磁気転写用マスター体の製造方法、磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法、磁気情報再生装置
【課題】 マスター体に形成する磁気パターンを工夫することにより、磁気記録媒体側で問題となる転写誤差を抑制する技術を提供する。
【解決手段】磁気記録媒体に転写すべき磁気情報に基づいた所定の磁気パターンを有する第1のマスター体63をステップA及びBにより製作する。ステップCでは第1のマスター体63を磁気記録媒体67に磁気転写する。磁気記録媒体67に形成された転写パターンを転写精度評価装置95で評価し、磁気情報に基づいた所定の磁気パターン(目標パターン)と、実際に磁気記録媒体63上に形成された転写パターン(結果パターン)とを比較して、転写誤差量の情報を得る。転写誤差量の情報は補正磁気パターン生成装置97に供給される。次いで、転写誤差量の情報に基づいて、ステップA及びステップBと同様にして、転写誤差量を相殺するように磁性層をパターニングした補正磁気パターン65を生成し、真のマスター体64を得る。
【解決手段】磁気記録媒体に転写すべき磁気情報に基づいた所定の磁気パターンを有する第1のマスター体63をステップA及びBにより製作する。ステップCでは第1のマスター体63を磁気記録媒体67に磁気転写する。磁気記録媒体67に形成された転写パターンを転写精度評価装置95で評価し、磁気情報に基づいた所定の磁気パターン(目標パターン)と、実際に磁気記録媒体63上に形成された転写パターン(結果パターン)とを比較して、転写誤差量の情報を得る。転写誤差量の情報は補正磁気パターン生成装置97に供給される。次いで、転写誤差量の情報に基づいて、ステップA及びステップBと同様にして、転写誤差量を相殺するように磁性層をパターニングした補正磁気パターン65を生成し、真のマスター体64を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータの外部記憶装置等として広く採用されている磁気記憶装置に搭載されている磁気ディスク等の磁気記録媒体へ所定の磁気パターンを転写する際に、転写に用いるマスター体の製造方法、磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法、磁気情報再生装置に関する。特に、サーボ信号、アドレス信号、再生クロック信号等の制御信号情報やデータ、OS等を製品化される磁気記録媒体へ予め転写するのに好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気記憶装置は著しく大容量化、高記録密度化されてきている。情報量の増加と共に多量の情報を記録することが可能であり大容量で、再生時のアクセス時間が短く、安価な磁気記録媒体が求められている。このような大容量な磁気記録媒体を実現するためには狭トラック幅としても精度良く磁気ヘッドが走査できるように所謂トラッキングサーボ技術が用いられている。
【0003】
大容量の磁気記録媒体においては、例えば磁気ディスクの1周中のある間隔でトラッキング用のサーボ信号等の磁気パターンが所謂プリフォーマットされている。磁気ヘッドはこの磁気パターンを読取って自己の位置を修正して高精度にトラック上を走行する。
【0004】
従来においては、上記のような所定の磁気パターンを有する磁気記録媒体を作製するために、磁気記録媒体専用のサーボ情報記録装置を用いて1枚ずつ、1トラックずつ記録することにより行われている。上記サーボ情報記録装置は記録ヘッドを高精度に位置決めする機構が必要であり、高価である。また、磁気記録媒体の容量が大きくなるに従って磁気パターンを記録するのに要する時間も長時間となるので、大容量の磁気記録媒体の製造においては、磁気パターン記録工程が製造工程において占める割合が大きくなり、製造コストを上昇させることとなっていた。
【0005】
上記のような状況に対して、最近、1トラックずつ磁気パターンの記録を行わずに、磁気パターンに応じてパターニングした磁性層を有するディスクをマスター体として準備し、このマスター体を介して製品となる磁気記録媒体へ磁気パターンを転写するようにした技術の提案がなされている。
【0006】
上記マスター体を用いる転写法は、プリフォーマットする磁気記録媒体に接触した状態で外部磁界を供給することで上記磁性層が励磁されて磁気的な転写がなされ、短時間に所定の磁気パターンを有する磁気記録媒体を作製できるので製造工程の簡素化と低コスト化を図ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、上記マスター体はサーボ情報等に関する所定の磁気パターンに対応する位置に磁性層(軟磁性材料)がパターニングされている。このマスター体を磁気記録媒体に接触させながら外部磁界を供給し、軟磁性材料を励起することでマスター体上の磁性層パターンが磁気記録媒体側へ転写される。
【0008】
上記マスター体は微細なパターンとなるので、一般に半導体製造等で用いられているリソグラフィー技術を用いて作製されている。マスター体は基板上にフォトレジストを塗布、磁化パターン応じたフォトマスクを用いて露光、現像、エッチング、軟磁性材料のスパッタリング等の工程を経て作製される。
【0009】
半導体チップは極小さなものであるので不良パターンのものは廃棄される。ところが、磁気記録媒体の場合、半導体チップと比較して極めて広い面積を有し一部に不良パターンが含まれても全体として不良品となってしまう。よって、磁気記録媒体のパターニングは全体として不良パターンを含まないようにより高精度に制御することが要求される。すなわち、半導体チップの場合と比較してさらに高い精度の寸法制御が必要となる。
【0010】
そして、今後さらなる磁気記録媒体の高記録密度化を図るためには、より微細なパターンを高精度にマスター体に形成することが必要となる。しかし、上記リソグラフィー技術を用いても高精度なパターンを形成することについて限界がきている。
【0011】
図1は、従来の磁気パターン転写装置100の一例を示した図である。磁気記録媒体120上にマスター体110が配置され、磁界発生手段となる磁石101から一定の磁界105が供給されるようになっている。マスター体110には予め設定したサーボ信号等に基づいた所定磁気パターンに応じて磁性層111がパターニングされている。図1の状態で、上記磁界105を受けることで磁性層111が励磁され、上記磁性層111の磁性層パターンが磁気記録媒体120側へ転写パターン121として転写される。
【0012】
しかしながら、上記磁性層パターンがより微細なものとなると、現在のリソグラフィー技術を用いても磁性層111が存する部分の幅や、深さを高精度に制御することが困難となる。よって、マスター体110に形成された磁性層111のパターン自体が本来の磁気パターンから微妙に「ばらつき」を有したものとなってしまう。すなわち、マスター体110に形成された磁性層111のパターンは、本来の所定の磁気パターンとは磁気相違部分を有したものとなる。このようなマスター体110を用い、磁気転写して製作した磁気記録媒体120は同然に、本来の磁気パターンから相違した転写パターン121を有することになる。
【0013】
また、前述したようにマスター体を用いる磁気転写技術では、マスター体をスレーブ側となる磁気記録媒体に近接させた状態で外部磁界を印加した際に、磁性層の影響を受けた磁界に強弱が発生する。この現象に基づいて、磁気記録媒体側に磁気情報に応じた所定の転写パターンを形成できる。すなわち、マスター体に配置された磁性層直下の部分では磁界が弱くなるが、磁性層のエッジ部では強い磁界が発生するので、これにより磁気記録媒体側に当初の磁気情報に対応した転写パターンを形成できる。
【0014】
しかし、上記のように磁気記録媒体側を磁化する際に、ある遷移幅が存在するためマスター体の磁性層のエッジ部位置と磁気記録媒体側に形成される磁化部分の位置とにずれ、すなわち転写誤差が発生する場合がある。
【0015】
図2はマスター体110を用いて磁気記録媒体120へ磁気パターンを転写する様子を示した図である。マスター体110の下面には、転写すべき磁気情報に応じた位置に磁性層111がパターニングされている。このマスター体110を磁気記録媒体120に接近させて外部から磁界105を印加すると、理想的には2つの磁性層111の間で磁気記録媒体120上に転写パターン121が形成される。すなわち、図2で示すように、磁気記録媒体120上の転写パターン121を形成する磁化部分の各々は、理想的には隣接する磁性材料101のエッジ部の間にちょうど位置するように形成される。そして、磁気記録媒体へ理想的な転写が実現された場合には、図2の下段に示すように磁気記録媒体の再生信号波形は当初の磁気情報を正確に反映したものとなる。
【0016】
しかし、実際の磁気記録媒体への転写では、前述したように転写誤差が発生する。図3は磁気記録媒体120上の転写パターン121に、所謂「にじみ」が発生した場合を示した図である。にじみが発生すると磁性層111のエッジ部直下より、磁気記録媒体120上の転写パターン121に広がった部分121BRが形成されてしまう。このように、にじみが生じると、図3下段に示すように磁気記録媒体の再生信号波形は当初の磁気情報からずれたものとなるので、好ましくない。
【0017】
また、図示は省略するが、図3で示した「にじみ」とは逆に磁性層111のエッジ部より磁気記録媒体120上の転写パターン121に狭くなった部分、所謂「かすれ」が形成される場合もある。
【0018】
以上のように、磁気記録媒体側に期待位置(磁性層111のエッジ部の直下位置)からずれた転写パターンが形成されてしまうと製品となる磁気記録媒体に必要な磁気情報を正確に転写できないことになる。
【0019】
したがって、本発明の目的は、マスター体に形成する磁気パターンを工夫することにより、磁気記録媒体側で問題となる転写誤差を抑制する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的は、請求項1に記載の如く、磁気情報に基づいた所定の磁気パターンを有する第1のマスター体を製作する工程と、前記第1のマスター体を用いて磁気記録媒体へ前記磁気パターンを転写する工程と、前記磁気記録媒体に形成された転写パターンと前記所定磁気パターンとの転写誤差量を確認する誤差確認工程と、前記転写誤差量を相殺するように形成した補正磁気パターンに基づいて真のマスター体として第2のマスター体を製作する工程とを含む磁気転写用マスター体の製造方法によって達成される。
【0021】
また、請求項2に記載の如く、請求項5に記載の磁気転写用マスター体の製造方法において、前記補正磁気パターンは、前記真のマスター体に形成する磁性層のエッジ位置を、前記転写誤差量に応じて前記第1のマスター体に形成した磁性層のエッジ位置からシフトさせ、該転写誤差量を相殺するように補正したものとすることができる。
【0022】
請求項1及び2に記載の発明よれば、転写誤差を補正した真のマスター体が得られるので、この真のマスター体を用いて磁気記録媒体への転写を行えば磁気情報を正確に転写できるようになる。
【0023】
また、請求項3に記載の如く、隣接するトラックに跨って、磁気情報を含んだ磁気信号マークが形成される磁気記録媒体であって、互いに隣接する前記磁気信号マークを、重複面積が存在するように形成した磁気記録媒体とすることで、同様に前述した目的を達成できる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、隣接する磁気信号マークが互いに重複するように形成されるので、磁気信号マーク全体として外周を短縮できる。よって、転写誤差が生じるエッジ部が従来よりも短くなるので転写誤差の影響を抑制できる。
【0025】
また、請求項4に記載の如く、磁気情報に対応した所定の磁気パターンをエッジ数が少なくなるように変調処理した変調磁気パターンで作製した変調マスター体を準備し、該変調マスター体を用いて転写された転写パターンを有する磁気記録媒体の製造方法によっても、前述した目的を達成できる。
【0026】
請求項4に記載の発明によれば、磁気記録媒体上の転写パターンもエッジ数が少ないパターンとなるので転写した際の転写誤差の影響を低減できる。
【0027】
さらに、請求項5に記載の如く、磁気情報に対応した所定の磁気パターンをエッジ数が小さくなるように変調処理した変調磁気パターンで作製した変調マスター体を用いて転写した磁気記録媒体を搭載すると共に、前記変調磁気パターンを復調する復調手段を備えて前記磁気記録媒体に転写された磁気情報を再生可能とした磁気情報再生装置によっても前述した目的を達成できる。
【0028】
請求項5に記載の発明によれば、磁気記録媒体上エッジ数が少ない転写パターンを有する磁気記録媒体から磁気情報を再生するので転写誤差の影響を低減した磁気情報再生装置として提供できる。
【発明の効果】
【0029】
以上詳述したところから明らかなように、請求項1及び2に記載の発明によれば、転写誤差を補正した真のマスター体が得られるので、この真のマスター体を用いて磁気記録媒体への転写を行えば所定の磁気パターンを正確に転写できるようになる。
【0030】
また、請求項3に記載の発明によれば、隣接する磁気信号マークが互いに重複するように形成されるので、磁気信号マーク全体として外周を短縮できる。よって、転写誤差が生じるエッジ部が短くなるので転写誤差の影響を抑制できる。
【0031】
また、請求項4に記載の発明によれば、磁気記録媒体上の転写パターンもエッジ数が少ないパターンとなるので転写した際の転写誤差の影響を低減できる。
【0032】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、磁気記録媒体上エッジ数が少ない転写パターンを有する磁気記録媒体から磁気情報を再生するので転写誤差の影響を低減した磁気情報再生装置として提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図4は第1の本発明に係る基本原理を説明するために示した図である。
【0034】
図4において、磁気記録媒体7上にマスター体4が配置され、磁界発生手段としての磁石1から磁界を供給する構成は従来と同様である。しかし、本発明では、磁気記録媒体7上に転写される転写パターンに、前述したような「ばらつき」が生じる場合にこれを打消すようにマスター体4へ供給する磁界の強度を適性に制御する。
【0035】
すなわち、前述したようにリソグラフィー技術を用いてマスター体4上に形成したパターン(磁性層パターン)は、本来の磁気パターンから微妙に相違した状態となる場合がある。そこで、本発明ではマスター体4上の磁性層パターンが本来の磁気パターンと相違する部分(磁気相違部分)を予め測定して確認しておき、この磁気相違部分の磁化状態を本来の状態に修正するように磁界を供給しながら磁気記録媒体7上への磁気転写を実行する。そのために、磁石1からマスター体4へ供給される磁界が、上記磁気相違部分を修正する構成を有する。この構成の詳細は後述の実施例で明らかにする。
【0036】
ここで、図4を用いて、本発明で上記磁気相違部分を打消すように磁界がコントロールされる場合の例を説明する。図4には、マスター体4及び磁気記録媒体7の距離を隔てた2つの部分Iと部分IIとが示されている。左の部分Iではマスター体4に本来の磁気パターンが形成され適正な間隔6をもって軟磁性層6−1、6−1が形成されている。しかし、右の部分IIではマスター体4のパターニングに問題があり本来磁気パターよりも広い間隔5を軟磁性層5−1、5−1が形成されている。
【0037】
図4に示すマスター体4のII部分のように広い間隔6が形成された場合、従来では磁石1から一定の磁界が供給されるので、磁気記録媒体7側に広めの磁気パターンが転写されてしまうことになる。この結果、前述したように磁気記録媒体7全体として磁気パターンのばらつきが生じる。
【0038】
しかし、本発明の場合には参照符号2及び3で示すように、マスター体4に形成された磁性層のパターニング状態に応じて供給する磁界の強さをコントロールする。すなわち、パターニングの寸法が不正確であるマスター体4の部分IIの転写では、I部分の転写を行う場合の磁界2と比較して、小さな磁界3を供給して、磁気記録媒体7の磁気パターン8がI部分の磁気パターン9と同様の磁気パターンとなるように修正される。
【0039】
よって、マスター体4が有する磁性層パターンが設計した本来の磁気パターンと相違する部分を有しても、これを修正しながら磁気記録媒体7側に本来の磁気パターンに対応した転写パターンを形成できることになる。
【0040】
なお、この後の実施例の説明でも明らかとするが、本発明では先ずマスター体4に一定の磁界を供給して磁気記録媒体7上にマスター体が有する磁性層パターンを転写するマスター転写工程が実行される。このマスター転写工程により、マスター体4に形成された磁性層パターンが有する磁気相違部分は、そのまま磁気記録媒体7上に形成された転写パターンに反映される。このように磁気相違部分部を含む転写パターンを有する磁気記録媒体7の磁化状態は、次のパターン相違測定工程で本来の磁気パターンとの相違が測定される。このパターン相違測定工程での測定結果に基づき相違データが作製される。
【0041】
そして、上記相違データをメモリ等の記憶手段に記憶しておき、磁気転写工程ではこの相違データに基づいて磁石1から供給する磁界を制御しながら磁気記録媒体へのパターン転写を行う。
【0042】
すなわち、本発明では上記マスター転写工程及びパターン相違測定工程により、磁気相違部分が測定された以後は、この磁気相違部分を修正するように磁界を供給しながら磁気記録媒体へパターン転写を行う磁気転写工程が繰り返されるだけで、本来の磁気パターンを有した磁気記録媒体が製造できる。その際、上記磁気相違部分を検出するセンサからの位置情報を参照することで、磁気相違部分を確認しながら修正するように磁界を供給することが望ましい。このように、位置情報を得る構成例は以下の実施例により示す。
【0043】
以下さらに、図面に基づき第1の発明に係る複数の実施例を説明する。
【0044】
(第1実施例)
本第1実施例は、磁界発生手段として電磁石を用い、この電磁石へ供給する電流を変化させることでマスター体へ供給する磁界の強度をコントロールすることで磁気記録媒体上に本来の磁気パターンを形成できるようにした例である。
【0045】
図5は第1実施例の磁気パターン転写装置10の概要構成を示した図である。
【0046】
磁気記録媒体11上にマスター体12が配置されている。これら磁気記録媒体11及びマスター体12は共にディスク状の形状であり、モータ13のスピンドル13−1により、互いに密接した状態で矢印X方向に一体的に回転されるようになっている。
【0047】
本実施例では、スピンドル13−1の回転状態を検出するため、例えばフォトインタラプタ20がスピンドル13−1の近傍に配設されている。そして、フォトインタラプタ20の検出信号は回転位置検出信号21として後述するメインコントローラ18へ供給される。なお、磁気記録媒体11及びマスター体12はスピンドル13−1に対して特定位置に固定されるように設定されており、回転位置検出信号21を参照することで磁気記録媒体11及びマスター体12の回転位置を特定できるようになっている。
【0048】
上記マスター体12の上面に対向して、磁界発生手段として電磁石14が配設されている。この電磁石14はステージ15の下方でマスター体12の半径方向において移動可能に設定されている。上記ステージ15はステージコントローラ17に接続されており、このステージコントローラ17が図示せぬステージ15の駆動源を制御することにより矢印Y方向で電磁石14を所望位置に設定できるようにしている。
【0049】
また、上記電磁石14は電流コントローラ16に接続されている。この電流コントローラ16は電磁石14へ供給する電流の大きさを制御して、電磁石14から生じる磁界すなわち、マスター体12へ供給する磁界の強度を変更できるようになっている。
【0050】
さらに、本磁気パターン転写装置10はメインコントローラ18を備えている。このメインコントローラ18は、上記回転位置検出信号21によりマスター体12の回転位置を検出しており、マスター体12の磁気相違部分の周方向での位置を確認できる構成である。また、メインコントローラ18はメモリ19を備えている。このメモリ19内には、電磁石14から一定の磁界を供給した際に磁気記録媒体11上に転写され、上記磁気相違部分を含んだ転写パターンと本来の磁気パターンとの比較を行って確認した相違データが記憶されている。
【0051】
上記メインコントローラ18は、回転位置検出信号21を用いて、上記ステージコントローラ17及び電流コントローラ16へ駆動信号を供給し位置の制御と磁界の制御を行う。すなわち、メインコントローラ18は回転位置検出信号21を参照して磁気相違部分の周方向の位置を特定し、ステージコントローラ17を介して電磁石14を半径方向に適宜移動させて上記磁気相違部分に位置させる。そして、電流コントローラ16を介して磁気相違部分の誤りを打消すように電磁石14から修正する磁界を供給させる。
【0052】
上述したような構成を有する磁気パターン転写装置10によれば、マスター体12に形成された磁気パターンに磁気相違部分があってもこれを修正できるのでばらつきを無くし磁気記録媒体11へ本来の磁気パターンを形成できる。
【0053】
なお、本第1実施例では、スピンドル13−1の回転状態を検出して磁気記録媒体11及びマスター体12の回転位置検出に用いているが、このような構成に限らずこれらの回転位置が確認できる手段であれば他の構成を採用してもよい。例えば、マスター体の外周部に所定のマークを印字しておき、これをCCD等のセンサで検出するようにしてもよい。
【0054】
また、メモリ19に予め記憶される相違データは、例えば電磁石14から一定の磁界を供給してマスター体12が有する磁気相違部分を反映した転写パターンを有する磁気記録媒体11を作製する。この磁気記録媒体11を本磁気パターン転写装置10から取出し、磁気再生装置等の評価装置で磁気記録媒体11の磁化を再生することで測定する。この測定結果から上記相違データを作成してメモリ19に格納しておけばよい。
【0055】
(変形例1)
上記第1実施例は、マスター体に形成された磁気パターンを予め測定しておき、これをメモリ19に修正内容として記憶し、その修正内容に基づいてメインコントローラ18が磁化相違部分を修正するように磁界を供給するものであった。
【0056】
ここでは、上記第1実施例の変形例1として、磁気パターンを読取る磁気再生ヘッド機構をさらに備えた例を説明する。この変形例1も図5を用いて説明する。
【0057】
図5には、磁気再生ヘッド機構30が示されている。この磁気再生ヘッド機構30はアクチュエータユニット33により回動されるアーム35の前端部に磁気再生用の磁気抵抗効果素子31が取付けられた構成を有している。アクチュエータユニット33の駆動により、磁気抵抗効果素子31がマスター体12の上面を矢印Zで示す半径方向に移動される。アクチュエータユニット33の駆動制御は、上記メインコントローラ18によりなされる構成とすればよい。
【0058】
本変形例1の場合は、マスター体12上に形成された磁性層パターンの磁気相違部分を確認する機能も備える装置となる。マスター体12に対して、電磁石14から一定の磁界が供給され、磁気記録媒体11へ転写が行われる。この磁気記録媒体11へ転写された転写パターンが磁気抵抗効果素子31により検出(再生)される。
【0059】
上記磁気抵抗効果素子31による磁気検出信号32は上記メインコントローラ18へ供給され、マスター体12上に形成された磁性層パターンが有する磁気相違部分が間接的に測定されることなる。この後、第1実施例と同様に本来の磁気パターンとマスター体12上に形成された磁気パターンとの比較からその相違がメモリ19に記憶され、前述したと同様にパターンの修正をしながら磁気記録媒体への転写が繰返し実行される。
【0060】
本変形例1によると、マスター体12が有する磁性層パターンの磁気相違部分を検出する工程(前述したマスター転写工程及びパターン相違測定工程)も実行できるので、一連の工程が実行できる優れた磁気パターン転写装置となる。
【0061】
(第2実施例)
第2実施例は、磁界発生手段からマスター体へ供給される磁界をモニタする機能を備え、より高精度に磁気記録媒体へ磁気パターンを転写できるようにした磁気パターン転写装置である。
【0062】
図6は第2実施例の磁気パターン転写装置40の概要構成を示した図である。図5で示した第1実施例の磁気パターン転写装置10の構成と同一の部位には同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施例の場合は磁気検出手段から供給される磁界をモニタする手段として磁気センサ41を設けることで供給している磁界を検出し、これをメインコントローラ18にフィードバックするようにしている。よって、より精度良く転写状態を制御できる。
【0063】
本第2実施例に関しても変形例2として、第1実施例の場合の変形例1と同様に磁気再生ヘッド機構30を設け、マスター体12上に形成された磁性層パターンを検出できるような装置としてもよい。
【0064】
(第3実施例)
本第3実施例は、磁界発生手段として永久磁石を用いた場合であり、この永久磁石とマスター体との距離を変更することで、マスター体へ供給する磁界の強度をコントロールして磁気記録媒体上に本来の磁気パターンを形成できるようにした例である。
【0065】
図7は第3実施例の磁気パターン転写装置50の概要構成を示した図である。
【0066】
本実施例でも、図5で示した第1実施例の磁気パターン転写装置10の構成と同一の部位には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0067】
本第3実施例では、マスター体12の上面に対する永久磁石51の距離を変更可能とするために、新たに上下移動ステージ52とこの移動を制御するステージコントローラ53が配設されている。ステージコントローラ53は第1実施例と同様にメインコントローラ18により制御されるように構成されている。
【0068】
本実施例の場合も、マスター体12が有する磁気相違部分を予め測定しておき、これをメモリ19に修正内容として記憶し、その相違データに基づいてメインコントローラ18が磁化相違部分を修正するように磁界を供給する。その際、上下移動ステージ52により、マスター体12の上面に対する永久磁石51の距離を変更してマスター体12へ供給される磁界の強度を変更する点が前述した実施例と異なる。
【0069】
上述したような構成を有する本第3実施例の磁気パターン転写装置50によっても、マスター体12に形成された磁気パターンに磁気相違部分があってもこれを修正できるので、磁気記録媒体11へ本来の磁気パターンを転写できる。
【0070】
なお、本第3実施例の磁気パターン転写装置50に、第2実施例で示した磁気センサ41を付加してもよい。この場合にも、永久磁石51から供給される磁界がモニタできるので、メインコントローラ18によるフィードバック制御が行われ磁気記録媒体11へ本来の磁気パターンを精度よく転写できる。
【0071】
また、本第3実施例に関しても変形例3として、第1実施例の場合の変形例1と同様に磁気再生ヘッド機構30を設け、マスター体12上に形成された磁性層パターンを検出できるような装置としてもよい。
【0072】
以上説明した実施例から明らかなように、マスター体に形成された磁気パターンを磁気記録媒体へ転写する際に供給する磁界強度をコントロールするので、マスター体に形成された磁性層パターンに磁気相違部分が存在していても、これを修正しながら本来の磁気パターンを磁気記録媒体に転写できる。
【0073】
前述した第1の発明はマスター体を製作する上で発生する問題を解決するものであるが、以下で説明する第2の発明はマスター体の磁気パターンを磁気記録媒体側へ転写する際に生じる転写誤差に係る問題を解決するものである。本第2の発明には、3つの好ましい実施形態が含まれている。これらを以下順に説明する。
【0074】
先ず、第1の実施形態は、前述した「にじみ」、「かすれ」による転写誤差量を予め確認する誤差確認工程を含でいる。この誤差確認工程で確認された転写誤差量を補正するように補正磁気パターンを作成する。そして、この補正磁気パターンに基づいて真のマスター体を製作し、磁気記録媒体に近接させて外部磁界印加して転写することにより、高精度なパターン転写を実現できるようにする。
【0075】
なお、前記誤差確認工程は、一度行って転写誤差量を確認すれば以後は真のマスター体を同様に製造できる。また、この誤差確認工程として一連の製造工程とは別に予備実験等で上記転写誤差量を取得してもよいし、シミュレーション等により予測して上記転写誤差量を取得してもよい。次ぎに示す実施例は真のマスター体を製造する前にこの誤差確認工程を組込んだ一例である。
【0076】
(第4実施例)
第2の発明に対応する1番目の実施例として、図面に基づいて第4実施例を説明する。図8は、第4実施例の真のマスター体を製造するまでの工程の概要を示した図である。
【0077】
まず、磁気記録媒体に転写すべき磁気情報に基づいた所定の磁気パターンを有する第1のマスター体63を製作する。この第1のマスター体63は従来と同様に製作される。図8のステップAでは、第1のマスター体63を作製する前段の磁気パターン生成・露光の工程が実行される。すなわち、第1のマスター体用の基板60上に感光材を塗布した状態で露光装置70により、転写しようとする磁気パターンに応じて露光処理される。具体的には、転写パターン生成装置71で形成した所定の磁気パターンに基づいて露光処理される。露光装置70ではパターンコントローラ72がポジショナ73を位置決めしながら、このポジショナ73からレーザ或いは電子ビーム74を照射して、マスター体用基板60上の感光材を露光する。
【0078】
つぎのステップBでは、第1のマスター体を作製する後段の転写パターン現像・平滑化の工程が実行されている。このステップBでは、パターン現像78、エッチング79、磁性層の形成80及び表面平滑化の処理81が行われて第1のマスター体63が作製される。上記ステップA及びBは、従来と同様にリソグラフィー技術を用いてマスター体を作製するものである。
【0079】
本実施例での特徴的な部分は、転写誤差量を確認するための誤差確認工程を含むステップC以後にある。このステップCでは上記第1のマスター体63をポジショナ91で位置決めしながら磁界92を印加できる磁気転写装置90にセットして、磁気記録媒体67に磁気転写を実行する。そして、この磁気記録媒体67に形成された転写パターンを転写精度評価装置95で評価する。この転写精度評価装置95は、上記磁気パターン生成装置71で生成した磁気情報に基づいた所定の磁気パターン(目標パターン)と、実際に磁気記録媒体63上に形成された転写パターン(結果パターン)とを比較して、転写誤差量を確認する。この転写誤差量の情報は、補正磁気パターン生成装置97に供給される。
【0080】
この補正磁気パターン生成装置97は、前記転写誤差量を相殺するように磁性層をパターニングした補正磁気パターン65を生成する。図9は補正磁気パターン65を有する真のマスター体64について示した図である。図9に示すように、真のマスター体64には、転写誤差量を相殺するように磁性層65−1のエッジ部位置をパターン補正量ω分だけシフトさせた補正磁気パターン65が形成される。このように設計することで、転写時に誤差が生じても磁気記録媒体67に所定の磁気パターンと対応した転写パターン68が形成できるようになる。
【0081】
なお、この図9では、「にじみ」が生じた場合に対処する補正磁気パターン例を示している。磁気記録媒体67の転写パターン68を構成する磁化部分68−1がにじむので、このにじみを考慮して磁性層65−1のエッジ部位置を外側へパターン補正量ω分シフトさせた補正磁気パターンを生成している。「かすれ」の場合には、この「にじみ」の場合と逆に補正を行えばよい。
【0082】
図8を再度参照すると、上記補正磁気パターン生成装置97により上記のように補正磁気パターンが生成された後には、第1のマスター体63を作製したと同様にステップA及びステップBを経て第2のマスター体として真のマスター体64が作製される。この真のマスター体64は、転写誤差量を相殺するように補正磁気パターンが形成されているので、磁気記録媒体へ転写した際の誤差を抑制して正確なパターン転写を実現できる。すなわち、図9の下段に示すように本来の磁気パターンに応じた再生信号が得られる磁気記録媒体を作成できる。
【0083】
(第5実施例)
次ぎに説明する第2の実施形態は、上記「にじみ」等の転写誤差が磁性層のエッジ位置で発生することに着目して成されたもので、転写誤差の影響を抑制した構成を有する磁気記録媒体である。上記第2の発明に対応する2番目の実施例として、図面に基づいて第5実施例を説明する。図10(A)〜(C)は磁気記録媒体の表面に形成されるトラックを一部拡大して示した図である。
【0084】
磁気ヘッド位置をトラックに追従させるためのサーボ情報(磁気情報)は、複数のトラックに跨る信号で書込む必要がある。トラックに跨ったビット(以下、磁気信号マークと称す)の再生信号の強弱を基にトラックからの位置誤差量を算出したり、トラックを斜めに横切る直線が形成されるように磁気信号マークが接するようにして形成した信号を数周期書き、周期信号の位相差を基に位置誤差量を算出するためである。上記磁気信号マークはマスター体により磁気記録媒体上に形成された転写パターンを構成する磁化部分の一つに相当している。よって、磁気信号マークの周辺に転写誤差が生じる。
【0085】
そこで、本実施例ではトラックに跨る位置サーボ情報を転写する場合、条件の許す限り隣接する磁気信号マークを重複面積が存在するように塊化してエッジ周長が短くなるようにして磁気記録媒体上の転写パターンを形成する。このようにエッジ周長が短くなれば、転写誤差の影響を抑制できる。
【0086】
図10を用いてより詳細に説明する。従来のサーボ情報信号が転写された磁気記録媒体では、例えば図10(A)のように重複しない転写パターンで磁気信号マーク幅に対して1/2ずらして形成されている。この図10(A)のように重複しない5つのパターンではエッジ周長の合計は10a+10bとなる。
【0087】
また、従来の磁気記録媒体に形成されたパターンには図10(B)のように隣接する磁気信号マークを接触させたものもある。この場合にはエッジ周長が6a+10bと短くなるので、転写誤差の割合が少なくなるので好ましい。
【0088】
しかし、磁気記録媒体に形成される転写パターンとしては、できるだけ転写誤差を含まない構成とすることが好ましい。
【0089】
そこで、本実施例の磁気記録媒体は磁気信号マークを積極的に重ねるようなパターンを形成させる。すなわち、例えば図10(C)のように周方向に対して、1/3の量を重ね書き(磁気信号マークを重ねる)するとエッジ周長は6a+3b/16とさらに短くなる。よって、転写誤差の影響をより確実に抑制できる。
【0090】
本実施例のように、エッジ周長の合計が短くなるようなパターンを有する磁気記録媒体を形成するためには、図10(C)に例示したような転写パターンを形成させるマスター体を用いればよい。本実施例は、きわめて簡単な構成で転写誤差の影響を抑制することができる。
【0091】
(第6実施例)
さらに、第3の発明形態は、「にじみ」等の転写誤差を抑制した変調パターンを有するマスター体を作製し、このマスター体を用いて磁気記録媒体を製造し、さらはこの磁気記録媒体を磁気情報再生装置側で復調しながら再生するようにしたものである。第2の発明に対応する3番目の実施例として、図面に基づいて第6実施例を説明する。
【0092】
図11は、従来において、6ビットのデータ(1、1、1、1、1、1)を磁気転写する様子を示した図である。このデータをそのまま転写すると先に説明したようにマスター体110の磁性層のエッジ部分で、A〜Fの6箇所で転写誤差が発生する。そして、図11から理解できるように、エッジ数が多くなるデータである程、転写誤差の機会が増してしまう。
【0093】
そこで、本実施例では、エッジ数が少なくなるように変調した変調磁気パターンを有する変調マスター体を用いる。具体的には、図12(A)に示すような変換テーブルを後述する変調磁気パターン生成装置内に備え、この変換テーブルで、上記6ビットのデータ(1、1、1、1、1、1)を、例えば10ビットのデータ(1、0、0、0、1、0、1、0、0、1)に変換する。
【0094】
この変換データに基づいて、図12(B)に示す変調マスター体150を形成する。この変調マスター体は4ビットと3ビットとが2ビット分間隔を置いた変調磁気パターン151を有する。この変調マスター体を用いて転写すれば、転写誤差の影響がある部分をA〜Dの4箇所に減少させることができる。すなわち、図12(B)のパターンでは、図11に示した変調前と比較して、磁気記録媒体155側に発生する転写誤差を大幅に抑制できる。
【0095】
すなわち、本実施例はエッジ数が少ない信号となるようにオリジナルデータを変換し、転写時の誤差の発生を抑制したパターンで転写を実行することにより、転写精度を向上させるものである。
【0096】
図13は、上記のように形成した磁気記録媒体155からの再生信号と、ゲート信号を用いて再生した10ビットのデータを示した図である。なお、この図13で示す再生側の処理は後述するように、上記磁気記録媒体を搭載する磁気情報再生装置で行われる。
【0097】
磁気情報再生装置では図15に示すように、再生したデータを逆引きするための変換テーブルを備えたパターン復調装置204を備えている。このパターン復調装置204で復調処理することにより前記オリジナルデータに変換できる。すなわち、上記の4ビットと3ビットのパターンが2ビット分間隔を置く配置で転写されたデータを磁気ヘッドで読み込んで、ゲート信号等により10ビットのデータ(1、0、0、0、1、0、1、0、0、1)を得た場合、パターン復調装置の変換テーブルを逆に引くことにより、オリジナルデータである6ビットのデータ(1、1、1、1、1、1)を得ることができる。
【0098】
図15は、上述した説明に沿って、変調磁気パターンにより変調マスター体を形成してから磁気記録媒体を製造し、この磁気記録媒体を磁気情報再生装置に搭載して再生するまでの一連の工程を示した図である。この図15は、先に第4実施例で示した製造工程と近似した部分を含むので、同様の部分には同一の符号を付すこと重複する説明を省略し、特徴部分を中心に説明する。
【0099】
ステップAでは、変調マスター体150を作製する前段の磁気パターン生成・露光の工程が示されている。このステップAには、オリジナルデータORを変調磁気パターン生成装置171でエッジ数の少ない変調磁気パターンに変調する処理が含まれている点が第4実施例の場合とは異なっている。これ以外は、第4実施例の場合と同様にマスター体用の基板60上に感光材を塗布した状態で露光装置70により、変調磁気パターンの露光処理が実行される。つぎのステップBは、変調マスター体150を作製する後段の転写パターン現像・平滑化工程である。このステップは第4実施例と同様である。
【0100】
上記ステップA及びBを経て作製された変調マスター体150を磁気転写装置90に設置して、磁気記録媒体155への磁気転写が実行される。これにより、磁気記録媒体155に変調マスター体150の変調磁気パターンに対応した転写パターンが形成される。
【0101】
上記磁気記録媒体155は、そのままハードディスク装置等の磁気情報再生装置200に搭載して使用される。磁気情報再生装置200では磁気ヘッド210で読み出した、再生アナログ信号がリードチャンネル202でデジタル化処理される。このデジタルデータは、変調された前記の10ビットのデータ(1、0、0、0、1、0、1、0、0、1)に相当する。この10ビットのデータはパターン復調装置204で、復調されるので6ビットのデータ(1、1、1、1、1、1)に相当するオリジナルデータORを得ることができる。
【0102】
よって、本実施例によるとエッジ数が少なくなるように変調した変調磁気パターンを用いるので、マスター体から磁気記録媒体への転写の際に発生する転写誤差を抑制できる。
【0103】
なお、上記第6実施例では変調磁気パターンを転写した磁気記録媒体155を磁気情報再生装置200にそのまま搭載する場合を示したが、磁気記録媒体155に正確に転写が実現されているかを転写評価装置で確認してから、磁気情報再生装置200に搭載する様にしてもよい。この場合は、転写評価装置に前述したと同様のパターン復調装置を設ければよい。
【0104】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0105】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) 磁気情報が記録可能な磁気記録媒体へ磁気パターンを転写する方法であって、
前記磁気パターンに応じてパターニングした磁性層を形成したマスター体を前記磁気記録媒体へ接近させた状態で前記磁性層を励磁する磁界を供給して、前記マスター体が有する磁性層パターンを前記磁気記録媒体側へ転写するマスター転写工程と、
前記マスター転写工程後の前記磁気記録媒体の磁化状態を測定して、該磁気記録媒体に転写された転写パターンと前記磁気パターンとの相違を測定するパターン相違測定工程と、
前記パターン相違測定工程での測定結果に基づき、前記転写パターンが前記磁気パターンと相違する磁気相違部分の磁化状態を修正するように磁界を供給しながら、前記マスター体を用いて前記磁気記録媒体へパターン転写を行う磁気転写工程とを含む、ことを特徴とする磁気パターン転写方法。
(付記2) 付記1に記載の磁気パターン転写方法において、
前記磁気転写工程では、前記磁気相違部分の位置情報に同期させて、前記パターン転写用の磁界を発生させる電磁石へ供給する電流の大きさを変化させることにより磁界がコントロールされる、ことを特徴とする磁気パターン転写方法。
(付記3) 付記1に記載の磁気パターン転写方法において、
前記磁気転写工程では、前記磁気相違部分の位置情報に同期させて、前記パターン転写用の磁界を発生させる永久磁石と前記マスター体との距離を変化させることにより磁界がコントロールされる、ことを特徴とする磁気パターン転写方法。
(付記4) 付記2又は3に記載の磁気パターン転写方法において、
前記電磁石又は前記永久磁石からの磁界をモニタしながら前記磁気転写工程が実行される、ことを特徴とする磁気パターン転写方法。
(付記5) 磁気情報が記録可能な磁気記録媒体へ磁気パターンを転写する磁気パターン転写装置であって、
前記磁気パターンに応じてパターニングした磁性層を形成したマスター体と、
前記磁気記録媒体へ前記マスター体を接近させた状態で前記磁性層を励磁する磁界を供給し、前記マスター体の有する磁性層パターンを前記磁気記録媒体側へ転写させる磁界発生手段と、
前記磁気記録媒体へ転写された転写パターンが前記磁気パターンと相違する磁気相違部分の磁化状態を修正するように前記磁界発生手段から供給する磁界を制御する磁界制御手段とを含む、ことを特徴とする磁気パターン転写装置。
(付記6) 付記5に記載の磁気パターン転写装置において、
前記磁気相違部分の相違データを予め記憶している記憶手段を備え、前記磁界制御手段は前記相違データに基づいて前記磁界発生手段からの磁界を制御する、ことを特徴とする磁気パターン転写装置。
(付記7) 付記6に記載の磁気パターン転写装置において、
前記磁気記録媒体の磁化状態を測定する磁気再生ヘッドを更に備え、該磁気再生ヘッドにより検出された磁気相違部検出信号に基づいて前記記憶手段の相違データが形成されている、ことを特徴とする磁気パターン転写装置。
(付記8) 付記5から7のいずれかに記載の磁気パターン転写装置において、
前記磁界発生手段として、電流を変化することにより前記マスター体へ供給される磁界がコントロールされる電磁石又は前記マスター体との距離を変化させ該マスター体へ供給される磁界がコントロールされる永久磁石を用いる、ことを特徴とする磁気パターン転写装置。
(付記9) 付記5から8のいずれかに記載の磁気パターン転写装置において、
前記磁界発生手段から供給される磁界を検出するモニタ手段を備え、前記磁界制御手段は前記モニタ手段の磁界検出信号を用いて前記磁界発生手段から供給する磁界を制御する、ことを特徴とする磁気パターン転写装置。
(付記10) 付記5から9のいずれに記載の磁気パターン転写装置において、
前記磁気記録媒体上の前記磁気相違部分の位置を検出する相違位置検出手段を備え、前記磁界制御手段は該相違位置検出手段からの位置検出信号に基づいて、前記磁気相違部分に前記磁界発生手段を位置させた状態で供給する磁界を制御する、ことを特徴とする磁気パターン転写装置。
(付記11) 磁気情報に基づいた所定の磁気パターンを有する第1のマスター体を製作する工程と、前記第1のマスター体を用いて磁気記録媒体へ前記磁気パターンを転写する工程と、前記磁気記録媒体に形成された転写磁気パターンと前記所定磁気パターンとの転写誤差量を確認する誤差確認工程と、前記転写誤差量を相殺するように形成した補正磁気パターンに基づいて真のマスター体として第2のマスター体を製作する工程とを含む、ことを特徴とする磁気転写用マスター体の製造方法。
(付記12) 付記11に記載の磁気転写用マスター体の製造方法において、
前記補正磁気パターンは、前記真のマスター体に形成する磁性層のエッジ位置を、前記転写誤差量に応じて前記第1のマスター体に形成した磁性層のエッジ位置からシフトさせ、該転写誤差量を相殺するように補正したものである、ことを特徴とする磁気転写用マスター体の製造方法。
(付記13) 隣接するトラックに跨って、磁気情報を含んだ磁気信号マークが形成される磁気記録媒体であって、
互いに隣接する前記磁気信号マークを、重複面積が存在するように形成したことを特徴とする磁気記録媒体。
(付記14) 磁気情報に対応した所定の磁気パターンをエッジ数が少なくなるように変調処理した変調磁気パターンで作製した変調マスター体を準備し、該変調マスター体を用いて転写された転写パターンを有する、ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(付記15) 磁気情報に対応した所定の磁気パターンをエッジ数が小さくなるように変調処理した変調磁気パターンで作製した変調マスター体を用いて転写した磁気記録媒体を搭載すると共に、前記変調磁気パターンを復調する復調手段を備えて前記磁気記録媒体に転写された磁気情報を再生可能とした、ことを特徴とする磁気情報再生装置。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】従来の磁気パターン転写装置の一例を示した図である。
【図2】マスター体を用いて磁気記録媒体へ磁気パターンを転写する様子を示した図である。
【図3】磁気記録媒体上の転写パターンに「にじみ」が発生した場合を示した図である。
【図4】本発明で採用する基本原理を説明するために示した図である。
【図5】第1実施例の磁気パターン転写装置の概要構成を示した図である。
【図6】第2実施例の磁気パターン転写装置の概要構成を示した図である。
【図7】第3実施例の磁気パターン転写装置の概要構成を示した図である。
【図8】第4実施例の真のマスター体を製造するまでの工程の概要を示した図である。
【図9】補正磁気パターンを有する真のマスター体について示した図である。
【図10】磁気記録媒体の表面に形成されるトラックを一部拡大して示した図である。
【図11】従来において6ビットのデータを磁気転写する様子を示した図である。
【図12】変換テーブルと、変換データに基づいた変調マスター体を示した図である。
【図13】磁気記録媒体からの再生信号と、ゲート信号を用いて再生したデータを示した図である。
【図14】再生したデータを逆引きするための変換テーブルを示した図である。
【図15】変調マスター体を形成してから磁気記録媒体を製造し、磁気情報再生装置に搭載して再生するまでの一連の工程を示した図である。
【符号の説明】
【0107】
10 磁気パターン転写装置
11 磁気記録媒体
12 マスター体
14 電磁石(磁界発生手段)
16 電流コントローラ(磁界制御手段)
18 メインコントローラ(磁界制御手段)
19 メモリ(記憶手段)
63 第1のマスター体
64 第2のマスター体(真のマスター体)
95 転写精度評価装置
97 補正磁気パターン生成装置
150 変調マスター体
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータの外部記憶装置等として広く採用されている磁気記憶装置に搭載されている磁気ディスク等の磁気記録媒体へ所定の磁気パターンを転写する際に、転写に用いるマスター体の製造方法、磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法、磁気情報再生装置に関する。特に、サーボ信号、アドレス信号、再生クロック信号等の制御信号情報やデータ、OS等を製品化される磁気記録媒体へ予め転写するのに好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気記憶装置は著しく大容量化、高記録密度化されてきている。情報量の増加と共に多量の情報を記録することが可能であり大容量で、再生時のアクセス時間が短く、安価な磁気記録媒体が求められている。このような大容量な磁気記録媒体を実現するためには狭トラック幅としても精度良く磁気ヘッドが走査できるように所謂トラッキングサーボ技術が用いられている。
【0003】
大容量の磁気記録媒体においては、例えば磁気ディスクの1周中のある間隔でトラッキング用のサーボ信号等の磁気パターンが所謂プリフォーマットされている。磁気ヘッドはこの磁気パターンを読取って自己の位置を修正して高精度にトラック上を走行する。
【0004】
従来においては、上記のような所定の磁気パターンを有する磁気記録媒体を作製するために、磁気記録媒体専用のサーボ情報記録装置を用いて1枚ずつ、1トラックずつ記録することにより行われている。上記サーボ情報記録装置は記録ヘッドを高精度に位置決めする機構が必要であり、高価である。また、磁気記録媒体の容量が大きくなるに従って磁気パターンを記録するのに要する時間も長時間となるので、大容量の磁気記録媒体の製造においては、磁気パターン記録工程が製造工程において占める割合が大きくなり、製造コストを上昇させることとなっていた。
【0005】
上記のような状況に対して、最近、1トラックずつ磁気パターンの記録を行わずに、磁気パターンに応じてパターニングした磁性層を有するディスクをマスター体として準備し、このマスター体を介して製品となる磁気記録媒体へ磁気パターンを転写するようにした技術の提案がなされている。
【0006】
上記マスター体を用いる転写法は、プリフォーマットする磁気記録媒体に接触した状態で外部磁界を供給することで上記磁性層が励磁されて磁気的な転写がなされ、短時間に所定の磁気パターンを有する磁気記録媒体を作製できるので製造工程の簡素化と低コスト化を図ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、上記マスター体はサーボ情報等に関する所定の磁気パターンに対応する位置に磁性層(軟磁性材料)がパターニングされている。このマスター体を磁気記録媒体に接触させながら外部磁界を供給し、軟磁性材料を励起することでマスター体上の磁性層パターンが磁気記録媒体側へ転写される。
【0008】
上記マスター体は微細なパターンとなるので、一般に半導体製造等で用いられているリソグラフィー技術を用いて作製されている。マスター体は基板上にフォトレジストを塗布、磁化パターン応じたフォトマスクを用いて露光、現像、エッチング、軟磁性材料のスパッタリング等の工程を経て作製される。
【0009】
半導体チップは極小さなものであるので不良パターンのものは廃棄される。ところが、磁気記録媒体の場合、半導体チップと比較して極めて広い面積を有し一部に不良パターンが含まれても全体として不良品となってしまう。よって、磁気記録媒体のパターニングは全体として不良パターンを含まないようにより高精度に制御することが要求される。すなわち、半導体チップの場合と比較してさらに高い精度の寸法制御が必要となる。
【0010】
そして、今後さらなる磁気記録媒体の高記録密度化を図るためには、より微細なパターンを高精度にマスター体に形成することが必要となる。しかし、上記リソグラフィー技術を用いても高精度なパターンを形成することについて限界がきている。
【0011】
図1は、従来の磁気パターン転写装置100の一例を示した図である。磁気記録媒体120上にマスター体110が配置され、磁界発生手段となる磁石101から一定の磁界105が供給されるようになっている。マスター体110には予め設定したサーボ信号等に基づいた所定磁気パターンに応じて磁性層111がパターニングされている。図1の状態で、上記磁界105を受けることで磁性層111が励磁され、上記磁性層111の磁性層パターンが磁気記録媒体120側へ転写パターン121として転写される。
【0012】
しかしながら、上記磁性層パターンがより微細なものとなると、現在のリソグラフィー技術を用いても磁性層111が存する部分の幅や、深さを高精度に制御することが困難となる。よって、マスター体110に形成された磁性層111のパターン自体が本来の磁気パターンから微妙に「ばらつき」を有したものとなってしまう。すなわち、マスター体110に形成された磁性層111のパターンは、本来の所定の磁気パターンとは磁気相違部分を有したものとなる。このようなマスター体110を用い、磁気転写して製作した磁気記録媒体120は同然に、本来の磁気パターンから相違した転写パターン121を有することになる。
【0013】
また、前述したようにマスター体を用いる磁気転写技術では、マスター体をスレーブ側となる磁気記録媒体に近接させた状態で外部磁界を印加した際に、磁性層の影響を受けた磁界に強弱が発生する。この現象に基づいて、磁気記録媒体側に磁気情報に応じた所定の転写パターンを形成できる。すなわち、マスター体に配置された磁性層直下の部分では磁界が弱くなるが、磁性層のエッジ部では強い磁界が発生するので、これにより磁気記録媒体側に当初の磁気情報に対応した転写パターンを形成できる。
【0014】
しかし、上記のように磁気記録媒体側を磁化する際に、ある遷移幅が存在するためマスター体の磁性層のエッジ部位置と磁気記録媒体側に形成される磁化部分の位置とにずれ、すなわち転写誤差が発生する場合がある。
【0015】
図2はマスター体110を用いて磁気記録媒体120へ磁気パターンを転写する様子を示した図である。マスター体110の下面には、転写すべき磁気情報に応じた位置に磁性層111がパターニングされている。このマスター体110を磁気記録媒体120に接近させて外部から磁界105を印加すると、理想的には2つの磁性層111の間で磁気記録媒体120上に転写パターン121が形成される。すなわち、図2で示すように、磁気記録媒体120上の転写パターン121を形成する磁化部分の各々は、理想的には隣接する磁性材料101のエッジ部の間にちょうど位置するように形成される。そして、磁気記録媒体へ理想的な転写が実現された場合には、図2の下段に示すように磁気記録媒体の再生信号波形は当初の磁気情報を正確に反映したものとなる。
【0016】
しかし、実際の磁気記録媒体への転写では、前述したように転写誤差が発生する。図3は磁気記録媒体120上の転写パターン121に、所謂「にじみ」が発生した場合を示した図である。にじみが発生すると磁性層111のエッジ部直下より、磁気記録媒体120上の転写パターン121に広がった部分121BRが形成されてしまう。このように、にじみが生じると、図3下段に示すように磁気記録媒体の再生信号波形は当初の磁気情報からずれたものとなるので、好ましくない。
【0017】
また、図示は省略するが、図3で示した「にじみ」とは逆に磁性層111のエッジ部より磁気記録媒体120上の転写パターン121に狭くなった部分、所謂「かすれ」が形成される場合もある。
【0018】
以上のように、磁気記録媒体側に期待位置(磁性層111のエッジ部の直下位置)からずれた転写パターンが形成されてしまうと製品となる磁気記録媒体に必要な磁気情報を正確に転写できないことになる。
【0019】
したがって、本発明の目的は、マスター体に形成する磁気パターンを工夫することにより、磁気記録媒体側で問題となる転写誤差を抑制する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的は、請求項1に記載の如く、磁気情報に基づいた所定の磁気パターンを有する第1のマスター体を製作する工程と、前記第1のマスター体を用いて磁気記録媒体へ前記磁気パターンを転写する工程と、前記磁気記録媒体に形成された転写パターンと前記所定磁気パターンとの転写誤差量を確認する誤差確認工程と、前記転写誤差量を相殺するように形成した補正磁気パターンに基づいて真のマスター体として第2のマスター体を製作する工程とを含む磁気転写用マスター体の製造方法によって達成される。
【0021】
また、請求項2に記載の如く、請求項5に記載の磁気転写用マスター体の製造方法において、前記補正磁気パターンは、前記真のマスター体に形成する磁性層のエッジ位置を、前記転写誤差量に応じて前記第1のマスター体に形成した磁性層のエッジ位置からシフトさせ、該転写誤差量を相殺するように補正したものとすることができる。
【0022】
請求項1及び2に記載の発明よれば、転写誤差を補正した真のマスター体が得られるので、この真のマスター体を用いて磁気記録媒体への転写を行えば磁気情報を正確に転写できるようになる。
【0023】
また、請求項3に記載の如く、隣接するトラックに跨って、磁気情報を含んだ磁気信号マークが形成される磁気記録媒体であって、互いに隣接する前記磁気信号マークを、重複面積が存在するように形成した磁気記録媒体とすることで、同様に前述した目的を達成できる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、隣接する磁気信号マークが互いに重複するように形成されるので、磁気信号マーク全体として外周を短縮できる。よって、転写誤差が生じるエッジ部が従来よりも短くなるので転写誤差の影響を抑制できる。
【0025】
また、請求項4に記載の如く、磁気情報に対応した所定の磁気パターンをエッジ数が少なくなるように変調処理した変調磁気パターンで作製した変調マスター体を準備し、該変調マスター体を用いて転写された転写パターンを有する磁気記録媒体の製造方法によっても、前述した目的を達成できる。
【0026】
請求項4に記載の発明によれば、磁気記録媒体上の転写パターンもエッジ数が少ないパターンとなるので転写した際の転写誤差の影響を低減できる。
【0027】
さらに、請求項5に記載の如く、磁気情報に対応した所定の磁気パターンをエッジ数が小さくなるように変調処理した変調磁気パターンで作製した変調マスター体を用いて転写した磁気記録媒体を搭載すると共に、前記変調磁気パターンを復調する復調手段を備えて前記磁気記録媒体に転写された磁気情報を再生可能とした磁気情報再生装置によっても前述した目的を達成できる。
【0028】
請求項5に記載の発明によれば、磁気記録媒体上エッジ数が少ない転写パターンを有する磁気記録媒体から磁気情報を再生するので転写誤差の影響を低減した磁気情報再生装置として提供できる。
【発明の効果】
【0029】
以上詳述したところから明らかなように、請求項1及び2に記載の発明によれば、転写誤差を補正した真のマスター体が得られるので、この真のマスター体を用いて磁気記録媒体への転写を行えば所定の磁気パターンを正確に転写できるようになる。
【0030】
また、請求項3に記載の発明によれば、隣接する磁気信号マークが互いに重複するように形成されるので、磁気信号マーク全体として外周を短縮できる。よって、転写誤差が生じるエッジ部が短くなるので転写誤差の影響を抑制できる。
【0031】
また、請求項4に記載の発明によれば、磁気記録媒体上の転写パターンもエッジ数が少ないパターンとなるので転写した際の転写誤差の影響を低減できる。
【0032】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、磁気記録媒体上エッジ数が少ない転写パターンを有する磁気記録媒体から磁気情報を再生するので転写誤差の影響を低減した磁気情報再生装置として提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図4は第1の本発明に係る基本原理を説明するために示した図である。
【0034】
図4において、磁気記録媒体7上にマスター体4が配置され、磁界発生手段としての磁石1から磁界を供給する構成は従来と同様である。しかし、本発明では、磁気記録媒体7上に転写される転写パターンに、前述したような「ばらつき」が生じる場合にこれを打消すようにマスター体4へ供給する磁界の強度を適性に制御する。
【0035】
すなわち、前述したようにリソグラフィー技術を用いてマスター体4上に形成したパターン(磁性層パターン)は、本来の磁気パターンから微妙に相違した状態となる場合がある。そこで、本発明ではマスター体4上の磁性層パターンが本来の磁気パターンと相違する部分(磁気相違部分)を予め測定して確認しておき、この磁気相違部分の磁化状態を本来の状態に修正するように磁界を供給しながら磁気記録媒体7上への磁気転写を実行する。そのために、磁石1からマスター体4へ供給される磁界が、上記磁気相違部分を修正する構成を有する。この構成の詳細は後述の実施例で明らかにする。
【0036】
ここで、図4を用いて、本発明で上記磁気相違部分を打消すように磁界がコントロールされる場合の例を説明する。図4には、マスター体4及び磁気記録媒体7の距離を隔てた2つの部分Iと部分IIとが示されている。左の部分Iではマスター体4に本来の磁気パターンが形成され適正な間隔6をもって軟磁性層6−1、6−1が形成されている。しかし、右の部分IIではマスター体4のパターニングに問題があり本来磁気パターよりも広い間隔5を軟磁性層5−1、5−1が形成されている。
【0037】
図4に示すマスター体4のII部分のように広い間隔6が形成された場合、従来では磁石1から一定の磁界が供給されるので、磁気記録媒体7側に広めの磁気パターンが転写されてしまうことになる。この結果、前述したように磁気記録媒体7全体として磁気パターンのばらつきが生じる。
【0038】
しかし、本発明の場合には参照符号2及び3で示すように、マスター体4に形成された磁性層のパターニング状態に応じて供給する磁界の強さをコントロールする。すなわち、パターニングの寸法が不正確であるマスター体4の部分IIの転写では、I部分の転写を行う場合の磁界2と比較して、小さな磁界3を供給して、磁気記録媒体7の磁気パターン8がI部分の磁気パターン9と同様の磁気パターンとなるように修正される。
【0039】
よって、マスター体4が有する磁性層パターンが設計した本来の磁気パターンと相違する部分を有しても、これを修正しながら磁気記録媒体7側に本来の磁気パターンに対応した転写パターンを形成できることになる。
【0040】
なお、この後の実施例の説明でも明らかとするが、本発明では先ずマスター体4に一定の磁界を供給して磁気記録媒体7上にマスター体が有する磁性層パターンを転写するマスター転写工程が実行される。このマスター転写工程により、マスター体4に形成された磁性層パターンが有する磁気相違部分は、そのまま磁気記録媒体7上に形成された転写パターンに反映される。このように磁気相違部分部を含む転写パターンを有する磁気記録媒体7の磁化状態は、次のパターン相違測定工程で本来の磁気パターンとの相違が測定される。このパターン相違測定工程での測定結果に基づき相違データが作製される。
【0041】
そして、上記相違データをメモリ等の記憶手段に記憶しておき、磁気転写工程ではこの相違データに基づいて磁石1から供給する磁界を制御しながら磁気記録媒体へのパターン転写を行う。
【0042】
すなわち、本発明では上記マスター転写工程及びパターン相違測定工程により、磁気相違部分が測定された以後は、この磁気相違部分を修正するように磁界を供給しながら磁気記録媒体へパターン転写を行う磁気転写工程が繰り返されるだけで、本来の磁気パターンを有した磁気記録媒体が製造できる。その際、上記磁気相違部分を検出するセンサからの位置情報を参照することで、磁気相違部分を確認しながら修正するように磁界を供給することが望ましい。このように、位置情報を得る構成例は以下の実施例により示す。
【0043】
以下さらに、図面に基づき第1の発明に係る複数の実施例を説明する。
【0044】
(第1実施例)
本第1実施例は、磁界発生手段として電磁石を用い、この電磁石へ供給する電流を変化させることでマスター体へ供給する磁界の強度をコントロールすることで磁気記録媒体上に本来の磁気パターンを形成できるようにした例である。
【0045】
図5は第1実施例の磁気パターン転写装置10の概要構成を示した図である。
【0046】
磁気記録媒体11上にマスター体12が配置されている。これら磁気記録媒体11及びマスター体12は共にディスク状の形状であり、モータ13のスピンドル13−1により、互いに密接した状態で矢印X方向に一体的に回転されるようになっている。
【0047】
本実施例では、スピンドル13−1の回転状態を検出するため、例えばフォトインタラプタ20がスピンドル13−1の近傍に配設されている。そして、フォトインタラプタ20の検出信号は回転位置検出信号21として後述するメインコントローラ18へ供給される。なお、磁気記録媒体11及びマスター体12はスピンドル13−1に対して特定位置に固定されるように設定されており、回転位置検出信号21を参照することで磁気記録媒体11及びマスター体12の回転位置を特定できるようになっている。
【0048】
上記マスター体12の上面に対向して、磁界発生手段として電磁石14が配設されている。この電磁石14はステージ15の下方でマスター体12の半径方向において移動可能に設定されている。上記ステージ15はステージコントローラ17に接続されており、このステージコントローラ17が図示せぬステージ15の駆動源を制御することにより矢印Y方向で電磁石14を所望位置に設定できるようにしている。
【0049】
また、上記電磁石14は電流コントローラ16に接続されている。この電流コントローラ16は電磁石14へ供給する電流の大きさを制御して、電磁石14から生じる磁界すなわち、マスター体12へ供給する磁界の強度を変更できるようになっている。
【0050】
さらに、本磁気パターン転写装置10はメインコントローラ18を備えている。このメインコントローラ18は、上記回転位置検出信号21によりマスター体12の回転位置を検出しており、マスター体12の磁気相違部分の周方向での位置を確認できる構成である。また、メインコントローラ18はメモリ19を備えている。このメモリ19内には、電磁石14から一定の磁界を供給した際に磁気記録媒体11上に転写され、上記磁気相違部分を含んだ転写パターンと本来の磁気パターンとの比較を行って確認した相違データが記憶されている。
【0051】
上記メインコントローラ18は、回転位置検出信号21を用いて、上記ステージコントローラ17及び電流コントローラ16へ駆動信号を供給し位置の制御と磁界の制御を行う。すなわち、メインコントローラ18は回転位置検出信号21を参照して磁気相違部分の周方向の位置を特定し、ステージコントローラ17を介して電磁石14を半径方向に適宜移動させて上記磁気相違部分に位置させる。そして、電流コントローラ16を介して磁気相違部分の誤りを打消すように電磁石14から修正する磁界を供給させる。
【0052】
上述したような構成を有する磁気パターン転写装置10によれば、マスター体12に形成された磁気パターンに磁気相違部分があってもこれを修正できるのでばらつきを無くし磁気記録媒体11へ本来の磁気パターンを形成できる。
【0053】
なお、本第1実施例では、スピンドル13−1の回転状態を検出して磁気記録媒体11及びマスター体12の回転位置検出に用いているが、このような構成に限らずこれらの回転位置が確認できる手段であれば他の構成を採用してもよい。例えば、マスター体の外周部に所定のマークを印字しておき、これをCCD等のセンサで検出するようにしてもよい。
【0054】
また、メモリ19に予め記憶される相違データは、例えば電磁石14から一定の磁界を供給してマスター体12が有する磁気相違部分を反映した転写パターンを有する磁気記録媒体11を作製する。この磁気記録媒体11を本磁気パターン転写装置10から取出し、磁気再生装置等の評価装置で磁気記録媒体11の磁化を再生することで測定する。この測定結果から上記相違データを作成してメモリ19に格納しておけばよい。
【0055】
(変形例1)
上記第1実施例は、マスター体に形成された磁気パターンを予め測定しておき、これをメモリ19に修正内容として記憶し、その修正内容に基づいてメインコントローラ18が磁化相違部分を修正するように磁界を供給するものであった。
【0056】
ここでは、上記第1実施例の変形例1として、磁気パターンを読取る磁気再生ヘッド機構をさらに備えた例を説明する。この変形例1も図5を用いて説明する。
【0057】
図5には、磁気再生ヘッド機構30が示されている。この磁気再生ヘッド機構30はアクチュエータユニット33により回動されるアーム35の前端部に磁気再生用の磁気抵抗効果素子31が取付けられた構成を有している。アクチュエータユニット33の駆動により、磁気抵抗効果素子31がマスター体12の上面を矢印Zで示す半径方向に移動される。アクチュエータユニット33の駆動制御は、上記メインコントローラ18によりなされる構成とすればよい。
【0058】
本変形例1の場合は、マスター体12上に形成された磁性層パターンの磁気相違部分を確認する機能も備える装置となる。マスター体12に対して、電磁石14から一定の磁界が供給され、磁気記録媒体11へ転写が行われる。この磁気記録媒体11へ転写された転写パターンが磁気抵抗効果素子31により検出(再生)される。
【0059】
上記磁気抵抗効果素子31による磁気検出信号32は上記メインコントローラ18へ供給され、マスター体12上に形成された磁性層パターンが有する磁気相違部分が間接的に測定されることなる。この後、第1実施例と同様に本来の磁気パターンとマスター体12上に形成された磁気パターンとの比較からその相違がメモリ19に記憶され、前述したと同様にパターンの修正をしながら磁気記録媒体への転写が繰返し実行される。
【0060】
本変形例1によると、マスター体12が有する磁性層パターンの磁気相違部分を検出する工程(前述したマスター転写工程及びパターン相違測定工程)も実行できるので、一連の工程が実行できる優れた磁気パターン転写装置となる。
【0061】
(第2実施例)
第2実施例は、磁界発生手段からマスター体へ供給される磁界をモニタする機能を備え、より高精度に磁気記録媒体へ磁気パターンを転写できるようにした磁気パターン転写装置である。
【0062】
図6は第2実施例の磁気パターン転写装置40の概要構成を示した図である。図5で示した第1実施例の磁気パターン転写装置10の構成と同一の部位には同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施例の場合は磁気検出手段から供給される磁界をモニタする手段として磁気センサ41を設けることで供給している磁界を検出し、これをメインコントローラ18にフィードバックするようにしている。よって、より精度良く転写状態を制御できる。
【0063】
本第2実施例に関しても変形例2として、第1実施例の場合の変形例1と同様に磁気再生ヘッド機構30を設け、マスター体12上に形成された磁性層パターンを検出できるような装置としてもよい。
【0064】
(第3実施例)
本第3実施例は、磁界発生手段として永久磁石を用いた場合であり、この永久磁石とマスター体との距離を変更することで、マスター体へ供給する磁界の強度をコントロールして磁気記録媒体上に本来の磁気パターンを形成できるようにした例である。
【0065】
図7は第3実施例の磁気パターン転写装置50の概要構成を示した図である。
【0066】
本実施例でも、図5で示した第1実施例の磁気パターン転写装置10の構成と同一の部位には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0067】
本第3実施例では、マスター体12の上面に対する永久磁石51の距離を変更可能とするために、新たに上下移動ステージ52とこの移動を制御するステージコントローラ53が配設されている。ステージコントローラ53は第1実施例と同様にメインコントローラ18により制御されるように構成されている。
【0068】
本実施例の場合も、マスター体12が有する磁気相違部分を予め測定しておき、これをメモリ19に修正内容として記憶し、その相違データに基づいてメインコントローラ18が磁化相違部分を修正するように磁界を供給する。その際、上下移動ステージ52により、マスター体12の上面に対する永久磁石51の距離を変更してマスター体12へ供給される磁界の強度を変更する点が前述した実施例と異なる。
【0069】
上述したような構成を有する本第3実施例の磁気パターン転写装置50によっても、マスター体12に形成された磁気パターンに磁気相違部分があってもこれを修正できるので、磁気記録媒体11へ本来の磁気パターンを転写できる。
【0070】
なお、本第3実施例の磁気パターン転写装置50に、第2実施例で示した磁気センサ41を付加してもよい。この場合にも、永久磁石51から供給される磁界がモニタできるので、メインコントローラ18によるフィードバック制御が行われ磁気記録媒体11へ本来の磁気パターンを精度よく転写できる。
【0071】
また、本第3実施例に関しても変形例3として、第1実施例の場合の変形例1と同様に磁気再生ヘッド機構30を設け、マスター体12上に形成された磁性層パターンを検出できるような装置としてもよい。
【0072】
以上説明した実施例から明らかなように、マスター体に形成された磁気パターンを磁気記録媒体へ転写する際に供給する磁界強度をコントロールするので、マスター体に形成された磁性層パターンに磁気相違部分が存在していても、これを修正しながら本来の磁気パターンを磁気記録媒体に転写できる。
【0073】
前述した第1の発明はマスター体を製作する上で発生する問題を解決するものであるが、以下で説明する第2の発明はマスター体の磁気パターンを磁気記録媒体側へ転写する際に生じる転写誤差に係る問題を解決するものである。本第2の発明には、3つの好ましい実施形態が含まれている。これらを以下順に説明する。
【0074】
先ず、第1の実施形態は、前述した「にじみ」、「かすれ」による転写誤差量を予め確認する誤差確認工程を含でいる。この誤差確認工程で確認された転写誤差量を補正するように補正磁気パターンを作成する。そして、この補正磁気パターンに基づいて真のマスター体を製作し、磁気記録媒体に近接させて外部磁界印加して転写することにより、高精度なパターン転写を実現できるようにする。
【0075】
なお、前記誤差確認工程は、一度行って転写誤差量を確認すれば以後は真のマスター体を同様に製造できる。また、この誤差確認工程として一連の製造工程とは別に予備実験等で上記転写誤差量を取得してもよいし、シミュレーション等により予測して上記転写誤差量を取得してもよい。次ぎに示す実施例は真のマスター体を製造する前にこの誤差確認工程を組込んだ一例である。
【0076】
(第4実施例)
第2の発明に対応する1番目の実施例として、図面に基づいて第4実施例を説明する。図8は、第4実施例の真のマスター体を製造するまでの工程の概要を示した図である。
【0077】
まず、磁気記録媒体に転写すべき磁気情報に基づいた所定の磁気パターンを有する第1のマスター体63を製作する。この第1のマスター体63は従来と同様に製作される。図8のステップAでは、第1のマスター体63を作製する前段の磁気パターン生成・露光の工程が実行される。すなわち、第1のマスター体用の基板60上に感光材を塗布した状態で露光装置70により、転写しようとする磁気パターンに応じて露光処理される。具体的には、転写パターン生成装置71で形成した所定の磁気パターンに基づいて露光処理される。露光装置70ではパターンコントローラ72がポジショナ73を位置決めしながら、このポジショナ73からレーザ或いは電子ビーム74を照射して、マスター体用基板60上の感光材を露光する。
【0078】
つぎのステップBでは、第1のマスター体を作製する後段の転写パターン現像・平滑化の工程が実行されている。このステップBでは、パターン現像78、エッチング79、磁性層の形成80及び表面平滑化の処理81が行われて第1のマスター体63が作製される。上記ステップA及びBは、従来と同様にリソグラフィー技術を用いてマスター体を作製するものである。
【0079】
本実施例での特徴的な部分は、転写誤差量を確認するための誤差確認工程を含むステップC以後にある。このステップCでは上記第1のマスター体63をポジショナ91で位置決めしながら磁界92を印加できる磁気転写装置90にセットして、磁気記録媒体67に磁気転写を実行する。そして、この磁気記録媒体67に形成された転写パターンを転写精度評価装置95で評価する。この転写精度評価装置95は、上記磁気パターン生成装置71で生成した磁気情報に基づいた所定の磁気パターン(目標パターン)と、実際に磁気記録媒体63上に形成された転写パターン(結果パターン)とを比較して、転写誤差量を確認する。この転写誤差量の情報は、補正磁気パターン生成装置97に供給される。
【0080】
この補正磁気パターン生成装置97は、前記転写誤差量を相殺するように磁性層をパターニングした補正磁気パターン65を生成する。図9は補正磁気パターン65を有する真のマスター体64について示した図である。図9に示すように、真のマスター体64には、転写誤差量を相殺するように磁性層65−1のエッジ部位置をパターン補正量ω分だけシフトさせた補正磁気パターン65が形成される。このように設計することで、転写時に誤差が生じても磁気記録媒体67に所定の磁気パターンと対応した転写パターン68が形成できるようになる。
【0081】
なお、この図9では、「にじみ」が生じた場合に対処する補正磁気パターン例を示している。磁気記録媒体67の転写パターン68を構成する磁化部分68−1がにじむので、このにじみを考慮して磁性層65−1のエッジ部位置を外側へパターン補正量ω分シフトさせた補正磁気パターンを生成している。「かすれ」の場合には、この「にじみ」の場合と逆に補正を行えばよい。
【0082】
図8を再度参照すると、上記補正磁気パターン生成装置97により上記のように補正磁気パターンが生成された後には、第1のマスター体63を作製したと同様にステップA及びステップBを経て第2のマスター体として真のマスター体64が作製される。この真のマスター体64は、転写誤差量を相殺するように補正磁気パターンが形成されているので、磁気記録媒体へ転写した際の誤差を抑制して正確なパターン転写を実現できる。すなわち、図9の下段に示すように本来の磁気パターンに応じた再生信号が得られる磁気記録媒体を作成できる。
【0083】
(第5実施例)
次ぎに説明する第2の実施形態は、上記「にじみ」等の転写誤差が磁性層のエッジ位置で発生することに着目して成されたもので、転写誤差の影響を抑制した構成を有する磁気記録媒体である。上記第2の発明に対応する2番目の実施例として、図面に基づいて第5実施例を説明する。図10(A)〜(C)は磁気記録媒体の表面に形成されるトラックを一部拡大して示した図である。
【0084】
磁気ヘッド位置をトラックに追従させるためのサーボ情報(磁気情報)は、複数のトラックに跨る信号で書込む必要がある。トラックに跨ったビット(以下、磁気信号マークと称す)の再生信号の強弱を基にトラックからの位置誤差量を算出したり、トラックを斜めに横切る直線が形成されるように磁気信号マークが接するようにして形成した信号を数周期書き、周期信号の位相差を基に位置誤差量を算出するためである。上記磁気信号マークはマスター体により磁気記録媒体上に形成された転写パターンを構成する磁化部分の一つに相当している。よって、磁気信号マークの周辺に転写誤差が生じる。
【0085】
そこで、本実施例ではトラックに跨る位置サーボ情報を転写する場合、条件の許す限り隣接する磁気信号マークを重複面積が存在するように塊化してエッジ周長が短くなるようにして磁気記録媒体上の転写パターンを形成する。このようにエッジ周長が短くなれば、転写誤差の影響を抑制できる。
【0086】
図10を用いてより詳細に説明する。従来のサーボ情報信号が転写された磁気記録媒体では、例えば図10(A)のように重複しない転写パターンで磁気信号マーク幅に対して1/2ずらして形成されている。この図10(A)のように重複しない5つのパターンではエッジ周長の合計は10a+10bとなる。
【0087】
また、従来の磁気記録媒体に形成されたパターンには図10(B)のように隣接する磁気信号マークを接触させたものもある。この場合にはエッジ周長が6a+10bと短くなるので、転写誤差の割合が少なくなるので好ましい。
【0088】
しかし、磁気記録媒体に形成される転写パターンとしては、できるだけ転写誤差を含まない構成とすることが好ましい。
【0089】
そこで、本実施例の磁気記録媒体は磁気信号マークを積極的に重ねるようなパターンを形成させる。すなわち、例えば図10(C)のように周方向に対して、1/3の量を重ね書き(磁気信号マークを重ねる)するとエッジ周長は6a+3b/16とさらに短くなる。よって、転写誤差の影響をより確実に抑制できる。
【0090】
本実施例のように、エッジ周長の合計が短くなるようなパターンを有する磁気記録媒体を形成するためには、図10(C)に例示したような転写パターンを形成させるマスター体を用いればよい。本実施例は、きわめて簡単な構成で転写誤差の影響を抑制することができる。
【0091】
(第6実施例)
さらに、第3の発明形態は、「にじみ」等の転写誤差を抑制した変調パターンを有するマスター体を作製し、このマスター体を用いて磁気記録媒体を製造し、さらはこの磁気記録媒体を磁気情報再生装置側で復調しながら再生するようにしたものである。第2の発明に対応する3番目の実施例として、図面に基づいて第6実施例を説明する。
【0092】
図11は、従来において、6ビットのデータ(1、1、1、1、1、1)を磁気転写する様子を示した図である。このデータをそのまま転写すると先に説明したようにマスター体110の磁性層のエッジ部分で、A〜Fの6箇所で転写誤差が発生する。そして、図11から理解できるように、エッジ数が多くなるデータである程、転写誤差の機会が増してしまう。
【0093】
そこで、本実施例では、エッジ数が少なくなるように変調した変調磁気パターンを有する変調マスター体を用いる。具体的には、図12(A)に示すような変換テーブルを後述する変調磁気パターン生成装置内に備え、この変換テーブルで、上記6ビットのデータ(1、1、1、1、1、1)を、例えば10ビットのデータ(1、0、0、0、1、0、1、0、0、1)に変換する。
【0094】
この変換データに基づいて、図12(B)に示す変調マスター体150を形成する。この変調マスター体は4ビットと3ビットとが2ビット分間隔を置いた変調磁気パターン151を有する。この変調マスター体を用いて転写すれば、転写誤差の影響がある部分をA〜Dの4箇所に減少させることができる。すなわち、図12(B)のパターンでは、図11に示した変調前と比較して、磁気記録媒体155側に発生する転写誤差を大幅に抑制できる。
【0095】
すなわち、本実施例はエッジ数が少ない信号となるようにオリジナルデータを変換し、転写時の誤差の発生を抑制したパターンで転写を実行することにより、転写精度を向上させるものである。
【0096】
図13は、上記のように形成した磁気記録媒体155からの再生信号と、ゲート信号を用いて再生した10ビットのデータを示した図である。なお、この図13で示す再生側の処理は後述するように、上記磁気記録媒体を搭載する磁気情報再生装置で行われる。
【0097】
磁気情報再生装置では図15に示すように、再生したデータを逆引きするための変換テーブルを備えたパターン復調装置204を備えている。このパターン復調装置204で復調処理することにより前記オリジナルデータに変換できる。すなわち、上記の4ビットと3ビットのパターンが2ビット分間隔を置く配置で転写されたデータを磁気ヘッドで読み込んで、ゲート信号等により10ビットのデータ(1、0、0、0、1、0、1、0、0、1)を得た場合、パターン復調装置の変換テーブルを逆に引くことにより、オリジナルデータである6ビットのデータ(1、1、1、1、1、1)を得ることができる。
【0098】
図15は、上述した説明に沿って、変調磁気パターンにより変調マスター体を形成してから磁気記録媒体を製造し、この磁気記録媒体を磁気情報再生装置に搭載して再生するまでの一連の工程を示した図である。この図15は、先に第4実施例で示した製造工程と近似した部分を含むので、同様の部分には同一の符号を付すこと重複する説明を省略し、特徴部分を中心に説明する。
【0099】
ステップAでは、変調マスター体150を作製する前段の磁気パターン生成・露光の工程が示されている。このステップAには、オリジナルデータORを変調磁気パターン生成装置171でエッジ数の少ない変調磁気パターンに変調する処理が含まれている点が第4実施例の場合とは異なっている。これ以外は、第4実施例の場合と同様にマスター体用の基板60上に感光材を塗布した状態で露光装置70により、変調磁気パターンの露光処理が実行される。つぎのステップBは、変調マスター体150を作製する後段の転写パターン現像・平滑化工程である。このステップは第4実施例と同様である。
【0100】
上記ステップA及びBを経て作製された変調マスター体150を磁気転写装置90に設置して、磁気記録媒体155への磁気転写が実行される。これにより、磁気記録媒体155に変調マスター体150の変調磁気パターンに対応した転写パターンが形成される。
【0101】
上記磁気記録媒体155は、そのままハードディスク装置等の磁気情報再生装置200に搭載して使用される。磁気情報再生装置200では磁気ヘッド210で読み出した、再生アナログ信号がリードチャンネル202でデジタル化処理される。このデジタルデータは、変調された前記の10ビットのデータ(1、0、0、0、1、0、1、0、0、1)に相当する。この10ビットのデータはパターン復調装置204で、復調されるので6ビットのデータ(1、1、1、1、1、1)に相当するオリジナルデータORを得ることができる。
【0102】
よって、本実施例によるとエッジ数が少なくなるように変調した変調磁気パターンを用いるので、マスター体から磁気記録媒体への転写の際に発生する転写誤差を抑制できる。
【0103】
なお、上記第6実施例では変調磁気パターンを転写した磁気記録媒体155を磁気情報再生装置200にそのまま搭載する場合を示したが、磁気記録媒体155に正確に転写が実現されているかを転写評価装置で確認してから、磁気情報再生装置200に搭載する様にしてもよい。この場合は、転写評価装置に前述したと同様のパターン復調装置を設ければよい。
【0104】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0105】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) 磁気情報が記録可能な磁気記録媒体へ磁気パターンを転写する方法であって、
前記磁気パターンに応じてパターニングした磁性層を形成したマスター体を前記磁気記録媒体へ接近させた状態で前記磁性層を励磁する磁界を供給して、前記マスター体が有する磁性層パターンを前記磁気記録媒体側へ転写するマスター転写工程と、
前記マスター転写工程後の前記磁気記録媒体の磁化状態を測定して、該磁気記録媒体に転写された転写パターンと前記磁気パターンとの相違を測定するパターン相違測定工程と、
前記パターン相違測定工程での測定結果に基づき、前記転写パターンが前記磁気パターンと相違する磁気相違部分の磁化状態を修正するように磁界を供給しながら、前記マスター体を用いて前記磁気記録媒体へパターン転写を行う磁気転写工程とを含む、ことを特徴とする磁気パターン転写方法。
(付記2) 付記1に記載の磁気パターン転写方法において、
前記磁気転写工程では、前記磁気相違部分の位置情報に同期させて、前記パターン転写用の磁界を発生させる電磁石へ供給する電流の大きさを変化させることにより磁界がコントロールされる、ことを特徴とする磁気パターン転写方法。
(付記3) 付記1に記載の磁気パターン転写方法において、
前記磁気転写工程では、前記磁気相違部分の位置情報に同期させて、前記パターン転写用の磁界を発生させる永久磁石と前記マスター体との距離を変化させることにより磁界がコントロールされる、ことを特徴とする磁気パターン転写方法。
(付記4) 付記2又は3に記載の磁気パターン転写方法において、
前記電磁石又は前記永久磁石からの磁界をモニタしながら前記磁気転写工程が実行される、ことを特徴とする磁気パターン転写方法。
(付記5) 磁気情報が記録可能な磁気記録媒体へ磁気パターンを転写する磁気パターン転写装置であって、
前記磁気パターンに応じてパターニングした磁性層を形成したマスター体と、
前記磁気記録媒体へ前記マスター体を接近させた状態で前記磁性層を励磁する磁界を供給し、前記マスター体の有する磁性層パターンを前記磁気記録媒体側へ転写させる磁界発生手段と、
前記磁気記録媒体へ転写された転写パターンが前記磁気パターンと相違する磁気相違部分の磁化状態を修正するように前記磁界発生手段から供給する磁界を制御する磁界制御手段とを含む、ことを特徴とする磁気パターン転写装置。
(付記6) 付記5に記載の磁気パターン転写装置において、
前記磁気相違部分の相違データを予め記憶している記憶手段を備え、前記磁界制御手段は前記相違データに基づいて前記磁界発生手段からの磁界を制御する、ことを特徴とする磁気パターン転写装置。
(付記7) 付記6に記載の磁気パターン転写装置において、
前記磁気記録媒体の磁化状態を測定する磁気再生ヘッドを更に備え、該磁気再生ヘッドにより検出された磁気相違部検出信号に基づいて前記記憶手段の相違データが形成されている、ことを特徴とする磁気パターン転写装置。
(付記8) 付記5から7のいずれかに記載の磁気パターン転写装置において、
前記磁界発生手段として、電流を変化することにより前記マスター体へ供給される磁界がコントロールされる電磁石又は前記マスター体との距離を変化させ該マスター体へ供給される磁界がコントロールされる永久磁石を用いる、ことを特徴とする磁気パターン転写装置。
(付記9) 付記5から8のいずれかに記載の磁気パターン転写装置において、
前記磁界発生手段から供給される磁界を検出するモニタ手段を備え、前記磁界制御手段は前記モニタ手段の磁界検出信号を用いて前記磁界発生手段から供給する磁界を制御する、ことを特徴とする磁気パターン転写装置。
(付記10) 付記5から9のいずれに記載の磁気パターン転写装置において、
前記磁気記録媒体上の前記磁気相違部分の位置を検出する相違位置検出手段を備え、前記磁界制御手段は該相違位置検出手段からの位置検出信号に基づいて、前記磁気相違部分に前記磁界発生手段を位置させた状態で供給する磁界を制御する、ことを特徴とする磁気パターン転写装置。
(付記11) 磁気情報に基づいた所定の磁気パターンを有する第1のマスター体を製作する工程と、前記第1のマスター体を用いて磁気記録媒体へ前記磁気パターンを転写する工程と、前記磁気記録媒体に形成された転写磁気パターンと前記所定磁気パターンとの転写誤差量を確認する誤差確認工程と、前記転写誤差量を相殺するように形成した補正磁気パターンに基づいて真のマスター体として第2のマスター体を製作する工程とを含む、ことを特徴とする磁気転写用マスター体の製造方法。
(付記12) 付記11に記載の磁気転写用マスター体の製造方法において、
前記補正磁気パターンは、前記真のマスター体に形成する磁性層のエッジ位置を、前記転写誤差量に応じて前記第1のマスター体に形成した磁性層のエッジ位置からシフトさせ、該転写誤差量を相殺するように補正したものである、ことを特徴とする磁気転写用マスター体の製造方法。
(付記13) 隣接するトラックに跨って、磁気情報を含んだ磁気信号マークが形成される磁気記録媒体であって、
互いに隣接する前記磁気信号マークを、重複面積が存在するように形成したことを特徴とする磁気記録媒体。
(付記14) 磁気情報に対応した所定の磁気パターンをエッジ数が少なくなるように変調処理した変調磁気パターンで作製した変調マスター体を準備し、該変調マスター体を用いて転写された転写パターンを有する、ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(付記15) 磁気情報に対応した所定の磁気パターンをエッジ数が小さくなるように変調処理した変調磁気パターンで作製した変調マスター体を用いて転写した磁気記録媒体を搭載すると共に、前記変調磁気パターンを復調する復調手段を備えて前記磁気記録媒体に転写された磁気情報を再生可能とした、ことを特徴とする磁気情報再生装置。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】従来の磁気パターン転写装置の一例を示した図である。
【図2】マスター体を用いて磁気記録媒体へ磁気パターンを転写する様子を示した図である。
【図3】磁気記録媒体上の転写パターンに「にじみ」が発生した場合を示した図である。
【図4】本発明で採用する基本原理を説明するために示した図である。
【図5】第1実施例の磁気パターン転写装置の概要構成を示した図である。
【図6】第2実施例の磁気パターン転写装置の概要構成を示した図である。
【図7】第3実施例の磁気パターン転写装置の概要構成を示した図である。
【図8】第4実施例の真のマスター体を製造するまでの工程の概要を示した図である。
【図9】補正磁気パターンを有する真のマスター体について示した図である。
【図10】磁気記録媒体の表面に形成されるトラックを一部拡大して示した図である。
【図11】従来において6ビットのデータを磁気転写する様子を示した図である。
【図12】変換テーブルと、変換データに基づいた変調マスター体を示した図である。
【図13】磁気記録媒体からの再生信号と、ゲート信号を用いて再生したデータを示した図である。
【図14】再生したデータを逆引きするための変換テーブルを示した図である。
【図15】変調マスター体を形成してから磁気記録媒体を製造し、磁気情報再生装置に搭載して再生するまでの一連の工程を示した図である。
【符号の説明】
【0107】
10 磁気パターン転写装置
11 磁気記録媒体
12 マスター体
14 電磁石(磁界発生手段)
16 電流コントローラ(磁界制御手段)
18 メインコントローラ(磁界制御手段)
19 メモリ(記憶手段)
63 第1のマスター体
64 第2のマスター体(真のマスター体)
95 転写精度評価装置
97 補正磁気パターン生成装置
150 変調マスター体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気情報に基づいた所定の磁気パターンを有する第1のマスター体を製作する工程と、前記第1のマスター体を用いて磁気記録媒体へ前記磁気パターンを転写する工程と、前記磁気記録媒体に形成された転写パターンと前記所定磁気パターンとの転写誤差量を確認する誤差確認工程と、前記転写誤差量を相殺するように形成した補正磁気パターンに基づいて真のマスター体として第2のマスター体を製作する工程とを含む、ことを特徴とする磁気転写用マスター体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気転写用マスター体の製造方法において、
前記補正磁気パターンは、前記真のマスター体に形成する磁性層のエッジ位置を、前記転写誤差量に応じて前記第1のマスター体に形成した磁性層のエッジ位置からシフトさせ、該転写誤差量を相殺するように補正したものである、ことを特徴とする磁気転写用マスター体の製造方法。
【請求項3】
隣接するトラックに跨って、磁気情報を含んだ磁気信号マークが形成される磁気記録媒体であって、
互いに隣接する前記磁気信号マークを、重複面積が存在するように形成したことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項4】
磁気情報に対応した所定の磁気パターンをエッジ数が少なくなるように変調処理した変調磁気パターンで作製した変調マスター体を準備し、該変調マスター体を用いて転写された転写パターンを有する、ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項5】
磁気情報に対応した所定の磁気パターンをエッジ数が小さくなるように変調処理した変調磁気パターンで作製した変調マスター体を用いて転写した磁気記録媒体を搭載すると共に、前記変調磁気パターンを復調する復調手段を備えて前記磁気記録媒体に転写された磁気情報を再生可能とした、ことを特徴とする磁気情報再生装置。
【請求項1】
磁気情報に基づいた所定の磁気パターンを有する第1のマスター体を製作する工程と、前記第1のマスター体を用いて磁気記録媒体へ前記磁気パターンを転写する工程と、前記磁気記録媒体に形成された転写パターンと前記所定磁気パターンとの転写誤差量を確認する誤差確認工程と、前記転写誤差量を相殺するように形成した補正磁気パターンに基づいて真のマスター体として第2のマスター体を製作する工程とを含む、ことを特徴とする磁気転写用マスター体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気転写用マスター体の製造方法において、
前記補正磁気パターンは、前記真のマスター体に形成する磁性層のエッジ位置を、前記転写誤差量に応じて前記第1のマスター体に形成した磁性層のエッジ位置からシフトさせ、該転写誤差量を相殺するように補正したものである、ことを特徴とする磁気転写用マスター体の製造方法。
【請求項3】
隣接するトラックに跨って、磁気情報を含んだ磁気信号マークが形成される磁気記録媒体であって、
互いに隣接する前記磁気信号マークを、重複面積が存在するように形成したことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項4】
磁気情報に対応した所定の磁気パターンをエッジ数が少なくなるように変調処理した変調磁気パターンで作製した変調マスター体を準備し、該変調マスター体を用いて転写された転写パターンを有する、ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項5】
磁気情報に対応した所定の磁気パターンをエッジ数が小さくなるように変調処理した変調磁気パターンで作製した変調マスター体を用いて転写した磁気記録媒体を搭載すると共に、前記変調磁気パターンを復調する復調手段を備えて前記磁気記録媒体に転写された磁気情報を再生可能とした、ことを特徴とする磁気情報再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−24360(P2006−24360A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235401(P2005−235401)
【出願日】平成17年8月15日(2005.8.15)
【分割の表示】特願2001−359311(P2001−359311)の分割
【原出願日】平成13年11月26日(2001.11.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月15日(2005.8.15)
【分割の表示】特願2001−359311(P2001−359311)の分割
【原出願日】平成13年11月26日(2001.11.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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