び記録密度向上を図る。
【解決手段】磁性材料が堆積されて表面が平坦とされた連続記録層50Cと、磁性層と非磁性体が面内方向に交互に配置されて表面が平坦とされたDTR記録層50A,50Bが、磁気ディスク1の半径方向に分割された複数のデータ格納領域に割り当てられているので、磁気ヘッドとキャリッジアクチュエータとの位置関係等に応じて、隣接トラックの漏れ磁界等による影響が大きいと予想される領域にDTR記録層を割り当てておくことで情報記録精度の低減を抑制することが可能である。また、隣接トラックの漏れ磁界等による影響が小さい領域に連続記録層50Cを割り当てておくことで、ヘッドのコア幅を考慮してトラックピッチTpvを決定することができるので、磁気ディスク1の記録密度の向上を図ることが可能である。
【解決手段】磁性材料が堆積されて表面が平坦とされた連続記録層50Cと、磁性層と非磁性体が面内方向に交互に配置されて表面が平坦とされたDTR記録層50A,50Bが、磁気ディスク1の半径方向に分割された複数のデータ格納領域に割り当てられているので、磁気ヘッドとキャリッジアクチュエータとの位置関係等に応じて、隣接トラックの漏れ磁界等による影響が大きいと予想される領域にDTR記録層を割り当てておくことで情報記録精度の低減を抑制することが可能である。また、隣接トラックの漏れ磁界等による影響が小さい領域に連続記録層50Cを割り当てておくことで、ヘッドのコア幅を考慮してトラックピッチTpvを決定することができるので、磁気ディスク1の記録密度の向上を図ることが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体及び磁気記憶装置に関し、特に円盤状のディスク基板及び当該ディスク基板上に設けられる磁性材料を備える磁気記録媒体、及び磁気記録媒体に対する情報の磁気記録や再生を行う磁気記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、磁気記憶装置(ハードディスクドライブ(HDD))では、磁気記録媒体として、円盤状の磁気ディスク媒体が一般的に用いられている。この種の磁気記憶装置では、装置の小型化及び磁気ヘッドの高速アクセス化を図るため、磁気ヘッドを保持する手段としてスイングアーム式のキャリッジ部材が採用されている。このキャリッジ部材は、支点となるピボットの一側に位置する力点で、ボイスコイルモータ(VCM)からの力を受け、他側に位置する作用点に設けられた磁気ヘッドを揺動する。この揺動により、磁気ヘッドは、磁気ディスク媒体の半径位置のいずれかに位置決めされる。この場合、磁気ヘッドは、支点を中心とした円軌道に沿って移動するので、位置決めされる媒体上の半径位置により、トラックに対して傾き角(スキュー角)を有することになる。
【0003】
このようなスキュー角を有することにより、磁気ヘッドからの漏れ磁界の影響が隣接トラックに及ぶと、隣接トラック上に書かれた情報が消去されたり、隣接トラック上にノイズが記録されるなどの現象が発生する。このため、近年では、上記現象による影響を回避して高記録密度を達成するための技術として、ディスクリートトラック記録(DTR)方式が注目されている。
【0004】
ディスクリートトラック記録方式では、図15(a)及び図15(a)のA−A’線断面図である図15(b)に示すように、ディスク基板202上に塗布された磁性材料204を円周方向に非磁性材料206で分断し、同心円状のトラックを形成する。このようにすることで、隣接トラック同士の磁気的な干渉が低減されるとともに、トラックピッチを接近させやすくなり、記録密度を向上することが可能となる。
【0005】
一方、磁気記録媒体への磁化情報の記録・再生を行う磁気ヘッドは、微細加工プロセスを経てウエハ上に形成されるが、この微細加工プロセスを用いた形成方法では、磁気ヘッドのコア幅に形成ばらつきが生じる可能性が高い。更に、磁気記録媒体上のトラックピッチは磁気ヘッドのコア幅により影響を受けることから、磁気記録媒体の最適トラックピッチは、ヘッドのコア幅(形成ばらつき)に応じて異なる。
【0006】
これに対し、最近では、あらかじめ書き込まれたサーボ情報から得られるトラックピッチに対し、ヘッドが定位する磁気記録媒体の半径位置に応じた係数を掛けるなどして、ヘッドごとに最適なトラックピッチを設定する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2005−071433号公報
【特許文献2】特開2006−048751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したディスクリートトラック記録方式では、ディスク上にトラックが予め形成されているため、ヘッドのコア幅に応じて、ヘッドごとに最適なトラックピッチを設定するということができない。
【0009】
すなわち、ディスクリートトラック記録方式では、ヘッドのコア幅にかかわらず記録密度が一律であるので、ヘッドのコア幅に合わせて記録密度を変化させるなどの処理を行うことができない。
【0010】
なお、特許文献2には、ディスクリートトラック記録方式においても、スキュー角など磁気ヘッドが定位される磁気記録媒体上の半径位置に応じた漏れ磁界の影響に対応する方法が開示されている。この技術では、スキュー角の大きくなるような位置においては、媒体の非磁性体ガードバンドの幅が広くなるような構成とすることで、漏れ磁界の影響を軽減するものであるが、当該技術を用いたとしても、ヘッドごとに異なるコア幅の形成ばらつきに応じた記録密度の調整はできない。
【0011】
そこで本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、隣接トラックへの情報記録による情報記録精度の低減を抑制するとともに、記録密度を向上することが可能な磁気記録媒体を提供することを目的とする。また、本発明は、情報記録精度及び情報記録密度の向上を図ることが可能な磁気記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書に記載の磁気記録媒体は、円盤状のディスク基板と、前記ディスク基板上の半径方向に分割された複数のデータ格納領域のうちの少なくとも1つに設けられ、磁性材料が堆積された第1記録層と、前記ディスク基板上の前記複数のデータ格納領域のうちの残りの領域に設けられ、磁性材料と非磁性材料が前記ディスク基板上面の面内方向に交互に配置された第2記録層と、を備える磁気記録媒体である。
【0013】
これによれば、磁性材料が堆積された第1記録層と、磁性材料と非磁性材料がディスク基板上面の面内方向に交互に配置された第2記録層が、ディスク基板上の半径方向に分割された複数のデータ格納領域に割り当てられているので、例えば、隣接トラックの漏れ磁界等による影響が大きい領域に第2記録層を割り当てておくことで、情報記録精度の低減を抑制することができる。また、例えば、隣接トラックの漏れ磁界等による影響が小さい領域に第1記録層を割り当てておくことで、ヘッドのコア幅を考慮してトラックピッチを決定することができるので、情報記録密度を向上することができる。
【0014】
本明細書に記載の磁気記憶装置は、円盤状のディスク基板と、前記ディスク基板上の半径方向に分割された複数のデータ格納領域のうちの少なくとも1つに設けられた磁性材料が堆積された第1記録層と、前記ディスク基板上の前記複数のデータ格納領域のうちの残りのデータ格納領域に設けられ、磁性材料と非磁性材料が前記ディスク基板上面の面内方向に交互に配置された第2記録層と、を有する磁気記録媒体に対する情報の磁気記録、及び前記情報の再生を行う磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを保持するヘッド支持部材と、前記ヘッド支持部材を支軸を中心に揺動して、前記磁気ヘッドを前記第1記録層又は前記第2記録層上に位置決めする駆動装置と、を備える磁気記憶装置である。
【0015】
これによれば、磁性材料が堆積された第1記録層と、磁性材料と非磁性材料がディスク基板上面の面内方向に交互に配置された第2記録層が、ディスク基板上の半径方向に分割された複数のデータ格納領域に割り当てられているので、例えば、磁気ヘッドとヘッド支持部材(支軸)との位置関係等に応じて、隣接トラックの漏れ磁界等による影響が大きいと予想される領域に第2記録層を割り当てておくことで、情報記録精度の低減を抑制することができる。また、例えば、隣接トラックの漏れ磁界等による影響が小さいと予想される領域に第1記録層を割り当てておくことで、ヘッドのコア幅を考慮してトラックピッチを決定することができるので、情報記録精度を向上することができる。
【発明の効果】
【0016】
本明細書に記載の磁気記録媒体は、データ格納領域において、隣接トラックへの情報記録による情報記録精度の低減を抑制するとともに、記録密度を向上することができるという効果を奏する。また、本明細書に記載の磁気記憶装置は、情報記録精度及び情報記録密度の向上を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
≪第1の実施形態≫
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図8に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置(ハードディスクドライブ(HDD))100の構成を概略的に示す図である。本第1の実施形態では、磁気記憶装置100が、円盤状の磁気記録媒体(磁気ディスク)1を備えているので、以下においては、磁気記憶装置100を、「磁気ディスク装置100」と呼ぶものとする。
【0019】
磁気ディスク装置100は、図1に示すように、ディスクエンクロージャ101と、回路基板120とを備えている。
【0020】
ディスクエンクロージャ101は、磁気ディスク1、磁気ディスク1を保持して回転駆動するスピンドルモータ102、ヘッドスライダ103、ヘッド保持部材としてのキャリッジアクチュエータ105、ヘッドアンプ107、及びこれら各部を搭載して密封する筐体109等を含んでいる。
【0021】
このうち、キャリッジアクチュエータ105は、キャリッジアーム106と、キャリッジアーム106の一端側に設けられ、ヘッドスライダ103を保持するヘッドジンバル組立体(HGA)108と、キャリッジアーム106の他端側に設けられたコイル104と、支軸としてのシャフト110と、を含んでいる。このうち、コイル104と、コイル104を取り囲む状態で設けられたヨーク130が有する図示しない磁石とにより、駆動装置(VCM)が構成されている。
【0022】
ヘッドスライダ103は、HGA108の先端部に搭載され、磁気ディスク1に対向した状態で所定間隔を空けて、浮上支持されるようになっている。このヘッドスライダ103は、図2に拡大して示すように、磁気ディスク1に磁気情報を記録する記録素子150と、磁気ディスク1に記録された磁気情報を電気信号として取り出す再生素子151とを有する。記録素子150は、例えば、磁束を発生させる機能を有するライトコイル、当該ライトコイルにおいて発生した磁束を収容し、その磁束を磁気ディスクに向けて放出する主磁極層、及び主磁極層から放出された磁束を、磁気ディスクを経由して環流させる補助磁極層を含む。再生素子151には、例えばMR素子(磁気抵抗効果素子)などを用いている。なお、記録素子150と再生素子151とにより、磁気ヘッドが構成されている。
【0023】
HGA108のヘッドスライダ103が搭載されていない側の端部は、キャリッジアーム106の先端に固定されている。したがって、駆動装置(VCM)による駆動力を受けて、キャリッジアーム106がシャフト110を回転軸として回転駆動されることにより、ヘッドスライダ103が揺動駆動され、磁気ディスク1の任意の半径位置に位置決めされる。そして、ヘッドスライダ103が磁気ディスク1上の所望の記録トラックに位置決めされた状態では、記録素子150を用いた記録トラックに配列された記録ビットへの情報の書き込みや、再生素子151を用いた磁気ディスク1からの情報の読み取りが行われる。
【0024】
図3には、ヘッドスライダ103の位置決め位置(半径位置)と、スキュー角との関係が示されている。この図3に示すように、磁気ディスク1のデータの記録または再生が行われるデータ格納領域において、磁気ディスク1のほぼ中央(中周部領域)にヘッドスライダ103が位置する場合には、トラックTBの接線方向LBと、ヘッドスライダ103の方向(再生素子151の中心と記録素子150の中心を結ぶ方向)HBとが略一致する。一方、磁気ディスク1のデータ格納領域の外周縁近傍(外周部領域)にヘッドスライダ103が位置する場合には、トラックTAの接線方向LAと、ヘッドスライダ103の方向HAとの間にスキュー角(このスキュー角を「プラスの角度」と呼ぶ)が生じる。また、磁気ディスク1の内周縁近傍(内周部領域)にヘッドスライダ103が位置する場合には、トラックTCの接線方向LCと、ヘッドスライダ103の方向HCとの間にスキュー角(このスキュー角を「マイナスの角度」と呼ぶ)が生じる。
【0025】
図1に戻り、ヘッドアンプ107は、後述するリードチャネル116から送信されてくる記録信号113に基づいて、ヘッドスライダ103に搭載される記録素子150に電流を供給して、磁気ディスク1に対する情報記録を行ったり、ヘッドスライダ103の再生素子151が検出した磁気ディスク1の磁化情報を、再生信号114に変換して、リードチャネル116に送信する機能を有している。
【0026】
回路基板120は、リードチャネル116、マイクロ・プロセッシング・ユニット(MPU)115、スピンドルモータ(SPM)ドライバ111、ボイスコイルモータ(VCM)ドライバ112、ディスクコントローラ117、フラッシュメモリなどから成るメモリ119等を有する。
【0027】
リードチャネル116は、ヘッドアンプ107からの再生信号114(サーボ信号あるいはデータ信号)を解読して、デジタル情報に変換する。また、リードチャネル116は、ディスクコントローラ117において記録指示が出された情報を、ヘッドアンプ107を駆動するための記録信号113に変換する。
【0028】
MPU115は、リードチャネル116が解読したサーボ信号のデジタル情報(サーボ情報)に基づいて、VCMドライバ112を介してVCM104を駆動してヘッドスライダ103(磁気ヘッド(記録素子150又は再生素子151))の位置決め制御を行う。また、MPU115は、SPMドライバ111を介してSPM102を駆動して磁気ディスク1の回転制御を行う。
【0029】
ディスクコントローラ117は、ホストコンピュータ118からの記録再生命令によって、MPU115に、ヘッドスライダ103の位置決めを指示し、ヘッドスライダ103(磁気ヘッド)の磁気ディスク1へのアドレッシングを行う。また、ディスクコントローラ117は、リードチャネル116との間で記録再生するデジタル情報の送受信を行い、その結果をホストコンピュータ118へ返信する動作を実行する。
【0030】
次に、本第1の実施形態で用いられる磁気ディスク1について、図4(a)、図4(b)に基づいて詳細に説明する。図4(a)は、磁気ディスク1の平面図であり、図4(b)は、図4(a)のA−A’線断面図である。
【0031】
図4(a)、図4(b)に示すように、磁気ディスク1は円盤状のガラス基板86を有しており、その上面には、半径方向に分割されたドーナツ状の複数(図4(a)では、3つ)の領域(データ格納領域)が設けられている。
【0032】
これら3つの領域のうち、内周部(断面図のA−B間)の領域と、外周部(断面図のB’−A’間)の領域には、磁性材料から成るトラックと、各トラック間に配置され、各トラック間を物理的に分断する非磁性材料(非磁性体ガードバンド)とを有するDTR記録層50A,50Bが設けられる。なお、以下においては、これらの領域を、ディスクリートトラック記録領域(DTR領域)50A,50Bとも呼ぶものとする。ここで、非磁性材料としては、例えば、SiO2を採用することができる。なお、非磁性材料としては、Ni−AlなどSiO2以外の材料を採用することも可能である。また、本第1の実施形態では、トラック間の間隔(トラックピッチ)及びトラック幅は一律であるものとする。
【0033】
一方、中周部(断面図のB−B’間)の領域には、トラック間が非磁性体で分断されない連続記録層50Cが設けられる。以下においては、この領域を、連続領域50Cとも呼ぶものとする。なお、連続記録層50Cが、第1記録層を構成し、DTR記録層50A,50Bが、第2記録層を構成する。これらのうち、中周部の領域(連続記録層)50Cの半径方向長さ(B−B’)は、全半径長さA−A’の30%〜70%程度に設定されている。
【0034】
本実施形態において、中周部の領域の半径長さ(B−B’)を、長さA−A’の30%〜70%程度に設定した理由は以下のとおりである。
【0035】
後述するように、記録素子150の媒体対向面形状を、矩形ではなく逆台形状とすることで、スキュー角に起因する漏れ磁界記録の影響を低減することができる。図14(a)の如く、記録素子150の媒体対向面形状はテーパ角αを有した逆台形状となっているので、スキュー角を有する場合であっても、図14(b)のようにスキュー角θ≧αとなっていれば、トラック幅を超えるような記録は発生しない。しかしながら、図14(c)のようにスキュー角θ>αとなる場合には、漏れ磁界による隣接トラック消去が発生することになる。
【0036】
このような記録素子150の逆台形テーパ角は、大きく設定するほどスキュー角による漏れ磁界の発生を低減できるが、このテーパ角を過剰に大きくすることは、磁束を発生させる面積を減らし、磁気記録媒体の保磁力に対して必要なスイッチング磁界が発生できなくなることになるため、およそ5〜10°の範囲に設定することが望ましいとされる。
【0037】
磁気ヘッドのスキュー角範囲は、磁気ディスクにおいてアクセス可能な半径の範囲と、磁気ディスクの回転中心位置、キャリッジアームの回転中心位置とそこから磁気ヘッドまでの長さによって決定され、一般的な2.5インチ型の磁気ディスク装置ではおおよそ30°(±15°)前後となる。漏れ磁界の影響が問題とならないようなスキュー角は、前述の記録素子の逆台形テーパ角を5〜10°に設定した場合、これに等価な角度の範囲に収まっていることが必要とされる。すなわち、磁気ディスクのアクセス可能な半径のうち、1/3ないし2/3の範囲が漏れ磁界の影響が少ない領域と言える。これに若干の余裕を考慮すると、中周部の領域の半径長さは、記録可能な領域の全半径長さの30%〜70%程度であることが好ましいと言える。
【0038】
次に、図5(a)〜図5(l)に基づいて、磁気ディスク1の製造方法について説明する。この磁気ディスク1の製造においては、ナノインプリント・リソグラフィ方式が採用されている。
【0039】
まず、磁気ディスク1の製造の前段階として、図5(a)〜図5(d)の各工程を経て、ナノインプリント用のスタンパを作成する。具体的には、図5(a)において、不図示のスピンコータ等を用いてシリコン基板81上にレジスト82をスピンコート法等により塗布する。次いで、図5(b)において、EB露光装置を用いた電子ビーム露光や現像装置を用いた現像等を行い、レジスト82をパターニングする(パターニングされたレジスト83を得る)。この場合、レジスト83のパターンは、完成後の磁気ディスク1上に形成される磁性材料の配置と同一のものである。次いで、図5(c)において、レジスト83上に例えばニッケルなどでめっき処理を行い、めっき部84を形成する。次いで、図5(d)において、めっき部84をパターニングされたレジスト83から剥離して、ナノインプリント用スタンパ85を得る。
【0040】
次いで、上記のようにして製造されたナノインプリント用スタンパ85を用いて、図5(e)〜図5(l)の工程により磁気ディスク1を作成する。
【0041】
具体的には、まず、図5(e)において、ガラス基板86上に磁性層等、磁気記録媒体に通常形成される層87を堆積する。次いで、図5(f)において、層87上にエッチングに対して耐性を有する熱可塑性樹脂88を塗布する。次いで、図5(g)において、図5(d)にて得られたスタンパ85を、熱可塑性樹脂88上に加熱しながら加圧する。これにより、変形した樹脂層89を形成することができる。
【0042】
次いで、図5(h)において、スタンパ85を剥離し、パターニングされた樹脂層90を残す。次いで、図5(i)において、層87のうち、樹脂層90により覆われていない部分のみをエッチングし、パターニングされた層(磁性層)91を形成する。次いで、図5(j)において、パターニングされた磁性層91上に存在する樹脂層90を除去する。次いで、図5(k)において、パターニングされた磁性層91上に非磁性体92を充填し、図5(l)において、非磁性体92の表面を研磨あるいはエッチング処理等することにより平坦化して、磁性層91と非磁性体92とを露出させる。
【0043】
以上のような方法によって、本第1の実施形態において用いている磁気ディスク1を製造することができる。なお、本第1の実施形態では、熱インプリント方式を採用することとしたため、図5(f)では熱可塑性樹脂88を用いることとした。しかしながら、これに限られるものではなく、例えば、UVナノインプリント方式を採用する場合には、熱可塑性樹脂88に代えて、紫外光(UV)硬化性樹脂を使用することとしても良い。また、UVナノインプリント方式を採用する場合には、スタンパとして、UVを透過する例えば石英などの透明材料を用いる必要がある。
【0044】
なお、上記製造方法では、磁性層をエッチングしてパターニングし、当該パターン部分に非磁性材料を設けることとしたが、これに限られるものではない。例えば、磁性層をパターニングせずに、磁性層の一部(非磁性ガードバンドに対応する部分)をイオンドーピングすることによって、磁性層の一部が非磁性化されたDTR領域を形成することとしても良い。
【0045】
次に、図6(a)〜図6(c)に基づいて、本第1の実施形態における磁気記録方法、及び情報再生方法について説明する。
【0046】
図6(a)の符号「1030」及び「1031」は、図4における外周部(断面図のB’−A’)領域における、DTR領域(DTR記録層)50Bのトラックを示している。また、図6(b)の符号「1040」及び「1041」は、図4における中周部(断面図のB−B’間)領域における連続領域(連続記録層)50Cのトラックを示している。更に、図6(c)の符号「1050」及び「1051」は、図4における内周部(断面図のA−B間)領域におけるDTR領域(DTR記録層)50Aのトラックを示している。
【0047】
本第1の実施形態では、図6(a)に示すように、外周部領域では、記録素子150とトラック1030や1031との間にスキュー角が存在する。ここで、図7(a)に示すように、DTR方式を採用しない場合、トラック1010に記録動作を行なうと、磁気ディスク1上には、概ね記録素子150の幅Tw2の磁化パターンが形成されるとともに、その内周側(図7(a)における下側)には記録素子150の側辺からの漏れ磁界による影響により、必要なパターンとは異なる磁化パターンも同時に形成されてしまう。この場合、隣接トラックが存在しなければ、磁化パターンの読み取りには、幅Tw2よりも十分に狭い幅を有する再生素子をトラック1010上に定位させれば良いが、隣接トラック1011にも磁化パターンを形成する場合には、その漏れ磁界の影響により、図7(b)に示すようにトラック1010上の磁化パターンの外周側の一部(破線枠1100内)が上書きされてしまう。したがって、この上書きされた部分を再生素子151で読み取ることとすると、必要な信号を読み出すことができなくなる。また、上書きされた部分を読み取らないようにするためには、再生素子151の幅を極力狭くする必要があるが、素子幅を狭くしすぎると再生信号出力が低減することからしても実現は難しい。
【0048】
これに対し、本第1の実施形態では、図6(a)に示すように、トラック間に形成された非磁性体ガードバンド1200の存在により、幅Tw3のトラック1030,1031にのみ信号が記録される。したがって、トラック1030を記録するときに隣接するトラック1031に及ぼされる漏れ磁場の影響が、従来と比較して大きく低減されるようになっている。このように、本第1の実施形態では、図7(a)と同一幅のトラックピッチ(トラック間隔)(Tp)を採用しつつ、隣接するトラック間の漏れ磁界の影響を回避することができるので、記録密度の維持及び高精度な記録・再生が実現可能である。
【0049】
また、同様に、磁気ディスク1の内周部領域でも、図6(c)に示すようにスキュー角が存在するが、この場合にも、トラック1051を記録する際に外周側に隣接するトラック1050に及ぼされる漏れ磁場の影響が、トラック間に形成された非磁性体ガードバンド1200の存在によって、大きく低減されるようになっている。このように、内周部領域においても、外周部領域と同様、図7(a)と同一幅のトラックピッチ(Tp)を採用しつつ、隣接するトラック間の漏れ磁界の影響を回避することができるので、記録密度の維持及び高精度な記録・再生が実現可能である。
【0050】
一方、中周部領域にあっては、記録領域が連続領域(連続記録層)であることから、トラックピッチを自由に変更することができる。すなわち、本第1の実施形態では、トラックピッチTpvを、磁気ディスク1が搭載された磁気ディスク装置の記録素子150及び再生素子151の特性に応じて媒体ごとに設定することができる。この場合、トラックピッチTpvは、装置全体に要求される記録容量を満たし、かつエラーレートやS/Nなどの記録再生マージンを最大とするように最適に決定するようにする。このようにすることで、記録素子150及び再生素子151の特性に応じた最適なトラックピッチを選択でき、これにより、記録密度をより高密度にすることが可能となる。
【0051】
次に、本第1の実施形態において、図1のメモリ119に格納されているヘッド位置決め用のテーブル(トラック番号変換テーブル)について、図8に基づいて説明する。
【0052】
図8のトラック番号変換テーブルは、物理アドレストラック番号TN1を、磁気ディスク1上に予め形成されたサーボトラック番号TN0に変換するためのテーブルである。
【0053】
ここで、サーボトラック番号TN0は、磁気ディスク1の半径方向に一定の間隔Tpsで記録されているものとする。また、磁気ディスク1では、外周部領域(OD)の物理アドレストラック番号TN1が0〜9999であり、DTR領域(DTR記録層)であることから、トラックピッチが既定値Tpに設定されている。なお、ここでは、DTR領域のトラックに対しサーボトラック番号が等倍で同期して記録されているので、Tp=Tpsとなり、サーボトラック番号TN0も0〜9999となる。
【0054】
また、内周部領域(ID)においても、DTR領域(DTR記録層)であることから、トラックピッチが既定値Tpに設定されている。
【0055】
一方、中周部領域(MD)は、非DTR領域(連続領域)であるため、トラックピッチTpvは、搭載された磁気ヘッドの特性によって任意に設定することができ、図8の例では、Tpv=Tps/1.2とされている。すなわち、中周部領域(MD)では、外周部領域(OD)及び内周部領域(ID)に比べて1.2倍の高トラック密度となっている。このため、中周部領域(MD)では、物理アドレストラック番号TN1が10000〜21999であるのに対し、サーボトラック番号TN0が10000〜19999となる。
【0056】
なお、本実施形態では、いわゆるコンタクトスタートストップ(CSS)方式を採用することもできる。このような方式を採用した場合、データ格納領域以外の領域として、最内周領域にヘッドがランディングするCSSゾーンを設ける。なお、ランプローディング方式を採用した装置の場合は、ランディングの為の領域を設ける必要はない。
【0057】
なお、図8のテーブルはメモリ119に格納する場合に限らず、磁気ディスク1上のシステム領域に磁気的に格納することとしても良い。
【0058】
次に、図8のトラック番号変換テーブルを用いた、磁気ディスク1に対する情報の記録・再生制御方法について説明する。
【0059】
図1において、磁気ディスク装置100に接続されたホストコンピュータ118から情報の記録又は再生の指示が出されると、ディスクコントローラ117が、当該指示において指定された論理アドレスをフォーマッタ(ディスクコントローラ117に内蔵)に従って物理アドレス(磁気ディスク媒体におけるトラック番号およびセクタ番号)に変換する。そして、ディスクコントローラ117は、MPU115に対して物理アドレスに対応した場所へのヘッド位置決めを指示する。MPU115は、メモリ119に格納された図8に示すトラック番号変換テーブルに従い、物理アドレストラック番号TN1を、磁気ディスク1上に予め形成されたサーボトラック番号TN0に変換する。
【0060】
その後、MPU115は、磁気ディスク1上のサーボ情報を読み取り、指定のアドレスに対応するサーボトラック番号TN0に磁気ヘッド(記録素子150又は再生素子151)が位置決めされるように制御演算を行って、VCMドライバ112に駆動指示を出す。
【0061】
このようにすることで、本第1の実施形態のように、磁気ディスク1上に、DTR領域と非DTR領域(連続領域)が混在していても、適切な記録・再生制御を行うことが可能である。
【0062】
以上、詳細に説明したように、本第1の実施形態によると、磁性材料が堆積された連続記録層50Cと、磁性材料と非磁性材料が面内方向に交互に配置されたDTR記録層50A,50Bが、磁気ディスク1の半径方向に分割された複数の領域に割り当てられているので、磁気ヘッド(記録素子150、再生素子151)とキャリッジアクチュエータ105との位置関係等に応じて、隣接トラックの漏れ磁界等による影響が大きいと予想される領域(本第1の実施形態では内周部領域及び外周部領域)にDTR記録層50A,50Bを割り当てておくことで、情報記録精度の低減を抑制することが可能である。また、例えば、隣接トラックの漏れ磁界等による影響が小さい領域に連続記録層50Cを割り当てておくことで、ヘッドのコア幅を考慮してトラックピッチTpvを決定することができる。したがって、ヘッドの記録再生素子特性に応じて、再生信号の対ノイズ比率(S/N)などに必要十分なマージンを保持したまま記録密度が最大となるようなトラックピッチを設定することで、磁気ディスク1の記録密度を適切に向上することが可能である。
【0063】
また、本第1の実施形態では、DTR記録層の表面及び連続記録層の表面が平坦に設定されているので、ヘッドスライダ103がDTR記録層上方に位置する場合も、連続記録層情報に位置する場合も、同一の浮上特性を得ることができる。これにより、例えば、特開2006−31850号公報や米国特許7,199,977号明細書に記載のようなランディングゾーンを設けなくても良くなる。
【0064】
≪第2の実施形態≫
次に、本発明の第2の実施形態について、図9、図10に基づいて説明する。
【0065】
図9は、本第2の実施形態におけるヘッドスライダの中心線(記録素子150の中心と再生素子151の中心とを結ぶ線)とトラック接線間のスキュー角を示す図である。本第2の実施形態では、HGA108がキャリッジアーム106に対して固定スキュー角を有するように固定されている。これにより、本第2の実施形態では、ヘッドスライダ103が外周トラックTA上に定位したときに、トラック接線LAに対してスキュー角が0度近傍となるようになっている。また、ヘッドスライダ103が中周トラックTB上に定位したときや、内周トラックTC上に定位したときには、ヘッドスライダ103はトラック接線LB、LCに対してマイナスのスキュー角を有するようになっている。
【0066】
上記のように、本第2の実施形態では、ヘッドスライダ103が磁気ディスク1’の内周側に定位されるほど、スキュー角(スキュー角の絶対値)が大きくなることから、磁気ディスク1’としては、図10(a)、図10(b)に示すような磁気ディスクを採用する。なお、図10(a)は、磁気ディスク1’の平面図を示し、図10(b)は、図10(a)のA−A’線断面図を示している。
【0067】
これら図10(a)、図10(b)に示すように、磁気ディスク1’は、概略円盤状の形状を有し、その内周部(断面図のA−C間)の領域がトラック間が非磁性体で分断されたDTR領域(DTR記録層)50A’とされている。また、磁気ディスク1’の外周部(断面図のC−A’間)の領域は、トラック間が非磁性体で分断されない連続領域(連続記録層)50C’とされている。ここで、連続領域50C’の半径長さC−A’は、A−A’の全長の30%〜70%とする。なお、連続領域50C’を上記範囲に設定した理由は、第1の実施形態で説明した理由と同一である。
【0068】
また、磁気ディスク1’の製造方法等についても、上記第1の実施形態と同様である。
【0069】
以上説明したように、本第2の実施形態によると、スキュー角の変化傾向を考慮して、上述した第1の実施形態から磁気ディスクの構成を若干変更することとしているが、このようにしても、上記第1の実施形態と同様、DTR記録層50A’における情報記録精度の低減抑制と、連続記録層50C’における情報記録密度の向上を図ることが可能である。
【0070】
≪第3の実施形態≫
次に、本発明の第3の実施形態について、図11、図12に基づいて説明する。
【0071】
図11は、本第3の実施形態におけるヘッドスライダの中心線(記録素子150の中心と再生素子151の中心とを結ぶ線)とトラック接線間のスキュー角を示す図である。本第3の実施形態では、ヘッドスライダ103が内周トラックTC上に定位したときに、トラック接線LCに対してスキュー角が0度近傍となるようになっており、ヘッドスライダ103が中周トラックTB上に定位したときや、外周トラックTA上に定位したときに、ヘッドスライダ103がトラック接線LB、LAに対してプラスのスキュー角を有することになる。
【0072】
このように、本第3の実施形態では、ヘッドスライダ103が磁気ディスク1”の外周側に定位されるほど、スキュー角が大きくなることから、磁気ディスク1”としては、図12(a)、図12(b)に示すような磁気ディスクを採用する。図12(a)は、磁気ディスク1”の平面図を示し、図12(b)は、図12(a)のA−A’線断面図を示している。
【0073】
これら図12(a)、図12(b)に示すように、磁気ディスク1”は、概略円盤状の形状を有し、その内周部(断面図のA−D間)の領域がトラック間が非磁性体で分断されない連続領域(連続記録層)50C”とされている。また、磁気ディスク1”の外周部(断面図のD−A’間)の領域は、トラック間が非磁性体で分断されたDTR領域(DTR記録層)50A”とされている。ここで、連続領域50C”の半径長さC−A’は、A−A’の全長の30%〜70%とする。なお、連続領域50C”を上記範囲に設定した理由は、第1の実施形態で説明した理由と同一である。また、磁気ディスク1”の製造方法等についても、上記第1の実施形態と同様である。
【0074】
以上説明したように、本第3の実施形態によると、スキュー角の変化傾向を考慮して、上述した第1の実施形態から磁気ディスクの構成を若干変更することとしているが、このようにしても、上述した第1、第2の実施形態と同様、DTR記録層50A”における情報記録精度の低減抑制と、連続記録層50C”における情報記録密度の向上を図ることが可能である。
【0075】
なお、上記各実施形態では、ディスクリートトラック領域のトラックピッチやトラック幅が一律である場合について説明したが、これに限らず、スキュー角の変動傾向に応じて、トラックピッチやトラック幅を異ならせることとしても良い。
【0076】
なお、上記各実施形態では、スキュー角が大きくなる領域に、ディスクリートトラック領域を設ける場合について説明したが、これに限られるものではなく、ディスクリートトラックに代えて、磁性体を各々のビット毎に非磁性体で分離したビットパターン状の記録領域(ディスクリートビット領域)を設けることとしても良い。
【0077】
なお、上記各実施形態では、ディスクリートトラックを構成する非磁性材料として、SiO2やNi−Alなどの材料を用いる場合について説明したが、これに限らず、非磁性体材料を空気とすることとしても良い。すなわち、磁性体材料間を特別な材料で充填しないようにしても良い。
【0078】
なお、上記各実施形態では、説明を省略したが、上記各実施形態の磁気ディスクには、図13に示すように、サーボパターン領域51が放射線状に設けられる。このサーボパターン領域は、円周方向に断続かつ等間隔に形成されており、磁気ディスク1が回転している間に、記録素子150を用いてサーボパターン領域内のサーボパターンを読み取ることにより、一定時間間隔での半径位置情報を得ることが可能である。
【0079】
このサーボパターンは、DTR領域と同様、非磁性体と磁性体によるパターンとして、ナノインプリント・リソグラフィのスタンパに予め形成しておけば良い。また、サーボパターン領域内の磁性体については単一方向の磁化を行っておく必要がある。ただし、これに限らず、サーボパターンは、記録素子150を用いて記録することとしても良い。この場合、サーボパターン領域内は非磁性体で分離されていない連続領域になる。
【0080】
なお、上記各実施形態では、記録素子150の断面形状が長方形状である場合について説明したが、これに限られるものではなく、図14(a)に示すように、断面形状が、長方形の対向する辺(150a,150b)がα°だけ傾いたような形状(等角台形(等脚台形)状)の記録素子150’を採用しても良い。この場合、図14(b)に示すように、辺150aがトラックの接線方向(一点鎖線で示す方向)と平行となる角度(θ=α)と、辺150bがトラックの接線方向と平行となるまでの角度(θ=−α)との間では、はみ出し記録がされない。したがって、磁気ディスク上において、このようなはみ出し記録がされない範囲(スキュー角(θ)が次式(1)を満足する範囲)を、連続領域(連続記録層)に設定するようにすれば良い。
−α≦θ≦α …(1)
【0081】
また、図14(c)に示すように、スキュー角θが上式(1)を満たさない場合には、はみ出し記録が発生するので、このようなはみ出し記録が発生する範囲(上式(1)を満たさない範囲)を、DTR領域(DTR記録層)に設定するようにすれば良い。
【0082】
上述した各実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1の実施形態に係る磁気ディスク装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】ヘッドスライダに設けられた記録素子及び再生素子を拡大して概略的に示す図である。
【図3】ヘッドスライダが定位される半径位置とスキュー角との関係を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る磁気ディスクの構成を示す図(平面図及び断面図)である。
【図5】図4の磁気ディスクの製造方法を説明するための図である。
【図6】図4の磁気ディスクを用いた記録方法を示す図である。
【図7】図6の比較例を示す図である。
【図8】トラック番号変換テーブルを示す図である。
【図9】第2の実施形態における、ヘッドスライダが定位される半径位置とスキュー角との関係を示す図である。
【図10】第2の実施形態に係る磁気ディスクの構成を示す図(平面図及び断面図)である。
【図11】第3の実施形態における、ヘッドスライダが定位される半径位置とスキュー角との関係を示す図である。
【図12】第3の実施形態に係る磁気ディスクの構成を示す図(平面図及び断面図)である。
【図13】サーボパターン領域が設けられた磁気ディスクの一例を示す図である。
【図14】記録素子の断面形状が等角台形である場合の例を示す図である。
【図15】従来のDTR方式の磁気ディスクの構成を示す図(平面図及び断面図)である。
【符号の説明】
【0084】
1 磁気ディスク(磁気記録媒体)
50A DTR記録層(第2記録層)
50B DTR記録層(第2記録層)
50C 連続記録層(第1記録層)
86 ディスク基板
91 磁性材料(磁性層)
92 非磁性材料(非磁性体)
100 磁気ディスク装置(磁気記憶装置)
104 VCM(駆動装置の一部)
105 キャリッジアクチュエータ(ヘッド支持部材)
110 支軸(シャフト)
130 ヨーク(駆動装置の一部)
150 記録素子(磁気ヘッドの一部)
151 再生素子(磁気ヘッドの一部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体及び磁気記憶装置に関し、特に円盤状のディスク基板及び当該ディスク基板上に設けられる磁性材料を備える磁気記録媒体、及び磁気記録媒体に対する情報の磁気記録や再生を行う磁気記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、磁気記憶装置(ハードディスクドライブ(HDD))では、磁気記録媒体として、円盤状の磁気ディスク媒体が一般的に用いられている。この種の磁気記憶装置では、装置の小型化及び磁気ヘッドの高速アクセス化を図るため、磁気ヘッドを保持する手段としてスイングアーム式のキャリッジ部材が採用されている。このキャリッジ部材は、支点となるピボットの一側に位置する力点で、ボイスコイルモータ(VCM)からの力を受け、他側に位置する作用点に設けられた磁気ヘッドを揺動する。この揺動により、磁気ヘッドは、磁気ディスク媒体の半径位置のいずれかに位置決めされる。この場合、磁気ヘッドは、支点を中心とした円軌道に沿って移動するので、位置決めされる媒体上の半径位置により、トラックに対して傾き角(スキュー角)を有することになる。
【0003】
このようなスキュー角を有することにより、磁気ヘッドからの漏れ磁界の影響が隣接トラックに及ぶと、隣接トラック上に書かれた情報が消去されたり、隣接トラック上にノイズが記録されるなどの現象が発生する。このため、近年では、上記現象による影響を回避して高記録密度を達成するための技術として、ディスクリートトラック記録(DTR)方式が注目されている。
【0004】
ディスクリートトラック記録方式では、図15(a)及び図15(a)のA−A’線断面図である図15(b)に示すように、ディスク基板202上に塗布された磁性材料204を円周方向に非磁性材料206で分断し、同心円状のトラックを形成する。このようにすることで、隣接トラック同士の磁気的な干渉が低減されるとともに、トラックピッチを接近させやすくなり、記録密度を向上することが可能となる。
【0005】
一方、磁気記録媒体への磁化情報の記録・再生を行う磁気ヘッドは、微細加工プロセスを経てウエハ上に形成されるが、この微細加工プロセスを用いた形成方法では、磁気ヘッドのコア幅に形成ばらつきが生じる可能性が高い。更に、磁気記録媒体上のトラックピッチは磁気ヘッドのコア幅により影響を受けることから、磁気記録媒体の最適トラックピッチは、ヘッドのコア幅(形成ばらつき)に応じて異なる。
【0006】
これに対し、最近では、あらかじめ書き込まれたサーボ情報から得られるトラックピッチに対し、ヘッドが定位する磁気記録媒体の半径位置に応じた係数を掛けるなどして、ヘッドごとに最適なトラックピッチを設定する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2005−071433号公報
【特許文献2】特開2006−048751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したディスクリートトラック記録方式では、ディスク上にトラックが予め形成されているため、ヘッドのコア幅に応じて、ヘッドごとに最適なトラックピッチを設定するということができない。
【0009】
すなわち、ディスクリートトラック記録方式では、ヘッドのコア幅にかかわらず記録密度が一律であるので、ヘッドのコア幅に合わせて記録密度を変化させるなどの処理を行うことができない。
【0010】
なお、特許文献2には、ディスクリートトラック記録方式においても、スキュー角など磁気ヘッドが定位される磁気記録媒体上の半径位置に応じた漏れ磁界の影響に対応する方法が開示されている。この技術では、スキュー角の大きくなるような位置においては、媒体の非磁性体ガードバンドの幅が広くなるような構成とすることで、漏れ磁界の影響を軽減するものであるが、当該技術を用いたとしても、ヘッドごとに異なるコア幅の形成ばらつきに応じた記録密度の調整はできない。
【0011】
そこで本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、隣接トラックへの情報記録による情報記録精度の低減を抑制するとともに、記録密度を向上することが可能な磁気記録媒体を提供することを目的とする。また、本発明は、情報記録精度及び情報記録密度の向上を図ることが可能な磁気記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書に記載の磁気記録媒体は、円盤状のディスク基板と、前記ディスク基板上の半径方向に分割された複数のデータ格納領域のうちの少なくとも1つに設けられ、磁性材料が堆積された第1記録層と、前記ディスク基板上の前記複数のデータ格納領域のうちの残りの領域に設けられ、磁性材料と非磁性材料が前記ディスク基板上面の面内方向に交互に配置された第2記録層と、を備える磁気記録媒体である。
【0013】
これによれば、磁性材料が堆積された第1記録層と、磁性材料と非磁性材料がディスク基板上面の面内方向に交互に配置された第2記録層が、ディスク基板上の半径方向に分割された複数のデータ格納領域に割り当てられているので、例えば、隣接トラックの漏れ磁界等による影響が大きい領域に第2記録層を割り当てておくことで、情報記録精度の低減を抑制することができる。また、例えば、隣接トラックの漏れ磁界等による影響が小さい領域に第1記録層を割り当てておくことで、ヘッドのコア幅を考慮してトラックピッチを決定することができるので、情報記録密度を向上することができる。
【0014】
本明細書に記載の磁気記憶装置は、円盤状のディスク基板と、前記ディスク基板上の半径方向に分割された複数のデータ格納領域のうちの少なくとも1つに設けられた磁性材料が堆積された第1記録層と、前記ディスク基板上の前記複数のデータ格納領域のうちの残りのデータ格納領域に設けられ、磁性材料と非磁性材料が前記ディスク基板上面の面内方向に交互に配置された第2記録層と、を有する磁気記録媒体に対する情報の磁気記録、及び前記情報の再生を行う磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを保持するヘッド支持部材と、前記ヘッド支持部材を支軸を中心に揺動して、前記磁気ヘッドを前記第1記録層又は前記第2記録層上に位置決めする駆動装置と、を備える磁気記憶装置である。
【0015】
これによれば、磁性材料が堆積された第1記録層と、磁性材料と非磁性材料がディスク基板上面の面内方向に交互に配置された第2記録層が、ディスク基板上の半径方向に分割された複数のデータ格納領域に割り当てられているので、例えば、磁気ヘッドとヘッド支持部材(支軸)との位置関係等に応じて、隣接トラックの漏れ磁界等による影響が大きいと予想される領域に第2記録層を割り当てておくことで、情報記録精度の低減を抑制することができる。また、例えば、隣接トラックの漏れ磁界等による影響が小さいと予想される領域に第1記録層を割り当てておくことで、ヘッドのコア幅を考慮してトラックピッチを決定することができるので、情報記録精度を向上することができる。
【発明の効果】
【0016】
本明細書に記載の磁気記録媒体は、データ格納領域において、隣接トラックへの情報記録による情報記録精度の低減を抑制するとともに、記録密度を向上することができるという効果を奏する。また、本明細書に記載の磁気記憶装置は、情報記録精度及び情報記録密度の向上を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
≪第1の実施形態≫
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図8に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置(ハードディスクドライブ(HDD))100の構成を概略的に示す図である。本第1の実施形態では、磁気記憶装置100が、円盤状の磁気記録媒体(磁気ディスク)1を備えているので、以下においては、磁気記憶装置100を、「磁気ディスク装置100」と呼ぶものとする。
【0019】
磁気ディスク装置100は、図1に示すように、ディスクエンクロージャ101と、回路基板120とを備えている。
【0020】
ディスクエンクロージャ101は、磁気ディスク1、磁気ディスク1を保持して回転駆動するスピンドルモータ102、ヘッドスライダ103、ヘッド保持部材としてのキャリッジアクチュエータ105、ヘッドアンプ107、及びこれら各部を搭載して密封する筐体109等を含んでいる。
【0021】
このうち、キャリッジアクチュエータ105は、キャリッジアーム106と、キャリッジアーム106の一端側に設けられ、ヘッドスライダ103を保持するヘッドジンバル組立体(HGA)108と、キャリッジアーム106の他端側に設けられたコイル104と、支軸としてのシャフト110と、を含んでいる。このうち、コイル104と、コイル104を取り囲む状態で設けられたヨーク130が有する図示しない磁石とにより、駆動装置(VCM)が構成されている。
【0022】
ヘッドスライダ103は、HGA108の先端部に搭載され、磁気ディスク1に対向した状態で所定間隔を空けて、浮上支持されるようになっている。このヘッドスライダ103は、図2に拡大して示すように、磁気ディスク1に磁気情報を記録する記録素子150と、磁気ディスク1に記録された磁気情報を電気信号として取り出す再生素子151とを有する。記録素子150は、例えば、磁束を発生させる機能を有するライトコイル、当該ライトコイルにおいて発生した磁束を収容し、その磁束を磁気ディスクに向けて放出する主磁極層、及び主磁極層から放出された磁束を、磁気ディスクを経由して環流させる補助磁極層を含む。再生素子151には、例えばMR素子(磁気抵抗効果素子)などを用いている。なお、記録素子150と再生素子151とにより、磁気ヘッドが構成されている。
【0023】
HGA108のヘッドスライダ103が搭載されていない側の端部は、キャリッジアーム106の先端に固定されている。したがって、駆動装置(VCM)による駆動力を受けて、キャリッジアーム106がシャフト110を回転軸として回転駆動されることにより、ヘッドスライダ103が揺動駆動され、磁気ディスク1の任意の半径位置に位置決めされる。そして、ヘッドスライダ103が磁気ディスク1上の所望の記録トラックに位置決めされた状態では、記録素子150を用いた記録トラックに配列された記録ビットへの情報の書き込みや、再生素子151を用いた磁気ディスク1からの情報の読み取りが行われる。
【0024】
図3には、ヘッドスライダ103の位置決め位置(半径位置)と、スキュー角との関係が示されている。この図3に示すように、磁気ディスク1のデータの記録または再生が行われるデータ格納領域において、磁気ディスク1のほぼ中央(中周部領域)にヘッドスライダ103が位置する場合には、トラックTBの接線方向LBと、ヘッドスライダ103の方向(再生素子151の中心と記録素子150の中心を結ぶ方向)HBとが略一致する。一方、磁気ディスク1のデータ格納領域の外周縁近傍(外周部領域)にヘッドスライダ103が位置する場合には、トラックTAの接線方向LAと、ヘッドスライダ103の方向HAとの間にスキュー角(このスキュー角を「プラスの角度」と呼ぶ)が生じる。また、磁気ディスク1の内周縁近傍(内周部領域)にヘッドスライダ103が位置する場合には、トラックTCの接線方向LCと、ヘッドスライダ103の方向HCとの間にスキュー角(このスキュー角を「マイナスの角度」と呼ぶ)が生じる。
【0025】
図1に戻り、ヘッドアンプ107は、後述するリードチャネル116から送信されてくる記録信号113に基づいて、ヘッドスライダ103に搭載される記録素子150に電流を供給して、磁気ディスク1に対する情報記録を行ったり、ヘッドスライダ103の再生素子151が検出した磁気ディスク1の磁化情報を、再生信号114に変換して、リードチャネル116に送信する機能を有している。
【0026】
回路基板120は、リードチャネル116、マイクロ・プロセッシング・ユニット(MPU)115、スピンドルモータ(SPM)ドライバ111、ボイスコイルモータ(VCM)ドライバ112、ディスクコントローラ117、フラッシュメモリなどから成るメモリ119等を有する。
【0027】
リードチャネル116は、ヘッドアンプ107からの再生信号114(サーボ信号あるいはデータ信号)を解読して、デジタル情報に変換する。また、リードチャネル116は、ディスクコントローラ117において記録指示が出された情報を、ヘッドアンプ107を駆動するための記録信号113に変換する。
【0028】
MPU115は、リードチャネル116が解読したサーボ信号のデジタル情報(サーボ情報)に基づいて、VCMドライバ112を介してVCM104を駆動してヘッドスライダ103(磁気ヘッド(記録素子150又は再生素子151))の位置決め制御を行う。また、MPU115は、SPMドライバ111を介してSPM102を駆動して磁気ディスク1の回転制御を行う。
【0029】
ディスクコントローラ117は、ホストコンピュータ118からの記録再生命令によって、MPU115に、ヘッドスライダ103の位置決めを指示し、ヘッドスライダ103(磁気ヘッド)の磁気ディスク1へのアドレッシングを行う。また、ディスクコントローラ117は、リードチャネル116との間で記録再生するデジタル情報の送受信を行い、その結果をホストコンピュータ118へ返信する動作を実行する。
【0030】
次に、本第1の実施形態で用いられる磁気ディスク1について、図4(a)、図4(b)に基づいて詳細に説明する。図4(a)は、磁気ディスク1の平面図であり、図4(b)は、図4(a)のA−A’線断面図である。
【0031】
図4(a)、図4(b)に示すように、磁気ディスク1は円盤状のガラス基板86を有しており、その上面には、半径方向に分割されたドーナツ状の複数(図4(a)では、3つ)の領域(データ格納領域)が設けられている。
【0032】
これら3つの領域のうち、内周部(断面図のA−B間)の領域と、外周部(断面図のB’−A’間)の領域には、磁性材料から成るトラックと、各トラック間に配置され、各トラック間を物理的に分断する非磁性材料(非磁性体ガードバンド)とを有するDTR記録層50A,50Bが設けられる。なお、以下においては、これらの領域を、ディスクリートトラック記録領域(DTR領域)50A,50Bとも呼ぶものとする。ここで、非磁性材料としては、例えば、SiO2を採用することができる。なお、非磁性材料としては、Ni−AlなどSiO2以外の材料を採用することも可能である。また、本第1の実施形態では、トラック間の間隔(トラックピッチ)及びトラック幅は一律であるものとする。
【0033】
一方、中周部(断面図のB−B’間)の領域には、トラック間が非磁性体で分断されない連続記録層50Cが設けられる。以下においては、この領域を、連続領域50Cとも呼ぶものとする。なお、連続記録層50Cが、第1記録層を構成し、DTR記録層50A,50Bが、第2記録層を構成する。これらのうち、中周部の領域(連続記録層)50Cの半径方向長さ(B−B’)は、全半径長さA−A’の30%〜70%程度に設定されている。
【0034】
本実施形態において、中周部の領域の半径長さ(B−B’)を、長さA−A’の30%〜70%程度に設定した理由は以下のとおりである。
【0035】
後述するように、記録素子150の媒体対向面形状を、矩形ではなく逆台形状とすることで、スキュー角に起因する漏れ磁界記録の影響を低減することができる。図14(a)の如く、記録素子150の媒体対向面形状はテーパ角αを有した逆台形状となっているので、スキュー角を有する場合であっても、図14(b)のようにスキュー角θ≧αとなっていれば、トラック幅を超えるような記録は発生しない。しかしながら、図14(c)のようにスキュー角θ>αとなる場合には、漏れ磁界による隣接トラック消去が発生することになる。
【0036】
このような記録素子150の逆台形テーパ角は、大きく設定するほどスキュー角による漏れ磁界の発生を低減できるが、このテーパ角を過剰に大きくすることは、磁束を発生させる面積を減らし、磁気記録媒体の保磁力に対して必要なスイッチング磁界が発生できなくなることになるため、およそ5〜10°の範囲に設定することが望ましいとされる。
【0037】
磁気ヘッドのスキュー角範囲は、磁気ディスクにおいてアクセス可能な半径の範囲と、磁気ディスクの回転中心位置、キャリッジアームの回転中心位置とそこから磁気ヘッドまでの長さによって決定され、一般的な2.5インチ型の磁気ディスク装置ではおおよそ30°(±15°)前後となる。漏れ磁界の影響が問題とならないようなスキュー角は、前述の記録素子の逆台形テーパ角を5〜10°に設定した場合、これに等価な角度の範囲に収まっていることが必要とされる。すなわち、磁気ディスクのアクセス可能な半径のうち、1/3ないし2/3の範囲が漏れ磁界の影響が少ない領域と言える。これに若干の余裕を考慮すると、中周部の領域の半径長さは、記録可能な領域の全半径長さの30%〜70%程度であることが好ましいと言える。
【0038】
次に、図5(a)〜図5(l)に基づいて、磁気ディスク1の製造方法について説明する。この磁気ディスク1の製造においては、ナノインプリント・リソグラフィ方式が採用されている。
【0039】
まず、磁気ディスク1の製造の前段階として、図5(a)〜図5(d)の各工程を経て、ナノインプリント用のスタンパを作成する。具体的には、図5(a)において、不図示のスピンコータ等を用いてシリコン基板81上にレジスト82をスピンコート法等により塗布する。次いで、図5(b)において、EB露光装置を用いた電子ビーム露光や現像装置を用いた現像等を行い、レジスト82をパターニングする(パターニングされたレジスト83を得る)。この場合、レジスト83のパターンは、完成後の磁気ディスク1上に形成される磁性材料の配置と同一のものである。次いで、図5(c)において、レジスト83上に例えばニッケルなどでめっき処理を行い、めっき部84を形成する。次いで、図5(d)において、めっき部84をパターニングされたレジスト83から剥離して、ナノインプリント用スタンパ85を得る。
【0040】
次いで、上記のようにして製造されたナノインプリント用スタンパ85を用いて、図5(e)〜図5(l)の工程により磁気ディスク1を作成する。
【0041】
具体的には、まず、図5(e)において、ガラス基板86上に磁性層等、磁気記録媒体に通常形成される層87を堆積する。次いで、図5(f)において、層87上にエッチングに対して耐性を有する熱可塑性樹脂88を塗布する。次いで、図5(g)において、図5(d)にて得られたスタンパ85を、熱可塑性樹脂88上に加熱しながら加圧する。これにより、変形した樹脂層89を形成することができる。
【0042】
次いで、図5(h)において、スタンパ85を剥離し、パターニングされた樹脂層90を残す。次いで、図5(i)において、層87のうち、樹脂層90により覆われていない部分のみをエッチングし、パターニングされた層(磁性層)91を形成する。次いで、図5(j)において、パターニングされた磁性層91上に存在する樹脂層90を除去する。次いで、図5(k)において、パターニングされた磁性層91上に非磁性体92を充填し、図5(l)において、非磁性体92の表面を研磨あるいはエッチング処理等することにより平坦化して、磁性層91と非磁性体92とを露出させる。
【0043】
以上のような方法によって、本第1の実施形態において用いている磁気ディスク1を製造することができる。なお、本第1の実施形態では、熱インプリント方式を採用することとしたため、図5(f)では熱可塑性樹脂88を用いることとした。しかしながら、これに限られるものではなく、例えば、UVナノインプリント方式を採用する場合には、熱可塑性樹脂88に代えて、紫外光(UV)硬化性樹脂を使用することとしても良い。また、UVナノインプリント方式を採用する場合には、スタンパとして、UVを透過する例えば石英などの透明材料を用いる必要がある。
【0044】
なお、上記製造方法では、磁性層をエッチングしてパターニングし、当該パターン部分に非磁性材料を設けることとしたが、これに限られるものではない。例えば、磁性層をパターニングせずに、磁性層の一部(非磁性ガードバンドに対応する部分)をイオンドーピングすることによって、磁性層の一部が非磁性化されたDTR領域を形成することとしても良い。
【0045】
次に、図6(a)〜図6(c)に基づいて、本第1の実施形態における磁気記録方法、及び情報再生方法について説明する。
【0046】
図6(a)の符号「1030」及び「1031」は、図4における外周部(断面図のB’−A’)領域における、DTR領域(DTR記録層)50Bのトラックを示している。また、図6(b)の符号「1040」及び「1041」は、図4における中周部(断面図のB−B’間)領域における連続領域(連続記録層)50Cのトラックを示している。更に、図6(c)の符号「1050」及び「1051」は、図4における内周部(断面図のA−B間)領域におけるDTR領域(DTR記録層)50Aのトラックを示している。
【0047】
本第1の実施形態では、図6(a)に示すように、外周部領域では、記録素子150とトラック1030や1031との間にスキュー角が存在する。ここで、図7(a)に示すように、DTR方式を採用しない場合、トラック1010に記録動作を行なうと、磁気ディスク1上には、概ね記録素子150の幅Tw2の磁化パターンが形成されるとともに、その内周側(図7(a)における下側)には記録素子150の側辺からの漏れ磁界による影響により、必要なパターンとは異なる磁化パターンも同時に形成されてしまう。この場合、隣接トラックが存在しなければ、磁化パターンの読み取りには、幅Tw2よりも十分に狭い幅を有する再生素子をトラック1010上に定位させれば良いが、隣接トラック1011にも磁化パターンを形成する場合には、その漏れ磁界の影響により、図7(b)に示すようにトラック1010上の磁化パターンの外周側の一部(破線枠1100内)が上書きされてしまう。したがって、この上書きされた部分を再生素子151で読み取ることとすると、必要な信号を読み出すことができなくなる。また、上書きされた部分を読み取らないようにするためには、再生素子151の幅を極力狭くする必要があるが、素子幅を狭くしすぎると再生信号出力が低減することからしても実現は難しい。
【0048】
これに対し、本第1の実施形態では、図6(a)に示すように、トラック間に形成された非磁性体ガードバンド1200の存在により、幅Tw3のトラック1030,1031にのみ信号が記録される。したがって、トラック1030を記録するときに隣接するトラック1031に及ぼされる漏れ磁場の影響が、従来と比較して大きく低減されるようになっている。このように、本第1の実施形態では、図7(a)と同一幅のトラックピッチ(トラック間隔)(Tp)を採用しつつ、隣接するトラック間の漏れ磁界の影響を回避することができるので、記録密度の維持及び高精度な記録・再生が実現可能である。
【0049】
また、同様に、磁気ディスク1の内周部領域でも、図6(c)に示すようにスキュー角が存在するが、この場合にも、トラック1051を記録する際に外周側に隣接するトラック1050に及ぼされる漏れ磁場の影響が、トラック間に形成された非磁性体ガードバンド1200の存在によって、大きく低減されるようになっている。このように、内周部領域においても、外周部領域と同様、図7(a)と同一幅のトラックピッチ(Tp)を採用しつつ、隣接するトラック間の漏れ磁界の影響を回避することができるので、記録密度の維持及び高精度な記録・再生が実現可能である。
【0050】
一方、中周部領域にあっては、記録領域が連続領域(連続記録層)であることから、トラックピッチを自由に変更することができる。すなわち、本第1の実施形態では、トラックピッチTpvを、磁気ディスク1が搭載された磁気ディスク装置の記録素子150及び再生素子151の特性に応じて媒体ごとに設定することができる。この場合、トラックピッチTpvは、装置全体に要求される記録容量を満たし、かつエラーレートやS/Nなどの記録再生マージンを最大とするように最適に決定するようにする。このようにすることで、記録素子150及び再生素子151の特性に応じた最適なトラックピッチを選択でき、これにより、記録密度をより高密度にすることが可能となる。
【0051】
次に、本第1の実施形態において、図1のメモリ119に格納されているヘッド位置決め用のテーブル(トラック番号変換テーブル)について、図8に基づいて説明する。
【0052】
図8のトラック番号変換テーブルは、物理アドレストラック番号TN1を、磁気ディスク1上に予め形成されたサーボトラック番号TN0に変換するためのテーブルである。
【0053】
ここで、サーボトラック番号TN0は、磁気ディスク1の半径方向に一定の間隔Tpsで記録されているものとする。また、磁気ディスク1では、外周部領域(OD)の物理アドレストラック番号TN1が0〜9999であり、DTR領域(DTR記録層)であることから、トラックピッチが既定値Tpに設定されている。なお、ここでは、DTR領域のトラックに対しサーボトラック番号が等倍で同期して記録されているので、Tp=Tpsとなり、サーボトラック番号TN0も0〜9999となる。
【0054】
また、内周部領域(ID)においても、DTR領域(DTR記録層)であることから、トラックピッチが既定値Tpに設定されている。
【0055】
一方、中周部領域(MD)は、非DTR領域(連続領域)であるため、トラックピッチTpvは、搭載された磁気ヘッドの特性によって任意に設定することができ、図8の例では、Tpv=Tps/1.2とされている。すなわち、中周部領域(MD)では、外周部領域(OD)及び内周部領域(ID)に比べて1.2倍の高トラック密度となっている。このため、中周部領域(MD)では、物理アドレストラック番号TN1が10000〜21999であるのに対し、サーボトラック番号TN0が10000〜19999となる。
【0056】
なお、本実施形態では、いわゆるコンタクトスタートストップ(CSS)方式を採用することもできる。このような方式を採用した場合、データ格納領域以外の領域として、最内周領域にヘッドがランディングするCSSゾーンを設ける。なお、ランプローディング方式を採用した装置の場合は、ランディングの為の領域を設ける必要はない。
【0057】
なお、図8のテーブルはメモリ119に格納する場合に限らず、磁気ディスク1上のシステム領域に磁気的に格納することとしても良い。
【0058】
次に、図8のトラック番号変換テーブルを用いた、磁気ディスク1に対する情報の記録・再生制御方法について説明する。
【0059】
図1において、磁気ディスク装置100に接続されたホストコンピュータ118から情報の記録又は再生の指示が出されると、ディスクコントローラ117が、当該指示において指定された論理アドレスをフォーマッタ(ディスクコントローラ117に内蔵)に従って物理アドレス(磁気ディスク媒体におけるトラック番号およびセクタ番号)に変換する。そして、ディスクコントローラ117は、MPU115に対して物理アドレスに対応した場所へのヘッド位置決めを指示する。MPU115は、メモリ119に格納された図8に示すトラック番号変換テーブルに従い、物理アドレストラック番号TN1を、磁気ディスク1上に予め形成されたサーボトラック番号TN0に変換する。
【0060】
その後、MPU115は、磁気ディスク1上のサーボ情報を読み取り、指定のアドレスに対応するサーボトラック番号TN0に磁気ヘッド(記録素子150又は再生素子151)が位置決めされるように制御演算を行って、VCMドライバ112に駆動指示を出す。
【0061】
このようにすることで、本第1の実施形態のように、磁気ディスク1上に、DTR領域と非DTR領域(連続領域)が混在していても、適切な記録・再生制御を行うことが可能である。
【0062】
以上、詳細に説明したように、本第1の実施形態によると、磁性材料が堆積された連続記録層50Cと、磁性材料と非磁性材料が面内方向に交互に配置されたDTR記録層50A,50Bが、磁気ディスク1の半径方向に分割された複数の領域に割り当てられているので、磁気ヘッド(記録素子150、再生素子151)とキャリッジアクチュエータ105との位置関係等に応じて、隣接トラックの漏れ磁界等による影響が大きいと予想される領域(本第1の実施形態では内周部領域及び外周部領域)にDTR記録層50A,50Bを割り当てておくことで、情報記録精度の低減を抑制することが可能である。また、例えば、隣接トラックの漏れ磁界等による影響が小さい領域に連続記録層50Cを割り当てておくことで、ヘッドのコア幅を考慮してトラックピッチTpvを決定することができる。したがって、ヘッドの記録再生素子特性に応じて、再生信号の対ノイズ比率(S/N)などに必要十分なマージンを保持したまま記録密度が最大となるようなトラックピッチを設定することで、磁気ディスク1の記録密度を適切に向上することが可能である。
【0063】
また、本第1の実施形態では、DTR記録層の表面及び連続記録層の表面が平坦に設定されているので、ヘッドスライダ103がDTR記録層上方に位置する場合も、連続記録層情報に位置する場合も、同一の浮上特性を得ることができる。これにより、例えば、特開2006−31850号公報や米国特許7,199,977号明細書に記載のようなランディングゾーンを設けなくても良くなる。
【0064】
≪第2の実施形態≫
次に、本発明の第2の実施形態について、図9、図10に基づいて説明する。
【0065】
図9は、本第2の実施形態におけるヘッドスライダの中心線(記録素子150の中心と再生素子151の中心とを結ぶ線)とトラック接線間のスキュー角を示す図である。本第2の実施形態では、HGA108がキャリッジアーム106に対して固定スキュー角を有するように固定されている。これにより、本第2の実施形態では、ヘッドスライダ103が外周トラックTA上に定位したときに、トラック接線LAに対してスキュー角が0度近傍となるようになっている。また、ヘッドスライダ103が中周トラックTB上に定位したときや、内周トラックTC上に定位したときには、ヘッドスライダ103はトラック接線LB、LCに対してマイナスのスキュー角を有するようになっている。
【0066】
上記のように、本第2の実施形態では、ヘッドスライダ103が磁気ディスク1’の内周側に定位されるほど、スキュー角(スキュー角の絶対値)が大きくなることから、磁気ディスク1’としては、図10(a)、図10(b)に示すような磁気ディスクを採用する。なお、図10(a)は、磁気ディスク1’の平面図を示し、図10(b)は、図10(a)のA−A’線断面図を示している。
【0067】
これら図10(a)、図10(b)に示すように、磁気ディスク1’は、概略円盤状の形状を有し、その内周部(断面図のA−C間)の領域がトラック間が非磁性体で分断されたDTR領域(DTR記録層)50A’とされている。また、磁気ディスク1’の外周部(断面図のC−A’間)の領域は、トラック間が非磁性体で分断されない連続領域(連続記録層)50C’とされている。ここで、連続領域50C’の半径長さC−A’は、A−A’の全長の30%〜70%とする。なお、連続領域50C’を上記範囲に設定した理由は、第1の実施形態で説明した理由と同一である。
【0068】
また、磁気ディスク1’の製造方法等についても、上記第1の実施形態と同様である。
【0069】
以上説明したように、本第2の実施形態によると、スキュー角の変化傾向を考慮して、上述した第1の実施形態から磁気ディスクの構成を若干変更することとしているが、このようにしても、上記第1の実施形態と同様、DTR記録層50A’における情報記録精度の低減抑制と、連続記録層50C’における情報記録密度の向上を図ることが可能である。
【0070】
≪第3の実施形態≫
次に、本発明の第3の実施形態について、図11、図12に基づいて説明する。
【0071】
図11は、本第3の実施形態におけるヘッドスライダの中心線(記録素子150の中心と再生素子151の中心とを結ぶ線)とトラック接線間のスキュー角を示す図である。本第3の実施形態では、ヘッドスライダ103が内周トラックTC上に定位したときに、トラック接線LCに対してスキュー角が0度近傍となるようになっており、ヘッドスライダ103が中周トラックTB上に定位したときや、外周トラックTA上に定位したときに、ヘッドスライダ103がトラック接線LB、LAに対してプラスのスキュー角を有することになる。
【0072】
このように、本第3の実施形態では、ヘッドスライダ103が磁気ディスク1”の外周側に定位されるほど、スキュー角が大きくなることから、磁気ディスク1”としては、図12(a)、図12(b)に示すような磁気ディスクを採用する。図12(a)は、磁気ディスク1”の平面図を示し、図12(b)は、図12(a)のA−A’線断面図を示している。
【0073】
これら図12(a)、図12(b)に示すように、磁気ディスク1”は、概略円盤状の形状を有し、その内周部(断面図のA−D間)の領域がトラック間が非磁性体で分断されない連続領域(連続記録層)50C”とされている。また、磁気ディスク1”の外周部(断面図のD−A’間)の領域は、トラック間が非磁性体で分断されたDTR領域(DTR記録層)50A”とされている。ここで、連続領域50C”の半径長さC−A’は、A−A’の全長の30%〜70%とする。なお、連続領域50C”を上記範囲に設定した理由は、第1の実施形態で説明した理由と同一である。また、磁気ディスク1”の製造方法等についても、上記第1の実施形態と同様である。
【0074】
以上説明したように、本第3の実施形態によると、スキュー角の変化傾向を考慮して、上述した第1の実施形態から磁気ディスクの構成を若干変更することとしているが、このようにしても、上述した第1、第2の実施形態と同様、DTR記録層50A”における情報記録精度の低減抑制と、連続記録層50C”における情報記録密度の向上を図ることが可能である。
【0075】
なお、上記各実施形態では、ディスクリートトラック領域のトラックピッチやトラック幅が一律である場合について説明したが、これに限らず、スキュー角の変動傾向に応じて、トラックピッチやトラック幅を異ならせることとしても良い。
【0076】
なお、上記各実施形態では、スキュー角が大きくなる領域に、ディスクリートトラック領域を設ける場合について説明したが、これに限られるものではなく、ディスクリートトラックに代えて、磁性体を各々のビット毎に非磁性体で分離したビットパターン状の記録領域(ディスクリートビット領域)を設けることとしても良い。
【0077】
なお、上記各実施形態では、ディスクリートトラックを構成する非磁性材料として、SiO2やNi−Alなどの材料を用いる場合について説明したが、これに限らず、非磁性体材料を空気とすることとしても良い。すなわち、磁性体材料間を特別な材料で充填しないようにしても良い。
【0078】
なお、上記各実施形態では、説明を省略したが、上記各実施形態の磁気ディスクには、図13に示すように、サーボパターン領域51が放射線状に設けられる。このサーボパターン領域は、円周方向に断続かつ等間隔に形成されており、磁気ディスク1が回転している間に、記録素子150を用いてサーボパターン領域内のサーボパターンを読み取ることにより、一定時間間隔での半径位置情報を得ることが可能である。
【0079】
このサーボパターンは、DTR領域と同様、非磁性体と磁性体によるパターンとして、ナノインプリント・リソグラフィのスタンパに予め形成しておけば良い。また、サーボパターン領域内の磁性体については単一方向の磁化を行っておく必要がある。ただし、これに限らず、サーボパターンは、記録素子150を用いて記録することとしても良い。この場合、サーボパターン領域内は非磁性体で分離されていない連続領域になる。
【0080】
なお、上記各実施形態では、記録素子150の断面形状が長方形状である場合について説明したが、これに限られるものではなく、図14(a)に示すように、断面形状が、長方形の対向する辺(150a,150b)がα°だけ傾いたような形状(等角台形(等脚台形)状)の記録素子150’を採用しても良い。この場合、図14(b)に示すように、辺150aがトラックの接線方向(一点鎖線で示す方向)と平行となる角度(θ=α)と、辺150bがトラックの接線方向と平行となるまでの角度(θ=−α)との間では、はみ出し記録がされない。したがって、磁気ディスク上において、このようなはみ出し記録がされない範囲(スキュー角(θ)が次式(1)を満足する範囲)を、連続領域(連続記録層)に設定するようにすれば良い。
−α≦θ≦α …(1)
【0081】
また、図14(c)に示すように、スキュー角θが上式(1)を満たさない場合には、はみ出し記録が発生するので、このようなはみ出し記録が発生する範囲(上式(1)を満たさない範囲)を、DTR領域(DTR記録層)に設定するようにすれば良い。
【0082】
上述した各実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1の実施形態に係る磁気ディスク装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】ヘッドスライダに設けられた記録素子及び再生素子を拡大して概略的に示す図である。
【図3】ヘッドスライダが定位される半径位置とスキュー角との関係を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る磁気ディスクの構成を示す図(平面図及び断面図)である。
【図5】図4の磁気ディスクの製造方法を説明するための図である。
【図6】図4の磁気ディスクを用いた記録方法を示す図である。
【図7】図6の比較例を示す図である。
【図8】トラック番号変換テーブルを示す図である。
【図9】第2の実施形態における、ヘッドスライダが定位される半径位置とスキュー角との関係を示す図である。
【図10】第2の実施形態に係る磁気ディスクの構成を示す図(平面図及び断面図)である。
【図11】第3の実施形態における、ヘッドスライダが定位される半径位置とスキュー角との関係を示す図である。
【図12】第3の実施形態に係る磁気ディスクの構成を示す図(平面図及び断面図)である。
【図13】サーボパターン領域が設けられた磁気ディスクの一例を示す図である。
【図14】記録素子の断面形状が等角台形である場合の例を示す図である。
【図15】従来のDTR方式の磁気ディスクの構成を示す図(平面図及び断面図)である。
【符号の説明】
【0084】
1 磁気ディスク(磁気記録媒体)
50A DTR記録層(第2記録層)
50B DTR記録層(第2記録層)
50C 連続記録層(第1記録層)
86 ディスク基板
91 磁性材料(磁性層)
92 非磁性材料(非磁性体)
100 磁気ディスク装置(磁気記憶装置)
104 VCM(駆動装置の一部)
105 キャリッジアクチュエータ(ヘッド支持部材)
110 支軸(シャフト)
130 ヨーク(駆動装置の一部)
150 記録素子(磁気ヘッドの一部)
151 再生素子(磁気ヘッドの一部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状のディスク基板と、
前記ディスク基板上の半径方向に分割された複数のデータ格納領域のうちの少なくとも1つに設けられ、磁性材料が堆積された第1記録層と、
前記ディスク基板上の前記複数のデータ格納領域のうちの残りの領域に設けられ、磁性材料と非磁性材料が前記ディスク基板上面の面内方向に交互に配置された第2記録層と、を備える磁気記録媒体。
【請求項2】
前記第2記録層は、前記磁性材料と前記非磁性材料が同心円状に交互に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項3】
前記第2記録層は、前記磁性材料がビットパターン状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項4】
前記第1記録層が配置される領域の前記ディスク基板上における半径方向長さは、前記複数の領域のすべてを包含する半径方向長さの30〜70%の長さであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
【請求項5】
円盤状のディスク基板と、前記ディスク基板上の半径方向に分割された複数のデータ格納領域のうちの少なくとも1つに設けられた磁性材料が堆積された第1記録層と、前記ディスク基板上の前記複数のデータ格納領域のうちの残りのデータ格納領域に設けられ、磁性材料と非磁性材料が前記ディスク基板上面の面内方向に交互に配置された第2記録層と、を有する磁気記録媒体に対する情報の磁気記録、及び前記情報の再生を行う磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドを保持するヘッド支持部材と、
前記ヘッド支持部材を支軸を中心に揺動して、前記磁気ヘッドを前記第1記録層又は前記第2記録層上に位置決めする駆動装置と、を備える磁気記憶装置。
【請求項6】
前記磁気記録媒体の前記第1記録層の表面と前記第2記録層の表面とが、平坦に設定されていることを特徴とする請求項5に記載の磁気記憶装置。
【請求項7】
前記磁気ヘッドのスキュー角は、前記磁気記録媒体の外周縁及び内周縁に近づくほど大きくなり、
前記磁気記録媒体の前記複数のデータ格納領域のうち、最外周の領域及び最内周の領域に前記第2記録層が設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載の磁気記憶装置。
【請求項8】
前記磁気ヘッドのスキュー角は、前記磁気記録媒体の外周縁に近づくほど大きくなり、
前記磁気記録媒体の前記複数のデータ格納領域のうちの最外周の領域に、前記第2記録層が設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載の磁気記憶装置。
【請求項9】
前記磁気ヘッドのスキュー角は、前記磁気記録媒体の内周縁に近づくほど大きくなり、
前記磁気記録媒体の前記複数のデータ格納領域のうちの最内周のデータ格納領域に、前記第2記録層が設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載の磁気記憶装置。
【請求項10】
前記磁気ヘッドは、前記磁気記録媒体対向面の形状が長方形の一組の辺をα°だけ傾斜させた等角台形状の記録素子を有し、
前記磁気ヘッドのスキュー角θが、−α°≦θ≦α°を満たさない前記磁気記録媒体上のデータ格納領域に、前記第2記録層が設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載の磁気記憶装置。
【請求項1】
円盤状のディスク基板と、
前記ディスク基板上の半径方向に分割された複数のデータ格納領域のうちの少なくとも1つに設けられ、磁性材料が堆積された第1記録層と、
前記ディスク基板上の前記複数のデータ格納領域のうちの残りの領域に設けられ、磁性材料と非磁性材料が前記ディスク基板上面の面内方向に交互に配置された第2記録層と、を備える磁気記録媒体。
【請求項2】
前記第2記録層は、前記磁性材料と前記非磁性材料が同心円状に交互に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項3】
前記第2記録層は、前記磁性材料がビットパターン状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項4】
前記第1記録層が配置される領域の前記ディスク基板上における半径方向長さは、前記複数の領域のすべてを包含する半径方向長さの30〜70%の長さであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
【請求項5】
円盤状のディスク基板と、前記ディスク基板上の半径方向に分割された複数のデータ格納領域のうちの少なくとも1つに設けられた磁性材料が堆積された第1記録層と、前記ディスク基板上の前記複数のデータ格納領域のうちの残りのデータ格納領域に設けられ、磁性材料と非磁性材料が前記ディスク基板上面の面内方向に交互に配置された第2記録層と、を有する磁気記録媒体に対する情報の磁気記録、及び前記情報の再生を行う磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドを保持するヘッド支持部材と、
前記ヘッド支持部材を支軸を中心に揺動して、前記磁気ヘッドを前記第1記録層又は前記第2記録層上に位置決めする駆動装置と、を備える磁気記憶装置。
【請求項6】
前記磁気記録媒体の前記第1記録層の表面と前記第2記録層の表面とが、平坦に設定されていることを特徴とする請求項5に記載の磁気記憶装置。
【請求項7】
前記磁気ヘッドのスキュー角は、前記磁気記録媒体の外周縁及び内周縁に近づくほど大きくなり、
前記磁気記録媒体の前記複数のデータ格納領域のうち、最外周の領域及び最内周の領域に前記第2記録層が設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載の磁気記憶装置。
【請求項8】
前記磁気ヘッドのスキュー角は、前記磁気記録媒体の外周縁に近づくほど大きくなり、
前記磁気記録媒体の前記複数のデータ格納領域のうちの最外周の領域に、前記第2記録層が設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載の磁気記憶装置。
【請求項9】
前記磁気ヘッドのスキュー角は、前記磁気記録媒体の内周縁に近づくほど大きくなり、
前記磁気記録媒体の前記複数のデータ格納領域のうちの最内周のデータ格納領域に、前記第2記録層が設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載の磁気記憶装置。
【請求項10】
前記磁気ヘッドは、前記磁気記録媒体対向面の形状が長方形の一組の辺をα°だけ傾斜させた等角台形状の記録素子を有し、
前記磁気ヘッドのスキュー角θが、−α°≦θ≦α°を満たさない前記磁気記録媒体上のデータ格納領域に、前記第2記録層が設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載の磁気記憶装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図4】
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【図7】
【図8】
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【図10】
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【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−134977(P2010−134977A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308006(P2008−308006)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
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