説明

磁石解錠式ロック装置の解錠装置

【課題】商品の盗難防止装置等として使用される磁石解錠式ロック装置の解錠装置を提供する。
【解決手段】ケーシング(4)に内装した進退自在なロック体(7)をロック位置に前進した状態でロック手段がロックされると共に施錠手段が施錠され、ロック体(7)の解錠路(12)に磁石ロッドを挿入することにより前記施錠装置を解錠し、ロック体(7)をアンロック位置に移動できるようにしたロック装置(1)を解錠するために使用する解錠装置である。解錠装置(21)は、前記磁石ロッド(22)を突出させたグリップ体(23)と、前記磁石ロッド(22)の外周を覆うカバー体(24)を備え、前記グリップ体(23)及びカバー体(24)を非磁性材により形成している。前記カバー体(24)は、磁石ロッドを覆う待機位置(Ps)と磁石ロッドを露出させる作動位置(Pe)との間で進退移動自在であり、常時は待機位置に向けてスプリング(40)により弾発付勢されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として商品の盗難防止装置として使用される磁石解錠式ロック装置の解錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の小売店等においては、展示商品の盗難を防止するため、各商品に防犯タグを貼着している。そこで、防犯タグを貼着したまま商品を店外に持ち出そうとすると、出入口ゲートに設置された検知装置が警報を発し、盗難を防止する。
【0003】
しかしながら、通常、防犯タグは、粘着剤により商品に貼着されており剥離可能であるから、店外に持ち出す前に商品から剥離して廃棄されてしまうと、盗難防止の効果がない。
【0004】
このため、防犯タグをケーシングの内部に設け、商品に取付けるようにした盗難防止装置が提供されている。
【0005】
このような盗難防止装置は、不正な顧客が商品から取り外すことができないロック装置を備えており、例えば、本出願人が先に提案した特願2009−135777号(先行技術1)や特願2009−248456号(先行技術2)に代表されるような磁石解錠式ロック装置を構成している。これによれば、不正な顧客によりロック装置が商品から取り外されることはない。その一方において、正当な顧客が商品を購入するときは、レジカウンター等において、店員が専用の解錠装置を使用することによりロック装置を取り外した後、商品を顧客に引き渡される。
【0006】
前記先行技術1のロック装置は、図5及び図6に示すように、防犯タグを内装し又は外付けされるロック装置1aと解錠キー2aとから構成されている。ロック装置1aは、商品包装体のシート状部3を着脱自在に挟持するケーシング4aと開閉部材5を開閉ヒンジ6により開閉自在に連結し、該ケーシング4aにロック体7aを進退自在に内装している。開閉部材5のロック用支柱8をシート状部3の被着孔9に挿通してケーシング4aの内部に挿入し、ロック体7aをロック位置に前進させると、図6(A)に示すように、ロック体7aのロック手段10aがロック用支柱8の係止孔15を貫通して開閉部材5を開放不能にロックし、ロック体7aに設けた施錠手段11aを係止爪14に係止することにより、該ロック体7aをロック状態で後退不能に施錠する。
【0007】
このロック状態を解除するためには、図6(A)に示すように、前記ロック体7aの解錠路12aに対して解錠キー2aの磁石ロッド13aを矢印Fのように挿入する。前記施錠手段11aは、磁性材によるバネを構成しているので、図示鎖線で示すように、磁石ロッド13aに磁着され、係止爪14から離脱する。そこで、図6(B)に示すように、解錠キー2aを矢印Rのように後退させ、磁石ロッド13aをケーシング4aから引き抜き方向に移動させると、前記施錠手段11aを磁着した状態でロック体7aが追従してアンロック位置に後退移動し、ロック手段10aをロック用支柱8の係止孔15から脱する。これにより、ロック装置1aは、商品から取り外すことができる。
【0008】
前記先行技術2のロック装置は、図7及び図8に示すように、防犯タグを内装し又は外付けされるロック装置1bと解錠キー2bとから構成されている。ロック装置1bは、可撓性の長尺体16を備えたケーシング4bと、該ケーシング4bに進退自在に内装されるロック体7bにより構成されている。図8(A)に示すように、長尺体16を折曲することによりループを形成した状態でケーシング4bの挿通路17に挿通すると、該長尺体16を挿通路17の内部で係止するロック手段10bが設けられている。従って、長尺体16のループを商品の開口部等(バッグの提手等)に挿通させることにより、ロック装置1bを取り外し不能に取り付けることができる。ロック体7bは、ケーシング4bの内部でロック位置に前進した状態で、先端の補助ロック部18を挿通路17の内部で押圧することにより前記ロック手段10bを機能させ、ロック体7bに設けた施錠手段11bを係止爪14bに係止することにより、該ロック体7bをロック状態で後退不能に施錠する。
【0009】
このロック状態を解除するためには、図8(A)に示すように、前記ロック体7bの解錠路12bに対して解錠キー2bの磁石ロッド13bを矢印Fのように挿入する。前記施錠手段11bは、磁性材によるバネを構成しているので、図8(B)に示すように、磁石ロッド13bに磁着され、係止爪14bから離脱する。そこで、図示矢印Rのように、磁石ロッド13bをケーシング4bから引き抜き方向に移動させると、前記施錠手段11bを磁着した状態でロック体7bが追従してアンロック位置に後退移動し、補助ロック部18の押圧から解放された長尺体16を挿通路17から引き抜き自在とする。これにより、ロック装置1bは、商品から取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許開2002−74529号公報
【特許文献2】特許開2002−304676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の盗難防止装置は、正当な顧客が商品を購入するときは、レジカウンター等において、店員が磁石を備えた解錠キーを使用することによりロック装置を取り外した後、商品を顧客に引き渡される。上述のように、解錠キーは、永久磁石とされた磁石ロッドを露出した状態で設けている。このため、レジカウンター等に解錠キーを載置した待機状態において、周辺に金属製クリップその他の金属片が散在しているときは、これらの金属片が磁石ロッドの周囲に磁着されることになる。
【0012】
このため、店員がロック装置を解錠するために解錠キーを使用するとき、磁着した金属片を取り払わなければならず、作業が煩雑であり、作業に手間取ると顧客が列を成して混雑するという重大な問題がある。
【0013】
しかも、磁石ロッドを露出した解錠キーは、注意しながら取り扱わないと、磁気テープその他の磁気データを格納した媒体を破損してしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明が手段として構成したところは、ケーシング内にロック体を進退自在に内装し、該ロック体をロック位置に前進した状態でロック手段をロックさせると共に施錠手段により該ロック体を後退不能に施錠するロック装置の解錠装置であり、該解錠装置は、前記ロック体の解錠路に挿入される磁石ロッドを備え、該磁石ロッドを前記解錠路に挿入したとき前記施錠手段を磁着させることにより解錠し、該磁石ロッドを抜き出し方向に移動したとき該磁石ロッドに追従してロック体をアンロック位置に後退させることにより前記ロック手段をアンロックする構成において、前記解錠装置は、前記磁石ロッドを先端から軸線X方向に突出させたグリップ体と、前記磁石ロッドの外周を覆うカバー体を備え、前記グリップ体及びカバー体を非磁性材により形成しており、前記カバー体は、前記グリップ体に対して、磁石ロッドを覆う待機位置と、磁石ロッドを露出させる作動位置との間で、前記軸線X方向に進退移動自在となるように連結されると共に、常時は待機位置に向けてスプリングにより弾発付勢され、前記カバー体を前記ロック装置のケーシングに係止させ、前記磁石ロッドを前記ロック体の解錠路に臨ませた状態で、前記スプリングに抗してグリップ体を前進したとき、前記スプリングに抗してカバー体を作動位置に移動させることにより、磁石ロッドを解錠路に挿入させ、前記スプリングの弾発付勢力を受ける方向にグリップ体を後退させたとき、磁石ロッドに追従してロック体がアンロック位置に後退させられるように構成して成る点にある。
【0015】
本発明の好ましい実施形態は、前記グリップ体とカバー体の相互に、該カバー体を前記待機位置と作動位置との間で進退移動自在とするように嵌合された長孔と軸部材から成る案内手段を設けており、前記軸部材は、前記軸線Xと交差する回動軸を構成し、該回動軸を介してグリップ体とカバー体を相互に回動可能に連結している。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の本発明によれば、解錠装置21は、グリップ体23及びカバー体24を非磁性材により形成し、磁石ロッド22の外周が覆われている。従って、先行技術1及び先行技術2のように、磁石ロッド22が露出している場合は、レジカウンター等に解錠装置21を載置した状態において、周辺に散在した金属製クリップその他の金属片が磁石ロッドの周囲に磁着される問題があり、しかも、注意しながら取り扱わないと、磁気テープその他の磁気データを格納した媒体を破損してしまうという問題があるのに対して、このような問題を生じることがないという効果がある。
【0017】
ところで、解錠装置21は、前記磁石ロッド22を先端から軸線X方向に突出させたグリップ体23に対してカバー体24を、磁石ロッド22を覆う待機位置とPsと、磁石ロッド22を露出させる作動位置Peとの間で、前記軸線X方向に進退移動自在となるように連結し、常時は待機位置に向けてスプリングにより弾発付勢しているので、ロック装置1を解錠する際には、カバー体24をケーシング4に係止させ、グリップ体23を前進させることにより、スプリング40に抗して前記作動位置Peとなるように移動させるだけで、磁石ロッド22が解錠路12に挿入され、ロック装置1の施錠手段11を解錠することができ、解錠作業を迅速容易に行うことができる。
【0018】
そして、施錠手段11を解錠した状態から、磁石ロッド22を後退させる際には、カバー体24をケーシング4に係止した状態で、グリップ体23の押圧力を緩めれば、スプリング40の弾発付勢力により磁石ロッド22が自動的に後退し、該磁石ロッド22に施錠手段11を磁着した状態でロック体7が追従してアンロック位置に移動するので、作業を簡単容易に行うことができる。
【0019】
請求項2に記載の本発明によれば、グリップ体23とカバー体24の相互に、該カバー体24を前記待機位置Psと作動位置Peとの間で進退移動自在とするように嵌合された長孔35と軸部材36から成る案内手段37を設けており、前記軸部材36は、前記軸線Xと交差する回動軸を構成し、該回動軸を介してグリップ体23とカバー体24を相互に回動可能に連結しているので、磁石ロッド22を解錠路12に臨ませたとき、磁石ロッド22の中心軸線Xと解錠路12の中心軸線Xaが一致していないときは、前記軸部材36を回動軸としてグリップ体23を回動させることにより、磁石ロッド22の中心軸線Xを解錠路12の中心軸線Xaに合致させ、該磁石ロッド22を解錠路12に好適に進入させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る解錠装置の1実施形態を分解状態で示す斜視図である。
【図2】本発明に係る解錠装置の1実施形態を示しており、(A)はカバー体が待機位置に位置した状態を示す斜視図、(B)はカバー体が作動位置に位置した状態を示す斜視図である。
【図3】解錠装置の作用を示しており、(A)は解錠装置をロック装置に臨ませた状態を示す断面図、(B)は解錠装置のカバー体をロック装置のケーシングに係止させ磁石ロッドを解錠路に臨む位置まで前進させた状態を示す斜視図である。
【図4】解錠装置の作用を示しており、(A)は解錠装置の磁石ロッドを作動位置まで前進させた状態を示す断面図、(B)は磁石ロッドと共にロック装置のロック体をアンロック位置に後退させた状態を示す断面図である。
【図5】ロック装置に関する先行技術1を示しており、(A)はロック装置を商品包装体のシート状部に取付けた状態を示す斜視図、(B)はロック装置を商品包装体のシート状部から取外した状態を示す斜視図である。
【図6】先行技術1に係るロック装置と解錠キーの作用を示しており、(A)はロック状態かつ施錠状態を示す断面図、(B)はロック状態及び施錠状態が解除された状態を示す断面図である。
【図7】ロック装置に関する先行技術2を示す斜視図である。
【図8】先行技術2に係るロック装置と解錠キーの作用を示しており、(A)はロック状態かつ施錠状態を示す断面図、(B)はロック状態及び施錠状態が解除された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0022】
図1及び図2に示すように、解錠装置21は、軸線X方向に配置された永久磁石から成る磁石ロッド22を備えたグリップ体23と、前記磁石ロッド22の外周を覆うカバー体24を備え、前記グリップ体23及びカバー体24を非磁性材により形成している。図例の場合、グリップ体23及びカバー体24は、それぞれ導電性の低いプラスチックにより一体成形されている。この際、非磁性材は、完全な非磁性が好ましいが、磁性に乏しいものであれば良い。
【0023】
グリップ体23は、ハンドル部25からほぼ軸線X方向の前方にヘッダー部26を延設し、該ヘッダー部26の前面に開口する筒孔27をほぼ軸線X方向に延設しており、該ヘッダー部26の底部に盤状のガイド体28を設けている。図例の場合、ガイド体28をヘッダー部26に一体成形しているが、プラスチック等の非磁性材により別体に形成したガイド体28をヘッダー部26の底部に固着しても良い。
【0024】
前記ガイド体28は、前記ヘッダー部26の筒孔27の両側方で軸線X方向にほぼ平行して、側面の垂直ガイド壁29、29と、上面の水平ガイド壁30、30を形成し、前記筒孔27の開口の前方に位置する上面に凹溝31を形成しており、該ガイド体28の底面に前記磁石ロッド22を埋入固着し、該磁石ロッド22をガイド体28の前端から軸線X方向に突出させている。
【0025】
カバー体24は、前記磁石ロッド22の上方を覆う上壁32と両側方を覆う側壁33、33を備えた断面ほぼ門形に形成され、これにより磁石ロッド22の外周を覆うように構成されている。従って、図示実施形態の場合、磁石ロッド22の下方を除く外周を覆うが、下方を含む全外周を覆うように構成しても良い。
【0026】
前記カバー体24は、図2(B)に示すように、磁石ロッド22を覆う待機位置Psと、磁石ロッド22を露出させる作動位置Peとの間で、前記軸線X方向に進退移動自在となるようにグリップ体23に連結される。このため、図示実施形態において、カバー体24は、側壁33、33を前記ガイド体28の垂直ガイド壁29、29に摺動自在に重ねられ、カバー体24の上壁32に設けた切欠部34にヘッダー部26が挿入され、該切欠部34の両側に形成された延長上壁32a、32aを前記ガイド体28の水平ガイド壁30、30に摺動自在に重ねられるように構成している。
【0027】
前記カバー体24の進退移動を案内すると共に移動範囲を待機位置Psと作動位置Peの間に規制するため、グリップ体23とカバー体24の相互に嵌合する長孔35と軸部材36から成る案内手段37が設けられている。図示実施形態の場合、長孔35、35をカバー体24の側壁33、33に形成し、軸部材36、36をガイド体28の垂直ガイド壁29、29に設けているが、相互に反対となるように設けても良い。これにより、図2(A)に示すように、長孔35の一端に軸部材36が係止することによりカバー体24の待機位置Psを規制し、図2(B)に示すように、長孔35の他端に軸部材36が係止することによりカバー体24の作動位置Peを規制する。
【0028】
前記カバー体24の上壁32は、切欠部34に進入する保持部38を延設し、該保持部38の先端に係止部39を設けており、前記案内手段37を介してカバー体24をグリップ体23のガイド体28に連結した状態で、前記保持部38が筒孔27に進退移動自在に進入する。
【0029】
前記筒孔27には、圧縮コイルスプリングから成るスプリング40が内挿され、該スプリング40を前記保持部38に係止することにより、常時、カバー体24を前記待機位置Psに向けて弾発付勢する。従って、カバー体24は、スプリング40に抗して待機位置Psから作動位置Peに移動可能とされている。
【0030】
上記のように、解錠装置21は、グリップ体23及びカバー体24を非磁性材により形成し、磁石ロッド22の外周が覆われている。従って、先行技術1及び先行技術2のように、磁石ロッド22が露出している場合は、レジカウンター等に解錠装置21を載置した状態において、周辺に散在した金属製クリップその他の金属片が磁石ロッドの周囲に磁着される問題があり、しかも、注意しながら取り扱わないと、磁気テープその他の磁気データを格納した媒体を破損してしまうという問題があるのに対して、このような問題を生じることがない。
【0031】
解錠装置21が使用されるロック装置1は、先行技術1及び先行技術2に代表される上述したようなものであり、図3(A)に簡略化した構造を示すように、ケーシング4の内部にロック体7を進退自在に内装し、該ロック体7をロック位置Lに前進した状態で、ロック手段(図示省略)をロックさせると共に、施錠手段11を係止爪14に係止させることにより該ロック体7を後退不能に施錠するように構成されている。前記施錠手段11は、鋼等の磁性材によるバネ板により形成されており、ロック体7の解錠路12に磁石ロッド22を挿入したとき、施錠手段11を磁石ロッド22に向けて磁着させつつ係止爪14から離脱させることにより解錠し、この解錠状態でロック体7を図4(B)に示すアンロック位置Uに後退させることができるように構成されている。図示のように、ケーシング4は、外周に被係止部4aを備えており、図例の場合、ロック体7を進退自在に挿入する挿入路の開口縁の近傍に被係止部4aを設けている。被係止部4aは、後述するように、解錠装置21のカバー体24の先端24aを係止可能とするものであれば良く、従って、特別に形成しなくても、ケーシング4の外側に形成された任意の部分を被係止部4aとして利用することができる。尚、本発明において、ロック装置1は、上述したような防犯タグを設けた盗難防止装置の他、ロック手段と施錠手段を設けた種々の装置を含むものである。
【0032】
そこで、上記構成とされた解錠装置21により、ロック装置1を解錠する作用を説明する。先ず、図3(A)に示すように、ロック装置1は、ユーザが指先等でロック体7をケーシング4に押し込むことにより、該ロック体7をケーシング4の内部でロック位置Lに位置させ、ロック手段をロックすると共に、施錠手段11を施錠している。
【0033】
ユーザが解錠装置21のグリップ体23を握持して、カバー体24の先端24aをケーシング4の被係止部4aに臨ませる。解錠装置21は、グリップ体23の上部からヘッダー部26の上部にかけて凹曲面となる指かけ部26aを形成するのが好ましく、これにより、ユーザは、グリップ体23を握持した手の人差し指を指かけ部26aに載せることにより、カバー体24の先端24aをケーシング4に向けて容易に指向させることができる。
【0034】
この状態で、解錠装置21は、スプリング40の弾発付勢力によりカバー体24を待機位置Psに位置させている。つまり、図3(A)に示すように、案内手段37を構成する軸部材36が長孔35の後端位置に当接することによりカバー体24を停止させ、待機位置Psに保持している。この状態で、カバー体24は、磁石ロッド22の外周を覆っており、磁石ロッド22の先端を待機位置Fsに位置させている。図示のように、カバー体24は、ガイド体28に対して、遊動自在なクリアランスを有して連結されており、軸部材36が前記軸線Xと交差する回動軸を構成し、軸部材36と長孔35の相互を前記回動軸廻りに回動自在に嵌合している。従って、カバー体24は、スプリング40の弾発付勢力により前記クリアランスを閉じた所定姿勢に保持されているが、図示のように、カバー体24とガイド体28の相互は、前記スプリング40に抗して、前記クリアランスの範囲で軸部材36を中心として回動自在であり、カバー体24を固定した状態でグリップ体23を図示矢印M1のように回動すると、磁石ロッド22が図示矢印M2のように回動する。
【0035】
図3(B)は、カバー体24の先端24aをケーシング4の被係止部4aに係止させ、図示矢印Fで示すようにグリップ体23を前進させることにより、中途位置P1に位置させた状態を示している。即ち、ケーシング4に固定されたカバー体24に対して、スプリング40を圧縮しながらガイド体28を前進し、案内手段37を構成する軸部材36を長孔35に沿って移動させ、磁石ロッド22の先端をロック体7の解錠路12の近傍に臨ませている。この際、磁石ロッド22の中心軸線Xと解錠路12の中心軸線Xaが一致していないときは、磁石ロッド22を前進させても解錠路12に挿入されず、磁石ロッド22の先端が解錠路12の開口縁に当接することになる。そこで、この場合は、上述のように、グリップ体23を前進させながら図示矢印M1のように回動し、磁石ロッド22を図示矢印M2のように回動させることにより前記中心軸線X及びXaを合致させることができる。
【0036】
図4(A)は、グリップ体23を更に前進させ、磁石ロッド22により施錠手段11を解錠した状態を示している。カバー体24に対して、スプリング40を圧縮しながらガイド体28が更に前進させられ、案内手段37を構成する軸部材36を長孔35の前端位置に当接することによりカバー体24を停止させ、作動位置Peに保持している。磁石ロッド22は、ロック体7の解錠路12に挿入され、先端部を施錠手段11に臨む作動位置Feに位置し、施錠手段11を磁着することにより係止爪14から離脱させている。
【0037】
そこで、図4(B)に矢印Rで示すように、グリップ体23を後退させると、施錠手段11を磁石ロッド22に磁着しているので、ロック体7は、磁石ロッド22に追従してアンロック位置Uに移動させられる。この動作は、カバー体24をケーシング4に係止した状態で、ユーザがグリップ体23の押圧力を緩めれば、スプリング40の弾発付勢力により磁石ロッド22が自動的に後退するので、簡単容易に行うことができる。尚、図示省略しているが、ロック体7は、ケーシング4に対してアンロック位置Uから更に後退方向への移動を阻止する係止手段を設けていることが好ましく、従って、ロック体7がアンロック位置Uで停止した後、磁石ロッド22は、スプリング40の弾発付勢力で更に後退し、施錠手段11を磁着から解放するので、ロック装置1と解錠装置21が自動的に分離される。
【符号の説明】
【0038】
1 ロック装置
4 ケーシング
7 ロック体
11 施錠手段
12 解錠路
21 解錠装置
22 磁石ロッド
23 グリップ体
24 カバー体
25 ハンドル部
26 ヘッダー部
28 ガイド体
35 長孔
36 軸部材
37 案内手段
40 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(4)内にロック体(7)を進退自在に内装し、該ロック体をロック位置に前進した状態でロック手段をロックさせると共に施錠手段(11)により該ロック体を後退不能に施錠するロック装置(1)の解錠装置であり、該解錠装置(21)は、前記ロック体(7)の解錠路(12)に挿入される磁石ロッド(22)を備え、該磁石ロッド(22)を前記解錠路(12)に挿入したとき前記施錠手段(11)を磁着させることにより解錠し、該磁石ロッド(22)を抜き出し方向に移動したとき該磁石ロッドに追従してロック体(7)をアンロック位置に後退させることにより前記ロック手段をアンロックする構成において、
前記解錠装置(21)は、前記磁石ロッド(22)を先端から軸線X方向に突出させたグリップ体(23)と、前記磁石ロッド(22)の外周を覆うカバー体(24)を備え、前記グリップ体(23)及びカバー体(24)を非磁性材により形成しており、
前記カバー体(24)は、前記グリップ体(23)に対して、磁石ロッドを覆う待機位置(Ps)と、磁石ロッドを露出させる作動位置(Pe)との間で、前記軸線X方向に進退移動自在となるように連結されると共に、常時は待機位置に向けてスプリング(40)により弾発付勢され、
前記カバー体(24)を前記ロック装置(1)のケーシング(4)に係止させ、前記磁石ロッド(22)を前記ロック体(7)の解錠路(12)に臨ませた状態で、前記スプリング(40)に抗してグリップ体(23)を前進したとき、前記スプリング(40)に抗してカバー体(24)を作動位置(Pe)に移動させることにより、磁石ロッド(22)を解錠路(12)に挿入させ、
前記スプリング(40)の弾発付勢力を受ける方向にグリップ体(23)を後退させたとき、磁石ロッド(22)に追従してロック体(7)がアンロック位置に後退させられるように構成して成ることを特徴とする磁石解錠式ロック装置の解錠装置。
【請求項2】
前記グリップ体(23)とカバー体(24)の相互に、該カバー体を前記待機位置と作動位置との間で進退移動自在とするように嵌合された長孔(35)と軸部材(36)から成る案内手段(37)を設けており、
前記軸部材(36)は、前記軸線Xと交差する回動軸を構成し、該回動軸を介してグリップ体(23)とカバー体(24)を相互に回動可能に連結して成ることを特徴とする請求項1に記載の磁石解錠式ロック装置の解錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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