神経刺激を提供する装置及び関連方法
装置は、前記装置の外面のうち、光透過性電極に近い部分に接触するユーザに、経皮的神経電気刺激を提供するよう構成された、前記光透過性電極を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、電気的神経刺激を提供する装置および関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーンディスプレイは、電気消費財の分野で既知である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書は、装置の外面のうち、光透過性電極に近い部分に接触するユーザに、経皮的神経電気刺激(transcutaneous electrical nerve stimulation)を提供するよう構成された前記光透過性電極を含む、前記装置を提供する。
【0004】
さらに、本明細書は、基板と、前記基板に支持された2次元配列の電極と、前記電極のうちの1つ以上に神経刺激電位を選択的に提供するよう構成された刺激回路とを含む装置を提供する。
【0005】
さらに、本明細書は、光透過性電極を使用して、前記装置の外面のうち、前記光透過性電極に近い部分に接触するユーザに経皮的神経電気刺激を提供するステップを含む方法を提供する。
【0006】
さらに、本明細書は、基板に支持された2次元配列の電極を動作させる方法であって、前記電極のうちの1つ以上に神経刺激電位(nerve stimulation potential)を選択的に提供するステップを含む、方法を提供する。
【0007】
さらに、本明細書は、第1の基板層を設けるステップと、前記第1の基板層に複数の凹部領域を形成するステップと、前記第1の基板層上に第1の複数の導電路(conducting track)を形成するステップと、前記凹部領域に第2の基板層を設けるステップと、前記第2の基板層上に第2の複数の導電路を形成するステップと、前記第2の基板層上および前記第2の複数の導電路上に、第3の基板層を設けるステップとを含む方法を提供する。
【0008】
さらに、本明細書は、複数の突起が形成された型を設けるステップと、第1の複数の導電路を前記型上に形成するステップと、前記型のうち、前記突起間の領域上に、第1の基板層を設けるステップと、前記第1の基板層上に第2の複数の導電路を形成するステップと、前記第1の基板層上および前記第2の複数の導電路上に第2の基板層を設けるステップと、前記型を除去するステップと、前記除去された型によって空けられた体積内に、第3の基板層を設けるステップとを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】電子デバイスの平面図である。
【図1B】図1Aの電子デバイスの概略断面図である。
【図1C】別の実施形態による、図1Aの電子デバイスの概略断面図である。
【図2】図1の電子デバイスのコンポーネントの簡略平面図である。
【図3A】図2のコンポーネントの或る領域の拡大図である。
【図3B】図3Aに示されている領域の断面図である。
【図3C】別の実施形態による、図3Aに示されている領域の断面図である。
【図4A】図3Aに示されているコンポーネントの領域の第1の副層の平面図である。
【図4B】図3Aに示されているコンポーネントの領域の第1および第2の副層の平面図である。
【図5】図2のコンポーネントの一部分の概略平面図である。
【図6】図2の電極の一部分を制御する回路の略図である。
【図7】図2のコンポーネントを製造する方法を示すフローチャートである。
【図8】図2のコンポーネントを製造する別の方法を示すフローチャートである。
【図9】生物医学デバイスの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面では、同じ参照番号は同じ構成要素を示す。
【0011】
図1Aは、電子デバイス10、この例では移動電話の平面図を示す。移動電話10は、ディスプレイ102、スピーカ104、マイクロホン106、および筐体108を含む。ディスプレイ102は、タッチセンシティブディスプレイである。図面では、ディスプレイ102は、番号110、通話機能112、および終話機能114を含むいくつかの選択可能オプションを含む、ダイヤル用ユーザインターフェースを表示している。オプションを選択するために、ユーザは、ディスプレイ102の外表面116(図1B参照)の所望のオプションに対応する位置に触れる。
【0012】
図1Bは、図1AでAと示されている線での移動電話10の概略断面図を示す。筐体108は、ディスプレイ102の側面118および裏面120を囲む。筐体108の内側122およびディスプレイ102の裏面120が、移動電話10の内部体積124を定義する。内部体積124は、電池126およびプロセッサ128を収容する。電池126は、プロセッサ128およびディスプレイ102に電力を供給する。プロセッサ128は、ディスプレイ102の動作を制御するようになっている。
【0013】
ディスプレイ102は、ディスプレイパネル130およびタッチセンシティブ触覚フィードバック(TSTF:touch sensitive tactile feedback)層132を含む。
【0014】
ディスプレイパネル130は、LCDディスプレイパネルを含み、その動作および構造は、当該技術分野において周知である。なお、当然のことながら、代わりに他の種類のディスプレイパネルが使用されてもよい。
【0015】
TSTF層132は、ディスプレイパネル130の上面134に重なる。TSTF132層は、ユーザの指がTSTF層132の外表面116に触れることによる触覚入力を検出するよう動作可能である。さらに、TSTF層132は、TSTF層132の外表面116に触れるユーザの指に触覚フィードバックを提供するよう動作可能である。
【0016】
図1Cは、別の実施形態による、移動デバイス10の概略断面図を示す。この実施形態では、TSTF層132は、ディスプレイパネル130が位置する表面とは反対の、デバイス10の表面上に設けられている。TSTF層は、TSTF層132の外表面116(図1Cでは下面)にユーザの指が触れることによる触覚入力を検出するよう動作可能である。さらに、TSTF層132は、TSTF層132の外表面116に触れるユーザの指に触覚フィードバックを提供するよう動作可能である。
【0017】
当然のことながら、TSTF層132は、移動デバイス10の任意の外面の中または上に設けられるとよい。例えば、TSTF層は、デバイスの側面に位置し、トラックホイールに取って代わってもよい。さらに、当然のことながら、移動デバイス10は、2つ以上のTSTF層132を含んでもよい。例えば、1つのTSTF層が、デバイスのディスプレイの上に位置してもよく、もう1つが、デバイス10の裏に位置してもよい。
【0018】
図1Cのデバイスのユーザは、ディスプレイパネル130の領域上に表示される選択可能オプションに対応するTSTF層132のエリアに触れることによってタッチ入力を提供するとよい。
【0019】
図2は、TSTF層132の簡略平面図を示す。TSTF層132は、グリッド配列に配置された複数の電極136を含む。各電極136は、ユーザの指がTSTF層132の外表面116に触れることによる触覚入力を検出するよう個々に動作可能である。さらに、各電極は、TSTF層132の外表面116に触れるユーザの指に触覚フィードバックを提供するよう個々に動作可能である。
【0020】
TSTF層132は、光透過性である。よって、可視光がTSTF層132を通過でき、拡散はほとんど、または全くない。TSTF層132の下にあるディスプレイパネル130によって表示されるイメージは、ユーザにはっきりと見える。当然のことながら、TSTF層132全体が光透過性であるため、その構成部品も光透過性である。よって、電極136は光透過性である。当然のことながら、図1Cのものなど、ディスプレイパネル130の上に位置しないTSTF層132はそうではなく、光不透過性または半透明であってもよい。
【0021】
図3Aは、図2でBと示されているTSTF層132の領域を示す。図3Bは、図3AでCと示されている線に沿った、TSTF層132の領域Bの断面図である。複数の電極136はそれぞれ、第1の電極素子138および第2の電極素子140から成る。第1の電極素子138は、空き領域144を囲む導電領域142を有する。導電領域142は、環状である。第2の電極素子140は、第1の電極素子138の空き領域144の中心に位置する。第2の電極素子140は正方形である。第1および第2の電極素子138、140は、その中心がほぼ同じ場所にある。
【0022】
各電極136の第1の電極素子138はそれぞれ、隣接した2つの電極136の第1の電極素子138に、第1の接続素子146によって接続される。このように、第1の電極素子138の縦列148は、直列接続されている。この、接続された第1の電極素子138の縦列148が、TSTF層132の全長にわたって延びている。当然のことながら、各縦列148の両端にある第1の電極素子138は、1つだけの他の第1の電極素子138に接続される。
【0023】
第1の電極素子138の各縦列148は、両端において第1の電源(図示せず)に接続される。第1の電源は、第1の電極素子138の各縦列に個別に電位を提供するよう動作可能である。第1の電源は、電池126から得られる電力を提供する。当然のことながら、別の電力源を有するデバイスでは、第1の電源は、その別の電力源から得られる電力を提供するとよい。別の電源は、例えば、充電入力で受信され得るものなど、変換された商用電源とすることもできる。
【0024】
図3Bから明確であるように、第1の電極素子138のそれぞれおよび第1の接続素子146のそれぞれは、第1の平面にある。図3Aでは、第1の平面は、ページの平面と平行であり、図3Bでは、第1の平面は、ページの平面に対して垂直である。
【0025】
各電極136の第2の電極素子140はそれぞれ、隣接した2つの電極136の第2の電極素子140に、第2の接続素子150によって接続される。このように、第2の電極素子140の横列152は、直列接続されている。この、接続された第2の電極素子140の横列152が、TSTF層132の全幅にわたって延びている。当然のことながら、各横列148の両端にある第2の電極素子140は、1つだけの他の第2の電極素子140に接続される。
【0026】
各第2の接続素子150はそれぞれ、平面部154および2つの中間部156を含む。第2の電極素子140は、第2の接続素子150の平面部154とは違う平面にある。第2の電極素子140は、実質的に第1の平面にある。これは、第1の電極素子138がある平面である。当然のことながら、代わりに、第1および第2の素子は同じ平面になくてもよい。第2の接続素子150の平面部154は、第1の平面に対して実質的に平行な第2の平面に位置する。第2の平面は、第1の平面と比べて、TSTF層132の外表面116から、より遠い。よって、第2の接続素子150は、第1の電極素子138の下を通る。
【0027】
第2の接続素子150それぞれの2つの中間部156はそれぞれ、第2の接続素子の平面部154を第2の電極素子と接続する。中間部156は、第1の平面と、第2の平面との間に延びる。
【0028】
第1の電極素子138の各縦列148は、両端において第1の電源(図示せず)に接続される。第2の電極素子140の各横列152は、両端において第2の電源(図示せず)に接続される。第1の電源は、第1の電極素子138の各縦列に個別に電位を提供するよう動作可能である。第2の電源は、第2の電極素子140の各横列に個別に電位を提供するよう動作可能である。第1および第2の電源は、電池126から得られる電力を提供する。当然のことながら、別の電力源を有するデバイスでは、第1および第2の電源は、その別の電力源から得られる電力を提供するとよい。別の電源は、例えば、変換された商用電源とすることもできる。
【0029】
第1の電極素子138の縦列148および第2の電極素子140の横列152は、実質的に互いに垂直である。しかし、代わりに非垂直に配置されてもよい。
【0030】
電極136は、ユーザの指先の神経に電気刺激を提供するよう、個別に動作可能である。当然のことながら、電極はさらに、例えば、次に限定はされないが、手首の皮膚またはそれより上の皮膚など、ユーザの皮膚の任意の位置に電気刺激を提供するよう個別に動作可能であってもよい。
【0031】
電極136間の距離D2は、ミリメートル未満からミリメートルの範囲であるとよい。距離D2は、例えば0.1mm〜5mmの範囲としてもよい。距離D2は、例えば0.1mm〜1mmの範囲とすると有利である。距離D2は、例として0.1mm〜0.5mmの範囲としてもよい。指先の受容体は、この間隔によって、2つの別々の電極136からユーザが電気刺激を検出できるような密度である。電極136間のこの間隔D2において、環状の第1の電極素子138の半径D3は、約D2/4またはD2/4弱、例として100μmとしてもよく、第2の電極素子の幅D4は、約D2/8またはD2/8弱、例として50μmとしてもよい。
【0032】
TSTF層132は、第1の副層158、第2の副層160、および第3の副層162の3つの副層を含む。
【0033】
第1の副層158は、均一の厚さのベース部164を含む。ベース部164の底面166は、TSTF層132の底面166を構成または形成する。ベース部164の上面168から、実質的に台形の断面を有する複数の隆起168が延びている。当然のことながら、代わりに、複数の隆起168は例えば、次に限定はされないが、半球状などの別の断面形状を有してもよい。当然のことながら、第2の電極素子140の横列152を隆起168の上面に提供できる限り、隆起168の厳密な形状は重要でないと考えられる。
【0034】
第2の電極素子140は、第1の副層158の隆起168上に提供されずに、細長くない突起の上に第2の電極素子が提供されてもよい。例えば、突起は、第1の副層158のベース部164から延びる、3次元台形、すなわち截頭四角錐形であってもよい。したがって、この実施形態では、第1の副層158は、第2の電極素子140を支える2次元配列の突起を有する平らなベース部164を含むとよい。第2の副層160は、2次元配列の突起を囲んでベース部164の領域上に提供されるとよい。第2の副層160は、突起の高さくらいにまで延びるとよい。突起同士は、一定または非一定の間隔が空けられるとよい。
【0035】
隆起168は、互いに等距離にある。なお、当然のことながら、代わりに隆起168間の間隔は、均一ではなく変化してもよい。例えば、第1の副層158が、一定または非一定の間隔を空けた隆起168のグループを複数含むよう、隆起168が提供されてもよい。このようにして、一定または非一定の間隔を空けた電極136のグループが提供されてもよい。隆起168は、第1の副層158の全長にわたって延びている。
【0036】
第2の電極素子140の横列152は、第1の副層158の上面上に提供される。第2の電極素子140の横列152は、隆起168の縦軸に対し垂直である。第2の接続素子150の平面部154は、ベース部164の上面168の、隆起168間の領域に位置する。中間部156は、隆起168の傾斜辺170に位置する。第2の電極素子140は、隆起168の上面172に位置する。図4Aは、接続された第2の電極素子140の横列152が上にある、第1の副層158の平面図を示す。第2の電極素子140の横列152は、互いに等距離にある。なお、当然のことながら、代わりに、横列152間の間隔は、均一ではなく変化してもよい。例えば、横列152は、一定または非一定の間隔を空けられた横列168の複数のグループとして提供されてもよい。このように、一定または非一定の間隔を空けた電極136のグループが提供されるとよい。
【0037】
第2の副層160は、第1の副層158の隆起168の間の領域に提供される。第2の副層160は、第1の副層158のベース部164から、第1の副層158の隆起168の上端172の高さくらいまで延びる。したがって、第2の副層160は、隆起168間の別々の異なる領域160a、160b、160c、160dを含む。第2の副層160の別々の領域160a、160b、160c、160dは、図3Bに示すように、実質的に台形の断面を有する。当然のことながら、代わりに、複数の隆起168は例えば、次に限定はされないが、半球状などの別の断面形状を有してもよい。図4Bは、第1および第2の副層158、160、ならびにその上に位置する第2の電極素子140の平面図を示す。
【0038】
第1の電極素子138の縦列148(図4Bには示さず)は、第2の副層160の上面172に、接続された第2の電極素子140の横列152に対して垂直方向に設けられる。なお、当然のことながら、代わりに横列152および縦列148は、互いに垂直でなくてもよく、互いに別の角度で設けられてもよい。
【0039】
第3の副層162は、接続された第1の電極素子138の縦列148が上に提供された、第2の副層160の上に提供される。第3の副層162は、平らな上面を有し、これがTSTF層132の外表面116を構成する。
【0040】
接続された第1の電極素子138の縦列148は、電導性材料を含む。接続された第2の電極素子140の横列152は、電導性材料を含む。接続された第1の電極素子138の縦列148および接続された第2の電極素子140の横列152は、光透過性材料を含む。適切な材料には、透明薄層として提供される、カーボンナノチューブネットワーク(CNTN:carbon nanotube network)、インジウムチタン酸化物(ITO:indium−titanium−oxide)フィルム、例えば酸化亜鉛などのワイドバンドギャップ酸化物、および金または銀の薄層が含まれるが、これらに限定はされない。当然のことながら、微視的規模では、これらの材料は光透過性でなくてもよい。しかし、対象の巨視的規模では、これらの材料は、TSTF層132を通してディスプレイパネル130に表示されるイメージをユーザがはっきりと見ることができるよう十分に透過的である。接続された第1および第2の電極素子136、140の厚さD1(図3B参照)は、ナノメートル〜ミクロン単位の範囲であるとよい。例として、厚さD1は、20nm〜100nmの範囲であるとよい。当然のことながら、代わりにD1の他の値が適切なこともある。
【0041】
TSTF層132の3つの副層158、160、162は、光透過性である。第1および第2の副層158、160は、電気絶縁性誘電材料を含む。第1および第2の副層158、160に適切な材料には、シリコーン、ポリイミド、ポリ(メタクリル酸メチル)(アクリルガラス)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、またはポリエチレンテレフタレートが含まれるが、これらに限定はされない。
【0042】
副層の材料は、TSTF層132と、ディスプレイパネル130との間の効果的な屈折率(RI:refractive index)マッチングを提供するように選ばれるとよい。さらに、副層の材料は、副層同士の間の効果的な屈折率(RI)マッチングを提供するように選ばれるとよい。これにより、TSTF層132中の光の透過を最適化できる。可能であれば、別々の副層に同じ材料を利用することが有益であると考えられる。適切な材料は、ディスプレイパネルに一般に使用される光学ガラスのRIにマッチするよう、約1.5の屈折率を有する傾向にある(シリコーンのRIは1.38〜1.6、PMMA(Poly(methyl methacrylate)):ポリ(メタクリル酸メチル))のRI=1.59)。
【0043】
第3の副層162は、電気絶縁性である。これは、電極が、確実にユーザの指から電気絶縁されるようにする。こうすることで、ユーザの指がぬれていること、または汚れていることによる、デバイスの動作への影響が軽減されるとよい。第3の副層162は、外部環境から電極136を保護する特性を有する。こうした特性には、疎水性であること(水との親和性がまったくまたはほとんどない)、自己洗浄性であること、傷が付きにくいこと、ならびに油/グリースをはじくこと(疎油性(oleophobic))のうち、いずれか1つ以上が含まれ得るが、これらに限定はされない。自己組織化単分子膜被覆が、第3の副層162の外表面116上に堆積されてもよい。第3の副層162は、疎水性および/または疎油性両方を呈してもよい。これは、指先と、外表面116との接点の乾燥した状態を作り、それを維持する。あるいは、またはさらに、外表面116は、微視的に、またはナノスケールで、粗くてもよい。これは、外表面116上の汚染物質または異物の接触面積を減らす。あるいは、第3の副層162は、光触媒および親水処理ができるようになっていてもよい。これは、任意の適切な方法で実現されるとよい。第3の副層162は、例えば、シリコーン、ポリイミド、ポリ(メタクリル酸メチル)(アクリルガラス)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、またはポリエチレンテレフタレートから成るとよい。
【0044】
TSTF層132の全体的な厚さD5は、ミクロン〜ミリメートル単位の範囲であるとよい。例として、TSTF層132の全体的な厚さD5は、50μm〜300μmの範囲であるとよい。第1および第2の副層158、160を合わせた厚さD6は、厚さD5よりわずかに薄いとよい。なお、当然のことながら、D6は、必然的にD5よりも薄くなければならない。第3の副層162は、ミクロン未満〜ミクロン単位の範囲の厚さD7であるとよい。第3の副層162の厚さD7は、ユーザの皮膚との効率的な静電容量結合のための要件によって制限される。D7の値は、500nm〜2μmの範囲であるとよい。当然のことながら、TSTF層の光透過性の所望の効果、タッチ入力を検出する能力、およびユーザに触覚フィードバックを提供する能力を提供しながら、他の厚さが適切であることもあり得る。
【0045】
第1および第3の副層158、162の間に電極136を封入することによって、電極は、腐食、摩耗、侵食および同様のことから保護されるとよい。したがって、TSTF層132は、比較的耐久性がある。
【0046】
図3Cは、別の実施形態による、図3Aに示されている領域の断面図である。図3Cでは、TSTF層がさらに、ガード電極173を含む。図面の他のコンポーネントは、図3Bに示されているものと同じであるが、参照番号は省略した。ガード電極173は、第1および第2の接続素子の間の寄生静電容量結合を無効にすることによって、TSTF層132の入力検出機能性の性能を高めるとよい。
【0047】
ガード、すなわちグランド電極173は、第1および第2の電極素子148、140が実質的に位置する第1の平面と、第2の接続素子150がある平面との間に位置する。こうした実施形態では、第2の副層160は、2つのセクションとして提供されてもよい。第1のセクションは、第1の副層158から、隆起168または突起の高さの約半分まで延びるとよい。ガード電極173は、第2の副層160の第1のセクションの上に提供されるとよい。第2の副層160の第2のセクションは、ガード電極173の上に提供されるとよい。ガード電極173は、第2の副層160によって、第1および第2の電極素子の縦列および横列から電気絶縁される。ガード電極173は、TSTF層132の、複数の隆起168の間の領域に位置する。ガード電極173は接地されるとよい。
【0048】
隆起168の代わりに複数の突起を含む実施形態では、ガード電極173は、TSTF層132の、各突起の間の領域に位置する。これらの実施形態では、ガード電極173は、TSTF層132の全エリアにわたって提供される単層の導電材料から形成されるとよく、ただし突起を囲む空の領域があるとよい。空の領域は、突起の形状に従って成形されるとよい。ガード電極173は接地されるとよい。
【0049】
別の実施形態によれば、ガード電極は再分割されてもよい。これらの実施形態では、ガード電極に、動的に制御されるとよいオフセット電位が提供されるとよい。
【0050】
TSTF層132は、電極136と、ユーザの指先との間の静電容量結合の結果として、タッチ入力を検出するよう動作可能である。再び図3Bを参照する。第1の電極素子138が、誘電材料の領域によってそれぞれの第2の電極素子140から離されていることが分かる。当然のことながら、第1および第2の電極素子138、140に電位差が印加されると、検出可能な静電容量を有する事実上のコンデンサが形成される。指先がTSTF層132の外表面116に当てられるとき、指先は、誘電材料の領域(第3の副層162)によって、第1および第2の電極素子138、140から離されている。したがって、指先は、電極素子138、140のうちの少なくとも1つと異なる電位を有するため、その少なくとも1つの電極素子138、140と、指先との間にコンデンサが形成される。当然のことながら、指先は、複数の電極と同時に静電容量結合し得る。電極136と、指先との間の静電容量は、第1および第2の電極素子138、140、ひいては対応する横列152および縦列148の間の静電容量の値の変化をもたらす。1つ以上のトランジスタ回路(図示せず)が、各横列および各縦列と切り替え可能なように接続される。これらの回路は、特定の横列および縦列の組み合わせで生じる静電容量の変化を検出するよう動作可能である。トランジスタ回路(図示せず)は、プロセッサ128に接続され、プロセッサ128は、トランジスタ回路の出力に基づき演算を実行し、指先による接触が生じる横列および縦列の組み合わせを決定するよう構成されている。
【0051】
あるいは、当然のことながら、トランジスタを含まないシステムが、電極のうちの1つ以上における静電容量の変化を検出するために使用されてもよい。
【0052】
このように、プロセッサ128は、静電容量の変化が生じている少なくとも1つの電極136を特定するよう動作可能である。このように、プロセッサは、TSTF層132の表面でのタッチ入力の発生を検出し、その位置を、静電容量の変化が生じている単数または複数の電極の位置に少なくとも部分的に基づいて決定するよう動作可能である。
【0053】
さらに、TSTF層132のタッチセンシティブ機能性は、デバイスが指紋スキャニング機能性を提供できるようにしてもよい。指先は、隆起およびくぼみの固有のパターンから成る。したがって、指先がTSTF層132の外表面116と接触するとき、表面116と接触するのは指先の隆起のみであり、一方でくぼみは短い距離をおいて離れている。指先の隆起の下にある電極136には、くぼみの下の電極136とは異なる静電容量の変化が生じる。したがって、TSTF層132の電極136の離れている距離が、約0.5mmと考えられる指先の隆起間の距離よりも小さければ、TSTF層132によるユーザの指紋の検出が可能である。デバイスが指紋スキャニングを実行できるようにするには、約150μmの電極の離隔D2が適切である。当然のことながら、移動電話などのデバイスで指紋スキャニング機能性を提供することは、セキュリティ能力の大幅な強化を可能にする。こうしたセキュリティ能力は、移動電話の指紋ロックおよびロック解除、デバイスに記憶されている私的な文書の指紋ロックおよびロック解除などの機能を含み得る。さらに、セキュリティ能力は、ディスプレイパネル上に表示され選択可能オプションを表すグラフィックイメージであるとよいセキュアなアイコンアプリケーションなどの機能を含んでもよく、このオプションは、承認および/または許可された指紋による入力後のみ選択/実行することができる。さらに、TSTF層132を用いて移動デバイスに指紋スキャニング機能性を組み込むことで、追加の指紋スキャナを提供する必要がなくなる。これにより、指紋スキャニング機能性を含む移動デバイスの製造に関連する、全体的な材料費および材料表が縮小される。
【0054】
さらに、TSTF層132は、移動電話10のユーザに触覚フィードバックを提供するよう動作可能である。触覚フィードバックは、電極136と、指先との間の静電容量結合を利用することによってユーザに提供される。タッチ入力の検出に関して上記で説明したように、指先がTSTF層132の外表面116に当てられると、指先が、指先の下にある単数の電極/複数の電極と静電容量結合する。この静電容量結合の結果、電荷がユーザの指先の神経終末において誘導される。神経終末において誘導される電荷は、第1および第2の電極138、140の間の電位差に依存する。神経終末において誘導される電荷が十分大きければ、ユーザに触感を提供することができる。ユーザの神経終末において十分に大きな電荷を提供するのに適切な電位差は、約10Vまたは10V弱である。これは、経皮的神経電気刺激(TENS:transcutaneous electrical nerve stimulation)として既知である。経皮的、または経皮性刺激は、皮膚を経由して、または皮膚を通して生じる。ユーザは、最適な触覚刺激が感じられるまで刺激電位差を増加または減少させることによって、触覚刺激の強さを調整するとよい。これは、例として、移動デバイスのメニューシステムを介してアクセスされるとよい調整機能によって実現されるとよい。
【0055】
この神経刺激は、いくつかの異なる方法で利用され得る。ユーザにフィードバックを提供するために使用されてもよい。TSTF層132を介するタッチ入力の検出に続いて、TSTF層132は、タッチ入力が受け取られた電極136を作動させてユーザの指先の神経刺激を提供するよう、プロセッサ128によって制御される。その結果として、ユーザには、タッチ入力がデバイス10によって記録されたことが分かる。
【0056】
TSTF層132によって提供される触覚フィードバックは、関係のある電極132のみが触覚刺激を提供するよう制御されるという意味で、非常に局所的である。この結果、局所的な触覚フィードバックを提供できないメカニズムと比較して、電力消費が少ない。さらに、TSTF層132は、デバイス自体の機械振動を提供する電圧または電磁アクチュエータを使用するデバイスと比較して、よりエネルギー効率が優れていると考えられる。さらに、触覚フィードバックを提供するためにデバイスの機械振動を利用するデバイスは、タッチ入力の検出と、ユーザへの触覚フィードバックの提供とのために、2つの別々のシステムを必要とする。TSTF層132は、これらの機能性の両方を同じハードウェアによって提供することができる。その結果、材料表を縮小できる。
【0057】
触覚刺激は、ディスプレイパネル130上に表示されるイメージに従って、ユーザに触覚情報を伝達するためにも使用することができる。例えば、ディスプレイパネル130上に選択可能オプション、例えばソフトキーが表示されると、ディスプレイパネル130の選択可能オプションの位置に対応するTSTF層132の電極136が作動されるとよい。こうすることで、ユーザの指が、選択可能オプションに対応するTSTF層132の表面のエリアと接触した状態になると、指先の神経受容体が、作動した電極136によって刺激されることになり、その結果、選択可能オプションに対応する場所にユーザの指先があることがユーザに示される。他のエリアには電圧が印加されていないため、別のエリアの指先は刺激されないことになる。
【0058】
選択可能オプションは、異なる色、明るさまたはパターンの領域によって境界が示される特定の色、明るさまたはパターンの領域としてディスプレイパネル130に表示されてもよい。あるいは、例えばインターネットブラウザのリンクの場合は、オプションと周囲の領域との間に、異なる種類の、目に見える定義があってもよい。リンクはディスプレイ上に、例えば単語、フレーズ、文、またはURLとして表されてもよい。リンクのテキストが特定の色であり、背景が異なる色であってもよい。あるいは、またはさらに、リンクのテキストには下線が引かれてもよい。当然のことながら、テキストに対応する領域で、TSTF層132にタッチ入力が印加されると、リンクが選択される。なお、さらに、リンクを囲む背景領域の小さな領域があってもよく、これは、タッチ入力によって選択されると、やはりリンク先に進むことになる。いずれの場合でも、選択可能オプション間の境界がユーザにはっきりと見えるか見えないかにかかわらず、ディスプレイパネル130およびTSTF層132を制御するプロセッサは、やはり境界を定義し、その内側の領域が選択可能オプションに対応し、その外側の領域は選択可能オプションに対応しない。
【0059】
ユーザの指が、ディスプレイ画面上の選択可能オプションに対応するTSTF層の領域と接触していることをユーザに示すよう、選択可能オプションの境界内のディスプレイパネル130の領域に対応する、TSTF層132の電極136が作動されるとよい。このように、境界は、TSTF層132のどの電極136が作動されるべきかを決定する。当然のことながら、ディスプレイパネル130には、2つ以上の選択可能オプションが同時に表示されてもよい。この場合、複数の境界が、作動される電極136の複数の領域を定義する。
【0060】
ディスプレイパネルに表示されるオブジェクトは、選択可能オプションを表さなくてもよい。代わりに、別のオブジェクトを表してもよい。例えば、オブジェクトは、アイコン、スプライトなどであってもよい。この場合の触覚フィードバックは、ユーザがオブジェクトを特定したことをユーザに示してもよく、例としてその結果、ユーザは、オブジェクトをディスプレイ上の別の位置へドラッグすることができると分かる。
【0061】
さらに、上記の機能性は、例えば、動画がディスプレイパネル130に表示されている場合など、動的な状況において実装されてもよい。例えば、波紋の動画がディスプレイパネル130によって表示されている場合、いつでも、波紋の細長い波のピーク位置に対応する電極が、指先の受容体の刺激を提供するよう作動されるとよい。その結果として、波紋の細長い波のピークが指先の「下を通る」ように見えるときに、ユーザの指先の受容体が刺激を受け、その結果「触覚の錯覚」が提供される。エネルギー効率を最大化するために、波紋の細長い波のピークの位置に対応し、且つユーザの指先の下にあると検出された当該電極のみが作動されるとよい。
【0062】
動的な状況においても、境界が定義される。境界は、選択可能な領域を定義しなくてもよいが、その代わりに、例えば上記で説明した細長い波などのオブジェクトを定義するとよい。細長い波の場合、内側境界および外側境界の2つの境界が、作動される領域を定義するとよい。オブジェクトがディスプレイパネル130中を移動するとき、単数または複数の境界も移動する。このように、電極が作動される位置は、単数または複数の境界が移動するにつれて変化する。
【0063】
当然のことながら、単数または複数の境界によって定義される電極136の作動のレベルは、均一でなくてもよい。例えば、細長い波のピークに対応する電極が、より高いレベルで作動される一方で、境界により近い当該電極は、より低いレベルで作動されてもよい。いずれの場合でも、当然のことながら、単数または複数の境界によって定義される作動領域外の電極136は作動されず、その一方で、単数または複数の境界によって定義される領域内の当該電極は作動される。
【0064】
TENSは、例えば摩擦、粗さ、輪郭の段など、任意の必要な触覚効果を引き起こすために使用可能である。したがって、物理的なキーまたはボタンに触れるような総合的な錯覚を、残りの表面に対して浮き出た特徴を用いてユーザに伝達するよう、触覚刺激パターンが最適化されてもよい。例えば、より滑らかな表面の領域をより粗い表面の領域が囲む、2つの異なる領域を再現するよう電極を作動させることによって、TSTF層を使用して、浮き出たボタンが再現されてもよい。これらの領域の上を指が移動するときに経験される効果は、浮き出たボタンの上で指を動かしたときのものと似ているとよい。
【0065】
選択可能オプション(またはディスプレイパネル130上の動画)に対応する電極136は、必ずしも、ディスプレイパネル130上の、選択可能オプションを示す画素の真上にある電極であるとは限らないと考えられる。代わりに、電極は、選択可能オプションのイメージからわずかにずれていてもよい。これは、ユーザがディスプレイ102を真上から見ていないこともあり、代わりにディスプレイ102の平面から90度未満の角度から見ていることもあり、その補正となる。プロセッサ128は、ユーザが、選択可能オプションのイメージの真上にあると把握するTSTF層132のエリアの電極であって、実際に真上にある当該電極ではない電極を作動させることによって、このずれを補正するよう動作可能であるとよい。当然のことながら、選択可能オプションのイメージの真上にあるとユーザが把握するエリアと、実際に選択可能オプションの上にあるエリアとは、大幅に重なり合うと考えられる。
【0066】
TSTF層132によって提供される触覚刺激など、高度に画素化された触覚刺激は、ユーザの指がディスプレイ102をナビゲートするのを助ける、幅広い一連の有意義な情報を提供するために使用可能である。これは、改善されたユーザ−デバイス対話と、より高いユーザ満足度とをもたらす。情報は、いつくかの方法で、TSTF層132を介してユーザに伝達可能である。例えば、電気触覚刺激言語(electro−tactile stimulation language)が提供されてもよい。例として、短期間および長期間の刺激の組み合わせがそれぞれ、例えば個別の文字などの異なる所定の意味を有してもよい。
【0067】
あるいは、電気触覚刺激言語は、利用できる様々なパラメータのうちの1つ以上を利用して、他のメッセージをユーザに伝達してもよい。当該のパラメータには、刺激周波数、パルス構造、パルス列パターン、信号変調振幅、および信号強度が含まれ得るが、これらに限定はされない。
【0068】
ディスプレイパネルに表示される種々の種類の選択可能オプションが、それに関連する種々の電極作動パターンを有してもよい。例えば、実行されると取り消すことのできないアクションを実行させると考えられる「削除」または「出荷時設定リセット」オプションに対応する電極136は、オプションの深刻な結果をユーザに警告するよう設計された、関連の作動パターンを有してもよい。そのようなパターンには、例えば、短期間の非作動によって周期的に隔てられた、短期間の特に強い作動が含まれ得る。例えばウェブページ上のリンクなど、深刻である可能性がより低いオプションには、より弱く連続的な電極作動パターンが関連付けられてもよい。
【0069】
以下、いくつかの適切な作動パターンについて説明する。第1のパターンは、等しく相当な持続時間にわたり、或る強さの作動と無作動とを、交互に作動させることを含むとよく、方形波に似る。第1のパターンの変形には、異なる周波数の方形波が含まれる。第2のパターンは、異なる持続時間の或る強さの作動と無作動とを、交互に作動させることを含むとよく、統一性のないマーク対スペース比の方形波に似る。第2のパターンの変形には、異なる周波数および/または異なるマーク対スペース比が含まれる。第3のパターンは、完全作動と、無作動との間の段階的な推移を含むとよい。段階的な推移は、上昇および/または下降であるとよい。段階的な推移は、正弦波プロファイルなど、曲線状の傾斜プロファイルを伴ってもよい。第2のパターンの変形には、異なる周波数、および/または異なる傾き、および/または立ち上がりおよび立ち下がりにおける異なる傾斜プロファイルが含まれる。
【0070】
選択可能オプションの見込まれる重大性に電極作動パターンが関連するのではなく、選択の結果にかかわらず、同じ作動パターンが同じ種類のオプションと関連してもよい。例えば、「はい」オプションは、その選択の結果電話のメモリが削除されようと、または通話を開始させることになろうと、同じ関連する電極作動パターンを有してもよい。こうすることで、ユーザは徐々に、特定の作動パターンと、特定のオプションとを結び付けて考えることができるようになるとよい。
【0071】
局所的な触覚フィードバックをユーザに提供するTSTF層132の運用性について、以下、図5を参照して記載する。図5は、10×6配列の電極136を含む、TSTF層132の一部分の略図を示す。電極の配列は、接続された第2の電極素子140の6つの横列152、および接続された第1の電極素子138の10の縦列148を含む。図面では、縦列のそれぞれにx座標が割り当てられており、左側(第1)の縦列がx=1であり、右側(第10)の縦列はx=10である。各横列には、y座標が割り当てられており、図5の最下(第1)の横列はy=1であり、最上(第6)の横列はy=6である。こうすることで、各電極136の構成要素である第1および第2の電極素子138、140の横列および縦列に基づき、各電極136を特定することが可能である。第1の電極素子138を縦列x=7に、第2の電極素子140を横列y=3に有する電極136は、電極(7,3)として特定されるとよい。概して、配列の任意の場所にある電極を、電極(x,y)として特定できる。
【0072】
電極136のうちの特定の電極、例えば電極(x=i,y=j)を作動させるために、−Vの電位(デバイス10内の中間電位に対して)が、縦列x=iの接続された第1の電極素子138に印加され、電位+V(デバイス10内の中間電位に対して)が、横列y=jの接続された第2の電極素子140に印加される。その結果、電極(x=i,y=j)を構成する第1および第2の電極素子138、140の間の電位差は、2×Vである。縦列x=iの第1の電極素子138および横列y≠jの第2の電極素子を有する各電極(x=i,y≠j)は、その第1および第2の電極素子138、140の間に+Vの電位差を有する。縦列x≠iの第1の電極素子138および横列y=jの第2の電極素子140を有する各電極(x≠i,y=j)は、その第1および第2の電極素子138、140の間に−Vの電位差を有する。
【0073】
2×Vの電位差は、神経刺激の閾値Vthより上の電気刺激をユーザの指先に提供する。一方、+/−Vの電位差は、閾下の電気刺激を提供する。したがって、作動された電極(x=i,y=j)は、ユーザの指の受容体の刺激を生じるが、作動されていない電極はすべて刺激を生じない。Vthは、1〜10ボルトの範囲であるとよい。各電極素子に供給される電位の大きさVは、デバイスのユーザによって調節可能であるとよい。こうすることで、ユーザは、その神経刺激の個別の閾値Vthに従って、作動される電極の電極素子間の電位差を調節することができる。
【0074】
当然のことながら、上記の方法を使用して、任意の数の電極136が任意の時点で作動されることが可能である。
【0075】
通常、N×N配列の電極を個別に作動できるようにするためには、各電極が電源に接続されることが必要であると考えられる。したがって、N2セットの接続が必要となることになる。しかし、上記の方法を使用して電極を個別に作動させることによって、2Nセットだけの接続が必要とされる。辺長10cmの正方形の可視表面を有し、電極の間隔が0.5mmのTSTF層132を有するディスプレイについて考えると、N=200である。したがって、N2=40000であり、2N=400である。結果として、上記の実施形態によるシステムを利用することによって、100倍少ない(すなわち1/100の数の)セットの接続が必要となる。これは、大幅に単純化された性質の回路をもたらす。
【0076】
当然のことながら、代わりに電極136は、互いに完全に、電気的に独立していてもよい。このように配列された電極は、アクティブマトリックスアドレッシング技術を使用して個別に作動されるとよい。こうした実施形態では、各電極は、他の電極とコネクタを共有せず、専用の第1および第2のコネクタを提供される。そのような実施形態は、所与の数の電極に対し、より多くのコネクタを有する。
【0077】
特定の電極を作動させる上記の方法は、DC電位に関して記載されている。しかし、代わりにAC電位を使用することが有利なこともある。
【0078】
上述の電極アドレッシング方法は、ACの場合でも機能するが、ACの場合は、作動される単数または複数の電極の単数または複数の横列152および単数または複数の縦列148に印加される波形の相対位相を変えることによって、作動された電極において生じるピーク強度の変調が可能である。さらに、神経受容体における触覚感度は、印加される刺激の周波数の関数である。したがって、最適な触感を作り出すよう、システムの周波数応答が調整されることが可能である。最適周波数は、100〜300Hzの範囲であると考えられる。代わりに、周波数は、100〜500Hzの範囲であってもよい。適切な周波数は、10Hz〜3kHzの範囲であると考えられる。周波数は、ユーザ定義可能であるとよい。こうすることで、周波数を、ユーザの触覚感度に従って最適化できる。
【0079】
図6は、TSTF層132の一部分を動作させる回路の略図である。図6は、4×4配列の電極136を含むTSTF層の一部分を示すが、当然のことながら、これは具体例にすぎない。
【0080】
接続された第1の電極素子138の縦列148はそれぞれ、個別の検出副回路180および個別の刺激副回路182と接続されている。接続された第2の電極素子140の横列152はそれぞれ、個別の検出副回路180および個別の刺激副回路182と接続されている。
【0081】
第1の電極素子138の縦列148に関係する各検出副回路180は、第1の検出MUX188と接続されている。第2の電極素子140の横列152に関係する各検出副回路180は、第2の検出MUX190と接続されている。
【0082】
第1の電極素子138の縦列148に関係する各刺激副回路182は、第1の刺激MUX192と接続されている。第2の電極素子140の横列152に関係する各刺激副回路182は、第2の刺激MUX194と接続されている。
【0083】
第1および第2の検出MUX188、190ならびに第1および第2の刺激MUX192、194は、プロセッサに接続されている。プロセッサは、所望のときに所望の電極にて刺激電位を提供するように、刺激MUX、および間接的に刺激回路を制御する。プロセッサは、どの電極がユーザの指先に近いかを決定するために、検出MUXを制御する。
【0084】
図7は、図1〜5を参照して記載されたTSTF層132の例示の実施形態を製造する方法を示すフローチャートである。
【0085】
ステップS1において、第1の副層158を形成するブランクが設けられる。ブランクは、TSTF層132を利用するディスプレイパネル130のサイズに実質的に一致するサイズの主要面を有する、既成のシート材料を含む。ブランクの厚さ(すなわち、第1の副層158の下面から、完成した副層の複数の隆起168の上面172までの距離)は、ミクロン〜ミリメートルの範囲であるとよい。ブランクは、例えば、シリコーン、ポリイミド、ポリ(メタクリル酸メチル)(アクリルガラス)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、またはポリエチレンテレフタレートなどの透明ポリマーを含むとよい。
【0086】
ステップS2において、ブランクに隆起168が形成され、第1の副層158が作成される。隆起は、ブランクの表面に凹部領域を作成することによって設けられる。凹部領域は、ブランクの表面に、等間隔に設けられる。各凹部領域は、ブランクの表面の全長にわたって延びる。隆起168は、ブランクのうち、新たに作成された凹部領域の間にある領域である。
【0087】
凹部領域は、熱可塑型ナノインプリントリソグラフィー(ホットエンボス加工)、フォトナノインプリントリソグラフィー、電気化学的ナノインプリンティング、またはその他、ナノインプリンティングの任意の適切な方法によって作成されるとよい。
【0088】
ステップS3において、接続された第2の電極素子140の横列152が、第1の副層158の上面に設けられる。接続された第2の電極素子140の横列152は、第1の副層158の上面に等間隔に設けられる。接続された第2の電極素子140の横列152は、第1の副層158の上面の全長にわたって延びる。接続された第2の電極素子140の横列152の長手方向長は、隆起168の長手方向長に対して実質的に垂直である。代わりに、これらは垂直でなくてもよい。
【0089】
接続された第2の電極素子140の横列152は、適切に成形されたマスクと組み合わせたCVD(chemical vapour deposition:化学蒸着法)によって表面上に提供されるとよい。あるいは、その他任意の適切な技術が使用されるとよい。適切な技術には、物理蒸着法(PVD:physical vapour deposition)、スパッタリング、スプレーコーティング、蒸発、シャドーマスクを用いるエアロゾルデポジション、液体ナノコンポジットもしくは溶液のスピンコーティングの後に続くリソグラフィーもしくは直接描画パターン形成、またはドクターブレーディングなど、他の種類の溶液相堆積処理が含まれるが、これらに限定はされない。
【0090】
ステップS4において、第2の副層160が、隆起168の間の凹部領域で、第1の副層158の上面上に設けられる。第2の副層160は、隆起168の上面172と実質的に同じ高さまで延びる。第2の副層160は、隣接した第2の電極素子140同士を接続する第2の接続素子150を封入する。第2の副層160を設けるのに適切であると考えられる技術には、PVD蒸着法、CVD蒸着法、スパッタリング、噴霧、蒸発、スピンコーティングまたはドクターブレーディングなどの溶液相堆積処理、および加熱積層法が含まれるが、これらに限定はされない。第2の副層は、例えば、透明シリコーンから、または、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、もしくはポリエチレンテレフタレートなど、別の適した材料から成るとよい。
【0091】
ステップS5において、接続された第1の電極素子138の縦列148が、第2の副層160の上面上に設けられる。これらは、第2の電極素子140の横列152に対して実質的に垂直である。代わりに、これらは垂直でなくてもよい。
【0092】
接続された第1の電極素子138の縦列148は、光透過性材料を含む。適切な材料には、透明薄層として提供される、カーボンナノチューブネットワーク(CNTN)、インジウムチタン酸化物(ITO)フィルム、例えば酸化亜鉛などのワイドバンドギャップ酸化物、および金または銀の薄層が含まれるが、これらに限定はされない。
【0093】
接続された第1の電極素子138の縦列148は、第2の電極素子140の横列152を提供するために利用されたのと同じ技術を使用して設けられるとよい。
【0094】
ステップS6において、第3の副層162が設けられる。第3の副層は、電極素子138、140、および第2の副層160の上面を封入する。第3の副層162は、シリコーンから、または、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、またはポリエチレンテレフタレートなど、別の適した材料から成る。第3の副層162を提供するのに適切であると考えられる技術には、PVD蒸着法、CVD蒸着法、スパッタリング、噴霧、蒸発、スピンコーティングまたはドクターブレーディングなどの溶液相堆積処理、および加熱積層法が含まれるが、これらに限定はされない。
【0095】
図8は、図1〜5を参照して記載されたTSTF層132の例示の実施形態を製造する別の方法を示す。本方法は、図7を参照して記載されたものと似ているが、主な違いは、第1の副層158が異なる方法で設けられることである。ステップT1において、隆起を有し第1の副層158の所望の構造に対応する型が設けられる。
【0096】
ステップT2において、接続された第2の電極素子140の横列152が、型の表面に設けられる。これは、前の方法のステップS3と同じ方法で実行されるとよい。ステップT3において、第2の副層160が設けられる。ステップT4において、第1の電極素子138の縦列148が設けられる。ステップT5において、第3の副層が設けられる。
【0097】
ステップT6において、型が除去される。ステップT7において、第1の副層158が、除去された型によって空けられた領域を埋めることによって設けられる。
【0098】
上記はすべて移動電話に関連して記載されているが、当然のことながら、TSTF層132は、タッチスクリーン機能性を必要とする任意のデバイスに含まれるとよい。これらのデバイスには、PDA、メディアプレーヤ、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、GPSナビゲーションデバイス、および電子リーダー/書籍が含まれるが、これらに限定はされない。
【0099】
TSTF層132を構成する材料の性質および寸法は、TSTF層132が可撓性を有することができるように選択される。その結果として、TSTF層132は、可撓性OLEDディスプレイ、双安定ディスプレイ、電気泳動およびエレクトロウェッティングディスプレイなど、可撓性ディスプレイパネルでの使用に適切である。
【0100】
電極素子に適切な材料は、ナノ粒子、ナノワイヤー、およびナノロッドベースの材料、溶液、ならびに複合材である。例として、電極素子は、任意の形状/形態のナノ材料、ゾル−ゲル材料、または、導電特性を呈するその他任意の可撓性の透明な材料を取り入れるとよい。例には、透明薄層として提供される、カーボンナノチューブネットワーク(CNTN)、インジウムチタン酸化物(ITO)フィルム、ワイドバンドギャップ酸化物(酸化亜鉛など)、および金または銀の薄層が含まれる。
【0101】
副層は、可撓性の透明母材(例えば透明可撓性ポリマー)から成る任意の適切な複合材料を含むとよい。
【0102】
当然のことながら、さらに、上述のコンポーネントおよび構成の変形が適切であることもある。例えば、第1の電極素子138はそれぞれ、例えば、次に限定はされないが、第2の電極素子140が位置する空の内部領域を有する、正方形、長方形、または六角形などの別の形状を含んでもよい。同様に、第2の電極素子140が別の形状を有してもよい。
【0103】
第1の電極素子138が第2の電極素子140を囲むことに代えて、第1および第2の電極138、140は、単に互いに隣接していてもよい。この例では、接続された第1の電極素子138の縦列148は、第2の副層160の表面にわたって延びる、均一幅の、複数本の光透過性導電材料を含むとよい。
【0104】
当然のことながら、第3の副層162が含まれなくても、電極136は、やはり経皮的神経電気刺激を提供し、タッチ入力を検出するよう動作可能であるとよい。この実施形態では、ユーザの指先は、電極136と直接接触することになる。
【0105】
当然のことながら、デバイスのタッチ感度機能性は、TSTF層132の代わりに、またはTSTF層132に加えて、ディスプレイパネル132によって提供されてもよい。この機能性を提供することができるディスプレイパネルには、静電容量タッチセンシティブディスプレイパネルおよび抵抗型タッチセンシティブディスプレイパネルが含まれるが、これらに限定はされない。
【0106】
図9は、生物医学デバイス200の一実施形態の略図を示す。生物医学は、TSTF層132、刺激パターン生成器(SPG:stimulation pattern generator)202、プロセッサ204、メモリ206、無線送受信機208、および電源210を含む。
【0107】
生物医学デバイス200は、TSTF層132が接触している身体部位に、電磁界治療(EFT:electromagnetic Field Therapy)を提供するよう動作可能であるとよい。EFTは、次に限定はされないが、創傷の手当て、筋肉の強化、鎮痛および炎症軽減、ならびに骨の成長および修復などの分野で有益であると考えられる。
【0108】
さらに、生物医学デバイス200は、神経、筋肉、およびその他の生物医学活動を感知するよう動作可能であるとよい。
【0109】
TSTF層132は、2次元配列の電極136を含む。TSTF層132は、図2〜5を参照して記載されたとおりであるとよい。TSTF層132が、光透過性であるか、光不透過性であるか、または半透明であるかは重要でないこともある。
【0110】
あるいは、TSTF層132の電極136は、互いに完全に、電気的に独立していてもよい。このように配列された電極は、アクティブマトリックスアドレッシング技術を使用して個別に作動されるとよい。こうした実施形態では、各電極は、他の電極とコネクタを共有せず、専用の第1および第2のコネクタを提供される。
【0111】
TSTF層132の最上の絶縁層(図示せず)によって、生物医学デバイス200は、TSTF層132が接触している身体部位に、静電容量結合EFTを提供するよう動作可能であるとよい。あるいは、そのような絶縁層は存在せず、電極とユーザとの間で直接結合があってもよい。
【0112】
TSTF層132の電極136は、SPG202と電気接続されているとよい。SPG202は、電源210から電力を受信する。SPGは、TSTF層132の電極136を制御する神経刺激パターンを生成するよう動作可能である。SPG202は、刺激パターンを生成する特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)(図示せず)を含むとよい。さらに、SPG202は、生成された作動パターンに基づき電極136を作動させるのに適した刺激回路(図示せず)を含むとよい。刺激回路は、図6を参照して記載されたものと同じであればよい。
【0113】
さらに、SPG202は、TSTF層132の電極136によって受信された信号を検出するのに適した検出回路(図示せず)を含むとよい。検出回路は、図6を参照して記載されたものと同じであればよい。
【0114】
プロセッサ204は、SPG202の動作を制御するよう動作可能である。当然のことながら、プロセッサ204は、SPG202と統合されてもよい。TSTF層132から、それによって検出された信号は、SPG202を介して、後から別のデバイスへ伝送するためにメモリ206に記憶されるとよい。あるいは、またはさらに、受信された信号は、検出の後、即座に無線送受信機208を介して他のデバイス(図示せず)へ伝送されてもよい。
【0115】
さらに、無線送受信機208は、別のデバイスから信号を受信するよう動作可能であるとよい。受信された信号は、SPG202および/またはプロセッサ204の動作を制御する信号を含むとよい。受信された信号は、後からプロセッサ204およびSPG202によって実装されるよう、メモリに記憶されるとよい。あるいは、最初にメモリに記憶することなくSPG202によって実装されてもよい。無線送受信機208は、例えば、ブルートゥース送受信機、別の種類のRF送受信機、または赤外線送受信機とすることもできるが、これらに限定はされない。あるいは、またはさらに、このデバイスは、別のデバイスとの有線接続を介して、その別のデバイスと信号の受信または送信を行うよう動作可能であってもよい。
【0116】
電源は、電池、例えば、ペーパー電池、または時計用電池などの小型の軽量電池であるとよい。あるいは、電源は、商用電気システムに接続されてもよい。
【0117】
TSTF層132は、TSTF層を患者の皮膚に貼るために、第3の副層162の外表面116に、接着薄層を有してもよい。あるいは、TSTF層132は、例えば、第1の副層158の裏面166に貼り付けられる医療用テープを用いてなど、別の方法で、ユーザの皮膚への接触状態を保たれてもよい。
【0118】
SPG202、プロセッサ204、メモリ206、無線送受信機208、および電源210などの電気コンポーネントならびに回路は、第1の副層158の裏面166に設けられてもよい。このように、生物医学デバイスは、目立たず独立したものであるとよい。
【0119】
TSTF層は、本明細書で既に説明したのと同じ材料を含むとよい。その結果として、TSTF層は可撓性であるとよい。よって、TSTF層132は、それが貼られるユーザの身体部分の形状に適合するとよい。
【0120】
生物医学デバイス200は、ユーザの皮膚の、治療または監視が必要な身体部位上に貼られるとよい。例えば、首にCCFETが必要な患者は、生物医学デバイスを身につけて痛みを軽減することもでき、固定機器にユーザが物理的に接続される必要はない。生物医学デバイス200は、筋痙攣の検出など、生物医学活動の検出に応答して、CCFETを提供するよう動作可能であってもよい。さらに、TSTF層132の一部分のみの電極136の下にある筋肉で筋痙攣が検出されると、生物医学デバイスは、その部分の電極のみを作動させるよう動作可能であるとよい。電極136は、図5を参照して記載された形で作動されればよい。
【0121】
当然のことながら、前述の実施形態は、制限するものとして解釈されてはならない。本願を読むと、他の変形および変更が、当業者には明らかであろう。さらに、本願の開示は、本願明細書で明示的または黙示的に開示された任意の新規な特徴もしくは任意の新規な特徴の組み合わせ、またはその任意の一般化を含むものと理解されるべきであり、本願またはそれから派生する任意の出願の手続遂行中に、任意のそのような特徴および/またはそのような特徴の組み合わせを対象とする新たな請求項が策定されることもある。
【技術分野】
【0001】
本明細書は、電気的神経刺激を提供する装置および関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチスクリーンディスプレイは、電気消費財の分野で既知である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書は、装置の外面のうち、光透過性電極に近い部分に接触するユーザに、経皮的神経電気刺激(transcutaneous electrical nerve stimulation)を提供するよう構成された前記光透過性電極を含む、前記装置を提供する。
【0004】
さらに、本明細書は、基板と、前記基板に支持された2次元配列の電極と、前記電極のうちの1つ以上に神経刺激電位を選択的に提供するよう構成された刺激回路とを含む装置を提供する。
【0005】
さらに、本明細書は、光透過性電極を使用して、前記装置の外面のうち、前記光透過性電極に近い部分に接触するユーザに経皮的神経電気刺激を提供するステップを含む方法を提供する。
【0006】
さらに、本明細書は、基板に支持された2次元配列の電極を動作させる方法であって、前記電極のうちの1つ以上に神経刺激電位(nerve stimulation potential)を選択的に提供するステップを含む、方法を提供する。
【0007】
さらに、本明細書は、第1の基板層を設けるステップと、前記第1の基板層に複数の凹部領域を形成するステップと、前記第1の基板層上に第1の複数の導電路(conducting track)を形成するステップと、前記凹部領域に第2の基板層を設けるステップと、前記第2の基板層上に第2の複数の導電路を形成するステップと、前記第2の基板層上および前記第2の複数の導電路上に、第3の基板層を設けるステップとを含む方法を提供する。
【0008】
さらに、本明細書は、複数の突起が形成された型を設けるステップと、第1の複数の導電路を前記型上に形成するステップと、前記型のうち、前記突起間の領域上に、第1の基板層を設けるステップと、前記第1の基板層上に第2の複数の導電路を形成するステップと、前記第1の基板層上および前記第2の複数の導電路上に第2の基板層を設けるステップと、前記型を除去するステップと、前記除去された型によって空けられた体積内に、第3の基板層を設けるステップとを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】電子デバイスの平面図である。
【図1B】図1Aの電子デバイスの概略断面図である。
【図1C】別の実施形態による、図1Aの電子デバイスの概略断面図である。
【図2】図1の電子デバイスのコンポーネントの簡略平面図である。
【図3A】図2のコンポーネントの或る領域の拡大図である。
【図3B】図3Aに示されている領域の断面図である。
【図3C】別の実施形態による、図3Aに示されている領域の断面図である。
【図4A】図3Aに示されているコンポーネントの領域の第1の副層の平面図である。
【図4B】図3Aに示されているコンポーネントの領域の第1および第2の副層の平面図である。
【図5】図2のコンポーネントの一部分の概略平面図である。
【図6】図2の電極の一部分を制御する回路の略図である。
【図7】図2のコンポーネントを製造する方法を示すフローチャートである。
【図8】図2のコンポーネントを製造する別の方法を示すフローチャートである。
【図9】生物医学デバイスの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面では、同じ参照番号は同じ構成要素を示す。
【0011】
図1Aは、電子デバイス10、この例では移動電話の平面図を示す。移動電話10は、ディスプレイ102、スピーカ104、マイクロホン106、および筐体108を含む。ディスプレイ102は、タッチセンシティブディスプレイである。図面では、ディスプレイ102は、番号110、通話機能112、および終話機能114を含むいくつかの選択可能オプションを含む、ダイヤル用ユーザインターフェースを表示している。オプションを選択するために、ユーザは、ディスプレイ102の外表面116(図1B参照)の所望のオプションに対応する位置に触れる。
【0012】
図1Bは、図1AでAと示されている線での移動電話10の概略断面図を示す。筐体108は、ディスプレイ102の側面118および裏面120を囲む。筐体108の内側122およびディスプレイ102の裏面120が、移動電話10の内部体積124を定義する。内部体積124は、電池126およびプロセッサ128を収容する。電池126は、プロセッサ128およびディスプレイ102に電力を供給する。プロセッサ128は、ディスプレイ102の動作を制御するようになっている。
【0013】
ディスプレイ102は、ディスプレイパネル130およびタッチセンシティブ触覚フィードバック(TSTF:touch sensitive tactile feedback)層132を含む。
【0014】
ディスプレイパネル130は、LCDディスプレイパネルを含み、その動作および構造は、当該技術分野において周知である。なお、当然のことながら、代わりに他の種類のディスプレイパネルが使用されてもよい。
【0015】
TSTF層132は、ディスプレイパネル130の上面134に重なる。TSTF132層は、ユーザの指がTSTF層132の外表面116に触れることによる触覚入力を検出するよう動作可能である。さらに、TSTF層132は、TSTF層132の外表面116に触れるユーザの指に触覚フィードバックを提供するよう動作可能である。
【0016】
図1Cは、別の実施形態による、移動デバイス10の概略断面図を示す。この実施形態では、TSTF層132は、ディスプレイパネル130が位置する表面とは反対の、デバイス10の表面上に設けられている。TSTF層は、TSTF層132の外表面116(図1Cでは下面)にユーザの指が触れることによる触覚入力を検出するよう動作可能である。さらに、TSTF層132は、TSTF層132の外表面116に触れるユーザの指に触覚フィードバックを提供するよう動作可能である。
【0017】
当然のことながら、TSTF層132は、移動デバイス10の任意の外面の中または上に設けられるとよい。例えば、TSTF層は、デバイスの側面に位置し、トラックホイールに取って代わってもよい。さらに、当然のことながら、移動デバイス10は、2つ以上のTSTF層132を含んでもよい。例えば、1つのTSTF層が、デバイスのディスプレイの上に位置してもよく、もう1つが、デバイス10の裏に位置してもよい。
【0018】
図1Cのデバイスのユーザは、ディスプレイパネル130の領域上に表示される選択可能オプションに対応するTSTF層132のエリアに触れることによってタッチ入力を提供するとよい。
【0019】
図2は、TSTF層132の簡略平面図を示す。TSTF層132は、グリッド配列に配置された複数の電極136を含む。各電極136は、ユーザの指がTSTF層132の外表面116に触れることによる触覚入力を検出するよう個々に動作可能である。さらに、各電極は、TSTF層132の外表面116に触れるユーザの指に触覚フィードバックを提供するよう個々に動作可能である。
【0020】
TSTF層132は、光透過性である。よって、可視光がTSTF層132を通過でき、拡散はほとんど、または全くない。TSTF層132の下にあるディスプレイパネル130によって表示されるイメージは、ユーザにはっきりと見える。当然のことながら、TSTF層132全体が光透過性であるため、その構成部品も光透過性である。よって、電極136は光透過性である。当然のことながら、図1Cのものなど、ディスプレイパネル130の上に位置しないTSTF層132はそうではなく、光不透過性または半透明であってもよい。
【0021】
図3Aは、図2でBと示されているTSTF層132の領域を示す。図3Bは、図3AでCと示されている線に沿った、TSTF層132の領域Bの断面図である。複数の電極136はそれぞれ、第1の電極素子138および第2の電極素子140から成る。第1の電極素子138は、空き領域144を囲む導電領域142を有する。導電領域142は、環状である。第2の電極素子140は、第1の電極素子138の空き領域144の中心に位置する。第2の電極素子140は正方形である。第1および第2の電極素子138、140は、その中心がほぼ同じ場所にある。
【0022】
各電極136の第1の電極素子138はそれぞれ、隣接した2つの電極136の第1の電極素子138に、第1の接続素子146によって接続される。このように、第1の電極素子138の縦列148は、直列接続されている。この、接続された第1の電極素子138の縦列148が、TSTF層132の全長にわたって延びている。当然のことながら、各縦列148の両端にある第1の電極素子138は、1つだけの他の第1の電極素子138に接続される。
【0023】
第1の電極素子138の各縦列148は、両端において第1の電源(図示せず)に接続される。第1の電源は、第1の電極素子138の各縦列に個別に電位を提供するよう動作可能である。第1の電源は、電池126から得られる電力を提供する。当然のことながら、別の電力源を有するデバイスでは、第1の電源は、その別の電力源から得られる電力を提供するとよい。別の電源は、例えば、充電入力で受信され得るものなど、変換された商用電源とすることもできる。
【0024】
図3Bから明確であるように、第1の電極素子138のそれぞれおよび第1の接続素子146のそれぞれは、第1の平面にある。図3Aでは、第1の平面は、ページの平面と平行であり、図3Bでは、第1の平面は、ページの平面に対して垂直である。
【0025】
各電極136の第2の電極素子140はそれぞれ、隣接した2つの電極136の第2の電極素子140に、第2の接続素子150によって接続される。このように、第2の電極素子140の横列152は、直列接続されている。この、接続された第2の電極素子140の横列152が、TSTF層132の全幅にわたって延びている。当然のことながら、各横列148の両端にある第2の電極素子140は、1つだけの他の第2の電極素子140に接続される。
【0026】
各第2の接続素子150はそれぞれ、平面部154および2つの中間部156を含む。第2の電極素子140は、第2の接続素子150の平面部154とは違う平面にある。第2の電極素子140は、実質的に第1の平面にある。これは、第1の電極素子138がある平面である。当然のことながら、代わりに、第1および第2の素子は同じ平面になくてもよい。第2の接続素子150の平面部154は、第1の平面に対して実質的に平行な第2の平面に位置する。第2の平面は、第1の平面と比べて、TSTF層132の外表面116から、より遠い。よって、第2の接続素子150は、第1の電極素子138の下を通る。
【0027】
第2の接続素子150それぞれの2つの中間部156はそれぞれ、第2の接続素子の平面部154を第2の電極素子と接続する。中間部156は、第1の平面と、第2の平面との間に延びる。
【0028】
第1の電極素子138の各縦列148は、両端において第1の電源(図示せず)に接続される。第2の電極素子140の各横列152は、両端において第2の電源(図示せず)に接続される。第1の電源は、第1の電極素子138の各縦列に個別に電位を提供するよう動作可能である。第2の電源は、第2の電極素子140の各横列に個別に電位を提供するよう動作可能である。第1および第2の電源は、電池126から得られる電力を提供する。当然のことながら、別の電力源を有するデバイスでは、第1および第2の電源は、その別の電力源から得られる電力を提供するとよい。別の電源は、例えば、変換された商用電源とすることもできる。
【0029】
第1の電極素子138の縦列148および第2の電極素子140の横列152は、実質的に互いに垂直である。しかし、代わりに非垂直に配置されてもよい。
【0030】
電極136は、ユーザの指先の神経に電気刺激を提供するよう、個別に動作可能である。当然のことながら、電極はさらに、例えば、次に限定はされないが、手首の皮膚またはそれより上の皮膚など、ユーザの皮膚の任意の位置に電気刺激を提供するよう個別に動作可能であってもよい。
【0031】
電極136間の距離D2は、ミリメートル未満からミリメートルの範囲であるとよい。距離D2は、例えば0.1mm〜5mmの範囲としてもよい。距離D2は、例えば0.1mm〜1mmの範囲とすると有利である。距離D2は、例として0.1mm〜0.5mmの範囲としてもよい。指先の受容体は、この間隔によって、2つの別々の電極136からユーザが電気刺激を検出できるような密度である。電極136間のこの間隔D2において、環状の第1の電極素子138の半径D3は、約D2/4またはD2/4弱、例として100μmとしてもよく、第2の電極素子の幅D4は、約D2/8またはD2/8弱、例として50μmとしてもよい。
【0032】
TSTF層132は、第1の副層158、第2の副層160、および第3の副層162の3つの副層を含む。
【0033】
第1の副層158は、均一の厚さのベース部164を含む。ベース部164の底面166は、TSTF層132の底面166を構成または形成する。ベース部164の上面168から、実質的に台形の断面を有する複数の隆起168が延びている。当然のことながら、代わりに、複数の隆起168は例えば、次に限定はされないが、半球状などの別の断面形状を有してもよい。当然のことながら、第2の電極素子140の横列152を隆起168の上面に提供できる限り、隆起168の厳密な形状は重要でないと考えられる。
【0034】
第2の電極素子140は、第1の副層158の隆起168上に提供されずに、細長くない突起の上に第2の電極素子が提供されてもよい。例えば、突起は、第1の副層158のベース部164から延びる、3次元台形、すなわち截頭四角錐形であってもよい。したがって、この実施形態では、第1の副層158は、第2の電極素子140を支える2次元配列の突起を有する平らなベース部164を含むとよい。第2の副層160は、2次元配列の突起を囲んでベース部164の領域上に提供されるとよい。第2の副層160は、突起の高さくらいにまで延びるとよい。突起同士は、一定または非一定の間隔が空けられるとよい。
【0035】
隆起168は、互いに等距離にある。なお、当然のことながら、代わりに隆起168間の間隔は、均一ではなく変化してもよい。例えば、第1の副層158が、一定または非一定の間隔を空けた隆起168のグループを複数含むよう、隆起168が提供されてもよい。このようにして、一定または非一定の間隔を空けた電極136のグループが提供されてもよい。隆起168は、第1の副層158の全長にわたって延びている。
【0036】
第2の電極素子140の横列152は、第1の副層158の上面上に提供される。第2の電極素子140の横列152は、隆起168の縦軸に対し垂直である。第2の接続素子150の平面部154は、ベース部164の上面168の、隆起168間の領域に位置する。中間部156は、隆起168の傾斜辺170に位置する。第2の電極素子140は、隆起168の上面172に位置する。図4Aは、接続された第2の電極素子140の横列152が上にある、第1の副層158の平面図を示す。第2の電極素子140の横列152は、互いに等距離にある。なお、当然のことながら、代わりに、横列152間の間隔は、均一ではなく変化してもよい。例えば、横列152は、一定または非一定の間隔を空けられた横列168の複数のグループとして提供されてもよい。このように、一定または非一定の間隔を空けた電極136のグループが提供されるとよい。
【0037】
第2の副層160は、第1の副層158の隆起168の間の領域に提供される。第2の副層160は、第1の副層158のベース部164から、第1の副層158の隆起168の上端172の高さくらいまで延びる。したがって、第2の副層160は、隆起168間の別々の異なる領域160a、160b、160c、160dを含む。第2の副層160の別々の領域160a、160b、160c、160dは、図3Bに示すように、実質的に台形の断面を有する。当然のことながら、代わりに、複数の隆起168は例えば、次に限定はされないが、半球状などの別の断面形状を有してもよい。図4Bは、第1および第2の副層158、160、ならびにその上に位置する第2の電極素子140の平面図を示す。
【0038】
第1の電極素子138の縦列148(図4Bには示さず)は、第2の副層160の上面172に、接続された第2の電極素子140の横列152に対して垂直方向に設けられる。なお、当然のことながら、代わりに横列152および縦列148は、互いに垂直でなくてもよく、互いに別の角度で設けられてもよい。
【0039】
第3の副層162は、接続された第1の電極素子138の縦列148が上に提供された、第2の副層160の上に提供される。第3の副層162は、平らな上面を有し、これがTSTF層132の外表面116を構成する。
【0040】
接続された第1の電極素子138の縦列148は、電導性材料を含む。接続された第2の電極素子140の横列152は、電導性材料を含む。接続された第1の電極素子138の縦列148および接続された第2の電極素子140の横列152は、光透過性材料を含む。適切な材料には、透明薄層として提供される、カーボンナノチューブネットワーク(CNTN:carbon nanotube network)、インジウムチタン酸化物(ITO:indium−titanium−oxide)フィルム、例えば酸化亜鉛などのワイドバンドギャップ酸化物、および金または銀の薄層が含まれるが、これらに限定はされない。当然のことながら、微視的規模では、これらの材料は光透過性でなくてもよい。しかし、対象の巨視的規模では、これらの材料は、TSTF層132を通してディスプレイパネル130に表示されるイメージをユーザがはっきりと見ることができるよう十分に透過的である。接続された第1および第2の電極素子136、140の厚さD1(図3B参照)は、ナノメートル〜ミクロン単位の範囲であるとよい。例として、厚さD1は、20nm〜100nmの範囲であるとよい。当然のことながら、代わりにD1の他の値が適切なこともある。
【0041】
TSTF層132の3つの副層158、160、162は、光透過性である。第1および第2の副層158、160は、電気絶縁性誘電材料を含む。第1および第2の副層158、160に適切な材料には、シリコーン、ポリイミド、ポリ(メタクリル酸メチル)(アクリルガラス)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、またはポリエチレンテレフタレートが含まれるが、これらに限定はされない。
【0042】
副層の材料は、TSTF層132と、ディスプレイパネル130との間の効果的な屈折率(RI:refractive index)マッチングを提供するように選ばれるとよい。さらに、副層の材料は、副層同士の間の効果的な屈折率(RI)マッチングを提供するように選ばれるとよい。これにより、TSTF層132中の光の透過を最適化できる。可能であれば、別々の副層に同じ材料を利用することが有益であると考えられる。適切な材料は、ディスプレイパネルに一般に使用される光学ガラスのRIにマッチするよう、約1.5の屈折率を有する傾向にある(シリコーンのRIは1.38〜1.6、PMMA(Poly(methyl methacrylate)):ポリ(メタクリル酸メチル))のRI=1.59)。
【0043】
第3の副層162は、電気絶縁性である。これは、電極が、確実にユーザの指から電気絶縁されるようにする。こうすることで、ユーザの指がぬれていること、または汚れていることによる、デバイスの動作への影響が軽減されるとよい。第3の副層162は、外部環境から電極136を保護する特性を有する。こうした特性には、疎水性であること(水との親和性がまったくまたはほとんどない)、自己洗浄性であること、傷が付きにくいこと、ならびに油/グリースをはじくこと(疎油性(oleophobic))のうち、いずれか1つ以上が含まれ得るが、これらに限定はされない。自己組織化単分子膜被覆が、第3の副層162の外表面116上に堆積されてもよい。第3の副層162は、疎水性および/または疎油性両方を呈してもよい。これは、指先と、外表面116との接点の乾燥した状態を作り、それを維持する。あるいは、またはさらに、外表面116は、微視的に、またはナノスケールで、粗くてもよい。これは、外表面116上の汚染物質または異物の接触面積を減らす。あるいは、第3の副層162は、光触媒および親水処理ができるようになっていてもよい。これは、任意の適切な方法で実現されるとよい。第3の副層162は、例えば、シリコーン、ポリイミド、ポリ(メタクリル酸メチル)(アクリルガラス)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、またはポリエチレンテレフタレートから成るとよい。
【0044】
TSTF層132の全体的な厚さD5は、ミクロン〜ミリメートル単位の範囲であるとよい。例として、TSTF層132の全体的な厚さD5は、50μm〜300μmの範囲であるとよい。第1および第2の副層158、160を合わせた厚さD6は、厚さD5よりわずかに薄いとよい。なお、当然のことながら、D6は、必然的にD5よりも薄くなければならない。第3の副層162は、ミクロン未満〜ミクロン単位の範囲の厚さD7であるとよい。第3の副層162の厚さD7は、ユーザの皮膚との効率的な静電容量結合のための要件によって制限される。D7の値は、500nm〜2μmの範囲であるとよい。当然のことながら、TSTF層の光透過性の所望の効果、タッチ入力を検出する能力、およびユーザに触覚フィードバックを提供する能力を提供しながら、他の厚さが適切であることもあり得る。
【0045】
第1および第3の副層158、162の間に電極136を封入することによって、電極は、腐食、摩耗、侵食および同様のことから保護されるとよい。したがって、TSTF層132は、比較的耐久性がある。
【0046】
図3Cは、別の実施形態による、図3Aに示されている領域の断面図である。図3Cでは、TSTF層がさらに、ガード電極173を含む。図面の他のコンポーネントは、図3Bに示されているものと同じであるが、参照番号は省略した。ガード電極173は、第1および第2の接続素子の間の寄生静電容量結合を無効にすることによって、TSTF層132の入力検出機能性の性能を高めるとよい。
【0047】
ガード、すなわちグランド電極173は、第1および第2の電極素子148、140が実質的に位置する第1の平面と、第2の接続素子150がある平面との間に位置する。こうした実施形態では、第2の副層160は、2つのセクションとして提供されてもよい。第1のセクションは、第1の副層158から、隆起168または突起の高さの約半分まで延びるとよい。ガード電極173は、第2の副層160の第1のセクションの上に提供されるとよい。第2の副層160の第2のセクションは、ガード電極173の上に提供されるとよい。ガード電極173は、第2の副層160によって、第1および第2の電極素子の縦列および横列から電気絶縁される。ガード電極173は、TSTF層132の、複数の隆起168の間の領域に位置する。ガード電極173は接地されるとよい。
【0048】
隆起168の代わりに複数の突起を含む実施形態では、ガード電極173は、TSTF層132の、各突起の間の領域に位置する。これらの実施形態では、ガード電極173は、TSTF層132の全エリアにわたって提供される単層の導電材料から形成されるとよく、ただし突起を囲む空の領域があるとよい。空の領域は、突起の形状に従って成形されるとよい。ガード電極173は接地されるとよい。
【0049】
別の実施形態によれば、ガード電極は再分割されてもよい。これらの実施形態では、ガード電極に、動的に制御されるとよいオフセット電位が提供されるとよい。
【0050】
TSTF層132は、電極136と、ユーザの指先との間の静電容量結合の結果として、タッチ入力を検出するよう動作可能である。再び図3Bを参照する。第1の電極素子138が、誘電材料の領域によってそれぞれの第2の電極素子140から離されていることが分かる。当然のことながら、第1および第2の電極素子138、140に電位差が印加されると、検出可能な静電容量を有する事実上のコンデンサが形成される。指先がTSTF層132の外表面116に当てられるとき、指先は、誘電材料の領域(第3の副層162)によって、第1および第2の電極素子138、140から離されている。したがって、指先は、電極素子138、140のうちの少なくとも1つと異なる電位を有するため、その少なくとも1つの電極素子138、140と、指先との間にコンデンサが形成される。当然のことながら、指先は、複数の電極と同時に静電容量結合し得る。電極136と、指先との間の静電容量は、第1および第2の電極素子138、140、ひいては対応する横列152および縦列148の間の静電容量の値の変化をもたらす。1つ以上のトランジスタ回路(図示せず)が、各横列および各縦列と切り替え可能なように接続される。これらの回路は、特定の横列および縦列の組み合わせで生じる静電容量の変化を検出するよう動作可能である。トランジスタ回路(図示せず)は、プロセッサ128に接続され、プロセッサ128は、トランジスタ回路の出力に基づき演算を実行し、指先による接触が生じる横列および縦列の組み合わせを決定するよう構成されている。
【0051】
あるいは、当然のことながら、トランジスタを含まないシステムが、電極のうちの1つ以上における静電容量の変化を検出するために使用されてもよい。
【0052】
このように、プロセッサ128は、静電容量の変化が生じている少なくとも1つの電極136を特定するよう動作可能である。このように、プロセッサは、TSTF層132の表面でのタッチ入力の発生を検出し、その位置を、静電容量の変化が生じている単数または複数の電極の位置に少なくとも部分的に基づいて決定するよう動作可能である。
【0053】
さらに、TSTF層132のタッチセンシティブ機能性は、デバイスが指紋スキャニング機能性を提供できるようにしてもよい。指先は、隆起およびくぼみの固有のパターンから成る。したがって、指先がTSTF層132の外表面116と接触するとき、表面116と接触するのは指先の隆起のみであり、一方でくぼみは短い距離をおいて離れている。指先の隆起の下にある電極136には、くぼみの下の電極136とは異なる静電容量の変化が生じる。したがって、TSTF層132の電極136の離れている距離が、約0.5mmと考えられる指先の隆起間の距離よりも小さければ、TSTF層132によるユーザの指紋の検出が可能である。デバイスが指紋スキャニングを実行できるようにするには、約150μmの電極の離隔D2が適切である。当然のことながら、移動電話などのデバイスで指紋スキャニング機能性を提供することは、セキュリティ能力の大幅な強化を可能にする。こうしたセキュリティ能力は、移動電話の指紋ロックおよびロック解除、デバイスに記憶されている私的な文書の指紋ロックおよびロック解除などの機能を含み得る。さらに、セキュリティ能力は、ディスプレイパネル上に表示され選択可能オプションを表すグラフィックイメージであるとよいセキュアなアイコンアプリケーションなどの機能を含んでもよく、このオプションは、承認および/または許可された指紋による入力後のみ選択/実行することができる。さらに、TSTF層132を用いて移動デバイスに指紋スキャニング機能性を組み込むことで、追加の指紋スキャナを提供する必要がなくなる。これにより、指紋スキャニング機能性を含む移動デバイスの製造に関連する、全体的な材料費および材料表が縮小される。
【0054】
さらに、TSTF層132は、移動電話10のユーザに触覚フィードバックを提供するよう動作可能である。触覚フィードバックは、電極136と、指先との間の静電容量結合を利用することによってユーザに提供される。タッチ入力の検出に関して上記で説明したように、指先がTSTF層132の外表面116に当てられると、指先が、指先の下にある単数の電極/複数の電極と静電容量結合する。この静電容量結合の結果、電荷がユーザの指先の神経終末において誘導される。神経終末において誘導される電荷は、第1および第2の電極138、140の間の電位差に依存する。神経終末において誘導される電荷が十分大きければ、ユーザに触感を提供することができる。ユーザの神経終末において十分に大きな電荷を提供するのに適切な電位差は、約10Vまたは10V弱である。これは、経皮的神経電気刺激(TENS:transcutaneous electrical nerve stimulation)として既知である。経皮的、または経皮性刺激は、皮膚を経由して、または皮膚を通して生じる。ユーザは、最適な触覚刺激が感じられるまで刺激電位差を増加または減少させることによって、触覚刺激の強さを調整するとよい。これは、例として、移動デバイスのメニューシステムを介してアクセスされるとよい調整機能によって実現されるとよい。
【0055】
この神経刺激は、いくつかの異なる方法で利用され得る。ユーザにフィードバックを提供するために使用されてもよい。TSTF層132を介するタッチ入力の検出に続いて、TSTF層132は、タッチ入力が受け取られた電極136を作動させてユーザの指先の神経刺激を提供するよう、プロセッサ128によって制御される。その結果として、ユーザには、タッチ入力がデバイス10によって記録されたことが分かる。
【0056】
TSTF層132によって提供される触覚フィードバックは、関係のある電極132のみが触覚刺激を提供するよう制御されるという意味で、非常に局所的である。この結果、局所的な触覚フィードバックを提供できないメカニズムと比較して、電力消費が少ない。さらに、TSTF層132は、デバイス自体の機械振動を提供する電圧または電磁アクチュエータを使用するデバイスと比較して、よりエネルギー効率が優れていると考えられる。さらに、触覚フィードバックを提供するためにデバイスの機械振動を利用するデバイスは、タッチ入力の検出と、ユーザへの触覚フィードバックの提供とのために、2つの別々のシステムを必要とする。TSTF層132は、これらの機能性の両方を同じハードウェアによって提供することができる。その結果、材料表を縮小できる。
【0057】
触覚刺激は、ディスプレイパネル130上に表示されるイメージに従って、ユーザに触覚情報を伝達するためにも使用することができる。例えば、ディスプレイパネル130上に選択可能オプション、例えばソフトキーが表示されると、ディスプレイパネル130の選択可能オプションの位置に対応するTSTF層132の電極136が作動されるとよい。こうすることで、ユーザの指が、選択可能オプションに対応するTSTF層132の表面のエリアと接触した状態になると、指先の神経受容体が、作動した電極136によって刺激されることになり、その結果、選択可能オプションに対応する場所にユーザの指先があることがユーザに示される。他のエリアには電圧が印加されていないため、別のエリアの指先は刺激されないことになる。
【0058】
選択可能オプションは、異なる色、明るさまたはパターンの領域によって境界が示される特定の色、明るさまたはパターンの領域としてディスプレイパネル130に表示されてもよい。あるいは、例えばインターネットブラウザのリンクの場合は、オプションと周囲の領域との間に、異なる種類の、目に見える定義があってもよい。リンクはディスプレイ上に、例えば単語、フレーズ、文、またはURLとして表されてもよい。リンクのテキストが特定の色であり、背景が異なる色であってもよい。あるいは、またはさらに、リンクのテキストには下線が引かれてもよい。当然のことながら、テキストに対応する領域で、TSTF層132にタッチ入力が印加されると、リンクが選択される。なお、さらに、リンクを囲む背景領域の小さな領域があってもよく、これは、タッチ入力によって選択されると、やはりリンク先に進むことになる。いずれの場合でも、選択可能オプション間の境界がユーザにはっきりと見えるか見えないかにかかわらず、ディスプレイパネル130およびTSTF層132を制御するプロセッサは、やはり境界を定義し、その内側の領域が選択可能オプションに対応し、その外側の領域は選択可能オプションに対応しない。
【0059】
ユーザの指が、ディスプレイ画面上の選択可能オプションに対応するTSTF層の領域と接触していることをユーザに示すよう、選択可能オプションの境界内のディスプレイパネル130の領域に対応する、TSTF層132の電極136が作動されるとよい。このように、境界は、TSTF層132のどの電極136が作動されるべきかを決定する。当然のことながら、ディスプレイパネル130には、2つ以上の選択可能オプションが同時に表示されてもよい。この場合、複数の境界が、作動される電極136の複数の領域を定義する。
【0060】
ディスプレイパネルに表示されるオブジェクトは、選択可能オプションを表さなくてもよい。代わりに、別のオブジェクトを表してもよい。例えば、オブジェクトは、アイコン、スプライトなどであってもよい。この場合の触覚フィードバックは、ユーザがオブジェクトを特定したことをユーザに示してもよく、例としてその結果、ユーザは、オブジェクトをディスプレイ上の別の位置へドラッグすることができると分かる。
【0061】
さらに、上記の機能性は、例えば、動画がディスプレイパネル130に表示されている場合など、動的な状況において実装されてもよい。例えば、波紋の動画がディスプレイパネル130によって表示されている場合、いつでも、波紋の細長い波のピーク位置に対応する電極が、指先の受容体の刺激を提供するよう作動されるとよい。その結果として、波紋の細長い波のピークが指先の「下を通る」ように見えるときに、ユーザの指先の受容体が刺激を受け、その結果「触覚の錯覚」が提供される。エネルギー効率を最大化するために、波紋の細長い波のピークの位置に対応し、且つユーザの指先の下にあると検出された当該電極のみが作動されるとよい。
【0062】
動的な状況においても、境界が定義される。境界は、選択可能な領域を定義しなくてもよいが、その代わりに、例えば上記で説明した細長い波などのオブジェクトを定義するとよい。細長い波の場合、内側境界および外側境界の2つの境界が、作動される領域を定義するとよい。オブジェクトがディスプレイパネル130中を移動するとき、単数または複数の境界も移動する。このように、電極が作動される位置は、単数または複数の境界が移動するにつれて変化する。
【0063】
当然のことながら、単数または複数の境界によって定義される電極136の作動のレベルは、均一でなくてもよい。例えば、細長い波のピークに対応する電極が、より高いレベルで作動される一方で、境界により近い当該電極は、より低いレベルで作動されてもよい。いずれの場合でも、当然のことながら、単数または複数の境界によって定義される作動領域外の電極136は作動されず、その一方で、単数または複数の境界によって定義される領域内の当該電極は作動される。
【0064】
TENSは、例えば摩擦、粗さ、輪郭の段など、任意の必要な触覚効果を引き起こすために使用可能である。したがって、物理的なキーまたはボタンに触れるような総合的な錯覚を、残りの表面に対して浮き出た特徴を用いてユーザに伝達するよう、触覚刺激パターンが最適化されてもよい。例えば、より滑らかな表面の領域をより粗い表面の領域が囲む、2つの異なる領域を再現するよう電極を作動させることによって、TSTF層を使用して、浮き出たボタンが再現されてもよい。これらの領域の上を指が移動するときに経験される効果は、浮き出たボタンの上で指を動かしたときのものと似ているとよい。
【0065】
選択可能オプション(またはディスプレイパネル130上の動画)に対応する電極136は、必ずしも、ディスプレイパネル130上の、選択可能オプションを示す画素の真上にある電極であるとは限らないと考えられる。代わりに、電極は、選択可能オプションのイメージからわずかにずれていてもよい。これは、ユーザがディスプレイ102を真上から見ていないこともあり、代わりにディスプレイ102の平面から90度未満の角度から見ていることもあり、その補正となる。プロセッサ128は、ユーザが、選択可能オプションのイメージの真上にあると把握するTSTF層132のエリアの電極であって、実際に真上にある当該電極ではない電極を作動させることによって、このずれを補正するよう動作可能であるとよい。当然のことながら、選択可能オプションのイメージの真上にあるとユーザが把握するエリアと、実際に選択可能オプションの上にあるエリアとは、大幅に重なり合うと考えられる。
【0066】
TSTF層132によって提供される触覚刺激など、高度に画素化された触覚刺激は、ユーザの指がディスプレイ102をナビゲートするのを助ける、幅広い一連の有意義な情報を提供するために使用可能である。これは、改善されたユーザ−デバイス対話と、より高いユーザ満足度とをもたらす。情報は、いつくかの方法で、TSTF層132を介してユーザに伝達可能である。例えば、電気触覚刺激言語(electro−tactile stimulation language)が提供されてもよい。例として、短期間および長期間の刺激の組み合わせがそれぞれ、例えば個別の文字などの異なる所定の意味を有してもよい。
【0067】
あるいは、電気触覚刺激言語は、利用できる様々なパラメータのうちの1つ以上を利用して、他のメッセージをユーザに伝達してもよい。当該のパラメータには、刺激周波数、パルス構造、パルス列パターン、信号変調振幅、および信号強度が含まれ得るが、これらに限定はされない。
【0068】
ディスプレイパネルに表示される種々の種類の選択可能オプションが、それに関連する種々の電極作動パターンを有してもよい。例えば、実行されると取り消すことのできないアクションを実行させると考えられる「削除」または「出荷時設定リセット」オプションに対応する電極136は、オプションの深刻な結果をユーザに警告するよう設計された、関連の作動パターンを有してもよい。そのようなパターンには、例えば、短期間の非作動によって周期的に隔てられた、短期間の特に強い作動が含まれ得る。例えばウェブページ上のリンクなど、深刻である可能性がより低いオプションには、より弱く連続的な電極作動パターンが関連付けられてもよい。
【0069】
以下、いくつかの適切な作動パターンについて説明する。第1のパターンは、等しく相当な持続時間にわたり、或る強さの作動と無作動とを、交互に作動させることを含むとよく、方形波に似る。第1のパターンの変形には、異なる周波数の方形波が含まれる。第2のパターンは、異なる持続時間の或る強さの作動と無作動とを、交互に作動させることを含むとよく、統一性のないマーク対スペース比の方形波に似る。第2のパターンの変形には、異なる周波数および/または異なるマーク対スペース比が含まれる。第3のパターンは、完全作動と、無作動との間の段階的な推移を含むとよい。段階的な推移は、上昇および/または下降であるとよい。段階的な推移は、正弦波プロファイルなど、曲線状の傾斜プロファイルを伴ってもよい。第2のパターンの変形には、異なる周波数、および/または異なる傾き、および/または立ち上がりおよび立ち下がりにおける異なる傾斜プロファイルが含まれる。
【0070】
選択可能オプションの見込まれる重大性に電極作動パターンが関連するのではなく、選択の結果にかかわらず、同じ作動パターンが同じ種類のオプションと関連してもよい。例えば、「はい」オプションは、その選択の結果電話のメモリが削除されようと、または通話を開始させることになろうと、同じ関連する電極作動パターンを有してもよい。こうすることで、ユーザは徐々に、特定の作動パターンと、特定のオプションとを結び付けて考えることができるようになるとよい。
【0071】
局所的な触覚フィードバックをユーザに提供するTSTF層132の運用性について、以下、図5を参照して記載する。図5は、10×6配列の電極136を含む、TSTF層132の一部分の略図を示す。電極の配列は、接続された第2の電極素子140の6つの横列152、および接続された第1の電極素子138の10の縦列148を含む。図面では、縦列のそれぞれにx座標が割り当てられており、左側(第1)の縦列がx=1であり、右側(第10)の縦列はx=10である。各横列には、y座標が割り当てられており、図5の最下(第1)の横列はy=1であり、最上(第6)の横列はy=6である。こうすることで、各電極136の構成要素である第1および第2の電極素子138、140の横列および縦列に基づき、各電極136を特定することが可能である。第1の電極素子138を縦列x=7に、第2の電極素子140を横列y=3に有する電極136は、電極(7,3)として特定されるとよい。概して、配列の任意の場所にある電極を、電極(x,y)として特定できる。
【0072】
電極136のうちの特定の電極、例えば電極(x=i,y=j)を作動させるために、−Vの電位(デバイス10内の中間電位に対して)が、縦列x=iの接続された第1の電極素子138に印加され、電位+V(デバイス10内の中間電位に対して)が、横列y=jの接続された第2の電極素子140に印加される。その結果、電極(x=i,y=j)を構成する第1および第2の電極素子138、140の間の電位差は、2×Vである。縦列x=iの第1の電極素子138および横列y≠jの第2の電極素子を有する各電極(x=i,y≠j)は、その第1および第2の電極素子138、140の間に+Vの電位差を有する。縦列x≠iの第1の電極素子138および横列y=jの第2の電極素子140を有する各電極(x≠i,y=j)は、その第1および第2の電極素子138、140の間に−Vの電位差を有する。
【0073】
2×Vの電位差は、神経刺激の閾値Vthより上の電気刺激をユーザの指先に提供する。一方、+/−Vの電位差は、閾下の電気刺激を提供する。したがって、作動された電極(x=i,y=j)は、ユーザの指の受容体の刺激を生じるが、作動されていない電極はすべて刺激を生じない。Vthは、1〜10ボルトの範囲であるとよい。各電極素子に供給される電位の大きさVは、デバイスのユーザによって調節可能であるとよい。こうすることで、ユーザは、その神経刺激の個別の閾値Vthに従って、作動される電極の電極素子間の電位差を調節することができる。
【0074】
当然のことながら、上記の方法を使用して、任意の数の電極136が任意の時点で作動されることが可能である。
【0075】
通常、N×N配列の電極を個別に作動できるようにするためには、各電極が電源に接続されることが必要であると考えられる。したがって、N2セットの接続が必要となることになる。しかし、上記の方法を使用して電極を個別に作動させることによって、2Nセットだけの接続が必要とされる。辺長10cmの正方形の可視表面を有し、電極の間隔が0.5mmのTSTF層132を有するディスプレイについて考えると、N=200である。したがって、N2=40000であり、2N=400である。結果として、上記の実施形態によるシステムを利用することによって、100倍少ない(すなわち1/100の数の)セットの接続が必要となる。これは、大幅に単純化された性質の回路をもたらす。
【0076】
当然のことながら、代わりに電極136は、互いに完全に、電気的に独立していてもよい。このように配列された電極は、アクティブマトリックスアドレッシング技術を使用して個別に作動されるとよい。こうした実施形態では、各電極は、他の電極とコネクタを共有せず、専用の第1および第2のコネクタを提供される。そのような実施形態は、所与の数の電極に対し、より多くのコネクタを有する。
【0077】
特定の電極を作動させる上記の方法は、DC電位に関して記載されている。しかし、代わりにAC電位を使用することが有利なこともある。
【0078】
上述の電極アドレッシング方法は、ACの場合でも機能するが、ACの場合は、作動される単数または複数の電極の単数または複数の横列152および単数または複数の縦列148に印加される波形の相対位相を変えることによって、作動された電極において生じるピーク強度の変調が可能である。さらに、神経受容体における触覚感度は、印加される刺激の周波数の関数である。したがって、最適な触感を作り出すよう、システムの周波数応答が調整されることが可能である。最適周波数は、100〜300Hzの範囲であると考えられる。代わりに、周波数は、100〜500Hzの範囲であってもよい。適切な周波数は、10Hz〜3kHzの範囲であると考えられる。周波数は、ユーザ定義可能であるとよい。こうすることで、周波数を、ユーザの触覚感度に従って最適化できる。
【0079】
図6は、TSTF層132の一部分を動作させる回路の略図である。図6は、4×4配列の電極136を含むTSTF層の一部分を示すが、当然のことながら、これは具体例にすぎない。
【0080】
接続された第1の電極素子138の縦列148はそれぞれ、個別の検出副回路180および個別の刺激副回路182と接続されている。接続された第2の電極素子140の横列152はそれぞれ、個別の検出副回路180および個別の刺激副回路182と接続されている。
【0081】
第1の電極素子138の縦列148に関係する各検出副回路180は、第1の検出MUX188と接続されている。第2の電極素子140の横列152に関係する各検出副回路180は、第2の検出MUX190と接続されている。
【0082】
第1の電極素子138の縦列148に関係する各刺激副回路182は、第1の刺激MUX192と接続されている。第2の電極素子140の横列152に関係する各刺激副回路182は、第2の刺激MUX194と接続されている。
【0083】
第1および第2の検出MUX188、190ならびに第1および第2の刺激MUX192、194は、プロセッサに接続されている。プロセッサは、所望のときに所望の電極にて刺激電位を提供するように、刺激MUX、および間接的に刺激回路を制御する。プロセッサは、どの電極がユーザの指先に近いかを決定するために、検出MUXを制御する。
【0084】
図7は、図1〜5を参照して記載されたTSTF層132の例示の実施形態を製造する方法を示すフローチャートである。
【0085】
ステップS1において、第1の副層158を形成するブランクが設けられる。ブランクは、TSTF層132を利用するディスプレイパネル130のサイズに実質的に一致するサイズの主要面を有する、既成のシート材料を含む。ブランクの厚さ(すなわち、第1の副層158の下面から、完成した副層の複数の隆起168の上面172までの距離)は、ミクロン〜ミリメートルの範囲であるとよい。ブランクは、例えば、シリコーン、ポリイミド、ポリ(メタクリル酸メチル)(アクリルガラス)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、またはポリエチレンテレフタレートなどの透明ポリマーを含むとよい。
【0086】
ステップS2において、ブランクに隆起168が形成され、第1の副層158が作成される。隆起は、ブランクの表面に凹部領域を作成することによって設けられる。凹部領域は、ブランクの表面に、等間隔に設けられる。各凹部領域は、ブランクの表面の全長にわたって延びる。隆起168は、ブランクのうち、新たに作成された凹部領域の間にある領域である。
【0087】
凹部領域は、熱可塑型ナノインプリントリソグラフィー(ホットエンボス加工)、フォトナノインプリントリソグラフィー、電気化学的ナノインプリンティング、またはその他、ナノインプリンティングの任意の適切な方法によって作成されるとよい。
【0088】
ステップS3において、接続された第2の電極素子140の横列152が、第1の副層158の上面に設けられる。接続された第2の電極素子140の横列152は、第1の副層158の上面に等間隔に設けられる。接続された第2の電極素子140の横列152は、第1の副層158の上面の全長にわたって延びる。接続された第2の電極素子140の横列152の長手方向長は、隆起168の長手方向長に対して実質的に垂直である。代わりに、これらは垂直でなくてもよい。
【0089】
接続された第2の電極素子140の横列152は、適切に成形されたマスクと組み合わせたCVD(chemical vapour deposition:化学蒸着法)によって表面上に提供されるとよい。あるいは、その他任意の適切な技術が使用されるとよい。適切な技術には、物理蒸着法(PVD:physical vapour deposition)、スパッタリング、スプレーコーティング、蒸発、シャドーマスクを用いるエアロゾルデポジション、液体ナノコンポジットもしくは溶液のスピンコーティングの後に続くリソグラフィーもしくは直接描画パターン形成、またはドクターブレーディングなど、他の種類の溶液相堆積処理が含まれるが、これらに限定はされない。
【0090】
ステップS4において、第2の副層160が、隆起168の間の凹部領域で、第1の副層158の上面上に設けられる。第2の副層160は、隆起168の上面172と実質的に同じ高さまで延びる。第2の副層160は、隣接した第2の電極素子140同士を接続する第2の接続素子150を封入する。第2の副層160を設けるのに適切であると考えられる技術には、PVD蒸着法、CVD蒸着法、スパッタリング、噴霧、蒸発、スピンコーティングまたはドクターブレーディングなどの溶液相堆積処理、および加熱積層法が含まれるが、これらに限定はされない。第2の副層は、例えば、透明シリコーンから、または、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、もしくはポリエチレンテレフタレートなど、別の適した材料から成るとよい。
【0091】
ステップS5において、接続された第1の電極素子138の縦列148が、第2の副層160の上面上に設けられる。これらは、第2の電極素子140の横列152に対して実質的に垂直である。代わりに、これらは垂直でなくてもよい。
【0092】
接続された第1の電極素子138の縦列148は、光透過性材料を含む。適切な材料には、透明薄層として提供される、カーボンナノチューブネットワーク(CNTN)、インジウムチタン酸化物(ITO)フィルム、例えば酸化亜鉛などのワイドバンドギャップ酸化物、および金または銀の薄層が含まれるが、これらに限定はされない。
【0093】
接続された第1の電極素子138の縦列148は、第2の電極素子140の横列152を提供するために利用されたのと同じ技術を使用して設けられるとよい。
【0094】
ステップS6において、第3の副層162が設けられる。第3の副層は、電極素子138、140、および第2の副層160の上面を封入する。第3の副層162は、シリコーンから、または、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、またはポリエチレンテレフタレートなど、別の適した材料から成る。第3の副層162を提供するのに適切であると考えられる技術には、PVD蒸着法、CVD蒸着法、スパッタリング、噴霧、蒸発、スピンコーティングまたはドクターブレーディングなどの溶液相堆積処理、および加熱積層法が含まれるが、これらに限定はされない。
【0095】
図8は、図1〜5を参照して記載されたTSTF層132の例示の実施形態を製造する別の方法を示す。本方法は、図7を参照して記載されたものと似ているが、主な違いは、第1の副層158が異なる方法で設けられることである。ステップT1において、隆起を有し第1の副層158の所望の構造に対応する型が設けられる。
【0096】
ステップT2において、接続された第2の電極素子140の横列152が、型の表面に設けられる。これは、前の方法のステップS3と同じ方法で実行されるとよい。ステップT3において、第2の副層160が設けられる。ステップT4において、第1の電極素子138の縦列148が設けられる。ステップT5において、第3の副層が設けられる。
【0097】
ステップT6において、型が除去される。ステップT7において、第1の副層158が、除去された型によって空けられた領域を埋めることによって設けられる。
【0098】
上記はすべて移動電話に関連して記載されているが、当然のことながら、TSTF層132は、タッチスクリーン機能性を必要とする任意のデバイスに含まれるとよい。これらのデバイスには、PDA、メディアプレーヤ、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、GPSナビゲーションデバイス、および電子リーダー/書籍が含まれるが、これらに限定はされない。
【0099】
TSTF層132を構成する材料の性質および寸法は、TSTF層132が可撓性を有することができるように選択される。その結果として、TSTF層132は、可撓性OLEDディスプレイ、双安定ディスプレイ、電気泳動およびエレクトロウェッティングディスプレイなど、可撓性ディスプレイパネルでの使用に適切である。
【0100】
電極素子に適切な材料は、ナノ粒子、ナノワイヤー、およびナノロッドベースの材料、溶液、ならびに複合材である。例として、電極素子は、任意の形状/形態のナノ材料、ゾル−ゲル材料、または、導電特性を呈するその他任意の可撓性の透明な材料を取り入れるとよい。例には、透明薄層として提供される、カーボンナノチューブネットワーク(CNTN)、インジウムチタン酸化物(ITO)フィルム、ワイドバンドギャップ酸化物(酸化亜鉛など)、および金または銀の薄層が含まれる。
【0101】
副層は、可撓性の透明母材(例えば透明可撓性ポリマー)から成る任意の適切な複合材料を含むとよい。
【0102】
当然のことながら、さらに、上述のコンポーネントおよび構成の変形が適切であることもある。例えば、第1の電極素子138はそれぞれ、例えば、次に限定はされないが、第2の電極素子140が位置する空の内部領域を有する、正方形、長方形、または六角形などの別の形状を含んでもよい。同様に、第2の電極素子140が別の形状を有してもよい。
【0103】
第1の電極素子138が第2の電極素子140を囲むことに代えて、第1および第2の電極138、140は、単に互いに隣接していてもよい。この例では、接続された第1の電極素子138の縦列148は、第2の副層160の表面にわたって延びる、均一幅の、複数本の光透過性導電材料を含むとよい。
【0104】
当然のことながら、第3の副層162が含まれなくても、電極136は、やはり経皮的神経電気刺激を提供し、タッチ入力を検出するよう動作可能であるとよい。この実施形態では、ユーザの指先は、電極136と直接接触することになる。
【0105】
当然のことながら、デバイスのタッチ感度機能性は、TSTF層132の代わりに、またはTSTF層132に加えて、ディスプレイパネル132によって提供されてもよい。この機能性を提供することができるディスプレイパネルには、静電容量タッチセンシティブディスプレイパネルおよび抵抗型タッチセンシティブディスプレイパネルが含まれるが、これらに限定はされない。
【0106】
図9は、生物医学デバイス200の一実施形態の略図を示す。生物医学は、TSTF層132、刺激パターン生成器(SPG:stimulation pattern generator)202、プロセッサ204、メモリ206、無線送受信機208、および電源210を含む。
【0107】
生物医学デバイス200は、TSTF層132が接触している身体部位に、電磁界治療(EFT:electromagnetic Field Therapy)を提供するよう動作可能であるとよい。EFTは、次に限定はされないが、創傷の手当て、筋肉の強化、鎮痛および炎症軽減、ならびに骨の成長および修復などの分野で有益であると考えられる。
【0108】
さらに、生物医学デバイス200は、神経、筋肉、およびその他の生物医学活動を感知するよう動作可能であるとよい。
【0109】
TSTF層132は、2次元配列の電極136を含む。TSTF層132は、図2〜5を参照して記載されたとおりであるとよい。TSTF層132が、光透過性であるか、光不透過性であるか、または半透明であるかは重要でないこともある。
【0110】
あるいは、TSTF層132の電極136は、互いに完全に、電気的に独立していてもよい。このように配列された電極は、アクティブマトリックスアドレッシング技術を使用して個別に作動されるとよい。こうした実施形態では、各電極は、他の電極とコネクタを共有せず、専用の第1および第2のコネクタを提供される。
【0111】
TSTF層132の最上の絶縁層(図示せず)によって、生物医学デバイス200は、TSTF層132が接触している身体部位に、静電容量結合EFTを提供するよう動作可能であるとよい。あるいは、そのような絶縁層は存在せず、電極とユーザとの間で直接結合があってもよい。
【0112】
TSTF層132の電極136は、SPG202と電気接続されているとよい。SPG202は、電源210から電力を受信する。SPGは、TSTF層132の電極136を制御する神経刺激パターンを生成するよう動作可能である。SPG202は、刺激パターンを生成する特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)(図示せず)を含むとよい。さらに、SPG202は、生成された作動パターンに基づき電極136を作動させるのに適した刺激回路(図示せず)を含むとよい。刺激回路は、図6を参照して記載されたものと同じであればよい。
【0113】
さらに、SPG202は、TSTF層132の電極136によって受信された信号を検出するのに適した検出回路(図示せず)を含むとよい。検出回路は、図6を参照して記載されたものと同じであればよい。
【0114】
プロセッサ204は、SPG202の動作を制御するよう動作可能である。当然のことながら、プロセッサ204は、SPG202と統合されてもよい。TSTF層132から、それによって検出された信号は、SPG202を介して、後から別のデバイスへ伝送するためにメモリ206に記憶されるとよい。あるいは、またはさらに、受信された信号は、検出の後、即座に無線送受信機208を介して他のデバイス(図示せず)へ伝送されてもよい。
【0115】
さらに、無線送受信機208は、別のデバイスから信号を受信するよう動作可能であるとよい。受信された信号は、SPG202および/またはプロセッサ204の動作を制御する信号を含むとよい。受信された信号は、後からプロセッサ204およびSPG202によって実装されるよう、メモリに記憶されるとよい。あるいは、最初にメモリに記憶することなくSPG202によって実装されてもよい。無線送受信機208は、例えば、ブルートゥース送受信機、別の種類のRF送受信機、または赤外線送受信機とすることもできるが、これらに限定はされない。あるいは、またはさらに、このデバイスは、別のデバイスとの有線接続を介して、その別のデバイスと信号の受信または送信を行うよう動作可能であってもよい。
【0116】
電源は、電池、例えば、ペーパー電池、または時計用電池などの小型の軽量電池であるとよい。あるいは、電源は、商用電気システムに接続されてもよい。
【0117】
TSTF層132は、TSTF層を患者の皮膚に貼るために、第3の副層162の外表面116に、接着薄層を有してもよい。あるいは、TSTF層132は、例えば、第1の副層158の裏面166に貼り付けられる医療用テープを用いてなど、別の方法で、ユーザの皮膚への接触状態を保たれてもよい。
【0118】
SPG202、プロセッサ204、メモリ206、無線送受信機208、および電源210などの電気コンポーネントならびに回路は、第1の副層158の裏面166に設けられてもよい。このように、生物医学デバイスは、目立たず独立したものであるとよい。
【0119】
TSTF層は、本明細書で既に説明したのと同じ材料を含むとよい。その結果として、TSTF層は可撓性であるとよい。よって、TSTF層132は、それが貼られるユーザの身体部分の形状に適合するとよい。
【0120】
生物医学デバイス200は、ユーザの皮膚の、治療または監視が必要な身体部位上に貼られるとよい。例えば、首にCCFETが必要な患者は、生物医学デバイスを身につけて痛みを軽減することもでき、固定機器にユーザが物理的に接続される必要はない。生物医学デバイス200は、筋痙攣の検出など、生物医学活動の検出に応答して、CCFETを提供するよう動作可能であってもよい。さらに、TSTF層132の一部分のみの電極136の下にある筋肉で筋痙攣が検出されると、生物医学デバイスは、その部分の電極のみを作動させるよう動作可能であるとよい。電極136は、図5を参照して記載された形で作動されればよい。
【0121】
当然のことながら、前述の実施形態は、制限するものとして解釈されてはならない。本願を読むと、他の変形および変更が、当業者には明らかであろう。さらに、本願の開示は、本願明細書で明示的または黙示的に開示された任意の新規な特徴もしくは任意の新規な特徴の組み合わせ、またはその任意の一般化を含むものと理解されるべきであり、本願またはそれから派生する任意の出願の手続遂行中に、任意のそのような特徴および/またはそのような特徴の組み合わせを対象とする新たな請求項が策定されることもある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の外面のうち、光透過性電極に近い部分に接触するユーザに、経皮的神経電気刺激を提供するよう構成された、前記光透過性電極を含む、前記装置。
【請求項2】
前記外面は、疎水性である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記外面は、疎油性である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、電気絶縁層をさらに含み、ユーザが前記電極に直接触れることができないようにするよう、前記電気絶縁層の表面が、前記装置の前記外面の前記部分を構成する、先行するいずれかの請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記光透過性電極は、互いに電気絶縁された第1の電極素子および第2の電極素子を含む、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記第1の電極素子と、前記第2の電極素子との間に神経刺激電位差を提供するよう構成された、刺激回路を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記光透過性電極は、2次元配列の光透過性電極の一部を構成する、先行するいずれかの請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記2次元配列の光透過性電極は、電気接続された光透過性の第1の電極素子の複数の列と、電気接続された光透過性の第1の電極素子の前記複数の列に交差し且つそれから電気絶縁された、電気接続された光透過性の第2の電極素子の複数の列とを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1および第2の電極素子は、実質的に同じ平面に位置し、光透過性の第1の電極素子は、その列内の隣接した電極素子に、第1の接続素子によって電気接続され、光透過性の第2の電極素子は、その列内の隣接した電極素子に、第2の接続素子によって電気接続され、前記第1の接続素子は、前記第2の接続素子とは異なる平面にある、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の電極素子は、前記第2の電極素子の周囲を、実質的に同じ平面において囲む、請求項8または請求項9に記載の装置。
【請求項11】
電気接続された光透過性の第1の電極素子の前記複数の列のうちの1つ以上と、電気接続された光透過性の第2の電極素子の前記複数の列のうちの1つ以上との間に、神経刺激電位差を提供するよう構成された、刺激回路を含む、請求項8〜10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記刺激回路は、電気接続された光透過性の第1の電極素子の前記複数の列のうちの前記1つ以上に第1の電位を提供し、電気接続された光透過性の第2の電極素子の前記複数の列のうちの前記1つ以上に第2の電位を提供し、電気接続された光透過性の第1の電極素子の前記複数の列および電気接続された光透過性の第2の電極素子の前記複数の列の残りのものに、前記第1および第2の電位の中間の電位を印加するよう構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記刺激回路は、電気接続された光透過性の第1の電極素子の前記複数の列および電気接続された光透過性の第2の電極素子の前記複数の列の各列に、プロセッサの制御下で、神経刺激電位差を提供するよう構成されている、請求項11または請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記装置は可撓性である、先行するいずれかの請求項に記載の装置。
【請求項15】
前記装置の前記外面の前記部分にユーザが接触するのを検出するよう構成された検出回路を含む、先行するいずれかの請求項に記載の装置。
【請求項16】
前記検出回路は、前記電極の一部を形成する第1および第2の電極素子における静電容量の変化を検出することによって、前記装置の前記外面の前記部分にユーザが接触するのを検出するよう構成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
刺激回路または前記刺激回路は、前記装置の前記外面のうち、前記電極に近い前記部分にユーザが接触するのを前記検出回路が検出するのに応答して、前記第1および第2の電極素子の間に神経刺激電位差を提供するよう構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
基板と、
前記基板に支持された2次元配列の電極と、
前記電極のうちの1つ以上に神経刺激電位を選択的に提供するよう構成された刺激回路と、
を含む装置。
【請求項19】
外面を提供するように前記2次元配列の電極上に位置する電気絶縁層をさらに含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記外面は、疎水性である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記外面は、疎油性20である、請求項19または20に記載の装置。
【請求項22】
各電極は、第1の電極素子および第2の電極素子を含み、前記第1および第2の電極素子は、互いに電気絶縁されている、請求項18または19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記刺激回路は、前記電極のうちの前記1つ以上の第1および第2の電極素子の間に神経刺激電位差を選択的に提供するよう構成されている、請求項18に記載の装置。
【請求項24】
前記2次元配列の電極は、
列内の他の第1の電極素子それぞれにそれぞれ電気接続されている、第1の電極素子の複数の前記列と、
列内の他の第2の電極素子それぞれにそれぞれ電気接続されている、電気接続された第2の電極素子の複数の前記列と、
を含み、電気接続された第2の電極素子の前記複数の列は、電気接続された第1の電極素子の前記複数の列に交差し、前記刺激回路は、電気接続された第1の電極素子の前記複数の列のうちの1つ以上と、電気接続された第2の電極素子の前記複数の列のうちの1つ以上との間に、神経刺激電位差を選択的に提供するよう構成されている、請求項18〜23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
電極の前記第1および第2の電極素子は、実質的に同じ平面に位置し、第1の電極素子は、その列内の隣接した電極素子に、第1の接続素子によって電気接続され、第2の電極素子は、その列内の隣接した電極素子に、第2の接続素子によって電気接続され、前記第1の接続素子は、前記第2の接続素子とは異なる平面にある、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記刺激回路は、選択的に、電気接続された第1の電極素子の前記複数の列のうちの前記1つ以上に第1の電位を提供し、電気接続された第2の電極素子の前記複数の列のうちの前記1つ以上に第2の電位を提供し、電気接続された第1の電極素子の前記複数の列および電気接続された第2の電極素子の前記複数の列の残りのものに、前記第1および第2の電位の中間の電位を印加するよう構成されている、請求項24または25に記載の装置。
【請求項27】
前記刺激回路は、電気接続された第1の電極素子の前記複数の列および電気接続された第2の電極素子の前記複数の列の各列に、プロセッサの制御下で、神経刺激電位差を選択的に提供するよう構成されている、請求項24〜26のいずれかに記載の装置。
【請求項28】
電極の前記第1の電極素子は、前記電極の前記第2の電極素子の周囲を、実質的に同じ平面において囲む、請求項22〜請求項27のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
前記基板および前記2次元配列の電極は可撓性である、請求項22〜28のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
前記電極のうちの1つの近くのユーザを検出するよう構成された検出回路を含む、請求項22〜29のいずれかに記載の装置。
【請求項31】
前記検出回路は、前記電極の第1および第2の電極素子における静電容量の変化を検出することによって、前記電極のうちの1つの近くのユーザを検出するよう構成されている、請求項22に従属する場合の請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記刺激回路は、前記装置の前記外面のうち、前記電極に近い前記部分にユーザが接触するのを前記検出回路が検出するのに応答して、前記第1および第2の電極素子の間に神経刺激電位差を選択的に提供するよう構成されている、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
請求項1〜32のいずれかに記載の前記装置と、
ディスプレイパネルと、
を含むデバイス。
【請求項34】
前記ディスプレイパネル上で電極または前記電極に対応する位置にイメージを表示するとともに、前記装置の外面のうち、電極または前記電極に近い部分に接触するユーザに対して、経皮的神経電気刺激を提供するよう構成された、請求項33に記載のデバイス。
【請求項35】
光透過性電極を使用して、前記装置の外面のうち、前記光透過性電極に近い部分に接触するユーザに、経皮的神経電気刺激を提供するステップを含む、方法。
【請求項36】
基板に支持された2次元配列の電極を動作させる方法であって、前記電極のうちの1つ以上に神経刺激電位を選択的に提供するステップを含む、方法。
【請求項37】
第1の基板層を設けるステップと、
前記第1の基板層に複数の凹部領域を形成するステップと、
前記第1の基板層上に第1の複数の導電路を形成するステップと、
前記凹部領域に第2の基板層を設けるステップと、
前記第2の基板層上に第2の複数の導電路を形成するステップと、
前記第2の基板層上および前記第2の複数の導電路上に、第3の基板層を設けるステップと、
を含む方法。
【請求項38】
複数の突起が形成された型を設けるステップと、
前記型上に第1の複数の導電路を形成するステップと、
前記型のうち、前記突起間の領域上に、第1の基板層を設けるステップと、
前記第1の基板層上に第2の複数の導電路を形成するステップと、
前記第1の基板層上および前記第2の複数の導電路上に第2の基板層を設けるステップと、
前記型を除去するステップと、
前記除去された型によって空けられた体積内に、第3の基板層を設けるステップと、
を含む方法。
【請求項1】
装置の外面のうち、光透過性電極に近い部分に接触するユーザに、経皮的神経電気刺激を提供するよう構成された、前記光透過性電極を含む、前記装置。
【請求項2】
前記外面は、疎水性である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記外面は、疎油性である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、電気絶縁層をさらに含み、ユーザが前記電極に直接触れることができないようにするよう、前記電気絶縁層の表面が、前記装置の前記外面の前記部分を構成する、先行するいずれかの請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記光透過性電極は、互いに電気絶縁された第1の電極素子および第2の電極素子を含む、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記第1の電極素子と、前記第2の電極素子との間に神経刺激電位差を提供するよう構成された、刺激回路を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記光透過性電極は、2次元配列の光透過性電極の一部を構成する、先行するいずれかの請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記2次元配列の光透過性電極は、電気接続された光透過性の第1の電極素子の複数の列と、電気接続された光透過性の第1の電極素子の前記複数の列に交差し且つそれから電気絶縁された、電気接続された光透過性の第2の電極素子の複数の列とを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1および第2の電極素子は、実質的に同じ平面に位置し、光透過性の第1の電極素子は、その列内の隣接した電極素子に、第1の接続素子によって電気接続され、光透過性の第2の電極素子は、その列内の隣接した電極素子に、第2の接続素子によって電気接続され、前記第1の接続素子は、前記第2の接続素子とは異なる平面にある、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の電極素子は、前記第2の電極素子の周囲を、実質的に同じ平面において囲む、請求項8または請求項9に記載の装置。
【請求項11】
電気接続された光透過性の第1の電極素子の前記複数の列のうちの1つ以上と、電気接続された光透過性の第2の電極素子の前記複数の列のうちの1つ以上との間に、神経刺激電位差を提供するよう構成された、刺激回路を含む、請求項8〜10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記刺激回路は、電気接続された光透過性の第1の電極素子の前記複数の列のうちの前記1つ以上に第1の電位を提供し、電気接続された光透過性の第2の電極素子の前記複数の列のうちの前記1つ以上に第2の電位を提供し、電気接続された光透過性の第1の電極素子の前記複数の列および電気接続された光透過性の第2の電極素子の前記複数の列の残りのものに、前記第1および第2の電位の中間の電位を印加するよう構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記刺激回路は、電気接続された光透過性の第1の電極素子の前記複数の列および電気接続された光透過性の第2の電極素子の前記複数の列の各列に、プロセッサの制御下で、神経刺激電位差を提供するよう構成されている、請求項11または請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記装置は可撓性である、先行するいずれかの請求項に記載の装置。
【請求項15】
前記装置の前記外面の前記部分にユーザが接触するのを検出するよう構成された検出回路を含む、先行するいずれかの請求項に記載の装置。
【請求項16】
前記検出回路は、前記電極の一部を形成する第1および第2の電極素子における静電容量の変化を検出することによって、前記装置の前記外面の前記部分にユーザが接触するのを検出するよう構成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
刺激回路または前記刺激回路は、前記装置の前記外面のうち、前記電極に近い前記部分にユーザが接触するのを前記検出回路が検出するのに応答して、前記第1および第2の電極素子の間に神経刺激電位差を提供するよう構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
基板と、
前記基板に支持された2次元配列の電極と、
前記電極のうちの1つ以上に神経刺激電位を選択的に提供するよう構成された刺激回路と、
を含む装置。
【請求項19】
外面を提供するように前記2次元配列の電極上に位置する電気絶縁層をさらに含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記外面は、疎水性である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記外面は、疎油性20である、請求項19または20に記載の装置。
【請求項22】
各電極は、第1の電極素子および第2の電極素子を含み、前記第1および第2の電極素子は、互いに電気絶縁されている、請求項18または19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記刺激回路は、前記電極のうちの前記1つ以上の第1および第2の電極素子の間に神経刺激電位差を選択的に提供するよう構成されている、請求項18に記載の装置。
【請求項24】
前記2次元配列の電極は、
列内の他の第1の電極素子それぞれにそれぞれ電気接続されている、第1の電極素子の複数の前記列と、
列内の他の第2の電極素子それぞれにそれぞれ電気接続されている、電気接続された第2の電極素子の複数の前記列と、
を含み、電気接続された第2の電極素子の前記複数の列は、電気接続された第1の電極素子の前記複数の列に交差し、前記刺激回路は、電気接続された第1の電極素子の前記複数の列のうちの1つ以上と、電気接続された第2の電極素子の前記複数の列のうちの1つ以上との間に、神経刺激電位差を選択的に提供するよう構成されている、請求項18〜23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
電極の前記第1および第2の電極素子は、実質的に同じ平面に位置し、第1の電極素子は、その列内の隣接した電極素子に、第1の接続素子によって電気接続され、第2の電極素子は、その列内の隣接した電極素子に、第2の接続素子によって電気接続され、前記第1の接続素子は、前記第2の接続素子とは異なる平面にある、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記刺激回路は、選択的に、電気接続された第1の電極素子の前記複数の列のうちの前記1つ以上に第1の電位を提供し、電気接続された第2の電極素子の前記複数の列のうちの前記1つ以上に第2の電位を提供し、電気接続された第1の電極素子の前記複数の列および電気接続された第2の電極素子の前記複数の列の残りのものに、前記第1および第2の電位の中間の電位を印加するよう構成されている、請求項24または25に記載の装置。
【請求項27】
前記刺激回路は、電気接続された第1の電極素子の前記複数の列および電気接続された第2の電極素子の前記複数の列の各列に、プロセッサの制御下で、神経刺激電位差を選択的に提供するよう構成されている、請求項24〜26のいずれかに記載の装置。
【請求項28】
電極の前記第1の電極素子は、前記電極の前記第2の電極素子の周囲を、実質的に同じ平面において囲む、請求項22〜請求項27のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
前記基板および前記2次元配列の電極は可撓性である、請求項22〜28のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
前記電極のうちの1つの近くのユーザを検出するよう構成された検出回路を含む、請求項22〜29のいずれかに記載の装置。
【請求項31】
前記検出回路は、前記電極の第1および第2の電極素子における静電容量の変化を検出することによって、前記電極のうちの1つの近くのユーザを検出するよう構成されている、請求項22に従属する場合の請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記刺激回路は、前記装置の前記外面のうち、前記電極に近い前記部分にユーザが接触するのを前記検出回路が検出するのに応答して、前記第1および第2の電極素子の間に神経刺激電位差を選択的に提供するよう構成されている、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
請求項1〜32のいずれかに記載の前記装置と、
ディスプレイパネルと、
を含むデバイス。
【請求項34】
前記ディスプレイパネル上で電極または前記電極に対応する位置にイメージを表示するとともに、前記装置の外面のうち、電極または前記電極に近い部分に接触するユーザに対して、経皮的神経電気刺激を提供するよう構成された、請求項33に記載のデバイス。
【請求項35】
光透過性電極を使用して、前記装置の外面のうち、前記光透過性電極に近い部分に接触するユーザに、経皮的神経電気刺激を提供するステップを含む、方法。
【請求項36】
基板に支持された2次元配列の電極を動作させる方法であって、前記電極のうちの1つ以上に神経刺激電位を選択的に提供するステップを含む、方法。
【請求項37】
第1の基板層を設けるステップと、
前記第1の基板層に複数の凹部領域を形成するステップと、
前記第1の基板層上に第1の複数の導電路を形成するステップと、
前記凹部領域に第2の基板層を設けるステップと、
前記第2の基板層上に第2の複数の導電路を形成するステップと、
前記第2の基板層上および前記第2の複数の導電路上に、第3の基板層を設けるステップと、
を含む方法。
【請求項38】
複数の突起が形成された型を設けるステップと、
前記型上に第1の複数の導電路を形成するステップと、
前記型のうち、前記突起間の領域上に、第1の基板層を設けるステップと、
前記第1の基板層上に第2の複数の導電路を形成するステップと、
前記第1の基板層上および前記第2の複数の導電路上に第2の基板層を設けるステップと、
前記型を除去するステップと、
前記除去された型によって空けられた体積内に、第3の基板層を設けるステップと、
を含む方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2012−511360(P2012−511360A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540089(P2011−540089)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066775
【国際公開番号】WO2010/066817
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066775
【国際公開番号】WO2010/066817
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】
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