説明

磁気転写装置および磁気記録媒体の製造方法

【課題】マスター情報担体の繰り返し磁気転写に使用できる使用可能回数を十分に多くすることができ、優れた生産性が得られる磁気転写装置を提供する。
【解決手段】磁気転写を行う際に、非磁性基板の上に少なくとも磁性層が形成された磁気記録媒体1と、情報信号に対応する転写パターンが形成されたマスター情報担体200とが設置される磁気転写室16と、磁気転写室16内の表面を除電する除電手段と、磁気転写室16内においてマスター情報担体200と磁気記録媒体1とを密着させて、マスター情報担体200側から外部磁界を印加することにより、磁気記録媒体1に前記情報信号を磁気転写する磁気転写手段とを備える磁気転写装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気転写装置および磁気記録媒体の製造方法に関するものであり、より詳しくは、ハードディスク装置等の磁気記録再生装置に用いられる磁気記録媒体を製造する際に好適に用いられる磁気転写装置およびこれを用いた磁気記録媒体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気記録媒体にサーボ信号等の情報信号の書き込みを行う方法として、情報信号に対応する転写パターンが形成されたマスター情報担体を用い、このマスター情報担体に書き込まれた情報信号を磁気記録媒体に一括して磁気転写する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、基体の表面に情報信号に対応する凹凸形状が形成され、この凹凸形状の少なくとも凸部表面が強磁性材料により構成されるマスター情報坦体表面を、強磁性薄膜あるいは強磁性粉塗布層が形成されたシート状もしくはディスク状磁気記録媒体の表面に接触させることにより、マスター情報坦体表面の凹凸形状に対応する磁化パターンを磁気記録媒体に記録する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−40544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気転写に用いられる情報信号の書き込まれたマスター情報担体は、非常に高価なものであるが、磁気記録媒体に情報信号を転写する際に、繰り返し使用できるものである。このため、マスター情報担体の繰り返し磁気転写に使用できる回数(使用可能回数)をより多くして生産性を向上させ、磁気記録媒体の製造単価を低下させて、情報信号の書き込まれた磁気記録媒体の商業生産にマスター情報担体を適用できるようにすることが要求されている。
【0005】
マスター情報担体の使用可能回数をより多くする方法としては、磁気転写を行う前に、磁気記録媒体の表面の突起物や埃等を除去しておくことにより、マスター情報担体の表面の摩耗を抑制する方法が考えられる。磁気記録媒体の表面の突起物や埃等を除去する方法としては、バーニッシュ処理や織布等を用いたワイピング処理、湿式洗浄などがある。
しかしながら、従来の技術では、磁気転写を行う前に、磁気記録媒体の表面の突起物や埃等を除去しても、マスター情報担体の使用可能回数を、商業生産に適用するのに十分な回数まで多くすることは困難であった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みて提案されたものであり、マスター情報担体の繰り返し磁気転写に使用できる使用可能回数を十分に多くすることができ、優れた生産性が得られる磁気転写装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、マスター情報担体の繰り返し磁気転写に使用できる使用可能回数を十分に多くすることができ、優れた生産性が得られる磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、以下に示すように鋭意検討を行った。
その結果、マスター情報担体から磁気記録媒体に情報信号を磁気転写する際に、マスター情報担体と磁気記録媒体との間に埃が噛み込まれることによって、マスター情報担体の破損が促進されることが、マスター情報担体の使用可能回数を多くできない原因の一つであることが分かった。
そこで、本発明者らは、マスター情報担体と磁気記録媒体との間に噛み込まれる埃に着目して、以下に示すように検討を重ねた。
【0008】
一般に、マスター情報担体から磁気記録媒体に情報信号を磁気転写する際に用いられる磁気転写装置は、接地(アース)されている。また、磁気転写装置の基本的な構造部材の材料には、ステンレスやアルミニウム合金等の金属が用いられている。
しかしながら、従来の磁気転写装置では、磁気転写を行う際に磁気記録媒体とマスター情報担体とが設置される磁気転写室内の表面に、接地(アース)されずに浮いている部分が存在しており、磁気転写室内の表面に帯電している領域が形成されている場合があった。
【0009】
磁気転写室内の表面に帯電している領域が存在していると、帯電している領域に埃が引き寄せられるため、磁気転写室内の表面に埃が吸着されやすくなる。磁気転写室内の表面に吸着した埃は、磁気転写室内でマスター情報担体から磁気記録媒体に情報信号を磁気転写する際に、マスター情報担体と磁気記録媒体との間に噛み込まれる場合がある。
そこで、本発明者は、磁気転写室内の帯電している領域に着目して鋭意検討を重ねた。その結果、マスター情報担体から磁気記録媒体に情報信号を磁気転写する前に、磁気転写室内の表面を除電しておき、磁気転写室内の表面に埃が引き寄せられたり、吸着されたりすることを防止することによって、マスター情報担体の使用可能回数を多くできることを見出した。
【0010】
さらに、本発明者は、鋭意検討を重ね、磁気転写室内を減圧し、磁気記録媒体に情報信号を磁気転写した後、減圧された磁気転写室内を大気圧に戻すための気体としてイオナイザ処理した空気を用いることにより磁気転写室内の表面を除電する場合、磁気転写室内の表面を除電するための工程を追加することなく効率よく除電でき、しかも、次に磁気転写室内で磁気記録媒体に情報信号を磁気転写する際に、マスター情報担体と磁気記録媒体との間に埃が噛み込まれることを効果的に防止でき、好ましいことを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下に関する。
【0011】
(1)磁気転写を行う際に、非磁性基板の上に少なくとも磁性層が形成された磁気記録媒体と、情報信号に対応する転写パターンが形成されたマスター情報担体とが設置される磁気転写室と、前記磁気転写室内の表面を除電する除電手段と、前記磁気転写室内において前記マスター情報担体と前記磁気記録媒体とを密着させて、前記マスター情報担体側から外部磁界を印加することにより、前記磁気記録媒体に前記情報信号を磁気転写する磁気転写手段とを備えることを特徴とする磁気転写装置。
(2)前記除電手段が、前記磁気転写室内に静電気除去器で処理された空気を供給する供給手段を備えていることを特徴とする(1)に記載の磁気転写装置。
(3)前記磁気転写室内の気体を排気して減圧する排気手段が備えられ、
前記除電手段が、減圧された前記磁気転写室内に静電気除去器で処理された空気を供給する供給手段を備えていることを特徴とする(2)に記載の磁気転写装置。
【0012】
(4)磁気転写を行う際に、非磁性基板の上に少なくとも磁性層が形成された磁気記録媒体と、情報信号に対応する転写パターンが形成されたマスター情報担体とが設置される磁気転写室内の表面を除電する除電工程と、前記磁気転写室内において前記マスター情報担体と前記磁気記録媒体とを密着させて、前記マスター情報担体側から外部磁界を印加することにより、前記磁気記録媒体に前記情報信号を磁気転写する磁気転写工程とを含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(5)前記除電工程と前記磁気転写工程とを交互に連続して繰り返して行い、
前記磁気転写工程が、前記磁気転写室内の気体を排気して減圧してから前記磁気転写室内で前記磁気記録媒体に前記情報信号を磁気転写する工程であり、
前記除電工程が、減圧された前記磁気転写室内に静電気除去器で処理された空気を供給する工程であることを特徴とする(4)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の磁気転写装置は、磁気転写を行う際に磁気記録媒体とマスター情報担体とが設置される磁気転写室内の表面を除電する除電手段を備えるものであるので、磁気転写室内の表面に、帯電している領域が存在していたとしても、除電手段により磁気転写室内の表面を除電することができる。
【0014】
したがって、磁気転写室内の表面の帯電している領域に引き寄せられて吸着した埃によって、マスター情報担体から磁気記録媒体に情報信号を磁気転写する際に、マスター情報担体の破損が促進されることを防止できる。その結果、本発明の磁気転写装置によれば、繰り返し磁気転写に使用できるマスター情報担体の使用可能回数を十分に多くすることができ、優れた生産性が得られる。
【0015】
また、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、磁気転写を行う際に磁気記録媒体とマスター情報担体とが設置される磁気転写室内の表面を除電する除電工程を備えているので、磁気転写室内において前記マスター情報担体と前記磁気記録媒体とを密着させて、マスター情報担体側から外部磁界を印加することにより、前記磁気記録媒体に情報信号を磁気転写する磁気転写工程を行う際に、磁気転写室内の表面の帯電している領域に引き寄せられて吸着された埃によって、マスター情報担体の破損が促進されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の磁気転写装置の一例を説明するための断面模式図である。
【図2】本発明の磁気転写装置を用いる本発明の磁気記録媒体の製造方法において磁気転写される磁気記録媒体の一例を示した断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の磁気転写装置および磁気記録媒体の製造方法を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を模式的に示している場合があり、各部の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0018】
「磁気転写装置」
図1は、本発明の磁気転写装置の一例を説明するための断面模式図である。図1においては、固定ホルダ30及び可動ホルダ40に、それぞれマスター情報担体200が取り付けられ、固定ホルダ30に取り付けられたマスター情報担体202の表面に、磁気記録媒体1が取り付けられた状態を示している。
磁気記録媒体1は、非磁性基板の上に少なくとも磁性層が形成されたものである。また、マスター情報担体200は、情報信号に対応するサーボ・パターンなどの転写パターンが形成されたものである。
【0019】
図1に示す磁気転写装置は、磁気転写手段14と、除電手段15とを備えたものであり、接地(アース)されている。なお、本発明において、磁気転写装置が接地(アース)されているとは、正に帯電した磁気転写装置には電子が注入され、負に帯電した磁気転写装置からは電子が取り出されて、磁気転写装置が電気的に中性の状態にされていることを意味する。
【0020】
磁気転写手段14は、マスター情報担体200と磁気記録媒体1とを密着させて、マスター情報担体200側から外部磁界を印加することにより、磁気記録媒体1に情報信号を磁気転写するものである。
図1に示す磁気転写手段14は、図示しない基台に固定されている。磁気転写手段14は、固定ホルダ30と、固定ホルダ30に対向して配置された可動ホルダ40とを備えている。
【0021】
図1に示すように、固定ホルダ30に取り付けられたマスター情報担体202と、可動ホルダ40に取り付けられたマスター情報担体201とは、互いに対向した状態で配置されている。そして、固定ホルダ30と可動ホルダ40との間には、後述する磁気転写を行う際に、マスター情報担体200と磁気記録媒体1とが設置される閉じられた空間である磁気転写室16が形成されるようになっている。
【0022】
固定ホルダ30は、マスター情報担体202を保持する記録体保持部30aと、記録体保持部30aを貫通して設けられた第1吸引路31とおよび第2吸引路32を備えている。また、固定ホルダ30に取り付けられたマスター情報担体202には、2つの開口200a、200bが設けられている。
【0023】
第1吸引路31は、記録体保持部30aに磁気記録媒体1を保持するためのものであり、記録体保持部30aのマスター情報担体202が取り付けられる保持面35におけるマスター情報担体202の取り付け位置に、開口を有するものである。図1に示すように、第1吸引路31の開口は、固定ホルダ30にマスター情報担体202が取り付けられた際に、マスター情報担体202の開口200a、200bと平面視で重なり合うように配置されている。
【0024】
第2吸引路32は、記録体保持部30aの保持面35におけるマスター情報担体202の取り付け位置の外側に開口を備えている。第2吸引路32は、ポンプなどの排気手段(図示略)に接続されており、磁気転写工程の際に固定ホルダ30と可動ホルダ40との間に形成される磁気転写室16内の気体を排気して磁気転写室16を減圧にする排気手段として機能するものである。
また、固定ホルダ30は、図1に示すように、記録体保持部30aの保持面35の第2吸引路32の開口よりも外側に、周方向に沿って取り付けられたOリング33を備えている。
【0025】
可動ホルダ40は、固定ホルダ30と対向する側の面にマスター情報担体201を保持する記録体保持部40aと、記録体保持部40aの周縁を覆うように設けられた筒状体40bとを備えている。また、可動ホルダ40には、筒状体40bの内周面に周方向に沿って取り付けられ、周方向にわたって記録体保持部40aの外周面に接触するOリング41が備えられている。
【0026】
可動ホルダ40を構成する記録体保持部40aおよび筒状体40bは、互いに独立して固定ホルダ30に対して進退可能に取り付けられている。筒状体40bの固定ホルダ30と対向する側の端部は、筒状体40bを移動させることにより、固定ホルダ30に設けられたOリング33に一周にわたって対向し且つ接触できるようになっている。
なお、可動ホルダ40の記録体保持部40aには、固定ホルダ30の第1吸引路31のような吸引路は設けられていない。このため、記録体保持部40aに取り付けられたマスタ情報担体201には、固定ホルダ30に取り付けられたマスター情報担体202のように、第1貫通孔200aおよび第2貫通孔200bを設けておく必要はない。
【0027】
また、固定ホルダ30の記録体保持部30aの保持面35と反対側(−Z方向側)の面34には、第1磁石部材50が配置されている。また、可動ホルダ40の記録体保持部40aのマスター情報担体201が取り付けられる保持面と反対側(Z方向側)の面には、第2磁石部材60が配置されている。
第1磁石部材50は、固定ホルダ30に対向して配置される第1磁石51と、第1磁石51を保持する第1磁石保持部52と、第1磁石保持部52の背面側から伸びる棒状の第1回転軸53とから構成されている。第1回転軸53は、第1磁石保持部52の中心部に接続されている。これにより、第1回転軸53の回転に伴って第1磁石保持部52に保持された第1磁石51が回転するようになっている。
【0028】
第2磁石部材60は、可動ホルダ40に対向配置される第2磁石61と、第2磁石61を保持する第2磁石保持部62と、第2磁石保持部62の背面側から伸びる棒状の第2回転軸63とから構成されている。第2回転軸63は、Z方向に進退可能に支持されており、且つ第2磁石保持部62に接続されている。これにより、第2回転軸63の進退に伴って第2磁石保持部62に保持された第2磁石61が進退するとともに、第2回転軸63の回転に伴って第2磁石保持部62に保持された第2磁石61が回転するようになっている。なお、本実施形態では、第1磁石51および第2磁石61が、同期して回転する一対の磁石部材として機能している。また、第1磁石51および第2磁石61としては、NdFeB系焼結磁石を用いることが好ましい。
【0029】
また、第1磁石部材50において、第1磁石51は、第1磁石保持部52に対し、第1回転軸53の回転中心から偏倚した位置に放射方向に取り付けられている。また、第1磁石51は、固定ホルダ30と対向する側が一方の極性の磁極(例えばN極)となるように第1磁石保持部52に保持されている。
一方、第2磁石部材60において、第2磁石61は、第2磁石保持部62に対し、第2回転軸63の回転中心から偏倚した位置に放射方向に取り付けられている。また、第2磁石61は、可動ホルダ40と対向する側が他方の極性の磁極(例えばS極)となるように第2磁石保持部62に保持されている。
【0030】
除電手段15は、磁気転写室16内の表面を除電するものである。本実施形態においては、図1に示すように、除電手段15は、イオナイザ(静電気除去器)70と、固定ホルダ30の記録体保持部30aを貫通して設けられ、磁気転写室16内にイオナイザ70で処理された空気を供給する供給路36(供給手段)とを備えている。
【0031】
ここで、磁気転写室16内の表面の帯電している領域と、磁気転写室16内の表面の帯電している領域に吸着する埃について説明する。図1に示す磁気転写装置の磁気転写手段14においては、磁気転写を行う際に可動する記録体保持部40aや筒状体40bなどの部材間の摩擦や、磁気記録媒体1を磁気転写手段14に運び、磁気転写室16に設置するための装置(図示略)が動くことによる摩擦によって、磁気転写手段14に静電気が発生するとともに、埃が発塵する。
【0032】
上述したように、図1に示す磁気転写装置は、接地(アース)されているので、磁気転写装置全体としては、電気的に中性の状態にされている。しかし、磁気転写室16内の表面には、接地(アース)されずに浮いている部分が存在している。このため、磁気転写手段14に発生した静電気によって、磁気転写室16内の表面に、帯電している領域が形成される。磁気転写室16内の表面に帯電している領域には、埃が吸い寄せられて静電吸着する。
【0033】
磁気転写室16内の表面に帯電している領域は、正に帯電している場合も負に帯電している場合もある。また、埃は、正に帯電している場合も負に帯電している場合もあるし、中性である場合もある。磁気転写室16内の表面の正に帯電している領域には、負に帯電している埃が容易に吸着し、磁気転写室16内の表面の負に帯電している領域には、正に帯電している埃が容易に吸着する。また、磁気転写室16内の表面が正に帯電していても負に帯電していても、中性の埃が吸着する場合がある。それは、中性の埃が双極子となって、例えば、埃の磁気転写室16内の表面に近い部分が負に帯電し、遠い部分が正に帯電する場合があるためである。
【0034】
除電手段15のイオナイザ70は、空気中の酸素分子や窒素分子をイオン化する装置である。例えば、イオナイザ70のエミッタに負の高電圧を印加すると,エミッタを構成する物質の電子が電界により放出される。放出された電子は、空気中の酸素分子や窒素分子等に捕らえられる。その結果、電子を捕らえた酸素分子や窒素分子が、負に帯電したものとなる。そして、負に帯電した分子(以下、「負イオン」と呼ぶ場合がある)は、負の電圧の印加されたエミッタとの間の反発力により、エミッタから放出される。
【0035】
また、イオナイザ70のエミッタに正の電圧を印加した場合には、酸素分子等の分子が正に帯電した分子(以下、「正イオン」と呼ぶ場合がある)が、エミッタから放出される。
したがって、本実施形態においては、供給路36を介して磁気転写室16内にイオナイザ70で処理された空気を供給することで、磁気転写室16内の表面の正または負に帯電している領域に、帯電している領域とは逆に帯電した負イオンまたは正イオンを吸引させて、磁気転写室16内の表面の帯電している領域を電気的に中性の状態に除電することができる。
【0036】
イオナイザ70としては、交流型のものと直流型のものとが挙げられる。
交流型のイオナイザとしては、例えば、数十Hz〜数kHzの周期でエミッタに正負の電圧が交互に印加されることにより、正イオンと負イオンとが交互に放出されるものを用いることができる。このような交流型のイオナイザでは、正負イオンが安定して発生されて、正負イオンが層状になって空間に放出される。
【0037】
また、このような交流型のイオナイザでは、数十Hz〜数kHzの周期で正負イオンが発生されるため、正負イオンは近接して空間に放出される。したがって、イオナイザ70が交流型のイオナイザである場合、イオナイザ70と被除電物である磁気転写室16内との距離が、接近しているほど、効率よく磁気転写室16内を除電できる。よって、イオナイザ70が交流型のイオナイザである場合、供給路36の長さは、300mm以下であることが好ましく、短いほど好ましい。なお、交流型のイオナイザと被除電物である磁気転写室16内との距離が遠いと、交流型のイオナイザから放出された近接する正負イオンが、クーロン力により引き合って、被除電物に到達する前に再結合して消滅し、除電に用いることができなくなって、効率よく除電できない恐れが生じるため、好ましくない。
【0038】
また、直流型のイオナイザとしては、例えば、一対のエミッタを有し、一方のエミッタに常に正の電圧を印加することにより正イオンを放出させ、他方のエミッタに常に負の電圧を印加することにより負イオンを放出させるものを用いることができる。直流型のイオナイザでは、一対のエミッタ間の距離を大きくすることにより、正負の何れかのイオンのみを効率的に除電に用いることができる。しかし、一対のエミッタ間の距離を大きくすると、局所的に正負の何れか一方のイオンの濃度が高くなるため、イオナイザから放出された一方のイオンによって、被除電物である磁気転写室16内の表面を帯電させてしまう恐れがある。また、一方のエミッタからは一方のイオンのみが放出されるため、磁気転写室16内の帯電している領域に、帯電している領域と逆に帯電したイオンが供給されない可能性が生じ、除電できない恐れが生じる。
【0039】
本実施形態においては、イオナイザ70で処理された空気が供給路36を介して磁気転写室16内に供給されるので、イオナイザ70として直流型のイオナイザを用いた場合であっても、一対のエミッタから放出された正イオンおよび負イオンが、供給路36内を通過する際に混ざりあって、磁気転写室16内に供給される。よって、磁気転写室16内に局所的に正負の何れか一方のイオンの濃度が高くなることを防止できる。
【0040】
また、本実施形態においては、磁気転写室16内に供給路36を介してイオナイザ70で処理された空気を供給するので、イオナイザ70でイオン化された空気は磁気転写室16内に局部的に放出されることになる。したがって、イオナイザ70でイオン化された空気は、正負イオン量の偏りが少ないことが好ましい。よって、本実施形態においては、イオナイザ70として、正負イオン量の偏りが少ない数十Hz程度の交流型のイオナイザを用いることが好ましい。
【0041】
なお、交流型のイオナイザは、正負イオンが近接して空間に放出されるものであるが、本実施形態においては、後述するように、減圧された磁気転写室16内に供給路36を介してイオナイザ70で処理された空気を供給するので、イオン化された空気中の近接した正負イオンが磁気転写室16内で速やかに拡散される。このため、イオナイザ70で処理された空気が、近接した正負イオンを含む場合であっても、近接する正負イオンが再結合して消滅することを防止できる。
【0042】
「磁気記録媒体の製造方法」
次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法の一例として、図1に示す磁気転写装置を用いて、磁気転写室16内の表面を除電する除電工程と、磁気転写室16内において2枚のマスター情報担体200を用いて磁気記録媒体1の両面に情報信号を磁気転写する磁気転写工程とを交互に連続して繰り返し行うことにより、複数枚の磁気記録媒体1を製造する方法について説明する。
【0043】
まず、本実施形態の磁気記録媒体の製造方法において磁気転写される磁気記録媒体1について図面を用いて説明する。
図2は、本発明の磁気転写装置を用いる本発明の磁気記録媒体の製造方法において磁気転写される磁気記録媒体1の一例を示した断面模式図である。図2においては、非磁性基板21の一方の面上に積層された構造のみを示し、非磁性基板21の他方の面上に積層された構造の記載を省略している。
図2に示す磁気記録媒体1は、非磁性基板21の両面に、スペーサ層22bにより反強磁性結合させた2層の軟磁性層22aを含む軟磁性下地層22と、配向制御層23と、垂直磁性層24と、保護層25と、潤滑剤膜26とを順次積層した構造を有している。
【0044】
垂直磁性層24は、下層の磁性層24aと、中層の磁性層24bと、上層の磁性層24cとの3層を含み、磁性層24aと磁性層24bとの間に非磁性層27a(27)を、磁性層24bと磁性層24cとの間に非磁性層27b(27)を挟み込むことにより、これら磁性層24a〜24cと非磁性層27a,27bとが交互に積層された構造を有している。
【0045】
非磁性基板21としては、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属材料からなる金属基板を用いてもよく、例えば、ガラスや、セラミック、シリコン、シリコンカーバイド、カーボンなどの非金属材料からなる非金属基板を用いてもよい。また、これら金属基板や非金属基板の表面に、例えばメッキ法やスパッタ法などを用いて、NiP層又はNiP合金層が形成されたものを用いることもできる。
【0046】
ガラス基板としては、例えば、アモルファスガラスや結晶化ガラスなどを用いることができ、アモルファスガラスとしては、例えば、汎用のソーダライムガラスや、アルミノシリケートガラスなどを用いることができる。また、結晶化ガラスとしては、例えば、リチウム系結晶化ガラスなどを用いることができる。セラミック基板としては、例えば、汎用の酸化アルミニウムや、窒化アルミニウム、窒化珪素などを主成分とする焼結体、又はこれらの繊維強化物などを用いることができる。
【0047】
非磁性基板21は、その平均表面粗さ(Ra)が1nm(10Å)以下、好ましくは0.5nm以下であることが、磁気ヘッドを低浮上させた高記録密度記録に適している点から好ましい。また、表面の微小うねり(Wa)が0.3nm以下(より好ましくは0.25nm以下)であることが、磁気ヘッドを低浮上させた高密度記録に適している点から好ましい。なお、微少うねり(Wa)は、例えば、表面荒粗さ測定装置P−12(KLM−Tencor社製)を用い、測定範囲80μmでの表面平均粗さとして測定することができる。
【0048】
また、非磁性基板21は、Co又はFeが主成分となる軟磁性下地層22と接することで、表面の吸着ガスや、水分の影響、基板成分の拡散などにより、腐食が進行する可能性がある。この場合、非磁性基板21と軟磁性下地層22の間に密着層を設けることが好ましい。これにより、腐食の進行を抑制できる。密着層の材料としては、例えば、Cr、Cr合金、Ti、Ti合金などを適宜選択できる。また、密着層の厚みは2nm(20Å)以上であることが好ましい。
【0049】
軟磁性層22a,22cとしては、Fe:Coを40:60〜70:30(原子比)の範囲で含む材料を用いることが好ましい。また、透磁率や耐食性を高めるために、Ta、Nb、Zr、Crの中から選ばれる何れか1種を1〜8原子%の範囲で含有させることが好ましい。
スペーサ層22bとしては、Ru、Re、Cu等を用いることができるが、この中で特にRuを用いることが好ましい。
【0050】
配向制御層23は、垂直磁性層24の結晶粒を微細化して、記録再生特性を改善するためのものである。配向制御層23としては、特に限定されるものではないが、hcp構造、fcc構造、アモルファス構造を有するものを用いることが好ましい。特に、Ru系合金、Ni系合金、Co系合金、Pt系合金、Cu系合金を用いることが好ましい。また、これらの合金を多層化してもよい。例えば、基板側からNi系合金とRu系合金との多層構造、Co系合金とRu系合金との多層構造、Pt系合金とRu系合金との多層構造を採用することが好ましい。
【0051】
ここで、配向制御層23直上の垂直磁性層24の初期部には、結晶成長の乱れが生じやすく、これがノイズの原因となる。この場合、配向制御層23と垂直磁性層24の間に非磁性下地層28を設けることが好ましい。この初期部の乱れた部分を非磁性下地層28に置き換えることで、ノイズの発生を抑制することができる。
【0052】
非磁性下地層28としては、Coを主成分とし、更に酸化物を含んだ材料からなるものを用いることが好ましい。Crの含有量は、25原子%以上、50原子%以下とすることが好ましい。酸化物としては、例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどの酸化物を用いることが好ましく、その中でも特に、TiO、Cr、SiOなどを好適に用いることができる。酸化物の含有量としては、磁性粒子を構成する、例えばCo、Cr、Pt等の合金を1つの化合物として算出したmol総量に対して、3mol%以上、18mol%以下とすることが好ましい。
【0053】
磁性層24a,24b,24cとしては、Coを主成分とし、更に酸化物を含んだ材料を用いることが好ましく、この酸化物としては、例えばCr、Si、Ta、Al、Ti、Mg、Coなどの酸化物を用いることが好ましい。その中でも特に、TiO、Cr、SiOなどを好適に用いることができる。また、下層の磁性層24aは、酸化物を2種類以上添加した複合酸化物からなることが好ましい。その中でも特に、Cr−SiO、Cr−TiO、Cr−SiO−TiOなどを好適に用いることができる。
【0054】
磁性層24a、24b、24cに適した材料としては、具体的には、例えば、90(Co14Cr18Pt)−10(SiO){Cr含有量14原子%、Pt含有量18原子%、残部Coからなる磁性粒子を1つの化合物として算出したモル濃度が90mol%、SiOからなる酸化物組成が10mol%}、92(Co10Cr16Pt)−8(SiO)、94(Co8Cr14Pt4Nb)−6(Cr)の他、(CoCrPt)−(Ta)、(CoCrPt)−(Cr)−(TiO)、(CoCrPt)−(Cr)−(SiO)、(CoCrPt)−(Cr)−(SiO)−(TiO)、(CoCrPtMo)−(TiO)、(CoCrPtW)−(TiO)、(CoCrPtB)−(Al)、(CoCrPtTaNd)−(MgO)、(CoCrPtBCu)−(Y)、(CoCrPtRu)−(SiO)などを挙げることができる。
【0055】
また、本発明では、上記垂直磁性層24を4層以上の磁性層で構成することも可能である。例えば、上記磁性層24a、24bに加えて、グラニュラー構造の磁性層を3層で構成し、その上に、酸化物を含まない磁性層24cを設けた構成とし、また、酸化物を含まない磁性層24cを2層構造として、磁性層24a、24bの上に設けた構成とすることができる。
【0056】
また、本発明では、垂直磁性層24を構成する3層以上の磁性層間に非磁性層27を設けることが好ましい。非磁性層27を適度な厚みで設けることで、個々の膜の磁化反転が容易になり、磁性粒子全体の磁化反転の分散を小さくすることができる。その結果S/N比をより向上させることが可能である。
【0057】
保護層25は、垂直磁性層24の腐食を防ぐと共に、磁気ヘッドが磁気記録媒体1に接触したときに媒体表面の損傷を防ぐためのものである。保護層25には、従来公知の材料を用いることができ、例えばC、SiO、ZrOなどを含むものを用いることが可能である。保護層25の厚みは、1〜10nmとすることが磁気ヘッドと磁気記録媒体1との距離を小さくできるので高記録密度の点から好ましい。
【0058】
潤滑剤膜26としては、例えば、パーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸などの潤滑剤を保護層25上に塗布することによって形成されたものなどが挙げられる。
【0059】
図2に示す磁気記録媒体1は、図1に示す本実施形態の磁気転写装置を用いる本実施形態の磁気記録媒体の製造方法を用いて磁気転写される前に、ワイピング工程、バーニッシュ工程が行われたものであることが好ましい。
【0060】
ワイピング工程は、布製のワイピングテープを磁気記録媒体1の表面に対して相対走行させつつ、ゴム製のコンタクトロール又はパッドによってワイピングテープの表面を磁気記録媒体1の表面に押し当てることにより、媒体表面を軽く拭く工程とすることができる。ワイピング工程を行うことにより、磁気記録媒体1の表面に付着したスパッタダスト等が除去されるので、磁気ヘッドの浮上量をより小さくすることが可能となる。
【0061】
ワイピング工程に用いられるワイピングテープとしては、超極細繊維よりなる布帛を帯状にスリットしたワイピングテープや、超極細繊維マルチフィラメント糸の織編物などが挙げられる。
【0062】
バーニッシュ工程は、磁気記録媒体1の表面にある突起物を除去するために、研磨テープを用いて表面を研磨する工程とすることができる。バーニッシュ工程を行うことにより、ハードディスクドライブでの磁気ヘッドの浮上量をより小さくすることができるとともに、磁気転写工程において磁気記録媒体1とマスター情報担体201、202との間に隙間が生じて転写パターンが不鮮明となり、マスター情報担体201、202が損傷を受けることを防止できる。
【0063】
バーニッシュ工程は、研磨テープをゴム製のコンタクトロールにより磁気記録媒体1の表面に押し当てることにより、媒体表面を軽く研磨する工程とすることができる。
バーニッシュ工程で用いられる研磨テープ(バーニッシュテープ)としては、通常ポリエステル製のベースフィルム上に研磨材からなる研磨材層を形成してなるテープを使用する。
【0064】
研磨材層を磁気記録媒体1の表面に接触させて摺動させることによって、媒体表面に付着した微小な塵埃が除去されると共に、媒体表面に存在する異常突起等が研磨・除去されて、媒体表面が平滑化される。
研磨材としては、平均粒子径が0.05μm〜50μm程度の、酸化クロム、α−アルミナ、炭化珪素、非磁性酸化鉄、ダイヤモンド、γ−アルミナ、α,γ−アルミナ、熔融アルミナ、コランダム、人造ダイヤモンド等が用いられる。
【0065】
本実施形態においては、図2に示す磁気記録媒体1に情報信号を磁気転写する前に、磁気転写される磁気記録媒体1の信号記録面に対して初期磁化を行う。初期磁化は、面内磁気記録媒体の場合は、トラック方向の一方向に初期直流磁界を印加することにより行い、垂直磁気記録媒体の場合は、媒体表面に対して垂直な方向の一方向に初期直流磁界を印加することにより行う。
【0066】
初期直流磁界は、永久磁石や電磁石を用いて印加することが可能である。また、永久磁石としては、より安定で磁力の強いNdFeB系の焼結磁石を用いることが好ましい。また、初期直流磁界の印加は、磁気記録媒体と非接触の状態で行うことが、磁気記録媒体の表面の清浄性を維持する上で好ましい。
【0067】
なお、本願発明では、ワイピング工程、バーニッシュ工程に加え、洗浄工程を設けても良い。そして、ワイピング工程、バーニッシュ工程、洗浄工程は、この順に行ってもよいし、例えば、洗浄工程の後に、ワイピング工程および/またはバーニッシュ工程を行ってもよく、これらの工程の順序は特に限定されるものではない。また、ワイピング工程、バーニッシュ工程、洗浄工程は、全て行うことが好ましいが、これらから選ばれる1以上の工程のみ行ってもよいし、全て行わなくてもよい。
【0068】
「磁気転写工程」
次に、磁気記録媒体1に情報信号を磁気転写する磁気転写工程を行うために、図1に示す磁気転写装置の固定ホルダ30の記録体保持部30aおよび可動ホルダ40の記録体保持部40aに、それぞれマスター情報担体200を保持させる。
次いで、第1吸引路31を用いて吸引することにより、固定ホルダ30の記録体保持部30aに保持されたマスター情報担体202上に、初期磁化された磁気記録媒体1を真空チャッキングする。
【0069】
その後、可動ホルダ40の記録体保持部40aおよび筒状体40bを固定ホルダ30に近づく方向へと移動させる。
筒状体40bは、筒状体40bの周部端面が固定ホルダ30に設けられたオーリング33と接する位置まで移動されることにより停止される。このことにより、固定ホルダ30と可動ホルダ40との間には、固定ホルダ30に設けられたOリング33と筒状体40bに設けられたOリング41とを用いて、閉じられた空間である磁気転写室16が形成される。
【0070】
また、可動ホルダ40の記録体保持部40aは、筒状体40bの移動が停止された後も固定ホルダ30に近づく方向へと移動し続け、記録体保持部40aに保持されたマスター情報担体201が磁気記録媒体1と接する位置まで移動されることにより停止される。なお、記録体保持部40aの移動停止位置は、予め決められている。その結果、磁気記録媒体1と、その両面を挟むように配置された2枚のマスター情報担体201、202とには、予め設定された軽い荷重が加えられるようになっている。
【0071】
次いで、本実施形態においては、第2吸引路32を用いて吸引することにより、磁気転写室16内の気体を排気して、固定ホルダ30と可動ホルダ40との間の磁気転写室16を減圧し、減圧された磁気転写室16と大気圧との差圧により、磁気転写室16内においてマスター情報担体201、202と磁気記録媒体1とを所定の圧力で密着させる。
【0072】
その後、第2磁石部材60を移動させてマスター情報担体201に近づけるとともに、第1磁石部材50を移動させてマスター情報担体202に近づける。
なお、第2磁石部材60は、磁気記録媒体1の両面を挟むようにマスター情報担体201、202を配置した後に、マスター情報担体201に近づけてもよいが、可動ホルダ40の記録体保持部40aとの間の間隔を所定の間隔に維持した状態で、第2磁石部材60を記録体保持部40aとともに移動させてもよい。この場合、第2磁石部材60と記録体保持部40aとの間の間隔は、磁気記録媒体1の両面を挟むようにマスター情報担体201、202を配置した段階で、第2磁石部材60と磁気記録媒体1との間隔が磁気転写可能な間隔となるようにされていることが好ましい。
【0073】
次いで、第1回転軸53および第2回転軸63を軸とし、第1磁石51と第2磁石61とを対向させた状態を維持しながら、第1磁石部材50および第2磁石部材60を少なくとも1回転以上同期回転させる。このことにより、マスター情報担体201、202側からマスター情報担体201、202および磁気記録媒体1に外部磁界を印加し、マスター情報担体201、202に形成されている情報信号を磁気転写室16内で磁気記録媒体1の両面に磁気転写する。
【0074】
より詳細には、第1磁石51および第2磁石61が1回転する間、2枚のマスター情報担体201、202に挟まれた磁気記録媒体1には、第1磁石51および第2磁石61により、初期磁化における磁界とは逆向きの直流磁界が周方向に順次印加される。
このことにより、磁気記録媒体1の固定ホルダ30側のマスター情報担体202と接する側では、マスター情報担体202の凹部と対向する部位における磁性層の磁化の向きは初期磁化後の状態が維持されるものの、凸部と接する部位における磁性層の磁化の向きは反転した状態となる。
【0075】
また、磁気記録媒体1の可動ホルダ40側のマスター情報担体201と接する側では、マスター情報担体201の凹部と対向する部位における磁性層の磁化の向きは初期磁化後の状態が維持されるものの、凸部と接する部位における磁性層の磁化の向きは反転した状態となる。
【0076】
このようにして、磁気記録媒体1の両面には、それぞれ、マスター情報担体201、202に設けられた凹凸の配列からなるサーボ・パターンが、磁化の向きの配列からなる情報信号として転写される。その結果、磁気記録媒体1は、位置決めデータ記憶領域にサーボ・パターンが記憶されたものとなる。
その後、第1磁石部材50および第2磁石部材60を移動させて、第1磁石部材50および第2磁石部材60をマスター情報担体201、202から離す。
【0077】
「除電工程」
次に、磁気転写室16内の表面を除電する除電工程を行う。本実施形態においては、除電工程として、磁気転写工程後に、減圧された磁気転写室16内にイオナイザ70で処理された空気を供給する工程を行う。この場合、減圧された磁気転写室16内を大気圧にするための気体としてイオナイザ70で処理された空気が用いられ、固定ホルダ30と可動ホルダ40との間の空間である磁気転写室16が大気圧とされる。
【0078】
本実施形態の除電工程においては、減圧された磁気転写室16内を大気圧にするための気体としてイオナイザ70で処理された空気を用いているため、イオナイザ70で処理された空気が磁気転写室16内に速やかに拡散される。したがって、イオナイザ70から放出された近接する正負イオンが磁気転写室16内で再結合して消滅することを防止でき、効率よく磁気転写室16内の表面を除電できる。
【0079】
また、除電工程が、減圧された磁気転写室16内を大気圧に戻す工程を兼ねるものとなるため、磁気転写室16内を大気圧に戻してから除電工程を行う場合と比較して、生産性に優れた方法となる。
なお、本発明における除電工程では、磁気転写室16内の表面を除電できればよく、例えば、大気圧とされた磁気転写室16内にイオナイザ70で処理された空気を供給してもよい。
【0080】
次いで、可動ホルダ40の記録体保持部40aおよび筒状体40bを移動させて、磁気記録媒体1と記録体保持部40aに保持されたマスター情報担体201とを離間させる。これにより、固定ホルダ30に保持された磁気記録媒体1は、外部に露出した状態となる。その後、第1吸引路31を用いて、記録体保持部30aに保持されたマスター情報担体202上への磁気記録媒体1の真空チャッキングを解除し、磁気記録媒体1を取り出す。
【0081】
次に、固定ホルダ30の記録体保持部30aに保持されたマスター情報担体202上に、第1吸引路31を用いて吸引することにより、初期磁化された別の磁気記録媒体1である次の磁気記録媒体1を真空チャッキングする。
その後、上述した磁気転写工程と同様にして、次の磁気記録媒体1に対して磁気転写工程を行う。したがって、次の磁気記録媒体1に情報信号を磁気転写する磁気転写工程を行う際には、前の磁気記録媒体1に対する磁気転写工程の後に行った除電工程によって、磁気転写室16内の表面が除電されている。
【0082】
このため、磁気転写室16内の表面の帯電している領域に引き寄せられて吸着した埃によって、マスター情報担体から次の磁気記録媒体1に情報信号を磁気転写する際に、マスター情報担体の破損が促進されることを防止できる。その結果、マスター情報担体の使用可能回数を十分に多くすることができ、優れた生産性が得られる。
そして、次の磁気記録媒体1に対する磁気転写工程が終了した後、上述した除電工程と同様にして、磁気転写室16内の表面を除電する除電工程を行う。
【0083】
なお、本実施形態においては、除電工程と磁気転写工程とを交互に連続して繰り返し行うことにより、複数枚の磁気記録媒体1を製造する方法について説明したが、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、1枚の磁気記録媒体を製造する方法であってもよい。
本発明の磁気記録媒体の製造方法により1枚の磁気記録媒体を製造する場合、例えば、磁気記録媒体を磁気転写室内に設置する前に、上述した除電工程と同様にして、磁気転写室内の表面を除電する除電工程を行う方法とすることができる。
【0084】
また、本発明の磁気記録媒体の製造方法により複数の磁気記録媒体1を製造する場合においても、最初に磁気転写される磁気記録媒体を磁気転写室内に設置する前に、上述した除電工程と同様にして、磁気転写室16内の表面を除電する除電工程を行ってもよい。この場合、最初に磁気転写される磁気記録媒体1に情報信号を磁気転写する磁気転写工程を行う際に、磁気転写室16内の表面の帯電している領域に引き寄せられて吸着された埃によって、マスター情報担体200の破損が促進されることを防止でき、好ましい。
【0085】
なお、磁気記録媒体1を磁気転写室16内に設置する前に除電工程を行う場合、大気圧の磁気転写室16内にイオナイザ70で処理された空気を供給することにより、表面を除電することが好ましい。磁気記録媒体1を磁気転写室16内に設置する前に除電工程を行う場合においても、磁気転写工程が終了した後に除電工程を行う場合と同様に、除電工程を行う前に磁気転写室16内の気体を排気して減圧してもよいが、磁気転写室16内の気体を排気する工程が新たに必要となるため、生産性に優れた方法とするために、大気圧の磁気転写室16内の表面を除電する工程としてもよい。
【0086】
本実施形態の磁気転写装置は、磁気記録媒体1とマスター情報担体200とが設置される磁気転写室16内の表面を除電する除電手段15を備えるものであるので、磁気転写室16内の表面に、帯電している領域が存在していたとしても、除電手段15により磁気転写室16内の表面を除電することができる。
したがって、磁気転写室16内の表面の帯電している領域に引き寄せられて吸着した埃によって、マスター情報担体200から磁気記録媒体2に情報信号を磁気転写する際に、マスター情報担体200の破損が促進されることを防止できる。その結果、繰り返し磁気転写に使用できるマスター情報担体200の使用可能回数を十分に多くすることができ、優れた生産性が得られる。
【0087】
また、本実施形態の磁気記録媒体1の製造方法は、磁気転写を行う際に磁気記録媒体1とマスター情報担体200とが設置される磁気転写室16内の表面を除電する除電工程を備えているので、磁気転写室16内においてマスター情報担体200と磁気記録媒体1とを密着させて、マスター情報担体200側から外部磁界を印加することにより、磁気記録媒体1に情報信号を磁気転写する磁気転写工程を行う際に、磁気転写室16内の表面の帯電している領域に引き寄せられて吸着された埃によって、マスター情報担体200の破損が促進されることを防止できる。
【0088】
また、本実施形態の磁気記録媒体1の製造方法では、除電工程と磁気転写工程とを交互に連続して繰り返して行い、磁気転写工程が、磁気転写室16内の気体を排気して減圧してから磁気転写室16内で磁気記録媒体1に情報信号を磁気転写する工程であり、除電工程が、減圧された磁気転写室16内にイオナイザ70で処理された空気を供給する工程であるので、除電工程を、磁気転写工程において減圧された磁気転写室16内を大気圧に戻す工程を兼ねるものとすることができ、磁気転写室16内を大気圧に戻してから除電工程を行う場合と比較して、生産性に優れた方法になるとともに、イオナイザ70から放出された近接する正負イオンが磁気転写室16内で再結合して消滅することを防止でき、効率よく磁気転写室16内の表面を除電できる。
【実施例】
【0089】
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施できる。
「実施例1」
以下に示す方法によって製造された複数の磁気転写される磁気記録媒体に、以下に示す方法により情報信号を磁気転写した。
【0090】
<磁気記録媒体の製造>
洗浄済みのガラス基板(コニカミノルタ社製、外形2.5インチ)をDCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社製C−3040)の成膜チャンバ内に収容して、到達真空度1×10−5Paとなるまで成膜チャンバ内を排気した後、このガラス基板の上に、60Cr−40Tiターゲットを用いて層厚10nmの密着層を成膜した。また、この密着層の上に、46Fe−46Co−5Zr−3B{Fe含有量46原子%、Co含有量46原子%、Zr含有量5原子%、B含有量3原子%}のターゲットを用いて100℃以下の基板温度で、層厚34nmの軟磁性層を成膜し、この上にRu層を層厚0.76nmで成膜した後、さらに46Fe−46Co−5Zr−3Bの軟磁性層を層厚34nm成膜して、これを軟磁性下地層とした。
【0091】
次に、上記軟磁性下地層の上に、Ni−6W{W含有量6原子%、残部Ni}ターゲット、Ruターゲットを用いて、それぞれ5nm、20nmの層厚で順に成膜し、これを配向制御層とした。
【0092】
次に、配向制御層の上に、多層構造の磁性層として、Co12Cr16Pt−16TiO(膜厚3nm)、Co5Cr22Pt−4SiO−3Cr−2TiO(膜厚3nm)、Ru47.5Co(膜厚0.5nm)、Co15Cr16Pt6B(膜厚3nm)を積層した。
【0093】
次に、CVD法により層厚2.5nmの炭素保護層を成膜し、磁気記録媒体を得た。
次に、この磁気記録媒体の表面に、ディッピング法によりパーフルオロポリエーテルからなる潤滑剤膜を厚さ15オングストロームで形成した。
【0094】
次に、潤滑剤を塗布した磁気記録媒体に対して、ワイピング処理を施した。ワイピングテープには、ナイロン樹脂とポリエステル樹脂による線径2μmの剥離型複合繊維を用いた。ワイピング処理は、磁気記録媒体の回転数を300rpm、ワイピングテープの送り速度は10mm/秒、ワイピングテープを磁気記録媒体に押し当てる際の押圧力は98mN、処理時間は5秒間とした。
【0095】
次に、ワイピング処理を施した磁気記録媒体に対してバーニッシュ加工を施した。バーニッシュテープには、ポリエチレンテレフタレート製のフィルム上に、平均粒径0.5μmの結晶成長タイプのアルミナ粒子をエポキシ樹脂で固着したものを用いた。バーニッシュ加工は、磁気記録媒体の回転数を300rpm、研磨テープの送り速度を10mm/秒、研磨テープを磁気ディスクに押し当てる際の押圧力を98mN、処理時間を5秒間として行った。
【0096】
次に、洗浄工程を施した磁気記録媒体の信号記録面に対して10kOeの磁界を加えながら初期磁化を行った。
【0097】
<マスター情報担体の製造>
マスター情報担体には、271kトラック/インチのサーボ信号等の転写パターンが形成されたものを用いた。なお、このマスター情報担体は、そのトラックが幅120nm、そのトラック間隔が60nm、一周あたりのセクタ数は255、転写パターンの段差が45nmである。
このマスター情報担体は、凸部及び凹部を有するNi基材の上に、DCスパッタリング法を用いて、層厚10nmのRu膜と、磁性層として層厚20nmの70Co−5Cr−15Pt−10SiO合金膜と、層厚15nmの80Co−5Cr−15Pt合金膜とを順次積層した後、その上に、保護層として層厚20nmのCVD炭素膜を形成することで作製されたものである。
【0098】
<磁気転写の方法>
初期磁化された磁気記録媒体1に対して、図1に示す磁気転写装置を用いて、磁気記録媒体1に情報信号を磁気転写した。
まず、図1に示す磁気転写装置の固定ホルダ30の記録体保持部30aおよび可動ホルダ40の記録体保持部40aにそれぞれマスター情報担体200を保持させた。
【0099】
次いで、固定ホルダ30の記録体保持部30aに保持されたマスター情報担体202上に、第1吸引路31を用いて吸引することにより、初期磁化された磁気記録媒体1を真空チャッキングした。
その後、可動ホルダ40の記録体保持部40aおよび筒状体40bを固定ホルダ30に近づく方向へと移動させて、筒状体40bの周部端面と固定ホルダ30に設けられたオーリング33とを接触させた。このことにより、固定ホルダ30と可動ホルダ40との間に、閉じられた磁気転写室16を形成した。
【0100】
その後、可動ホルダ40の記録体保持部40aを、さらに固定ホルダ30に近づく方向へと移動させ、記録体保持部40aに保持されたマスター情報担体201と磁気記録媒体1とを接触させた。
【0101】
次いで、第2吸引路32を用いて吸引し、マスター情報担体201、202と磁気記録媒体1とを98mNの圧力で密着させた。
その後、第2磁石部材60を移動させてマスター情報担体201に近づけるとともに、第1磁石部材50を移動させてマスター情報担体202に近づけた。次いで、第1回転軸53および第2回転軸63を軸とし、第1磁石51と第2磁石61とを対向させた状態を維持しながら、第1磁石部材50および第2磁石部材60を10秒間同期回転させた。
【0102】
このことにより、マスター情報担体201、202側からマスター情報担体201、202および磁気記録媒体1に8kOeの外部磁界を印加し、マスター情報担体201、202に形成されているサーボ信号などの情報信号を磁気記録媒体1の両面に磁気転写した。その後、第1磁石部材50および第2磁石部材60をマスター情報担体201、202から離した。
【0103】
「除電工程」
次に、以下に示すように、磁気転写室16内の表面を除電する除電工程を行った。すなわち、磁気転写工程後、減圧された磁気転写室16内にイオナイザ(静電気除去器)70で処理された空気を供給して、磁気転写室16内を大気圧とした。
なお、イオナイザ70としては、50Hzの周期でエミッタに正負の電圧が交互に印加される交流型のイオナイザを用いた。また、空気の吹き出し口とイオナイザ70との距離(図1における供給路36の長さ)を15cmとした。
【0104】
次いで、可動ホルダ40の記録体保持部40aおよび筒状体40bを移動させて、磁気記録媒体1と記録体保持部40aに保持されたマスター情報担体201とを離間させた。
その後、第1吸引路31を用いて、記録体保持部30aに保持されたマスター情報担体202上への磁気記録媒体1の真空チャッキングを解除し、磁気記録媒体1を取り出した。
【0105】
次に、固定ホルダ30の記録体保持部30aに保持されたマスター情報担体202上に、第1吸引路31を用いて吸引することにより、初期磁化された別の磁気記録媒体1である次の磁気記録媒体1を真空チャッキングした。
その後、上述した磁気転写工程と同様にして、次の磁気記録媒体1に対して磁気転写工程を行った。
【0106】
そして、次の磁気記録媒体1に対する磁気転写工程が終了した後、上述した除電工程と同様にして、磁気転写室16内の表面を除電する除電工程を行った。
このようにして除電工程と磁気転写工程とを交互に連続して繰り返し行うことにより、複数の磁気記録媒体1を製造し、以下に示す方法により、繰り返し磁気転写に使用できるマスター情報担体の使用可能回数を調べた。
【0107】
すなわち、上記方法で作製された磁気記録媒体のサーボ信号等の再生特性を、リードライトアナライザ(型番:RWA1632;米国GUZIK社製)、及び、スピンスタンド(型番:S1701MP)を用いて測定した。この装置では、磁気記録媒体に記録されたサーボ信号等を読み込み、この信号を用いて磁気ヘッドの位置決めができる。そして、評価用の磁気ヘッドとしてTuMR(トンネル磁気抵抗効果)素子を用いた磁気ヘッドを使用し、サーボ信号の読み込み時のS/N比を評価し、S/N(signal to noise ratio)比が16.0dB以下となった場合に磁気転写不良と判断した。
その結果、実施例1では、59000回の磁気転写が可能であった。
【0108】
(比較例1)
除電工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、磁気記録媒体の製造を行い、実施例1と同様にして、繰り返し磁気転写に使用できるマスター情報担体の使用可能回数を調べた。その結果、比較例1では、23000回の磁気転写が可能であった。
このように本発明の実施例1では、比較例1と比較して、マスター情報担体の使用可能回数が多いことが確認できた。
【符号の説明】
【0109】
1・・・磁気記録媒体、14・・・磁気転写手段、15・・・除電手段、16・・・磁気転写室、30・・・固定ホルダ、30a・・・記録体保持部、31・・・第1吸引路、32・・・第2吸引路、33、41・・・Oリング、35・・・保持面、36・・・供給路36(供給手段)、40・・・可動ホルダ、40a・・・記録体保持部、40b・・・筒状体、50・・・第1磁石部材、60・・・第2磁石部材、70・・・イオナイザ(静電気除去器)、200、201、202・・・マスター情報担体、200a、200b・・・開口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気転写を行う際に、非磁性基板の上に少なくとも磁性層が形成された磁気記録媒体と、情報信号に対応する転写パターンが形成されたマスター情報担体とが設置される磁気転写室と、
前記磁気転写室内の表面を除電する除電手段と、
前記磁気転写室内において前記マスター情報担体と前記磁気記録媒体とを密着させて、前記マスター情報担体側から外部磁界を印加することにより、前記磁気記録媒体に前記情報信号を磁気転写する磁気転写手段とを備えることを特徴とする磁気転写装置。
【請求項2】
前記除電手段が、前記磁気転写室内に静電気除去器で処理された空気を供給する供給手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の磁気転写装置。
【請求項3】
前記磁気転写室内の気体を排気して減圧する排気手段が備えられ、
前記除電手段が、減圧された前記磁気転写室内に静電気除去器で処理された空気を供給する供給手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の磁気転写装置。
【請求項4】
磁気転写を行う際に、非磁性基板の上に少なくとも磁性層が形成された磁気記録媒体と、情報信号に対応する転写パターンが形成されたマスター情報担体とが設置される磁気転写室内の表面を除電する除電工程と、
前記磁気転写室内において前記マスター情報担体と前記磁気記録媒体とを密着させて、前記マスター情報担体側から外部磁界を印加することにより、前記磁気記録媒体に前記情報信号を磁気転写する磁気転写工程とを含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項5】
前記除電工程と前記磁気転写工程とを交互に連続して繰り返して行い、
前記磁気転写工程が、前記磁気転写室内の気体を排気して減圧してから前記磁気転写室内で前記磁気記録媒体に前記情報信号を磁気転写する工程であり、
前記除電工程が、減圧された前記磁気転写室内に静電気除去器で処理された空気を供給する工程であることを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−104172(P2012−104172A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249988(P2010−249988)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】