説明

移動または電力遮断なしに高くなったアクセスフロア上に取り付けられた配電盤に対する耐震補強構造

【課題】配電盤の移動または電力遮断なしに、高くなったアクセスフロア上に取り付けられた配電盤に対する耐電補強構造を提供する。
【解決手段】耐震能力を増強するために高くなったアクセスフロアシステム上に取り付けられている電力供給配電盤または分電盤のための耐震増強構造が開示されている。さらに明確に述べると、この耐震補強構造は、動作中の配電盤または分電盤の移動または電力中断の必要なしに、耐震能力を有する既存の動作中の配電盤または分電盤にさえ取り付けられることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐震能力を補強するための電源用の配電盤または分電盤に取り付けられる耐震補強構造(seismic reinforcing structure)に関する。さらに特に、本発明は、動作中の配電盤または分電盤の移動(transfer)または電力遮断を必要とせずに、耐震能力を有する既存の動作中の配電盤または分電盤に取り付けられることが可能な耐震補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、分電盤のような電力供給設備、または、監視信号盤、配電盤、通信パネル、保護パネル、制御室、通信制御ライン、計算装置等に備えられている他の設備を据え付ける際には、こうした設備は、建物の既存の床に別の着脱可能な床板を付加することによって、高くなったアクセスフロアシステム(raised access floor system)上に据え付けられることになる。この上げアクセスフロアシステムは、エポキシ接着剤を使用して規則正しい間隔でコンクリートスラブ床上に脚柱を取り付けることによって形成されており、および、着脱可能な床板は支持脚柱によってスラブ床上に取り付けられている。
【0003】
分電盤および配電盤を含む上記の様々な設備は、その着脱可能な床板上に据え付けられる。この場合に、分電盤のような設備の重量が重いならば、分電盤は、着脱可能な床板の上に形成された4つの穴の中の2つの穴の中にアンカー釘を使用して固定される。その次に、クッションパッドが頭部の上部部分上に配置される。上部部分位置決め支持物が、各々の側部を介してそれぞれの支持脚柱に連結され、および、ボルトによって固定され、したがってフレームを形成する。その次に、着脱可能な床板が各々の側部を介して連結され、クッションパッドの凹みに対応し、これによって上げ床システムを完成する。着脱可能な床板の材料に関しては、鋼材床板(610mm×610mm、厚さ32mm)が従来において使用されている。しかし、最近では、鋼材床板の欠陥を克服する複合ポリウレタン/パーティクルボード床板(600mm×600mm、厚さ40mm)が一般的に使用されている。
【0004】
こうした従来の高くなった床システムでは、脚柱は約20−40cmの高さを有し、および、着脱可能な床板の許容支持荷重が基本的には1.5トン/m2である。支持脚柱によって補強されている場合には、この許容支持荷重は3.5トン/m2になる。
【0005】
配電盤の重量が一般的に100−800kgの範囲内なので、上げアクセスフロアシステムは、配電盤を十分に支持することが可能である。
【0006】
しかし、上述の高くなったアクセスフロアシステムの基本構造の各々の隅が、完全固着末端(complete fixed end)ではなく、リジッドフレーム構造を有するので、このシステムは、横方向の力と振動との悪影響を非常に受けやすい。この結果として、地震の場合に配電盤の転倒故障が避けられない。
【0007】
これと同時に、耐震システムを利用する建物または構造の内側に、高くなった床システムが取り付けられる以前に様々な設備または装置を据え付ける場合には、予め決められた位置に配置されかつ固定(anchoring)によって床スラブ(floor slab)に固着させられている配電盤のような設備または装置の着脱可能な床板に対して対応するサイズである縦通材が用意される。その次に、この上げアクセスフロアシステムは、着脱可能な床板を残余空間(rest space)の上方に取り付けることによって構築され、および、制御ケーブルが取り付けられて接続される。最後に、この着脱可能な床板を連結することによって、上げアクセスフロアシステムのアセンブリが完了される。したがって、従来の上げアクセスフロアシステムの構築プロセスは非常に複雑である。さらに、縦通材の製造のために多くのコストを要する。
【0008】
さらに、配電盤または分電盤の据え付けのための上述の従来通りの上げアクセスフロアシステムでは、耐震補強構造は、新たに建設される施設または建物だけに対してしか適用できない。すなわち、既存設備の電力遮断または移動がその設備の稼働中に必要とされるので、既存の設備に対して耐震補強構造を適用することはほとんど不可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、上述の問題を考慮して構成されており、および、本発明の目的が、地震が発生する場合または外部衝撃が加えられる場合に、振動によって高くなったアクセスフロアシステム上に据え付けられている設備の転倒故障または損傷を防止するために、耐震能力を補強することが可能であり、かつ、安定した耐震能力を確実なものにすると同時に、既存の設備の移動または電力供給遮断および動作中断を必要とせずに、動作中の既存設備に対してさえ取り付け可能である、移動または電力遮断なしに高くなったアクセスフロア上に取り付けられた配電盤に耐震補強構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、上述の目的と他の目的とが、着脱可能な床板が支持脚柱の固着部材を介して床スラブから間隔を開けて取り付けられており、かつ、その着脱可能な床板に固着されている取付ブラケット上に配電盤が固定されている形に構成されていることによって、安定した耐震能力を確実なものにするための、配電盤の移動または電力遮断なしに配電盤に取り付けられる耐震補強構造を提供することによって、実現されることが可能であり、および、この耐震補強構造では、この着脱可能な床板と取付ブラケットとが、L字型ブラケットと水平ボルトと垂直ボルトとによって互いに締め付け固定されており、および、角パイプが、着脱可能な床板から間隔を開けて、L字型ブラケットと着脱可能な床板とを貫通する垂直ボルトに固定されており、および、床スラブのアンカーブラケットに取り付けられているターンバックルが、L字型鋼材に締め付け固定されている固着ボルトのシャックルに連結されている。
【0011】
本発明の上述の目的および特徴と他の目的および特徴と他の利点とが、添付図面に関連付けて行われる以下の詳細な説明からより明確に理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下では、本発明の例示的な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態による、配電盤の移動または電力遮断を必要とすることがない、上げアクセスフロア上に取り付けられた配電盤に対する耐震補強構造の断面構造図である。図2および図3は図1の部分拡大図である。図4は、図1の側断面図である。
【0014】
以下の説明では、設備が、配電盤、分電盤、制御盤、監視信号盤、記者会見室または制御室の内の通信/制御ラインおよびコンピュータ等を含む。特に配電盤が典型的な具体例として選ばれておりかつ以下で説明されるが、本発明は、これらの設備のすべてに対して適用可能である。
【0015】
本発明によって、配電盤100が上げアクセスフロアシステムの着脱可能な床板4上にすでに据え付けられている状態において、配電盤100が地震または振動によって転倒させられるか損傷を受けることが防止されるように、耐震補強構造が、配電盤100の耐震能力を補強するために配電盤100の移動または電力遮断を必要とせずに動作中の配電盤100に付加されることが可能である。
【0016】
図1から図4に示されているように、着脱可能な床板4は、複数の垂直支持脚柱2の固着部材3によって床スラブ1から間隔を開けて取り付けられる。その次に、配電盤100は、着脱可能な床板4に固着させられた取付ブラケット5に据え付けられ、これによって、安定した耐震能力を確実なものにすることが可能である本発明のこの実施形態による耐震補強構造を完成させる。この耐震補強構造では、着脱可能な床板4と取付ブラケット5とが、L字型ブラケット6と水平ボルト7aと垂直ボルト7bとによって互いに締め付け固定されている。角パイプ8が、着脱可能な床板4から間隔を開けて、L字型ブラケット6と着脱可能な床板4とを貫通する垂直ボルト7bに連結されている。この角パイプ8は、U字型ボルト10と固着ボルト11とを使用して、L字型鋼材9aによって支持脚柱2に締め付け固定されている。L字型鋼材9aに締め付け固定されている固着ボルト11のシャックル12が、床スラブ1のアンカーブラケット13に取り付けられているターンバックル14に連結されている。
【0017】
この場合には、間隔保持ばね(spacing spring)15が着脱可能な床板4と角パイプ8との間に挿入されており、かつ、垂直ボルト7bと連結されているので、連結部材に及ぼされる衝撃が、荷重経路(load path)が変化させられる場合に軽減されることが可能である。
【0018】
これに加えて、角パイプ8に連結されているL字型鋼材9が、垂直支持脚柱2が地震または振動を原因として転倒させられる場合の配電盤100の転倒に備えて転倒防止構造を有するように、水平方向に関して交互に配置されている。
【0019】
以下では、本発明のこの実施形態による耐震補強構造をより詳細に説明する。
【0020】
配電盤100に取り付けられている取付ブラケット5が、水平ボルト7aと垂直ボルト7bとによって着脱可能な床板4に連結される時には、穴を形成するようにL字型ブラケット6が事前に穿孔されている。垂直ボルト7bが、着脱可能な床板4の穴と角パイプ8の穴とが互いに整合するように、L字型ブラケット6の穴の中に挿入されている。その次に、ナット16が角パイプ8の下部部分から締め付け固定される。
【0021】
着脱可能な床板4と角パイプ8との間の間隙内において、金属で作られている間隔保持ばね15が、垂直ボルト7bと着脱可能な床板4と角パイプ8とがすべて一体状に連結されるように挿入されている。したがって、荷重経路の変化によって引き起こされる衝撃が軽減されることが可能である。
【0022】
垂直支持脚柱2に連結されているL字型鋼材9は、U字型ボルト10を通して固着されている。さらに、脚柱2に固着させられているL字型鋼材9は、固着ボルト11によって、転倒防止構造を形成する角パイプ8の末端に締め付け固定されている。ターンバックル14の輪状連結部分(eye connection part)が、固着ボルト11の下部末端に取り付けられているシャックル12の穴に挿入された形で連結されている。
【0023】
ターンバックル14の他方の側部上に配置されている別の輪状連結部分が、ターンバックル14に強く張力をかけるために、アンカーボルト17によって床スラブ1に固着させられているアンカーブラケット13に連結されている。
【0024】
次に、本発明の別の実施形態による耐震補強構造を、図5を参照しながら説明する。動作中の配電盤100が上に固定されている着脱可能な床板4と取付ブラケット5とにボルトを締め付け固定するための穴を形成する穿孔作業の最中に、穿孔作業から生じさせられる振動が、配電盤100のリレーの誤作動の原因となることがある。この場合には、取付ブラケット5にL字型ブラケット6を溶接すること、または、ヒンジ連結板19を取り付けることが、その誤作動を防止するために行われるだろう。さらに明確に述べると、この実施形態では、取付ブラケット5とヒンジ連結板19とが、強力な工業用接着剤20を使用して互いに接着させられており、および、ヒンジ連結板19の回転リンク(rotary link)21が、着脱可能パネル21と角パイプ8とを貫通する垂直ボルト7bに連結される。この場合には、別の間隔保持ばね15aが垂直ボルト7bの頭部と着脱可能な床板4との間に挿入されている。
【0025】
接着剤20のために卓越した付着性を有する工業用接着剤を使用することによって、ヒンジ連結板19と取付ブラケット5とが、横方向および垂直方向に及ぼされる力に耐えるように、ボルト連結と同様の強力な力で接着させられることが可能である。ヒンジ連結板19の回転リンク21は、地震または振動を受ける時に予め決められた角度だけ旋回可能であり、これによって荷重を伝達する。
【0026】
この実施形態のその他の構造が、図1から図4と共に説明されている上述の実施形態のその他の構造と同一なので、このその他の構造の詳細な説明は省略されるだろう。図6は、本発明のさらに別の実施形態による耐震補強構造を示し、この耐震補強構造は、車輪101によって動かされる可動式の配電盤100aに適用される。この実施形態による耐震補強構造では、可動式配電盤100aのストッパ支持物(stopper supporter)102と、着脱可能な床板4とが、屈曲ブラケット22と垂直ボルト7bとによって相互連結されている。その他の構造および特徴は、上述した実施形態で説明したものと同一である。
【0027】
図7と図8は、本発明の実施形態を利用するターンバックルの形状構成を示す。さらに明確に述べると、これに加えて、別のターンバックル14aが、図2に示されているターンバックル14に直角に取り付けられている。
【0028】
本発明の実施形態による、移動または電力遮断なしに高くなったアクセスフロア上に取り付けられた配電盤に対する耐震補強構造が、ターンバックルを使用して距離を調節することによって既存の動作中の配電盤に取り付けられることが可能である。したがって、この耐震補強構造は、配電盤の動作を停止させる必要なしに、すなわち、配電盤の移動または電源遮断なしに、耐震能力を補強することが可能である。
【0029】
本発明の好ましい実施形態を例示のために開示してきたが、当業者は、添付されている特許請求項に開示されている本発明の範囲と着想とから逸脱することなしに、様々な変更と追加と置換とが可能であるということを理解するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の実施形態による、配電盤の移動または電力遮断を必要とせずに高くなったアクセスフロア上に取り付けられた配電盤に対する耐震補強構造の断面構造図である。
【図2】図2は、図1の部分拡大断面図である。
【図3】図3は、図1の別の部分拡大断面図である。
【図4】図4は、図1の側断面図である。
【図5】図5は、本発明の別の実施形態による耐震補強構造の断面構造図である。
【図6】図6は、本発明のさらに別の実施形態による耐震補強構造の断面構造図である。
【図7】図7は、本発明のさらに別の実施形態による耐震補強構造の構造を示す、図1の部分拡大図である。
【図8】図8は、図7に示されている耐震補強構造を利用するターンバックルの形状構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 床スラブ
2 垂直支持脚柱
3 固着部材
4 着脱可能な床板
5 取付ブラケット
6 L字型ブラケット
7a 水平ボルト
7b 垂直ボルト
8 角パイプ
10 U字型ボルト
11 固着ボルト
12 シャックル
100 配電盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電盤の移動または電力遮断なしに、高くなったアクセスフロア上に取り付けられた配電盤に対する耐震補強構造であって、
着脱可能な床板が支持脚柱の固着部材を介して床スラブから間隔をあけて取り付けられており、かつ、前記着脱可能な床板に固着されている取付ブラケット上に前記配電盤が固定されている形に構成されていることによって、安定した耐震能力を確実なものにする耐震補強構造において、
前記着脱可能な床板と前記取付ブラケットは、L字型ブラケットと水平ボルトと垂直ボルトとによって互いに締め付け固定されており、
角パイプが、前記着脱可能な床板から間隔をあけて、前記L字型ブラケットと前記着脱可能な床板とを貫通する垂直ボルトに固着させられており、および、
前記床スラブのアンカーブラケットに取り付けられているターンバックルが、L字型鋼材に締め付け固定されている固着ボルトのシャックルに連結されている
耐震補強構造。
【請求項2】
荷重経路が変化させられる時に連結部材に及ぼされる衝撃が軽減されることが可能であるように、間隔保持ばねが、前記着脱可能な床板と前記角パイプとの間に挿入されており、かつ、前記垂直ボルトに締め付け固定されている請求項1に記載の耐震補強構造。
【請求項3】
前記角パイプおよび前記L字型鋼材は、水平方向に関して交互に配置されており、これによって転倒防止構造を実現する請求項1に記載の耐震補強構造。
【請求項4】
前記着脱可能な床板と前記各パイプとを貫通する前記垂直ボルトは、溶接または接着剤によって前記取付ブラケットに取り付けられているヒンジ連結板の回転リンクと連結されている請求項1に記載の耐震補強構造。
【請求項5】
前記間隔保持ばねは、前記垂直ボルトの頭部と前記着脱可能な床板との間に挿入されている請求項4に記載の耐震補強構造。
【請求項6】
前記着脱可能な床板の前記垂直ボルトは、可動式の配電盤のストッパ支持物に連結されている屈曲ブラケットによって取り付けられている請求項1に記載の耐震補強構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−142143(P2009−142143A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245950(P2008−245950)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(507270285)コリア エレクトリック パワー コーポレイション (7)
【出願人】(508288892)パワーエンテック カンパニー,リミティド (1)
【Fターム(参考)】