説明

神経信号用プローバ、神経信号出力装置、神経信号記録装置、神経刺激装置及び神経信号入出力装置

【課題】神経線維高選択性に神経刺激や神経活動測定ができると共に、これを安全に行える可能な神経信号用プローバ、並びにこの神経信号用プローバを用いた神経信号出力装置、神経信号記録装置、神経刺激装置及び神経信号入出力装置を提供する。
【解決手段】半導体集積回路(信号選択回路)26を集積化した基板13と、基板13の上面側に設けられ、複数の植込用貫通孔を有する台座層11と、複数の植込用貫通孔のそれぞれに下部を埋め込んで固定され、先端部と底部を除き絶縁被膜で被覆された金属鍼pij-1,pij,pij+1,pij+2,……からなるプローブアレイとを備え、プローブアレイの少なくとも一部により、神経活動信号を電気信号に変換し、且つ神経を電気的に刺激する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は神経信号用プローバ、並びにこの神経信号用プローバを用いた神経信号出力装置、神経信号記録装置、神経刺激装置及び神経信号入出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
末梢神経は、多くの求心性神経線維と遠心性神経線維の束(神経束)である。遠心性神経線維は、脳(中枢)から末梢臓器へ向かう神経線維であり、骨格筋の運動(収縮弛緩等)を調節する運動神経線維や、心臓・血管・肺・胃腸・膀胱・汗腺等の各臓器機能を調節する自律神経線維(交感神経線維と迷走神経線維)がある。一方、求心性神経線維は、末梢臓器から脳(或いは脊髄等)へ向かう神経線維であり、皮膚・筋・腱・骨膜・関節嚢・靱帯等からの物理的状態(機械的状態・温度等)や化学的状態(生理物質の濃等)などの情報を伝える。これには、痛覚・触覚・圧覚・温度覚等として知覚される感覚神経線維や、知覚されない神経線維がある。各神経線維は、身体の各所毎に、又その機能毎に群をなして、神経束内において局在している(非特許文献1参照)。
【0003】
非特許文献1に記載されているように、これらの神経線維は、活動電位が同一神経線維細胞の隣接する膜部位を刺激し、新たに活動電位を発生させる興奮電導によって、電気的に生体情報を伝える。この神経信号は、細胞外電極によって、電極近傍の神経線維群において活動電流から細胞外液を流れた電流分を、神経活動として測定できる。神経活動を測定すれば、神経の生体情報伝達の生理や、その病態異常を捉えられる。例えば、非特許文献2と3は、それぞれヒトと動物の交感神経活動を測定し、その循環調節機能を解析して開示している。
【0004】
一方、神経を電気刺激すると、神経線維細胞に活動電位を生じさせ、神経線維の繋がる臓器(脳・骨格筋・心臓・血管等)を刺激できる。この神経束内には複数種の神経線維が存在するため、特定の(必要なら複数種の)神経線維(群)について、神経系の情報の計測や神経系への情報入力する神経インターフェイスが、神経に関する医学生理学研究、各種病態の解明や治療開発に有用であると思われる。現在、神経線維群選択的に神経活動測定し或いは刺激する方法、又複数の神経線維群を同時に神経活動測定し或いは刺激する方法は十分でない。
【0005】
例えば、電極巻き付き方式(非特許文献2及び4参照。)は、神経束全体からの電気信号を測定したり、神経束全体を電気刺激する方法であり、各神経線維(群)への選択性はない。又、金属性微小針電極(非特許文献3参照。)は、1種類の細胞外電位の測定であり、複数の神経線維群を測定刺激することはできない。
【0006】
又、一旦切断した神経の自己再生能力を利用した神経再生電極型デバイスも考案されたが、神経を切断してしまうため、小動物でも2〜3ヶ月間は体内でデバイスを保持しつつ神経の回復再生を待たねばならず、再生する前に抗体や運動によるダメージでデバイスを体内で破損してしまうことが多く、神経活動を記録困難であった。又、切断された神経線維(種)が、すべて元通りに再生するか危惧され、甚だ安全とは言えない。
【0007】
これらに対し、神経束内に電極を複数個配置する剣山型電極は有用だと思われ、米国ユタ大学のR.A.ノーマン(Norman)によって剣山型電極アレイが発表されている(非特許文献5,第1図参照。)。現在、直径100μm程度のSi鍼電極を、電極間隔400μm程度にアレイ化したものが報告されている。
【非特許文献1】本郷利憲、他4人、「標準生理学(第4版)」、株式会社医学書院、1996年10月1日、p.88−90、P.218−219、p.286−309、p.366−386
【非特許文献2】神谷厚範、道上大策他、「抗重力筋の等尺性運動に対する交感神経・血圧応答は、長期臥床によって低下する(Bed rest attenuates sympathetic and pressor responses to isometric exercise in antigravity leg muscles in humans)」、米国生理学雑誌 調節統合生理( Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol)、2004年、第286巻(5)、p.844−850
【非特許文献3】神谷厚範、川田徹他、「圧受容器圧を変化させた時の筋交感神経活動の分時値は腎臓及び心臓交感神経活動と相似である(Muscle sympathetic nerve activity (SNA) averaged over 1 minute parallels renal and cardiac SNAs in response to forced baroreceptor pressure change)」、循環(Circulation)、2005年、第112巻(4)、p.384−386
【非特許文献4】李梅花他、「迷走神経刺激は慢性心不全ラットの長期生存を著しく改善する(Vagal Nerve Stimulation Markedly Improves Long-Term Survival After Chronic Heart Failure in Rats)、循環(Circulation)、 2004年、第109巻、p.120−124
【非特許文献5】ブランナー・アルムット(Branner Almut) 、ノーマン・リチャード・アラン(Normann Richard Alan)、脳研究紀要(Brain Research Bulletin)、2000年、第51巻(4)、p.298−306
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献5に記載の剣山型電極は、針電極の材質がシリコン(Si)であるため機械的強度が十分でなく、長期間植え込んだ時に神経束内でSi針電極が折れて、神経障害を起こす危険がある。非特許文献5に記載の剣山型電極が、ヒト臨床応用されていない一因は、剣山型電極の機械的強度の問題であると考えられる。
【0009】
更に非特許文献5に記載の剣山型電極では、Siを用いていることにより機械的強度が低く、細かい電極間隔で細く長い針を配置する十分に微細な電極アレイを作製困難である。このため、現在、直径100μm程度の鍼電極を、電極間隔400μm程度にアレイ化したものに留まっている。非特許文献5に記載の剣山型電極は、装置サイズが過大なため、細い神経を対象にしにくいと思われる。
【0010】
特に、神経内には複数種の神経線維が存在するため、特定の(必要なら複数種の)神経線維を選択的刺激し又(或いは)その活動を選択的記録できる神経インターフェイスが、医学や学術研究に要求されている。しかしながら、非特許文献2〜4等に記載された金属性微小針電極や電極巻き付け方式は、1種類の細胞外電位(〜数10μV)の測定であり、神経線維選択性はなく、多チャネル化は困難である。
【0011】
神経線維高選択性(多チャネル化)のためには、少なくともミクロンオーダーの神経インターフェイスによって、神経内に電極を複数個配置し、個々の電極間の電位を同時計測するシステムが必要であるが、上記のように、非特許文献2〜4等に記載された装置例は様々な問題点を有する。
【0012】
上記問題点を鑑み、本発明の目的は、神経線維高選択性に神経刺激や神経活動測定ができると共に、これを安全に行える神経信号用プローバ、並びにこの神経信号用プローバを用いた神経信号出力装置、神経信号記録装置、神経刺激装置及び神経信号入出力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、(イ)基板と、(ロ)基板の上面側に設けられ、複数の植込用貫通孔を有する台座層と、(ハ)複数の植込用貫通孔のそれぞれに下部を埋め込んで固定され、先端部と底部を除き絶縁被膜で被覆された金属鍼からなるプローブアレイとを備え、プローブアレイの少なくとも一部を神経に刺すことにより得られた神経活動信号を電気信号として出力し、且つ金属鍼を用いて、神経に電気信号を出力する神経信号用プローバであることを要旨とする。
【0014】
本発明の第2の態様は、(イ)少なくとも信号選択回路を有する半導体集積回路を集積化した基板と、(ロ)基板の上面側に設けられ、複数の植込用貫通孔を有する台座層と、(ハ)複数の植込用貫通孔のそれぞれに下部を埋め込んで固定され、先端部と底部を除き絶縁被膜で被覆された金属鍼からなるプローブアレイと、(ニ)プローブアレイの少なくとも一部を神経に刺すことにより得られた神経活動信号を、信号選択回路で電気信号として選択且つ増幅して出力し、更に、信号選択回路を制御する制御回路とを備える神経信号出力装置であることを要旨とする。
【0015】
本発明の第3の態様は、(イ)基板と、(ロ)基板の上面側に設けられ、複数の植込用貫通孔を有する台座層と、(ハ)複数の植込用貫通孔のそれぞれに下部を埋め込んで固定され、先端部と底部を除き絶縁被膜で被覆された金属鍼からなるプローブアレイと、(ニ)プローブアレイの少なくとも一部を神経に刺すことにより得られた神経活動信号を電気信号として処理する信号処理回路と、(ホ)該信号処理回路の出力を記録する記録装置とを備える神経信号記録装置であることを要旨とする。
【0016】
本発明の4の態様は、(イ)少なくとも信号選択回路を有する半導体集積回路を集積化した基板と、(ロ)基板の上面側に設けられ、複数の植込用貫通孔を有する台座層と、(ハ)複数の植込用貫通孔のそれぞれに下部を埋め込んで固定され、先端部と底部を除き絶縁被膜で被覆された金属鍼からなるプローブアレイと、(ニ)神経を刺激するための電気信号を生成する信号発生回路と、(ホ)神経を刺激するための神経刺激信号が、プローブアレイの少なくとも一部を介して神経を刺激するように、信号選択回路を制御する制御回路とを備え、信号選択回路で選択した特定の金属鍼を用いて、神経を刺激する神経刺激装置であることを要旨とする。
【0017】
本発明の第5の態様は、(イ)少なくとも信号選択回路を有する半導体集積回路を集積化した基板と、(ロ)基板の上面側に設けられ、複数の植込用貫通孔を有する台座層と、(ハ)複数の植込用貫通孔のそれぞれに下部を埋め込んで固定され、先端部と底部を除き絶縁被膜で被覆された金属鍼からなるプローブアレイと、(ニ)神経を刺激するための神経刺激信号を生成する信号発生回路と、(ホ)プローブアレイの少なくとも一部を神経に刺すことにより得られた神経活動信号を電気信号として増幅して出力し、更に、神経を刺激するための神経刺激信号が、プローブアレイの少なくとも一部を介して神経を刺激するように、信号選択回路を制御する制御回路とを備える神経信号入出力装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、神経線維高選択性に神経刺激や神経活動測定ができると共に、これを安全に行える神経信号用プローバ、並びにこの神経信号用プローバを用いた神経信号出力装置、神経信号記録装置、神経刺激装置及び神経信号入出力装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0020】
又、以下に示す第1及び第2の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1〜図3に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る神経信号用プローバは、半導体集積回路(信号選択回路)26を集積化した基板13と、基板13の上面側に設けられ、複数の植込用貫通孔を有する台座層11と、基板13と台座層11との間に配置され、複数の植込用貫通孔に対応した位置に、それぞれ配線用貫通孔を有するスペーサ層12と、複数の植込用貫通孔のそれぞれに下部を埋め込んで固定され、先端部と底部を除き絶縁被膜で被覆された金属鍼pij-1,pij,pij+1,pij+2,……からなるプローブアレイとを備える。そして、プローブアレイの少なくとも一部により、神経活動信号を電気信号に変換し、且つ神経を電気的に刺激する。
【0022】
なお、図2は図1に示す平面図のI−I方向から見た模式的な断面図、図3は図1に示す平面図のII−II方向から見た模式的な断面図である。図1及び図3では図示を省略しているが、基板13、スペーサ層12及び台座層11からなる積層体は、図2に示すように、シリコーン樹脂等の体内に挿入されても問題のない樹脂27でモールドされている。
【0023】
図1に示す平面図から分かるように、第1の実施の形態に係る神経信号用プローバにおいては、金属鍼pij(i=1〜n;j=1〜m:n,mは2以上の整数)は、2次元平面でマトリクス状に配置されている。マトリクス状配置のピッチは、神経線維の高選択性を鑑みれば、50〜500μmの範囲のピッチで選択するのが好ましい。神経活動信号を電気信号に変換し、且つ神経を電気的に刺激する目的を考慮すると、n,mの少なくとも一方は6以上であることが好ましい。図1〜3では1チャネル8個、計4チャネルの例を示しており、この場合は、n=4,m=8で、例えば、図3に示したpi+1j=p4j,pij=p3j,pi-1j=p2j,pi-2j=p1jとなる。金属鍼pijが2次元平面でマトリクス状に配置されているので、当然、金属鍼pijを植え込む植込用貫通孔が、50〜500μmの範囲のピッチで少なくとも6個以上、台座層11に周期的に開口されている。
【0024】
基板13の材料はシリコン(Si)や砒化ガリウム(GaAs)等の半導体基板、有機系の種々な合成樹脂、セラミック、ガラス等の無機系の材料が使用可能である。有機系の樹脂材料としては、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等が使用可能で、又板状にする際の芯となる基材は、紙、ガラス布、ガラス基材などが使用される。無機系の基板材料として一般的なものはセラミックである。又、放熱特性を高めるものとして金属基板、透明な基板が必要な場合には、ガラスが用いられる。セラミック基板の素材としてはアルミナ(Al23)、ムライト(3Al23・2SiO2)、ベリリア(BeO)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化珪素(SiC)等が使用可能である。更に、鉄、銅などの金属上に耐熱性の高いポリイミド系の樹脂板を積層して多層化した金属ベースの基板(金属絶縁基板)でも構わない。半導体基板の場合は、強度の点からSiが好ましい。半導体集積回路(信号選択回路)26は、半導体基板モノリシックに集積化しても良く、合成樹脂、セラミック、ガラス等の絶縁性基板にハイブリッドに集積化しても良い。図2及び図3では基板13の上部に半導体集積回路(信号選択回路)26を集積化した場合を例示しているが、半導体集積回路(信号選択回路)26を集積化する箇所は、図2及び図3に例示した構造に限定されず、基板13の中央部に埋め込む形でも良く、基板13の下部に配置しても良い。
【0025】
図2では、基板13とスペーサ層12との間には金属配線層23が模式的に示され、更に図1に示すように、基板13の周辺部にボンディングパッド24a,24b,24c,24dが形成されている。
【0026】
具体的には、複数のボンディングパッド24a,24b,24c,24dは、例えば、Siからなる基板13の素子形成面に形成された1×1018cm−3〜1×1021cm−3程度のドナー若しくはアクセプタがドープされた複数の高不純物密度領域(ソース領域/ドレイン領域、若しくはエミッタ領域/コレクタ領域等)等にそれぞれ、接続されている。そして、この複数の高不純物密度領域(にオーミック接触するように、アルミニウム(Al)、若しくはアルミニウム合金(Al−Si,Al−Cu−Si)等の金属からなる複数の電極層が形成されている。そしてこの複数の電極層の上部には、酸化膜(SiO)、PSG膜、BPSG膜、窒化膜(Si)、或いはポリイミド膜等からなるパッシベーション膜が形成されている。そして、パッシベーション膜の一部に複数の電極層を露出するように複数の開口部(窓部)を設け、複数のボンディングパッド24a,24b,24c,24dを構成している。或いは、複数の電極層と金属配線で接続された他の金属パターンとして、複数のボンディングパッド24a,24b,24c,24dを形成してもかまわない。又、MOSFET等であれば、ポリシリコンゲート電極にアルミニウム(Al)、若しくはアルミニウム合金(Al−Si,Al−Cu−Si)等の金属からなる複数のボンディングパッド24a,24b,24c,24dを形成することが可能である。或いは、複数のポリシリコンゲート電極に接続されたゲート配線等の複数の信号線を介して、他の複数のボンディングパッド24a,24b,24c,24dを設けても良い。ポリシリコンからなるゲート電極の代わりに、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)等の高融点金属、これらのシリサイド(WSi,TiSi,MoSi)等、或いはこれらのシリサイドを用いたポリサイド等からなるゲート電極でも構わない。図1で金属鍼pi-2jを通る1番上の行(アレイ)の信号がボンディングパッド24dから取り出され、図1で金属鍼pi-1jを通る上から2番目の行(アレイ)の信号がボンディングパッド24cから取り出され、金属鍼pij-1,pij,pij+1,pij+2,……で示す上から3番目の行(アレイ)の信号がボンディングパッド24bら取り出され、金属鍼pi+1jを通る上から4番目の行(アレイ)の信号がボンディングパッド24aから取り出される。
【0027】
図2では、あたかも、金属配線層23とボンディングパッド24a,24b,24c,24dとが同一配線レベルにあるかのように示しているが、模式的な表現であり、金属配線層23は、ボンディングパッド24a,24b,24c,24dの層よりも下の配線レベルの金属配線でも良い。これらは、半導体集積回路(信号選択回路)26の多層配線の設計によって決めれば良い。又、図2では、ボンディングパッド24bにボンディングワイヤ25bが接続された状態を例示しているが、他のボンディングパッド24a,24c,24dも同様に、ボンディングワイヤが接続される(図11(b)参照。)。
【0028】
図1の上面図に各金属鍼pij(i=1〜n;j=1〜m:n,mは2以上の整数)を囲む破線の正方形を各金属鍼pijの位置に対応して複数個マトリクス状に示したように、各金属鍼pijは、ボンディングパッド24a,24b,24c,24dの層と同一の配線レベルの金属層からなるランド(電極パッド)を介して、半導体集積回路(信号選択回路)26の入・出力端子に接続される。マトリクス状に配列された半導体集積回路(信号選択回路)26のランド(電極パッド)と各金属鍼pijは、それぞれ独立した配線経路となるように、ランド(電極パッド)上に配置された接続部材で電気的に接続される。「接続部材」としては、半田ボール、金(Au)バンプ、銀(Ag)バンプ、銅(Cu)バンプ、ニッケル/金(Ni−Au)バンプ、或いはニッケル/金/インジウム(Ni−Au−In)バンプ等が使用可能である。半田ボールとしては、例えば、直径40μm乃至250μm、高さ50μm乃至200μmの錫(Sn):鉛(Pb)=6:4の共晶ハンダ等が使用可能である。或いは、Sn:Pb=5:95の半田でも良い。接続部材の大きさやランド(電極パッド)の大きさは、各金属鍼pijの配線ピッチで設計すれば良い。 図4は図2に対応する組み立て図であるが、スペーサ層12に設けられたフィードスルー貫通孔に金(Au)又は銅(Cu)等の柔らかい金属からなる埋込プラグ22が埋め込まれている。そして、埋込プラグ22の上に半田ボール、Auバンプ等の接続部材21が配置され、図2に示すように、金属鍼pij-1,pij,pij+1,pij+2,……の底部と埋込プラグ22の上端面が接続される。そして、埋込プラグ22の下端面と半導体集積回路(信号選択回路)26のランド(電極パッド)とが、図示を省略した接続部材により接続される。
【0029】
台座層11及びスペーサ層12の材料もSi等の半導体材料の他、合成樹脂、セラミック、ガラス等の絶縁性材料を使用可能である。台座層11及びスペーサ層12に、金属材料を用いることも可能であるが、その場合は、樹脂若しくは他の絶縁膜で表面を被覆処理して、絶縁性を確保する必要がある。Siは、微細加工の容易性及び機械的強度の点で、台座層11及びスペーサ層12の材料として好適である。
【0030】
図5に詳細を示すように、金属鍼pijは、それぞれ電極鍼本体11ijと、この電極鍼本体11ijを部分的に被覆する絶縁被膜12ijとからなる。電極鍼本体11ijとしては、300HV以上の高硬度、1GPa程度の高抗折力の金属が好ましい。例えば、タングステン(W)、炭化タングステン(WC)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)等の単体の金属等種々の金属が使用可能である。これらの金属は弾性に富むので、電極鍼本体11ijの材料として、好適である。又、これらの金属材料の表面に金(Au)、白金(Pt)等をめっきした構成でも構わない。金属鍼pijの直径は、先端部Aを除き、直径5μmΦ〜50μmΦ程度が、神経線維の高選択性の点から好適である。つまり、金属鍼pijを50〜500μmの範囲のピッチで配置するためには、少なくとも、このピッチより小さな直径である必要があり、好ましくは、このピッチの1/3以下、更に好ましくは、ピッチの1/5以下、更に好ましくはピッチの1/10以下の直径とすれば良い。W線であれば直径10μmΦ程度のものは市場で入手可能である。
【0031】
図5(a)に示すように、金属鍼pijの先端部Aと底部Bを除き絶縁被膜12ijが形成されている。絶縁被膜12ijには、ポリ・モノクロロ・パラキシリレン樹脂やポリパラキシリレン樹脂等のパラキシリレン系樹脂が好適である。これらのパラキシリレン系樹脂はCVD法で金属からなる電極鍼本体11ijの表面に形成できる。電極鍼本体11ijの尖鋭化された先端部Aは、5×5μm2〜10×10μm2程度の、できるだけ小さな接触面積となるようにして、一部が露出し、ここで電気的導通をもたせた構造となっている。図5(b)に示すように、電極鍼本体11ijの先端部の角度θは、神経細胞への挿入時の抵抗を低減するために、できるだけ鋭角にするのが望ましく、理想的には、電極鍼本体11ijの先端部の角度θは、0.01°から10°程度、更に0.01°から1°程度が望まれる。現実の工業的見地からは、電極鍼本体11ijの先端部の角度θが、30°から45°程度であれば、容易に実現できる。しかしながら、電極鍼本体11ijの先端部の角度θを、15°から30°程度にするのも困難ではない。電極鍼本体11ijの先端部をできるだけ鋭角にする加工はアルカリ電界エッチングが好適である。
【0032】
Siのせん断応力は約100GPaであるのに対し、例えば、Wのせん断応力は約300GPaである。図6は、鍼の太さを横軸に鍼の長さを縦軸にプロットし、Si鍼が折れるポイントとW鍼が折れるポイントを比較したものである。具体的には、鍼の横方向から0.2μN/μm2の力がかかった場合の変形限界(塑性限界、破壊限界)の長さを測ったものである。W鍼の方が、圧倒的にSi鍼が折れるポイントよりも細い直径で、全長を長くできることが分かる。
【0033】
神経に鍼を挿入中、鍼への横方向からの応力はかからないと想定した場合は、どんなに細いSi鍼でも使用に耐えると考えられる。しかしこれは麻酔などによって動かない状態を強いられているような特殊な状態に可能である。慢性体(活動状態)場合は神経の伸び縮みが生じる可能性が高く、確実に鍼へのせん断応力がかかることが推察される。この時に弾性限界に達した鍼材が折れて分離してしまった場合は、これを取り出すことは困難であり又神経へのダメージを残すことが懸念される。このため神経内で大きなせん断応力がかかって折れ曲がってしまったとしても塑性変形にとどまり分離しない材質であることが望ましく必須であると考える。兎などの小動物実験では、神経の太さは太くても3mm程度であるので鍼の長さは最長でも1.5mm以下で良いだろうが、ヒトの神経は太さ数mm〜20mmもあり、必要とされる鍼長さは1mm以下で良いところもあれば、場所によっては5mm〜10mmという長さが必要とされる。
【0034】
図6の結果を見れば、Si鍼での対応は不可能であり、細さを維持して長さを広く設定できるのはWやMoなどの弾性に富み抗折力の高い低抵抗率の金属鍼であることが分かる。例えば、Wの抵抗率は2〜6×10-8Ωcmであるのに対し、ほぼ固溶度限界の1×1020cm-3もの高濃度に不純物を添加したn型Siの抵抗率は8×10-4Ωcmであり、4桁も抵抗率が高い。通常、8×10-4Ωcmよりも、Siの抵抗率を下げるのは不可能である。
【0035】
第1の実施の形態に係る神経信号用プローバは、電極鍼本体11ijの材料として、金属を用いているので、Si鍼の場合のように折れて障害を起こす危険性がなく、且つ100μm以下の間隔で配置できるため、精微なアレイ状のデバイスを実現できる。しかも、抵抗率が低いので電極鍼本体11ijを介した信号伝搬経路での雑音に強く、特に神経信号のような微弱電圧の信号検出に好適である。この結果、第1の実施の形態に係る神経信号用プローバは、神経線維の高選択性と高検出感度を維持しつつ、神経刺激や神経活動の測定ができ、更にこれを安全に長期間慢性的に行える利点を有する。
【0036】
一般に、神経信号を取得するには、神経に刺した各金属鍼pij(i=1〜n;j=1〜m:n,mは2以上の整数)の中から2つの電極からなるペアを選択すれば良い。しかしながら、神経に刺した金属鍼pij(i=1〜n;j=1〜m:n,mは2以上の整数)からなるプローブアレイの中から特定の1つの電極を選択し、神経外の組織内にプローブアレイとは別の電極を設けても、神経活動を記録できる(実際に、現行のヒト微小神経電図法では、針電極(1本)を神経内に、もう1本は皮膚に刺して、神経記録をしている。)そこで、図1に示した金属鍼pij(i=1〜n;j=1〜m:n,mは2以上の整数)からなるプローブアレイから測定に必要な電極を、2つ又は1つを選択すれば良い。図7は、半導体集積回路(信号選択回路)26に多重変換器(マルチプレサ)53をセレクタ(アナログスイッチ)として備え、神経から神経信号の受信のみを行い、外部回路28に出力する神経信号出力装置の概略の回路構成を示す。図1〜3に対応してn=4チャネルの場合を示しており、4チャネルの入力端子Pi1,Pi2,Pi3,Pi4のそれぞれに低雑音増幅器からなるバッファ増幅器51,…,52が接続され、バッファ増幅器51,…,52の出力が多重変換器(マルチプレサ)53に入力されるようにしているので、図1に示すように、信号出力用の4つのボンディングパッド24a,24b,24c,24dは不要で、1個のボンディングパッドで良い。なお、図1〜3では1チャネル8個、計4チャネルの例を示しており、1チャネル8個の信号を独立に取り出すには、半導体集積回路(信号選択回路)26にシフトレジスタ等の水平走査回路(水平選択回路)を集積化し、時系列で各行毎に逐次信号を取り出すようにしても良い。この場合、各金属鍼pij(i=1〜8;j=1〜4)に接続されるランド(電極パッド)の手前側のそれぞれに、入力選択用の半導体スイッチ(トランジスタ)を接続し、水平走査回路(水平選択回路)でそれらの半導体スイッチ(トランジスタ)を制御すれば良い。更に、図7では図示を省略しているが、半導体集積回路(信号選択回路)26は、バッファ増幅器51,…,52の出力側にそれぞれ雑音補償回路(ノイズキャンセル回路)を設けても良い。
【0037】
多重変換器(マルチプレサ)53で、時系列的に1つの出力ストリームに変換された4チャネルの信号は、ボンディングワイヤ等の出力配線25pを介して多重変換器(マルチプレサ)53の外部、即ち、第1の実施の形態に係る神経信号用プローバの外部の外部回路28に入力される。外部回路28の入力増幅器54に入力された神経信号用プローバからの信号は、入力増幅器54で増幅された後、多重分離器(デマルチプレサ)55で4チャネルの信号に分離され、4チャネルの信号は、それぞれ独立に出力増幅器56,…,57で増幅され、更に、出力増幅器56,…,57の出力はそれぞれ独立にローパスフィルタ(LPF)58,…,59に入力され、ローパスフィルタ(LPF)58,…,59を通過後、出力端子Po1,Po2,Po3,Po4から出力される。外部回路28は、更に制御回路60を備え、制御回路60は、ボンディングワイヤ等の出力配線25pを介して、多重変換器(マルチプレサ)53にチャネル選択用のクロック信号を送る。
【0038】
なお、出力端子Po1,Po2,Po3,Po4から出力された信号を記録するように、外部回路28にパーソナルコンピュータ(PC)等の信号処理回路と信号処理回路の出力を記録する記録装置を接続すれば、神経信号用プローバと、外部回路28と、信号処理回路と、記録装置とで、第1の実施の形態に係る神経信号記録装置となる。既に述べたように、神経信号を取得するには、神経に刺した各金属鍼pij(i=1〜n;j=1〜m:n,mは2以上の整数)の中から1つ又は2つの電極を選択すれば良いので、信号処理回路では、各金属鍼pijから送られた1つ又は2つの電気信号を選択し、必要な演算処理をした後、記録装置に出力する。神経に刺した金属鍼pij(i=1〜n;j=1〜m:n,mは2以上の整数)からなるプローブアレイの中から特定の1つの電極を選択する場合には、神経外の組織内に設けられた別の電極から別の信号が、信号処理回路に入力し、必要な演算処理をした後、演算結果が記録装置に出力される。
【0039】
図8は、半導体集積回路(信号選択回路)26bに多重変換器(マルチプレサ)75と多重分離器(デマルチプレサ)76とを備え、神経信号の受信の他、神経刺激信号を外部回路29から受信し、4チャネルの入出力端子Pi1,Pi2,Pi3,Pi4のから、各金属鍼pij(i=1〜8;j=1〜4)へ神経刺激信号を出力する神経信号入出力装置の概略の回路構成を示す。図8に示す第1の実施の形態に係る神経信号入出力装置において、半導体集積回路(信号選択回路)26bは、図7に示す半導体集積回路(信号選択回路)26とは異なり、神経信号の受信と、神経刺激信号の出力のためにアナログスイッチSW1,SW2とを備える。アナログスイッチSW1,SW2は、トランジスタ等の半導体スイッチング素子を用いれば良い。
【0040】
即ち、図8も、図1〜3に対応してn=4チャネルの場合を示しているが、アナログスイッチSW1,SW2の切り換えにより、神経信号の受信の場合は、4チャネルの入出力端子Pi1,Pi2,Pi3,Pi4のそれぞれに低雑音増幅器からなるバッファ増幅器71,…,72が接続される。一方、神経刺激信号の出力の際には、アナログスイッチSW1,SW2の切り換えにより、4チャネルの入出力端子Pi1,Pi2,Pi3,Pi4のそれぞれは、出力増幅器73,…,74に接続される。
【0041】
神経信号の受信の場合は、図7の場合と同様に、バッファ増幅器71,…,72の出力が多重変換器(マルチプレサ)75に入力される。
【0042】
多重変換器(マルチプレサ)75で1つの出力ストリームに変換された4チャネルの信号は、ボンディングワイヤ等の出力配線25pを介して多重変換器(マルチプレサ)75の外部、即ち、第1の実施の形態に係る神経信号用プローバの外部の外部回路29に入力される。外部回路29の入力増幅器77に入力された神経信号用プローバからの信号は、入力増幅器77で増幅された後、多重分離器(デマルチプレサ)79で4チャネルの信号に分離され、4チャネルの信号は、それぞれ独立に出力増幅器80,…,81で増幅され、更に、出力増幅器80,…,81の出力はそれぞれ独立にローパスフィルタ(LPF)82,…,83に入力され、ローパスフィルタ(LPF)82,…,83を通過後、出力端子Po1,Po2,Po3,Po4から出力される。外部回路29は、更に制御回路84を備え、制御回路84は、ボンディングワイヤ等の出力配線25pを介して、多重変換器(マルチプレサ)75及び多重分離器(デマルチプレサ)76にチャネル選択用のクロック信号を送る。
【0043】
半導体集積回路(信号選択回路)26bの多重分離器(デマルチプレサ)76には、外部回路29の出力増幅器78で増幅された神経刺激信号が入力され、多重分離器(デマルチプレサ)76により4チャネルの神経刺激信号となり、4チャネルの入出力端子Pi1,Pi2,Pi3,Pi4のから、各金属鍼pij(i=1〜8;j=1〜4)へ神経刺激信号が出力される。
【0044】
なお、半導体集積回路(信号選択回路)26bにシフトレジスタ等の水平走査回路(水平選択回路)を集積化し、各チャネルの8個の信号を時系列で各行毎に逐次信号を取り出すようにし、同様に、4チャネルの入出力端子Pi1,Pi2,Pi3,Pi4に各チャネル毎、8個の神経刺激信号を逐次出力するようにしても良い。この場合、各金属鍼pij(i=1〜8;j=1〜4)に接続されるランド(電極パッド)の手前側のそれぞれに、入出力選択用の半導体スイッチ(トランジスタ)を接続し、水平走査回路(水平選択回路)でそれらの半導体スイッチ(トランジスタ)を制御すれば良い。又、図示を省略しているが、バッファ増幅器71,…,72の出力側にそれぞれ雑音補償回路(ノイズキャンセル回路)を設けても良いのも、図7の場合と同様である。
【0045】
又、出力端子Po1,Po2,Po3,Po4から出力された信号を記録するように、外部回路29にパーソナルコンピュータ(PC)等の信号処理回路と信号処理回路の出力を記録する記録装置を接続すれば、神経信号用プローバと、外部回路29と、信号処理回路と、記録装置とで、第1の実施の形態に係る「神経信号記録装置」となる。信号処理回路では、各金属鍼pijから送られた1つ又は2つの電気信号を選択し、必要な演算処理をした後、記録装置に出力する。金属鍼pij(i=1〜n;j=1〜m:n,mは2以上の整数)からなるプローブアレイの中から特定の1つの電極を選択する場合には、神経外の組織内に設けられた別の電極から別の信号が、信号処理回路に入力し、必要な演算処理をした後、演算結果が記録装置に出力される。
【0046】
又、図8に示した神経信号入出力装置は、各金属鍼pij(i=1〜8;j=1〜4)へ神経刺激信号を出力する機能のみに着目すれば、「神経刺激装置」となる。
【0047】
図9(a)は、神経信号用プローバを構成する基板13に半導体集積回路(信号選択回路)26bがモノリシックに集積化された場合を示し、制御回路91、電源回路92、信号発生回路93及び信号処理回路94は、神経信号用プローバの外部回路となる構成の例示であるが、本発明の第1の実施の形態に係る神経信号入出力装置は、図9(a)に示す構成に限定されるものではない。神経刺激の場合は100−2000μ秒程度のパルス幅の矩形波で、0.1Hz−100Hz程度の繰り返し周波数の信号を信号発生回路93で生成すれば良い。
【0048】
例えば、図9(b)に示すように、神経信号用プローバを構成する基板13に半導体集積回路(信号選択回路)26bと制御回路91とをモノリシック若しくはハイブリッドに集積化し、電源回路92、信号発生回路93及び信号処理回路(図示省略)が、神経信号用プローバの外部回路となる構成としても良い。基板13に半導体集積回路(信号選択回路)26bと制御回路91とをモノリシック若しくはハイブリッドに集積化された場合は、半導体集積回路(信号選択回路)26bと制御回路91との全体が、「半導体集積回路」と再定義される。
【0049】
或いは、図9(c)に示すように、神経信号用プローバを構成する基板13に半導体集積回路(信号選択回路)26bと制御回路91と信号発生回路93をモノリシック若しくはハイブリッドに集積化し、電源回路92、信号処理回路(図示省略)が、神経信号用プローバの外部回路となる構成としても良い。基板13に半導体集積回路(信号選択回路)26bと制御回路91と信号発生回路93をモノリシック若しくはハイブリッドに集積化された場合は、半導体集積回路(信号選択回路)26bと制御回路91と信号発生回路93の全体が、「半導体集積回路」と再定義される。
【0050】
基板13に半導体集積回路(信号選択回路)26bと制御回路91と信号発生回路93をハイブリッドに集積化する代わりに、図10に示すようなプリント基板等の実装基板18にハンダボール17a,17b,17c,17d,17e,17fを介して半導体集積回路(信号選択回路)26bをモノリシックに集積化した基板13と、制御回路91をモノリシックに集積化した半導体チップ15と、信号発生回路93をモノリシックに集積化した半導体チップとをハイブリッドに集積化しても良い。同様に図9(b)に示す場合、実装基板18に半導体集積回路(信号選択回路)26bをモノリシックに集積化した基板13と、制御回路91をモノリシックに集積化した半導体チップとをハイブリッドに集積化しても良い。
【0051】
更に、図示を省略しているが、神経信号用プローバを構成する基板13に半導体集積回路(信号選択回路)26b、制御回路、信号発生回路及びマイクロプロセッサ等の信号処理回路をモノリシック若しくはハイブリッドに集積化しても良い。
【0052】
基板13に半導体集積回路(信号選択回路)26b、制御回路、信号発生回路及びマイクロプロセッサ等の信号処理回路をモノリシック若しくはハイブリッドに集積化された場合は、半導体集積回路(信号選択回路)26b、制御回路、信号発生回路及び信号処理回路の全体が、「半導体集積回路」と再定義される。そして、図10と同様に、実装基板18にハンダボール17a,17b,17c,17d,17e,17fを介して半導体集積回路(信号選択回路)26bをモノリシックに集積化した基板13と、制御回路、信号発生回路及び信号処理回路をそれぞれモノリシックに集積化した3つ半導体チップとを合わせて4つ半導体チップをハイブリッドに集積化しても良い。
【0053】
図9に示した種々の神経信号入出力装置は、各金属鍼pij(i=1〜8;j=1〜4)へ神経刺激信号を出力する機能のみに着目すれば、神経刺激装置となる。
【0054】
<第1の実施の形態の第1変形例>
図11(a)は、神経束へ神経信号用プローバを固定するための4つの固定具貫通孔31a,31b,31c,31dを基板13の4隅に設けた、本発明の第1の実施の形態の第1変形例に係る神経信号用プローバの概略を説明する模式的な鳥瞰図である(固定具貫通孔31dに関しては図16(e)参照。)。図11(b)は、図11(a)に示す第1の実施の形態の変形例に係る神経信号用プローバのボンディングパッド24a,24b,24c,24dのそれぞれに接続配線25a,25b,25c,25dを接続した状態を示す。
【0055】
そして、図12に示すように、パラキシリレン系樹脂からなるバンド(band)51で神経束(51,52)を押さえ、更に固定具貫通孔31a,31b,31c,31dに手術糸42を貫通させて、手術糸42が、バンド51、神経束(51,52)及び神経信号用プローバの全体を巻いて固定すれば良い。
【0056】
<第1の実施の形態の第2変形例>
或いは、図13に示すように、高さガイド32a、32bを用い、第1の神経信号用プローバ(11,12,13,pij-1,pij,pij+1,pij+2,……)と第2の神経信号用プローバ(11c,12c,13c,qij-1,qij,qij+1,qij,qij+2,……)とを対向させ、神経束(51,52)を挟み込むようにすれば、神経束へ神経信号用プローバを固定できる。
【0057】
第1の神経信号用プローバ(11,12,13,pij-1,pij,pij+1,pij+2,……)は、図1〜図3に示した構造である。第2の神経信号用プローバ(11c,12c,13c,qij-1,qij,qij+1,qij,qij+2,……)も、基本的に図1〜図3に示した構造と同様であるが、半導体集積回路(信号選択回路)26cを集積化した基板13cと、基板13cの上面側に設けられ、複数の植込用貫通孔を有する台座層11cと、基板13cと台座層11cとの間に配置され、複数の植込用貫通孔に対応した位置に、それぞれ配線用貫通孔を有するスペーサ層12cと、複数の植込用貫通孔のそれぞれに下部を埋め込んで固定され、先端部と底部を除き絶縁被膜で被覆された金属鍼qij-1,qij,qij+1,qij,qij+2,……からなるプローブアレイとを備える。
【0058】
図13に示す構造では、第1の神経信号用プローバ(11,12,13,pij-1,pij,pij+1,pij+2,……)には、金属鍼pij-1,pij,pij+1,pij+2,……の下部を保護する第1の保護層14が設けられ、第2の神経信号用プローバ(11c,12c,13c,qij-1,qij,qij+1,qij,qij+2,……)には、金属鍼qij-1,qij,qij+1,qij,qij+2,……の下部を保護する第2の保護層14cが設けられ、第1の保護層14の表面と第2の保護層14cの表面とにより、神経束(51,52)を機械的に固定している。
【0059】
<兎への使用例>
図14は、麻酔下兎の下肢腓骨神経に、本発明の第1の実施の形態に係る神経信号用プローバを装着して記録した筋交感神経活動を示す。図14(b)は、交感神経活動の原波形(生波形)、図14(a)は、その全波整流積分波形を示す。1分間の安静及び低酸素負荷(0%酸素、4分間)によって、筋交感神経活動が顕著に増加する反応を測定した。
【0060】
従来、神経束表面からの記録ではせいぜい数10μVの低電位しか記録できないのに対し、第1の実施の形態に係る神経信号用プローバは、精微な電極アレイを有するので、神経細胞直近から数10mVの高電位をも記録が可能である。
【0061】
(第2の実施の形態)
図15は、本発明の第1の実施の形態に係る神経信号用プローバの説明で用いた図2に対応する方向から見た断面図であるが、図15に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る神経信号用プローバは、半導体集積回路(信号選択回路)26を基板13の下面側に集積化している点が、第1の実施の形態に係る神経信号用プローバとは異なる。更に、第1の実施の形態に係る神経信号用プローバでは、基板13と台座層11との間にスペーサ層12が配置されているが、第2の実施の形態に係る神経信号用プローバは、スペーサ層12を有しない点で、第1の実施の形態に係る神経信号用プローバとは異なる。
【0062】
即ち、本発明の第2の実施の形態に係る神経信号用プローバは、基板13の上面側に接して設けられ、複数の植込用貫通孔を有する台座層11と、この台座層11の複数の植込用貫通孔のそれぞれに下部を埋め込んで固定され、先端部と底部を除き絶縁被膜で被覆された金属鍼pij-1,pij,pij+1,pij+2,……からなるプローブアレイとを備える。そして、プローブアレイの少なくとも一部により、神経活動信号を電気信号に変換し、且つ神経を電気的に刺激する神経信号用プローバである。
【0063】
図16及び図17は、本発明の第2の実施の形態に係る神経信号用プローバの組み立て工程を説明する模式的な工程断面図である。
【0064】
(イ)先ず、図16(a)及び(b)に示すように、台座層11の複数の植込用貫通孔に金属鍼pij-1,pij,pij+1,pij+2,……の下部と頂部が共に露出するように、植え込む。
【0065】
(ロ)一方、図16(c)に示すように、半導体集積回路(信号選択回路)26を下面側の下部に集積化し、台座層11の複数の植込用貫通孔に対応する位置にフィードスルー貫通孔uij-1,uij,uij+1,uij+2,……を備える基板13を用意する。そして、図17に示すように、フィードスルー貫通孔uij-1,uij,uij+1,uij+2,……の内壁及び基板13には、絶縁膜35を形成しておく。基板13がSiならば、酸化膜で絶縁膜35を形成しておけば良い。
【0066】
(ハ)そして、フィードスルー貫通孔uij-1,uij,uij+1,uij+2,……に、図16(d)及び(e)に示すように、金(Au)又は銅(Cu)等の柔らかい金属からなる埋込プラグ43を、フィードスルー貫通孔uij-1,uij,uij+1,uij+2,……の上部に少し空隙が残るように埋め込む。このとき、更に、図16(e)に示すように、ボンディングパッド24a,24b,24c,24dも、基板13の表面に掲載する。
【0067】
(ニ)そして、図17(a)に示すように、フィードスルー貫通孔uijの上部に、金属鍼pijの底部を埋め込めば、図15に示す第2の実施の形態に係る神経信号用プローバが完成する。
【0068】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1及び第2の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0069】
既に述べたように、神経信号を取得するには、神経に刺した各金属鍼pij(i=1〜n;j=1〜m:n,mは2以上の整数)の中から1つ又は2つの電極を選択すれば良い。既に述べた本発明の第1及び第2の実施の形態においては、半導体集積回路(信号選択回路)26を基板13に集積し、半導体集積回路(信号選択回路)26により、1つの出力ストリームに変換された電気信号を出力する能動プローバの例を説明したが、半導体集積回路(信号選択回路)26を基板13に集積化せず、周知のICパッケージと同様な構造で、各金属鍼pij(i=1〜n;j=1〜m:n,mは2以上の整数)に対応する数のボンディングパッドを設け、すべての金属鍼pijから電気信号を神経信号用プローバから外部回路に出力する受動プローバとしても良い。この場合は、金属鍼pijの数n×mが増大すると、外部回路に接続する配線数が増える欠点がある。このような、受動プローバの場合は、外部回路において、神経信号を取得するのに適した金属鍼を、或いは神経を刺激するに適した金属鍼を1つ又は2つ選択する。
【0070】
又、既に述べた本発明の第1及び第2の実施の形態においては、金属鍼pij(i=1〜n;j=1〜m:n,mは2以上の整数)を、2次元平面でマトリクス状に配置した場合を例示したが、測定の目的や神経束の測定個所によっては、図18に示すような、金属鍼pij-1,pij,pij+1,……(i=1)のような1次元配列でも構わない。
【0071】
更に、既に述べた本発明の第1及び第2の実施の形態において、基板13の内部に、アンテナとなるコイルを埋込み、ICタグ(RFタグ)と同様に、埋込まれたコイルの電磁誘導による電力で半導体集積回路(信号選択回路)26を動作させるようにしても良い。小型の
ICタグ(RFタグ)と同様に、神経信号用プローバを生体の外部に取り付け、若しくは神経信号用プローバを生体の内部に埋め込めば、運動神経等の動作の激しい神経に対しても安定した信号取得や神経刺激が可能になる。
【0072】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0073】
(利用可能性1)
運動神経は脳(中枢神経系)から骨格筋への運動命令を伝える神経であり、各運動神経線維(群)の連係によって、複数の骨格筋の運動を制御して、全体として円滑な協調運動を可能にしている。運動障害のある疾患では、骨格筋単一による運動、或いは複数筋の協調運動が困難である。本発明の実施の形態に係る神経信号用プローバ、神経信号出力装置、神経信号記録装置及び神経信号入出力装置を用いて、運動神経線維の神経活動を測定すれば、運動制御に関する生理的機序を解明するのに有用であり、又、運動障害疾患に関する医学や医学研究に有用である。一方、本発明の実施の形態に係る神経信号用プローバ、神経刺激装置及び神経信号入出力装置を用いて運動神経を線維群毎に電気刺激すれば、各筋別に筋収縮を制御して複数筋による協調運動を人工制御でき、運動障害疾患の治療に繋がる。
【0074】
(利用可能性2)
自律神経は、心臓・血管・肺・胃腸・膀胱・汗腺等の各臓器機能を調節する重要な神経である。この自律神経は循環器疾患・神経疾患・免疫疾患等の多くの疾患で異常を示し、病態の進行や治癒に関与する。例えば慢性心不全では、自律神経のうち交感神経が異常に亢進し、迷走神経が異常に低下しており、これを是正する治療が死亡率を低減することが開示されている(非特許文献4)。本発明の実施の形態に係る神経信号用プローバ、神経信号出力装置、神経信号記録装置及び神経信号入出力装置を用いて、自律神経活動を測定すれば、自律神経に関する生理的機序を解明するのに有用であり、又、自律神経の関与する疾患に関する医学や医学研究に有用である。一方、本発明の実施の形態に係る神経信号用プローバ、神経刺激装置及び神経信号入出力装置を用いて自律神経線維を電気刺激すれば、自律神経活動を人工制御でき、自律神経異常を是正する治療となる。
【0075】
(利用可能性3)
痒み・しびれ・慢性疼痛等の感覚異常では、病態が良く理解されていないものが多い。本発明の実施の形態に係る神経信号用プローバ、神経信号出力装置、神経信号記録装置及び神経信号入出力装置を用いて、求心性感覚神経活動を測定すれば、感覚異常に関する医学や医学研究に有用である。一方、本発明の実施の形態に係る神経信号用プローバ、神経刺激装置及び神経信号入出力装置を用いて求心性感覚神経線維を刺激すれば、脳で知覚される感覚を人工的に改変できるため(人工感覚)、医学や医学研究に資すると思われる。
【0076】
(利用可能性4)
求心性神経は、脳や脊髄等を介して反射性に自律神経等の遠心性神経を調節し、臓器機能を調節する。本発明の実施の形態に係る神経信号用プローバ、神経信号出力装置、神経信号記録装置及び神経信号入出力装置を用いて、求心性神経活動を測定すれば、求心性神経に関する医学や医学研究に有用である。一方、本発明の実施の形態に係る神経信号用プローバ、神経刺激装置及び神経信号入出力装置を用いて求心性神経線維を刺激すれば、上記反射を用いて自律神経や臓器機能を人工制御できるため、医学や医学研究に有用である。
【0077】
(利用可能性5)
神経束内における神経線維の局在は、十分に解明されていない。本発明の実施の形態に係る神経信号用プローバ、神経信号出力装置、神経信号記録装置及び神経信号入出力装置による神経活動測定や神経刺激と、針電極アレイ構造を組合わせることによって、この神経線維の局在分布を解明できる。この局在情報が明らかになれば、神経測定や神経刺激に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る神経信号用プローバの概略を説明する模式的な平面図(上面図)である。
【図2】図1に示す平面図(上面図)のI−I方向から見た模式的な断面図である。
【図3】図1に示す平面図のII−II方向から見た模式的な断面図である。
【図4】図2に対応する断面で示した本発明の第1の実施の形態に係る神経信号用プローバの組み立て図である。
【図5】図5(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る神経信号用プローバに用いる金属鍼の概略構造を説明する模式的な断面図で、図5(b)は、図5(a)の電極鍼本体を示す模式的な横面図である。
【図6】鍼の太さを横軸に鍼の長さを縦軸にプロットし、Si鍼とW鍼とがそれぞれ折れるポイントを比較する図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る神経信号出力装置の概略の回路構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る神経信号入出力装置の概略の回路構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る神経信号入出力装置において、基板に半導体集積回路(信号選択回路)、制御回路、信号発生回路及び信号処理回路をモノリシック若しくはハイブリッドに集積化する種々の態様を説明するための模式的なブロック図である。
【図10】実装基板に半導体集積回路(信号選択回路)をモノリシックに集積化した基板と、制御回路をモノリシックに集積化した半導体チップと、信号発生回路をモノリシックに集積化した半導体チップとをハイブリッドに集積化する態様を説明するための模式的な断面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態の第1変形例に係る神経信号用プローバの概略を説明する模式的な鳥瞰図である。
【図12】図11に示す神経信号用プローバを、神経束へ固定している様子を説明する模式的な断面図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係る神経信号用プローバの概略を説明する模式的な断面図である。
【図14】麻酔下兎の下肢腓骨神経に、本発明の第1の実施の形態に係る神経信号用プローバを装着して記録した筋交感神経活動の波形を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る神経信号用プローバの模式的な断面図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る神経信号用プローバの組み立て工程を説明する模式的な工程断面図である(その1)。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係る神経信号用プローバの組み立て工程を説明する模式的な工程断面図である(その2)。
【図18】本発明のその他の形態に係る神経信号用プローバの概略を説明する模式的な平面図(上面図)である。
【符号の説明】
【0079】
ij-1,pij,pij+1,pij+2,…金属鍼
ij-1,uij,uij+1,uij+2,…フィードスルー貫通孔
11ij…電極鍼本体
11,11c…台座層
12ij…絶縁被膜
12,12c…スペーサ層
13,13c…基板
14…第1の保護層
14c…第2の保護層
15…半導体チップ
17a,17b,17c,17d,17e,17f…ハンダボール
18…実装基板
23…金属配線層
24a,24b,24c,24d…ボンディングパッド
25p…出力配線
25a,25b,25c,25d…接続配線
25b…ボンディングワイヤ
27…樹脂
28…外部回路
29…外部回路
31a,31b,31c,31d…固定具貫通孔
32a、32b…高さガイド
35…絶縁膜
42a、42b…手術糸
43…埋込プラグ
51…パンド
51,52,71,72…バッファ増幅器
53,75…多重変換器(マルチプレサ)
54…入力増幅器
55,76,79…多重分離器(デマルチプレサ)
56,57…出力増幅器
60…制御回路
73,74…出力増幅器
77…入力増幅器
78…出力増幅器
80,81…出力増幅器
84…制御回路
91…制御回路
92…電源回路
93…信号発生回路
94…信号処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
該基板の上面側に設けられ、複数の植込用貫通孔を有する台座層と、
前記複数の植込用貫通孔のそれぞれに下部を埋め込んで固定され、先端部と底部を除き絶縁被膜で被覆された金属鍼からなるプローブアレイ
とを備え、前記プローブアレイの少なくとも一部を神経に刺すことにより得られた神経活動信号を電気信号として出力し、且つ前記金属鍼を用いて、神経に電気信号を出力することを特徴とする神経信号用プローバ。
【請求項2】
前記基板には、少なくとも信号選択回路を有する半導体集積回路が集積化され、前記神経活動信号を電気信号として前記信号選択回路が選択し、該選択された電気信号を前記神経信号用プローバから出力し、且つ前記信号選択回路で選択した特定の前記金属鍼を用いて、神経に電気信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の神経信号用プローバ。
【請求項3】
前記複数の植込用貫通孔は、50〜500μmの範囲のピッチで少なくとも6個以上周期的に開口されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の神経信号用プローバ。
【請求項4】
半導体集積回路は、前記基板の下面側に埋め込まれていることを特徴とする請求項2に記載の神経信号用プローバ。
【請求項5】
前記基板と前記台座層との間に、前記複数の植込用貫通孔に対応した位置に、それぞれ配線用貫通孔を有するスペーサ層を更に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の神経信号用プローバ。
【請求項6】
前記基板は、更にアンテナとなるコイルを埋込み、該コイルの電磁誘導による電力で前記半導体集積回路が動作することを特徴とする請求項2又は4に記載の神経信号用プローバ。
【請求項7】
少なくとも信号選択回路を有する半導体集積回路を集積化した基板と、
前記基板の上面側に設けられ、複数の植込用貫通孔を有する台座層と、
前記複数の植込用貫通孔のそれぞれに下部を埋め込んで固定され、先端部と底部を除き絶縁被膜で被覆された金属鍼からなるプローブアレイと、
前記プローブアレイの少なくとも一部を神経に刺すことにより得られた神経活動信号を前記信号選択回路で電気信号として選択且つ増幅して出力し、更に、前記信号選択回路を制御する制御回路
とを備えることを特徴とする神経信号出力装置。
【請求項8】
基板と、
該基板の上面側に設けられ、複数の植込用貫通孔を有する台座層と、
前記複数の植込用貫通孔のそれぞれに下部を埋め込んで固定され、先端部と底部を除き絶縁被膜で被覆された金属鍼からなるプローブアレイと、
前記プローブアレイの少なくとも一部を神経に刺すことにより得られた神経活動信号を電気信号として処理する信号処理回路と、
該信号処理回路の出力を記録する記録装置
とを備えることを特徴とする神経信号記録装置。
【請求項9】
前記基板には、少なくとも信号選択回路を有する半導体集積回路が集積化され、前記神経活動信号を電気信号として前記信号選択回路が選択し、
前記制御回路は、前記信号選択回路で電気信号として選択された前記神経活動信号を増幅して出力し、且つ前記信号選択回路を制御することを特徴とする請求項8に記載の神経信号記録装置。
【請求項10】
少なくとも信号選択回路を有する半導体集積回路を集積化した基板と、
前記基板の上面側に設けられ、複数の植込用貫通孔を有する台座層と、
前記複数の植込用貫通孔のそれぞれに下部を埋め込んで固定され、先端部と底部を除き絶縁被膜で被覆された金属鍼からなるプローブアレイと、
神経を刺激するための電気信号を生成する信号発生回路と、
前記神経を刺激するための神経刺激信号が、前記プローブアレイの少なくとも一部を介して神経を刺激するように、前記信号選択回路を制御する制御回路
とを備え、前記信号選択回路で選択した特定の前記金属鍼を用いて、神経を刺激することを特徴とする神経刺激装置。
【請求項11】
少なくとも信号選択回路を有する半導体集積回路を集積化した基板と、
前記基板の上面側に設けられ、複数の植込用貫通孔を有する台座層と、
前記複数の植込用貫通孔のそれぞれに下部を埋め込んで固定され、先端部と底部を除き絶縁被膜で被覆された金属鍼からなるプローブアレイと、
神経を刺激するための神経刺激信号を生成する信号発生回路と、
前記プローブアレイの少なくとも一部を神経に刺すことにより得られた神経活動信号を電気信号として増幅して出力し、更に、前記神経を刺激するための神経刺激信号が、前記プローブアレイの少なくとも一部を介して神経を刺激するように、前記信号選択回路を制御する制御回路
とを備えることを特徴とする神経信号入出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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