磁気記録装置および磁気記録媒体
【課題】 この発明は、磁気記録装置に関し、磁気ディスクに周波数を検出するサーボパターンを設け、偏芯のある磁気ディスクのトラッキングを正確にし、サーボパターンの占有率を下げること。
【解決手段】 磁気ヘッドと、磁気ヘッドの位置を調整するためのサーボパターンを有する磁気記録媒体と、磁気ヘッドがサーボパターンを読み取ることにより得た再生信号をもとに、磁気記録媒体のトラックの半径方向の位置に対応した周波数を検出する周波数検出部と、磁気記録媒体の各トラック位置に対応する所定の周波数情報を予め記憶した記憶部と、前記周波数検出部が検出した周波数と、記録部に記憶された同一のトラックに対応した周波数情報とを比較し、その周波数差に基づく磁気ヘッドの位置調整信号を生成するトラッキング部とからなることを特徴とする。
【解決手段】 磁気ヘッドと、磁気ヘッドの位置を調整するためのサーボパターンを有する磁気記録媒体と、磁気ヘッドがサーボパターンを読み取ることにより得た再生信号をもとに、磁気記録媒体のトラックの半径方向の位置に対応した周波数を検出する周波数検出部と、磁気記録媒体の各トラック位置に対応する所定の周波数情報を予め記憶した記憶部と、前記周波数検出部が検出した周波数と、記録部に記憶された同一のトラックに対応した周波数情報とを比較し、その周波数差に基づく磁気ヘッドの位置調整信号を生成するトラッキング部とからなることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、磁気記録装置に関し、特に、ディスク上に記録されたサーボパターンを用いて記録再生ヘッドのトラッキングサーボを行う磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気記録装置では情報の記録再生に磁気ヘッドが用いられるが、この磁気ヘッドの磁気ディスクに対する位置決めをするために、磁気ディスク上に、サーボパターンが形成されている。従来の磁気ディスクは、ユーザのデータを記録するためのデータ領域と、磁気記録装置の磁気ヘッドの位置決めをするための信号が予め記録されたサーボ領域とに分けられる。サーボ領域は、円板状の磁気ディスクの中心より放射線状に所定の間隔をあけて数十本程度形成されている。
【0003】また、サーボ領域は、一般的には、オートゲインコントロール(AGC)のための一定周期パターンと、1回転の先頭を示すインデックスパターンと、何本目のトラックかを示すグレイコードパターンと、トラックの位置情報を得るためのサーボパターン(位置信号パターンとも呼ぶ)とから構成される。ここで、サーボパターンは、磁気記録装置の磁気ヘッドを位置決めするために必要なパターンからなり、たとえば所定のトラック間隔ごとに複数のサーボビットが千鳥配置されたものである。このサーボビットの各々を磁気ヘッドで読み取り、再生信号を得て、その信号の振幅差を比較することにより、トラック幅方向の位置情報を取得し、磁気ヘッドの位置決め(トラッキング)を行っている(特公昭47−32012号公報)。
【0004】図15に、従来の「振幅検出サーボ」方式の概略説明図を示す。図15(a)はトラックとサーボパターンの関係を示す図、図15(b)はサーボパターン上を移動する磁気ヘッドから得られる再生信号の一例を示す図である。トラック幅Twrの磁気ヘッド10をトラック♯Nに位置決めする場合を考える。図15(a)に示すように、磁気ヘッド10が図のx方向に進行し、パターンP、A〜Dを通過するとき、図15(b)に示すような再生信号を得る。ここで、P、A〜Dの各パターンの白い部分と黒い部分はそれぞれ、磁気記録媒体上に記録されたサーボパターンの磁化の向きが互いに逆であることを表す。すなわち、面内磁気記録であれば、白い部分と黒い部分の磁化の向きは媒体面内にトラック方向(x方向)成分を持つ互いに逆方向を向いたベクトルであり、垂直記録であれば、白い部分と黒い部分の磁化の向きは媒体表面に垂直な成分を持つ互いに逆方向を向いたベクトルである。また、図15(a)のパターンは模式図であり、実際には図15(b)の信号周期とは一致する。
【0005】パターンAの再生信号振幅SAと、パターンBの再生信号振幅SBとの差分であるSA−SBの演算を行い、トラック幅方向yへ磁気ヘッド10を移動させると、演算結果は図15(a)の右に示したN−POSとなる。同様に、パターンCの再生信号振幅SCと、パターンDの再生信号振幅SDとの差分であるSC−SDの演算を行い、トラック幅方向yへ磁気ヘッド10を移動させると、演算結果は図15(a)の右に示したQ−POSとなる。上記で求めたN−POS、Q−POSの信号を位置信号として適宜用いることにより、磁気ヘッド10の現在位置を知ることができる。
【0006】一方、上記とは別のサーボ方式として「位相検出サーボ」なる方式が、たとえば特開昭60−10472号公報に開示されている。図16に、従来の「位相検出サーボ」方式の概略説明図を示す。トラック幅Twrの磁気ヘッド10をトラック♯Nに位置決めする場合を考える。磁気ヘッド10がx方向に進行し、図16(a)に示すパターンP、A〜Cを通過するとき、例えば図16(b)に示すような再生信号を得る。ここで、P、A〜Cの各パターンの白い部分と黒い部分の表記法は図15と同様である。パターンは磁気ヘッド10に対してアジマスがついているが、その角度は再生信号の劣化(アジマスロス)が問題とならない程度に小さいので、それぞれの再生信号の波形は図15とほとんど変わらない。但し、パターンPに対する各パターンA、B、Cの位相は、トラック幅方向yの位置により異なり、ここでは♯Nトラックでの位相をそれぞれPA、PB、PCとする。ここで、図16(a)のパターンは模式図であり、実際には図16(b)の信号周期とは一致する。
【0007】いま、それぞれの位相の差PB−PA、PC−PBを計算したとき、トラック幅方向yにおけるこの演算結果は、一例として図16(a)の右に示したものとなる。上記で求めたPB−PA、PC−PBの信号を位置信号として適宜用いることにより、磁気ヘッド10の現在位置を知ることができる。なお、図16(b)の再生信号より位相PA、PB、PCを求める方法としては、例えば、特開平9−312073号公報に開示されている方法を用いることができる。この位相検出サーボ方式のパターンでは、1周期を多数のトラックで構成するので、ディスク上の位置を示すコード情報は、振幅検出方式のパターンよりも少なくて済む。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、今日、記憶密度をさらに向上させることが要求されており、記憶の単位ビットを小さくすることや、ディスク上を占めるサーボ領域の占有率を少しでも下げることが求められている。しかし、前記した従来のようなサーボ検出方式では、記録再生の信頼性を維持したまま記憶密度の向上を図ることは難しい。
【0009】また、サーボ領域に記録される情報は、従来、サーボトラックライター(STW)を用いて記録されていたが、これは磁気ヘッドを用いて記録する方式であるため、その記録時間が長いという問題があった。そこで、この問題を解決するべく、磁気転写技術を用いて、マスタディスクに記録されたサーボパターン等を一括して、従来よりも短時間で、スレーブディスクに転写するサーボ情報転写方法が提案されている。
【0010】しかし、この転写方法では、ダスト等の存在によりマスタディスクとスレーブディスクとの間が密着不足となると均一な転写をすることが難しくなる。均一に転写できなかった場合、サーボパターンを磁気ヘッドで再生すると、その再生信号に振幅の変動が生じ、位置決めの信頼性に欠けることになる。特にパターンの密度が上がるとより顕著になる。また、マスタとスレーブの位置合わせがずれていると、偏芯が生じたスレーブディスクとなってしまうおそれがある。
【0011】そこで、この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、ディスク全体に対するサーボ領域の占有率を下げて記録密度を向上させ、磁気転写方法により作成された磁気ディスクにおいて偏芯が生じても正確なトラッキングを可能とする磁気記録装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、磁気ヘッドと、磁気ヘッドの位置を調整するためのサーボパターンを有する磁気記録媒体と、磁気ヘッドがサーボパターンを読み取ることにより得た再生信号をもとに、磁気記録媒体のトラックの半径方向の位置に対応した周波数を検出する周波数検出部と、磁気記録媒体の各トラック位置に対応する所定の周波数情報を予め記憶した記憶部と、前記周波数検出部が検出した周波数と、記録部に記憶された同一のトラックに対応した周波数情報とを比較し、その周波数差に基づく磁気ヘッドの位置調整信号を生成するトラッキング部とからなることを特徴とする磁気記録装置を提供するものである。これによれば、サーボパターンを利用して周波数を検出しているので、磁気記録媒体全体に対するサーボ領域の占有率を従来よりも下げることができ、記録密度を向上させることができる。
【0013】また、前記サーボパターンは、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において、磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンの長さが連続的に変化しており、前記記憶部には、各トラックごとに異なる周波数情報が記憶されるようにしてもよい。
【0014】さらに、前記サーボパターンは、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において、磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンの長さが離散的に変化しており、前記記憶部には、各トラックごとに異なる周波数情報が記憶されるようにしてもよい。
【0015】また、前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において磁気記録媒体の円周方向のパターン長が連続的に変化し、かつ磁気記録媒体の円周方向に並設された第1のバーストパターンおよび第2のバーストパターンからなり、第1のバーストパターンのパターン長の変化の傾向と、第2のバーストパターンのパターン長の変化の傾向とが逆であり、前記記憶部には、前記第1および第2のバーストパターンについての周波数情報が、各トラックごとに記憶されるようにしてもよい。これによれば、サーボパターンとして円周方向のパターン長の変化の傾向が異なる2つのバーストパターンを形成しているので、磁気転写方法などにより作成された磁気記録媒体が装置に搭載する際などにおいて偏芯が生じている場合でも、正確なトラッキングができる。
【0016】さらに、前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において磁気記録媒体の円周方向のパターン長が離散的に変化し、かつ磁気記録媒体の円周方向に並設された第1のバーストパターンおよび第2のバーストパターンからなり、第1のバーストパターンのパターン長の変化の傾向と、第2のバーストパターンのパターン長の変化の傾向とが逆であり、前記記憶部には、前記第1および第2のバーストパターンについての周波数情報が、各トラックごとに記憶されるようにしてもよい。また、特に磁気記録媒体は、円板状の媒体であって、設計上の回転中心とは異なる位置に回転中心が存在する偏芯媒体であっても、正確なトラッキングができる。
【0017】また、磁気記録媒体が、外周近傍領域に外周に沿って複数の放射状パターンを配列した円板状の媒体であって、前記周波数検出部が、前記放射状パターンを1周にわたって読み取ることにより、1周分の周波数を測定し、測定された1周分の周波数に変化がある場合には、周波数に変化がない場合に検出されるべき周波数と測定された周波数を比較して、前記記憶部に記憶された周波数情報を補正するようにしてもよい。これによれば、偏芯のある場合でも、正確なトラッキングができる。
【0018】この発明は、磁気ヘッドの位置を調整するためのサーボパターンを有する磁気記録媒体であって、前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において、磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンの長さが連続的に変化していることを特徴とする磁気記録媒体を提供するものである。ここで、円周方向に沿うサーボパターンの長さは、離散的に変化していてもよい。
【0019】また、磁気ヘッドの位置を調整するためのサーボパターンを有する磁気記録媒体であって、前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンのパターン長が連続的に変化し、かつ磁気記録媒体の円周方向に並設された第1のバーストパターンおよび第2のバーストパターンからなり、第1のバーストパターンのパターン長の変化の傾向と、第2のバーストパターンのパターン長の変化の傾向とが逆でることを特徴とする磁気記録媒体を提供するものである。ここで、円周方向に沿うサーボパターンのパターン長は、離散的に変化していてもよい。
【0020】磁気記録媒体は、大別して2つの領域に分けられる。一つはユーザの情報を記録するデータ領域であり、もう一つは媒体に対する磁気ヘッドの位置決め、トラックやセクタの位置の識別などの情報を記録するサーボ領域である。サーボ領域は、従来と同様な種々の情報が記録された領域であるが、この発明ではそのうちのサーボパターンに特徴を有し、さらにサーボパターンを利用して周波数を検出してトラッキングを行うことを特徴とする。
【0021】磁気ヘッドが設計どおりのトラック位置を進行するときは、予め設定された周波数そのものが検出されるが、一般的には装置の振動や温度変化などの種々の外乱によって設計上のトラック位置から少しずれた位置を進行する場合がある。そのような場合には、設定値と異なる周波数が検出されるので、設定値と検出周波数との周波数差をもとに、磁気ヘッドを本来の設計上のトラック位置に戻すための位置調整信号を生成し、この位置調整信号をもとに、磁気ヘッドの位置を微調整(トラッキング)する。
【0022】また、この発明では、サーボ領域は複数のトラックを横断する細長いパターンであって、円板状磁気記録媒体では、半径方向に長いパターンである。サーボ領域に含まれるサーボパターンも半径方向に細長いパターンであるが、その領域をできるだけ少ない面積とするために、この発明ではサーボパターンは半径方向に一定の周期をもって形成されることが好ましい。
【0023】すなわち、半径方向には数十本のトラックが同心円状に形成されているが、サーボパターンは、所定数のトラックごとに一定周期を有するように形成する。この所定数のトラックを、トラックグループまたは周期nのグループと呼ぶ。この1つの周期内において、サーボパターンの円周方向に沿う長さは、連続的に、あるいは離散的に変化していることを必要とする。これは1周期のグループ内部の隣接するトラックにおいて必ず異なる周波数を検出するようにするためである。この発明の周波数検出部は、PLL(フェーズ ロックド ループ)回路を用いればよいが、この他に、DFT(デジタルフーリエ変換)(特開平9−312073号公報参照)回路を用いてもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳述する。なお、これによってこの発明が限定されるものではない。
<実施例1>図1に、この発明の実施例1のサーボパターンの説明図を示す。図1(a)はこの発明の磁気ディスク1の平面図を示したものである。半径方向に延びた線状のサーボ領域2が円周方向に一定間隔で形成されているようすを示している。サーボ領域2は、従来と同様に、一定周期のパターンインデックスパターン,グレイコードパターン,サーボパターン等から構成される。この発明の以下の実施例では、サーボ領域のうち、磁気ヘッドの位置決めに用いるサーボパターンの形状に注目して説明する。
【0025】図1(b)は、図1(a)のサーボ領域2を拡大し、特にサーボパターン3の部分を示した図である。磁気ディスクには同心円状に複数本のトラックが形成されているが、サーボパターン3は、磁気ディスクの半径方向に、このトラックを横断するように形成されている。図1(b)では、サーボパターンの幅5の中に、4つのサーボパターンSP1,SP2,SP3およびSP4が配置されているが、これに限るものではない。
【0026】また、サーボパターン3は、半径方向のn本のトラックを1周期として形成されており、図1(b)では、m個の周期を持つパターンとして形成されている。すなわち、図1(b)は、m個のトラックグループからなる。1つの周期の中に注目すると、トラック1からトラックnまで、円周方向のパターン幅a(クロック幅とも呼ぶ)を連続的に変化させたパターン、すなわちバーストの周波数を異ならせたパターンとなっている。
【0027】たとえば、図1(b)の周期1の中では、トラック1のサーボパターン3のパターン幅aが最も短く、トラックnのサーボパターン3のパターン幅が最も長くなるように連続的に変化している。すなわち、周期1のトラック1のパターン周期をt1、トラックnのパターン周期をtnとすると、t1<tnである。言いかえれば、周期1の最外周のトラック1のサーボパターンの繰り返しの周波数をf1とし、周期1の最内周のトラックnのパターンの繰り返し周波数をfnとすると、f1>fnである。
【0028】磁気ヘッドは、理想的にはこのトラックのほぼ中央を円周方向に進行し、このサーボパターン3を読み取り、再生信号を生成する。
【0029】あるトラックにおけるサーボパターンから生成される再生信号の周波数は、そのトラック内のパターン幅aによって決定され、トラックの位置により再生信号から検出される周波数が異なることになる。一般にある周期内におけるI番目のトラックにおいて検出される周波数fiは、次式で表される。
fi=f1+(f1−fn)×(2i−1)/nここで、周波数f1,fi,fnは、いずれも、磁気ヘッドが理想的な位置である各トラックの中央を進行した場合の数値とすると、これらの理想的な周波数は、サーボパターンの設計時に予め決定することができる。
【0030】図4に、各トラックに対して検出されるべき理想的な周波数と、この周波数に対応して、後述するD/Aコンバータから出力される理想信号Bの電圧値のテーブルの説明図を示す。このテーブルは、RAM又はROM等の記憶素子に予め記憶される。
【0031】磁気ヘッドがトラックの中央位置を進行するときは、再生信号からこの理想的な周波数に一致する周波数が検出されるので、磁気ヘッドの位置を半径方向に調整する必要はないが、磁気ヘッドがトラックの中央位置から上方向又は下方向にずれている場合は、理想的な周波数と異なる周波数fxが検出されることになる。理想的な周波数と検出された周波数fxとの差と、磁気ヘッドの半径方向のずれは1対1に対応するので、周波数の差(Δfi=fx−fi)を検出することにより、磁気ヘッドの調整すなわちトラッキングをすることができる。
【0032】図5に、この発明の一実施例において検出される周波数の比較とトラッキングの説明図を示す。この図は、トラックiの部分を拡大表示したものであり、サーボパターンのうちSP1のみを示している。トラックiの中央位置、すなわち図の点線上を磁気ヘッドが進行する場合は、図4のテーブルに記憶されたトラックiに対応する周波数fiが検出されることになる。ここで、周波数fiは、サーボパターンSP1の幅L1に相当するものである。
【0033】一方、磁気ヘッドがトラックiの中央位置よりも少し下方向へずれて進行する場合を考えると、この位置でのサーボパターンSP1の幅L1’に相当する周波数fxが検出されることになる。この場合、幅L1’>L1であるので、周波数はfx<fiの関係にある。この周波数の差Δfi=fx−fiは、磁気ヘッドの上下方向のずれ量に1対1に対応するので、周波数差Δfiに対応する磁気ヘッドの位置調整量を算出し、磁気ヘッドをこの位置調整量分だけ上下方向(図5の場合は上方向)に移動させれば、磁気ヘッドをトラックiの中央位置に調整することができる。
【0034】図3に、この発明の磁気記録装置の一実施例においてトラッキング処理の部分の回路構成ブロック図を示す。図3の磁気ヘッド101からVCO105までのブロックにより、磁気ヘッドの位置に対応した周波数の検出信号Aが生成される。周波数テーブル106とD/A変換部107により、磁気ヘッドによってトラッキングすべきトラックの番号に対応する理想的な周波数fiと対となって記憶されている電圧値Vi(理想信号B)が出力される。比較器108で、この検出信号Aと理想信号Bとの比較、すなわち減算を行い、周波数差に相当する誤差信号Cを生成する。トラッキング回路109では、この誤差信号Cを得て、磁気ヘッド101が接続されているアクチュエータ110を微動させるための位置移動信号を生成し、アクチュエータを駆動させる。
【0035】具体的には、まず、磁気ヘッド101があるトラックiのサーボパターンを横切ると、再生信号が生成され、これが2値化回路部102に与えられる。2値化回路部102では、立上りと立下りを検出してパルス信号を生成し、サーボ領域のうちサーボパターン3に対応する部分のみを位相比較部104に与えるため、タイミング遮断部103にこのパルス信号が出力される。この後、サーボパターン3に対応するパルス信号が、位相比較部104とVCO105からなるPLL回路に与えられ、位相比較部104から、磁気ヘッド101で検出された周波数に対応した電圧値の検出信号Aが、比較器108へ出力される。
【0036】一方、図4に示した周波数テーブル106から同じトラックiに対応する電圧値が読み出され、D/A変換部107によりアナログ電圧の理想信号Bが、比較器108へ出力される。比較器108では、検出信号Aと理想信号Bとの減算が行われ、図5で説明した周波数差Δfiに相当する誤差信号Cが、トラッキング部109へ出力される。トラッキング部109がこの誤差信号Cからアクチュエータ110に対して、アクチュエータの位置移動信号を出力すると、アクチュエータ110は、この信号に相当する距離だけ磁気ヘッドを移動させ、トラッキングをする。
【0037】以上のように、この発明では、磁気ディスクに記録されているサーボパターンを読み取り、このサーボパターンの位置によって異なる周波数に相当する信号を検出し、理想的な周波数と比較することにより、磁気ヘッドのトラッキングを行う。
【0038】サーボパターン(SP1〜SP4)の数は、図1(b)では4本からなるものを示したが、これに限るものではなく、原理的には少なくとも2本あればよい。ただし、安定したトラッキングを実現するためには、現実的には、サーボパターンの幅5は80クロック分程度は必要である。このときグレイコードパターン等も含めたサーボ領域2は1040クロック分程度の幅となる。また、各サーボパターンの1クロック分の幅はたとえば0.25μm程度である。従来の振幅検出方法では、サーボパターンの幅5は少なくとも240クロック分(サーボ領域2は1200クロック分)は必要としていたのと比べると、サーボパターンの占有率を1/3程度に減少させることができ、記録密度の向上を図ることができる。
【0039】また、サーボパターンの形状は、図1(b)に限るものではなく、種々の形状のものが考えられる。トラックごとに異なる周波数を検出できるようなサーボパターンであればよく、位相の連続性を保つために隣接するトラックの各クロック幅が連続的に変化するようなパターンが好ましい。
【0040】この実施例1によれば、図1に示したサーボパターンの幅5を従来よりも小さくしても、記録再生の信頼性を維持したままトラッキングできるので、ユーザデータの記録密度を向上させた磁気記録装置を提供することができる。なお、図3では、周波数検出のために、PLL回路を使用しているが、これに限るものではなく、DFT回路を使用してデジタルサンプリングによる検出を行ってもよい(特開平9−312073号公報参照)。
【0041】<実施例2>図6に、この発明の実施例2のサーボパターンの説明図を示す。図6では、2つのバーストパターン(31,32)からなるサーボパターンを示している。第1バースト31は図2に示したパターンと同一であり、第2バースト32は、1周期内において第1バーストの周波数の変化の傾向を反転させたパターンである。たとえば、周期1において第1バースト31では、トラック1とトラックnの周波数はf11>f1nの関係にあったが、第2バースト32のトラック1の周波数f21と第2バーストのトラックnの周波数f2nの関係はf21<f2nとなる。すなわち、周期1において、第1バーストの周波数の変化は増加傾向にあるが、第2バーストの周波数は減少傾向にある。
【0042】このサーボパターン3では、図1(b)と比べるとサーボパターンの幅5は2倍となり、サーボパターンの占有率が増加することになるが、前記したような磁気転写方法や、サーボ埋め込み型磁気ディスクなど、偏芯が生じる可能性のある磁気ディスクで利用する場合に有効である。すなわち、図6のサーボパターンを形成すれば、以下に示す原理により磁気ディスクの偏芯を検出することができ、偏芯量に対応した誤差信号を生成することにより、偏芯が生じている磁気ディスクでも正確にトラッキングをすることができる。
【0043】図6の第1バースト31および第2バースト32のサーボパターン幅はそれぞれ、80クロックとすればよく、サーボパターン3としては160クロック分の幅が必要となるが、この場合も従来よりはサーボパターンの占有率を少なくすることができる。
【0044】以下に、図6のサーボパターンを用いたトラッキングについて説明する。まず、偏芯がない場合を考える。磁気ヘッドで検出されるあるトラックiにおける周波数は、第1バースト31の周波数と第2バースト32の周波数の2種類である。たとえば、トラックiにおいて第1バーストおよび第2バーストのサーボパターンで検出される周波数は、それぞれ、f1i=f11+(f1n−f11)×(2i−1)/n,f2i=f21+(f2n−f21)×(2i−1)/nで表される。ここで、f11,f1nは、第1バーストの最外周トラック1および最内周トラックnの中央で検出されるべき周波数であり、f21,f2nは、第2バーストの最外周トラック1および最内周トラックnの中央で検出されるべき周波数である。この2種類の周波数について、実施例1と同様に、検出信号Aとテーブルに記憶された理想的な周波数に対応する理想信号Bとを比較することにより、トラッキングすることができる。この場合、2種類の周波数を検出してトラッキングを行うので、トラッキングの精度を向上させることができる。
【0045】次に、偏芯があった場合のトラッキングについて説明する。図7に、この発明の実施例2の偏芯があった場合の周波数変化の説明図を示す。図7のサーボパターンは、図6に示したものと同じである。今、周期1全体の中央部分を磁気ヘッドが横切ったときに検出されるべき周波数をfc(以下、中心周波数)とする。第1バーストのトラック1で検出されるべき周波数をf1,第1バーストのトラックnで検出されるべき周波数をfnとすると、fc=(f1+fn)/2で表される。
【0046】周期1の中央から距離ΔXだけ内周方向にずれた位置(図の点線)上を磁気ヘッドが進行した場合を考え、この距離ΔXに相当する周波数変化量がΔfであったとする。このとき、図7によれば第1バーストでは、中心周波数fcよりもΔfだけ低い周波数が検出され、第2バーストでは、中心周波数fcよりもΔfだけ高い周波数が検出されることになる。すなわち、第1バースト31により検出周波数f1x=fc−Δf,第2バースト32により検出周波数f2x=fc+Δfが検出される。
【0047】言いかえれば、任意のΔXの値に対応する周波数差Δfを、中心周波数fcに加算又は減算した周波数(f1x、f2x)が、第1バーストと第2バーストから必ず検出されることになる。さらに、前記したf1xとf2xの式よりf2x−f1x=2Δfが必ず成立する。この式は、第1バーストと第2バーストの検出周波数の差(f2x−f1x)はその位置ΔXに対応する周波数変化量Δfの2倍に等しいことを意味している。
【0048】ところで、磁気ディスクに偏芯があった場合は、中心周波数は、偏芯がないとしたときの中心周波数fcから一定量だけ変化する。この偏芯があった場合の中心周波数をfc’とすると、周期1の中央から距離ΔXだけ離れた位置で検出される周波数(f1x,f2x)は、やはり±Δfだけずれたものであり(f1x=fc’−Δf,f2x=fc’+Δf)、その周波数差(f2x−f1x)は、偏芯のないときと同じ2Δfである。したがって、図6に示したサーボパターンを利用すれば、偏芯の有無によらず、磁気ヘッドが進行する位置のみに関係した周波数変化を検出すればトラッキングを行うことができる。すなわち、この実施例2によれば、磁気ディスクに偏芯があった場合でも、正確にトラッキングすることができ、安定した記録再生が可能である。
【0049】図9に、この発明の実施例2で検出されるべき周波数差2Δfを記憶した周波数テーブルの一実施例の説明図を示す。このテーブルは、前記したように、1周期の中央位置からの距離ΔXと、これに対応する周波数差2Δfとを対にして記憶したものである。
【0050】図8に、この発明の実施例2の磁気記録装置の構成ブロック図を示す。ここでは、図3のPLL回路ブロックの後に第1バースト31および第2バースト32の検出周波数に対応するデジタル化された電圧値を記録するメモリ112,113と、A/D変換部111と減算器114を設ける。周波数テーブル115は、図9R>9に示したテーブルを意味する。
【0051】PLL回路の位相比較部104の出力として、第1バースト31から得られた電圧はA/D変換部111でA/D変換され、メモリ112に記憶される。同様に第2バースト32から得られた電圧はA/D変換され、メモリ113に記憶される。この2つのメモリ112,113の数値を減算器114で引き算すると、2Δfに相当する周波数差電圧(検出信号A)が、減算器114から比較器108へ出力される。また、周波数テーブル115からは、磁気ヘッドが進行したトラックの位置ΔXに対する周波数差2Δfに対応する電圧(理想信号B)が、比較器108へ出力される。以後、図3と同様にして比較器108から誤差信号Cが出力され、トラッキングが行われる。
【0052】<実施例3>図10に、この発明の実施例3のサーボパターンの一実施例の説明図を示す。これは、図1に示したサーボパターンと類似する形状であるが、各トラック内のバーストの周波数を離散的に変化させたパターンとしたものである。図10では、1つのトラック内について、2つの長方形状のパターンを配置したものであるが、3つ以上の長方形状パターンで構成してもよい。2つのパターンの場合は、トラックピッチ(=0.3μm)の半分を単位として周波数が変わる。
【0053】たとえば、図7のトラック1では、2つの周波数f1a,f1bが検出されることになる。すなわち、磁気ヘッドがトラック1の上半分を進行するときは、周波数f1aが検出され、トラック1の下半分を進行するときは、周波数f1bが検出される。磁気ヘッドのコア幅と長方形状パターンの半径方向の単位幅との関係から、この2つの周波数が検出され、理想的な目標トラックテーブルの周波数と検出された周波数とを比較することで、目標トラック±0.5トラックが分かり、±0.5トラック以下の誤差信号は検出された2つの周波数の振幅を比較することで、トラッキング誤差信号を生成することができる。
【0054】図11に、この発明の第3実施例のサーボパターンの他の実施例の説明図を示す。ここでは、第1及び第2のバーストからなるサーボパターンであって、各バーストのトラックの中のパターンが、図7に示したような離散的な長方形状パターンとなったものを示している。この場合も、図10と同様にして誤差信号を生成すればよい。図11の場合は、前記した実施例2のように、偏芯がある場合でも、正確なトラッキングをすることができる。
【0055】<実施例4>ここでは、偏芯がある磁気ディスクの正確なトラッキングをするために、磁気ディスクの外周部分に放射状パターンを形成した実施例を示す。図12に、この発明の実施例4の放射状パターンの説明図を示す。図12に示す符号41が放射状パターンである。放射状パターン41のそれぞれは、半径方向に細長い長方形状のパターンであり、磁気ディスクの最外周の円周全体にわたって中心から等距離の位置に図のように配置する。1つの放射状パターン41の大きさは、たとえば半径方向の長さを50μm,円周方向の幅を0.25μm程度とする。
【0056】偏芯がない場合、磁気ディスクを1回転させて磁気ヘッドでこの放射状パターン41の部分を再生したとすると、一定の周波数(=f0とする)が検出される。しかし、偏芯がある場合、現実の回転中心が理想的な中心からずれているため、放射状パターン41の位置によって検出される周波数は異なる。一定の回転速度で回転している場合、現実の回転中心からの距離が短い位置にある放射状パターン41からは、前記した周波数f0よりも低い周波数が検出されることになる。逆に現実の回転中心からの距離が長い位置にある放射状パターン41からは、周波数f0よりも高い周波数が検出されることになる。
【0057】このように偏芯がある場合は、磁気ディスク1周分にわたって、異なる周波数が検出されることになるが、検出される周波数の最大値をf2,最小値をf1とし、1周分(0〜360°)にわたって見ると、前記した周波数f0を中心として、f1からf2の範囲を変化する周波数が検出されることなる(図13参照)。
【0058】図13のように放射状パターンから検出された周波数の変化は、回転中心に対するパターンの偏芯量によって一義的に定められる。すなわち、放射状パターン41を利用して、1周分の周波数変化の数値を検出すれば、その磁気ディスクの偏芯量がわかる。この偏芯量から図14に示すような目標周波数テーブルを求め、メモリに記憶しておく。図14において、角度とは、例えばスピンドルのインデックスからの角度を表す。放射状パターン41により角度に対する周波数がわかっているので、放射状パターンで検出されるこの偏芯分を考慮した周波数,電圧が記憶されている。次に、このような放射状パターン41を用いて、偏芯分を考慮した周波数を求め、図14のテーブルを参照してこの周波数に対応する電圧を設定して、トラッキングを行う方法について説明する。
【0059】まず、磁気ディスクをスピンドルに装着して、磁気ヘッドで放射状パターン41を再生し、スピンドルのインデックスに同期させて1周にわたって周波数を測定し、位置(角度)ごとにメモリに記憶する。偏芯があると、この検出周波数は一定の幅で変化し、位置によって異なる数値となっている。この測定周波数の値をもとに、角度ごとの周波数すなわち電圧を設定し、図14R>4に示したような目標周波数テーブルを作成する。
【0060】次に、磁気ヘッドで各トラックのサーボパターンを読み出す場合、サーボパターンとしては、図1R>1,図2等のようなパターンが形成されているので、各トラックごとにそのパターンに対応する周波数が検出されることになる。偏芯がある場合は、この検出周波数を、作成した目標周波数テーブルの中においてその偏芯量に対応する角度の図14に示した周波数(電圧)に置換して検出信号Aとして出力する。この後は、実施例1と同様にして、誤差信号Cを作成してトラッキングを行う。このようにすれば、偏芯がある磁気ディスクでも、正確なトラッキングをすることができるようになる。
【0061】
【発明の効果】この発明によれば、磁気ディスク上に形成されたサーボパターンから周波数を検出して磁気ヘッドのトラッキングを行うようにしているので、偏芯のある磁気ディスクでも正確にトラッキングすることができ、そのサーボパターンの占有率を従来よりも下げることができるので、磁気ディスクの記憶密度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の磁気ディスクのサーボパターンの一実施例の説明図である。
【図2】この発明の磁気ディスクのサーボパターンの一実施例の説明図である。
【図3】この発明の磁気記録装置の一実施例の構成ブロック図である。
【図4】この発明の磁気ディスクに対する周波数テーブルの説明図である。
【図5】この発明の周波数の比較とトラッキングの説明図である。
【図6】この発明の磁気ディスクのサーボパターンの一実施例の説明図である。
【図7】この発明の実施例2の偏芯があった場合の周波数変化の説明図である。
【図8】この発明の磁気記録装置の実施例2の構成ブロック図である。
【図9】この発明の磁気ディスクに対する周波数テーブルの説明図である。
【図10】この発明の実施例3のサーボパターンの説明図である。
【図11】この発明の実施例3のサーボパターンの説明図である。
【図12】この発明の実施例4の放射状のパターンの説明図である。
【図13】この発明の実施例4の偏芯ディスクの周波数変化の説明図である。
【図14】この発明の実施例4の目標周波数テーブルの説明図である。
【図15】従来の「振幅検出サーボ」方式の概略説明図である。
【図16】従来の「位相検出サーボ」方式の概略説明図である。
【符号の説明】
1 磁気ディスク
2 サーボ領域
3 サーボパターン
4 データ領域
5 サーボパターン幅
31 第1バースト
32 第2バースト
101 磁気ヘッド
102 2値化部
103 タイミング遮断部
104 位相比較部
105 VCO
106 周波数テーブル
107 D/A変換器
108 比較器
109 トラッキング部
110 アクチュエータ
A 検出信号
B 理想信号
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、磁気記録装置に関し、特に、ディスク上に記録されたサーボパターンを用いて記録再生ヘッドのトラッキングサーボを行う磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気記録装置では情報の記録再生に磁気ヘッドが用いられるが、この磁気ヘッドの磁気ディスクに対する位置決めをするために、磁気ディスク上に、サーボパターンが形成されている。従来の磁気ディスクは、ユーザのデータを記録するためのデータ領域と、磁気記録装置の磁気ヘッドの位置決めをするための信号が予め記録されたサーボ領域とに分けられる。サーボ領域は、円板状の磁気ディスクの中心より放射線状に所定の間隔をあけて数十本程度形成されている。
【0003】また、サーボ領域は、一般的には、オートゲインコントロール(AGC)のための一定周期パターンと、1回転の先頭を示すインデックスパターンと、何本目のトラックかを示すグレイコードパターンと、トラックの位置情報を得るためのサーボパターン(位置信号パターンとも呼ぶ)とから構成される。ここで、サーボパターンは、磁気記録装置の磁気ヘッドを位置決めするために必要なパターンからなり、たとえば所定のトラック間隔ごとに複数のサーボビットが千鳥配置されたものである。このサーボビットの各々を磁気ヘッドで読み取り、再生信号を得て、その信号の振幅差を比較することにより、トラック幅方向の位置情報を取得し、磁気ヘッドの位置決め(トラッキング)を行っている(特公昭47−32012号公報)。
【0004】図15に、従来の「振幅検出サーボ」方式の概略説明図を示す。図15(a)はトラックとサーボパターンの関係を示す図、図15(b)はサーボパターン上を移動する磁気ヘッドから得られる再生信号の一例を示す図である。トラック幅Twrの磁気ヘッド10をトラック♯Nに位置決めする場合を考える。図15(a)に示すように、磁気ヘッド10が図のx方向に進行し、パターンP、A〜Dを通過するとき、図15(b)に示すような再生信号を得る。ここで、P、A〜Dの各パターンの白い部分と黒い部分はそれぞれ、磁気記録媒体上に記録されたサーボパターンの磁化の向きが互いに逆であることを表す。すなわち、面内磁気記録であれば、白い部分と黒い部分の磁化の向きは媒体面内にトラック方向(x方向)成分を持つ互いに逆方向を向いたベクトルであり、垂直記録であれば、白い部分と黒い部分の磁化の向きは媒体表面に垂直な成分を持つ互いに逆方向を向いたベクトルである。また、図15(a)のパターンは模式図であり、実際には図15(b)の信号周期とは一致する。
【0005】パターンAの再生信号振幅SAと、パターンBの再生信号振幅SBとの差分であるSA−SBの演算を行い、トラック幅方向yへ磁気ヘッド10を移動させると、演算結果は図15(a)の右に示したN−POSとなる。同様に、パターンCの再生信号振幅SCと、パターンDの再生信号振幅SDとの差分であるSC−SDの演算を行い、トラック幅方向yへ磁気ヘッド10を移動させると、演算結果は図15(a)の右に示したQ−POSとなる。上記で求めたN−POS、Q−POSの信号を位置信号として適宜用いることにより、磁気ヘッド10の現在位置を知ることができる。
【0006】一方、上記とは別のサーボ方式として「位相検出サーボ」なる方式が、たとえば特開昭60−10472号公報に開示されている。図16に、従来の「位相検出サーボ」方式の概略説明図を示す。トラック幅Twrの磁気ヘッド10をトラック♯Nに位置決めする場合を考える。磁気ヘッド10がx方向に進行し、図16(a)に示すパターンP、A〜Cを通過するとき、例えば図16(b)に示すような再生信号を得る。ここで、P、A〜Cの各パターンの白い部分と黒い部分の表記法は図15と同様である。パターンは磁気ヘッド10に対してアジマスがついているが、その角度は再生信号の劣化(アジマスロス)が問題とならない程度に小さいので、それぞれの再生信号の波形は図15とほとんど変わらない。但し、パターンPに対する各パターンA、B、Cの位相は、トラック幅方向yの位置により異なり、ここでは♯Nトラックでの位相をそれぞれPA、PB、PCとする。ここで、図16(a)のパターンは模式図であり、実際には図16(b)の信号周期とは一致する。
【0007】いま、それぞれの位相の差PB−PA、PC−PBを計算したとき、トラック幅方向yにおけるこの演算結果は、一例として図16(a)の右に示したものとなる。上記で求めたPB−PA、PC−PBの信号を位置信号として適宜用いることにより、磁気ヘッド10の現在位置を知ることができる。なお、図16(b)の再生信号より位相PA、PB、PCを求める方法としては、例えば、特開平9−312073号公報に開示されている方法を用いることができる。この位相検出サーボ方式のパターンでは、1周期を多数のトラックで構成するので、ディスク上の位置を示すコード情報は、振幅検出方式のパターンよりも少なくて済む。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、今日、記憶密度をさらに向上させることが要求されており、記憶の単位ビットを小さくすることや、ディスク上を占めるサーボ領域の占有率を少しでも下げることが求められている。しかし、前記した従来のようなサーボ検出方式では、記録再生の信頼性を維持したまま記憶密度の向上を図ることは難しい。
【0009】また、サーボ領域に記録される情報は、従来、サーボトラックライター(STW)を用いて記録されていたが、これは磁気ヘッドを用いて記録する方式であるため、その記録時間が長いという問題があった。そこで、この問題を解決するべく、磁気転写技術を用いて、マスタディスクに記録されたサーボパターン等を一括して、従来よりも短時間で、スレーブディスクに転写するサーボ情報転写方法が提案されている。
【0010】しかし、この転写方法では、ダスト等の存在によりマスタディスクとスレーブディスクとの間が密着不足となると均一な転写をすることが難しくなる。均一に転写できなかった場合、サーボパターンを磁気ヘッドで再生すると、その再生信号に振幅の変動が生じ、位置決めの信頼性に欠けることになる。特にパターンの密度が上がるとより顕著になる。また、マスタとスレーブの位置合わせがずれていると、偏芯が生じたスレーブディスクとなってしまうおそれがある。
【0011】そこで、この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、ディスク全体に対するサーボ領域の占有率を下げて記録密度を向上させ、磁気転写方法により作成された磁気ディスクにおいて偏芯が生じても正確なトラッキングを可能とする磁気記録装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、磁気ヘッドと、磁気ヘッドの位置を調整するためのサーボパターンを有する磁気記録媒体と、磁気ヘッドがサーボパターンを読み取ることにより得た再生信号をもとに、磁気記録媒体のトラックの半径方向の位置に対応した周波数を検出する周波数検出部と、磁気記録媒体の各トラック位置に対応する所定の周波数情報を予め記憶した記憶部と、前記周波数検出部が検出した周波数と、記録部に記憶された同一のトラックに対応した周波数情報とを比較し、その周波数差に基づく磁気ヘッドの位置調整信号を生成するトラッキング部とからなることを特徴とする磁気記録装置を提供するものである。これによれば、サーボパターンを利用して周波数を検出しているので、磁気記録媒体全体に対するサーボ領域の占有率を従来よりも下げることができ、記録密度を向上させることができる。
【0013】また、前記サーボパターンは、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において、磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンの長さが連続的に変化しており、前記記憶部には、各トラックごとに異なる周波数情報が記憶されるようにしてもよい。
【0014】さらに、前記サーボパターンは、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において、磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンの長さが離散的に変化しており、前記記憶部には、各トラックごとに異なる周波数情報が記憶されるようにしてもよい。
【0015】また、前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において磁気記録媒体の円周方向のパターン長が連続的に変化し、かつ磁気記録媒体の円周方向に並設された第1のバーストパターンおよび第2のバーストパターンからなり、第1のバーストパターンのパターン長の変化の傾向と、第2のバーストパターンのパターン長の変化の傾向とが逆であり、前記記憶部には、前記第1および第2のバーストパターンについての周波数情報が、各トラックごとに記憶されるようにしてもよい。これによれば、サーボパターンとして円周方向のパターン長の変化の傾向が異なる2つのバーストパターンを形成しているので、磁気転写方法などにより作成された磁気記録媒体が装置に搭載する際などにおいて偏芯が生じている場合でも、正確なトラッキングができる。
【0016】さらに、前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において磁気記録媒体の円周方向のパターン長が離散的に変化し、かつ磁気記録媒体の円周方向に並設された第1のバーストパターンおよび第2のバーストパターンからなり、第1のバーストパターンのパターン長の変化の傾向と、第2のバーストパターンのパターン長の変化の傾向とが逆であり、前記記憶部には、前記第1および第2のバーストパターンについての周波数情報が、各トラックごとに記憶されるようにしてもよい。また、特に磁気記録媒体は、円板状の媒体であって、設計上の回転中心とは異なる位置に回転中心が存在する偏芯媒体であっても、正確なトラッキングができる。
【0017】また、磁気記録媒体が、外周近傍領域に外周に沿って複数の放射状パターンを配列した円板状の媒体であって、前記周波数検出部が、前記放射状パターンを1周にわたって読み取ることにより、1周分の周波数を測定し、測定された1周分の周波数に変化がある場合には、周波数に変化がない場合に検出されるべき周波数と測定された周波数を比較して、前記記憶部に記憶された周波数情報を補正するようにしてもよい。これによれば、偏芯のある場合でも、正確なトラッキングができる。
【0018】この発明は、磁気ヘッドの位置を調整するためのサーボパターンを有する磁気記録媒体であって、前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において、磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンの長さが連続的に変化していることを特徴とする磁気記録媒体を提供するものである。ここで、円周方向に沿うサーボパターンの長さは、離散的に変化していてもよい。
【0019】また、磁気ヘッドの位置を調整するためのサーボパターンを有する磁気記録媒体であって、前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンのパターン長が連続的に変化し、かつ磁気記録媒体の円周方向に並設された第1のバーストパターンおよび第2のバーストパターンからなり、第1のバーストパターンのパターン長の変化の傾向と、第2のバーストパターンのパターン長の変化の傾向とが逆でることを特徴とする磁気記録媒体を提供するものである。ここで、円周方向に沿うサーボパターンのパターン長は、離散的に変化していてもよい。
【0020】磁気記録媒体は、大別して2つの領域に分けられる。一つはユーザの情報を記録するデータ領域であり、もう一つは媒体に対する磁気ヘッドの位置決め、トラックやセクタの位置の識別などの情報を記録するサーボ領域である。サーボ領域は、従来と同様な種々の情報が記録された領域であるが、この発明ではそのうちのサーボパターンに特徴を有し、さらにサーボパターンを利用して周波数を検出してトラッキングを行うことを特徴とする。
【0021】磁気ヘッドが設計どおりのトラック位置を進行するときは、予め設定された周波数そのものが検出されるが、一般的には装置の振動や温度変化などの種々の外乱によって設計上のトラック位置から少しずれた位置を進行する場合がある。そのような場合には、設定値と異なる周波数が検出されるので、設定値と検出周波数との周波数差をもとに、磁気ヘッドを本来の設計上のトラック位置に戻すための位置調整信号を生成し、この位置調整信号をもとに、磁気ヘッドの位置を微調整(トラッキング)する。
【0022】また、この発明では、サーボ領域は複数のトラックを横断する細長いパターンであって、円板状磁気記録媒体では、半径方向に長いパターンである。サーボ領域に含まれるサーボパターンも半径方向に細長いパターンであるが、その領域をできるだけ少ない面積とするために、この発明ではサーボパターンは半径方向に一定の周期をもって形成されることが好ましい。
【0023】すなわち、半径方向には数十本のトラックが同心円状に形成されているが、サーボパターンは、所定数のトラックごとに一定周期を有するように形成する。この所定数のトラックを、トラックグループまたは周期nのグループと呼ぶ。この1つの周期内において、サーボパターンの円周方向に沿う長さは、連続的に、あるいは離散的に変化していることを必要とする。これは1周期のグループ内部の隣接するトラックにおいて必ず異なる周波数を検出するようにするためである。この発明の周波数検出部は、PLL(フェーズ ロックド ループ)回路を用いればよいが、この他に、DFT(デジタルフーリエ変換)(特開平9−312073号公報参照)回路を用いてもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳述する。なお、これによってこの発明が限定されるものではない。
<実施例1>図1に、この発明の実施例1のサーボパターンの説明図を示す。図1(a)はこの発明の磁気ディスク1の平面図を示したものである。半径方向に延びた線状のサーボ領域2が円周方向に一定間隔で形成されているようすを示している。サーボ領域2は、従来と同様に、一定周期のパターンインデックスパターン,グレイコードパターン,サーボパターン等から構成される。この発明の以下の実施例では、サーボ領域のうち、磁気ヘッドの位置決めに用いるサーボパターンの形状に注目して説明する。
【0025】図1(b)は、図1(a)のサーボ領域2を拡大し、特にサーボパターン3の部分を示した図である。磁気ディスクには同心円状に複数本のトラックが形成されているが、サーボパターン3は、磁気ディスクの半径方向に、このトラックを横断するように形成されている。図1(b)では、サーボパターンの幅5の中に、4つのサーボパターンSP1,SP2,SP3およびSP4が配置されているが、これに限るものではない。
【0026】また、サーボパターン3は、半径方向のn本のトラックを1周期として形成されており、図1(b)では、m個の周期を持つパターンとして形成されている。すなわち、図1(b)は、m個のトラックグループからなる。1つの周期の中に注目すると、トラック1からトラックnまで、円周方向のパターン幅a(クロック幅とも呼ぶ)を連続的に変化させたパターン、すなわちバーストの周波数を異ならせたパターンとなっている。
【0027】たとえば、図1(b)の周期1の中では、トラック1のサーボパターン3のパターン幅aが最も短く、トラックnのサーボパターン3のパターン幅が最も長くなるように連続的に変化している。すなわち、周期1のトラック1のパターン周期をt1、トラックnのパターン周期をtnとすると、t1<tnである。言いかえれば、周期1の最外周のトラック1のサーボパターンの繰り返しの周波数をf1とし、周期1の最内周のトラックnのパターンの繰り返し周波数をfnとすると、f1>fnである。
【0028】磁気ヘッドは、理想的にはこのトラックのほぼ中央を円周方向に進行し、このサーボパターン3を読み取り、再生信号を生成する。
【0029】あるトラックにおけるサーボパターンから生成される再生信号の周波数は、そのトラック内のパターン幅aによって決定され、トラックの位置により再生信号から検出される周波数が異なることになる。一般にある周期内におけるI番目のトラックにおいて検出される周波数fiは、次式で表される。
fi=f1+(f1−fn)×(2i−1)/nここで、周波数f1,fi,fnは、いずれも、磁気ヘッドが理想的な位置である各トラックの中央を進行した場合の数値とすると、これらの理想的な周波数は、サーボパターンの設計時に予め決定することができる。
【0030】図4に、各トラックに対して検出されるべき理想的な周波数と、この周波数に対応して、後述するD/Aコンバータから出力される理想信号Bの電圧値のテーブルの説明図を示す。このテーブルは、RAM又はROM等の記憶素子に予め記憶される。
【0031】磁気ヘッドがトラックの中央位置を進行するときは、再生信号からこの理想的な周波数に一致する周波数が検出されるので、磁気ヘッドの位置を半径方向に調整する必要はないが、磁気ヘッドがトラックの中央位置から上方向又は下方向にずれている場合は、理想的な周波数と異なる周波数fxが検出されることになる。理想的な周波数と検出された周波数fxとの差と、磁気ヘッドの半径方向のずれは1対1に対応するので、周波数の差(Δfi=fx−fi)を検出することにより、磁気ヘッドの調整すなわちトラッキングをすることができる。
【0032】図5に、この発明の一実施例において検出される周波数の比較とトラッキングの説明図を示す。この図は、トラックiの部分を拡大表示したものであり、サーボパターンのうちSP1のみを示している。トラックiの中央位置、すなわち図の点線上を磁気ヘッドが進行する場合は、図4のテーブルに記憶されたトラックiに対応する周波数fiが検出されることになる。ここで、周波数fiは、サーボパターンSP1の幅L1に相当するものである。
【0033】一方、磁気ヘッドがトラックiの中央位置よりも少し下方向へずれて進行する場合を考えると、この位置でのサーボパターンSP1の幅L1’に相当する周波数fxが検出されることになる。この場合、幅L1’>L1であるので、周波数はfx<fiの関係にある。この周波数の差Δfi=fx−fiは、磁気ヘッドの上下方向のずれ量に1対1に対応するので、周波数差Δfiに対応する磁気ヘッドの位置調整量を算出し、磁気ヘッドをこの位置調整量分だけ上下方向(図5の場合は上方向)に移動させれば、磁気ヘッドをトラックiの中央位置に調整することができる。
【0034】図3に、この発明の磁気記録装置の一実施例においてトラッキング処理の部分の回路構成ブロック図を示す。図3の磁気ヘッド101からVCO105までのブロックにより、磁気ヘッドの位置に対応した周波数の検出信号Aが生成される。周波数テーブル106とD/A変換部107により、磁気ヘッドによってトラッキングすべきトラックの番号に対応する理想的な周波数fiと対となって記憶されている電圧値Vi(理想信号B)が出力される。比較器108で、この検出信号Aと理想信号Bとの比較、すなわち減算を行い、周波数差に相当する誤差信号Cを生成する。トラッキング回路109では、この誤差信号Cを得て、磁気ヘッド101が接続されているアクチュエータ110を微動させるための位置移動信号を生成し、アクチュエータを駆動させる。
【0035】具体的には、まず、磁気ヘッド101があるトラックiのサーボパターンを横切ると、再生信号が生成され、これが2値化回路部102に与えられる。2値化回路部102では、立上りと立下りを検出してパルス信号を生成し、サーボ領域のうちサーボパターン3に対応する部分のみを位相比較部104に与えるため、タイミング遮断部103にこのパルス信号が出力される。この後、サーボパターン3に対応するパルス信号が、位相比較部104とVCO105からなるPLL回路に与えられ、位相比較部104から、磁気ヘッド101で検出された周波数に対応した電圧値の検出信号Aが、比較器108へ出力される。
【0036】一方、図4に示した周波数テーブル106から同じトラックiに対応する電圧値が読み出され、D/A変換部107によりアナログ電圧の理想信号Bが、比較器108へ出力される。比較器108では、検出信号Aと理想信号Bとの減算が行われ、図5で説明した周波数差Δfiに相当する誤差信号Cが、トラッキング部109へ出力される。トラッキング部109がこの誤差信号Cからアクチュエータ110に対して、アクチュエータの位置移動信号を出力すると、アクチュエータ110は、この信号に相当する距離だけ磁気ヘッドを移動させ、トラッキングをする。
【0037】以上のように、この発明では、磁気ディスクに記録されているサーボパターンを読み取り、このサーボパターンの位置によって異なる周波数に相当する信号を検出し、理想的な周波数と比較することにより、磁気ヘッドのトラッキングを行う。
【0038】サーボパターン(SP1〜SP4)の数は、図1(b)では4本からなるものを示したが、これに限るものではなく、原理的には少なくとも2本あればよい。ただし、安定したトラッキングを実現するためには、現実的には、サーボパターンの幅5は80クロック分程度は必要である。このときグレイコードパターン等も含めたサーボ領域2は1040クロック分程度の幅となる。また、各サーボパターンの1クロック分の幅はたとえば0.25μm程度である。従来の振幅検出方法では、サーボパターンの幅5は少なくとも240クロック分(サーボ領域2は1200クロック分)は必要としていたのと比べると、サーボパターンの占有率を1/3程度に減少させることができ、記録密度の向上を図ることができる。
【0039】また、サーボパターンの形状は、図1(b)に限るものではなく、種々の形状のものが考えられる。トラックごとに異なる周波数を検出できるようなサーボパターンであればよく、位相の連続性を保つために隣接するトラックの各クロック幅が連続的に変化するようなパターンが好ましい。
【0040】この実施例1によれば、図1に示したサーボパターンの幅5を従来よりも小さくしても、記録再生の信頼性を維持したままトラッキングできるので、ユーザデータの記録密度を向上させた磁気記録装置を提供することができる。なお、図3では、周波数検出のために、PLL回路を使用しているが、これに限るものではなく、DFT回路を使用してデジタルサンプリングによる検出を行ってもよい(特開平9−312073号公報参照)。
【0041】<実施例2>図6に、この発明の実施例2のサーボパターンの説明図を示す。図6では、2つのバーストパターン(31,32)からなるサーボパターンを示している。第1バースト31は図2に示したパターンと同一であり、第2バースト32は、1周期内において第1バーストの周波数の変化の傾向を反転させたパターンである。たとえば、周期1において第1バースト31では、トラック1とトラックnの周波数はf11>f1nの関係にあったが、第2バースト32のトラック1の周波数f21と第2バーストのトラックnの周波数f2nの関係はf21<f2nとなる。すなわち、周期1において、第1バーストの周波数の変化は増加傾向にあるが、第2バーストの周波数は減少傾向にある。
【0042】このサーボパターン3では、図1(b)と比べるとサーボパターンの幅5は2倍となり、サーボパターンの占有率が増加することになるが、前記したような磁気転写方法や、サーボ埋め込み型磁気ディスクなど、偏芯が生じる可能性のある磁気ディスクで利用する場合に有効である。すなわち、図6のサーボパターンを形成すれば、以下に示す原理により磁気ディスクの偏芯を検出することができ、偏芯量に対応した誤差信号を生成することにより、偏芯が生じている磁気ディスクでも正確にトラッキングをすることができる。
【0043】図6の第1バースト31および第2バースト32のサーボパターン幅はそれぞれ、80クロックとすればよく、サーボパターン3としては160クロック分の幅が必要となるが、この場合も従来よりはサーボパターンの占有率を少なくすることができる。
【0044】以下に、図6のサーボパターンを用いたトラッキングについて説明する。まず、偏芯がない場合を考える。磁気ヘッドで検出されるあるトラックiにおける周波数は、第1バースト31の周波数と第2バースト32の周波数の2種類である。たとえば、トラックiにおいて第1バーストおよび第2バーストのサーボパターンで検出される周波数は、それぞれ、f1i=f11+(f1n−f11)×(2i−1)/n,f2i=f21+(f2n−f21)×(2i−1)/nで表される。ここで、f11,f1nは、第1バーストの最外周トラック1および最内周トラックnの中央で検出されるべき周波数であり、f21,f2nは、第2バーストの最外周トラック1および最内周トラックnの中央で検出されるべき周波数である。この2種類の周波数について、実施例1と同様に、検出信号Aとテーブルに記憶された理想的な周波数に対応する理想信号Bとを比較することにより、トラッキングすることができる。この場合、2種類の周波数を検出してトラッキングを行うので、トラッキングの精度を向上させることができる。
【0045】次に、偏芯があった場合のトラッキングについて説明する。図7に、この発明の実施例2の偏芯があった場合の周波数変化の説明図を示す。図7のサーボパターンは、図6に示したものと同じである。今、周期1全体の中央部分を磁気ヘッドが横切ったときに検出されるべき周波数をfc(以下、中心周波数)とする。第1バーストのトラック1で検出されるべき周波数をf1,第1バーストのトラックnで検出されるべき周波数をfnとすると、fc=(f1+fn)/2で表される。
【0046】周期1の中央から距離ΔXだけ内周方向にずれた位置(図の点線)上を磁気ヘッドが進行した場合を考え、この距離ΔXに相当する周波数変化量がΔfであったとする。このとき、図7によれば第1バーストでは、中心周波数fcよりもΔfだけ低い周波数が検出され、第2バーストでは、中心周波数fcよりもΔfだけ高い周波数が検出されることになる。すなわち、第1バースト31により検出周波数f1x=fc−Δf,第2バースト32により検出周波数f2x=fc+Δfが検出される。
【0047】言いかえれば、任意のΔXの値に対応する周波数差Δfを、中心周波数fcに加算又は減算した周波数(f1x、f2x)が、第1バーストと第2バーストから必ず検出されることになる。さらに、前記したf1xとf2xの式よりf2x−f1x=2Δfが必ず成立する。この式は、第1バーストと第2バーストの検出周波数の差(f2x−f1x)はその位置ΔXに対応する周波数変化量Δfの2倍に等しいことを意味している。
【0048】ところで、磁気ディスクに偏芯があった場合は、中心周波数は、偏芯がないとしたときの中心周波数fcから一定量だけ変化する。この偏芯があった場合の中心周波数をfc’とすると、周期1の中央から距離ΔXだけ離れた位置で検出される周波数(f1x,f2x)は、やはり±Δfだけずれたものであり(f1x=fc’−Δf,f2x=fc’+Δf)、その周波数差(f2x−f1x)は、偏芯のないときと同じ2Δfである。したがって、図6に示したサーボパターンを利用すれば、偏芯の有無によらず、磁気ヘッドが進行する位置のみに関係した周波数変化を検出すればトラッキングを行うことができる。すなわち、この実施例2によれば、磁気ディスクに偏芯があった場合でも、正確にトラッキングすることができ、安定した記録再生が可能である。
【0049】図9に、この発明の実施例2で検出されるべき周波数差2Δfを記憶した周波数テーブルの一実施例の説明図を示す。このテーブルは、前記したように、1周期の中央位置からの距離ΔXと、これに対応する周波数差2Δfとを対にして記憶したものである。
【0050】図8に、この発明の実施例2の磁気記録装置の構成ブロック図を示す。ここでは、図3のPLL回路ブロックの後に第1バースト31および第2バースト32の検出周波数に対応するデジタル化された電圧値を記録するメモリ112,113と、A/D変換部111と減算器114を設ける。周波数テーブル115は、図9R>9に示したテーブルを意味する。
【0051】PLL回路の位相比較部104の出力として、第1バースト31から得られた電圧はA/D変換部111でA/D変換され、メモリ112に記憶される。同様に第2バースト32から得られた電圧はA/D変換され、メモリ113に記憶される。この2つのメモリ112,113の数値を減算器114で引き算すると、2Δfに相当する周波数差電圧(検出信号A)が、減算器114から比較器108へ出力される。また、周波数テーブル115からは、磁気ヘッドが進行したトラックの位置ΔXに対する周波数差2Δfに対応する電圧(理想信号B)が、比較器108へ出力される。以後、図3と同様にして比較器108から誤差信号Cが出力され、トラッキングが行われる。
【0052】<実施例3>図10に、この発明の実施例3のサーボパターンの一実施例の説明図を示す。これは、図1に示したサーボパターンと類似する形状であるが、各トラック内のバーストの周波数を離散的に変化させたパターンとしたものである。図10では、1つのトラック内について、2つの長方形状のパターンを配置したものであるが、3つ以上の長方形状パターンで構成してもよい。2つのパターンの場合は、トラックピッチ(=0.3μm)の半分を単位として周波数が変わる。
【0053】たとえば、図7のトラック1では、2つの周波数f1a,f1bが検出されることになる。すなわち、磁気ヘッドがトラック1の上半分を進行するときは、周波数f1aが検出され、トラック1の下半分を進行するときは、周波数f1bが検出される。磁気ヘッドのコア幅と長方形状パターンの半径方向の単位幅との関係から、この2つの周波数が検出され、理想的な目標トラックテーブルの周波数と検出された周波数とを比較することで、目標トラック±0.5トラックが分かり、±0.5トラック以下の誤差信号は検出された2つの周波数の振幅を比較することで、トラッキング誤差信号を生成することができる。
【0054】図11に、この発明の第3実施例のサーボパターンの他の実施例の説明図を示す。ここでは、第1及び第2のバーストからなるサーボパターンであって、各バーストのトラックの中のパターンが、図7に示したような離散的な長方形状パターンとなったものを示している。この場合も、図10と同様にして誤差信号を生成すればよい。図11の場合は、前記した実施例2のように、偏芯がある場合でも、正確なトラッキングをすることができる。
【0055】<実施例4>ここでは、偏芯がある磁気ディスクの正確なトラッキングをするために、磁気ディスクの外周部分に放射状パターンを形成した実施例を示す。図12に、この発明の実施例4の放射状パターンの説明図を示す。図12に示す符号41が放射状パターンである。放射状パターン41のそれぞれは、半径方向に細長い長方形状のパターンであり、磁気ディスクの最外周の円周全体にわたって中心から等距離の位置に図のように配置する。1つの放射状パターン41の大きさは、たとえば半径方向の長さを50μm,円周方向の幅を0.25μm程度とする。
【0056】偏芯がない場合、磁気ディスクを1回転させて磁気ヘッドでこの放射状パターン41の部分を再生したとすると、一定の周波数(=f0とする)が検出される。しかし、偏芯がある場合、現実の回転中心が理想的な中心からずれているため、放射状パターン41の位置によって検出される周波数は異なる。一定の回転速度で回転している場合、現実の回転中心からの距離が短い位置にある放射状パターン41からは、前記した周波数f0よりも低い周波数が検出されることになる。逆に現実の回転中心からの距離が長い位置にある放射状パターン41からは、周波数f0よりも高い周波数が検出されることになる。
【0057】このように偏芯がある場合は、磁気ディスク1周分にわたって、異なる周波数が検出されることになるが、検出される周波数の最大値をf2,最小値をf1とし、1周分(0〜360°)にわたって見ると、前記した周波数f0を中心として、f1からf2の範囲を変化する周波数が検出されることなる(図13参照)。
【0058】図13のように放射状パターンから検出された周波数の変化は、回転中心に対するパターンの偏芯量によって一義的に定められる。すなわち、放射状パターン41を利用して、1周分の周波数変化の数値を検出すれば、その磁気ディスクの偏芯量がわかる。この偏芯量から図14に示すような目標周波数テーブルを求め、メモリに記憶しておく。図14において、角度とは、例えばスピンドルのインデックスからの角度を表す。放射状パターン41により角度に対する周波数がわかっているので、放射状パターンで検出されるこの偏芯分を考慮した周波数,電圧が記憶されている。次に、このような放射状パターン41を用いて、偏芯分を考慮した周波数を求め、図14のテーブルを参照してこの周波数に対応する電圧を設定して、トラッキングを行う方法について説明する。
【0059】まず、磁気ディスクをスピンドルに装着して、磁気ヘッドで放射状パターン41を再生し、スピンドルのインデックスに同期させて1周にわたって周波数を測定し、位置(角度)ごとにメモリに記憶する。偏芯があると、この検出周波数は一定の幅で変化し、位置によって異なる数値となっている。この測定周波数の値をもとに、角度ごとの周波数すなわち電圧を設定し、図14R>4に示したような目標周波数テーブルを作成する。
【0060】次に、磁気ヘッドで各トラックのサーボパターンを読み出す場合、サーボパターンとしては、図1R>1,図2等のようなパターンが形成されているので、各トラックごとにそのパターンに対応する周波数が検出されることになる。偏芯がある場合は、この検出周波数を、作成した目標周波数テーブルの中においてその偏芯量に対応する角度の図14に示した周波数(電圧)に置換して検出信号Aとして出力する。この後は、実施例1と同様にして、誤差信号Cを作成してトラッキングを行う。このようにすれば、偏芯がある磁気ディスクでも、正確なトラッキングをすることができるようになる。
【0061】
【発明の効果】この発明によれば、磁気ディスク上に形成されたサーボパターンから周波数を検出して磁気ヘッドのトラッキングを行うようにしているので、偏芯のある磁気ディスクでも正確にトラッキングすることができ、そのサーボパターンの占有率を従来よりも下げることができるので、磁気ディスクの記憶密度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の磁気ディスクのサーボパターンの一実施例の説明図である。
【図2】この発明の磁気ディスクのサーボパターンの一実施例の説明図である。
【図3】この発明の磁気記録装置の一実施例の構成ブロック図である。
【図4】この発明の磁気ディスクに対する周波数テーブルの説明図である。
【図5】この発明の周波数の比較とトラッキングの説明図である。
【図6】この発明の磁気ディスクのサーボパターンの一実施例の説明図である。
【図7】この発明の実施例2の偏芯があった場合の周波数変化の説明図である。
【図8】この発明の磁気記録装置の実施例2の構成ブロック図である。
【図9】この発明の磁気ディスクに対する周波数テーブルの説明図である。
【図10】この発明の実施例3のサーボパターンの説明図である。
【図11】この発明の実施例3のサーボパターンの説明図である。
【図12】この発明の実施例4の放射状のパターンの説明図である。
【図13】この発明の実施例4の偏芯ディスクの周波数変化の説明図である。
【図14】この発明の実施例4の目標周波数テーブルの説明図である。
【図15】従来の「振幅検出サーボ」方式の概略説明図である。
【図16】従来の「位相検出サーボ」方式の概略説明図である。
【符号の説明】
1 磁気ディスク
2 サーボ領域
3 サーボパターン
4 データ領域
5 サーボパターン幅
31 第1バースト
32 第2バースト
101 磁気ヘッド
102 2値化部
103 タイミング遮断部
104 位相比較部
105 VCO
106 周波数テーブル
107 D/A変換器
108 比較器
109 トラッキング部
110 アクチュエータ
A 検出信号
B 理想信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁気ヘッドと、磁気ヘッドの位置を調整するためのサーボパターンを有する磁気記録媒体と、磁気ヘッドがサーボパターンを読み取ることにより得た再生信号をもとに、磁気記録媒体のトラックの半径方向の位置に対応した周波数を検出する周波数検出部と、磁気記録媒体の各トラック位置に対応する所定の周波数情報を予め記憶した記憶部と、前記周波数検出部が検出した周波数と、記録部に記憶された同一のトラックに対応した周波数情報とを比較し、その周波数差に基づく磁気ヘッドの位置調整信号を生成するトラッキング部とからなることを特徴とする磁気記録装置。
【請求項2】 前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において、磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンの長さが連続的に変化しており、前記記憶部には、各トラックごとに異なる周波数情報が記憶されていることを特徴とする請求項1の磁気記録装置。
【請求項3】 前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において、磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンの長さが離散的に変化しており、前記記憶部には、各トラックごとに異なる周波数情報が記憶されていることを特徴とする請求項1の磁気記録装置。
【請求項4】 前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンのパターン長が連続的に変化し、かつ磁気記録媒体の円周方向に並設された第1のバーストパターンおよび第2のバーストパターンからなり、第1のバーストパターンのパターン長の変化の傾向と、第2のバーストパターンのパターン長の変化の傾向とが逆であり、前記記憶部には、前記第1および第2のバーストパターンについての周波数情報が、各トラックごとに記憶されていることを特徴とする請求項1の磁気記録装置。
【請求項5】 前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンのパターン長が離散的に変化し、かつ磁気記録媒体の円周方向に並設された第1のバーストパターンおよび第2のバーストパターンからなり、第1のバーストパターンのパターン長の変化の傾向と、第2のバーストパターンのパターン長の変化の傾向とが逆であり、前記記憶部には、前記第1および第2のバーストパターンについての周波数情報が、各トラックごとに記憶されていることを特徴とする請求項1の磁気記録装置。
【請求項6】 前記磁気記録媒体が円板状の媒体であって、設計上の回転中心とは異なる位置に回転中心が存在する偏芯媒体である請求項4または5のいずれかの磁気記録装置。
【請求項7】 前記磁気記録媒体が、外周近傍領域に外周に沿って複数の放射状パターンを配列した円板状の媒体であって、前記周波数検出部が、前記放射状パターンを1周にわたって読み取ることにより、1周分の周波数を測定し、測定された1周分の周波数に変化がある場合には、周波数に変化がない場合に検出されるべき周波数と前記測定された周波数を比較して、前記記憶部に記憶された周波数情報を補正することを特徴とする請求項1の磁気記録装置。
【請求項8】 磁気ヘッドの位置を調整するためのサーボパターンを有する磁気記録媒体であって、前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において、磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンの長さが連続的または離散的に変化していることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項9】 磁気ヘッドの位置を調整するためのサーボパターンを有する磁気記録媒体であって、前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンのパターン長が連続的または離散的に変化し、かつ磁気記録媒体の円周方向に並設された第1のバーストパターンおよび第2のバーストパターンからなり、第1のバーストパターンのパターン長の変化の傾向と、第2のバーストパターンのパターン長の変化の傾向とが逆であることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項10】 前記請求項8または9のいずれかに記載された磁気記録媒体が、外周近傍領域に外周に沿って複数の放射状パターンを配列した円板状の媒体であって、前記放射状パターンが、磁気ヘッドによってこの放射状パターンを1周にわたって読み取ることにより、1周分の周波数変化を測定することが可能なパターンであることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項1】 磁気ヘッドと、磁気ヘッドの位置を調整するためのサーボパターンを有する磁気記録媒体と、磁気ヘッドがサーボパターンを読み取ることにより得た再生信号をもとに、磁気記録媒体のトラックの半径方向の位置に対応した周波数を検出する周波数検出部と、磁気記録媒体の各トラック位置に対応する所定の周波数情報を予め記憶した記憶部と、前記周波数検出部が検出した周波数と、記録部に記憶された同一のトラックに対応した周波数情報とを比較し、その周波数差に基づく磁気ヘッドの位置調整信号を生成するトラッキング部とからなることを特徴とする磁気記録装置。
【請求項2】 前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において、磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンの長さが連続的に変化しており、前記記憶部には、各トラックごとに異なる周波数情報が記憶されていることを特徴とする請求項1の磁気記録装置。
【請求項3】 前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において、磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンの長さが離散的に変化しており、前記記憶部には、各トラックごとに異なる周波数情報が記憶されていることを特徴とする請求項1の磁気記録装置。
【請求項4】 前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンのパターン長が連続的に変化し、かつ磁気記録媒体の円周方向に並設された第1のバーストパターンおよび第2のバーストパターンからなり、第1のバーストパターンのパターン長の変化の傾向と、第2のバーストパターンのパターン長の変化の傾向とが逆であり、前記記憶部には、前記第1および第2のバーストパターンについての周波数情報が、各トラックごとに記憶されていることを特徴とする請求項1の磁気記録装置。
【請求項5】 前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンのパターン長が離散的に変化し、かつ磁気記録媒体の円周方向に並設された第1のバーストパターンおよび第2のバーストパターンからなり、第1のバーストパターンのパターン長の変化の傾向と、第2のバーストパターンのパターン長の変化の傾向とが逆であり、前記記憶部には、前記第1および第2のバーストパターンについての周波数情報が、各トラックごとに記憶されていることを特徴とする請求項1の磁気記録装置。
【請求項6】 前記磁気記録媒体が円板状の媒体であって、設計上の回転中心とは異なる位置に回転中心が存在する偏芯媒体である請求項4または5のいずれかの磁気記録装置。
【請求項7】 前記磁気記録媒体が、外周近傍領域に外周に沿って複数の放射状パターンを配列した円板状の媒体であって、前記周波数検出部が、前記放射状パターンを1周にわたって読み取ることにより、1周分の周波数を測定し、測定された1周分の周波数に変化がある場合には、周波数に変化がない場合に検出されるべき周波数と前記測定された周波数を比較して、前記記憶部に記憶された周波数情報を補正することを特徴とする請求項1の磁気記録装置。
【請求項8】 磁気ヘッドの位置を調整するためのサーボパターンを有する磁気記録媒体であって、前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において、磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンの長さが連続的または離散的に変化していることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項9】 磁気ヘッドの位置を調整するためのサーボパターンを有する磁気記録媒体であって、前記サーボパターンが、複数のトラックを横断する細長いパターンであって、所定数のトラックからなるトラックグループ内において磁気記録媒体の円周方向に沿うサーボパターンのパターン長が連続的または離散的に変化し、かつ磁気記録媒体の円周方向に並設された第1のバーストパターンおよび第2のバーストパターンからなり、第1のバーストパターンのパターン長の変化の傾向と、第2のバーストパターンのパターン長の変化の傾向とが逆であることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項10】 前記請求項8または9のいずれかに記載された磁気記録媒体が、外周近傍領域に外周に沿って複数の放射状パターンを配列した円板状の媒体であって、前記放射状パターンが、磁気ヘッドによってこの放射状パターンを1周にわたって読み取ることにより、1周分の周波数変化を測定することが可能なパターンであることを特徴とする磁気記録媒体。
【図3】
【図4】
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図4】
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2003−323772(P2003−323772A)
【公開日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−131719(P2002−131719)
【出願日】平成14年5月7日(2002.5.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年5月7日(2002.5.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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