説明

秘密の合意に対する耐性のあるウォーターマーキングを可能にする方法及びシステム

本発明は、秘密の合意に対する耐性のあるビットストリームのウォーターマーキングを可能にするためにビットストリーム信号を変更する方法及びシステムに関する。本方法は、ビットストリーム信号bxのビットストリームスペクトル信号X[k]を第一の信号302と第二の信号304に分割するステップ、第一の信号302を第一の変更信号306で乗算して、第一の変更された信号314を出力するステップ、第二の信号304に変換の演算を実行して、変換された第二の信号308を取得するステップ、変換された第二の信号308を第二の変更信号310で乗算して、第二の変更された信号312を出力するステップ、第二の変更された信号312を第一の変更された信号314から減算して、ビットストリーム信号bxの変更されたビットストリーム信号b’xを取得するために適した変更されたビットストリームのスペクトル信号X’[k]を出力するステップを含む。したがって、既にエンコードされたコンテンツについて秘密の合意に対する耐性の特性を与える効果的な方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データのセキュアな伝送の分野に関する。より詳細には、本発明は、効果的な秘密の合意に対する耐性のある圧縮された領域でのウォーターマーキングの方法及びアレンジメントに関し、より詳細には、秘密の合意に対する耐性がある(collusion resistant)ビットストリームのウォーターマーキングを可能にするビットストリーム信号を変更することに関する。
【背景技術】
【0002】
ウォーターマーキングシステムでは、ハッカーがウォーターマークを除いて価値のあるプロテクトされていないコンテンツを取得しようとする現実と直面する。したがって、異なる形式のアタックに対するウォーターマークの耐性を改善するための方法を考案することが望ましい。1つの係るアタックの形式は、いわゆる秘密の合意によるアタックである。これは、アタッカーが1を超えるウォーターマークされた信号へのアクセスを有するアタックである。アタッカーが、1)(典型的にコピープロテクションのようなシステムで生じる)同じウォーターマークをもつ異なる信号へのアクセスを有する、2)(典型的に電子コンテンツデリバリシステムで生じる)異なるウォーターマークをもつ多数の同一の信号へのアクセスを有するといった、2つのタイプの秘密の合意によるアタックが存在する。
【0003】
第一のタイプは、比較的簡単である。平均の演算を使用して、ウォーターマークを推定し、最終的に除くことができる。この問題に対する公知のソリューションが存在する。たとえば、Michiel van der Veen, Aweke Lemma 及び Ton Kalkerによる“Watermaking and FingerPrinting for Electronic Music Delivery”SPICE Workshop 2004, San Jose, CA, USAに記載されるような方法は、コンテンツに依存したウォーターマーク信号に埋め込み、これにより簡単な平均処理を介してウォーターマークを推定することを困難にする。
【0004】
第二のタイプの通謀のアタックについて、しかしながら、コンテンツに依存したウォーターマークのソリューションを使用することができず、簡単な平均処理は、ウォーターマークのエネルギーを除く。この秘密の合意に対する幾つかのソリューションが提案されている。たとえば、米国特許第6145081号は、位相変調に基づいた1つの係る方法を開示している。アイデアは、ホストを平均することで低下されたバージョンのホスト信号につながるようなやり方で、ウォーターマークされた信号の位相を変更することである。位相変調は、位相のキャンセルが生じ、悩ましいアーチファクトが導入されるようなやり方で設計される。この特許は、ベースバンド領域で解決される。米国特許第6145081号のコンセプトは簡単ではあるが、このアプローチの欠点は、ビットストリーム信号に適用されたときに明らかとなる。このソリューションは、信号のデコーディング、続いてウォーターマークの埋め込み、続いて信号のリエンコーディングを必要とする。
【0005】
秘密の合意によるアタックに対する異なるソリューションは、米国特許第5664018号に提供されている。このソリューションは、ベースライン(リファレンス)ウォーターマークのランダム化に基づいている。このデータは、少なくともウォーターマークの一部が秘密の合意によるアタックと戦うように、十分な類似の冗長度を異なるウォーターマーク信号に配置することである。このアプローチによる1つの問題は、冗長な情報を搬送するために必要とされる余分のスペースによるペイロードキャパシティへのペナルティである。EMD(Electronic Music Distribution)のような幾つかのアプリケーションは、ペイロードキャパシティへの係るペナルティを受け入れることができない。このアプローチによる別の問題は、秘密の合意によるアタックの間にペイロードが固有であることが失われることであり、すなわちペイロードは、もはや固有に識別することができない。これは、たとえば法的なトラッキングアプリケーション(forensic tracking application)について主要な問題点である。
【0006】
別の提案される方法は、埋め込まれた信号を、いわゆるプライベートウォーターマークとグローバルウォーターマークに分離する。平均処理の後、プライベートウォーターマークエネルギーは低減されるが、グローバルウォーターマークは、そのままである。このソリューションの潜在的な問題点は、ペイロードキャパシティにおける低減である。ペイロードの固有さは、プライベート及びグローバルのウォーターマークによるこのアプローチを使用したとき、秘密の合意のアタックの後に失われる。
【0007】
ビットストリームコンテンツに向けられる別のソリューションは、2005年4月13日に提出された同じ出願人による、未だ公開されていない欧州特許出願05102889.2(出願人のドケット番号PHNL050272)で提案されており、引用により本明細書に盛り込まれる。本方法は、部分的なデコーディング及びエンコーディングが実行される効果的な位相変調により通謀によりプロテクトされるウォーターマークを埋め込む効率的なやり方を発見する。PHNL050272の発明の1つの特定の実現では、ビットストリームデータは、部分的なデコーディング、及びいわゆるIMDCT(Inverse Modified Discrete Cosine Transform)/MDCT(Modified Discrete Cosine Transform)を受ける。しかし、コンテンツの変換は、高速のビットストリームからビットストリームへの処理が必要とされる用途において禁止される。これは、ウォーターマークの埋め込みがビットストリームの形成の前に既に行われているか、埋め込みがビットストリームドメインで完全に実行されるケースである。PHNL050272で記載される方法は、ウォーターマークがダウンロードの間にオンザフライで埋め込まれるか、又は安価な家電製品でのクライアントサイドのビットストリームのウォーターマーキングが必要とされる、法的なトラッキングアプリケーションのような、高速のビットストリームのウォーターマークの埋め込みが必要とされる用途で十分に効率的ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、秘密の合意に対する耐性のあるウォーターマークを埋め込む改善された方法が有効であり、特に、たとえばIMDCT−MDCTカスケード接続された変換といった、ウォーターマークのペイロードキャパシティに影響を及ぼすことなしに、及び、部分的なデコーディングの必要なしに、秘密の合意のプロテクションを可能にする方法及びシステムが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、特許請求の範囲に従って、秘密の合意に対する耐性のある圧縮された領域でのウォーターマーキングを効率的に提供する装置、方法、及びコンピュータ読み取り可能な媒体を提供することで、当該技術分野における先に識別された問題点のうちの1以上を単独又は組み合わせで緩和、軽減又は除去して、少なくとも上述された問題を解決することが好ましい。
【0010】
本発明に係る一般的なソリューションは、秘密の合意に対する耐性のあるビットストリームのウォーターマークを生成するためにビットストリーム信号を変更するためのフレームワークを提供する。本発明の態様によれば、秘密の合意に対する耐性のあるビットストリームのウォーターマーキングを可能にするビットストリーム信号を変更する方法、システム及びコンピュータ読取り可能な媒体が開示される。
【0011】
本発明の1態様によれば、本方法は、その秘密の合意に対する耐性のあるビットストリームのウォーターマーキングを可能にするビットストリームを変更する方法が提供される。本方法は、前記ビットストリーム信号のビットストリームスペクトル信号を第一の信号と第二の信号に分割すること、第一の信号を第一の変更信号で乗算すること、第一の変更された信号を出力すること、変換された第二の信号を得るために前記第二の信号に変換の演算を実行すること、前記変換された第二の信号を第二の変更信号で乗算して、変更された第二の信号を出力すること、前記第一の変更された信号から前記第二の変更された信号を減算して、前記ビットストリームの変更されたビットストリーム信号を取得するのに適した変更されたビットストリームスペクトル信号を出力すること、を含む。
【0012】
本発明の別の態様によれば、その秘密の合意に対する耐性のあるビットストリームのウォーターマーキングを可能にするビットストリーム信号を変更するシステムが提供される。システムは、前記ビットストリーム信号のビットストリームスペクトル信号を第一の信号と第二の信号に分割する手段、第一の信号を第一の変更信号で乗算して、変更された第一の信号を出力する手段、変換された第二の信号を取得するため、前記第二の信号に変換の演算を実行する手段、前記変換された第二の信号を第二の変更信号で乗算して、第二の変更された信号を出力する手段、前記第一の変更された信号から前記第二の変更された信号を減算して、前記ビットストリーム信号の変更されたビットストリーム信号を取得するために適した変更されたビットストリームのスペクトル信号を出力する手段、を含む。
【0013】
本発明の更なる態様によれば、コンピュータにより処理するため、その秘密の合意に対する耐性のあるビットストリームのウォーターマーキングを生成するためにビットストリーム信号を可能にするためのコンピュータプログラムを実現するコンピュータ読取り可能な媒体が提供される。コンピュータプログラムは、前記ビットストリーム信号のビットストリームのスペクトル信号を第一の信号と第二の信号に分割する第一のコードセグメント、第一の信号を第一の変更信号で乗算して、第一の変更された信号を出力する第二のコードセグメント、変換された第二の信号を取得するために前記第二の信号に変換動作を実行する第三のコードセグメント、前記変換された第二の信号を第二の変更信号で乗算して、第二の変更された信号を出力する第四のコードセグメント、及び、前記第一の変更された信号から前記第二の変更された信号を減算して、前記ビットストリーム信号の変更されたビットストリーム信号を取得するために適した変更されたビットストリームスペクトル信号を出力する第五のコードセグメントを含む。
【0014】
本発明は、従来技術に対して、少なくとも、既にエンコードされたコンテンツについて秘密の合意に対する耐性の特性を加える効率的なやり方を提供するという利点を有する。別の利点は、(少なくとも部分的に)デコーディング及びエンコーディングの必要を除去することで、システムの複雑さが大幅に低減されることである。
【0015】
本発明が可能なこれらの態様、特徴及び利点、並びに他の態様、特徴及び利点は、本発明の実施の形態の以下の説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下の説明は、AAC(Advanced Audio Coding)オーディオ圧縮フォーマット信号に適用可能な本発明の実施の形態に焦点を当てる。しかし、本発明はこのアプリケーションに限定されず、MPEGビデオ、WMV又はMP3オーディオ等の他の圧縮フォーマットに適用される場合があることを理解されたい。したがって、本発明は、統合されたウォーターマークソリューション等による、電子音楽配信、ビデオオンデマンドシステム、p2pファイルシェアリングサービスのような多数の出現している用途に関する。
【0017】
本発明の基本的な考えは、ビットストリーム変更信号のデコードされたバージョンを平均することで位相歪み及び知覚による品質の低下を必然的に導くようなやり方で、ビットストリーム変更信号を生成することである。既にウォーターマークされたビットストリーム信号又はビットストリームドメインで埋め込まれた信号について、秘密の合意によるアタックを防止するビットストリーム方法が開示される。これら2つのアイデアは、図1〜2で概念的に示される。
【0018】
図1は、ウォーターマークが先験的に埋め込まれる秘密の合意のプロテクションを提供するシステム100を例示する。ウォーターマークは、公知のやり方でビットストリームのウォーターマークの埋め込みユニット101を使用して、入力ビットストリーム信号bXに埋め込まれる。ウォーターマークされたビットストリーム信号bWは、ビットストリーム変更ユニット103により変更され、ウォーターマークされた秘密の合意に対する耐性のあるビットストリーム信号byが生成される。ビットストリーム変更ユニット103の動作は、図3〜4を参照して以下に更に詳細に説明される。
【0019】
図2は、ビットストリームの変更後にウォーターマーク信号がビットストリームに埋め込まれる秘密の合意のプロテクションを提供するシステム200を説明する。入力ビットストリーム信号bXは、ビットストリーム変更ユニット201により変更されたビットストリーム信号bmにはじめに変更される。その後、ウォーターマークは、ビットストリームウォーターマーク埋め込み手段203により変更されたビットストリーム信号bmに埋め込まれ、ウォーターマークされた秘密の合意に対する耐性のあるビットストリーム信号byが生成される。ビットストリーム変更ユニット201又はビットストリーム変更ユニット103の動作は、制御信号205又は105のそれぞれにより制御可能である。
【0020】
秘密の合意を防止する方法は、位相変更された信号を平均することで位相歪み及び知覚による品質の低下を招き、これによりコンテンツを役に立たないようにするようなやり方で、位相変更された(クリアテキスト(clear text))信号を生成することに基づく。本発明によれば、ウォーターマークを除くために変更されたビットストリーム信号から導出された多数のクリアテキストのコンテンツに対して秘密の合意をしようとする試みによって、非常に品質が低下されたコンテンツを生じるように、位相変調は、ビットストリームドメインで全体的に実現される。
【0021】
本発明の1実施の形態によれば、以下の数学演算は、秘密の合意に対する耐性の特性が達成されるように、変換領域においてどのような特定の変更が行われるかを示す。このため、信号の位相は、導入された遅延が所与のDCTフレームにおいて一定であると仮定されるように十分に緩やかに変化する。特に、フレームの時間領域の信号x[n]を考える。そのDCTは、以下により与えられる。
【0022】
【数1】

ここでn=0,...,N−1、及びk=0,...,N/2−1である。ここでf[n]は、ある必要とされる特性をもつ窓関数である。たとえば、以下に示される正弦波関数は、これらの特性を満たす。
【0023】
【数2】

ここで、MDCTは、x[n]の代わりに位相変更された信号x[n−τ]に適用される。次いで、式(1)は、以下のようになる。
【0024】
【数3】

ここで、変数の変換、すなわちn−τ=mを適用し、式(4)が得られる。
【0025】
【数4】

cos(x+y)=cos(x)cos(y)−sin(x)sin(y)という同一性を適用することで更に詳しくすると、以下の等価な表現が得られる。
【0026】
【数5】

ここでkは式(4)に示される範囲の値を取る。なお、式(5)の右サイドの第一の項の第二の部分は、X[k]と同じであり、第二の項の第二の部分は、H{X[k]}に等しく、H{}はヒルベルト変換を意味する。したがって、式(5)は以下のように簡略化される。
【0027】
【数6】

これは、時間領域における変更は、離散コサイン変換(DCT)領域における乗算とヒルベルト変換の組み合わせであることを意味する。変更を実現する1つの方法は、図3〜4に示される。図3は、シグナルスプリッタ301、乗算ユニット303,307、ヒルベルト変換ユニット305及び減算ユニット309を有するビットストリーム変更ユニット300を示す。また、図3は、入力ビットストリーム信号bXがどのようにビットストリームスペクトル信号X[k]に関連付けされるかを示す。信号bXは、分析手段321で処理され、結果的に得られる分析されたビットストリーム信号322は、デマルチプレックス(DeMUX)ユニット323に送出され、このDeMUXで、分析された信号322からヘッダ及び関連される副情報(side information)が抽出され、残りの信号は、入力ビットストリームのスペクトル信号X[k]である。ビットストリーム変更ユニット300の動作は、図4を参照して説明される。ステップ401では、ビットストリーム変更ユニット300に入力される、入力ビットストリームスペクトル信号X[k](スペクトルデータ)は、スプリッタ301により第一の信号302及び第二の信号304に分裂される。第一の信号302は、ステップ403で、第一の変更された信号314を取得するため、乗算ユニット303において第一の変更信号306で乗算される。この特定の実施の形態では、AACビットストリームが考慮され、第一の変更信号306は、以下に示される。
【0028】
【数7】

第二の信号304は、変換ユニット305に送出される。AACビットストリームが考慮されるこの特定の実施の形態では、変換ユニット305は、ステップ405において、第二の信号にヒルベルト変換の演算を実行する。変換された信号308は、乗算ユニット307に送出される。乗算ユニット307は、第二の変更された信号312を取得するため、ステップ407において、変換された信号308を第二の変更信号310で乗算する。AACビットストリームが考慮されるこの特定の実施の形態では、第二の変更信号310は、以下に示される。
【0029】
【数8】

ステップ409では、第二の変更された信号312は、減算ユニット309において、第一の変更された信号314から減算され、秘密の合意に対する耐性のあるビットストリームのスペクトル信号X’[k]が生成され、ビットストリーム変更ユニット300から出力される。秘密の合意に対する耐性のあるビットストリームのスペクトル信号X’[k]は、マルチプレックス(MUX)ユニット325において、ヘッダ情報324と乗算され、パッカーユニット327に沿って送出され、変更された秘密の合意に対する耐性のあるビットストリーム信号b’Xが結果的に得られる。所定の実施の形態によれば、この変更された秘密の合意に対する耐性のあるビットストリーム信号b’Xは、ウォーターマークされた秘密の合意に対する耐性のあるビットストリーム信号by(図1参照)に等しいか、又は、ウォーターマークされた秘密の合意に対する耐性のあるビットストリーム信号byを与えるためにウォーターマークされる変更されたビットストリーム信号bm(図2参照)に等しい。
【0030】
図5に係る本発明の別の実施の形態では、コンピュータ読取り可能な媒体は、概念的に示される。コンピュータ読取り可能な媒体500は、コンピュータ513により処理されるため、装置においてメディア信号にウォーターマークを埋め込むためのコンピュータプログラム510を媒体に実現する。コンピュータプログラム510は、ビットストリーム信号を第一の信号及び第二の信号に分割するための第一のコードセグメント514、第一の信号を第一の変更信号で乗算して、第一の変更された信号を出力する第二のコードセグメント515、前記第二の信号に変換の演算を実行する第三のコードセグメント516、前記変換された第二の信号を第二の変更信号で乗算して、第二の変更された信号を出力する第四のコードセグメント517、前記第二の変更された信号を前記第一の変更された信号から減算して、変更されたビットストリーム信号を出力する第五のコードセグメント518を含む。
【0031】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの任意の組み合わせを含む適切な形式で実現される。しかし、好ましくは、本発明は、1以上のデータプロセッサ及び/又はデジタルシグナルプロセッサで実行されるコンピュータソフトウェアとして実現される。本発明の実施の形態のエレメント及びコンポーネントは、適切なやり方で物理的、機能的及び論理的に実現される。確かに、機能は、単一のユニットで実現されるか、複数のユニットで実現されるか、他の機能ユニットの一部として実現される。係るように、本発明は、単一のユニットで実現されるか、異なるユニット及びプロセッサ間で物理的及び機能的に分散される場合がある。
【0032】
本発明は、特定の実施の形態を参照して記載されたが、本明細書で述べた特定の形式に限定されることが意図されない。むしろ、本発明は、特許請求の範囲によってのみ制限され、上述されたものとは異なる分散システムといった、上述された以外の実施の形態も同様にこれら特許請求の範囲において可能である。
【0033】
請求項において、用語「有する“comprises/comprising”」は、他のエレメント又はステップの存在を排除するものではない。さらに、個々に列挙されたが、複数の手段、エレメント又は方法ステップは、たとえば単一のユニット又はプロセッサにより実現される。さらに、個々の特徴が異なる請求項で含まれるが、これらは結合される場合があり、異なる請求項に含まれることは、特徴の組み合わせが実施可能ではないこと、及び/又は有利ではないことを意味しない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の1実施の形態に係るウォーターマークがビットストリームに先天的に埋め込まれた秘密の合意のプロテクションを提供するシステムの概念図である。
【図2】本発明の1実施の形態に係るウォーターマーク信号がビットストリームに埋め込まれた秘密の合意のプロテクションを提供するシステムの概念図である。
【図3】本発明の1実施の形態に係るビットストリーム変更ユニットの概念図である。
【図4】本発明の1実施の形態に係るビットストリーム変更ユニットの動作を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の1実施の形態に係る秘密の合意のプロテクションを提供するコンピュータ読取り可能な媒体の概念図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
秘密の合意に対する耐性のあるビットストリームのウォーターマーキングを可能にするためにビットストリーム信号を変更する方法であって、
前記ビットストリーム信号のビットストリームスペクトル信号を第一の信号と第二の信号に分割するステップと、
前記第一の信号を第一の変更信号で乗算して、第一の変更された信号を出力するステップと、
前記第二の信号に変換の演算を実行して、変換された第二の信号を取得するステップと、
前記変換された第二の信号を第二の変更信号で乗算して、第二の変更された信号を出力するステップと、
前記第二の変更された信号を前記第一の変更された信号から減算して、前記ビットストリーム信号の変更されたビットストリーム信号を取得するために適した変更されたビットストリームのスペクトル信号を出力するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記変換の演算は、ヒルベルト変換の演算である、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第一の変更信号は、
【数1】

である、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第二の変更信号は、
【数2】

である、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ビットストリームスペクトル信号は、ビットストリームのウォーターマーキング技術を使用して先験的にウォーターマークされ、前記変更されたビットストリームのスペクトル信号及び前記変更されたビットストリーム信号は、ウォーターマークされた秘密の合意に対する耐性のあるビットストリーム信号である、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
ウォーターマークされた秘密の合意に対する耐性のあるビットストリーム信号を生成するビットストリームウォーターマーキング技術を使用して、前記変更されたビットストリームのスペクトル信号の前記変更されたビットストリーム信号をウォーターマークするステップを更に含む、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
秘密の合意に対する耐性のあるビットストリームのウォーターマーキングを可能にするためにビットストリーム信号を変更するシステムであって、
前記ビットストリーム信号のビットストリームスペクトル信号を第一の信号と第二の信号に分割する手段と、
前記第一の信号を第一の変更信号で乗算して、第一の変更された信号を出力する手段と、
前記第二の信号に変換の演算を実行して、変換された第二の信号を取得する手段と、
前記変換された第二の信号を第二の変更信号で乗算して、第二の変更された信号を出力する手段と、
前記第二の変更された信号を前記第一の変更された信号から減算して、前記ビットストリーム信号の変更されたビットストリーム信号を取得するために適した変更されたビットストリームのスペクトル信号を出力する手段と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項8】
前記ビットストリームのスペクトル信号が分割される前に前記ビットストリーム信号をウォーターマークする手段を更に有する、
請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記変更されたビットストリームのスペクトル信号の前記変更されたビットストリーム信号をウォーターマークする手段を更に有する、
請求項7記載のシステム。
【請求項10】
秘密の合意に対する耐性のあるビットストリームのウォーターマーキングを可能にするためにビットストリーム信号を変更するためのコンピュータプログラムを実現するコンピュータ読取り可能な媒体であって、
前記ビットストリーム信号のビットストリームスペクトル信号を第一の信号と第二の信号に分割する第一のコードセグメントと、
前記第一の信号を第一の変更信号で乗算して、第一の変更された信号を出力する第二のコードセグメントと、
前記第二の信号に変換の演算を実行して、変換された第二の信号を取得する第三のコードセグメントと、
前記変換された第二の信号を第二の変更信号で乗算して、第二の変更された信号を出力する第四のコードセグメントと、
前記第二の変更された信号を前記第一の変更された信号から減算して、前記ビットストリーム信号の変更されたビットストリーム信号を取得するために適した変更されたビットストリームのスペクトル信号を出力する第五のコードセグメントと、
を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項11】
電子音楽配信システムにおける請求項1乃至6の何れか記載の方法の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−509188(P2009−509188A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530699(P2008−530699)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053221
【国際公開番号】WO2007/031939
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】