秋材単板及びその製造方法並びに秋材単板で構成したシェイド付き照明器具。
【課題】秋材部と春材部が混合した木材から、秋材単板を効率良く製造し、新規な木肌と肌触りのよい艶を有する秋材単板で構成した照明器具を提供することを課題とするものである。
【解決手段】秋材部と春材部が混合した木材から、繊維密度の低い春材部をサンドブラストで研磨し除法することにより、繊維密度の高い荒削りな秋材単板が形成され、裁断後、磨きをかけて得た秋材単板、及び薄くスライスした秋材単板を磨き、染色に浸し、乾燥後蒸し、一部を曲げ加工することによって得られた秋材単板を一定の規律に基づき配列したシェイドとシェイド内部に光源を配置した構成からなる、秋材単板で構成したシェイド付き照明器具及び秋材単板並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】秋材部と春材部が混合した木材から、繊維密度の低い春材部をサンドブラストで研磨し除法することにより、繊維密度の高い荒削りな秋材単板が形成され、裁断後、磨きをかけて得た秋材単板、及び薄くスライスした秋材単板を磨き、染色に浸し、乾燥後蒸し、一部を曲げ加工することによって得られた秋材単板を一定の規律に基づき配列したシェイドとシェイド内部に光源を配置した構成からなる、秋材単板で構成したシェイド付き照明器具及び秋材単板並びにその製造方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材から抽出した秋材単板およびその製造方法並びに秋材単板で構成したシェイド付き照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の木材は、秋材部と春材部が混合した木目で形成されている。また、秋材部が表出した美しい木肌を呈したものには、住宅建材として使用される門柱、床柱は高級柱として活用されている。一方ではプレカット工場や製材所で規格寸法取り後の高品質な端材や、切り株、根元部は有効活用されず、焼却処理されている。
【0003】
照明器具に用いる秋材単板の製造方法においては、繊維密度が低い春材部をサンドブラストで除去し、繊維密度の高い秋材部を残すように施したものがある(特許文献1参照。)また、杉の板材の有する色彩に応じた一定の規則に従い配列し構成したブラインドの一部にブラスト加工を施したのもある(特許文献2参照。)さらに、ペンダント照明器具で木製パネルを杉材でうづくり仕上げを施したのもある。(非特許文献1参照。)
【特許文献1】特開平03−109414号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】特開平04−76488号公報(第2頁、図3.4)
【非特許文献1】「松下電工 住宅用照明器具カタログ2005」,松下電工株式会社,2005年.P.280
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記、特許文献1記載の請求項によると、春材部を研磨、除去するのみで秋材部の抽出には至っていない。また、秋材部は荒削りのままで艶がなく、研磨時間もかかりすぎ、その状態で照明器具は、シェイドに使用している。また、特許文献2記載の請求項によると、杉板材をブラインドに用いており、春材部と秋材部を有している。さらに、非特許文献1記載のペンダント照明器具のパネルに用いている秋田杉の板材表面をうづくり加工して、春材部を浅く削りとったものである。
【0005】
本発明は、このような従来の構成していた照明器具のシェイド部、パネル部に配置した春材部を除去した秋材部による板材ではなく、秋材部と春材部が混合した木材から効率よく秋材部を残存させ、秋材単板を抽出することで新規な秋材単板で構成したシェイド付き照明器具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、本発明は上記目的を達成するために、第一の課題解決手段として、秋材部と春材部が混合した木材から、繊維密度の低い春材部をある程度、研磨し、除去することにより、繊維密度の高い秋材部が残存し、秋材部のみを裁断後、磨くことによって得た秋材単板を設けたものである。
【0007】
また、第2の課題解決手段として、請求項2に記載する秋材単板は、木材を木口面に垂直に裁断し、請求項1に記載する構成に於いて一枚一枚相違な湾曲を形成し、かつ木材の枝、切り株、根元部を同様に裁断して、天然の三次曲面を形成する秋材単板を設けたものである。
【0008】
第3の課題解決手段は、請求項1.2記載の秋材単板を薄くスライスし、磨くことにより、光源を透過した時、木肌が浮かびあがるように構成したものである。
【0009】
第4の課題解決手段は、請求項3記載の秋材単板を染料、顔料に浸し、乾燥し、蒸らした後、曲げ型で曲げ加工による三次曲面を形成、または曲げ加工しないことを特徴とする秋材単板を構成したものである。
【0010】
第5の課題解決手段は、木材の繊維が柾目、板目に水平に走っているため請求項1.2.3.4記載の秋材単板を木口面の巾や柾目面の厚みを自由に変更できる構成とした。
【0011】
第6の課題解決手段は、請求項6に記載の木材無垢板に、ドリルによる穴開け、鋸による線引き処理を形成したものである。
【0012】
第7の課題解決手段は請求項7に記載の原材料調達方法として、プレカット工場や製材所の規格寸法取り後の端材による無垢板を設けたものである。
【0013】
第8の課題解決手段は、請求項8記載の秋材単板製造方法として、秋材部と春材部が混合した木材から、繊維密度の低い春材部をサンドブラスタ−によって全方向からある程度研磨し除去することにより、繊維密度の高い秋材部が残存し、糸鋸等で裁断後、秋材単板を形成する製造方法である。
【0014】
第9の課題解決手段は請求項4記載の秋材単板を染料、顔料に浸し、日陰で網に乗せ自然乾燥を施し、蒸し器で一定時間蒸し、ステンレス棒等の曲げ型で曲げ加工するように構成した製造方法である。
【0015】
第10の課題解決手段は、心材から辺材までの全て、あるいは一部の秋材単板を木材の年輪と同一配列を形成し、かつ木材の持つ年輪巾と同一間隔で配列し構成したものや相違な樹種から抽出した秋材単板を一定の規律に基づき配列し、構成したものである。
【0016】
第11の課題解決手段は、配列、組み合わせ、接着、染料、顔料、塗料等を付加し住宅建材、生活関連機器、生活用品に活用できる木材の新規な素材として構成できるものである。
【0017】
上記第1の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、秋材部と春材部が混合した木材から秋材単板を抽出することにより、木材において新規な木肌と肌触りの良い艶を有する秋材単板を得る効果を発揮する。
【0018】
第2の課題解決手段による作用は、木材の木口面に垂直に裁断し秋材単板を抽出することにより、木口面から見て、一枚一枚相違な湾曲を呈した秋材単板を得、かつ木材の枝、切り株、根元部を同様に裁断して、天然の三次曲面を呈した秋材単板を得ることにより、一枚一枚相違な曲線美を有する効果を発揮する。
【0019】
第3の課題解決手段による作用は、秋材単板を薄くスライスすることにより、適度なしなりと強さを有し、光源を透過することによって秋材部のみが持つ柔和で温もりのある木肌が浮かびあがる効果を発揮する。
【0020】
第4の課題解決手段による作用は、秋材単板を染料、顔料に浸すことにより、繊維をより強くし、乾燥、蒸す行為で水分、養分をある程度除去し、しなりを持ち曲げ型で曲げ易くしたものである。
【0021】
第5の課題解決手段による作用は、繊維が柾目、板目方向に水平に走る特性を活かし秋材単板の厚み、巾を自由に変更できる作用を呈し、かつ秋材によるリングも形成する効果を発揮する。
【0022】
第6の課題解決手段による作用は、秋材部と春材部が混合した木材に、あらかじめドリル加工、線引き加工を施し、サンドブラスト処理して抽出した秋材単板に前記加工が形成されている効率の良い形成方法である。
【0023】
第7の課題解決手段による作用はプレット工場や製材所の端材による無垢板を活用することにより、原材料コスト削減及び無垢板に露出した切り口から木目、年輪、秋材部の厚さ、秋材部と春材部の年輪が目視確認でき、作業効率が上がる効果を得る。
【0024】
第8の課題解決手段による作用は、繊維密度の低い春材部をサンドブラスターによって全方向からある程度、研磨し、除去することにより、繊維密度の高い秋材部が残存し、裁断して秋材単板を抽出する工程で、最も作業効率の良いうえに、製造時間を短縮する効果を得る。
【0025】
第9の課題解決手段による作用は、秋材単板を染料、顔料に浸すことにより繊維をより強くし、乾燥後、蒸し器で蒸すことにより、水分、養分をある程度除去し、しなりを有して、曲げ易くしてから、曲げ型で曲げ加工をする為、容易に曲げ角度、三次曲面、ねじれを得る製造方法である。
【0026】
第10の課題解決手段による作用は、木材は心材部の色調が濃く、辺材部に近づくに従って色調が淡い部分を抽出することにより、同一樹種から色調の相違な木肌を得る効果に加え、年輪巾と同一間隔や樹種の相違な秋材単板を一定の規律に配列することにより、光の変化による明瞭な陰影グラデ−ション効果を発揮する。
【0027】
第11の課題解決手段による作用は、木材の新規な素材として、様々な分野の原材料として応用出来、木材の需要拡大につながる効果を発揮する。
【発明の効果】
【0028】
本発明の請求項1に係る秋材単板は、従来の秋材部と春材部が混合した木目と違い、新規な秋材のみの木目を有し、優美で柔和な肌触りの良い艶と光沢を表裏面に表現する効果を発揮する。
【0029】
さらに、秋材部は繊維密度が高い為、ソリ、割れが少なく、また水分、養分が春材部よりも少ない為、適度なしなりと強さを呈し、軽く、浮力も合わせ持った秋材単板を形成し、様々な加工が拡大することを可能とした。
【0030】
しかも、磨いた秋材単板の表面はフラットであり、各種印刷や漆等の染色、ニスや塗料、顔料等による塗布、コーティング処理及び酸化チタン等の別素材との融合も可能とした。
【0031】
本発明の請求項2に係わる秋材単板は、木材の心材から放射状に拡がりを持った年輪の特性を活かし、木口面から垂直に裁断することにより心材に近い程、湾曲度が大きく、辺材に近い程、湾曲度が小さい秋材単板を得る。かつ木材の枝、切り株、根元部からは、個々に相違な天然の三次曲面を有した秋材単板を得る効果を発揮する。
【0032】
本発明の請求項3に係わる秋材単板は、薄くスライスしている為、適度なしなりと強さを有し、光源を透過して見る木肌は、柔和で温もりのある、心落ち着く色調として秋材単板の表面に、露出する効果を発揮する。
【0033】
本発明の請求項4に係わる秋材単板は、繊維を更に強く、しなりを持たせる為、柿渋等の染料、顔料に浸すことにより、繊維が強く、殺菌、消臭、防水、防腐、防虫作用の効果を付加することを可能とした。
【0034】
さらに、秋材単板の繊維が柾目、板目面に対して水平に走っている特性を活かし、乾燥、蒸らし、曲げ加工により、板目面方向に自由な曲げ角度や三次曲面、ねじれを発生する効果を発揮する。
【0035】
本発明の請求項5に係わる秋材単板は、木口面の巾や柾目面の厚みを自由に変更できる為、秋材によるリングを形成したり、かつ組み合わせたり編んだり、また湾曲した秋材単板を重ね合わし、集成材として床等のフロ−リングに加工する等様々な用途にも応用できる効果を発揮する。
【0036】
本発明の請求項6に係わる秋材単板は、秋材部と春材部が混合した木材に、あらかじめドリル加工や鋸による線引きを施し、サンドブラスト処理によって、抽出した秋材単板に効率良くホゾ穴加工、線引き加工及び曲線を形成する効果を発揮する。
【0037】
本発明の請求項7に係わる木材の原材料調達方法として、端材の無垢板を活用することにより、エコサイクルの推進及び地産地消による原材料コスト削減が可能となり、更に無垢板の切り口から木目、年輪、秋材部の厚さ、秋材部と春材部の年輪巾が目視確認できることにより、新たに丸太を裁断するより作業効率良く秋材単板を得る効果を発揮する。
【0038】
本発明の請求項8に係わる秋材単板の製造方法に於いて、サンドブラスターによる秋材単板の抽出方法は、短時間に効率よく、一度に多くの秋材単板を抽出する製造方法として最も良い効果を発揮し、しかも木材の全方向から研磨できる為、厚みのある木材も神経を使わず深く掘削できる効果を得た。
【0039】
さらに、湾曲度合いが大きい秋材単板を得るには、春材部に集中的にサンドブラスタ−で全方向から研磨し、除去することにより、研磨作業中に目視確認出来ない深さでも、研磨剤が繊維密度の硬い秋材部に跳ね返り、春材部に集中し、より研磨される効果を発揮した。
【0040】
本発明の請求項9に係わる秋材単板の製造方法に於いて、繊維をより強くし、曲げ易くしてから、曲げ加工をする為、容易に曲げ角度、三次曲面、ねじれを得ることが出来、しかも一度に多くの秋材単板を得る効果を発揮する製造方法である。
【0041】
本発明の請求項10に係わる秋材単板で構成したシェイド付き照明器具は、優美で柔しい艶と光沢を表面に呈し、光源を透過することにより、薄くスライスした秋材単板部分からは、柔和で温もりのある、心落ち着く色調を持った木肌が露出する効果を発揮する。
【0042】
さらに、部材が軽いため、壁掛けブランケットや天井から吊るしたペンダント式照明器具としても活用出来る効果を得た。
【0043】
また、心材から辺材までの色の濃淡が同一色によるグラデ−ションとしての木肌を有し、樹種の組み合わせ、配列方法により、様々な色調変化を得、檜等の香りを有した樹種を採用すれば、濃縮した香りを楽しめ、リラックスできる効果を得る。
【0044】
かつ、天然の年輪巾が心材から辺材に向かって徐々に小さくなる特性を活かし、天然に近い配列により、陰影による間隔巾のグラデ−ション効果を発揮する。
【0045】
本発明の請求項11に係わる秋材単板は、住宅建材、生活関連機器、生活用品等に応用することにより、木材の新規な素材として需要拡大の効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明を実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0047】
図1〜図2に於いて、1は秋材単板で構成したシェイド2と、そのシェイド2内部に設置した光源3による秋材単板4及び秋材単板4aで構成したシェイド付き照明器具を示す。
【0048】
シェイド2は、内部に電球等の発熱による発光やLED等の放射熱以外で発光する光源3を配置する配置空間部8を有する立方体状に形成されており、図3に示す秋材部6と春材部5が混合した木材の無垢板7の年層から、繊維密度の低い春材部5をサンドブラスト9により、ある程度除去することによって、繊維密度の高い秋材部6が残存し、裁断、磨きをかけ秋材単板4を形成し、一定の規律に基づき配列した秋材単板4で構成した。
【0049】
秋材単板4は、年輪の心材10から辺材11までを抽出して、シェイドの両端に心材を配置し、中心部に向かって徐々に辺材が形成されるように配置した。年輪と同一の配列及び同間隔の空間を有することにより、秋材単板4の木肌による色調グラデ−ションと明瞭な陰影グラデ−ションが表現され、一枚一枚秋材部6の湾曲度が心材から辺材に近づく程、緩やかになっていることが木口側12から確認できる。
【0050】
また、シェイド2によるシェイド構成一部に秋材単板4aを形成し、内側の光源3から発する発光体の光源を透過することにより、木肌が浮かび上がる効果を得る。これは、秋材単板4を薄くスライスし、磨くことによって得られる。
【0051】
本発明に使用する木材は、基本的には年輪層が明確に表出されていれば良いが、作業効率や心材から辺材までの色調変化が大きいもの、春材部密度の低さ、秋材部密度の高さを有する樹種を検討すると最も杉材が適している。さらに、杉は野山に生える日本特産の常緑高木で、材は軟らかく木目が通り、工作がし易く、建築、器具、船材用等への用途が多く、特に秋田杉、高知杉等は銘木として重宝されている。
【0052】
また杉は、育成が日本の風土に適し、全国で植林され、住宅建材、環境保全、災害防止としても活用される為、毎年間伐しなければならず、製材所、プレカット工場で柱等の規格寸方取り後の端材、かつ間伐材の切り株等を利用することにより、環境循環資源と捉え、エコサイクルを推進する上でも原材料として適し、地産地消することが望まれる。
【0053】
次に本発明の第2の実施形態に係わる秋材単板の製造方法について以下に説明する。図3は、杉の端材による無垢板7であり、端材を活用することにより、目視で表面に露出した木目の状態、厚み、湾曲具合、色調変化が確認でき、丸太を裁断することなく、大幅に作業効率を上げる効果を得る。
【0054】
本発明の請求項1に係る秋材単板4は、従来の秋材部6と春材部5が混合した木目と違い、新規な秋材のみの木目で形成され、優美で柔和な肌触りの良い艶と光沢を木肌の表裏面に表現する効果を発揮する。
【0055】
無垢板7としては表面に木口12.柾目13.板目14を有し、目視で木口12により、秋材部6の湾曲度合、厚みを確認でき、柾目13では秋材部6の直線度や心材10方向より辺材11方向への秋材部6と春材部5が交互に形成されていることにより木目を構成している間隔、色調変化が確認できる効果を発揮する。
【0056】
丸太を輪切りに裁断した時、切り口に年輪と称する同心円を重ねたような木目が表出し、年輪から垂直に裁断した時、繊維、導管を称する木目が表出する。これは一年に一回りずつ増え、年ごとの成長度合を示している。木目の色の薄い部分は春材部と称され、春から夏にかけての成長期にでき、繊維、導管は柔く、繊維密度が低い。木目の色の濃い部分は秋材部と称され、秋から冬にかけての成熟期にでき、繊維、導管は固く、繊維密度が高い。特に針葉樹の杉は、春材部と秋材部の色調が明瞭に区別され、春材部が比較的柔らかく、研磨加工に適している。
【0057】
杉は年輪の中心部を称する心材から樹皮までの外周部を称する辺材までの色調変化が他の樹種に比べて顕著に表現されている。杉の心材は赤身とも称される程、茶褐色を有し、辺材を白太と称する程、白茶色を有している。赤身は、若年期の細胞が長年成長を繰り返した時、死細胞として中心部を形成され発生する。これは色素変化をおこした若年期の繊維、導管が年輪中心の周囲に浸透することにより発生する。よって、秋材単板を抽出した時、同一樹種において色調変化を有することになる。
【0058】
図面では詳述しないが、無拓板7の板目面14から、研磨する前に卓上ボール盤にて堀削し、ホゾ穴開けを施す。この事により、抽出する秋材単板からは均一寸法の完通穴が形成され、後で加工するよりも、一度に何枚もの均一位置に均一穴を得る最も効率の良い効果をもたらす。
【0059】
上記、杉の特性を活かし、端材による無垢板の柾目13.板目14方向から春材部5に向けて、サンドブラスト9を使用する目的は、いかに効率良く無垢板から何枚もの秋材単板を一度に抽出するかで、最も効率的手法であることに着目した結果である。杉材の繊維は、年輪方向の成長度合よりも柾目、板目方向への成長度合が著しく、より高木となる特性のため,繊維方向の木口面12からサンドブラストを施しても柾目、板目方向に比べて時間を要し、強く照射しすぎると割れが生じる。それに対し、柾目13.板目14方向から研磨すると横巾150mm、縦100mm、厚み10mm程度の無垢板なら約5分程度で貫通した所が見受けられる。これは、杉材の春材部が柔らかく、無垢板の全方向からサンドブラストでき、神経をさほど使わず容易に効率よく研磨できる為である。
【0060】
また、無垢板の厚みと秋材部の湾曲度合は比例しており、厚みが増す程、湾曲の曲がり具合は大きくなるがサンドブラストの特性として、一定の圧力で研磨剤を照射し続けると、秋材部の固い繊維に反射し、柔い春材部をより研磨されることにより、目視で確認できない深さまで掘削されている効果を得た。
【0061】
図4の断面図は、サンドブラストによる研磨状態を示している。(a)の無垢板で春材部5と秋材部6がサンドブラストにて研磨剤を照射終了後(b)の状態となり、春材部5に示す様に深く掘削されるが、秋材部6は繊維密度が高く、固い為、秋材部6aの様に表面が少し削られるが残存する。
【0062】
ここで、サンドブラストについて詳述する。ブラスト加工とは、圧縮空気の気圧6.0〜1.0PMHを用い、研磨剤をセラミックノズルより、加工面に照射する加工方法であり、サンドブラスト、エアーブラスト、ショットブラストの用途別種法がある。サンドブラストは一般的に墓石の文字、表札の文字堀に使用され、より強固な木材の節の部分まで削除できる力を持っている。研磨剤は、用途に応じ、樹脂系、金属系、セラミックス系、ガラス系等の研磨剤があるが、シリコンカーバイドを使用した。この様なサンドブラストを用い、杉の無垢板の柾目面に対し垂直方向約10cm〜15cm程離して研磨剤を照射する。この時、無垢板の一方向だけでなく表裏からも照射できることにより、一方向の掘削最大約50mm限度に対し、2方向からの掘削約100mm程の貫通部分が生じる効果を達成した。
【0063】
照射する時の注意点として、無垢板7の両端に表出した木口面12からも照射できるが繊維に割れが生じる為、圧力を落とすか、もしくは板目14.柾目13方向から斜めに照射することにより充分掘削できる。ただし、照射目的があくまでも秋材部6を効率よく抽出する第一手段の為、研磨によって出来た無垢板表面の凸凹は、この段階ではあまり気にせず、いかに短時間で抽出判断基準を成し得るかにかかっており、本実施形態の厚み20mmであれば表裏共7〜8mm、合計14〜16mm程度の掘削でサンドブラスト行為を終了とする判断基準とした。
【0064】
次に、図5に示すように、自動カンナ15にて、無垢板7による柾目面の両面を平削りし、平面出しを行い無垢板7aとなる。さらに図6に示すように木口面の両端各10mm程、丸鋸16.バンドソー等を用い切断する。この行為により無垢板の柾目、木口面の表面、際を整える。
【0065】
次に、図7に示すように、無垢板の木口面に垂直方向から糸鋸17で残存する春材部を削り荒削りな秋材単板を1枚1枚抽出する。この行為により湾曲した秋材単板も容易に抽出でき、この階段においても秋材単板に春材部が一部付着しても良しとし、効率良く短時間で抽出することをこころがける。
【0066】
図8に示すように、図7で抽出した荒削りな秋材単板4表裏に残存する春材部5をルーター18.もしくはグラインダー、ディスクサンダ−等の研磨機を使い、取り除く。この時、秋材単板4表面の凸凹も平削りし、均一に整えフラット面とする。
【0067】
次に、図9に示すように、秋材単板4の板目表裏面仕上げとして、ディスクサンダ−19に取り付けたディスクペーパ−、艶出し仕上げ用ディスクバフを用い、艶と光沢を呈した秋材単板4を得た。
【0068】
ここで春材部と秋材部の色分けであるが、杉の春材部は白に近い茶色であり、秋材部は茶褐色ではっきり区別されている。また秋材部の厚みであるが、杉は年輪の経によっても相違はあるが最大約4〜5mmの秋材単板を取り出すことが出来る。逆に光源を透過し、木肌を浮かばせたい時は、最小厚み0.5〜1mmでも可能であるが強度性も考慮し、1mmで充分効果を発揮し、適度なしなりを持った優しい温もりのある木肌を目視で確認した。
【0069】
上記で得た秋材単板4の表面は、繊維密度が高く、艶を有したフラット表面の為、染料、ニス、塗料等を塗布したり、湾曲に応じてシ−ルスタンプ、ホットスタンプ等の印刷表現も可能とする。また表面にゴムシ−トを張り、彫りたい場所を彫刻刀で切りはずし、サンドブラストを施すことにより、文字、イラスト等の透かし彫り、貫通溝を得ることも可能となる。
【0070】
さらに、請求項3に記載する秋材単板4aをより繊維を強くし、曲げ易くする製造方法を図10〜図14に示す。図10は、図9で出来た秋材単板4をさらに薄くスライスして秋材単板4aを形成し、タンニンの成分を持った柿渋原液20に一昼夜浸した外観図である。この時、一度に多数の秋材単板4aを浸すことにより製造効率をよくする。
【0071】
渋柿とは、8月から9月中旬まで硬く青いうちに収穫した小粒の渋柿を粉砕して搾り汁を発酵熟成して柿渋原液となる。木材に使用するには水で2〜3倍を目安に薄めて使う。特性としては、柿渋の成分タンニンには殺菌、消臭、防水、防腐、防虫、繊維を固く強くする作用がある。時が経つにつれ艶が出て色が濃くなり秋材単板も丈夫になる。
【0072】
図11に示すように、図10に浸した秋材単板4aを取り出し、網21の上に並べ、日陰の風通しよい場所を選び一昼夜を目安に自然乾燥を施す。そして、図12に示すように、図11で乾燥させた秋材単板4aを蒸し器22に入れ、養分、水分をある程度、除去し、繊維を柔く、しなりを有し、より曲げやすいものに形成する。そして、図13に示すように、図12で蒸らした秋材単板4aをステンレス棒23等の曲げ型にて曲げ加工を施す。図14の秋材単板4aは、曲げる角度、巾によりステンレス棒の直径を変更して、さまざまな曲げを可能とする。
【0073】
以上の製造方法で得た秋材単板4及び4aは、様々な分野に木材の新規な素材提案として用途活用できるものであり、用途に応じて、本発明の意図する範囲内で適宜設計変更できるものである。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を挙げ、本発明を更に詳述する。実施例1縦150mm×横200mm×厚み20mmの杉材による端材無垢板に対し、柾目方向表裏より、約15cm離して、サンドブラスター(関西サンド有限会社製、商品名:サンドブラスター)を用いて、研磨剤(株式会社不二製作所製、商品名:シリコンカーバイド、粒子30番手)を6MPa内の空気圧で繊維密度の低い春材部に照射した。柾目の表面を7〜10mm程の掘削を有する時間は約10分程度で終了し、続いて裏面を約10分程同一寸法内で掘削を終了した。荒削りな秋材部の柾目に対して両面にカンナをほどこしフラットな表面に整え、木口面の、両端を各約10mm丸鋸を用いて表面をフラットに整え、秋材部から各秋材単板を取り出した。そして、荒削りな秋材単板に付着した春材部を取り除き表面をフラットにする為にルーター、グラインダー、ディスクサンダー等で処理し、最後にディスクペーパーで表面仕上げを施すことによって、艶と光沢を有する秋材単板を得、加工前の無垢板の年輪と同一配列、かつ年輪巾と同一間隔で配列することにより、シェイドを形成した。
【0075】
得たシェイドの光源配置空間部内に、電球60Wを1個配置し、シェイド付き照明器具を作成した。光源の中心部に配置した秋材単板は厚みを1mmにしている為、光源を点灯することにより、光を透過し、柔しい温もりのある木肌が表出され、また周辺部には、両端に心材を配置し、中心部に向かって徐々に辺材が形成されるように配列し、秋材単板の間隔は、無垢板に表出した年輪巾と同間隔に配列して光源を点灯することにより、辺材の白茶色から心材の茶褐色までの色のグラデーションによる色調変化を木肌に有し、かつ秋材単板に反射した明瞭な陰影グラデーション効果を得ることにより、周囲を優しく包みこむ照明器具となった。
【0076】
実施例2縦200mm×横300mmの杉材から抽出した秋材単板で構成した光源配置空間内部に、天井から吊るした配線コードに電球60Wを装着し、光源部を形成した。形成した外周部に、上記の実施例と同様の条件でサンドブラスト処理し、得た秋材単板を柿渋に浸し、乾燥、蒸すことにより繊維を強くし、曲げ易くしてから、螺旋状に秋材単板を配列し、光源を点灯することにより、軽く、空中に浮遊する天然の柔和で優しい木肌が表出され、周囲を包みこむペンダント式照明器具となった。
【0077】
実施例1.2に示した木材寸法は、あくまでも例であり、形成する構造体によっては寸法の上限、下限を適宜変更できるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施形態を示すシェイド付き照明器具の外観図
【図2】同シェイド付き照明器具の図1におけるA−A線断面図
【図3】同シェイド付き照明器具に使用する杉の無垢板による外観図
【図4】同無垢板の図3におけるB−B線断面図
【図5】無垢板に残存する秋材部分を自動カンナで削る外観図
【図6】同秋材部分の両端を丸鋸で裁断する外観図
【図7】同秋材部分から秋材単板を取り出す為の糸鋸引き外観図
【図8】同秋材単板にルーターで春材部を削りとる外観図
【図9】同秋材単板にディスクサンダーにて研磨する外観図
【図10】同秋材単板を柿渋に浸す外観図
【図11】同秋材単板を綱にのせ自然乾燥する外観図
【図12】同秋材単板を蒸し器にかける外観図
【図13】同秋材単板をステレス棒で曲げる外観図
【図14】同秋材単板ステンレス棒で曲げた秋材単板の外観図
【符号の説明】
【0079】
1 シェイド付き照明器具
2 シェイド
3 光源
4 秋材単板
4a 薄くスライスし、曲げ加工した秋材単板
5 春材部分
5a サンドブラスト処理で削られた春材部分
6 秋材部分
6a サンドブラスト処理により残存する秋材部分
7 サンドブラスト処理した無垢板
7a 平面出しした無垢板
8 配置空間部
9 サンドブラスト
10 心材
11 辺材
12 木口面
13 柾目面
14 板目面
15 自動カンナ
16 丸鋸
17 糸鋸
18 ルーター
19 ディスクサンダー
20 柿渋原液
21 網
22 蒸し器
23 ステンレス棒
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材から抽出した秋材単板およびその製造方法並びに秋材単板で構成したシェイド付き照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の木材は、秋材部と春材部が混合した木目で形成されている。また、秋材部が表出した美しい木肌を呈したものには、住宅建材として使用される門柱、床柱は高級柱として活用されている。一方ではプレカット工場や製材所で規格寸法取り後の高品質な端材や、切り株、根元部は有効活用されず、焼却処理されている。
【0003】
照明器具に用いる秋材単板の製造方法においては、繊維密度が低い春材部をサンドブラストで除去し、繊維密度の高い秋材部を残すように施したものがある(特許文献1参照。)また、杉の板材の有する色彩に応じた一定の規則に従い配列し構成したブラインドの一部にブラスト加工を施したのもある(特許文献2参照。)さらに、ペンダント照明器具で木製パネルを杉材でうづくり仕上げを施したのもある。(非特許文献1参照。)
【特許文献1】特開平03−109414号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】特開平04−76488号公報(第2頁、図3.4)
【非特許文献1】「松下電工 住宅用照明器具カタログ2005」,松下電工株式会社,2005年.P.280
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記、特許文献1記載の請求項によると、春材部を研磨、除去するのみで秋材部の抽出には至っていない。また、秋材部は荒削りのままで艶がなく、研磨時間もかかりすぎ、その状態で照明器具は、シェイドに使用している。また、特許文献2記載の請求項によると、杉板材をブラインドに用いており、春材部と秋材部を有している。さらに、非特許文献1記載のペンダント照明器具のパネルに用いている秋田杉の板材表面をうづくり加工して、春材部を浅く削りとったものである。
【0005】
本発明は、このような従来の構成していた照明器具のシェイド部、パネル部に配置した春材部を除去した秋材部による板材ではなく、秋材部と春材部が混合した木材から効率よく秋材部を残存させ、秋材単板を抽出することで新規な秋材単板で構成したシェイド付き照明器具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、本発明は上記目的を達成するために、第一の課題解決手段として、秋材部と春材部が混合した木材から、繊維密度の低い春材部をある程度、研磨し、除去することにより、繊維密度の高い秋材部が残存し、秋材部のみを裁断後、磨くことによって得た秋材単板を設けたものである。
【0007】
また、第2の課題解決手段として、請求項2に記載する秋材単板は、木材を木口面に垂直に裁断し、請求項1に記載する構成に於いて一枚一枚相違な湾曲を形成し、かつ木材の枝、切り株、根元部を同様に裁断して、天然の三次曲面を形成する秋材単板を設けたものである。
【0008】
第3の課題解決手段は、請求項1.2記載の秋材単板を薄くスライスし、磨くことにより、光源を透過した時、木肌が浮かびあがるように構成したものである。
【0009】
第4の課題解決手段は、請求項3記載の秋材単板を染料、顔料に浸し、乾燥し、蒸らした後、曲げ型で曲げ加工による三次曲面を形成、または曲げ加工しないことを特徴とする秋材単板を構成したものである。
【0010】
第5の課題解決手段は、木材の繊維が柾目、板目に水平に走っているため請求項1.2.3.4記載の秋材単板を木口面の巾や柾目面の厚みを自由に変更できる構成とした。
【0011】
第6の課題解決手段は、請求項6に記載の木材無垢板に、ドリルによる穴開け、鋸による線引き処理を形成したものである。
【0012】
第7の課題解決手段は請求項7に記載の原材料調達方法として、プレカット工場や製材所の規格寸法取り後の端材による無垢板を設けたものである。
【0013】
第8の課題解決手段は、請求項8記載の秋材単板製造方法として、秋材部と春材部が混合した木材から、繊維密度の低い春材部をサンドブラスタ−によって全方向からある程度研磨し除去することにより、繊維密度の高い秋材部が残存し、糸鋸等で裁断後、秋材単板を形成する製造方法である。
【0014】
第9の課題解決手段は請求項4記載の秋材単板を染料、顔料に浸し、日陰で網に乗せ自然乾燥を施し、蒸し器で一定時間蒸し、ステンレス棒等の曲げ型で曲げ加工するように構成した製造方法である。
【0015】
第10の課題解決手段は、心材から辺材までの全て、あるいは一部の秋材単板を木材の年輪と同一配列を形成し、かつ木材の持つ年輪巾と同一間隔で配列し構成したものや相違な樹種から抽出した秋材単板を一定の規律に基づき配列し、構成したものである。
【0016】
第11の課題解決手段は、配列、組み合わせ、接着、染料、顔料、塗料等を付加し住宅建材、生活関連機器、生活用品に活用できる木材の新規な素材として構成できるものである。
【0017】
上記第1の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、秋材部と春材部が混合した木材から秋材単板を抽出することにより、木材において新規な木肌と肌触りの良い艶を有する秋材単板を得る効果を発揮する。
【0018】
第2の課題解決手段による作用は、木材の木口面に垂直に裁断し秋材単板を抽出することにより、木口面から見て、一枚一枚相違な湾曲を呈した秋材単板を得、かつ木材の枝、切り株、根元部を同様に裁断して、天然の三次曲面を呈した秋材単板を得ることにより、一枚一枚相違な曲線美を有する効果を発揮する。
【0019】
第3の課題解決手段による作用は、秋材単板を薄くスライスすることにより、適度なしなりと強さを有し、光源を透過することによって秋材部のみが持つ柔和で温もりのある木肌が浮かびあがる効果を発揮する。
【0020】
第4の課題解決手段による作用は、秋材単板を染料、顔料に浸すことにより、繊維をより強くし、乾燥、蒸す行為で水分、養分をある程度除去し、しなりを持ち曲げ型で曲げ易くしたものである。
【0021】
第5の課題解決手段による作用は、繊維が柾目、板目方向に水平に走る特性を活かし秋材単板の厚み、巾を自由に変更できる作用を呈し、かつ秋材によるリングも形成する効果を発揮する。
【0022】
第6の課題解決手段による作用は、秋材部と春材部が混合した木材に、あらかじめドリル加工、線引き加工を施し、サンドブラスト処理して抽出した秋材単板に前記加工が形成されている効率の良い形成方法である。
【0023】
第7の課題解決手段による作用はプレット工場や製材所の端材による無垢板を活用することにより、原材料コスト削減及び無垢板に露出した切り口から木目、年輪、秋材部の厚さ、秋材部と春材部の年輪が目視確認でき、作業効率が上がる効果を得る。
【0024】
第8の課題解決手段による作用は、繊維密度の低い春材部をサンドブラスターによって全方向からある程度、研磨し、除去することにより、繊維密度の高い秋材部が残存し、裁断して秋材単板を抽出する工程で、最も作業効率の良いうえに、製造時間を短縮する効果を得る。
【0025】
第9の課題解決手段による作用は、秋材単板を染料、顔料に浸すことにより繊維をより強くし、乾燥後、蒸し器で蒸すことにより、水分、養分をある程度除去し、しなりを有して、曲げ易くしてから、曲げ型で曲げ加工をする為、容易に曲げ角度、三次曲面、ねじれを得る製造方法である。
【0026】
第10の課題解決手段による作用は、木材は心材部の色調が濃く、辺材部に近づくに従って色調が淡い部分を抽出することにより、同一樹種から色調の相違な木肌を得る効果に加え、年輪巾と同一間隔や樹種の相違な秋材単板を一定の規律に配列することにより、光の変化による明瞭な陰影グラデ−ション効果を発揮する。
【0027】
第11の課題解決手段による作用は、木材の新規な素材として、様々な分野の原材料として応用出来、木材の需要拡大につながる効果を発揮する。
【発明の効果】
【0028】
本発明の請求項1に係る秋材単板は、従来の秋材部と春材部が混合した木目と違い、新規な秋材のみの木目を有し、優美で柔和な肌触りの良い艶と光沢を表裏面に表現する効果を発揮する。
【0029】
さらに、秋材部は繊維密度が高い為、ソリ、割れが少なく、また水分、養分が春材部よりも少ない為、適度なしなりと強さを呈し、軽く、浮力も合わせ持った秋材単板を形成し、様々な加工が拡大することを可能とした。
【0030】
しかも、磨いた秋材単板の表面はフラットであり、各種印刷や漆等の染色、ニスや塗料、顔料等による塗布、コーティング処理及び酸化チタン等の別素材との融合も可能とした。
【0031】
本発明の請求項2に係わる秋材単板は、木材の心材から放射状に拡がりを持った年輪の特性を活かし、木口面から垂直に裁断することにより心材に近い程、湾曲度が大きく、辺材に近い程、湾曲度が小さい秋材単板を得る。かつ木材の枝、切り株、根元部からは、個々に相違な天然の三次曲面を有した秋材単板を得る効果を発揮する。
【0032】
本発明の請求項3に係わる秋材単板は、薄くスライスしている為、適度なしなりと強さを有し、光源を透過して見る木肌は、柔和で温もりのある、心落ち着く色調として秋材単板の表面に、露出する効果を発揮する。
【0033】
本発明の請求項4に係わる秋材単板は、繊維を更に強く、しなりを持たせる為、柿渋等の染料、顔料に浸すことにより、繊維が強く、殺菌、消臭、防水、防腐、防虫作用の効果を付加することを可能とした。
【0034】
さらに、秋材単板の繊維が柾目、板目面に対して水平に走っている特性を活かし、乾燥、蒸らし、曲げ加工により、板目面方向に自由な曲げ角度や三次曲面、ねじれを発生する効果を発揮する。
【0035】
本発明の請求項5に係わる秋材単板は、木口面の巾や柾目面の厚みを自由に変更できる為、秋材によるリングを形成したり、かつ組み合わせたり編んだり、また湾曲した秋材単板を重ね合わし、集成材として床等のフロ−リングに加工する等様々な用途にも応用できる効果を発揮する。
【0036】
本発明の請求項6に係わる秋材単板は、秋材部と春材部が混合した木材に、あらかじめドリル加工や鋸による線引きを施し、サンドブラスト処理によって、抽出した秋材単板に効率良くホゾ穴加工、線引き加工及び曲線を形成する効果を発揮する。
【0037】
本発明の請求項7に係わる木材の原材料調達方法として、端材の無垢板を活用することにより、エコサイクルの推進及び地産地消による原材料コスト削減が可能となり、更に無垢板の切り口から木目、年輪、秋材部の厚さ、秋材部と春材部の年輪巾が目視確認できることにより、新たに丸太を裁断するより作業効率良く秋材単板を得る効果を発揮する。
【0038】
本発明の請求項8に係わる秋材単板の製造方法に於いて、サンドブラスターによる秋材単板の抽出方法は、短時間に効率よく、一度に多くの秋材単板を抽出する製造方法として最も良い効果を発揮し、しかも木材の全方向から研磨できる為、厚みのある木材も神経を使わず深く掘削できる効果を得た。
【0039】
さらに、湾曲度合いが大きい秋材単板を得るには、春材部に集中的にサンドブラスタ−で全方向から研磨し、除去することにより、研磨作業中に目視確認出来ない深さでも、研磨剤が繊維密度の硬い秋材部に跳ね返り、春材部に集中し、より研磨される効果を発揮した。
【0040】
本発明の請求項9に係わる秋材単板の製造方法に於いて、繊維をより強くし、曲げ易くしてから、曲げ加工をする為、容易に曲げ角度、三次曲面、ねじれを得ることが出来、しかも一度に多くの秋材単板を得る効果を発揮する製造方法である。
【0041】
本発明の請求項10に係わる秋材単板で構成したシェイド付き照明器具は、優美で柔しい艶と光沢を表面に呈し、光源を透過することにより、薄くスライスした秋材単板部分からは、柔和で温もりのある、心落ち着く色調を持った木肌が露出する効果を発揮する。
【0042】
さらに、部材が軽いため、壁掛けブランケットや天井から吊るしたペンダント式照明器具としても活用出来る効果を得た。
【0043】
また、心材から辺材までの色の濃淡が同一色によるグラデ−ションとしての木肌を有し、樹種の組み合わせ、配列方法により、様々な色調変化を得、檜等の香りを有した樹種を採用すれば、濃縮した香りを楽しめ、リラックスできる効果を得る。
【0044】
かつ、天然の年輪巾が心材から辺材に向かって徐々に小さくなる特性を活かし、天然に近い配列により、陰影による間隔巾のグラデ−ション効果を発揮する。
【0045】
本発明の請求項11に係わる秋材単板は、住宅建材、生活関連機器、生活用品等に応用することにより、木材の新規な素材として需要拡大の効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明を実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0047】
図1〜図2に於いて、1は秋材単板で構成したシェイド2と、そのシェイド2内部に設置した光源3による秋材単板4及び秋材単板4aで構成したシェイド付き照明器具を示す。
【0048】
シェイド2は、内部に電球等の発熱による発光やLED等の放射熱以外で発光する光源3を配置する配置空間部8を有する立方体状に形成されており、図3に示す秋材部6と春材部5が混合した木材の無垢板7の年層から、繊維密度の低い春材部5をサンドブラスト9により、ある程度除去することによって、繊維密度の高い秋材部6が残存し、裁断、磨きをかけ秋材単板4を形成し、一定の規律に基づき配列した秋材単板4で構成した。
【0049】
秋材単板4は、年輪の心材10から辺材11までを抽出して、シェイドの両端に心材を配置し、中心部に向かって徐々に辺材が形成されるように配置した。年輪と同一の配列及び同間隔の空間を有することにより、秋材単板4の木肌による色調グラデ−ションと明瞭な陰影グラデ−ションが表現され、一枚一枚秋材部6の湾曲度が心材から辺材に近づく程、緩やかになっていることが木口側12から確認できる。
【0050】
また、シェイド2によるシェイド構成一部に秋材単板4aを形成し、内側の光源3から発する発光体の光源を透過することにより、木肌が浮かび上がる効果を得る。これは、秋材単板4を薄くスライスし、磨くことによって得られる。
【0051】
本発明に使用する木材は、基本的には年輪層が明確に表出されていれば良いが、作業効率や心材から辺材までの色調変化が大きいもの、春材部密度の低さ、秋材部密度の高さを有する樹種を検討すると最も杉材が適している。さらに、杉は野山に生える日本特産の常緑高木で、材は軟らかく木目が通り、工作がし易く、建築、器具、船材用等への用途が多く、特に秋田杉、高知杉等は銘木として重宝されている。
【0052】
また杉は、育成が日本の風土に適し、全国で植林され、住宅建材、環境保全、災害防止としても活用される為、毎年間伐しなければならず、製材所、プレカット工場で柱等の規格寸方取り後の端材、かつ間伐材の切り株等を利用することにより、環境循環資源と捉え、エコサイクルを推進する上でも原材料として適し、地産地消することが望まれる。
【0053】
次に本発明の第2の実施形態に係わる秋材単板の製造方法について以下に説明する。図3は、杉の端材による無垢板7であり、端材を活用することにより、目視で表面に露出した木目の状態、厚み、湾曲具合、色調変化が確認でき、丸太を裁断することなく、大幅に作業効率を上げる効果を得る。
【0054】
本発明の請求項1に係る秋材単板4は、従来の秋材部6と春材部5が混合した木目と違い、新規な秋材のみの木目で形成され、優美で柔和な肌触りの良い艶と光沢を木肌の表裏面に表現する効果を発揮する。
【0055】
無垢板7としては表面に木口12.柾目13.板目14を有し、目視で木口12により、秋材部6の湾曲度合、厚みを確認でき、柾目13では秋材部6の直線度や心材10方向より辺材11方向への秋材部6と春材部5が交互に形成されていることにより木目を構成している間隔、色調変化が確認できる効果を発揮する。
【0056】
丸太を輪切りに裁断した時、切り口に年輪と称する同心円を重ねたような木目が表出し、年輪から垂直に裁断した時、繊維、導管を称する木目が表出する。これは一年に一回りずつ増え、年ごとの成長度合を示している。木目の色の薄い部分は春材部と称され、春から夏にかけての成長期にでき、繊維、導管は柔く、繊維密度が低い。木目の色の濃い部分は秋材部と称され、秋から冬にかけての成熟期にでき、繊維、導管は固く、繊維密度が高い。特に針葉樹の杉は、春材部と秋材部の色調が明瞭に区別され、春材部が比較的柔らかく、研磨加工に適している。
【0057】
杉は年輪の中心部を称する心材から樹皮までの外周部を称する辺材までの色調変化が他の樹種に比べて顕著に表現されている。杉の心材は赤身とも称される程、茶褐色を有し、辺材を白太と称する程、白茶色を有している。赤身は、若年期の細胞が長年成長を繰り返した時、死細胞として中心部を形成され発生する。これは色素変化をおこした若年期の繊維、導管が年輪中心の周囲に浸透することにより発生する。よって、秋材単板を抽出した時、同一樹種において色調変化を有することになる。
【0058】
図面では詳述しないが、無拓板7の板目面14から、研磨する前に卓上ボール盤にて堀削し、ホゾ穴開けを施す。この事により、抽出する秋材単板からは均一寸法の完通穴が形成され、後で加工するよりも、一度に何枚もの均一位置に均一穴を得る最も効率の良い効果をもたらす。
【0059】
上記、杉の特性を活かし、端材による無垢板の柾目13.板目14方向から春材部5に向けて、サンドブラスト9を使用する目的は、いかに効率良く無垢板から何枚もの秋材単板を一度に抽出するかで、最も効率的手法であることに着目した結果である。杉材の繊維は、年輪方向の成長度合よりも柾目、板目方向への成長度合が著しく、より高木となる特性のため,繊維方向の木口面12からサンドブラストを施しても柾目、板目方向に比べて時間を要し、強く照射しすぎると割れが生じる。それに対し、柾目13.板目14方向から研磨すると横巾150mm、縦100mm、厚み10mm程度の無垢板なら約5分程度で貫通した所が見受けられる。これは、杉材の春材部が柔らかく、無垢板の全方向からサンドブラストでき、神経をさほど使わず容易に効率よく研磨できる為である。
【0060】
また、無垢板の厚みと秋材部の湾曲度合は比例しており、厚みが増す程、湾曲の曲がり具合は大きくなるがサンドブラストの特性として、一定の圧力で研磨剤を照射し続けると、秋材部の固い繊維に反射し、柔い春材部をより研磨されることにより、目視で確認できない深さまで掘削されている効果を得た。
【0061】
図4の断面図は、サンドブラストによる研磨状態を示している。(a)の無垢板で春材部5と秋材部6がサンドブラストにて研磨剤を照射終了後(b)の状態となり、春材部5に示す様に深く掘削されるが、秋材部6は繊維密度が高く、固い為、秋材部6aの様に表面が少し削られるが残存する。
【0062】
ここで、サンドブラストについて詳述する。ブラスト加工とは、圧縮空気の気圧6.0〜1.0PMHを用い、研磨剤をセラミックノズルより、加工面に照射する加工方法であり、サンドブラスト、エアーブラスト、ショットブラストの用途別種法がある。サンドブラストは一般的に墓石の文字、表札の文字堀に使用され、より強固な木材の節の部分まで削除できる力を持っている。研磨剤は、用途に応じ、樹脂系、金属系、セラミックス系、ガラス系等の研磨剤があるが、シリコンカーバイドを使用した。この様なサンドブラストを用い、杉の無垢板の柾目面に対し垂直方向約10cm〜15cm程離して研磨剤を照射する。この時、無垢板の一方向だけでなく表裏からも照射できることにより、一方向の掘削最大約50mm限度に対し、2方向からの掘削約100mm程の貫通部分が生じる効果を達成した。
【0063】
照射する時の注意点として、無垢板7の両端に表出した木口面12からも照射できるが繊維に割れが生じる為、圧力を落とすか、もしくは板目14.柾目13方向から斜めに照射することにより充分掘削できる。ただし、照射目的があくまでも秋材部6を効率よく抽出する第一手段の為、研磨によって出来た無垢板表面の凸凹は、この段階ではあまり気にせず、いかに短時間で抽出判断基準を成し得るかにかかっており、本実施形態の厚み20mmであれば表裏共7〜8mm、合計14〜16mm程度の掘削でサンドブラスト行為を終了とする判断基準とした。
【0064】
次に、図5に示すように、自動カンナ15にて、無垢板7による柾目面の両面を平削りし、平面出しを行い無垢板7aとなる。さらに図6に示すように木口面の両端各10mm程、丸鋸16.バンドソー等を用い切断する。この行為により無垢板の柾目、木口面の表面、際を整える。
【0065】
次に、図7に示すように、無垢板の木口面に垂直方向から糸鋸17で残存する春材部を削り荒削りな秋材単板を1枚1枚抽出する。この行為により湾曲した秋材単板も容易に抽出でき、この階段においても秋材単板に春材部が一部付着しても良しとし、効率良く短時間で抽出することをこころがける。
【0066】
図8に示すように、図7で抽出した荒削りな秋材単板4表裏に残存する春材部5をルーター18.もしくはグラインダー、ディスクサンダ−等の研磨機を使い、取り除く。この時、秋材単板4表面の凸凹も平削りし、均一に整えフラット面とする。
【0067】
次に、図9に示すように、秋材単板4の板目表裏面仕上げとして、ディスクサンダ−19に取り付けたディスクペーパ−、艶出し仕上げ用ディスクバフを用い、艶と光沢を呈した秋材単板4を得た。
【0068】
ここで春材部と秋材部の色分けであるが、杉の春材部は白に近い茶色であり、秋材部は茶褐色ではっきり区別されている。また秋材部の厚みであるが、杉は年輪の経によっても相違はあるが最大約4〜5mmの秋材単板を取り出すことが出来る。逆に光源を透過し、木肌を浮かばせたい時は、最小厚み0.5〜1mmでも可能であるが強度性も考慮し、1mmで充分効果を発揮し、適度なしなりを持った優しい温もりのある木肌を目視で確認した。
【0069】
上記で得た秋材単板4の表面は、繊維密度が高く、艶を有したフラット表面の為、染料、ニス、塗料等を塗布したり、湾曲に応じてシ−ルスタンプ、ホットスタンプ等の印刷表現も可能とする。また表面にゴムシ−トを張り、彫りたい場所を彫刻刀で切りはずし、サンドブラストを施すことにより、文字、イラスト等の透かし彫り、貫通溝を得ることも可能となる。
【0070】
さらに、請求項3に記載する秋材単板4aをより繊維を強くし、曲げ易くする製造方法を図10〜図14に示す。図10は、図9で出来た秋材単板4をさらに薄くスライスして秋材単板4aを形成し、タンニンの成分を持った柿渋原液20に一昼夜浸した外観図である。この時、一度に多数の秋材単板4aを浸すことにより製造効率をよくする。
【0071】
渋柿とは、8月から9月中旬まで硬く青いうちに収穫した小粒の渋柿を粉砕して搾り汁を発酵熟成して柿渋原液となる。木材に使用するには水で2〜3倍を目安に薄めて使う。特性としては、柿渋の成分タンニンには殺菌、消臭、防水、防腐、防虫、繊維を固く強くする作用がある。時が経つにつれ艶が出て色が濃くなり秋材単板も丈夫になる。
【0072】
図11に示すように、図10に浸した秋材単板4aを取り出し、網21の上に並べ、日陰の風通しよい場所を選び一昼夜を目安に自然乾燥を施す。そして、図12に示すように、図11で乾燥させた秋材単板4aを蒸し器22に入れ、養分、水分をある程度、除去し、繊維を柔く、しなりを有し、より曲げやすいものに形成する。そして、図13に示すように、図12で蒸らした秋材単板4aをステンレス棒23等の曲げ型にて曲げ加工を施す。図14の秋材単板4aは、曲げる角度、巾によりステンレス棒の直径を変更して、さまざまな曲げを可能とする。
【0073】
以上の製造方法で得た秋材単板4及び4aは、様々な分野に木材の新規な素材提案として用途活用できるものであり、用途に応じて、本発明の意図する範囲内で適宜設計変更できるものである。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を挙げ、本発明を更に詳述する。実施例1縦150mm×横200mm×厚み20mmの杉材による端材無垢板に対し、柾目方向表裏より、約15cm離して、サンドブラスター(関西サンド有限会社製、商品名:サンドブラスター)を用いて、研磨剤(株式会社不二製作所製、商品名:シリコンカーバイド、粒子30番手)を6MPa内の空気圧で繊維密度の低い春材部に照射した。柾目の表面を7〜10mm程の掘削を有する時間は約10分程度で終了し、続いて裏面を約10分程同一寸法内で掘削を終了した。荒削りな秋材部の柾目に対して両面にカンナをほどこしフラットな表面に整え、木口面の、両端を各約10mm丸鋸を用いて表面をフラットに整え、秋材部から各秋材単板を取り出した。そして、荒削りな秋材単板に付着した春材部を取り除き表面をフラットにする為にルーター、グラインダー、ディスクサンダー等で処理し、最後にディスクペーパーで表面仕上げを施すことによって、艶と光沢を有する秋材単板を得、加工前の無垢板の年輪と同一配列、かつ年輪巾と同一間隔で配列することにより、シェイドを形成した。
【0075】
得たシェイドの光源配置空間部内に、電球60Wを1個配置し、シェイド付き照明器具を作成した。光源の中心部に配置した秋材単板は厚みを1mmにしている為、光源を点灯することにより、光を透過し、柔しい温もりのある木肌が表出され、また周辺部には、両端に心材を配置し、中心部に向かって徐々に辺材が形成されるように配列し、秋材単板の間隔は、無垢板に表出した年輪巾と同間隔に配列して光源を点灯することにより、辺材の白茶色から心材の茶褐色までの色のグラデーションによる色調変化を木肌に有し、かつ秋材単板に反射した明瞭な陰影グラデーション効果を得ることにより、周囲を優しく包みこむ照明器具となった。
【0076】
実施例2縦200mm×横300mmの杉材から抽出した秋材単板で構成した光源配置空間内部に、天井から吊るした配線コードに電球60Wを装着し、光源部を形成した。形成した外周部に、上記の実施例と同様の条件でサンドブラスト処理し、得た秋材単板を柿渋に浸し、乾燥、蒸すことにより繊維を強くし、曲げ易くしてから、螺旋状に秋材単板を配列し、光源を点灯することにより、軽く、空中に浮遊する天然の柔和で優しい木肌が表出され、周囲を包みこむペンダント式照明器具となった。
【0077】
実施例1.2に示した木材寸法は、あくまでも例であり、形成する構造体によっては寸法の上限、下限を適宜変更できるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施形態を示すシェイド付き照明器具の外観図
【図2】同シェイド付き照明器具の図1におけるA−A線断面図
【図3】同シェイド付き照明器具に使用する杉の無垢板による外観図
【図4】同無垢板の図3におけるB−B線断面図
【図5】無垢板に残存する秋材部分を自動カンナで削る外観図
【図6】同秋材部分の両端を丸鋸で裁断する外観図
【図7】同秋材部分から秋材単板を取り出す為の糸鋸引き外観図
【図8】同秋材単板にルーターで春材部を削りとる外観図
【図9】同秋材単板にディスクサンダーにて研磨する外観図
【図10】同秋材単板を柿渋に浸す外観図
【図11】同秋材単板を綱にのせ自然乾燥する外観図
【図12】同秋材単板を蒸し器にかける外観図
【図13】同秋材単板をステレス棒で曲げる外観図
【図14】同秋材単板ステンレス棒で曲げた秋材単板の外観図
【符号の説明】
【0079】
1 シェイド付き照明器具
2 シェイド
3 光源
4 秋材単板
4a 薄くスライスし、曲げ加工した秋材単板
5 春材部分
5a サンドブラスト処理で削られた春材部分
6 秋材部分
6a サンドブラスト処理により残存する秋材部分
7 サンドブラスト処理した無垢板
7a 平面出しした無垢板
8 配置空間部
9 サンドブラスト
10 心材
11 辺材
12 木口面
13 柾目面
14 板目面
15 自動カンナ
16 丸鋸
17 糸鋸
18 ルーター
19 ディスクサンダー
20 柿渋原液
21 網
22 蒸し器
23 ステンレス棒
【特許請求の範囲】
【請求項1】
秋材部と春材部が混合した木材から、繊維密度の低い春材部をある程度、研磨し、除去することにより、繊維密度の高い秋材部が残存し、秋材部のみを裁断後、磨くことによって得られることを特徴とする秋材単板。
【請求項2】
木材の年輪が心材から辺材まで放射状に広がりを持つことを利用し、木口面に垂直に裁断して、一枚一枚相違な湾曲を得られ、かつ木材の枝、切り株、根元部を同様に裁断して天然の三次曲面が得られることを特徴とする請求項1記載の秋材単板。
【請求項3】
請求項1.2記載の秋材単板を薄くスライスし、磨き、光源を透過することにより秋材部のみの木肌が浮かび上がることを特徴とする秋材単板。
【請求項4】
請求項3記載の秋材単板を染料、顔料に浸し、乾燥し、蒸らした後、曲げ型で曲げ加工による三次曲面を形成、または曲げ加工しないことを特徴とする秋材単板。
【請求項5】
木口面の巾や柾目面の厚みを自由に変更できることを特徴とした請求項1.2.3.4記載の秋材単板。
【請求項6】
木材の無垢板に、あらかじめドリル加工、線引き等の加工を施すことを特徴とした請求項1記載の秋材単板。
【請求項7】
木材によるプレカット工場や製材所で排出される端材を活用することで端材の持つ様々な特性を活かした原材料を利用した秋材単板。
【請求項8】
秋材部と春材部が混合した木材から、繊維密度の低い春材部をある程度、研磨し、除去することにより、繊維密度の高い秋材部が残存し、秋材部のみを裁断後、磨くことによって得られることを特徴とする秋材単板の製造方法。
【請求項9】
請求項3記載の秋材単板を染料、顔料に浸し、乾燥し、蒸らした後、曲げ型で曲げ加工による三次曲面、または曲げ加工しないことを特徴とする秋材単板の製造方法。
【請求項10】
木材の特性である心材から辺材までの秋材部分による色調変化、及び等間隔でない年輪巾を活かし、同一樹種又は相違な樹種を一定の規律に基づき配列することを特徴とする請求項1.2.3.4.5.6記載の秋材単板で構成したシェイド付き照明器具。
【請求項11】
請求項1.2.3.4.5.6記載の秋材単板は、様々な分野に木材の新規な素材提案として、住宅建材、生活関連機器、生活用品等に用途活用することを特徴とした秋材単板。
【請求項1】
秋材部と春材部が混合した木材から、繊維密度の低い春材部をある程度、研磨し、除去することにより、繊維密度の高い秋材部が残存し、秋材部のみを裁断後、磨くことによって得られることを特徴とする秋材単板。
【請求項2】
木材の年輪が心材から辺材まで放射状に広がりを持つことを利用し、木口面に垂直に裁断して、一枚一枚相違な湾曲を得られ、かつ木材の枝、切り株、根元部を同様に裁断して天然の三次曲面が得られることを特徴とする請求項1記載の秋材単板。
【請求項3】
請求項1.2記載の秋材単板を薄くスライスし、磨き、光源を透過することにより秋材部のみの木肌が浮かび上がることを特徴とする秋材単板。
【請求項4】
請求項3記載の秋材単板を染料、顔料に浸し、乾燥し、蒸らした後、曲げ型で曲げ加工による三次曲面を形成、または曲げ加工しないことを特徴とする秋材単板。
【請求項5】
木口面の巾や柾目面の厚みを自由に変更できることを特徴とした請求項1.2.3.4記載の秋材単板。
【請求項6】
木材の無垢板に、あらかじめドリル加工、線引き等の加工を施すことを特徴とした請求項1記載の秋材単板。
【請求項7】
木材によるプレカット工場や製材所で排出される端材を活用することで端材の持つ様々な特性を活かした原材料を利用した秋材単板。
【請求項8】
秋材部と春材部が混合した木材から、繊維密度の低い春材部をある程度、研磨し、除去することにより、繊維密度の高い秋材部が残存し、秋材部のみを裁断後、磨くことによって得られることを特徴とする秋材単板の製造方法。
【請求項9】
請求項3記載の秋材単板を染料、顔料に浸し、乾燥し、蒸らした後、曲げ型で曲げ加工による三次曲面、または曲げ加工しないことを特徴とする秋材単板の製造方法。
【請求項10】
木材の特性である心材から辺材までの秋材部分による色調変化、及び等間隔でない年輪巾を活かし、同一樹種又は相違な樹種を一定の規律に基づき配列することを特徴とする請求項1.2.3.4.5.6記載の秋材単板で構成したシェイド付き照明器具。
【請求項11】
請求項1.2.3.4.5.6記載の秋材単板は、様々な分野に木材の新規な素材提案として、住宅建材、生活関連機器、生活用品等に用途活用することを特徴とした秋材単板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−115643(P2007−115643A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329416(P2005−329416)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(505422291)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(505422291)
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